JP2006016559A - ガラス繊維強化ポリエステル樹脂組成物および成形品 - Google Patents

ガラス繊維強化ポリエステル樹脂組成物および成形品 Download PDF

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Tadashi Nishida
直史 西田
Toshiyuki Tajiri
敏之 田尻
Michio Nakada
道生 中田
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Abstract

【課題】 機械的性質をさらに向上させたガラス繊維強化ポリエステル樹脂組成物を提供する。
【解決手段】
(a)ポリエステル樹脂50〜96重量%と、
(b)ゴム変性ポリスチレン系樹脂35〜3重量%と、
(c)芳香族ポリカーボネート樹脂および/またはスチレン−無水マレイン酸共重合体15〜1重量%をからなるポリエステルを主成分とする樹脂(A)100重量部に対して、
少なくとも、
(B)アミノ系シランカップリング剤とノボラック型エポキシ樹脂を含む集束剤が少なくとも一部に付着しているガラス繊維10〜150重量部と、
(C)エポキシ化合物を0.1〜3重量部を
配合してなるガラス繊維強化ポリエステル樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、成形性および機械的強度の優れたガラス繊維強化ポリエステル樹脂組成物、およびこれを用いてなる成形品に関するものである。
ポリブチレンテレフタレート樹脂やポリエチレンテレフタレート樹脂に代表される熱可塑性ポリエステル樹脂は、加工が容易であり、さらに、機械的物性、耐熱性その他の物理的・化学的特性に優れている。このため、自動車部品、電気・電子機器部品その他の精密機器部品等に幅広く使用されている。特に、ポリブチレンテレフタレート樹脂は結晶化速度が速いため射出成形用に好適に用いられる。
しかし、ポリブチレンテレフタレート樹脂は結晶性樹脂であるため、成形収縮率が大きく、特にガラス繊維などの強化充填剤を配合した材料においては異方性が大きくなる傾向にあり、成形品が反ってしまう場合がある。そこで、ガラス繊維強化ポリブチレンテレフタレート樹脂の反りの低減の為、種々の非晶性樹脂を混合する方法が提案されている。しかし、このような方法は、一般的に、機械的性質の低下を招く傾向にあり、反りの低減と機械的性質の保持を両立させることは困難であった。
ポリブチレンテレフタレート樹脂に非晶性樹脂を配合した例として、特許文献1には、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ゴム変性ポリスチレン樹脂および芳香族ポリカーボネート樹脂からなる樹脂組成物によって、成形品の収縮率低減と軽量化が図られると記載されている。しかしながら、該組成物についても、機械的強度の点では、更なる改良が求められている。
一方、ポリエステル樹脂の強度の更なる向上を目的として、特許文献2には、ガラス繊維と多官能化合物(エポキシシラン、イソシアネート系化合物、ポリカルボン酸無水物)をポリエステル樹脂に配合した組成物が示されている。
しかしながら、該組成物を用いて得られる成形品の機械的強度は、必ずしも充分であるとは言えない。
また、特許文献3には、ポリエステル樹脂、ビニル重合体で被覆されたガラス繊維、結晶化促進剤および多官能性化合物(ポリエポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物、エポキシシラン、アミノシラン)からなる組成物が開示されている。そして、特許文献3には、該組成物が、反りが小さく、かつ、優れた機械的強度を達成すると記載されている。しかしながら、これらで得られる低反り性や機械的強度は必ずしも充分であるとは言えない。
特許文献4〜7では、ポリエステル樹脂等に配合されるガラス繊維の表面処理を特定することにより、集束性、電気的特性、機械的性質を改善することが検討されている。そして、これらの特許文献にはエポキシ樹脂とアミノ系シランカップリング剤の組み合わせが実施例にて示されている。
特に、特許文献6には、エポキシ樹脂とアミノ系シランカップリング剤を含む集束剤にて表面処理されたガラス繊維を含有する、ポリエステル系樹脂組成物が記載されている。しかし、該組成物の場合も機械的強度は充分であるとは言えず、更なる強度向上が求められている。
特開2002−12752号公報 特公昭51−7702号公報 特開昭53−106749号公報 特開平9−301746号公報 特開2001−172055号公報 特開2001−172056号公報 特開2001−172057号公報
本発明は、高い成形収縮率を改善し、かつ、低反り性をより高めつつ機械的性質を向上させたガラス繊維強化ポリエステル樹脂組成物を提供することを目的とする。
上記課題に基づいて、発明者が鋭意検討した結果、驚くべきことに、(a)ポリエステル樹脂と、(b)ゴム変性ポリスチレン系樹脂と、(c)芳香族ポリカーボネート樹脂および/またはスチレン−無水マレイン酸共重合体からなるポリエステルを主成分とする樹脂(A)に、(B)特定の集束剤で処理されたガラス繊維と、(C)エポキシ化合物を配合してガラス繊維強化ポリエステル樹脂組成物とすることにより、高い成形収縮率を実現し、かつ、低反り性が高まり、さらに、機械的強度が著しく向上することを見出した。
すなわち、(c)芳香族ポリカーボネート樹脂および/またはスチレン−無水マレイン酸共重合体を特定量使用することにより、(b)ゴム変性ポリスチレン系樹脂を含む樹脂組成物であっても、機械的強度を損なわず、成形収縮率の増大を抑えられる組成を見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の(C)エポキシ化合物は、(A)ポリエステル樹脂と、(B)ガラス繊維の集束剤に含まれるノボラック型エポキシ樹脂の両方に対して、反応性や親和性を有する。よって、(A)ポリエステル樹脂と(B)ガラス繊維との密着性が向上し、本発明のガラス繊維強化ポリエステル樹脂組成物は、大幅な強度向上を実現したものである。
上述のとおり、表面処理されたガラス繊維やエポキシ化合物をポリエステル樹脂に添加することは、従来から採用されている技術ではあるが、一方の使用では機械的強度が充分ではなかった。しかしながら、驚くべきことに、上記のように両者を併用することにより、機械的強度が著しく向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の要旨は、以下の(1)〜(6)の通りである。
(1)(a)ポリエステル樹脂50〜96重量%と、
(b)ゴム変性ポリスチレン系樹脂35〜3重量%と、
(c)芳香族ポリカーボネート樹脂および/またはスチレン−無水マレイン酸共重合体15〜1重量%をからなるポリエステルを主成分とする樹脂(A)100重量部に対して、
少なくとも、
(B)アミノ系シランカップリング剤とノボラック型エポキシ樹脂を含む集束剤が少なくとも一部に付着しているガラス繊維10〜150重量部と、
(C)エポキシ化合物を0.1〜3重量部とを
配合してなるガラス繊維強化ポリエステル樹脂組成物。
(2)前記(C)エポキシ化合物が多官能エポキシ化合物である、(1)に記載のガラス繊維強化ポリエステル樹脂組成物。
(3)前記(C)エポキシ化合物が、エポキシ当量100〜200g/eqのビスフェノールAグリシジルエーテルである(1)または(2)に記載のガラス繊維強化ポリエステル樹脂組成物。
(4)前記(B)ガラス繊維の繊維径が13μm以下である、(1)〜(3)のいずれかに記載のガラス繊維強化ポリエステル樹脂組成物。
(5)前記(A)ポリエステル樹脂がポリブチレンテレフタレートである、(1)〜(4)のいずれかに記載のガラス繊維強化ポリエステル樹脂組成物。
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載のガラス繊維強化ポリエステル樹脂組成物を用いてなる成形品。
本発明のガラス繊維強化ポリエステル樹脂組成物は、ゴム変性ポリスチレン系樹脂を含む組成物であって、機械的強度に優れた組成物を提供可能となった。すなわち、優れた機械的強度を維持しつつ、成形収縮率が低下した組成物を提供可能となった。さらにこれらの効果に加えて、低反り性も同時に満たす組成物を提供可能となった。
このため、流動性、寸法精度および耐熱性に優れ、かつ、軽量な材料(成形品)を提供でき、成形品の破損などの懸念が著しく改善され、信頼性の高い製品が得られることにより商品価値が高まった。
結果として、電機・電子機器分野、自動車分野、機械分野等多くの分野において幅広く使用する事が可能となった。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
(A)ポリエステルを主成分とする樹脂
本発明のポリエステルを主成分とする樹脂(A)は、(a)ポリエステル樹脂と、(b)ゴム変性ポリスチレン系樹脂と、(c)芳香族ポリカーボネート樹脂および/またはスチレン−無水マレイン酸共重合体からなる。以下、その詳細について説明する。
(a)ポリエステル樹脂
本発明で採用する(a)ポリエステル樹脂としては、公知のポリエステル樹脂を用いることができる。好ましくは、ジカルボン酸またはその誘導体と、ジオールとからなるポリエステル樹脂である。
ジカルボン酸またはその誘導体としては、芳香族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、および、脂肪族ジカルボン酸、ならびに、これらの低級アルキルまたはグリコールのエステルが好ましく、芳香族ジカルボン酸またはこの低級アルキルあるいはグリコールのエステルがより好ましく、テレフタル酸またはこの低級アルキルエステルがさらに好ましい。これらは、1種または2種以上を併用しても良い。
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、オクトフタル酸、4,4'−ジフェニルジカルボン酸、4,4'−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4'−ベンゾフェノンジカルボン酸、4,4'−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4'−ジフェニルスルホンジカルボン酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸等が好ましい例として挙げられる。
脂環式ジカルボン酸としては、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等が好ましい例として挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸およびセバシン酸等が好ましい例として挙げられる。
ジオールとしては、脂肪族ジオール、脂環式ジオールおよび芳香族ジオールが好ましい。
脂肪族ジオールとしては、好ましくは、炭素数2〜20の脂肪族ジオールであり、エチレングリコール、1,4−ブタンジオールジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ジブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオールおよび1,8−オクタンジオール等を好ましい例として挙げることができる。
脂環式ジオールとしては、好ましくは、炭素数2〜20の脂環式ジオールであり、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,1−シクロヘキサンジメチロールおよび1,4−シクロヘキサンジメチロール等を好ましい例として挙げることができる。
芳香族ジオールとしては、キシリレングリコール、4,4'−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよびビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等を好ましい例として挙げることができる。
これらは、1種または2種以上を併用しても良い。
本発明の(a)ポリエステル樹脂においては、さらに、乳酸、グリコール酸、m−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸およびp−β−ヒドロキシエトキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸、アルコキシカルボン酸、ステアリルアルコール、ベンジルアルコール、ステアリン酸、安息香酸、t−ブチル安息香酸およびベンゾイル安息香酸などの単官能成分、ならびに、トリカルバリル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、没食子酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロールおよびペンタエリスリトール等の三官能以上の多官能成分などを共重合成分として使用してもよい。
より好ましい(a)ポリエステル樹脂の例としては、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT樹脂)が挙げられる。ここで、PBT樹脂は、テレフタル酸を唯一のジカルボン酸単位とし、テトラメチレングリコールを唯一のジオール単位とするポリブチレンテレフタレート単独重合体が好ましい。もちろん、ジカルボン酸単位として、前記のテレフタル酸以外のジカルボン酸1種以上および/またはジオール単位として、前記のテトラメチレングリコール以外のジオール1種以上を含むポリブチレンテレフタレート共重合体であってもよい。なお、本発明でいうPBT樹脂とは、テレフタル酸が全ジカルボン酸成分の50モル%以上を占め、1,4−ブタンジオールが全ジオールの50重量%以上を占めることをいう。さらに、本発明の(a)ポリエステル樹脂としては、機械的性質、耐熱性の点から、ジカルボン酸単位中のテレフタル酸の割合が、70モル%以上のものが好ましく、90モル%以上がより好ましい。一方、ジオール単位中のテトラメチレングリコールの割合は、70モル%以上が好ましく、90モル%以上がより好ましい。
本発明におけるPBT樹脂の固有粘度は、テトラクロルエタンとフェノールが1:1(重量比)の混合溶媒中、30℃の測定で0.5〜3.0dl/gが好ましく、0.5〜1.5dl/gがより好ましく、0.6〜1.3dl/gがさらに好ましい。固有粘度を0.50以上とすることにより、機械的特性がより効果的に発揮され、3.0以下とすることにより、成形加工がより容易になる。さらに、2種類以上の固有粘度のポリエステル樹脂を併用してもよい。
(a)ポリエステル樹脂を製造する場合、公知の方法を広く採用できる。例えば、テレフタル酸成分と1,4−ブタンジオール成分とからなるPBT樹脂の場合、直接重合法およびエステル交換法のいずれの方法も採用できる。直接重合法は、例えば、テレフタル酸と1,4−ブタンジオールを直接エステル化反応させる方法であり、初期のエステル化反応で水が生成する。エステル交換法は、例えば、テレフタル酸ジメチルと主原料として使用する方法であり、初期のエステル交換反応でアルコールが生成する。直接エステル化反応は原料コスト面から好ましい。
また、ポリエステル樹脂は、原料供給またはポリマーの払い出し形態について、回分法および連続法のいずれの方法で製造してもよい。さらに、初期のエステル化反応またはエステル交換反応を連続操作で行って、それに続く重縮合を回分操作で行ったり、逆に、初期のエステル化反応またはエステル交換反応を回分操作で行って、それに続く重縮合を連続操作で行う方法もある。
(b)ゴム変性ポリスチレン系樹脂
本発明で採用する(b)ゴム変性ポリスチレン系樹脂としては、公知のゴム変性ポリスチレン系樹脂を用いることができ、一般的に、ゴム質重合体をポリスチレン中に混合したものである。混合方法としては、単純な機械的ブレンド方法でもよく、より良好な相溶性を得るためには、ゴム質重合体の存在下にスチレン系単量体等をグラフト共重合させる、いわゆるグラフト共重合処方によって得られたものが好ましい。また、グラフト共重合処方によって得られるゴム変性ポリスチレン系樹脂(グラフト重合体)に、別途方法によって得られるポリスチレンを混合する、いわゆるグラフト−ブレンド法によって得られたものを用いることも望ましい。
重合方法としては、乳化重合、溶液重合および懸濁重合等が適用できる。このような、ゴム変性ポリスチレン系樹脂は、一般に、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)と呼ばれている。
前記ゴム質重合体として、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、水添スチレン−ブタジエンブロック共重合体等の共役ジエン系ゴム、ならびに、エチレン−プロピレン系共重合体等の非共役ジエン系ゴム等が好ましい例として挙げられ、ポリブタジエンがより好ましい。
前記スチレン系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ブロモスチレン等があるが、これらのなかでもスチレンおよび/またはα−メチルスチレンを用いることが最適である。スチレン系単量体以外の単量体としては、アクリロニトリル、メチルメタクリレート等のビニル単量体が挙げられる。
ゴム変性ポリスチレン系樹脂中のゴム含有率は、1〜40重量%が好ましく3〜30重量%がより好ましい。
また、スチレン系単量体以外の単量体成分を含む場合を含め、ゴム変性ポリスチレン系樹脂中のゴムおよびスチレン系単量体成分含有率は、90重量%以上が好ましく、95重量%以上がより好ましい。
ゴム変性ポリスチレン系樹脂の分子量を反映するMFRは200℃、荷重5kgで0.5〜15g/10分が好ましく、1.0〜10g/10分がより好ましい。
(c)芳香族ポリカーボネート樹脂
本発明で採用する(c)芳香族ポリカーボネート樹脂としては、公知の芳香族ポリカーボネート樹脂を用いることができる。(c)芳香族ポリカーボネート樹脂は、例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物またはこれと少量のポリヒドロキシ化合物を、ホスゲンまたは炭酸ジエステルと反応させることによって得られる。芳香族ジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(別称:ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノールおよび4,4−ジヒドロキシジフェニル等が好ましい例として挙げられ、ビスフェノールAがより好ましい。
より具体的には、本発明で採用する(c)芳香族ポリカーボネート樹脂は、好ましくは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導されるポリカーボネート樹脂、または2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンと他の芳香族ジヒドロキシ化合物とから誘導されるポリカーボネート共重合体が挙げられる。
本発明で採用する(c)芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量は、溶媒としてメチレンクロライドを用い、温度25℃で測定された溶液粘度より換算した粘度平均分子量で、10,000〜30,000が好ましく、12,000〜20,000がより好ましい。
なお、本発明でいう粘度平均分子量(M)とは、オストワルド粘度計を用い塩化メチレンを溶媒とする試料濃度1g/100ml溶液の20℃における極限粘度[η]を求め、次のSchnellの粘度式、すなわち、[η]=1.23×10-40.83、から算出される値を意味する。
さらに、光ディスク用材料として使用されている芳香族ポリカーボネート樹脂が好適に使用できる。
(c)スチレン−無水マレイン酸共重合体
本発明で採用する(c)スチレン−無水マレイン酸共重合体としては、公知のスチレン−無水マレイン酸共重合体を用いることができる。(c)スチレン−無水マレイン酸共重合体は、重量平均分子量15万〜40万のものが好ましい。さらに、(c)スチレン−無水マレイン酸共重合体は、無水マレイン酸の含有率が、1〜40重量%のものが好ましく、2〜30重量%のものがより好ましく、3〜20重量%のものがさらに好ましい。
共重合の形態は、通常のコポリマーのほか、ブロックコポリマーまたはグラフトコポリマーであってもよい。このような共重合体の一例として、ノバ・ケミカル・ジャパン社から販売されているダイラーク(登録商標)が挙げられる。
本発明の(A)ポリエステルを主成分とする樹脂における、(a)、(b)および(c)の成分を配合する場合、(a)ポリエステル樹脂50〜96重量%(好ましくは57〜93重量%)、(b)ゴム変性ポリスチレン系樹脂35〜3%(好ましくは30〜5重量%)および(c)芳香族ポリカーボネート樹脂および/またはスチレン−無水マレイン酸共重合体15〜1重量%(好ましくは13〜2重量%)を配合するのが好ましい。
ポリエステル樹脂成分を50重量%以上とすることにより、ポリエステル樹脂の特徴である引張(曲げ)強度、耐熱性、結晶性および成形性等をより効果的に発現させることができる。一方、(b)ゴム変性ポリスチレン系樹脂、および(c)芳香族ポリカーボネート樹脂および/またはスチレン−無水マイレン酸共重合体を、合計4重量%以上含有させることにより、低そり性、成形収縮率の低減化や軽量化をより効果的に発揮させることができる。
(B)アミノ系シランカップリング剤とノボラック型エポキシ樹脂を含む集束剤が少なくとも一部に付着しているガラス繊維
本発明で採用する(B)ガラス繊維は、アミノ系シランカップリング剤とエポキシ樹脂を含む集束剤が付着している(例えば、塗布された状態をいう)。付着させる方法としては、例えば、特開2001−172055号公報、特開昭53−106749号公報等に記載の方法を採用できる。このような構成とすることにより、機械的性質および耐加水分解性が向上する。即ち、アミノ系シランカップリング剤の無機官能基はガラス繊維表面と、アミノシランの有機官能基はエポキシ樹脂のグリシジル基と、エポキシ樹脂のグリシジル基はポリエステル樹脂と、それぞれ反応性に富み、ガラス繊維とエポキシ樹脂との界面接着力が向上する。
本発明で採用するエポキシ樹脂としては、フェノールノボラックタイプのエポキシ樹脂およびクレゾールノボラックタイプのエポキシ樹脂等の多官能タイプのエポキシ樹脂が好ましい。さらに、集束剤中のノボラックタイプのエポキシ樹脂の含有量は1〜20重量%が好ましく、2〜10重量%がより好ましい。
本発明で採用するアミノ系シランカップリング剤としては、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランおよびγ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランが好ましい例として挙げられる。集束剤中のアミノ系シランカップリング剤の含有量は、0.1〜8重量%が好ましく、0.5〜5重量%がより好ましい。
本発明で採用する集束剤には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、帯電防止剤、潤滑剤および撥水剤などの各成分を含めることができる。さらに、ノボラックタイプ以外のエポキシ樹脂、エポキシシランカップリング剤、および/または、チタネート系カップリング剤を含んでもよい。ガラス繊維に対する集束剤の付着量は、0.05〜2重量%が好ましい。0.05重量%以上とすることにより、機械的強度がより効果的に改善され、2重量%以下とすることにより、必要十分な効果が得られ経済的である。
また、本発明で採用するガラス繊維は、特に定めるものではなく、公知のガラス繊維を広く採用することができる。例えば、長繊維タイプ(ロービング)や短繊維タイプ(チョップドストランド)などから選択して用いることができる。繊維径は、6〜16μmが好ましく、6〜13μmがより好ましく、6〜11μmがさらに好ましい。このような繊維径のものを採用することにより、機械的性質をより効果的に改善することができる。
また、ガラス繊維の平均繊維長は、0.1〜20mmが好ましく、1〜10mmがより好ましい。平均繊維長を0.1mm以上とすることにより、ガラス繊維による補強効果がより効果的に発現され、平均繊維長を20mm以下とすることにより、ポリエステル樹脂との溶融混練やガラス繊維強化ポリエステル樹脂組成物の成形がより容易になる。
本発明で採用するガラス繊維の配合量は、(A)ポリエステルを主成分とする樹脂100重量部に対し、10〜150重量部であり、15〜100重量部がより好ましい。
本発明で採用するするガラス繊維は、Eガラス、Cガラス、Aガラス、Sガラス、S−2ガラス等の各種のガラス繊維が好ましい例として挙げられ、アルカリ分が少なく、電気的特性が良好なEガラスのガラス繊維がより好ましい。
(C)エポキシ化合物
本発明で採用する(C)エポキシ化合物は、特に定めるものではなく、単官能性、二官能性または多官能性の何れでも、さらに、これらの2種類以上の混合物でもよい。特に、二官能性以上のエポキシ化合物、すなわち、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物が好ましい。(C)エポキシ化合物の分子量は、100〜10000のものが好ましい。また、(C)エポキシ化合物は、アルコール、フェノール系化合物またはカルボン酸とエピクロロヒドリンとの反応から得られるグリシジル化合物、あるいは、脂環式エポキシ化合物等が好ましい例として挙げることができる。
(C)エポキシ化合物は、グリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル、脂肪酸グリシジルエステル、ジグリシジルエステル、脂環式ジエポキシ化合物、および、グリシジルイミド化合物等が好ましい例として挙げられる。
グリシジルエーテルは、メチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ブチルフェニルグリシジルエーテルおよびアリルグリシジルエーテル等が好ましい。ジグリシジルエーテルは、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテルおよびビスフェノールAジグリシジルエーテル等が好ましい。脂肪酸グリシジルエステルは、安息香酸グリシジルエステルおよびソルビン酸グリシジルエステル等が好ましい。ジグリシジルエステルは、アジピン酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステルおよびオルトフタル酸ジグリシジルエステル等が好ましい。脂環式ジエポキシ化合物は、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3',4’−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート等が好ましい。グリシジルイミド化合物は、N−グリシジルフタルイミド等が好ましい。
これらの中でも、中でも、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンとの反応から得られるグリシジルエーテル化合物、特に、ビスフェノールAジグリシジルエーテルが好ましい。さらに、エポキシ当量が100〜200g/eqのビスフェノールAグリシジルエーテルが好ましい。
(C)エポキシ化合物の配合量は、(A)ポリエステルを主成分とする樹脂100重量部に対し、0.1〜3重量部であり、好ましくは0.15〜2重量部である。0.1重量部より少ないと、機械的性質のさらなる改善効果が認められず、3重量部より多いと、成形時などの溶融時に加水分解が促進され、強度の低下が始まるため好ましくない。
本発明のガラス繊維強化ポリエステル樹脂組成物には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、有機リン化合物を配合してもよい。有機リン化合物としては、有機ホスフェート化合物、有機ホスファイト化合物および有機ホスホナイト化合物が好ましく、有機ホスフェート化合物がより好ましい。
有機ホスフェート化合物としては、下記式(1)で表される化合物が好ましい。
式(1)
Figure 2006016559
(式(1)中、R1 およびR2 は、それぞれ、炭素原子数8〜30のアルキル基を示す。)
ここで、炭素原子数8〜30のアルキル基の具体例としては、オクチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基およびトリアコンチル基等が挙げられる。長鎖ジアルキルアシッドホスフェート化合物としては、ジオクチルホスフェート、ジ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジイソオクチルホスフェート、ジノニルホスフェート、ジイソノニルホスフェート、ジデシルホスフェート、ジイソデシルホスフェート、ジラウリルホスフェート、ジトリデシルホスフェート、ジイソトリデシルホスフェート、ジミリスチルホスフェート、ジパルミチルホスフェート、ジステアリルホスフェート、ジエイコシルホスフェートおよびジトリアコンチルホスフェートが好ましく、ジステアリルホスフェート、ジパルミチルホスフェートおよびジミリスチルホスフェートがより好ましい。
有機リン化合物の配合量は、本発明の(A)ポリエステルを主成分とする樹脂100重量部に対し、好ましくは0.01〜0.5重量部、より好ましくは0.05〜0.3重量部、さらに好ましくは0.1〜0.2重量部である。このような配合量とすることにより、材料の加熱安定性および熱滞留安定性をより高めることができる。尚、有機リン化合物は、1種または2種以上を併用して使用してもよい。
本発明のガラス繊維強化ポリエステル樹脂組成物には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、ハロゲン系難燃剤を配合してもよい。ハロゲン系難燃剤は、分子中にハロゲン原子を有する難燃剤をいい、通常難燃剤として使用されている公知の難燃剤を広く採用できる。特に臭素含有率が20重量%以上のものが好ましい。より具体的には、ハロゲン系難燃剤は、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ樹脂、臭素化フェノキシ樹脂、臭素化ポリフェニレンエーテル樹脂、臭素化ポリスチレン系樹脂、臭素化ビスフェノールA、グリシジル臭素化ビスフェノールA、ペンタブロモベンジルポリアクリレートおよびブロム化イミドが好ましく、グリシジル臭素化ビスフェノールA、ペンタブロモベンジルポリアクリレートおよびブロム化イミドがより好ましい。
ハロゲン系難燃剤の配合量は、(A)ポリエステルを主成分とする樹脂100重量部に対し、5〜40重量部が好ましく、7〜35重量部がより好ましく、8〜25重量部がさらに好ましい。ハロゲン系難燃剤を5重量部以上とすることにより、より効果的な難燃性が得られ、40重量部以下とすることにより、物性、特に機械強度をより高く保つことができる。
本発明のガラス繊維強化ポリエステル樹脂組成物には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、難燃助剤(好ましくは、アンチモン化合物)を配合してもよい。アンチモン化合物としては、三酸化アンチモン(Sb23)、五酸化アンチモン(Sb25)およびアンチモン酸ナトリウムが好ましい例として挙げられる。
アンチモン化合物の配合量は、(A)ポリエステルを主成分とする樹脂100重量部に対し、2〜40重量部が好ましく、2〜30重量部がより好ましく、3〜20重量部がさらに好ましい。アンチモン化合物を2重量部以上とすることにより、より効果的な難燃性が得られ、40重量部以下とすることにより、物性、特に機械強度をより高く保つことができる。
本発明のガラス繊維強化ポリエステル樹脂組成物には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、離型剤を配合してもよい。離型剤は、炭素数12〜36の脂肪酸残基と炭素数1〜36のアルコール残基から成る脂肪酸エステル、パラフィンワックスおよびポリエチレンワックスが好ましい。離型剤の配合量は、(A)ポリエステルを主成分とする樹脂100重量部に対し、0.01〜2重量部が好ましい。
本発明のガラス繊維強化ポリエステル樹脂組成物には、上記の他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、周知の種々の添加剤、熱安定剤、結晶化促進剤、紫外線吸収剤、耐候性付与剤、染料、着色剤(滑剤および顔料等)、発泡剤、各種ナイロンおよび各種ナイロンエラストマー等を配合してもよい。熱安定剤としては、ヒンダードフェノール系、亜燐酸エステル系および硫黄含有エステル化合物系のものが好ましい例として挙げられる。各種ナイロンとしては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12およびナイロンMXD6が好ましい例として挙げられる。
さらに、本発明のガラス繊維強化ポリエステル樹脂組成物には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、他の樹脂を配合することができる。
具体的には、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアセタールおよびポリフェニレンオキサイド等の他の熱可塑性樹脂、ならびに、フェノール樹脂、メラミン樹脂およびシリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂が好ましい。このような樹脂の配合量は、(a)ポリエステル樹脂100重量部に対し、1〜80重量部が好ましい。
本発明のガラス繊維強化ポリエステル樹脂組成物の製造方法は、特定の方法に限定されないが、好ましくは、混練することによって得ることができる。該混練方法としては、例えば各成分を、必要であれば付加的成分である物質と共に、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダー等により均一に混合した後、一軸または多軸混練押出機、ロール、バンバリーミキサー、ラボプラストミル(ブラベンダー)等で混練することができる。より好ましくは、溶融混練によるものであり、この場合の加熱温度は、通常230〜290℃である。さらに、混練り時の分解を抑制する為、前記の熱安定剤を用いるのが好ましい。各成分は、付加的成分を含め、混練機に一括でフィードしても順次フィードしてもよい。また、付加的成分を含め各成分から選ばれた2種以上の成分を予め混合したものを用いてもよい。ガラス繊維などの繊維状強化充填材は、押出機の途中から樹脂が溶融した後に添加することにより、破砕を避け、高い特性を発揮させることが出来る。
本発明の樹脂組成物は、既知の種々の成形方法、例えば、射出成形、中空成形、押出成形、圧縮成形、カレンダー成形、回転成形等により、電機・電子機器分野、自動車分野、機械分野、医療分野等で用いることができる成形品とすることができる。この場合、特に好ましい成形方法は、流動性の良さから、射出成形である。射出成形に当たっては、樹脂温度を240〜280℃にコントロールするのが好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
(アミノ系シランカップリング剤とノボラック型エポキシ樹脂を含む集束剤が付着したガラス繊維)
アミノ系シランカップリング剤とノボラック型エポキシ樹脂を含む集束剤が付着したガラス繊維は、特開2001−172055号公報に記載の方法に従って作製した。
具体的には、フェノールノボラックタイプエポキシ樹脂4重量%、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン1重量%、ウレタン系エマルジョン2重量%および脱イオン水93重量%からなる集束剤を作製し、その後、ガラス繊維ストランドに塗布した。このストランドを3mmに切断した。得られたガラス繊維チョップドストランドに対する集束剤の付着量は0.7重量%であった。このようにして得られたガラス繊維は後述の(B−1)および(B−2)であり、フェノールノボラックタイプエポキシ樹脂の代わりにビスフェノールAタイプのエポキシ樹脂を使用したものが(B−3)である。
(ガラス繊維強化ポリエステル樹脂組成物)
上記方法によって得られたガラス繊維とエポキシ化合物などの多官能化合物とを下記実施例および比較例に示す比率でポリエステル樹脂に配合し、2軸押出機にて常法に従って混練し、ペレット化した。この樹脂組成物について、住友重機械(株)製射出成型機(型式SG−75MIII)を使用して、シリンダ温度250℃、金型温度80℃の条件で、機械的物性測定用試験片を成形し、下記の試験方法により性能評価を行った。また、反り量の測定も行った。評価結果を表1に示す。
(A)ポリエステルを主成分とする樹脂
(a)ポリブチレンテレフタレート樹脂
(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、ノバデュラン5008、固有粘度[η]=0.85)
(b)ゴム変性ポリスチレン系樹脂(HIPS)
ゴム変性ポリスチレン系樹脂であって、ゴム(ポリブタジエン)含有率が8.8重量%、平均のゴム粒子径が1.8μm、数平均分子量が92,000、重量平均分子量230,0000、メルトフローレート(温度200℃、荷重5kgf)が1.8g/10分のもの(A&M社製、ダイヤレックスHT478)を採用した。
(c)芳香族ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリスチレン−無水マレイン酸共重合体(M−PS)
(PC)ポリカーボネート樹脂粉末で、粘度平均分子量が約15,000(三菱化学(株)製、ノバレックスの光ディスクグレード7020AD2用原料粉末)を採用した。
(M−PS)スチレン−無水マレイン酸共重合体で、無水マレイン酸の含有量が9重量%、重量平均分子量が240,000であり、メルトフローレート(温度230℃、荷重2.16kgf)が2.0g/10分(ノバ・ケミカル・ジャパン社製、ダイラークD232)を採用した。
(B)ガラス繊維
(B−1)アミノ系シランカップリング剤およびノボラックタイプエポキシ樹脂を含有する集束剤が付着したガラス繊維(繊維径11μm)
(B−2)アミノ系シランカップリング剤およびノボラックタイプエポキシ樹脂を含有する集束剤が付着したガラス繊維(繊維径13μm)
(B−3)アミノ系シランカップリング剤およびビスフェノールタイプエポキシ樹脂を含有する集束剤が付着したガラス繊維(繊維径13μm)
(C)エポキシ化合物
(C−1)ビスフェノールAのジグリシジルエーテル エポキシ当量は185g/eq(旭電化製、アデカサイザー EP−17)
(C−2)トリレンジイソシアネート (和光純薬工業製)
(C−3)ピロメリット酸無水物 (和光純薬工業製)
性能評価法
(1)引張強度および引張伸度
ISO527に準拠して測定した。強度および伸度の単位は、それぞれMPa、%とした。
(2)曲げ強度および曲げ弾性率
ISO178に準拠して測定した。強度および弾性率の単位は、いずれもMPaとした。
(3)シャルピー衝撃強度
ISO179に準拠して測定した。ノッチ付き強度で、単位は、KJ/m2とした。
(4)反り量
射出成型機(住友重機械(株)製:型式SG−75 MIII)を使用し、シリンダー温度250℃で、直径100mm、厚さ1.6mmの円板を成形した。ゲートは円周上の1点ゲートとした。円板の片端を平板に固定し、反対側が平板から浮き上がった距離を測定し反り量(mm)とした。
Figure 2006016559
表1に示すとおり、本発明のガラス繊維径が13μmの実施例3は比較例1および2との比較において、機械的性質はほとんど遜色なく、低反り性が著しく改善されているのが明確である。ガラス繊維径11μmの系統はさらに好ましい。また比較例3〜6との比較でアミノ系シランカップリング剤とノボラックタイプエポキシ樹脂とエポキシ化合物の組み合わせにおいて強度の改善効果が大きく、本発明の目的に到達できた。
本発明のガラス繊維強化ポリエステル樹脂組成物から成る成形品は、機械的性質に優れ、過酷な機械的負荷に対しても割れの発生が少ないため、電機・電子機器分野、自動車分野、機械分野および医療分野等多くの分野において幅広く使用する事が出来る。特に、自動車のエンジン部分についても、十分に利用可能である。

Claims (6)

  1. (a)ポリエステル樹脂50〜96重量%と、
    (b)ゴム変性ポリスチレン系樹脂35〜3重量%と、
    (c)芳香族ポリカーボネート樹脂および/またはスチレン−無水マレイン酸共重合体15〜1重量%からなるポリエステルを主成分とする樹脂(A)100重量部に対して、
    少なくとも、
    (B)アミノ系シランカップリング剤とノボラック型エポキシ樹脂を含む集束剤が少なくとも一部に付着しているガラス繊維10〜150重量部と、
    (C)エポキシ化合物を0.1〜3重量部とを
    配合してなるガラス繊維強化ポリエステル樹脂組成物。
  2. 前記(C)エポキシ化合物が多官能エポキシ化合物である、請求項1に記載のガラス繊維強化ポリエステル樹脂組成物。
  3. 前記(C)エポキシ化合物が、エポキシ当量100〜200g/eqのビスフェノールAグリシジルエーテルである請求項1または2に記載のガラス繊維強化ポリエステル樹脂組成物。
  4. 前記(B)ガラス繊維の繊維径が13μm以下である、請求項1〜3のいずれかに記載のガラス繊維強化ポリエステル樹脂組成物。
  5. 前記(A)ポリエステル樹脂がポリブチレンテレフタレートである、請求項1〜4のいずれかに記載のガラス繊維強化ポリエステル樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のガラス繊維強化ポリエステル樹脂組成物を用いてなる成形品。
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