JP4576808B2 - 光学用積層フィルム、反射防止用積層フィルム、タッチパネル用積層フィルムおよびディスプレイ部材用積層フィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は光学用積層ポリエステルフィルムに関し、非常に透明性に優れ、製膜工程時についた基材フィルムの微小な傷を目立たなくし、積層フィルムのモヤ感もなく、かつ、易接着性や耐湿熱接着性にも抜群に優れた光学用積層フィルムに関するものである。
【0002】
また、上記した光学用積層フィルムに、例えばハードコート層を設け反射防止用積層フィルムとして用いることができ、また、例えば導電性金属酸化物層を設けタッチパネル用積層フィルムや電子ペーパー用積層フィルムとして用いることができる積層フィルムに関するものである。
【0003】
【従来の技術】
二軸配向ポリエステルフィルムは、機械的性質、電気的性質、寸法安定性、耐熱性、透明性、耐薬品性などに優れた性質を有することから磁気記録材料、包装材料、電気絶縁材料、各種写真材料、感光材料、感熱材料、グラフィックアーツ材料などの多くの用途の基材フィルムとして広く使用されている。特に、近年のIT技術の進歩と相まって、ディスプレイ関係の表示用部材をはじめとした各種の光学用フィルムとして使用頻度が高まってきている。
【0004】
中でも、CRT用やLCD用ディスプレイの反射防止フィルム用の基材フィルム、タッチパネル用の基材フィルム、液晶表示装置の重要な構成部材であるプリズムレンズシート用の基材フィルム、CRTのガラス飛散防止フィルム用の基材フィルム、電子ペーパー用の基材フィルムなどは、特に優れた機械的性質や寸法安定性や透明性が要求される。多くの場合、50μm以上の厚いフィルムが用いられているが、上記した用途などに用いる場合、ハードコート層との接着性やプリズムレンズ層との接着性などが要求されほか、特に光を透過して見る用途が多いため、フィルム表面の微小な傷なども、通常のフィルム用途では全く問題とならない傷ですら、大問題となるため、極力少ないこと、あるいはその傷が目立たないことが望まれている。
【0005】
一般的なフィルムでは、易滑性を付与し製膜時のハンドリング性を向上させるため不活性粒子などを基材フィルム中に含有させる方法が採られているが、最高レベルの高い透明性を得るためには、基材フィルムを実質的に無粒子とすることが必要である。
【0006】
一方、一般に二軸配向ポリエステルフィルム表面は高度に結晶配向しているため、各種塗料、接着剤、インキなどとの接着性に乏しいという欠点を持っており、上記した光学用途で用いる場合も例外ではなく、例えばハードコート層などとは全く接着しないため、ハードコート後の加工工程や、反射防止フィルム貼り付け時や、実使用時に該ハードコート層が剥離するなどの問題が発生することがある。そのため、従来からポリエステルフィルム表面に種々の方法で易接着性を与える方法、例えば、フィルム表面上に各種ガス雰囲気下でコロナ放電処理するなどの表面活性化法、薬剤による表面エッチング法、あるいはフィルム表面にポリエステル、アクリル、ポリウレタン、アクリルグラフトポリエステルなどの各種樹脂をプライマー層として設ける方法(特許文献1〜4参照)などが検討されている。特に、塗布によって上記プライマー層を設け易接着性を付与する方法、中でも、結晶配向が完了する前のポリエステルフィルムに必要に応じてコロナ放電処理を施し、上記樹脂成分を含有する塗液を塗布し、乾燥後、延伸、熱処理を施して結晶配向を完了させる方法(インラインコート法)などが当業界で行われている。
【0007】
【特許文献1】
特開昭55−15825号公報(第1頁)
【0008】
【特許文献2】
特開昭58−78761号公報(第1頁)
【0009】
【特許文献3】
特開昭60−248232号公報(第1頁)
【0010】
【特許文献4】
特開平1−171988号公報(第1頁)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前述した従来の技術には次のような問題点がある。
【0012】
粒子を添加しない基材フィルムを適用した場合、滑り性が極端に悪いため、フィルム製造工程に存在する多数のロール群との擦れ、特に縦延伸工程で傷が多数発生し、例えばハードコート後に該傷が画面上で輝点となり大問題となったりするなど、高精細な画質を求める昨今の要求レベルに全く合致しないものとなる。
【0013】
一方、接着性を付与するためアクリル樹脂をポリエステルフィルム上に塗布したものはハードコート層など被覆物との接着性は優れている反面、該アクリル樹脂からなる塗布層と基材ポリエステルフィルムとの接着性が劣り、特に多様な環境下、例えば高温高湿下や低温化では、接着性が極端に劣るという欠点を持っている。また、ポリエステル樹脂やウレタン樹脂をポリエステルフィルム上に塗布したものは、基材ポリエステルフィルムと該ポリエステル樹脂からなる塗布層との接着性は優れるが、肝心の被覆物との接着性に乏しいという欠点があった。
【0014】
本発明はこれらの欠点を解消せしめ、光学用に用いる時、積層ポリエステルフィルムの透明性に非常に優れると同時に、易接着性や耐湿熱接着性にも抜群に優れ、積層フィルムのモヤ感もなく、かつ、驚くべきことに製膜工程時についた基材フィルムの微小な傷をも目立た無くさせる光学用積層ポリエステルフィルムを提供することを目的とするものである。また、本発明の他の目的は、上記した光学用積層ポリエステルフィルムに、ハードコート層を設け反射防止用積層フィルム、および、導電性金属酸化物層を設けタッチパネル用積層フィルムや電子ペーパー用積層フィルムなどのディスプレイ部材用積層フィルムとして提供することにもある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
ポリエステルフィルムの少なくとも片面に塗布層が設けられ、かつ全光線透過率が90%以上、ヘイズが1.5%以下である光学用積層フィルムの製造方法であって、
ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、ポリエステル樹脂とアクリル樹脂を用いてなる塗布層形成用塗布液が塗布された後、延伸され、200〜240℃の温度範囲にて10〜40秒間熱処理されることによって、以下の(1)および(2)の要件を満たす塗布層が形成される光学用積層フィルムの製造方法。
(1)塗布層が屈折率の異なる2種類の樹脂からなり、かつ、屈折率が1.53〜1.65である高屈折率成分を主成分とする層L 1 がポリエステルフィルム側に、屈折率が1.43〜1.56である低屈折率成分を主成分とする層L 2 が反対側にあり、高屈折率成分がポリエスエル樹脂を主たる構成成分とし、低屈折率成分がアクリル樹脂を主たる構成成分とすること。
(2)前記層L 1 と前記層L 2 との界面に、前記各層の混在相領域が5〜100nmの厚さで存在すること。
【0016】
また、本発明の反射防止用積層フィルムは、主として次の構成を有する。すなわち、上記光学用積層フィルムの塗布層上に、ハードコート層が設けられたことを特徴とする反射防止用積層フィルムの製造方法、である。
【0017】
本発明のタッチパネル用積層フィルムは、主として次の構成を有する。すなわち、上記光学用積層フィルムの少なくとも片面に、導電性金属酸化物層が設けられたことを特徴とするタッチパネル用積層フィルムの製造方法、である。
【0018】
本発明の電子ペーパー用積層フィルム、主として次の構成を有する。すなわち、 上記光学用積層フィルムの少なくとも片面に、導電性金属酸化物層が設けられたことを特徴とする電子ペーパー用積層フィルムの製造方法、である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、更に詳しく本発明の光学用積層フィルム、およびディスプレイ部材用積層フィルム、すなわち、反射防止用積層フィルムと、タッチパネル用積層フィルムと、電子ペーパー用積層フィルムの製造方法について説明する。
【0020】
本発明にかかる積層フィルムにおいて、ポリエステルとは、エステル結合を主鎖の主要な結合鎖とする高分子の総称であって、好ましいポリエステルとしては、エチレンテレフタレート、エチレン−2,6−ナフタレート、ブチレンテレフタレート、エチレン−α,β−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレートなどから選ばれた少なくとも1種の構成成分を主要構成成分とするものを用いることができる。これら構成成分は1種のみ用いても、2種以上併用してもよいが、中でも品質、経済性などを総合的に判断するとエチレンテレフタレートを主要構成成分とするポリエステルを用いることが特に好ましい。また、基材に熱が作用する用途においては、耐熱性や剛性に優れたポリエチレン−2,6−ナフタレートが更に好ましい。
【0021】
また、これらポリエステルには、更に他のジカルボン酸成分やジオール成分が一部、好ましくは20モル%以下共重合されていてもよい。
【0022】
更に、このポリエステル中には、各種添加剤、例えば酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機または無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤、架橋剤などがその特性を悪化させない程度に添加されていてもよい。特に、微粒子の添加は光線透過率やヘイズといった透明性に関する特性を低下させる場合が多く、添加する場合は極力粒子径が小さく、好ましくは散乱が発生しにくい可視光波長の約1/4以下の粒子径を有するものが好ましく、その添加量も微量であることが好ましい。
【0023】
上述したポリエステルの極限粘度(25℃のo-クロロフェノール中で測定)は、0.4〜1.2dl/gが好ましく、より好ましくは0.5〜0.8dl/gの範囲にあるものが本発明を実施する上で好適である。
【0024】
上記ポリエステルを使用したポリエステルフィルムは、塗布層が設けられた状態においては二軸配向されたものであるのが好ましい。二軸配向ポリエステルフィルムとは、一般に、未延伸状態のポリエステルシートまたはフィルムを長手方向および幅方向に各々2.5〜5倍程度延伸され、その後、熱処理が施されて、結晶配向が完了されたものであり、広角X線回折で二軸配向のパターンを示すものをいう。
【0025】
ポリエステルフィルムの厚みは特に限定されず、用途に応じて適宜選択されるが、通常1〜500μm、好ましくは3〜300μmである。また、得られたフィルムを各種の方法で貼り合わせ、更に厚いフィルムとすることもできる。
【0026】
本発明の光学用積層フィルムの塗布層は、塗布によって設けられたものであり、かつ、屈折率の異なる2種類の樹脂からなり、かつ、屈折率が1.53〜1.65である高屈折率成分を主成分とする層L1がポリエステルフィルム側に、屈折率が1.43〜1.56である低屈折率成分を主成分とする層L2が反対側にあり、前記層L1と前記層L2との界面に、前記各層の混在相領域が5〜100nmの厚さで存在してなるものである。ここで、混在相領域とは、前記各層をなす相が相分離構造を形成した領域を言う。
【0027】
図1は本発明の光学用積層フィルムの一例の厚み方向の断面を示す透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。下から基材となるポリエステルフィルム、その上に塗布層が積層され、該塗布層は屈折率が1.53〜1.65である高屈折率成分を主成分とする層L1が基材のポリエステルフィルム側に、また、屈折率が1.43〜1.56である低屈折率成分を主成分とする層L2が層L1の上、すなわち反対側にあり、前記層L1と前記層L2との界面に、前記各層の混在相領域が5〜100nmの厚さで存在していることがわかる。なお、図中、TEM断面観察像においては、空気層部分は、観察用の包埋樹脂層として観察される。
【0028】
本発明においては、前記層L1を構成する樹脂としてポリエスエル樹脂を、前記層L2を構成する樹脂としてアクリル樹脂を用いることが必要である。屈折率が1.65程度である二軸配向された基材ポリエステルフィルムと同じ組成物からなるポリエステル樹脂を層L1に用いた場合、例えば、塗布層を設ける前の工程でついたフィルムの傷などを修復し、目立たなくさせる効果があること、基材フィルムとの接着性に抜群に優れることなどの点で非常に好適である。一方、前記層L2にアクリル樹脂を用いた場合、前記層L1に用いた樹脂、ポリエステル樹脂と比較して、屈折率が低いため、屈折率が1の空気層との界面での反射が抑制されるため、塗布層表面での反射が抑制され、ヘイズが下がる、光線透過率が上がるなど、光学用途に用いる場合の透明性の点で非常に好適である。
【0029】
ここで、上記したとおりのポリエステル樹脂からなる層L1と、アクリル樹脂からなる層L2を、別個に基材ポリエステルフィルム上に設けた場合を考えると、前記層L1のみの場合、空気層との界面での反射が大きくなり、ヘイズが高くなる、光線透過率が下がる、反射防止フィルム用途などでは塗布層上に設けられるハードコート層との接着性が劣るなどの問題があり、一方、前記層L2のみの場合、基材ポリエステルフィルムとの界面での屈折率差が大きいため、フィルムの傷などを修復する効果がなく、逆に、キラリと目立つなど、光学的用途に用いる場合に問題となり、基材フィルムとの接着性も劣るものとなる。
【0030】
すなわち、本発明に記載の通り、光学用途に用いる場合は、二軸配向されたポリエステルフィルムの屈折率(屈折率=約1.65)、ポリエステル樹脂からなる層L1の屈折率、アクリル樹脂からなる層L2の屈折率、そして空気層(屈折率=1)という順に並んだ構成となる積層ポリエステルフィルムが最も好ましい形態であり、かつ、層L1と層L2の境界において、明確な界面を形成しないことが重要なポイントとなる。例えば、オフラインでの塗工などのように、基材ポリエステルフィルム上にポリエステル樹脂を設けた積層フィルムを作製し、引き続いて該塗布層上にアクリル樹脂を設けた2層からなる積層ポリエステルフィルムなどは、ポリエステル樹脂層とアクリル樹脂層との界面での接着性が悪いこと、該界面が明確に形成されているため該界面での光の反射が無視できず光学的な反射界面が明確に存在してしまうこと、そして何よりも、2回塗布する必要があり、コスト的にも非常に不利であり、ゴミの混入などの問題も避けて通れないものである。
【0031】
また、イソフタル酸共重合ポリエステル樹脂などを共押出法によってポリエステルフィルム上に設けた共押出フィルムなどの上に、アクリル樹脂からなる塗布層を設けた場合も、上記と同様に、共重合ポリエステル樹脂とアクリル樹脂との界面が明確に存在してしまい、同様の結果となる。
【0032】
また、例えば1回の塗布などによってポリエステル樹脂とアクリル樹脂からなる塗剤をポリエステルフィルム上に塗布することによって設けた従来の通常の塗布層では、各樹脂の持つ表面エネルギー差による相分離現象によって、表面側に低表面エネルギー物質であるアクリル樹脂が、基材側に高表面エネルギー物質であるポリエステル樹脂が相互排除し合うことで両相が選択的に2層に配置され、明確な界面が形成されて完全に2層構造になってしまうという問題がある。一方、熱エネルギーが不足している場合など、不完全な相分離現象が起こる場合は、全く相分離しないか、相分離現象は認められても両者の界面に存在する混在相領域の厚みが大きすぎるなどの問題がある。特に後者の場合、該界面が光学波長以上、すなわち可視光領域の光の波長(λ)の1/4以上となった場合など、界面での散乱が顕著となり、ヘイズが高くなる、光線透過率が下がるなどの光学用途での使用に際し問題となる。
【0033】
ここで、本発明の光学用積層フィルムにおける塗布層の構成成分であるポリエステル樹脂は、主鎖あるいは側鎖にエステル結合を有するものである。このようなポリエステル樹脂は、ジカルボン酸とジオールから重縮合して得ることができるものである。
【0034】
ポリエステル樹脂を構成するカルボン酸成分としては、芳香族、脂肪族、脂環族のジカルボン酸や3価以上の多価カルボン酸が使用できる。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、フタル酸、2,5−ジメチルテレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,2−ビスフェノキシエタン−p,p’−ジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸などを用いることができる。これらの芳香族ジカルボン酸は、塗布層の強度や耐熱性の点で、好ましくは全ジカルボン酸成分の30モル%以上、より好ましくは35モル%以上、更に好ましくは40モル%以上のものを用いるのがよい。脂肪族及び脂環族のジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸など、及びそれらのエステル形成性誘導体を用いることができる。
【0035】
ポリエステル樹脂のグリコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、2,4−ジメチル−2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、4,4’−チオジフェノール、ビスフェノールA、4,4’−メチレンジフェノール、4,4’−(2−ノルボルニリデン)ジフェノール、4,4’−ジヒドロキシビフェノール、o−,m−,及びp−ジヒドロキシベンゼン、4,4’−イソプロピリデンフェノール、4,4’−イソプロピリデンビンジオール、シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオールなどを用いることができる。
【0036】
また、ポリエステル樹脂を水系樹脂とした塗液として用いる場合、ポリエステル樹脂の接着性を向上させるため、あるいはポリエステル樹脂の水溶性化を容易にするため、カルボン酸塩基を含む化合物や、スルホン酸塩基を含む化合物を共重合することが好ましい。特に、耐湿接着性の要求される用途においては、塗布層を構成するポリエステル樹脂としては、スルホン酸塩基に代表される強塩基性を示す化合物を共重合せずに、カルボン酸塩基を含む化合物を共重合することが望ましい。
【0037】
カルボン酸塩基を含む化合物としては、例えばトリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、4−メチルシクロヘキセン−1,2,3−トリカルボン酸、トリメシン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−ペンタンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフルフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフルフリル)−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、エチレングリコールビストリメリテート、2,2’,3,3’−ジフェニルテトラカルボン酸、チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸、エチレンテトラカルボン酸等、あるいはこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0038】
スルホン酸塩基を含む化合物としては、例えばスルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホイソフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸、スルホ−p−キシリレングリコール、2−スルホ−1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等、あるいはこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0039】
好ましいポリエステル樹脂としては、酸成分としてテレフタル酸、イソフタル酸、セバシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフルフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、グリコール成分としてエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールから選ばれる共重合体などである。
【0040】
本発明の光学用積層フィルムの塗布層に用いられるポリエステル樹脂は、以下の製造法によって製造することができる。例えば、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、グリコール成分としてエチレングリコール、ネオペンチルグリコールからなるポリエステル樹脂について説明すると、テレフタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸とエチレングリコール、ネオペンチルグリコールとを直接エステル化反応させるか、テレフタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸及びエチレングリコール、ネオペンチルグリコールとをエステル交換反応させる第一段階と、この第一段階の反応生成物を重縮合反応させる第二段階とによって製造する方法等により製造することができる。
【0041】
この際、反応触媒として、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属、マンガン、コバルト、亜鉛、アンチモン、ゲルマニウム、チタン化合物等を用いることができる。
【0042】
また、カルボン酸を末端及び/又は側鎖に多く有するポリエステル樹脂を得る方法としては、特開昭54−46294号公報、特開昭60−209073号公報、特開昭62−240318号公報、特開昭53−26828号公報、特開昭53−26829号公報、特開昭53−98336号公報、特開昭56−116718号公報、特開昭61−124684号公報、特開昭62−240318号公報などに記載の3価以上の多価カルボン酸を共重合した樹脂により製造することができるが、むろんこれら以外の方法であってもよい。
【0043】
本発明において、塗布層に用いられるポリエステル樹脂の固有粘度は特に限定されないが、接着性の点で0.3dl/g以上であることが好ましく、より好ましくは0.35dl/g以上、最も好ましくは0.4dl/g以上であることである。水系ポリエステル樹脂のガラス転移点(以後、Tgと略称する)は、0〜90℃であることが好ましく、より好ましくは10〜80℃である。Tgが0℃未満では耐湿接着性が劣り、逆に90℃を越える場合、樹脂の造膜性に劣るようになるので好ましくない。また、該水系ポリエステル樹脂の酸価は好ましくは20mgKOH/g以上、より好ましくは30mgKOH/g以上が接着性、特に耐湿接着性の点で好ましく用いられる。
【0044】
本発明の光学用積層フィルムにおける塗布層の構成成分であるアクリル樹脂を構成するモノマー成分としては、例えば、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ラウリル基、ステアリル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、フェニルエチル基等)、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のヒドロキシ基含有モノマ、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド等のアミド基含有モノマ、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート等のアミノ基含有モノマ、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有モノマ、アクリル酸、メタクリル酸及びそれらの塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等)等のカルボキシル基またはその塩を含有するモノマーなどを用いることができ、これらは1種もしくは2種以上を用いて共重合される。更に、これらは他種のモノマーと併用することができる。
【0045】
他種のモノマーとしては、例えば、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有モノマー、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸及びそれらの塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)等のスルホン酸基またはその塩を含有するモノマー、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸及びそれらの塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)等のカルボキシル基またはその塩を含有するモノマー、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物を含有するモノマー、ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート、スチレン、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルトリスアルコキシシラン、アルキルマレイン酸モノエステル、アルキルフマール酸モノエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アルキルイタコン酸モノエステル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、塩化ビニル等を用いることができる。
【0046】
本発明において用いられるアクリル樹脂のガラス転移点(Tg)は特に限定されるものではないが、好ましくは0〜90℃、より好ましくは10〜80℃である。Tgが低いアクリル樹脂を用いる場合は高温高湿下での接着性が劣る傾向があり、逆に高すぎる場合は延伸時に亀裂を生じることがあり好ましくない。また、該アクリル樹脂の分子量は10万以上が好ましく、より好ましくは30万以上とするのが接着性の点で望ましい。
【0047】
本発明において用いられる好ましいアクリル樹脂としては、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、グリシジルメタクリレート、アクリル酸から選ばれる共重合体等である。
【0048】
本発明の光学用積層フィルムを製造するに際しては、結晶配向が完了する前のポリエステルフィルムに水系樹脂塗液を塗布し、延伸、熱処理により結晶配向を完了させる方法によることが、高温での熱処理が可能であることや、より均一で薄膜の塗布層を得ることができるので好適に用いられる。上記方法によって塗布層を形成する場合には、アクリル樹脂は水に溶解、乳化、あるいは懸濁し得る水系のものが環境汚染や防爆性の点で好ましい。このような水系アクリル樹脂は、親水性基を有するモノマ(アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、ビニルスルホン酸およびその塩など)との共重合や反応性乳化剤や界面活性剤を用いた乳化重合、懸濁重合、ソープフリー重合などの方法によって作製することができる。
【0049】
本発明の光学用積層フィルムの塗布層においては、表面側のアクリル樹脂からなる層L2および/またはポリエステルフィルム側のポリエステル樹脂からなる層L1に、あるいは、混在相領域に、各種の架橋剤が1種あるいは複数種含有されていてもよい。
【0050】
本発明でいう架橋剤は、特に限定されるものではないが、上記した樹脂に存在する官能基、例えば、カルボキシル基、ヒドロキシル基、メチロール基、アミド基などと架橋反応し得るものであればよく、例えば、メラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メチロール化あるいはアルキロール化した尿素系、アクリルアミド系、ポリアミド系樹脂、アミドエポキシ化合物、各種シランカップリング剤、各種チタネート系カップリング剤などを用いることができる。特に、易接着性や耐湿熱接着性などの点からメラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤が好適に用いられる。
【0051】
用いられる架橋剤は、架橋反応をおこす化合物であれば特に限定されないが、メチロール化あるいはアルキロール化した尿素系、メラミン系、アクリルアミド系、ポリアミド系化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、オキサゾリン系化合物、アジリジン化合物、各種シランカップリング剤、各種チタネート系カップリング剤などを用いることができる。なかでも、メチロール化メラミン系化合物、オキサゾリン系化合物、エポキシ化合物が好ましく用いられる。
【0052】
中でも、特に、メラミン系架橋剤が、高湿度下での接着性(耐湿接着性)が向上するのみならず、塗布性も向上させる効果があることを見出した。用いられるメラミン系架橋剤としては、特に限定されないが、メラミン、メラミンとホルムアルデヒドを縮合して得られるメチロール化メラミン誘導体、メチロール化メラミンに低級アルコールを反応させて部分的あるいは完全にエーテル化した化合物、及びこれらの混合物などを用いることができる。又、メラミン系架橋剤としては単量体、2量体以上の多量体からなる縮合物のいずれでもよく、これらの混合物でもよい。エーテル化に用いられる低級アルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノールなどを用いることができる。官能基としては、イミノ基、メチロール基、あるいはメトキシメチル基やブトキシメチル基等のアルコキシメチル基を1分子中に有するもので、イミノ基型メチル化メラミン樹脂、メチロール基型メラミン樹脂、メチロール基型メチル化メラミン樹脂、完全アルキル型メチル化メラミン樹脂などである。その中でもメチロール化メラミン樹脂が最も好ましい。更に、メラミン系架橋剤の熱硬化を促進するため、例えばp−トルエンスルホン酸などの酸性触媒を用いてもよい。
【0053】
本発明において用いられるオキサゾリン系架橋剤は、該化合物中に官能基としてオキサゾリン基を有するものであれば特に限定されるものではないが、オキサゾリン基を含有するモノマーを少なくとも1種以上含み、かつ、少なくとも1種の他のモノマーを共重合させて得られるオキサゾリン基含有共重合体からなるものが好ましい。
【0054】
オキサゾリン基を含有するモノマーとしては、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリンなどを用いることができ、これらの1種または2種以上の混合物を使用することもできる。中でも、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的にも入手しやすく好適である。
【0055】
オキサゾリン系架橋剤において、オキサゾリン基を含有するモノマーに対して用いられる少なくとも1種の他のモノマーとしては、該オキサゾリン基を含有するモノマーと共重合可能なモノマーであれば、特に限定されないが、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシルなどのアクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステル類、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸などの不飽和カルボン酸類、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの不飽和ニトリル類、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなどの不飽和アミド類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類、エチレン、プロピレンなどのオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニルなどの含ハロゲン−α,β−不飽和モノマー類、スチレン、α−メチルスチレンなどのα,β−不飽和芳香族モノマー類などを用いることができ、これらは1種または2種以上の混合物を使用することもできる。
【0056】
メラミン系架橋剤の添加量は、特に限定されないが、本発明の効果をより顕著に発現させるためには、塗液として用いられる固形分100重量部に対し、好ましくは2〜50重量部、より好ましくは5〜40重量部、最も好ましくは10〜30重量部である。
【0057】
オキサゾリン系架橋剤の添加量は、特に限定されないが、本発明の効果をより顕著に発現させるためには、塗液として用いられる固形分100重量部に対し、好ましくは2〜30重量部、より好ましくは5〜20重量部、最も好ましくは5〜10重量部である。特に、オキサゾリン系架橋剤の添加は、吸湿性を有する樹脂中のカルボキシル基などとの反応性が高いため、架橋反応することで、これらの官能基を失活させうるためであると考えている。
【0058】
更に、塗布層中には本発明の効果が損なわれない範囲内で各種の添加剤、例えば酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機または無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤などが配合されてもよい。
【0059】
特に、本発明を実施するにあたり、塗液中に無機粒子を添加配合し二軸延伸したものは、易滑性や耐ブロッキング性が向上するので更に好ましい。
【0060】
添加する無機粒子としては、代表的には、シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナゾル、カオリン、タルク、マイカ、炭酸カルシウム等を用いることができる。用いられる無機粒子は、本発明の効果が損なわれない範囲のものであればよいが、光学用途に用いる場合、平均粒径0.01〜0.4μmであるものが好ましく、より好ましくは0.05〜0.3μm、最も好ましくは0.05〜0.1μmであり、塗液中の固形分に対する配合比は、特に限定されないが、重量比で0.05〜8重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜5重量部である。
【0061】
また、本発明を実施するにあたり、水系樹脂の塗布の方法は、例えばリバースコート法、スプレーコート法、バーコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、ダイコート法などを用いることができる。
【0062】
塗布層の厚みは、特に限定されないが、通常は好ましくは0.02〜1μm、より好ましくは0.04〜0.3μm、最も好ましくは0.04μm〜0.1μmの範囲である。厚みがかかる好ましい範囲であると接着性良好で、相分離による混在相領域も十分に形成される。
【0063】
層L2と層L1との積層比(層L2/層L1の厚さ比)は、特に限定されないが、通常は5/95〜80/20とするのが好ましく、より好ましくは10/90〜70/30、最も好ましくは30/70〜50/50の範囲が、耐湿接着性やフィルムの傷を目立たなくさせる点で優れている。
【0064】
また、本発明において塗布層の主成分とは、該成分が塗布層中において60重量%以上であるものをいう。もっとも本発明においては、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上を占めて該主成分が存在していることが望ましいものである。
【0065】
上述した通りの積層構造は、例えば、次のような各種方法で実現することができる。ポリエステル樹脂とアクリル樹脂を混合した塗液をコーティング法で基材フィルム上に塗布し、特定の条件下で乾燥して後、延伸することにより本発明の塗布層構成を得る方法などがある。
【0066】
本発明の積層フィルムの製造法においては、2段階以上の異なる設定乾燥条件で水系樹脂塗液を塗布後、乾燥するものであり、かつ、混在相領域が5〜100nmで存在しうる熱処理時間であれば特に限定されず、例えば、次のような方法をとることができる。1段階目の乾燥を基材ポリエステル樹脂のガラス転移点(以下、Tgと略称する)未満の温度で行った後、2段階目の乾燥をTg以上の温度で行い、延伸のために必要なTg付近の温度(但し、Tg以上)にし、引き続き延伸を行う方法を用いることができる。特に、このように2段階目の設定乾燥温度を1段階目の設定乾燥温度より高くすることにより、本発明において採用する積層構造をより顕著に発現させることができる。更に、上記した乾燥を繰り返して用いることもできる。用いられる乾燥方法としては、ラジエーションヒータによる方法、加熱された熱風を吹き付ける方法、これら両者の併用などである。
【0067】
また、このとき、1段階目と2段階目の乾燥の間であって、2段階目の乾燥温度にする際、雰囲気温度を10℃/秒以上で上昇させることが好ましく、より好ましくは40℃/秒以上、最も好ましくは200℃/秒以上である。
【0068】
更に、塗布、延伸後の熱処理工程における熱処理時間は、10〜40秒とすることが重要であり、より好ましくは10〜20秒である。熱処理時間がかかる好ましい範囲であると、相分離構造を形成した混在相領域の厚みも適度に小さく、一方、混在相領域が存在せず明確な界面が形成された2層構造になることもない。
【0069】
本発明の光学用積層フィルムにおいて、該混在相領域が明確に存在することが必要であり、塗布層の層L1と層L2の界面での接着性を向上させ、更には、ヘイズや光線透過率にも優れた効果をもたらしている。該混在相領域は薄すぎる場合には効果がなく、塗布層の厚み方向に見た場合、厚みが5〜100nmであることが必要であり、10〜80nm、さらには10〜50nmの厚みをもって、明確な混在相領域として存在している積層構造であることが好ましい。
【0070】
本発明においては、塗液を塗布する前に、基材フィルムの表面にコロナ放電処理などを施し、該表面の濡れ張力を、好ましくは47mN/m以上、より好ましくは50mN/m以上とするのが塗布層の基材フィルムとの接着性を向上させるだけではなく、基材ポリエステルフィルムの表面エネルギーを上げることで、表面エネルギー差を大きくでき、上述した相分離をより顕著にすることができるのでよい。
【0071】
次に、本発明の積層ポリエステルフィルムの製造法について、基材フィルムとしてポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略称する)フィルムを例にして説明するが、当然これに限定されるものではない。
【0072】
例えば、極限粘度0.5〜0.8dl/gのPETペレットを真空乾燥した後、押し出し機に供給し260〜300℃で溶融し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度10〜60℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて、冷却固化せしめて未延伸PETフィルムを作製した。この未延伸フィルムを70〜100℃に加熱されたロール間で縦方向(フィルムの進行方向)に2.5〜5倍延伸する。このフィルムの少なくとも片面に空気中でコロナ放電処理を施し、該表面の濡れ張力を47mN/m以上とし、その処理面に本発明にかかる混在相領域を有する相分離構造塗布層を形成する塗液を塗布した。この塗布されたフィルムをクリップで把持して乾燥ゾーンに導き、基材ポリエステル樹脂のTg未満の温度で乾燥して後、Tg以上に上げ、再度Tg近傍の温度で乾燥、引き続き連続的に70〜150℃の加熱ゾーンで幅方向に2.5〜5倍延伸し、続いて200〜240℃の加熱ゾーンで10〜40秒間熱処理を施し、結晶配向の完了した積層PETフィルムを作製する。この熱処理中に必要に応じて3〜12%の弛緩処理を施してもよい。二軸延伸は縦、横逐次延伸あるいは同時二軸延伸のいずれでもよく、また縦、横延伸後、縦、横いずれかの方向に再延伸してもよい。また、ポリエステルフィルムの厚みは特に限定されるものではないが、3〜300μmが好ましく用いられる。この場合に用られる塗布液は環境汚染や防爆性の点で水系が好ましい。
【0073】
尚、上記例において、塗布層が設けられる基材フィルムにもメラミン系樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂及びこれらの反応生成物から選ばれる少なくとも1種を含有させることができる。この場合は、塗布層と基材フィルムとの接着性が向上する、積層ポリエステルフィルムの易滑性が向上するなどの効果がある。メラミン系樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、及びこれらの反応生成物を含有させる場合には、その添加量が0.0005重量%以上20重量%未満であるのが、易接着性、易滑性の点で好ましい。もちろん、メラミン系樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、及びこれらの反応生成物は基材フィルム上に設けるコーティング組成物(光学用積層ポリエステルフィルムの再生ペレットなどを含む)であってもよい。
【0074】
このようにして得られた本発明の一つの態様である光学用積層フィルムは、各層をなす相が相分離構造を形成した混在相領域が特定厚みで存在することにより、非常に透明性に優れ、製膜工程時についた基材フィルムの微小な傷を目立たなくし、かつ、易接着性にも抜群に優れたものであり、例えばハードコート層を設け反射防止用積層フィルム、また、例えば導電性金属酸化物層を設けタッチパネル用積層フィルムや電子ペーパー用積層フィルムなどのディスプレイ部材用積層フィルムとして用いることができる。
【0075】
なお、本発明においては、反射防止フィルムやタッチパネルや電子ペーパーなどディスプレイ部材として用いられるものについて、ディスプレイ部材用積層フィルムと表現している。
【0076】
本発明において、ハードコート層を構成する材料は特に限定されるものではなく、可視光線を透過するものであればよいが、光線透過率が高いものが好ましい。用いられる材料としては、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、活性線硬化型樹脂などである。特に、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、活性線硬化型樹脂は、耐擦傷性、生産性などの点で好適に用いることができる。
【0077】
本発明にかかるハードコート層の構成成分として用いられる活性線硬化型樹脂は、該活性線硬化型樹脂を構成するモノマー成分としては、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ビス(メタクロイルチオフェニル)スルフィド、2,4−ジブロモフェニル(メタ)アクリレート、2,3,5−トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシペンタエトキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3−フェニルフェニル)プロパン、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)スルホン、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)スルホン、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)スルホン、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3−フェニルフェニル)スルホン、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3,5−ジメチルフェニル)スルホン、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)スルフィド、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)スルフィド、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)スルフィド、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3−フェニルフェニル)スルフィド、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3,5−ジメチルフェニル)スルフィド、ジ((メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フォスフェート、トリ((メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フォスフェートなどの多官能(メタ)アクリル系化合物を用いることができ、これらは1種もしくは2種以上を用いられる。
【0078】
また、これら多官能(メタ)アクリル系化合物とともに、活性線硬化型樹脂の硬度、透明性、強度、屈折率などをコントロールするため、スチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、N−ビニルピロリドン、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ビフェニル(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、ジメタリルフタレート、ジアリルビフェニレート、あるいはバリウム、鉛、アンチモン、チタン、錫、亜鉛などの金属と(メタ)アクリル酸との反応物などを用いることができる。これらは1種もしくは2種以上を用いてもよい。
【0079】
なお、本発明において、「(メタ)アクリル系化合物」という記載は、「メタアクリル系化合物およびアクリル系化合物」を略して表示したものであり、他の化合物についても同様である。
【0080】
本発明における活性線硬化型樹脂を硬化させる方法として、例えば、紫外線を照射する方法を用いることができるが、この場合には、前記化合物に対し、0.01〜10重量部程度の光重合開始剤を加えることが望ましい。
【0081】
本発明に用いられ得る活性線硬化型樹脂には、塗工時の作業性の向上、塗工膜厚のコントロールを目的として、本発明の所期の効果が損なわれない範囲において、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、メチルエチルケトンなどの有機溶剤を配合することができる。
【0082】
本発明において活性線とは、紫外線、電子線、放射線(α線、β線、γ線など)などアクリル系のビニル基を重合させる電磁波を意味し、実用的には、紫外線が簡便であり好ましい。紫外線源としては、紫外線蛍光灯、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノン灯、炭素アーク灯などを用いることができる。また、電子線方式は、装置が高価で不活性気体下での操作が必要ではあるが、光重合開始剤や光増感剤などを含有させなくてもよい点から有利である。
【0083】
本発明においては、ハードコート層の厚みは、ハードコート層を設けたフィルムが使われる用途によって任意に選ぶことができ、特に限定されるものではないが、通常は1〜10μm、好ましくは2〜5μmである。ハードコート層の厚みがかかる好ましい範囲であるとハードコート性が十分に発現し、一方、ハードコート層の硬化時の収縮によりフィルムがカールすることもない。
【0084】
本発明においては、ハードコート層の表面に、ちらつきを抑えるための反射防止層を設けたり、また、汚れ防止のための防汚処理を施すことが好ましい。反射防止層は特に限定されるものではないが、低屈折率化合物の積層やフッ化マグネシウムや酸化ケイ素などの無機化合物のスパッタリングや蒸着などにより形成することができる。防汚処理については、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂などによる防汚処理を施すことができる。
【0085】
本発明において、導電性金属酸化物層を構成する材料は特に限定されるものではなく、可視光線を透過するものであればよいが、光線透過率が高いものが好ましい。用いられる材料としては、一般的には、インジウム錫酸化物(ITO)などの金属酸化物、または、アルミニウム、ニッケル、パラジウム、金、銀、銅の金属薄膜を用いてもよく、これらを光学用積層ポリエステルフィルム上に設ける方法は公知の方法を用いることができるが、例えば、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーテイング、イオンビーム蒸着、プラズマCVD法などにより形成することができ、中でも抵抗安定性、接着性の点から、スパッタリングが好ましく用いられる。例えば、ITO導電膜の場合、厚みは2〜800nmが好ましく、より好ましくは20〜500nmである。金属酸化物層の厚みをかかる好ましい範囲とすると均一に膜を形成することが容易であるため、導電性を優れたものとでき、一方、透明性に優れるのみならず、屈曲させた際にも、金属酸化物層にクラックが発生しにくく、透明性が損なわれず、導電性も良好に維持できる。
【0086】
なお、本発明においては、導電性金属酸化物層は塗布層上に設けてもよいし、塗布層が設けられていない方の面に設けられていてもよいが、塗布層上に設ける方が、タッチパネル用途などに用いたときの打点耐久性などの点で好ましい。
【0087】
本発明において、タッチパネルとは、ガラスもしくはフィルム上に導電層を形成し、スペーサーを介してフィルムに形成された導電層を対向配置させた構造、すなわち、例えば、ディスプレイ/ガラスもしくはフィルム/導電層A/(スペーサー)/導電層B/フィルム/ハードコート層などの構成で、指やペンでハードコート側から直接押圧すればフィルムがその部分だけ湾曲し、ハードコート側の導電層Bが対向している導電層Aに接触し入力が図れ、押圧位置はX−Y座標として認識され、コンピューターなどへ入力されるものである。従って、例えば、カーナビ、PDA(携帯情報端末)、家電用品、ディスプレイなどの用途に用いられる。
【0088】
本発明において、電子ペーパーとは、電子配信物や電子出版物などをペーパー状のディスプレイなどに表示したりするものであり、例えば、電源が切れても表示が保持される不揮発性、バックライトなしでも紙のように鮮明な反射型表示、フレキシブル性などの特徴を有するものである。表示方式は特に限定されないが、例えば、帯電したトナーなどを2枚の導電性プラスチックフィルムの間に封じ込めて、トナーの面内分布を電気的に変化させて画像を形成させる方法、ミクロ粒子状の液晶材料を塗布し、電気的なエネルギーなどを加えることで、配向を制御するなどする方法などを用いることができるが、これに限定されるものではない。また、これらは、表示後は電源不要で、立ち上げ時間も必要なく、軽くて薄く、落としても割れないなどの特性があり、書き換えも可能であるという点が優れているものである。従って、例えば、イベント内容の告知ポスターや電車の吊革広告、曲げて携行できるのでモバイル表示機材としての用途などに用いることができる。
[特性の測定方法および効果の評価方法]
本発明における特性の測定方法及び効果の評価方法は次のとおりである。
【0089】
(1)塗布層の断面形態、相分離構造、および塗布層の厚み
積層フィルムの断面を超薄切片に切り出し、RuO4染色、OsO4染色、あるいは両者の二重染色による染色超薄切片法により、TEM(透過型電子顕微鏡)で観察、写真撮影を行った。その断面写真から塗布層の相分離状態、その有無の確認、各々の相の厚み、及び塗布層の厚みなどの確認、測定を行った。また、写真上での染色の濃度差で樹脂種の違いを判定した。更に、界面部分の両相が入り組んだ状態でいずれの相とも判定できない部分をその混在相とした。
【0090】
また、各相の厚みは、塗布層の厚みと、各樹脂で染色された部分の面積比から算出した。
【0091】
観察方法
・装置:透過型電子顕微鏡(日立(株)製H−7100FA型)
・測定条件:加速電圧 100kV
・試料調整:凍結超薄切片法。
【0092】
(2)屈折率
用いる樹脂の乾燥固化させた膜、あるいは積層ポリエステルフィルムについて、アッベ屈折率計(アタゴ(株)製アッベ屈折計)で光源をナトリウムランプ(Na−D線)として、マウント液はヨウ化メチレンを用い、23℃、相対湿度65%下で、該膜の屈折率(直交する2つの方向、もしくは長手方向と幅方向を測定し、該値の平均値)を測定した。
【0093】
(3)ヘイズと全光線透過率
ヘイズおよび全光線透過率の測定は、常態(23℃、相対湿度65%)において、積層フィルムを2時間放置した後、スガ試験機(株)製全自動直読ヘイズコンピューターHGM−2DPを用いて行った。3回測定した平均値を該サンプルのヘイズおよび全光線透過率とした。
【0094】
(4)接着性−1(紫外線硬化型インキ接着性)
紫外線硬化型インキとしてFLASH DRY(FDカルトンACE墨)(東洋インキ製造(株)製)を用い、ロールコート法で約1.5μm厚みに塗布した。その後、塗布面より9cmの高さにセットした80W/cmの照射強度を有する高圧水銀灯で、紫外線を10秒間照射し、硬化させ、積層フィルム上に紫外線硬化型インキ層を設けた。このインキ上に1mm2のクロスカットを100個入れ、ニチバン(株)製セロハンテープをその上に貼り付け、指で強く押し付けた後、90度方向に急速に剥離し、残存した個数により4段階評価を行った。(◎)、(○)を接着性良好とした。
◎:100/100(残存個数/測定個数)
○:80/100以上、100/100未満
△:50/100以上、80/100未満
×:50/100未満
(5)接着性−2(ハードコート層接着性)
積層フィルム上に、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート70重量部、N−ビニルピロリドン30重量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン4重量部を撹拌混合して得られた組成物を、バーコーターを用いて硬化後の膜厚が5μmとなるように均一に塗布した。これを、塗布面より9cmの高さにセットした80W/cmの照射強度を有する高圧水銀灯で、紫外線を15秒間照射し、硬化させ、積層フィルム上にハードコート層を設けた。以下、評価(4)と同様にして、接着性評価を行った。
【0095】
(6)傷の目立ち易さ
光学用積層ポリエステルフィルムをハロゲンライトを光源とし透過光で原反フィルムの傷の目立ち易さを次の基準で評価した。
◎:全く傷が見えないもの
○:殆ど傷がわからないもの
△:よく見ると傷がみえるもの
×:キラリと傷が光り目立つもの
(7)モヤ感
光学用積層ポリエステルフィルムを暗室中で3波長蛍光灯を光源とし透過光でモヤ感を次の基準で評価した。
○:白いモヤがないもの
△:白いモヤが少しわかるもの
×:全体に白濁感があるもの
(8)鉛筆硬度
JIS K 5400に従って、各種硬度の鉛筆を90度の角度でハードコート層表面に当て、荷重1kgで引っ掻き、傷が発生したときの鉛筆の硬さで表示した。
【0096】
(9)耐摩耗性
スチールウール#0000でハードコート層表面を摩擦し、傷のつき具合いを次の基準で評価した。
○:強く摩擦してもほとんど傷が付かない。
△:かなり強く摩擦すると少し傷が付く。
×:弱い摩擦でも傷が付く。
【0097】
(10)耐湿熱接着性
接着性−2と同様にして積層フィルム上にハードコート層を設けたサンプルを、85℃、相対湿度85%の恒温恒湿槽中に500時間放置した後、評価(4)と同様にして、接着性評価を行った。
【0098】
【実施例】
次に、実施例に基づいて本発明を説明する。
実施例1
実質的に外部添加粒子を含有しないPETペレット(極限粘度0.63dl/g)を充分に真空乾燥した後、押し出し機に供給し285℃で溶融し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度25℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて冷却固化せしめた。この未延伸フィルムを90℃に加熱して長手方向に3.4倍延伸し、一軸延伸フィルムとした。このフィルムに空気中でコロナ放電処理を施した。次の組成の塗液A1、塗液B1および粒子1を固形分重量比で、液A1/液B1/粒子1=25/75/3で混合したものを塗布層形成塗液1とし、1軸延伸フィルムのコロナ放電処理面に塗布した。
[塗布層形成塗液1の組成]
液A1:下記の共重合組成からなるアクリル樹脂(ガラス転移温度:42℃、屈折率:1.52)を粒子状に水に分散させた水性分散液(いわゆる、エマルション塗液でエマルション粒子径は50nm)
・共重合成分
メチルメタクリレート 63重量%
エチルアクリレート 35重量%
アクリル酸 1重量%
N−メチロールアクリルアミド 1重量%
液B1:下記の共重合組成からなるポリエステル樹脂(ガラス転移温度:20℃、屈折率:1.57)を粒子状に水に分散させたアンモニウム塩型の水性分散液
・酸成分
テレフタル酸 28モル%
イソフタル酸 9モル%
トリメリット酸 10モル%
セバシン酸 3モル%
・グリコール成分
エチレングリコール 15モル%
ネオペンチルグリコール 18モル%
1,4−ブタンジオール 17モル%
粒子1:粒子径80nmのコロイダルシリカ粒子の水分散体。
【0099】
塗布層形成塗液1を塗布した1軸延伸フィルムをクリップで把持して予熱ゾーンに導き、雰囲気温度75℃で乾燥、ラジエーションヒーターを用いて110℃に上げ、再度90℃で乾燥して後、引き続き連続的に120℃の加熱ゾーンで幅方向に3.5倍延伸し、続いて220℃の加熱ゾーンで20秒間熱処理を施し、結晶配向の完了した積層フィルムを作製した。このとき、基材フィルムの厚みは125μm、塗布層の厚みが0.1μmであった。結果を表1に示す。ポリエステルフィルム側にポリエステル樹脂、表面側にアクリル樹脂からなり、相分離構造を形成した混在相領域が観察された。これにより、接着性に優れ、製膜工程中に基材フィルムについた擦れ傷が目立ちにくく、塗布層によるモヤ感もないものであった。
【0100】
【表1】
【0101】
実施例2
実施例1で用いた塗布層形成塗液1に代え、次の組成の液A1、液B1、液C1および粒子1を固形分重量比で、液A1/液B1/液C1/粒子1=25/75/20/3で混合したものを塗布層形成塗液2として用い、かつ、塗布層の厚みを0.12μmとした以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
[塗布層形成塗液2の組成]
液A1、塗液B1、粒子1は実施例1と同じものを用いた
液C1:メラミン系架橋剤として、メチロール基型メラミン架橋剤(三和ケミカル(株)製“ニカラック”MW12LF)を水に溶解させた水性塗液。
【0102】
結果を表1に併せて示す。ポリエステルフィルム側にポリエステル樹脂、表面側にアクリル樹脂からなり、相分離構造を形成した混在相領域が観察された。これにより、接着性に抜群に優れ、製膜工程中に基材フィルムについた擦れ傷も目立ちにくく、塗布層によるモヤ感もないものであった。
【0103】
比較例1
実施例1で用いた塗布層形成塗液1に代え、次の組成の液A1、液C2および粒子2を固形分重量比で、液A1/液C2/粒子2=100/10/1で混合したものを塗布層形成塗液3として用いた以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
[塗布層形成塗液3の組成]
液A1は実施例1と同じものを用いた
液C2:エポキシ系架橋剤として、大日本インキ工業(株)製CR−5Lを水に分散させた水性塗液。
【0104】
粒子2:粒子径300nmのコロイダルシリカ粒子の水分散体
結果を表1に併せて示す。接着不良が発生し、傷も目立つものであった。また、相分離構造を形成した混在相領域は認められなかった。
【0105】
比較例2
実施例1で用いた塗布層形成塗液1に代え、次の組成の液B2、液C1および粒子2を固形分重量比で、液B2/液C1/粒子2=100/15/1で混合したものを塗布層形成塗液4として用いた以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
[塗布層形成塗液4の組成]
液B2:下記の共重合組成からなるポリエステル樹脂(ガラス転移温度:82℃、屈折率:1.59)を粒子状に水に分散させたナトリウム塩型の水性分散液
・酸成分
テレフタル酸 88モル%
5−Naスルホイソフタル酸 12モル%
・グリコール成分
エチレングリコール 98モル%
ジエチレングリコール 2モル%
液C1は実施例1と同様のものを用いた。
【0106】
粒子2:粒子径300nmのコロイダルシリカ粒子の水分散体。
【0107】
結果を表1に併せて示す。接着不良が発生し、モヤ感も目立つものであった。
また、相分離構造を形成した混在相領域は認められなかった。
【0108】
比較例3
実施例1で用いた塗布層形成塗液1に代え、前記の液A1、液B2、液C1および粒子1を固形分重量比で、液A1/液B2/液C1/粒子1=40/60/5/3で混合したものを塗布層形成塗液5として用い、かつ、延伸後の熱処理条件を230℃、60秒とした以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。結果を表1に併せて示す。ポリエステルフィルム側にポリエステル樹脂、表面側にアクリル樹脂からなる塗布層が観察されたものの、相分離構造を形成した混在相領域の厚み方向の長さが不十分であり、また、傷が目立つものであった。
【0109】
比較例4
実施例1で用いた塗布層形成塗液1に代え、次の組成の液A2、液B2、液C1および粒子1を固形分重量比で、液A2/液B2/液C1/粒子1=20/80/5/3で混合したものを塗布層形成塗液6として用い、かつ、延伸後の熱処理条件を230℃、60秒とした以外は、実施例1と同様にして積層PETフィルムを得た。
[塗布層形成塗液6の組成]
液A2:下記の共重合組成からなるアクリル樹脂(ガラス転移温度:40℃、屈折率:1.48)を粒子状に水に分散させた水性分散液(いわゆる、エマルション塗液でエマルション粒子径は110nm)
・共重合成分
メチルメタクリレート 20重量%
エチルアクリレート 20重量%
パーフルオロエチルアクリレート 58重量%
アクリル酸 1重量%
N−メチロールアクリルアミド 1重量%
結果を表1に併せて示す。ポリエステルフィルム側にポリエステル樹脂、表面側にアクリル樹脂からなる塗布層が観察されたものの、相分離構造を形成した混在相領域は殆ど認められず、いわゆる2層構造塗膜になっていた。すなわち、ほぼ完全に2層に分離しており混在相領域の厚みはほとんど測定できないレベルであった。また、接着不良が発生し、傷も目立つものであった。
【0110】
比較例5
実施例1で用いた塗布層形成塗液1に代え、前記の液A1、液B2、液C1および粒子1を固形分重量比で、液A1/液B2/液C1/粒子1=60/40/5/3で混合したものを塗布層形成塗液7として用い、かつ、塗布層の厚みを0.3μmとし、かつ、延伸後の熱処理条件を200℃、5秒とした以外は、実施例1と同様にして積層PETフィルムを得た。結果を表1に併せて示す。ポリエステルフィルム側にポリエステル樹脂、表面側にアクリル樹脂からなる塗布層が観察されたものの、相分離構造を形成した混在相領域が長すぎるものであった。
また、傷が目立つものであり、モヤ感も目立つものであった。
【0111】
実施例3
実施例1で用いた塗布層形成塗液1に代え、次の組成の液A3、液B2、液C1および粒子3を固形分重量比で、液A3/液B2/液C1/粒子3=50/50/10/0.6で混合したものを塗布層形成塗液8として用い、かつ、塗布層の厚みを0.08μmとし、かつ、延伸後の熱処理温度を230℃、10秒とした以外は、実施例1と同様にして積層PETフィルムを得た。
[塗布層形成塗液8の組成]
塗液A3:下記の共重合組成からなるアクリル樹脂(ガラス転移温度:45℃、屈折率:1.54)を粒子状に水に分散させた水性分散液(いわゆる、エマルション塗液でエマルション粒子径は48nm)
・共重合成分
メチルメタクリレート 64重量%
エチルアクリレート 30重量%
アクリル酸 5重量%
N−メチロールアクリルアミド 1重量%
粒子3:粒子径140nmのコロイダルシリカ粒子の水分散体。
【0112】
結果を表1に併せて示す。ポリエステルフィルム側にポリエステル樹脂、表面側にアクリル樹脂からなり、相分離構造を形成した混在相領域が観察された。これにより、接着性に抜群に優れ、製膜工程中に基材フィルムについた擦れ傷も目立ちにくく、塗布層によるモヤ感もないものであった。
【0113】
比較例6
実施例2で用いた、平均粒径1.4μmのコロイダルシリカを0.01重量%を含有するPETペレット(極限粘度0.63dl/g)を用いて基材PETフィルム作製した以外は、実施例2と同様にして積層フィルムを得た。結果を表1に示す。ポリエステルフィルム側にポリエステル樹脂、表面側にアクリル樹脂からなり、相分離構造を形成した混在相領域が観察されたものの、モヤ感が非常に悪いものであった。
【0114】
比較例7
実質的に外部添加粒子を含有しないPETペレット(極限粘度0.63dl/g)を作製した。また、A層形成ポリエステル樹脂として、酸成分をテレフタル酸/イソフタル酸を80/20(モル比)、ジオール成分をエチレングリコール/ジエチレングリコールを95/5(モル比)として重縮合させたPET/Iペレット(極限粘度0.62dl/g)を作製した。これらのポリマを充分に真空乾燥した後、PETを押し出し機1に供給し285℃で溶融し、更にPET/Iを押し出し機2に供給し270℃で溶融し、これらのポリマを矩形積層部を備えた合流ブロックで合流積層し、静電印加キャスト法を用いて表面温度30℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて冷却固化し、両面にPET/I層を有する未延伸フィルムを作製した。この未延伸フィルムを95℃に加熱して長手方向に3.5倍延伸し、一軸延伸フィルムとした。このフィルムに空気中でコロナ放電処理を施した。
【0115】
前記の液A1、液C1および粒子1を固形分重量比で、液A1/液C1/粒子1=100/5/3で混合したものを塗布層形成塗液9として用い、上記の一軸延伸フィルムのコロナ放電処理面に塗布した。塗布された1軸延伸フィルムをクリップで把持して予熱ゾーンに導き、雰囲気温度70℃で乾燥、ラジエーションヒーターを用いて110℃に上げ、再度90℃で乾燥して後、引き続き連続的に115℃の加熱ゾーンで幅方向に3.7倍延伸し、続いて220℃の加熱ゾーンで20秒間熱処理を施し、結晶配向の完了した積層フィルムを作製した。この積層フィルムの、共押出由来のPET/I層の厚みは0.2μm、PET層の厚みは124.8μmで、基材フィルムの厚さは計125μm、塗布層の厚みは0.1μmであった。結果を表1に併せて示す。相分離構造を形成した混在相領域は認められず、製膜工程中に基材フィルムについた擦れ傷が非常に目立つものであった。
【0116】
比較例8
基材フィルムとして、塗布層を設けていない実質的に外部粒子を含有しないPETからなる結晶配向の完了した125μmの二軸延伸PETフィルムを作製した。該フィルムの表面にコロナ放電処理を施し、実施例2で用いたのと同じ塗布層形成塗液2を乾燥後の厚みが3μmになるようにバーコート法でオフライン塗工した(乾燥条件は120℃、2分間とした)。結果を表1に併せて示す。製膜工程中についた擦れ傷が非常に目立つものであり、塗膜のモヤ感も非常に目立つものであった。また、相分離構造を形成した混在相領域は形成されておらず、アクリル樹脂とポリエステル樹脂からなる均一な微分散構造が認められた。
【0117】
実施例4
実施例1で用いた塗布層形成塗液1に代え、次の組成の液A3、液B1、液C1、C3および粒子1を固形分重量比で、液A3/液B1/液C1/液C3/粒子1=30/70/40/10/2で混合したものを塗布層形成塗液10として用い、かつ、塗布層の厚みを0.06μmとし、かつ、延伸後の熱処理温度を230℃、10秒とした以外は、実施例1と同様にして積層PETフィルムを得た。
[塗布層形成塗液10の組成]
塗液A3:下記の共重合組成からなるアクリル樹脂(ガラス転移温度:45℃、屈折率:1.54)を粒子状に水に分散させた水性分散液(いわゆる、エマルション塗液でエマルション粒子径は48nm)
・共重合成分
メチルメタクリレート 64重量%
エチルアクリレート 30重量%
アクリル酸 5重量%
N−メチロールアクリルアミド 1重量%
液B1:下記の共重合組成からなるポリエステル樹脂(ガラス転移温度:20℃、屈折率:1.57)を粒子状に水に分散させたアンモニウム塩型の水性分散液
・酸成分
テレフタル酸 28モル%
イソフタル酸 9モル%
トリメリット酸 10モル%
セバシン酸 3モル%
・グリコール成分
エチレングリコール 15モル%
ネオペンチルグリコール 18モル%
1,4−ブタンジオール 17モル%
液C1:メラミン系架橋剤として、メチロール基型メラミン架橋剤(三和ケミカル(株)製“ニカラック”MW12LF)を水に溶解させた水性塗液
液C3:オキサゾリン架橋剤として、“エポクロス”WS−500(日本触媒(株)製オキサゾリン系反応性ポリマー)を水に溶解させた水性塗液
粒子1:粒子径80nmのコロイダルシリカ粒子の水分散体。
【0118】
結果を表1に併せて示す。ポリエステルフィルム側にポリエステル樹脂、表面側にアクリル樹脂からなり、相分離構造を形成した混在相領域が観察された。これにより、接着性に抜群に優れ、製膜工程中に基材フィルムについた擦れ傷も目立ちにくく、塗布層によるモヤ感もないものであった。更に、耐湿熱接着性にも抜群に優れたものであった。
【0119】
実施例5
実施例4で用いた塗布層形成塗液10で、固形分重量比を、液A3/液B1/液C1/液C3/粒子1=30/70/25/20/2と変更したものを塗布層形成塗液11として用いた以外は、実施例4と同様にして積層PETフィルムを得た。
【0120】
結果を表1に併せて示す。ポリエステルフィルム側にポリエステル樹脂、表面側にアクリル樹脂からなり、相分離構造を形成した混在相領域が観察された。これにより、接着性に抜群に優れ、製膜工程中に基材フィルムについた擦れ傷も目立ちにくく、塗布層によるモヤ感もないものであった。更に、耐湿熱接着性にも抜群に優れたものであった。
【0121】
実施例6
実施例2で得られた、塗布層(厚み:0.12μm、相分離構造が存在し、混在相領域の厚みは25nm)が塗布によって設けられた125μmの積層フィルムの塗布層上に、次の組成のハードコート層形成塗液をダイコート法で塗布後、塗布面より9cmの高さにセットした120W/cmの照射強度を有する高圧水銀灯で、紫外線を15秒間照射し、硬化させ、積層フィルム上に7μmのハードコート層を設けた。
[ハードコート層形成塗液]
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 70重量部
・ジペンタエリスリトールテトラメタアクリレート 10重量部
・エチルアクリレート 5重量部
・N−ビニルピロリドン 15重量部
・1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 4重量部
このようにして得られたハードコート層を設けた積層フィルムは、鉛筆硬度が3H、耐摩耗性も(○)レベルであり、反射防止フィルム用積層フィルムとして非常に好適なものであった。なお、該ハードコート層上に反射防止層や、必要に応じて防汚層などが設けられ、反射防止用フィルムとすることができる。
実施例7
実施例2で得られた、塗布によって設けられた塗布層(厚み:0.12μm、相分離構造が存在し、混在相領域の厚みは25nm)が設けられた125μmの積層フィルムの塗布層上に、直流マグネトロンスパッタリング法で、厚みが30nm、抵抗値が300Ω/□のITO(インジウム・スズ複合酸化物)膜からなる導電性金属酸化物層を製膜した。
【0122】
本発明によって得られた導電性金属酸化物層が設けた積層フィルムは、上記の通り、抵抗値に優れ、積層フィルムとの接着性も良好であり、透明性も良好であり、タッチパネル用積層フィルムや電子ペーパー用積層フィルムとして非常に好適なものであった。
【0123】
【発明の効果】
本発明の光学用積層ポリエステルフィルムは、非常に透明性に優れ、製膜工程時についた基材フィルムの微小な傷を目立たなくし、積層フィルムのモヤ感もなく、かつ、易接着性や耐湿熱接着性にも抜群に優れた効果を発現するものである。
【0124】
そして、反射防止用積層フィルム、タッチパネル用積層フィルム、および電子ペーパー用積層フィルムなどのディスプレイ部材用積層フィルムとして優れたものを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光学用積層ポリエステルフィルムの厚み方向の断面を示す透過型電子顕微鏡(TEM)写真。
【符号の説明】
1 PETフィルム
2 ポリエステル樹脂(L1)
3 混在相領域
4 アクリル樹脂(L2)
5 空気層部分
Claims (8)
- ポリエステルフィルムの少なくとも片面に塗布層が設けられ、かつ全光線透過率が90%以上、ヘイズが1.5%以下である光学用積層フィルムの製造方法であって、
ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、ポリエステル樹脂とアクリル樹脂を用いてなる塗布層形成用塗布液が塗布された後、延伸され、200〜240℃の温度範囲にて10〜40秒間熱処理されることによって、以下の(1)および(2)の要件を満たす塗布層が形成される光学用積層フィルムの製造方法。
(1)塗布層が屈折率の異なる2種類の樹脂からなり、かつ、屈折率が1.53〜1.65である高屈折率成分を主成分とする層L 1 がポリエステルフィルム側に、屈折率が1.43〜1.56である低屈折率成分を主成分とする層L 2 が反対側にあり、高屈折率成分がポリエスエル樹脂を主たる構成成分とし、低屈折率成分がアクリル樹脂を主たる構成成分とすること。
(2)前記層L 1 と前記層L 2 との界面に、前記各層の混在相領域が5〜100nmの厚さで存在すること。 - 前記塗布層に、メラミン系架橋剤および/またはオキサゾリン系架橋剤が含まれてなることを特徴とする請求項1に記載の光学用積層フィルムの製造方法。
- 前記塗布層で、ポリエステル樹脂とアクリル樹脂の合計100重量部に対し、メラミン系架橋剤が2〜50重量部、オキサゾリン架橋剤が2〜30重量部含まれてなることを特徴とする請求項1または2に記載の光学用積層フィルムの製造方法。
- ポリエステルフィルムが、ポリエチレンテレフタレートフィルムまたはポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光学用積層フィルムの製造方法。
- ポリエステルフィルムが、塗布層を構成するアクリル樹脂および/またはポリエステル樹脂を含有した組成物からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学用積層フィルムの製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の光学用積層フィルムの塗布層上に、ハードコート層が設けられたことを特徴とする反射防止用積層フィルムの製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の光学用積層フィルムの少なくとも片面に、導電性金属酸化物層が設けられたことを特徴とするタッチパネル用積層フィルムの製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の光学用積層フィルムの少なくとも片面に、導電性金属酸化物層が設けられたことを特徴とする電子ペーパー用積層フィルムの製造方法。
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