JP5734405B2 - 積層ポリエステルフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、積層ポリエステルフィルムに関するものであり、例えば、液晶ディスプレイのバックライトユニット等において、光拡散層やスティッキング防止層等との良好な密着性が必要な各種光学用の部材として好適に用いられる積層ポリエステルフィルムに関するものである。
近年、液晶ディスプレイがテレビ、パソコン、デジタルカメラ、携帯電話等の表示装置として広く用いられている。これらの液晶ディスプレイは、液晶表示ユニット単独では発光機能を有していないので、裏側からバックライトを使用して光を照射することにより表示させる方式が普及している。
バックライト方式には、エッジライト型あるいは直下型と呼ばれる構造がある。最近は液晶ディスプレイを薄型化する傾向があり、エッジライト型を採用する場合が多くなってきている。エッジライト型は、一般的には、反射シート、導光板、光拡散シート、プリズムシートの順で構成されている。光線の流れとしては、バックライトから導光板に入射した光線が反射シートで反射され、導光板の表面から出射される。導光板から出射された光線は光拡散シートに入射し、光拡散シートで拡散・出射され、次に存在するプリズムシートに入射する。プリズムシートで光線は法線方向に集光させられ、液晶層に向けて出射される。
本構成で使用される光拡散シートは、透過する光を多方向で均一に拡散させるために用いられており、光拡散性が大きいことや、光透過性が高いことが必要である。光拡散シートとしては、仕上げ加工の際に加熱・加圧によってシート表面に凹凸をつける、いわゆるエンボス加工を施したものや、透明基材フィルム上に、粒子を含有した透明樹脂からなる光拡散層をコーティングにより作成したものが知られている。また、光拡散シートにおいて、透明基材フィルムの光拡散層とは反対側の面に、光拡散シートと導光板とのスティッキング(部分的密着)を防止する等のために、バインダーと少量のビーズを含有するスティッキング防止層を形成することも提案されている(特許文献1〜3)。
光拡散シートを形成する透明基材フィルムとしては、透明性、機械特性を考慮してポリエステルフィルムが一般的に使用され、基材のポリエステルフィルムと光拡散層あるいはスティッキング防止層との密着性を向上させるために、これらの中間層として易接着性の塗布層が設けられる場合が一般的である。易接着性の塗布層としては、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等が知られている(特許文献4、5)。
近年、液晶ディスプレイ分野では、さらなる大画面化および高画質化が求められてきている。また、液晶ディスプレイの大幅な価格低下により、光拡散層やスティッキング防止層等の加工工程において大幅なコストダウンが要求されている。これらの理由で、光拡散層やスティッキング防止層等の構成は変化が激しく、さまざまな層との密着性、耐湿熱性が良好であるような易接着性能を有するポリエステルフィルムが求められている。
特開2000−89007号公報 特開2004−4598号公報 特開2007−286166号公報 特開平8−281890号公報 特開2000−229395号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、各種の光拡散層やスティッキング防止層等に対して良好な密着性を有し、例えば液晶ディスプレイのバックライトユニット等において好適に利用することができる積層ポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記実情に鑑み、鋭意検討した結果、特定の構成からなる積層ポリエステルフィルムを用いれば、上述の課題を容易に解決できることを知見し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨は、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、アクリル樹脂、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物およびメラミン化合物を含有する塗布液を塗布して形成された塗布層を有し、当該塗布層上にバインダーと粒子とを含有する樹脂層を有することを特徴とする積層ポリエステルフィルムに存する。
本発明の積層ポリエステルフィルムによれば、光拡散層あるいはスティッキング防止層等を形成した際に、密着性、耐湿熱性に優れた積層ポリエステルフィルムを提供することができ、その工業的価値は高い。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明における積層ポリエステルフィルムを構成するポリエステルフィルムは単層構成であっても多層構成であってもよく、2層、3層構成以外にも本発明の要旨を越えない限り、4層またはそれ以上の多層であってもよく、特に限定されるものではない。
本発明において使用するポリエステルは、ホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。ホモポリエステルからなる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート等が例示される。一方、共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、p−オキシ安息香酸など)等の一種または二種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上が挙げられる。
本発明のポリエステルフィルム中には液晶ディスプレイの液晶等が紫外線により劣化することを防止するために、紫外線吸収剤を含有させても良い。紫外線吸収剤は、紫外線吸収能を有する化合物で、ポリエステルフィルムの製造工程で付加される熱に耐えうるものであれば特に限定されない。
紫外線吸収剤としては、有機系紫外線吸収剤と無機系紫外線吸収剤があるが、透明性の観点からは有機系紫外線吸収剤が好ましい。有機系紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、例えば、環状イミノエステル系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系などが挙げられる。耐久性の観点からは環状イミノエステル系、ベンゾトリアゾール系がより好ましい。また、紫外線吸収剤を2種類以上併用して用いることも可能である。
本発明のフィルムのポリエステル層中には、易滑性の付与および各工程での傷発生防止を主たる目的として、粒子を配合することが好ましい。配合する粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の粒子が挙げられる。また、特公昭59−5216号公報、特開昭59−217755号公報等に記載されている耐熱性有機粒子を用いてもよい。この他の耐熱性有機粒子の例として、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。さらに、ポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
また、用いる粒子の平均粒径は、通常0.01〜3μm、好ましくは0.1〜2μmの範囲である。平均粒径が0.01μm未満の場合には、易滑性を十分に付与できなかったり、粒子が凝集して、分散性が不十分となり、フィルムの透明性を低下させたりする場合がある。一方、3μmを超える場合には、フィルムの表面粗度が粗くなりすぎて、後工程において光拡散層やスティッキング防止層等を形成させる場合等に不具合が生じる場合がある。
さらにポリエステル層中の粒子含有量は、通常0.001〜5重量%、好ましくは0.005〜3重量%の範囲である。粒子含有量が0.001重量%未満の場合には、フィルムの易滑性が不十分な場合があり、一方、5重量%を超えて添加する場合にはフィルムの透明性が不十分な場合がある。
ポリエステル層中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、各層を構成するポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化もしくはエステル交換反応終了後、添加するのが良い。
また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または、混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
なお、本発明におけるポリエステルフィルム中には、上述の粒子以外に必要に応じて従来公知の酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料等を添加することができる。
本発明におけるポリエステルフィルムの厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲であれば特に限定されるものではないが、通常10〜350μm、好ましくは50〜250μmの範囲である。
次に本発明におけるポリエステルフィルムの製造例について具体的に説明するが、以下の製造例に何ら限定されるものではない。すなわち、先に述べたポリエステル原料を使用し、ダイから押し出された溶融シートを冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る方法が好ましい。この場合、シートの平面性を向上させるためシートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。次に得られた未延伸シートは二軸方向に延伸される。その場合、まず、前記の未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃であり、延伸倍率は通常2.5〜7倍、好ましくは3.0〜6倍である。次いで、一段目の延伸方向と直交する方向に延伸するが、その場合、延伸温度は通常70〜170℃であり、延伸倍率は通常3.0〜7倍、好ましくは3.5〜6倍である。そして、引き続き180〜270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る。上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。
また、本発明においては積層ポリエステルフィルムを構成するポリエステルフィルム製造に関しては同時二軸延伸法を採用することもできる。同時二軸延伸法は、前記の未延伸シートを通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃で温度コントロールされた状態で機械方向および幅方向に同時に延伸し配向させる方法であり、延伸倍率としては、面積倍率で4〜50倍、好ましくは7〜35倍、さらに好ましくは10〜25倍である。そして、引き続き、170〜250℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。上述の延伸方式を採用する同時二軸延伸装置に関しては、スクリュー方式、パンタグラフ方式、リニアー駆動方式等、従来公知の延伸方式を採用することができる。
次に本発明における積層ポリエステルフィルムを構成する塗布層の形成について説明する。塗布層に関しては、ポリエステルフィルムの延伸工程中にフィルム表面を処理する、インラインコーティングにより設けられてもよく、一旦製造したフィルム上に系外で塗布する、オフラインコーティングを採用してもよく、両者を併用してもよい。製膜と同時に塗布が可能であるため、製造が安価に対応可能であり、塗布層の厚みを延伸倍率により変化させることができるという点でインラインコーティングが好ましく用いられる。
インラインコーティングについては、以下に限定するものではないが、例えば、逐次二軸延伸においては、特に縦延伸が終了した横延伸前にコーティング処理を施すことができる。インラインコーティングによりポリエステルフィルム上に塗布層が設けられる場合には、製膜と同時に塗布が可能になると共に塗布層を高温で処理することができ、ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造できる。
本発明においては、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、アクリル樹脂、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物およびメラミン化合物を含有する塗布液を塗布して形成された塗布層を有することを必須の要件とするものである。
本発明における塗布層は、光拡散層やスティッキング防止層等、各種の熱硬化性層および活性エネルギー線硬化性層との密着性を向上させることができるものである。
各種の検討を行った結果、アクリル樹脂とエポキシ化合物、オキサゾリン化合物、あるいはメラミン化合物といった架橋剤を1種類併用する塗布層を形成することで、光拡散層やスティッキング防止層等との密着性が向上することが判明した。さらに検討を続けた結果、アクリル樹脂とエポキシ化合物とオキサゾリン化合物による塗布層が非常に良好な密着性を示すことが判明した。しかし、より厳しい耐久試験を行った場合、密着性が低下してしまう場合があった。ところが、メラミン化合物も併用することにより、耐久試験後でも密着性が安定することが判明した。
本発明におけるアクリル樹脂とは、アクリル系、メタアクリル系のモノマーに代表されるような、炭素−炭素二重結合を持つ重合性モノマーからなる重合体である。これらは、単独重合体あるいは共重合体いずれでも差し支えない。また、それら重合体と他のポリマー(例えばポリエステル、ポリウレタン等)との共重合体も含まれる。例えば、ブロック共重合体、グラフト共重合体である。あるいは、ポリエステル溶液、またはポリエステル分散液中で炭素−炭素二重結合を持つ重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマーの混合物)も含まれる。同様にポリウレタン溶液、ポリウレタン分散液中で炭素−炭素二重結合を持つ重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマーの混合物)も含まれる。同様にして他のポリマー溶液、または分散液中で炭素−炭素二重結合を持つ重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマー混合物)も含まれる。
上記炭素−炭素二重結合を持つ重合性モノマーとしては、特に限定はしないが、特に代表的な化合物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸のような各種カルボキシル基含有モノマー類、およびそれらの塩;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、モノブチルヒドロキルフマレート、モノブチルヒドロキシイタコネートのような各種の水酸基含有モノマー類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートのような各種の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリルミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドまたは(メタ)アクリロニトリル等のような種々の窒素含有ビニル系モノマー類;スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエンのような各種スチレン誘導体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのような各種のビニルエステル類;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、チッソ(株)製「サイラプレーンFM−07」(メタクリロイルシリコンマクロマー)等のような種々の珪素含有重合性モノマー類;燐含有ビニル系モノマー類;塩化ビニル、塩化ビリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、トリフルオロクロルエチレン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンのような各種のハロゲン化ビニル類;ブタジエンのような各種共役ジエン類が挙げられる。
光拡散層あるいはスティッキング防止層等との密着性を向上させるために、水酸基、アミノ基、アミド基等の官能基を含有するアクリル樹脂を使用することも可能である。
本発明のフィルムにおける塗布層形成には、塗布層の塗膜を強固にし、各種の光拡散層あるいはスティッキング防止層等と十分な密着性を有し、これらの層を形成後の耐湿熱性等を向上させるために架橋剤としてエポキシ化合物、オキサゾリン化合物、メラミン化合物を使用する。
エポキシ化合物としては、例えば、分子内にエポキシ基を含む化合物、そのプレポリマーおよび硬化物が挙げられる。例えば、エピクロロヒドリンとエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、ビスフェノールA等の水酸基やアミノ基との縮合物が挙げられ、ポリエポキシ化合物、ジエポキシ化合物、モノエポキシ化合物、グリシジルアミン化合物等がある。ポリエポキシ化合物としては、例えば、ソルビトール、ポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネート、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ジエポキシ化合物としては、例えば、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、モノエポキシ化合物としては、例えば、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、グリシジルアミン化合物としてはN,N,N’,N’,−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノ)シクロヘキサン等が挙げられる。
オキサゾリン化合物とは、分子内にオキサゾリン基を有する化合物である。特にオキサゾリン基を含有する重合体が好ましく、付加重合性オキサゾリン基含有モノマー単独もしくは他のモノマーとの重合によって作成できる。付加重合性オキサゾリン基含有モノマーは、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン等を挙げることができ、これらの1種または2種以上の混合物を使用することができる。これらの中でも2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的にも入手しやすく好適である。他のモノマーは、付加重合性オキサゾリン基含有モノマーと共重合可能なモノマーであれば制限なく、例えばアルキル(メタ)アクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基)等の(メタ)アクリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、スチレンスルホン酸およびその塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第三級アミン塩等)等の不飽和カルボン酸類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)等の不飽和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等の含ハロゲンα,β−不飽和モノマー類;スチレン、α−メチルスチレン、等のα,β−不飽和芳香族モノマー等を挙げることができ、これらの1種または2種以上のモノマーを使用することができる。
メラミン化合物とは、化合物中にメラミン骨格を有する化合物のことである。例えば、アルキロール化メラミン誘導体、アルキロール化メラミン誘導体にアルコールを反応させて部分的あるいは完全にエーテル化した化合物、およびこれらの混合物を用いることができる。エーテル化に用いるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール等が好適に用いられる。また、メラミン化合物としては、単量体、あるいは2量体以上の多量体のいずれであってもよく、あるいはこれらの混合物を用いてもよい。さらに、メラミンの一部に尿素等を共縮合したものも使用できるし、メラミン化合物の反応性を上げるために触媒を使用することも可能である。
本発明における積層ポリエステルフィルムにおいて、塗布面状の向上、塗布面上に種々の光拡散層やスティッキング防止層が形成されたときの視認性の向上や透明性を向上させるためにアクリル樹脂以外のバインダーポリマーを併用することも可能である。
本発明において使用する「バインダーポリマー」とは高分子化合物安全性評価フロースキーム(昭和60年11月 化学物質審議会主催)に準じて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による数平均分子量(Mn)が1000以上の高分子化合物で、かつ造膜性を有するものと定義する。
バインダーポリマーの具体例としては、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニル(ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体等)、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンイミン、メチルセルロース、ヒドロキシセルロース、でんぷん類等が挙げられる。上記中でも特に塗布面状や密着性の向上という観点からポリエステル樹脂を併用することが好ましい。
また、特に透明性の高い光拡散層やスティッキング防止層が形成された場合、干渉ムラが顕著に現れる場合がある。光拡散層やスティッキング防止層が形成されたときの干渉ムラを軽減させるために、塗布層の屈折率を調整することも可能である。干渉ムラは、一般的には、塗布層の屈折率が低いことにより発生している場合が多い。そのため、塗布層に高屈折率材料を併用することにより干渉ムラが軽減される。高屈折率材料としては、従来公知のものを使用することができる。密着性の低下を防ぐことができるという点において、例えば、縮合多環式芳香族化合物を上述したバインダーポリマーに含有させる方法が挙げられる。バインダーポリマーの中でも、特にポリエステル樹脂にはより多くの縮合多環式芳香族を導入することができるため、より効果的に屈折率の調整をすることが可能である。
縮合多環式芳香族をポリエステル樹脂に組み込む方法としては、例えば、縮合多環式芳香族に置換基として水酸基を2つあるいはそれ以上導入してジオール成分あるいは多価水酸基成分とするか、あるいはカルボン酸基を2つあるいはそれ以上導入してジカルボン酸成分あるいは多価カルボン酸成分として作成する方法がある。
積層ポリエステルフィルム製造工程において、着色がしにくいという点で、塗布層に含有する縮合多環式芳香族はナフタレン骨格を有する化合物が好適に用いられる。また、塗布層上に形成する光拡散層あるいはスティッキング防止層等との密着性や、透明性が良好であるという点で、ポリエステル構成成分としてナフタレン骨格を組み込んだ樹脂が好適に用いられる。当該ナフタレン骨格としては、代表的なものとして、1,5−ナフタレンジカルボン酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸が挙げられる。
また、塗布層の滑り性改良やブロッキング改良のために、粒子を含有することも可能である。用いる粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化金属等の無機粒子、あるいは架橋高分子粒子等の有機粒子等を挙げることができる。
さらに本発明の主旨を損なわない範囲において、塗布層には必要に応じて消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、発泡剤、染料等が含有されてもよい。
本発明において、塗布層中に占める前記アクリル樹脂の含有量は、通常20〜85重量%、好ましくは25〜80重量%、より好ましくは30〜75重量%である。20重量%未満の場合は、アクリル樹脂成分が少ないことにより密着性が十分でない場合があり85重量%を超える場合は、架橋剤成分が少ないことで塗布層がもろくなり、密着性が十分でない場合や、耐湿熱性が十分ではない場合がある。
本発明において、塗布層中に占めるエポキシ化合物、オキサゾリン化合物、メラミン化合物由来の化合物の量は、3種類の合計で、通常15〜80重量%、好ましくは20〜75重量%、より好ましくは25〜70重量%である。15重量%未満の場合は、塗布層がもろくなり、湿気や熱に十分に耐えられない場合があり、80重量%を超える場合は、密着性が十分でない場合がある。また、エポキシ化合物とオキサゾリン化合物の少なくとも一方は5重量%を越えることが好ましい。いずれも5重量%以下の場合は、高温高湿度条件に長時間さらされた場合、光拡散層やスティッキング防止層等との密着性が安定しない場合がある。
本発明のポリエステルフィルムにおいて、上述した塗布層を設けた面と反対側の面にも塗布層を設けることも可能である。例えば、光拡散層を形成した反対側にスティッキング防止層、プリズム層、マイクロレンズ層、ハードコート層等の機能層を形成する場合に、当該機能層との密着性を向上させることが可能である。反対側の面に形成する塗布層の成分としては、従来公知のものを使用することができる。例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等のバインダーポリマー、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、メラミン化合物、イソシアネート化合物等の架橋剤等が挙げられ、これらの材料を単独で用いてもよいし、複数種を併用して用いてもよい。また、上述してきたようなアクリル樹脂、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、メラミン化合物から形成された塗布層(ポリエステルフィルムに両面同一の塗布層)であってもよい。製造およびフィルム加工の利便性を考慮して、塗布層は同一であることが好ましい。
塗布層中の成分の分析は、例えば、TOF−SIMS等の表面分析によって行うことができる。
インラインコーティングによって塗布層を設ける場合は、上述の一連の化合物を水溶液または水分散体として、固形分濃度が0.1〜50重量%程度を目安に調整した塗布液をポリエステルフィルム上に塗布する要領にて積層ポリエステルフィルムを製造するのが好ましい。また、本発明の主旨を損なわない範囲において、水への分散性改良、造膜性改良等を目的として、塗布液中には少量の有機溶剤を含有していてもよい。有機溶剤は1種類のみでもよく、適宜、2種類以上を使用してもよい。
本発明における積層ポリエステルフィルムに関して、ポリエステルフィルム上に設けられる塗布層の膜厚は、通常0.002〜1.0g/m、より好ましくは0.01〜0.5g/m、さらに好ましくは0.02〜0.2g/mの範囲である。膜厚が0.002g/m未満の場合は十分な密着性が得られない可能性があり、1.0g/mを超える場合は、外観や透明性、フィルムのブロッキング性が悪化する可能性がある。
本発明において、塗布層を設ける方法はリバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。
本発明において、ポリエステルフィルム上に塗布層を形成する際の乾燥および硬化条件に関しては特に限定されるわけではなく、例えば、オフラインコーティングにより塗布層を設ける場合、通常、80〜200℃で3〜40秒間、好ましくは100〜180℃で3〜40秒間を目安として熱処理を行うのが良い。
一方、インラインコーティングにより塗布層を設ける場合、通常、70〜280℃で3〜200秒間を目安として熱処理を行うのが良い。
また、オフラインコーティングあるいはインラインコーティングに係わらず、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。本発明における積層ポリエステルフィルムを構成するポリエステルフィルムにはあらかじめ、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
本発明の積層ポリエステルフィルムには、塗布層に光拡散層、スティッキング防止層等の樹脂層を設ける。樹脂層は粒子とバインダーを含有してなるものである。
樹脂層に含有させる粒子としては、光を拡散するような性質を有するものであれば良く、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニル樹脂等の有機粒子や、シリカ、金属酸化物、硫酸バリウム等の無機粒子を使用することができる。中でも透明性が良好であるアクリル樹脂やアクリルウレタン樹脂が好適に用いられる。また、これら粒子の粒径は特に限定されるものではないが、平均粒径として1〜50μm、より好ましくは5〜15μmである。
樹脂層に含有させるバインダーは粒子を固定し光拡散性を発現させるために使用するものであり、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ樹脂、紫外線硬化型樹脂等が挙げられる。加工性を考慮するとポリオール化合物が好適に用いられ、例えば、アクリルポリオールやポリエステルポリオール等が挙げられる。
ポリオール化合物をバインダーとして用いた場合は、硬化剤としてイソシアネートを含有させると良い。イソシアネートを含有させることにより、より強固な架橋構造を形成することができ、樹脂層としての物性が向上する。また、バインダーとして紫外線硬化型樹脂を使用する場合はアクリレート系樹脂が好ましく、樹脂層の硬度の向上に役立てることができる。
樹脂層には光拡散の性能を阻害しない範囲内で、界面活性剤、微小無機充填剤、可塑剤、硬化剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、防錆剤等を含有していても良い。
樹脂層におけるバインダーと粒子の混合割合は、得ようとする光拡散性により適宜設定することができ、特に限定されないが、例えば、重量比で、バインダー/粒子が0.1〜50の範囲、より好ましくは0.5〜20の範囲である。
樹脂層を形成する方法としては、バインダーと粒子を含む塗布液を調製し、塗布・乾燥させることによる方法が挙げられる。塗布方法としては、リバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート、スプレーコート、スピンコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。樹脂層の厚みは、特に限定されるものではないが、光拡散性、膜強度等を考慮して、1〜100μmの範囲、より好ましくは3〜30μmの範囲である。
樹脂層とは反対側の面にはスティッキング防止層を形成することも可能である。スティッキング防止層は光拡散層と同様なバインダーと粒子を含有するもので、粒子の含有量は、光拡散性が目的ではないため、より小さい粒径で、より少ない量を含有させる方法が一般的である。形成方法も樹脂層と同様に塗布により形成でき、厚みは、特に限定されるものではないが、1〜10μmの範囲であることが好ましい。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いた測定法および評価方法は次のとおりである。
(1)ポリエステルの固有粘度の測定
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)平均粒径(d50:μm)の測定
遠心沈降式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所社製SA−CP3型)を使用して測定した等価球形分布における積算(重量基準)50%の値を平均粒径とした。
(3)密着性1の評価方法
光拡散層用塗布液として、樹脂(日本触媒製 ハルスハイブリッド UV−G301)100質量部、イソシアネート(住化バイエルウレタン製、デスモジュール N−3200)10質量部、平均粒径15μmのアクリル樹脂粒子(積水化成品工業製 MBX−15)30質量部、トルエン 100質量部、メチルエチルケトン 100質量部を調製し、塗布・加熱硬化させることにより、厚さ15g/mの光拡散層を形成した。また、光拡散層とは反対面側にスティッキング防止層として、上記光拡散層用塗布液に用いた平均粒径15μmのアクリル樹脂粒子を、平均粒径5μmのアクリル樹脂粒子(積水化成品工業製 MBX−5)7質量部に変えて、厚さ3g/mの層を形成した以外は同様な方法で、両面加工品を作成した。その後、光拡散層、およびスティッキング防止層各々に対して、10×10のクロスカットをして、その上に18mm幅のテープ(ニチバン株式会社製セロテープ(登録商標)CT−18)を貼り付け、180度の剥離角度で急激にはがした後、剥離面を観察し、より剥離面積が大きい方に対して、剥離面積が5%以下なら○、5%を超え30%以下ならば△、30%を超えるならば×とした。通常は、スティッキング防止層の方が、表面凹凸が少ないため、剥離するテープとの接着が良いので、光拡散層に比べて剥離面積が大きくなる傾向にある。
(4)密着性2の評価方法
光拡散層用塗布液として、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート90質量部、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート10質量部、光重合開始剤(チバスペシャルティケミカル製 イルガキュア 184)5質量部、平均粒径15μmのアクリル樹脂粒子(積水化成品工業製 MBX−15)30質量部、トルエン 100質量部、メチルエチルケトン 100質量部を調整し、塗布し、紫外線を照射して硬化させ、厚さ10g/mの光拡散層を形成した。また、光拡散層とは反対面側にスティッキング防止層として、上記光拡散層用塗布液に用いた平均粒径15μmのアクリル樹脂粒子を、平均粒径5μmのアクリル樹脂粒子(積水化成品工業製 MBX−5)7質量部に変えて、厚さ3g/mの層を形成した以外は同様な方法で、両面加工品を作成した。その直後(初期)、80℃/90%RHの環境下で150時間後(湿熱試験)、および沸騰する熱水に20分間浸した後(熱水試験)、光拡散層およびスティッキング防止層各々に対して、10×10のクロスカットをして、その上に18mm幅のテープ(ニチバン株式会社製セロテープ(登録商標)CT−18)を貼り付け、180度の剥離角度で急激にはがした後、剥離面を観察し、より剥離面積が大きい方に対して、剥離面積が5%以下なら○、5%を超え30%以下ならば△、30%を超えるならば×とした。通常は、スティッキング防止層の方が、表面凹凸が少ないため、剥離するテープとの接着が良いので、光拡散層に比べて剥離面積が大きくなる傾向にある。
実施例および比較例において使用したポリエステルは、以下のようにして準備したものである。
<ポリエステル(A)の製造方法>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒としてテトラブトキシチタネートを加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた後、4時間重縮合反応を行った。
すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.63に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、極限粘度0.63のポリエステル(A)を得た。
<ポリエステル(B)の製造方法>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩を加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物を重縮合槽に移し、正リン酸を添加した後、二酸化ゲルマニウム加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.65に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、極限粘度0.65のポリエステル(B)を得た。
<ポリエステル(C)の製造方法>
ポリエステル(A)の製造方法において、エチレングリコールに分散させた平均粒子径2.0μmのシリカ粒子0.2部を加えて、極限粘度0.66に相当する時点で重縮合反応を停止した以外は、ポリエステル(A)の製造方法と同様の方法を用いて、極限粘度0.66のポリエステル(C)を得た。
塗布層を構成する化合物例は以下のとおりである。
(化合物例)
・アクリル樹脂:(IA)下記組成で重合したアクリル樹脂の水分散体
エチルアクリレート/n−ブチルアクリレート/メチルメタクリレート/N−メチロールアクリルアミド/アクリル酸=65/21/10/2/2(重量%)の乳化重合体(乳化剤:アニオン系界面活性剤)
・アクリル樹脂:(IB)下記組成で重合したアクリル樹脂の水分散体
エチルアクリレート/メチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/N−メチロールアクリルアミド/アクリル酸=65/28/3/2/2(重量%)の乳化重合体(乳化剤:アニオン系界面活性剤)
・縮合多環式芳香族を有するポリエステル樹脂:(II)下記組成で共重合したポリエステル樹脂の水分散体
モノマー組成:(酸成分)2,6−ナフタレンジカルボン酸/5−ソジウムスルホイソフタル酸//(ジオール成分)エチレングリコール/ジエチレングリコール=92/8//80/20(mol%)
・エポキシ化合物:(III)ポリグリセロールポリグリシジルエーテルである、デナコールEX−521(ナガセケムテックス製)
・オキサゾリン化合物:(IVA)
オキサゾリン基及びポリアルキレンオキシド鎖を有するアクリルポリマー エポクロスWS−500(日本触媒製、1−メトキシ−2−プロパノール溶剤約38重量%を含有するタイプ)
・オキサゾリン化合物:(IVB)
オキサゾリン基含有アクリルポリマー エポクロスWS−300(日本触媒製)
・メラミン化合物:(V)ヘキサメトキシメチルメラミン
・粒子:(VI)平均粒径65nmのシリカゾル
実施例1:
ポリエステル(A)、(B)、(C)をそれぞれ85%、5%、10%の割合で混合した混合原料を最外層(表層)の原料とし、ポリエステル(A)、(B)をそれぞれ95%、5%の割合で混合した混合原料を中間層の原料として、2台の押出機に各々を供給し、各々290℃で溶融した後、40℃に設定した冷却ロール上に、2種3層(表層/中間層/表層=1:18:1の吐出量)の層構成で共押出し冷却固化させて未延伸シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.2倍延伸した後、この縦延伸フィルムの両面に、下記表1に示す塗布液1を塗布し、テンターに導き、横方向に120℃で3.9倍延伸し、225℃で熱処理を行った後、横方向に2%弛緩し、塗布量(乾燥後)が表2に示すような塗布層を有する厚さ188μmのポリエステルフィルムを得た。
得られたポリエステルフィルムに関して各種の密着性を評価したところ、いずれの評価でも良好であった。このフィルムの特性を下記表2に示す。
実施例2〜12:
実施例1において、塗布剤組成を表1に示す塗布剤組成に変更する以外は実施例1と同様にして製造し、ポリエステルフィルムを得た。でき上がったポリエステルフィルムは表2に示すとおりであり、密着性は良好であった。
比較例1〜6:
実施例1において、塗布剤組成を表1に示す塗布剤組成に変更する以外は実施例1と同様にして製造し、ポリエステルフィルムを得た。でき上がった積層ポリエステルフィルムを評価したところ、表2に示すとおりであり、すべての評価で密着性が良好であるものはなかった。
Figure 0005734405
Figure 0005734405
本発明のフィルムは、例えば、液晶ディスプレイのバックライトユニット等、光拡散層やスティッキング防止層等と良好な密着性が必要な用途に好適に利用することができる。

Claims (4)

  1. ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、アクリル樹脂、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物およびメラミン化合物を含有する塗布液を塗布して形成された塗布層を有し、当該塗布層上にバインダーと粒子とを含有する樹脂層を有することを特徴とする積層ポリエステルフィルム。
  2. 塗布液がポリエステル樹脂を含有する請求項1に記載の積層ポリエスエルフィルム。
  3. 樹脂層中の粒子の平均粒径が5〜15μmである請求項1または2に記載の積層ポリエステルフィルム。
  4. 樹脂層が光拡散層またはスティッキング防止層である請求項1〜3のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
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