JP2002326331A - 車輌外装材に適する合成樹脂成形品およびインサート成形用シート状成形体 - Google Patents

車輌外装材に適する合成樹脂成形品およびインサート成形用シート状成形体

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JP2002326331A
JP2002326331A JP2002033604A JP2002033604A JP2002326331A JP 2002326331 A JP2002326331 A JP 2002326331A JP 2002033604 A JP2002033604 A JP 2002033604A JP 2002033604 A JP2002033604 A JP 2002033604A JP 2002326331 A JP2002326331 A JP 2002326331A
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sheet
molding
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Tetsuya Aihara
哲也 相原
Mitsuru Doteguchi
満 土手口
Hirobumi Takashima
博文 高嶋
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Teijin Chemicals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 車輌外装材に適し、かつ多様な色彩において
も良好な耐候性を有するインサート成形品を得るのに好
適なインサート成形用シート状成形体を提供する。 【解決手段】 (A)熱可塑性樹脂組成物からなるシー
ト状成形体(構成体A)と、主に芳香族ポリカーボネー
ト樹脂とゴム質重合体の組成物からなる、(B)熱可塑
性樹脂組成物からなる成形体(構成体B)を積層した構
成を有する成形品であって、その成形品の表面は鉛筆硬
度HB以上および表面光沢80%以上であることを特徴
とする車輌外装材に適する樹脂成形品、並びに透明層お
よび着色層が隣接積層してなる着色多層シート状成形体
であり、該着色多層シート状成形体の鉛筆硬度がHB以
上、および表面光沢が80%以上である、インサート成
形用シート状成形体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定の表面特性を
もつ熱可塑性樹脂シート状成形体と芳香族ポリカーボネ
ート樹脂組成物とからなる成形体を積層した構成を有す
る車輌外装材に適する合成樹脂成形品に関する。更に詳
しくは、少なくとも片面が鉛筆硬度HB以上、表面光沢
80%以上(Gs(60°))の表面特性を有する熱可
塑性樹脂シート状成形体と特定のゴム質共重合体を含む
芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を積層一体化するこ
とで、表面硬度、表面鮮映性、耐侯性および低温での衝
撃強度に優れたことを特徴とする車輌外装材に適する合
成樹脂成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】車輌外装材として合成樹脂材料を使用す
る場合、軽量性およびデザインの自由度などの特性が期
待されている。近年はそれらの特性に加え、環境負荷の
低減を目的として、リサイクルしやすい材料や無塗装化
を可能とする材料(塗装レス材料)などが求められてい
る。特に塗装レス材料は、有機溶剤の大気中の放出や水
質汚染などを低減させるだけでなく、またリサイクルし
やすい材料をも提供する。すなわち、塗装レス材料は、
そのまま再生しても塗装剤による特性低下がなく、また
塗装を除去する工程を必要としない。しかしながら車輌
外装材として近年増加しつつある合成樹脂材料は、いず
れも表面硬度、表面鮮映性、耐侯性などの要求特性を十
分に満足できず、依然として塗装されたものが多いのが
現状である。かかる現状は、次世代の自動車開発におい
て重要な課題の1つである環境負荷の低減に対して未だ
十分とは言えない。
【0003】特開平7−60786号公報または特開平
7−60787号公報には、ポリカーボネートシートを
所定形状に切断して、金型キャビティの片面に装着後、
複合強化スチレン系成形材料または複合強化ポリカーボ
ネート材料を該ポリカーボネートシート上に射出注入
し、積層してなる合成樹脂成形品が開示されている。し
かしながらこれらの合成樹脂成形品は、ポリカーボネー
トシートが表面の傷付き性や耐候性において十分でない
ことから、自動車の外装材として使用するにはその表面
を塗装する必要があった。すなわち十分な塗装レス材料
を達成したものではなかった。また、車輌外装材は衝撃
強度、特に低温における面衝撃強度が重要となるが、上
記公報に記載された発明は、この点においても十分とい
えるものではなかった。
【0004】一方、塗装レスで屋外での使用が可能な樹
脂積層体についても種々の提案がなされている。例え
ば、特開平7−81019号公報では特定厚みのポリア
リレートフィルムを積層してなるポリカーボネート積層
体が開示されている。この場合、耐候性などの面では優
れるが、低温での衝撃強度が低く、車輌外装材として使
用するには未だ十分とはいえない場合があった。
【0005】以上のように、塗装レスの場合でも塗装並
みの光沢感を持ち、且つ表面の傷付き性、耐候性に優
れ、更に低温での衝撃強度、リサイクルのしやすさなど
を満足する車輌外装材に適する合成樹脂成形品は得られ
ていないのが実情である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、塗装
レスの場合でも表面の傷付き性、耐候性、光沢感に優
れ、且つ低温での衝撃強度、リサイクルのしやすさなど
にも優れた車輌外装材に適する合成樹脂成形品を提供す
ることにある。
【0007】本発明の更なる目的は、表面の傷付き性、
光沢感、および耐衝撃性に優れ、かつ多様な色彩におい
ても良好な耐候性を有するインサート成形品を得るのに
好適なインサート成形用シート状成形体を提供すること
にある。
【0008】本発明者は、かかる目的を達成すべく鋭意
検討した。そのためには基体となる成形体の表層に硬度
が高く、表面光沢に優れた樹脂層を設けた積層構造体と
することが適切であると考えた。しかしながら表面に硬
度の高い層を設けると衝撃強度が大幅に低下した。この
ため、衝撃強度の良好な材料を基体となる成形体に適用
したが、成形体単独では良好な衝撃特性を有していても
積層体にした場合には必ずしも十分な衝撃強度が達成で
きないことが見出された。本発明者は更に検討をすす
め、特定のゴム成分を有するポリカーボネート樹脂組成
物からなる成形品が、硬度の高い層を設けた場合にあっ
ても良好な特性を満足できるものであることを見出し、
本発明に到達した。
【0009】更に本発明は鋭意検討の中で、表面の傷付
き性、光沢感、および耐衝撃性に優れ、かつ多様な色彩
においても良好な耐候性を有するインサート成形品を得
るのに好適なインサート成形用シート状成形体を完成し
たものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、(A)熱可塑
性樹脂組成物からなるシート状成形体(構成体A)と
(B)熱可塑性樹脂組成物からなる成形体(構成体B)
を積層した構成を有する成形品であって、(i)該成形
品の少なくとも1つの表面は構成体Aからなり、かつか
かる構成体Aからなる成形品の表面は鉛筆硬度HB以上
および表面光沢80%以上(Gs(60°))であり、
(ii)該構成体Bが、:その熱可塑性樹脂組成物
(B成分)100重量%中、(b1)芳香族ポリカーボ
ネート樹脂(b1成分)50〜97重量%、(b2)ゴ
ム質重合体30〜90重量%と芳香族ビニル化合物、シ
アン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合
物から選ばれた少なくとも1種の成分10〜70重量%
との合計100重量%を共重合してなる共重合体樹脂
(b2成分)3〜45重量%、並びに(b3)ゴム質重
合体の含有量が30重量%未満であるスチレン系樹脂
(b3成分)0〜15重量%を含んでなり、かつ:該
b2成分と該b3成分のB成分中の組成割合に応じた組
成物において、そのQ値(体積流量)が温度260℃、
荷重1470Nで0.15×10-63/s以下である
ことを特徴とする車輌外装材に適する合成樹脂成形品に
係るものである。
【0011】本発明は、好適には、構成体Aが、透明層
と着色層が隣接積層した少なくとも2層からなるシート
状成形体であり、その透明層側を成形品表面側とする上
記合成樹脂成形品にかかるものである。
【0012】更に本発明は、より好適には、構成体Aの
成形品表面側の透明層がポリアリレート樹脂、ポリアリ
レート樹脂とポリエチレンテレフタレート樹脂とのポリ
マーアロイ、ポリアリレート樹脂と芳香族ポリカーボネ
ート樹脂とのポリマーアロイ、メチルメタクリレート樹
脂、またはポリエチレンテレフタレート樹脂のいずれか
の透明樹脂からなる上記合成樹脂成形品にかかるもので
ある。
【0013】本発明は、好適には、構成体Aの着色層が
ポリアリレート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、芳香族
ポリカーボネート樹脂から選択される少なくとも1種か
らなる樹脂、または芳香族ポリカーボネート樹脂とスチ
レン系樹脂とのポリマーアロイのいずれかの着色された
樹脂である上記合成樹脂成形品にかかるものである。
【0014】更に本発明は、より好適には、構成体Aの
着色層が粘度平均分子量20,000〜35,000の
着色された芳香族ポリカーボネート樹脂である上記合成
樹脂成形品にかかるものである。
【0015】本発明は、好適には、構成体Aは、透明層
と着色層が隣接積層した少なくとも2層からなるシート
状成形体であり、構成体A全体の厚みが0.05〜1.
5mmであり、透明層の厚み/着色層の厚みの比が10
/90〜90/10である上記合成樹脂成形品にかかる
ものである。
【0016】本発明は、好適には、b2成分は、ブタジ
エン成分の含有量が60〜90重量%のABS樹脂であ
る上記合成樹脂成形品にかかるものである。
【0017】本発明は、好適には、b3成分は、AS樹
脂(アクリロニトリル−スチレン共重合体からなる樹
脂)である上記合成樹脂成形品にかかるものである。
【0018】本発明は、好適には、B成分が更に強化充
填材(b4成分)をB成分100重量%中1〜25重量
%含んでなる上記合成樹脂成形品にかかるものである。
【0019】本発明は好適には、構成体Aを金型キャビ
ティ内にインサートし、B成分を金型キャビティ内に射
出成形により充填し構成体Bを形成することにより製造
された上記合成樹脂成形品にかかるものである。
【0020】本発明は、(A)熱可塑性樹脂組成物から
なるシート状成形体(構成体A)と(B)熱可塑性樹脂
組成物からなる成形体(構成体B)を積層してなる厚み
が3〜5mmの成形品であって、その少なくとも一方の
表面が鉛筆硬度HB以上および表面光沢80%以上(G
s(60°))であり、更にかかる表面の側に−30℃
下で高速面衝撃試験による衝撃を与えた時の破壊エネル
ギーが50J以上であることを特徴とする車輌外装材に
適する合成樹脂成形品にかかるものである。
【0021】本発明は、透明層および着色層が隣接積層
してなる着色多層シート状成形体であり、該着色多層シ
ート状成形体の鉛筆硬度がHB以上、および表面光沢が
80%以上(Gs(60°))であり、かつ該透明層を
構成する樹脂組成物は0.3重量%を超え10重量%以
下の紫外線吸収剤を含有してなるインサート成形用シー
ト状成形体に係るものである。
【0022】本発明の好適な態様の1つは、上記透明層
を構成する樹脂組成物は、その樹脂成分100重量%
中、ポリアリレート樹脂100〜50重量%およびポリ
エチレンテレフタレート樹脂0〜50重量%からなる上
記インサート成形用シート状成形体である。
【0023】本発明の好適な態様の1つは、上記紫外線
吸収剤は、TGA(熱重量解析)における5%重量減少
温度が300℃以上である上記インサート成形用シート
状成形体である。
【0024】本発明の好適な態様の1つは、上記紫外線
吸収剤は、下記一般式(1)で示されるベンゾトリアゾ
ール系化合物である上記インサート成形用シート状成形
体である。
【0025】
【化2】
【0026】(式中Xは水素原子、ハロゲン原子、また
はいずれも炭素原子数が20以内のアルキル基、アリー
ル基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基
またはアラルキルオキシ基を表わし、R1およびR2は独
立していずれも炭素原子数が20以内のアルキル基また
はアラルキル基を表わし、Yはベンゾトリアゾリルフェ
ノール基を二個連結するための二価の有機基をあらわ
す。)
【0027】本発明の好適な態様の1つは、上記着色層
を構成する樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂および
ポリエチレンテレフタレート樹脂から選ばれた少なくと
も1種の樹脂の組成物である上記インサート成形用シー
ト状成形体である。
【0028】更に本発明は、上記インサート成形用シー
ト状成形体を金型キャビティ内にインサートし、熱可塑
性樹脂組成物を金型キャビティ内に射出成形により充填
し、インサート成形用シート状成形体の着色層側に該熱
可塑性樹脂組成物からなる成形体を積層することにより
製造されたインサート成形品に係るものである。
【0029】本発明の好適な態様の1つは、上記のイン
サート成形用シート状成形体の着色層側に積層される熱
可塑性樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂を主体とす
る熱可塑性樹脂組成物である上記インサート成形品であ
る。
【0030】以下に本発明の車輌外装材に適する合成樹
脂成形品について、詳細な説明を行う。
【0031】本発明で使用される(A)熱可塑性樹脂組
成物からなるシート状成形体(構成体A)は、少なくと
もその一方の面が、積層してなる成形品において、鉛筆
硬度HB以上、表面光沢80%以上(Gs(60°))
の表面特性を有するものである。かかる表面特性を積層
した構成を有する成形品において達成するためには、構
成体Aの少なくとも一方の面が鉛筆硬度HB以上を満足
する必要がある。また着色層を有する場合には、構成体
Aの透明層側において表面光沢80%以上(Gs(60
°))を有するものが必要とされる。
【0032】本発明における鉛筆硬度はJIS K 5
400の鉛筆引っかき試験、光沢度はJIS K 71
05に準拠した光沢度の測定方法(標準ガラス板の光沢
度を100%とする)に従い、測定するものである。な
お、成形品の表面における鉛筆硬度がHB以下であると
表面硬度が不足し、表面光沢が80%以下(Gs(60
°))であると光沢感が不足するため、かかる表面特性
を有しないシート状成形体は不適である。鉛筆硬度とし
てはF以上がより好ましい。表面光沢としては90%以
上がより好ましく、更に好ましくは100%以上であ
る。
【0033】構成体Aにいうシート状成形体とは、厚み
が1.5mm以下の実質的に肉厚が均一の成形体をい
う。具体的には例えば、シート、シートを加工して形状
を付与したもの、および各種成形方法(射出成形、押出
成形、圧縮成形、回転成形、ブロー成形など)により得
られた厚み1.5mm以下で実質的に均一な肉厚を有す
る成形体をいう。好ましくはシート、およびシートを加
工して形状を付与したものである。シート状成形体を安
定して製造でき、また多層化することも比較的容易なた
めである。
【0034】構成体Aの表面は、平滑面の他、エンボス
加工などにより表面に凹凸を有するものも選択できる。
光沢がより要求される場合には平滑面が好ましい。表面
の凹凸は強度や構成体Aと構成体Bとの密着性などの点
で有利な場合がある。
【0035】構成体Aは1層構造、および2層以上が積
層された構造のいずれの構造も選択できる。しかしなが
ら本発明の構成体Aとしてより好ましい態様としては、
透明層と着色層が隣接積層した少なくとも2層からなる
シート状成形体が挙げられる。より好ましいのは透明層
と着色層が隣接積層した2層からなるシート状成形体で
ある。これらの積層構造を有する構成体Aでは、透明層
が合成樹脂成形品の表面を形成することでより良好な光
沢を達成できる。構成体Aにおいて3層以上が積層され
る場合としては、例えば異なる透明樹脂が2層以上積層
される場合や、異なる着色層が2層以上積層される場合
などが挙げられる。
【0036】構成体Aにおける透明層は、JIS K7
105に準拠して測定された光線透過率が80%以上で
あり、またそのヘーズが5%以下であるものをいう。一
方着色層は、JIS K7105に準拠して測定された
光線透過率が50%以下であるものが好ましい。
【0037】構成体Aの厚みは0.05〜1.5mmで
あり、好ましくは0.2〜1.0mmである。厚みが
0.05mmに満たない場合には光沢や表面硬度などの
耐久性に劣る。また好ましい態様である透明層と着色層
が隣接積層した少なくとも2層からなるシート状成形体
では、着色層の隠蔽力が不十分となりやすく、着色の自
由度が低下する。構成体Aの厚みが1.5mmを超える
場合には、合成樹脂成形体の衝撃強度が低下する。
【0038】本発明の好ましい態様である透明層と着色
層が隣接積層した少なくとも2層からなるシート状成形
体においては、透明層の厚み/着色層の厚みの比が10
/90〜90/10が好ましく、より好ましくは30/
70〜70/30である。
【0039】本発明の構成体Aとして好ましい態様であ
るシートおよびシートを加工して形状を付与したものの
製造法について説明する。シートの製造方法としては、
層を構成する熱可塑性樹脂をTダイより溶融押出する方
法、カレンダー成形法、溶剤キャスティングする方法、
およびインフレーション法などを挙げることができる。
【0040】構成体Aが複数の層からなる場合には共押
出などの方法で2層以上からなる構成体Aを得ることが
できる。また独立に得られたシートをプレスラミネート
することも可能である。またシート間にウレタン系など
のホットメルト型接着剤を含む構成も可能である。上記
の中でも溶融共押出による方法が好ましい。またシート
はそのシートの製造時またはシートの製造後延伸加工し
たものであってもよい。延伸加工は特に結晶性を有する
熱可塑性樹脂を使用する場合に、耐薬品性や強度の向上
などが図られる。シートを加工して形状を付与する方法
としては、熱プレス成形や真空成形などを挙げることが
できる。更にかかるシートには必要に応じて、印刷層や
金属薄膜層(意匠性、熱線反射性、電磁波遮蔽性などを
目的とする)などを設けたものも使用できる。
【0041】一方シートおよびシートを加工して形状を
付与したもの以外で、且つ2層以上からなる構成体Aの
製造方法としては2色成形法などが挙げられる。
【0042】本発明の構成体Aとして好ましい態様であ
る透明層と着色層が隣接積層した少なくとも2層からな
るシート状成形体において透明層として使用される熱可
塑性樹脂について説明する。本発明の好適な態様とし
て、構成体Aの透明層が、ポリアリレート樹脂、ポリア
リレート樹脂とポリエチレンテレフタレート樹脂とのポ
リマーアロイ、ポリアリレート樹脂と芳香族ポリカーボ
ネート樹脂とのポリマーアロイ、メチルメタクリレート
樹脂、またはポリエチレンテレフタレート樹脂のいずれ
かの透明樹脂からなる場合が挙げられる。これらはいず
れも上記表面硬度および光沢を満足し、また入手も容易
な樹脂だからである。
【0043】より好ましいのはポリアリレート樹脂、ポ
リアリレート樹脂とポリエチレンテレフタレート樹脂と
のポリマーアロイ、またはポリエチレンテレフタレート
樹脂のいずれかの透明樹脂である。ポリエチレンテレフ
タレート樹脂の場合には延伸加工すると硬度および耐薬
品性などが向上するため、延伸加工したものが好まし
い。更にポリアリレート樹脂とポリエチレンテレフタレ
ート樹脂とのポリマーアロイは延伸加工することなく良
好な硬度、光沢、光沢保持性、および衝撃強度などが達
成できるため好適な態様として挙げることができる。す
なわち本発明の更に好適な態様として、構成体Aの成形
品表面側の透明層が、ポリアリレート樹脂とポリエチレ
ンテレフタレート樹脂とのポリマーアロイおよび延伸加
工されたポリエチレンテレフタレート樹脂のいずれかの
透明樹脂からなる場合が挙げられる。上記各樹脂の詳細
については後述する。
【0044】本発明の構成体Aとして好ましい態様であ
る透明層と着色層が隣接積層した少なくとも2層からな
るシート状成形体において着色層として使用される熱可
塑性樹脂について説明する。本発明の好適な態様とし
て、構成体Aの着色層がポリアリレート樹脂、芳香族ポ
リエステル樹脂、芳香族ポリカーボネート樹脂から選択
される少なくとも1種からなる樹脂、または芳香族ポリ
カーボネート樹脂とスチレン系樹脂とのポリマーアロイ
のいずれかの着色された樹脂である場合が挙げられる。
かかる着色層の芳香族ポリエステル樹脂としてはポリエ
チレンテレフタレート樹脂が好適である。これらはいず
れも着色層に期待される構成体Bとの密着性や合成樹脂
成形品の強度向上に対し効果的なためである。
【0045】中でも芳香族ポリカーボネート樹脂を含む
場合がより好ましい。これは構成体Bとの密着性がより
良好であり強度にも優れるためである。更に好ましいの
は粘度平均分子量20,000〜35,000の着色さ
れた芳香族ポリカーボネート樹脂の場合である。かかる
樹脂は光沢の保持性および耐衝撃性のバランスに優れる
ためである。尚、上記各樹脂の詳細については後述す
る。
【0046】着色剤としては種々のものが使用できる
が、特に有機染料については比較的耐熱性が良好なもの
が好ましい。好適な有機染料としては、アンスラキノン
系染料、ペリノン系染料、キノリン系染料、ペリレン系
染料、クマリン系染料、チオインジゴ系染料、チオフェ
ン系染料などを挙げることができる。
【0047】更に着色剤の配合割合としては着色層の熱
可塑性樹脂組成物100重量%中0.01〜15重量%
が好ましく、0.05〜5重量%がより好ましく、0.
05〜3重量%が更に好ましい。かかる範囲であれば良
好な色相と衝撃強度が達成される。
【0048】次に構成体Bについて説明する。本発明の
構成体Bは、:その熱可塑性樹脂組成物(B成分)1
00重量%中、(b1)芳香族ポリカーボネート樹脂
(b1成分)50〜97重量%、(b2)ゴム質重合体
30〜90重量%と芳香族ビニル化合物、シアン化ビニ
ル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物から選ば
れた少なくとも1種の成分10〜70重量%との合計1
00重量%を共重合してなる共重合体樹脂(b2成分)
3〜45重量%、並びに(b3)ゴム質重合体の含有量
が30重量%未満であるスチレン系樹脂(b3成分)0
〜15重量%を含んでなり、かつ:該b2成分と該b
3成分のB成分中の組成割合に応じた組成物において、
そのQ値(体積流量)が温度260℃、荷重1470N
で0.15×10-63/s以下であることを特徴とす
るものである。
【0049】本発明はかかる条件およびを満足する
B成分を構成体Bとして使用することにより、表面硬度
の高い層を表層とした積層体においても良好な衝撃強度
を達成するものである。
【0050】B成分を構成するb1成分、b2成分、お
よび任意にb3成分の組成割合について説明する。B成
分100重量%当たり、b1成分が50〜97重量%、
b2成分が3〜45重量%、b3成分が0〜15重量%
である。b3成分は主として構成体Bの流動性を調整す
るために使用される。好ましくは、B成分100重量%
当たりb1成分が60〜95重量%、b2成分が5〜3
0重量%、b3成分が0〜10重量%である。
【0051】b1成分が50重量%未満またはb2成分
が45重量%を超える場合には、十分な機械的強度、耐
熱性が得られない。また、b1成分が95重量%を超え
るかまたはb2成分が5重量%未満の場合には、構成体
Aと積層一体化した場合の低温衝撃強度が低下する。さ
らにb3成分が15重量%を超えた場合にも、積層一体
化した場合の低温衝撃強度が低下する。
【0052】B成分に使用されるb1成分、b2成分、
およびb3成分の詳細については後述する。
【0053】ここで特定のQ値の場合に良好な特性が達
成できる理由は次のように予想される。Q値はゴム質重
合体を多く含むほど、およびゴム質重合体に共重合され
る成分の分子量が大きいほど、樹脂の流れ性が悪くなる
ため小さくなる。ゴム質重合体の量は直接的に衝撃強度
の向上に影響する。一方ゴム質重合体に共重合された成
分の分子量は界面における芳香族ポリカーボネート樹脂
との絡み合いに影響する。分子量が高いほど絡み合いが
多くなり良好な界面の強度が達成されると予想される。
すなわちゴム質重合体の量およびゴム質重合体に共重合
された成分の分子量のバランスが良好な場合に、良好な
衝撃強度が達成されると考えられ、かかるバランスの指
標としてQ値が適切であると予想される。
【0054】本発明でいうQ値(体積流量)はJIS
K 7199に記載されている方法で、内径(D)=
1.0mm、長さ(L)10mmのキャピラリィー管を
使用して測定したものである。
【0055】本発明におけるb2成分とb3成分のB成
分中の組成割合に応じた組成物において、温度260
℃、荷重1470NでのそのQ値(体積流量)は0.1
5×10-63/s以下であり、好ましくは0.12×
10-63/s以下、更に好ましくは0.10×10-6
3/s以下である。一方その下限としては、0.00
1×10-63/s以上であることが好ましく、0.0
05×10-63/s以上であることが更に好ましい。
かかるQ値が0.15×10-63/sを超えると、熱
可塑性樹脂シートと積層した場合に低温衝撃強度が低下
し、改良効果が見られなくなる。上記下限値以上の場合
には、溶融混練時の分散性やB成分の流動性も良好であ
る。
【0056】本発明のb2成分のゴム質重合体として特
に好ましいのはポリブタジエンゴム成分である。したが
って本発明のb2成分としては、b2成分中のブタジエ
ン成分の含有量が30〜90重量%の共重合体樹脂が好
適に挙げられ、より好ましくはb2成分中のブタジエン
成分が50〜90重量%、更に好ましくは55〜85重
量%の共重合体樹脂が挙げられる。またb1成分、b2
成分、および任意にb3成分の合計100重量%中、ブ
タジエン成分は3〜25重量%含まれることが好まし
く、より好ましくは4〜15重量%である。
【0057】本発明のb2成分のゴム質重合体に共重合
する成分としてより好ましいのはアクリロニトリルとス
チレンから実質的になる共重合体(以下AS成分と称す
る場合がある)、およびメチルメタクリレートから実質
的になる重合体(以下PMMA成分と称する場合があ
る)である。これらはb1成分との親和性に優れ、界面
強度が良好であるため、衝撃強度(特に低温での面衝撃
強度)において有利なためである。より好ましいのはA
S成分である。AS成分の場合、アクリロニトリル成分
とスチレン成分の比率は(アクリロニトリル成分/スチ
レン成分(重量比))、20/80〜30/70が好ま
しい。尚、実質的になるとは、少量の共重合成分を含ん
でよいことを意味する。特にPMMA成分の場合には、
その成形加工性を改良するため、メチルアクリレートや
エチルアクリレートなどのアクリル酸エステル成分を共
重合したものが好ましい。かかるアクリル酸エステル成
分の共重合の比率としてはPMMA成分100重量%
中、5〜30重量%が好ましい。
【0058】上記より、本発明のb2成分の好ましい態
様として、ポリブタジエン成分からなるゴム質重合体を
30〜90重量%、好ましくは50〜90重量%、更に
好ましくは55〜85重量%含み、AS成分を共重合し
て得られたアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共
重合体樹脂(以下ABS樹脂と称する場合がある)を挙
げることができる。更にそのAS成分中のアクリロニト
リル成分/スチレン成分(重量比)の比率は20/80
〜30/70が好ましい。
【0059】更に本発明のb2成分として好適なABS
樹脂においては、ゴム粒子の平均粒子径(重量平均粒子
径)は0.1〜5.0μmが好ましく、より好ましくは
0.2〜3.0μm、更に好ましくは0.3〜0.9μ
mである。かかるゴム粒子径の分布は単一の分布である
ものおよび2山以上の複数の山を有するもののいずれも
が使用可能であり、更にそのモルフォロジーにおいても
ゴム粒子が単一の相をなすものであっても、ゴム粒子の
周りにオクルード相を含有することによりサラミ構造を
有するものであってもよい。より好ましいのは、ゴム粒
子径の分布が狭く、単一相をなすゴム粒子の割合が多い
ものである。
【0060】またABS樹脂の重合の際に発生するポリ
ブタジエン成分にグラフトされないAS成分(フリーの
AS成分)を含有するものであってもよい。かかるフリ
ーAS成分の分子量は、GPC測定(ゲルパーミエーシ
ョンクロマトグラフィー測定)により算出された重量平
均分子量(Mw)で表わして10,000〜500,0
00が好ましく、50,000〜200,000がより
好ましい。なお、ここで示す重量平均分子量は、標準ポ
リスチレン樹脂による較正直線を使用したGPC測定に
よりポリスチレン換算の値として算出されたものであ
る。
【0061】本発明のb2成分のABS樹脂は、塊状重
合、懸濁重合、乳化重合のいずれの方法で製造されたも
のでもよいが、より好ましくは乳化重合により製造され
たものである。ABS樹脂のポリブタジエンとしては乳
化重合および溶液重合の方法で製造されたものでもよい
が、より好ましくは乳化重合により製造されたものであ
る。尚、上記の乳化重合として、ソープフリー重合、
(多段)シード重合、二段階膨潤法などにより製造され
たものでもよい。
【0062】本発明のb3成分の効果は主としてb1成
分およびb2成分からなる樹脂組成物の流動性を改良
し、所定の成形加工性を得ることにある。本発明の主た
る対象である車輌外装材などの大型成形品は高い流動性
が要求される場合が多い。本発明のスチレン系樹脂と
は、芳香族ビニル化合物をその重合体成分として含む重
合体または共重合体からなる樹脂をいう。b3成分のス
チレン系樹脂は、かかる樹脂100重量%中30重量%
未満のゴム質重合体を含有するものであってもよい。か
かる樹脂であっても上記のb3成分に期待される効果は
十分に達成されるためである。かかるスチレン系樹脂の
具体例については後述する。
【0063】本発明のb3成分としては、b1成分の芳
香族ポリカーボネート樹脂やb2成分のABS樹脂との
親和性に優れるものがよい。親和性に優れるものほどそ
れらの成分との界面の密着性が良好となり、低温での衝
撃強度(特に面衝撃強度)において有利となるからであ
る。好適なb3成分としては、アクリロニトリル・スチ
レン共重合体樹脂(以下AS樹脂と称することがあ
る)、およびアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン
共重合体樹脂(以下ABS樹脂と称することがある)を
挙げることができる。
【0064】かかるAS樹脂およびABS樹脂のいずれ
も、そのアクリロニトリル成分とスチレン成分との比率
(アクリロニトリル成分/スチレン成分(重量比))は
20/80〜30/70が好ましい。かかる範囲におい
てはb1成分との親和性がより良好となり密着性が高ま
るためである。また同様の理由からb2成分もかかる比
率のAS成分を有するABS樹脂が好適であるため、b
2成分との親和性も良好となる。またb3成分のABS
樹脂はそのブタジエン成分が25重量%以下が好まし
く、20重量%以下であることがより好ましい。
【0065】b3成分のAS樹脂およびABS樹脂の分
子量は本発明のb2成分とb3成分のB成分中の組成割
合に応じた組成物において所定のQ値を満足するもので
あれば特に制限はされない。しかしながら流動性の改良
が主たる目的であることからある程度分子量が低めのも
のが好ましい。すなわち、AS樹脂の分子量はGPC測
定により算出された重量平均分子量(Mw)で表わして
10,000〜500,000が好ましく、50,00
0〜200,000がより好ましい。
【0066】ABS樹脂の場合にも同様に可溶分、すな
わちブタジエン成分にグラフトされないフリーのAS成
分に対して同様の測定を行い算出された重量平均分子量
(Mw)で表わして10,000〜500,000が好
ましく、50,000〜200,000がより好まし
い。
【0067】上記b3成分のAS樹脂およびABS樹脂
は、塊状重合、懸濁重合、乳化重合のいずれの方法で製
造されたものでもよく、また共重合の方法も一段で共重
合しても、多段で共重合してもよい。
【0068】本発明の構成体BをなすB成分は、更に強
化充填材(b4成分)を含むものであってもよい。強化
充填材は、本発明の構成体Bの線膨張係数を改良するた
め好ましく添加されるものである。また強化充填材を添
加することにより剛性および強度の向上も図ることがで
きる。ここで強化充填材としては、タルク、マイカ、ワ
ラストナイト、クレー、酸化チタン、チタン酸カリウム
ウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、ガラス繊
維(チョップドストランド)、ガラス短繊維(ミルドフ
ァイバー)、ガラスビーズ、ガラスバルーン、炭素繊
維、金属被覆炭素繊維、炭素短繊維、耐熱有機繊維、金
属繊維、炭酸カルシウムなどが挙げられ、特に好ましく
はワラストナイト、およびタルクである。ワラストナイ
トおよびタルクの詳細については後述する。
【0069】また本発明の構成体BをなすB成分はb1
成分〜b3成分以外の他の熱可塑性樹脂を本発明の効果
を損なわない範囲で含むものであってもよい。かかる割
合としてはポリアリレート樹脂や芳香族ポリエステル樹
脂などのb1成分との相溶性が良好な樹脂においてはB
成分中30重量%以下が目安となり、ポリメチルメタク
リレート樹脂などの相溶性の悪い樹脂では20重量%以
下が目安となる。
【0070】本発明においては、特に繊維状強化充填材
の溶融混練中の折れを抑制し、より高い剛性や低線膨張
率を達成するため折れ抑制剤を含むことが好ましい。ま
た繊維状以外の強化充填剤の場合においても、マトリッ
クス樹脂との密着性を低下させることで衝撃強度を向上
し、また強化充填剤の周囲にかかる折れ抑制剤が被覆さ
れることで、強化充填剤がマトリックス樹脂を熱分解さ
せることを防止できる。繊維状強化充填材を使用する場
合には折れ抑制剤を使用することが好ましい。
【0071】折れ抑制剤としては、(i)強化充填剤と
の間に反応性を有する官能基を含む滑剤、および(i
i)強化充填剤に予め表面被覆された滑剤から選択され
る成分が使用できる。中でも好適な折れ抑制剤として
は、カルボキシル基および/またはカルボン酸無水物基
を含有するオレフィンワックスが好ましく、α−オレフ
ィンと無水マレイン酸との共重合体が更に好ましい。か
かる折れ抑制剤の詳細については後述する。
【0072】本発明において強化充填材の組成割合は、
B成分100重量%当り、0.5〜30重量%が好まし
く、1〜25重量%がより好ましい。強化充填材が0.
5〜30重量%の範囲においては良好な衝撃強度を有
し、線膨張係数や剛性の改良が可能となる。
【0073】また折れ抑制剤の組成割合は、強化充填材
100重量部に対して、0.1〜20重量部が好まし
く、0.2〜10重量部がより好ましく、0.3〜5重
量部が更に好ましい。
【0074】本発明のB成分の製造方法には任意の方法
が採用される。例えばb1成分、b2成分および任意に
他の成分をそれぞれV型ブレンダー、ヘンシェルミキサ
ー、メカノケミカル装置、押出混合機などの予備混合手
段を用いて充分に混合した後、場合により押出造粒器や
ブリケッティングマシーンなどにより造粒を行い、その
後ベント式二軸ルーダーに代表される溶融混練機で溶融
混練、およびペレタイザーなどの機器によりペレット化
する方法が挙げられる。
【0075】他に、b1成分、b2成分および任意に他
の成分をそれぞれ独立にベント式二軸押出機に代表され
る溶融混練機に供給する方法や、b1成分、b2成分お
よび任意に他の成分を予備混合した後、残りの成分と独
立に溶融混練機に供給する方法なども挙げられる。特に
b4成分として繊維状の強化充填材を使用する場合に
は、溶融混練時の繊維の折れを防止する目的から、押出
機途中から溶融状態の樹脂中に供給する方法が好まし
い。尚、配合する成分に液状のものがある場合には、溶
融混練機への供給にいわゆる液注装置、または液添装置
を使用することができる。
【0076】本発明の合成樹脂成形品の構成は、特にシ
ート状成形体である構成体Aを金型キャビティー内にイ
ンサートするインサート射出成形に好適のものである
が、他の製造方法においてかかる構成を得ることも可能
である。インサート射出成形以外の方法としては、例え
ば、多層押出、インサート圧縮成形、多色成形、同時複
合成形(2箇所以上の点から金型キャビティ内に充填さ
れる方法)、およびサンドイッチ成形(1箇所の点から
金型キャビティ内に充填される方法)などの各種の複合
成形法を挙げることができる。
【0077】本発明の好適な合成樹脂成形品の製造方法
としては、構成体Aを金型キャビティ内にインサート
し、B成分を金型キャビティ内に射出成形により充填し
構成体Bを形成してなる製造方法が挙げられる。かかる
射出成形においては、更に作用を付加した種々の成形方
法も使用できる。かかる成形方法としては、射出圧縮成
形、射出プレス成形、超高速射出成形、ガスアシスト成
形、局所高温金型成形(断熱金型成形を含む)などが挙
げられる。本発明の合成樹脂成形品は比較的大型の成形
品となる場合が多いため、比較的低い充填圧力で成形が
可能となる射出プレス成形や、ガスアシスト成形などを
組合わせることが望ましい場合が多い。また樹脂の無駄
を省くためホットランナー成形が好適である。かかるホ
ットランナー成形のためには良好な熱安定性が必要とさ
れるが、本発明のB成分は熱安定性の点でも好ましい特
性を有する。
【0078】すなわち、本発明によれば構成体Aを金型
キャビティ内にインサートし、B成分を金型キャビティ
内に射出成形により充填し構成体Bを形成することによ
り製造された合成樹脂成形品が提供される。
【0079】本発明の合成樹脂成形品は、構成体Aおよ
び構成体Bを積層した構成を有する成形品であればよ
く、かかる成形品の効果を利用した更に別の層を積層し
た構成を有する成形品であってもよい。例えば構成体B
の側に更に弾性層を設けて遮音性を挙げるなどの構成が
可能である。
【0080】上記より本発明によれば、(A)熱可塑性
樹脂組成物からなるシート状成形体(構成体A)と
(B)熱可塑性樹脂組成物からなる成形体(構成体B)
を積層してなる厚みが3〜5mmの成形品であって、そ
の少なくとも一方の表面が鉛筆硬度HB以上および表面
光沢80%以上(Gs(60°))であり、更にかかる
表面の側に−30℃下で高速面衝撃試験による衝撃を与
えた時の破壊エネルギーが50J以上であることを特徴
とする車輌外装材に適する合成樹脂成形品が提供され
る。更に好適には55J以上、特に好適には60J以上
の合成樹脂成形品が提供される。かかる合成樹脂成形品
は、塗装レス材料であり従来以上の良好な低温での衝撃
特性を有するものである。
【0081】次に本発明に使用される樹脂などの各成分
の詳細について改めて説明する。
【0082】本発明に使用される芳香族ポリカーボネー
ト樹脂とは、二価フェノールとカーボネート前駆体とを
反応させて得られるものである。反応の方法としては界
面重縮合法、溶融エステル交換法、カーボネートプレポ
リマーの固相エステル交換法、および環状カーボネート
化合物の開環重合法などを挙げることができる。尚、本
発明において芳香族ポリカーボネート樹脂は、構成体A
の透明層および着色層における一態様として使用され、
また構成体Bをなす成分Bにおいて使用される。
【0083】二価フェノールの代表的な例としては、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通
称ビスフェノールA)、2,2−ビス{(4−ヒドロキ
シ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、9,9−
ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フル
オレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
3,3−ジメチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシク
ロヘキサンおよびα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)−m−ジイソプロピルベンゼンなどを挙げること
ができる。特に、構成体Aの着色層およびB成分におけ
るb1成分としては、ビスフェノールAの単独重合体が
好ましい。
【0084】カーボネート前駆体としてはカルボニルハ
ライド、カーボネートエステルまたはハロホルメートな
どが使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボ
ネートまたは二価フェノールのジハロホルメートなどが
挙げられる。
【0085】上記二価フェノールとカーボネート前駆体
を界面重縮合法または溶融エステル交換法によって反応
させて芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するに当って
は、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールの
酸化を防止するための酸化防止剤などを使用してもよ
い。また芳香族ポリカーボネート樹脂は三官能以上の多
官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート
樹脂であっても、芳香族または脂肪族の二官能性カルボ
ン酸を共重合したポリエステルカーボネート樹脂、ポリ
オルガノシロキサンを共重合したポリカーボネート−オ
ルガノシロキサン共重合体であってもよい。また、得ら
れた芳香族ポリカーボネート樹脂の2種以上を混合した
混合物であってもよい。三官能以上の多官能性芳香族化
合物としては、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフ
ェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)エタンなどが使用でき
る。
【0086】かかる分岐ポリカーボネート樹脂を生ずる
多官能性芳香族化合物の割合は、好ましくは0.005
〜0.5モル%、特に好ましくは0.01〜0.3モル
%である。また特に溶融エステル交換法の場合、副反応
として分岐構造が生ずる場合があるが、かかる分岐構造
量についても同様である。尚、かかる割合については 1
H−NMR測定により算出することが可能である。分岐
ポリカーボネート樹脂はその溶融粘弾性から特に構成体
Aの芳香族ポリカーボネート樹脂として適している。
【0087】界面重縮合法による反応では通常末端停止
剤が使用される。かかる末端停止剤として単官能フェノ
ール類を使用することができる。単官能フェノール類の
具体例としては、例えばフェノール、p−tert−ブ
チルフェノール、p−クミルフェノールおよびイソオク
チルフェノールが挙げられる。また、末端停止剤は単独
でまたは2種以上混合して使用してもよい。
【0088】溶融エステル交換法による反応ではフェノ
ール性の末端基を減少するために、重縮反応の後期ある
いは終了後に、例えば2−クロロフェニルフェニルカー
ボネート、2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカ
ーボネートおよび2−エトキシカルボニルフェニルフェ
ニルカーボネートなどの化合物を加えることができる。
【0089】さらに溶融エステル交換法では触媒の活性
を中和する失活剤を用いることが好ましい。かかる失活
剤の量としては、残存する触媒1モルに対して0.5〜
50モルの割合で用いるのが好ましい。
【0090】芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量は特
定されないが、構成体Aに使用される芳香族ポリカーボ
ネート樹脂およびB成分のb1成分として使用される芳
香族ポリカーボネート樹脂はそれぞれ以下の分子量を有
することが好ましい。
【0091】構成体Aに使用される芳香族ポリカーボネ
ート樹脂の分子量は、粘度平均分子量で表して10,0
00〜50,000が好ましく、20,000〜35,
000がより好ましく、22,000〜30,000が
更に好ましい。かかる範囲においてはシートを得るため
に十分な粘弾性特性を有する。一方b1成分として使用
される芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量は、粘度平
均分子量で表して10,000〜30,000が好まし
く、17,000〜27,000がより好ましく、2
0,000〜26,000が更に好ましい。b1成分に
は比較的良好な流動性が求められるためである。
【0092】また、芳香族ポリカーボネート樹脂の2種
以上を混合しても差し支えない。この場合粘度平均分子
量が上記範囲外であるポリカーボネート樹脂とを混合す
ることも当然に可能である。
【0093】特に粘度平均分子量が50,000を超え
る芳香族ポリカーボネート樹脂との混合物はエントロピ
ー弾性が高く、十分な溶融張力を有するためシートを押
出成形するのに好ましい特性を有する。またb1成分と
して使用する場合にもジェッティングなどに代表される
レオロジー挙動に基づく成形品の外観不良が生じくい特
徴、および安定したガスアシスト成形が可能となる特徴
などがある。これらの特徴が必要とされる場合には、適
切な態様である。
【0094】より好ましくは粘度平均分子量が80,0
00以上のポリカーボネート樹脂との混合物であり、更
に好ましくは100,000以上の粘度平均分子量を有
するポリカーボネート樹脂との混合物である。すなわち
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)な
どの測定法において2ピーク以上の分子量分布を観察で
きるものが好ましく使用できる。
【0095】本発明でいう粘度平均分子量はまず次式に
て算出される比粘度を塩化メチレン100mlにポリカ
ーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液からオ
ストワルド粘度計を用いて求め、 比粘度(ηSP)=(t−t0)/t0 [t0は塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下
秒数]求められた比粘度を次式にて挿入して粘度平均分
子量Mを求める。 ηSP/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]
は極限粘度) [η]=1.23×10-40.83 c=0.7
【0096】本発明の芳香族ビニル化合物としては、ス
チレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p
−メチルスチレン、ビニルキシレン、エチルスチレン、
ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、ビ
ニルナフタレン、メトキシスチレン、モノブロムスチレ
ン、ジブロムスチレン、フルオロスチレン、トリブロム
スチレンなどが挙げられ、特にスチレンが好ましい。こ
れらは単独または2種以上用いることができる。かかる
芳香族ビニル化合物は、構成体BのB成分におけるb2
成分およびb3成分の重合体成分の1つとして使用さ
れ、また構成体Aの着色層においてスチレン系樹脂の重
合体成分として使用される。
【0097】本発明のシアン化ビニル化合物としては、
アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げら
れ、特にアクリロニトリルが好ましい。これらは単独ま
たは2種以上用いることができる。かかるシアン化ビニ
ル化合物は、構成体BのB成分におけるb2成分および
b3成分の重合体成分の1つとして使用され、また構成
体Aの着色層においてスチレン系樹脂の重合体成分の1
つとして使用される。
【0098】本発明の(メタ)アクリル酸エステル化合
物としては、具体的にはメチル(メタ)アクリレート、
エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリ
レート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル
(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、
ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アク
リレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メ
タ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレー
ト、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)
アクリレートなどを挙げることができる。尚(メタ)ア
クリレートの表記はメタクリレートおよびアクリレート
のいずれをも含むことを示し、(メタ)アクリル酸エス
テルの表記はメタクリル酸エステルおよびアクリル酸エ
ステルのいずれをも含むことを示す。かかる(メタ)ア
クリル酸エステル化合物は、構成体BのB成分における
b2成分およびb3成分の重合体成分の1つとして使用
され、また構成体Aの着色層においてスチレン系樹脂の
重合体成分の1つとして使用される。
【0099】本発明のポリアリレート樹脂は、芳香族ジ
カルボン酸またはその誘導体と二価フェノールまたはそ
の誘導体とから得られるものである。ポリアリレートの
調製に用いられる芳香族ジカルボン酸としては、二価フ
ェノールと反応し満足な重合体を与えるものであればい
かなるものでもよく、1種または2種以上を混合して用
いられる。
【0100】好ましい芳香族ジカルボン酸成分として、
テレフタル酸、イソフタル酸が挙げられる。またこれら
の混合物であってもよい。
【0101】二価フェノール成分の具体例としては、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェ
ニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,
5−ジクロロフェニル)プロパン、4,4’−ジヒドロ
キシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフ
ェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルス
ルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、
4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、2,2’−
ビス(4ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロ
パン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘ
キサン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ハイドロ
キノンなどが挙げられる。これら二価フェノール成分は
パラ置換体であるが、他の異性体を使用してもよく、さ
らに二価フェノール成分にエチレングリコール、プロピ
レングリコール、ネオペンチルグリコールなどを併用し
てもよい。
【0102】上記の中でも好ましいポリアリレート樹脂
としては、芳香族ジカルボン酸成分がテレフタル酸およ
びイソフタル酸からなり、二価フェノール成分として
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビ
スフェノールA)からなるものが挙げられる。テレフタ
ル酸とイソフタル酸との割合は、テレフタル酸/イソフ
タル酸=9/1〜9/1(モル比)が好ましく、特に溶
融加工性、性能バランスの点で7/3〜3/7が望まし
い。
【0103】他の代表的なポリアリレート樹脂として
は、芳香族ジカルボン酸成分がテレフタル酸からなり、
二価フェノール成分がビスフェノールAおよびハイドロ
キノンからなるものが挙げられる。かかるビスフェノー
ルAとハイドロキノンとの割合は、ビスフェノールA/
ハイドロキノン=50/50〜70/30(モル比)が
好ましく、55/45〜70/30がより好ましく、6
0/40〜70/30が更に好ましい。
【0104】本発明におけるポリアリレート樹脂の粘度
平均分子量は約7,000〜100,000の範囲が物
性および押出加工性から好ましい。またポリアリレート
樹脂は界面重縮合法およびエステル交換反応法のいずれ
の重合方法も選択できる。
【0105】本発明のポリアリレート樹脂は、目的に応
じて前述の芳香族ポリカーボネート樹脂、または後述の
芳香族ポリエステル樹脂、殊にポリエチレンテレフタレ
ート樹脂と混合アロイ化して使用してもよい。これらの
ポリマーアロイについては後述する。本発明においてポ
リアリレート樹脂は、構成体Aの透明層および着色層に
おける一態様として使用され、また構成体Bをなす成分
Bにおいて含まれていてもよい。
【0106】本発明の芳香族ポリエステル樹脂は、芳香
族ジカルボン酸とジオール、またはそのエステル誘導体
とを主成分とする縮合反応により得られる重合体ないし
は共重合体である。
【0107】芳香族ジカルボン酸成分としては、テレフ
タル酸、イソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン
酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,5−アント
ラセンジカルボン酸、ビス安息香酸、2,6−アントラ
センジカルボン酸、4,4−ビフェニルエーテルジカル
ボン酸、4,4’−ビフェニルスルホンジカルボン酸
1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカル
ボン酸などを挙げることができる。更に共重合可能なジ
カルボン酸としてアジピン酸、ドデカン二酸、1,4−
シクロヘキサンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸
および脂環族ジカルボン酸を挙げることができる。これ
ら共重合可能なジカルボン酸は単独でも、2種類以上混
合しても用いることができる。これらの中でも特にテレ
フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましく
使用できる。
【0108】また本発明の芳香族ポリエステル樹脂のジ
オール成分としては、エチレングリコール、ジエチレン
グリコール、トリエチレングリコール、1,4−ブタン
ジオール、1,3−プロパンジオール、2,2’−ジメ
チル−1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキ
サンジメタノールなどを挙げることができる。さらに分
子量400〜6,000の長鎖ジオールを共重合しても
よい。これら共重合可能なグリコールは単独でも、2種
類以上を混合しても用いることができる。
【0109】具体的な芳香族ポリエステル樹脂として
は、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリ
プロピレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタ
レート樹脂(PBT)、ポリヘキシレンテレフタレート
樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)、ポリ
ブチレンナフタレート樹脂(PBN)、ポリエチレン−
1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカル
ボキシレート樹脂などの他、ポリエチレンイソフタレー
ト/テレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート
/イソフタレート樹脂などの共重合ポリエステルが挙げ
られる。
【0110】また本発明に使用される芳香族ポリエステ
ル樹脂の末端基構造は特に限定されるものではなく、末
端基における水酸基とカルボキシル基の割合がほぼ同量
の場合以外に、一方の割合が多い場合であってもよい。
カルボキシル基の割合が少ないものがより好適である。
【0111】本発明の芳香族ポリエステル樹脂の製造方
法については、常法に従い、チタン、ゲルマニウム、ア
ンチモンなどを含有する重縮合触媒の存在下に、加熱し
ながらジカルボン酸成分と前記ジオール成分とを重合さ
せ、副生する水または低級アルコールを系外に排出する
ことにより行われる。また本発明では、従来公知の重縮
合の前段階であるエステル交換反応において使用され
る、マンガン、亜鉛、カルシウム、マグネシウムなどの
化合物を併せて使用でき、およびエステル交換反応終了
後にリン酸または亜リン酸の化合物などにより、かかる
触媒を失活させて重縮合することも可能である。
【0112】芳香族ポリエステルの製造方法は、バッチ
式、連続重合式のいずれの方法をとることも可能であ
る。またその重合方法としては、溶融重縮合によりプレ
ポリマーを製造し、かかるプレポリマーの固体を固相重
合して高分子量化する方法が好適に挙げられる。
【0113】本発明の芳香族ポリエステル樹脂の分子量
については特に制限されないが、o−クロロフェノール
を溶媒として35℃で測定した固有粘度が0.5〜1.
5であるのが好ましく、特に好ましくは0.6〜1.2
である。
【0114】本発明において芳香族ポリエステル樹脂
は、構成体Aの透明層および着色層における一態様とし
て使用され、また構成体Bをなす成分Bにおいて含まれ
ていてもよい。
【0115】更に本発明の芳香族ポリエステル樹脂とし
ては、殊に構成体Aの樹脂として使用する場合ポリエチ
レンテレフタレート樹脂が好適である。本発明のポリエ
チレンテレフタレート樹脂とは、テレフタル酸あるいは
その誘導体と、エチレングリコールあるいはその誘導体
とから重縮合反応により得られる樹脂である。他のジカ
ルボン酸および/またはエチレングリコール以外のアル
キレングリコール成分が含まれてもよい。テレフタル酸
以外のジカルボン酸は、ジカルボン酸成分100モル%
中20モル%以下であり、10モル%以下が好ましい。
エチレングリコール以外のアルキレングリコール成分は
ジオール成分100モル%中0〜20モル%、0.1〜
10モル%が好ましい。
【0116】ポリエチレンフタレートの製造方法は、前
述の芳香族ポリエステル樹脂の場合と同様であるが、ポ
リエチレンテレフタレートにおいては特開2000−2
04145号公報に記載されている如く、プレポリマー
時のカルボキシル基末端量と水酸基末端量を適切な範囲
とすることが好ましい。
【0117】本発明で使用されるポリアリレート樹脂と
ポリエチレンテレフタレート樹脂とのポリマーアロイと
は、前述のポリアリレート樹脂およびポリエチレンテレ
フタレート樹脂のブレンド物、およびそれらの共重合体
を含むものである。両者の組成割合は目的によって任意
に決められるが、ポリアリレート樹脂/ポリエチレンテ
レフタレート樹脂=95/5〜40/60(重量%)が
好ましく、80/20〜50/50がより好ましい。上
記組成範囲を有する該ポリマーアロイはポリアリレート
樹脂単独時と同等の光沢や表面硬度を有し、かつ成形加
工温度を低くできるため好適な態様としてあげることが
できる。一方でポリエチレンテレフタレート樹脂が60
重量%を超えると、表面硬度などが低下してくる。本発
明においてポリアリレート樹脂とポリエチレンテレフタ
レート樹脂とのポリマーアロイは、構成体Aの透明層お
よび着色層における一態様として使用され、また構成体
Bをなす成分Bにおいて含まれていてもよい。
【0118】本発明で使用されるポリアリレート樹脂と
ポリカーボネート樹脂とのポリマーアロイとは、前述の
ポリアリレート樹脂およびポリカーボネート樹脂のブレ
ンド物、およびそれらの共重合体を含むものである。両
者の組成割合は目的によって任意に決められるが、ポリ
アリレート樹脂/ポリカーボネート樹脂=95/5〜4
0/60(重量%)が好ましく、95/5〜70/30
がより好ましい。上記組成範囲を有する該ポリマーアロ
イはポリアリレート樹脂単独時と同等の光沢や表面硬度
を有し、かつ成形加工温度を低くできるため好適な態様
としてあげることができる。一方でポリカーボネート樹
脂が60重量%を超えると、表面硬度などが低下してく
る。本発明においてポリアリレート樹脂とポリカーボネ
ート樹脂とのポリマーアロイは、構成体Aの透明層およ
び着色層における一態様として使用され、また構成体B
をなす成分Bにおいて含まれていてもよい。
【0119】本発明のポリメチルメタクリレート樹脂
は、メチルメタクリレートを主成分とする重合体または
共重合体をいう。共重合体の共重合成分としては、前述
した(メタ)アクリル酸エステル化合物が挙げられる。
ポリメチルメタクリレート樹脂中メチルメタクリレート
の組成割合としては、全重合体成分100重量%中、8
0重量%以上であり、85重量%以上が好ましく、90
重量%以上が更に好ましい。共重合成分としてはメチル
アクリレートが好適である。ポリメチルメタクリレート
樹脂の重合方法としては溶液重合、塊状重合、乳化重合
などの各種ラジカル重合の他、アニオン重合やグループ
トランスファー重合などの各種重合法が使用できる。更
にそれらにおいてリビング重合を行い得られた、分子量
分布の狭い樹脂なども使用できる。
【0120】さらにかかるポリメチルメタクリレート樹
脂は、JIS K7210により測定されるシリンダー
温度280℃、荷重21.2N(2.16kgf)での
メルトフローレートが1〜30g/10分のものが好ま
しく、1〜20g/10分のものが更に好ましい。特に
構成体Aに使用する場合には、その粘弾性特性の点から
分子量が比較的高いものが好ましく、かかるメルトフロ
ーレートが2〜15g/10分であるものが好適であ
る。
【0121】本発明においてポリメチルメタクリレート
樹脂は構成体Aの透明層および着色層における一態様と
して使用され、また構成体Bをなす成分Bにおいて含ま
れていてもよい。
【0122】本発明のスチレン系樹脂は、芳香族ビニル
化合物の重合体または共重合体、またこれと必要に応じ
てこれらと共重合可能な他のビニル単量体およびゴム質
重合体より選ばれる1種以上を共重合して得られる重合
体をいう。
【0123】芳香族ビニル化合物としては、前述したも
の各種が挙げられる。特にスチレンが好ましい。芳香族
ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体として
は、シアン化ビニル化合物および(メタ)アクリル酸エ
ステル化合物を好ましく挙げることができる。特に好適
なシアン化ビニル化合物としてはアクリロニトリルが挙
げられ、特に好適な(メタ)アクリル酸エステル化合物
としてはメチルメタクリレートを挙げることができる。
シアン化ビニル化合物および(メタ)アクリル酸エステ
ル化合物の具体例としては前述したとおりである。
【0124】シアン化ビニル化合物および(メタ)アク
リル酸エステル化合物以外の芳香族ビニル化合物と共重
合可能な他のビニル単量体としては、グリシジルメタク
リレートなどのエポキシ基含有メタクリル酸エステル、
マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレ
イミドなどのマレイミド系単量体、アクリル酸、メタク
リル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、イタ
コン酸などのα,β−不飽和カルボン酸およびその無水
物があげられる。
【0125】上記芳香族ビニル化合物と共重合可能なゴ
ム質重合体としては、ポリブタジエン、ポリイソプレ
ン、ジエン系共重合体(例えば、スチレン・ブタジエン
のランダム共重合体およびブロック共重合体、アクリロ
ニトリル・ブタジエン共重合体、並びに(メタ)アクリ
ル酸アルキルエステルおよびブタジエンの共重合体な
ど)、エチレンとα−オレフィンとの共重合体(例え
ば、エチレン・プロピレンランダム共重合体およびブロ
ック共重合体、エチレン・ブテンのランダム共重合体お
よびブロック共重合体など)、エチレンと不飽和カルボ
ン酸エステルとの共重合体(例えばエチレン・メタクリ
レート共重合体、およびエチレン・ブチルアクリレート
共重合体など)、エチレンと脂肪族ビニルとの共重合体
(例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体など)、エチ
レンとプロピレンと非共役ジエンターポリマー(例え
ば、エチレン・プロピレン・ヘキサジエン共重合体な
ど)、アクリル系ゴム(例えば、ポリブチルアクリレー
ト、ポリ(2−エチルヘキシルアクリレート)、および
ブチルアクリレートと2−エチルヘキシルアクリレート
との共重合体など)、並びにシリコーン系ゴム(例え
ば、ポリオルガノシロキサンゴム、ポリオルガノシロキ
サンゴム成分とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム
成分とからなるIPN型ゴム;すなわち2つのゴム成分
が分離できないように相互に絡み合った構造を有してい
るゴム、およびポリオルガノシロキサンゴム成分とポリ
イソブチレンゴム成分からなるIPN型ゴムなど)が挙
げられる。
【0126】上記スチレン系樹脂として具体的には、例
えば、ポリスチレン樹脂、HIPS樹脂、MS樹脂、A
BS樹脂、AS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、MBS
樹脂、MABS樹脂、MAS樹脂、およびSMA樹脂な
どのスチレン系樹脂、並びにスチレン系熱可塑性エラス
トマー(例えば(水添)スチレン−ブタジエン−スチレ
ン共重合体樹脂、(水添)スチレン−イソプレン−スチ
レン共重合体樹脂など。尚、(水添)の表記は水添して
いない樹脂および水添した樹脂のいずれをも含むことを
意味する)などを挙げることができる。(ここでMS樹
脂はメチルメタクリートとスチレンから主としてなる共
重合体樹脂、AES樹脂はアクリロニトリル、エチレン
−プロピレンゴム、およびスチレンから主としてなる共
重合体樹脂、ASA樹脂はアクリロニトリル、スチレ
ン、およびアクリルゴムから主としてなる共重合体樹
脂、MABS樹脂はメチルメタクリレート、アクリロニ
トリル、ブタジエン、およびスチレンから主としてなる
共重合体樹脂、MAS樹脂はメチルメタクリレート、ア
クリルゴム、およびスチレンから主としてなる共重合体
樹脂、SMA樹脂はスチレンと無水マレイン酸(MA)
から主としてなる共重合体樹脂を示す。)
【0127】本発明においてスチレン系樹脂は構成体A
の透明層および着色層における一態様として使用され、
また構成体Bをなす成分Bのb3成分として含まれてい
てもよい。前述の如くb3成分として好ましいスチレン
系樹脂としては、AS樹脂およびABS樹脂(ブタジエ
ン成分含有量が30重量%未満のもの)などを挙げるこ
とができる。一方構成体Aの着色層において使用する場
合には、また着色層として他の樹脂と混合して使用する
場合には、ゴム質重合体が多めに含まれるものを使用す
ることがより好適である。すなわち構成体Aの着色層に
使用する場合には、スチレン系樹脂のゴム質重合体の量
は該重合体100重量%中30重量%を超えるものであ
ってもよい。
【0128】本発明において好適なワラストナイトとし
ては、数平均繊維径が0.5〜5μmのものが好まし
い。かかる数平均繊維径は、電子顕微鏡写真などにて観
察した画像から、無作為に抽出した合計1000個分の
繊維径を測定してその数平均値を算出して求められるも
のである。またアスペクト比L/D(L:数平均繊維
長、D:数平均繊維径)が3〜5の範囲が好ましく、
3.5〜4.5の範囲がより好ましい。尚、数平均繊維
長は光学顕微鏡を用いて1μm以上の大きさを計測して
求めた値である。得られた像を画像解析装置に入力し、
算出することができる。画像解析装置としては例えばピ
アス製 PIAS−IIIシステムなどを挙げることが
できる。
【0129】更に本発明において好適なタルクとして
は、平均粒径が5μm以下のものを挙げることができ
る。更に好ましくは平均粒径が3μm以下である。下限
としては0.05μmを挙げることができる。ここでタ
ルクの平均粒径は、液相沈降法の1つであるX線透過法
で測定されたD50(粒子径分布のメジアン径)をい
う。かかる測定を行う装置の具体例としてはマイクロメ
リティックス社製Sedigraph5100などを挙
げることができる。
【0130】タルクは造粒された形態で使用されること
が好ましい。造粒方法としては、バインダーを使用する
場合と、実質的に使用しない場合がある。バインダーを
使用しないものがより好適である。バインダーを使用し
ない場合の造粒方法としては、脱気圧縮の方法(例えば
真空状態で脱気しながらブリケッティングマシーンなど
でローラー圧縮する方法など)、および転動造粒や凝集
造粒の方法などが挙げられる。
【0131】本発明の構成体Aをなす樹脂および構成体
Bをなす成分Bには、各種の添加剤を含めることができ
る。添加剤としては熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収
剤、帯電防止剤などが挙げられる。特に構成体Aのう
ち、合成樹脂成形品の表面を形成する層は屋外使用によ
る紫外線や熱などの影響をうけやすい。したがって熱安
定剤、酸化防止剤、および紫外線吸収剤などを添加する
ことが好ましい。
【0132】熱安定剤としては例えば各種ホスファイト
化合物、ホスホナイト化合物、およびホスフェート化合
物などを好ましく挙げることができる。
【0133】ホスファイト化合物としては、トリス(ジ
エチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−iso−
プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−n−ブ
チルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t
ert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,
6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ト
リス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフ
ァイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファ
イト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)
ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−
ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエ
リスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノール
Aペンタエリスリトールジホスファイト、ジシクロヘキ
シルペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げら
れる。
【0134】更に他のホスファイト化合物としては二価
フェノール類と反応し環状構造を有するものも使用でき
る。例えば、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t
ert−ブチルフェニル)(2,4−ジ−tert−ブ
チルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス
(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2−te
rt−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、
2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−
ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチル
フェニル)ホスファイト、2,2’−エチリデンビス
(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−
tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト
などを挙げることができる。
【0135】ホスフェート化合物としては、トリブチル
ホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジル
ホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロル
フェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフ
ェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキ
セニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェー
ト、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、
ジイソプロピルホスフェートなどを挙げることができ、
好ましくはトリフェニルホスフェート、トリメチルホス
フェートである。
【0136】ホスホナイト化合物としては、テトラキス
(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’
−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−
ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニ
レンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−ter
t−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホス
ホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチル
フェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、
テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)
−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス
(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’
−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−t
ert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホ
スホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェ
ニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス
(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−3−フェニル−
フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−
ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイ
ト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−
3−フェニル−フェニルホスホナイト等があげられ、テ
トラキス(ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニ
レンジホスホナイト、ビス(ジ−tert−ブチルフェ
ニル)−フェニル−フェニルホスホナイトが好ましく、
テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)
−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−t
ert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホ
ナイトがより好ましい。かかるホスホナイト化合物は上
記アルキル基が2以上置換したアリール基を有するホス
ファイト化合物との併用可能であり好ましい。
【0137】リン化合物からなる安定剤としては、ホス
ファイト化合物またはホスホナイト化合物が好ましい。
またこれらとホスフェート化合物との併用も好ましい。
またリン化合物からなる安定剤の組成割合としては、本
発明の熱可塑性樹脂組成物100重量%中、0.001
〜2重量%が好ましく、より好ましくは0.005〜1
重量%、更に好ましくは0.01〜1重量%、特に好ま
しくは0.01〜0.5重量%である。
【0138】酸化防止剤としては、フェノール系酸化防
止剤、イオウ系酸化防止剤などを挙げることができる。
フェノール系酸化防止剤としては種々のものを使用する
ことができる。
【0139】フェノール系酸化防止剤の具体例として
は、例えばn−オクタデシル−β−(4’−ヒドロキシ
−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェル)プロピオ
ネート、2−tert−ブチル−6−(3’−tert
−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)
−4−メチルフェニルアクリレート、3,9−ビス{2
−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5
−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1,−
ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサス
ピロ[5,5]ウンデカン、およびテトラキス[メチレ
ン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどを好ま
しく挙げることができ、n−オクタデシル−β−(4’
−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェ
ル)プロピオネートをより好ましく挙げることができ
る。
【0140】本発明のイオウ系酸化防止剤の具体例とし
ては、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオン酸エス
テル、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオン酸エ
ステル、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオン酸
エステル、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオン
酸エステル、ラウリルステアリル−3,3’−チオジプ
ロピオン酸エステル、ペンタエリスリトールテトラ(β
−ラウリルチオプロピオネート)エステル、ビス[2−
メチル−4−(3−ラウリルチオプロピオニルオキシ)
−5−tert−ブチルフェニル]スルフィド、オクタ
デシルジスルフィド、メルカプトベンズイミダゾール、
2−メルカプト−6−メチルベンズイミダゾール、1,
1’−チオビス(2−ナフトール)などを挙げることが
できる。より好ましくは、ペンタエリスリトールテトラ
(β−ラウリルチオプロピオネート)エステルを挙げる
ことができる。
【0141】また紫外線吸収剤などを含むこともでき
る。紫外線吸収剤は構成体Aに含まれることが望まし
い。構成体Aの透明層に含む場合には光沢の保持や透明
層の色相の保持に効果を発揮する。また着色層に含む場
合には着色層の色相の保持に効果を発揮する。
【0142】紫外線吸収剤としては、例えば2−ヒドロ
キシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,
2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェ
ノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メ
トキシフェニル)メタンなどに代表されるベンゾフェノ
ン系紫外線吸収剤を挙げることができる。
【0143】また紫外線吸収剤としては例えば2−
(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾト
リアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert
−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’
−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェ
ニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−
3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾト
リアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−ドデシル
−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−
(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α’−ジ
メチルベンジル)フェニルベンゾトリアゾール、2−
[2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”
−テトラフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニ
ル]ベンゾトリアゾール、2,2’メチレンビス[4−
(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H
−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、メチ
ル−3−[3−tert−ブチル−5−(2H−ベンゾ
トリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニルプ
ロピオネート−ポリエチレングリコールとの縮合物に代
表されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を挙げるこ
とができる。
【0144】更に紫外線吸収剤としては例えば、2−
(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−
イル)−5−ヘキシルオキシフェノール、2−(4,6
−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−ト
リアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノール
などのヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤を
挙げることができる。
【0145】またビス(2,2,6,6−テトラメチル
−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,
6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、
テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペ
リジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレ
ート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル
−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカ
ルボキシレート、ポリ{[6−(1,1,3,3−テト
ラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−
2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチルピ
ペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6
−テトラメチルピペリジル)イミノ]}、ポリメチルプ
ロピル3−オキシ−[4−(2,2,6,6−テトラメ
チル)ピペリジニル]シロキサンなどに代表されるヒン
ダードアミン系の光安定剤も含むことができる。
【0146】フェノール系酸化防止剤、またはイオウ系
酸化防止剤の組成割合はそれぞれ本発明の熱可塑性樹脂
組成物100重量%中、0.001〜2重量%が好まし
く、より好ましくは0.005〜1重量%、更に好まし
くは0.01〜1重量%、特に好ましくは0.01〜
0.5重量%である。
【0147】また紫外線吸収剤、光安定剤の組成割合
は、それぞれ本発明の熱可塑性樹脂組成物100重量%
中、0.001〜10重量%が好ましく、0.001〜
5重量%がより好ましい。
【0148】本発明の熱可塑性樹脂組成物は離型剤を含
むものであってよい。離型剤としては、例えば、飽和脂
肪酸エステル、不飽和脂肪酸エステル、ポリオレフィン
系ワックス(ポリエチレンワックス、1−アルケン重合
体など。酸変性などの官能基含有化合物で変性されてい
るものも使用できる)、フッ素化合物(ポリフルオロア
ルキルエーテルに代表されるフッ素オイルなど)、パラ
フィンワックス、蜜蝋などを挙げることができる。
【0149】構成体Aの熱可塑性樹脂組成物においては
好ましい離型剤としては飽和脂肪酸エステルが挙げら
れ、例えばグリセリンモノステアレート、グリセリンジ
ステアレート、グリセリントリステアレートなどグリセ
リン脂肪酸エステル類、デカグリセリンデカステアレー
トおよびデカグリセリンテトラステアレート等のポリグ
リセリン脂肪酸エステル類、ステアリルステアレートな
どの低級脂肪酸エステル類、セバシン酸ベヘネートなど
の高級脂肪酸エステル類、ペンタエリスリトールテトラ
ステアレートなどのエリスリトールエステル類が使用さ
れる。
【0150】一方構成体Bをなす成分Bにおいては、上
記飽和脂肪酸エステルの他に、ポリオレフィン系ワック
スを好ましく挙げることができる。
【0151】離型剤は本発明の熱可塑性樹脂組成物10
0重量%中、0.001〜2重量%が好ましく、より好
ましくは0.005〜1重量%、更に好ましくは0.0
1〜1重量%、特に好ましくは0.01〜0.5重量%
である。
【0152】本発明の合成樹脂成形品は、特に構成体A
において帯電防止性が必要とされる場合がある。その理
由の1つはほこりの付着防止にある。その他の理由には
親水性を向上して水滴の形成を防止することにある。水
滴のレンズ効果は樹脂の光劣化を促進する場合があるた
めである。
【0153】本発明の帯電防止剤としては、例えばポリ
エーテルエステルアミド、グリセリンモノステアレー
ト、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム塩、ドデ
シルベンゼンスルホン酸ホスホニウム塩、アルキルスル
ホン酸ナトリウム塩、無水マレイン酸モノグリセライ
ド、無水マレイン酸ジグリセライドなどが挙げられる。
【0154】本発明の熱可塑性樹脂組成物には、例えば
構成体BをなすB成分にはカーボンブラックなどを含む
ことが好ましい。これは構成体Aおよび構成体Bからな
る合成樹脂成形品を溶融混合してリサイクル処理した場
合に、得られた樹脂製品が構成体Aの着色層の影響を受
けにくいためである。すなわち色の異なる製品を混合し
てリサイクル処理した場合であってもリサイクルされた
製品の色相が安定する利点がある。またカーボンブラッ
クとして導電性カーボンブラックを使用してもよい。か
かる導電性カーボンブラックを含む場合には樹脂組成物
が加熱されやすいためリサイクル処理が容易になる場合
がある。
【0155】本発明の合成樹脂成形品は、各種の用途に
使用可能であるが特に良好な外観と耐衝撃性が要求され
る車輌外装材に対して好適なものである。かかる車輌外
装材としては、フェンダーパネル、ドアパネル、スポイ
ラー、ガーニッシュ、ピラーカバー、フロントグリル、
リアボディパネル、モーターバイクのカウル、トラック
の荷台カバーなどを挙げることができ、特にフェンダー
パネルやモーターバイクのカウルに好適なものである。
【0156】本発明は更に、構成体Aの中でも特定の条
件を満足するものを、特にインサート成形用シート状成
形体として提供するものである。以下に本発明のインサ
ート成形用シート状成形体およびそのインサート成形品
について、詳細な説明を行う。
【0157】本発明で使用されるインサート成形用シー
ト状成形体は、透明層および着色層を隣接積層してなる
着色多層シート状成形体である。そして該透明層の側は
シート状成形体において、鉛筆硬度HB以上、表面光沢
80%以上(Gs(60°))の表面特性を満足する。
【0158】鉛筆硬度はJIS K 5400の鉛筆引
っかき試験、光沢度はJIS K7105に準拠した光
沢度の測定方法(標準ガラス板の光沢度を100%とす
る)に従い、測定するものである。なお、鉛筆硬度がH
B以下であると表面硬度が不足し、表面光沢が80%以
下(Gs(60°))であると光沢感が不足する。鉛筆
硬度としてはF以上がより好ましい。表面光沢としては
90%以上がより好ましく、更に好ましくは100%以
上である。
【0159】上記インサート成形用シート状成形体は、
厚みが1.5mm以下の実質的に肉厚が均一の成形体で
あり、具体的には例えば、シート、シートを加工して形
状を付与したもの、および各種成形方法(射出成形、押
出成形、圧縮成形、回転成形、ブロー成形など)により
得られた厚み1.5mm以下で実質的に均一な肉厚を有
する成形体が挙げられる。好ましくはシート、およびシ
ートを加工して形状を付与したものである。これらは安
定して製造でき、また多層化することも比較的容易なた
めである。
【0160】インサート成形用シート状成形体の表面
は、平滑面の他、エンボス加工などにより表面に凹凸を
有するものも選択できる。光沢がより要求される場合に
は透明層の側は平滑面が好ましい。一方着色層の側にお
ける表面の凹凸は、強度およびインサート成形で着色層
に積層される成形品との密着性などの点で有利な場合が
ある。
【0161】本発明のインサート成形用シート状成形体
は、透明層と着色層が隣接積層した2層からなるシート
状成形体を好ましい態様とする。インサート成形用シー
ト状成形体において3層以上が積層される場合として
は、例えば異なる透明層が2層以上積層される場合や、
異なる着色層が2層以上積層される場合などが挙げられ
る。
【0162】インサート成形用シート状成形体における
透明層は、JIS K7105に準拠して測定された光
線透過率が80%以上であり、またそのヘーズが5%以
下であるものをいう。一方着色層は、特に限定されない
ものの、JIS K7105に準拠して測定された光線
透過率が50%以下であるものが好ましい。
【0163】インサート成形用シート状成形体の厚みは
50〜1500μmであり、下限は100μmが好まし
く、150μmがより好ましく、200μmが更に好ま
しい。上限は1000μmが好ましく、500μmがよ
り好ましく、400μmが更に好ましい。厚みが50μ
mに満たない場合には光沢や表面硬度が劣るか、または
着色層の隠蔽力が不十分となりやすく、着色の自由度が
低下する。インサート成形用シート状成形体の厚みが1
500μmを超える場合には、インサート成形品の衝撃
強度が低下する。
【0164】更にインサート成形用シート状成形体にお
ける透明層の厚みは、30〜150μmが好ましく、4
0〜100μmがより好ましく、40〜80μmが更に
好ましい。かかる厚みの範囲では、表面の傷付き性、耐
候性、光沢感、および耐衝撃性をいずれも良好とするこ
とが可能であり、更にシートの熱成形性においても有利
である。
【0165】インサート成形用シート状成形体の好まし
い形状であるシートは、従来公知の各種方法により製造
可能である。シートの製造方法としては例えば、層を構
成する熱可塑性樹脂をTダイより溶融押出する方法、カ
レンダー成形法、溶剤キャスティングする方法、および
インフレーション法などを挙げることができる。インサ
ート成形用シートにおける多層化は、共押出に代表され
るシート製造機内で複数の層を積層化する方法が好まし
い。その他予め製造されたシートの表面に溶融状態また
は溶解状態の他の層を被覆して積層化していく方法や、
独立に得られたシートをプレスラミネートする方法など
が挙げられる。上記の中でも溶融共押出による方法が好
ましい。またシートはそのシートの製造時またはシート
の製造後延伸加工したものであってもよい。延伸加工は
特に結晶性を有する熱可塑性樹脂を使用する場合に、耐
薬品性や強度の向上などが図られる。シートを加工して
形状を付与する方法としては、熱プレス成形や真空成形
などを挙げることができる。更にシートには必要に応じ
て、印刷層や金属薄膜層(意匠性、熱線反射性、電磁波
遮蔽性などを目的とする)などを設けたものも使用でき
る。
【0166】本発明のインサート成形用シート状成形体
は、更にその透明層が紫外線吸収剤を0.3重量%を超
え10重量%以下有するものである。紫外線吸収剤は上
述した各種の紫外線吸収剤がいずれも使用可能である。
すなわちここで紫外線吸収剤としてはベンゾフェノン系
紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、お
よびヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤のい
ずれも使用可能である。
【0167】本発明のインサート成形用シート状成形体
は、透明層における耐候変色を極力抑制し、また透明層
以降の層に紫外線の影響が及ぶことを極力抑制すること
により、多様な着色層においても耐候性の良好なインサ
ート成形品を達成するとの材料設計に基づくものであ
る。したがって透明層を構成する樹脂組成物には0.3
重量%を超える紫外線吸収剤が必要である。一方、表面
傷付き性や耐衝撃性、並びに熱安定性や外観などの点か
ら10重量%以下とすることが必要である。更に透明層
を構成する樹脂組成物は好ましくは1重量%以上、より
好ましくは1.5重量%以上、更に好ましくは2重量%
以上の紫外線吸収剤を含有するものである。また透明層
を構成する樹脂組成物は好ましくは7重量%以下、より
好ましくは6重量%以下、更に好ましくは5重量%以下
の紫外線吸収剤を含有するものである。
【0168】一方でインサート成形用シート状成形体の
透明層を構成する好適な樹脂は、溶融加工温度の比較的
高いものが多い。したがって本発明のインサート成形用
シート状成形体における紫外線吸収剤は、TGA(Th
ermogravimetric Analysis;
熱重量解析)における5%重量減少温度が300℃以上
であることが好適である。かかる上限としては350℃
が適切であり、それを超えるものは稀である。尚、ここ
でTGAにおける5%重量減少温度は、窒素ガス雰囲気
中における23℃から20℃/分の昇温速度で600℃
まで昇温したときに観察される温度である。
【0169】本発明のインサート成形用シート状成形体
において好適な紫外線吸収剤としては、下記一般式
(1)で示されるベンゾトリアゾール系化合物を挙げる
ことができる。
【0170】
【化3】
【0171】(式中Xは水素原子、ハロゲン原子、また
はいずれも炭素原子数が20以内のアルキル基、アリー
ル基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基
またはアラルキルオキシ基を表わし、R1およびR2は独
立していずれも炭素原子数が20以内のアルキル基また
はアラルキル基を表わし、Yはベンゾトリアゾリルフェ
ノール基を二個連結するための二価の有機基をあらわ
す。)
【0172】本発明のインサート成形用シート状成形体
において好適な紫外線吸収剤としては、下記一般式
(2)で示されるヒドロキシフェニルトリアジン系化合
物を挙げることができる。
【0173】
【化4】
【0174】(式中R5は水素原子、炭素原子数1〜1
8のアルキル基、ハロゲン原子または炭素原子数1〜1
2のアルコキシ基で置換された炭素原子数2〜6のアル
キル基、またはベンジル基を表し、並びにR6は水素原
子またはメチル基を表す。)
【0175】上記の中でも特に好ましいのは上記一般式
(1)で示されるベンゾトリアゾール系化合物である。
上記一般式(1)のベンゾトリアゾール系化合物は、単
位質量当りの紫外線吸収能に優れ、熱安定性が良好であ
り、かつその配合による着色も少ない。また樹脂との相
溶性が良好であり物性に与える影響も少ない。更に上記
一般式(1)で示されるベンゾトリアゾール系化合物
は、下記一般式(3)および(4)で示される態様が好
適である。
【0176】
【化5】
【0177】
【化6】
【0178】(式中X、Y、R1およびR2はいずれも一
般式(1)の場合と同様である。) ここで上記一般式(1)(殊に好適には一般式(3)お
よび(4))で示されるベンゾトリアゾール系化合物に
ついて更に詳しく説明する。
【0179】上記一般式(1)中、Xで示されるハロゲ
ン原子としては塩素、臭素、ヨウ素、およびフッ素が挙
げられる。Xで示される炭素原子数が20以内のアルキ
ル基とは、炭素原子数1〜20の範囲にあるアルキル基
であり、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピ
ル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソ
ブチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、1,1,
3,3−テトラメチルブチル、ノニル、デシル、イソデ
シル、ウンデシル、ドデシル、およびオクタデシルなど
の基が挙げられる。Xで示される炭素原子数が20以内
のアルコキシ基とは、炭素原子数1〜20の範囲にある
アルコキシ基であり、上記アルキル基からのアルコキシ
基が挙げられる。Xで示される炭素原子数が20以内の
アラルキル基とは、炭素原子数7〜20の範囲にあるア
ラルキル基であり、例えばベンジル、α−メチルベンジ
ル、およびクミルなどの基が挙げられる。Xで示される
炭素原子数が20以内のアラルキルオキシ基とは、炭素
原子数7〜20の範囲にあるアラルキルオキシ基であ
り、上記アラルキル基からのアラルキルオキシ基が挙げ
られる。
【0180】Xで示される炭素原子数が20以内のアリ
ール基とは、炭素原子数6〜20の範囲にあるアリール
基であり、例えばフェニル基などが挙げられる。また、
Xで示される炭素原子数が20以内のアリールオキシ基
とは、炭素原子数6〜20の範囲にあるアリールオキシ
基であり、例えばフェノキシ基などが挙げられる。
【0181】R1およびR2で示される炭素原子数が20
以内のアルキル基とは、同様に炭素原子数が1〜20の
アルキル基をいい、例えばメチル、エチル、プロピル、
イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブ
チル、イソブチル、アミル、tert−アミル、ヘキシ
ル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、2−エチルヘ
キシル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、ノニ
ル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル、およ
びオクタデシルなどの基を挙げることができる。また、
1およびR2で示される炭素原子数が20以内のアラル
キル基とは、同様に炭素原子数が7〜20のアラルキル
基をいい、例えばベンジル、α−メチルベンジル、およ
びクミルなど基が挙げられる。
【0182】上記一般式(1)、(3)および(4)の
Xは水素原子、塩素原子、またはメチル基が好適であ
り、水素原子の場合が特に好適である。またR1および
2は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、または
炭素数7〜9のアラルキル基が好適であり、特に水素原
子、炭素数1〜9のアルキル基、または炭素数7〜9の
アラルキル基が好適である。
【0183】Yはベンゾトリアゾリルフェノール基を二
個連結することのできる二価の有機基であればよく、特
に制限する必要はないが、下記一般式(5)で示される
二価の有機基が好ましい。
【0184】
【化7】
【0185】(式中R3は、水素原子または炭素原子数
1〜20のアルキル基、R4は炭素原子数1〜12のア
ルキレン基または炭素原子数6〜30のアリーレン基、
mおよびnは1〜5の整数をあらわす。)
【0186】R3としては例えば、メチル、エチル、プ
ロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、te
rt−ブチル、イソブチル、アミル、tert−アミ
ル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、2
−エチルヘキシル、tert−オクチル、ノニル、te
rt−ノニル、デシル、およびウンデシルなどの基が挙
げられる。
【0187】より好適なベンゾトリアゾール系化合物で
ある一般式(3)の化合物では、Yは上記一般式(5)
の中でも下記一般式(6)で示される基であることが好
ましい。中でも好ましいのはR3が水素原子または炭素
原子数1〜4のアルキル基の態様であり、殊に好ましい
のはR3が水素原子の態様である。
【0188】
【化8】
【0189】より好適なベンゾトリアゾール系化合物で
ある一般式(4)の化合物では、Yは上記一般式(5)
の中でも下記一般式(7)で示される基であることが好
ましい。中でも好ましいのはmが2およびnが3の態様
である。
【0190】
【化9】
【0191】上記一般式(3)の化合物における具体例
としては、Xが水素原子、Yがメチレン基(一般式
(6)におけるR3が水素原子)、およびR1、R2がい
ずれも1,1,3,3−テトラメチルブチル基である
2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テト
ラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−
2−イル)フェノール]を挙げることができる。かかる
化合物は旭電化工業(株)より「アデカスタブLA−3
1」(商品名)として市販され容易に入手可能である。
【0192】一方、上記一般式(4)の化合物における
具体例としては、Xが水素原子、Yが一般式(7)にお
いてm=2およびn=3で表される基、およびR1、R2
がいずれもtert−ブチル基であるヘキサン−1,6
−ジイルビス[3−(3−ベンゾトリアゾール−2−イ
ル−5−tert−ブチル−4−ビトロキシフェニル)
プロピオネート]挙げることができる。かかる化合物は
日本チバガイギー(株)より「チヌビン840」(商品
名)として市販され容易に入手可能である。
【0193】上記一般式(3)および(4)の中でも、
本発明のインサート成形用シート状成形体の紫外線吸収
剤としては、特に一般式(3)で表されるものが好適で
ある。
【0194】インサート成形用シート状成形体の透明層
を構成する樹脂組成物は、その樹脂成分100重量%
中、ポリアリレート樹脂100〜50重量%およびポリ
エチレンテレフタレート樹脂0〜50重量%からなるこ
とが好ましい。かかる樹脂成分は、所定の紫外線吸収剤
を含有することにより、良好な硬度(表面の傷付き
性)、光沢、耐候性、および耐衝撃性を達成する。
【0195】ここでポリアリレート樹脂の詳細は上述の
とおりである。すなわち「本発明のポリアリレート樹脂
は、芳香族ジカルボン酸またはその誘導体と二価フェノ
ールまたはその誘導体とから得られるものである。〜
(中略)〜本発明においてポリアリレート樹脂は、構成
体Aの透明層および着色層における一態様として使用さ
れ、また構成体Bをなす成分Bにおいて含まれていても
よい。」とした上述のポリアリレート樹脂に関する説明
は、インサート成形用シート状成形体およびそのインサ
ート成形品に使用されるポリアリレート樹脂に対しても
適用される。インサート成形用シート状成形体およびそ
のインサート成形品においては、該説明中“構成体A”
は“インサート成形用シート状成形体”と読み替えるこ
とができ、“構成体Bをなす成分B”は“インサート成
形用シート状成形体の着色層側に積層される熱可塑性樹
脂組成物”と読み替えることができる。かかる読み替え
は下記の他の熱可塑性樹脂の記載においても同様であ
る。
【0196】同様にポリエチレンテレフタレート樹脂の
詳細も上述のとおりである。すなわちポリエチレンテレ
フタレート樹脂に関しては、芳香族ポリエステル樹脂一
般として「本発明の芳香族ポリエステル樹脂は、芳香族
ジカルボン酸とジオール、またはそのエステル誘導体と
を主成分とする縮合反応により得られる重合体ないしは
共重合体である。〜(中略)〜本発明において芳香族ポ
リエステル樹脂は、構成体Aの透明層および着色層にお
ける一態様として使用され、また構成体Bをなす成分B
において含まれていてもよい。」との説明がなされ、更
にポリエチレンテレフタレートとして「本発明のポリエ
チレンテレフタレート樹脂とは、テレフタル酸あるいは
その誘導体と、エチレングリコールあるいはその誘導体
とから重縮合反応により得られる樹脂である。〜(中
略)〜ポリエチレンテレフタレートにおいては特開20
00−204145号公報に記載されている如く、プレ
ポリマー時のカルボキシル基末端量と水酸基末端量を適
切な範囲とすることが好ましい。」との説明がなされて
おり、これらのポリエチレンテレフタレート樹脂に関す
る説明は、インサート成形用シート状成形体およびその
インサート成形品に使用されるポリエチレンテレフタレ
ート樹脂に対しても適用される。尚、上記におけるテレ
フタル酸以外の芳香族ジカルボン酸やエチレングリコー
ル以外のジオール成分は、ポリエチレンテレフタレート
樹脂に共重合可能な成分である。
【0197】インサート成形用シート状成形体の透明層
を構成する樹脂組成物は、より好ましくはその樹脂成分
100重量%中、ポリアリレート樹脂80〜50重量%
およびポリエチレンテレフタレート樹脂20〜50重量
%からなるものであり、特に好ましくはポリアリレート
樹脂70〜55重量%およびポリエチレンテレフタレー
ト樹脂30〜45重量%からなるものである。かかる樹
脂は着色層において好適なポリカーボネート樹脂等と同
等の成形加工温度を有することから、インサート成形用
シート状成形体の製造がより容易である利点を有する。
【0198】インサート成形用シート状成形体の着色層
を構成する樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂および
ポリエチレンテレフタレート樹脂から選ばれた少なくと
も1種の樹脂の組成物であることが好ましい。ポリカー
ボネート樹脂の場合には着色性、耐衝撃性および密着性
(インサート成形用シート状成形体の着色層側に積層さ
れる熱可塑性樹脂組成物との)に優れる点で好ましい。
ポリエチレンテレフタレート樹脂の場合には着色性およ
び表面硬度(表面傷付き性)に優れる点で好ましい。
【0199】ここでポリエチレンテレフタレート樹脂
は、上記と同様のものが使用できる。一方ポリカーボネ
ート樹脂の詳細は上述のとおりである。すなわち「本発
明に使用される芳香族ポリカーボネート樹脂とは、二価
フェノールとカーボネート前駆体とを反応させて得られ
るものである。〜(中略)〜 c=0.7」とした上
述のポリカーボネート樹脂に関する説明は、インサート
成形用シート状成形体およびそのインサート成形品に使
用されるポリカーボネート樹脂に対しても適用される。
インサート成形用シート状成形体およびそのインサート
成形品においては、該説明中“b1成分”は“インサー
ト成形用シート状成形体の着色層側に積層される熱可塑
性樹脂組成物中のポリカーボネート樹脂”と読み替える
ことができる。
【0200】インサート成形用シート状成形体に使用さ
れる着色剤としては、染料としては、アントラキノン系
染料、ペリレン系染料、ペリノン系染料、キノリン系染
料、ニトロ系染料、ニトロソ系染料、アゾ系染料、トリ
フェニル系染料、チアゾール系染料、メチン系染料、オ
キサジン系染料、インドフェノール系染料、ケトン系染
料、チアジン系染料、インジゴ系染料、フタロシアニン
系染料、縮合アゾ系染料、アゾレーキ系染料、キナクリ
ドン系染料、ジオキサジン系染料、イソインドリノン系
染料、および縮合多環系染料などが挙げられる。無機顔
料としては、亜鉛華、二酸化チタン、酸化亜鉛、チタン
ブラック、べんがら、酸化クロム、鉄黒等の単純酸化
物、硫化亜鉛、カドミウムイエロー、カドミウムオレン
ジ、カドミウムレッド等の硫化物、黄鉛、亜鉛黄、クロ
ムバーミリオン等のクロム酸塩、紺青等のフェロシアン
化物、群青等の珪酸塩、カーボンブラック、および金属
粉等の無機系色剤などが挙げられる。
【0201】更に着色剤として各種メタリック顔料の使
用も可能である。メタリック顔料としては、例えばアル
ミニウムフレーク、ガラスフレークやマイカの表面に金
属や金属酸化物を被覆したフレーク、およびガラスフレ
ークやマイカの表面に金属酸化物を被覆して干渉光を発
するフレークなどを挙げることができる。
【0202】インサート成形用シート状成形体の着色層
における着色剤の割合としては、着色層を構成する樹脂
組成物100重量%中、0.01〜15重量%が好まし
く、0.05〜5重量%が好ましく、更に0.05〜3
重量%がより好ましい。
【0203】上記のインサート成形用シート状成形体か
ら、該シート状成形体を金型キャビティ内にインサート
し、熱可塑性樹脂組成物を金型キャビティ内に射出成形
により充填し、インサート成形用シート状成形体の着色
層側に該熱可塑性樹脂組成物からなる成形体を積層する
ことによりインサート成形品が製造される。シート状成
形体はシートまたはシートを熱成形した状態でインサー
トすることが好ましく、特に熱成形したものが形状の自
由度が高い点で好ましい。
【0204】ここでインサート成形用シート状成形体の
着色層側に積層される熱可塑性樹脂組成物は、特に限定
されるものではなく、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリ
プロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリルスチ
レン樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン
・スチレン樹脂)、AS樹脂(スチレン・アクリロニト
リル樹脂)、AES樹脂(アクリロニトリル・エチレン
ゴム・スチレン樹脂)、ASA樹脂(アクリロニトリル
・スチレン・アクリルゴム樹脂)、SMA樹脂(スチレ
ン・無水マレイン酸樹脂)、ポリアルキルメタクリレー
ト樹脂、ポリフェニルエーテル樹脂、ポリアセタール樹
脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアルキレンテレフタレ
ート樹脂、ポリアミド樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、
ポリアリレート樹脂(非晶性ポリアリレート、液晶性ポ
リアリレート)、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエ
ーテルイミド、ポリアミドイミドなどに代表される各種
熱可塑性ポリイミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサ
ルフォン、ポリフェニレンサルファイドなどを含む樹脂
組成物を挙げることができる。更にスチレン系熱可塑性
エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポ
リアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可
塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマ
ーなどの熱可塑性エラストマーも用いることができる。
これらは1種でまたは2種以上を併用して使用すること
ができる。
【0205】上記の中でもインサート成形用シート状成
形体の着色層側に積層される熱可塑性樹脂組成物はポリ
カーボネート樹脂を主体とする熱可塑性樹脂組成物であ
ることが好ましい。かかる理由は良好な耐衝撃性や寸法
精度が達成されるからである。他の理由は本発明のイン
サート成形用シート状成形体は、表面硬度(表面傷付き
性)に優れ、更に好ましい態様では耐薬品性などにも優
れることから、ポリカーボネート樹脂の欠点を補うこと
が可能だからである。ここでポリカーボネート樹脂を主
体とするとは、該熱可塑性樹脂組成物中の樹脂成分10
0重量%中50重量%以上がポリカーボネート樹脂であ
ることをいう。尚、ポリカーボネート樹脂の詳細は上述
のとおりである。
【0206】上記インサート成形を行う際には、射出圧
縮成形、射出プレス成形、超高速射出成形、ガスアシス
ト成形、局所高温金型成形(断熱金型成形を含む)、お
よび発泡成形(超臨界流体を注入するものを含む)など
各種の他の特徴ある成形方法と組み合わせた成形をする
ことも可能である。
【0207】更に上記インサート成形用シート状成形体
やその着色層側に積層される熱可塑性樹脂組成物は、そ
の効果を損なわない範囲において、各種添加剤などを適
宜配合することができる。かかる添加剤としては例え
ば、無機充填材、衝撃改質剤、難燃剤、難燃助剤、チャ
ー形成化合物、核剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸
収剤、光安定剤、離型剤、帯電防止剤、発泡剤、流動改
質剤、抗菌剤、光触媒系防汚剤、滑剤、着色剤、蛍光増
白剤、蓄光顔料、蛍光染料、赤外線吸収剤、フォトクロ
ミック剤などを配合することができる。
【0208】例えば、インサート成形用シート状成形体
の透明層には、少量の着色剤を配合することができ、ブ
ルーイング剤(青色系染料)や蛍光増白剤などの配合は
色相の調整に対して有効であることが多い。更に帯電防
止剤、抗菌剤、光触媒系防汚剤などは、表面の性能向上
に利用される添加剤であるため、これらの機能が要求さ
れる場合には透明層に含有されることが好ましい。また
インサート成形用シート状成形体の着色層には、無機充
填材や衝撃改質剤を含むことができる。更にインサート
成形用シート状成形体の着色層側に積層される熱可塑性
樹脂組成物は、その目的に応じて適宜各種の添加剤が配
合される。
【0209】本発明のインサート成形用シート状成形体
は、建築資材、農業資材、海洋資材、車両、電気・電子
機器、機械、その他の各種分野において幅広く有用であ
り、中でも自動車用をはじめとする車輌用の外装材料、
殊に自動車外板に好適である。
【0210】
【発明の実施の形態】以下に実施例をあげて更に説明す
る。実施例中の「部」または「%」は重量部または重量
%を示し、また評価項目および組成物中の各成分の記号
は下記の内容を意味する。
【0211】[実施例1〜24、比較例1〜12] (熱可塑性樹脂シートの作製) 表1および表2に示す成分を表記載の配合割合にて透明
層と着色層で別々にV型ブレンダーで混合した後、スク
リュー径30mmの押出機を2台用いて、250mm幅
のTダイから共押出し、透明層と着色層からなる2層の
シートを作製した。なお、フィルム作製時のシリンダー
およびダイ温度については表1および表2に記載の条件
にて実施した。また、予備乾燥が必要なものについて
は、混合する前に表1および表2に記載の条件にて予備
乾燥を実施した。尚、表2記載のS−10のシートのみ
2層シートを押出し後、縦方向に3.6倍、ついで横方
向に3.7倍の延伸を105℃で行い、235℃で熱固
定して得た。
【0212】(芳香族ポリカーボネ−ト樹脂組成物の
作製) 表3〜表7に示す記載成分のうち、強化充填材(b4成
分)以外の成分をV型ブレンダ−にて均一混合後、計量
器[(株)クボタ製CWF]を用いてスクリュー径30
mmのベント式二軸押出機[(株)日本製鋼所製TEX
−30XSST]の根元の第1投入口より供給し、真空
ポンプを使用し3kPaの真空下において、シリンダー
温度270℃で溶融押出してペレット化した。強化充填
材を配合するサンプルについては、かかる充填材を第2
投入口より、第1投入口からの混合物と第2投入口の充
填材とが所定の割合となるように計量器[(株)クボタ
製CWF]を用いて、シリンダー途中の第2供給口より
サイドフィーダーを使用して供給し、溶融押出してペレ
ットを得た。
【0213】得られたペレットは、110℃で6時間、
熱風循環式乾燥機にて乾燥し、射出成形機[住友重機械
工業(株)製SG−150U]により、シリンダー温度
270℃、金型温度80℃で線膨張係数、荷重たわみ温
度、面衝撃強度測定用の試験片の作成、および成形加工
性の評価を実施した。
【0214】(積層板の作成) 前記の方法にて作製した熱可塑性樹脂シートを、長さ1
50mm×幅150mmの大きさに切断し、金型キャビ
ティ内に設置されたピンを利用して金型キャビティ内に
取り付け、80℃に温調された長さ150mm×幅15
0mm×厚み3.5mm角板金型の可動側に透明層が外
側となるように装着し、型締めを行った。その後、11
0℃で6時間、熱風循環式乾燥機にて乾燥した前記のポ
リカーボネート樹脂組成物をシリンダー温度260℃〜
280℃で金型内に射出し、長さ150mm×幅150
mm×厚み3.5mmの積層角板を得た。
【0215】(I)評価項目 (1)Q値(体積流量) b2成分とb3成分のみを混合した後、スクリュー径3
0mmのベント式二軸押出機[神戸製鋼(株)製 KT
X−30]により、シリンダー温度260℃でペレット
化した。得られたb2成分およびb3成分のみからなる
ペレットを90℃で6時間乾燥した後、JIS K 7
119に従い、Q値(体積流量)の測定を行なった。な
お、測定はフローテスターCFT−500A型(島津製
作所製)を使用し、キャピラリィー管の形状は内径1m
m、長さ10mm、測定条件は温度260℃、荷重14
70Nで行なった。
【0216】(2)鉛筆硬度 JIS K 5400の鉛筆引っ掻き試験に従い、上記
積層板のシート側表面の鉛筆硬度を測定した。なお、鉛
筆硬度の判定は、表面に明確な引っ掻き傷が残らない鉛
筆の硬さを鉛筆硬度とし、測定には表面性測定機HEI
DON−14型(新東化学(株)製)を使用した。
【0217】(3)光沢度 JIS K 7105に従い、上記積層板のシート側表
面の60°における光沢度(Gs(60°))を測定し
た。なお、測定はGLOSS METER GS−3D
(MURAKAMI COLOR LAB.製)を使用
した。
【0218】(4)耐候性 上記積層板の中央部分を長さ50mm×幅50mmの大
きさで切り出しシート側表面に光を照射するようにして
の積層板のサンシャインウェーザーメーター(S300
スガ試験機製)による耐候促進試験を実施し、試験前
後の色相(ΔE)、光沢度保持率の評価を行なった。試
験条件は、ブラックパネル温度63℃で1000時間
(雨有り、降雨条件:12分/60分、ノズル圧力:
0.08〜0.13MPa、ノズル径:1mm)で行っ
た。なお、色相(ΔE)の測定は、TC−1800MK
−2(東京電色(株)製)を使用し、光沢度はGLOS
S METER GS−3D(MURAKAMICOL
OR LAB.製)を使用して測定した。光沢保持率を
下記式により算出した。 光沢保持率(%)=(試験後の光沢度/初期の光沢度)
×100 光沢度の測定は、初期および試験後のいずれも中性洗剤
にて水垢を除去し、カルナバロウ100%の艶出しワッ
クスにて磨いた後実施した。
【0219】(5)面衝撃強度 上記積層板、および一部のサンプルについて積層しない
場合の角板に対して、高速面衝撃試験機による破壊に要
するエネルギー(破壊エネルギー)と破壊の状態につい
ての測定を実施した。なお、破壊の状態については、 ○:延性的な破壊 ×:脆性的な破壊 とした。延性的な破壊が好ましい結果である。試験機は
高速面衝撃試験機 ハイドロショットHTM−1(島津
製作所(株)製)を使用し、試験条件は撃芯の衝突速度
7m/秒、先端が半円状で半径6.35mmの撃芯およ
び受台穴径25.4mmとした。尚、−30℃の測定は
次のように行った。ステンレス容器を準備し、そこにポ
リエチレンビーズを充填した。更に試験片をかかるビー
ズ中に埋めた。これは熱伝導の偏りによる影響を低減す
るためである。このステンレス容器を−30℃の冷凍庫
に保管し、試験片を−30℃とした。試験時には冷凍庫
から試験片をすばやく取出し、衝撃試験機に装着し、試
験を実施した。試験片の温度がほぼ−30℃の状態で試
験されていることはサーモグラフィーにより確認した。
【0220】(6)耐溶剤性 ASTM D−638に記載の引張りダンベルに、3点
曲げの治具で0.5%の歪みを加えた状態でガソリン
(エッソ無鉛ガソリン)に30℃×10分の条件で浸漬
処理した後、試験片を治具から取り外し、23℃×24
時間状態調整後、ASTM D−638に従い引張り強
度を実施した。引張り強度については、ガソリン処理後
の引張り強度(X1)を測定し、ガソリン処理前の通常
の引張り強度(X2)の結果を用いて引張り強度保持率
を算出し、判定を行った。 強度保持率(%)=(X1/X2)×100 ○・・・強度保持率80%以上 △・・・強度保持率70〜80% ×・・・強度保持率70%以下
【0221】(7)成形加工性 構成体BをなすB成分の流動長を測定した。測定は流路
厚2mm、流路幅8mmのアルキメデス型スパイラルフ
ロー長を射出成形機[住友重機械工業(株)製SG15
0U]によりシリンダー温度270℃、金型温度70
℃、射出圧力98MPa(1000kgf/cm2)で
行った。該B成分の成形加工性は車輌外装材などの大型
成形品を形成する上で重要である。
【0222】(8)線膨張係数 B成分の樹脂組成物の線膨張係数をJIS K 719
7に従い測定した。なお、測定はTAインスツルメント
2940型 熱機械分析装置(TAインスツルメント
製)を使用し、ゲートに対して流れ方向と直角方向の2
方向の測定を実施した。B成分の樹脂組成物の線膨張係
数は、合成樹脂成形品の線膨張係数との目安となる。
【0223】(9)荷重たわみ温度 B成分の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の荷重たわ
み温度をJIS K7207に従い測定した。なお、荷
重は1.813MPaで実施した。B成分の樹脂組成物
の荷重たわみ温度は、合成樹脂成形品の荷重たわみ温度
との目安となる。
【0224】(II)組成物中の各成分の記号 (A)熱可塑性樹脂シート成分 PAR:ポリアリレート樹脂[ユニチカ(株)製 Uポ
リマーU−100]PAR/PET−1:ポリアリレー
ト/ポリエチレンテレフタレート樹脂[ユニチカ(株)
製 UポリマーU−8000、PAR/PET=60/
40(重量%)] PAR/PET−2:ポリアリレート/ポリエチレンテ
レフタレート樹脂[ユニチカ(株)製 UポリマーU−
8400、PAR/PET=40/60(重量%) PAR/PC:ポリアリレート/ポリカーボネ−ト樹脂
[ユニチカ(株)製UポリマーP−1001、PAR/
PC=90/10(重量%)] PMMA:メタクリル酸メチル・アクリル酸メチル共重
合体(メタクリル酸メチル成分を90重量%以上含有す
る。)[旭化成(株)製 デルペット80NB、JIS
K7210(条件:280℃、2.16kgf)によ
り測定されるMFR値=4.4g/10分] PET:ポリエチレンテレフタレート樹脂 [帝人
(株)製 TR−8580、固有粘度=0.8] PC−1:ポリカーボネ−ト樹脂[ビスフェノールAと
ホスゲンから常法によって作られた粘度平均分子量2
3,700のポリカーボネート樹脂ペレット、帝人化成
(株)製 パンライトL−1250] ABS−1:アクリロニトリル−ブタジエンゴム−スチ
レン共重合体[日本エイアンドエル(株)製 サンタッ
クUT−61、ブタジエンゴム成分14重量%] UV:2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニ
ル)ベンゾトリアゾール〈紫外線吸収剤〉[シプロ化成
(株)製 SEESORB701] CB:カーボンブラックマスター(カーボンブラック4
0重量%/マトリクス樹脂60重量%:AS樹脂)[越
谷化成工業(株)製 904S]
【0225】(B)芳香族ポリカーボネ−ト樹脂組成物
成分(B成分) (b1成分) PC−1:ポリカーボネ−ト樹脂ペレット[帝人化成
(株)製 パンライトL−1250] PC−2:ポリカーボネート樹脂パウダー[ビスフェノ
ールAとホスゲンから常法によって作られた粘度平均分
子量22,500のポリカーボネート樹脂粉末、帝人化
成(株)製 パンライトL−1225WP]
【0226】(b2成分) ABS−2:アクリロニトリル−ブタジエンゴム−スチ
レン共重合体[宇部サイコン(株)製 UCLモディフ
ァイヤーレジンB600N、ブタジエン成分60重量
%] IM−1:ブタジエン−アルキルアクリレート−アルキ
ルメタアクリレート共重合体[呉羽化学工業(製) E
XL2602、ブタジエン成分80重量%] IM−2:ポリオルガノシロキサンゴムとアクリレート
ゴムが相互に絡み合った構造を有する複合ゴム重合体に
メチルメタクリレートを共重合した共重合体[三菱レー
ヨン(株)製 メタブレンS−2001、複合ゴム重合
体成分80重量%]
【0227】(b3成分) AS−1:アクリロニトリル−スチレン共重合体[日本
エイアンドエル(株)製 ライタック980PC、重量
平均分子量約130,000] AS−2:アクリロニトリル−スチレン共重合体[旭化
成(製) スタイラック980PC、重量平均分子量約
90,000] ABS−1:アクリロニトリル−ブタジエンゴム−スチ
レン共重合体[日本エイアンドエル(株)製 サンタッ
クUT−61] ABS−3:アクリロニトリル−ブタジエンゴム−スチ
レン共重合体[宇部サイコン(株)製 Y−540A、
ブタジエンゴム成分17重量%]
【0228】(b4成分) WSN:ワラストナイト[NYCO製 NYGLOS
4] タルク−1:タルク[林化成(株)製 HST0.8、
平均粒径2μm] タルク−2:タルク[IMI FABI社製 HiTa
lc HTP ultra 5C、平均粒径0.5μ
m]
【0229】(b5成分) DC30M:α−オレフィンと無水マレイン酸との共重
合によるオレフィン系ワックス[三菱化学(株)製 ダ
イヤカルナPA30M]
【0230】(その他) PEP−8:ジステアリルペンタエリスリトールジホス
ファイト〈熱安定剤〉[旭電化工業(株)製 アデカス
タブPEP−8]
【0231】
【表1】
【0232】
【表2】
【0233】
【表3】
【0234】
【表4】
【0235】
【表5】
【0236】
【表6】
【0237】
【表7】
【0238】比較例1〜4の結果より、少なくとも片面
が鉛筆硬度HB以上、表面光沢80%以上(Gs(60
°))の表面特性を有する熱可塑性樹脂シートを表面に
使用した場合は、未塗装の場合でも良好な表面硬度およ
び光沢を達成し、自動車外装用の積層板として好適な成
形品が達成されることがわかる。また、実施例1〜2
4、比較例5〜12より、ゴム成分が30〜90重量%
であるb2成分とゴム成分が0〜30重量%であるb3
成分の配合割合が、ある特定の範囲内にあり、且つ(b
−2)とb3成分からなる共重合体のQ値(体積流量)
が温度260℃、荷重1470Nで0.15×10-6
3/s以下である場合、(A)熱可塑性樹脂シートと
(B)芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の積層板は、
低温での面衝撃強度が延性破壊となり非常に優れている
ことが分かる。
【0239】[実施例25〜32、比較例13〜16] (1)(熱可塑性樹脂シートの作製) 表8および表9に示す成分を表記載の配合割合にて透明
層と着色層で別々にV型ブレンダーで混合した後、スク
リュー径30mmの押出機を2台用いて、250mm幅
のTダイから共押出し、透明層と着色層からなる2層の
シートを作製した。なお、フィルム作製時のシリンダー
およびダイ温度については表8および表9に記載の条件
にて実施した。また、樹脂は全て95℃で6時間の予備
乾燥を実施した。
【0240】(2)(芳香族ポリカーボネ−ト樹脂組成
物の作製) 表8に示す記載成分のうち、強化充填材(ワラストナイ
ト)以外の成分をV型ブレンダ−にて均一混合後、計量
器[(株)クボタ製CWF]を用いてスクリュー径30
mmのベント式二軸押出機[(株)日本製鋼所製TEX
−30XSST]の根元の第1投入口より供給し、真空
ポンプを使用し3kPaの真空下において、シリンダー
温度270℃で溶融押出してペレット化した。強化充填
材を配合するサンプルについては、かかる充填材を第2
投入口より、第1投入口からの混合物と第2投入口の充
填材とが所定の割合となるように計量器[(株)クボタ
製CWF]を用いて、シリンダー途中の第2供給口より
サイドフィーダーを使用して供給し、溶融押出してペレ
ットを得た。
【0241】(3)(積層板の作成) 前記の方法にて作製した熱可塑性樹脂シートを、長さ1
50mm×幅150mmの大きさに切断し、金型キャビ
ティ内に設置されたピンを利用して金型キャビティ内に
取り付け、80℃に温調された長さ150mm×幅15
0mm×厚み3.5mm角板金型の可動側に透明層が外
側となるように装着し、型締めを行った。その後、11
0℃で6時間、熱風循環式乾燥機にて乾燥した前記のポ
リカーボネート樹脂組成物をシリンダー温度260℃〜
280℃で金型内に射出し、長さ150mm×幅150
mm×厚み3.5mmの積層角板を得た。
【0242】(III)評価項目 評価項目は(i)鉛筆硬度、(ii)光沢度、(ii
i)耐候性、および(iv)面衝撃強度とし、これらの
評価方法は前記(I)評価項目の(2)鉛筆硬度、
(3)光沢度、(4)耐候性、および(5)面衝撃強度
に記載された方法と同様に行った。尚、耐候性試験にお
ける光沢保持率については下記式により算出した。 光沢保持率(%)=(試験後の成形品における光沢度/
初期のシートにおける光沢度)×100
【0243】(IV)各成分の記号 (a)インサート成形用シート状成形体の樹脂および添
加剤 U−100:ポリアリレート樹脂(ユニチカ(株)
製:UポリマーU−100) U−8000:ポリアリレート/ポリエチレンテレ
フタレート樹脂=60/40(重量%)のアロイ樹脂
(ユニチカ(株)製:UポリマーU−8000) 80NH:メタクリル酸メチル・アクリル酸メチル
共重合体(メタクリル酸メチル成分を90重量%以上含
有する。)(旭化成(株)製:デルペット80NH) L−1225:粘度平均分子量22,500のポリ
カーボネート樹脂粉末(帝人化成(株)製:パンライト
L−1225WP) TR−8580:ポリエチレンテレフタレート樹脂
(帝人(株)製:TR−8580、固有粘度=0.8) UVA:2,2’−メチレンビス[4−(1,1,
3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾト
リアゾール−2−イル)フェノール](旭電化工業
(株)製:アデカスタブLA−31) TiO2:酸化チタン(石原産業(株)製:タイペ
ークPC−3) (b)インサート成形用シート状成形体の着色層に積層
される樹脂組成物 PC:粘度平均分子量22,500のポリカーボネ
ート樹脂ペレット(帝人化成(株)製:パンライトL−
1225) PCABS−1:ポリカーボネート樹脂およびAB
S樹脂を主としてなる黒色の樹脂組成物(帝人化成
(株)製:マルチロンT−2711 QM0065) PCABS−2:ポリカーボネート樹脂(パンライ
トL−1225WP)85重量部およびアクリロニトリ
ル−ブタジエンゴム−スチレン共重合体(宇部サイコン
(株)製:UCLモディファイヤーレジンB600N)
15重量部からなり上記(2)の方法で製造された樹脂
組成物 PCABS−F:ポリカーボネート樹脂(パンライ
トL−1225WP)76.8重量部、アクリロニトリ
ル−ブタジエンゴム−スチレン共重合体(宇部サイコン
(株)製:UCLモディファイヤーレジンB600N)
13.5重量部、ワラストナイト(NYCO製:NYG
LOS4)9重量部、α−オレフィンと無水マレイン酸
との共重合によるオレフィン系ワックス(三菱化学
(株)製:ダイヤカルナPA30M)0.5重量部、お
よびジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト
(旭電化工業(株)製 アデカスタブPEP−8)0.
2重量部からなり上記(2)の方法で製造された樹脂組
成物
【0244】
【表8】
【0245】
【表9】
【0246】
【発明の効果】本発明を用いると、未塗装でも、表面の
傷付き性、耐候性、光沢感に優れ、且つ低温での衝撃強
度に優れた自動車外装用の積層板を得ることが可能とな
る。かかる積層板は未塗装で自動車外装用として使用可
能であることから、リサイクル性、作業環境などの環境
面でも優れ、且つ射出成形法にて比較的容易に製造でき
ることか経済的にも有利であり、その効果は絶大であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29L 7:00 B29L 7:00 31:30 31:30 (72)発明者 高嶋 博文 東京都千代田区内幸町1丁目2番2号 帝 人化成株式会社内 Fターム(参考) 4F100 AK01A AK01B AK01C AK12A AK12B AK25A AK25B AK27A AK27B AK42A AK43A AK45A AK45B AK73B AK74A AL01A AL05A AL05B AL05C AN00B BA02 BA03 BA07 BA10A BA10B CA07C CA23B EH31 EH36 GB32 HB00A JA07A JB16A JB16B JB16C JK12A JK12C JN01C JN10A JN21A JN21C 4F206 AA28 AD05 AD08 AG03 AH17 JA07 JB13

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)熱可塑性樹脂組成物からなるシー
    ト状成形体(構成体A)と(B)熱可塑性樹脂組成物か
    らなる成形体(構成体B)を積層した構成を有する成形
    品であって、(i)該成形品の少なくとも1つの表面は
    構成体Aからなり、かつかかる構成体Aからなる成形品
    の表面は鉛筆硬度HB以上および表面光沢80%以上
    (Gs(60°))であり、(ii)該構成体Bが、
    :その熱可塑性樹脂組成物(B成分)100重量%
    中、(b1)芳香族ポリカーボネート樹脂(b1成分)
    50〜97重量%、(b2)ゴム質重合体30〜90重
    量%と芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、
    (メタ)アクリル酸エステル化合物から選ばれた少なく
    とも1種の成分10〜70重量%との合計100重量%
    を共重合してなる共重合体樹脂(b2成分)3〜45重
    量%、並びに(b3)ゴム質重合体の含有量が30重量
    %未満であるスチレン系樹脂(b3成分)0〜15重量
    %を含んでなり、かつ:該b2成分と該b3成分のB
    成分中の組成割合に応じた組成物において、そのQ値
    (体積流量)が温度260℃、荷重1470Nで0.1
    5×10-63/s以下であることを特徴とする車輌外
    装材に適する合成樹脂成形品。
  2. 【請求項2】 構成体Aが、透明層と着色層が隣接積層
    した少なくとも2層からなるシート状成形体であり、そ
    の透明層側を成形品表面側とする請求項1に記載の合成
    樹脂成形品。
  3. 【請求項3】 上記構成体Aの成形品表面側の透明層が
    ポリアリレート樹脂、ポリアリレート樹脂とポリエチレ
    ンテレフタレート樹脂とのポリマーアロイ、ポリアリレ
    ート樹脂と芳香族ポリカーボネート樹脂とのポリマーア
    ロイ、メチルメタクリレート樹脂、またはポリエチレン
    テレフタレート樹脂のいずれかの透明樹脂からなる請求
    項1または2のいずれかに記載の合成樹脂成形品。
  4. 【請求項4】 上記構成体Aの着色層がポリアリレート
    樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、芳香族ポリカーボネー
    ト樹脂から選択される少なくとも1種からなる樹脂、ま
    たは芳香族ポリカーボネート樹脂とスチレン系樹脂との
    ポリマーアロイのいずれかの着色された樹脂である請求
    項2または3のいずれか1項に記載の合成樹脂成形品。
  5. 【請求項5】 上記構成体Aの着色層が粘度平均分子量
    20,000〜35,000の着色された芳香族ポリカ
    ーボネート樹脂である請求項2〜4のいずれか1項に記
    載の合成樹脂成形品。
  6. 【請求項6】 上記構成体Aは、透明層と着色層が隣接
    積層した少なくとも2層からなるシート状成形体であ
    り、構成体A全体の厚みが0.05〜1.5mmであ
    り、透明層の厚み/着色層の厚みの比が10/90〜9
    0/10である請求項2〜5のいずれか1項に記載の合
    成樹脂成形品。
  7. 【請求項7】 上記b2成分は、ブタジエン成分の含有
    量が60〜90重量%のアクリロニトリル・ブタジエン
    ・スチレン共重合体樹脂(ABS樹脂)である請求項1
    〜6のいずれか1項に記載の合成樹脂成形品。
  8. 【請求項8】 上記b3成分は、アクリロニトリル−ス
    チレン共重合体樹脂(AS樹脂)である請求項1〜7の
    いずれか1項に記載の合成樹脂成形品。
  9. 【請求項9】 B成分が更に強化充填材(b4成分)を
    B成分100重量%中1〜25重量%含んでなる請求項
    1〜8のいずれか1項に記載の合成樹脂成形品。
  10. 【請求項10】 構成体Aを金型キャビティ内にインサ
    ートし、B成分を金型キャビティ内に射出成形により充
    填し構成体Bを形成することにより製造された請求項1
    〜9のいずれか1項に記載の合成樹脂成形品。
  11. 【請求項11】 (A)熱可塑性樹脂組成物からなるシ
    ート状成形体(構成体A)と(B)熱可塑性樹脂組成物
    からなる成形体(構成体B)を積層してなる厚みが3〜
    5mmの成形品であって、その少なくとも一方の表面が
    鉛筆硬度HB以上および表面光沢80%以上(Gs(6
    0°))であり、更にかかる表面の側に−30℃下で高
    速面衝撃試験による衝撃を与えた時の破壊エネルギーが
    50J以上であることを特徴とする車輌外装材に適する
    合成樹脂成形品。
  12. 【請求項12】 透明層および着色層が隣接積層してな
    る着色多層シート状成形体であり、該着色多層シート状
    成形体の鉛筆硬度がHB以上、および表面光沢が80%
    以上(Gs(60°))であり、かつ該透明層を構成す
    る樹脂組成物は0.3重量%を超え10重量%以下の紫
    外線吸収剤を含有してなるインサート成形用シート状成
    形体。
  13. 【請求項13】 上記透明層を構成する樹脂組成物は、
    その樹脂成分100重量%中、ポリアリレート樹脂10
    0〜50重量%およびポリエチレンテレフタレート樹脂
    0〜50重量%からなる請求項12に記載のインサート
    成形用シート状成形体。
  14. 【請求項14】 上記紫外線吸収剤は、TGA(熱重量
    解析)における5%重量減少温度が300℃以上である
    請求項12または13のいずれか1項に記載のインサー
    ト成形用シート状成形体。
  15. 【請求項15】 上記紫外線吸収剤は、下記一般式
    (1)で示されるベンゾトリアゾール系化合物である請
    求項12または13のいずれか1項に記載のインサート
    成形用シート状成形体。 【化1】 (式中Xは水素原子、ハロゲン原子、またはいずれも炭
    素原子数が20以内のアルキル基、アリール基、アラル
    キル基、アルコキシ基、アリールオキシ基またはアラル
    キルオキシ基を表わし、R1およびR2は独立していずれ
    も炭素原子数が20以内のアルキル基またはアラルキル
    基を表わし、Yはベンゾトリアゾリルフェノール基を二
    個連結するための二価の有機基をあらわす。)
  16. 【請求項16】 上記着色層を構成する樹脂組成物は、
    ポリカーボネート樹脂およびポリエチレンテレフタレー
    ト樹脂から選ばれた少なくとも1種の樹脂の組成物であ
    る請求項12〜15のいずれか1項に記載のインサート
    成形用シート状成形体。
  17. 【請求項17】 上記請求項12〜16のいずれか1項
    に記載のインサート成形用シート状成形体を金型キャビ
    ティ内にインサートし、熱可塑性樹脂組成物を金型キャ
    ビティ内に射出成形により充填し、インサート成形用シ
    ート状成形体の着色層側に該熱可塑性樹脂組成物からな
    る成形体を積層することにより製造されたインサート成
    形品。
  18. 【請求項18】 上記のインサート成形用シート状成形
    体の着色層側に積層される熱可塑性樹脂組成物は、ポリ
    カーボネート樹脂を主体とする熱可塑性樹脂組成物であ
    る請求項17に記載のインサート成形品。
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