JP5173205B2 - 輝度向上シート用ポリエステルフィルム - Google Patents
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Description
塗布層がアクリル樹脂、オキサゾリン基含有モノマーの重合体および微粒子からなり、水性塗液を用いて塗設された層であり、
オキサゾリン基含有モノマーの重合体は水溶性の重合体であり、有機溶剤を含有することなく上記水性塗液に配合されて塗布層の形成に用いられ、
微粒子の平均粒子径が150〜400nmである
ことを特徴とする、輝度向上シート用ポリエステルフィルムである。
[ポリエステルフィルム]
本発明においてポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、芳香族二塩基酸またはそのエステル形成性誘導体とジオールまたはそのエステル形成性誘導体とから合成される線状飽和ポリエステルである。かかるポリエステルの具体例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)を例示することができる。
ポリエステルフィルムの厚みは、輝度向上シートとして使用する場合に必要な強度を得るために、好ましくは25〜350μm、さらに好ましくは50〜250μmである。
本発明におけるポリエステルフィルムは、150℃、30分で熱処理後の縦方向の熱収縮率が、好ましくは1.5〜0.0、さらに好ましくは1.0〜0.0%、特に好ましくは0.5〜0.0%の範囲にある。縦方向の熱収縮率が1.5%を越えると熱寸法安定性に劣るようになり好ましくない。他方0.0%を下回りマイナスの熱収縮率となると熱膨張により歪みを生じ易くなるために好ましくない。
本発明の輝度向上シート用ポリエステルフィルムは、上記のポリエステルフィルムのうえに塗布層を備える。塗布層は一方の面に備えてもよく両方の面に備えてもよく、好ましくは両方の面に備える。
本発明で塗布層に用いるアクリル樹脂は、そのカルボキシル基含有モノマーの共重合量が、アクリル樹脂100モル%あたり好ましくは2モル%未満、さらに好ましくは1モル%未満、特に好ましくは0モル%である。アクリル樹脂のカルボキシル基含有量が2モル%以上であると、高温環境で用いられたときのプリズムレンズ層に対する密着性が劣り好ましくない。
塗布層のオキサゾリン基含有モノマーの重合体としては、水溶性のものを用いる。これは、付加重合性オキサゾリン基含有モノマーを単独で重合して製造することにより、または、他のモノマーととともに共重合することにより、製造することができる。
塗布層の微粒子の平均粒径は150〜400nm、好ましくは180〜400nm、さらに好ましくは200〜400nmである。150nm未満であると十分な滑性、耐傷性が得られず、また高温での耐ブロッキング性が悪化し、400nmを超えると微粒子の脱落が発生しやすくなる。高温下での使用においてブロッキングしない性質を得るためには、微粒子として、その平均粒径が塗布層の厚みの3倍を超えるものを用いることが好ましい。なお、微粒子はその平均粒径がたとえ大きくても、塗布層の組成物中に配合してフィルムに塗布された状態ではバインダー成分のアクリル樹脂に支持され、本発明の範囲では実用上脱落することはない。
本発明における塗布層には、好ましくは架橋剤が配合される。架橋剤としては、エポキシ、メラミン、イソシアネートを用いることができる。これらは1種類を用いてもよく、2種類以上を用いてもよい。
本発明で好ましく用いられる熱収縮率の低いポリエステルフィルムは、ポリエステルをフィルム状に溶融押出し、キャスティングドラムで冷却固化させて未延伸フィルムとし、この未延伸フィルムをTg〜(Tg+60)℃で縦(長手)方向に1回もしくは2回以上合計の倍率が3倍〜6倍になるよう縦延伸し、その後Tg〜(Tg+60)℃で横(幅)方向に倍率が3〜5倍になるように横延伸し、逐次二軸延伸フィルムとした後、必要に応じて更に180〜240℃で1〜60秒間熱処理を行い、熱処理温度より10〜100℃低い温度で縦方向および横方向に0〜20%収縮させながら弛緩熱処理を行うことにより得ることができる。なお、ガラス転移温度をTgと略記する。
各種物性は下記の方法により評価した。
フィルムの長手方向および幅方向に350mm、各々に幅50mmのサンプルを切り出し、そのサンプルの両端近傍に300mmの間隔の標点を付け、150℃の温度に調整されたオーブンに一端を固定、他端をフリーとして30分間放置した。これを取り出して室温に放冷した後に標点間距離を測定し(この長さをSとする)、下記式にて熱収縮率を求めた。
熱収縮率(%)=(300−S)/300×100
JIS K7136に準じ、日本電色工業社製のヘーズ測定器NDH−2000を使用してフィルムのヘーズ値を測定した。なお、ヘーズは下記の基準で評価した。
◎: ヘーズ値 < 1.0% (極めて良好)
○:1.0% ≦ ヘーズ値 < 1.2% (良好)
×:1.2% ≦ ヘーズ値 (不良)
フィルムを小さく切り出し、エポキシ樹脂で包埋させ、ミクロトームで50nm厚みにフィルム断面を薄切りした。これを2%オスミウム酸で60℃、2時間かけて染色した。染色されたフィルムの断面を透過電子顕微鏡(LEM−2000)で観察し、塗布層厚みを測定した。
塗布層の厚みの測定と同様の測定を行い、100個の微粒子の粒子径を測定し、その平均値を平均粒子径とした。
2枚のフィルムを、塗膜形成面同士が接するように重ね合わせ、これに80℃、80%RHの雰囲気下で17時間にわたり0.6kg/cm2の圧力をかけて、その後で剥離して、剥離時の剥離力によって、耐ブロッキング性を下記の基準で評価した。
○: 剥離力 < 98mN/5cm幅 (良好)
△: 98mN/5cm幅 ≦ 剥離力 < 196mN/5cm幅 (やや良好)
×:196mN/5cm幅 ≦ 剥離力 (不良)
プリズムレンズのパターンを形成した型に、下記組成からなる紫外線硬化型アクリル樹脂を流し込み、その上に得られたポリエステルフィルムの塗布面を該樹脂側にして密着させ、ポリエステルフィルム面側の30cmの距離から紫外線ランプ(照射強度80W/cm、6.4KW)を用いて30秒間照射し樹脂を硬化させ、頂角90度、ピッチ50μm、高さが30μmのプリズムレンズ層を形成した。得られた輝度向上シートの加工面に、碁盤目のクロスカット(1mm2のマス目を100個)を施し、その上に24mm幅のセロハンテープ(ニチバン社製)を貼り付け、90°の剥離角度で急激に剥がした後、剥離面を観察し、下記の基準で評価した。
○:剥離面積が5%以下 (接着力が良好)
×:剥離面積が5%を超える (接着力が不良)
下記組成からなるものを用いた。
エチレンオキシド変性ビスフェノールAジメタクリレート(日立化成工業社製FA−321M) 46重量%
ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジアクリレート(日本化薬化学工業社製R−604) 25重量%
フェノキシエチルアクリレート(大阪有機化学工業社製ビスコート192)27重量%
2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(メルク社製Darocur1173) 2重量%
上記(6)と同様に輝度向上シートを作成した後、120℃のオーブン中にて4時間の熱処理を施し、オーブンから取り出して室温で10分間放冷した後、上記(6)と同様にクロスカットの剥離試験を行なって評価した。この耐熱密着性の評価は、高温環境の下で用いられたときのプリズムレンズ層との密着性の評価である。
溶融ポリエチレンテレフタレート([η]=0.61dl/g、Tg=78℃)をダイより押出し、常法により冷却ドラムで冷却して未延伸フィルムとし、次いで縦方向に3.2倍に延伸した後、その両面に表1に示す塗剤の濃度5%の水性塗液をロールコーターで均一に塗布した。なお、溶融ポリエチレンテレフタレートには、滑剤としての微粒子を含有していないものを使用した。
さらに、得られたポリエステルフィルムに、紫外線硬化型アクリル樹脂を用いてプリズムレンズ層を形成し輝度向上シート(プリズムシート)を得た。評価結果を表2に示す。
表1に記載の塗剤を用いて塗膜を形成し、225℃で熱固定した後に、テンター中にてフィルムの両端部近傍に刃を入れてフィルムをクリップ把持部から切り離し、引取りロールの速度をテンター内のクリップ速度よりも2.5%遅くして185℃にて弛緩熱処理をする以外は実施例1と同様にして、厚さ125μm、塗布層厚さ65nmの輝度向上シート用ポリエステルフィルムを得た。評価結果は表2に示す。
さらに、得られたポリエステルフィルムに、紫外線硬化型アクリル樹脂を用いてプリズムレンズ層を形成し輝度向上シート(プリズムシート)を得た。評価結果を表2に示す。
溶融ポリエチレンテレフタレート([η]=0.62dl/g、Tg=78℃)をダイより押出し、常法により冷却ドラムで冷却して未延伸フィルムとし、次いでその両面に表1に示す塗剤の濃度7%の水性塗液をロールコーターで均一に塗布した。この塗布フィルムを引き続いて85℃で乾燥し、110℃で同時に縦方向に3.4倍、横方向に3.6倍に延伸し、225℃で熱固定した後、190℃にて縦方向および幅方向にそれぞれ2.5%弛緩熱処理し、厚さ125μm、塗布層厚さ65nmの輝度向上シート用ポリエステルフィルムを得た。評価結果を表2に示す。
得られたポリエステルフィルムに、紫外線硬化型アクリル樹脂を用いてプリズムレンズ層を形成し輝度向上シート(プリズムシート)を得た。評価結果を表2に示す。
表1に記載の塗剤を用いて塗膜を形成し、フィルムの厚さを188μmとする他は実施例2と同様にして、輝度向上シート用ポリエステルフィルムを得て、さらにこれを用いて輝度向上シート(プリズムシート)を作成した。評価結果を表2に示す。
表1に記載の塗剤を用いて所定の厚みの塗膜を形成する他は実施例1と同様にして、プリズムシート)を作成した。評価結果を表2に示す。
表1に記載の塗剤を用いて所定の厚みの塗膜を形成する他は実施例1と同様にして、輝度向上シート用ポリエステルフィルムを得て、さらにこれを用いて輝度向上シート(プリズムシート)を作成した。評価結果を表2に示す。参考例1および2では、プリズムレンズ層との密着性に優れる輝度向上シートを得ることができたが、これは、高温環境の下で用いられたときのプリズムレンズ層との密着性は低いものであった。
表1に記載の塗剤を用いて所定の厚みの塗膜を形成する他は実施例1と同様にして、輝度向上シート用ポリエステルフィルムを得て、さらにこれを用いて輝度向上シート(プリズムシート)を作成した。評価結果を表2に示す。
表1に記載の塗剤を用いて所定の厚みの塗膜を形成する他は実施例1と同様にして、輝度向上シート用ポリエステルフィルムを得て、さらにこれを用いて輝度向上シート(プリズムシート)を作成した。評価結果を表2に示す。
比較例5では微粒子が大きすぎて塗膜が保持できないことから、フィルムのハンドリング時に脱落してしまったため、耐ブロッキング性が非常に悪いものであった。
塗布層を形成することなく、塗布層を設けていない面に直接プリズム層を設けた他は実施例1と同様にして輝度向上シート用ポリエステルフィルムを得て、さらにこれを用いて輝度向上シート(プリズムシート)を作成した。評価結果を表2に示す。
なお、得られた輝度向上シート(プリズムシート)はベースフィルムとプリズムレンズ層との密着性が悪く、輝度向上シートとして満足に使用できないものであった。
アクリル樹脂1:
メチルメタクリレート60モル%/エチルアクリレート30モル%/2−ヒドロキシエチルアクリレート5モル%/N−メチロールアクリルアミド5モル%で構成されている。なお、アクリル樹脂1は、特開昭63−37167号公報の製造例1〜3に記載の方法に準じて下記の通り製造した。すなわち、四つ口フラスコに、イオン交換水302部を仕込んで窒素気流中で60℃まで昇温させ、次いで重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.5部、亜硫酸水素ナトリウム0.2部を添加し、さらにモノマーである、メチルメタクリレート46.7部、エチルアクリレート23.3部、2−ヒドロキシエチルアクリレート4.5部、N−メチロールアクリルアミド3.4部の混合物を3時間にわたり、液温が60〜70℃になるよう調整しながら滴下した。滴下終了後も同温度範囲に2時間保持しつつ、撹拌下に反応を継続させ、次いで冷却して固形分が25%のアクリル樹脂1の水分散体を得た。なお、アクリル樹脂1のカルボキシル基含有量は0モル%である。
メチルメタクリレート59.5モル%/エチルアクリレート29.5モル%/2−ヒドロキシエチルアクリレート5モル%/N−メチロールアクリルアミド5モル%/アクリル酸1モル%で構成されている以外は、アクリル樹脂1と同様にして固形分が25%のアクリル樹脂2の水分散体を得た。なお、アクリル樹脂2のカルボキシル基含有量は1モル%である。
メチルメタクリレート59モル%/エチルアクリレート28.5モル%/2−ヒドロキシエチルアクリレート5モル%/N−メチロールアクリルアミド5モル%/アクリル酸2.5モル%で構成されている以外は、アクリル1と同様にして固形分が25%のアクリル樹脂3の水分散体を得た。なお、アクリル樹脂3のカルボキシル基含有量は2.5モル%である。
水溶性のオキサゾリン系樹脂(日本触媒社製 商品名エポクロスWS−700)。これはオキサゾリン基を含有するモノマーを含む重合体で、溶剤を含有しない淡黄色透明な水溶性の重合体である。
エマルジョン型のオキサゾリン系樹脂(日本触媒社製 商品名エポクロスK1030E)。これはオキサゾリン基を含有するモノマーを含む重合体で、溶剤を含有しない乳白色エマルジョン(水分散性)型重合体である。
水溶性のオキサゾリン系樹脂(日本触媒社製 商品名エポクロスWS−500)。これはオキサゾリン基を含有するモノマーを含む重合体で、1−メトキシ−2−プロパノール溶剤約38重量%を含有する淡黄色透明な水溶性の重合体である。
アクリルフィラー(平均粒径:220nm)(日本触媒社製 商品名MX−200W)
微粒子2:
シリカフィラー(平均粒径:120nm)(触媒化成社製 商品名SI−120P)
微粒子3:
シリカフィラー(平均粒径:500nm)(日本触媒社製 商品名KE−W50)
ポリオキシエチレン(n=7)ラウリルエーテル(三洋化成社製 商品名ナロアクティーN−70)
Claims (5)
- ポリエステルフィルムおよびそのうえに設けられた塗布層からなり、
塗布層がアクリル樹脂、オキサゾリン基含有モノマーの重合体および微粒子からなり、水性塗液を用いて塗設された層であり、
オキサゾリン基含有モノマーの重合体は水溶性の重合体であり、有機溶剤を含有することなく上記水性塗液に配合されて塗布層の形成に用いられ、
微粒子の平均粒子径が150〜400nmである
ことを特徴とする、輝度向上シート用ポリエステルフィルム。 - アクリル樹脂のカルボキシル基含有モノマーの共重合量が2モル%未満である、請求項1記載の輝度向上シート用ポリエステルフィルム。
- 同時二軸延伸法にて製造された、請求項1記載の輝度向上シート用ポリエステルフィルム。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の輝度向上シート用ポリエステルフィルムのうえにさらにプリズム層を設けた輝度向上シート。
- ポリエステルフィルムへ、アクリル樹脂、オキサゾリン基含有モノマーの重合体および微粒子を含有する水性塗液を塗布して、請求項1に記載の輝度向上シート用ポリエステルフィルムを製造するに際して、
オキサゾリン基含有モノマーの重合体は水溶性の重合体であり、有機溶剤を含有することなく上記水性塗液に配合される、
輝度向上シート用ポリエステルフィルムの製造方法。
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