JP4495938B2 - 二色成形品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、透明部と、この透明部と一体化される枠部とを有する二色成形品の製造方法に関する。特に、安全性や操作性確保のために視認性が必要な車両や産業用機器等に用いられる窓、例えば、自動車のリアクォータ窓、フロントクォータ窓およびリア窓、トラック用助手席下部の視認窓、産業用重機の天井窓等に好適な二色成形品の製造方法に関する。
従来より、環境保護に対する意識の向上を反映して、米国カルフォルニア州の排気ガス基準等、各国各都市で自動車の排気ガス量や成分について基準が設定されている。
この基準をクリアするため、各自動車製造メーカは、超低燃費車、ハイブリット車、電気自動車、燃料電池車等に利用できる内燃機関や、燃料を高速燃焼させるための電子制御技術、触媒を用いてマフラー中で有害排出物を補足する触媒技術等を開発しているが、これらの技術開発のほかに、内燃機関にかかる負担を抑えて燃費を向上させるため、自動車の軽量化が試みられている。
自動車の軽量化は、バンパー、フェンダー、サンルーフ等の比較的大型の自動車用部品を樹脂化するのが一般的である。このうち、透明部を有した車両用の窓部材等を製作する手法として、二色射出成形法が知られている。
二色成形によって樹脂製の大型の窓を製造しようとした場合、透明部を透明な1次材で形成し、枠部を着色された2次材から形成する成形法がある。しかし、この成形法によると、1次材と後から射出される2次材とが積層される箇所、およびその近傍において、2次材の射出時に1次材に与えられる熱により1次材が再溶融し、その後、徐冷される事により透明部に残留応力、変形が発生することがある。このため、窓の視認性の悪化を招く透視ひずみが発生してしまうという不都合が生じる。
上述のような不都合を解消するために、枠部を着色された1次材から形成し、透明部を透明な2次材から形成する二色射出成形法が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
特許文献1に開示された樹脂製窓の二色成形方法は、透明部の外周部のひずみを低減させるための技術である。すなわち、上述した透明部の残留応力や変形による透視ひずみが生じないように、透明部を2次材から形成する成形法を採用している。
また、特許文献2に開示された計器パネルの二色成形方法では、2つの材料の接着力を向上するために、絵付けシートをインサートしている。
特開2001−150484号公報 特開平10−44190号公報
しかしながら、上述した特許文献1の二色成形方法では、1次材と2次材とが積層された構造ではなく、互いの端面同士を接合した構造のため、自動車用窓のような大型の製品においては、1次材と2次材との接着力不足という不都合が生じる。
また、特許文献2の二色成形方法では、AV機器や家電製品のフロントパネルやボタン、自動車の計器パネルやボタン等小型の製品をつくる点においては問題ないものの、透明の窓部にゲートを設ける場合、跡が目立たないようにするため、ピンゲートにすることが必要になるが、ピンゲートにすると透明材料の充填が困難になり、大型部品への適用が困難になってしまう。一方、1次成形品の外側にサイドゲートを設け、このサイドゲートから透明材料を充填する場合、1次材が再溶融、再流動し、透明部へ着色された1次材が流入することによる外観不良が発生する可能性が大きい。このため、大型部材の外観品質に優れた製品を得ることが難しいという不都合が生じる。
さらに、着色された1次材を成形した後に透明な2次材を射出する成形方法では、2次材の射出時に1次材が再溶融、再流動して、透明部の側へ流入し外観不良が発生するといった問題がある。また、1次材と2次材との接着力不足による剥離を防止するために、接着力を確保することが重要である。
本発明の目的は、透明部の透視ひずみを低減させるとともに、透明部への1次材の流入を防止して、外観に優れた製品を得ることができ、かつ1次材と2次材の接着力を確保できる二色成形品の製造方法を提供することにある。
本出願人は、外観品質の確保、および1次材と2次材の接着力確保という課題を解決するために鋭意検討を行った結果、枠部および透明部を形成する1次および2次材料の形状比と、2次材料を射出するゲート形状とに着目することにより、本発明の構成に至ったものである。
請求項1に記載の二色成形品の製造方法は、透明部と、この透明部と一体化される枠部とを有する二色成形品の製造方法であって、不透明な第1材料をキャビティ内に射出して前記枠部を形成する第1材料射出工程と、この第1材料射出工程に続いて、透明な第2材料をキャビティ内に射出して前記透明部を形成する第2材料射出工程とを備え、前記第2材料射出工程において、前記第2材料をキャビティ内に射出する第2材料用ゲートの近傍部分の当該第2材料を、前記第1材料に厚さ方向に積層し、かつ、当該第2材料の中央部分を前記第1材料に積層しない単層構造とし、前記第2材料のキャビティ内の流動長をA、前記第2材料のキャビティ内の流動方向に沿った前記第1材料および第2材料の積層部分の長さ寸法をBとしたときの、長さ比B/Aが0.06以上であり、前記第2材料用ゲートにおける射出方向に直交する方向に沿った前記第1材料および第2材料の積層部分の長さ寸法をC、前記射出方向に直交する方向に沿った前記第2材料用ゲートの幅寸法をDとしたときの、長さ比D/Cを0.3〜0.6とし、前記第2材料射出工程における前記第2材料の充填時間を10秒以下、前記第1材料および第2材料が充填される金型の金型温度を60〜120℃とし、前記第2材料射出工程において、前記第2材料用ゲート近傍の前記第1材料との積層部分を通過する際の、前記第2材料の温度を270〜330℃とし、前記第1材料は、ポリカーボネート30〜90wt%、ポリエステル系樹脂5〜65wt%、タルク3〜30wt%からなる組成物であって、前記第2材料は、ポリカーボネートであることを特徴とする。
この発明によれば、透明部を第2材料から形成することで、透明部に残留応力や変形が発生することがなく、透明部の透視ひずみを低減させることができる。
さらに、第2材料の流動長Aと流動方向に沿った第1材料および第2材料の積層部分の長さ寸法Bとの比B/Aを0.06以上とし、第2材料用ゲート近傍における射出直交方向に沿った第1材料および第2材料の積層部分の長さ寸法Cと第2材料用ゲートの幅(の長さ)寸法Dとの比を0.3〜0.6としたことで、透明部への第1材料の流入を防止して、外観に優れた製品を得ることができ、かつ第1材料と第2材料の接着力を確保することができる。
ここで、枠部を形成する第1材料と透明部を形成する第2材料とを強固に接着させるためには、第2材料の射出時に第1材料の表面を再溶融させる事が必要であるが、第2材料の射出により第1材料が再溶融、再流動して、単層の透明部にまで流入してしまうと、透明部の視認性の低下と、製品としての外観不良となる。この現象を避けつつ、第1材料と第2材料の接着性を保持させ、かつ再流動した第1材料が単層の透明部へ流入することを防ぐ手段として、第1材料および第2材料の積層部分の長さ寸法Bを長くすることが有効である。すなわち、第2材料のゲート近傍で再溶融した第1材料が再流動を起こしても、その流動距離よりも積層部分の長さ寸法Bが長ければ、単層の透明部に第1材料が流入せず、透明部の視認性の低下と、製品としての外観不良を防止する事が可能となる。
また、積層部分の長さ寸法Bを長くする、すなわち接着面が拡大することにより、第1材料と第2材料との接着力の向上も期待できる。ただし、単層の透明部が狭くなると、窓として用いた場合の視角が狭くなるため、第2材料用ゲートからキャビティの流動末端までの距離(流動長A)と、積層部分の長さ寸法Bとの比B/A0.06〜0.10となる形状がより好ましい。
さらに、第2材料の射出によって再溶融する第1材料の量を少なくすることで、第1材料の透明部への流入を防止する手段として、第2材料用ゲートのゲート幅を拡大し、ゲート近傍での単位面積当たりの樹脂流量を低減させることが有効である。すなわち、第2材料用ゲート近傍の第1材料および第2材料の積層部分の射出方向に直交する幅方向の長さ寸法Cと、第2材料用ゲートの幅寸法Dとの比D/Cが、0.3以上に設定されている。このように、第2材料用ゲートのゲート幅を拡大する程、ゲート近傍での単位面積当たりの樹脂流量が低減し、第1材料の温度上昇が抑制され、第1材料の再溶融、再流動の防止には有効である。ただし、第2材料用ゲートのゲート幅を拡大しすぎると、ゲートカット処理が困難になるため、D/Cの上限を0.6とすることで、ゲートカット処理の作業性が確保される。
本発明では、成形材料として以下の材料を用いることができる。
(A)ポリカーボネート(PC)
ポリカーボネートはその高い衝撃特性と透明性の特長から、軍事用車両の防弾ガラスや、高速道路の防音壁用素材、カーポートの屋根等、様々な用途に用いられている。ポリカーボネートとしては、特に制限はなく、種々のものを用いることができるが、2価フェノールとカーボネート前駆体とから溶液法あるいは溶融法により製造される芳香族ポリカーボネートが好ましい。すなわち、2価フェノールとホスゲンの反応や、2価フェノールとジフェニルカーボネート等とのエステル交換反応により製造されたものである。
2価フェノールとしては、様々なものが挙げられるが、特に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、4,4'−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン等が挙げられる。
2価フェノールとしては、好ましくは、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン系、特にビスフェノールAを主原料としたものである。
また、2価フェノールとしては、以上に述べたほかに、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール等が挙げられる。これらの2価フェノールは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
カーボネート前駆体としては、カルボニルハライド、カルボニルエステル、またはハロホルメートなどであり、具体的にはホスゲン、2価フェノールのジハロホーメート、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等が挙げられる。
なお、ポリカーボネートは、分岐構造を有していてもよく、分岐剤としては、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、α,α',α"−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、フロログリシン、トリメリット酸、イサチンビス(o−クレゾール)等が挙げられる。また、分子量の調節のためには、フェノール、p−t−ブチルフェノール、p−t−オクチルフェノール、p−クミルフェノール、以下の化学式(1)で表される化合物等が使用され、これらは一種でもよく、二種以上を混合したものでもよい。なお、式(1)中R1は炭素数8〜40までのアルキル基を示す。
Figure 0004495938
また、本発明に用いるポリカーボネートとしては、ポリカーボネート部とポリオルガノシロキサン部を有する共重合体、あるいはこの共重合体を含有するポリカーボネートであってもよい。また、テレフタル酸などの二官能性カルボン酸、またはそのエステル形成誘導体などのエステル前駆体の存在下でポリカーボネートの重合を行うことによって得られるポリエステル−ポリカーボネート樹脂であってもよい。さらに、種々のポリカーボネートの混合物を用いることもできる。
また、ポリカーボネートは、機械的強度および成形性の点から、その粘度平均分子量(Mv)は、10,000〜100,000、好ましくは、12,000〜30,000、より好ましくは、15,000〜22,000である。この粘度平均分子量(Mv)は、ウベローデ型粘度計を用いて、20℃における塩化メチレン溶液の粘度を測定し、これより極限粘度〔η〕を求め、以下の数式(2)にて算出するものである。
Figure 0004495938
本発明の第1材料に用いられるポリカーボネートには、必要に応じて、他の熱可塑性樹脂、エラストマー、無機充填剤などを成形性、耐衝撃性、剛性、耐薬品性、をさらに向上させるために配合することができる。
ここで、他の熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネートと相溶性を有する樹脂、分散性を有する樹脂が用いられる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ゴム変性ポリスチレン樹脂、シンジオタクチック構造を有するポリスチレン樹脂などのポリスチレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリメタアクリレート系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、これらの共重合体などのポリオレフィン樹脂が挙げられる。
ポリスチレン系樹脂としては、スチレン、α−メチルスチレン等のモノビニル系芳香族単量体20〜100wt%、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル系単量体0〜60wt%、およびこれらと共重合可能なマレイミド、(メタ)アクリル酸メチルなどの他のビニル系単量体0〜50wt%からなる単量体または単量体混合物を重合して得られる重合体が挙げられる。これら重合体としては、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)等が挙げられる。
このうち、ポリカーボネートとの相溶性の観点から、ポリエステル系樹脂、スチレン系ゴム状弾性体共重合樹脂が好ましい。
(B)ポリエステル系樹脂
ポリエステル樹脂としては、特に制限はなく、種々のものを用いることできるが、二官能性カルボン酸とアルキレングリコールを重合して得られるポリエステル樹脂が好ましい。
二官能性カルボン酸としては、例えば、テレフタル酸,イソテレフタル酸,ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸が挙げられる。このうち、テレフタル酸が好ましく、また本発明の効果を損なわない範囲で他の二官能性カルボン酸を併用することができる。他の二官能性カルボン酸としては、例えば、シュウ酸,マロン酸,アジピン酸,スベリン酸,アゼライン酸,セバシン酸,デカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸及びそれらのエステル形成性誘導体が挙げられるが、これらの二官能性カルボン酸の配合割合は全二官能性カルボン酸に対して20モル%以内が好ましい。
次に、アルキレングリコールとしては、特に制限はないが、例えば、エチレングリコール、プロピレン−1,2−グリコール、プロピレン−1,3−グリコール、ブチレン−1,4−グリコール、ブチレン−2,3−グリコール、ヘキサン−1,6−ジオール、オクタン−1,8−ジオール、ネオペンチルグリコール、デカン−1,10−ジオール等の炭素数2〜15の脂肪族ジオール,ポリエチレングリコール等を用いることができる。また、二種以上のグリコール成分を組み合わせて用いてもよい。
以上のような二官能性カルボン酸とアルキレングリコールを重合して得られるポリエステル樹脂としては、特にポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートが好ましい。
この芳香族ポリエステル樹脂は、チタン、ゲルマニウム、アンチモンなどを含有する重縮合触媒の存在下又は不存在下で、通常の方法で製造することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレートは、一般に、以下の2つの方法で製造される。
第1の方法は、テレフタル酸とエチレングリコールとをエステル化反応させて製造する方法である。第2の方法は、ジメチルテレフタレートのようなテレフタル酸の低級アルキルエステルとエチレングリコールとをエステル交換反応させ、テレフタル酸のグリコールエステルおよび/またはその低重合体を製造する第1段階の反応と、前記グリコールエステルおよび/またはその低重合体をさらに重合させて重合度の高いポリマーとする第2段階反応、いわゆる重合反応とで製造する方法である。
この芳香族ポリエステル樹脂は一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
(C)スチレン系ゴム状弾性体共重合樹脂
スチレン系ゴム状弾性体共重合樹脂は、窓用材料との接着性を損なわずにポリカーボネートの溶融流動性、すなわち、成形性を向上させるために配合することができる。
スチレン系ゴム状弾性体共重合樹脂としてはポリブタジエンにアクリロニトリルとスチレンとが重合したABS樹脂(ABS)、エチレンプロピレンゴムにアクリロニトリルとスチレンとが重合したAES樹脂(AES)、アクリルゴムにアクリロニトリルとスチレンとが重合したAAS樹脂(AAS)等があり、二種以上を併用することができるとともに、アクリロニトリルとスチレンの共重合樹脂(AS樹脂)との混合物としても用いることができる。
スチレン系ゴム状弾性体共重合樹脂中のゴムの含有量は、例えば2〜60wt%、好ましくは、5〜40wt%、より好ましくは、10〜40wt%である。ゴムの割合が2wt%未満であると、耐衝撃性が不十分となり、また、50wt%を超えると熱安定性が低下したり、溶融流動性の低下、ゲルの発生、着色などの問題が生じる場合がある。上記ゴムの具体例としては、ポリブタジエン、アクリレートおよび/またはメタクリレートを含有するゴム質重合体、スチレン・ブタジエン・スチレンゴム(SBS)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエン・アクリルゴム、イソプレン・ゴム、イソプレン・スチレンゴム、イソプレン・アクリルゴム、エチレン・プロピレンゴム等が挙げられる。
このうち、特に好ましくは、ポリブタジエンである。ポリブタジエンとしては、低シスポリブタジエン(例えば1,2−ビニル結合を1〜30モル%、1,4−シス結合を30〜42モル%含有するもの)、高シスポリブタジエン(例えば1,2−ビニル結合を20モル%以下、1,4−シス結合を78モル%以上含有するもの)のいずれを用いてもよく、また、これらの混合物であってもよい。
また各種耐久性改良のため、ゴム成分中への酸化防止剤やHALS等のアミン系安定剤またはベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系の紫外線安定剤などの添加は特に有効であり、耐熱性、耐光性等の耐久性を大幅に向上できる。
(D)無機充填剤
無機充填剤は、第1材料の熱線膨張係数を低減するために配合することができる。無機充填剤としては、タルク、マイカ、カオリン、珪藻土、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ガラス繊維、炭素繊維などをあげることができる。このうち、板状であるタルク、マイカ等が好ましい。タルク、マイカ等の板状充填材は、添加量が増加てしも、異方性の指標であるMD/TDを低下させることなく熱線膨張係数を低減させる事ができる。
タルクは、マグネシウムの含水ケイ酸塩であり、一般に市販されているものを用いることができる。
無機充填剤は、配合量3%未満では、熱線膨張係数の低減効果が低く、成形品の変形を抑制するには十分ではない。逆に、配合量が30%を超えると、耐衝撃性が低下してしまう。また、無機充填剤の平均粒径は0.1〜50μm、好ましくは、0.2〜20μmである。
また、本発明では、無機充填剤としてガラス繊維等を用いることもできるが、配合量3%以下では熱線膨張係数の低減が少ない。一方、配合量が30%を超えると、成形品表面がガラス繊維の浮きのために荒れるという不具合が発生する。
なお、必要に応じて、チタン酸カリウム繊維や、ホウ酸アルミニウムウィスカー、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム(ワラストナイト)等の微細繊維も無機充填剤として用いることができる。
(E)コア・シェルタイプグラフトゴム状弾性体
コア・シェルタイプグラフトゴム状弾性体は、コア(芯)およびシェル(殻)で構成される二層構造を有しており、コア部分は軟質なゴム状態であって、その表面のシェル部分は硬質な樹脂状態であり、弾性体自体は粉末状(粒子状態)であるグラフトゴム状弾性体である。このコア・シェルタイプグラフトゴム状弾性体は、ポリカーボネートと溶融ブレンドした後も、その大部分が元の粒子状の形態を保っているため、均一に分散し、表層剥離を防止できる効果を得ることができる。
このコア・シェルタイプグラフトゴム状弾性体としては、種々なものを用いることができる。市販品としては、例えばハイブレンB621(日本ゼオン社製)、KM−330(ローム&ハース社製)、メタブレンW529、メタブレンS2001、メタブレンC223、メタブレンB621(三菱レイヨン社製)KM2602,KM2603(呉羽化学社製)等が挙げられる。
このうち、例えば、アルキルアクリレートやアルキルメタクリレートを主体とする単量体から得られるゴム状重合体の存在下に、ビニル系単量体の一種または二種以上を重合させて得られるものが挙げられる。
アルキルアクリレートやアルキルメタクリレートとしては、炭素数2〜10アルキル基を有するものが好ましい。具体的には、例えば、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルメタクリレート等が挙げられる。
これらアルキルアクリレート類を主体とする単量体から得られるゴム状重合体としては、アルキルアクリレート類70wt%以上と、これと共重合可能な他のビニル系単量体、例えば、メチルメタクリレート、アクリロニトリル、酢酸ビニル、スチレン等30wt%以下とを反応させて得られる重合体が挙げられる。
なお、この場合、ジビニルベンゼン、エチレンジメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等の多官能性単量体を架橋剤として適宜添加して反応させてもよい。さらに、ゴム状重合体としては、ポリシロキサンゴムとの混合物も使用できる。
ゴム状重合体の存在下に反応させるビニル系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、メチルアクリレート,エチルアクリレート等のアルキルアクリレート、メチルメタクリレート,エチルメタクリレート等のアルキルメタクリレート等が挙げられる。これらの単量体は、一種または二種以上を組み合わせて用いてもよいし、また、他のビニル系重合体、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物や、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル化合物等と共重合させてもよい。この重合反応は、例えば塊状重合、懸濁重合、乳化重合などの各種方法によって行うことができるが、乳化重合法が好ましい。
以上のコア・シェルタイプグラフトゴム状弾性体は、上述したゴム状重合体を20wt%以上含有することが好ましく、40wt%以上含有することがより好ましい。コア・シェルタイプグラフトゴム状弾性体としては、具体的には60〜80wt%のn−ブチルアクリレートと、スチレン、メチルアクリレートとのグラフト共重合体などのMAS樹脂弾性体が挙げられる。
グラフト共重合体としては、ポリシロキサンゴム成分が5〜95wt%とポリアクリル(メタ)アクリレートゴム成分95〜5wt%とが分離できないように相互に絡み合った構造を有し、かつ、平均粒子径が0.01〜1μm程度の複合ゴムに、少なくとも一種のビニル単量体がグラフト重合されてなる複合ゴム系グラフト共重合体が好ましい。この複合ゴム系グラフト共重合体は、それぞれのゴム単独でのグラフト共重合体よりも耐衝撃改良効果が高い。なお、複合ゴム系グラフト共重合体は、三菱レイヨン社製メタブレンS−2001等の市販品として入手することができる。
さらに、第1材料に供する樹脂組成物は、必要な他の各種添加成分を配合し、溶融混練することによって調製することができる。この配合、混練には、通常用いられている装置および方法、例えば、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、ドラムタンブラー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、コニーダ、多軸スクリュー押出機等を用いることができる。
また、本発明では、当該二色成形品が窓であることが好ましい。
この発明によれば、高品質な樹脂製の大型の窓を二色成形を用いて製造することができる。
さらに、本発明では、当該二色成形品が車両用の窓部材、または産業用重機の窓部材であることが好ましい。
この発明によれば、車両用の窓部材として、自動車のリアクォーター窓、フロントクォーター窓、テールゲート、トラック用視認窓等の大型の窓、または産業用重機の窓部材(例えば、天井窓)を二色成形を用いて製造することができる。
この際、傷付き防止のため、成形品表面にハードコートをコーティングすることが好ましい。
ハードコート剤としては、特に制限がなく、シリコーン系、アクリル系、シラザン系などの種々のハードコート剤を用いることができる。このうち、接着性や耐候性を向上させるために、ハードコート剤を塗布する前にプライマー層を設ける2コートタイプのハードコートが好ましい。また、コーティング方法としては、特に制限はなく、スプレーコート、ディップコート、フローコート、スピンコート、バーコート等が用いられる。また、成形品裏面には、防曇用、傷付き防止のためアクリル系コートを用いてもよい。
なお、ハードコート剤を塗布する方法に限らず、フイルムインサートによる方法や、転写フィルムに好適な薬剤を塗布し転写する方法等を用いてもよい。
さらに、前記第1材料および第2材料が充填される金型の金型温度を60〜120℃とし、前記第2材料射出工程において、前記第2材料用ゲート近傍の前記第1材料との積層部分を通過する際の、前記第2材料の温度を270〜330℃とした。
このようにすれば、第2材料の成形温度を低くし、かつ充填時間を短くすることで、第2材料から第1材料に与える熱量を少なくし、伝熱の時間を短くできるので、第1材料の再溶融、再流動による外観不良が発生しにくくなり、外観に優れた製品を得ることができる。
すなわち、第2材料を射出する際には、金型温度が高い方が、第2材料の金型への転写が向上し、外観の優れた製品を得る事が出来る。しかしながら、金型温度が高いと成形サイクルが増大するのに加え、第1材料の表面温度が高くなるため、第2材料の射出時に第1材料がガラス転移温度に達し易く、第1材料の再溶融、再流動による外観不良が発生し易くなる。そこで、金型温度を60〜120℃とした。
また、第2材料の射出の際に、第2材料用ゲート近傍の第1材料は、第2材料からの熱伝導により、温度が上昇し、第1材料がガラス転移温度以上になると、第1材料の再流動が発生する可能性が有る。このような第1材料の再流動を防止するために、第2材料から第1材料に与える熱量を少なくし、伝熱の時間を短くする、すなわち第2材料の成形温度を低くし、かつ充填時間を短くすることが有効である。ただし、第2材料の成形温度を低くしすぎると、材料の流動性が低下し、キャビティ末端部まで充填できなくなる。このため、第2材料の成形温度を270〜330℃とし、第2材料の充填時間を10秒以下とすることが、第1材料の再流動を防止する上で有効である
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る二色成形品1を示す断面図および正面図である。
二色成形品1は、適宜な厚さ寸法を有し略矩形平板状に形成された透明部2と、この透明部2の表裏面のうち一方の面の外周端部に一体成形された枠部3とを備えた自動車用の窓である。すなわち、透明部2の外周部分において、透明部2および枠部3は、互いに厚さ方向に積層されており、透明部2の中央部分は、枠部3が積層されない単層構造となっている。このような二色成形品1は、枠部3が不透明な第1材料3Aから、透明部2が透明な第2材料2Aから、二色射出成形によって製造されている。
なお、不透明な第1材料としては、光をほとんど透過しない不透明な材料に限らず、光を透過するが着色された半透明な材料であってもよい。また、透明な第2材料としては、自動車用の窓に要求される程度の透明度を有していれば、着色されたものであってもよい。
図2(A),(B)、および図3(C),(D)には、本発明の製造方法に用いられる射出成形機10の断面図、および二色成形品1の製造手順が示されている。
射出成形機10は、図示しない固定ダイプレートに固定された固定金型11Aと、図示しない移動ダイプレートに設けられた可動金型11B、および固定金型11Aに接近、離隔可能に設けられたフロートコア12とを備えている。固定金型11Aには、平面四角形環状の凹部13が形成されており、可動金型11Bには、フロートコア12が挿通可能な挿通孔14が中央部分に形成されている。
この射出成形機10によれば、図示しないシリンダを制御することによって、フロートコア12を固定金型11Aに対して、図2(A)、図3(C)に矢印で示す方向に沿って、進退移動させることができる。
なお、フロートコア12の駆動については、特に制限はなく、様々な方法を採用できる。例えば、油圧シリンダで直接フロートコア12を駆動させる直圧法、油圧シリンダで楔状の板を進退させることによりフロートコア12を駆動させる楔法等が挙げられる。
図2(A)に示すように、固定金型11Aの凹部13によって形成される第1キャビティ17は、第1材料用ゲート15を介して、第1材料を射出する射出装置21に接続されている。図3(C)に示すように、フロートコア12を後退させて形成される第2キャビティ18は、可動金型11Bに設けられた第2材料用ゲート16を介して、第2材料を射出する射出装置22に接続されている。第1および第2材料用のゲート15,16は、二色成形品1の厚さ方向(フロートコア12の移動方向)に交差する方向(図2、3中、上下方向)に沿って設けられている。すなわち、二色成形品1の枠部3の外周端面となる部分の外側に第1材料用ゲート15が設けられ、透明部2の外周端面となる部分の外側に第2材料用ゲート16が設けられている。
第2材料用ゲート16部分には、射出された第2材料の一部が透明部2と一体に固化したゲートカット部2Bが形成される。このゲートカット部2Bは、射出成形終了後にゲートカット処理により透明部2から切り離される。
可動金型11Bの挿通孔14の内法寸法のうち、第2材料用ゲート16が開口する内壁面から、この内壁面に対向する内壁面までの距離、すなわち、第2材料用ゲート16から射出された第2材料2Aの第2キャビティ18内の流動長は、Aとされている。これにより、図1に示すように、二色成形品1の透明部2における第2材料の射出方向(図中、左右方向)に沿った辺の長さ寸法は、流動長Aに等しくなっている。そして、透明部2における第2材料の流動方向、および板厚方向に交差する方向(図1中、下側の図で上下方向、二色成形品1の幅方向)の辺の長さ寸法は、Cである。
また、固定金型11Aの凹部13の幅寸法、すなわち、透明部2および枠部3の積層部分における第2材料の流動方向に沿った長さ(幅)寸法は、少なくとも第2材料用ゲート16近傍位置において、Bとされている。これにより、図1に示すように、二色成形品1の枠部3における第2材料の流動方向(図中、左右方向)に沿った幅寸法がBになっている。また、第2材料用ゲート16の射出方向、および板厚方向に交差する方向(図1中、下側の図で上下方向)の幅(長さ)寸法、すなわち、ゲートカット部2Bの幅寸法は、Dとされている。
以上のような各寸法A〜Dは、本実施形態において、以下のように設定されている。
すなわち、第2材料2Aの流動方向に沿った第2材料2Aの流動長Aと、透明部2および枠部3(第2材料2Aおよび第1材料3A)の積層部分の幅寸法Bとの比、B/Aが0.04以上に設定されている。
また、第2材料2Aの射出方向に直交する透明部2および枠部3(第2材料2Aおよび第1材料3A)の積層部分の長さ寸法Cと、第2材料用ゲート16の幅寸法Dとの比、D/Cが0.3〜0.8に設定されている。
次に本実施形態に係る射出成形機10の動作、つまり二色成形品1の製造手順について説明する。
まず、固定金型11A、可動金型11Bおよびフロートコア12の金型温度を60〜120℃に設定する。そして、図2(A)に示すように、フロートコア12を可動金型11B内で前進させて、固定金型11Aに密接させる。これにより、フロートコア12と固定金型11Aの凹部13との間に枠部3を成形するための第1キャビティ17を形成する。
次いで、図2(B)に示すように、第1キャビティ17に、射出装置21から第1材料用ゲート15を介して溶融した第1材料3Aを射出、充填する。以上により、枠部3を形成する第1材料射出工程が完了する。
第1材料3Aの射出完了から所定時間経過後、つまり第1キャビティ17に射出された第1材料3Aが冷却した状態において、図3(C)に示すように、フロートコア12を所定寸法(透明部2の厚さ寸法)だけ後退させる。これにより、固定金型11Aとフロートコア12との間に、透明部2を成形するための第2キャビティ18を形成する。
次いで、図3(D)に示すように、第2キャビティ18に、射出装置22から第2材料用ゲート16を介して溶融した第2材料2Aを射出、充填する。ここで、第2キャビティ18に第2材料2Aを充填する充填時間は、10秒以下に設定されている。また、第2材料用ゲート16近傍の第1材料3Aとの積層部分を通過する際の、第2材料2Aの温度は、270〜330℃に設定されている。以上により、透明部2を形成する第2材料射出工程が完了する。
以上の製造手順により透明部2と枠部3とが一体に成形される本発明の二色成形品1の最終目標製品としては、図4に示すような自動車外装部品が例示される。
なお、二色成形品1の最終目標製品としては、車両用の窓部材、例えば、自動車のテールゲートや、リアクォーター窓、フロントクォーター窓、トラック用視認窓、または産業用重機の天井窓であってもよい。
以上の本実施形態によれば以下の効果がある。
(1)透明部2を第2材料2Aから形成することで、透明部2に残留応力や変形が発生することがなく、透明部2の透視ひずみを低減させることができる。また、透明部2と枠部3とを同時にかつ一体に成形できるから、製造コストを低減させることができる。
(2)第2材料2Aの流動方向に沿った流動長Aと、透明部2および枠部3の積層部分の幅寸法Bとの比B/Aを0.04以上とし、第2材料用ゲート16近傍における射出方向に直交する透明部2および枠部3の積層部分の長さ寸法Cと第2材料用ゲート16の幅寸法Dとの比を0.3〜0.8としたことで、再溶融、再流動した第1材料3Aが透明部2へ流入することを防止して、外観に優れた製品を得ることができ、かつ透明部2と枠部3との接着力を確保することができる。
(3)固定金型11A、可動金型11Bおよびフロートコア12の金型温度を60〜120℃に設定するとともに、第2材料射出工程における第2材料2Aの成形温度を低く(270〜330℃)し、かつ充填時間を短く(10秒以下)することで、第2材料2Aから第1材料3Aに与える熱量を少なくし、伝熱の時間を短くできるので、第1材料3Aの再溶融、再流動による外観不良が発生しにくくなり、外観に優れた製品を得ることができる。
本発明の実施例として、下に示すような構成を採用した。
[成形材料]
1.枠部(第1材料)
第1材料としては、以下の2種類の材料(材料A、材料B)を使用した。
材料Aは、ポリカーボネート(タフロンA1900、出光石油化学工業(株)製)60wt%、PET樹脂(ポリエチレン樹脂、MA523)25wt%、無機充填材としてタルクFFR(浅田製粉製)10wt%、コア・シェルタイプグラフトゴム状弾性体としてEXL2602(呉羽化学製)5wt%、酸化防止剤PEP−36(旭電化工業製)0.5wt%から、二軸押出し機(東芝機械製TEM35)によりシリンダー温度260℃にて溶融混練したものである。
材料Bは、ポリカーボネート(タフロンA2200、出光石油化学工業(株)製)70wt%、ABS樹脂(DP615、テクノポリマー製)30wt%からなる組成物である。
2.透明部(第2材料)
第2材料としては、以下の2種類のポリカーボネート(A2200、A1500)を使用した。
A2200は、タフロンA2200(出光石油化学工業(株)製)で、粘度平均分子量(Mv)が21,500のものである。
A1500は、タフロンA1500(出光石油化学工業(株)製)で、粘度平均分子量(Mv)が15,400のものである。
[成形条件]
1.金型
金型としては、以下の2種類(金型1、金型2)のものを使用した。
金型1は、透明部のサイズが250mm×120mm×4mm、枠部のサイズが透明部の周囲に20mm幅で積層成形できる金型である。つまり金型1では、図1における流動長Aが250mm、透明部および枠部の積層部分の幅寸法Bが20mm、積層部分の長さ寸法Cが120mmとなり、B/Aが0.08となる。
金型2は、透明部のサイズが400mm×200mm×4mm、枠部のサイズが透明部の周囲に25mm幅で積層成形できる金型である。つまり金型2では、図1における流動長Aが400mm、透明部および枠部の積層部分の幅寸法Bが25mm、積層部分の長さ寸法Cが200mmとなり、B/Aが0.06となる。
なお、いずれの金型ともに、第2材料用ゲート近傍の樹脂温度を測定するために、第2材料用ゲート近傍に温度測定用のセンサーを設置した。
2.成形方法
第1材料と第2材料との組み合わせ、第2材料であるポリカーボネートの成形温度、充填時間、第2材料用ゲートの幅寸法、および金型温度を変更させて射出成形した。
射出成形機としては(株)日本製鋼所製J450EII−2Mの二本シリンダー仕様の射
出成形機を用い、枠部を形成する第1材料を一次射出側とし、透明部を形成する第2材料を二次射出側として射出成形した。この際、第1材料の成形温度は、材料A、材料Bともに270℃とした。
一次射出として枠材を成形する際には、フロートコアを前進させておき、一次射出が終わり第1材料が冷却した後フロートコアを後退させることによって第2材料射出空間を作り出し、二次射出を行う事により二色成形品を製造した。フロートコアの駆動方法としては、楔法を採用した。
[評価方法]
目視にて透明部の単層部分(窓部)への第1材料の流入の有無、および透明部の製品外観を確認した。
図5は、実施例1〜9の二色成形品1の製品外観を示す図であり、図6は、比較例3〜7の二色成形品1の製品外観を示す図である。
実施例1〜9および比較例1〜7の実験結果を以下の表に示す。
Figure 0004495938
[実施例1]
第1材料に材料A、第2材料にA2200を用い、金型1を用いて金型温度70℃で射出成形した。第2材料の成形条件としては、第2材料用ゲートの幅寸法Dが30mm(D/C=0.3)、樹脂温度が300℃、充填時間が0.9秒であった。
[実施例2]
第2材料の充填時間を9.1秒とした。その他の条件は、実施例1と同様である。
[実施例3]
第2材料の第2材料用ゲートの幅寸法Dを60mm(D/C=0.5)とし、充填時間を8.5秒とした。その他の条件は、実施例1と同様である。
[実施例4]
金型温度を110℃とし、第2材料の充填時間を2.5秒とした。その他の条件は、実施例3と同様である。
[実施例5]
第2材料の樹脂温度を320℃とし、充填時間を10秒とした。その他の条件は、実施例3と同様である。
[実施例6]
金型温度を90℃とし、第2材料の充填時間を9.0秒とした。その他の条件は、実施例5と同様である。
[実施例7]
第2材料にA1500を用い、第2材料の充填時間を1.7秒とした。その他の条件は、実施例3と同様である。
[実施例8]
第1材料に材料Bを用い、第2材料の充填時間を4.2秒とした。その他の条件は、実施例3と同様である。
[実施例9]
金型2を用い、第2材料の第2材料用ゲートの幅寸法Dを120mm(D/C=0.6)とし、充填時間を3.4秒とした。その他の条件は、実施例1と同様である。
[比較例1]
金型温度を40℃とし、第2材料の充填時間を9.8秒とした。その他の条件は、実施例1と同様である。
[比較例2]
第2材料の樹脂温度を260℃とし、充填時間を8.8秒とした。その他の条件は、実施例1と同様である。
[比較例3]
第2材料の樹脂温度を340℃とし、充填時間を9.5秒とした。その他の条件は、実施例1と同様である。
[比較例4]
金型温度を130℃とし、第2材料の充填時間を4.5秒とした。その他の条件は、実施例1と同様である。
[比較例5]
第2材料の充填時間を12秒とした。その他の条件は、実施例1と同様である。
[比較例6]
第2材料の充填時間を11秒とした。その他の条件は、実施例3と同様である。
[比較例7]
第2材料の第2材料用ゲートの幅寸法Dを45mm(D/C=0.2)とし、充填時間を3.2秒とした。その他の条件は、実施例9と同様である。
[評価]
実施例1〜9では、図5に示すように、枠部の第1材料の再流動は認められず、窓部の透明箇所の外観も問題が無かった。
比較例1、2では、枠部の第1材料の再流動は認められなかったが、窓部の透明箇所転写が悪く、外観の良好な製品は得られなかった。
比較例3では、図6に示すような枠部の第1材料の再流動と、窓部の透明材にシルバーストリークが発生しており、外観の良好な製品は得られなかった。
比較例4〜7では、図6に示すような枠部の第1材料の再流動が認められた。
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
本発明は、車両や産業用機器等に用いられる窓、例えば、自動車のリアクォータ窓、フロントクォータ窓およびリア窓、トラック用助手席下部の視認窓、産業用重機の天井窓等において広く利用可能である。
本発明の一実施形態に係る二色成形品を示す断面図および正面図である。 (A),(B)は、前記二色成形品の製造に用いられる射出成形機の断面図であり、前記二色成形品の製造手順を示す図である。 (C),(D)は、前記射出成形機の断面図であり、図2に続く前記二色成形品の製造手順を示す図である。 前記二色成形品である自動車外装部品を示す斜視図である。 本発明の実施例1〜9の二色成形品の製品外観を示す図である。 本発明の比較例3〜7の二色成形品の製品外観を示す図である。
符号の説明
1 二色成形品としての窓
2 透明部
2A 第2材料
3 枠部
3A 第1材料
10 射出成形機
11A 固定金型
11B 可動金型
12 フロートコア
16 第2材料用ゲート
A 第2材料の流動長
B 積層部分の幅寸法
C 積層部分の長さ寸法
D 第2材料用ゲートの幅寸法

Claims (1)

  1. 透明部と、この透明部と一体化される枠部とを有する二色成形品の製造方法であって、
    不透明な第1材料をキャビティ内に射出して前記枠部を形成する第1材料射出工程と、この第1材料射出工程に続いて、透明な第2材料をキャビティ内に射出して前記透明部を形成する第2材料射出工程とを備え、
    前記第2材料射出工程において、前記第2材料をキャビティ内に射出する第2材料用ゲートの近傍部分の当該第2材料を、前記第1材料に厚さ方向に積層し、かつ、当該第2材料の中央部分を前記第1材料に積層しない単層構造とし、
    前記第2材料のキャビティ内の流動長をA、前記第2材料のキャビティ内の流動方向に沿った前記第1材料および第2材料の積層部分の長さ寸法をBとしたときの、長さ比B/Aが0.06以上であり、
    前記第2材料用ゲートにおける射出方向に直交する方向に沿った前記第1材料および第2材料の積層部分の長さ寸法をC、前記射出方向に直交する方向に沿った前記第2材料用ゲートの幅寸法をDとしたときの、長さ比D/Cを0.3〜0.6とし、
    前記第2材料射出工程における前記第2材料の充填時間を10秒以下、
    前記第1材料および第2材料が充填される金型の金型温度を60〜120℃とし、
    前記第2材料射出工程において、前記第2材料用ゲート近傍の前記第1材料との積層部分を通過する際の、前記第2材料の温度を270〜330℃とし、
    前記第1材料は、ポリカーボネート30〜90wt%、ポリエステル系樹脂5〜65wt%、タルク3〜30wt%からなる組成物であって、
    前記第2材料は、ポリカーボネートである
    ことを特徴とする二色成形品の製造方法。
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