JP2016180092A - ポリエステル系積層フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】ハードコート層などの各種コート層を樹脂被膜上に形成した際に、当該コート層との接着性(密着性)に優れるとともに、加熱処理時にポリエステルフィルム基材からのオリゴマーの析出が十分に抑制され、かつ、耐ブロッキング性に優れるポリエステル系積層フィルムを提供する。
【解決手段】ポリエステルフィルム基材の少なくとも片面にポリエステル樹脂を含有する塗工液を塗布してポリエステル樹脂層を形成させたフィルムであって、前記ポリエステル樹脂層は、構成するポリエステル樹脂のジオール成分のうち5〜70モル%がトリシクロデカン成分であり、厚みが0.2〜2.0μmであって、180℃、30分の加熱処理前後のヘーズ変化量(ΔHz)が1.0%以下であるポリエステル系積層フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、光学材料用途等に好適なポリエステル系積層フィルムに関するものである。
二軸配向ポリエステルフィルムはその優れた機械的、電気的特性から、光学用途等の様々な分野において基材として使用されている。また、機能性付与のために各種コート層が設けられている。
ポリエステルフィルムは一般にコート層との接着性(密着性)に乏しいため、ポリエステルフィルム基材とコート層との間に、接着性改質層(易接着層ともいう)を設けることが行われている。
例えば特許文献1には、アクリル系樹脂やポリエステル系樹脂を含有する易接着層を設けたポリエステルフィルムが開示されている。
近年では、ポリエステルフィルムの用途の多様化により、加工条件や使用環境の高温化が進んでいるが、それに伴い基材のポリエステルフィルムに含まれるオリゴマーが析出する可能性がある。この場合、析出したオリゴマーによるフィルムの透明性の低下、製造ラインの汚染、接着性(密着性)の低下等の問題が生じる。また、高温環境下において長時間使用した場合、経時的に接着性が低下して重大な欠陥になり得る可能性があった。
前記のような問題に対して、ポリエステルフィルムにオリゴマー防止層を積層させる検討がなされている(特許文献2)。
また、固相重合処理されたポリエステル樹脂を用いて製膜することで、フィルム基材中のオリゴマー量を低減させた3層以上の積層ポリエステルフィルムも従来から知られている(特許文献3)。
一方、ポリエステル樹脂を構成する酸成分およびアルコール成分として、それぞれ芳香族ジカルボン酸およびトリシクロデカンジメタノールを特定量で含有するポリエステル樹脂水性分散体を用いて、密着性、透明性、耐水性、耐溶剤性および耐熱性等の性能に優れた樹脂被膜を形成する技術が開示されている(特許文献4)。また芳香族ジカルボン酸を特定量で含有するジカルボン酸成分と、トリシクロデカンジメタノールを特定量で含有するグリコール成分とから構成され、ガラス転移温度が30℃を超え70℃以下の共重合ポリエステル樹脂を用いることにより、熱間接着性および湿熱耐久性を向上させる技術が開示されている(特許文献5)。
特開2010−76439号公報 特開2012−92314号公報 特開2000−141570号公報 特開2011−137086号公報 特許第5466095号
しかしながら、特許文献1に開示されたポリエステルフィルムはオリゴマー析出抑制が十分ではなく、特許文献2に開示されたオリゴマー防止層についても、オリゴマーの析出抑制効果は十分ではなかった。
また、特許文献3のように、ポリエステルフィルムに固相重合処理を行ったポリエステル樹脂を用いる方法はコストが高いため、採用が難しい。
さらに、ポリエステルフィルムとハードコート層などのコート層との間に、特許文献4に記載のポリエステル樹脂水性分散体を用いて樹脂被膜を形成すると、当該コート層の密着性が十分でなかった。特許文献5に記載のポリエステル樹脂を接着剤としてフィルムに塗布して積層した場合、耐ブロッキング性が十分でなく、ロール状に形成できない場合があった。
本発明は上記の問題を解決しようとするものであり、ハードコート層などの各種コート層を樹脂被膜上に形成した際に、当該コート層との接着性(密着性)に優れるとともに、加熱処理時にポリエステルフィルム基材からのオリゴマーの析出が十分に抑制され、かつ、耐ブロッキング性に優れるポリエステル系積層フィルムを提供するものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定のモノマー構成を有するポリエステル樹脂層をポリエステルフィルム基材上に特定の厚みで設けることにより、上記目的が達成されることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は、下記の通りである。
(1)ポリエステルフィルム基材の少なくとも片面にポリエステル樹脂層を形成させたフィルムであって、前記ポリエステル樹脂層は、構成するポリエステル樹脂のジオール成分のうち5〜70モル%がトリシクロデカン成分であり、厚みが0.2〜2.0μmであって、
180℃、30分の加熱処理前後のヘーズ変化量(ΔHz)が1.0%以下であることを特徴とする特徴とするポリエステル系積層フィルム。
(2)ポリエステル樹脂を含有する塗工液をポリエステルフィルム基材に塗布後、180℃以上の温度で熱処理を行うことを特徴とする、(1)に記載のポリエステル系積層フィルムの製造方法。
本発明によれば、各種コート層との接着性(密着性)に十分に優れるとともに、基材ポリエステルフィルムからのオリゴマーの析出が十分に低減された透明なポリエステル系積層フィルムを提供することができる。本発明のポリエステル系積層フィルムは、熱処理時にポリエステルフィルム基材からオリゴマーの析出を抑制することができるので、ラインの汚染やフィルムの透明度低下が抑制される。さらに、高温環境下で使用した場合においても、オリゴマー析出によるフィルムの透明度が継時的に低下することを抑制できる。従って、タッチパネルやスマートフォン等に部材として組み込んでも、光学素子の解像度を損なわない。また、耐ブロッキング性に優れているため、フィルムをロール状に形成した場合においても、ブロッキングが生じないものである。
本発明のポリエステル系積層フィルムは、トリシクロデカン構造を有するジオール成分を含むポリエステル樹脂を含有したポリエステル樹脂層を、ポリエステルフィルム基材表面に有するものである。
ポリエステルフィルム基材に用いられるポリエステル樹脂としては特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートが挙げられる。ポリエステル樹脂には、必要に応じて、他の成分を共重合してもよい。
他の成分としては、カルボン酸成分、ヒドロキシカルボン酸成分、アルコール成分が挙げられる。カルボン酸成分としては、例えば、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸が挙げられる。ヒドロキシカルボン酸成分としては、例えば、4−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトン、乳酸が挙げられる。アルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールAやビスフェノールSのエチレンオキシド付加体、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールが挙げられる。これらの共重合成分は2種以上併用してもよい。
基材用ポリエステル樹脂の融点は、耐熱性付与の観点から、230℃以上であることが好ましい。
基材用ポリエステル樹脂の重合方法としては、例えば、直接エステル化法、エステル交換法等の公知の製造方法が挙げられる。直接エステル化法としては、例えば、必要なモノマー原料を反応缶内に注入し、エステル化反応をおこなった後、重縮合反応をおこなう方法が挙げられる。エステル化反応では、窒素雰囲気下、160℃以上の温度で4時間以上、加熱溶融して反応させる。その際、触媒として、マグネシウム、マンガン、亜鉛、カルシウム、リチウム、チタン等の酸化物、酢酸塩を用いてもよい。重縮合反応では、130Pa以下の減圧下で、220〜280℃の温度で所望の分子量に達するまで重縮合反応を進める。その際、触媒として、アンチモン、チタン、ゲルマニウム等の酸化物、酢酸塩を用いてもよい。
重合後の基材用ポリエステル樹脂は、モノマーやオリゴマー、アセトアルデヒドやテトラヒドロフラン等の副生成物を含んでいるため、減圧または不活性ガス流通下、200℃以上の温度で固相重合を行い得られた、より重合度の高いポリマーをポリエステルフィルム基材に用いてもよい。
基材用ポリエステル樹脂を重合する際、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、スリップ剤、ブロッキング防止剤等を添加してもよい。酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物が挙げられる。熱安定剤としては、例えば、リン系化合物が挙げられる。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物を挙げられる。帯電防止材としては、例えばアンチモンドープ酸化錫が挙げられる。スリップ剤としては、例えば界面活性剤が挙げられる。ブロッキング防止剤としては、例えばケイ素酸化物が挙げられる。
本発明に用いる基材のポリエステルフィルムは、未延伸フィルムであっても、延伸フィルムであってもよい。未延伸フィルムは、十分に乾燥されたポリエステル樹脂原料を押出機に供給し、流動性を示す温度以上で溶融し、必要に応じてフィルターを通過させた後、Tダイから、ポリエステル樹脂のガラス転移点(Tg)以下に温度調節した冷却ドラム上に押出すことにより得ることができる。
一軸延伸法では、未延伸フィルムをポリエステル樹脂のTg〜(Tg+50℃)の温度範囲で、横方向または縦方向にそれぞれ2〜6倍程度の延伸倍率となるように延伸する。また、同時二軸延伸法では、未延伸フィルムをポリエステル樹脂のTg〜(Tg+50℃)の温度範囲で、横方向および縦方向にそれぞれ2〜4倍程度の延伸倍率となるよう二軸延伸する。この場合、同時二軸延伸機に導く前に、1〜1.2倍程度の予備縦延伸を施しておいてもよい。また、逐次二軸延伸法では、上記未延伸フィルムをロール、赤外線等で加熱し、縦方向に延伸して縦延伸フィルムを得る。延伸は2個以上のロール周速差を利用し、ポリエステル樹脂のTg〜(Tg+40℃)の温度範囲で2.5〜4.0倍とすることが好ましい。縦延伸フィルムは続いて連続的に、横延伸、熱固定、熱弛緩の処理を順次施して二軸延伸フィルムとする。横延伸は、ポリエステル樹脂のTg〜(Tg+40℃)の温度範囲で開始し、最高温度は、ポリエステル樹脂の(Tm−100℃)〜(Tm−40℃)の温度範囲であることが好ましい(Tmはポリエステル樹脂の融点)。横延伸の倍率は最終的なフィルムの要求物性に依存し調整されるが、3.5倍以上とすることが好ましく、3.8倍以上とするのがより好ましく、4.0倍以上とするのがさらに好ましい。縦方向と横方向に延伸後、さらに、縦方向および/または横方向に再延伸することにより、フィルムの弾性率を高めたり寸法安定性を高めたりすることができる。延伸に続き、ポリエステル樹脂の(Tm−50℃)〜(Tm−10℃)の温度範囲で数秒間の熱固定処理と、熱固定処理と同時にフィルム横方向に1〜10%の弛緩することが好ましい。
フィルムの巻き取り性を改善するために、基材に用いるポリエステルフィルムは粒子を含有していてもよい。
基材に配合する粒子の種類は、特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の無機粒子が挙げられる。また、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等の耐熱性有機粒子を用いてもよい。さらに、ポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。使用する粒子の形状は特に限定されず、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これらの粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
用いる粒子の平均粒径は、通常0.01〜3μm、好ましくは0.01〜1μmの範囲である。平均粒径が0.01μm未満の場合には、粒子が凝集しやすく、分散性が不十分な場合があり、一方、3μmを超える場合には、フィルムの表面粗度が粗くなりすぎて、後工程において離型層を塗設させる場合等に不具合が生じる場合がある。
ポリエステルフィルム基材中の粒子含有量は、通常5質量%以下、好ましくは0.005〜3質量%の範囲である。5質量%を超えて粒子を添加すると、フィルムの透明性が不十分となる場合がある。
ポリエステルフィルム基材中に粒子を添加する方法は、特に限定されるものではなく、ポリエステルを製造する任意の段階において添加することができる。例えば、エステル化段階、もしくはエステル交換反応終了段階である。
本発明に用いる基材のポリエステルフィルムは、単層または複層(例えば、二種二層、二種三層、三種三層)のいずれの層構成であってもよいが、片面ごとに表面粗度を制御でき、巻取り性などのハンドリング性を向上させることができる観点から、複層構成であることが好ましい。二種二層、二種三層の構成が特に好ましい。二種二層の構成とは、二種類の層形成用材料を用いて製造された二層構成のことであり、これらの二層は組成(例えば、粒子含有量)が異なっている。二種三層の構成とは、二種類の層形成用材料を用いて製造された三層構成のことであり、2つの最外層と中間層とは組成(例えば、粒子含有量)が異なっている。三種三層の構成とは、三種類の層形成用材料を用いて製造された三層構成のことであり、これらの三層は互いに組成(例えば、粒子含有量)が異なっている。
ポリエステルフィルム基材は、粒子を含有する層を、少なくとも片面の最外層に有する複層構成が好ましい。
ポリエステルフィルム基材が複層構成を有する場合、複層の各層における厚み比は、生産時の安定性と透明性の観点から、以下の比率が好ましい。例えば、二種二層の場合、各層の厚みの比は99:1〜1:99が好ましく、96:4〜4:96がより好ましく、90:10〜10:90がさらに好ましい。また例えば、二種三層の場合、各層の厚みの合計厚みを100%としたとき、中間層の厚みは98〜1%が好ましく、92〜4%がより好ましく、80〜10%がさらに好ましい。このとき、中間層と隣接する一方および他方の最外層の厚みはそれぞれ独立して1〜49.5%が好ましく、4〜48%がより好ましく、10〜45%がさらに好ましい。
複層構成を有するポリエステルフィルム基材は、例えば、以下の方法により製造することができる;
(1)二種以上のポリエステル樹脂組成物(層形成用材料)を別々に溶融し、層状に合流積層させ、複層ダイスより押出して固化前に積層融着させた後、固化させる方法;
(2)上記(1)の方法の後、延伸および熱固定する方法;
(3)二種以上のポリエステル樹脂組成物(層形成用材料)を別々に溶融し、合流させることなくそれぞれ押出して、フィルム化した後、二種以上のフィルムを積層融着させる方法;および
(4)上記(3)の方法において、フィルム化し、延伸した後、二種以上の延伸フィルムを積層融着させる方法。
ポリエステルフィルム基材は、プロセスの簡便性から、複層ダイスを用い、固化前に積層融着させる上記(1)および(2)の方法が好ましい。
上記のようなポリエステルフィルム基材にポリエステル樹脂層を形成する方法としては、基材上にポリエステル樹脂を含有する塗工液を塗布した後、乾燥する方法が挙げられる。
塗工液の塗布方法としては、特に限定されないが、例えば、グラビアロール法、リバースロール法、エアーナイフ法、リバースグラビア法、マイヤーバー法、インバースロール法、またはこれらの組み合わせによる各種コート方式が挙げられる。また、各種噴霧方式も採用することができる。塗工厚みは、析出オリゴマーのさらなる低減、耐ブロッキング性の向上、コート欠陥の発生防止および生産性の向上の観点から、加熱乾燥後の厚みが0.2〜2.0μmとすることが必要であり、0.2〜1.0μmが好ましい。加熱乾燥後の厚みが0.2μm未満であると、180℃で30分間熱処理した際のヘーズ変化量が1.0%を超える場合がある。また、加熱乾燥後の厚みが2.0μmを超えると、塗膜の乾燥時間が長くなり生産性が低下したり、耐ブロッキング性が低下する場合がある。また、オリゴマー析出抑制効果は厚みを厚くしても限界があるため、乾燥後の厚みが2.0μmを超えるとコスト的にも不利である。
乾燥方法としては、特に限定されないが、ポリエステル樹脂層とコート層(例えばアクリル塗膜)との接着性(密着性)のさらなる向上の観点から、加熱して乾燥を行う熱乾燥処理法を採用することが好ましい。理由は定かではないが、ポリエステル樹脂層の熱乾燥処理温度が140℃以上、特に180℃以上になると、密着性が格段に高くなる。熱乾燥処理温度は、密着性のさらなる向上の観点から、140〜250℃とすることが好ましく、160〜230℃、特に180〜230℃とすることがより好ましい。熱乾燥処理理時間は、5〜60秒とすることが好ましく、20〜60秒とすることがより好ましい。
ポリエステル樹脂層は、例えばポストコート法など公知の方法により形成させることができる。ポストコート法とは、未延伸フィルムを逐次二軸延伸法または同時二軸延伸法により二軸延伸フィルムとし、該二軸延伸フィルムに塗工液を塗布する方法である。
本発明のポリエステル樹脂層に用いられるポリエステル樹脂(以下、ポリエステル樹脂(A)と呼ぶ。)は、主として、ジカルボン酸成分およびジオール成分から構成されるものである。ポリエステル樹脂(A)が主としてジカルボン酸成分およびジオール成分から構成されるとは、ポリエステル樹脂(A)を構成する全モノマー成分のうち、35〜50モル%、好ましくは45〜50モル%、より好ましくは48〜50モル%がジカルボン酸成分であり、かつ35〜50モル%、好ましくは45〜50モル%、より好ましくは48〜50%がジオール成分である、という意味である。本明細書中、ポリエステル樹脂(A)のモノマー成分の含有割合は、重合前の原料の使用量に基づく値で示すものとする。
ポリエステル樹脂(A)を構成するジオール成分100モル%に対し、トリシクロデカン構造を有するジオール成分を5〜70モル%、特に5モル%以上70モル%未満、含有することが必要であり、ポリエステル樹脂層とコート層(例えばアクリル塗膜)との密着性のさらなる向上ならびに析出オリゴマーのさらなる低減の観点からは10〜60モル%であることが好ましく、15〜50モル%であることがより好ましい。トリシクロデカン構造を有するジオール成分の含有量が5モル%未満であると、熱処理に伴うオリゴマーの析出を抑制する効果が低い。一方、70モル%以上の場合、特に70モル%を超えた場合においては、形成されるポリエステル樹脂層とコート層(例えばアクリル塗膜)との密着性に劣ったものとなる。
トリシクロデカン構造を有するジオール成分としては、例えば、下記一般式(I)で示されるトリシクロデカン化合物が挙げられる。
一般式(I)中、XおよびXは、炭素数1〜4のヒドロキシアルキレン基および/または該炭素数1〜4のヒドロキシアルキレン基にアルキレンオキシドを1〜4モル付加した基であり、同一であっても異なっていてもよい。ヒドロキシアルキレン基は、炭素数1〜4、好ましくは1〜2のアルキル基の水素原子1つをヒドロキシル基1つにより置換した基である。アルキル基は直鎖状または分枝鎖状であってよく、好ましくは直鎖状である。アルキレンオキシドは、特に限定されないが、好ましくは炭素数2〜4のアルキレンオキシド化合物である。アルキレンオキシドとして、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよびブチレンオキシドが挙げられる。ヒドロキシアルキレン基へのアルキレンオキシドの付加により、ヒドロキシアルキレン基のヒドロキシル基に基づくエーテル結合が生成するとともに、アルキレンオキシドのエポキシ基に基づくヒドロキシル基が生成する。XおよびXは通常、トリシクロデカン構造が有する3つの炭素5員環を構成する10個の炭素原子のうち、異なる炭素原子に結合していればよく、好ましくは異なる炭素5員環を構成する炭素原子に結合しており、より好ましくはXおよびXはそれぞれトリシクロデカン構造の6位および2位に結合している。トリシクロデカン構造を構成する炭素原子には1価置換基が置換されていてもよい。1価置換基としては、特に限定されないが、例えば、炭素数1〜3のアルキル基(具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基)が挙げられる。最も好ましいXおよびXは、炭素数1〜4、特に1〜2のヒドロキシアルキレン基であり、同一であっても異なっていてもよい。トリシクロデカン構造を有するジオール成分は構造が異なる2種以上の化合物であってもよい。
一般式(I)で示される化合物としては、例えば、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノール、4,10−ジメチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノール、4,4,10,10−テトラメチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノール、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10−デカメチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールが挙げられる。中でも汎用性が高く、被膜とアクリル塗膜との密着性が高い点で、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールが好ましい。なお、これらは2種以上混合して用いてもよい。
一般式(I)で示される化合物と併用が可能なジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール等の脂肪族グリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロブタンジメタノール、ジメタノールデカリン、ジメタノールビシクロオクタン等の脂環族グリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のエーテル結合含有グリコール、2,2−ビス[4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパンのアルキレンオキシド付加体、ビス[4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルホンのアルキレンオキシド付加体が挙げられる。中でも、汎用性、重合性および樹脂特性への影響の点で、脂肪族グリコール、特にエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−プロパンジオールからなる群から選択される1種以上のジオール成分を、トリシクロデカン構造を有するジオール成分と共に用いることが好ましい。
脂肪族グリコールの含有量は通常、ポリエステル樹脂(A)を構成するジオール成分100モル%に対して、95モル%以下、特に30モル%以上95モル%以下、であり、ポリエステル樹脂層とコート層(例えばアクリル塗膜)との密着性のさらなる向上ならびに析出オリゴマーのさらなる低減の観点からは31〜85モル%であることが好ましく、50〜85モル%であることがより好ましい。当該含有量は、密着性のさらなる向上、析出オリゴマーのさらなる低減および耐ブロッキング性の向上の観点からは51〜85モル%であることが好ましい。
ポリエステル樹脂(A)は、スルホン酸塩基を有するジカルボン酸を有することで水や親水性有機溶剤への分散化が容易になる。ポリエステル樹脂(A)を構成するジカルボン酸成分100モル%に対する、スルホン酸塩基を有するジカルボン酸の含有量を、15モル%以下、好ましくは9モル%以下、特に8モル%以下とすることで、ポリエステル樹脂層の耐水性が向上する。従って、ポリエステル樹脂(A)を構成するジカルボン酸成分100モル%に対し、スルホン酸塩基を有するジカルボン酸を15モル%以下含有することが耐水性の観点から好ましく、耐水性のさらなる向上の観点からは9モル%以下、特に8モル%以下であることがより好ましい。耐水性とは、本発明のポリエステル系積層フィルムを水に浸漬しても、ポリエステル樹脂層に生じる白化および膨潤などの外観変化を防止し得る特性のことである。
前記スルホン酸塩基を有するジカルボン酸としては、スルホフタル酸ナトリウムが好ましく、例えば、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−ナトリウムスルホテレフタル酸、5−カリウムスルホイソフタル酸、5−カリウムスルホテレフタル酸、5−リチウムスルホイソフタル酸、5−リチウムスルホテレフタル酸、3,5−ジ(カルボ−β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンスルホン酸ナトリウム、2,5−ジ(カルボ−β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンスルホン酸ナトリウム、3,5−ジ(カルボ−β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンスルホン酸カリウム、3,5−ジ(カルボ−β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンスルホン酸リチウム、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル、5−ナトリウムスルホテレフタル酸ジメチル、5−カリウムスルホイソフタル酸ジメチル、5−リチウムスルホイソフタル酸ジメチルが挙げられる。
スルホン酸塩基を有するジカルボン酸以外のジカルボン酸成分としては、特に限定されないが、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、3−tert−ブチルイソフタル酸、ジフェン酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、無水コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、アイコサン二酸、水添ダイマー酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、ダイマー酸等の不飽和脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸およびその無水物、テトラヒドロフタル酸およびその無水物等の脂環式ジカルボン酸が挙げられる。中でも、汎用性、重合性および樹脂特性への影響の点で、芳香族ジカルボン酸、特にテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましい。
芳香族ジカルボン酸の含有量は通常、ポリエステル樹脂(A)を構成するジカルボン酸成分100モル%に対して、70〜97モル%であり、ポリエステル樹脂層とコート層(例えばアクリル塗膜)との密着性のさらなる向上ならびに析出オリゴマーのさらなる低減の観点からは80〜95モル%であることが好ましい。
ポリエステル樹脂(A)には、ヒドロキシカルボン酸成分を含有させてもよい。ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、2−ヒドロキシセバシン酸、5−ヒドロキシイソフタル酸、4−ヒドロキシイソフタル酸、クエン酸、イソクエン酸、リンゴ酸、2−メチル−2−ヒドロキシコハク酸、酒石酸、テトラヒドロキシアジピン酸、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−バレロラクトン、乳酸、β−ヒドロキシ酪酸、p−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシフェニルステアリン酸のアルキレンオキシド付加体が挙げられる。ヒドロキシカルボン酸を用いる場合、その含有量は、ポリエステル樹脂(A)を構成する全モノマー成分の合計100モル%のうち、50モル%以下とすることが好ましく、40モル%以下とすることがより好ましく、30モル%以下とすることがさらに好ましい。
ポリエステル樹脂(A)には、モノカルボン酸成分やモノアルコール成分が含まれていてもよい。モノカルボン酸としては、例えば、安息香酸、フェニル酢酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等が挙げられる。モノアルコールとしては、例えば、セチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルアルコール、ステアリルアルコールが挙げられる。
ポリエステル樹脂(A)には、3官能以上のカルボン酸または3官能以上のアルコールを含有させてもよい。3官能以上のカルボン酸または3官能以上のアルコールをエステル化反応前に仕込む場合、その含有量は、それぞれ、ジカルボン酸成分またはジアルコール成分100モル%に対して、5モル%以下とすることが好ましく、4モル%以下とすることがより好ましく、3モル%以下とすることがさらに好ましい。
3官能以上のカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメシン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸が挙げられる。3官能以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが挙げられる。
ポリエステル樹脂(A)のガラス転移温度は、特に制限はないが、得られるポリエステル樹脂層の耐ブロッキング性および延伸追随性の向上の観点から、60〜110℃、特に70℃超110℃以下、であることが好ましく、耐ブロッキング性のさらなる向上の観点から80〜110℃が好ましい。ガラス転移温度は、ポリエステル樹脂(A)を構成するジオール成分のうち、トリシクロデカン構造を有するジオール成分が多いほど高くなる。トリシクロデカン構造を有するジオール成分以外のジオール成分においては、上記した脂肪族グリコール成分が多いほど、ガラス転移温度は高くなる。耐ブロッキング性とは、本発明のポリエステル系積層フィルムを重ねて高温下で保管しても、フィルム間で密着(ブロッキング)が起こらず、起こったとしても簡単に剥がれ得る特性のことである。
次に、ポリエステル樹脂(A)の製造方法について説明する。
ポリエステル樹脂(A)は、前記のモノマーを組み合わせて、公知の方法で製造することができる。例えば、全モノマー成分および/またはその低重合体を不活性雰囲気下で反応させてエステル化反応をおこない、引き続いて重縮合触媒の存在下、減圧下で、所望の分子量に達するまで重縮合反応を進める方法、および当該方法を実施した後、不活性雰囲気下、3官能以上のカルボン酸を添加して解重合反応をおこなう方法を挙げることができる。
エステル化反応において、反応温度は180〜260℃とすることが好ましく、反応時間は2.5〜10時間とすることが好ましく、4〜6時間とすることがより好ましい。
重縮合反応において、反応温度は、220〜280℃とすることが好ましい。減圧度は、130Pa以下とすることが好ましい。減圧度が低いと、重縮合時間が長くなる場合がある。大気圧から130Pa以下に達するまで、60〜180分かけて徐々に減圧することが好ましい。
重縮合触媒としては、特に限定されないが、酢酸亜鉛、三酸化アンチモン、テトラ−n−ブチルチタネート、n−ブチルヒドロキシオキソスズ等の公知の化合物を挙げることができる。触媒の使用量は、ジカルボン酸成分1モルに対し、0.1〜20×10−4モルとすることが好ましい。
解重合において、反応温度は160〜280℃とすることが好ましく、反応時間は、0.5〜5時間とすることが好ましい。
次に、本発明において、ポリエステル樹脂層の形成に用いる塗工液について説明する。
塗工液としては、ポリエステル樹脂(A)を有機溶剤に溶解した有機溶液や、ポリエステル樹脂(A)を有機溶剤および/または水に分散した分散液などが挙げられる。これらの塗工液は、基材に塗工、乾燥することでポリエステル樹脂組成物層を形成することができる。
本発明の塗工液は、乳化剤を含有しないものが好ましい。本発明でいう乳化剤には、界面活性剤、保護コロイド作用を有する化合物、変性ワックス類、高酸価の酸変性物、水溶性高分子等が含まれる。こうした乳化剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリエステル樹脂(A)成分100質量部に対して0.1質量部未満含まれていても差し支えない。乳化剤を0.1質量部以上含む場合は、被膜の耐水性が低下する傾向にある。
水系分散液としての塗工液の製造方法としては、例えば、自己乳化法が挙げられる。自己乳化法とは、ポリエステル樹脂(A)、水、有機溶剤を一括で仕込み、系内を攪拌しながら加熱することで、有機溶剤を含有したポリエステル樹脂水性分散体を得る方法である。必要に応じて、塩基性化合物を加えてもよい。
上記の有機溶剤としては、例えば、アセトン(沸点:56.2℃)、メチルエチルケトン(沸点:79.6℃)、メチルイソブチルケトン(沸点:117℃)、シクロヘキサノン(沸点:156℃)等のケトン系有機溶剤;トルエン(沸点:111℃)、キシレン(沸点:140℃)等の芳香族系炭化水素系有機溶剤;エチレングリコールモノエチルエーテル(沸点:136℃)、テトラヒドロフラン(沸点:66.0℃)、1,4−ジオキサン(沸点:101℃)等のエーテル系有機溶剤;含ハロゲン系有機溶剤;n−プロパノール(沸点:97.2℃)、イソプロパノール(沸点:82.4℃)等のアルコール系有機溶剤;酢酸エチル(沸点:77.1℃)、酢酸ノルマルブチル(沸点:126℃)等のエステル系有機溶剤;グリコール系有機溶剤などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、併用してもよい。
ポリエステル樹脂水性分散体の製造においては、上記の分散工程の後に、さらに、有機溶剤を除去する工程(脱溶剤工程)を設けてもよい。なお、脱溶剤工程後の有機溶剤含有量は水性分散体の1質量%未満とすることが好ましく、0.5質量%未満とすることがより好ましく、0.3質量%未満とすることがさらに好ましい。
有機溶剤溶液としての塗工液は、ポリエステル樹脂(A)を有機溶剤に溶解する方法により製造する。
ポリエステル樹脂を溶解するための有機溶剤としては、ポリエステル樹脂を溶解可能な限り特に限定されないが、上記有機溶剤のうち、沸点が180℃以下のものが好ましく、165℃以下のものがより好ましく、150℃以下のものがさらに好ましい。有機溶剤の沸点が180℃を超えると、塗工時の乾燥によって有機溶剤を揮散させることが困難となる場合がある。
本発明におけるポリエステル樹脂層には、ポリエステル樹脂層の密着性のさらなる向上と耐水性の向上の観点から、硬化剤を含有することが好ましい。
本発明で用いることのできる硬化剤としては、例えば、多官能エポキシ化合物;多官能イソシアネート化合物;多官能アジリジン化合物;カルボジイミド基含有化合物;オキサゾリン基含有化合物;フェノール樹脂;および尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等のアミノ樹脂等が挙げられる。これらのうちの1種類を使用しても2種類以上を併用してもよい。硬化剤を添加することで、得られるポリエステル樹脂層はポリエステル基材およびコート樹脂との密着性がさらに向上するとともに、耐水性も向上する。好ましい硬化剤は、多官能イソシアネート化合物、カルボジイミド基含有化合物、オキサゾリン基含有化合物、およびメラミン樹脂からなる群から選択される1種類以上の硬化剤である。
多官能エポキシ化合物としては、具体的にはポリエポキシ化合物、ジエポキシ化合物等を用いることができる。ポリエポキシ化合物としては、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネート、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルが使用可能である。ジエポキシ化合物としては、例えば、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテルが使用可能である。
多官能イソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、1,6−ジイソシアネートヘキサン、トリレンジイソシアネートとヘキサントリオールの付加物、トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの付加物、ポリオール変性ジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、3,3´−ビトリレン−4,4´ジイソシアネート、3,3´ジメチルジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネート、メタフェニレンジイソシアネート等が使用可能である。これらのイソシアネート基を重亜硫酸塩類及びスルホン酸基を含有したフェノール類、アルコール類、ラクタム類、オキシム類及び活性メチレン化合物類等でブロックしたブロックイソシアネート化合物を用いてもよい。
多官能アジリジン化合物としては、例えば、 N,N´−ヘキサメチレン−1,6−ビス−(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート等が使用可能である。
カルボジイミド基含有化合物としては、分子中に少なくとも2つ以上のカルボジイミド基を有しているものであれば特に限定されるものではない。例えば、p−フェニレン−ビス(2,6−キシリルカルボジイミド)、テトラメチレン−ビス(t−ブチルカルボジイミド)、シクロヘキサン−1,4−ビス(メチレン−t−ブチルカルボジイミド)等のカルボジイミド基を有する化合物や、カルボジイミド基を有する重合体であるポリカルボジイミド等が使用可能である。これらの1種又は2種以上を用いることができる。
オキサゾリン基含有化合物としては、オキサゾリン基を含有する重合体が使用可能である。このような重合体は、付加重合性オキサゾリン基含有モノマー単独もしくは他のモノマーとの重合によって作製できる。付加重合性オキサゾリン基含有モノマーは、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン等を挙げることができる。付加重合性オキサゾリン基含有モノマーは、これらの1種または2種以上の混合物を使用することができる。これらの中でも2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的にも入手しやすく好適である。他のモノマーは、付加重合性オキサゾリン基含有モノマーと共重合可能なモノマーであれば制限なく、例えばアルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基)等の(メタ)アクリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、スチレンスルホン酸及びその塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第三級アミン塩等)等の不飽和カルボン酸類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド、N、N−ジアルキルアクリルアミド、N、N−ジアルキルメタクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)等の不飽和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等の含ハロゲンα、β−不飽和脂肪族モノマー類;スチレン、α−メチルスチレン等のα、β−不飽和芳香族モノマー等を挙げることができる。他のモノマーは、これらの1種または2種以上のモノマーを使用することができる。
フェノール樹脂としては、 例えば、フェノールやビスフェノールA、p−t−ブチルフェノール、オクチルフェノール、p−クミルフェノール等のアルキルフェノール、p−フェニルフェノール、クレゾール等を原料として調製したレゾール型フェノール樹脂及び/又はノボラック型フェノール樹脂が使用可能である。
尿素樹脂としては、 例えばジメチロール尿素、ジメチロールエチレン尿素、ジメチロールプロピレン尿素、テトラメチロールアセチレン尿素、4−メトキシ5−ジメチルプロピレン尿素ジメチロールが使用可能である。
メラミン樹脂は、例えば官能基としてイミノ基、メチロール基、および/またはアルコキシメチル基(例えばメトキシメチル基、ブトキシメチル基)を1分子中に有する化合物である。メラミン樹脂としては、イミノ基型メチル化メラミン樹脂、メチロール基型メラミン樹脂、メチロール基型メチル化メラミン樹脂、完全アルキル型メチル化メラミン樹脂等が使用可能である。その中でもメチロール化メラミン樹脂が最も好ましい。更に、メラミン系樹脂の熱硬化を促進するため、例えばp−トルエンスルホン酸等の酸性触媒を用いることが好ましい。
ベンゾグアナミン樹脂としては、 例えば、トリメチロールベンゾグアナミン、ヘキサメチロールベンゾグアナミン、トリスメトキシメチルベンゾグアナミン、ヘキサキスメトキシメチルベンゾグアナミン等が使用可能である。
ポリエステル樹脂層には、易滑性および耐ブロッキング性付与のために粒子が含有されてもよい。
配合できる粒子の粒子径は1nm〜2μmが好ましく、2nm〜1μmがより好ましい。
配合できる粒子の種類は密着性およびオリゴマー析出抑制効果に影響を及ぼさない限り特に限定されるものではなく、具体例としては、シリカ、タルク、マイカ、カオリン、膨潤性フッ素雲母、モンモリロナイト、ヘクトライト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ケイ酸ソーダ、水酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、酸化チタン、カーボンブラック等を挙げることができる。中でも、耐熱性、得られる被膜の透明性の効果を発現させる効果の高い点で、シリカ、タルク、マイカ、カオリンが好ましく、さらに易滑性にも優れる点で、シリカが最も好ましい。有機粒子としては、アクリル粒子、シリコーン粒子、ポリイミド粒子、テフロン(登録商標)粒子、架橋ポリエステル粒子、架橋ポリスチレン粒子、架橋重合体粒子、コアシェル粒子などが挙げられる。これらの粒子は単独もしくは複数をブレンドして用いることができる。
硬化剤や粒子は、塗工液を調製する任意の段階で配合することができる。例えば、(1)ポリエステル樹脂(A)の分散体、硬化剤の分散体、粒子の分散体を混合攪拌する方法、(2)ポリエステル樹脂(A)と硬化剤を予め混合した後、一括して水もしくは溶剤性媒体に添加し分散もしくは溶解させた後に粒子の分散液を添加する方法などが挙げられる。
硬化剤を用いる場合、その配合量は、塗工液のゲル化の観点から、ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して硬化剤が1〜10質量部であることが好ましく、1〜8質量部であることがより好ましく、1〜5質量部であることがさらに好ましい。粒子を配合する場合には、塗膜の耐ブロッキング性および密着性の観点から、ポリエステル樹脂(A)と硬化剤の質量の合計ポリエステル樹脂(A)+硬化剤に対して、{ポリエステル樹脂(A)+硬化剤}/粒子=99/1〜70/30(質量比)であることが好ましく、99/1〜80/20(質量比)であることがより好ましく、99/1〜90/10(質量比)であることがさらに好ましい。
塗工液には、さらに他の任意成分を配合することができる。配合可能な任意成分としては、例えば、レベリング剤、消泡剤、その他増粘剤、着色顔料、水、アルコール等を挙げることができる。
レベリング剤としては、例えば、シリコーン系、フッ素系のレベリング剤が挙げられ、特にシリコーン系レベリング剤が、塗工液との相溶性、塗工適性、密着性、耐ブロッキング性から好ましい。シリコーン系レベリング剤としては、例えば、反応性シリコーン、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリメチルアルキルシロキサン等が挙げられる。レベリング剤を用いることで塗工時のぬれ性の改善、被膜の平滑化の向上を図ることができる。レベリング剤の配合量としては、塗工液中に1〜15質量%であることが好ましい。
消泡剤としては、例えば、アセチレングリコール系化合物やそのエチレンオキシド付加体が好ましい。具体的には、3,6−ジメチル−4−デシン−3,6−ジオール、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールおよびこれらにエチレンオキサイドを付加した化合物が有効である。消泡剤を用いることで塗工時に分散体中に混入する気泡発生を抑制、得られる被膜の平滑性、透明性を向上することができる。消泡剤の配合量としては、塗工液中に1〜10質量%であることが好ましい。
本発明のポリエステル系積層フィルムの厚みは、特に限定されないが、15〜150μmであることが好ましい。厚みを15〜150μmとすることにより、生産性よくフィルムを作製することができる。
本発明のポリエステル系積層フィルムは、そのポリエステルフィルム基材が少なくとも一方向に延伸されていることが好ましい。延伸されることにより、フィルムの平坦性や耐熱性を向上させることができる。
本発明のポリエステル系積層フィルムは、熱処理した際の基材フィルムからのオリゴマーの析出が抑制されており、具体的には、180℃で30分間熱処理したときのヘーズ変化量が1.0%以下、好ましくは0.8%以下となる。
本明細書中、ヘーズ変化量は、JIS−K7136:2000に従って測定された値に基づいている。
本発明のポリエステル系積層フィルムは、種々のコート層、特にアクリル系ハードコート樹脂に対する良好な密着性を有し、また、熱処理時に析出するオリゴマーが低減されている。このため、タッチパネル用ディスプレイ等の光学用易接着フィルムとして好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
<特性の評価>
〔耐水性〕
ポリエステル系積層フィルムを、25℃の蒸留水に浸漬させ、24時間後に静かに引き上げ、風乾させた後、樹脂層の外観を目視にて観察した。
○:外観変化がなかった。
△:樹脂層の一部が白化または膨潤した(実用上問題なし)。
×:樹脂層の全体が溶解もしくは膨潤した。
〔密着性〕
アクリル系ハードコート樹脂(大日精化社製 セイカビームPHC)を、ポリエステル系積層フィルムのポリエステル樹脂層上に卓上型コーティング装置を用いて塗布し、低圧水銀灯UVキュア装置(東芝ライテック社製、40mW/cm、一灯式)でキュアリングを行い、厚さ3μmのハードコート層を形成した。この被膜をJIS K−5600−5−6に準拠し、クロスカット法によって、密着性を確認した。詳しくは、切り込みを入れて100区画の格子パターンをつくった被膜に粘着テープ(ニチバン社製TF−12)を貼り、勢いよくテープを剥離した。なお、「100/100」が、100区画に全く剥がれがなく、最も良い状態であり、「0/100」が、100区画全てが剥がれ、最も良くない状態を示す。100/100〜90/100を合格とし、100/100〜95/100、特に100/100〜98/100、が優れており、100/100が最も優れていることを示す。
〔ポリエステル樹脂のガラス転移温度〕
ポリエステル樹脂を10mg秤量し、入力補償型示差走査熱量測定装置(パーキンエルマー社製DSC;Diamond DSC型、検出範囲:−50℃〜200℃)を用いて、昇温速度10℃/分の条件で測定をおこなった。得られた昇温曲線中の、低温側ベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大となるような点で引いた接線との交点の温度を求め、ガラス転移温度とした。
〔ヘーズ変化量〕
ポリエステル系積層フィルムの非コート面(樹脂層反対面)に透明粘着シート(日東電工製LUCIACS CS9621T)を貼り付け、JIS−K7136:2000に基づき、ヘーズメーターNDH4000(日本電色製)を用いて積層フィルムの加熱処理前のヘーズ値を測定した。次に、積層フィルムを180℃に熱したオーブンに投入し、30分間の加熱処理後取り出した。その後、得られたフィルムについて上記と同様の方法で再度ヘーズ値を測定した。得られたフィルムについて、加熱処理後と加熱処理前のヘーズ値の差を、ヘーズの変化量(ΔHz)とした。
〔耐ブロッキング性〕
ポリエステル系積層フィルムを50mm×50mmの大きさに切り出し、当該積層フィルムと二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(S−50、ユニチカ社製)とを、積層フィルムのコート面(樹脂層)と二軸延伸PETフィルムの非コロナ面とが接触するように重ね合せ、60℃で10kPaの荷重をかけた状態で、24時間放置した。荷重を取り除いて室温まで冷却した後、樹脂層とPETフィルムとの密着状態を調べることで耐ブロッキング性を評価した。
○:接触する積層フィルム間に密着が認められない。
△:接触する積層フィルム間で密着が認められたものの、簡単に剥がれ、樹脂層に白化などの変化が見られない(実用上問題なし)。
×:接触する積層フィルム間で、樹脂層が凝集破壊を起こすか、または、剥がした後の樹脂層が全体的に白くなっている。
[ポリエステル樹脂(A)の調製]
調製例1
テレフタル酸1994g、イソフタル酸1063g、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル474g、エチレングリコール1179g、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノール196gからなる混合物をオートクレーブ中で、250℃で4時間加熱してエステル化反応を行った。この時のモノマー成分の配合は、テレフタル酸:イソフタル酸:5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル:エチレングリコール:トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノール=60:32:8:95:5(モル比)とした。次いで、触媒として三酸化アンチモン0.525g、トリエチルホスフェート0.328g、酢酸亜鉛二水和物1.580gを添加した後、系の温度を250℃に昇温し、系の圧力を0.4MPaで制圧し、3時間反応を行った。その後、徐々に放圧し、常圧にて1時間反応を行った。その後、270℃に昇温し、徐々に減じて1時間後に13Paとした。この条件下でさらに重縮合反応を続け、2時間30分後に系を窒素ガスで常圧にして重縮合反応を終了した。その後、系を窒素ガスで加圧状態にしておいてシート状に樹脂を払い出し、放冷した。次いで、クラッシャーで粉砕し、篩を用いて目開き1〜6mmの分画を採取し、表1に示す組成の、粒状のポリエステル樹脂(a1)を得た。
調製例2〜5および7〜9
重合後の樹脂組成が表1に記載した内容になるよう、樹脂組成を変更した以外は、ポリエステル樹脂(P−1)と同様にして、ポリエステル樹脂(a2)〜(a5)および(a7)〜(a9)をそれぞれ得た。その結果を表1に示す。
調製例6
テレフタル酸3099g、エチレングリコール812g、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノール1208gからなる混合物をオートクレーブ中で、250℃で4時間加熱してエステル化反応を行った。この時のモノマー成分の配合は、テレフタル酸:エチレングリコール:トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノール=97:68:32(モル比)とした。次いで、触媒として三酸化アンチモン0.525g、トリエチルホスフェート0.328g、酢酸亜鉛二水和物1.580g添加した後、系の温度を250℃に昇温し、系の圧力を0.4MPaで制圧し、3時間反応を行った。その後、徐々に放圧し、常圧にて1時間反応を行った。その後、270℃に昇温し、徐々に減じて1時間後に13Paとした。この条件下でさらに2時間縮重合反応を続け、系を窒素ガスで常圧にし、無水トリメリット酸94gを添加し、270℃で2時間攪拌して解重合反応をおこなった。その後、系を窒素ガスで加圧状態にしておいてシート状に樹脂を払い出し、放冷した。次いで、クラッシャーで粉砕し、篩を用いて目開き1〜6mmの分画を採取し、表1に示す組成の、粒状のポリエステル樹脂(a6)を得た。
なお、表1〜表3において、略語は以下のものを示す。
TPA:テレフタル酸
IPA:イソフタル酸
SIP:5−ナトリウムスルホイソフタル酸
TMA:トリメリット酸
EG:エチレングリコール
TCD:トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノール
DМD:3,8−ジメタノールデカリン
ポリエステル樹脂液(a−1)の製造例
ジャケット付きの、密閉が可能な円筒状ガラス容器(内容量3L)と、攪拌機(東京理科器械社製、「MAZELA NZ−1200」)を用い、ポリエステル樹脂(a1)を300g、イソプロパノールを50g、蒸留水を650gそれぞれガラス容器内に仕込み、攪拌翼の回転速度を70rpmに保って攪拌しながら、ジャケット内に熱水を通して昇温した。内温が80℃になった時点で昇温を止め、そこから攪拌を90分間続けた。攪拌中は内温を72±2℃に保つよう行った。その後、ジャケット内に冷水を通し、回転速度を30rpmに下げて攪拌しつつ、25℃まで冷却しポリエステル樹脂分散液を得た。得られたポリエステル樹脂分散液800gを丸底フラスコに仕込み、水40gを添加し、メカニカルスターラーとリービッヒ冷却器を設置し、フラスコをオイルバスで加熱し、常圧で水性媒体を40g留去した。その後、室温まで冷却し、さらに攪拌しながら、最後に固形分濃度が30質量%となるようにイオン交換水を加えて、ポリエステル樹脂液(a−1)を得た。
ポリエステル樹脂液(a−2)〜(a−9)の製造例2〜9
用いるポリエステル樹脂の種類(a2)〜(a9)を表1に記載された通りに変更した以外は、ポリエステル樹脂液(a−1)の製造例と同様の操作を行って、ポリエステル樹脂液(a−2)〜(a−9)を得た。
実施例1
二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(S−50、ユニチカ社製、厚さ50μm、Hz3.8%)のコロナ処理面に、卓上型コーティング装置(安田精機社製フィルムアプリケータ;No.542−AB型、バーコータ装着)を用いて熱乾燥処理後のポリエステル樹脂層厚みが0.36μmとなるよう、ポリエステル樹脂液(a−2)をポストコートした。その後、180℃に設定された熱風乾燥機中で30秒間乾燥させることにより、ポリエステル系積層フィルムを得た。
実施例2〜4、比較例1〜2
熱乾燥処理後のポリエステル樹脂層の厚みを変更した以外は実施例1と同様の操作を行ってポリエステル系積層フィルムを得た。
実施例5
ポリエステル樹脂液(a−2)と硬化剤水性分散体(オキサゾリン基含有水溶性ポリマー、日本触媒社製「エポクロスWS−700」、固形分濃度25質量%)とを、固形分質量比が100/3となるよう配合し、混合攪拌した塗工液を、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(S−50、ユニチカ社製、厚さ50μm、Hz3.8%)のコロナ処理面に、卓上型コーティング装置(安田精機社製フィルムアプリケータ;No.542−AB型、バーコータ装着)を用いて熱乾燥処理後の樹脂層厚みが0.36μmとなるように、塗工した後、180℃に設定された熱風乾燥機中で30分間乾燥させることにより、ポリエステル系積層フィルムを得た。
実施例6〜16、比較例3〜6
ポリエステル樹脂液の種類、硬化剤の含有量、熱乾燥処理後のポリエステル樹脂層の厚みを変更した以外は実施例5と同様の操作を行ってポリエステル系積層フィルムを得た。
実施例および比較例で得られたポリエステル系積層フィルムとその評価結果を表2および表3に示す。
実施例1〜16では、所定の配合に従ったため、得られたポリエステル樹脂層は、密着性に優れ、加熱処理に伴うヘーズ値の変化(ΔHz)が抑制され、耐ブロッキング性も良好であった。
特に、実施例5〜16では、硬化剤を含有させた塗工液を用いたため、より優れた密着性を示した。さらには加熱処理に伴うオリゴマーの析出がより抑制されていたため、ヘーズ値の変化(ΔHz)もより抑制されていた。
また、実施例1〜14では、被膜中に含まれるSIPの量がいずれも、より適切であったため、高い耐水性を示した。
一方、比較例1および5では、ポリエステル樹脂層の厚みが薄すぎたため、加熱処理に伴うヘーズ値の変化(ΔHz)が著しく大きく、オリゴマー析出抑制に劣っていた。
比較例2および6では、ポリエステル樹脂層の厚みが厚すぎたため、耐ブロッキング性に劣り、ロール状に形成した際にフィルムのブロッキングが発生した。
比較例3では、ポリエステル樹脂(A)のジオール成分に占めるTCD成分が多すぎたため、密着性が低下した。
比較例4では、ポリエステル樹脂(A)のジオール成分にTCD成分が含有されていなかったため、加熱処理に伴うヘーズ値の変化(ΔHz)が著しく大きかった。また、塗工液のTgが低すぎたため、耐ブロッキング性に劣り、ロール状に形成した際にフィルムのブロッキングが発生した。
本発明のポリエステル系積層フィルムは、電子材料、光学材料、または電子光学材料として有用である。

Claims (2)

  1. ポリエステルフィルム基材の少なくとも片面にポリエステル樹脂層を形成させたフィルムであって、前記ポリエステル樹脂層は、構成するポリエステル樹脂のジオール成分のうち5〜70モル%がトリシクロデカン成分であり、厚みが0.2〜2.0μmであって、
    180℃、30分の加熱処理前後のヘーズ変化量(ΔHz)が1.0%以下であることを特徴とするポリエステル系積層フィルム。
  2. ポリエステル樹脂を含有する塗工液をポリエステルフィルム基材に塗布後、180℃以上の温度で熱処理を行うことを特徴とする、請求項1に記載のポリエステル系積層フィルムの製造方法。
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