JP2020093388A - 積層体 - Google Patents

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将一 隅田
和広 山▲崎▼
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和広 山▲崎▼
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Abstract

【課題】透明性が高く、さらに耐擦傷性に優れる積層体を提供すること。【解決手段】メタクリル樹脂99.75重量%以上99.995重量%未満と、平均一次粒子径0.2μm以上2μm以下のシリカ粒子0.005重量%を超え0.25重量%以下とを含有するメタクリル樹脂層と、前記シリカ粒子の含有量が0.005重量%以下である熱可塑性樹脂層とを含有し、JIS K7136に従って測定されるヘイズが3%以下である、積層体。【選択図】なし

Description

本発明は、メタクリル樹脂とシリカ粒子とを含有するメタクリル樹脂層と、熱可塑性樹脂層とを含有する積層体に関する。
メタクリル樹脂は軽量であり、透明性や耐候性に優れるため、テールランプカバーやヘッドランプカバー等の車両用ランプカバーやグレージング等、車両用のガラス代替品として注目されている。しかし、ガラスに比べると耐衝撃性が十分でないことから、耐衝撃性を向上させるため、組成が異なる層を二つ以上有する積層体が開発されている(例えば特許文献1)。
特開2001−81268号公報
車両用のガラス代替品は、透明性が求められる。また、特に車両用ランプカバーは、透明性だけでなく、走行中に跳ね上がる砂利等で擦れた際に傷付き難いこと(本明細書では「耐擦傷性」ということがある)が求められる。
しかしながら、特許文献1に記載の積層体は、透明性に優れるものの、耐擦傷性の点で満足できるものではなかった。
本発明の目的は、透明性が高く、さらに耐擦傷性に優れる積層体を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[3]に記載の態様を含む。
[1]メタクリル樹脂99.75重量%以上99.995重量%未満と、平均一次粒子径0.2μm以上2μm以下のシリカ粒子0.005重量%を超え0.25重量%以下とを含有するメタクリル樹脂層と、前記シリカ粒子の含有量が0.005重量%以下である熱可塑性樹脂層とを含有し、JIS K7136に従って測定されるヘイズが3%以下である、積層体。
[2]前記メタクリル樹脂層の厚さが、0.5mm以上8mm以下である、前記[1]に記載の積層体。
[3]前記[1]または[2]に記載の積層体を含む車両用ランプカバー。
本発明によれば、透明性が高く、さらに耐擦傷性に優れる積層体を提供することができる。
本明細書において、「積層体」とは、互いに組成が異なる層を少なくとも2つ以上有するものである。また、「車両用ランプカバー」とは、車両用ランプの光源の保護および光源の照度向上の目的で備えられるカバーであり、「車両用ランプ」とは、自動車やオートバイ等の車両に装着された照明用、識別用もしくは標識用のランプであり、例えば、前照灯(ヘッドランプ)、尾灯(テールランプ)、制動灯(ストップランプ)、方向指示灯(ウインカー)、霧灯(フォグランプ)、車幅灯、後退灯などが該当する。「メタクリル樹脂層」とは、メタクリル樹脂を含有する層であり、「メタクリル樹脂」とは、メタクリル基を有するモノマーに由来する構成単位を有する重合体である。
「シリカ粒子」とは、SiOを有する略球状の物質であり、「平均一次粒子径」とは、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定される一次粒子径の平均値である。「熱可塑性樹脂層」とは、熱可塑性樹脂を主成分として含有する層であり、「熱可塑性樹脂」とは、加熱すると軟化し、冷却すると固化する性質を有する樹脂である。
本発明の積層体は、メタクリル樹脂層と、熱可塑性樹脂層とを含む。
メタクリル樹脂層は、メタクリル樹脂99.75重量%以上99.995重量%以下と、平均一次粒子径0.2μm以上2μm以下のシリカ粒子0.005重量%を超え0.25重量%以下とを含有する層である。
メタクリル樹脂は、メタクリル基を有するモノマーに由来する構成単位を有する重合体である。
メタクリル樹脂としては、例えば、炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルに由来する構成単位のみを含むメタクリル単独重合体や、炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルに由来する構成単位を、80重量%以上100重量%未満と、炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸エステルに由来する構成単位と共重合可能な他のビニル単量体に由来する構成単位を、0重量%を超えて20重量%以下とを有するメタクリル共重合体等が挙げられる。炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルとは、CH=CH(CH)COOR(Rは炭素数1〜4のアルキル基)で表される化合物である。炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸エステルと共重合可能なビニル単量体とは、炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸エステルと共重合可能であり、且つビニル基を有する単量体である。
炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸イソブチルなどが挙げられ、メタクリル酸メチルが好ましい。上記例示のメタクリル酸アルキルは、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸エステルと共重合可能なビニル単量体としては、例えば、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸モノグリセロールなどのメタクリル酸エステル(但し、炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルを除く);アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸モノグリセロール等のアクリル酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの不飽和カルボン酸またはこれらの酸無水物;アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ジアセトンアクリルアミド、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等の窒素含有モノマー;アリルグリシジルエーテル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有単量体;スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン系単量体が挙げられる。
メタクリル樹脂の製造方法としては、炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸エステルと、必要に応じて、炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸エステルと共重合可能なビニル単量体とを、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の方法で重合する方法が挙げられる。
本発明に用いられるシリカ粒子としては、SiOを有する略球状の物質である。シリカ粒子には、略球状だけでなく、直方体状や、複数の角を有した粉砕状などの形状のものが含まれていてもよい。シリカ粒子は、真球状であることが好ましい。真球状のシリカ粒子としては、例えば、株式会社アドマテックス製のアドマファイン(登録商標)、AGCエスアイテック株式会社製のサンスフェア(登録商標)、堺化学工業株式会社製のSciqasシリーズ、デンカ株式会社製のSFPシリーズ等が挙げられる。シリカ粒子としては、アミノシラン、エポキシシラン、メタクリルシラン、アクリルシラン、ビニルシラン、フェニルシラン、メルカプトシラン等のシランカップリング剤で表面処理された粒子を使用してもよいが、耐擦傷性の点で、該シランカップリング剤で表面処理されていないシリカ粒子を使用することが好ましい。ここで、「表面処理されている」とは、シリカ粒子の表面に存在する水酸基が、シランカップリング剤が有するアルコキシ基が加水分解されて生成する水酸基と脱水縮合した状態を指す。
本発明に用いるシリカ粒子の平均一次粒子径は、0.2μm以上2μm以下であり、0.3μm以上1.8μm以下であることが好ましく、0.4μm以上1.5μm以下がさらに好ましい。メタクリル樹脂層は、粒径が異なる2種以上のシリカ粒子を含んでいてもよい。平均一次粒子径は、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定することができる。シリカ粒子の平均一次粒子径を上記の範囲にすることで、耐擦傷性と透明性との両方に優れる積層体を与え得る。
シリカ粒子が真球状である場合、シリカ粒子の粒径(直径)は、0.2μm以上2μm以下であり、0.3μm以上1.8μm以下であることが好ましく、0.4μm以上1.5μm以下がさらに好ましい。シリカ粒子が真球状でない場合、シリカ粒子の長径は、0.2μm以上2μm以下であることが好ましく、0.4μmを超えて2μm以下であることがより好ましい。長径とは、粒子の直線距離で最も長い部分の長さである。長径および粒径は、走査電子顕微鏡による粒子の観測画像から読み取ることによって測定することができる。シリカ粒子の長径または粒径を上記の範囲にすることで、耐擦傷性と透明性との両方に優れる積層体を与え得る。
本発明のメタクリル樹脂層に含まれるメタクリル樹脂の含有量は、99.75重量%以上99.995重量%未満であり、シリカ粒子の含有量が0.005重量%を超え0.25重量%以下である。ただし、メタクリル樹脂の含有量とシリカ粒子の含有量の合計を100重量%とする。メタクリル樹脂の含有量とシリカ粒子の含有量を上記の範囲にすることで、耐擦傷性と透明性との両方に優れる積層体を与え得る。
シリカ粒子の含有量は、下記式(1)を満足することが好ましく、メタクリル樹脂の含有量は(100−y)重量%であることが好ましい。
0.01≦y≦−0.07x+0.17 式(1)
(上記式(1)において、xは、単位「μm」を付して表された前記シリカ粒子の平均一次粒子径の数値を表し、yは、前記メタクリル樹脂と前記シリカ粒子との合計量100重量%に対する、単位「重量%」を付して表された前記シリカ粒子の含有量の数値を表す。)
シリカ粒子の含有量を上記式(1)の範囲にすることで、特に車両用ランプカバーに求められる耐擦傷性と透明性を有する積層体を与え得る。
シリカ粒子の含有量として、好ましくは、下記式(2)および下記式(3)を満足する量である。
0.01≦y<−0.036x+0.073 式(2)
(上記式(2)中のxおよびyは、上記式(1)と同様である。ただし、xは、0.5≦x≦2である。)
0.01≦y<−0.32x+0.22 式(3)
(上記式(3)中のxおよびyは、上記式(1)と同様である。ただし、xは、0.2≦x<0.5である。)
シリカ粒子の含有量を上記式(2)および上記式(3)の範囲にすることで、シリカ粒子の含有量が上記式(2)および上記式(3)の範囲でないものよりも、耐擦傷性と透明性との両方により優れる積層体を与え得る。
熱可塑性樹脂層は、熱可塑性樹脂を含有する。熱可塑性樹脂層には、熱可塑性樹脂以外の成分を含んでいてもよく、例えば、シリカ粒子を含んでいてもよい。熱可塑性樹脂層がシリカ粒子を含む場合、シリカ粒子の含有量は0.005重量%以下である(ただし、熱可塑性樹脂の含有量とシリカ粒子の含有量の合計を100重量%とする。)。また、本発明の積層体は、2種以上の熱可塑性樹脂層を含んでいてもよい。
熱可塑性樹脂としては、厚さ3mmの成形体にしたときに、JIS K7136に従って測定されるヘイズが2%以下の樹脂であり、例えば、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリレ−ト樹脂、ポリメタクリルイミド樹脂等が挙げられる。その中でもメタクリル樹脂、又はポリカーボネート樹脂が好ましく、メタクリル樹脂がさらに好ましい。
メタクリル樹脂の例示は、メタクリル樹脂層に含まれるメタクリル樹脂として例示したものと同様である。熱可塑性樹脂層に含まれるメタクリル樹脂は、メタクリル樹脂層に含まれるメタクリル樹脂と同じであっても異なっていてもよい。
ポリカーボネート樹脂とは、ジヒドロキシ化合物に由来する構成単位を含む樹脂である。ポリカーボネート樹脂としては、例えば、二価フェノールとカルボニル化剤とを界面重縮合法や溶融エステル交換法などで反応させることにより得られたもの;カーボネートプレポリマーを固相エステル交換法などで重合させることにより得られたもの;環状カーボネート化合物を開環重合法で重合させることにより得られたものなどが挙げられる。
二価フェノールとしては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4'−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−イソプロピル−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−フェニル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−o−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4'−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、及び4,4'−ジヒドロキシジフェニルエステルなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カルボニル化剤としては、例えばカルボニルハライド(ホスゲンなど)、カーボネートエステル(ジフェニルカーボネートなど)、及びハロホルメート(二価フェノールのジハロホルメートなど)が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の積層体の製造方法としては、例えば、熱可塑性樹脂を成形機の金型内に射出成形した状態で、メタクリル樹脂とシリカ粒子とを含有するメタクリル樹脂組成物を同じ金型内に射出成形する二色成形法や、あらかじめ射出成形したメタクリル樹脂とシリカ粒子とを含有するメタクリル樹脂組成物を含むメタクリル樹脂層を金型内に貼り付け、該メタクリル樹脂層が貼り付けられた金型内に、熱可塑性樹脂を射出成形するインサート成形法等が挙げられる。射出成形時のシリンダーの温度として、好ましくは230℃以上であり、好ましくは290℃以下である。
上記メタクリル樹脂組成物の製造方法としては、公知の技術を適宜適用することができる。例えば、メタクリル樹脂を溶媒に溶解させた溶液に、シリカ粒子を添加して混合し、溶液にシリカ粒子を分散させる溶液混合法;メタクリル樹脂とシリカ粒子を、単軸押出機、二軸押出機、ミキシングロール等の装置を用いて溶融混練する方法;メタクリル樹脂の原料である単量体にシリカ粒子を分散させて重合するキャスト重合法、懸濁重合法、又は乳化重合法などが挙げられる。溶液混合法を適用する場合、混合時の温度は100℃以下が好ましく、溶融混練する方法を適用する場合、混練時の温度は200℃以上300℃以下が好ましく、キャスト重合法を適用する場合、重合温度は150℃以下が好ましく、懸濁重合法又は乳化重合法を適用する場合、重合温度は100℃以下が好ましい。上記メタクリル樹脂組成物の製造方法としては、シリカ粒子の添加量を調節し易い点から、溶融混練する方法が好ましい。
メタクリル樹脂組成物の製造時のメタクリル樹脂の添加量は、99.75重量%以上99.995重量%未満であり、シリカ粒子の添加量は、0.005重量%を超え0.25重量%以下である。ただし、メタクリル樹脂の添加量とシリカ粒子の添加量の合計を100重量%とする。メタクリル樹脂の添加量とシリカ粒子の添加量を上記の範囲にすることで、耐擦傷性と透明性との両方に優れる積層体を与え得る。
シリカ粒子の添加量としては、上記式(1)を満足する量であることが好ましく、上記式(2)および上記式(3)を満足する量であることがより好ましい。メタクリル樹脂の添加量としては、(100−y)重量%であることが好ましい。シリカ粒子およびメタクリル樹脂の添加量を上記(1)の範囲、または、上記式(2)および上記式(3)の範囲にすることで、特に車両用ランプカバーに求められる耐擦傷性と透明性を有する積層体を与え得る。
メタクリル樹脂層または熱可塑性樹脂層は、必要に応じて、紫外線吸収剤、滑り剤、酸化防止剤、離型剤、帯電防止剤等を含有していてもよい。例えば、紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、マロン酸エステル系紫外線吸収剤、オキサルアニリド系紫外線吸収剤等が挙げられ、滑り剤としては、シリコーンオイルやポリシロキサン系化合物等が挙げられ、酸化防止剤としてはフェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等が挙げられ、離型剤としては、高級脂肪酸エステル、高級脂肪族アルコール、高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸金属塩、脂肪酸誘導体等が挙げられ、帯電防止剤としては、導電性無機粒子、第3級アミン、第4級アンモニウム塩、カチオン系アクリル酸エステル誘導体、カチオン系ビニルエーテル誘導体等が挙げられる。
メタクリル樹脂層が、メタクリル樹脂とシリカ粒子以外の成分を含む場合、メタクリル樹脂組成物の製造時に、該成分を添加し、メタクリル樹脂およびシリカ粒子と共に混合させ、該成分を含有するメタクリル樹脂組成物を製造することが好ましい。
熱可塑性樹脂層が、熱可塑性樹脂以外の成分を含む場合、積層体を製造する前に、熱可塑性樹脂と熱可塑性樹脂以外の成分とを予め混合されて、熱可塑性樹脂組成物を製造することが好ましい。
JIS K7136に従って測定されるメタクリル樹脂層のヘイズは、好ましくは3%以下であり、より好ましくは2.5%以下であり、さらに好ましくは2.0%以下であり、さらにいっそう好ましくは1.5%以下である。特にメタクリル樹脂層のヘイズが2.5%以下であると、車両用ランプからの光の散乱を抑えることができるため、車両用ランプカバーに適用することができる。
JIS K7136に従って測定される熱可塑性樹脂層のヘイズは、好ましくは2%以下であり、好ましくは1.5%以下であり、さらに好ましくは1.0%以下である。熱可塑性樹脂層のヘイズが2.0%以下であると、車両用ランプからの光の散乱を抑えることができるため、車両用ランプカバーに適用することができる。
積層体の厚みとして、好ましくは0.5mm以上8mm以下であり、より好ましくは、1mm以上6mm以下であり、さらに好ましくは、2mm以上5mm以下である。
積層体中のメタクリル樹脂層の厚みとして、好ましくは0.5mm以上8mm以下であり、より好ましくは、1mm以上6mm以下であり、さらに好ましくは、1mm以上2.5mm以下である。積層体中のメタクリル樹脂層の厚みを上記の範囲にすることで、透明性に優れる積層体を与え得る。
本発明の積層体は、熱可塑性樹脂層単体またはメタクリル樹脂層単体よりも、耐擦傷性と透明性との両方に優れる。
JIS K7136に従って測定される積層体のヘイズは、3%以下であり、より好ましくは2.5%以下であり、さらに好ましくは2.0%以下であり、さらにいっそう好ましくは1.5%以下である。特に積層体のヘイズが2.5%以下であると、車両用ランプからの光の散乱を抑えることができるため、車両用ランプカバーに適用することができる。
本発明の積層体は耐擦傷性に優れる。耐擦傷性は、例えば、FMVSS(Federal Motor Vehicle Safety Standard) No.108に従ってスチールウールによる摩耗試験を行い、試験前後の積層体のヘイズの差(Δヘイズ)で評価される。該摩耗試験は、積層体のメタクリル樹脂層側の面に対して実施する。かかるΔヘイズが小さいほど、本発明の積層体は耐擦傷性に優れるといえる。本発明の積層体のΔヘイズとして、好ましくは15%未満であり、より好ましくは13%以下であり、さらに好ましくは10%以下である。試験前後の積層体のヘイズは、JIS K7136に従って測定される。
本発明の積層体は、車両用窓(グレージング)、車両用フロントグリル、車両用ピラー、車両用ランプカバーに適用することができる。
本発明の車両用ランプカバーは、上記積層体を含むものである。車両用ランプカバーとしては、前照灯(ヘッドランプ)、尾灯(テールランプ)、制動灯(ストップランプ)、方向指示灯(ウインカー)、霧灯(フォグランプ)、車幅灯、後退灯のカバー等が挙げられる。本発明の積層体は、砂利等で擦れる頻度が高く、より優れた耐擦傷性が求められる前照灯(ヘッドランプ)のカバー、すなわちヘッドランプカバーとして、好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明を説明するが、これらの実施例に特に限定されるものではない。
(透明性)
JIS K7136に従い、得られたメタクリル樹脂層または積層体のヘイズを測定した(単位:%)。ヘイズが3%以下であると、透明性に優れる。ヘイズが2.5%以下であると、車両用ランプカバーとして好適に用いることができる。
(耐擦傷性)
得られたメタクリル樹脂層の表面または積層体のメタクリル樹脂層側の表面に対して、FMVSS(Federal Motor Vehicle Safety Standard) No.108に従って測定されるスチールウールによる摩耗試験を行った。具体的には、#0000のスチールウールを用いて、メタクリル樹脂層または積層体の表面を、荷重14kPaで11往復擦った。JIS K7136に従って、摩耗試験前後のメタクリル樹脂層または積層体のヘイズを測定し、試験前後のヘイズの変化(Δヘイズ(単位:%))を算出した。Δヘイズが15%未満であると、耐擦傷性に優れる。
(使用した主な材料)
シリカ1:株式会社アドマテックス製 アドマファイン(登録商標)S0−C1(真球状、平均一次粒子径:0.3μm)
シリカ2:株式会社アドマテックス製 アドマファイン(登録商標)S0−C2(真球状、平均一次粒子径:0.5μm)
シリカ3:株式会社アドマテックス製 アドマファイン(登録商標)S0−C5(真球状、平均一次粒子径:1.6μm)
シリカ4:AGCエスアイテック株式会社製 サンスフェア(登録商標)NP−30(真球状、平均一次粒子径:4.0μm)
<メタクリル樹脂Aの製造>
攪拌器を備えた重合反応器に、メタクリル酸メチル97.5重量部及びアクリル酸メチル2.5重量部の混合物と、1,1−ジ(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン0.016重量部と、n−オクチルメルカプタン0.16重量部とを、それぞれ連続的に供給し、255℃、平均滞留時間43分で重合反応を行った。次いで、重合反応器から出る反応液(部分重合体)を予熱した後、脱揮押出機に供給し、未反応の単量体成分を気化して回収するとともに、ペレット状のメタクリル樹脂Aを得た。得られたメタクリル樹脂Aの、メタクリル酸メチルに由来する単量体単位が97.5重量%であり、アクリル酸メチルに由来する単量体単位の含有量が2.5重量%であり、MFRは2g/10分であった。
<シリカ含有メタクリル樹脂Bの製造>
メタクリル樹脂Aを99.8重量%とシリカ1を0.2重量%とを混合した後、スクリュー径40mmの単軸押出機(田辺プラスチックス機械株式会社製VS40)を使用し、以下の混練条件で溶融混練してストランド状に押出し、水冷してストランドカッターでカッティングすることにより、ペレット状のシリカ含有メタクリル樹脂Bを得た。
(混練条件)
押出機温度:原料投入口から出口までの5つのヒーターについて、原料投入口側から、それぞれ200℃、230℃、240℃、240℃、240℃に設定した。
回転数:75rpm
<シリカ含有メタクリル樹脂Cの製造>
メタクリル樹脂Aを99.8重量%とシリカ2を0.2重量%とを混合した後、スクリュー径40mmの単軸押出機(田辺プラスチックス機械株式会社製VS40)を使用し、以下の混練条件で溶融混練してストランド状に押出し、水冷してストランドカッターでカッティングすることにより、ペレット状のシリカ含有メタクリル樹脂Cを得た。
(混練条件)
押出機温度:原料投入口から出口までの5つのヒーターについて、原料投入口側から、それぞれ200℃、230℃、240℃、240℃、240℃に設定した。
回転数:75rpm
<シリカ含有メタクリル樹脂Dの製造>
メタクリル樹脂Aを99.8重量%とシリカ3を0.2重量%とを混合した後、スクリュー径40mmの単軸押出機(田辺プラスチックス機械株式会社製VS40)を使用し、以下の混練条件で溶融混練してストランド状に押出し、水冷してストランドカッターでカッティングすることにより、ペレット状のシリカ含有メタクリル樹脂Dを得た。
(混練条件)
押出機温度:原料投入口から出口までの5つのヒーターについて、原料投入口側から、それぞれ200℃、230℃、240℃、240℃、240℃に設定した。
回転数:75rpm
<シリカ含有メタクリル樹脂Eの製造>
メタクリル樹脂Aを99.8重量%とシリカ4を0.2重量%とを混合した後、スクリュー径40mmの単軸押出機(田辺プラスチックス機械株式会社製VS40)を使用し、以下の混練条件で溶融混練してストランド状に押出し、水冷してストランドカッターでカッティングすることにより、ペレット状のシリカ含有メタクリル樹脂Eを得た。
(混練条件)
押出機温度:原料投入口から出口までの5つのヒーターについて、原料投入口側から、それぞれ200℃、230℃、240℃、240℃、240℃に設定した。
回転数:75rpm
[実施例1]
メタクリル樹脂Aを70重量%とシリカ含有メタクリル樹脂Bを30重量%とを混合した後、スクリュー径40mmの単軸押出機(田辺プラスチックス機械株式会社製VS40)を使用し、以下の混練条件で溶融混練してストランド状に押出し、水冷してストランドカッターでカッティングすることにより、ペレット状のメタクリル樹脂組成物を得た。
(混練条件)
押出機温度:原料投入口から出口までの5つのヒーターについて、原料投入口側から、それぞれ200℃、230℃、240℃、240℃、240℃に設定した。
回転数:75rpm
<射出成形>
得られたペレット状のメタクリル樹脂組成物を、射出成形機(ファナック株式会社製150D)を用いて、以下の成形条件で150mm×90mm×1mm厚の平板形状に成形し、メタクリル樹脂層を得た。
(成形条件)
スクリュー温度:原料投入口から出口までの5つのヒーターについて、原料投入口側から、それぞれ220℃、240℃、260℃、260℃、260℃に設定した。
射出速度:100mm/秒
最大射出圧力:1800kg/cm
保圧:800kg/cm
金型温度:60℃
次いで、得られたメタクリル樹脂層を、150mm×90mm×3mm厚の金型に貼り付け、メタクリル樹脂Aを、射出成形機(ファナック株式会社製150D)を用いて、以下の成形条件で150mm×90mm×3mm厚の平板形状に成形し、1mm厚のメタクリル樹脂層と、2mm厚のメタクリル樹脂Aを含む層とを含む積層体を得た。ここで、メタクリル樹脂Aを含む2mm厚の層単体の、JIS K7136に従って測定されるヘイズは、0.3%であった。
(成形条件)
スクリュー温度:原料投入口から出口までの5つのヒーターについて、原料投入口側から、それぞれ220℃、230℃、240℃、250℃、250℃に設定した。
射出速度:30mm/秒
最大射出圧力:1800kg/cm
保圧:800kg/cm
金型温度:60℃
得られた積層体を80℃のオーブン内で16時間静置し、その後6時間かけて40℃まで徐冷して評価を行った。
[実施例2]
メタクリル樹脂Aを70重量%とシリカ含有メタクリル樹脂Bを30重量%とを混合する代わりに、メタクリル樹脂Aを50重量%とシリカ含有メタクリル樹脂Bを50重量%とを混合した以外は、実施例1と同様にして積層体を得て、評価を行った。
[実施例3]
メタクリル樹脂Aを70重量%とシリカ含有メタクリル樹脂Bを30重量%とを混合する代わりに、メタクリル樹脂Aを85重量%とシリカ含有メタクリル樹脂Cを15重量%とを混合した以外は、実施例1と同様にして積層体を得て、評価を行った。
[実施例4]
メタクリル樹脂Aを70重量%とシリカ含有メタクリル樹脂Bを30重量%とを混合する代わりに、メタクリル樹脂Aを70重量%とシリカ含有メタクリル樹脂Cを30重量%とを混合した以外は、実施例1と同様にして積層体を得て、評価を行った。
[実施例5]
メタクリル樹脂Aを70重量%とシリカ含有メタクリル樹脂Bを30重量%とを混合する代わりに、メタクリル樹脂Aを90重量%とシリカ含有メタクリル樹脂Dを10重量%とを混合した以外は、実施例1と同様にして積層体を得て、評価を行った。
[実施例6]
メタクリル樹脂Aを70重量%とシリカ含有メタクリル樹脂Bを30重量%とを混合する代わりに、メタクリル樹脂Aを85重量%とシリカ含有メタクリル樹脂Bを10重量%とシリカ含有メタクリル樹脂Cを5重量%とを混合した以外は、実施例1と同様にして積層体を得て、評価を行った。
[実施例7]
メタクリル樹脂Aを70重量%とシリカ含有メタクリル樹脂Bを30重量%とを混合する代わりに、メタクリル樹脂Aを80重量%とシリカ含有メタクリル樹脂Bを10重量%とシリカ含有メタクリル樹脂Cを10重量%とを混合した以外は、実施例1と同様にして積層体を得て、評価を行った。
[実施例8]
<射出成形>
シリカ含有メタクリル樹脂B100重量%を、射出成形機(ファナック株式会社製150D)を用いて、以下の成形条件で150mm×90mm×1mm厚の平板形状に成形し、メタクリル樹脂層を得た。
(成形条件)
スクリュー温度:原料投入口から出口までの5つのヒーターについて、原料投入口側から、それぞれ220℃、240℃、260℃、260℃、260℃に設定した。
射出速度:100mm/秒
最大射出圧力:1800kg/cm
保圧:800kg/cm
金型温度:60℃
次いで、得られたメタクリル樹脂層を、150mm×90mm×3mm厚の金型に貼り付け、メタクリル樹脂Aを、射出成形機(ファナック株式会社製150D)を用いて、以下の成形条件で150mm×90mm×3mm厚の平板形状に成形し、1mm厚のメタクリル樹脂層と、2mm厚のメタクリル樹脂Aを含む層とを含む積層体を得た。ここで、メタクリル樹脂Aを含む2mm厚の層単体の、JIS K7136に従って測定されるヘイズは、0.3%であった。
(成形条件)
スクリュー温度:原料投入口から出口までの5つのヒーターについて、原料投入口側から、それぞれ220℃、230℃、240℃、250℃、250℃に設定した。
射出速度:30mm/秒
最大射出圧力:1800kg/cm
保圧:800kg/cm
金型温度:60℃
得られた積層体を80℃のオーブン内で16時間静置し、その後6時間かけて40℃まで徐冷して評価を行った。
[比較例1]
シリカ含有メタクリル樹脂B100重量%の代わりに、メタクリル樹脂A100重量%を用いて1mm厚の成形体を得た以外は、実施例8と同様にして積層体を得て、評価を行った。
[比較例2]
メタクリル樹脂Aを70重量%とシリカ含有メタクリル樹脂Bを30重量%とを混合する代わりに、メタクリル樹脂Aを97.5重量%とシリカ含有メタクリル樹脂Cを2.5重量%とを混合した以外は、実施例1と同様にして積層体を得て、評価を行った。
[比較例3]
メタクリル樹脂Aを70重量%とシリカ含有メタクリル樹脂Bを30重量%とを混合する代わりに、メタクリル樹脂Aを97.5重量%とシリカ含有メタクリル樹脂Dを2.5重量%とを混合した以外は、実施例1と同様にして積層体を得て、評価を行った。
[比較例4]
メタクリル樹脂Aを85重量%とシリカ含有メタクリル樹脂Eを15重量%とを混合した後、スクリュー径40mmの単軸押出機(田辺プラスチックス機械株式会社製VS40)を使用し、以下の混練条件で溶融混練してストランド状に押出し、水冷してストランドカッターでカッティングすることにより、ペレット状のメタクリル樹脂組成物を得た。
(混練条件)
押出機温度:原料投入口から出口までの5つのヒーターについて、原料投入口側から、それぞれ200℃、230℃、240℃、240℃、240℃に設定した。
回転数:75rpm
<射出成形>
得られたペレット状のメタクリル樹脂組成物を、射出成形機(ファナック株式会社製150D)を用いて、以下の成形条件で150mm×90mm×3mm厚の平板形状に成形し、メタクリル樹脂層を得た。
(成形条件)
スクリュー温度:原料投入口から出口までの5つのヒーターについて、原料投入口側から、それぞれ220℃、240℃、260℃、260℃、260℃に設定した。
射出速度:100mm/秒
最大射出圧力:1800kg/cm
保圧:800kg/cm
金型温度:60℃
得られたメタクリル樹脂層を80℃のオーブン内で16時間静置し、その後6時間かけて40℃まで徐冷して各評価を行った。
実施例1〜8および比較例1〜4におけるメタクリル樹脂層の組成と、メタクリル樹脂層または積層体の評価結果を表1に示す。
Figure 2020093388

Claims (3)

  1. メタクリル樹脂99.75重量%以上99.995重量%未満と、平均一次粒子径0.2μm以上2μm以下のシリカ粒子0.005重量%を超え0.25重量%以下とを含有するメタクリル樹脂層と、前記シリカ粒子の含有量が0.005重量%以下である熱可塑性樹脂層とを含有し、JIS K7136に従って測定されるヘイズが3%以下である、積層体。
  2. 前記メタクリル樹脂層の厚さが、0.5mm以上8mm以下である、請求項1に記載の積層体。
  3. 請求項1または2に記載の積層体を含む車両用ランプカバー。
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