JP5491343B2 - ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents
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Description
PCのこのような特性の改良手法として、流動性に関してはPC/ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)アロイが、また耐薬品性に関してはPC/ポリエステル(PBT;ポリブチレンテレフタレート、PET;ポリエチレンテレフタレート)アロイが提案されている。ただし、PC/ABSアロイは耐薬品性や耐候性に劣り、またグロス(光沢)が高すぎ、そのままでは内装材として使用できず、塗装を必要としコストアップとなるため使用が制限されている。また、PC/ポリエステル(PBT、PET)は流動性の改良効果が小さく、かつ耐加水分解性に劣る、光沢が高く低グロス化が困難であるなどの問題がある。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、(A)分子鎖末端基として、ヒドロキシ基を有するものを含む特定の芳香族ポリカーボネート樹脂、(B)特定のポリオレフィン系樹脂及び/又はポリオレフィン系エラストマー、及び(C)所定のMIを有するポリエチレン系樹脂を特定の割合で配合したポリカーボネート樹脂組成物により上記課題を解決できることを見出した。また、本発明者らは、(A’)特定の芳香族ポリカーボネート樹脂、(B)特定のポリオレフィン系樹脂及び/又はポリオレフィン系エラストマー、(C)所定のMIを有するポリエチレン系樹脂、及び(D)脂肪族アミン塩、芳香族アミン塩、アンモニウムヒドロキシド、ヒドロキシルアミン塩及び4級ホスホニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を特定の割合で配合したポリカーボネート樹脂組成物によっても上記課題を解決できることを見出した。本発明は、このような知見に基づき完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は、下記のポリカーボネート樹脂組成物及び成形体を提供するものである。
[2]前記(B)エポキシ基又はグリシジル基を含有するポリオレフィン系樹脂及び/又はポリオレフィン系エラストマーにおけるエポキシ基又はグリシジル基の含有量が1〜15質量%である、上記[1]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[3]前記(A)芳香族ポリカーボネート樹脂が、(A’)末端ヒドロキシ基の含有量10モル%未満の芳香族ポリカーボネート樹脂に、(D)脂肪族アミン塩、芳香族アミン塩、アンモニウムヒドロキシド、ヒドロキシルアミン塩及び4級ホスホニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を添加し、溶融混練して得られる、上記[1]又は[2]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[5]前記(B)エポキシ基又はグリシジル基を含有するポリオレフィン系樹脂及び/又はポリオレフィン系エラストマーにおけるエポキシ基又はグリシジル基の含有量が1〜15質量%である、上記[4]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[6]樹脂組成物のMIが1.0〜20.0g/10分である、上記[1]〜[5]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[7]上記[1]〜[6]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物を射出成形してなる成形体。
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、(A’)特定の芳香族ポリカーボネート樹脂、(B)特定のポリオレフィン系樹脂及び/又はポリオレフィン系エラストマー、(C)所定のMIを有するポリエチレン系樹脂、及び(D)脂肪族アミン塩、芳香族アミン塩、アンモニウムヒドロキシド、ヒドロキシルアミン塩及び4級ホスホニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むものである(第2発明)。
本発明における(A)芳香族ポリカーボネート樹脂は、分子鎖末端基としてヒドロキシ基を有するものを含み、全末端基に対する該ヒドロキシ基の含有量が10〜80モル%であり、且つ粘度平均分子量が11000〜30000である。
通常、本発明における(A)成分としては、2価フェノールとカーボネート前駆体との反応により製造される種々の芳香族ポリカーボネート樹脂を用いることができる。
これらの2価フェノールは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
特に、好ましい2価フェノールとしては、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン系、特にビスフェノールA又はビスフェノールAを主原料としたものである。
一方、アルコール性ヒドロキシ基含有フェノール類としては、例えば2−ヒドロキシベンジルアルコール、3−ヒドロキシベンジルアルコール、4−ヒドロキシベンジルアルコール、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルアルコール及び2,6−ジヒドロキシ−4−メチルフェノール等が挙げられる。
(ηsp)/C=[η]+0.45×[η]2C
[η]=1.23×10-5M0.83
([η]は極限粘度、Cはポリマー濃度、Mは粘度平均分子量を示す。)
(A’)成分としては、末端ヒドロキシ基の含有量及び粘度平均分子量以外については、上記(A)成分の芳香族ポリカーボネート樹脂と同様である。
本発明における(B)ポリオレフィン系樹脂及び/又はポリオレフィン系エラストマーは、エポキシ基又はグリシジル基を含有するものである。
さらに、これらのエポキシ基又はグリシジル基を有する不飽和単量体とともに、例えば、アルキルアクリレートやアルキルメタクリレートなどのようなエポキシ基又はグリシジル基を有さない不飽和単量体を用いて、これらを共重合したような、グリシジル基に加えアクリル酸エステルやメタクリル酸エステルなどの基が含まれているものであってもよい。
なかでも、ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン系樹脂が好ましく、ポリオレフィン系エラストマーとしては、ポリエチレン系エラストマーが好ましい。
本発明における(C)ポリエチレン系樹脂は、メルトインデックス(MI)が5g/10分未満のものである。MIが5g/10分以上だと、振動融着(溶着)性が低下し、PCやPMMA等の異種材料との十分に融着することができず、製品が剥がれやすくなる。
(C)成分のMIは、ASTM D 1238に準拠して、樹脂温度190℃、荷重21.18Nで測定したものである。
なお、先願発明(特開2010−024368号公報)では、ポリエチレン系樹脂のMIを5g/10分以上とすることで流動性の改善を行っている。しかしながら、先願発明は、アクリル樹脂又はポリカーボネート樹脂との融着強度については不十分であり、製品として融着が必要な部品には用いることができない。これに対し、本発明は、ポリエチレン系樹脂のMIを5g/10分未満とすることで、流動性の改良効果については若干犠牲にしながらも融着強度の改善を行ったものである。
また、先願発明(特開2009−275131号公報)では、ポリプロピレン系樹脂のMIを5g/10分未満とする例も記載されている。しかしながら、ポリプロピレンはポリエチレンより融点が高いため、ポリプロピレンを用いた場合には振動融着性が劣るという課題がある。これに対し、本発明では、ポリプロピレンよりも融点が低く、且つ分子量の大きい特定のポリエチレンを選定することにより、PCやアクリル樹脂との振動融着性が良好になる点が大きな利点である。
本発明においては、(C)成分として、上記ポリエチレン系樹脂を1種用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明における(D)成分は、脂肪族アミン塩、芳香族アミン塩、アンモニウムヒドロキシド、及びヒドロキシルアミン塩からなる群から選ばれる少なくとも1種である。上述のように、この(D)成分を、(A’)末端ヒドロキシ基の含有量10モル%未満の芳香族ポリカーボネート樹脂と溶融混練することで、本発明における(A)成分の芳香族ポリカーボネート樹脂を得ることができる。
脂肪族アミン塩及び芳香族アミン塩としては、特に限定されないが、例えば一般式R1R2R3N・1/nA1で表される化合物を用いることができる。式中、R1〜R3は、各々独立して水素原子、脂肪族基又は芳香族基を示す(ただし、R1〜R3すべてが同時に水素原子を示すことはない。)。具体的には、脂肪族アミン塩の場合、R1〜R3は、各々独立して水素原子又は脂肪族基を示す(ただし、R1〜R3すべてが同時に水素原子を示すことはない。)。芳香族アミン塩の場合、R1〜R3は、各々独立して水素原子、脂肪族基又は芳香族基を示す(ただし、R1〜R3の少なくとも1つは芳香族基を示す。)。A1は酸を表し、例えば塩酸、硫酸、硝酸、塩素酸、過塩素酸、酢酸、モノアルキル硫酸、スルホン酸化合物などである。nは、酸A1のアニオンの価数であり、例えば塩酸の場合はn=1、硫酸の場合はn=2である。
アンモニウムヒドロキシドとしては、特に限定されないが、例えば一般式R4R5R6R7N+・OH-で表される化合物を用いることができる。式中、R4〜R7は、各々独立して水素原子、又は炭素数1〜5の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を示す(ただし、R4〜R7すべてが同時に水素原子を示すことはない。)。
アンモニウムヒドロキシドの具体例としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−プロピルアンモニウムヒドロキシド、テトライソプロピルアンモニウムヒドロキシド等を挙げることができる。
ヒドロキシルアミン塩としては、特に限定されないが、例えば一般式R8R9NOH・1/mA2で表される化合物を用いることができる。式中、R8及びR9は、各々独立して水素原子、又は炭素数1〜5の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を示す(ただし、R8及びR9が同時に水素原子を示すことはない。)。A2は酸を示し、mは酸A2のアニオンの価数である。
ヒドロキシルアミン塩の具体例としては、塩酸メチルヒドロキシルアミン、塩酸エチルヒドロキシルアミン、塩酸n−プロピルヒドロキシルアミン、塩酸イソプロピルヒドロキシルアミン、塩酸ジメチルヒドロキシルアミン、塩酸ジエチルヒドロキシルアミン等を挙げることができる。また、これらのヒドロキシルアミン塩における塩酸を他の酸、例えば硫酸、硝酸、酢酸、モノアルキル硫酸、スルホン酸化合物等に置換したヒドロキシルアミン塩等を挙げることができる。
本発明における(D)成分の配合量は、(A’)成分、(B)成分及び(C)成分の合計量100質量部に対して、0.001〜1質量部であり、好ましくは0.002〜0.8質量部であり、より好ましくは0.003〜0.5質量部である。
る。配合量が0.001質量部未満では成形品の層剥離が発生しやすくなり、1質量部を超えると引張伸び率及び耐衝撃性が低下するおそれがある。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物に配合することができるフィラーとしては、球状フィラー、板状フィラー、繊維状フィラーなどが挙げられる。
球状フィラーとしては、例えば、炭酸カルシウム、カオリン(ケイ酸アルミニウム)、シリカ、パーライト、シラスバルーン、セリサイト、ケイソウ土、亜硫酸カルシウム、焼成アルミナ、ケイ酸カルシウム、結晶ゼオライト、非晶質ゼオライトなどが挙げられる。
板状フィラーとしては、例えば、タルク、マイカ、ワラストナイトなど挙げられる。
繊維状フィラーとしては、例えば、ガラス繊維、カーボン繊維、ウオラストナイトのような針状のもの、マグネシウムオキシサルフェイト、チタン酸カリウム繊維、繊維状炭酸カルシウムのような繊維状のものなどが挙げられる。
ガラス繊維としては、含アルカリガラス、低アルカリガラス、及び無アルカリガラスなどを原料としたいずれをも好適に用いることができる。
これらのガラス繊維の形態は、特に制限はなく、例えば、ロービング、ミルドファイバー、及びチョップドストランドなどいずれの形態のものも使用することができる。
ガラス繊維の市販品としては、CSH−3PA(日東紡績社製)、T511(日本電気硝子社製)、MA409C(旭ファイバーグラス社製)などが挙げられる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物に配合することができる難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤、窒素系難燃剤、金属水酸化物、リン系難燃剤、有機アルカリ金属塩、有機アルカリ土類金属塩、シリコーン系難燃剤、膨張性黒鉛など、リン系、金属塩系、シリコーン系などが挙げられる。
しかしながら、ハロゲン系難燃剤は比較的難燃化効率は良いが、環境汚染、安全性の観点から、ハロゲンを含まない難燃剤が好ましい。
金属水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどが挙げられる。
該ハロゲン非含有機リン系難燃剤としては、リン原子を有し、ハロゲンを含まない有機化合物であれば、特に制限なく用いることができる。
なかでも、リン原子に直接結合するエステル性酸素原子を1つ以上有するリン酸エステル化合物が好適に用いられる。
リン酸エステル化合物は、モノマー、ダイマー、オリゴマー、ポリマー又はこれらの混合物であってもよい。
具体的には、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジイソプロピルフェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリナフチルホスフェート、ビスフェノールAビスホスフェート、ヒドロキノンビスホスフェート、レゾルシンビスホスフェート、レゾルシノール−ジフェニルホスフェート、トリオキシベンゼントリホスフェート、又はこれらの置換体、縮合物などが挙げられる。
有機リン系難燃剤以外のハロゲン非含有リン系難燃剤としては、赤リンなどが挙げられる。
ここで、有機酸又は有機酸エステルとしては、有機スルホン酸、有機カルボン酸などが挙げられる。
アルカリ金属塩としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、セシウムなどの塩が挙げられ、アルカリ土類金属塩としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどの塩が挙げられる。これらの中で、ナトリウム、カリウム、セシウムの塩が好ましい。
また、その有機酸の塩は、フッ素、塩素、臭素などのハロゲンで置換されていてもよく、その例としては、パーフルオロメタンスルホン酸、パーフルオロエタンスルホン酸、パーフルオロブタンスルホン酸のカリウム塩などが挙げられる。
シリコーン系難燃剤としては、例えば、官能基を有する(ポリ)オルガノシロキサン類が挙げられる。
この官能基としては、アルコキシ基、アリールオキシ、ポリオキシアルキレン基、水素基、水酸基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ基、メルカプト基、エポキシ基などが挙げられる。
上記の難燃剤は一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物に配合することができる他の添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、難燃助剤、着色剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、離型剤及び滑剤などが挙げられる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、上記の(A)成分、(B)成分及び(C)成分、又は上記の(A’)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分、必要に応じて各種フィラー、難燃剤及び添加剤を配合し、溶融混練することにより得ることができる。
溶融混練機としては、例えば、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、コニーダー及び多軸スクリュー押出機などが挙げられる。
溶融混練における加熱温度は、通常、220〜300℃が適当である。
樹脂組成物のMIは、ASTM D 1238に準拠して、樹脂温度280℃、荷重21.18Nで測定したものである。
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、アクリル樹脂又はポリカーボネート樹脂との融着強度が高いため、製品として融着が必要な部品には工業材料として使用することができる。
なお、以下において、GMAはグリシジルメタクリレートを示す。また、MIはメルトインデックス(230℃、21.18N)を示す。
(A)芳香族ポリカーボネート樹脂
a−1:粘度平均分子量(Mv)18000、末端ヒドロキシル基25モル%
a−2:粘度平均分子量(Mv)14000、末端ヒドロキシル基45モル%
a−3:粘度平均分子量(Mv)10000、末端ヒドロキシル基13モル%
a−4:粘度平均分子量(Mv)30000、末端ヒドロキシル基5モル%以下;タフロンFN−3000〔商品名、出光興産(株)製〕
a−5:粘度平均分子量(Mv)22000、末端ヒドロキシル基5モル%以下;タフロンFN−2200〔商品名、出光興産(株)製〕
a−6:粘度平均分子量(Mv)15000、末端ヒドロキシル基5モル%以下;タフロンFN−1500〔商品名、出光興産(株)製〕
b−1:エチレン−GMA共重合体[GMA含有量:12質量%(グリシジル基として5.46質量%)];ボンドファーストBF−E〔商品名、住友化学(株)製〕
b−2:ポリエチレン−GMAグラフト共重合体[GMA含有量:6.4質量%(グリシジル基として2.91質量%)]
b−3:ポリエチレン−GMAグラフト共重合体[GMA含有量:1.8質量%(グリシジル基として0.82質量%)]
なお、上記b−2及びb−3は、高密度ポリエチレン〔MI:12g/10分;プライムポリマー(株)製、商品名:ハイゼックス1300J〕、GMA及び有機過酸化物をブレンド後、二軸押出し機を用い、200℃で溶融混練して製造した。
c−1:高密度ポリエチレン、MI:0.2g/10分;ハイゼックス640UF〔商品名、プライムポリマー(株)製〕
c−2:直鎖状低密度ポリエチレン、MI:2g/10分;モアテック0248Z〔商品名、プライムポリマー(株)製〕
c−3:高密度ポリエチレン、MI:40g/10分;サンテックJ300〔商品名、旭化成ケミカルズ(株)製〕
c−4:低密度ポリエチレン、MI:15g/10分;ウルトゼックス15150L〔商品名、プライムポリマー(株)製〕
d−1:アンモニウムヒドロキシド;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド〔和光純薬(株)製〕
d−2:脂肪族アミン塩;カチオンBB〔商品名、日油(株)製〕
表1及び2に示す配合割合により、各成分をドライブレンドした後、二軸混練機(TEX44、商品名、日本製鋼所製)を用い、設定温度250℃で、滞留時間を長くするためニーディングブロックを多く設定し、吐出量を抑制しながら溶融混練を行い、ペレットを得た。
得られたペレットを120℃で6時間以上乾燥した後、射出成形(射出成形温度280℃、金型温度80℃)により試験片を作製し、下記の方法により物性評価を行った。
得られた結果を表1及び2に示す。
(1)メルトインデックス(MI)
ASTM D 1238に準拠
(2)引張強さ・引張伸び率(試験片厚さ3.0mm)
JIS K 7162に準拠
(3)アイゾット衝撃強度(ノッチ付き)(試験片厚さ3.0mm)
JIS K 7110に準拠
125×12.5×3mmの試験片を使用し、浸漬液として、マジックリン[バスマジックリン(商品名、花王株式会社製、9%脂肪酸アミドプロピルベタイン)]及びエタノールを使用した。
耐薬品性−1は、マジックリンを使用して、スパン間距離80mmの3点曲げ試験で、歪み量を1%に保持し、168時間後の状況を目視にて観察した。クラックの認められない場合を○、クラックが発生している場合を×として評価した。
耐薬品性−2は、エタノールを使用して、耐薬品性−1と同様にして評価した。
150×150×1.5mmの薄板を射出成形により作製し、そのゲート近傍の表面剥離状態を目視にて観察した。剥離が観察されない場合を○、少しでも剥離が観察されたものを×として評価した。
100×10×3mmのポリカーボネート樹脂組成物製試験片及びポリメタクリル酸メチル製試験片を用いて、試験片同士を10×10mmの面積部で振動融着した後、引張試験を行い、剥離するときに要する強度(振動融着強度)を測定した。融着条件としては、振動数230Hz、振幅幅1.8mm、荷重1kNで5秒間圧着した。
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、アクリル樹脂又はポリカーボネート樹脂との融着強度が高いため、製品として融着が必要な部品には工業材料として使用することができる。
Claims (6)
- (A)分子鎖末端基としてヒドロキシ基を有するものを含み、全末端基に対する該ヒドロキシ基の含有量が10〜80モル%であり、且つ粘度平均分子量が11000〜30000である芳香族ポリカーボネート樹脂50〜98質量%、(B)エポキシ基又はグリシジル基を含有するポリオレフィン系樹脂及び/又はポリオレフィン系エラストマー1〜30質量%、及び(C)メルトインデックス(MI)が5g/10分未満のポリエチレン系樹脂1〜40質量%を含むポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記(B)エポキシ基又はグリシジル基を含有するポリオレフィン系樹脂及び/又はポリオレフィン系エラストマーにおけるエポキシ基又はグリシジル基の含有量が1〜15質量%である、請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- (A')末端ヒドロキシ基の含有量10モル%未満であり、且つ粘度平均分子量が16000〜35000である芳香族ポリカーボネート樹脂50〜98質量%、(B)エポキシ基又はグリシジル基を含有するポリオレフィン系樹脂及び/又はポリオレフィン系エラストマー1〜30質量%、及び(C)メルトインデックス(MI)が5g/10分未満のポリエチレン系樹脂1〜40質量%からなる樹脂成分100質量部に対して、(D)脂肪族アミン塩、芳香族アミン塩、アンモニウムヒドロキシド、ヒドロキシルアミン塩及び4級ホスホニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種0.001〜1質量部を溶融混練してなるポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記(B)エポキシ基又はグリシジル基を含有するポリオレフィン系樹脂及び/又はポリオレフィン系エラストマーにおけるエポキシ基又はグリシジル基の含有量が1〜15質量%である、請求項3に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 樹脂組成物のMIが1.0〜20.0g/10分である、請求項1〜4のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物を射出成形してなる成形体。
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