JP4848788B2 - 熱可塑性樹脂組成物および樹脂成形品 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物および樹脂成形品 Download PDF

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本発明は、熱可塑性樹脂組成物および樹脂成形品に関し、詳しくは、樹脂成分として芳香族ポリカーボネート樹脂を含有する熱可塑性樹脂組成物および当該熱可塑性樹脂組成物から成る樹脂成形品に関する。
芳香族ポリカーボネート樹脂は、汎用エンジニアリングプラスチックとして透明性、耐衝撃性、耐熱性、寸法安定性などに優れ、その優れた特性から、電気・電子・OA機器部品、機械部品、車輌用部品などの幅広い分野で使用されている。
しかしながら、芳香族ポリカーボネート樹脂は、溶融粘度が高く、成形加工性に劣るという問題があり、成形品の薄肉化・大型化が進むに伴い、成形加工性(流動性)を改良することが強く求められている。更に、芳香族ポリカーボネート樹脂は、耐薬品性に劣るという問題もあり、溶剤に接触する用途での使用に制限があった。
上記問題を解決する手段として、芳香族ポリカーボネート樹脂と芳香族ポリエステル樹脂(ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等)とから成るポリマーアロイが開発され、芳香族ポリカーボネート樹脂の欠点である流動性や耐薬品性が改良された材料として幅広い分野で利用されている。
しかしながら、芳香族ポリカーボネート樹脂に芳香族ポリエステル樹脂を配合することで耐衝撃性が犠牲になるという問題があり、流動性と耐衝撃性のバランスに優れ、耐薬品性にも優れた材料が求めらている。
一方、芳香族ポリカーボネート樹脂に脂肪族ポリエステル(ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート等)を配合した流動性に優れた樹脂組成物が提案されている(特許文献1〜4)。そして、上記の脂肪族ポリエステルは、植物資源を基にポリマーを合成することが可能であり、脱石油資源で二酸化炭素が循環するため二酸化炭素の増減に影響を与えない性質を有し(カーボンニュートラル)、環境に優しい材料として注目されている。
しかしながら、上記の提案に従って、単に、芳香族ポリカーボネート樹脂に脂肪族ポリエステルを配合するだけでは、押出加工性(ストランド化やペレット化)が不十分な場合があり、更に、樹脂組成物の成形品表面外観においてパール光沢で混合むらが見られて外観に劣るという問題がある。また、芳香族ポリカーボネート樹脂にポリ乳酸を配合した組成物では耐衝撃性が低いという問題もある。
また、生分解性ポリエステル樹脂とポリカーボネート樹脂、AS樹脂、メタクリル樹脂より成る群の少なくとも一種から成る生分解性パール光沢プラスチックが提案されている(特許文献5)。しかしながら、生分解性ポリエステル樹脂の重合単位について、炭素数6以下かつ炭素原子数に対する酸素原子数の比率が0.3以上1.0以下の分子であるポリエステル樹脂としか提案されておらず、具体的に提案されているポリ乳酸を配合した樹脂組成物では耐薬品性や耐衝撃性が十分ではない。
特開平7−109413号公報 特開平7−324159号公報 特開2002−293899号公報 特開2005−8671号公報 特開平11−279380号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、流動性、耐衝撃性、耐薬品性、押出加工性に優れ、成形品とした際に良好な外観を有する熱可塑性樹脂組成物および当該熱可塑性樹脂組成物から成る樹脂成形品を提供することにある。
すなわち、本発明の第1の要旨は、芳香族ポリカーボネート樹脂5〜95重量部、スチレン系樹脂5〜95重量部の合計100重量部に対し、脂肪族ジオール(脂環式ジオールを含む)とコハク酸及び/又はその誘導体から成る繰り返し単位の割合が50モル%以上である脂肪族ポリエステル樹脂を1〜100重量部含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物に存する。
そして、本発明の第2の要旨は、熱可塑性樹脂組成物を成形して成ることを特徴とする樹脂成形品に存する。
上記の本発明は、芳香族ポリカーボネート樹脂とスチレン系樹脂とのポリマーアロイに特定の脂肪族ポリエステル樹脂を特定量含有させるならば、優れた物性の熱可塑性樹脂組成物が得られるとの本発明者の新規な知見に基づいて完成されたものである。
本発明によれば、流動性、耐衝撃性、耐薬品性、押出加工性に優れ、成形品とした際に良好な外観を有する熱可塑性樹脂組成物および当該熱可塑性樹脂組成物から成る樹脂成形品を提供が提供される。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本願明細書において、各種化合物が有する「基」の用語は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で置換基を有していてもよいことを含む。
<芳香族ポリカーボネート樹脂>
本発明で使用する芳香族ポリカーボネート樹脂は、原料として、芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを使用し、または、これらに併せて少量のポリヒドロキシ化合物を使用して得られ、直鎖または分岐の熱可塑性の重合体または共重合体である。
上記の芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=テトラブロモビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1−トリクロロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサクロロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類が挙げられる。
また、上記以外の芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えば、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等で例示されるビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等で例示されるカルド構造含有ビスフェノール類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテル等で例示されるジヒドロキシジアリールエーテル類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等で例示されるジヒドロキシジアリールスルフィド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等で例示されるジヒドロキシジアリールスルホキシド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等で例示されるジヒドロキシジアリールスルホン類;ハイドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル等が挙げられる。
上記の中では、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン類が好ましく、特に耐衝撃性の点から、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[=ビスフェノールA]が好ましい。芳香族ジヒドロキシ化合物は2種類以上を併用してもよい。
前記のカーボネート前駆体としては、例えば、カルボニルハライド、カーボネートエステル、ハロホルメート等が挙げられ、その具体例としては、ホスゲン;ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等のジアリールカーボネート類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート類;二価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。これらのカーボネート前駆体は2種類以上を併用してもよい。
また、本発明で使用する芳香族ポリカーボネート樹脂は、三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した、分岐芳香族ポリカーボネート樹脂であってもよい。三官能以上の多官能性芳香族化合物としては、例えば、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−3、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)べンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のポリヒドロキシ化合物類の他、3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール(=イサチンビスフェノール)、5−クロロイサチン、5,7−ジクロロイサチン、5−ブロムイサチン等が挙げられる。これらの中では、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。多官能性芳香族化合物は、前記の芳香族ジヒドロキシ化合物の一部を置換して使用することが出来、その使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物に対し、通常0.01〜10モル%、好ましくは0.1〜2モル%である。
芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法としては、例えば、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法、プレポリマーの固相エステル交換法などが挙げられる。工業的には、界面重合法または溶融エステル交換法が有利であり、以下、この二つの方法の代表例について説明する。
界面重合法による反応は、例えば、次の様に行うことが出来る。先ず、反応に不活性な有機溶媒とアルカリ水溶液の存在下、通常pHを9以上に保ち、芳香族ジヒドロキシ化合物とホスゲンとを反応させる。この際、必要に応じ、反応系内に分子量調整剤(末端停止剤)や芳香族ジヒドロキシ化合物の酸化防止剤を存在させることが出来る。次いで、第三級アミン、第四級アンモニウム塩などの重合触媒を添加し、界面重合を行う。
反応に不活性な有機溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素化炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素などが挙げられる。また、アルカリ水溶液の調製に使用するアルカリ化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物が挙げられる。
分子量調節剤としては、一価のフェノール性水酸基を有する化合物が挙げられ、その具体例としては、m−メチルフェノール、p−メチルフェノール、m−プロピルフェノール、p−プロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−長鎖アルキル置換フェノール等が挙げられる。分子量調節剤の使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物100モルに対し、通常0.5〜50モル、好ましくは好ましくは1〜30モルである。
重合触媒としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリヘキシルアミン、ピリジン等の第三級アミン類;トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩などが挙げられる。
ホスゲン化反応の温度は通常0〜40℃、反応時間は数分(例えば10分)ないし数時間(例えば6時間)である。また、分子量調節剤の添加時期は、ホスゲン化反応以降、重合反応開始時迄の間において、適宜に選択することが出来る。
溶融エステル交換法による反応は、例えば、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物とのエステル交換反応により行う。炭酸ジエステルとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−tert−ブチルカーボネート等の炭酸ジアルキル化合物、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネート等が挙げられる。これらの中では、ジフェニルカーボネート又は置換ジフェニルカーボネートが好ましく、特にジフェニルカーボネートが好ましい。
一般に、溶融エステル交換法においてはエステル交換触媒が使用される。エステル交換触媒は、特に制限はないが、アルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物が好ましい。また、補助的に、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物またはアミン系化合物などの塩基性化合物を併用してもよい。エステル交換反応の温度は通常100〜320℃である。そして、引き続き行われる溶融重縮合反応は、最終的には2mmHg以下の減圧下において、芳香族ヒドロキシ化合物などの副生成物を除去しながら行われる。
溶融重縮合は、バッチ式または連続式の何れの方法でも行うことが出来るが、連続式で行うことが好ましい。溶融エステル交換法に使用する触媒失活剤としては、当該エステル交換反応触媒を中和する化合物、例えばイオウ含有酸性化合物またはそれより形成される誘導体を使用することが好ましい。触媒失活剤の使用量(添加量)は、当該触媒が含有するアルカリ金属に対し、通常0.5〜10当量、好ましくは1〜5当量であり、ポリカーボネートに対し、通常1〜100ppm、好ましくは1〜20ppmである。
また、樹脂の熱安定性、加水分解安定性、色調などに大きな影響を及ぼす芳香族ポリカーボネート樹脂の末端水酸基量は、従来公知の任意の方法によって適宜調整することが出来る。溶融エステル交換法の場合は、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物との混合比率や溶融重縮合反応時の減圧度を調整することにより、所望の分子量および末端水酸基量の芳香族ポリカーボネートを得ることが出来る。溶融エステル交換法の場合は、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対する、炭酸ジエステルの割合は、通常、等モル量以上、好ましくは1.01〜1.30モルである。末端水酸基量の積極的な調整方法としては、反応時に、別途、末端停止剤を添加する方法が挙げられる。末端停止剤としては、例えば、一価フェノール類、一価カルボン酸類、炭酸ジエステル類が挙げられる。
本発明に使用する芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量は、溶液粘度から換算した粘度平均分子量[Mv]として、機械的強度と流動性(成形加工性容易性)の観点から、通常10,000〜50,000、好ましくは12,000〜40,000であり、更に好ましくは14,000〜30,000である。また、粘度平均分子量の異なる2種類以上の芳香族ポリカーボネート樹脂を混合してもよい。更に、必要に応じ、粘度平均分子量が上記の適範囲外である芳香族ポリカーボネート樹脂を混合してもよい。
ここで、粘度平均分子量[Mv]とは、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、ウベローデ粘度計を使用し、温度20℃での極限粘度[η](単位dl/g)を求め、Schnellの粘度式:η=1.23×10−40.83の式から算出される値を意味する。ここで極限粘度[η]とは各溶液濃度[C](g/dl)での比粘度[ηsp]を測定し、下記式により算出した値である。
本発明に使用する芳香族ポリカーボネート樹脂の末端水酸基濃度は、通常1000ppm以下、好ましくは800ppm以下、更に好ましくは600ppm以下である。また、その下限は、特にエステル交換法で製造する芳香族ポリカーボネート樹脂では、10ppm、好ましくは30ppm、更に好ましくは40ppmである。末端水酸基濃度を10ppm以上の範囲にすることにより、分子量の低下が抑制でき、樹脂組成物の機械的特性がより向上する傾向にある。また、末端基水酸基濃度を1000ppmを超えない範囲にすることにより、樹脂組成物の滞留熱安定性や色調がより向上する傾向にある。
上記の末端水酸基濃度の単位は、芳香族ポリカーボネート樹脂重量に対する、末端水酸基の重量をppmで表示したものであり、測定方法は、四塩化チタン/酢酸法による比色定量(Macromol.Chem.88 215(1965)に記載の方法)である。
また、本発明に使用する芳香族ポリカーボネート樹脂は、成形品外観の向上や流動性の向上を図るため、芳香族ポリカーボネートオリゴマーを含有していてもよい。この芳香族ポリカーボネートオリゴマーの粘度平均分子量[Mv]は、通常1,500〜9,500、好ましくは2,000〜9,000である。芳香族ポリカーボネートオリゴマーの使用量は、芳香族ポリカーボネート樹脂に対し、通常30重量%以下である。
更に、本発明においては、芳香族ポリカーボネート樹脂として、バージン樹脂だけでなく、使用済みの製品から再生された芳香族ポリカーボネート樹脂、所謂マテリアルリサイクルされた芳香族ポリカーボネート樹脂を使用してもよい。使用済みの製品としては、例えば、光学ディスク等の光記録媒体、導光板、自動車窓ガラス・自動車ヘッドランプレンズ・風防等の車両透明部材、水ボトル等の容器、メガネレンズ、防音壁・ガラス窓・波板などの建築部材が挙げられる。また、製品の不適合品、スプルー、ランナー等から得られた粉砕品またはそれらを溶融して得たペレット等も使用可能である。再生された芳香族ポリカーボネート樹脂の使用割合は、バージン樹脂に対し、通常80重量%以下、好ましくは50重量%以下である。
本発明に使用するスチレン系樹脂とは、スチレン系単量体から成るスチレン系重合体、スチレン系単量体と他の共重合可能なビニル系単量体との共重合体、ゴム質重合体の存在下に重合して得られる上記と同様のスチレン系単量体または共重合体の群より選ばれる1種以上の重合体を言う。これらの中は、好ましくは、ゴム質重合体の存在下に重合して得られる上記と同様のスチレン系単量体または共重合体である。
スチレン系単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、P−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、エチルビニルベンゼン、ジメチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン等のスチレン誘導体が挙げられ、これらの中ではスチレンが好ましい。これらは2種以上併用してもよい。
上記のスチレン系単量体と共重合可能なビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルシアン化合物;メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アミルアクリレート、へキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート等のアクリル酸アルキルエステル;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、へキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート等のメタクリル酸アルキルエステル;フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート等のアクリル酸アリールエステル;フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート等のメタクリル酸アリールエステル;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有アクリル酸エステル;メタクリル酸エステル、マレイミド、N,N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド系単量体、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのα,β−不飽和カルボン酸またはその無水物などが挙げられる。
上記のゴム質重合体としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエンランダム共重合体(及びブロック共重合体)、アクリロニトリル−ブタジエンランダム共重合体(及びブロック共重合体)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリル酸アルキルエステル又はメタクリル酸アルキルエステルとブタジエンとの共重合体、ポリブタジエン−ポリイソプレンジエン系共重合体の他、エチレン−イソプレンランダム共重合体(及びブロック共重合体)、エチレン−ブテンランダム共重合体(及びブロック共重合体)等のエチレンとα−オレフィンとの共重合体;エチレン−メタクリレート共重合体、エチレン−ブチルアクリレート共重合体などのエチレンとα,β−不飽和カルボン酸エステルとの共重合体;エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン−ヘキサジエン共重合体などのエチレン−プロピレン−非共役ジエンターポリマー;アクリル系ゴム、ポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキルアクリレート又はメタクリレートゴムとから成る複合ゴム等が挙げられる。
上記の様なスチレン系樹脂としては、例えば、高衝撃ポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、メチルメタクリレート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(MABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−アクリルゴム共重合体(ASA樹脂)、アクリロニトリル−エチレンプロピレン系ゴム−スチレン共重合体(AES樹脂)、スチレン−メチルメタクリレート共重合体(MS樹脂)、スチレン−無水マレイン酸共重合体などが挙げられる。これらの中では、好ましくは、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−アクリルゴム共重合体(ASA樹脂)、アクリロニトリル−エチレンプロピレン系ゴム−スチレン共重合体(AES樹脂)であり、更に好ましくは、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−アクリルゴム共重合体(ASA樹脂)、アクリロニトリル−エチレンプロピレン系ゴム−スチレン共重合体(AES樹脂)であり、特に好ましくは、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)である。これらは2種以上を併用してもよい。
上記のスチレン系樹脂は、乳化重合、溶液重合、塊状重合、懸濁重合、塊状・懸濁重合などの方法により製造されるが、本発明においては、所謂スチレン系重合体またはスチレン系ランダム共重合体あるいはブロック共重合体の場合は、塊状重合、懸濁重合または塊状・懸濁重合により製造されたものが好適であり、スチレン系グラフト共重合体の場合は、塊状重合、塊状・懸濁重合または乳化重合によって製造されたものが好適である。
本発明において、特に好適に使用されるアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)とは、ブタジエンゴム成分にアクリロニトリルとスチレンをグラフト重合した熱可塑性グラフト共重合体とアクリロニトリルとスチレンの共重合体の混合物である。ブタジエンゴム成分の含有量は、ABS樹脂中の割合として、通常5〜40重量%、好ましくは10〜35重量%、更に好ましくは13〜25重量%である。また、ゴム粒子の直径は、通常0.1〜5μm、好ましくは0.2〜3μm、更に好ましくは0.3〜1.5μm、特に好ましくは0.4〜0.9μmである。ゴム粒子径の分布は、単一分布でも二山以上の複数の分布を有するものの何れであってもよい。
<脂肪族ポリエステル樹脂>
本発明に使用する脂肪族ポリエステル樹脂は、脂肪族ジオール(脂環式ジオールを含む)と脂肪族ジカルボン酸及び/又はその誘導体から成る繰り返し単位を主成分とする重合体または共重合体であり、脂肪族ジオール(脂環式ジオールを含む)と脂肪族ジカルボン酸及び/又はその誘導体から成る繰り返し単位の割合は、通常50モル%以上、好ましくは65モル%以上、更に好ましくは80モル%以上である。
上記の脂肪族ジオールの炭素数は、通常2〜10、好ましくは2〜4である。全ジオール成分中の脂肪族ジオールの割合は、通常70モル%以上、好ましくは80モル%以上である。
脂肪族ジオールの具体例としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,16−ヘキサデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。上記のジオールの中では、樹脂組成物の流動性や機械的特性の面から、好ましくは、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオールであり、特に好ましくは1,4−ブタンジオールである。
上記の脂肪族ジカルボン酸の脂肪族基における炭素数は、通常1〜10、好ましくは1〜6である。また、脂肪族ジカルボン酸の誘導体とは、脂肪族ジカルボン酸の低級アルキルエステル又は環状酸無水物である。全ジカルボン酸成分中の脂肪族ジカルボン酸及び/又はその誘導体の割合は、通常70モル%以上、好ましくは80モル%以上である。
脂肪族ジカルボン酸の具体例としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ウンデカジカルボン酸、ドデカジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族ジカルボン酸の誘導体の具体例としては、上記の脂肪族ジカルボン酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル等の低級アルキルエステル、無水コハク酸、無水アジピン酸などの環状酸無水物が挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。上記の中では、樹脂組成物の流動性や機械的特性の面から、脂肪族ジカルボン酸としては、アジピン酸、コハク酸、これらの混合物の群から選ばれる何れかが好ましく、脂肪族ジカルボン酸の誘導体としては、アジピン酸またはコハク酸のメチルエステル、これらの混合物、無水コハク酸、無水アジピン酸、これらの混合物の群から選ばれる何れかが好ましく、特に、高重合度の脂肪族ポリエステル樹脂が容易に製造できる傾向があるため、アジピン酸、コハク酸、これらの混合物の群から選ばれる何れかが好ましい。
上記の脂肪族ジカルボン酸は、無水マレイン酸などの石油資源誘導品を出発原料として製造することが出来るが、再生可能な植物資源から誘導される炭素源を出発原料としても製造することが出来る。植物資源から誘導される炭素源としては、通常、ガラクトース、ラクトース、グルコース、フルクトース、グリセロール、シュークロース、サッカロース、デンプン、セルロース等の炭水化物;グリセリン、マンニトール、キシリトール、リビトール等のポリアルコール類などの発酵性糖質が使用される。これらの中では、グルコース、フルクトース又はグリセロールが好ましく、特にグルコースが好ましい。より広義の植物由来原料としては、紙の主成分であるセルロースが好ましい。また、上記の発酵性糖質を含有する澱粉糖化液、糖蜜なども使用できる。これらは2種以上を併用してもよい。
上記の脂肪族ジカルボン酸の製造方法としては、植物資源から誘導される炭素源を微生物変換する方法も採用し得る。この際、使用する微生物としては、ジカルボン酸の生産能を有すれば特に限定されないが、例えば、Anaerobiospirillum属(USP−5143833)等の嫌気性細菌、Actinobacillus属(USP−5504004)、Escherichia属(USP−5770435)等の通性嫌気性細菌、Corynebacterium属(JP11113588)等の好気性細菌、Bacillus属、Rizobium属、Brevibacterium属、Arthrobacter属に属する好気性細菌(特開2003−235593)、Bacteroides ruminicola、Bacteroides amylophilus等の嫌気性ル−メン細菌、E.coli(J.Bacteriol.,57:147−158)又はE.coliの株の変異体(特表2000−500333、USP−6159738)を使用することが出来る。
本発明においては、上記の脂肪族ジオール成分と脂肪族ジカルボン酸及び/又はその誘導体成分に加えて共重合成分を使用してもよい。
上記の共重合成分としては、2官能のオキシカルボン酸、3官能以上の多価アルコール、3官能以上の多価カルボン酸、その無水物、3官能以上のオキシカルボン酸の群から選択される少なくとも1種以上の多官能化合物;芳香族ジオール;芳香族ジカルボン酸及び/又はその誘導体;両末端ヒドロキシポリエーテル等が挙げられる。これらの中では、高重合度の脂肪族ポリエステル樹脂が容易に製造できる傾向があるため、特に2官能のオキシカルボン酸が好適に使用される。
前記の2官能のオキシカルボン酸の具体例としては、乳酸、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸などが挙げられる。オキシカルボン酸の誘導体の具体例としては、プロピオラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン、ラウロラクトン等のラクトン類が挙げられる。これらはオキシカルボン酸のエステル、オキシカルボン酸重合体などの誘導体であってもよい。また、これらのオキシカルボン酸は2種以上を併用してもよい。また、これらに光学異性体が存在する場合は、D体、L体、ラセミ体の何れでもよく、形態としては、固体、液体または水溶液であってもよい。これらの中では、乳酸またはグリコール酸が好ましく、特に乳酸が好ましい。乳酸は、脂肪族ポリエステル樹脂製造時の重合速度の増大が特に顕著であり、また、入手が容易である。乳酸は通常30〜95重量%の水溶液の形態で入手し得る。
2官能のオキシカルボン酸の使用量は、原料モノマーに対し、通常0.02〜30モル%、好ましくは0.5〜20モル%、更に好ましくは1.0〜10モル%である。2官能のオキシカルボン酸の使用量が0.02モルモル%未満の場合は、高重合度の脂肪族ポリエステル樹脂を容易に製造するという目的を達成するのが困難であり、30モル%を超える場合は経済的でない。
前記の3官能以上の多価アルコールの具体例としては、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられ、前記の3官能以上の多価カルボン酸またはその無水物の具体例としては、プロパントリカルボン酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、シクロペンタテトラカルボン酸無水物などが挙げられ、前記の3官能以上のオキシカルボン酸の具体例としては、リンゴ酸、ヒドロキシグルタル酸、ヒドロキシメチルグルタル酸、酒石酸、クエン酸、ヒドロキシイソフタル酸、ヒドロキシテレフタル酸などが挙げられる。これらは、何れも、2種以上を併用することが出来る。
3官能以上の多官能化合物の使用量は、脂肪族ポリエステル樹脂を構成する全単量体単位に対し、通常、0.0001〜5モル%、好ましくは0.001〜0.5モル%、更に好ましくは0.005〜0.30モル%、特に好ましくは0.01〜0.15モル%である。3官能以上の多官能化合物の使用量が0.0001モル%未満の場合は高重合度の脂肪族ポリエステル樹脂を容易に製造するという目的を達成するのが困難であり、5モル%を超える場合はゲルの発生原因となる。
前記の芳香族ジオールの炭素数は通常6〜15である。芳香族ジオールの具体例としては、ヒドロキノン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)−2,2−プロパン等が挙げられる。芳香族ジオールの使用量は、全ジオール中の割合として、通常30モル%以下、好ましくは20モル%以下、更に好ましくは10モル%以下である。
前記の芳香族ジカルボン酸の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸などが挙げられ、芳香族ジカルボン酸の誘導体の具体例として、芳香族ジカルボン酸の低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル等)が挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。これらの中では、芳香族ジカルボン酸としてはテレフタル酸が好ましく、芳香族ジカルボン酸の誘導体としてはジメチルテレフタレートが好ましい。これら芳香族ジカルボン酸又はその誘導体の使用量は、全ジカルボン酸中の割合として、通常50モル%以下、好ましくは30モル%以下、更に好ましくは10モル%以下である。
前記の両末端ヒドロキシポリエーテルの炭素数は、通常4〜1000、好ましくは10〜200、更に好ましくは10〜100である。両末端ヒドロキシポリエーテルの具体例としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリ1,3−プロパンジオール、ポリ1,6−ヘキサメチレングリコール等が挙げられる。また、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの共重合ポリエーテル等を使用することも出来る。両末端ヒドロキシポリエーテルの使用量は、脂肪族ポリエステル中の割合として、通常50モル%以下、好ましくは30モル%以下である。
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂は、鎖延長剤として、カーボネート化合物、ジイソシアネート化合物、ジオキサゾリン、珪酸エステル等を使用することも出来る。
上記のカーボネート化合物の具体例としては、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m−クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、エチレンカーボネート、ジアミルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート等が挙げられる。その他、フェノール類、アルコール類の様なヒドロキシ化合物から誘導される、同種または異種のヒドロキシ化合物から成るカーボネート化合物が使用可能である。カーボネート化合物の使用量は、樹脂組成物の耐熱性や色相の面から、脂肪族ポリエステル樹脂を構成する全単量体単位に対し、通常20モル%以下、好ましくは15モル%以下、更に好ましくは10モル%以下である。
上記のジイソシアネート化合物の具体例としては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートとの混合体、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。ジイソシアネート化合物の使用量は、樹脂組成物の滞留熱安定性や耐衝撃性の面から、脂肪族ポリエステル樹脂を構成する全単量体単位に対し、通常5モル%以下、好ましくは2モル%以下、更に好ましくは1モル%以下である。
脂肪族ポリエステル樹脂の固有粘度は、1,1,2,2−テトラクロロエタン/フェノール=1/1(重量比)の混合溶媒を使用し、30℃において溶液濃度0.5g/dlで測定した値として、通常0.5〜4dl/g、好ましくは0.8〜3dl/g、更に好ましくは1〜2.5dl/gの範囲である。固有粘度が0.5dl/gより小さい場合には樹脂組成物の機械的強度や耐衝撃性が不十分な場合があり、一方、固有粘度が4dl/gより大きい場合には樹脂組成物の流動性に劣る場合がある。
脂肪族ポリエステル樹脂の製造方法としては、従来の公知の方法を採用することが出来る。例えば、脂肪族ジカルボン酸及び/又はその誘導体成分と脂肪族ジオール成分とのエステル化反応またはエステル交換反応を行った後、減圧下での重縮合反応を行うといった溶融重合の一般的な方法を採用することが出来る。また、有機溶媒を使用した公知の溶液加熱脱水縮合方法も採用し得る。経済性および製造工程の簡略性の観点から、無溶媒下で行う溶融重合法が好ましい。
上記の重縮合反応は重合触媒の存在下に行うのが好ましい。重合触媒としては、例えば、ゲルマニウム、チタン、アンチモン、スズ、マグネシウム、カルシウム、亜鉛などの化合物が挙げられ、これらの中では、ゲルマニウム、チタン又は亜鉛の化合物が好ましく、特にゲルマニウム化合物が好ましい。
ゲルマニウム化合物の具体例としては、酸化ゲルマニウム、塩化ゲルマニウム等の無機ゲルマニウム化合物、テトラアルコキシゲルマニウム等の有機ゲルマニウム化合物が挙げられる。価格や入手の容易さ等から、酸化ゲルマニウム、テトラエトキシゲルマニウム、テトラブトキシゲルマニウム等が好ましく、特に酸化ゲルマニウムが好ましい。
重合触媒は、重合時に溶融または溶解した状態を呈すると重合速度が高くなる場合がある。従って、重合時に液状であるか、原料モノマー、エステル低重合体または脂肪族ポリエステル樹脂に溶解する化合物が好適である。重合触媒の添加時期は、重縮合反応以前であれば、特に限定されず、原料仕込み時に添加しておいてもよく、減圧開始時に添加してもよい。これらの中では、原料仕込み時に添加するのが好ましく、水溶液に触媒を溶解して添加する方法が好ましい。脂肪族オキシカルボン酸を使用する場合は、触媒の保存性の観点から、脂肪族オキシカルボン酸に触媒を溶解して添加する方法が好ましい。
重合触媒の使用量は、重縮合反応で使用されるモノマー全体量に対し、通常0.001〜3重量%、好ましくは0.005〜1.5重量%である。触媒の添加時期は、重縮合反応の開始以前であれば得に限定されないが、
脂肪族ポリエステル樹脂を製造する際の脂肪族ジオール成分と脂肪族ジカルボン酸及び/又はその誘導体成分とのモル比は、目的とする脂肪族ポリエステル樹脂の重合度や原料の種類により異なるが、酸成分に対するジオール成分の割合として、通常0.8〜1.5モル、好ましくは1〜1.2モルである。また、反応温度は、原料モノマーの組合せ、組成比、触媒の種類、量などの組合せにより異なるが、通常150〜260℃、好ましくは180〜250℃、更に好ましくは180〜240℃、特に好ましくは180〜230℃でる。重合時間は、通常2〜15時間、好ましくは4〜15時間である。反応圧力は、通常10mmHg以下、好ましくは2mmHg以下である。
脂肪族ポリエステル樹脂を製造する反応装置としては、公知の縦型または横型撹拌槽型反応器を使用することが出来る。例えば、溶融重合を同一又は異なる反応装置を使用し、エステル化及またはエステル交換の工程と減圧重縮合の工程の2段階で行う。減圧重縮合の反応器としては、真空ポンプと反応器を結ぶ減圧用排気管を具備した攪拌槽型反応器を使用する方法が挙げられる。また、真空ポンプと反応器とを結ぶ減圧用排気管の間には、凝縮器が結合されており、当該凝縮器にて縮重合反応中に生成する揮発成分や未反応モノマーを回収する方法が好適に使用される。
本発明の熱可塑性樹脂組成物における各成分の割合は次の通りである。すなわち、すなわち、芳香族ポリカーボネート樹脂とスチレン系樹脂の割合は、5〜95重量部:5〜95重量部であり、両者の合計量に対する芳香族ポリカーボネート樹脂は5〜95重量%である。芳香族ポリカーボネート樹脂の含有量は、好ましくは30〜93重量%、更に好ましくは50〜90重量%、特に好ましくは60〜85重量%である。芳香族ポリカーボネート樹脂の割合が5重量%未満の場合は耐衝撃性が劣る傾向にあり、95重量%を超える場合は流動性が劣る傾向にある。一方、特定の脂肪族ポリステル樹脂の割合は、芳香族ポリカーボネート樹脂とスチレン系樹脂の合計100重量部に対し、1〜100重量部、好ましくは3〜50重量部、更に好ましくは7〜40重量部である。脂肪族ポリステル樹脂の割合が1重量部未満の場合は流動性と耐衝撃性のバランス及び耐薬品性が劣り、100重量部を超える場合は剛性や耐熱性が劣る傾向にある。
<その他の成分>
本発明の樹脂組成物は、必要に応じ、本発明の目的を損なわない範囲において、他の樹脂や各種樹脂添加剤を含有していてもよい。
他の樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂などの熱可塑性芳香族ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリメタクリレート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。
また、各種樹脂添加剤としては、酸化防止剤、熱安定剤、離型剤、染顔料、強化剤、難燃剤、耐衝撃性改良剤、耐候性改良剤、帯電防止剤、防曇剤、滑剤・アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、防菌剤などが挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。以下、本発明の熱可塑性樹脂組成物に好適な添加剤の一例について具体的に説明する。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が挙げられる。その具体例としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナミド)、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォエート、3,3’,3”,5,5’,5”−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a”−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン,2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール等が挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。
上記の中では、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましい。これら2つのフェノール系酸化防止剤は,チバ・スペシャルテイ・ケミカルズ社より、「イルガノックス1010」及び「イルガノックス1076」の名称で市販されている。
酸化防止剤の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂と脂肪族ポリエステル樹脂の合計100重量部に対し、通常0.001〜1重量部、好ましくは0.01〜0.5重量部である。酸化防止剤の含有量が0.001重量部未満の場合は抗酸化剤としての効果が不十分であり、1重量部を超える場合は効果が頭打ちとなり経済的ではない。
本発明で使用される熱安定剤としては、分子中の少なくとも1つのエステルがフェノール及び/又は炭素数1〜25のアルキル基を少なくとも1つ有するフェノールでエステル化された亜リン酸エステル化合物(a)、亜リン酸(b)及びテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−ホスホナイト(c)の群から選ばれた少なくとも1種である。
上記の亜リン酸エステル化合物(a)の具体例としては、トリオクチルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(オクチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジフェニルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。これらは、単独でも2種以上の混合して使用してもよい。上記の中で、特にトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが好ましい。
熱安定剤の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂と脂肪族ポリエステル樹脂の合計100重量部に対し、通常0.001〜1重量部、好ましくは0.01〜0.5重量部である。熱安定剤の含有量が0.001重量部未満の場合は熱安定剤としての効果が不十分であり、1重量部を超える場合は耐加水分解性が悪化する場合がある。
離型剤としては、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、数平均分子量200〜15000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルの群から選ばれる少なくとも1種の化合物があげられる。
脂肪族カルボン酸としては、飽和または不飽和の脂肪族1価、2価または3価カルボン酸を挙げることが出来る。ここで脂肪族カルボン酸とは、脂環式のカルボン酸も包含する。これらの中では、好ましい脂肪族カルボン酸は、炭素数6〜36の1価または2価カルボン酸であり、炭素数6〜36の脂肪族飽和1価カルボン酸が更に好ましい。斯かる脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラリアコンタン酸、モンタン酸、アジピン酸、アゼライン酸などが挙げられる。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルにおける脂肪族カルボン酸としては、前記脂肪族カルボン酸と同じものが使用できる。一方、アルコールとしては、飽和または不飽和の1価または多価アルコールを挙げることが出来る。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基などの置換基を有していてもよい。これらの中では、炭素数30以下の1価または多価の飽和アルコールが好ましく、炭素数30以下の脂肪族飽和1価アルコール又は多価アルコールが更に好ましい。ここで脂肪族とは、脂環式化合物も含有する。斯かるアルコールの具体例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
なお、上記のエステル化合物は、不純物として脂肪族カルボン酸及び/又はアルコールを含有していてもよく、複数の化合物の混合物であってもよい。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルの具体例としては、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸ステアリル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等が挙げられる。
数平均分子量200〜15000の脂肪族炭化水素としては、流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、炭素数3〜12のα−オレフィンオリゴマー等が挙げられる。ここで、脂肪族炭化水素としては、脂環式炭化水素も含まれる。また、これらの炭化水素化合物は部分酸化されていてもよい。これらの中では、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス又はポリエチレンワックスの部分酸化物が好ましく、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスが更に好ましい。数平均分子量は、好ましくは200〜5000である。これらの脂肪族炭化水素は単一物質であっても、構成成分や分子量が様々なものの混合物であっても、主成分が上記の範囲内であればよい。
ポリシロキサン系シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、ジフェニルシリコーンオイル、フッ素化アルキルシリコーン等が挙げられる。これらは2種類以上を併用してもよい。
離型剤の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂と脂肪族ポリエステル樹脂の合計100重量部に対し、通常0.001〜2重量部、好ましくは0.01〜1重量部である。離型剤の含有量が0.001重量部未満の場合は離型性の効果が十分でない場合があり、2重量部を超える場合は、耐加水分解性の低下、射出成形時の金型汚染などの問題がある。
無機フィラーの具体例としては、ガラス繊維(チョップドストランド)、ガラス短繊維(ミルドファイバー)、ガラスフレーク、ガラスビーズ等のガラス系フィラー;炭素繊維、炭素短繊維、カーボンナノチューブ、黒鉛などの炭素系フィラー;チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム等のウィスカー;タルク、マイカ、ウォラストナイト、カオリナイト、ゾノトライト、セピオライト、アタバルジャイト、モンモリロナイト、ベントナイト、スメクタイトなどの珪酸塩化合物;シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム等が挙げられる。これらの中では、ガラス繊維(チョップドストランド)、ガラス短繊維(ミルドファイバー)、ガラスフレーク、タルク、マイカ、ウォラストナイト、カオリナイトが好ましい。これらは2種以上を併用してもよい。
無機フィラーの含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂と脂肪族ポリエステル樹脂の合計100重量部に対し、通常1〜150重量部、好ましくは3〜100重量部、更にに好ましくは5〜60重量部である。無機フィラーの含有量が1重量部未満の場合は補強効果が十分でない場合があり、150重量部を超える場合は、外観や耐衝撃性が劣り、流動性が十分でない場合がある。
紫外線吸収剤の具体例としては、酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛などの無機紫外線吸収剤の他、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、トリアジン化合物などの有機紫外線吸収剤が挙げられる。これらの中では有機紫外線吸収剤が好ましい。特に、ベンゾトリアゾール化合物、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチロキシ)フェノール、2,2’−(1,4−フェニレン)ビス[4H−3,1−ベンゾキサジン−4−オン]、[(4−メトキシフェニル)−メチレン]−プロパンジオイックアシッド−ジメチルエステルの群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
ベンゾトリアゾール化合物の具体例としては、メチル−3−〔3−tert−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネート−ポリエチレングリコールとの縮合物が挙げられる。また、その他のベンゾトリアゾール化合物の具体例としては、2−ビス(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレン−ビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール2−イル)フェノール〕[メチル−3−〔3−tert−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネート−ポリエチレングリコール]縮合物などが挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。
上記の中では、好ましくは、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチロキシ)フェノール、2,2’−メチレン−ビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール2−イル)フェノール〕である。
紫外線吸収剤の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂と脂肪族ポリエステル樹脂の合計100重量部に対し、通常0.01〜3重量部、好ましくは0.1〜1重量部である。紫外線吸収剤の含有量が0.01重量部未満の場合は耐候性の改良効果が不十分の場合があり、3重量部を超える場合はモールドデボジット等の問題が生じる場合がある。
耐衝撃性改良剤としては、コア/シェル型グラフト共重合体タイプのものが好ましい。この場合、コア層は、ポリブタジエン含有ゴム、ポリブチルアクリレート含有ゴム、ポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキルアクリレートゴムとから成るIPN(interpenetrating polymer network)型複合ゴムの群から選択される少なくとも1種のゴム成分で形成し、シェル層は、(メタ)アクリル酸エステルで形成するのが好ましい。ゴム成分の含有量は、通常40重量%以上、好ましくは60重量%以上であり、(メタ)アクリル酸エステルの含有量は通常10重量%以上である。。
上記のコア/シェル型グラフト共重合体の好ましい具体例としては、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体(MB)、メチルメタクリレート−アクリルゴム共重合体(MA)、メチルメタクリレート−アクリル・ブタジエンゴム共重合体、メチルメタクリレート−(アクリル・シリコーンIPNゴム)共重合体などが挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。
また、上記のコア/シェル型グラフト共重合体の商品としては、例えば、ローム・アンド・ハース・ジャパン社製の「パラロイドEXL2315」、「EXL2602」、「EXL2603」等のEXLシリーズ、「KM330」、「KM336P」等のKMシリーズ、「KCZ201」等のKCZシリーズ、三菱レイヨン社製の「メタブレンS−2001」、「SRK−200」等が挙げられる。
耐衝撃性改良剤の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂と脂肪族ポリエステル樹脂の合計100重量部に対し、通常1〜30重量部、好ましくは3〜25重量部、更に好ましくは5〜20重量部である。耐衝撃性改良剤の含有量が1重量部未満の場合は耐衝撃性が十分でない場合があり、30重量部を超える場合は剛性や耐熱性が十分でない場合がある。
染顔料としては、無機顔料、有機顔料、有機染料などが挙げられる。無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、カドミウムレッド、カドミウムイエロー等の硫化物系顔料;群青などの珪酸塩系顔料;酸化チタン、亜鉛華、弁柄、酸化クロム、鉄黒、チタンイエロー、亜鉛−鉄系ブラウン、チタンコバルト系グリーン、コバルトグリーン、コバルトブルー、銅−クロム系ブラック、銅−鉄系ブラック等の酸化物系顔料;黄鉛、モリブデートオレンジ等のクロム酸系顔料;紺青などのフェロシアン系顔料が挙げられる。有機顔料および有機染料としては、銅フタロシアニンブルー、銅フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系染顔料;ニッケルアゾイエロー等のアゾ系染顔料;チオインジゴ系、ペリノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系などの縮合多環染顔料;アンスラキノン系、複素環系、メチル系の染顔料などが挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。これらの中では、熱安定性の点から、酸化チタン、カーボンブラック、シアニン系、キノリン系、アンスラキノン系、フタロシアニン系化合物などが好ましい。
染顔料の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂と脂肪族ポリエステル樹脂の合計100重量部に対し、通常5重量部以下、好ましくは3重量部以下、更に好ましくは2重量部以下である。染顔料の含有量が5重量部を超える場合は耐衝撃性が十分でない場合がある。
難燃剤としては、ハロゲン化ビスフェノールAのポリカーボネート、ブロム化ビスフェノール系エポキシ樹脂、ブロム化ビスフェノール系フェノキシ樹脂、ブロム化ポリスチレンなどのハロゲン系難燃剤、リン酸エステル系難燃剤、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、パ−フルオロブタンスルホン酸カリウム等の有機金属塩系難燃剤、ポリオルガノシロキサン系難燃剤などが挙げられるが、リン酸エステル系難燃剤が特に好ましい。
リン酸エステル系難燃剤の具体例としては、トリフェニルホスフェート、レゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェート)、ハイドロキノンビス(ジキシレニルホスフェート)、4,4’−ビフェノールビス(ジキシレニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジキシレニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、ハイドロキノンビス(ジフェニルホスフェート)、4,4’−ビフェノールビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)等が挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。これらの中では、レゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)が好ましい。
難燃剤の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂と脂肪族ポリエステル樹脂の合計100重量部に対し、通常1〜30重量部、好ましくは3〜25重量部、更に好ましくは5〜20重量部である。系難燃剤の含有量が1重量部未満の場合は難燃性が十分でない場合があり、30重量部を超える場合は耐熱性が低下する場合がある。
滴下防止剤としては、例えば、ポリフルオロエチレン等のフッ素化ポリオレフィンが挙げられ、特にフィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンが好ましい。これは、重合体中に容易に分散し、且つ、重合体同士を結合して繊維状材料を作る傾向を示す。フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンはASTM規格でタイプ3に分類される。ポリテトラフルオロエチレンは、固体形状の他、水性分散液形態のものも使用可能である。フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンとしては、例えば三井・デュポンフロロケミカル社より、「テフロン(登録商標)6J」又は「テフロン(登録商標)30J」として、ダイキン工業社より「ポリフロン(商品名)」として市販されている。
滴下防止剤の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂と脂肪族ポリエステル樹脂の合計100重量部に対し、通常0.02〜4重量部、好ましくは0.03〜3重量部である。滴下防止剤の配合量が5重量部を超える場合は成形品外観の低下が生じる場合がある。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、従来公知の任意の方法を適宜選択して製造することが出来る。具体的には、タンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を使用し、前述の必須成分および任意成分を予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダー等で溶融混練して樹脂組成物を製造することが出来る。また、各成分を予め混合せずに、または、一部の成分のみ予め混合し、フィダーを使用して押出機に供給し、溶融混練して樹脂組成物を製造することも出来る。
本発明の熱可塑性樹脂組成物から成形品を製造する方法は、特に限定されず、熱可塑性樹脂について一般に採用されている成形法、すなわち、一般的な射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法などを採用することが出来る。また、ホットランナー方式を使用した成形法を採用することも出来る。
また、本発明においては、廃棄物低減などの環境負荷低減やコスト低減の観点から、樹脂組成物から成形品を製造する際に、製品の不適合品、スプルー、ランナー、使用済みの製品などのリサイクル原料をバージン材料と混合してリサイクル化(所謂マテリアルリサイクル化)することが出来る。この際、リサイクル原料は、粉砕して使用することが成形品を製造する際に不具合を少なく出来るので好ましい。リサイクル原料の含有比率は、リサイクル原料とバージン原料の合計量に対し、通常70重量%以下、好ましくは50重量%以下、更に好ましくは30重量%以下である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、幅広い分野に使用することが可能であり、電気・電子機器やその部品、OA機器、情報端末機器、機械部品、家電製品、車輌部品、建築部材、各種容器、レジャー用品・雑貨類、照明機器などの各種用途に有用であり、特に電気・電子機器やOA機器、情報端末機器のハウジング部材、車輌外装・外板部品、車輌内装部品への適用が期待できる。
電気・電子機器やOA機器、情報端末機器のハウジング部材としては、パソコン、ゲーム機、テレビなどのディスプレイ装置、プリンター、コピー機、スキャナー、ファックス、電子手帳やPDA、カメラ、ビデオカメラ、携帯電話、記録媒体のドライブや読み取り装置などのハウジング部材が挙げられる。
車輌外装・外板部品としては、アウタードアハンドル、バンパー、フェンダー、ドアパネル、トランクリッド、フロントパネル、リアパネル、ルーフパネル、ボンネット、ピラー、サイドモール、ガーニッシュ、ホイールキャップ、フードバルジ、フューエルリッド、各種スポイラー、モーターバイクのカウルなどが挙げられる。車輌内装部品としては、インナードアハンドル、センターパネル、インストルメンタルパネル、コンソールボックス、ラゲッジフロアボード、カーナビゲーションなどのディスプレイハウジングなどが挙げられる。
以下、実施例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例において、配合量は重量部を意味する。
実施例および比較例の各樹脂組成物を得るに当たり、次に示す原料を準備した。
<芳香族ポリカーボネート樹脂>
芳香族ポリカーボネート樹脂(1):界面重合法で製造されたビスフェノールA型芳香族ポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス社製「ユーピロンS−3000FN」、粘度平均分子量22500、末端水酸基濃度=150ppm)
芳香族ポリカーボネート樹脂(2):界面重合法で製造されたビスフェノールA型芳香族ポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス社製「ユーピロンH−4000FN」、粘度平均分子量15500、末端水酸基濃度=150ppm)
芳香族ポリカーボネート樹脂(3):界面重合法で製造されたビスフェノールA型芳香族ポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス社製「ユーピロンE−2000FN」、粘度平均分子量28000、末端水酸基濃度=150ppm)
<スチレン系樹脂>
ABS樹脂(1):アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(日本エイアンドエル社製「サンタックAT−08」:ブタジエン含有量18重量%)
ABS樹脂(2):アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(日本エイアンドエル社製「サンタックUT−61」:ブタジエン含有量17重量%)
<脂肪族ポリエステル樹脂>
製造例1(脂肪族ポリエステル樹脂(1)):
攪拌装置、窒素導入口、加熱装置、減圧装置を備えた反応容器に、コハク酸118.1重量部、1,4−ブタンジオール104.5重量部、酸化ゲルマニウムを予め1重量%溶解させた90重量%乳酸水溶液6.40重量部を仕込み、窒素置換によって系内を窒素雰囲気下にした。
次に、系内を攪拌しながら220℃に昇温し、この温度で1時間反応させた。その後30分かけて230℃に昇温し、同時に1時間30分かけて0.07×10Paになる様に減圧し、この圧力下で4時間反応を行い、白色のポリエステル重合体を得た。得られた脂肪族ポリエステル樹脂(1)の固有粘度は1.82dl/gであった。各成分のモル%はコハク酸単位48.8モル%、1,4−ブタンジオール単位48.8モル%、乳酸単位2.4モル%であった。なお、製造例1における分析値は、以下の方法により測定したものである。
(1)固有粘度:
1,1,2,2−テトラクロロエタン/フェノール=1/1(重量比)の混合溶媒を使用し、30℃において溶液濃度0.5g/dlで測定した
(2)各成分のモル%:
得られた脂肪族ポリエステル樹脂の各成分のモル分率(モル%)は、H−NMRにより測定したスペクトルの面積比により各成分のモル%を算出した。なお、H−NMRの測定は、日本電子製「JEOL EX270」を使用した。
製造例2(脂肪族ポリエステル樹脂(2):
製造例1において、コハク酸118.1重量部に変えて、コハク酸94.48重量部及びアジピン酸29.23重量部としたこと以外は製造例1と同様にして重合反応を行った。得られた脂肪族ポリエステル樹脂(2)の固有粘度は1.82dl/gであった。各成分のモル%はコハク酸単位38.7モル%、1,4−ブタンジオール単位48.8モル%、乳酸単位2.8モル%、アジピン酸単位9.7モル%であった。
製造例3(脂肪族ポリエステル樹脂(3)):
製造例1において、0.07×10Pa減圧下の反応時間を3時間45分に変更した以外は製造例1と同様にして重合反応を行った。得られた脂肪族ポリエステル樹脂(3)の固有粘度は1.72dl/gであった。各成分のモル%はコハク酸単位48.8モル%、1,4−ブタンジオール単位48.8モル%、乳酸単位2.4モル%であった。
<その他の成分>
(1)ポリ乳酸(三井化学社製「レイシアH−400」)
(2)熱安定剤:トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト(旭電化工業社製「アデカスタブAS2112」)
(3)酸化防止剤:ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバスペシャリティーケミカルズ社製「イルガノックス1010」)
(4)離型剤:ペンタエリスリトールテトラステアレート(日本油脂社製「ユニスターH476」)
<樹脂組成物の調製>
表1及び表2に示す各成分を同表に示す割合にてタンブラーミキサーで均一に混合した後、二軸押出機(日本製鋼所社製「TEX30XCT」、L/D=42、バレル数12)を使用し、シリンダー温度260℃、スクリュー回転数200rpmにてバレルより押出機に供給して溶融混練することにより、樹脂組成物のペレットを作製した。
<試験片の作製>
上記の方法で得られたペレットを100℃で6時間以上乾燥した後、名機製作所製の型射出成形機「M150AII−SJ」を使用し、シリンダー温度270℃、金型温度80℃、成形サイクル55秒の条件下、ASTM試験片及び100mmφの円盤状成形品(厚さ3mmt)を作成した。
<評価方法>
(1)流動性(Q値):
高荷式フローテスターを使用し、280℃、荷重160kgf/cm2の条件下で組成物の単位時間あたりの流出量Q値(単位:cc/s)を測定し、流動性を評価した。なお、オリフィスは直径1mm×長さ10mmのものを使用した。Q値が高いほど、流動性に優れていることを示す。
(2)耐衝撃性(Izod衝撃強度):
ASTM D256に準拠して、厚み3.2mmのノッチ付き試験片を使用し、23℃においてIzod衝撃強度(単位:J/m)を測定した。
(3)耐薬品性(破断伸び保持率):
ASTM引張試験片(厚さ3.2mm)に変形率1%の撓みを負荷した状態で、試験薬品を塗布し、48時間後の破断伸びの保持率(試験薬品を塗布しないものに対する比率)により評価した。試験薬品としてはフタル酸ジ(2−エチルヘキシル)(東京化成工業社製)を使用した。耐薬品性の評価は、破断伸び保持率が75%以上である場合を「○」、破断伸び保持率が75%未満である場合を「×」として評価した。
(4)外観:
前記円板状成形品の表面外観を目視にて観察し、混合むら(色むら)のほとんどないものを○、混合むら(色むら)のあるものを×として評価した。
実施例1〜5及び比較例1〜5:
表1及び表2に記載の各々の樹脂組成物を製造し、上述の方法により評価した。結果を表1及び表2に示す。
表1及び表2に示した結果から、以下のことが判る。本発明の実施例1〜5に記載の樹脂組成物は、流動性と耐衝撃性のバランス、耐薬品性に優れ、良好な表面外観を有している。これに対し、比較例1に記載の樹脂組成物は、スチレン系樹脂および特定の脂肪族ポリエステル樹脂を含有していないため、実施例の組成物と比較し、流動性、耐薬品性に劣る。比較例2及び3に記載の樹脂組成物は、特定の脂肪族ポリエステル樹脂を含有していないため、実施例の組成物と比較し、流動性と耐衝撃性のバランス及び耐薬品性に劣る。また、比較例4に記載の樹脂組成物は、スチレン系樹脂を含有していないため、実施例の組成物と比較し、流動性および表面外観に劣る。また、比較例5に記載の樹脂組成物は、特定の脂肪族ポリエステル樹脂の代わりにポリ乳酸を含有しているため、実施例の組成物と比較し、流動性と耐衝撃性のバランス、耐薬品性および表面外観に劣る。

Claims (6)

  1. 芳香族ポリカーボネート樹脂5〜95重量部、スチレン系樹脂5〜95重量部の合計100重量部に対し、脂肪族ジオール(脂環式ジオールを含む)とコハク酸及び/又はその誘導体から成る繰り返し単位の割合が50モル%以上である脂肪族ポリエステル樹脂を1〜100重量部含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. 芳香族ポリカーボネート樹脂とスチレン系樹脂との割合が50〜90重量部:10〜50重量部(両者の合計量は100重量部)である請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. スチレン系樹脂が、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−アクリルゴム共重合体(ASA樹脂)、アクリロニトリル−エチレンプロピレン系ゴム−スレン共重合体(AES樹脂)から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 脂肪族ポリエステル樹脂が脂肪族オキシカルボン酸を共重合成分として含有する請求項1〜3の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 脂肪族ポリエステル樹脂の含有量が芳香族ポリカーボネート樹脂とスチレン系樹脂との合計100重量部に対し7〜40重量部である請求項1〜4の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物を成形して成ることを特徴とする樹脂成形品。
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