JP5237689B2 - ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形体 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形体 Download PDF

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Description

本発明は、ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形体に関する。より詳しくは、成形後に層状剥離を呈することがなく、耐衝撃性、曲げ強度、流動性及び耐薬品性等に優れた、自動車部品、電子機器や情報機器等のハウジングとして有用なポリカーボネート樹脂組成物及びその成形体に関するものである。
自動車部品としてフィラー充填ポリポロピレンが多く使用されているが、耐傷付き白化性、シボ転写性、ウエルド外観が劣る等の課題を有している。一方、ポリカーボネート(PC)は衝撃強度を初めとした機械的物性に優れるという長所を有しているものの、流動性、耐薬品性に劣る等の欠点が存在する。
この改良手法として、流動性に関してはPC/ABSアロイが、また耐薬品性に関してはPC/ポリエステル(PBT,PET)アロイが提案されている。ただし、PC/ABSアロイは耐薬品性や耐候性に劣り、またグロス(光沢)が高すぎ、そのままでは内装材として使用できず、塗装を必要としコストアップとなるため使用が制限されている。また、PC/ポリエステル(PBT,PET)は流動性の改良効果が小さく、かつ耐加水分解性に劣る、光沢が高く低グロス化が困難である等の問題があった。PC/ABSアロイ、PC/ポリエステル(PBT,PET)アロイは何れも軋み音が高いという欠点も存在していた。
そこで、これらの課題を克服する材料の組み合わせとして、PCとポリオレフィン樹脂のアロイ、特にポリプロピレン(PP)とPCのアロイが期待されるが、相容化が困難で、そのため面衝撃が弱い、射出成形品に層剥離が生じる等の大きな課題があり、実際実用化が困難であった。
例えば、特許文献1は、エポキシ変性SEBSをPPとPCの相容化剤として用いることを提案したものだが、PP及びPCは官能基が無く、この方法では引張伸びの向上や層剥離防止が困難である。
特許文献2は、PPとPCの相容化剤として、末端脂肪族OH基を有するPCとエポキシ基含有PPを溶融混練時に用いることを提案したものであるが、エポキシ基含有PPの分子量が小さく、伸びや衝撃強度の改良効果に限界があると共に、成形時に配向を助長し、厳しい折り曲げ等では剥離が生じる。
特許文献3は、PPとPCの相容化剤として、末端カルボキシル基を有するPCとエポキシ基含有PPを溶融混練時に用いることを提案したものであるが、その反応効果は十分ではなく、伸びの改良や層剥離防止効果は小さい。
特許文献4は、PPとPCの相容化剤として、SEBSを用いることを提案したものだが、SEBSもPCとの相容性が低く、この方法では、引張伸びの向上や層剥離防止が困難である。
特許文献5は、OH末端PCとエチレン−グリシジルメタクリレート(GMA)の共重合体を溶融混練することにより、低温衝撃性を改善することを提案したものだが、この方法では流動性の改善は殆んど期待できない。また、PPとの組み合わせに関しては、全く考慮されていない。
特許文献6は、酸無水物変性ポリオレフィン(PO)とOH末端PCを反応させた樹脂改質剤が開示されており、そして、本改質剤はPPとPCの相容化剤としても活用できることを提案している。しかし、実際PCとPPの改質剤としての効果は示されておらず、酸無水物変性POとOHの反応は十分ではなく、伸びの改良や層剥離防止効果は小さい。
特開平7−207078号公報 特開昭63−215749号公報 特公平8−19297号公報 特開2000−17120号公報 特開平3−7758号公報 特開平3−294333号公報
本発明は、芳香族ポリカーボネート樹脂の流動性や耐薬品性に劣る欠点を補い、耐衝撃性、曲げ強度、流動性及び耐薬品性等に優れ、成形後に層状剥離を呈することがなく、低グロス化が可能なポリカーボネート樹脂組成物及びその成形体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、(A)分子鎖末端基として、ヒドロキシ基を有するものを含む特定の芳香族ポリカーボネート樹脂、(B)エポキシ基を有するエチレン系重合体及び(C)メルトインデックスが2〜30g/10分であるプロピレン系重合体を特定の割合で配合したポリカーボネート樹脂組成物を得ることにより上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、下記のポリカーボネート樹脂組成物及びその成形体を提供するものである。
1.(A)分子鎖末端基としてヒドロキシ基を有するものを含み、全末端基に対する該ヒドロキシ基の含有量が20〜80モル%であり、かつ粘度平均分子量が11000〜19000である芳香族ポリカーボネート樹脂50〜94質量%と、(B)エポキシ基含有エチレン系重合体1〜15質量%と、(C)メルトインデックス(MI)が2〜30g/10分であり、かつスラリー重合法により製造されたプロピレン系重合体5〜40質量%とからなる、(A)〜(C)成分合計量100質量%の組み合わせを含むことを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
2.(B)エポキシ基含有エチレン系重合体におけるエポキシ基の含有量が3〜30質量%である上記1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
3.上記1又は2に記載のポリカーボネート樹脂組成物を射出成形してなり、かつプロピレン系重合体の配向による表面層の厚みが、200μm以下であることを特徴とする成形体。
4.自動車部品用である上記3に記載の成形体。
本発明によれば、芳香族ポリカーボネート樹脂を配合しても流動性及び耐薬品性に優れ、耐衝撃性及び曲げ強度にも優れるポリカーボネート樹脂組成物を提供することができ、これを用いることにより成形後に層状剥離を呈することがなく、低グロス化が可能な成形体を提供することができる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、(A)特定の芳香族ポリカーボネート樹脂、(B)エポキシ基を有するエチレン系重合体及び(C)特定のプロピレン系重合体を含むものである。
[(A)芳香族ポリカーボネート樹脂]
本発明における(A)芳香族ポリカーボネート樹脂は、分子末端にヒドロキシ基を有し、全末端基に対する該ヒドロキシ基の含有量が20〜80モル%であり、粘度平均分子量が11000〜19000である。
芳香族ポリカーボネート樹脂の基本構造としては、特に制限はなく種々のものが挙げられる。通常、2価フェノールとカーボネート前駆体との反応により製造される芳香族ポリカーボネートを用いることができる。
すなわち、2価フェノールとホスゲン等のカーボネート前駆体とを溶液法により反応させ、又は2価フェノールとジフェニルカーボネート等のカーボネート前駆体とをエステル交換法により反応させて製造されたものを使用することができる。
2価フェノールとしては、様々なものが挙げられるが、特に、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド及びビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン等が挙げられる。これらの2価フェノールは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
特に、好ましい2価フェノールとしては、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン系、特にビスフェノールA又はビスフェノールAを主原料としたものである。
カーボネート前駆体としては、例えばカルボニルハライド、カルボニルエステル及びハロホルメート等、具体的にはホスゲン、2価フェノールのジハロホーメート、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート及びジエチルカーボネート等が挙げられる。
また、芳香族ポリカーボネートは、分岐構造を有していてもよく、分岐剤としては、例えば1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、α,α’,α”−トリス(4−ビドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、フロログリシン、トリメリット酸及びイサチンビス(o−クレゾール)等が挙げられる。
本発明における(A)成分の分子鎖末端基は、ヒドロキシ基を有するものを含み、全末端基に対する該ヒドロキシ基の含有量が20〜80モル%である。含有量が20モル%未満であると反応が不十分となり分散粒子径が小さくならず、成形体に層剥離が生じ易くなる。また、80モル%超であると加水分解等安定性に問題が発生する場合がある。好ましくは25〜75モル%、より好ましくは30〜65モル%である。
(A)成分において、全末端基に対するヒドロキシ基の含有割合の調節は、例えば、2価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させて芳香族ポリカーボネート樹脂を製造する際に、末端停止剤として従来使用されている公知の1価のフェノール類と、アルコール性ヒドロキシ基含有フェノール類とを用い、それらの使用割合及び2価フェノールに対する使用割合を制御することにより行うことができる。
末端停止剤として従来使用されている公知の1価フェノール類としては、例えばフェノール、p−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、p−tert−オクチルフェノール、p−クミルフェノール、p−ノニルフェノール及びp−tert−アミルフェノール等が挙げられる。
一方、アルコール性ヒドロキシ基含有フェノール類としては、例えば2−ヒドロキシベンジルアルコール、3−ヒドロキシベンジルアルコール、4−ヒドロキシベンジルアルコール、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルアルコール及び2,6−ジヒドロキシ−4−メチルフェノール等が挙げられる。
また、本発明における(A)成分は、粘度平均分子量が11000〜19000である。粘度平均分子量が11000未満であると耐衝撃性が不十分となり、19000超であると成形体の層剥離が発生し、引張伸び率が低下する。粘度平均分子量は好ましくは12000〜18000であり、より好ましくは13000〜17000である。
なお、本発明における芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、塩化メチレン100cm3に芳香族ポリカーボネート樹脂約0.7gを20℃で溶解した溶液をウベローデ粘度計を用いて測定した比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めたものである。
(ηsp)/C=[η]+0.45×[η]2
[η]=1.23×10-50.83
(但し、[η]は極限粘度、Cはポリマー濃度である。)
本発明における(A)成分の配合量は、(A)〜(C)成分の合計量中、50〜94質量%である。50質量%未満では引張強度、弾性率及び熱変形温度等が低下し、94質量%超では流動性及び耐薬品性等が不十分となる。好ましくは55〜92質量%であり、より好ましくは60〜88質量%である。
[(B)エチレン系重合体]
本発明における(B)エチレン系重合体はエポキシ基を含有するものである。
エチレン系重合体としては、例えば、エチレン重合体とエポキシ基を有する不飽和単量体との共重合体であっても、エチレンと他のα−オレフィン等との共重合体と、エポキシ基を有する不飽和単量体との共重合体であってもよく、共重合体はグラフト共重合体、ランダム共重合体、あるいはブロック共重合体であってもよい。エチレン系重合体にエポキシ基を導入したものであればいずれを用いてもよい。
エポキシ基を有する不飽和単量体としては、例えばグリシジル(メタ)アクリレート、ビニルグリシジルエーテル、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのグリシジルエーテル、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートのグリシジルエーテル及びグリシジルイタコネート等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
また、(B)成分は、例えばエチレン重合体の末端、あるいはエチレンと他のα−オレフィン等との共重合体及びこれらの複合物中に存在する不飽和結合を、過酸化水素あるいは有機過酸等、例えば過安息香酸、過ギ酸及び過酢酸等により酸化することによりエチレン系重合体にエポキシ基を導入したものであってもよい。
(B)成分中におけるエポキシ基の含有量は、3〜30質量%であることが好ましい。3質量%以上であれば(A)成分と(C)成分との相溶性の改善効果が発揮され、引張伸び率及び耐衝撃性が満足でき、さらに成形体の層剥離が発生することもない。また、30質量%以下であれば自己架橋が起こるおそれが低く、引張伸び率及び耐衝撃性が満足でき、さらに成形体の層剥離が発生することもない。さらに好ましくは5〜25質量%である。
また、(B)成分の重量平均分子量は、5万〜50万程度であることが好ましい。この範囲内であれば、層剥離を防止できると共に、良好な引張伸びや高い面衝撃性を得ることができる。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)法を用いることにより求めることができる。
本発明における(B)成分の配合量は、(A)〜(C)成分の合計量中、1〜15質量%である。1質量%未満では(A)成分と(C)成分との相溶性の改善が充分とはいえず、引張伸び率及び耐衝撃性が低下し、さらに成形体の層剥離が発生する。15質量%超では引張強度及び弾性率が大幅に低下し、流動性が悪くなる。好ましくは2〜13質量%であり、より好ましくは3〜10質量%である。
[(C)プロピレン系重合体]
本発明における(C)プロピレン系重合体は、メルトインデックス(MI)(樹脂温230℃、荷重2.16Kg)が2〜30g/10分であり、かつスラリー重合法により製造されたものである。
プロピレン系重合体としては、プロピレンの単独重合体であってもよく、プロピレンを主体とする共重合体であってもよい。
例えば、アイソタクチックプロピレン単独重合体、あるいはシンジオタクチックプロピレン単独重合体であってもよい。また、共重合体は、例えばプロピレンとエチレンの共重合体等が挙げられ、グラフト共重合体、ランダム共重合体あるいはブロック共重合体のいずれであってもよい。
本発明において(C)成分の重合法としてはスラリー重合法が採用される。スラリー重合法以外、例えば気相重合法により重合した(C)成分を用いた場合、PCの分子量が低下し、引張伸び率及び耐衝撃性が低くなる。
スラリー重合法の条件については、触媒として通常チーグラー触媒が用いられ、重合温度は30〜90℃程度であり、重合時間は30分〜10時間程度、反応圧力は常圧0.1〜1MPa程度である。
重合溶媒を用いる場合、例えば芳香族炭化水素、脂環式炭化水素、脂肪族炭化水素及びハロゲン化炭化水素等を用いることができる。これらの溶媒は一種を単独で用いてもよく、二種以上のものを組み合わせてもよい。
本発明において(C)成分はメルトインデックス(MI)が、測定条件樹脂温230℃、荷重2.16Kgにおいて、2〜30g/10分であることを要する。MIが2g/10分未満であれば流動性の改善効果が充分に発揮できず、30g/10分超であれば引張伸び率及び耐衝撃性が低下し、さらに成形体の層剥離が発生し流動性の改善効果が充分に発揮できない。好ましくは3〜25g/10分、より好ましくは5〜20g/10分である。なお、MIはASTM D 1238に準拠した測定法により求めたものである。
本発明における(C)成分の配合量は、(A)〜(C)成分の合計量中、5〜40質量%である。5質量%未満では流動性の改善効果が充分に発揮できず、40質量%超では引張伸び率及び耐衝撃性が低下し、さらに成形体の層剥離が発生し易くなる。好ましくは7〜35質量%であり、より好ましくは10〜30質量%である。
[添加剤]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物において、上記(A)〜(C)成分以外に、本発明の目的を損なわない範囲で各種添加剤を配合することができる。添加剤としては、無機添加剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、難燃化剤、難燃助剤、着色剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、離型剤及び滑剤等が挙げられる。
[ポリカーボネート樹脂組成物を用いた成形体]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、上記(A)〜(C)成分及び各種の添加剤を常法により配合し、溶融混練することにより得ることができる。溶融混練機としては、例えばバンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、コニーダ及び多軸スクリュー押出機等が挙げられる。溶融混練における加熱温度は、通常220〜300℃が適当である。
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、公知の成形方法、例えば中空成形、射出成形、押出成形、真空成形、圧空成形、熱曲げ成形、圧縮成形、カレンダー成形及び回転成形等を適用することにより、成形体とすることができる。特に射出成形による成形法が好ましく、樹脂組成物を射出してなるプロピレン系重合体の配向による表面層の厚さが200μm以下である成形体を提供することができる。
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、耐衝撃性、曲げ強度、流動性及び耐薬品性に優れるため、射出成形によりこれらの特性が要求される自動車部品、電子機器や情報機器のハウジング等として利用可能である。
すなわち、本発明は、本発明のポリカーボネート樹脂組成物を用いてなる成形体、とりわけ自動車部品用をも提供する。
本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
なお、以下において、GMAはグリシジルメタクリレートを示す。
実施例及び比較例において用いた(A)、(B)及び(C)成分を下記に示す。
(A)芳香族ポリカーボネート樹脂
a−1〜a−4それぞれのOH基含有量及び粘度平均分子量(Mv)は次のとおりである。
a−1:OH基50モル%、Mv13000
a−2:OH基38モル%、Mv16000
a−3(比較):OH基3モル%、Mv16000
a−4(比較):OH基50モル%、Mv22000
(B)エチレン系重合体
b−1〜b−3それぞれのGMA含有量は次のとおりである。
b−1:ポリエチレン−GMAグラフト共重合体(GMA含有量8.6質量%)
b−2:エチレン−GMA共重合体(GMA含有量12質量%)
b−3(比較):ポリプロピレン−GMAグラフト共重合体(GMA含有量2.6質量%)
(C)プロピレン系重合体
c−1〜c−4のメルトインデックス(MI)及び重合法は次のとおりである。
c−1:ポリプロピレンブロック共重合体(MI:18g/10分、スラリー重合法)
c−2:ポリプロピレン重合体(MI:3g/10分、スラリー重合法)
c−3(比較):ポリプロピレン重合体(MI:30g/10分、気相重合法)
c−4(比較):ポリプロピレンブロック共重合体(MI:4g/10分、気相重合法)
〈実施例1〜3及び比較例1〜6〉
表1に示す配合割合により、各成分をドライブレンドした後、二軸混練機(TEX44、日本製鋼所製)を用い、設定温度250℃で、滞留時間を長くするためニーディングブロックを多く設定し、吐出量を抑制しながら溶融混練を行いペレットを得た。
得られたペレットを120℃で6時間以上乾燥した後、射出成形(射出成形温度270℃、金型温度80℃)により試験片を作製し、下記の方法により物性評価を行った。得られた結果を表1に示す。
〈物性評価〉
(1)引張強さ・引張弾性率・引張伸び率(試験片厚さ3.0mm)
JIS K 7162に準拠
(2)アイゾット衝撃強度(試験片厚さ3.0mm)
JIS K 7110に準拠
(3)高速落錘衝撃試験(試験片70×70×3mmの平板)
1/2インチRの撃芯、7m/secの衝撃速度で測定した。
破壊面が延性の場合を○とし、破壊面が脆性の場合を×として評価した。
(4)表面層厚み(PP配向)
試験片の平行部を垂直に切断し、その断面を電子顕微鏡(SEM)を用いて30倍で観察し、明らかにポリポロピレン系重合体の配向による表面層の厚みを測定した。
測定した厚みが200μm以下のものを○とし、200μm超のものを×として評価した。
(5)表面剥離
試験片の180度折り曲げを5回実施し、試験片に剥離現象が生じているかどうかを、目視にて観察した(細かなシワも剥離とする)。
剥離が観察されない場合を○とし、少しでも剥離が観察されたものを×として評価した。
Figure 0005237689
〈実施例4〉
実施例1の組成に、さらにカーボンブラック(三菱化学社製)を3000ppm添加することにより黒着色し、実施例1と同様にペレットを得た。このペレットを用い、射出成形により140×140×2mmのシボ付き平板を成形し試験片を作製した。
カトーテック製Scratch Testerを用い、試験片の表面を荷重30N、スクラッチ速度100mm/secで引っ掻き試験を行い、目視により傷付き白化性を評価した。評価結果を表2に示す。
〈比較例7及び8〉
比較例2及び4の組成に、さらにカーボンブラック(三菱化学社製)をそれぞれ3000ppm添加し、実施例4と同様に試験片を作製して引っ掻き試験を行い、目視により傷付き白化性を評価した。評価結果を表2に示す。
Figure 0005237689
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、流動性及び耐薬品性に優れ、耐衝撃性及び曲げ強度にも優れるため、自動車部品、電子機器や情報機器のハウジング等に有用である。

Claims (4)

  1. (A)分子鎖末端基としてヒドロキシ基を有するものを含み、全末端基に対する該ヒドロキシ基の含有量が20〜80モル%であり、かつ粘度平均分子量が11000〜19000である芳香族ポリカーボネート樹脂50〜94質量%と、(B)エポキシ基含有エチレン系重合体1〜15質量%と、(C)メルトインデックス(MI)が2〜30g/10分であり、かつスラリー重合法により製造されたプロピレン系重合体5〜40質量%とからなる、(A)〜(C)成分合計量100質量%の組み合わせを含むことを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
  2. (B)エポキシ基含有エチレン系重合体におけるエポキシ基の含有量が3〜30質量%である請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載のポリカーボネート樹脂組成物を射出成形してなり、かつプロピレン系重合体の配向による表面層の厚みが、200μm以下であることを特徴とする成形体。
  4. 自動車部品用である請求項3に記載の成形体。
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