JP2007002028A - 車両電源装置収納ケース - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 (a)ポリブチレンテレフタレート樹脂50〜96重量%、(b)ゴム変性ポリスチレン系樹脂35〜3重量%及び(c)芳香族ポリカーボネート樹脂またはポリスチレン−無水マレイン酸共重合体15〜1重量%からなる樹脂成分(A)100重量部に対し、(B)ガラス繊維30〜100重量部を含有するポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を成形してなる車両電源装置収納ケース。
【選択図】 なし
Description
しかし、ポリブチレンテレフタレート樹脂は熱可塑性樹脂の中でも密度が高く、したがって成形品重量が重くなるという問題があり、軽量化の観点からさらに低密度化が要望されている。また、ガラス繊維強化ポリブチレンテレフタレート樹脂は結晶性樹脂なので成形収縮率が大きく、さらにその収縮率異方性が大きく、成形品が反るという問題がある。ガラス繊維強化ポリブチレンテレフタレート樹脂の反りの低減の為には、板状、球状充填剤または非晶性樹脂を混合する方法が提案されている。しかし、一般的にこのような方法は機械的性質の低下を招き、反りの低減と機械的性質の保持を両立させることは困難であった。
しかして、かかる材料が、キャパシタユニットの収納ケースに要求されるスナップフィット性やセルフタップ性、或いは15年余の長期使用に耐える耐老化性等の性能を有するか否かは不明であった。
本発明の樹脂成分(A)を構成する第1の樹脂成分である(a)ポリブチレンテレフタレート樹脂(以下、PBT樹脂と略称することもある)は、ブチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位とする樹脂であって、通常、テレフタル酸又はその低級アルキルエステルから誘導されるジカルボン酸成分とテトラメチレングリコールから誘導されるジオール成分を主成分とする重縮合反応により製造される重合体又は共重合体である。
なお、末端カルボキシル基量の調整は既知の方法で可能であり、例えばポリブチレンテレフタレート樹脂の製造工程において、触媒量や温度等の反応条件を選択すること、或いは高粘度化のための固層重合工程を組合せる方法等により行うことができる。
ゴム質重合体として、具体的には、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、水添スチレン−ブタジエンブロック共重合体等の共役ジエン系ゴム、エチレン−プロピレン系共重合体等の非共役ジエン系ゴムが挙げられ、なかでもポリブタジエンが好ましい。
ゴム質重合体に共重合させるスチレン系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ブロモスチレン等が挙げられ、これらのなかでもスチレン及び/又はα−メチルスチレンが最適である。スチレン系単量体以外に、アクリロニトリル、メチルメタクリレート等のビニル単量体を併用することもできる。
(b)ゴム変性ポリスチレン樹脂の分子量を反映するMFRとしては200℃、荷重5kgfの測定値で0.5〜15g/10分が好ましく、さらに好ましくは1.0〜10g/10分である。
芳香族ポリカーボネート樹脂としては、好ましくは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導されるポリカーボネート樹脂、又は2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンと他の芳香族ジヒドロキシ化合物とから誘導されるポリカーボネート共重合体が挙げられる。
ガラス繊維に塗布されるエポキシ樹脂としては、フェノールノボラックタイプエポキシ樹脂、クレゾールノボラックタイプエポキシ樹脂等の多官能タイプのノボラックエポキシ樹脂が特に好適である。集束剤中のノボラックタイプエポキシ樹脂の含有量は1〜20重量%、好ましくは2〜10重量%である。
ガラス繊維に塗布される集束剤は、必要に応じ、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、帯電防止剤、潤滑剤、撥水剤等の各成分を含むことができる。また、更に本発明の目的を損なわない範囲で、ノボラックタイプ以外のエポキシ樹脂、エポキシシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤を含んでもよい。
ガラス繊維に対する集束剤の付着量は、0.05〜2重量%が好ましい。0.05重量%より付着量が少ないと、機械的強度の改善効果が小さく、2重量%より多くても、作用効果が増大せず、経済的でないためである。
本発明で使用するガラス繊維としては、例えば、Eガラス、Cガラス、Aガラス、Sガラス、S−2ガラス等の各種のガラス繊維が挙げられる。これらの中では、アルカリ分が少なく、電気的特性が良好なEガラスのガラス繊維が好適である。
炭素原子数8〜30のアルキル基の具体例としては、オクチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、トリアコンチル基等が挙げられる。長鎖ジアルキルアシッドホスフェート化合物の具体例としては、ジオクチルホスフェート、ジ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジイソオクチルホスフェート、ジノニルホスフェート、ジイソノニルホスフェート、ジデシルホスフェート、ジイソデシルホスフェート、ジラウリルホスフェート、ジトリデシルホスフェート、ジイソトリデシルホスフェート、ジミリスチルホスフェート、ジパルミチルホスフェート、ジステアリルホスフェート、ジエイコシルホスフェート、ジトリアコンチルホスフェート等が挙げられる。好ましくは、ジステアリルホスフェート、ジパルミチルホスフェート、ジミリスチルホスフェートが選ばれる。
上述のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物より本発明の車両電源装置収納ケースの成形加工方法は、特に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂について一般に用いられている成形法が適用でき、特に射出成形が好適である。
なお、実施例および比較例で使用した材料及び成形品の評価試験法は次の通りである。
<材料>
[η]=1.1、末端カルボキシル基量=23eq/ton。
PBT−2:下記参考例2の方法で製造したポリブチレンテレフタレート樹脂、固有粘度
[η]=1.1、末端カルボキシル基量=45eq/tonである
HIPS:ゴム変性ポリスチレン樹脂、ゴム(ポリブタジエン)含有率8.8重量%、
平均のゴム粒子径=1.8μm、数平均分子量92,000、重量平均分子量
230,000、メルトフローレート(温度200℃、荷重5kgf)1.8g/
10分、A&M社製、商品名「ダイヤレックスHT478」。
PC:ポリカーボネート樹脂粉末、粘度平均分子量約15,000、三菱化学(株)製、
商品名「ノバレックス7020AD2」(光ディスクグレード用原料粉末)。
M−PS:スチレン−無水マレイン酸共重合体、無水マレイン酸の含有量9重量%、重量
平均分子量240,000、メルトフローレート(温度230℃、荷重2.16k
gf)2.0g/10分、ノバ・ケミカル・ジャパン社製、商品名「ダイラークD
232」。
ポキシ樹脂を含有する集束剤を塗布したガラス繊維、繊維径11μm。
GF−2:参考例3の方法によりアミノシランカップリング剤およびノボラックタイプエ
ポキシ樹脂を含有する集束剤を塗布したガラス繊維、繊維径13μm。
GF−3:参考例4の方法によりアミノシランカップリング剤およびビスフェノールタイ
プエポキシ樹脂を含有する集束剤を塗布したガラス繊維、繊維径13μm。
ガラスフレーク:板状充填剤。日本板硝子製「REFG101」、直径600μm、厚さ
5μm。
エポキシ:ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、エポキシ当量は185g/eq、
旭電化(株)製「アデカサイザー EP−17」。
テレフタル酸1モルに対して1,4−ブタンジオール1.8モルの割合で両原料をスラリー調製槽に供給し、攪拌装置で混合して調製したスラリー2,976重量部(テレフタル酸9.06モル部、1,4−ブタンジオール16.31モル部)を、連続的にギヤポンプにより、温度230℃、圧力101kPaに調整した第一エステル化反応槽に移送するとともに、テトラブチルチタネート3.14重量部を供給し、滞留時間2時間で、攪拌下にエステル化反応させてオリゴマーを得た。
第一エステル化反応槽から、オリゴマーを、温度240℃、圧力101kPaに調整した第二エステル化反応槽に移送し、滞留時間1時間で、撹拌下にエステル化反応をさらに進めた。
第一重縮合反応槽から、プレポリマーを、温度250℃、圧力133Paに調整した第二重縮合反応槽に移送し、滞留時間6時間で、攪拌下に重縮合反応をさらに進めて、ポリマーを得た。このポリマーを第二重縮合槽から抜き出してダイに移送し、ストランド状に引き出して、ペレタイザーで切断することにより、ベレット状のポリブチレンテレフタレート樹脂を得た。
得られたポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT−1)の末端カルボキシル基濃度は23eq/tonであり、固有粘度は1.10dl/gであった。
参考例1と同様にしてエステル化反応させて得られたオリゴマーを、第一エステル化反応槽から抜き出し、温度260℃、圧力101kPaに調整した第二エステル化反応槽に移送し、滞留時間0.5時間で、撹拌下にエステル化反応をさらに進めた。第二エステル化反応槽から、オリゴマーを、温度270℃、圧力6.67kPaに調整した第一重縮合反応槽に移送し、滞留時間1時間で、攪拌下に重縮合反応させ、プレポリマーを得た。
第一重縮合反応槽から、プレポリマーを、温度270℃、圧力133Paに調整した第二重縮合反応槽に移送し、滞留時間3時間で、攪拌下に重縮合反応をさらに進めて、ポリマーを得た。このポリマーを第二重縮合槽から抜き出してダイに移送し、ストランド状に引き出して、ペレタイザーで切断することにより、ベレット状のポリブチレンテレフタレート樹脂を得た。
得られたポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT−2)の末端カルボキシル基量は45eq/tonであり、固有粘度は1.10dl/gであった
フェノールノボラックタイプエポキシ樹脂4重量%、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン1重量%およびウレタン系エマルジョン2重量%、脱イオン水93重量%からなる集束剤を調製し、ガラス繊維ストランドに塗布した。このストランドを3mmに切断した。得られたガラス繊維チョップドストランドに対する集束剤の付着量は0.7重量%であった。このようにしてガラス繊維(GF−1)および(GF−2)を製造した。
参考例3で用いた、フェノールノボラックタイプエポキシ樹脂の代わりにビスフェノールAタイプのエポキシ樹脂を使用して同様に集束剤を調製し、ガラス繊維ストランドに塗布してガラス繊維GF−3を製造した。
<試験法>
衝撃強度は車両走行時の衝撃や振動に対しての収納ケースのタフネスさを示し、数値が大きい方が好ましい。
(2)引張強度(MPa):ISO527に準拠して試験片を作製して測定した。
(3)曲げ強度(MPa)、曲げ弾性率(MPa)、曲げ変位量(mm):ISO178に準拠して曲げ強度及び曲げ弾性率を測定した。また、曲げ変位量として破断時の撓み量を求めた。
曲げ強度/曲げ弾性率の比が大きいとスナップフィットによるロックの信頼性が増し、曲げ変位量が大きいとスナップフィットの勘合時の破断が少なくなる。
(4)荷重撓み温度(℃):ISO75−1に準拠して、荷重の大きさは1.8MPaで測定した。
測定値が高いほど耐熱性があることを示す。
収納ケースの軽量化の目安となり、小さいほど好ましい。
(6)反り量(mm):射出成型機(東芝機械(株)製:型式IS−150)を使用し、シリンダー温度250℃、金型温度80℃で、図1に示すような、縦150mm、横150mm、深さ20mm、肉厚2mmの直方体状箱型成形品を成形した。ゲートは底面中央部から50mm離れた対称4点ゲートである。箱底面が上になるよう固定し、底面の1辺から60mm中央よりのラインに沿って、高さ方向の最大値と最小値を測定し、その距離差を反り量とした。
反り量が小さいほど、上カバーと下ケースとの勘合が確実になるばかりでなく、スナップフィットによるロックが確実に行える。
(7)セルフタップ締め付けトルク(kg・cm):射出成形機(住友機械工業(株)製、型式SG75−M3)を使用し、シリンダー温度250℃、金型温度80℃にて成形した、縦127mm、横12.7mm、厚さ6.3mmの直方体状角棒成形品に、ネジをセルフタップにより締め付けていった際の破断トルクを、トルクメータを用いて測定した。測定には、JIS−B1115 1種No.4に相当する、山径4〜4.15mm、谷径2.9〜3mm、ネジ山ピッチは16山/inchのネジを使用し、締め付け前のネジの下穴径は3.8mmとした。
締め付けトルクの値が小さいと、上カバーと下ケースのネジ固定時に割れる等の問題がある。
保持率が大きいほど、高温高湿環境下での強度劣化が少なく、収納ケースの寿命の長期化に対して有効であることを示す。
(9)熱老化性保持率(%):ISO527準拠の引張り試験片を、150℃環境下に2000時間放置し、放置前の強度に対する放置後の強度の割合を100分率で求めた。
保持率が大きいほど、高温環境下での強度劣化が少なく、収納ケースの寿命の長期化に対して有効であることを示す。
表−1又は表−2に示す配合となる様に材料を秤量し、日本製鋼所製2軸押出機(形式TEX30C)を用い、250℃にて常法に従って混練し、ペレット化した。得られた樹脂組成物ペレットを、住友重機械社製射出成型機(型式SG75−M3)を使用して、シリンダー温度250℃、金型温度80℃の条件で、機械的物性測定用試験片を成形し、上記の試験方法により性能評価を行った。また反り量試験用の箱型成形品を成形し、反り量の測定を行った。評価結果を表−1又は表−2に示した。
(1)PBT樹脂にゴム変性ポリスチレンと相溶化剤であるポリカーボネート、無水マレイン酸−ポリスチレン共重合体及びガラス繊維を配合した組成物から形成された実施例の成形体は、PBT樹脂にガラス繊維のみを配合した比較例1或いは、一般的な低反り技術であるガラス繊維と板状充填剤のガラスフレークを併用した比較例2、および更に非晶性樹脂であるポリカーボネートを配合した比較例3の組成物から得られる成形品に比し、低比重で低反りでありながら、衝撃強度は高く、引張強度や曲げ特性ならびに耐加水分解性に優れ、耐熱老化性にもそん色なく、スナップフィット性、セルフタップ性も優れ、車両電源装置収納ケースの材料として使用可能であると判断される。
(2)実施例3と比較例4との比較から、ガラス繊維量が少ないと、機械的特性およびセルフタップ性、耐加水分解性、耐熱老化性が劣るため、車両電源装置収納ケースの材料として望ましくない。
(3)実施例2および実施例3は、ガラス繊維径が異なるだけであるが、細い径の方が機械的特性が改善される。また実施例3と実施例4から、エポキシ化合物を配合することにより耐加水分解性が更に改善される。
(4)実施例3と実施例5から、使用されるPBT樹脂の末端カルボキシル基量が少ない方が、機械的特性および耐加水分解性、耐熱老化性がやや改善される。
(5)実施例1と実施例6との比較から、ガラス繊維の集束剤としてフェノールノボラックタイプエポキシ樹脂を使用した方が、ビスフェノールAタイプエポキシ樹脂を使用した一般の集束剤を用いたものよりも、機械的特性や耐加水分解性が改善される。
Claims (4)
- (a)ポリブチレンテレフタレート樹脂50〜96重量%、(b)ゴム変性ポリスチレン系樹脂35〜3重量%及び(c)芳香族ポリカーボネート樹脂またはポリスチレン−無水マレイン酸共重合体15〜1重量%からなる樹脂成分(A)100重量部に対し、(B)ガラス繊維30〜100重量部を含有するポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を成形してなる車両電源装置収納ケース。
- 前記(B)ガラス繊維が、アミノ系シランカップリング剤及びノボラック型エポキシ樹脂を含む集束剤が塗布されたガラス繊維であることを特徴とする請求項1に記載の車両電源装置収納ケース。
- 前記ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物が、前記樹脂成分(A)100重量部に対して、さらに(C)エポキシ化合物を0.1〜3重量部含有することを特徴とする請求項1または2に記載の車両電源装置収納ケース。
- 前記(C)エポキシ化合物が、エポキシ当量100〜200g/eqのビスフェノールAグリシジルエーテルであることを特徴とする請求項3に記載の車両電源装置収納ケース。
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