JP2003147174A - バスタブ用熱可塑性樹脂組成物およびその用途 - Google Patents

バスタブ用熱可塑性樹脂組成物およびその用途

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JP2003147174A
JP2003147174A JP2001347908A JP2001347908A JP2003147174A JP 2003147174 A JP2003147174 A JP 2003147174A JP 2001347908 A JP2001347908 A JP 2001347908A JP 2001347908 A JP2001347908 A JP 2001347908A JP 2003147174 A JP2003147174 A JP 2003147174A
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Nobuaki Dan
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GE Plastics Japan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 リサイクルが可能であり、かつ、成形物の外
観、耐薬品性を損なうことなく耐加水分解性、剛性に優
れたバスタブ(浴槽およびユニットバス)を製造可能な
熱可塑性樹脂樹脂組成物、その築用成形体。 【解決手段】 少なくとも1種の熱可塑性ポリエステル
樹脂と、少なくとも1種のポリカーボネート樹脂とから
なる樹脂成分(A)と、エポキシ化合物(B)と、強化
材(C)とを含む熱可塑性樹脂組成物。さらに、炭素−
リン直接結合を含まず、かつアルカリ金属陽イオン、ア
ルカリ土類金属陽イオンおよびハロゲン陰イオンの少な
くとも1種を含有する塩からなる触媒化合物(D)を含
み、触媒化合物(D)が、エポキシ化合物(B)に対し
て、0.01〜2重量%の割合で配合されている熱可塑
性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、ポリエステル樹脂および
ポリカーボネート樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物および
その用途に関する。さらに詳しく成形物の外観、耐薬品
性を損なうことなく耐加水分解性、剛性に優れたバスタ
ブ(浴槽およびユニットバス)を製造可能な熱可塑性樹
脂樹脂組成物、および該樹脂組成物を使用して成形され
た諸特性に優れた代表とする建築用成形体を提供する建
築用成形体に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】マンションやホテルの複合ルーム
ユニットや、戸建住宅における浴槽ユニットのバスタブ
には、不飽和ポリエステルにガラス繊維などを配合した
繊維補強熱硬化性樹脂が使用されており、これらのバス
タブは、プレス成形、注型成型などの成型方法によって
製造されていた。
【0003】しかしながら、熱硬化性樹脂を使用したバ
スタブは、成型時に多くの工程が必要とするため、製造
効率が必ずしも高くはなく、また、成型後にゲルコート
層を形成する必要があったり、一旦成型してしまうと、
加工がしにくいなどの問題点があった。具体的には、大
型の洗場付浴槽やシャワールームのような深さのある成
形品が安価な樹脂型でできる反面、生産性が悪く、少量
生産品に限定されてしまったり、あるいは、大型プレス
と耐圧金型が必要で設備投資が大となることなどがあっ
た。また、このような熱硬化性樹脂を使用するもので
は、模様や色について多様なものは生産しにくいという
問題点もあった。さらに、特に熱硬化性樹脂を使用した
バスタブでは、硬化しているため、リサイクルの可能性
はほとんどなく、現状では埋め立てによる廃棄処理が主
な処理法である。しかも、その廃棄の際には成形品のボ
リュ−ムをコンパクトにするのが困難で、廃棄処理法の
点で大きな問題を生じているのが現状である。
【0004】これに対し、熱可塑性樹脂と必要に応じて
補強剤とからなる構成されるバスタブは、加工性に優
れ、しかも再利用が可能であるという特徴を有してい
る。ところで、このようなバスタブ用の熱可塑性樹脂と
しては、ポリプロピレン(PP)やアクリル(PMM
A)樹脂製のものが使用されていた。これらの樹脂は、
プレス成形が可能であり、成形性・加工性に優れている
ものの、耐熱性・耐煮沸性に劣り、24時間風呂のよう
な循環釜取付タイプの浴槽に使用することは困難であっ
た。
【0005】またポリエステルをバスタブに使用すると
いう試みも行われているが、ポリエステル製バスタブで
は、特に剛性が不充分であり、また、温水によってポリ
エステル自体が加水分解され、その結果、さらに強度の
低下してもろくなったり、表面外観の悪化したりすると
いう問題点を抱えていた。このような状況の下、本発明
者らはこのような問題点を解消すべく鋭意検討した結
果、特定の熱可塑性樹脂を2種類組合せ、しかもエポキ
シ化合物を添加することで、上記問題点をいずれも解消
し、極めて優れたバスタブ成型用樹脂組成物が得られる
ことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】なお、特公平7-47685号公報には、熱可塑
性線状ポリエステル樹脂に、有効量のエポキシ化合物、
有効量の無機充填剤、および炭素−リン直接結合を含ま
ずかつアルカリ金属陽イオン、アルカリ土類金属陽イオ
ンおよびハロゲン陰イオンの少なくとも1者を含有する
塩から成る化合物の有効量を配合することを特徴とす
る、熱可塑性線状ポリエステル樹脂の加水分解安定性を
向上する方法が開示されている。また、特許第3131949
号公報には、熱可塑性ポリエステル系樹脂(A)と、球
状強化材(B)と、重量平均フレーク径が50〜700
ミクロンで同アスペクト比が20〜300の板状強化材
(C)と、繊維状強化材(D)と、スチレン/ブタジエ
ン/アクリルニトリル共重合体、アクリル系弾性体及び
ジエン系弾性体から選ばれる1種類以上の非晶質重合体
(E)とを含有するポリエステル樹脂組成物が開示され
ている。さらに特許第2663718号公報には、(i)芳香族ポ
リカーボネート樹脂、(ii)ポリアルキレンテレフタレー
ト樹脂、および(iii)ASTM D 1238により決定
されたメルトフローインデックス(MFI)が23〜6
0g/10分である高密度ポリエチレンから成り、この
組成物から成形された成形品が延性衝撃破壊を示し、上
記(i)/(ii)/(iii)の重量比が65〜75/35〜25/
3〜5である熱可塑性成形用組成物が開示されている。
【0007】しかしながら、これらの公報に開示された
組成物では、成形物の外観、耐薬品性、耐加水分解性、
剛性などのバランスが必ずしも満足しうるものではな
く、また耐熱性・耐煮沸性が要求されるバスタブ(浴槽
およびユニットバス)用途に用いると必ずしも満足しう
るものが得られないという欠点があった。
【0008】
【発明の目的】本発明は、リサイクルが可能であり、か
つ、成形物の外観、耐薬品性を損なうことなく耐加水分
解性、剛性に優れたバスタブ(浴槽およびユニットバ
ス)を製造可能な熱可塑性樹脂樹脂組成物、および該樹
脂組成物を使用して成形された諸特性に優れた代表とす
る建築用成形体を提供することを目的としている。
【0009】
【発明の概要】本発明に係る建築用成形体は、少なくと
も1種の熱可塑性ポリエステル樹脂と、少なくとも1種
のポリカーボネート樹脂とからなる樹脂成分(A)と、
エポキシ化合物(B)と、強化材(C)とを含み、エポ
キシ化合物(B)の量が、樹脂成分(A)100重量部
に対し、0.1〜20重量部の範囲にあり、強化材
(C)の量が、樹脂成分(A)100重量部に対し、5
〜60重量部の範囲で配合されていることを特徴として
いる。
【0010】また、本発明に係る建築用成形体は、少な
くとも1種の熱可塑性ポリエステル樹脂と、少なくとも
1種のポリカーボネート樹脂とからなる樹脂成分(A)
と、エポキシ化合物(B)と、強化材(C)と、炭素−
リン直接結合を含まず、かつアルカリ金属陽イオン、ア
ルカリ土類金属陽イオンおよびハロゲン陰イオンの少な
くとも1種を含有する塩からなる触媒化合物(D)とを
含み、エポキシ化合物(B)の量が、樹脂成分(A)1
00重量部に対し、0.1〜20重量部の範囲にあり、
強化材(C)の量が、樹脂成分(A)100重量部に対
し、5〜60重量部の範囲にあり、触媒化合物(D)
が、エポキシ化合物(B)に対して、0.01〜2重量
%の割合で配合されていることを特徴としている。
【0011】前記熱可塑性ポリエステル樹脂は、脂肪族
ジオール、脂環式ジオール、芳香族ジオールまたはそれ
らの混合物から誘導される構成単位と、脂肪族ジカルボ
ン酸、脂環族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸または
それらの混合物から誘導された構成単位とからなるポリ
エステル樹脂であることが好ましい。
【0012】前記ポリカーボネート樹脂は、芳香族ポリ
カーボネート樹脂および/または芳香族ポリ(エステル-
カーボネート)樹脂であることが好ましい。樹脂成分
(A)中のポリエステル樹脂(a-1)およびポリカーボネ
ート(a-2)の量は、樹脂成分(A)の合計を100重量%と
したときに、ポリエステル樹脂(a-1)の量が10〜90
重量%、ポリカーボネート(a-2)の量が10〜90重量
%の範囲にあることが好ましい。
【0013】熱可塑性ポリエステル樹脂としては、具体
的には、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフ
タレート、ポリエチレンナフタレートの1種以上が好ま
しい。また、ポリカーボネート樹脂としては、芳香族ポ
リカーボネート樹脂および/または芳香族ポリ(エステ
ル-カーボネート)樹脂であることが好ましい。
【0014】前記エポキシ化合物が、ビスフェノールA
型エポキシ樹脂を含むことが好ましい。前記強化材が球
状強化材、板状強化材、または繊維状強化材の少なくと
も1種であることが好ましく、特に、ガラスビーズ、ガ
ラスフレーク、マイカまたはガラス繊維の少なくとも1
種である。
【0015】また、前記触媒化合物としては、臭化カリ
ウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、フッ化リチウ
ム、酢酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、安息香酸
ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、アスコルビン酸
ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、臭化ドデシルト
リメチルアンモニウムおよびそれらの混合物が好まし
い。
【0016】本発明に係る建築用成形体は、前記記載の
熱可塑性樹脂組成物からなり、成形体としては、浴槽お
よびユニットバスが好適である。前記建築用成形体の成
形方法は、熱可塑性樹脂組成物から、成形体を成形する
際に、金型温度を、当該熱可塑性樹脂組成物を構成する
熱可塑性ポリエステル樹脂およびポリカーボネート樹脂
のガラス転移温度以上に加熱して、射出成形することを
特徴としている。
【0017】このような本発明によれば、リサイクルが
可能であるとともに、従来の熱可塑性樹脂製バスタブと
同程度に、成型性・加工性に優れ、しかも熱硬化性樹脂
製バスタブと同程度に機械的強度および耐煮沸性・耐熱
性に優れたバスタブを作製することができる。
【0018】
【発明の具体的説明】以下、本発明について、具体的に
説明する。[熱可塑性樹脂組成物]本発明に係る熱可塑
性樹脂組成物は、少なくとも1種の熱可塑性ポリエステ
ル樹脂(a-1)と、少なくとも1種のポリカーボネート樹
脂(a-2)とからなる樹脂成分(A)と、エポキシ化合物
(B)と、強化材(C)と、炭素−リン直接結合を含ま
ず、かつアルカリ金属陽イオン、アルカリ土類金属陽イ
オンおよびハロゲン陰イオンの少なくとも1種を含有す
る塩からなる触媒化合物(D)とを含む。
【0019】樹脂成分(A) ポリエステル樹脂(a-1) 本発明で使用されるポリエステル樹脂(a-1)は、一般
に、2〜10個の炭素原子を有する脂肪族ジオール、脂
環族ジオールまたはそれらの混合物と、少なくとも1種
の芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジ
カルボン酸とから誘導されるものである。
【0020】ジオールとしては、ジオール成分として
は、好ましくはエチレングリコール、プロピレングリコ
ール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、
1,5-ペンタンジグリコール、1,6-ヘキサンジオールなど
の炭素数2〜10の脂肪族ジオール、シクロヘキサンジ
オール、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族ジオ
ールが挙げられ、それらの一部を分子量400〜600
0の長鎖グリコール、すなわち、ポリエチレングリコー
ル、ポリテトラメチレングリコールなど、及びそれらの
混合物などで置換してもよい。
【0021】芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル
酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6-ナフタレンジカルボ
ン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸(あるいは、そのエ
ステル形成性誘導体)、1,2-ジ(p-カルボキシフェニ
ル)エタン、4,4-ジカルボキシジフェニルエーテルな
ど、およびそれらの混合物が挙げられる。好ましくはテ
レフタル酸を80モル%以上含むことが望ましい。脂環
族ジカルボン酸としては、デカヒドロナフタレンジカル
ボン酸、ノルボルネンジカルボン酸、ビシクロオクタン
ジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸または
これらの誘導体が挙げられ、最も好ましくは、1,4-シク
ロヘキサンジカルボン酸あるいはその誘導体である。脂
肪族ジカルボン酸としては、アジピン酸、アゼライン
酸、ドデカンジカルボン酸およびコハク酸のような直鎖
ジカルボン酸が挙げられる。
【0022】これらのジカルボン酸は、アルキルエステ
ル(たとえばジアルキルエステル、ジアリールエステ
ル)、無水物、塩類、酸クロライド、酸ブロマイドなど
の誘導体が含まれていてもよい。好適なポリエステル樹
脂は、脂肪族ジオールと芳香族ジカルボン酸から誘導さ
れるものであって、
【0023】
【化1】
【0024】(式中、nは2〜6の整数である)によっ
て表わされる反復単位を有している。このうち、最も好
適なポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リ(1,4-ブチレンテレフタレート)およびそれらの混合
物である。本発明においてはまた、脂肪族の酸および
(または)脂肪族ポリオールから誘導された少量(たと
えば0.5〜約5重量%)の単位が上記のポリエステル
中に含有されて成るコポリエステルも使用可能である。
この場合の脂肪族ポリオールとしては、ポリエチレング
リコールのようなグリコール類が挙げられる。このよう
なポリエステルは、たとえば、米国特許第246531
9号および3047539号の明細書中に記載された方
法に従って製造することができる。
【0025】本発明では、別の好適なポリエステルとし
て、1,4−シクロヘキサンジメタノールのシスまたは
トランス異性体(あるいはそれらの混合物)などの脂環
族ポリエステルをイソフタル酸およびテレフタル酸の混
合物と反応させることによって得られるものも使用でき
る。このポリエステルは、式:
【0026】
【化2】
【0027】によって表わされる反復単位を有してい
る。更に別の好適なポリエステルは、シクロヘキサンジ
メタノール、アルキレングリコールおよび芳香族ジカル
ボン酸から誘導されるコポリエステルである。これらの
コポリエステルを製造するためには、たとえば、1,4
−シクロヘキサンジメタノールのシスまたはトランス異
性体(あるいはそれらの混合物)およびアルキレングリ
コールと芳香族ジカルボン酸とを縮合させればよい。そ
の結果、式
【0028】
【化3】
【0029】によって表わされる反復単位を有してい
る。本発明ではまた、少なくとも一部の単量体がポリオ
キシエチレンまたはポリオキシブチレンのような柔軟セ
グメント単位を含有しているような重合体も使用可能で
ある。このような重合体はポリエチレングリコール、カ
プロラクトン、またはポリオキシアルキレンセグメント
を含有するジカルボン酸のごとき化合物を重合反応中に
混在させることによって製造することができるのであっ
て、こうして得られた重合体はゴム弾性を有している。
この種のポリエステルの実例としては、デュポン(DuPon
t)社およびゼネラル・エレクトリック・カンパニー(Gen
eral Electric Company)からそれぞれハイトレル(HYTRE
L)およびロモド(LOMOD)の商品名で入手し得るものが挙
げられる。
【0030】以上のようなポリエステル樹脂の中でも、
特に本発明では、ポリブチレンテレフタレート、ポリエ
チレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノー
ルテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好適で
ある。本発明で使用可能なポリエステル樹脂は商業的に
入手することが可能であり、また公知の方法(たとえ
ば、米国特許第2901466号明細書中に開示された
方法)によって製造することができる。本発明において
使用されるポリエステルは、フェノールとテトラクロロ
エタンとの60:40重量比混合物または類似の溶剤中
において23〜30℃で測定した場合に0.4〜2.0
dl/gの固有粘度を有している。ポリエステル樹脂の重量
平均分子量は10000〜150000、好ましくは1
5000〜100000の範囲にあるものが望ましい。
【0031】ポリエステル樹脂のガラス転移温度は20
〜80℃、好ましくは30〜70℃にあるものが望まし
い。 ポリカーボネート樹脂(a-2) 本発明において使用されるポリカーボネート樹脂(a-2)
は、芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体と
を反応させて得られる芳香族ホモポリカーボネートまた
は芳香族コポリカーボネートである。
【0032】カーボネート系樹脂は一般に、下記式
(1)で示される繰り返し構造単位を有するものであ
る。
【0033】
【化4】
【0034】(上記式中、Aは芳香族ジヒドロキシ化合
物から誘導される2価の残基である) 芳香族ジヒドロキシ化合物としては、官能基であるヒド
ロキシ基を2個含有し、各ヒドロキシ基が芳香核の炭素
原子に直接接合した単核または多核の芳香族化合物が挙
げられる。芳香族ジヒドロキシ化合物として具体的に
は、下記式(2)で表されるビスフェノール化合物が例
示される。
【0035】
【化5】
【0036】このような式(2)で表される芳香族ジヒ
ドロキシ化合物として、具体的には、ビス(4-ヒドロキ
シフェニル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニ
ル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパ
ン(いわゆるビスフェノールA)、2,2-ビス(4-ヒドロ
キシフェニル)ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニ
ル)オクタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)フェニル
メタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-1-メチルフェニル)
プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-t-ブチルフェニ
ル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-ブロモフェ
ニル)プロパン、2,2-(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフ
ェニル)プロパンなどのビス(ヒドロキシアリール)ア
ルカン類;1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロペ
ンタン、1,1-(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン
などのビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;
4,4'-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4'-ジヒドロ
キシ-3,3'-ジメチルフェニルエーテルなどのジヒドロキ
シアリールエーテル類;4,4'-ジヒドロキシジフェニル
スルフィド、4,4'-ジヒドロキシ-3,3'-ジメチルフェニ
ルスルフィドなどのジヒドロキシジアリールスルフィド
類;4,4'-ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4'-
ジヒドロキシ-3,3'-ジメチルジフェニルスルホキシドな
どのジヒドロキシジアリールスルホキシド類;4,4'-ジ
ヒドロキシジフェニルスルホン、4,4'-ジヒドロキシ-3,
3'-ジメチルジフェニルスルホンなどのジヒドロキシジ
アリールスルホン類などを挙げることができるが、これ
らに限定されるものではない。
【0037】これら芳香族ジヒドロキシ化合物のうち、
特に2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビス
フェノールA)が好ましく用いられる。また、上記式
(2)以外の芳香族ジヒドロキシ化合物として、下記式
(3)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物を使用する
こともできる。
【0038】
【化6】
【0039】(ここで、Rfはそれぞれ独立して、炭素
数1〜10個の炭化水素基、該炭化水素基の1以上がハ
ロゲン原子で置換されたハロゲン化炭化水素基、または
ハロゲン原子であり、pは0〜4の整数である) このような化合物としては、たとえばレゾルシン;およ
び3-メチルレゾルシン、3-エチルレゾルシン、3-プロピ
ルレゾルシン、3-ブチルレゾルシン、3-t-ブチルレゾ
ルシン、3-フェニルレゾルシン、3-クミルレゾルシン、
2,3,4,6-テトラフルオロレゾルシン、2,3,4,6-テトラブ
ロモレゾルシンなどの置換レゾルシン;カテコール;ヒ
ドロキノン、および3-メチルヒドロキノン、3-エチルヒ
ドロキノン、3-プロピルヒドロキノン、3-ブチルヒドロ
キノン、3-t-ブチルヒドロキノン、3-フェニルヒドロ
キノン、3-クミルヒドロキノン、2,3,5,6-テトラメチル
ヒドロキノン、2,3,5,6-テトラ−t−ブチルヒドロキノ
ン、2,3,5,6-テトラフルオロヒドロキノン、2,3,5,6-テ
トラブロモヒドロキノンなどの置換ヒドロキノンなどが
挙げられる。
【0040】また、上記式(2)以外の芳香族ジヒドロ
キシ化合物として、次式
【0041】
【化7】
【0042】で表される2,2,2',2'-テトラヒドロ-3,3,
3',3'-テトラメチル-1,1'-スピロビ−[1H−インデ
ン]-7,7'-ジオールを用いることもできる。これらの芳
香族ジヒドロキシ化合物は、単独で用いてもよく、ま
た、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、ポリ
カーボネートは、線状のものであっても、分岐を有する
ものであってもよい。また線状ポリカーボネートと分岐
状ポリカーボネートのブレンド物あってもよい。
【0043】このような分岐ポリカーボネートは、多官
能性芳香族化合物を芳香族ジヒドロキシ化合物およびカ
ーボネート前駆体と反応させることにより得られる。こ
のような多官能性芳香族化合物の代表例は、米国特許明
細書第3,028,385号、第3,334,154号、第4,001,124号お
よび第4,131,576号に記載されており、具体的には、1,
1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル) エタン、2,2',2"-
トリス(4-ヒドロキシフェニル)ジイソプロピルベンゼ
ン、α-メチル-α,α',α'-トリス(4-ヒドロキシフェニ
ル)-1,4-ジエチルベンゼン、α,α',α"-トリス(4-ヒド
ロキシフェニル)-1,3,5-トリイソプロピルベンゼン、フ
ロログリシン、4,6-ジメチル-2,4,6-トリ(4-ヒドロキシ
フェニル)-ヘプタン-2、1,3,5-トリ(4-ヒドロキシフェ
ニル) ベンゼン、2,2-ビス-[4,4-(4,4'-ジヒドロキシフ
ェニル)-シクロヘキシル]-プロパン、トリメリット酸、
1,3,5-ベンゼントリカルボン酸、ピロメリット酸などが
挙げられる。これらのうち、1,1,1-トリス(4-ヒドロキ
シフェニル)エタン、α,α',α"-トリス(4-ヒドロキシ
フェニル)-1,3,5-トリイソプロピルベンゼンなどが好ま
しく用いられる。
【0044】このポリカーボネート樹脂の塩化メチレン
中、25℃で測定した固有粘度は、特に制限されるもの
ではなく、目的とする用途、および成型性を鑑み適宜選
択されるが、通常、0.26dl/g以上、好ましくは0.
30dl/g〜0.98dl/g、さらに好ましくは 0.34d
l/g〜0.64dl/gの範囲にあり、粘度平均分子量に換
算した場合、通常、10000以上、好ましくは120
00〜50000、さらに好ましくは14000〜30
000の範囲にあることが望ましい。また、複数の異な
る個有粘度のポリカーボネート樹脂を混合して使用でき
る。
【0045】ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度は
135〜170℃、好ましくは145〜160℃にある
ものが望ましい。本発明で使用されるポリカーボネート
樹脂は、公知の製造方法によって製造される。たとえ
ば、 芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体(た
とえば炭酸ジエステル)とを溶融状態でエステル交換反
応させて、ポリカーボネートを合成する方法(溶融
法)、 溶液中で芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート前
駆体(たとえばホスゲン)とを反応させる方法(界面
法)などが挙げられる。
【0046】これらの製造法については、たとえば特開
平2−175723号公報、特開平2-124934号公報、米国特許
第4,001,184号明細書、同第4,238,569号明細書、同第4,
238,597号明細書、同第4,474,999号明細書などに記載さ
れている。樹脂成分(A)中のポリエステル樹脂(a-1)
およびポリカーボネート(a-2)の量は、樹脂成分(A)
の合計を100重量%としたときに、ポリエステル樹脂(a-
1)の量が10〜90重量%、好ましくは40〜80重量
%、ポリカーボネート(a-2)の量が10〜90重量%、
好ましくは20〜60重量%の範囲にあることが望まし
い。
【0047】このようなポリエステルとポリカーボネー
トを双方含んでいることで、本発明によれば、リサイク
ルが可能であるとともに、機械的強度、成型性・加工
性、耐煮沸性・耐熱性などのバランスに優れた樹脂組成
物を得ることができる。特に上記組成範囲にあると、従
来の熱可塑性樹脂製バスタブと同程度に機械的強度、成
型性・加工性に優れ、しかも熱硬化性樹脂製バスタブと
同程度に耐煮沸性・耐熱性に優れたバスタブを作製可能
な樹脂組成物を得ることができる。
【0048】エポキシ化合物(B) エポキシ化合物としては、単官能性、二官能性、三官能
性または多官能性のエポキシ化合物などが特に制限無く
使用できる。なお、最も好適なものは単官能性および二
官能性のエポキシ化合物である。また、前記熱可塑性樹
脂との混合を容易にするため、当該エポキシ化合物は約
1000以下の分子量を有することが好ましい。
【0049】本発明で使用されるエポキシ化合物として
は、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、フェニル
グリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、t-ブ
チルフェニルグリシジルエーテル、3,4-エポキシシクロ
ヘキシルメチル-3',4'-エポキシシクロヘキシルカルボ
キシレート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメ
チル-3',4'-エポキシ-6'-メチルシクロヘキシルカルボ
キシレート、2,3-エポキシシクロヘキシルメチル-3',4'
-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、4-(3,4-エ
ポキシ-5- メチルシクロヘキシル)ブチル-3',4'-エポキ
シシクロヘキシルカルボキシレート、3,4-エポキシシク
ロヘキシルエチレンオキシド、シクロヘキシルメチル-
3,4- エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4-
エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル-6'-メチルシ
ロヘキシルカルボキシレート、ビスフェノールAジグリ
シジルエーテル、テトラブロモビスフェノールAグリシ
ジルエーテル、フタル酸のジグリシジルエステル、ヘキ
サヒドロフタル酸のジグリシジルエステル、ビス-エポ
キシジシクロペンタジエニルエーテル、ビス-エポキシ
エチレングリコール、ビス-エポキシシクロヘキシルア
ジペート、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)
アジペート、ブタジエンジエポキシド、テトラフェニル
エチレンエポキシド、オクチルエポキシタレート、エポ
キシ化ポリブタジエン、3,4-ジメチル-1,2-エポキシシ
クロヘキサン、3,5-ジメチル-1,2- エポキシシクロヘキ
サン、3-メチル-5-t-ブチル-1,2-エポキシシクロヘキサ
ン、オクタデシル-2,2-ジメチル-3,4-エポキシシクロヘ
キシルカルボキシレート、N-ブチル-2,2-ジメチル-3,4-
エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、シクロヘキ
シル-2-メチル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシ
レート、N-ブチル-2-イソプロピル-3,4-エポキシ-5-メ
チルシクロヘキシルカルボキシレート、オクタデシル-
3,4- エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、2-エ
チルヘキシル-3',4'-エポキシシクロヘキシルカルボキ
シレート、4,6-ジメチル-2,3-エポキシシクロヘキシル-
3',4'-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、4,5-
エポキシ無水テトラヒドロフタル酸、3-t-ブチル-4,5-
エポキシ無水テトラヒドロフタル酸、ジエチル-4,5-エ
ポキシ-シス-1,2-シクロヘキシルジカルボキシレート、
ジ-n-ブチル-3-t-ブチル-4,5-エポキシ-シス-1,2-シク
ロヘキシルジカルボキシレート、ビニルシクロヘキセン
ジエポキシド、アルキルグリシジルエーテル(たとえば
CH3-(CH2)n-O-CH2-CH(O)-CH2、主成分が n=11, 12、(O)
はエポキシ環)である混合物)エポキシノボラック樹
脂、アミンおよびアミドのグリシジル付加物、カルボン
酸のグリシジル付加物、不飽和エポキシドの重合体、並
びにジエンまたはポリエンのエポキシ化によって得られ
る化合物が挙げられる。
【0050】また、ポリエポキシ化合物としては、ポリ
(O−またはN−エポキシアルキル基で置換された)環
状アミド、イミドおよびイミド酸エステルであって、そ
れらは1個の非エポキシ環状部分を有するものが挙げら
れる。また、結合環部分または融合環部分を有する化合
物も使用可能である。エポキシ化合物(b)中には、環状
構造としては、トリアジン、バルビツル酸、ヒダントイ
ン、ウラシル、ピロメリト酸ジイミド、ピペラジンジオ
ンおよびパラバン酸の環構造を含んでいてもよい。エポ
キシ基を含有する官能基が窒素原子上の置換基として存
在しているエポキシ化合物であってもよい。このような
エポキシ化合物としては、トリグリシジルシアヌレート
およびトリグリシジルイソシアヌレート(TGIC)を
はじめとするトリアジン誘導体が挙げられる。
【0051】TGICは商業的に入手可能であり、下記
式で表される。
【0052】
【化8】
【0053】本発明では前記エポキシ化合物が、ビスフ
ェノールA型エポキシ化合物であることが好ましい。エ
ポキシ化合物(B)は、前記樹脂成分(A)100重量
部に対し、0.1〜20重量部、好ましくは1〜10重
量部の範囲にあることが望ましい。このような量でエポ
キシ化合物を含んでいると、ポリエステルおよびポリカ
ーボネートの加水分解による熱可塑性樹脂組成物の物性
低下が改善される。
【0054】強化材(C) 本発明に熱可塑性樹脂組成物には強化材が含まれてい
る。強化材としては、最終的に得られる成型体の機械的
強度を向上させ、剛性を付与するものであれば特に制限
はない。本発明では、強化材としては、球状強化材、板
状強化材、または繊維状強化材の少なくとも1種が好適
である。
【0055】球状強化材としては、ほぼ真球のものであ
り、通常はアルカリガラスビーズ、無アルカリガラスビ
ーズが使用される。好適には、熱可塑性ポリエステルの
分解を極力抑えるため無アルカリガラスビーズが使用さ
れ、さらに、熱可塑性ポリエステルと球状強化材との密
着性を向上させるため、シラン系カップリング剤、チタ
ン系カップリング剤等、たとえば、γ-アミノプロピル
トリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミ
ノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチ
ル)-γ-アミノプロピルジメトキシメチルシランなどの
如きアミノシラン系;γ-グリシドキシプロピルトリメ
トキシシラン、γ-グリリシドキシプロピルエトキシシ
ラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメ
トキシシランなどのエポキシシラン系:イソプロピルト
リステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシル
ベンゼンスルホニルチタネート、テトライソプロピルビ
ス(ジオクチルホスファイト)チタネートなどのチタン
系カップリング剤等のカップリング剤で表面処理された
ものが好ましい。
【0056】球状強化材の重量平均粒径は0.1〜50
0ミクロン、特に好ましくは5〜200ミクロンが、成
形時のそり変形防止の効果や成形品の外観を悪化させな
いためにも好ましい。本発明で用いられる板状強化材
は、重量平均フレーク径が40〜800ミクロンで同ア
スペクト比が10〜400の極めて薄い板状強化材であ
り、通常、アルカリガラスフレーク、無アルカリガラス
フレーク、金マイカ、黒マイカ、白マイカ、絹マイカか
ら選ばれる。好適には、ポリエステルの分解を極力抑え
るために無アルカリガラスフレーク、金マイカ、黒マイ
カ、白マイカ、絹マイカが好ましい。また前記球状強化
材と同様に、樹脂成分(A)ポリエステルと板状強化材
との密着性を向上させるため、前述のシラン、チタン等
のカップリング剤で表面処理させてもよい。このような
板状強化材を含んでいると、成形時のそり変形防止効果
に優れ、成形品の外観も良好である。
【0057】本発明で用いられる繊維状強化材は、ガラ
ス繊維、炭素繊維から選ばれ、好ましくは重量平均アス
ペクト比が10以上のものである。また、樹脂成分
(A)と繊維状強化材との密着性を向上させるため、前
述のシラン、チタン等のカップリング剤で処理させても
よい。さらに繊維状強化材の集束性を上げるためウレタ
ン系、エポキシ系等の集束剤で処理されたものが好まし
い。
【0058】本発明では、球状強化材、板状強化材、及
び繊維状強化材として、ガラスビーズ、ガラスフレー
ク、マイカまたはガラス繊維が好適である。これらの強
化材は2種以上組み合わせて使用してもよい。強化材の
使用量としては、樹脂成分(A)100重量部に対し、
5〜60重量部、好ましくは10〜40重量部の範囲に
あることが望ましい。
【0059】このような使用量の範囲にあれば、耐熱
性、機械的性質、成形時のそり変形防止などの効果に優
れた成型品を製造することができる。触媒化合物(D) 触媒化合物(D)は前記エポキシ化合物(B)の硬化触媒
として機能するものである。好適には、触媒化合物は、
炭素−リン直接結合を含まずかつアルカリ金属陽イオ
ン、アルカリ土類金属陽イオンおよびハロゲン陰イオン
の少なくとも1者を含有する塩である。
【0060】触媒化合物(D)として具体的には、アル
カリ金属ハロゲン化物、アルカリ金属カルボン酸塩、ア
ルカリ金属エノラート、アミンハロゲン化水素酸塩、ア
ルカリ金属炭酸塩および第四級アンモニウムハロゲン化
物が挙げられる。より具体的には、フッ化リチウム、ヨ
ウ化リチウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、リン酸
二水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウ
ム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、
アスコルビン酸ナトリウムおよび臭化ドデシルトリメチ
ルアンモニウムが挙げられる。
【0061】本発明では、前記触媒化合物が、臭化カリ
ウム、ヨウ化カリウム、リン酸二水素ナトリウム、ステ
アリン酸ナトリウムが好ましい。触媒化合物(D)は、
エポキシ化合物(B)に対して、0.01〜2重量%、
好ましくは0.05〜1.5重量%の割合で配合されて
いることが好ましい。このような量で配合されていれ
ば、ポリエステルおよびポリカーボネートの加水分解に
よる熱可塑性樹脂組成物の物性低下に対する改善が、エ
ポキシ化合物のみの場合よりさらに効果的である。
【0062】必要に応じて、本発明の組成物にはヒンダ
ードフェノール酸化防止剤を含有していてもよい。具体
的には、テトラキス(メチレン-3-(3',5'-ジ-tert-ブ
チル-4'-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタ
ン、オクタデシル-3-(3',5'-ジ-tert-ブチル-4'-ヒド
ロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5-トリメチル-
2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベン
ジル)ベンゼン、4,4'-(2,2-ジフェニルプロピル)ジ
フェニルアミン、エトキシル化アリールフェノールのエ
ステル、2,2'-チオジエチルビス(3-(3,5-ジ-tert-ブ
チル-4-ヒドロキシフェニル))プロピオネート、オク
タデシル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシン
ナメート、および、それらの任意の混合物が挙げられ
る。最も好適なのは、イルガノックス(IRGANOX) 1076
として商業的に入手可能なオクタデシル-3,5-ジ-tert-
ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナメート、およびイル
ガノックス1010として商業的に入手可能なテトラキス
(メチレン-3-(3',5'-ジ-tert-ブチル-4'-ヒドロキヒ
シフェニル)プロピオネート)メタンである。
【0063】また本発明の組成物には、染料、顔料、安
定剤、可塑剤、補強剤、難燃剤、滴下抑制剤、核生成
剤、ゴム系耐衝撃性向上剤などの公知の添加剤を添加し
てもよい。これらの添加剤の添加量としては、たとえば
樹脂組成物の流動性、混練性を阻害しない範囲であれば
特に制限されるものではない。樹脂組成物の調製 本発明に係る熱可塑性樹脂組成物を製造するための方法
に特に制限はなく、通常の方法が特に制限無く使用可能
であり、通常溶融混合法が好適に採用される。少量の溶
剤の使用も可能であるが、一般に必要はない。装置とし
ては特に押出機、バンバリーミキサー、ローラー、ニー
ダー等を例として挙げることができる。これら装置を回
分的または連続的に運転することができる。また、成分
の混合順序は特に限定されない。
【0064】たとえば、ポリエステル樹脂、ポリカーボ
ネート樹脂、強化材および触媒化合物と共にエポキシ化
合物を押出配合機内に投入し、次いで混合物を高温に加
熱して押出したのちペレタイズすることによって成形用
ペレットが製造される。また、エポキシ化合物をポリエ
ステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、強化材および触媒
化合物と常温で混合した後、得られた混合物を加熱ロー
ル上で混連したのち、得られたシート状成型物を細断し
てもよい。
【0065】さらに、ポリエステル樹脂、ポリカーボネ
ート樹脂、強化材および触媒化合物とエポキシ化合物と
を混合した後、混合物を加熱し、そして配合兼成形用の
装置を用いて直接に成形品を製造することもできる。さ
らにまた、ポリエステル樹脂あるいはポリカーボネート
樹脂を製造する際に、製造の最終工程においてエポキシ
化合物を混入させておいてもよい。
【0066】特に好適な方法としては、ポリエステル樹
脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ化合物および触媒
化合物の配合が完了した後に、強化材が添加される。こ
のために、第1の押出機においてポリエステル樹脂、ポ
リカーボネート樹脂、エポキシ化合物および触媒化合物
を配合し、次いで第2の押出機において押出物を強化材
と配合すればよい。あるいはまた、このような配合を1
台の押出機において行うこともできる。そのためには、
押出機の上流側の供給口からポリエステル樹脂、ポリカ
ーボネート樹脂、エポキシ化合物および触媒化合物を添
加し、次いで押出機の下流側の供給口から強化材を添加
すればよい。
【0067】混合時の加熱温度はポリカーボネート樹
脂、ポリエステル樹脂が何れも溶融ししかも、均一に混
合できる温度、さらに成分が劣化しない温度であれば特
に制限されることはない。 [成型品]本発明に係る成型品は、前記した熱可塑性樹
脂組成物からなることを特徴としている。特に前記した
熱可塑性樹脂組成物は、建築用成型品に好適である。
【0068】建築用成型品としては、キッチンカウンタ
ー、ベッド、床材、壁材、タイル、洗面所、テーブル、
バスタブなどが挙げられる。特に、前記した熱可塑性樹
脂組成物から形成された成形品は、外観、耐薬品性に優
れ、耐熱性、耐煮沸性に優れ、しかも機械的特性にも優
れているので、バスタブ(浴槽およびユニットバス)に
好適である。
【0069】このような成型品は、成形体を成形する際
に、金型温度を、当該熱可塑性樹脂組成物を構成する熱
可塑性ポリエステル樹脂およびポリカーボネート樹脂の
ガラス転移温度以上に加熱して、射出成形することによ
り製造することができる。
【0070】
【発明の効果】本発明に係る樹脂組成物を使用すれば、
外観、耐薬品性、耐加水分解性、剛性のバランスに優れ
た建築用成型品を得ることができる。とくにこのような
本発明に係る樹脂組成物を使用すると、耐熱性・耐煮沸
性に優れた成型品を得ることができるので、浴槽および
ユニットバスなどのバスタブに好適に適用できる。
【0071】また、本発明に係る樹脂組成物は、熱可塑
性樹脂からなるので、リサイクルが可能であり、廃棄物
処理・資源再利用という点からも優れている。
【0072】
【実施例】以下、本発明について実施例により、さらに
詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定
されるものではない。なお、実施例では以下の材料を使
用した。 (a-1)ポリエステル ポリブチレンテレフタレート(ゼネラル・エレクトリッ
ク・カンパニーからバロックス(VALOX)195および
315の名称で販売されているポリ(1,4−ブチレン
テレフタレート) (a-2)ポリカーボネート ポリカーボネート(ゼネラル・エレクトリック・カンパ
ニーからレキサン(LEXAN)ML-4365の名称で販売されて
いるポリカーボネート) (B)エポキシ化合物 エポキシ1:ビスフェノールAジグリシジルエーテル エポキシ2:アルキルグリシジルエーテル(CH3-(CH2)n
-O-CH2-CH(O)-CH2、主成分が n=11, 12、(O)はエポキシ
環)である混合物)) (C)強化剤 ガラスファイバー (D)触媒化合物 ステアリン酸ナトリウム (E)その他 エチレンエチルアクリレート樹脂 イルガノックス(IRGANOX) 1076およびイルガノックス10
10(ごく微量配合)
【0073】
【実施例1〜3、比較例1〜2】上記材料のうち、ガラ
スファイバーを除く各種原料を、表1に記載の量割合で
予め均一にドライブレンドした後、二軸押出機を用い
て、ガラスファイバーを他のフィーダーから添加しなが
ら、溶融混練し、冷却後切断して成形用樹脂組成物のペ
レットを得た。
【0074】この樹脂組成物について、必要な特性、特
に加水分解した後の特性を満足しているかどうかを確認
するため、以下の試験を行った。温水試験および物性測定: イニシャル(初期)と92℃
×4週間浸漬後、以下の方法を用いて物性を測定した。
【0075】衝撃強度:ASTM D-256、ノッチ付 引張強度:ASTM D-638 曲げ強度および曲げ弾性率:ASTM D-790 結果を表1に合わせて示す。
【0076】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 69/00 C08L 69/00 Fターム(参考) 2D032 AB02 4F071 AA43 AA50 AB28 AC19 AF04 AF14 AH03 BB05 BC04 4J002 CD05Y CD06Y CD10Y CD12Y CD13Y CD14Y CD16Y CD18Y CD19Y CF03W CF04W CF05W CF06W CF07W CF08W CF10W CG01X CG04X DJ057 DL007 EL026 EL036 EL046 FA017 FA047 FA087 FB137 FB147 FB177 FB187 FD017 FD03Y FD036 GL00

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも1種の熱可塑性ポリエステル樹
    脂と、少なくとも1種のポリカーボネート樹脂とからな
    る樹脂成分(A)と、 エポキシ化合物(B)と、 強化材(C)とを含み、 エポキシ化合物(B)の量が、樹脂成分(A)100重
    量部に対し、0.1〜20重量部の範囲にあり、 強化材(C)の量が、樹脂成分(A)100重量部に対
    し、5〜60重量部の範囲で配合されていることを特徴
    とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】少なくとも1種の熱可塑性ポリエステル樹
    脂と、少なくとも1種のポリカーボネート樹脂とからな
    る樹脂成分(A)と、 エポキシ化合物(B)と、 強化材(C)と、 炭素−リン直接結合を含まず、かつアルカリ金属陽イオ
    ン、アルカリ土類金属陽イオンおよびハロゲン陰イオン
    の少なくとも1種を含有する塩からなる触媒化合物
    (D)とを含み、 エポキシ化合物(B)の量が、樹脂成分(A)100重
    量部に対し、0.1〜20重量部の範囲にあり、 強化材(C)の量が、樹脂成分(A)100重量部に対
    し、5〜60重量部の範囲にあり、 触媒化合物(D)が、エポキシ化合物(B)に対して、
    0.01〜2重量%の割合で配合されていることを特徴
    とする熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】前記熱可塑性ポリエステル樹脂が、脂肪族
    ジオール、脂環式ジオール、芳香族ジオールまたはそれ
    らの混合物から誘導される構成単位と、 脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、芳香族ジカ
    ルボン酸またはそれらの混合物から誘導された構成単位
    とからなるポリエステル樹脂であることを特徴とする請
    求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】前記ポリカーボネート樹脂が、芳香族ポリ
    カーボネート樹脂および/または芳香族ポリ(エステル-
    カーボネート)樹脂であることを特徴とする請求項1〜
    3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】樹脂成分(A)中のポリエステル樹脂(a-
    1)およびポリカーボネート(a-2)の量は、樹脂成分
    (A)の合計を100重量%としたときに、ポリエステル樹
    脂(a-1)の量が10〜90重量%、ポリカーボネート(a-
    2)の量が10〜90重量%の範囲にあることを特徴とす
    る請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成
    物。
  6. 【請求項6】前記エポキシ化合物として、ビスフェノー
    ルA型エポキシ樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜
    5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  7. 【請求項7】前記強化材が球状強化材、板状強化材、ま
    たは繊維状強化材の少なくとも1種であることを特徴と
    する請求項1〜6のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成
    物。
  8. 【請求項8】前記触媒化合物が、臭化カリウム、ヨウ化
    カリウム、ヨウ化リチウム、フッ化リチウム、酢酸ナト
    リウム、カプロン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、
    ステアリン酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、
    リン酸二水素ナトリウム、臭化ドデシルトリメチルアン
    モニウムおよびそれらの混合物であることを特徴とする
    請求項1〜7のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  9. 【請求項9】請求項1〜8のいずれかに記載の熱可塑性
    樹脂組成物からなる建築用成形体。
  10. 【請求項10】成形体が浴槽およびユニットバスである
    ことを特徴とする請求項9に記載の成形体。
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