JP2007191538A - 熱可塑性樹脂組成物および樹脂成形品 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物および樹脂成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】 流動性、耐衝撃性に優れ、剛性にも優れた熱可塑性樹脂組成物、とりわけ芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)30〜95重量部、スチレン系樹脂(B成分)1〜50重量部、ポリ乳酸系樹脂(C成分)1〜50重量部の合計100重量部からなり、B成分中のゴム成分含有量が0〜39重量であることを特徴とする、熱可塑性樹脂組成物、およびこれを成形してなる熱可塑性樹脂成形品。
【選択図】なし

Description

本発明は、芳香族ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂及びポリ乳酸系樹脂とからなる、熱可塑性樹脂組成物に関する。更に詳しくは流動性、耐衝撃性に優れ、剛性にも優れた熱可塑性樹脂組成物、及びこれを成形してなる樹脂成形品に関する。
芳香族ポリカーボネート樹脂は、汎用エンジニアリングプラスチックとして透明性、耐衝撃性、耐熱性、寸法安定性などに優れ、その優れた特性から、電気・電子・OA機器部品、機械部品、車輌用部品等の幅広い分野で使用されている。
しかしながら、芳香族ポリカーボネート樹脂は、溶融粘度が高く、成形加工性に劣るという問題があり、成形品の薄肉化・大型化が進むに伴い、成形加工性(流動性)を改良することが強く求められている。
芳香族ポリカーボネート樹脂の流動性を向上させる手段として、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS樹脂)、アクリルニトリル・スチレン樹脂(AS樹脂)などとのポリマ−アロイ化が提案・実用化されているが、更なる流動性の向上が求められている。
また、芳香族ポリカーボネート樹脂の流動性を向上させるために、低分子量の重合体を添加する技術が幾つか提案されている(例えば特許文献1、2参照。)。しかし未だ、流動性と耐衝撃性のバランスにおいて必ずしも満足できる樹脂組成物は見出されていなかった。
一方、芳香族ポリカーボネート樹脂にポリ乳酸を配合した流動性に優れた樹脂組成物が提案されている(例えば特許文献3参照)。また前記脂肪族ポリエステルは、植物資源を基にポリマ−を合成することが可能であり、脱石油資源で二酸化炭素が循環するので(カ−ボンニュ−トラル)、環境に優しい材料として注目されている。
しかしながら、上記特許文献で開示されている様な、単に芳香族ポリカーボネート樹脂にポリ乳酸を配合するだけでは、流動性性は向上するものの耐衝撃性が低いという問題があった。
また芳香族ポリカーボネート樹脂にポリ乳酸及び衝撃性改良剤を配合した、流動性、耐衝撃性に優れた樹脂組成物が開示されている(例えば特許文献4参照)。しかしこの樹脂組成物は、ゴム成分含有量の多い衝撃改良剤を配合することによる耐衝撃性の改良を目的としているが、流動性や剛性においては必ずしも満足できるものではなく、流動性と耐衝撃性に優れ、剛性にも優れた材料が求められていた。
更に生分解性ポリエステル樹脂と、ポリカーボネート樹脂、AS樹脂、メタクリル樹脂よりなる群の少なくとも一種を含む、生分解性パ−ル光沢プラスチックが開示されている(例えば特許文献5参照)。しかしこの樹脂組成物は機械的強度と生分解性の両立を目的とした技術であり、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂及びポリ乳酸樹脂からなる樹脂組成物において、流動性、耐衝撃性、及び剛性を同時に改良することについては、何らの示唆もなかった。
特開平11−181198号公報 特開2000−239477号公報 特開平7−109413号公報 特開2005−48067号公報 特開平11−279380号公報
本発明の目的は、上記従来技術の諸欠点を解消し、流動性、耐衝撃性に優れ、剛性にも優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、芳香族ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂及びポリ乳酸系樹脂からなる熱可塑性樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」ということがある。)において、スチレン系樹脂として、ゴム成分含有量を特定量以下としたものを用いることによって、流動性、耐衝撃性に優れ、剛性にも優れた樹脂組成物となることを見出し、本発明を完成させた。
即ち本発明の要旨は、 芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)30〜95重量部、スチレン系樹脂(B成分)1〜50重量部、ポリ乳酸系樹脂(C成分)1〜50重量部の合計100重量部からなり、B成分中のゴム成分含有量が0〜39重量であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物、およびこれを成形してなる樹脂成形品に存する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物物は、流動性、耐衝撃性に優れ、剛性にも優れた樹脂組成物である。
このような特長を有する本発明の熱可塑性樹脂組成物は、幅広い分野に使用することが可能であり、電気・電子機器やその部品、OA機器、情報端末機器、機械部品、家電製品、車輌部品、建築部材、各種容器、レジャ−用品・雑貨類、照明機器などの各種用途に有用であり、特に電気・電子機器やOA機器、情報端末機器のハウジング部材、車輌外装・外板部品、車輌内装部品への適用が期待できる。
電気・電子機器やOA機器、情報端末機器のハウジング部材としては、パソコン、ゲ−ム機、テレビなどのディスプレイ装置、プリンタ−、コピ−機、スキャナ−、ファックス、電子手帳やPDA、カメラ、ビデオカメラ、携帯電話、記録媒体のドライブや読み取り装置などのハウジング部材が挙げられる。
車輌外装・外板部品としては、アウタ−ドアハンドル、バンパ−、フェンダ−、ドアパネル、トランクリッド、フロントパネル、リアパネル、ル−フパネル、ボンネット、ピラ−、サイドモ−ル、ガ−ニッシュ、ホイ−ルキャップ、フ−ドバルジ、フュ−エルリッド、各種スポイラ−、モ−タ−バイクのカウルなどが挙げられる。
車輌内装部品としては、インナ−ドアハンドル、センタ−パネル、インストルメンタルパネル、コンソ−ルボックス、ラゲッジフロアボ−ド、カ−ナビゲ−ションなどのディスプレイハウジングなどが挙げられる。
以下、本発明を更に詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とは、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含むことを意味し、また各種化合物が有する「基」は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、置換基を有していてもよいことを含む。
[1]芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)
本発明に用いるA成分である芳香族ポリカーボネート樹脂(以下、「A成分」と略記することがある。)は、例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを、または、これらに併せて少量のポリヒドロキシ化合物等を反応させてなる、直鎖または分岐
の熱可塑性の芳香族ポリカーボネート重合体または共重合体である。
本発明に用いる芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)は、従来公知の任意の製造方法により得られるものを使用できる。具体的には例えば、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法、プレポリマ−の固相エステル交換法等が挙げられる。中でも、界面重合法、又は溶融エステル交換法を用いることが化学産業上有利である。以下、芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法として、この二つの方法を例に挙げて説明する。
原料として使用される芳香族ジヒドロキシ化合物としては、具体的には例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノ−ルA)、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=テトラブロモビスフェノ−ルA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1−トリクロロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサクロロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等で例示されるビス(ヒドロキシアリ−ル)アルカン類;
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等で例示されるビス(ヒドロキシアリ−ル)シクロアルカン類;
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等で例示されるカルド構造含有ビスフェノ−ル類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルエ−テル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエ−テル等で例示されるジヒドロキシジアリ−ルエ−テル類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等で例示されるジヒドロキシジアリ−ルスルフィド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等で例示されるジヒドロキシジアリ−ルスルホキシド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等で例示されるジヒドロキシジアリ−ルスルホン類;ハイドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル等が挙げられる。
これらの中で好ましくは、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン類であり、特に耐衝撃性の点から好ましくは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[=ビスフェノ−ルA]である。これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は、1種類単独でも2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
芳香族ジヒドロキシ化合物と反応させるカーボネート前駆体としては、カルボニルハラ
イド、カーボネートエステル、ハロホルメ−ト等が使用され、具体的にはホスゲン;ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等のジアリ−ルカーボネート類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート類;二価フェノ−ルのジハロホルメ−ト等が挙げられる。これらのカーボネート前駆体もまた1種類単独でも2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
また本発明に用いる芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)は、三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した、分岐芳香族ポリカーボネート樹脂であってもよい。三官能以上の多官能性芳香族化合物としては、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−3、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)べンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン等で例示されるポリヒドロキシ化合物類、または3,3−ビス(4−ヒドロキシアリ−ル)オキシインド−ル(=イサチンビスフェノ−ル)、5−クロロイサチン、5,7−ジクロロイサチン、5−ブロムイサチン等が挙げられる。中でも、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。多官能性芳香族化合物は、前記芳香族ジヒドロキシ化合物の一部を置換して用いることができ、その使用量は芳香族ジヒドロキシ化合物に対して0.01〜10モル%が好ましく、中でも0.1〜2モル%が好ましい。
界面重合法による反応は、例えば、反応に不活性な有機溶媒とアルカリ水溶液の存在下で、通常pHを9以上に保ち、芳香族ジヒドロキシ化合物を、必要に応じて分子量調整剤(末端停止剤)、芳香族ジヒドロキシ化合物の酸化防止剤と共にホスゲンと反応させる。次いで、第三級アミンまたは第四級アンモニウム塩等の重合触媒を添加し、界面重合を行うことによってポリカーボネートを得る方法が挙げられる。ホスゲン化反応の温度は通常、0〜40℃、反応時間は数分(例えば10分)〜数時間(例えば6時間)である。また分子量調節剤の添加タイミングはホスゲン化反応以降、重合反応開始時迄の間において、適宜選択して決定すればよい。
ここで、反応に不活性な有機溶媒としては、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素化炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素などが挙げられる。またアルカリ水溶液に用いられるアルカリ化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物が挙げられる。
分子量調節剤としては、一価のフェノ−ル性水酸基を有する化合物が挙げられる。一価のフェノ−ル性水酸基を有する化合物としては、m−メチルフェノ−ル、p−メチルフェノ−ル、m−プロピルフェノ−ル、p−プロピルフェノ−ル、p−tert−ブチルフェノ−ルおよびp−長鎖アルキル置換フェノ−ルなどが挙げられる。
分子量調節剤の使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物100モルに対して、好ましくは0.5〜50モル、より好ましくは1〜30モルである。重合触媒としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリヘキシルアミン、ピリジン等の第三級アミン類;トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩などが挙げられる。
溶融エステル交換法による反応は、例えば、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物とのエステル交換反応により行う。炭酸ジエステルとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−tert−ブチルカーボネート等の炭酸ジアルキル化合物、ジフェニルカーボネートおよびジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネート等
が挙げられる。中でもジフェニルカーボネート、置換ジフェニルカーボネートが好ましく、特にジフェニルカーボネートが好ましい。
また芳香族ポリカーボネート樹脂においては、その末端水酸基量が製品ポリカーボネートの熱安定性、加水分解安定性、色調等に大きな影響を及ぼすので、従来公知の任意の方法によって、適宜調整してもよい。溶融エステル交換反応においては、通常、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物との混合比率や、エステル交換反応時の減圧度を調整して、所望の分子量および末端水酸基量を調整した芳香族ポリカーボネートを得ることができる。通常、溶融エステル交換反応においては、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して、炭酸ジエステルを等モル量以上用い、中でも1.01〜1.30モルの量で用いることが好ましい。
また、より積極的な調整方法としては、反応時に別途、末端停止剤を添加する方法が挙げられ、この際の末端停止剤としては、一価フェノ−ル類、一価カルボン酸類、炭酸ジエステル類が挙げられる。
溶融エステル交換法によりポリカーボネートを製造する際には、通常エステル交換触媒が使用される。エステル交換触媒は、特に制限はないが、アルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物が好ましい。また補助的に、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物またはアミン系化合物などの塩基性化合物を併用してもよい。上記原料を用いたエステル交換反応としては、100〜320℃の温度で反応を行い、最終的には2mmHg以下の減圧下、芳香族ヒドロキシ化合物等の副生成物を除去しながら溶融重縮合反応を行えばよい。
溶融重縮合は、バッチ式、連続式の何れの方法でも行うことができる。中でも、本発明に用いる芳香族ポリカーボネート樹脂や、本発明の樹脂組成物の安定性等を考慮すると、連続式で行うことが好ましい。溶融エステル交換法に用いる触媒失活剤としては、該エステル交換反応触媒を中和する化合物、例えばイオウ含有酸性化合物またはそれより形成される誘導体を使用することが好ましい。このような触媒を中和する化合物は、該触媒が含有するアルカリ金属に対して、好ましくは0.5〜10当量、より好ましくは1〜5当量の範囲で添加する。さらに加えて、このような触媒を中和する化合物は、ポリカーボネートに対して、好ましくは1〜100ppm、より好ましくは1〜20ppmの範囲で添加する。
本発明に用いる芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)の分子量は適宜選択して決定すればよいが、溶液粘度から換算した粘度平均分子量[Mv]で、10000〜50000の範囲のものが好ましい。芳香族ポリカーボネートの粘度平均分子量を10000以上とすることにより、機械的強度がより向上する傾向にあり、機械的強度の要求の高い用途に用いる場合により好ましいものとなる。一方、粘度平均分子量を、50000より以下とすることにより、流動性が低下するのをより改善できる傾向にあり、成形加工性容易の観点からより好ましい。
粘度平均分子量は、より好ましくは12000〜40000であり、さらに好ましくは14000〜30000である。また、粘度平均分子量の異なる2種類以上の芳香族ポリカーボネート樹脂を混合してもよい。もちろん、粘度平均分子量が上記好適範囲外である芳香族ポリカーボネート樹脂を混合してもよい。
ここで粘度平均分子量[Mv]とは、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、ウベロ−デ粘度計を用いて温度20℃での極限粘度[η](単位dl/g)を求め、Schnellの粘度式、すなわち、η=1.23×10−40.83、から算出される値を意味する。ここで極限粘度[η]とは各溶液濃度[C](g/dl)での比粘度[ηsp]を測定し、下記式により算出した値である。
Figure 2007191538
本発明に用いる芳香族ポリカーボネート樹脂の末端水酸基濃度は、通常1000ppm以下であり、中でも800ppm以下、更には600ppm以下であることが好ましい。またその下限は、特にエステル交換法で製造する芳香族ポリカーボネート樹脂では、10ppm以上、中でも30ppm以上、更には40ppm以上であることが好ましい。
末端水酸基濃度を10ppm以上とすることで、分子量の低下が抑制でき、樹脂組成物の機械的特性がより向上する傾向にある。また末端基水酸基濃度を1000ppm以下にすることで、樹脂組成物の滞留熱安定性や色調がより向上する傾向にあるので好ましい。
なお、末端水酸基濃度の単位は、芳香族ポリカーボネート樹脂重量に対する、末端水酸基の重量をppmで表示したものであり、測定方法は、四塩化チタン/酢酸法による比色定量(Macromol.Chem.88 215(1965)に記載の方法)である。
また、成形品外観の向上や流動性の向上を図るため、本発明に用いる芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)は、芳香族ポリカーボネートリゴマ−を含有していてもよい。この芳香族ポリカーボネートリゴマ−の粘度平均分子量[Mv]は、好ましくは1500〜9500であり、より好ましくは2000〜9000である。芳香族ポリカーボネートリゴマ−は、A成分の30重量%以下の範囲で使用するのが好ましい。
さらに、本発明に用いる芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)は、バ−ジン原料だけでなく、使用済みの製品から再生された芳香族ポリカーボネート樹脂、いわゆるマテリアルリサイクルされた芳香族ポリカーボネート樹脂を使用してもよい。使用済みの製品としては、光学ディスク等の光記録媒体、導光板、自動車窓ガラス・自動車ヘッドランプレンズ・風防等の車両透明部材、水ボトル等の容器、メガネレンズ、防音壁・ガラス窓・波板等の建築部材等が好ましく挙げられる。また、製品の不適合品、スプル−、ランナ−等から得られた粉砕品またはそれらを溶融して得たペレット等も使用可能である。再生された芳香族ポリカーボネート樹脂は、A成分の80重量%以下であることが好ましく、より好ましくは50重量%以下である。
[2]スチレン系樹脂(B成分)
本発明に用いるB成分であるスチレン系樹脂(以下、「B成分」と略記することがある。)とは、スチレン系単量体からなるスチレン系重合体、スチレン系単量体と他の共重合可能なビニル系単量体との共重合体、ゴム質重合体(以下、「ゴム成分」ということがある。)の存在下にてスチレン系単量体を共重合してなるゴム成分含有共重合体、ゴム質重合体の存在下にてスチレン系単量体と他の共重合可能なビニル系単量体とを共重合体してなるゴム成分含有共重合体、より選ばれる1種以上の重合体であり、B成分中のゴム成分含有量が0〜39重量%である重合体である。
これらの製造方法は任意だが、中でも好ましいのは、ゴム質重合体の存在下にスチレン系単量体と他の共重合可能なビニル系単量体とを共重合した共重合体であり、ゴム成分含有量は好ましくは5〜39重量%であり、より好ましくは10〜35重量%、特に好ましくは13〜25重量%である。
スチレン系単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、P−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、エチルビニルベンゼン、ジメチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン等のスチレン誘導体が挙げられ、これらのうちスチレンが好ましい。なお、これらは単独で、又は2種以上を混合して使用することもできる。
上記のスチレン系単量体と共重合可能なビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルシアン化合物、メチルアクリレ−ト、エチルアクリレ−ト、プロピルアクリレ−ト、ブチルアクリレ−ト、アミルアクリレ−ト、へキシルアクリレ−ト、2−エチルヘキシルアクリレ−ト、オクチルアクリレ−ト、シクロヘキシルアクリレ−ト等のアクリル酸アルキルエステル;メチルメタクリレ−ト、エチルメタクリレ−ト、プロピルメタクリレ−ト、ブチルメタクリレ−ト、アミルメタクリレ−ト、へキシルメタクリレ−ト、2−エチルヘキシルメタクリレ−ト、オクチルメタクリレ−ト、シクロヘキシルメタクリレ−ト等のメタクリル酸アルキルエステル;フェニルアクリレ−ト、ベンジルアクリレ−ト等のアクリル酸アリ−ルエステル;フェニルメタクリレ−ト、ベンジルメタクリレ−ト等のメタクリル酸アリ−ルエステル;グリシジルアクリレ−ト、グリシジルメタクリレ−ト等のエポキシ基含有アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル;マレイミド、N,N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド系単量体;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のα,β−不飽和カルボン酸又はその無水物;等が挙げられる。
さらにスチレン系単量体と共重合可能なゴム質重合体としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエンランダム共重合体及びブロック共重合体、アクリロニトリル−ブタジエンランダム共重合体及びブロック共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリル酸アルキルエステル又はメタクリル酸アルキルエステルとブタジエンとの共重合体、ポリブタジエン−ポリイソプレンジエン系共重合体、エチレン−イソプレンランダム共重合体及びブロック共重合体、エチレン−ブテンランダム共重合体及びブロック共重合体等のエチレンとα−オレフィンとの共重合体、エチレン−メタクリレ−ト共重合体、エチレン−ブチルアクリレ−ト共重合体等のエチレンとα,β−不飽和カルボン酸エステルとの共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン−ヘキサジエン共重合体等のエチレン−プロピレン−非共役ジエンタ−ポリマ−、アクリル系ゴム、ポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキルアクリレ−ト又はメタクリレ−トゴムとからなる複合ゴム等が挙げられる。
本発明に用いるスチレン系樹脂(B成分)としては、具体的には例えば、高衝撃ポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、メチルメタクリレ−ト−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(MABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−アクリルゴム共重合体(ASA樹脂)、アクリロニトリル−エチレンプロピレン系ゴム−スチレン共重合体(AES樹脂)、スチレン−メチルメタクリレ−ト共重合体(MS樹脂)、スチレン−無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。
これらの中でも、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−アクリルゴム共重合体(ASA樹脂)、アクリロニトリル−エチレンプロピレン系ゴム−スチレン共重合体(AES樹脂)が好ましく、特に好ましいのはアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)である。これらは単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
本発明に用いるスチレン系樹脂は、乳化重合、溶液重合、塊状重合、懸濁重合あるいは塊状・懸濁重合等の方法により製造されるが、本発明においては、いわゆるスチレン系重合体、又はスチレン系ランダム共重合体あるいはブロック共重合体の場合は塊状重合、懸濁重合又は塊状・懸濁重合により製造されたものが好適であり、スチレン系グラフト共重合体の場合は塊状重合、塊状・懸濁重合あるいは乳化重合によって製造されたものが好適である。
本発明において、特に好適に用いられるアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重
合体(ABS樹脂)とは、ブタジエンゴム成分にアクリロニトリルとスチレンをグラフト重合した熱可塑性グラフト共重合体とアクリロニトリルとスチレンの共重合体の混合物である。ブタジエンゴム成分は、B成分であるABS樹脂100重量%中、0〜39重量%、好ましくは5〜39重量%であり、より好ましくは10〜35重量%、特に好ましくは13〜25重量%である。
またゴム粒子径は、0.1〜5μmが好ましく、より好ましくは0.2〜3μm、さらに好ましくは0.3〜1.5μm、特に好ましくは0.4〜0.9μmである。ゴム粒子径の分布は、単一分布でも二山以上の複数の分布を有するもののいずれであっても良い。
尚、本発明に用いるB成分として、上述したような、熱可塑性グラフト重合体を用いる際、一方のゴム含有量が39重量%を超えるものを用いても、B成分中における全ゴム含有量が39重量%以下となればよい。
[3]ポリ乳酸系樹脂(C成分)
本発明に用いるC成分であるポリ乳酸系樹脂(以下、「C成分」と略記することがある。)は、L−乳酸及び/又はD−乳酸を主成分とする重合体又は共重合体であり、乳酸以外の他の共重合成分は通常50モル%以下、好ましくは35モル%以下、より好ましくは20モル%以下、特に好ましくは10モル%以下である。本発明において特に好ましいポリ乳酸系樹脂は、L体が80モル%以上含まれるポリL−乳酸樹脂である。
乳酸と共重合可能な成分としては、エチレングリコ−ル、1,3−プロパンジオ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、1,2−ブタンジオ−ル、1,5−ペンタンジオ−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、1,8−オクタンジオ−ル、1,10−デカンジオ−ル、1,12−ドデカンジオ−ル、1,14−テトラデカンジオ−ル、1,16−ヘキサデカンジオ−ル、1,18−オクタデカンジオ−ルなどの脂肪族ジオ−ル類、1,2−シクロヘキサンジオ−ル、1,4−シクロヘキサンジオ−ル、1,2−シクロヘキサンジメタノ−ル、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ルなどの脂環式ジオ−ル類、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ウンデカジカルボン酸、ドデカジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸類、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸類、グリコ−ル酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸類、カプロラクトン、バレロラクトン、プロピオラクトン、ウンデカラクトン、1,5−オキセパン−2−オンなどのラクトン類を挙げることができる。また、これらは単独でも、二種以上の混合物として使用することもできる。
さらに、本発明においては、グリセリン、トリメチロ−ルプロパンのような脂肪族多価アルコ−ル、ブタンテトラカルボン酸のような脂肪族多塩基酸、多糖類等のような多価アルコ−ル類と、一部共重合させてもよく、ジイソシアネ−ト等のような結合剤(高分子鎖延長剤)を用いて分子量を上げてもよい。
ポリ乳酸系樹脂の製造方法としては、公知の重合方法を用いることができ、直接脱水重縮合する方法(たとえば、特開平6−65360号に開示されている製造方法)や、乳酸の環状二量体(ラクタイド)を溶融重合する間接重合法(たとえば、米国特許第2,758,987号に開示されている製造方法)などを挙げることができる。
原料を直接脱水重縮合してポリ乳酸系樹脂を製造する場合には、原料である乳酸類又は乳酸類とその他共重合成分を、好ましくは有機溶媒、特にフェニルエ−テル系溶媒の存在下で共沸脱水縮合し、特に好ましくは共沸により留出した溶媒から水を除き実質的に無水の状態にした溶媒を反応系に戻す方法によって重合することにより、本発明に適した強度を持つ高分子量のポリ乳酸系樹脂を得ることができる。
ポリ乳酸系樹脂の分子量は、重量平均分子量として、通常1万以上、好ましくは4万以上、さらに8万以上であることが好ましい。かかる重量平均分子量は、ゲルパ−ミテ−ションクロマトグラフィ−(GPC)で測定したポリメチルメタクリレ−ト(PMMA)換算の分子量をいう。
[4]含有比率
本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、これを構成するA、B、及びC成分の各含有比率は、A、B、C成分の合計100重量部中、芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)30〜95重量部、スチレン系樹脂(B成分)1〜50重量部、ポリ乳酸系樹脂(C成分)1〜50重量部である。
A〜C成分の合計100重量部中、A成分は30〜95重量部、中でも40〜90重量部、更には45〜85重量部、特には50〜80重量部であることが好ましい。A成分を30重量部以上とすることで耐衝撃性が向上する傾向にあり、95重量部未満にすることで流動性が向上する傾向にある。
また、A、B、C成分の合計100重量部中、B成分は1〜50重量部、中でも5〜40重量部、更には10〜35重量部であることが好ましい。B成分を1重量部以上とすることで流動性や耐衝撃性が向上する傾向にあり、50重量部未満にすることで剛性が向上する傾向にある。
次に、C成分は、A、B、C成分の合計100重量部中1〜50重量部、中でも3〜40重量部、更には5〜30重量部であることが好ましい。C成分を1重量部以上とすることで、流動性が向上する傾向にあり、また50重量部以下とすることで耐衝撃性が向上する傾向にある。
更に、スチレン系樹脂(B成分)の含有量(B重量部)とポリ乳酸系樹脂(C成分)の含有量(C重量部)との含有量比(B重量部/C重量部)が、0.5〜4の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.7〜3の範囲であり、特に好ましくは0.9〜2.5の範囲である。(B重量部/C重量部)を、0.5以上とすることで耐衝撃性が向上する傾向にあり、逆に4以下とすることで剛性や耐衝撃性が向上する傾向にある。
[5]その他成分
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、必要に応じて本発明の目的を損なわない範囲において、上記A、B、C成分以外に他の樹脂や各種樹脂添加剤を含有していてもよい。
他の樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレ−ト樹脂、ポリトリメチレンテレフタレ−ト樹脂、ポリブチレンテレフタレ−ト樹脂などの熱可塑性芳香族ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエ−テルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリフェニレンエ−テル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリメタクリレ−ト樹脂、フェノ−ル樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは、1種類単独でも2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
また、各種樹脂添加剤としては、酸化防止剤、離型剤、染顔料、熱安定剤、強化剤、難燃剤、耐衝撃性改良剤、耐候性改良剤、帯電防止剤、防曇剤、滑剤・アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、防菌剤等が挙げられる。これらは、1種類単独でも2種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、酸化防止剤、熱安定剤、離型剤、無機フィラ−、紫外線吸収剤、耐衝撃性改良剤、染顔料、難燃剤及び滴下防止剤をかかる目的に対して適宜使用するのが好ましい。
酸化防止剤
本発明において、好ましく使用される酸化防止剤としては、ヒンダ−ドフェノ−ル系酸化防止剤が挙げられる。具体例としては、ペンタエリスリト−ルテトラキス[3−(3,
5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト]、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナミド)、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノ−ル、ジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォエ−ト、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾ−ル、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾ−ル、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネ−ト]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン,2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノ−ル等が挙げられる。
これらは、単独でも2種以上の混合して使用してもよい。上記の中で、特にペンタエリスリト−ルテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−トが好ましい。これら2つのフェノ−ル系酸化防止剤は,チバ・スペシャルテイ・ケミカルズ社よりイルガノックス1010及びイルガノックス1076の名称で市販されている。
フェノ−ル系酸化防止剤の含有量は、A、B、C成分の合計100重量部に対して、好ましくは0.001〜1重量部であり、より好ましくは0.01〜0.5重量部である。フェノ−ル系酸化防止剤の含有量が0.001重量部未満であると抗酸化剤としての効果が不十分であり、1重量部を超えても抗酸化剤として更なる効果は得られない。
熱安定剤
本発明で好ましく使用される熱安定剤は、分子中の少なくとも1つのエステルが、フェノ−ル及び/又は炭素数1〜25のアルキル基を少なくとも1つ有するフェノ−ルでエステル化された亜リン酸エステル化合物、亜リン酸及びテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−ホスホナイトから選ばれた少なくとも1種である。
亜リン酸エステル化合物の具体例としては、トリオクチルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(オクチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリト−ルジホスファイト、ジフェニルペンタエリスリト−ルジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリト−ルジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリト−ルジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリト−ルジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリト−ルジホスファイト等が挙げられる。これらは、単独でも2種以上の混合して使用してもよい。上記の中で、特にトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリト−ルジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリ
ト−ルジホスファイトが好ましい。
熱安定剤の含有量は、A、B、C成分の合計100重量部に対して、好ましくは0.001〜1重量部であり、より好ましくは0.01〜0.5重量部である。熱安定剤の含有量が0.001重量部未満であると熱安定剤としての効果が不十分であり、1重量部を超えると耐加水分解性が悪化する場合がある。
離型剤
本発明で好ましく使用される離型剤としては、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコ−ルとのエステル、数平均分子量200〜15000の脂肪族炭化水素化合物及びポリシロキサン系シリコ−ンオイルから選ばれる少なくとも1種の化合物である。
脂肪族カルボン酸としては、飽和又は不飽和の脂肪族1価、2価若しくは3価カルボン酸を挙げることができる。ここで脂肪族カルボン酸とは、脂環式のカルボン酸も包含する。このうち好ましい脂肪族カルボン酸は、炭素数6〜36の1価又は2価カルボン酸であり、炭素数6〜36の脂肪族飽和1価カルボン酸がさらに好ましい。このような脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラリアコンタン酸、モンタン酸、アジピン酸、アゼライン酸等を挙げることができる。
脂肪族カルボン酸とアルコ−ルとのエステルにおける脂肪族カルボン酸としては、前記脂肪族カルボン酸と同じものが使用できる。この脂肪族カルボン酸と反応しエステルを形成するアルコ−ルとしては、飽和又は不飽和の1価アルコ−ル、飽和又は不飽和の多価アルコ−ル等を挙げることができる。これらのアルコ−ルは、フッ素原子、アリ−ル基等の置換基を有していてもよい。これらのアルコ−ルのうち、炭素数30以下の1価又は多価の飽和アルコ−ルが好ましく、さらに炭素数30以下の脂肪族飽和1価アルコ−ル、又は多価アルコ−ルが好ましい。
ここで脂肪族とは、脂環式化合物も含有する。これらのアルコ−ルの具体例としては、オクタノ−ル、デカノ−ル、ドデカノ−ル、ステアリルアルコ−ル、ベヘニルアルコ−ル、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、グリセリン、ペンタエリスリト−ル、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノ−ル、ネオペンチレングリコ−ル、ジトリメチロ−ルプロパン、ジペンタエリスリト−ル等を挙げることができる。これらの脂肪族カルボン酸とアルコ−ルとのエステル化合物は、不純物として脂肪族カルボン酸及び/又はアルコ−ルを含有していてもよく、複数の化合物の混合物であってもよい。
脂肪族カルボン酸とアルコ−ルとのエステルの具体例としては、蜜ロウ(ミリシルパルミテ−トを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸ステアリル、グリセリンモノパルミテ−ト、グリセリンモノステアレ−ト、グリセリンジステアレ−ト、グリセリントリステアレ−ト、ペンタエリスリト−ルモノパルミテ−ト、ペンタエリスリト−ルモノステアレ−ト、ペンタエリスリト−ルジステアレ−ト、ペンタエリスリト−ルトリステアレ−ト、ペンタエリスリト−ルテトラステアレ−トを挙げることができる。
数平均分子量200〜15000の脂肪族炭化水素としては、流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャ−トロプシュワックス又は炭素数3〜12のα−オレフィンオリゴマ−等を挙げることができる。ここで脂肪族炭化水素としては、脂環式炭化水素も含まれる。また、これらの炭化水素化合物は部分酸化されていてもよい。これらの中で好ましいものは、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリエチレンワックスの部分酸化物であり、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスがさらに好ましい。
数平均分子量は200〜15000であるが、好ましくは200〜5000である。これらの脂肪族炭化水素は単一物質であっても、構成成分や分子量が様々なものの混合物であっても、主成分が上記範囲内であればよい。
また、ポリシロキサン系シリコ−ンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコ−ンオイ
ル、フェニルメチルシリコ−ンオイル、ジフェニルシリコ−ンオイル、フッ素化アルキルシリコ−ン等が挙げられる。これらは、単独で使用しても二種以上を混合して使用してもよい。
離型剤の含有量は、A、B、C成分の合計100重量部に対し、好ましくは0.001〜2重量部、より好ましくは0.01〜1重量部である。離型剤の含有量が、0.001重量部未満では離型性の効果が十分でない場合があり、逆に2重量部を超えると耐加水分解性の低下、射出成形時の金型汚染等の問題がある。離型剤は1種でも使用可能であるが、複数併用して使用することもできる。
無機フィラ−
本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、剛性や強度を向上させる目的で無機フィラ−を含有させることができる。無機フィラ−の具体例としては、ガラス繊維(チョップドストランド)、ガラス短繊維(ミルドファイバ−)、ガラスフレ−ク、ガラスビ−ズなどのガラス系フィラ−、炭素繊維、炭素短繊維、カ−ボンナノチュ−ブ、黒鉛などの炭素系フィラ−、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウムなどのウィスカ−、タルク、マイカ、ウォラストナイト、カオリナイト、ゾノトライト、セピオライト、アタバルジャイト、モンモリロナイト、ベントナイト、スメクタイトなどの珪酸塩化合物、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム等が挙げられる。これらは、単独でも2種以上の混合して使用してもよい。上記の中でも、特にガラス繊維(チョップドストランド)、ガラス短繊維(ミルドファイバ−)、ガラスフレ−ク、タルク、マイカ、ウォラストナイト、カオリナイトが好ましい。
無機フィラ−の含有量は、A、B、C成分の合計100重量部に対し、好ましくは1〜150重量部、より好ましくは3〜100重量部、特に好ましくは5〜60重量部である。無機フィラ−の含有量が、1重量部未満では補強効果が十分でない場合があり、逆に150重量部を超えると外観や耐衝撃性、流動性が十分でない場合がある。
紫外線吸収剤
本発明においては、更に、紫外線吸収剤を添加してもよい。この際用いる紫外線吸収剤としては、酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛等の無機紫外線吸収剤の他、ベンゾトリアゾ−ル化合物、ベンゾフェノン化合物、トリアジン化合物等の有機紫外線吸収剤が挙げられる。本発明では、これらのうち有機紫外線吸収剤が好ましく、特にベンゾトリアゾ−ル化合物、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノ−ル、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチロキシ)フェノ−ル、2,2’−(1,4−フェニレン)ビス[4H−3,1−ベンゾキサジン−4−オン]、[(4−メトキシフェニル)−メチレン]−プロパンジオイックアシッド−ジメチルエステルから選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
ベンゾトリアゾ−ル化合物の具体例としては、メチル−3−〔3−tert−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネ−ト−ポリエチレングリコ−ルとの縮合物が好ましい。また、その他のベンゾトリアゾ−ル化合物の具体例としては、2−ビス(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、2−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(3,5−ジ−tert−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾ−ル、2,2’−メチレン
ビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾ−ル2−イル)フェノ−ル〕[メチル−3−〔3−tert−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネ−ト−ポリエチレングリコ−ル]縮合物等を挙げることができる。これらは、単独でも2種以上の混合して使用してもよい。
これらの中で、特に好ましいものは、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾ−ル、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノ−ル、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチロキシ)フェノ−ル、2,2’−メチレン ビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾ−ル2−イル)フェノ−ル〕である。
紫外線吸収剤の含有量は、A、B、C成分の合計100重量部に対して、好ましくは0.01〜3重量部であり、より好ましくは0.1〜1重量部である。3重量部を超えるとモ−ルドデボジット等の問題が生じる場合があり、0.01重量部未満では耐候性の改良効果が不十分の場合がある。
染顔料
本発明においては、更に、染顔料等の着色成分を添加してもよい。この際用いる染顔料としては、無機顔料 、有機顔料、有機染料等が挙げられる。無機顔料としては、例えばカ−ボンブラック;カドミウムレッド、カドミウムイエロ−等の硫化物系顔料;群青等の珪酸塩系顔料;酸化チタン、亜鉛華、弁柄、酸化クロム、鉄黒、チタンイエロ−、亜鉛−鉄系ブラウン、チタンコバルト系グリ−ン、コバルトグリ−ン、コバルトブル−、銅−クロム系ブラック、銅−鉄系ブラック等の酸化物系顔料;黄鉛、モリブデ−トオレンジ等のクロム酸系顔料;紺青等のフェロシアン系等;が挙げられる。
有機顔料及び有機染料としては、銅フタロシアニンブル−、銅フタロシアニングリ−ン等のフタロシアニン系染顔料;ニッケルアゾイエロ−等のアゾ系、チオインジゴ系、ペリノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系等の縮合多環染顔料;アンスラキノン系、複素環系、メチル系の染顔料等;が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも熱安定性の点から酸化チタン、カ−ボンブラック、シアニン系、キノリン系、アンスラキノン系、フタロシアニン系化合物等が好ましい。
染顔料の含有量は、A、B、C成分の合計100重量部に対し、5重量部以下であり、好ましくは3重量部以下、さらに好ましくは2重量部以下である。染顔料の含有量が、5重量部を超えると耐衝撃性が十分でない場合がある。
難燃剤及び滴下防止剤
本発明において、更に、難燃剤を添加してもよい。この際用いる難燃剤としては、ハロゲン化ビスフェノ−ルAのポリカーボネート、ブロム化ビスフェノ−ル系エポキシ樹脂、ブロム化ビスフェノ−ル系フェノキシ樹脂、ブロム化ポリスチレンなどのハロゲン系難燃剤、リン酸エステル系難燃剤、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、パ−フルオロブタンスルホン酸カリウムなどの有機金属塩系難燃剤、ポリオルガノシロキサン系難燃剤等が挙げられ、リン酸エステル系難燃剤が特に好ましい。
リン酸エステル系難燃剤の具体例としては、トリフェニルホスフェ−ト、レゾルシノ−ルビス(ジキシレニルホスフェ−ト)、ハイドロキノンビス(ジキシレニルホスフェ−ト)、4,4’−ビフェノ−ルビス(ジキシレニルホスフェ−ト)、ビスフェノ−ルAビス
(ジキシレニルホスフェ−ト)、レゾルシノ−ルビス(ジフェニルホスフェ−ト)、ハイドロキノンビス(ジフェニルホスフェ−ト)、4,4’−ビフェノ−ルビス(ジフェニルホスフェ−ト)、ビスフェノ−ルAビス(ジフェニルホスフェ−ト)等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、レゾルシノ−ルビス(ジキシレニルホスフェ−ト)、ビスフェノ−ルAビス(ジフェニルホスフェ−ト)が好ましい。
リン酸エステル系難燃剤の含有量は、A、B、C成分の合計100重量部に対し、好ましくは1〜30重量部、より好ましくは3〜25重量部、特に好ましくは5〜20重量部である。リン酸エステル系難燃剤の含有量が、1重量部未満では難燃性が十分でない場合があり、逆に30重量部を超えると耐熱性が十分でない場合がある。
本発明に用いる滴下防止剤としては、例えばポリフルオロエチレンなどのフッ素化ポリオレフィンが挙げられ、好ましくはフィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンである。これは、重合体中に容易に分散し、且つ、重合体同士を結合して繊維状材料を作る傾向を示すものである。フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンはASTM規格でタイプ3に分類される。ポリテトラフルオロエチレンは、固体形状の他、水性分散液形態のものも使用可能である。フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンとしては、例えば三井・デュポンフロロケミカル社より、テフロン(登録商標)6J又はテフロン(登録商標)30Jとして、又はダイキン工業社よりポリフロン(商品名)として市販されている。
滴下防止剤の含有量は、A、B、C成分の合計100重量部に対し、好ましくは0.02〜4重量部、さらに好ましくは0.03〜3重量部である。滴下防止剤の配合量が5重量部を超えると成形品外観の低下が生じる場合がある。
[6]熱可塑性樹脂組成物の調整方法
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、前記A、B、C成分の他に、樹脂や添加剤等を、従来公知の任意の方法を適宜選択して、製造することができる。
具体的には例えば、A、B、C成分および必要に応じて配合される添加成分を、タンブラ−やヘンシェルミキサ−などの各種混合機を用い予め混合した後、バンバリ−ミキサ−、ロ−ル、ブラベンダ−、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニ−ダ−などで溶融混練し、樹脂組成物を製造することができる。また、各成分を予め混合せずに、または、一部の成分のみ予め混合してフィダ−を用いて押出機に供給して溶融混練して樹脂組成物を製造することもできる。
[7]熱可塑性樹脂組成物の成形方法
本発明の熱可塑性樹脂組成物から成形品を製造する方法は、特に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂について一般に採用されている成形法、すなわち一般的な射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシストなどの中空成形法、断熱金型を用いた成形法、急速加熱金型を用いた成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサ−ト成形、IMC(インモ−ルドコ−ティング成形)成形法、押出成形法、シ−ト成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法等を採用することができる。また、ホットランナ−方式を用いた成形法を選択することもできる。
また、本発明においては、廃棄物低減などの環境負荷低減やコスト低減の観点から、樹脂組成物から成形品を製造する際に、製品の不適合品、スプル−、ランナ−、使用済みの製品などのリサイクル原料をバ−ジン材料と混合してリサイクル、いわゆるマテリアルリサイクルすることができる。この際、リサイクル原料は、粉砕して使用することが成形品を製造する際に不具合を少なくできるので好ましい。
リサイクル原料の含有比率は、リサイクル原料とバ−ジン原料の合計100重量%中、70重量%以下であることが好ましく、より好ましくは50重量%以下、さらに好ましく
は30重量%以下である。
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例において、配合量は重量部を意味する。
実施例および比較例の各樹脂組成物を得るに当たり、次に示す原料を準備した。
<A成分:芳香族ポリカーボネート樹脂>
PC−1:界面重合法で製造されたビスフェノ−ルA型芳香族ポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス社製「ユ−ピロンS−3000FN」、粘度平均分子量22500、末端水酸基濃度=150ppm)
PC−2:界面重合法で製造されたビスフェノ−ルA型芳香族ポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス社製「ユ−ピロンH−4000FN」、粘度平均分子量15500、末端水酸基濃度=150ppm)
PC−3:界面重合法で製造されたビスフェノ−ルA型芳香族ポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス社製「ユ−ピロンE−2000FN」、粘度平均分子量28000、末端水酸基濃度=150ppm)
<B成分:スチレン系樹脂>
ABS−1:アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(日本エイアンドエル社製「サンタックAT−08」、ブタジエンゴム含有量18重量%)
ABS−2:アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(日本エイアンドエル社製「サンタックUT−61」、ブタジエンゴム含有量17重量%)
<B成分以外>
MBS:メチルメタクリレ−ト−ブタジエン−スチレン共重合体(三菱レイヨン社製「メタブレンC−223A」、ブタジエンゴム含有量70重量%)
<C成分:ポリ乳酸系樹脂>
PLA:ポリ乳酸(三井化学社製「レイシアH−400」)
<その他成分>
熱安定剤:トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト(旭電化工業社製「アデカスタブAS2112」)
酸化防止剤:ペンタエリスリト−ルテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト](チバスペシャリティ−ケミカルズ社製「イルガノックス1010」)
離型剤:ペンタエリスリト−ルテトラステアレ−ト(日本油脂社製「ユニスタ−H476」)
[樹脂組成物の調製]
A成分、B成分、C成分およびその他成分を表1に示す割合にてタンブラ−ミキサ−で均一に混合した後、二軸押出機(日本製鋼所社製、TEX30XCT、L/D=42、バレル数12)を用いて、シリンダ−温度260℃、スクリュ−回転数200rpmにてバレル1より押出機にフィ−ドし溶融混練することにより樹脂組成物のペレットを作製した。
[試験片の作製]
上記の方法で得られたペレットを、100℃で6時間以上乾燥した後、名機製作所製のM150AII−SJ型射出成形機を用いて、シリンダ−温度270℃、金型温度80℃、成形サイクル55秒の条件で、ASTM試験片及び100mmφの円盤状成形品(厚さ3mm)を作成した。
[評価方法]
(1)流動性(Q値)
高荷式フロ−テスタ−を用いて、280℃、荷重160kgf/cmの条件下で組成物の単位時間あたりの流出量Q値(単位:cc/s)を測定し、流動性を評価した。なお、オリフィスは直径1mm×長さ10mmのものを使用した。Q値が高いほど、流動性に優れていることを示す。
(2)耐衝撃性(Izod衝撃強度)
ASTM D256に準拠して、厚み3.2mmのノッチ付き試験片を用いて、23℃においてIzod衝撃強度(単位:J/m)を測定した。
(3)剛性(曲げ弾性率)
ASTM D790に準拠して、厚さ6.4mmの試験片を用いて、23℃において測定した。
[実施例1〜6、比較例1〜5]
表1、2に記載の各々の樹脂組成物を製造し、上述の方法により評価した。結果を表1、2に示す。
Figure 2007191538
Figure 2007191538
表1、2に示した結果から、以下のことが判る。本発明の実施例1〜6に記載の樹脂組成物は、流動性、耐衝撃性に優れ、剛性にも優れている。これに対し、比較例1に記載の樹脂組成物は、B成分及びC成分を含有していないため、実施例の組成物と比較して流動性に劣る。
比較例2に記載の樹脂組成物は、C成分を含有していないため、実施例の組成物と比較して流動性、剛性に劣る。また比較例3、4に記載の樹脂組成物は、B成分を含有していないため、実施例の組成物と比較して流動性、耐衝撃性に劣る。そして比較例5に記載の樹脂組成物は、B成分が本特許の規定の範囲外であり、実施例の組成物と比較して流動性、剛性に劣る。

Claims (5)

  1. 芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)30〜95重量部、スチレン系樹脂(B成分)1〜50重量部、ポリ乳酸系樹脂(C成分)1〜50重量部の合計100重量部からなり、B成分中のゴム成分含有量が0〜39重量%であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. スチレン系樹脂(B成分)中のゴム成分含有量が、10〜35重量%であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. スチレン系樹脂(B成分)が、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−アクリルゴム共重合体(ASA樹脂)、アクリロニトリル−エチレンプロピレン系ゴム−スレン共重合体(AES樹脂)から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. スチレン系樹脂(B成分)の含有量(B重量部)とポリ乳酸系樹脂(C成分)の含有量(C重量部)との含有量比(B重量部/C重量部)が、0.5〜4の範囲であることを特徴とする請求項1乃至3に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる樹脂成形品。

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