JP2007002028A - 車両電源装置収納ケース - Google Patents

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直史 西田
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Abstract

【課題】 軽量で、スナップフィット性、セルフタップ性、機械的強度、耐熱老化性、耐加水分解性が優れた車両電源装置、特に非常用電源装置収納ケースを提供する。
【解決手段】 (a)ポリブチレンテレフタレート樹脂50〜96重量%、(b)ゴム変性ポリスチレン系樹脂35〜3重量%及び(c)芳香族ポリカーボネート樹脂またはポリスチレン−無水マレイン酸共重合体15〜1重量%からなる樹脂成分(A)100重量部に対し、(B)ガラス繊維30〜100重量部を含有するポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を成形してなる車両電源装置収納ケース。
【選択図】 なし

Description

本発明は軽量で、スナップフィット性、セルフタップ性、機械的強度が優れ、長寿命の車両電源装置、特に非常用電源装置の収納ケースに関するものである。
近年、自動車等の車両を制御する各種機能の電子化が進められており、機械的な油圧制御から電気的な油圧制御へと移行しつつあり、電子ブレーキシステムのような重要な機能も提案されている。特に、地球環境保護や燃費改善の観点から急速に実用化が進んでいるハイブリッドカー、燃料電池車や電気自動車においては、ブレーキのような重要機能については、その電源がモーター駆動用と共通であると、モーター駆動用に電力を取られ、バッテリーが電圧低下を起こした場合、電力が供給できなくなる危険を回避するため、非常用電源を利用した補助システムが構成される。
特許文献1には、非常用電源として、バッテリーに代わる電気二重層コンデンサ等を利用したキャパシタユニット及びその収納ケースが提案されている。特許文献1には、収納ケースは、15年間の長寿命の確保ならびに生産性および信頼性の向上に寄与するものであることが必要で、下側ケースと上カバーに別れ、上下のケースは少なくとも1ヶ所以上のつめ部とロック部で構成されるスナップフィット部と少なくとも1ヶ所以上のねじ止めにより固定された構造を有することが提案されている。また収納ケースは、ガラス強化樹脂で反りの生じ難いグレードの材料から形成されると記載されているが、具体的にどのような材料を使用するかは不明である。
従来、各種の成形材料として使用されるガラス強化樹脂の1つとして、優れた耐熱性や機械的物性、その他の物理的、化学的特性ならびに成形加工性の容易さ等が優れたガラス繊維強化ポリブチレンテレフタレート樹脂が用いられてきた。
しかし、ポリブチレンテレフタレート樹脂は熱可塑性樹脂の中でも密度が高く、したがって成形品重量が重くなるという問題があり、軽量化の観点からさらに低密度化が要望されている。また、ガラス繊維強化ポリブチレンテレフタレート樹脂は結晶性樹脂なので成形収縮率が大きく、さらにその収縮率異方性が大きく、成形品が反るという問題がある。ガラス繊維強化ポリブチレンテレフタレート樹脂の反りの低減の為には、板状、球状充填剤または非晶性樹脂を混合する方法が提案されている。しかし、一般的にこのような方法は機械的性質の低下を招き、反りの低減と機械的性質の保持を両立させることは困難であった。
特許文献2および3には、ポリブチレンテレフタレート樹脂にゴム変性ポリスチレン樹脂および芳香族ポリカーボネート樹脂又は無水マレイン酸変性ポリスチレン樹脂を配合した組成物或いは更にガラス繊維等の強化充填剤を配合した組成物が、耐衝撃性に優れ、且つ反りが小さく、寸法精度の優れた成形品を製造できる材料として提案されている。
しかして、かかる材料が、キャパシタユニットの収納ケースに要求されるスナップフィット性やセルフタップ性、或いは15年余の長期使用に耐える耐老化性等の性能を有するか否かは不明であった。
さらに、FRTP(繊維強化熱可塑性樹脂)に配合されるガラス繊維を処理することにより、ガラス繊維の集束性、成形品の電気的特性、機械的性質を改善する集束剤が提案されている。例えば、特許文献4には、フッ素樹脂、アミノ系シランカップリング剤及びエポキシ樹脂を含有する集束剤で処理したガラス繊維を配合したポリブチレンテレフタレート樹脂は、成形品の耐トラッキング性、耐加水分解性が改善されることが示され、エポキシ樹脂としてノボラックタイプが好適である旨が記載されている。しかし、かかる集束剤により耐加水分解性の改善はみられるが、機械的強度は充分改善されているとはいえない。
特開2005−94942号公報 特開2002−12752号公報 特開2004−10856号公報 特開2001−172055号公報
本発明は軽量で、スナップフィット性、セルフタップ性、機械的強度、耐熱老化性、耐加水分解性が優れた、車両電源装置特に非常用電源装置収納ケースを提供することを目的とするものである。
本発明者等は、上述の如き車両電源装置収納ケースに要求される特性を満足する低反り性と機械的物性、耐熱老化性、耐加水分解性の両立という課題を、低密度化を図りながら解決するために鋭意検討した結果、ポリブチレンテレフタレート樹脂に特定の非晶性樹脂及び、ガラス繊維を配合した組成物を収納ケース材料として利用することにより目標を達成し得ることを知り、本発明に到達した。即ち、本発明の要旨は、(a)ポリブチレンテレフタレート樹脂50〜96重量%、(b)ゴム変性ポリスチレン系樹脂35〜3重量%及び(c)芳香族ポリカーボネート樹脂またはポリスチレン−無水マレイン酸共重合体15〜1重量%からなる樹脂成分(A)100重量部に対し、(B)ガラス繊維30〜100重量部を含有するポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を成形してなる車両電源装置収納ケースに存する。
本発明の車両電源装置収納ケースは、軽量で、スナップフィット性、セルフタップ性、機械的強度、耐熱老化性、耐加水分解性に優れており、特に15年余にわたり車両に搭載される非常用電源装置収納ケースとして使用することが可能である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の樹脂成分(A)を構成する第1の樹脂成分である(a)ポリブチレンテレフタレート樹脂(以下、PBT樹脂と略称することもある)は、ブチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位とする樹脂であって、通常、テレフタル酸又はその低級アルキルエステルから誘導されるジカルボン酸成分とテトラメチレングリコールから誘導されるジオール成分を主成分とする重縮合反応により製造される重合体又は共重合体である。
テレフタル酸以外の代表的なジカルボン酸単位としては、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニル−2,2’−ジカルボン酸、ビフェニル−3,3’−ジカルボン酸、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ビス(4,4’−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、4,4’−ジシクロヘキシルジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、及び、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸から誘導される単位が挙げられる。
テトラメチレングリコール以外の代表的なジオール単位としては、炭素数2〜20の脂肪族又は脂環族ジオール、ビスフェノール誘導体等が挙げられ、具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、4,4’−ジシクロヘキシルヒドロキシメタン、4,4’−ジシクロヘキシルヒドロキシプロパン、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加ジオール等が挙げられる。更に、グリセリン、トリメチロールプロパン等のトリオールを用いることもできる。
代表的な(a)ポリブチレンテレフタレート樹脂としては、テレフタル酸を唯一のジカルボン酸単位とし、テトラメチレングリコールを唯一のジオール単位とするポリブチレンテレフタレート単独重合体が価格および耐熱性の観点から好ましい。もちろん、ジカルボン酸単位として、前記のテレフタル酸以外のジカルボン酸1種以上及び/又はジオール単位として、前記のテトラメチレングリコール以外のジオール1種以上を含むポリブチレンテレフタレート共重合体であってもよい。ただし、本発明の熱可塑性樹脂組成物としては、機械的性質、耐熱性の点から、ジカルボン酸単位中のテレフタル酸の割合が、好ましくは70モル%以上であり、より好ましくは90モル%以上である。同様に、ジオール単位中のテトラメチレングリコールの割合が、好ましくは70モル%以上であり、より好ましくは90モル%以上である。
本発明に使用されるポリブチレンテレフタレート樹脂は、固有粘度(テトラクロルエタンとフェノールが1:1(重量)混合溶媒中、30℃で測定)が0.5〜1.5dl/gであることが好ましく、さらに好ましくは0.6〜1.3dl/gである。固有粘度が0.5dl/gより小さいと機械的特性が低下し、1.5dl/gより大きいと成形時の流動性が悪化し、生産性を阻害する惧れがある。
また、本発明の樹脂組成物の耐加水分解性の観点から、(a)ポリブチレンテレフタレート樹脂の末端カルボキシル基量は、40eq/ton以下であることが好ましく、更に好ましくは35eq/ton以下である。末端カルボキシル基量は、PBT樹脂を有機溶媒に溶解し、水酸化アルカリ溶液を用いて滴定することにより求めることができる。PBT樹脂の末端カルボキシル基量を40eq/ton以下とすることにより、耐加水分解性を著しく高め、成形滞留安定性および熱老化安定性を向上させることができ、本発明の車両電源装置収納ケースにおける長寿命である特性の確保がより可能になり好ましい。
なお、末端カルボキシル基量の調整は既知の方法で可能であり、例えばポリブチレンテレフタレート樹脂の製造工程において、触媒量や温度等の反応条件を選択すること、或いは高粘度化のための固層重合工程を組合せる方法等により行うことができる。
樹脂成分(A)を構成する第2の成分である(b)ゴム変性ポリスチレン樹脂とは、ゴム質重合体をポリスチレンに混合したものである。混合方法としては、単純な機械的ブレンド方法でもかまわないが、良好な相溶性を得るためには、ゴム質重合体の存在下にスチレン系単量体等をグラフト共重合させる、いわゆるグラフト共重合処方によって得られたものが好ましい。また、該方法で得られるゴム変性ポリスチレン樹脂(グラフト共重合体)に、さらに別途方法によって得られたポリスチレンを混合する、いわゆるグラフト−ブレンド法によって得られたものを用いることも好ましい。
ゴム質重合体の存在下にスチレン系単量体をグラフト共重合する方法としては、乳化重合、溶液重合、懸濁重合等が適用できる。このような、ゴム変性ポリスチレン樹脂は、一般にハイインパクトポリスチレン(HIPS)と呼ばれている。
ゴム質重合体として、具体的には、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、水添スチレン−ブタジエンブロック共重合体等の共役ジエン系ゴム、エチレン−プロピレン系共重合体等の非共役ジエン系ゴムが挙げられ、なかでもポリブタジエンが好ましい。
ゴム質重合体に共重合させるスチレン系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ブロモスチレン等が挙げられ、これらのなかでもスチレン及び/又はα−メチルスチレンが最適である。スチレン系単量体以外に、アクリロニトリル、メチルメタクリレート等のビニル単量体を併用することもできる。
(b)ゴム変性ポリスチレン樹脂中のゴム含有率は、1〜40重量%が望ましく、さらに好ましくは3〜30重量%である。また、スチレン系単量体以外の単量体成分を含む場合は、ゴム変性ポリスチレン樹脂中のゴム及びスチレン系単量体成分含有率が90重量%以上であることが望ましく、さらに好ましくは95重量%以上である。
(b)ゴム変性ポリスチレン樹脂の分子量を反映するMFRとしては200℃、荷重5kgfの測定値で0.5〜15g/10分が好ましく、さらに好ましくは1.0〜10g/10分である。
樹脂成分(A)を構成する第3の成分である(c)芳香族ポリカーボネート樹脂としては、芳香族ジヒドロキシ化合物又はこれと少量のポリヒドロキシ化合物を、ホスゲン又は炭酸ジエステルと反応させることによって得られる。芳香族ジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(別称ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニル等が挙げられ、好ましくはビスフェノールAである。
芳香族ポリカーボネート樹脂としては、好ましくは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導されるポリカーボネート樹脂、又は2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンと他の芳香族ジヒドロキシ化合物とから誘導されるポリカーボネート共重合体が挙げられる。
芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量は、溶媒としてメチレンクロライドを用い、温度25℃で測定された溶液粘度より換算した粘度平均分子量で10,000〜35,000であり、好ましくは12,000〜25,000であり、光ディスク用材料として使用されているポリカーボネート樹脂が好適に使用可能である。
本発明の樹脂組成物(A)を構成する第3の成分としては、芳香族ポリカーボネートの代わりに、スチレン−無水マレイン酸共重合体であっても良い。(c)スチレン−無水マレイン酸共重合体は、重量平均分子量15万〜40万で、無水マレイン酸の含有率は、通常1〜40重量%、好ましくは2〜30重量%、更に好ましくは3〜20重量%である。これらの共重合の形態は、通常のコポリマーのほか、ブロックコポリマー、グラフトコポリマーであってもよい。このような共重合体の一例として、ノバ・ケミカル・ジャパン社から販売されているダイラーク(登録商標)が挙げられる。
本発明に使用される樹脂組成物を構成する樹脂成分(A)中の上記各樹脂の組成比は、(a)ポリブチレンテレフタレート樹脂50〜96重量%、好ましくは57〜93重量%、(b)ゴム変性ポリスチレン樹脂35〜3%、好ましくは30〜5重量%及び(c)芳香族ポリカーボネート樹脂またはスチレン−無水マレイン酸共重合体15〜1重量%、好ましくは13〜2重量%である。(a)ポリブチレンテレフタレート樹脂成分が50重量%未満では、ポリブチレンテレフタレート樹脂の特徴である引張(曲げ)強度、耐熱性、結晶性、成形性等が発現されない。一方、ポリブチレンテレフタレート樹脂成分が96重量%を超えると、ゴム変性ポリスチレン樹脂及び芳香族ポリカーボネート樹脂による低反り性、成形収縮率の低減化や軽量化の効果が不十分である。
本発明において使用される(B)ガラス繊維は、樹脂の充填剤として用いられる通常の表面処理されたガラス繊維が使用可能であるが、エポキシ樹脂とアミノシランカップリング剤を含む集束剤が塗布されたポリエステル樹脂用ガラス繊維が好適に使用される。これらを補強材として用いると、機械的性質、耐加水分解性が向上する。即ち、アミノシランカップリング剤の無機官能基がガラス繊維表面と、アミノシランの有機官能基はエポキシ樹脂のグリシジル基と、エポキシ樹脂のグリシジル基はポリエステル樹脂との反応性に富み、ガラス繊維とエポキシ樹脂との界面接着力が向上するためである。
ガラス繊維に塗布されるエポキシ樹脂としては、フェノールノボラックタイプエポキシ樹脂、クレゾールノボラックタイプエポキシ樹脂等の多官能タイプのノボラックエポキシ樹脂が特に好適である。集束剤中のノボラックタイプエポキシ樹脂の含有量は1〜20重量%、好ましくは2〜10重量%である。
ガラス繊維に塗布されるアミノシランカップリング剤としては、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン等が好適である。集束剤中のアミノシランカップリング剤の含有量は0.1〜8重量%、好ましくは0.5〜5重量%である。
ガラス繊維に塗布される集束剤は、必要に応じ、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、帯電防止剤、潤滑剤、撥水剤等の各成分を含むことができる。また、更に本発明の目的を損なわない範囲で、ノボラックタイプ以外のエポキシ樹脂、エポキシシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤を含んでもよい。
ガラス繊維に対する集束剤の付着量は、0.05〜2重量%が好ましい。0.05重量%より付着量が少ないと、機械的強度の改善効果が小さく、2重量%より多くても、作用効果が増大せず、経済的でないためである。
(B)ガラス繊維は、例えば、長繊維タイプ(ロービング)や短繊維タイプ(チョップドストランド)等から選択して用いることができ、繊維径は6〜16μmが一般的である。好ましくは、13μm以下であり、更に好ましくは11μm以下で、機械的性質の改善効果が大きい。ガラス繊維の平均繊維長は、通常0.1〜20mm、好ましくは1〜10mmである。平均繊維長が0.1mm未満の場合は、ガラス繊維による補強効果が十分に発現しない恐れがあり、平均繊維長が20mmを超える場合は、ポリブチレンテレフタレート樹脂との溶融混練やポリエステル樹脂組成物の成形が困難になる恐れがある。
本発明で使用するガラス繊維としては、例えば、Eガラス、Cガラス、Aガラス、Sガラス、S−2ガラス等の各種のガラス繊維が挙げられる。これらの中では、アルカリ分が少なく、電気的特性が良好なEガラスのガラス繊維が好適である。
(B)ガラス繊維の配合量は、樹脂成分(A)100重量部に対して30〜100重量部であり、好ましくは40〜85重量部である。配合量が30重量部未満であると、本発明の車両電源装置収納ケースとして十分な機械的強度、耐熱性を発揮できないおそれがあり、また100重量部を超えるとそりの発生が大きくなるばかりでなく、機械的強度の低下もあり、さらに成形時の流動性の低下で生産性が悪化する。
本発明で使用するポリブチレンテレフタレート樹脂組成物には、機械的強度、耐加水分解性改善のため、さらに少量の(C)エポキシ化合物を配合してもよい。(C)エポキシ化合物としては、単官能性、二官能性、三官能性または多官能性の何れでも、また、これらの2種類以上の混合物でもよい。特に、二官能性、三官能性、多官能性のエポキシ化合物、すなわち、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物が好ましい。また、(C)エポキシ化合物は、アルコール、フェノール系化合物またはカルボン酸とエピクロロヒドリンとの反応から得られるグリシジル化合物、脂環式エポキシ化合物等の何れでもよい。
(C)エポキシ化合物の具体例としては、メチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ブチルフェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類;ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル等のジグリシジルエーテル類;安息香酸グリシジルエステル、ソルビン酸グリシジルエステル等の脂肪酸グリシジルエステル;アジピン酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、オルトフタル酸ジグリシジルエステル等のジグリシジルエステル類;3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート等の脂環式ジエポキシ化合物類、N−グリシジルフタルイミド等のグリシジルイミド化合物類等が挙げられる。中でも、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンとの反応から得られるグリシジルエーテル化合物、特にビスフェノールAジグリシジルエーテルが好ましい。特に、エポキシ当量100〜200g/eqのビスフェノールAグリシジルエーテルが好ましい。
(C)エポキシ化合物の配合量は、樹脂成分(A)100重量部に対して、0.1〜3重量部であり、好ましくは0.15〜2重量部である。0.1重量部より少ないと、機械的性質の更なる改善効果が認められず、3重量部より多いと、溶融成形時に加水分解が促進され、強度の低下が始まる。特に末端カルボキシル基量が40eq/tonより大きいポリブチレンテレフタレート樹脂にエポキシ化合物を配合した場合は成形時の流動性が著しく悪化するので好ましくない。
本発明に使用されるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物には、相溶化剤である(c)ポリカーボネート樹脂や無水マレイン酸−ポリスチレン共重合体と(a)ポリブチレンテレフタレート樹脂との反応を制御し、耐熱性を維持し易くするために有機リン化合物を配合することも可能である。有機リン化合物としては、有機ホスフェート化合物、有機ホスファイト化合物又は有機ホスホナイト化合物等が挙げられ、好ましくは有機ホスフェート化合物である。
有機ホスフェート化合物としては、好ましくは下記式(1)で表される長鎖ジアルキルアシッドホスフェート化合物等が挙げられる。
Figure 2007002028
(式中、R1及びR2は、それぞれ、炭素原子数8〜30のアルキル基を示す。)。
炭素原子数8〜30のアルキル基の具体例としては、オクチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、トリアコンチル基等が挙げられる。長鎖ジアルキルアシッドホスフェート化合物の具体例としては、ジオクチルホスフェート、ジ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジイソオクチルホスフェート、ジノニルホスフェート、ジイソノニルホスフェート、ジデシルホスフェート、ジイソデシルホスフェート、ジラウリルホスフェート、ジトリデシルホスフェート、ジイソトリデシルホスフェート、ジミリスチルホスフェート、ジパルミチルホスフェート、ジステアリルホスフェート、ジエイコシルホスフェート、ジトリアコンチルホスフェート等が挙げられる。好ましくは、ジステアリルホスフェート、ジパルミチルホスフェート、ジミリスチルホスフェートが選ばれる。
有機リン化合物の配合量は、本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を構成する樹脂成分(A)100重量部に対して、0.01〜0.5重量部、好ましくは0.05〜0.3重量部、より好ましくは0.1〜0.2重量部である。配合量が0.01重量部未満であると、有機リン化合物が本来持つ材料の加熱安定性及び熱滞留安定性の向上効果は発現され難く、また、配合量が0.5重量部を超えると、加熱安定性や滞留安定性以外の性能に悪影響を及ぼす惧れがある。また、有機リン化合物は、1種又は2種以上を併用して使用してもよい。
本発明に使用されるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物には、炭素数12〜36の脂肪酸残基と炭素数1〜36のアルコール残基から成る脂肪酸エステル、並びにパラフィンワックス及びポリエチレンワックスの群れから選ばれる離型剤を配合することが可能である。その配合量は、本発明のポリエステル樹脂組成物を構成する樹脂成分(A)100重量部に対して0.01〜2重量部が好ましい。
本発明に使用されるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、上述の離型剤、有機リン化合物以外の各種の添加剤を配合することができる。かかる添加剤としては、結晶化促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、滑剤、顔料及び染料を含む着色剤、発泡剤、架橋剤(エポキシ化合物、酸無水物、イソシアネート化合物等)、難燃剤、難燃助剤が挙げられる。
本発明に使用されるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物には、必要に応じて、他の熱可塑性樹脂(例えば、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド樹脂、液晶ポリエステル樹脂、ポリアセタール、ポリフェニレンオキサイド)及び熱硬化性樹脂(例えば、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂)等を含有することができる。
本発明に使用されるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、それぞれ所定量の(a)〜(c)成分及び(B)ガラス繊維、更に必要に応じ(C)エポキシ化合物その他の添加剤を配合し、均一に混合することにより製造され、その製造方法は特に限定されるものではないが、好ましくは溶融混練によるものであり、熱可塑性樹脂について通常使用されている混練方法が適用できる。該混練方法としては、例えば各成分を必要であれば、付加的成分である物質と共に、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダー等により均一に混合した後、一軸又は多軸混練押出機、ロール、バンバリーミキサー、ラボプラストミル(ブラベンダー)等で混練することができる。各成分は、付加的成分を含め、混練機に一括でフィードしても順次フィードしてもよい。特にガラス繊維については混練機のサイドフィードにて供給、混練することにより、ガラス繊維の破損を抑えることができ、すなわち機械的強度が高い水準で確保し易くなる。また、付加的成分を含め各成分から選ばれた2種以上の成分を予め混合したものを用いてもよい。
本発明の車両電源装置収納ケースは、車両の制御システム等の補助(非常用)電源となるキャパシタ等を収納する容器であり、必要な容量のキャパシタ等が良好に作動することができる状態で収納され、また、補助電源の安定制御や劣化の検知を容易に行うことが出来、車両への取り付け性、生産性等を考慮した構造を有するものであれは特に限定されるものではないが、その1例として特許文献1に示されるケースが挙げられる。特許文献1のケースは、上下に分かれた2つのケース(下側ケースと上カバーと称されている)とキャパシタを狭持するホルダーに分かれ、上下のケースは少なくとも1ヶ所以上のつめ部とロック部で構成されるスナップフィット部を有し、ホルダーは少なくとも1ヶ所以上のねじ止めによりケースに固定された構造を有している。本発明に使用される上述のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、軽量で良好な機械的強度、耐熱老化性と共に優れたスナップフィット性、セルフタップ性を有しており、かかる車両電源装置収納ケースに好適である。
上述のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物より本発明の車両電源装置収納ケースの成形加工方法は、特に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂について一般に用いられている成形法が適用でき、特に射出成形が好適である。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例および比較例で使用した材料及び成形品の評価試験法は次の通りである。
<材料>
PBT−1:下記参考例1の方法で製造したポリブチレンテレフタレート樹脂、固有粘度
[η]=1.1、末端カルボキシル基量=23eq/ton。
PBT−2:下記参考例2の方法で製造したポリブチレンテレフタレート樹脂、固有粘度
[η]=1.1、末端カルボキシル基量=45eq/tonである
HIPS:ゴム変性ポリスチレン樹脂、ゴム(ポリブタジエン)含有率8.8重量%、
平均のゴム粒子径=1.8μm、数平均分子量92,000、重量平均分子量
230,000、メルトフローレート(温度200℃、荷重5kgf)1.8g/
10分、A&M社製、商品名「ダイヤレックスHT478」。
PC:ポリカーボネート樹脂粉末、粘度平均分子量約15,000、三菱化学(株)製、
商品名「ノバレックス7020AD2」(光ディスクグレード用原料粉末)。
M−PS:スチレン−無水マレイン酸共重合体、無水マレイン酸の含有量9重量%、重量
平均分子量240,000、メルトフローレート(温度230℃、荷重2.16k
gf)2.0g/10分、ノバ・ケミカル・ジャパン社製、商品名「ダイラークD
232」。
GF−1:参考例3の方法によりアミノシランカップリング剤およびノボラックタイプエ
ポキシ樹脂を含有する集束剤を塗布したガラス繊維、繊維径11μm。
GF−2:参考例3の方法によりアミノシランカップリング剤およびノボラックタイプエ
ポキシ樹脂を含有する集束剤を塗布したガラス繊維、繊維径13μm。
GF−3:参考例4の方法によりアミノシランカップリング剤およびビスフェノールタイ
プエポキシ樹脂を含有する集束剤を塗布したガラス繊維、繊維径13μm。
ガラスフレーク:板状充填剤。日本板硝子製「REFG101」、直径600μm、厚さ
5μm。
エポキシ:ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、エポキシ当量は185g/eq、
旭電化(株)製「アデカサイザー EP−17」。
[参考例1]
テレフタル酸1モルに対して1,4−ブタンジオール1.8モルの割合で両原料をスラリー調製槽に供給し、攪拌装置で混合して調製したスラリー2,976重量部(テレフタル酸9.06モル部、1,4−ブタンジオール16.31モル部)を、連続的にギヤポンプにより、温度230℃、圧力101kPaに調整した第一エステル化反応槽に移送するとともに、テトラブチルチタネート3.14重量部を供給し、滞留時間2時間で、攪拌下にエステル化反応させてオリゴマーを得た。
第一エステル化反応槽から、オリゴマーを、温度240℃、圧力101kPaに調整した第二エステル化反応槽に移送し、滞留時間1時間で、撹拌下にエステル化反応をさらに進めた。
第二エステル化反応槽から、オリゴマーを、温度250℃、圧力6.67kPaに調整した第一重縮合反応槽に移送し、滞留時間2時間で、攪拌下に重縮合反応させ、プレポリマーを得た。
第一重縮合反応槽から、プレポリマーを、温度250℃、圧力133Paに調整した第二重縮合反応槽に移送し、滞留時間6時間で、攪拌下に重縮合反応をさらに進めて、ポリマーを得た。このポリマーを第二重縮合槽から抜き出してダイに移送し、ストランド状に引き出して、ペレタイザーで切断することにより、ベレット状のポリブチレンテレフタレート樹脂を得た。
得られたポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT−1)の末端カルボキシル基濃度は23eq/tonであり、固有粘度は1.10dl/gであった。
[参考例2]
参考例1と同様にしてエステル化反応させて得られたオリゴマーを、第一エステル化反応槽から抜き出し、温度260℃、圧力101kPaに調整した第二エステル化反応槽に移送し、滞留時間0.5時間で、撹拌下にエステル化反応をさらに進めた。第二エステル化反応槽から、オリゴマーを、温度270℃、圧力6.67kPaに調整した第一重縮合反応槽に移送し、滞留時間1時間で、攪拌下に重縮合反応させ、プレポリマーを得た。
第一重縮合反応槽から、プレポリマーを、温度270℃、圧力133Paに調整した第二重縮合反応槽に移送し、滞留時間3時間で、攪拌下に重縮合反応をさらに進めて、ポリマーを得た。このポリマーを第二重縮合槽から抜き出してダイに移送し、ストランド状に引き出して、ペレタイザーで切断することにより、ベレット状のポリブチレンテレフタレート樹脂を得た。
得られたポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT−2)の末端カルボキシル基量は45eq/tonであり、固有粘度は1.10dl/gであった
[参考例3]
フェノールノボラックタイプエポキシ樹脂4重量%、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン1重量%およびウレタン系エマルジョン2重量%、脱イオン水93重量%からなる集束剤を調製し、ガラス繊維ストランドに塗布した。このストランドを3mmに切断した。得られたガラス繊維チョップドストランドに対する集束剤の付着量は0.7重量%であった。このようにしてガラス繊維(GF−1)および(GF−2)を製造した。
[参考例4]
参考例3で用いた、フェノールノボラックタイプエポキシ樹脂の代わりにビスフェノールAタイプのエポキシ樹脂を使用して同様に集束剤を調製し、ガラス繊維ストランドに塗布してガラス繊維GF−3を製造した。
<試験法>
(1)シャルピー衝撃強度(kJ/m):ISO179に準拠してノッチ付き試験片の衝撃強度を試験した。
衝撃強度は車両走行時の衝撃や振動に対しての収納ケースのタフネスさを示し、数値が大きい方が好ましい。
(2)引張強度(MPa):ISO527に準拠して試験片を作製して測定した。
(3)曲げ強度(MPa)、曲げ弾性率(MPa)、曲げ変位量(mm):ISO178に準拠して曲げ強度及び曲げ弾性率を測定した。また、曲げ変位量として破断時の撓み量を求めた。
曲げ強度/曲げ弾性率の比が大きいとスナップフィットによるロックの信頼性が増し、曲げ変位量が大きいとスナップフィットの勘合時の破断が少なくなる。
(4)荷重撓み温度(℃):ISO75−1に準拠して、荷重の大きさは1.8MPaで測定した。
測定値が高いほど耐熱性があることを示す。
(5)密度(g/cm):ISO1183に準拠して測定した。
収納ケースの軽量化の目安となり、小さいほど好ましい。
(6)反り量(mm):射出成型機(東芝機械(株)製:型式IS−150)を使用し、シリンダー温度250℃、金型温度80℃で、図1に示すような、縦150mm、横150mm、深さ20mm、肉厚2mmの直方体状箱型成形品を成形した。ゲートは底面中央部から50mm離れた対称4点ゲートである。箱底面が上になるよう固定し、底面の1辺から60mm中央よりのラインに沿って、高さ方向の最大値と最小値を測定し、その距離差を反り量とした。
反り量が小さいほど、上カバーと下ケースとの勘合が確実になるばかりでなく、スナップフィットによるロックが確実に行える。
(7)セルフタップ締め付けトルク(kg・cm):射出成形機(住友機械工業(株)製、型式SG75−M3)を使用し、シリンダー温度250℃、金型温度80℃にて成形した、縦127mm、横12.7mm、厚さ6.3mmの直方体状角棒成形品に、ネジをセルフタップにより締め付けていった際の破断トルクを、トルクメータを用いて測定した。測定には、JIS−B1115 1種No.4に相当する、山径4〜4.15mm、谷径2.9〜3mm、ネジ山ピッチは16山/inchのネジを使用し、締め付け前のネジの下穴径は3.8mmとした。
締め付けトルクの値が小さいと、上カバーと下ケースのネジ固定時に割れる等の問題がある。
(8)耐加水分解性保持率(%):ISO527準拠の引張試験片を、121℃、100%R/H環境下に100時間放置し、放置前の強度に対する放置後の強度の割合を100分率で求めた。
保持率が大きいほど、高温高湿環境下での強度劣化が少なく、収納ケースの寿命の長期化に対して有効であることを示す。
(9)熱老化性保持率(%):ISO527準拠の引張り試験片を、150℃環境下に2000時間放置し、放置前の強度に対する放置後の強度の割合を100分率で求めた。
保持率が大きいほど、高温環境下での強度劣化が少なく、収納ケースの寿命の長期化に対して有効であることを示す。
[実施例1〜6、比較例1〜4]
表−1又は表−2に示す配合となる様に材料を秤量し、日本製鋼所製2軸押出機(形式TEX30C)を用い、250℃にて常法に従って混練し、ペレット化した。得られた樹脂組成物ペレットを、住友重機械社製射出成型機(型式SG75−M3)を使用して、シリンダー温度250℃、金型温度80℃の条件で、機械的物性測定用試験片を成形し、上記の試験方法により性能評価を行った。また反り量試験用の箱型成形品を成形し、反り量の測定を行った。評価結果を表−1又は表−2に示した。
Figure 2007002028
Figure 2007002028
表−1及び表−2より次のことが明らかである。
(1)PBT樹脂にゴム変性ポリスチレンと相溶化剤であるポリカーボネート、無水マレイン酸−ポリスチレン共重合体及びガラス繊維を配合した組成物から形成された実施例の成形体は、PBT樹脂にガラス繊維のみを配合した比較例1或いは、一般的な低反り技術であるガラス繊維と板状充填剤のガラスフレークを併用した比較例2、および更に非晶性樹脂であるポリカーボネートを配合した比較例3の組成物から得られる成形品に比し、低比重で低反りでありながら、衝撃強度は高く、引張強度や曲げ特性ならびに耐加水分解性に優れ、耐熱老化性にもそん色なく、スナップフィット性、セルフタップ性も優れ、車両電源装置収納ケースの材料として使用可能であると判断される。
(2)実施例3と比較例4との比較から、ガラス繊維量が少ないと、機械的特性およびセルフタップ性、耐加水分解性、耐熱老化性が劣るため、車両電源装置収納ケースの材料として望ましくない。
(3)実施例2および実施例3は、ガラス繊維径が異なるだけであるが、細い径の方が機械的特性が改善される。また実施例3と実施例4から、エポキシ化合物を配合することにより耐加水分解性が更に改善される。
(4)実施例3と実施例5から、使用されるPBT樹脂の末端カルボキシル基量が少ない方が、機械的特性および耐加水分解性、耐熱老化性がやや改善される。
(5)実施例1と実施例6との比較から、ガラス繊維の集束剤としてフェノールノボラックタイプエポキシ樹脂を使用した方が、ビスフェノールAタイプエポキシ樹脂を使用した一般の集束剤を用いたものよりも、機械的特性や耐加水分解性が改善される。
本発明の車両電源装置収納ケースは軽量でスナップフィット性、セルフタップ性に優れ、長期間の使用にも耐える特性を有しているため、ハイブリッドカーや電気自動車等の非常用電源装置の収納ケースとしても好適であり、環境に配慮した車両の発展に寄与するものである。
実施例及び比較例において反り量の測定に使用した箱型成形品の斜視図。

Claims (4)

  1. (a)ポリブチレンテレフタレート樹脂50〜96重量%、(b)ゴム変性ポリスチレン系樹脂35〜3重量%及び(c)芳香族ポリカーボネート樹脂またはポリスチレン−無水マレイン酸共重合体15〜1重量%からなる樹脂成分(A)100重量部に対し、(B)ガラス繊維30〜100重量部を含有するポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を成形してなる車両電源装置収納ケース。
  2. 前記(B)ガラス繊維が、アミノ系シランカップリング剤及びノボラック型エポキシ樹脂を含む集束剤が塗布されたガラス繊維であることを特徴とする請求項1に記載の車両電源装置収納ケース。
  3. 前記ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物が、前記樹脂成分(A)100重量部に対して、さらに(C)エポキシ化合物を0.1〜3重量部含有することを特徴とする請求項1または2に記載の車両電源装置収納ケース。
  4. 前記(C)エポキシ化合物が、エポキシ当量100〜200g/eqのビスフェノールAグリシジルエーテルであることを特徴とする請求項3に記載の車両電源装置収納ケース。

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