JP5983158B2 - 光学用積層フィルム - Google Patents

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本発明は、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に樹脂層が設けられた積層フィルムに関する。さらに詳しくは、反射防止性、透明性、基材や積層体との密着性に優れ、より好ましくは、オリゴマー抑制性に優れた光学用積層フィルムに関する。さらには、屈折率調整フィルム(インデックスマッチングフィルム(以降IMフィルムと略称する))として用いた場合に、積層する透明導電層のパターンを見えにくくし、視認性を向上させることが出来る光学用積層フィルムに関する。
熱可塑性樹脂フィルム、中でも二軸延伸ポリエステルフィルムは、機械的性質、電気的性質、寸法安定性、透明性、耐薬品性などに優れた性質を有するため、磁気記録材料、包装材料などの多くの用途において広く使用されている。
ポリエステルフィルムは、特に近年、フラットパネルディスプレイ関係の表示材料をはじめとした各種光学用フィルムに用いられている。液晶表示装置(LCD)では、光源からの光が各種光学フィルムを透過する際に、光が散乱され、光線透過率が低下し輝度が低下する問題がある。フィルム表面での光の散乱を防止するため、次の様な構成が例示されている。例えば、屈折率の低いフッ素共重合体を表面に設ける構成(特許文献1)、高屈折率層および低屈折率層の2層を設ける構成、さらには中屈折率層、高屈折率層および低屈折率層の3層を設ける構成などがあり、この様な層構成とすることで反射防止性能を発現する反射防止フィルムが提案されている(特許文献2)。
また光学フィルムの一つである屈折率調整フィルム(IMフィルム)は、静電容量式のタッチパネルを用いた携帯電話、携帯音楽端末などの各種モバイル機器に搭載されている。IMフィルムは、ITO(Indium Tin Oxide)を代表とする材料から形成される透明導電層のパターンを見えにくくするため用いられる。IMフィルムは、反射防止フィルムと同様に屈折率の異なる層を積層し、光の干渉を利用して透過率、色目を制御することで、透明導電層のパターンを見えにくくし、表示材料の視認性を向上させるために設けられている。
このように複数の層を積層して表面での光の散乱を抑制するためには、各層の厚みを厳密に制御する必要があり、工程も複数設ける必要があることから、煩雑であり高コストとなる。
一方、加工工程での熱処理を施したり、表示装置を高温高湿度下に長期間保管したりする場合に、ポリエステルフィルムからのオリゴマーの析出が起こり、透過率が低下し視認性が悪化する問題もあった。
オリゴマー析出を抑える方法として、樹脂フィルム表面にアクリル変性ポリエステルを用いて塗膜を設ける方法(特許文献3〜4)、特定の官能基を有する樹脂や鉱油、架橋剤等の添加剤を樹脂層に添加する方法(特許文献5、6)などが提案されている。
透明導電層のパターンを見えにくくするIMフィルムを得る方法としては、透明プラスチックフィルムからなる基材上に、高屈折率層、低屈折率層及び透明導電層を積層する方法(特許文献7)などが提案されている。
特開2010−84067号公報 特開平10−300902号公報 特開平4−263937号公報 特開2003−012841号公報 特開2006−281498号公報 特開2002−127621号公報 特開2010−015861号公報
特許文献1のように、低屈折率の樹脂層を設ける方法があるが、フッ素を用いるため積層体との接着性が不良となる問題や、加工工程での熱処理を施した場合に、ポリエステルフィルムからのオリゴマーが析出し、透過率が低下する問題があった。一方、特許文献3〜4のようにフィルム表面に一定温度以上のガラス転移点を有するアクリル変性ポリエステルを設ける方法は、積層体との接着性や、オリゴマー抑制効果は得られるものの、アクリル変性ポリエステルの屈折率が高いため、反射率が高くなり、透過率が低下する問題があった。
また、特許文献5、6のように、鉱油や架橋剤等の添加剤を用いる方法は、樹脂層形成時や製膜後に、経時で樹脂層表層へ添加剤自体がブリードアウトしてしまい、オリゴマーが析出する場合と同様に、フィルムの白化やフィルム搬送時の工程の汚染などを引き起こしてしまう問題があった。
特許文献7では、IMフィルムを得る方法として、透明プラスチックフィルムからなる基材上に、高屈折率層、低屈折率層及び透明導電層を積層する方法が提案されているが、低屈折率層の積層方法はスパッタリングによるドライプロセスであるため、コストを高くする要因となる。また、特許文献7に記載の方法では、透明導電層のパターンを見えにくくし、視認性を向上させる効果が不十分であった。
そこで、本発明では上記の欠点を解消し、反射防止性、透明性、基材や積層体との密着性、さらにはオリゴマー抑制性に優れた光学用積層フィルムを提供することを目的とする。
また、ITOなどの材料から形成される透明導電層のパターンを見えにくくするIMフィルムとして好適に用いられる光学用積層フィルムを提供することを目的とする。
本発明は次の構成からなる。すなわち、
ポリエステルフィルムの少なくとも片側に樹脂層が設けられた積層フィルムであって、
該樹脂層は、少なくともシリカ粒子(B)とアクリル樹脂(D)を含有し、
該シリカ粒子が、中空粒子および/または孔を有する粒子であり、かつ、該シリカ粒子の数平均粒子径が30nm以上120nm以下であり、
該アクリル樹脂(D)が、下記式(1)で表される(メタ)アクリレートモノマー(d−1)と、下記式(2)で表される(メタ)アクリレートモノマー(d−2)を用いてなる樹脂であり、積層フィルムの樹脂層側の最小反射率が2.0%以下である光学用積層フィルムである。
Figure 0005983158
Figure 0005983158
本発明の積層フィルムは、反射防止性、透明性、基材や積層体との密着性、さらにはオリゴマー抑制性に優れる。また、本発明の積層フィルムをIMフィルムとして用いた場合には、積層するITOなどの透明導電層のパターンを見えにくくし、視認性を向上させることができる。
以下、本発明の積層フィルムについて詳細に説明する。
本発明は、基材フィルムとしてのポリエステルフィルムの少なくとも片側に樹脂層が設けられた積層フィルムであり、該樹脂層は、少なくともシリカ粒子(B)とアクリル樹脂(D)を含有し、該シリカ粒子が、中空粒子および/または孔を有する粒子であり、かつ、該シリカ粒子の数平均粒子径が30nm以上120nm以下であり、該アクリル樹脂(D)が、下記式(1)で表される(メタ)アクリレートモノマー(d−1)と、下記式(2)で表される(メタ)アクリレートモノマー(d−2)を用いてなる樹脂であり、積層フィルムの樹脂層側の最小反射率が2.0%以下である光学用積層フィルムである。
本発明の光学用積層フィルムは、反射防止フィルム、またはIMフィルムに特に好適に用いることが出来る。
そして、該樹脂層は、該シリカ粒子(B)の表面に前記アクリル樹脂(D)を有する粒子(BD)を含有することが好ましい。また、樹脂層におけるシリカ粒子(B)の含有量が、樹脂層全体に対して、15質量%以上50質量%以下であることが好ましい。そして、必要に応じて前記樹脂層が、オキサゾリン系化合物に由来する成分(e―1)および/またはカルボジイミド系化合物に由来する成分(e―2)、その他透明性や反射率を損なわない程度に易滑剤や界面活性剤等の種々の添加剤を含有していてもよい。
本発明の積層フィルムは、該積層フィルムの樹脂層側の最小反射率が2.0%以下であることが必要である。より好ましくは、1.5%以下、さらに好ましくは1.0%以下である。下限は特に限定されるものではないが、0.0%が実質的な下限となる。最小反射率を2.0%以下とすることで、ディスプレイ等の画像表示装置に用いる場合に、フィルム表面での光の散乱を防止することができ視認性が向上する。さらには高い透明性を必要とする透明易接着フィルムとして用いることもでき、汎用的な用途へも適用することができる。特に、本発明の積層フィルムをIMフィルムとして用いる場合は、該積層フィルムの樹脂層側の最小反射率を上述の範囲とすることが重要である。ITOに代表される透明導電層は黄色味を帯びている(色調b値が高い)ことが多いため、透明導電層を積層した透明導電積層体では、透明導電層のある部分と無い部分で色調(特に黄色味)に差が出てしまう。樹脂層側の反射率を上述の範囲とした積層フィルムをIMフィルムとして用いると、透明導電積層体において透明導電層のある部分の色調b値(b1)、透明導電層の無い部分の色調b値(b0)の差を小さくすることが出来、透明導電層を視認しにくくなるため好ましい。ここで、本発明における最小反射率とは、該樹脂層側の波長500nm以上650nm以下の範囲における反射率の最小値をさす。
本発明の積層フィルムの、該樹脂層側の波長500nm以上650nm以下の範囲における反射率の最小値を2.0%以下にするためには、該樹脂層中に、少なくともシリカ粒子(B)とアクリル樹脂(D)を含有し、かつ、該シリカ粒子の数平均粒子径が30nm以上120nm以下であることが必要である。下記式(1)で表される(メタ)アクリレートモノマー(d−1)と、下記式(2)で表される(メタ)アクリレートモノマー(d−2)を用いてなるアクリル樹脂(D)を含有することで、樹脂層を形成する過程において、該シリカ粒子(B)の凝集を抑制せしめることが可能になり、その結果、積層フィルムの透明性を向上させる(ヘイズを低減させる)ことが可能となる。
(1)アクリル樹脂(D)
本発明の積層フィルムにおける樹脂層は、少なくともシリカ粒子(B)とアクリル樹脂(D)を含有することが必要である。アクリル樹脂(D)を用いることで、樹脂層を形成する過程において、該シリカ粒子(B)の凝集を抑制せしめることが可能になり、その結果、積層フィルムの透明性を向上させることが可能となる。さらには、アクリル樹脂の屈折率は一般に低いため、樹脂層の屈折率が低くなり、該樹脂層側の反射率の最小値を低減させることが可能となる。
本発明の樹脂層に含有されるアクリル樹脂(D)は、下記式(1)で表される(メタ)アクリレートモノマー(d−1)と、下記式(2)で表される(メタ)アクリレートモノマー(d−2)を用いてなる(つまり、重合して得られる)樹脂であることが重要である。
Figure 0005983158
(上記式において、R基は、水素原子またはメチル基を表す。また上記式におけるnは、9以上34以下の整数を表す。)。
Figure 0005983158
(上記式において、R基は、水素原子またはメチル基を表す。また、R基は、飽和の炭素環を2つ以上有する官能基を表す。)。
(メタ)アクリレートモノマー(d−1)としては、好ましくは、下記式(1)におけるnが9以上34以下の整数で表される(メタ)アクリレートモノマーであり、より好ましくは11以上32以下の(メタ)アクリレートモノマー、更に好ましくは13以上30以下の(メタ)アクリレートモノマーである。
(メタ)アクリレートモノマー(d−1)は、下記式(1)におけるnが9以上34以下である(メタ)アクリレートモノマーであれば特に制限されないが、具体的にはデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、1−メチルトリデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート、テトラコシル(メタ)アクリレート、トリアコンチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、特にドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレートが好ましい。これらは1種で使用してもよく、2種以上の混合物を使用してもよい。
下記式(1)におけるnが9未満の(メタ)アクリレートモノマーを重合して得られるアクリル樹脂を用いると、水系溶媒(水系溶媒の詳細については、後述する。)中におけるシリカ粒子(B)の分散性が不安定となる。後述するように、本発明では、シリカ粒子、アクリル樹脂および水系溶媒を有してなる樹脂組成物を、基材となるポリエステルフィルム上に塗布し、乾燥することによって、樹脂層が形成されることが好ましい。そのため、下記式(1)におけるnが9未満の(メタ)アクリレートモノマーを重合して得られるアクリル樹脂を用いると、樹脂組成物中においてシリカ粒子が凝集または沈降したり、乾燥工程においてシリカ粒子(B)が凝集したりすることがある。その結果、透明性の良好な光学用積層フィルムを得ることができなくなる場合や、オリゴマー抑制性が不良となる場合がある。一方、下記式(1)におけるnが34を越える(メタ)アクリレートモノマーを重合して得られるアクリル樹脂は、水系溶媒への溶解性が著しく低いので、水系溶媒中においてアクリル樹脂の凝集が起こりやすくなる。かかる凝集体は、可視光の波長より大きいため、透明性の良好な光学用積層フィルムを得ることができなくなる場合やオリゴマー抑制性が不良となる場合がある。また、凝集体は樹脂層の均一な形成を阻害するため、オリゴマー抑制性や透明性が低下することがある。
飽和の炭素環を2つ以上含む官能基を有する(メタ)アクリレートモノマー(d−2)としては、架橋縮合環式(2つまたはそれ以上の環がそれぞれ2個の原子を共有して、結合した構造を有する)、スピロ環式(1個の炭素原子を共有して、2つの環状構造が結合した構造を有する)などの各種環状構造、具体的には、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ基などを有する化合物が例示でき、その中でも特にバインダーとの相溶性の観点から、ビシクロ基を含有する(メタ)アクリレートが好ましい。
上記ビシクロ基を含有する(メタ)アクリレートとしては、イソボニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、ジシロクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジメチルアダマンチル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、特にイソボルニル(メタ)アクリレートが好ましい。
飽和の炭素環を2つ以上含む官能基を有する(メタ)アクリレートモノマー(d−2)を含有することで、乾燥過程における該シリカ粒子(B)の凝集を抑制し、透明性を向上することが可能となる。
アクリル樹脂(D)を構成する、(メタ)アクリレートモノマー(d−1)と、(メタ)アクリレートモノマー(d−2)、の含有量は、樹脂層全体に対し、それぞれ5〜50質量%が好ましく、より好ましくは10〜45質量%、さらに好ましくは20〜40質量%である。さらにその他樹脂との相溶性を付与させるために、次のその他の(メタ)アクリレートモノマーを併用してもよい。その他の(メタ)アクリレートモノマーとしては、水酸基、カルボキシル基、3級アミノ基、4級アンモニウム塩基、スルホン酸基、リン酸基から選ばれる少なくとも1種の官能基を含有する(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。その他の(メタ)アクリレートモノマーの含有量は、0.1〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは、0.5〜25質量%であり、1〜20質量%である。
本発明の光学用積層フィルムを製造する際には、結晶配向が完了する前のポリエステルフィルムに、水系溶媒を含む樹脂組成物を塗布し、延伸、熱処理により結晶配向を完了させる方法が、好適に用いられる。高温での熱処理が可能であることや、より均一で薄膜の樹脂層を設けることができるためである。この方法によって樹脂層を形成する場合には、アクリル樹脂(D)は水系溶媒に溶解、乳化、あるいは懸濁し得る水系のものが環境汚染や防爆性の点で好ましい。このような、水に溶解、乳化または懸濁が可能なアクリル樹脂は、親水性基を有するモノマー(アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、ビニルスルホン酸およびその塩等)との共重合や反応性乳化剤や界面活性剤を用いた乳化重合、懸濁重合、ソープフリー重合等の方法によって作製することができる。
重合開始剤としては特に限定されるものではないが一般的なラジカル重合開始剤、例えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等の水溶性過酸化物、または過酸化ベンゾイルやt−ブチルハイドロパーオキサイド等の油溶性過酸化物、あるいはアゾジイソブチロニトリル等のアゾ化合物が使用できる。
(2)シリカ粒子(B)
本発明における積層フィルムの樹脂層は、少なくとも前記アクリル樹脂(D)に加えて、シリカ粒子(B)を含有することが必要である。該シリカ粒子(B)は、中空粒子および/または孔を有する粒子であり、かつ、該シリカ粒子の数平均粒子径が30nm以上120nm以下のシリカ粒子である。かかるシリカ粒子(B)を用いることで、樹脂層の屈折率を低くすることができ、樹脂層側の最小反射率を低減させることが可能になるとともに、シリカ粒子の数平均粒子径が可視光の波長より十分小さいため、積層フィルムの透明性を高めることが可能となる。
本発明における中空及び/または孔を有するシリカ粒子(B)とは、ケイ素化合物又は有機珪素化合物の重合(縮合)体のいずれかからなる組成物を含み成る粒子を指し、一般例として、SiOなどのケイ素化合物から導出される粒子の総称である。
該シリカ粒子(B)は、中空及び/または孔を有する粒子であることが重要である。(中空を有するシリカ粒子とは、粒子の内部に空洞を有するシリカ粒子であり、孔を有するシリカ粒子とは、貫通孔を有する粒子や、表面に開口孔を有する粒子である。)。
ここで、中空を有するシリカ粒子(B)と、孔を有するシリカ粒子(B)では、中空を有するシリカ粒子(B)の方が、粒子中の空隙の体積を大きくすることができ、シリカ粒子(B)の屈折率を低くすることができるためより好ましい。
ここで、該シリカ粒子(B)の数平均粒子径について説明する。ここで数平均粒子径とは、透過型電子顕微鏡(TEM)により求めた粒子径をいう。倍率は50万倍とし、その画面に存在する10個の粒子の外径を、10視野について合計100個の粒子を測定した数平均粒子径である。ここで外径とは、粒子の最大の径(つまり粒子の長径であり、粒子中の最も長い径を示す)を表し、内部に空洞を有する粒子の場合も同様に、粒子の最大の径を表す。
該シリカ粒子(B)の数平均粒子径が30nmよりも小さくなると、該樹脂層中における空隙の体積分率が低下することによる屈折率の上昇が起こることがあるため好ましくないことがある。粒子の数平均粒子径が小さくなると、粒子中の空隙の体積が減少する傾向があり、その結果、樹脂層中における空隙の体積分率が小さくなるためである。一方、該シリカ粒子(B)の数平均粒子径が120nmよりも大きくなると、屈折率の観点からは、該樹脂層中における空隙の体積分率が上昇することによる屈折率の低下が起こり好ましい。これは、粒子の数平均粒子径が大きくなると、粒子中の空隙の体積が増大する傾向があり、その結果、樹脂層中における空隙の体積分率が大きくなるためである。しかしながら、数平均粒子径が120nmよりも大きくなると、透明性の観点からは、光が散乱する起点となりヘイズが上昇するため好ましくない。該シリカ粒子(B)は、数平均粒子径が30nm以上120nm以下である。好ましくは40nm以上100nm以下、より好ましくは50nm以上80nm以下である。
また、シリカ粒子(B)は、その表面の一部または全部にアクリル樹脂(D)を有する粒子(BD)であることが、より好ましい(なお、粒子(BD)を含有する樹脂層は、シリカ粒子(B)とアクリル樹脂(D)を当然に含有することになる)。樹脂層が、かかる粒子(BD)を含有することにより、後述する樹脂組成物を用いて樹脂層を形成する際に、乾燥過程におけるシリカ粒子(B)や粒子(BD)の凝集を抑制し、更に透明性を向上することが可能となるためである。
粒子(BD)の製造方法は特に限定されるものではないが、シリカ粒子(B)をアクリル樹脂(D)で表面処理する方法などを挙げることができ、具体的には、以下の(i)〜(iv)の方法が例示される。なお、本発明において、表面処理とは、シリカ粒子(B)の表面の全部または一部にアクリル樹脂(D)を吸着・付着させる処理をいう。
(i)シリカ粒子(B)とアクリル樹脂(D)をあらかじめ混合した混合物を溶媒中に添加した後、分散する方法。
(ii)溶媒中に、シリカ粒子(B)とアクリル樹脂を順に添加して分散する方法。
(iii)溶媒中に、シリカ粒子(B)とアクリル樹脂(D)をあらかじめ分散し、えられた分散体を混合する方法。
(iv)溶媒中に、シリカ粒子(D)を分散した後、得られた分散体に、アクリル樹脂(D)を添加する方法。
これらのいずれの方法によっても目的とする効果を得ることができる。
また、分散を行う装置としては、ディゾルバー、ハイスピードミキサー、ホモミキサー、ミーダー、ボールミル、ロールミル、サンドミル、ペイントシェーカー、SCミル、アニュラー型ミル、ピン型ミル等が使用できる。
また、分散方法としては、上記装置を用いて、回転軸を周速5〜15m/sで回転させる。回転時間は5〜10時間である。
また、分散時に、ガラスビーズ等の分散ビーズを用いることが分散性を高める点でより好ましい。ビーズ径は、好ましくは0.05〜0.5mm、より好ましくは0.08〜0.5mm、特に好ましくは0.08〜0.2mmである。
混合、攪拌する方法は、容器を手で振って行ったり、マグネチックスターラーや攪拌羽根を用いたり、超音波照射、振動分散などを行うことができる。
なお、シリカ粒子(B)の表面の全部または一部への、アクリル樹脂(D)の吸着・付着の有無は、次の分析方法により確認可能である。測定対象物(例えば、シリカ粒子(B)を含む樹脂組成物)を、日立卓上超遠心機(日立工機株式会社製:CS150NX)により遠心分離を行い(回転数30000rpm、分離時間30分)、シリカ粒子(B)(及びシリカ粒子(B)の表面に吸着したアクリル樹脂(D))を沈降させた後、上澄み液を除去し、沈降物を濃縮乾固する。濃縮乾固した沈降物をX線光電子分光法(XPS)により分析し、シリカ粒子(B)の表面におけるアクリル樹脂(D)の有無を確認する。シリカ粒子(B)の表面にアクリル樹脂(D)の存在が確認された場合、シリカ粒子(B)の表面に、アクリル樹脂(D)が吸着・付着しているものとする。
また、光学用積層フィルムの樹脂層における、粒子(BD)の含有の有無は、光学用積層フィルムの樹脂層側からアルゴンイオンにより1nm/minのエッチング速度(SiO換算)でエッチングしながらXPSを用いることにより、確認することができる。すなわち、シリカ粒子(B)の表面にアクリル樹脂(D)の存在が確認された場合、当該シリカ粒子(B)は粒子(BD)である。
(3)シリカ粒子(B)の含有量
樹脂層におけるシリカ粒子(B)の含有量が、樹脂層全体に対して、15質量%以上50質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、20質量%以上45質量%以下、さらに好ましくは25質量%以上40質量%以下である。シリカ粒子(B)の含有量を、樹脂層全体に対して、15質量%以上50質量%以下とすることで、該樹脂層の造膜性を損なうことなく、樹脂層の屈折率を低減することができる。その結果、所望の透明性、反射防止性を十分に発現させることが可能となる。
(4)オキサゾリン系化合物に由来する成分(e―1)および/またはカルボジイミド系化合物に由来する成分(e−2)
本発明における積層フィルムの樹脂層は、少なくとも前記シリカ粒子(B)、アクリル樹脂(D)を含有し、さらにオキサゾリン系化合物に由来する成分(e−1)および/またはカルボジイミド系化合物に由来する成分(e―2)を含有することが好ましい。
本発明におけるオキサゾリン系化合物に由来する成分(e−1)とは、次に述べるオキサゾリン系化合物(e’−1)のみならず、オキサゾリン系化合物(e’−1)がアクリル樹脂(D)、(D)以外のアクリル樹脂またはカルボジイミド系化合物(e’−2)などと架橋構造を形成する場合は、オキサゾリン系化合物(e’−1)に由来する成分(例えば残基など)を含むことを意味するものである。
オキサゾリン系化合物(e’−1)としては、オキサゾリン基またはオキサジン基を1分子当たり少なくとも1つ以上有するものであれば特に限定されないが、付加重合性オキサゾリン基含有モノマーを単独で重合、もしくは他のモノマーとともに重合した高分子型が好ましい。高分子型のオキサゾリン化合物を用いることで、樹脂層の透明性を損なうことなく、耐水性、耐溶剤性が高まるのに加え、各種ハードコート層などの積層体との接着性、オリゴマー抑制性が高まるためである。
付加重合性オキサゾリン基含有モノマーとしては、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリンを挙げることができる。これらは、1種で使用してもよく、2種以上の混合物を使用してもよい。これらの中でも、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的にも入手しやすく好適である。他のモノマーは、付加重合性オキサゾリン基含有モノマーと共重合可能なモノマーであれば制限なく、例えばアルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2ーエチルヘキシル基、シクロヘキシル基)等の(メタ)クリル酸エステル類やアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、スチレンスルホン酸及びその塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第三級アミン塩等)等の不飽和カルボン酸類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド、N、N−ジアルキルアクリルアミド、N、N−ジアルキルメタクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)等の不飽和アミド類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸のエステル部にポリアルキレンオキシドを付加させたもの等のビニルエステル類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等の含ハロゲンα、β−不飽和モノマー類、スチレン、α−メチルスチレン、等のα、β−不飽和芳香族モノマー等を挙げることができ、これらの1種または2種以上のモノマーを使用することができる。
本発明におけるカルボジイミド系化合物に由来する成分(e−2)とは、次に述べるカルボジイミド系化合物(e’―2)のみならず、カルボジイミド系化合物(e’―2)がアクリル樹脂(D)、(D)以外のアクリル樹脂またはオキサゾリン系化合物(e’−1)などと架橋構造を形成する場合は、カルボジイミド系化合物(e’―2)に由来する成分(例えば残基など)を含むことを意味するものである。
カルボジイミド系化合物(e’−2)としては、例えば、下記式(3)で表されるカルボジイミド構造を1分子当たり少なくとも1つ以上有するものであれば特に限定されないが、透明性や、各種ハードコート層などの積層体との接着性、オリゴマー抑制性などの点で、1分子中に2つ以上を有するポリカルボジイミド化合物が特に好ましい。
Figure 0005983158
特に、ポリエステル樹脂やアクリル樹脂などのポリマーの末端や側鎖に、複数個のカルボジイミド基を有する、高分子型のイソシアネート化合物を用いると、樹脂層の透明性を損なうことなく、耐水性、耐溶剤性が高まるのに加えて、各種ハードコート層を積層した場合の接着性が高まるためである。
カルボジイミド系化合物の製造は公知の技術を適用することができ、一般的には、ジイソシアネート化合物を触媒存在下で重縮合することにより得られる。ポリカルボジイミド化合物の出発原料であるジイソシアネート化合物としては、芳香族、脂肪族、脂環式ジイソシアネートなどを用いることができ、具体的にはトリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルジイソシアネートなどを用いることができる。更に本発明の効果を消失させない範囲において、ポリカルボジイミド化合物の水溶性や水分散性を向上するために、界面活性剤を添加することや、ポリアルキレンオキシド、ジアルキルアミノアルコールの四級アンモニウム塩、ヒドロキシアルキルスルホン酸塩などの親水性モノマーを添加しても用いてもよい。
本発明において、オキサゾリン系化合物に由来する成分(e―1)および/またはカルボジイミド系化合物に由来する成分(e−2)は、シリカ粒子(B)と、アクリル樹脂(D)の効果を損なわなければ任意の量を用いることが可能である。オキサゾリン系化合物に由来する成分(e―1)の原料であるオキサゾリン系化合物(e’―1)、またカルボジイミド系化合物に由来する成分(e―2)の原料であるカルボジイミド系化合物(e’―2)の量は、シリカ粒子(B)とアクリル樹脂(D)の合計100質量部に対して5〜50質部が好ましく、より好ましくは10〜30質量部である。5質量部以上とすることで、樹脂層中において、オキサゾリン系化合物に由来する成分(e−1)および/またはカルボジイミド系化合物に由来する成分(e−2)の効果を発現することが可能となる。
またオキサゾリン系化合物に由来する成分(e―1)および/またはカルボジイミド系化合物に由来する成分(e−2)に加え、他の化合物、例えば、メラミン化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、アミドエポキシ化合物、チタンキレートなどのチタネート系カップリング剤、メチロール化あるいはアルキロール化した尿素系化合物、アクリルアミド系化合物などを任意で用いることもできる。
(5)(D)以外のアクリル樹脂
本発明における該樹脂層は、少なくともシリカ粒子(B)とアクリル樹脂(D)以外に、
(D)以外のアクリル樹脂を含んでいてもよい。(D)以外のアクリル樹脂としては、次のモノマーの1種もしくは2種以上を用いた共重合体が例示される。(D)以外のアクリル樹脂を構成するモノマー成分としては、例えば、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ラウリル基、ステアリル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、フェニルエチル基等)、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のヒドロキシ基含有モノマー、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド等のアミド基含有モノマー、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート等のエポキシ基含有モノマー、アクリル酸、メタクリル酸及びそれらの塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等)等のカルボキシル基またはその塩を含有するモノマーなどを用いることができ、これらは1種もしくは2種以上を用いて共重合される。更に、これらは他種のモノマーと併用することができる。
他種のモノマーとしては、例えば、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有モノマー、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸及びそれらの塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)等のスルホン酸基またはその塩を含有するモノマー、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸及びそれらの塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)等のカルボキシル基またはその塩を含有するモノマー、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物を含有するモノマー、ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート、スチレン、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルトリスアルコキシシラン、アルキルマレイン酸モノエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アルキルイタコン酸モノエステル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、塩化ビニル等を用いることができる。
本発明において用いられる(D)以外のアクリル樹脂のガラス転移点(Tg)は特に限定されるものではないが、好ましくは0℃以上90℃以下、より好ましくは10℃以上80℃以下である。Tgが低いアクリル樹脂(A)を用いる場合は接着性が劣る傾向があり、逆に高すぎる場合には延伸時に亀裂を生じることがあるため好ましくない。
また、該アクリル樹脂の分子量は10万以上が好ましく、より好ましくは30万以上とするのが接着性の観点から好ましい。
本発明において用いられる好ましい(D)以外のアクリル樹脂としては、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、グリシジルメタクリレート、アクリル酸から選ばれる共重合体等である。
アクリル樹脂(D)と同様に、(D)以外のアクリル樹脂は水に溶解、乳化、あるいは懸濁し得る水系のものが環境汚染や防爆性の点で好ましい。このような水系アクリル樹脂は、親水性基を有するモノマー(アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、ビニルスルホン酸およびその塩等)との共重合や反応性乳化剤や界面活性剤を用いた乳化重合、懸濁重合、ソープフリー重合等の方法によって作製することができる。
重合開始剤としては特に限定されるものではないが一般的なラジカル重合開始剤、例えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等の水溶性過酸化物、または過酸化ベンゾイルやt−ブチルハイドロパーオキサイド等の油溶性過酸化物、あるいはアゾジイソブチロニトリル等のアゾ化合物が使用できる。
(6)ポリエステルフィルム
本発明の積層フィルムにおいて、基材フィルムとして用いられるポリエステルフィルムについて述べる。まずポリエステルとは、エステル結合を主鎖に有する高分子の総称であって、エチレンテレフタレート、プロピレンテレフタレート、エチレン−2,6−ナフタレート、ブチレンテレフタレート、プロピレン−2,6−ナフタレート、エチレン−α,β−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4‘−ジカルボキシレートなどから選ばれた少なくとも1種の構成成分とするものを好ましく用いることができる。
上記ポリエステルを使用したポリエステルフィルムは、二軸配向されたものであるのが好ましい。二軸配向ポリエステルフィルムとは、一般に、未延伸状態のポリエステルシート又はフィルムを長手方向および長手方向に直行する幅方向に各々2.5〜5倍程度延伸され、その後、熱処理を施されて、結晶配向が完了されたものであり、広角X線回折で二軸配向のパターンを示すものをいう。ポリエステルフィルムが二軸配向していない場合には、熱安定性、特に寸法安定性や機械的強度が不十分であったり、平面性の悪いものとなったりするため好ましくない。
また、ポリエステルフィルム中には、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機系易滑剤、顔料、染料、有機又は無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤などがその特性を悪化させない程度に添加されていてもよい。
ポリエステルフィルムの厚みは特に限定されるものではなく、用途や種類に応じて適宜選択されるが、機械的強度、ハンドリング性などの点から、通常は好ましくは10〜500μm、より好ましくは38〜250μm、最も好ましくは75〜150μmである。また、ポリエステルフィルムは、共押出しによる複合フィルムであってもよいし、得られたフィルムを各種の方法で貼り合わせたフィルムであっても良い。
(7)樹脂組成物および樹脂組成物の調整方法
本発明にて用いられる樹脂組成物とは、少なくとも前記シリカ粒子(B)と前記アクリル樹脂(D)を含有し、該シリカ粒子が中空粒子および/または孔を有する粒子であり、かつ、該シリカ粒子の数平均粒子径が30nm以上120nm以下である樹脂を有してなる組成物である。
必要に応じて、(D)以外のアクリル樹脂、オキサゾリン系化合物(e’−1)および/またはカルボジイミド系化合物(e’―2)、に加え、他の化合物、例えば、メラミン化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、アミドエポキシ化合物、チタンキレートなどのチタネート系カップリング剤、メチロール化あるいはアルキロールかした尿素系化合物、アクリルアミド系化合物などを含んでいてもよい。
また、各種添加剤、例えば、有機系易滑剤、有機又は無機の微粒子、帯電防止剤などがその特性を悪化させない程度に添加されていてもよい。
水系溶媒を用いた樹脂組成物は、少なくとも水分散化または水溶化したアクリル樹脂(D)、中空及び/または孔を有するシリカ粒子(B)を、(D)、(B)の順に添加し一度分散を行い、シリカ粒子(B)の表面に、アクリル樹脂(D)を吸着させた後、水系溶媒を所望の質量比で混合、攪拌することで作製することができる。次いで、必要に応じて(D)以外のアクリル樹脂、オキサゾリン系化合物(e’―1)、カルボジイミド系化合物(e’―2)や、各種添加剤(易滑剤、無機粒子、有機粒子、界面活性剤、酸化防止剤など)を、上記樹脂組成物に所望の質量比で混合、攪拌することで作製することができる。
シリカ粒子(B)にアクリル樹脂(D)を加え、分散を行う方法としては、ペイントシェーカー、SCミル、アニュラー型ミル、ピン型ミル等を用いて通常周速5〜15m/sで回転させる。回転時間は5〜10時間である。分散時に、ガラスビーズ等の分散ビーズを用いることが分散性を高める点で好ましい。ビーズ径は、好ましくは0.05〜0.5mm、より好ましくは0.08〜0.5mm、特に好ましくは0.08〜0.2mmである。
混合、撹拌する方法は、容器を手で振って行ったり、マグネチックスターラーや撹拌羽根を用いたり、超音波照射、振動分散などを行うことができる。
水分散化または水溶化したアクリル樹脂(B)は、アクリル樹脂と、親水性基を有するモノマー(アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、ビニルスルホン酸およびその塩等)との共重合、反応性乳化剤や界面活性剤を用いた乳化重合、懸濁重合、ソープフリー重合等の方法によって作製することができる。
重合開始剤としては特に限定されるものではないが一般的なラジカル重合開始剤、例えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等の水溶性過酸化物、または過酸化ベンゾイルやt−ブチルハイドロパーオキサイド等の油溶性過酸化物、あるいはアゾジイソブチロニトリル等のアゾ化合物が使用できる。
(8)樹脂層の形成方法および光学用積層フィルムの製造方法
本発明では、少なくともシリカ粒子(B)とアクリル樹脂(D)とを含有する樹脂組成物をポリエステルフィルム上へ塗布し、樹脂組成物が溶媒を含む場合には、溶媒を乾燥させることによって、ポリエステルフィルム上に樹脂層を形成することができる。
また本発明において、樹脂組成物に溶媒を含有せしめる場合は、溶媒として水系溶媒を用いることが好ましい。水系溶媒を用いることで、乾燥工程での溶媒の急激な蒸発を抑制でき、均一な組成物層を形成できるだけでなく、環境負荷の点で優れているためである。
ここで、水系溶媒とは、水、または水とメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類など水に可溶である有機溶媒が任意の比率で混合させているものを指す。
樹脂組成物のポリエステルフィルムへの塗布方法はインラインコート法であるのが重要である。インラインコート法とは、ポリエステルフィルムの製造の工程内で塗布を行う方法である。具体的には、ポリエステル樹脂を溶融押し出ししてから二軸延伸後熱処理して巻き上げるまでの任意の段階で塗布を行う方法を指し、通常は、溶融押出し後・急冷して得られる実質的に非晶状態の未延伸(未配向)ポリエステルフィルム(Aフィルム)、その後に長手方向に延伸された一軸延伸(一軸配向)ポリエステルフィルム(Bフィルム)、またはさらに幅方向に延伸された熱処理前の二軸延伸(二軸配向)ポリエステルフィルム(Cフィルム)の何れかのフィルムに塗布する。
本発明では、結晶配向が完了する前の上記Aフィルム、Bフィルム、の何れかのポリエステルフィルムに、樹脂組成物を塗布し、その後、ポリエステルフィルムを一軸方向又は二軸方向に延伸し、溶媒の沸点より高い温度で熱処理を施しポリエステルフィルムの結晶配向を完了させるとともに樹脂層を設ける方法を採用することが好ましい。この方法によれば、ポリエステルフィルムの製膜と、樹脂組成物の塗布乾燥(すなわち、樹脂層の形成)を同時に行うことができるために製造コスト上のメリットがある。また、塗布後に延伸を行うために樹脂層の厚みをより薄くすることが容易である。
中でも、長手方向に一軸延伸されたフィルム(Bフィルム)に、樹脂組成物を塗布し、その後、幅方向に延伸し、熱処理する方法が優れている。未延伸フィルムに塗布した後、二軸延伸する方法に比べ、延伸工程が1回少ないため、延伸による組成物層の欠陥や亀裂が発生しづらく、透明性や平滑性に優れた組成物層を形成できるためである。
本発明において該樹脂層は、上述した種々の利点から、インラインコート法により設けられることが重要である。ここで、ポリエステルフィルムへの樹脂組成物の塗布方式は、公知の塗布方式、例えばバーコート法、リバースコート法、グラビアコート法、ダイコート法、ブレードコート法等の任意の方式を用いることができる。
よって、本発明において最良の樹脂層の形成方法は、水系溶媒を用いた樹脂組成物を、ポリエステルフィルム上にインラインコート法を用いて塗布し、乾燥、熱処理することによって形成する方法である。またより好ましくは、一軸延伸後のBフィルムに樹脂組成物をインラインコートする方法である。本発明の積層フィルムの製造方法において、乾燥は樹脂組成物の溶媒の除去を完了させるために、80〜130℃の温度範囲で実施することができる。また、熱処理はポリエステルフィルムの結晶配向を完了させるとともに樹脂組成物の熱硬化を完了させ樹脂層の形成を完了させるために、160〜240℃の温度範囲で実施することができる。
さらに樹脂組成物の固形分濃度は10質量%以下であることが好ましい。固形分濃度が10質量%以下とすることにより、樹脂組成物に良好な塗布性を付与でき、透明かつ均一な組成物層を設けた積層フィルムを製造することができる。
なお、固形分濃度とは、樹脂組成物の質量に対して、樹脂組成物の質量から溶媒の質量を除いた質量が占める割合を表す(つまり、[固形分濃度]=[(樹脂組成物の質量)−(溶媒の質量)]/[樹脂組成物の質量] である)。
次に、本発明の積層フィルムの製造方法について、ポリエステルフィルムとしてポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略す。)フィルムを用いた場合を例にして説明するが、これに限定されるものではない。まず、PETのペレットを十分に真空乾燥した後、押出機に供給し、約280℃でシート状に溶融押し出し、冷却固化せしめて未延伸(未配向)PETフィルム(Aフィルム)を作製する。このフィルムを80〜120℃に加熱したロールで長手方向に2.5〜5.0倍延伸して一軸配向PETフィルム(Bフィルム)を得る。このBフィルムの片面に所定の濃度に調製した本発明の樹脂組成物を塗布する。
この時、塗布前にPETフィルムの塗布面にコロナ放電処理等の表面処理を行ってもよい。コロナ放電処理等の表面処理を行うことで、樹脂組成物のPETフィルムへの濡れ性が向上し、樹脂組成物のはじきを防止し、均一な塗布厚みの樹脂層を形成することができる。塗布後、PETフィルムの端部をクリップで把持して80〜130℃の熱処理ゾーン(予熱ゾーン)へ導き、樹脂組成物の溶媒を乾燥させる。乾燥後幅方向に1.1〜5.0倍延伸する。引き続き160〜240℃の熱処理ゾーン(熱固定ゾーン)へ導き1〜30秒間の熱処理を行い、結晶配向を完了させる。
この熱処理工程(熱固定工程)で、必要に応じて幅方向、あるいは長手方向に3〜15%の弛緩処理を施してもよい。かくして得られた積層フィルムは透明かつ反射防止性に優れた積層フィルムとなる。
本発明における該樹脂層の厚みとしては、70nm以上150nm以下であることが好ましい。より好ましくは、80nm以上140nm以下であり、さらに好ましくは90nm以上130nm以下である。該樹脂層の厚みを、70nm以上150nm以下とすることにより、干渉効果により反射防止性を十分に発現させることが可能となる。
また、本発明の積層フィルムをIMフィルムとして用いる場合は、低屈折率層の厚みが10nm以上200nm以下であることが好ましく、10nm以上100nm以下であることがより好ましく、10nm以上50nm以下であることが特に好ましい。低屈折率層の厚みが10nm未満、あるいは200nmを超えると、屈折率を調整する効果が不十分となり、透明導電層のパターンの形状が目立ち、視認性が不十分となる場合がある。
[特性の測定方法および効果の評価方法]
本発明における特性の測定方法および効果の評価方法は次のとおりである。
(1)全光線透過率・初期ヘイズ評価
全光線透過率および初期ヘイズの測定は、常態(23℃、相対湿度50%)において、積層フィルムサンプルを40時間放置した後、日本電色工業(株)製濁度計「NDH5000」を用いて、全光線透過率の測定はJIS「プラスチック透明材料の全光線透過率の試験方法」(K7361−1、1997年版)、初期ヘイズの測定はJIS「透明材料のヘーズの求め方」(K7136 2000年版)に準ずる方式で行った。なお、サンプルの樹脂層が積層された面側から光を照射して測定した。サンプルは一辺50mmの正方形のものを10サンプル準備し、それぞれ1回ずつ、合計10回測定した平均値をサンプルのヘイズ値とした。
(2)加熱処理評価(加熱処理後Δヘイズ)
積層フィルムサンプルを金属枠に4辺で固定し、150℃(風量ゲージ「7」)に設定したエスペック(株)製熱風オーブン「HIGH−TEMP−OVEN PHH−200」に金属枠に固定したサンプルを熱風オーブン内の床に対して立てて入れ1時間加熱し、その後空冷で1時間放置した。ここでポリエステルフィルムの片側にのみ樹脂層を形成させた積層フィルムサンプルは、樹脂層と反対にあるポリエステルフィルムの面を、アセトンを含ませた不織布(小津産業(株)製、ハイゼガーゼNT−4)にて拭き取り、さらにアセトンで流し常態で40時間放置乾燥させ、樹脂層とは反対にあるポリエステルフィルム面から析出したオリゴマーを除去した。その後、サンプルを前項(1)に記載の透過率・初期ヘイズ測定方法により加熱後のヘイズ値を測定し、熱処理前後の樹脂層片面のヘイズ値の差(Δ)をΔヘイズ値として評価した。またポリエステルフィルム両面に樹脂層を形成させた積層フィルムサンプルは熱風オーブンでの加熱後、サンプルを常態で40時間放置したのち前項(1)に記載の透過率・ヘイズ測定方法により加熱後のヘイズ値を測定し、熱処理前後のヘイズ値の差を半分(50%)にした値を樹脂層片面のヘイズ値の差(Δ)とし、これをΔヘイズ値として評価した。測定は、合計10回測定した平均値をサンプルのヘイズ値とした。
<Δヘイズ値>
◎:2.0%未満
○:2.0%以上2.5%未満
△:2.5%以上〜3.0%未満
×:3.0%以上
尚、加熱処理評価は「○」を良好とした。
(3)最小反射率
A4カットサイズに裁断したフィルムシートを縦横それぞれ3分割し、合計9点を測定サンプルとして用いた。長辺側を長手方向とした。分光反射率の測定は、測定面(該樹脂層)の裏面に50mm幅の黒色光沢テープ(ヤマト(株)製 ビニ−ルテープNo.200−50−21:黒)を、気泡を噛みこまないようにサンプルとテープの長手方向を合わせて貼り合わせた後、約4cm角のサンプル片に切り出し、分光光度計(島津製作所(株)製 UV2450)に入射角5°での分光反射率を測定した。サンプルを測定器にセットする方向は、測定器の正面に向かって前後の方向にサンプルの長手方向を合わせた。なお反射率を基準化するため、標準反射板として付属のAl板を用いた。最小反射率は、波長500nmから650nmにおける樹脂層側の最小の反射率を求めた。なお、測定値には、9点の平均値を用いた。
(4)積層体との接着性
積層ポリエステルフィルムの樹脂層側に、下記の割合で混合したUV硬化型樹脂を、バーコーターを用いて硬化後の膜厚が2μmとなるように均一に塗布した。
・ウレタンアクリレート(新中村化学(株)製 UA122P):80重量部
・ポリエステルアクリレート(日本化薬(株)製“カヤラッド”DPHA):10重量部
・ポリエステルアクリレート(日本化薬(株)製“カヤラッド”PETA):10重量部
・シリコーンオイル(東レダウコーニングシリコーン(株)製 SH190):3重量部
・光重合開始剤(長瀬産業(株)社製“イルガキュア”184):3重量部。
次いで、UV硬化樹脂層を積層した面から9cmの高さにセットした120W/cmの照射強度を有する集光型高圧水銀灯(アイグラフィックス(株)製 H03−L31)で、積算照射強度が300mJ/cmとなるように紫外線を照射し、硬化させ、積層ポリエステルフィルム上にハードコート層を積層されたハードコート積層ポリエステルフィルムを得た。得られたハードコート積層ポリエステルフィルムについて、得られたハードコート積層ポリエステルフィルムのハードコート積層面に、1mmのクロスカットを100個入れ、“セロテープ”(登録商標)(ニチバン(株)製CT405AP)を貼り付け、ハンドローラーで1.5kg/cmの荷重で押しつけた後、ハードコート積層ポリエステルフィルムに対して90度方向に急速に剥離した。接着性は残存したクロスカットの個数により、4段階評価を行った。×は実用上問題のあるレベル、△は実用レベルであり、○と◎のものは良好とした。
◎ :90〜100個残存
○ :80〜89個残存
△ :50〜79個残存
× :0〜50個未満残存。
(5)数平均粒子径
シリカ粒子(B)の数平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)により積層フィルムの断面構造を観察することにより求めた。倍率を50万倍とし、その画面内に存在する10個の粒子の外径を、10視野について合計100個の粒子を測定し、その平均粒子径を求めた。画面内に10個の粒子が存在しない場合は、同じ条件で別の箇所を観察し、その画面内に存在する粒子の外径を測定して、合計で100個の粒子の外径を測定して平均値とした。ここで外径とは、粒子の最大の径(つまり粒子の長径であり、粒子中の最も長い径を示す)を表し、内部に空洞を有する粒子の場合も同様に、粒子の最大の径を表す。
(6)樹脂層の膜厚
透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて断面を観察することにより、ポリエステルフィルム上の樹脂層の厚みを測定した。樹脂層の厚みは、TEMにより20万倍の倍率で撮影した画像から樹脂層の厚みを読み取った。合計で20点の樹脂層厚みを測定して平均値とした。
(7)反射防止フィルム特性評価(視認性)
樹脂層の表面を上にして積層フィルムの下にカラー写真を置き、積層フィルムを通して写真を見た場合の画像の鮮明度とムラを目視で観察し、本発明の積層フィルムを反射防止フィルムとして用いたときの反射防止特性(Anti−Refrection性(AR性))を評価した。○以上を良好と判断した。
像が鮮明に見える : ◎
わずかに像がぼやけるがムラがない: ○
像がぼやける部分が混在する : △
全体に像がぼやける : ×。
(8)IMフィルム特性評価
本発明の積層フィルムをIMフィルムとして用いた透明導電層積層体を作成し、透明導電層積層体の色調(カラーb値)と視認性評価を行い、IMフィルムとしての特性を評価した。透明導電層積層体の作製は以下のとおり行った。
[透明導電層の形成]
本発明の光学用積層フィルムの樹脂層上にインジウム−スズ複合酸化物(ITO)からなる透明導電性層を成膜した。このとき、スパッタリング前の圧力を0.0001Paとし、ターゲットとして酸化スズを36質量%含有した酸化インジウム(住友金属鉱山株式会社製、密度6.9g/cm)を用いて、2W/cmの直流(DC)電力を印加した。また、Arガスを130sccm、Oガスを表面抵抗値が最小となる流速で流し、0.4Paの雰囲気下でDCマグネトロンスパッタリング法を用いて成膜した。DC電力としては、アーク放電を防止するために、日本イーエヌアイ製PRG−100を用いて5μs幅のパルスを50kHz周期で印加した。また、センターロール温度は10℃として、スパッタリングを行った。
また、雰囲気の酸素分圧をスパッタプロセスモニター(LEYBOLD INFICON社製、XPR2)にて常時観測しながら、インジウム−スズ複合酸化物膜中の酸化度が一定になるように酸素ガスの流量計及びDC電源にフィードバックした。以上のようにして、本発明の光学用積層フィルムの樹脂層上に、厚さ30nm、屈折率1.96のインジウム−スズ複合酸化物からなる透明導電層を積層させた透明導電層積層体を作製した。
[透明導電層積層体の透明導電層のパターニング]
透明導電層積層体の透明導電層側に、苛性ソーダ1%液で現像が可能なネガタイプのアクリル系感光層であるドライフィルムレジストを厚み10nmで設けた表面に、ストライプ状のパターンを有するマスクを静置して、メタルハライドランプにより露光し、苛性ソーダ1%液に浸して現像した。次いで、塩化第二鉄のエッチング液により、ドライフィルムレジスト層が積層されていない部分の透明導電層をエッチング除去し、平均線幅20μmの透明導電層にストライプ状パターンを形成した。
[透明導電層積層体の色調(Lab表色系におけるb値)]
透明導電層積層体の透明導電層のある部分と透明導電層のない部分の色調(Lab表色系におけるb値)を、JIS−KL7105(1981)に準拠して、色差計(日本電色工業製、ZE−2000)を用い、光源はC光源、視野は2°視野にて、透明導電層を積層した側からそれぞれ測定した。透明導電層のある部分の色調b値をb1、透明導電層の無い部分の色調b値をb0とし、b0とb1の差が1.0以下を合格とした。
[視認性評価]
透明導電層側に、屈折率1.52のアクリル系粘着層を有するポリエチレンテレフタレートフィルムを保護フィルムとして貼り合わせた。三波長蛍光灯(ナショナル 3波長形昼白色 “パルック”(登録商標)(品番:F.L 15EX−N 15W))を光源とし、この直下30cmのところに、保護フィルムを貼り合わせたフィルムを保護フィルム面が観察面側になるように置いて、正面から左右45°まで様々な角度から透明導電層のパターンの見え方を評価し、下記の判断基準で、○以上を合格とした。
○: パターンが見えない、もしくはほとんど見えない。
△: パターンが少し見える。
×: パターンが強く見える。
なお、以下の実施例や比較例にて得られた積層フィルムの特性等は、表に示されている。
<実施例1>
はじめに、樹脂組成物1を次の通り調整した。
・シリカ粒子(B):
中空シリカであるスルーリア1420(日揮触媒化成株式会社製中空シリカ:数平均粒子径60nm)を用いた。
・アクリル樹脂(D):
攪拌機、温度計、還流冷却管の備わった通常のアクリル樹脂反応槽に、溶剤としてイソプロピルアルコール100部を仕込み、加熱攪拌して100℃に保持した。
この中に、(メタ)アクリレート(d−1)として、n=19のノナデシルメタクリレート40部、(メタ)アクリレート(d−2)として、2個の環を有するイソボルニルメタクリレート40部、その他(メタ)アクリレートとして、2−ヒドロキシエチルアクリレート20部、t−ブチルパーオキシ2エチルヘキサエート5部からなる混合物を3時間かけて滴下した。そして、滴下終了後、100℃で1時間加熱し、次にt−ブチルパーオキシ2エチルヘキサエート1部からなる追加触媒混合液を仕込んだ。次いで、100℃で3時間加熱した後冷却し、アクリル樹脂(D)を得た。得られたアクリル樹脂(D)の構造式を以下に示す。
Figure 0005983158
・水系溶媒 :純水。
・粒子(BD)とアクリル樹脂(D)の混合体:
水系溶媒中に、上記シリカ粒子(B)と上記アクリル樹脂(D)を順に添加し、以下の方法で分散せしめ、粒子(BD)とアクリル樹脂(D)の混合体を得た。(前記(ii)の方法。)シリカ粒子(B)およびアクリル樹脂(D)の添加量比(質量比)は、(B)/(D)=30/70とした(なお質量比は、小数点第1位を四捨五入して求めた)。分散処理は、ホモミキサーを用いて行い、周速10m/sで5時間回転させることによって行った。また、最終的に得られた混合体における、粒子(BD)とアクリル樹脂(D)の質量比は、(BD)/(D)=30/70であった(なお、質量比は小数点第1位を四捨五入して求めた)。
なお、得られた粒子(BD)を、日立卓上超遠心機(日立工機株式会社製:CS150NX)により遠心分離を行い(回転数3000rpm、分離時間30分)、シリカ粒子(B)(及びシリカ粒子(B)の表面に吸着したアクリル樹脂(D))を沈降させた後、上澄み液を除去し、沈降物を濃縮乾固させた。濃縮乾固した沈降物をX線光電子分光法(XPS)により分析した結果、シリカ粒子(B)の表面にアクリル樹脂(D)が存在することが確認された。つまり、シリカ粒子(B)の表面には、アクリル樹脂(D)が吸着・付着しており、得られた粒子(BD)がシリカ粒子(B)の表面にアクリル樹脂(D)を有する粒子に該当することが判明した。
・樹脂組成物1:
水系溶媒に、上記の粒子(BD)とアクリル樹脂(D)の混合体を添加し、混合し、樹脂組成物を得た。(樹脂組成物における、粒子(BD)とアクリル樹脂(D)の質量比は、(BD)/(D)=30/70である)。
・積層フィルム
次いで、実質的に粒子を含有しないPETペレット(極限粘度0.63dl/g)を充分に真空乾燥した後、押し出し機に供給し285℃で溶融し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度25℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて冷却固化せしめた。この未延伸フィルムを90℃に加熱して長手方向に3.4倍延伸し、一軸延伸フィルム(Bフィルム)とした。
次に樹脂組成物1を一軸延伸フィルムのコロナ放電処理面にバーコートを用いて塗布厚み約12μmで塗布した。樹脂組成物を塗布した一軸延伸フィルムの幅方向両端部をクリップで把持して予熱ゾーンに導き、雰囲気温度75℃とした後、引き続いてラジエーションヒーターを用いて雰囲気温度を110℃とし、次いで雰囲気温度を90℃として、樹脂組成物を乾燥させ、樹脂層を形成せしめた。引き続き連続的に120℃の加熱ゾーン(延伸ゾーン)で幅方向に3.5倍延伸し、続いて230℃の熱処理ゾーン(熱固定ゾーン)で20秒間熱処理を施し、結晶配向の完了した積層フィルムを得た。得られた積層フィルムにおいてPETフィルムの厚みは100μm、樹脂層の厚みは約0.15μmであった。得られた積層フィルムの特性等を表に示す。初期ヘイズ、最小反射率が低く、透明性、接着性、オリゴマー抑制性、視認性に優れるものであった。
次に上記にて得られた積層フィルムをIMフィルムとして用いた透明導電積層体の評価を行った。透明導電積層体は、前記の[透明導電層の形成]の方法に従い、透明導電層を形成し、次いで[透明導電積層体の透明導電層のパターニング]の方法に従いパターンを形成し、作製した。得られた透明導電積層体の特性等を表に示す。得られた透明導電積層体は、透明導電層のパターンが見えず優れた視認性を示しており、本発明の積層フィルムがIMフィルムとして好適に用いることが出来ることがわかった。
<実施例2>
シリカ粒子(B)を、孔を有するシリカ粒子であるナノポーラスシリカFSM(太陽化学株式会社製 数平均粒子径60nm)、に変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。
得られた積層フィルム、透明導電積層体の特性などを表に示す。
実施例1と比較して、積層フィルムは、孔を有するシリカ粒子を用いたことで、最小反射率、初期ヘイズが若干高くなり、透明性、視認性が若干低下したものの良好であり、同等の接着性、オリゴマー抑制性を示した。また、得られた透明導電積層体は、透明導電層のパターンがほとんど見えず優れた視認性を示しており、本発明の積層フィルムがIMフィルムとして好適に用いることが出来ることがわかった。
<実施例3〜4>
(メタ)アクリレートモノマー(d−1)を、表1に記載の、n=9のデシルメタクリレート(実施例3)、n=34のペンタトリアコンチルメタクリレート(実施例4)、に変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層フィルム、透明導電積層体を得た。
得られた積層フィルム、透明導電積層体の特性などを表に示す。
実施例1と比較して、積層フィルムは、n=9、34のメタクリレートを用いたことで、それぞれ樹脂層形成時のシリカ粒子(B)の分散性が低下(実施例3:n=9のデシルメタクリレートを用いた実施例)、アクリル樹脂同士が凝集し(実施例4:n=34のペンタトリアコンチルメタクリレートを用いた実施例)、初期ヘイズが若干高くなり、透明性、オリゴマー抑制性が若干低下したものの良好であり、同等の接着性、視認性を示した。また、透明導電積層体は、実施例1と同等の優れた視認性を示しており、本発明の積層フィルムがIMフィルムとして好適に用いることが出来ることがわかった。
<実施例5>
シリカ粒子(B)を、孔を有するシリカ粒子であるナノポーラスシリカFSM(太陽化学株式会社製 数平均粒子径60nm)に変更した以外は、実施例4と同様の方法で積層フィルム、透明導電積層体を得た。
実施例4と比較して、積層フィルムは、孔を有するシリカ粒子を用いたことで、最小反射率、初期ヘイズが若干高くなり、透明性、視認性、オリゴマー抑制性が若干低下したものの良好であり、同等の接着性を示した。また透明導電積層体において、パターンがほとんど見えず優れた視認性を示しており、本発明の積層フィルムがIMフィルムとして好適に用いることが出来ることがわかった。
<実施例6〜7>
シリカ粒子(B)を、
数平均粒子径30nmの中空シリカであるスルーリアTR113(日揮触媒化成株式会社製中空シリカ:数平均粒子径30nm)(実施例6)、
数平均粒子径120nmの中空シリカであるスルーリア1420−120(日揮触媒化成株式会社製中空シリカ:数平均粒子径120nm)シリカ粒子(B)(実施例7)に、
それぞれ変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層フィルム、透明導電積層体を得た。
実施例6は、実施例1と比較して、積層フィルムは、数平均粒子径30nmのシリカ粒子を用いたことで、最小反射率が高くなったものの、初期ヘイズが小さくなり、透明性に優れ、同等の接着性、視認性、オリゴマー抑制性を示した。また透明導電積層体において、パターンはほとんど見えず同等の優れた視認性を示しており、本発明の積層フィルムがIMフィルムとして好適に用いることが出来ることがわかった。
実施例7は、実施例1と比較して、積層フィルムでは、数平均粒子径120nmのシリカ粒子を用いたことで、初期ヘイズが若干高くなったものの、最小反射率が小さく、透明性が若干低下するものの良好であり、同等の接着性、オリゴマー抑制性、視認性を示した。また透明導電積層体においては、パターンがほとんど見えず優れた視認性を示しており、本発明の積層フィルムがIMフィルムとして好適に用いることが出来ることがわかった。
<実施例8>
シリカ粒子(B)を、孔を有するシリカ粒子であるナノポーラスシリカFSM−120(太陽化学株式会社製 数平均粒子径120nm)に変更した以外は、実施例7と同様の方法で積層フィルム、透明導電積層体を得た。
実施例7と比較して、積層フィルムは、孔を有するシリカ粒子を用いたことで、最小反射率、初期ヘイズが若干高く、透明性、視認性が若干低下するものの良好であり、同等の接着性、オリゴマー抑制性を示した。また透明導電積層体においては、パターンがほとんど見えず優れた視認性を示しており、本発明の積層フィルムがIMフィルムとして好適に用いることが出来ることがわかった。
<実施例9〜10>
シリカ粒子(B)とアクリル樹脂(D)の質量比を表1の記載の数値に変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層フィルム、透明導電積層体を得た。
実施例1と比較して、積層フィルムは、シリカ粒子(B)の添加量を少なくした場合(実施例9)は、最小反射率が若干高くなったものの、初期ヘイズが低くなり、視認性、オリゴマー抑制性が若干低下するものの良好であり、優れた透明性を示した。また透明導電積層体においては、パターンがほとんど見えず優れた視認性を示しており、本発明の積層フィルムがIMフィルムとして好適に用いることが出来ることがわかった。 実施例1と比較して、積層フィルムでは、シリカ粒子(B)の添加量を多くした場合(実施例10)は、初期ヘイズは若干高く、最小反射率が若干低くなり、透明性、接着性は若干低下するものの良好であり、同等の視認性、オリゴマー抑制性を示した。また透明導電積層体においては、パターンがほとんど見えず優れた視認性を示しており、本発明の積層フィルムがIMフィルムとして好適に用いることが出来ることがわかった。
<実施例11>
シリカ粒子(B)を、孔を有するシリカ粒子に変更した以外は、実施例10と同様の方法で積層フィルム、透明導電積層体を得た。
実施例10と比較して、積層フィルムは、孔を有するシリカ粒子を用いたことで、最小反射率、初期ヘイズが若干高くなり、透明性、接着性が若干低下するものの良好であり、同等の視認性、オリゴマー抑制性を示した。また透明導電積層体においては、パターンがほとんど見えず優れた視認性を示しており、本発明の積層フィルムがIMフィルムとして好適に用いることが出来ることがわかった。
<実施例12〜13>
(メタ)アクリレートモノマー(d−1)を、表1に記載の、n=9のデシルメタクリレート(実施例12)、n=34のペンタトリアコンチルメタクリレート(実施例13)、にそれぞれ変更した以外は、実施例6と同様の方法で積層フィルム、透明導電積層体を得た。
実施例6と比較して、積層フィルムは、n=9のデシルメタクリレート、n=34のペンタトリアコンチルメタクリレートを用いたことで、それぞれ樹脂層形成時のシリカ粒子(B)の分散性が低下(n=9)、アクリル樹脂同士が凝集し(n=34)、初期ヘイズが若干高くなり、オリゴマー抑制性が若干低下するものの良好であり、同等の透明性、接着性、視認性を示した。また透明導電積層体においては、パターンがほとんど見えず優れた視認性を示しており、本発明の積層フィルムがIMフィルムとして好適に用いることが出来ることがわかった。
<実施例14〜15>
(メタ)アクリレートモノマー(d−1)を、表1に記載の、n=9のデシルメタクリレート(実施例14)、n=34のペンタトリアコンチルメタクリレート(実施例15)、にそれぞれ変更した以外は、実施例7と同様の方法で積層フィルム、透明導電積層体を得た。
実施例7と比較して、積層フィルムはn=9のデシルメタクリレート、n=34のペンタトリアコンチルメタクリレートを用いたことで、それぞれ樹脂層形成時のシリカ粒子(B)の分散性が低下(n=9)、アクリル樹脂同士が凝集し(n=34)、初期ヘイズが若干高くなり、オリゴマー抑制性が若干低下するものの良好であり、同等の接着性、視認性を示した。また透明導電積層体においては、パターンがほとんど見えず優れた視認性を示しており、本発明の積層フィルムがIMフィルムとして好適に用いることが出来ることがわかった。
<実施例16〜17>
(メタ)アクリレートモノマー(d−1)を、表1に記載の、n=9のデシルメタクリレート(実施例16)、n=34のペンタトリアコンチルメタクリレート(実施例17)、にそれぞれ変更した以外は、実施例9と同様の方法で積層フィルム、透明導電積層体を得た。
実施例9と比較して、積層フィルムはn=9のデシルアクリレート、n=34のペンタトリアコンチルメタクリレートを用いたことで、それぞれ樹脂層形成時のシリカ粒子(B)の分散性が低下(n=9)、アクリル樹脂同士が凝集し(n=34)、初期ヘイズが若干高くなるものの、同等の透明性、接着性、視認性、オリゴマー抑制性を示した。また透明導電積層体では、パターンがほとんど見えず優れた視認性を示しており、本発明の積層フィルムがIMフィルムとして好適に用いることが出来ることがわかった。
<実施例18〜19>
(メタ)アクリレートモノマー(d−1)を、表1に記載の、n=9のデシルメタクリレート(実施例18)、n=34のペンタトリアコンチルメタクリレート(実施例19)、にそれぞれ変更した以外は、実施例10と同様の方法で積層フィルム、IMフィルムを得た。
実施例10と比較して、積層フィルムはn=9のデシルメタクリレート、n=34のペンタトリアコンチルメタクリレートを用いたことで、それぞれ樹脂層形成時のシリカ粒子(B)の分散性が低下(n=9)、アクリル樹脂同士が凝集し(n=34)、初期ヘイズが若干高くなり、オリゴマー抑制性が若干低下するものの良好であり、同等の接着性、視認性を示した。また透明導電積層体においては、パターンがほとんど見えず優れた視認性を示しており、本発明の積層フィルムがIMフィルムとして好適に用いることが出来ることがわかった。
<実施例20〜21>
シリカ粒子(B)を、
数平均粒子径30nmの中空シリカであるスルーリアTR113(日揮触媒化成株式会社製中空シリカ:数平均粒子径30nm)(実施例20)、
数平均粒子径120nmの中空シリカであるスルーリア1420−120(日揮触媒化成株式会社製中空シリカ:数平均粒子径120nm)(実施例21)に、
それぞれ変更した以外は、実施例9と同様の方法で積層フィルム、透明導電積層体を得た。
実施例9と比較して、積層フィルムは、数平均粒子径30nmのシリカ粒子を用いたことで、最小反射率が若干高く視認性が若干低下するものの、初期ヘイズが若干低くなり、透明性に優れ、同等の接着性、オリゴマー抑制性を示した。また透明導電積層体においては、パターンがほとんど見えず優れた視認性を示しており、本発明の積層フィルムがIMフィルムとして好適に用いることが出来ることがわかった。
実施例9と比較して、積層フィルムは、数平均粒子径120nmのシリカ粒子を用いたことで、初期ヘイズが若干高く透明性が若干低下するものの、最小反射率が小さく視認性に優れ、同等の接着性、オリゴマー抑制性を示した。また透明導電積層体においては、パターンがほとんど見えず優れた視認性を示しており、本発明の積層フィルムがIMフィルムとして好適に用いることが出来ることがわかった。
<実施例22〜23>
シリカ粒子(B)を、
数平均粒子径30nmの中空シリカであるスルーリアTR113(日揮触媒化成株式会社製中空シリカ:数平均粒子径30nm)(実施例22)、
数平均粒子径120nmの中空シリカであるスルーリア1420−120(日揮触媒化成株式会社製中空シリカ:数平均粒子径30nm)(実施例23)に、
それぞれ変更した以外は、実施例10と同様の方法で積層フィルム、透明導電積層体を得た。
実施例10と比較して、数平均粒子径30nmのシリカ粒子を用いたことで、最小反射率が若干高く視認性が若干低下するもの、初期ヘイズが若干低く透明性に優れ、同等の接着性、オリゴマー抑制性を示した。また透明導電積層体においては、パターンがほとんど見えず優れた視認性を示しており、本発明の積層フィルムがIMフィルムとして好適に用いることが出来ることがわかった。
実施例10と比較して、積層フィルムは数平均粒子径120nmのシリカ粒子を用いたことで、初期ヘイズが若干高く透明性が若干低下するものの、最小反射率が小さく視認性に優れ、同等の接着性、オリゴマー抑制性を示した。また透明導電積層体においては、パターンがほとんど見えず優れた視認性を示しており、本発明の積層フィルムがIMフィルムとして好適に用いることが出来ることがわかった。
<実施例24〜25>
(メタ)アクリレートモノマー(d−1)を、表1に記載の、n=9のデシルメタクリレート(実施例24)、n=34のペンタトリアコンチルメタクリレート(実施例25)、にそれぞれ変更した以外は、実施例20と同様の方法で積層フィルム、IMフィルムを得た。
実施例20と比較して、積層フィルムはn=9のデシルメタクリレート、n=34のペンタトリアコンチルメタクリレートを用いたことで、それぞれ樹脂層形成時のシリカ粒子(B)の分散性が低下(n=9)、アクリル樹脂同士が凝集し(n=34)、初期ヘイズが高く透明性が若干低下するものの、最小反射率が小さく視認性に優れ、同等の接着性、オリゴマー抑制性を示した。また透明導電積層体においては、パターンがほとんど見えず優れた視認性を示しており、本発明の積層フィルムがIMフィルムとして好適に用いることが出来ることがわかった。
<実施例26〜27>
(メタ)アクリレートモノマー(d−1)を、表1に記載の、n=9のデシルメタクリレート(実施例26)、n=34のペンタトリアコンチルメタクリレート(実施例27)、にそれぞれ変更した以外は、実施例21と同様の方法で積層フィルム、透明導電積層体を得た。
実施例21と比較して、積層フィルムはn=9のデシルメタクリレート、n=34のペンタトリアコンチルメタクリレートを用いたことで、樹脂層形成時のシリカ粒子(B)の分散性が若干低下し、初期ヘイズが高く透明性が若干低下し、最小反射率が高く視認性が若干低下するものの、同等のオリゴマー抑制性、接着性を示した。また透明導電積層体においては、パターンがほとんど見えず優れた視認性を示しており、本発明の積層フィルムがIMフィルムとして好適に用いることが出来ることがわかった。
<実施例28〜29>
(メタ)アクリレートモノマー(d−1)を、表1に記載の、n=9のデシルメタクリレート(実施例28)、n=34のペンタトリアコンチルメタクリレート(実施例29)、にそれぞれ変更した以外は、実施例22と同様の方法で積層フィルム、透明導電積層体を得た。
実施例22と比較して、積層フィルムは、n=9のデシルメタクリレート、n=34のペンタトリアコンチルメタクリレートを用いたことで、樹脂層形成時のシリカ粒子(B)の分散性が若干低下し、初期ヘイズが若干高くなり、透明性、オリゴマー抑制性が若干低下したものの、良好な接着性、視認性を示した。また透明導電積層体においては、パターンがほとんど見えず優れた視認性を示しており、本発明の積層フィルムがIMフィルムとして好適に用いることが出来ることがわかった。
<実施例30〜31>
(メタ)アクリレートモノマー(d−1)を、表1に記載の、n=9のデシルメタクリレート(実施例30)、n=34のペンタトリアコンチルメタクリレート(実施例31)、にそれぞれ変更した以外は、実施例23と同様の方法で積層フィルム、透明導電積層体を得た。
実施例23と比較して、積層フィルムは、n=9のデシルメタクリレート、n=34のペンタトリアコンチルメタクリレートを用いたことで、樹脂層形成時のシリカ粒子(B)の分散性が若干低下し、初期ヘイズが若干高く透明性、オリゴマー抑制性が若干低下するものの、同等の接着性、視認性を示した。また透明導電積層体においては、パターンがほとんど見えず優れた視認性を示しており、本発明の積層フィルムがIMフィルムとして好適に用いることが出来ることがわかった。
<実施例32>
はじめに、樹脂組成物2を次の通り調整した。
・樹脂組成物2
樹脂組成物1に、オキサゾリン系化合物(e’−1)を添加し、混合し、樹脂組成物2を得た。(樹脂組成物2における、粒子(BD)とアクリル樹脂(D)とオキサゾリン系化合物(e’−1)の質量比は、(BD)/(D)/(e’−1)=27/64/9である。)。
・積層フィルム、透明導電積層体
樹脂組成物として、オキサゾリン系化合物(e’−1)を含有した次の樹脂組成物2を用いた以外は、実施例1と同様の方法で積層フィルム、透明導電積層体を得た。
実施例1と比較して、積層フィルムは、オキサゾリン系化合物(e’―1)を用いても、最小反射率が若干高く視認性が若干低下するものの、接着性に優れ、同等の透明性、視認性を示した。また透明導電積層体においては、パターンがほとんど見えず優れた視認性を示しており、本発明の積層フィルムがIMフィルムとして好適に用いることが出来ることがわかった。
<実施例33>
はじめに、樹脂組成物3を次の通り調整した。
・樹脂組成物3
樹脂組成物1に、カルボジイミド系化合物(e’−2)を添加し、混合し、樹脂組成物3を得た。(樹脂組成物3における、粒子(BD)とアクリル樹脂(D)とカルボジイミド系化合物(e’−2)の質量比は、(BD)/(D)/(e’−2)=27/64/9である。)。
・積層フィルム、透明導電積層体
樹脂組成物として、カルボジイミド系化合物(e’―2)を含有した次の樹脂組成物3を用いた以外は、実施例1と同様の方法で積層フィルム、透明導電積層体を得た。
実施例1と比較して、積層フィルムは、カルボジイミド系化合物(e’―2)を用いても、最小反射率が若干高く視認性が若干低下するものの、接着性に優れ、同等の透明性、視認性を示した。また透明導電積層体においては、パターンがほとんど見えず優れた視認性を示しており、本発明の積層フィルムがIMフィルムとして好適に用いることが出来ることがわかった。
<実施例34>
はじめに、樹脂組成物4を次の通り調整した。
・樹脂組成物4
樹脂組成物1に、オキサゾリン系化合物(e’―1)およびカルボジイミド系化合物(e’−2)を添加し、混合し、樹脂組成物4を得た。(樹脂組成物4における、粒子(BD)とアクリル樹脂(D)とオキサゾリン系化合物(e’−1)およびカルボジイミド系化合物(e’−2)の質量比は、(BD)/(D)/(e’−1)/(e’−2)=25/59/8/8である。)。
・積層フィルム、透明導電積層体
樹脂組成物として、オキサゾリン系化合物(e’―1)およびカルボジイミド系化合物(e’−2)を含有した次の樹脂組成物4を用いた以外は、実施例1と同様の方法で積層フィルム、透明導電積層体を得た。
実施例1と比較して、積層フィルムは、(e’―1)、(e’−2)を用いても、最小反射率が若干高く視認性が若干低下するものの、接着性に優れ、同等の透明性、視認性を示した。また透明導電積層体においては、パターンがほとんど見えず優れた視認性を示しており、本発明の積層フィルムがIMフィルムとして好適に用いることが出来ることがわかった。
<比較例1>
実施例1におけるシリカ粒子(B)を、
中実のシリカ粒子であるスノーテックスXL(日産化学工業株式会社製:数平均粒子径60nm)に変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層フィルム、IMフィルムを得た。
実施例1と比較して、積層フィルムは、中実のシリカ粒子を用いたことで、透明性、積層体との接着性、オリゴマー抑制性は良好なものの、最小反射率が高くなり、視認性(反射防止性)に欠けるものであった。また透明導電積層体においては、パターンが少し見え、視認性に劣るものであった。
<比較例2>
実施例4におけるシリカ粒子(B)を、
中実のシリカ粒子であるスノーテックスXL(日産化学工業株式会社製:数平均粒子径60nm)に変更した以外は、実施例4と同様の方法で積層フィルム、透明導電積層体を得た。
実施例4と比較して、積層フィルムは、中実のシリカ粒子を用いたことで、透明性、積層体との接着性、オリゴマー抑制性は良好なものの、最小反射率が高くなり、視認性(反射防止性)に欠けるものであった。また透明導電積層体では、パターンが少し見え、視認性に劣るものであった。
<比較例3>
実施例1におけるシリカ粒子(B)を、
中実のシリカ粒子であるスノーテックスMP(日産化学工業株式会社製:数平均粒子径120nm)に変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層フィルム、透明導電積層体を得た。
実施例1と比較して、積層フィルムは、中実のシリカ粒子を用いたことで、透明性、積層体との接着性、オリゴマー抑制性は良好なものの、最小反射率が高くなり、視認性(反射防止性)に欠けるものであった。また透明導電積層体においては、パターンが少し見え、視認性に劣るものであった。
<比較例4>
実施例10におけるシリカ粒子(B)を、
中実のシリカ粒子であるスノーテックスXL(日産化学工業株式会社製:数平均粒子径60nm)に変更した以外は、実施例10と同様の方法で積層フィルム、透明導電積層体を得た。
実施例10と比較して、積層フィルムは、中実のシリカ粒子を用いたことで、透明性、積層体との接着性、オリゴマー抑制性は良好なものの、最小反射率が高くなり、視認性(反射防止性)に欠けるものであった。また透明導電積層体においては、パターンが少し見え、視認性に劣るものであった。
<比較例5〜6>
(メタ)アクリレートモノマー(d−1)の代わりに、
n=8のノニルメタクリレート(比較例5)、
n=35のヘキサトリアコンチルメタクリレート(比較例6)を、
それぞれ用いた以外は、実施例1と同様の方法で積層フィルム、透明導電積層体を得た。
実施例1と比較して、n=8のノニルメタクリレート、n=35のヘキサトリアコンチルメタクリレートをそれぞれ用いたことで、積層体との接着性は良好なものの、シリカ粒子(B)が凝集しやすくなり、初期ヘイズ、最小反射率が高くなり、透明性、オリゴマー抑制性、視認性(反射防止性)に欠けるものであった。また透明導電積層体においては、パターンが少し見え、視認性に劣るものであった。
<比較例7〜8>
シリカ粒子(B)を、
中空シリカであるスルーリアTR112(日産化学工業株式会社製:数平均粒子径25nm)(比較例7)、
中空シリカであるシリナックス(日鉄鉱業株式会社製:数平均粒子径125nm)(比較例8)に、
それぞれ変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層フィルム、透明導電積層体を得た。
実施例1と比較して、積層フィルムは、数平均粒子径25nmのシリカ粒子を用いたことで、接着性、オリゴマー抑制性は良好であったものの、透明性が低下し、視認性(反射防止性)に欠けるものであった。また透明導電積層体においては、パターンが少し見え、視認性に劣るものであった。
実施例1と比較して、積層フィルムでは、数平均粒子径125nmのシリカ粒子を用いたことで、接着性、オリゴマー抑制性は良好であったものの、透明性、視認性(反射防止性)に欠けるものであった。またIMフィルムでは、パターンが少し見え、視認性に劣るものであった。
<比較例9〜10>
シリカ粒子(B)とアクリル樹脂(D)の質量比を表1の記載の数値に変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層フィルム、透明導電積層体を得た。
実施例1と比較して、積層フィルムは、シリカ粒子(B)の添加量を少なくした場合(比較例9)は、透明性、接着性は良好であったものの、視認性、オリゴマー抑制性に欠けるものであった。また透明導電積層体においては、パターンが少し見え、視認性に劣るものであった。
実施例1と比較して、積層フィルムは、シリカ粒子(B)の添加量を多くした場合(比較例10)は、透明性が低く、視認性(反射防止性)に欠けるものであった。また透明導電積層体においては、パターンが少し見え、視認性に劣るものであった。
<比較例11〜12>
(メタ)アクリレートモノマー(d−1)の代わりに、
n=8のノニルメタクリレート(比較例11)、
n=35のヘキサトリアコンチルメタクリレート(比較例12)を、
それぞれ用いた以外は、比較例7と同様の方法で積層フィルム、透明導電積層体を得た。
実施例12、13とそれぞれ比較して、n=8のノニルメタクリレート、n=35のヘキサトリアコンチルメタクリレートをそれぞれ用いたことで、接着性は同等であるものの、シリカ粒子(B)が凝集しやすくなり、透明性、オリゴマー抑制性、視認性に欠けるものであった。また透明導電積層体においては、パターンが強く見え、視認性に劣るものであった。
<比較例13〜14>
(メタ)アクリレートモノマー(d−1)の代わりに、
n=8のノニルメタクリレート(比較例13)、
n=35のヘキサトリアコンチルメタクリレート(比較例14)を、
それぞれ用いた以外は、比較例8と同様の方法で積層フィルム、透明導電積層体を得た。
実施例14、15とそれぞれ比較して、積層フィルムは、n=8のノニルメタクリレート、n=35のヘキサトリアコンチルメタクリレートをそれぞれ用いたことで、積層体との接着性は良好なものの、シリカ粒子(B)が凝集しやすくなり、接着性は同等であるものの、透明性、オリゴマー抑制性、視認性に欠けるものであった。また透明導電積層体においては、パターンが強く見え、視認性に劣るものであった。
<比較例15〜16>
(メタ)アクリレートモノマー(d−1)の代わりに、
n=8のノニルメタクリレート(比較例15)、
n=35のヘキサトリアコンチルメタクリレート(比較例16)を、
それぞれ用いた以外は、比較例9と同様の方法で積層フィルム、透明導電積層体を得た。
実施例16、17とそれぞれ比較して、積層フィルムは、n=8のノニルメタクリレート、n=35のヘキサトリアコンチルメタクリレートをそれぞれ用いたことで、接着性は同等であるものの、シリカ粒子(B)が凝集しやすくなり、透明性、オリゴマー抑制性、視認性に欠けるものであった。また透明導電積層体においては、パターンが強く見え、視認性に劣るものであった。
<比較例17〜18>
(メタ)アクリレートモノマー(d−1)の代わりに、
n=8のノニルメタクリレート(比較例17)、
n=35のヘキサトリアコンチルメタクリレート(比較例18)を、
それぞれ用いた以外は、比較例10と同様の方法で積層フィルム、透明導電積層体を得た。
実施例18、19とそれぞれ比較して、n=8のノニルメタクリレート、n=35のヘキサトリアコンチルメタクリレートをそれぞれ用いたことで、接着性は同等であるものの、シリカ粒子(B)が凝集しやすくなり、透明性、オリゴマー抑制性、視認性に欠けるものであった。また透明導電積層体においては、パターンが強く見え、視認性に劣るものであった。
<比較例19〜20>
シリカ粒子(B)を、
中空シリカであるスルーリアTR112(日産化学工業株式会社製:数平均粒子径25nm)(比較例19)、
中空シリカであるシリナックス(日鉄鉱業株式会社製:数平均粒子径125nm)(比較例20)に、
それぞれ変更した以外は、比較例9と同様の方法で積層フィルム、透明導電積層体を得た。
実施例20、21とそれぞれ比較して、n=8のノニルメタクリレート、n=35のヘキサトリアコンチルメタクリレートをそれぞれ用いたことで、接着性、オリゴマー抑制性は同等であるものの、シリカ粒子(B)が凝集しやすくなり、透明性、視認性に欠けるものであった。また透明導電積層体においては、比較例19では、パターンが強く見え、視認性に劣るものであった。比較例20ではパターンが少し見え、視認性に劣るものであった。
<比較例21〜22>
シリカ粒子(B)を、
中空シリカであるスルーリアTR112(日産化学工業株式会社製:数平均粒子径25nm)(比較例21)、
数平均粒子径125nmの中空シリカであるシリナックス(日鉄鉱業株式会社製:数平均粒子径125nm)(比較例22)に、
それぞれ変更した以外は、比較例10と同様の方法で積層フィルム、透明導電積層体を得た。
実施例22、23とそれぞれ比較して、n=8のノニルメタクリレート、n=35のヘイキサトリアコンチルメタクリレートをそれぞれ用いたことで、接着性は同等であるものの、シリカ粒子(B)が凝集しやすくなり、透明性、オリゴマー抑制性、視認性に欠けるものであった。また透明導電積層体においては、パターンが少し見え、視認性に劣るものであった。
<比較例23〜24>
(メタ)アクリレートモノマー(d−1)の代わりに、
n=8のノニルメタクリレート(比較例23)、
n=35のヘキサトリアコンチルメタクリレート(比較例24)を、
それぞれ用いた以外は、比較例19と同様の方法で積層フィルム、透明導電積層体を得た。
実施例24、25とそれぞれ比較して、n=8のノニルメタクリレート、n=35のヘキサトリアコンチルメタクリレートをそれぞれ用いたことで、接着性は同等であるものの、シリカ粒子(B)が凝集しやすくなり、透明性、オリゴマー抑制性、視認性に欠けるものであった。また透明導電積層体においては、パターンが強く見え、視認性に劣るものであった。
<比較例25〜26>
(メタ)アクリレートモノマー(d−1)の代わりに、
n=8のノニルメタクリレート(比較例25)、
n=35のヘキサトリアコンチルメタクリレート(比較例26)を、
それぞれ用いた以外は、比較例20と同様の方法で積層フィルム、透明導電積層体を得た。
接着性は同等であるものの、シリカ粒子(B)が凝集しやすくなり、透明性、オリゴマー抑制性、視認性に欠けるものであった。また透明導電積層体においては、パターンが強く見え、視認性に劣るものであった。
<比較例27〜28>
(メタ)アクリレートモノマー(d−1)の代わりに、
n=8のノニルメタクリレート(比較例27)、
n=35のヘキサトリアコンチルメタクリレート(比較例28)を、
それぞれ用いた以外は、比較例21と同様の方法で積層フィルム、透明導電積層体を得た。
実施例28、29とそれぞれ比較して、積層フィルムは、n=8のノニルメタクリレート、n=35のヘキサトリアコンチルメタクリレートをそれぞれ用いたことで、接着性は同等であるものの、シリカ粒子(B)が凝集しやすくなり、透明性、オリゴマー抑制性、視認性に欠けるものであった。また透明導電積層体においては、パターンが少し見え、視認性に劣るものであった。
<比較例29〜30>
(メタ)アクリレートモノマー(d−1)の代わりに、
n=8のノニルメタクリレート(比較例29)、
n=35のヘキサトリアコンチルメタクリレート(比較例30)を、
それぞれ用いた以外は、比較例22と同様の方法で積層フィルム、透明導電積層体を得た。
実施例30、31とそれぞれ比較して、n=8のノニルメタクリレート、n=35のヘキサトリアコンチルメタクリレートをそれぞれ用いたことで、接着性は同等であるものの、シリカ粒子(B)が凝集しやすくなり、透明性、オリゴマー抑制性、視認性に欠けるものであった。また透明導電積層体においては、パターンが強く見え、視認性に劣るものであった。
<比較例31>
(メタ)アクリレートモノマー(d−1)の代わりに、n=8のノニルメタクリレート(比較例27)を、用いた以外は、実施例32と同様の方法で積層フィルム、透明導電積層体を得た。
実施例32と比較して、n=8のノニルメタクリレートをそれぞれ用いたことで、積層体との接着性は優れるものの、シリカ粒子(B)が凝集しやすくなり、透明性、オリゴマー抑制性、視認性に欠けるものであった。また透明導電積層体においては、パターンが少し見え、視認性に劣るものであった。
<比較例32>
(メタ)アクリレートモノマー(d−1)の代わりに、n=8のノニルメタクリレート(比較例27)を、用いた以外は、実施例33と同様の方法で積層フィルム、透明導電積層体を得た。
実施例33と比較して、積層フィルムは、n=8のノニルメタクリレートをそれぞれ用いたことで、積層体との接着性は優れるものの、シリカ粒子(B)が凝集しやすくなり、透明性、オリゴマー抑制性、視認性に欠けるものであった。また透明導電積層体においては、パターンが少し見え、視認性に劣るものであった。
<比較例33>
(メタ)アクリレートモノマー(d−1)の代わりに、n=8のノニルメタクリレート(比較例27)を、用いた以外は、実施例34と同様の方法で積層フィルム、透明導電積層体を得た。
実施例34と比較して、積層フィルムは、n=8のノニルメタクリレートをそれぞれ用いたことで、積層体との接着性は優れるものの、シリカ粒子(B)が凝集しやすくなり、透明性、オリゴマー抑制性、視認性に欠けるものであった。また透明導電積層体においては、パターンが少し見え、視認性に劣るものであった。
<比較例34〜35>
樹脂層の厚みを65nm(比較例34)、155nm(比較例35)、にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層フィルム、透明導電積層体を得た。
実施例1と比較して、積層フィルムは、膜厚が70nm未満である場合、また膜厚が120nmを超える場合は、ともに透明性、積層体との接着性、オリゴマー抑制性は良好なものの、最小反射率が高く反射防止性が不良であった。また透明導電積層体においては、パターンが強く見え、視認性に劣るものであった。
Figure 0005983158
Figure 0005983158
Figure 0005983158
Figure 0005983158
Figure 0005983158
Figure 0005983158
Figure 0005983158
Figure 0005983158
本発明は透明かつ熱処理によるオリゴマー抑制能に優れた積層フィルムに関するものであり、ディスプレイ用途の光学用易接着フィルムや各種加熱加工を必要とする易接着フィルムへ利用可能である。本発明の光学用接着フィルムは、特に屈折率調整フィルム(IMフィルム)として好ましく用いられる。

Claims (11)

  1. ポリエステルフィルムの少なくとも片側に樹脂層が設けられた積層フィルムであって、
    該樹脂層は、少なくともシリカ粒子(B)とアクリル樹脂(D)を含有し、
    該シリカ粒子が中空粒子および/または孔を有する粒子であり、かつ、該シリカ粒子の数平均粒子径が30nm以上120nm以下であり、
    該アクリル樹脂(D)が、下記式(1)で表される(メタ)アクリレートモノマー(d−1)と、下記式(2)で表される(メタ)アクリレートモノマー(d−2)を用いてなる樹脂であり、
    前記式(1)で表される(メタ)アクリレートモノマー(d−1)が、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、1−メチルトリデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート、テトラコシル(メタ)アクリレート、トリアコンチル(メタ)アクリレート、ペンタトリアコンチルメタクリレートの群より選ばれる少なくとも1種を含み、
    前記式(2)で表される(メタ)アクリレートモノマー(d−2)が、イソボニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、ジシロクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジメチルアダマンチル(メタ)アクリレートの群より選ばれる少なくとも1種を含み、
    積層フィルムの樹脂層側の最小反射率が2.0%以下である光学用積層フィルム。
    Figure 0005983158
    (上記式(1)において、R基は、水素原子またはメチル基を表す。また上記式におけるnは、9以上34以下の整数を表す。)
    Figure 0005983158
    (上記式(2)において、R基は、水素原子またはメチル基を表す。また、R基は、飽和の炭素環を2つ以上含む官能基を表す。)
  2. シリカ粒子(B)が、その表面に前記アクリル樹脂(D)を有する粒子(BD)である、請求項1に記載の光学用積層フィルム。
  3. 積層フィルムの初期ヘイズが2.0%以下である請求項1または2のいずれかに記載の光学用積層フィルム。
  4. 樹脂層におけるシリカ粒子(B)の含有量が、樹脂層全体に対して、15質量%以上50質量%以下である請求項1〜3のいずれかに記載の光学用積層フィルム。
  5. 前記樹脂層の厚みが、70〜150nmである請求項1〜4のいずれかに記載の光学用積層フィルム。
  6. 前記樹脂層が、オキサゾリン系化合物に由来する成分(e−1)および/またはカルボジイミド系化合物に由来する成分(e−2)を含有する請求項1〜5のいずれかに記載の光学用積層フィルム。
  7. 前記アクリル樹脂(D)を構成する(メタ)アクリレートモノマー(d−1)と、(メタ)アクリレートモノマー(d−2)、の含有量が、樹脂層全体に対し、それぞれ5〜50質量%である請求項1〜6のいずれかに記載の光学用積層フィルム。
  8. ポリエステルフィルムの少なくとも片側に樹脂層が設けられてなる積層フィルムの製造方法であって、
    ポリエステルフィルムの少なくとも片側に、以下の樹脂組成物が塗布され、乾燥されることによって、樹脂層が設けられ、
    次いで、前記ポリエステルフィルムが少なくとも一軸方向に延伸され、
    次いで、前記ポリエステルフィルムに熱処理が施される積層フィルムの製造方法。
    (樹脂組成物)少なくともシリカ粒子(B)とアクリル樹脂(D)を含有し、
    該シリカ粒子が中空粒子および/または孔を有する粒子であり、かつ、該シリカ粒子の数平均粒子径が30nm以上120nm以下であり、
    該アクリル樹脂(D)が、下記式(1)で表される(メタ)アクリレートモノマー(d−1)と、下記式(2)で表される(メタ)アクリレートモノマー(d−2)を用いて重合されてなる樹脂であって、
    前記式(1)で表される(メタ)アクリレートモノマー(d−1)が、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、1−メチルトリデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート、テトラコシル(メタ)アクリレート、トリアコンチル(メタ)アクリレート、ペンタトリアコンチルメタクリレートの群より選ばれる少なくとも1種を含み、
    前記式(2)で表される(メタ)アクリレートモノマー(d−2)が、イソボニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、ジシロクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジメチルアダマンチル(メタ)アクリレートの群より選ばれる少なくとも1種を含む、
    樹脂組成物。
    Figure 0005983158
    (上記式(1)において、R基は、水素原子またはメチル基を表す。また上記式におけるnは、9以上34以下の整数を表す。)
    Figure 0005983158
    (上記式(2)において、R基は、水素原子またはメチル基を表す。また、R基は、飽和の炭素環を2つ以上含む官能基を表す。)
  9. 前記シリカ粒子(B)が前記アクリル樹脂(D)によって表面処理されてなる、請求項に記載の積層フィルムの製造方法。
  10. 樹脂組成物が、さらに、オキサゾリン系化合物(e’−1)および/またはカルボジイミド系化合物(e’−2)を含有する請求項8または9に記載の積層フィルムの製造方法。
  11. 前記アクリル樹脂(D)を構成する(メタ)アクリレートモノマー(d−1)と、(メタ)アクリレートモノマー(d−2)、の含有量が、樹脂層全体に対し、それぞれ5〜50質量%である請求項8〜10のいずれかに記載の積層フィルムの製造方法。
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