JP2007191538A - 熱可塑性樹脂組成物および樹脂成形品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)30〜95重量部、スチレン系樹脂(B成分)1〜50重量部、ポリ乳酸系樹脂(C成分)1〜50重量部の合計100重量部からなり、B成分中のゴム成分含有量が0〜39重量であることを特徴とする、熱可塑性樹脂組成物、およびこれを成形してなる熱可塑性樹脂成形品。
【選択図】なし
Description
しかしながら、芳香族ポリカーボネート樹脂は、溶融粘度が高く、成形加工性に劣るという問題があり、成形品の薄肉化・大型化が進むに伴い、成形加工性(流動性)を改良することが強く求められている。
また、芳香族ポリカーボネート樹脂の流動性を向上させるために、低分子量の重合体を添加する技術が幾つか提案されている(例えば特許文献1、2参照。)。しかし未だ、流動性と耐衝撃性のバランスにおいて必ずしも満足できる樹脂組成物は見出されていなかった。
しかしながら、上記特許文献で開示されている様な、単に芳香族ポリカーボネート樹脂にポリ乳酸を配合するだけでは、流動性性は向上するものの耐衝撃性が低いという問題があった。
更に生分解性ポリエステル樹脂と、ポリカーボネート樹脂、AS樹脂、メタクリル樹脂よりなる群の少なくとも一種を含む、生分解性パ−ル光沢プラスチックが開示されている(例えば特許文献5参照)。しかしこの樹脂組成物は機械的強度と生分解性の両立を目的とした技術であり、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂及びポリ乳酸樹脂からなる樹脂組成物において、流動性、耐衝撃性、及び剛性を同時に改良することについては、何らの示唆もなかった。
このような特長を有する本発明の熱可塑性樹脂組成物は、幅広い分野に使用することが可能であり、電気・電子機器やその部品、OA機器、情報端末機器、機械部品、家電製品、車輌部品、建築部材、各種容器、レジャ−用品・雑貨類、照明機器などの各種用途に有用であり、特に電気・電子機器やOA機器、情報端末機器のハウジング部材、車輌外装・外板部品、車輌内装部品への適用が期待できる。
車輌内装部品としては、インナ−ドアハンドル、センタ−パネル、インストルメンタルパネル、コンソ−ルボックス、ラゲッジフロアボ−ド、カ−ナビゲ−ションなどのディスプレイハウジングなどが挙げられる。
本発明に用いるA成分である芳香族ポリカーボネート樹脂(以下、「A成分」と略記することがある。)は、例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを、または、これらに併せて少量のポリヒドロキシ化合物等を反応させてなる、直鎖または分岐
の熱可塑性の芳香族ポリカーボネート重合体または共重合体である。
イド、カーボネートエステル、ハロホルメ−ト等が使用され、具体的にはホスゲン;ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等のジアリ−ルカーボネート類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート類;二価フェノ−ルのジハロホルメ−ト等が挙げられる。これらのカーボネート前駆体もまた1種類単独でも2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
分子量調節剤としては、一価のフェノ−ル性水酸基を有する化合物が挙げられる。一価のフェノ−ル性水酸基を有する化合物としては、m−メチルフェノ−ル、p−メチルフェノ−ル、m−プロピルフェノ−ル、p−プロピルフェノ−ル、p−tert−ブチルフェノ−ルおよびp−長鎖アルキル置換フェノ−ルなどが挙げられる。
が挙げられる。中でもジフェニルカーボネート、置換ジフェニルカーボネートが好ましく、特にジフェニルカーボネートが好ましい。
また、より積極的な調整方法としては、反応時に別途、末端停止剤を添加する方法が挙げられ、この際の末端停止剤としては、一価フェノ−ル類、一価カルボン酸類、炭酸ジエステル類が挙げられる。
粘度平均分子量は、より好ましくは12000〜40000であり、さらに好ましくは14000〜30000である。また、粘度平均分子量の異なる2種類以上の芳香族ポリカーボネート樹脂を混合してもよい。もちろん、粘度平均分子量が上記好適範囲外である芳香族ポリカーボネート樹脂を混合してもよい。
末端水酸基濃度を10ppm以上とすることで、分子量の低下が抑制でき、樹脂組成物の機械的特性がより向上する傾向にある。また末端基水酸基濃度を1000ppm以下にすることで、樹脂組成物の滞留熱安定性や色調がより向上する傾向にあるので好ましい。
なお、末端水酸基濃度の単位は、芳香族ポリカーボネート樹脂重量に対する、末端水酸基の重量をppmで表示したものであり、測定方法は、四塩化チタン/酢酸法による比色定量(Macromol.Chem.88 215(1965)に記載の方法)である。
本発明に用いるB成分であるスチレン系樹脂(以下、「B成分」と略記することがある。)とは、スチレン系単量体からなるスチレン系重合体、スチレン系単量体と他の共重合可能なビニル系単量体との共重合体、ゴム質重合体(以下、「ゴム成分」ということがある。)の存在下にてスチレン系単量体を共重合してなるゴム成分含有共重合体、ゴム質重合体の存在下にてスチレン系単量体と他の共重合可能なビニル系単量体とを共重合体してなるゴム成分含有共重合体、より選ばれる1種以上の重合体であり、B成分中のゴム成分含有量が0〜39重量%である重合体である。
これらの製造方法は任意だが、中でも好ましいのは、ゴム質重合体の存在下にスチレン系単量体と他の共重合可能なビニル系単量体とを共重合した共重合体であり、ゴム成分含有量は好ましくは5〜39重量%であり、より好ましくは10〜35重量%、特に好ましくは13〜25重量%である。
これらの中でも、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−アクリルゴム共重合体(ASA樹脂)、アクリロニトリル−エチレンプロピレン系ゴム−スチレン共重合体(AES樹脂)が好ましく、特に好ましいのはアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)である。これらは単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
合体(ABS樹脂)とは、ブタジエンゴム成分にアクリロニトリルとスチレンをグラフト重合した熱可塑性グラフト共重合体とアクリロニトリルとスチレンの共重合体の混合物である。ブタジエンゴム成分は、B成分であるABS樹脂100重量%中、0〜39重量%、好ましくは5〜39重量%であり、より好ましくは10〜35重量%、特に好ましくは13〜25重量%である。
またゴム粒子径は、0.1〜5μmが好ましく、より好ましくは0.2〜3μm、さらに好ましくは0.3〜1.5μm、特に好ましくは0.4〜0.9μmである。ゴム粒子径の分布は、単一分布でも二山以上の複数の分布を有するもののいずれであっても良い。
尚、本発明に用いるB成分として、上述したような、熱可塑性グラフト重合体を用いる際、一方のゴム含有量が39重量%を超えるものを用いても、B成分中における全ゴム含有量が39重量%以下となればよい。
本発明に用いるC成分であるポリ乳酸系樹脂(以下、「C成分」と略記することがある。)は、L−乳酸及び/又はD−乳酸を主成分とする重合体又は共重合体であり、乳酸以外の他の共重合成分は通常50モル%以下、好ましくは35モル%以下、より好ましくは20モル%以下、特に好ましくは10モル%以下である。本発明において特に好ましいポリ乳酸系樹脂は、L体が80モル%以上含まれるポリL−乳酸樹脂である。
原料を直接脱水重縮合してポリ乳酸系樹脂を製造する場合には、原料である乳酸類又は乳酸類とその他共重合成分を、好ましくは有機溶媒、特にフェニルエ−テル系溶媒の存在下で共沸脱水縮合し、特に好ましくは共沸により留出した溶媒から水を除き実質的に無水の状態にした溶媒を反応系に戻す方法によって重合することにより、本発明に適した強度を持つ高分子量のポリ乳酸系樹脂を得ることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、これを構成するA、B、及びC成分の各含有比率は、A、B、C成分の合計100重量部中、芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)30〜95重量部、スチレン系樹脂(B成分)1〜50重量部、ポリ乳酸系樹脂(C成分)1〜50重量部である。
A〜C成分の合計100重量部中、A成分は30〜95重量部、中でも40〜90重量部、更には45〜85重量部、特には50〜80重量部であることが好ましい。A成分を30重量部以上とすることで耐衝撃性が向上する傾向にあり、95重量部未満にすることで流動性が向上する傾向にある。
次に、C成分は、A、B、C成分の合計100重量部中1〜50重量部、中でも3〜40重量部、更には5〜30重量部であることが好ましい。C成分を1重量部以上とすることで、流動性が向上する傾向にあり、また50重量部以下とすることで耐衝撃性が向上する傾向にある。
更に、スチレン系樹脂(B成分)の含有量(B重量部)とポリ乳酸系樹脂(C成分)の含有量(C重量部)との含有量比(B重量部/C重量部)が、0.5〜4の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.7〜3の範囲であり、特に好ましくは0.9〜2.5の範囲である。(B重量部/C重量部)を、0.5以上とすることで耐衝撃性が向上する傾向にあり、逆に4以下とすることで剛性や耐衝撃性が向上する傾向にある。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、必要に応じて本発明の目的を損なわない範囲において、上記A、B、C成分以外に他の樹脂や各種樹脂添加剤を含有していてもよい。
他の樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレ−ト樹脂、ポリトリメチレンテレフタレ−ト樹脂、ポリブチレンテレフタレ−ト樹脂などの熱可塑性芳香族ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエ−テルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリフェニレンエ−テル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリメタクリレ−ト樹脂、フェノ−ル樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは、1種類単独でも2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において、好ましく使用される酸化防止剤としては、ヒンダ−ドフェノ−ル系酸化防止剤が挙げられる。具体例としては、ペンタエリスリト−ルテトラキス[3−(3,
5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト]、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナミド)、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノ−ル、ジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォエ−ト、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾ−ル、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾ−ル、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネ−ト]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン,2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノ−ル等が挙げられる。
フェノ−ル系酸化防止剤の含有量は、A、B、C成分の合計100重量部に対して、好ましくは0.001〜1重量部であり、より好ましくは0.01〜0.5重量部である。フェノ−ル系酸化防止剤の含有量が0.001重量部未満であると抗酸化剤としての効果が不十分であり、1重量部を超えても抗酸化剤として更なる効果は得られない。
本発明で好ましく使用される熱安定剤は、分子中の少なくとも1つのエステルが、フェノ−ル及び/又は炭素数1〜25のアルキル基を少なくとも1つ有するフェノ−ルでエステル化された亜リン酸エステル化合物、亜リン酸及びテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−ホスホナイトから選ばれた少なくとも1種である。
亜リン酸エステル化合物の具体例としては、トリオクチルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(オクチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリト−ルジホスファイト、ジフェニルペンタエリスリト−ルジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリト−ルジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリト−ルジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリト−ルジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリト−ルジホスファイト等が挙げられる。これらは、単独でも2種以上の混合して使用してもよい。上記の中で、特にトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリト−ルジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリ
ト−ルジホスファイトが好ましい。
熱安定剤の含有量は、A、B、C成分の合計100重量部に対して、好ましくは0.001〜1重量部であり、より好ましくは0.01〜0.5重量部である。熱安定剤の含有量が0.001重量部未満であると熱安定剤としての効果が不十分であり、1重量部を超えると耐加水分解性が悪化する場合がある。
本発明で好ましく使用される離型剤としては、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコ−ルとのエステル、数平均分子量200〜15000の脂肪族炭化水素化合物及びポリシロキサン系シリコ−ンオイルから選ばれる少なくとも1種の化合物である。
脂肪族カルボン酸としては、飽和又は不飽和の脂肪族1価、2価若しくは3価カルボン酸を挙げることができる。ここで脂肪族カルボン酸とは、脂環式のカルボン酸も包含する。このうち好ましい脂肪族カルボン酸は、炭素数6〜36の1価又は2価カルボン酸であり、炭素数6〜36の脂肪族飽和1価カルボン酸がさらに好ましい。このような脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラリアコンタン酸、モンタン酸、アジピン酸、アゼライン酸等を挙げることができる。
脂肪族カルボン酸とアルコ−ルとのエステルにおける脂肪族カルボン酸としては、前記脂肪族カルボン酸と同じものが使用できる。この脂肪族カルボン酸と反応しエステルを形成するアルコ−ルとしては、飽和又は不飽和の1価アルコ−ル、飽和又は不飽和の多価アルコ−ル等を挙げることができる。これらのアルコ−ルは、フッ素原子、アリ−ル基等の置換基を有していてもよい。これらのアルコ−ルのうち、炭素数30以下の1価又は多価の飽和アルコ−ルが好ましく、さらに炭素数30以下の脂肪族飽和1価アルコ−ル、又は多価アルコ−ルが好ましい。
ここで脂肪族とは、脂環式化合物も含有する。これらのアルコ−ルの具体例としては、オクタノ−ル、デカノ−ル、ドデカノ−ル、ステアリルアルコ−ル、ベヘニルアルコ−ル、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、グリセリン、ペンタエリスリト−ル、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノ−ル、ネオペンチレングリコ−ル、ジトリメチロ−ルプロパン、ジペンタエリスリト−ル等を挙げることができる。これらの脂肪族カルボン酸とアルコ−ルとのエステル化合物は、不純物として脂肪族カルボン酸及び/又はアルコ−ルを含有していてもよく、複数の化合物の混合物であってもよい。
数平均分子量200〜15000の脂肪族炭化水素としては、流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャ−トロプシュワックス又は炭素数3〜12のα−オレフィンオリゴマ−等を挙げることができる。ここで脂肪族炭化水素としては、脂環式炭化水素も含まれる。また、これらの炭化水素化合物は部分酸化されていてもよい。これらの中で好ましいものは、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリエチレンワックスの部分酸化物であり、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスがさらに好ましい。
数平均分子量は200〜15000であるが、好ましくは200〜5000である。これらの脂肪族炭化水素は単一物質であっても、構成成分や分子量が様々なものの混合物であっても、主成分が上記範囲内であればよい。
また、ポリシロキサン系シリコ−ンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコ−ンオイ
ル、フェニルメチルシリコ−ンオイル、ジフェニルシリコ−ンオイル、フッ素化アルキルシリコ−ン等が挙げられる。これらは、単独で使用しても二種以上を混合して使用してもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、剛性や強度を向上させる目的で無機フィラ−を含有させることができる。無機フィラ−の具体例としては、ガラス繊維(チョップドストランド)、ガラス短繊維(ミルドファイバ−)、ガラスフレ−ク、ガラスビ−ズなどのガラス系フィラ−、炭素繊維、炭素短繊維、カ−ボンナノチュ−ブ、黒鉛などの炭素系フィラ−、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウムなどのウィスカ−、タルク、マイカ、ウォラストナイト、カオリナイト、ゾノトライト、セピオライト、アタバルジャイト、モンモリロナイト、ベントナイト、スメクタイトなどの珪酸塩化合物、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム等が挙げられる。これらは、単独でも2種以上の混合して使用してもよい。上記の中でも、特にガラス繊維(チョップドストランド)、ガラス短繊維(ミルドファイバ−)、ガラスフレ−ク、タルク、マイカ、ウォラストナイト、カオリナイトが好ましい。
無機フィラ−の含有量は、A、B、C成分の合計100重量部に対し、好ましくは1〜150重量部、より好ましくは3〜100重量部、特に好ましくは5〜60重量部である。無機フィラ−の含有量が、1重量部未満では補強効果が十分でない場合があり、逆に150重量部を超えると外観や耐衝撃性、流動性が十分でない場合がある。
本発明においては、更に、紫外線吸収剤を添加してもよい。この際用いる紫外線吸収剤としては、酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛等の無機紫外線吸収剤の他、ベンゾトリアゾ−ル化合物、ベンゾフェノン化合物、トリアジン化合物等の有機紫外線吸収剤が挙げられる。本発明では、これらのうち有機紫外線吸収剤が好ましく、特にベンゾトリアゾ−ル化合物、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノ−ル、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチロキシ)フェノ−ル、2,2’−(1,4−フェニレン)ビス[4H−3,1−ベンゾキサジン−4−オン]、[(4−メトキシフェニル)−メチレン]−プロパンジオイックアシッド−ジメチルエステルから選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
ビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾ−ル2−イル)フェノ−ル〕[メチル−3−〔3−tert−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネ−ト−ポリエチレングリコ−ル]縮合物等を挙げることができる。これらは、単独でも2種以上の混合して使用してもよい。
本発明においては、更に、染顔料等の着色成分を添加してもよい。この際用いる染顔料としては、無機顔料 、有機顔料、有機染料等が挙げられる。無機顔料としては、例えばカ−ボンブラック;カドミウムレッド、カドミウムイエロ−等の硫化物系顔料;群青等の珪酸塩系顔料;酸化チタン、亜鉛華、弁柄、酸化クロム、鉄黒、チタンイエロ−、亜鉛−鉄系ブラウン、チタンコバルト系グリ−ン、コバルトグリ−ン、コバルトブル−、銅−クロム系ブラック、銅−鉄系ブラック等の酸化物系顔料;黄鉛、モリブデ−トオレンジ等のクロム酸系顔料;紺青等のフェロシアン系等;が挙げられる。
有機顔料及び有機染料としては、銅フタロシアニンブル−、銅フタロシアニングリ−ン等のフタロシアニン系染顔料;ニッケルアゾイエロ−等のアゾ系、チオインジゴ系、ペリノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系等の縮合多環染顔料;アンスラキノン系、複素環系、メチル系の染顔料等;が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも熱安定性の点から酸化チタン、カ−ボンブラック、シアニン系、キノリン系、アンスラキノン系、フタロシアニン系化合物等が好ましい。
染顔料の含有量は、A、B、C成分の合計100重量部に対し、5重量部以下であり、好ましくは3重量部以下、さらに好ましくは2重量部以下である。染顔料の含有量が、5重量部を超えると耐衝撃性が十分でない場合がある。
本発明において、更に、難燃剤を添加してもよい。この際用いる難燃剤としては、ハロゲン化ビスフェノ−ルAのポリカーボネート、ブロム化ビスフェノ−ル系エポキシ樹脂、ブロム化ビスフェノ−ル系フェノキシ樹脂、ブロム化ポリスチレンなどのハロゲン系難燃剤、リン酸エステル系難燃剤、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、パ−フルオロブタンスルホン酸カリウムなどの有機金属塩系難燃剤、ポリオルガノシロキサン系難燃剤等が挙げられ、リン酸エステル系難燃剤が特に好ましい。
リン酸エステル系難燃剤の具体例としては、トリフェニルホスフェ−ト、レゾルシノ−ルビス(ジキシレニルホスフェ−ト)、ハイドロキノンビス(ジキシレニルホスフェ−ト)、4,4’−ビフェノ−ルビス(ジキシレニルホスフェ−ト)、ビスフェノ−ルAビス
(ジキシレニルホスフェ−ト)、レゾルシノ−ルビス(ジフェニルホスフェ−ト)、ハイドロキノンビス(ジフェニルホスフェ−ト)、4,4’−ビフェノ−ルビス(ジフェニルホスフェ−ト)、ビスフェノ−ルAビス(ジフェニルホスフェ−ト)等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、レゾルシノ−ルビス(ジキシレニルホスフェ−ト)、ビスフェノ−ルAビス(ジフェニルホスフェ−ト)が好ましい。
リン酸エステル系難燃剤の含有量は、A、B、C成分の合計100重量部に対し、好ましくは1〜30重量部、より好ましくは3〜25重量部、特に好ましくは5〜20重量部である。リン酸エステル系難燃剤の含有量が、1重量部未満では難燃性が十分でない場合があり、逆に30重量部を超えると耐熱性が十分でない場合がある。
滴下防止剤の含有量は、A、B、C成分の合計100重量部に対し、好ましくは0.02〜4重量部、さらに好ましくは0.03〜3重量部である。滴下防止剤の配合量が5重量部を超えると成形品外観の低下が生じる場合がある。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、前記A、B、C成分の他に、樹脂や添加剤等を、従来公知の任意の方法を適宜選択して、製造することができる。
具体的には例えば、A、B、C成分および必要に応じて配合される添加成分を、タンブラ−やヘンシェルミキサ−などの各種混合機を用い予め混合した後、バンバリ−ミキサ−、ロ−ル、ブラベンダ−、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニ−ダ−などで溶融混練し、樹脂組成物を製造することができる。また、各成分を予め混合せずに、または、一部の成分のみ予め混合してフィダ−を用いて押出機に供給して溶融混練して樹脂組成物を製造することもできる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物から成形品を製造する方法は、特に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂について一般に採用されている成形法、すなわち一般的な射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシストなどの中空成形法、断熱金型を用いた成形法、急速加熱金型を用いた成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサ−ト成形、IMC(インモ−ルドコ−ティング成形)成形法、押出成形法、シ−ト成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法等を採用することができる。また、ホットランナ−方式を用いた成形法を選択することもできる。
リサイクル原料の含有比率は、リサイクル原料とバ−ジン原料の合計100重量%中、70重量%以下であることが好ましく、より好ましくは50重量%以下、さらに好ましく
は30重量%以下である。
<A成分:芳香族ポリカーボネート樹脂>
PC−1:界面重合法で製造されたビスフェノ−ルA型芳香族ポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス社製「ユ−ピロンS−3000FN」、粘度平均分子量22500、末端水酸基濃度=150ppm)
PC−2:界面重合法で製造されたビスフェノ−ルA型芳香族ポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス社製「ユ−ピロンH−4000FN」、粘度平均分子量15500、末端水酸基濃度=150ppm)
PC−3:界面重合法で製造されたビスフェノ−ルA型芳香族ポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス社製「ユ−ピロンE−2000FN」、粘度平均分子量28000、末端水酸基濃度=150ppm)
<B成分:スチレン系樹脂>
ABS−1:アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(日本エイアンドエル社製「サンタックAT−08」、ブタジエンゴム含有量18重量%)
ABS−2:アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(日本エイアンドエル社製「サンタックUT−61」、ブタジエンゴム含有量17重量%)
<B成分以外>
MBS:メチルメタクリレ−ト−ブタジエン−スチレン共重合体(三菱レイヨン社製「メタブレンC−223A」、ブタジエンゴム含有量70重量%)
PLA:ポリ乳酸(三井化学社製「レイシアH−400」)
<その他成分>
熱安定剤:トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト(旭電化工業社製「アデカスタブAS2112」)
酸化防止剤:ペンタエリスリト−ルテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト](チバスペシャリティ−ケミカルズ社製「イルガノックス1010」)
離型剤:ペンタエリスリト−ルテトラステアレ−ト(日本油脂社製「ユニスタ−H476」)
A成分、B成分、C成分およびその他成分を表1に示す割合にてタンブラ−ミキサ−で均一に混合した後、二軸押出機(日本製鋼所社製、TEX30XCT、L/D=42、バレル数12)を用いて、シリンダ−温度260℃、スクリュ−回転数200rpmにてバレル1より押出機にフィ−ドし溶融混練することにより樹脂組成物のペレットを作製した。
上記の方法で得られたペレットを、100℃で6時間以上乾燥した後、名機製作所製のM150AII−SJ型射出成形機を用いて、シリンダ−温度270℃、金型温度80℃、成形サイクル55秒の条件で、ASTM試験片及び100mmφの円盤状成形品(厚さ3mm)を作成した。
(1)流動性(Q値)
高荷式フロ−テスタ−を用いて、280℃、荷重160kgf/cm2の条件下で組成物の単位時間あたりの流出量Q値(単位:cc/s)を測定し、流動性を評価した。なお、オリフィスは直径1mm×長さ10mmのものを使用した。Q値が高いほど、流動性に優れていることを示す。
(2)耐衝撃性(Izod衝撃強度)
ASTM D256に準拠して、厚み3.2mmのノッチ付き試験片を用いて、23℃においてIzod衝撃強度(単位:J/m)を測定した。
(3)剛性(曲げ弾性率)
ASTM D790に準拠して、厚さ6.4mmの試験片を用いて、23℃において測定した。
表1、2に記載の各々の樹脂組成物を製造し、上述の方法により評価した。結果を表1、2に示す。
比較例2に記載の樹脂組成物は、C成分を含有していないため、実施例の組成物と比較して流動性、剛性に劣る。また比較例3、4に記載の樹脂組成物は、B成分を含有していないため、実施例の組成物と比較して流動性、耐衝撃性に劣る。そして比較例5に記載の樹脂組成物は、B成分が本特許の規定の範囲外であり、実施例の組成物と比較して流動性、剛性に劣る。
Claims (5)
- 芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)30〜95重量部、スチレン系樹脂(B成分)1〜50重量部、ポリ乳酸系樹脂(C成分)1〜50重量部の合計100重量部からなり、B成分中のゴム成分含有量が0〜39重量%であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
- スチレン系樹脂(B成分)中のゴム成分含有量が、10〜35重量%であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- スチレン系樹脂(B成分)が、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−アクリルゴム共重合体(ASA樹脂)、アクリロニトリル−エチレンプロピレン系ゴム−スレン共重合体(AES樹脂)から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- スチレン系樹脂(B成分)の含有量(B重量部)とポリ乳酸系樹脂(C成分)の含有量(C重量部)との含有量比(B重量部/C重量部)が、0.5〜4の範囲であることを特徴とする請求項1乃至3に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる樹脂成形品。
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