JP4290298B2 - 熱板加熱溶着用樹脂、溶着方法および溶着製品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車用ランプなど、樹脂成形品同士の熱板加熱溶着接合による一体化に用いられる溶着性にすぐれ、透明化も可能な熱板加熱溶着用樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用の各種ランプは、ガラス製のレンズと鋼板製、アルミニウム合金製などの金属製のハウジングが用いられていたが、自動車の軽量化、耐衝撃性、耐腐食性、生産性などの要請から、合成樹脂製に代替されてきている。すなわち、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂などの透明樹脂からなるレンズ部材とポリプロピレン樹脂、ABS樹脂、ゴム変性ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂あるいはこれらの複数からなる樹脂組成物などからなるハウジング部材が一体化されてランプとするものである。
【0003】
従来、これらの接合方法としては、ホットメルト接着剤が用いられてきたが、接着剤を用いないで生産性を向上する方法として、熱板を用いた加熱溶着法が採用されてきている。この熱板加熱溶着法は、一般に樹脂製のレンズの周縁端部とハウジングの周縁端部の少なくとも一方を熱板に押し当て、加熱溶融し、次いで、熱板を取り去り、互いに押圧することにより接合一体化するものである。
【0004】
この溶着方法では、レンズ用の樹脂とハウジング用の樹脂との熱溶着性が良好であることが必要である。さらに、重要なことは、レンズ部材またはハウジング部材の周縁端部が熱板に押し当てられ加熱溶融されたあと、熱板を取り去る際に、熱板に溶融樹脂が付着しないことである。この付着は、一部であっても、熱板を取り去る際に、糸を引く現象が起こり、次の互いに押圧する溶着工程がスムースに進行しないばかりか、溶着面の溶着不良、外観不良の原因となる。
【0005】
したがって、この熱板加熱の際の糸引きのない樹脂が求められている。この糸引き現象を改良するための各種提案がなされている。(1)特開平10−310676号公報には、架橋アクリルゴム、ポリオルガノシロキサン系から選ばれたゴム質重合体の存在下に、シアン化ビニル単量体、芳香属単量体、(メタ)アクリル酸エステル単量体から選ばれた単量体をグラフト重合して得られるグラフト重合体を必須とする熱板溶着用熱可塑性樹脂組成物が開示されている。また、同公報には、前記グラフト重合体10〜80重量部とポリカーボネート樹脂20〜90重量部からなる熱板溶着用熱可塑性樹脂組成物も具体的に開示されている。
【0006】
また、(2)特開平11−199729号公報には、(A)α−メチルスチレン系共重合体40〜90重量%、(B)ゴム状重合体5〜80重量%、α−メチルスチレン単量体以外の芳香属ビニル単量体20〜95重量%からなるスチレン系グラフト共重合体10〜60重量%を有効成分とする熱板溶着用熱可塑性樹脂組成物が開示されている。
【0007】
さらに、(3)特開平11−256044号公報には、熱可塑性樹脂100重量部に対して、0.05〜5.0重量部のテトラフルオロエチレン誘導体類の重合体を配合した組成物であって、該テトラフルオロエチレン誘導体類の重合体は、芳香属ビニル単量体及びシアン化ビニル単量体を含む重合体によって完全又は部分的に包含されていることを特徴とする熱板溶着用熱可塑性樹脂組成物が開示されている。さらに、熱可塑性樹脂がゴム含有スチレン系樹脂とポリカーボネート樹脂との混合物である組成物も開示されている。
【0008】
しかしながら、上記提案の熱板溶着用熱可塑性樹脂組成物は、ゴム状重合体を含有したり、特殊なテトラフルオロエチレン誘導体類の重合体を配合する熱可塑性樹脂組成物により、目的を達成しようとするものである。また、ポリカーボネート樹脂についても具体的に提案されているものの、何れの提案も、ゴム状重合体や特殊なテトラフルオロエチレン誘導体類の重合体の配合及びゴム含有スチレン系樹脂を含有するものである。
【0009】
すなわち、ポリカーボネート樹脂に限っては、すべてゴム含有熱可塑性樹脂を用いて、熱板加熱において、熱板を引き離す際の糸引き現象を解消しようとするものである。このため、これらの熱板溶着用熱可塑性樹脂組成物は、すべて透明性に劣るか、不透明の樹脂であり、レンズ部材には適用が困難である。したがって、実質的にはランプハウジング部材用の樹脂としてしか使用ができないものである。したがって、これらの熱板加熱溶着用熱可塑性樹脂組成物は、自動車用のランプとして最も主要なヘッドランプ(前照灯)ではなく、温度、透明性の点からその要求特性の低い、ウインカーやテールランプへの適用が開示されているのみである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状の下、透明性、耐熱性、耐衝撃性にすぐれたポリカーボネート系樹脂を用い、熱板加熱溶着の際の糸引き現象の改善された、透明性を生かしてレンズ部材としても使用可能な熱板加熱溶着用樹脂の提供を目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的を達成するため、本発明者等は、ポリカーボネート系樹脂の熱板加熱溶着の際の溶着性、作業性について、鋭意検討を行った。その結果、特定のポリカーボネート系樹脂を選択することにより、糸引き性が改善されることを見出し、本発明を完成した。
【0012】
すなわち、本発明は、
(1) 分岐ポリカーボネート系樹脂を含むことを特徴とする熱板加熱溶着用樹脂。
(2) 熱板加熱溶着される樹脂成形品の少なくとも一方の成形品として、分岐ポリカーボネート系樹脂を含む成形品を用い、該成形品の溶着面を熱板で接触加熱することにより溶融させ、ついで、熱板と引き離し他方の成形品と溶着する溶着方法。
(3) (2)記載の溶着方法で得られた溶着製品。
(4) 溶着製品の少なくとも一方が分岐ポリカーボネート系樹脂を含む透明成形体である(3)記載の溶着製品
(5) 溶着製品がレンズとランプハウジングからなる自動車用ランプである(3)または(4)に記載の溶着製品に関するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。まず、本発明の熱板加熱溶着用樹脂は、分岐ポリカーボネート系樹脂を含むことを特徴とするものである。この分岐ポリカーボネート系樹脂は、一般の直鎖状のポリカーボネート系樹脂に比較して、スウェル、溶融張力が高いなどの溶融流動特性に特徴を有し、ブロー成形による中空構造成形品などの特殊成形方法の分野に使用されるものであり、ポリカーボネート系樹脂の一般的な成形方法である射出成形品としての使用は一般的ではないものである。
【0014】
本発明の熱板加熱溶着用樹脂としての、分岐ポリカーボネート系樹脂としては、特に制限はなく種々のものが挙げられる。通常、2価フェノールとカーボネート前駆体との反応により製造される芳香族ポリカーボネートにおいて、少量の分岐剤を用いることにより得られるものである。すなわち、2価フェノールとカーボネート前駆体とを溶液法あるいは溶融法、すなわち、2価フェノールとホスゲンの反応、2価フェノールとジフェニルカーボネートなどとのエステル交換法により反応させて製造するに際し、分岐剤存在下に得られるものを使用することができる。
【0015】
2価フェノールとしては、様々なものが挙げられるが、特に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトンなど、あるいはこれらのハロゲン置換体などが挙げられる。
【0016】
特に好ましい2価フェノールとしては、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン系、特にビスフェノールAを主原料としたものである。また、カーボネート前駆体としては、カルボニルハライド、カルボニルエステル、またはハロホルメートなどであり、具体的にはホスゲン、2価フェノールのジハロホーメート、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどである。この他、2価フェノールとしては、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール等が挙げられる。これらの2価フェノールは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いたものでもよい。
【0017】
また、本発明に用いる分岐ポリカーボネート系樹脂としては、ポリカーボネート部とポリオルガノシロキサン部を有するランダム共重合体、ブロック共重合体、あるいはこの共重合体を含有するポリカーボネート樹脂であってもよい。また、テレフタル酸などの2官能性カルボン酸、またはそのエステル形成誘導体などのエステル前駆体の存在下でポリカーボネートの重合を行うことによって得られるポリエステル−ポリカーボネート樹脂であってもよい。すなわち、本発明の分岐ポリカーボネート系樹脂としては、分岐構造を有する芳香属ポリカーボネート樹脂を主要部とする樹脂や共重合樹脂である。
【0018】
本発明において用いられる、分岐ポリカーボネート系樹脂は、機械的強度および成形性の点から、フェノール、p−t−ブチルフェノール、p−t−オクチルフェノール、p−クミルフェノール、p−ドデシルフェノールなどの分子量調節剤を用いて分子量を制御することができる。この粘度平均分子量としては、好ましくは10,000〜100,000、より好ましくは15,000〜40,000、特に好ましくは20,000〜30,000のものである。
【0019】
本発明に用いる、分岐ポリカーボネート系樹脂の分岐構造形成のために用いられる分岐剤としては、3個以上の官能基を有する化合物、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、イミノ基、ホルミル基、酸ハライド基、ハロホーメート基を有する化合物である。具体的には、フロログリシン、トリメリット酸、トリメリット酸クロリド、無水トリメリット酸、没食子酸、イサチンビス(o−クレゾール)、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,3,5−トリ−(4’−ヒドロキシフェニル)−ベンゼン、α,α’,α”−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、1−〔α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル〕−4−〔α’,α’−ビス(4’’−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、1−〔α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル〕−3−〔α’,α’−ビス(4’’−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼンなどが挙げられる。中でも、フロログリシン、トリメリット酸、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、イサチンビス(o−クレゾール)などが好ましく用いられる。
【0020】
本発明で用いられる分岐ポリカーボネート系樹脂の分岐の程度は、この分岐剤の使用量によりその特性が決まるものであるが、熱板加熱溶着に用いられる成形品の分子量、成形品の形状、大きさ、接合端面、他の樹脂や添加剤などの配合成分、相手先の成形品、熱板表面状態などにより適宜選択できる。しかしながら、好ましくは、ポリカーボネート系樹脂を構成する2価フェノールに対して、好ましくは0.01〜2.0モル%、より好ましくは、0.1〜1モル%程度の範囲から選択される。
【0021】
分岐ポリカーボネート系樹脂は、分岐剤の使用量により、一般的には、使用量が少ない場合には、分岐鎖が長くなり、多い場合には、分岐鎖が短くなる。したがって、本発明に用いる分岐ポリカーボネート系樹脂としては、これら、分岐剤による分岐構造の異なる分岐ポリカーボネート系樹脂を任意に混合して用いることもできる。もちろん、分岐ポリカーボネート系樹脂としては、各種分岐ポリカーボネート系樹脂と直鎖のポリカーボネート系樹脂との混合物として用いることもできる。
【0022】
本発明に用いられる分岐ポリカーボネート系樹脂は分岐構造によって特殊な溶融流動性を有するものである。したがって、分岐ポリカーボネート系樹脂は、その分子量によっても異なるものであるが、例えばスウェル比が、直鎖のポリカーボネート樹脂が1.2程度であるのに対して、好ましくは、1.30〜1.46、より好ましくは、1.32〜1.44の範囲である。ここで、スウェル比は、温度=280℃で、オリフィス(長さ=20mm、径=1mm)を剪断速度=243sec-1の条件でストランドを押出した際の、ストランドの径とオリフィスの径の比として測定されるものである。
【0023】
また、分岐ポリカーボネート系樹脂には、ポリカーボネート樹脂に常用されている添加剤を添加することもできる。これら添加剤としては、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリメチルホスフェート、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトなどの熱安定剤、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、オクタデシル−3−(3’−5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどの酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾエート系、ベンゾフェノン系などの紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系、フェニルベンゾエート系などの光安定剤、リン酸エステル、ハロゲン化合物などの難燃剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤などがある。
【0024】
また、本発明の熱板加熱溶着用樹脂がレンズ部材などの透明部材の場合には、透明性、ないし透光性が必要であるが、ランプハウジングなどの場合には、成形性、耐衝撃性、メッキ性などの特性を改良するために、他の樹脂やエラストマーを本発明の目的が損なわれない程度の範囲で配合することもできる。ここで他の樹脂としては、ポリスチレン樹脂、ゴム変性ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、ポリメタクリレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアリーレンスルフィド樹脂あるいはこれらの混合樹脂などが挙げられる。
【0025】
また、エラストマーとしては、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、アクリル系ゴム、ポリエステル系ゴム、ポリアミド系ゴム、ポリオルガノシロキサンゴム、MBS(メタクリル酸メチル−スチレン−ブタジエンゴム)、MAS(メタクリル酸メチル−アクリロニトリル−スチレンゴム)などが挙げられる。さらに、これらのゴムの存在下にスチレン、アクリロニトリルなどのビニルモノマーをグラフト重合してなる共重合体を用いることもできる。
【0026】
また、本発明の分岐ポリカーボネート樹脂には、無機充填剤を、成形品の剛性、耐熱性、難燃性の向上のために含有させることができる。ここで、無機充填剤としては、タルク、マイカ、カオリン、珪藻土、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維などをあげることができる。なかでも、板状であるタルク、マイカなどや、繊維状の充填剤が好ましい。タルクなどの無機充填剤の平均粒径は0.1〜50μm、好ましくは、0.2〜20μmである。
【0027】
本発明の分岐ポリカーボネート系樹脂を含む熱板加熱溶着用樹脂は、基本的には、分岐ポリカーボネート系樹脂単独で用いることができる。しかしながら、熱板加熱溶着用樹脂成形品の用途、使用目的、要求性状などによっては、分岐ポリカーボネート系樹脂と直鎖のポリカーボネート系樹脂との混合樹脂、さらに必要により、他の樹脂、エラストマーや各種添加剤を配合し、溶融混練することにより得られる。このときの配合および混練は、通常用いられている機器、例えばリボンブレンダー、ドラムタンブラーなどで予備混合して、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機、コニーダ等を用いる方法で行うことができる。混練の際の加熱温度は、通常240〜300℃の範囲で適宜選択される。
【0028】
本発明の分岐ポリカーボネート系樹脂を含む熱板加熱溶着用樹脂は、重合で得られた分岐ポリカーボネート系樹脂の粉粒体などを必要により、各種添加剤成分、他の樹脂、充填剤成分と配合して上記の溶融混練押出成形機でペレットとして、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法など各種成形法によって、熱板加熱溶着用各種樹脂成形品を製造する。
【0029】
ここで、熱板加熱溶着用樹脂成形品としては、熱溶着される一組の成形品の少なくとも一方の成形品として、分岐ポリカーボネート系樹脂を含むものである。すなわち、熱板加熱溶着用樹脂成形品としては、熱板と密着されることで加熱される方の成形品として、本発明の分岐ポリカーボネート系樹脂を含む樹脂を用いることにより、本発明の目的が達成されるからである。
【0030】
しかしながら、本発明の熱板加熱溶着用樹脂は、透明性、耐衝撃性、耐熱性にすぐれたものであり、従来提案されている、他のゴム類などを添加するポリカーボネート系樹脂とは、その発明思想を異にするものである。したがって、透明性が必須である、ランプにおける、レンズ部材として用いることが可能となる。この場合において、溶融接着温度の高いポリカーボネート系樹脂の成形品側を熱板加熱することが可能となるので、他の樹脂、他の樹脂組成物との溶着性が著しく向上することになる。すなわち、従来のゴム含有ビニル系樹脂組成物のハウジングを用いる場合には、このハウジングの溶着面の熱板加熱では、その耐熱性の点から、熱板温度には限界があり、ポリカーボネート樹脂製のレンズ部材との溶着温度まで加熱困難な場合があり、結果として、溶着性が低下する場合がある。
【0031】
したがって、本発明の熱板加熱溶着方法にあっては、本発明に用いられる分岐ポリカーボネート系樹脂を含む成形品、これに他の樹脂や添加剤、充填剤を配合した成形品、さらには、他の熱板加熱溶着用樹脂組成物で成形された、従来提案されている成形品からなるランプハウジングとの組み合わせなど、その樹脂の組み合わせの範囲が著しく広くなる特長がある。
【0032】
本発明の溶着樹脂製品としては、たとえば、自動車用のランプを具体的に例示することができる。自動車用のランプとしては、各種ランプがあり、透明性、耐衝撃性、耐熱性、耐候性が必要で比較的大型のランプはヘッドランプ(前照灯)である。自動車用としては、他にも、テールランプ、ブレーキランプ、ウインカーランプ、フォグランプなどがある。これらのランプはランプを固定するハウジング部材と透光性のレンズ部材からなり、この両部材が接合一体化される。本発明の分岐ポリカーボネート系樹脂を含有する熱板加熱溶着用樹脂は、これらの両部材の少なくとも一方の主成分として用いられる。特に、ポリカーボネート系樹脂単独での使用が可能であるので、耐熱性の要求される、ヘッドランプ(前照灯)レンズへの適用が可能になる。
【0033】
【実施例】
本発明について実施例および比較例を示してより具体的に説明するが、本発明はこれらに、何ら制限されるものではない。
【0034】
実施例1
分岐ポリカーボネート樹脂〔粘度平均分子量=26,000、分岐構造として、分岐剤(1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフエニル)エタン)の残基をビスフエノールAに対して、0.3モル%含有するビスフェノールA分岐ポリカーボネート樹脂、スウェル比=1.39〕を用いて、射出成形方法により、30mm×60mm×15mm(高さ)で、肉厚が3mmの箱状の成形品を得た。
【0035】
この箱の開口周縁端部を300℃に加熱された金属製熱板に押し当て、15秒間保持した。ついで、成形品を金属製熱板から引き離し、別途同一形状、同一樹脂の箱状成形品の開口周縁端部に押圧保持し溶着した。金属製熱板からの引き離しの際に、成形品の加熱部、熱板に糸引きや毛羽立ちは見られず、作業性は良好であった。また、溶着部は外観良好であり、良好に溶着されていた。
【0036】
実施例2
実施例1の分岐ポリカーボネート樹脂を用いて、射出成形方法により、30mm×60mm×15mm(高さ)で、肉厚が3mmの箱状の成形品を得た。
【0037】
この箱の開口周縁端部を300℃に加熱された金属製熱板に押し当て、15秒間保持した。ついで、成形品を金属製熱板から引き離し、別途成形された、ポリメチルメタクリレート樹脂〔アクリペットMD(三菱レイヨン社製)〕からなる同一形状の箱状成形品の開口周縁端部に押圧保持し溶着した。金属製熱板からの引き離しの際に、成形品の加熱部に糸引きや毛羽立ちは見られず、作業性は良好であった。また、溶着部は外観良好であり、良好に溶着されていた。
【0038】
実施例3
実施例1の分岐ポリカーボネート樹脂を用いて、射出成形方法により、30mm×60mm×15mm(高さ)で、肉厚が3mmの箱状の成形品を得た。
【0039】
この箱の開口周縁端部を300℃に加熱された金属製熱板に押し当て、15秒間保持した。ついで、成形品を金属製熱板から引き離し、別途成形された、ABS樹脂〔ダイヤペットABS 1002(三菱レイヨン社製)〕からなる同一形状の箱状成形品の開口周縁端部に押圧保持し溶着した。金属製熱板からの引き離しの際に、成形品の加熱部に糸引きや毛羽立ちは見られず、作業性は良好であった。また、溶着部は外観良好であり、良好に溶着されていた。
【0040】
実施例4
実施例1の分岐ポリカーボネート樹脂を用いて、射出成形方法により、30mm×60mm×15mm(高さ)で、肉厚が3mmの箱状の成形品を得た。
【0041】
この箱を二つ、開口周縁端部を300℃に加熱された金属製熱板を間に押し当て、15秒間保持した。ついで、成形品を金属製熱板から引き離し、二つの箱の開口周縁端部を押圧保持し溶着した。金属製熱板からの引き離しの際に、成形品の加熱部に糸引きや毛羽立ちは見られず、作業性は良好であった。また、溶着部は外観良好であり、良好に溶着されていた。この例より、被溶着部の両面を共に熱板で加熱することが可能となり、溶着をより確実に行うことができる。
【0042】
実施例5
実施例4において、他方の箱状成形品として、分岐ポリカーボネート樹脂〔粘度平均分子量=22,300、分岐構造として、分岐剤(1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフエニル)エタン)の残基をビスフエノールAに対して、0.7モル%含有するビスフェノールA分岐ポリカーボネート樹脂、スウェル比=1.41〕50質量%とABS樹脂〔ダイヤペットABS 1002(三菱レイヨン社製)〕50質量%とからなる樹脂組成物製の箱状成形品を用いた以外は、実施例4に準じて溶着し、一方が透明な溶着成形品を得た。金属製熱板からの引き離しの際に、成形品の加熱部、熱板に糸引きや毛羽立ちは見られず、作業性は良好であった。また、溶着部は外観良好であり、良好に溶着されていた。
【0043】
比較例1
直鎖ポリカーボネート樹脂〔粘度平均分子量=26,200、ビスフエノールAポリカーボネート樹脂〕を用いて、射出成形方法により、30mm×60mm×15mm(高さ)で、肉厚が3mmの箱状の成形品を得た。
【0044】
この箱の開口周縁端部を300℃に加熱された金属製熱板に押し当て、15秒間保持した。ついで、成形品を金属熱板から引き離し、別途同一形状、同一樹脂の箱状成形品の開口周縁端部に押圧保持し溶着した。金属熱板からの引き離しの際に、成形品の加熱部に糸引きや毛羽立ちが見られ、作業性が悪く、溶着部の外観も不良であった。
【0045】
【発明の効果】
本発明の分岐ポリカーボネート樹脂を含む熱板加熱溶着用樹脂は、ポリカーボネート系樹脂の透明性、耐衝撃性、耐熱性を何ら損なうことなく、熱板加熱後の引き離しの際の糸引き、毛羽立ち現象を無くし、または抑制できる。したがって、自動車用ランプなどの製造において、従来は、ランプハウジング側のみの熱板加熱で行われていたのに対して、レンズ側との両面加熱も可能となる。すなわち、溶融温度の高いポリカーボネート系樹脂側の加熱が可能となり、熱溶着する両樹脂の熱特性に応じて、最適加熱条件の設定が可能になる。したがって、溶着強度が向上するとともに、作業性、生産性の向上、溶着部の外観も良好になる。したがって、ヘッドランプ、テールランプ、ストップランプ、ウインカーランプ、シグナルランプ、フォグランプなどの自動車用ランプをはじめ、各種熱融着製品分野への応用展開が可能となる。
Claims (5)
- 分岐ポリカーボネート系樹脂を含むことを特徴とする熱板加熱溶着用樹脂組成物。
- 熱板加熱溶着される樹脂成形品の少なくとも一方の成形品として、分岐ポリカーボネート系樹脂を含む成形品を用い、該成形品の溶着面を熱板で接触加熱することにより溶融させ、ついで、熱板と引き離し他方の成形品と溶着する溶着方法。
- 請求項2記載の溶着方法で得られた溶着製品。
- 溶着製品の少なくとも一方が分岐ポリカーボネート系樹脂を含む透明成形体である請求項3記載の溶着製品。
- 溶着製品がレンズとランプハウジングからなる自動車用ランプである請求項3または4に記載の溶着製品。
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JP36201999A JP4290298B2 (ja) | 1999-12-21 | 1999-12-21 | 熱板加熱溶着用樹脂、溶着方法および溶着製品 |
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