JP5543789B2 - 熱伝導性ポリアルキレンテレフタレート系樹脂組成物および樹脂成形体 - Google Patents

熱伝導性ポリアルキレンテレフタレート系樹脂組成物および樹脂成形体 Download PDF

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Description

本発明は、ハロゲン系難燃剤を含有させなくても優れた難燃性を示し、かつ熱伝導性に優れた熱伝導樹脂組成物に関する。更に詳しくは、熱伝導性、難燃性に優れ、且つ電気特性(耐トラックング性)にも優れた、生産性の良好な繊維強化熱伝導材料部品用ポリアルキレンテレフタレート系樹脂組成物および、該樹脂組成物より成形されてなる熱伝導樹脂成形品に関する。
ポリアルキレンテレフタレート樹脂、中でもポリブチレンテレフタレート樹脂(以下、PBT樹脂と略称することがある。)や、ポリエチレンテレフタレート樹脂(以下、PET樹脂と略称することがある。)は、機械的性質、電気的性質、耐熱性などに優れているため、近年、電気機器部品、機械部品などの多くの用途に使用されている。
これらの分野においては、ほとんどの機器が発熱する部品を搭載しているが、近年、装置・部品の高性能化に伴い消費電力量が増え、部品からの発熱量が増大する傾向にあるため、局部的な高温が誤動作等のトラブルを引き起こす原因となることが懸念されている。現状では、筐体やシャーシ、放熱板などに金属材料を用いて発生する熱を拡散させているが、安価な樹脂材料の熱伝導率を高めることで、これら金属部品の代替への要求が高まっている。また、OA、電気・電子部品では、絶縁性を求められる用途も多く、高い熱伝導率と絶縁性を併せ持つ材料が望まれている。
また、このような電気機器部品は、アンダーラインズ・ラボラトリーズ(Underwriter’s Laboratories Inc.)のUL−94規格の難燃性を満たす必要があり、そしてトラッキング指数(Comparative Tracking Index、略称CTI)又は保証トラッキング指数(Proof Tracking Index、略称PTI)の要求事項をも同時に満たす材料が要求されてきている。
具体的には例えば、0.8mm厚みの様な薄肉状樹脂成形体では、V−2以上の難燃性を有し且つ、PTI(又はCTI)550V以上を満足する材料が、好ましくは難燃性が最高位のV−0で且つPTI(又はCTI)600V以上の材料が要求されてきている。
これに対応すべく、例えば熱伝導を向上させる無機化合物として窒化硼素の他に、炭素繊維をもちいる技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。しかしこの方法では、部分的に電気が流れる懸念があるため、OA、電気・電子部品に用いる樹脂材料に要求されている絶縁性を有しないという問題があった。
一方で、ハロゲン系難燃剤を用いたポリエステル系の絶縁熱伝導材料(例えば特許文献2参照)が提案されているが、難燃性試験に関して示唆すらなく、難燃性の検討が不十分であるだけでなく、ハロゲン系難燃剤を使用するので、処分時に焼却をするとハロゲン化合物を生成するなど、周辺環境への影響が懸念されると言う問題があった。
そして、窒化硼素を難燃助剤として用いたグローワイヤ性に優れたポリエステル系樹脂組成物も提案されている(例えば特許文献3参照)が、熱伝導性に関して示唆すら無く、放熱部材として適用可能検討が不充分であった。
特開2005−298552号公報 特開2008−207709号公報 特表2004−510837号公報
本発明の目的は、熱伝導性に優れ、かつハロゲン系難燃剤を用いずにUL−94規格において高度の難燃性を示し、そして耐トラッキング性をも満足する、熱伝導性ポリアルキレンテレフタレート系樹脂組成物および樹脂成形体を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、ポリアルキレンテレフタレート系樹脂成分に、熱伝導性を大きく向上させるための無機化合物として窒化硼素、珪酸マグネシウム塩から選択された一種以上の無機化合物、そして難燃剤としてホスフィン酸塩を用い、さらに強化剤としてガラス繊維を特定量配合することによって、生産性、熱伝導性、難燃性、耐トラッキング性に優れた、熱伝導性ポリアルキレンテレフタレート系樹脂組成物となることを見出した。
そして本発明のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物は、流動性にも優れるので、薄肉状部を有する精密形状部品や微小部品などを、射出成形にて効率的に、高品質にて生産できることも見出した。
更には、この樹脂組成物に特定の群からなる非ハロゲン系難燃剤のうち、少なくとも一つ、具体的にはリン酸エステル、アミノ基含有トリアジン類の塩、25℃で固体状態にあるオルガノシロキサン重合体、及び硼酸金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1つの難燃剤を特定量含有することで、上述の特性を維持しつつ、且つレーザーマーキング性が向上することをも見出し、本発明を完成させた。
即ち本発明の要旨は、(A)ポリアルキレンテレフタレート系樹脂100質量部に対して、下記(B)〜(D)成分を含むことを特徴とするポリアルキレンテレフタレート系樹脂組成物、およびこれを成形してなる樹脂成形体に関する。
(B)窒化硼素及び/又は珪酸マグネシウム塩からなる無機化合物10〜100質量部、
(C)ガラス繊維:20〜90質量部、
(D)アニオン部分が下記式(1)または式(2)で表され、カチオン部分がアルミニウムイオンまたはカルシウムイオンであるホスフィン酸塩10〜60質量部、
Figure 0005543789
(式中、RおよびRは、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基又は置換されていてもよいアリール基を表し、R同士は同一でも異なっていてもよく、Rは炭素数1〜10のアルキレン基、置換されていてもよいアリーレン基、又はこれらの混合基を表し、nは0〜4の整数を表す。)
本発明のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物は、熱伝導性に優れ、ハロゲン系難燃剤を含有させなくても優れた難燃性を示し、さらには耐トラッキング性、熱伝導性にも優れた樹脂組成物であるだけでなく、レーザーマーキング性にも優れた樹脂組成物とすることが出来るという特徴を有する。そして本発明の樹脂組成物を用いることで、形状によらず、高い生産性にて樹脂成形体を提供することができ、OA 、電気・電子部品の材料として幅広く使用することができる。
図1はスパイラル流動長測定のための、渦巻き状長尺樹脂成形品の模式図である。
以下に本発明を詳細に説明する。
(A)ポリアルキレンテレフタレート系樹脂
本発明に用いる(A)ポリアルキレンテレフタレート系樹脂は、(A−1)ポリアルキレンテレフタレート樹脂(いわゆる、ホモポリマー)、(A−2)ポリテトラメチレンエーテルグリコール共重合ポリエステル樹脂、(A−3)ダイマー酸共重合ポリエステル樹脂、および(A−4)イソフタル酸共重合ポリエステル樹脂から構成される。
(A−1)ポリアルキレンテレフタレート樹脂
本発明に用いる(A−1)ポリアルキレンテレフタレート樹脂とは、いわゆるホモポリマーであって、テレフタル酸が全ジカルボン酸成分の50モル%以上を占め、エチレングリコールまたは1,4−ブタンジオールが全ジオールの50質量%以上を占める樹脂をいう。テレフタル酸は全ジカルボン酸成分の80モル%以上を占めるのが好ましく、95モル%以上を占めるのがさらに好ましい。エチレングリコール又は1,4−ブタンジオールは全ジオール成分の80モル%以上を占めるのが好ましく、95モル%以上を占めるのがさらに好ましい。
本発明においては、(A−1)ポリアルキレンテレフタレート樹脂としては、テレフタル酸が全ジカルボン酸成分の95モル%、特に98モル%以上を占め、且つエチレングリコール又は1,4−ブタンジオールが、全ジオールの95質量%以上を占める、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)、ポリブチレンテレフタレート(PBT樹脂)又はこれらの混合物を用いるのが好ましい。
(A−1)ポリアルキレンテレフタレート樹脂の固有粘度は任意であるが、一般的には、1,1,2,2−テトラクロロエタン/フェノール=1/1(質量比)の混合溶媒を用いて、温度30℃で測定した場合に0.50以上であり、中でも0.6以上であることが好ましく、且つ3.0以下、中でも1.5以下であることが好ましい。この固有粘度が0.50より小さいと、得られる樹脂組成物の機械的強度が低く、逆に3.0より大きいと樹脂組成物の成形性が著しく低下する場合がある。なお、(A−1)ポリアルキレンテレフタレート樹脂としては、固有粘度を異にする2種類以上の(A−1)ポリアルキレンテレフタレート樹脂を併用して、所望の固有粘度としたものをもちいてもよい。
(A−1)ポリアルキレンテレフタレート樹脂を構成するテレフタル酸以外のジカルボン酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ベンゾフェノンジカルボン酸、4,4’−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸など常用のものを用いることができる。
エチレングリコール又は1,4−ブタンジオール以外のジオール成分としては、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ジブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール等の脂肪族ジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,1−シクロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジメチロール等の脂環式ジオール、キシリレングリコール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等の芳香族ジオールなどが用いられる。なおエチレングリコールやブチレングリコールを用いても、反応中にジエチレングリコールやジブチレングリコールが副生してポリアルキレンテレフタレート中に取り込まれることがある。
更に所望により、乳酸、グリコール酸、m−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸、p−β−ヒドロキシエトキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸、アルコキシカルボン酸、ステアリルアルコール、ベンジルアルコール、ステアリン酸、安息香酸、t−ブチル安息香酸、ベンゾイル安息香酸などの単官能成分、トリカルバリル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、没食子酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール等の三官能以上の多官能成分などを共重合成分として使用することもできる。これらの共重合成分は、生成するポリアルキレンテレフタレートの5質量%、特に3質量%以下となるように用いるのが好ましい。
ジカルボン酸又はその誘導体とジオールとからの(A−1)ポリアルキレンテレフタレート樹脂の製造方法は任意である。すなわち具体的には例えば、テレフタル酸とグリコールを直接エステル化反応させる直接重合法、及びテレフタル酸ジメチルを主原料として使用するエステル交換法のいずれの方法も用いることができる。前者は初期のエステル化反応で水が生成し、後者は初期のエステル交換反応でアルコールが生成するという違いがある。直接重合法が原料コスト面から有利である。
また回分法と連続法のいずれも用いることができ、初期のエステル化反応またはエステル交換反応を連続操作で行って、それに続く重縮合を回分操作で行ったり、逆に、初期のエステル化反応またはエステル交換反応を回分操作で行って、それに続く重縮合を連続操作で行ったりすることもできる。
本発明に用いる(A−1)ポリアルキレンテレフタレート樹脂においては、末端カルボキシル基量が30eq/t以下、且つ残存テトラヒドロフラン量が300ppm(質量比)以下であるPBT樹脂単独、又はこのPBT樹脂とPET樹脂との混合物が好ましい。
末端カルボキシル基量が30eq/t以下のPBT樹脂を用いると、得られる樹脂組成物の耐加水分解性を高めることができる。すなわちカルボキシル基はPBTの加水分解に対して自己触媒として作用するので、30eq/tを超える末端カルボキシル基が存在すると早期に加水分解が始まり、さらに生成したカルボキシル基が自己触媒となって連鎖的に加水分解が進行し、PBTの重合度が急速に低下する場合がある。
しかし、末端カルボキシル基量が30eq/t以下であれば、高温、高湿の条件においても、早期の加水分解を抑制することができる。PBT樹脂の末端カルボキシル基量は、PBT樹脂を有機溶媒に溶解し、水酸化アルカリ溶液を用いて滴定することにより求めることができる。
またPBT樹脂中の残存テトラヒドロフラン量は、300ppm(質量比)、特に200ppm(質量比)以下であるのが好ましい。残存テトラヒドロフラン量の多いPBT樹脂を用いた樹脂組成物は、高温下で有機ガスの発生が多い。しかし残存テトラヒドロフラン量が300ppm(質量比)以下のPBT樹脂を用いた樹脂組成物から得られる成形品は、高温で使用した場合にも、有機ガスの発生が少なく、したがって電気接点の腐食のおそれが少ないので、リレー部品などの有接点電気・電子部品に好適に使用することができる。
残存テトラヒドロフラン量の下限は特に限定されないが、通常50ppm(質量比)程度である。残存テトラヒドロフラン量が少ない方が、有機ガスの発生が少なくなる傾向はあるものの、残存量とガス発生量は必ずしも比例するものではなく、50ppm程度のテトラヒドロフランの存在は、通常の使用に問題とならない。むしろ少量のジオールの存在が、電気接点の腐食を抑制することが知られており(特開平8−20900号公報)、テトラヒドロフランにも同様の効果が期待される。なお残存テトラヒドロフラン量は、PBT樹脂のペッレトを水に浸漬して120℃で6時間保持し、水中に溶出したテトラヒドロフラン量をガスクロマトグラフィで定量することにより求めることができる。
この、テレフタル酸及び1,4−ブタンジオール以外の成分としては、その含有量が(A)ポリアルキレンテレフタレート系樹脂において、60質量%以下であれば、上述したホモポリマー以外の、他のモノマー成分を共重合させてなる共重合体であってもよく、中でも、下記の共重合樹脂(A−2)〜(A−4)が好ましい。
(A−2)ポリテトラメチレンエーテルグリコール共重合ポリエステル樹脂
本発明に用いる(A−2)ポリテトラメチレンエーテルグリコール共重合ポリエステル樹脂(以下、ポリエステルエーテル樹脂と、いうことがある。)は、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸と、1,4−ブタンジオール及びポリテトラメチレンエーテルグリコール(以下、PTMGと言うことがある。)を主成分とするジオール類を共重合してなる、ポリエステルエーテル樹脂であり、PTMGに由来する成分の割合は、2〜30質量%である。この成分の割合が2質量%未満であると所望の靭性を発現させることが困難であり、30質量%を越えると、成形性が低下し、且つ樹脂成形体の強度や耐熱性が不十分となる。PTMGに由来する成分の割合は、中でも3〜25質量%、特に5〜20質量%であることが好ましい。
本発明に用いる、PTMGの数平均分子量は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、中でも300〜6000であることが好ましく、更には500〜5000、特に500〜3000であることが好ましい。この数平均分子量が小さすぎると靭性の改良効果が十分に発現されない。そして逆にこの数平均分子量が大きすぎると強度、耐熱性が不十分となりやすいばかりでなく、他のポリアルキレンテレフタレート系樹脂、具体的には例えば樹脂PBTと混合物として用いる場合に、混合に際して相溶性が低く、得られる樹脂組成物の靭性の改良効果が発現されない場合がある。
尚、PTMGの数平均分子量は、これに過剰の無水酢酸を反応させて、残余の無水酢酸を水で分解して酸とし、この酸をアルカリ滴定で定量することによって求めることができる。
本発明に用いるポリエステルエーテル樹脂の溶液粘度〔η〕は任意だが、通常、テトラクロルエタンとフェノールとの質量比1/1の混合溶媒を用いて30℃にて測定した値が0.7〜2であることが好ましく、中でも0.8〜1.6であることが好ましい。
ポリエステルエーテル樹脂の溶液粘度が低すぎたり、高すぎると、これを用いた樹脂組成物の成形性や、樹脂成形体の靭性が低下する。またポリエステルエーテル樹脂の融点は、通常200〜225℃であり、中でも205〜222℃であることが好ましい。
(A−3)ダイマー酸共重合ポリエステル樹脂
本発明に用いる(A−3)ダイマー酸共重合ポリエステル樹脂は、1,4−ブタンジオールを主とするグリコールと、テレフタル酸、ダイマー酸とを共重合した、共重合ポリエステルである。
全カルボン酸成分に占めるダイマー酸成分の割合は、カルボン酸基として0.5〜30モル%である。ダイマー酸の割合が多すぎると、これを用いた樹脂組成物の長期耐熱性が著しく低下する。逆に少なすぎても、靭性が著しく低下する。よって全カルボン酸成分に占めるダイマー酸成分の割合は、カルボン酸基として、中でも1〜20モル%であることが好ましく、特に3〜15モル%であることが好ましい。
本発明に用いるダイマー酸としては、通常は、炭素数18の不飽和脂肪酸、具体的には例えば、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エライジン酸等を、モンモリロナイトなどの粘土触媒等により二量化反応させたて得られたものが挙げられる。
この二量化反応の反応生成物は、炭素数36のダイマー酸を主とし、他に炭素数54のトリマー酸、炭素数18のモノマー酸等を含む混合物である。この混合物を、真空蒸留、分子蒸留及び水素添加反応等により精製してダイマー酸とする。
ダイマー酸は単一化合物ではなく、一般に鎖状、芳香族環、脂環式単環及び脂環式多環構造を有する化合物の混合物である。例えば、ダイマー酸の原料としてリノール酸の成分が多いものを用いた場合には、得られるダイマー酸において、鎖状構造を有する化合物が減少し、環状構造を有する化合物が増加したものが得られる。
本発明に用いる共重合ポリエステルの製造に用いるダイマー酸としては、下記一般式(3)で表される鎖状ダイマー酸を10質量%以上含むものを用いることが好ましい。
Figure 0005543789
(式中、Rはアルキル基を示し、R、R、R及びRの炭素数の和は31である)
鎖状ダイマー酸が10質量%以上のものを用いると、得られる共重合ポリエステル樹脂自体の引張伸度が良好となるため、これを用いた本発明の樹脂組成物の引張伸度も良好となるので好ましい。
ダイマー酸に含まれるモノマー酸の割合は、1質量%以下であることが好ましい。モノマー酸は共重合に際して生成する樹脂の高分子化を阻害するが、1質量%であれば共重合に際して縮重合が十分に進行するので、高分子量の共重合体が得られ、本発明の樹脂組成物の靱性が向上する。
ダイマー酸の好ましい具体例としては、ユニケマ社製のPRIPOL 1008、PRIPOL 1009、更にはPRIPOL 1008のエステル形成性誘導体としてユニケマ社製のPRIPLAST 3008、PRIPOL 1009のエステル形成性誘導体としてPRIPLAST 1899が挙げられる。
尚、ダイマー酸を用いる共重合ポリエステル樹脂の製造方法としては特に制限されるものではなく、従来公知の任意の方法、例えば特開2001−064576号公報に開示された方法に従って行うことが出来る。
(A−4)イソフタル酸共重合ポリエステル樹脂
イソフタル酸共重合ポリエステル樹脂は、1,4−ブタンジオールを主とするグリコールと、テレフタル酸及びイソフタル酸を主とするジカルボン酸を共重合した、共重合ポリエステルである。
全カルボン酸成分に占めるイソフタル酸成分の割合は、カルボン酸基として1〜30モル%である。イソフタル酸成分の割合が多すぎると、これを用いた樹脂組成物の耐熱性が低下し、また射出成形性も低下する。逆に少なすぎても、靭性の改良効果が不十分となる。よって全カルボン酸成分に占めるイソフタル酸成分の割合は、カルボン酸基として、中でも1〜20モル%であることが好ましく、特に3〜15モル%であることが好ましい。
(B)窒化硼素及び/又は珪酸マグネシウム塩からなる無機化合物
本発明に用いる、(B)窒化硼素及び/又は珪酸マグネシウム塩からなる無機化合物は、(B−1)窒化硼素、及び/又は(B−2)珪酸マグネシウム塩からなる無機化合物であり、本発明の樹脂組成物における熱伝導性を大きく向上させるために重要なものである。
本発明に用いる(B)成分の形状は特に限定されず、適宜選択して決定すればよい。具体的には例えば、球状、線状(繊維状)、平板状(鱗片状)、曲板状、針状等とすることができ、単粒タイプや顆粒タイプ(単粒の凝集品)として用いてもよい。中でも鱗片状のものを用いると、熱伝導性に優れた成形品が得られるとともに、機械的特性が良好となるので好ましい。
本発明に用いる(B)成分の無機化合物のアスペクト比は任意だが、好ましくは3以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは6〜20である。更に純度や嵩密度は高いほど、熱伝導性が向上するので、純度としては中でも98%以上、特に99%以上であることが好ましく、嵩密度は0.4g/cm以上、中でも0.6g/cm以上であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物における(B)成分の含有量は、(A)ポリアルキレンテレフタレート系樹脂を100質量部とした場合に10〜100質量部であることが好ましく、中でも20〜90質量部、更には30〜70質量部、特に40〜60質量部であることが好ましい。本発明において(B)成分がの含有量が多すぎると、成形加工性、耐衝撃性及び曲げ歪み特性が劣る傾向にあり、逆に少なすぎても、熱伝導性が不充分となる。
(B−1)窒化硼素
本発明に用いる(B−1)窒化硼素としては、c−BN(閃亜鉛鉱構造)、w−BN(ウルツ鉱構造)、h−BN(六方晶構造)、r−BN(菱面体晶構造)等の複数の公知の安定構造を有する窒化硼素を用いることが出来る。中でも六方晶構造の窒化硼素は、成形品を得る際に用いる成形機、及び、金型の摩耗が低減できるので好ましい。
また、球状不規則形状の非球状BN粒子を結合剤で纏めて噴霧乾燥されたアスペクト比が3未満の球形状窒化硼素を、単体で又はアスペクト比が3以上の鱗片状のものと併用して用いてもよい。窒化硼素としては、25℃における熱伝導率が30W/(m・K)以上、中でも50W/(m・K)以上であるものが好ましい。
また、本発明に用いる(B−1)窒化硼素としては、その平均粒径が1〜350μm、中でも2〜200μmであることが好ましく、この範囲内の平均粒径を有するものを2種以上、任意の割合で併用してもよい。平均粒径がこの範囲にあることで、熱伝導性、絶縁性に優れた樹脂組成物を得ることができる。なお、ここでいう平均粒子径とは、JIS Z8825−1に準拠し、レーザー回折法により測定し、JIS Z8819−2に準拠して求めた値である。
(B−2)珪酸マグネシウム塩
本発明に用いる(B−2)珪酸マグネシウム塩としては、合成物の他、珪酸マグネシウムを主成分とする鉱物、具体的には例えば、タルク、セピオライト、更には、アルミニウム成分も含んだアパタルジャイトなどが挙げられる。本発明においては中でも、熱伝導性の観点から、タルクを用いることが好ましい。
本発明に用いる成分(B―2)としてのタルクは天然鉱物の一種であり、その化学式は3MgO・4SiO・HO又はMgSi10(OH)で表される。タルクは、通常、産地等に応じた不純物を含むが、本発明で使用するタルクは、産地、不純物の種類及びその量について特に制限は無い。
タルクの大きさについて特に制限はないが、通常、質量メジアン粒径(D50)が1〜50μmであり、より好ましくは3〜40μmである。ここで質量メジアン粒径は、レーザー回折法等で測定した値である。なお、タルクは、成分(A)との親和性を高め、樹脂組成物中における分散性を高める目的等で、その表面を有機化合物でコーティングする等の処理を施したものを使用してもよい。
また、タルクの嵩比重は任意だが、生産性の点から0.4以上であることが好ましい。ここで嵩比重値は、試料10gを秤量し、これを静かに50ml目盛り付きの試験管に入れ、その容積の数値より算出する方法が一例として挙げられ、嵩比重(g/ml)=10g/容積(ml)で表せる。
本発明においては、中でも圧縮微粉タルクを用いると、均一分散性が高く、混練作業性、機械的特性を改善でき、耐トラッキング性などの電気的特性を大幅に改善できるので好ましい。この際のタルクの嵩比重は0.4以上、中でも0.6以上であることが好ましい。尚、この様に嵩比重の高いタルクを用いる際には、この数値以上のタルクであれば、異なる嵩比重のタルクを組み合わせて用いてもよい。
本発明に用いる(B)成分としては、中でも、上述した(B−1)窒化硼素と(B−2)珪酸マグネシウム塩、中でも顆粒タルクの様に嵩密度が0.4以上の様な、嵩密度の高い珪酸マグネシウム塩とを併用することによって、熱伝導性等の諸物性を維持しつつ且つ樹脂組成物の製造時における計量性が安定し、工業的に優位に、本発明の熱伝導性樹脂組成物を製造出来るので好ましい。
尚、本発明に用いる(B)成分である窒化ホウ素や珪酸マグネシウムは絶縁性にも優れるので、金属の様に導電体の熱伝導部材では困難な、電子機器に近接又は当接する場所への設置が可能となる。本発明により得られる樹脂成形体の表面固有抵抗は通常1×1013Ω以上であり、中でも1×1014Ω以上であることが好ましい。
更にこれらの他に絶縁性に優れる添加剤、具体的には例えば、珪酸アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、チタン酸カルシウム等を併せて用いてもよい。そしてこれらは、組み合わせてコア−シェル構造とした複合型フィラーとして用いてもよい。
(C)ガラス繊維
本発明に用いる(C)ガラス繊維は、Aガラス、Cガラス、Eガラス等の組成からなるものが好ましく、特に、Eガラス(無アルカリガラス)がポリアルキレンテレフタレート系樹脂の熱安定性に悪影響を及ぼさない点で好ましい。また一般的には、取り扱いの容易さや、高い強度・剛性および耐熱性を有する成形物を与える点などから、短繊維タイプ(チョップドストランド)のガラス繊維を使用することが好ましい。特に、耐衝撃特性が要求される樹脂成形体の場合には、樹脂成形体中のガラス繊維の繊維長をより長く保つ点から、長繊維タイプのものを使用することが好ましい。これらの充填剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの充填剤は、収束剤又は表面処理剤と組み合わせて使用してもよい。このような収束剤又は表面処理剤としては、例えば、エポキシ系化合物、シラン系化合物、チタネート系化合物等の官能基を有する化合物が挙げられる。
更に本発明に用いる(C)ガラス繊維としては、異形断面形状を有するものが好ましい。この異形断面形状とは、繊維の長さ方向に直角な断面の長径をD2、短径をD1とするときのD2/D1比(扁平率)が1.5〜10であり、中でも2.5〜10、更には2.5〜8、特に2.5〜5であることが好ましい。2.5以上とすることにより、難燃性、耐ヒートショック性、耐電圧が向上する。
この様な異形断面形状を有するガラス繊維を用いると、通常の断面形状が丸型(扁平率は1。)の、いわゆる通常のガラス繊維を用いた場合と比較して、驚くべきことに熱伝導率も良好となるので好ましい。これは異形断面形状を有するガラス繊維が樹脂成形体中において、とりわけ射出成形により得られた樹脂成形体において、その表面から樹脂成形体内部に向かう広い範囲に於いて、樹脂成形時の溶融樹脂の流れ方向に配向し、そしてこのガラス繊維の配向に沿って窒化硼素や珪酸マグネシウム等の板状無機化合物が配向することによると考えられる。
さらに、異形断面形状のガラス繊維としては、平均繊維長をLとすると、(L×2)/(D2+D1)比(アスペクト比)が、10以上であることが好ましく、中でも50〜10であることが好ましい。
ガラス繊維の扁平率は、繊維の断面の顕微鏡により長径と短径の測定値から容易に算出することができる。市販されているガラス繊維は、扁平率がカタログに記載されていれば、この値を用いればよい。また樹脂成形体におけるガラス繊維の繊維長は、例えば樹脂成形体から約5gのサンプルを切り出し、600℃の電気炉中で2時間静置して灰化させた後、残ったガラス繊維の繊維長を測定すればよい。測定には、具体的には例えば、ガラス繊維を折損しないように中性表面活性剤水溶液中に分散させ、その分散水溶液をピペットによってスライドグラス上に移し、顕微鏡で写真撮影を行う。この写真画像について、画像解析ソフトを用い、1000〜2000本の強化繊維について測定を行い、平均繊維長が算出すればよい。
本発明に用いる異形断面形状を有するガラス繊維の断面形状としては、具体的には例えば、繊維の長さ方向に直角に切断した際の断面形状が長方形、長円形、楕円形、長手方向の中央部がくびれた繭型であるものが挙げられる。これらガラス繊維の断面形状の例は、特開2000−265046号公報に記載されている。
断面形状が繭型の繊維状強化材は、中央部がくびれていて、その部分の強度が低く中央部で割れることがあり、またこのくびれた部分が基体樹脂との密着性が劣る場合もあるので、機械的特性向上を目的する場合は、断面形状が長方形、長円形、または楕円形のものを使用するのが好ましく、断面形状が長方形または長円形であることがより好ましい。尚、長円形とは、縦横の長さが異なり、かつ全体に丸みを有する滑らかな曲線からなる形状や、2つの円弧とこれらの円弧を連結する2つの直線からなる形状も含む趣旨である。
本発明の樹脂組成物のガラス繊維として好適に使用可能な異形断面のガラス繊維が、例えば特公平3−59019号公報、特公平4−13300号公報、特公平4−32775号公報等に記載の方法を用いて製造することができる。特に、底面に多数のオリフィスを有するオリフィスプレートにおいて、複数のオリフィス出口を囲み、該オリフィスプレート底面より下方に延びる凸状縁を設けたオリフィスプレート、または単数または複数のオリフィス孔を有するノズルチップの外周部先端から下方に延びる複数の凸状縁を設けた異形断面ガラス繊維紡糸用ノズルチップを用いて製造された断面が扁平なガラス繊維が好ましい。
また本発明においては、一般的な円形(または丸型)断面ガラス繊維(扁平率1)を上記の異形断面ガラス繊維と併用してもよいが、その際の扁平率やアスペクト比は質量平均にて算出された数値が前記扁平率やアスペクト比の範囲内に入ればよい。
(D)ホスフィン酸塩
本発明においては、難燃剤として(D)ホスフィン酸塩金属を用いる。本発明に用いる(D)ホスフィン酸塩とは、アニオン部分が以下の式(1)又は(2)で表され、カチオン部分がカルシウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン又は亜鉛イオンの何れかであればよく、中でもカルシウムイオン又はアルミニウムイオンであることが好ましく、特にアルミニウムイオンであることが好ましい。
Figure 0005543789
(式中、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基、アリール基、好ましくはフェニル基を表し、R同士は同一でも異なっていてもよく、Rは炭素数1〜10の連結基を表し、直鎖または分岐のアルキレン基、アリーレン基又はこれらの混合基であることが好ましく、nは0〜2の整数を表し、中でも0が好ましい。)
ホスフィン酸塩としての具体例は、ジメチルホスフィン酸カルシウム、ジメチルホスフィン酸マグネシウム、ジメチルホスフィン酸アルミニウム、ジメチルホスフィン酸亜鉛、エチルメチルホスフィン酸カルシウム、エチルメチルホスフィン酸マグネシウム、エチルメチルホスフィン酸アルミニウム、エチルメチルホスフィン酸亜鉛、ジエチルホスフィン酸カルシウム、ジエチルホスフィン酸マグネシウム、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸亜鉛、メチル−n−プロピルホスフィン酸カルシウム、メチル−n−プロピルホスフィン酸マグネシウム、メチル−n−プロピルホスフィン酸アルミニ
ウム、メチル−n−プロピルホスフィン酸亜鉛、メタンジ(メチルホスフィン酸)カルシウム、メタンジ(メチルホスフィン酸)マグネシウム、メタンビス(メチルホスフィン酸)アルミニウム、メタンビス(メチルホスフィン酸)亜鉛、ベンゼン−1,4−ビス(メチルホスフィン酸)カルシウム、ベンゼン−1,4−ビス(メチルホスフィン酸)マグネシウム、ベンゼン−1,4−ビス(メチルホスフィン酸)アルミニウム、ベンゼン−1,4−ビス(メチルホスフィン酸)亜鉛、メチルフェニルホスフィン酸カルシウム、メチルフェニルホスフィン酸マグネシウム、メチルフェニルホスフィン酸アルミニウム、メチルフェニルホスフィン酸亜鉛、ジフェニルホスフィン酸カルシウム、ジフェニルホスフィン酸マグネシウム、ジフェニルホスフィン酸アルミニウム、ジフェニルホスフィン酸亜鉛が挙げられる。
本発明においては、これら化合物は単独で、又は2種以上を任意の割合で併用してもよい。これらの中でも、特に難燃性、電気特性の観点から、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸カルシウム、ジエチルホスフィン酸亜鉛が好ましく、中でもジエチルホスフィン酸アルミニウム、又はジエチルホスフィン酸カルシウムが好ましく、特にジエチルホスフィン酸アルミニウムが好ましくい。。また靱性の観点からは、DSCでの測定において全ての融解ピーク温度(Tm)が180℃以上に現れるものが好ましい。
本発明に用いる(D)ホスフィン酸塩の粒径は、樹脂組成物から得られる樹脂成形体の外観や機械的強度に影響するので、レーザー回折法による測定で、95質量%以上の粒子が粒径100μm以下であることが好ましい。中でも95質量%以上の粒子の粒径が50μm以下としたもの、具体的には例えば粉砕により得られた粉末等が好ましい。しかし一般的に小粒径にするほど調製費用が嵩む反面、得られる効果は暫減するので、粒径としては20〜40μmのものが90質量%以上であることが好ましい。
本発明に用いる(D)ホスフィン酸塩は、(A)ポリアルキレンテレフタレート系樹脂100質量部に対し10〜60質量部配合する。10質量部未満では目的とする難燃性が十分でなく、60質量部を超えると機械的特性の低下や、成形性の低下、離型不良やモールドデポジットが発生しやすくなる。難燃性と機械的特性の両面から、好ましい配合量は、(A)ポリアルキレンテレフタレート系樹脂100質量部に対して10〜60質量部であり、中でも20〜50質量部、更には20〜40質量部、特に25〜40質量部であることが好ましい。
(E)難燃剤
本発明においては更に、上述した(A)ポリアルキレンテレフタレート系樹脂に対して(B)〜(D)成分の他に(E)難燃剤を含有させても良く、具体的には、(E−1)リン酸エステル、(E−2)アミノ基含有トリアジン類の塩からなる窒素系難燃剤、(E−3)25℃で固体状態にあるオルガノシロキサン重合体、及び(E−4)硼酸金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1つの難燃剤を、各々特定量含有させてもよく、そしてこれらを併用してもよい。
(E−1)リン酸エステル
本発明に用いるリン酸エステルの具体例としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート等が挙げられる。
中でも下記一般式(a)で表されるリン酸エステル化合物が耐熱性、耐加水分解性の観点から好ましい。
Figure 0005543789
(但し上記式中、R〜Rは炭素数1〜6のアルキル基を示し、Rはアリーレン基を示し、nは1〜5を示す。)
本発明のポリエステル系樹脂組成物に用いるリン酸エステル(E−1)の量は、適宜選択して決定すればよいが、多すぎると機械的特性の低下が発生しやすくなり、逆に少なすぎても添加効果が不十分であるので、通常、ポリアルキレンテレフタレート系樹脂(A)100質量部に対して、0.1〜10質量部、中でも1〜8質量部、特に1〜5質量部であることが好ましい。
(E−2)アミノ基含有トリアジン類の塩
また本発明においては、窒素系難燃剤であるアミノ基含有トリアジン類(アミノ基を有するトリアジン類)の塩を配合することによって、比較的少量のホスフィン酸塩の配合で所望の難燃効果を発現させることが出来るので好ましい。
アミノ基含有トリアジン類としては、通常、アミノ基含有1,3,5−トリアジン類が用いられ、具体的には例えば、メラミン、置換メラミン(2−メチルメラミン、グアニルメラミンなど)、メラミン縮合物(メラム、メレム、メロンなど)、メラミンの共縮合樹脂(メラミン−ホルムアルデヒド樹脂など)、シアヌル酸アミド類(アンメリン、アンメリドなど)、グアナミン又はその誘導体(グアナミン、メチルグアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、サクシノグアナミン、アジポグアナミン、フタログアナミン、CTU−グアナミンなど)などが挙げられる。
これと塩を形成する酸としては、無機酸及び有機酸のいずれでもよい。無機酸としては具体的には例えば、硝酸、塩素酸(塩素酸、次亜塩素酸など)、リン酸(リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ポリリン酸など)、硫酸(硫酸や亜硫酸などの非縮合硫酸、ペルオクソ二硫酸やピロ硫酸などの縮合硫酸など)、ホウ酸、クロム酸、アンチモン酸、モリブデン酸、タングステン酸などが挙げられる。中でもリン酸や硫酸類が好ましい。
有機酸としては、具体的には例えば、有機スルホン酸(メタンスルホン酸などの脂肪族スルホン酸、トルエンスルホン酸やベンゼンスルホン酸などの芳香族スルホン酸など)、環状尿素類(尿酸、バルビツル酸、シアヌル酸、アセチレン尿素など)などが挙げられる。
これらのうち、メタンスルホン酸などの炭素数1〜4のアルカンスルホン酸や、トルエンスルホン酸などの炭素数1〜3のアルキル基を有していてもよいアリールスルホン酸、及びシアヌル酸が好ましい。
アミノ基含有トリアジン類の塩としては、具体的には例えば、シアヌル酸メラミン・メラム・メレム複塩、リン酸メラミン類(ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩など)、硫酸メラミン類(硫酸メラミン、硫酸ジメラミン、ピロ硫酸ジメラムなど)、スルホン酸メラミン類(メタンスルホン酸メラミン、メタンスルホン酸メラム、メタンスルホン酸メレム、メタンスルホン酸メラミン・メラム・メレム複塩、トルエンスルホン酸メラミン、トルエンスルホン酸メラム、トルエンスルホン酸メラミン・メラム・メレム複塩など)などが挙げられる。これらは単独で、又は2種以上を任意の割合で併用してもよい。
このような窒素系難燃剤のなかでも、シアヌル酸またはイソシアヌル酸と、トリアジン系化合物との付加物を用いることが好ましい。この付加物の組成は通常、1対1(モル比)、場合により1対2(モル比)である。
より具体的にはシアヌル酸メラミン、シアヌル酸ベンゾグアミン、シアヌル酸アセトグアナミン等が挙げられ、中でもシアヌル酸メラミンが好ましい。これらの塩は例えばアミノ基含有トリアジン類と、シアヌル酸またはイソシアヌル酸の混合物を水スラリーとし、混合して双方の塩を微粒子状に形成させ、次いでスラリーを濾過、乾燥し、粉末状で得られる。
尚、これらアミノ基含有トリアジン類の塩は完全に純粋である必要は無く、未反応のトリアジン類やシアヌル酸、イソシアヌル酸が残存していてもよい。また、樹脂に配合される前の塩の平均粒径は、本発明の樹脂組成物から得られる樹脂成形体の難燃性、機械的強度や耐湿熱特性、滞留安定性、表面性等の点から、レーザー回折法による測定で、95質量%以上の粒子が粒径100μm以下、特に80μm以下であることが好ましい。
また上述した塩の分散性が不充分な場合には、トリス(β−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートなどの分散剤や、公知の表面処理剤などを併用してもよい。
本発明のポリエステル系樹脂組成物に用いる(E−2)アミノ基含有トリアジン類の塩の量は、適宜選択して決定すればよいが、多すぎると機械的物性が低下しやすい傾向があり、逆に少なすぎても添加効果が不十分であるので、通常、(A)ポリアルキレンテレフタレート系樹脂100質量部に対して、1〜50質量部、中でも5〜30質量部、特に10〜25質量部であることが好ましい。
尚、(D)ホスフィン酸塩と、(E−2)アミノ基含有トリアジン類の塩の配合比率は、通常は質量比で(D)/(E−2)=0〜3であるが、配合比率が3より大きいとで得られる樹脂組成物の難燃性の確保が困難になる。よって中でも0.1〜2、更には0.3〜1.5であることが好ましい。
更に本発明においては、(D)ホスフィン酸塩や(E−2)アミノ基含有トリアジン類の塩の分散性の改良のために、これらを予め分散剤で処理した後に、他の成分と混合して樹脂組成物を製造したり、また、樹脂組成物の製造時に分散剤を配合してもよい。この様な分散剤としては、特開2004−269885号公報等に開示されているモノマーやポリマー等の液状分散剤が挙げられる。
具体的には例えばモノマーとしては、エチレングリコール、ブタンジオール等のグリコール類やTDI、MDI等のイソシアネート類が挙げられる。ポリマーとしては、ポリエチレングリコール等のポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール、ビスフェノールAジグリシジルエステル、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、又はクレゾール−ホルムアルデヒド樹脂のポリグリシジルエステル等のエポキシ樹脂が挙げられる。
また分散性を改善するために、難燃剤を顆粒状にしてから配合することも好ましい。具体的には例えば、特開2004−99893号公報に開示されているような、バインダーにより顆粒状化されたホスフィン酸塩含有難燃剤が好ましく使用される。
このバインダーとして好ましいものは、具体的には例えば、カルナバワックス、モンタンワックス、ポリエチレンワックスなどのワックスや、ポリエチレングリコール等が挙げられる。バインダーの融点は50〜200℃であることが好ましく、またバインダーの量は難燃剤量100質量部に対して0.5〜10質量部であることが好ましい。
(E−3)25℃で固体状態にあるオルガノシロキサン重合体
本発明に用いる(E−3)25℃で固体状態にあるオルガノシロキサン重合体の代表的なものは、いわゆるシリコーンレジンであり、その組成は下記式(4)で示される。
(RSiO3/2(R SiO2/2(R SiO1/2(SiO4/2(XO1/2 (4)
式(4)においてXは水素原子、又はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基などのアルキル基である。式(4)におけるR、R、及びRは相互に異なっていてもよく、炭化水素基またはエポキシ基含有有機基である。
炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、ノナフルオロブチルエチル基等のハロゲン化アルキル基が挙げられる。
また、エポキシ基含有有機基としては、2,3−エポキシプロピル基、3,4−エポキシブチル基、4,5−エポキシペンチル基等のエポキシアルキル基;2−グリシドキシエチル基、3−グリシドキシプロピル基、4−グリシドキシブチル基等のグリシドキシアルキル基;2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル基等のエポキシシクロヘキシルアルキル基が挙げられる。
エポキシ基含有有機基は必須ではないが、式(4)におけるR〜Rの合計に占めるエポキシ基含有有機基の割合は、0.1〜40モル%であるのが好ましい。含有量が0.1モル%未満であると、これを配合して得られる樹脂組成物の成形時にブリードが発生しやすくなる傾向がある。また40モル%を超えると、成形物の機械的特性が低下する傾向がある。
また、フェニル基が存在すると、(A)ポリアルキレンテレフタレート系樹脂に対する親和性に優れるので、式(4)におけるR〜Rの合計のうち10モル%以上がフェニル基であることが好ましく、中でもRの10モル%以上、特に30モル%以上がフェニル基であるものが好ましい。
更に、嵩高いフェニル基を含有するオルガノポリシロキサン分子の立体障害を緩和して空間的な自由度を向上させ、フェニル基同士の重なりを容易にして難燃化効果を高めるため、式(4)におけるRとしては、メチル基やビニル基を有するのが好ましいので、Rに占めるフェニル基の割合は好ましくは10〜95モル%であり、さらに好ましくは30〜90モル%である。
式(4)におけるaは正数であり、b、c、d、eはそれぞれ0又は正数である。b/aは0〜10の数であり、c/aは0〜0.5の数であり、d/(a+b+c+d)は0〜0.3の数であり、e/(a+b+c+d)は0〜0.4の数である。b/aが10を超えるシリコーンレジンは、その軟化点が25℃以下となり、また、樹脂との親和性が低くなる。また、d/(a+b+c+d)が0.3を超えるシリコーンレジンは樹脂に対する分散性が低下する傾向がある。
本発明に用いる(E−3)25℃で固体状態にあるオルガノシロキサン重合体の重量平均分子量は500〜50000、特に500〜10000であることが好ましい。軟化点は25℃以上であればよいが、通常40〜250℃、特に40〜150℃であることが好ましい。軟化点が25℃未満のシリコーンレジンを配合した樹脂組成物では、成形時にブリードが発生し易くなり、金型汚染や樹脂成形体の機械的特性低下、そして樹脂成形体の長期間使用中にシリコーンレジンが表面に滲みだす場合がある。
また軟化点の高すぎるシリコーンレジンは、樹脂組成物の調製に際し均一に分散させるのが困難となる傾向がある。なお軟化点は、融点測定機(株式会社柳本製作所製のmicro melting point apparatus)を用いて、昇温速度1℃/分で加熱したときに、シリコーンレジンが融解し液滴に変化した時の温度を軟化点とする。
上記の式(4)で表されるシリコーンレジンは、例えば(i)式:RSiO3/2(式中、Rは一価炭化水素基である。)で示される単位、(ii)式:R SiO2/2(式中、Rは同じか、または相異なる一価炭化水素基である。)で示される単位、(iii)式:R SiO1/2(式中、Rは同じか、または相異なる一価炭化水素基である。)で示される単位、及び(iv)式:SiO4/2で示される単位からなる群より選択される少なくとも1種の単位を有するシランもしくはシロキサンの1種または2種以上の混合物と、一般式:R Si(OR(3−f)(式中、Rはエポキシ基含有有機基であり、Rは一価炭化水素基であり、Rはアルキル基であり、fは0、1、または2である。)で示されるエポキシ基含有アルコキシシランもしくはその部分加水分解物を、塩基性触媒により反応させることにより製造することができる。
上記の製造方法において、主成分は上記(i)〜(iv)式で示される単位からなる群より選択される少なくとも1種の単位を有するシランもしくはシロキサンの1種または2種以上の混合物である。これらのシランまたはシロキサンとしては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、ジメトキシジエトキシシランやこれらの加水分解縮合物等が挙げられる。
また、これらのシランやシロキサンと共重合させる一般式:R Si(OR(3−f)で示されるエポキシ基含有アルコキシシランもしくはその部分加水分解物は、シリコーンレジンにエポキシ基を導入する成分である。式中のRはエポキシ基含有有機基であり、前記R、R、またはRと同様のエポキシ基含有有機基が挙げられる。
また、上記(i)〜(iv)式中のRは一価炭化水素基であり、(i)〜(iv)式におけるR、R、またはRと同様の一価炭化水素基が例示される。また、(i)〜(iv)式中のRはアルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基が挙げられる。また、式中のfは0、1、または2であり、好ましくは0である。
このようなエポキシ基含有アルコキシシランとしては、3−グリシドキシプロピル(メチル)ジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピル(メチル)ジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピル(メチル)ジブトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル(メチル)ジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル(フェニル)ジエトキシシラン、2,3−エポキシプロピル(メチル)ジメトキシシラン、2,3−エポキシプロピル(フェニル)ジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2,3−エポキシプロピルトリメトキシシラン、2,3−エポキシプロピルトリエトキシシランが挙げられる。
塩基性触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属の水酸化物;ナトリウム−tert−ブトキシド、カリウム−tert−ブトキシド、セシウム−tert−ブトキシド等のアルカリ金属のアルコキシド;ナトリウムシラノレート化合物、カリウムシラノレート化合物、セシウムシラノレート化合物等のアルカリ金属のシラノール化合物が挙げられる。好ましくは、カリウム系あるいはセシウム系の塩基性触媒を用いる。反応に際しては必要に応じて水を添加してもよい。
反応に際しては、平衡化反応により、シロキサン結合の切断および再結合がランダムに起こり、その結果、得られたエポキシ基含有シリコーンレジンは平衡状態となる。この反応温度は、反応温度が低いと平衡化反応が十分に進行せず、また反応温度が高すぎるとケイ素原子結合有機基が熱分解することから、80℃〜200℃であることが好ましく、特に100℃〜150℃であることが好ましい。
また、80〜200℃の沸点を有する有機溶剤を選択することにより、還流温度で容易に平衡化反応を行うことができる。なお、平衡化反応は、塩基性触媒を中和することにより停止することができる。この中和のため、炭酸ガス、カルボン酸等の弱酸を添加することが好ましい。中和により生成した塩は、濾過または水洗することにより簡単に除去することができる。
本発明のポリエステル系樹脂組成物に用いる、(E−3)25℃で固体状態にあるオルガノシロキサン重合体の量は適宜選択して決定すればよいが、多すぎると機械物性の低下を発生しやすい傾向があり、逆に少なすぎても添加効果が不十分であるので、通常、ポリアルキレンテレフタレート系樹脂(A)100質量部に対して、1〜10質量部、中でも2〜8質量部、特に3〜5質量部であることが好ましい。
(E−4)硼酸金属塩
本発明のポリエステル系樹脂組成物は(E−4)硼酸金属塩を含有することが好ましい。本発明に用いられる成分(B−4)硼酸金属塩とは、通常用いる処理条件下で安定であり、揮発成分のないものが好ましい。硼酸金属塩としては硼酸のアルカリ金属塩(例えば、四硼酸ナトリウム、メタ硼酸カリウム等)あるいはアルカリ土類金属塩(例えば、硼酸カルシウム、オルト硼酸マグネシウム、オルト硼酸バリウム、硼酸亜鉛等)等が挙げられる。これらの中でも好ましくは、硼酸亜鉛である。硼酸亜鉛は、一般に、2ZnO・3B・xHO(x=3.3〜3.7)で示される。水和硼酸亜鉛としては好ましくは、2ZnO・3B・3.5HOの式をもつものであり、かつ260℃またはそれより高い温度まで安定なものである。
硼酸カルシウムとして、コレマナイトが挙げられる。コレマナイトは、主に硼酸カルシウムからなる無機化合物であり、通常、化学式2CaO・3B・5HOで表される水和物である。本発明に用いるコレマナイトは、コールマナイト(Colemanite)、コールマン石または灰硼鉱と呼称されるカルシウム系ホウ酸鉱や、合成物の何れでもよいが、中でも鉱物として産出されるコレマナイトが、熱安定性に優れるので好ましい。
本発明のポリエステル系樹脂組成物に用いる(E−4)硼酸金属塩の量は、適宜選択して決定すればよいが、多すぎると機械物性が低下する傾向にあり、逆に少なすぎても添加効果が不十分であるので、通常、(A)ポリアルキレンテレフタレート系樹脂100質量部に対して、0.1〜5質量部、中でも0.1〜4質量部、更には1〜3質量部、特に1.5〜2質量部であることが好ましい。
本発明に用いるコレマナイトは、例えば鉱物としては含水硼酸カルシウムの鉱物で、蒸発岩鉱床に生成し、単斜晶系に属する短柱状結晶や偽菱面結晶をつくるものであり、結晶形態は粒状や緻密な塊状、丸い集合体の何れも用いることが出来る。色は無色や白色、乳白色、黄白色、灰色のものなど多数あるが、本発明においてはこれら以外の色調のものでも使用することができる。
本発明に用いるコレマナイトとして鉱物を用いる際には、産出される状態での不純物を含有していてもよい。この様な鉱物としてのコレマナイトの組成は、不純物も含めて質量%として一般的に、B(45.2〜42.18%)、Fe(0.35〜0.03%)、SiO(3.50〜4.08%)、Al(0.51〜0.16%)、CaO(26.01〜27.06%)、SrO(0.62〜1.19%)、MgO(1.06〜1.43%)、Na(0.03〜0.10%)、KO(0.16〜0.03)であるが、上述以外の化学組成物を含んでもよい。
本発明に用いるコレマナイトとしては、例えば共立マテリアル社製コレマナイト、キンセイマテック社製UBP等の商品名で販売されているものが使用できる。また本発明に用いるコレマナイトは、上述してきた様な天然物をそのままで、または一部処理したものをもちいることもできる。具体的には例えば、コレマナイトを400℃以上で焼成することで、その一部がCaO・2Bとなる。この焼成物は、抗菌効果、抗カビ効果、防藻効果などを奏することが報告されている。
コレマナイトの平均粒径は、1〜50μmであることが好ましく、中でも3〜20μm、特に3〜10μmであることが好ましい。このような範囲とすることにより、本発明のポリアルキレンテレフタレート系樹脂組成物の柔軟性等の諸物性や、難燃性が向上する傾向にある。
尚、上述したコレマナイトの平均粒径とは、セディグラフ(X線透過式粒度分布測定装置)により測定して得られた粒度分布において、積算質量分布が50%となる粒径を示す。セディグラフは、沈降中の懸濁液にX線を照射し、そのX線透過量から粒度分布を測定する装置である。
本発明に用いるコレマナイトは、例えば天然に産出された鉱石であれば、これを乾式粉砕法、湿式粉砕法等の、従来公知の任意の方法を用いて粉砕し、所定の粒径に調整すればよい。粉砕手段としては、ボールミル、ローラーミル、ジェットミル、振動ミル、遊星ミル、撹枠ミル等の粉砕手段が挙げられる。
また、本発明に用いるコレマナイトは、シランカップリング剤等の表面処理剤によって、表面処理されたものを用いてもよい。表面処理剤としては、従来公知の任意のものを使用でき、具体的には例えばシランカップリング剤としては、アミノシラン系、エポキシシラン系、アリルシラン系、ビニルシラン系等の表面処理剤が挙げられる。
これらの中では、アミノシラン系表面処理剤が好ましい。アミノシラン系カップリング剤としては、具体的には例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン及びγ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランが、好ましい例として挙げられる。
コレマナイトの表面処理剤としては、本発明の効果を損ねない範囲であれば、上記シランカップリング剤等の表面処理剤には、他の成分、具体的には例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、帯電防止剤、潤滑剤及び撥水剤等を含んでいてもよい。
この様な表面処理剤による表面処理方法としては、具体的には例えば、特開2001−172055号公報、特開昭53−106749号公報等に記載の方法の様に、表面処理剤により予め表面処理してもよく、又は本発明のポリアルキレンテレフタレート系樹脂組成物を調製の際に、未処理のコレマナイトとは別に、表面処理剤を添加して表面処理することもできる。従来から、繊維状強化材を添加すると、流動性が低下することが知られているが、本発明の樹脂組成物に、コレマナイトを添加することにより、繊維状強化材を添加しても流動性が低下しないという点で有益である。
本発明のポリアルキレンテレフタレート系樹脂組成物には、滴下防止剤を配合しても良い。滴下防止剤としてはフッ素樹脂が好ましく、具体的には例えば、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体等が挙げられる。
本発明のポリアルキレンテレフタレート系樹脂組成物の製造法は特に限定されるものではなく、公知の方法により成分を混合することにより容易に達成することができる。例えば、ブレンダーやミキサーなどを使用してドライブレンドする方法、押出機を使用して溶融混合する方法などが挙げられるが、通常スクリュー押出機を使用して溶融混合してストランドの押し出し、ペレット化する方法が適している。具体的には、各成分を一括して溶融混練する方法、特定成分を先に溶融混合する方法等が挙げられる。
各成分の混合方法は、特に制限されることはなく、二軸スクリュー押出機を用いて成分を一括して溶融混練する一括ブレンド方法、および強化充填材等を他の供給口から添加する分割ブレンド方法などが挙げられる。中でも、(B)無機化合物を、サイドフィーダおよびメインフィーダからペレットと別にフィードすることにより、良好に生産することが可能であるため好ましい。
本発明の樹脂組成物から成形品を得るための成形加工方法に特に制限はなく、熱可塑性樹脂について一般に用いられている成形法、すなわち、射出成形、中空成形、押し出し成形、プレス成形などの成形法を適用することができ、特に好ましい成形方法は、流動性の良さから、射出成形である。射出成形に当たっては、樹脂温度を240〜280℃にコントロールするのが好ましい。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明は以下に記載した例に限定されるものではない。以下に、実施例、比較例にて用いた原料を記す。
(A)ポリアルキレンテレフタレート系樹脂
(A−1)PBT樹脂:三菱エンジニアリングプラスチックス社製ノバデュラン(登録商標)5007、固有粘度0.70dl/g
(A−2)ポリテトラメチレングリコール(PTMG)共重合PBT樹脂:
1,4−ブタンジオールに代えて、PTMGユニット(数平均分子量=約1016)を20質量%共重合したPBT樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製ノバデュラン(登録商標)5510、固有粘度:1.3dl/g
(A−3)ダイマー酸共重合ポリエステル樹脂:
テレフタル酸に代えてダイマー酸10モル%を共重合したPBT樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製ノバデュラン(登録商標)P02120、固有粘度0.96
(A−4)イソフタル酸共重合ポリエステル樹脂:
テレフタル酸に代えてイソフタル酸10モル%を共重合したPBT樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製ノバデュラン(登録商標)5605、固有粘度1.0
(B)無機化合物
(B−1)窒化硼素:
電気化学工業社製SGP(商品名)、鱗片状、純度:99%、平均粒子径:18μm
(B−2)タルク:
松村産業社製ハイフィラー#12C(商品名)、圧縮タルク、平均粒子径:5〜7μm、嵩比重:0.75〜0.9g/ml
(C)ガラス繊維
(C−1)旭ファイバーグラス社製チョップドストランド03JA−FT592(商品名) 円形断面
(C−2)日東紡社製CSH3PA830(商品名)、長円形断面、扁平率4、ポリエステル用
(D)ホスフィン酸塩
ジエチルホスフィン酸アルミニウム:クラリアントジャパン社製OP1240(商品名)
(E)その他難燃剤
(E−1)リン酸エステル化合物:
レゾルシノール型芳香族リン酸エステル化合物(1,3フェニレンビスジキシレニルホスフェート)、大八化学社製PX200(商品名)
(E−2)窒素系難燃剤:
シアヌル酸メラミン、サンケミカル社製MCA(商品名)、平均粒径5μm
(E−3)オルガノシロキサン重合体:
フェニルシリコーンレジン、東レ・ダウコーニング社製217Flake(商品名)、25℃で固体状態 軟化点86℃
(E−4)硼酸金属塩
(E−4−1)硼酸亜鉛:ボラックス・ジャパン社製ファイヤーブレイクZB(商品名)
(E−4−2)硼酸カルシウム:
キンセイマテック社製 硼酸カルシウム鉱(主成分は2CaO・3B・5HO)、平均粒径5μm
(その他の成分)
酸化防止剤:ヒンダードフェノール系化合物 チバ・スペシャリティー・ジャパン社製イルガノックス1010(商品名)
離型剤:パラフィンワックス 日本精蝋社製FT100(商品名)
(難燃剤)
ホスファゼン化合物:
環状物を主体とするホスファゼン化合物 伏見製薬所社製FP−100(商品名)
臭素系難燃剤:
ポリペンタブロモベンジルアクリレート ブロモケム・ファーイースト社製FR−1025(商品名)
(難燃助剤)
三酸化アンチモン:鈴裕化学社製ファイアカットAT−3CN(商品名)
[生産性]:
表1に記載の配合比(数値は質量部を示す。)にて、ガラス繊維以外の成分を一括してスーパーミキサー(新栄機械製SK−350型)で混合し、L/D=42の2軸押出機(日本製鋼所社製、TEX30HSST)のホッパーに投入し、(C)ガラス繊維をサイドフィードして、吐出量20kg/時間、スクリュー回転数150rpm、バレル温度260℃の条件下で押出してポリアルキレンテレフタレート系樹脂組成物のペレットを得た。その際のストランドの状態により次の3段階に分類し、◎または○であれば、実用上使用可能である。
◎:問題なく押出可能。安定してストランドが得られる。
○:ほとんどストランド切れなく押出可能。
△:ストランド切れ多発。押出困難。
[性能評価法]
(1)レーザー印字性:
テストピースに次の条件でNd−YAGレーザーにより、レーザーマーキングを行い、評価した。装置は、日本電気社製 マーカーエンジン SL475H/HFを用い、大出力:50W以上、レーザーマーキングの出力電流値:10Aまたは15A、発振波長:1060nm、超音波Qスイッチ:2KHz、スキャニング速度:200mm/secとした。マーキング図柄は、2枚のプレートに各々、異なるマーキングを施した。1枚のプレートには20×20mmの正方形を塗りつぶす様にマーキングさせ、別の1枚には計10文字のアルファベット(ABCDEFGHIJ)を、フォント5mmでマーキングした。
レーザーマーキング性の判定は、レーザーマーキング処理を施した2枚のプレートを目視にて観察し、総合的に判断し、次の判断基準に基づき以下の3つのランクに分けた。
◎:極めて鮮明なマーキングが成されており、良好。
○:鮮明なマーキングが成されており、容易に認識が可能。
×:全くマーキングが成されてない、又は、印字されているが認識困難
(2)体積抵抗率:
射出成形機(住友重機械工業製、SH100、型締め力100T)により、樹脂温度(パージ樹脂の実測温度):260℃、金型温度:80℃、金型:縦100mm、横100mm、厚み3mmの条件で射出成形した成形品を、抵抗率計((株)アドバンテスト製:R8340デジタル超高抵抗/微少電流計およびR12704レジスティビティ・チェンバ)にて測定した。体積抵抗率はΩ・cmの単位で表示する。この値は1014Ω・cm以上であることが好ましい。
(3)熱伝導率:
射出成形機( 住友重機械工業製、SH100、型締め力100T) を用いて、樹脂温度(パージ樹脂の実測温度):260℃、金型温度:80℃にて、金型: 縦100mm、横100mm、厚み3mmの成形品を射出成形し、得られた射出成形品を3枚重ねて、迅速熱伝導率測定装置(京都電子工業製、Kemtherm QTM―D3)を用いて、射出成形品の熱伝導率を測定した。
(4)スパイラル流動長:
樹脂組成物のスパイラルフロー長さを、射出成形機として住友重機械(株)製SE50を用いて評価した。射出圧力170MPa、射出速度100mm/sec、シリンダー温度270℃、射出時間2sec、冷却7sec、金型温度80℃、サックバック1mmの条件とした。また評価した樹脂成形品の形状は、断面が肉厚1mm、幅1.5mmの、長尺状樹脂成形品であり、渦巻き状となったものである。この渦巻き状長尺樹脂成形品の大きさは、長尺状樹脂成形品の中心間距離として、90mm×105mmである。この渦巻き状長尺樹脂成形品の模式図を図1に示す。
(5)保証トラッキング指数(Proof Tracking Index)試験(略称:PTI試験):
試験片(厚み3mmの平板)について、国際規格 IEC60112に定める試験法によりPTIを決定した。このPTIは、25V刻みの保証電圧の数値である。PTIは固体電気絶縁材料の表面に電界が加わった状態で湿潤汚染されたとき、600Vから100Vの間の電圧におけるトラッキングに対する対抗性を示すものであり、550V以上が要求され、好ましくは600V以上である。
(6)難燃性試験:
UL試験片(厚み0.75mm)について、アンダーライターズ・ラボラトリーズ(Underwriter’s Laboratories Inc.)のUL−94規格垂直燃焼試験により実施した。難燃性レベルは該規格に従い、V−0>V−1>V−2>HBの順で評価した。Total燃焼時間は、5本の合計燃焼時間(第1接炎時、第2接炎時を含む)である。
[実施例1〜13および比較例1〜6]
表1に記載の配合比(数値は質量部を示す。)にて、ガラス繊維以外の成分を一括してスーパーミキサー(新栄機械社製SK−350型)で混合し、L/D=42の2軸押出機(日本製鋼所社製、TEX30HSST)のホッパーに投入し、(C)ガラス繊維をサイドフィードして、吐出量20kg/時間、スクリュー回転数150rpm、バレル温度260℃の条件下押出してポリアルキレンテレフタレート樹脂組成物のペレットを得た。
その樹脂組成物ペレットについて、射出成型機(住友重機械社製、型式SH−100)を使用して、シリンダ温度260℃、金型温度80℃の条件で上記(1)(2)(3)(5)の試験片を、(縦横それぞれ10cm、厚さ3mmの平板試験片)また、住友重機械(株)製SE50を使用して、射出圧力170MPa、射出速度100mm/sec、シリンダー温度270℃、射出時間2sec、冷却7sec、金型温度80℃、サックバック1mmの条件で上記(4)の試験片を、また、住友重機械(株)製SE50を使用して、シリンダー温度250℃、金型温度80℃の条件で、厚さ0.75mmのUL−94規格の試験片(6)を得た。以上の試験片を用いて、上記の評価を実施した。評価結果を表1に示す。
Figure 0005543789
Figure 0005543789
尚、実施例1、9および12は参考例である。
上記表より次のことが明白となる。
(1)実施例と比較例を比較すると、本発明の樹脂組成物は、熱伝導率、耐トラッキング特性および、難燃性の全てに優れていることがわかる。
(2)異形断面GFを配合した実施例では、丸断面GFを配合した実施例(実施例1、12)と比較して、熱伝導率が上昇することが分かる。さらに、トータル燃焼時間も減少するという、意外な効果を奏することが分かる。
(3)実施例3〜13の様に、(A)成分に共重合ポリエステル樹脂を併用することで、(併用していない実施例1、2との対比により)、生産性に優れていることが分かる。
(4)実施例10〜13より、オルガノシロキサン共重合体と硼酸金属塩とを併用した場合に、レーザー印字性も優れ、さらにトータル燃焼時間も減少することが分かる。

Claims (6)

  1. (A)ポリアルキレンテレフタレート系樹脂100質量部に対して、下記(B)〜(D)成分を含むことを特徴とするポリアルキレンテレフタレート系樹脂組成物
    (B)窒化硼素及び/又は珪酸マグネシウム塩からなる無機化合物10〜100質量部
    (C)繊維の長さ方向に直角な断面の長径をD2、短径をD1とするとき、D2/D1比(扁平率)が1.5〜10の範囲のものであるガラス繊維20〜90質量部
    (D)アニオン部分が下記式(1)または式(2)で表され、カチオン部分がアルミニウムイオンまたはカルシウムイオンであるホスフィン酸塩10〜60質量部
    Figure 0005543789
    (式中、R1およびR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基又は置換されていてもよいアリール基を表し、R1同士は同一でも異なっていてもよく、R3は炭素数1〜10のアルキレン基、置換されていてもよいアリーレン基、又はこれらの混合基を表し、nは0〜4の整数を表す。)
  2. (A)成分が、カルボン酸成分及びアルコール成分のそれぞれ70モル%以上がテレフタル酸及び1,4−ブタンジオールに由来するものであり、且つ共重合成分としてポリテトラメチレンエーテルグリコール、ダイマー酸及びイソフタル酸の何れかに由来する成分を含有しているものであることを特徴とする請求項1記載のポリアルキレンテレフタレート系樹脂組成物。
  3. 前記(B)成分における珪酸マグネシウム塩が、タルクであることを特徴とする請求項1または2に記載のポリアルキレンテレフタレート系樹脂組成物。
  4. タルクの嵩比重が0.4以上であることを特徴とする請求項に記載のポリアルキレンテレフタレート系樹脂組成物。
  5. 更に、下記(E−1)〜(E−4)からなる群より選ばれる少なくとも1つの(E)難燃剤を含有することを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載のポリアルキレンテレフタレート系樹脂組成物。
    (E−1)リン酸エステル0.1〜20質量部
    (E−2)アミノ基含有トリアジン類の塩からなる窒素系難燃剤1〜50質量部
    (E−3)25℃で固体状態にあるオルガノシロキサン重合体1〜10質量部
    (E−4)硼酸金属塩0.1〜4質量部
  6. 請求項1乃至のいずれかに記載のポリアルキレンテレフタレート系樹脂組成物を射出成形してなる樹脂成形品。
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