JP5134304B2 - 輝度向上シート用ポリエステルフィルム - Google Patents
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Description
このような用途に用いられるベースフィルムには、優れた透明性が要求され、さらにベースフィルムの上に設けられるプリズムレンズ層、ハードコート層、粘着層、反射防止層、スパッタ層等に対する接着性と密着性が要求される。
そこでこれまでにも、ポリエステルフィルムとプリズムレンズ層との接着性を改良する方法として、ポリエステルフィルムの表面にアンカーコート層を設けて接着性を改良することがこれまでも数多く提案されている。
[ポリエステルフィルム]
本発明においてポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、芳香族二塩基酸またはそのエステル形成性誘導体とジオールまたはそのエステル形成性誘導体とから合成される線状飽和ポリエステルである。かかるポリエステルの具体例としてポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレンジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)を例示することができる。
ポリエステルフィルムの厚みは、輝度向上シートとして使用する場合に必要な強度を得るために、好ましくは25〜350μm、さらに好ましくは50〜250μmである。
本発明の輝度向上シート用ポリエステルフィルムは、上記のポリエステルフィルムのうえに塗布層を備える。塗布層はポリエステルフィルムの一方の面に備えてもよく両方の面に備えてもよく、好ましくは両方の面に備える。塗布層は、アクリル樹脂および平均粒子径1〜20nmかつ屈折率1.30〜1.40の微粒子からなる。このうち、アクリル樹脂はバインダー成分として位置づけられる。
本発明における塗布層のアクリル樹脂は、ガラス転移点(以下、ガラス転移温度を「Tg」ということがある。)が、好ましくは30〜80℃、さらに好ましくは35〜70℃のものである。ガラス転移点が30℃未満であるとブロッキング性が悪化して好ましくなく、他方、Tgが80℃を超えると造膜性が悪くなり、透明性が低下して好ましくない。
本発明において塗布層は、平均粒子径1〜20nmかつ屈折率1.30〜1.40の微粒子を含有する。この微粒子の平均粒子径が1nm未満であると二次凝集体を生成し易く安定性に劣る。他方、20nmを超えると塗膜のヘーズが高くなりやすく、光学用フィルムとして不適となる。また、微粒子の屈折率が1.40を超えると塗膜の光線透過率が不十分となる。他方、1.30未満であると化学的に安定的なものを得ることが難しく、工業的な使用が困難である。
本発明においては、上述の平均粒子径1〜20nmの微粒子に加えて、平均粒子径100〜400nmの粒子を滑り剤として塗布層に配合させることが好ましい。この滑り剤を配合することによってハンドリング性に優れ、かつブロッキングしない性質を得ることができる。
本発明において塗布層の塗設に用いる塗液は、フィルム上に塗膜を形成するために、水溶液、水分散液あるいは乳化液等の水性塗液の形態で使用することが好ましい。塗液には、必要に応じて、さらに、例えば帯電防止剤、界面活性剤を配合してもよい。
各種物性は下記の方法により評価した。
JIS K7136に準じ、日本電色工業社製のヘーズ測定器NDH−2000を使用してフィルムの光線透過率およびヘーズ値を測定した。なお、光線透過率およびヘーズの値は下記の基準で評価した。
<光線透過率>
○: 94% ≦ 光線透過率 (良好)
×: ≦ 光線透過率 < 94% (不良)
<ヘーズ>
◎: ヘーズ値 < 1.0% (極めて良好)
○: 1.0% ≦ ヘーズ値 < 1.5% (良好)
×: 1.5% ≦ ヘーズ値 (不良)
微粒子の屈折率は、90℃で乾固させた微粒子を屈折率の異なる種々の25℃の液に懸濁させ、懸濁液が最も透明に見える液の屈折率をアッベ屈折率計(ナトリウムD線)で測定した。
フィルムを小さく切り出し、エポキシ樹脂で包埋させ、ミクロトームで50nm厚みにフィルム断面を薄切りした。これを2%オスミウム酸で60℃、2時間かけて染色した。染色されたフィルムの断面を透過電子顕微鏡(LEM−2000)で20万倍で観察し、塗布層厚みを測定した。
フィルムを小さく切り出し、エポキシ樹脂で包埋させ、ミクロトームで50nm厚みにフィルム断面を薄切りした。これを2%オスミウム酸で60℃、2時間かけて染色した。染色されたフィルムの断面を、透過電子顕微鏡(LEM−2000)で50万倍で観察した。任意の粒子を測定対象として選択し、選択された粒子の最大径と最小径を求め、これらの平均をその粒子の粒子径とした。任意に100個の粒子について粒子径を算出し、これら100個の粒子の重量平均粒子径を算出して、本発明における「粒子の平均粒子径」とした。
プリズムレンズのパターンを形成した型に、下記組成からなる紫外線硬化型アクリル樹脂を流し込み、その上に、本発明のポリエステルフィルムの塗布層面をアクリル樹脂側になるように配置して両者を密着させ、ポリエステルフィルム面側の30cmの距離から紫外線ランプ(照射強度80W/cm、6.4KW)を用いて30秒間照射して樹脂を硬化させ、頂角90度、ピッチ50μm、高さが30μmのプリズムレンズ層を形成し、輝度向上シートを得た。
下記組成からなるものを用いた。
エチレンオキシド変性ビスフェノールAジメタクリレート
(日立化成工業社製 FA−321M) 46重量%
ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジアクリレート
(日本化薬化学工業社製 R−604) 25重量%
フェノキシエチルアクリレート
(大阪有機化学工業社製 ビスコート192) 27重量%
2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン
(メルク社製 Darocur1173) 2重量%
輝度向上評価は、評価対象のフィルムを用いて作成した輝度向上シートの輝度レベルを、比較例3のフィルムを用いて作成した輝度向上シートの輝度レベルと比較して行い、以下の基準で評価した。なお、輝度レベルは、FLATRON L1515S型(LG電子社製ディスプレイ)のバックライトユニットに、上記(5)で作成した輝度向上シートを直交させて2枚重ねて組み込んで面状発光体を得て、この面状発光体について輝度計BM−7型(TOPCON社製)を用いて測定した。
◎: 輝度が0.1%以上向上した
○: 輝度は同じ(±0.1%未満の変化)
×: 輝度が0.1%以上低下した
溶融ポリエチレンテレフタレート([η]=0.63dl/g、Tg=78℃)をダイより押出し、常法により冷却ドラムで冷却して未延伸フィルムとし、次いで縦方向に3.2倍に延伸した後、その両面に表1に示す塗剤の濃度4%の水性塗液をロールコーターで均一に塗布した。なお、溶融ポリエチレンテレフタレートには、滑剤としての微粒子を含有していないものを使用した。
塗布層を設けたフィルムを引き続いて110℃で乾燥し、横方向に145℃で3.7倍に延伸し、233℃で熱固定した後あに、180℃から90℃まで段階的にフィルムを冷却しつつ、テンター内にて横方向に3.5%弛緩熱処理を行い、厚さ125μm、塗布層厚さ70nmの輝度向上シート用ポリエステルフィルムを得た。評価結果を表2に示す。
さらに、得られたポリエステルフィルムに、紫外線硬化型アクリル樹脂を用いてプリズムレンズ層を形成し輝度向上シートを得た。評価結果を表2に示す。
溶融ポリエチレンテレフタレート([η]=0.62dl/g、Tg=78℃)をダイより押出し、常法により冷却ドラムで冷却して未延伸フィルムとし、次いでその両面に表1に示す塗剤の濃度7%の水性塗液をロールコーターで均一に塗布した。この塗布フィルムを引き続いて85℃で乾燥し、110℃で同時に縦方向に3.4倍、横方向に3.6倍に延伸し、225℃で熱固定した後、190℃にて縦方向および幅方向にそれぞれ2.5%弛緩熱処理し、厚さ125μm、塗布層厚さ65nmの輝度向上シート用ポリエステルフィルムを得た。評価結果を表2に示す。
さらに、得られたポリエステルフィルムに、紫外線硬化型アクリル樹脂を用いてプリズムレンズ層を形成し輝度向上シートを得た。評価結果を表2に示す。
表1に記載の塗剤を用いて塗膜を形成し、フィルムの厚さを188μmとする他は実施例2と同様にして、輝度向上シート用ポリエステルフィルムを得て、さらにこれを用いて輝度向上シートを作成した。評価結果を表2に示す。
表1に記載の塗剤を用いて所定の厚みの塗膜を形成する他は実施例1と同様にして、輝度向上シートを作成した。評価結果を表2に示す。
表1に記載の塗剤を用いて所定の厚みの塗膜を形成する他は実施例1と同様にして、輝度向上シート用ポリエステルフィルムを得て、さらにこれを用いて輝度向上シートを作成した。評価結果を表2に示す。
塗布層を形成することなく、塗布層を設けていない面に直接プリズム層を設けた他は実施例1と同様にして輝度向上シート用ポリエステルフィルムを得て、さらにこれを用いて輝度向上シートを作成した。評価結果を表2に示す。
なお、得られた輝度向上シートはベースフィルムとプリズムレンズ層との密着性が悪く、輝度向上シートとして満足に使用できないものであった。
アクリル樹脂:
メチルメタクリレート60モル%/エチルアクリレート30モル%/2−ヒドロキシエチルアクリレート5モル%/N−メチロールアクリルアミド5モル%で構成されている。
なお、アクリル樹脂は、特開昭63−37167号公報の製造例1〜3に記載の方法に準じて下記の通り製造した。すなわち、四つ口フラスコに、イオン交換水302重量部を仕込んで窒素気流中で60℃まで昇温させ、次いで重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.5重量部、亜硫酸水素ナトリウム0.2重量部を添加し、メチルメタクリレート46.7重量部、エチルアクリレート23.3重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート4.5重量部、N−メチロールアクリルアミド3.4重量部の混合物を3時間にわたり、液温が60〜70℃になるよう調整しながら滴下した。滴下終了後も同温度範囲に2時間保持しつつ、撹拌下に反応を継続させ、次いで冷却して固形分が25重量%のアクリル樹脂の水分散体を得た。
フッ化マグネシウム微粒子の水分散体 微粒子の屈折率1.38、平均粒子径10nm
(シーアイ化成社製 MFW15WT%−E10)
微粒子2:
フッ化マグネシウム微粒子の水分散体 微粒子の屈折率1.38、平均粒子径30nm
(シーアイ化成社製 MFDNB15WT%−G26)
微粒子3:
シリカ微粒子の水分散体 微粒子の屈折率1.45、平均粒子径38nm
(日産化学工業社製 スノーテックスST−OL)
微粒子4:
フッ化マグネシウム微粒子の水分散体 微粒子の屈折率1.38、平均粒子径220nm (シーアイ化成社製 MFW15WT%−E10)
滑り剤:
アクリルフィラー 平均粒子径170nm
(触媒化成工業社製 MX100W)
濡れ剤:
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル
(三洋化成社製 ナロアクティーN−70)
本発明の輝度向上シート用ポリエステルフィルムをベースフィルムに用いた輝度向上シートを用いると、輝度の高いバックライトユニットを得ることができ、液晶表示装置の面光源として好適に用いることができる。
Claims (5)
- ポリエステルフィルムおよびそのうえに設けられた塗布層からなり、塗布層がアクリル樹脂および平均粒子径1〜20nmかつ屈折率1.30〜1.40の微粒子からなることを特徴とする、輝度向上シート用ポリエステルフィルム。
- 微粒子がフッ化マグネシウムからなる、請求項1記載の輝度向上シート用ポリエステルフィルム。
- 塗布層を構成する塗液を塗布した後に逐次二軸延伸法にて延伸して製造された、請求項1記載の輝度向上シート用ポリエステルフィルム。
- 塗布層を構成する塗液を塗布した後に同時二軸延伸法にて延伸して製造された、請求項1記載の輝度向上シート用ポリエステルフィルム。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の輝度向上シート用ポリエステルフィルムのうえにプリズムレンズ層を設けた輝度向上シート。
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