JP2018118438A - 複層フィルム及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、特許文献1では、透明性と、アンチブロッキング性とを両立させることを目的として、アクリル樹脂と、平均粒径が特定の範囲の粒子を特定量含む光学フィルムが記載されている。
特許文献2では、巻取り時に生じるブロッキングを抑制することを目的として、カルボキシル基を有するウレタン樹脂と、コロイダルシリカを特定量含む易接着剤組成物で形成された易接着層と、アクリル系樹脂フィルムとを有する偏光子保護フィルムが記載されている。
特許文献2のように無機微粒子を分散させた易滑層を塗布する方法も知られているが、無機微粒子を添加しているため、フィルムを重ねたときやロール状に巻き取ったときに易滑層の無機微粒子とアクリル系樹脂フィルムが擦れ、アクリル系樹脂フィルムが傷つきやすいという問題がある。そのため、円滑に走行でき(以下、「滑り性」とも称する)、巻取りやハンドリングが容易(以下、「巻取り性」とも称する)で、さらに易滑層と熱可塑性樹脂層が接した際の擦過による傷つきを抑制できる(以下、「耐擦傷性」とも称する)、外観品位の良いフィルムが求められている。
本発明は、高い透明性を有し、かつ滑り性及び巻取り性に優れ、さらに耐擦傷性に優れる複層フィルム及びその製造方法、並びに該複層フィルムからなる偏光子保護フィルムを提供することを目的とする。
[1] 熱可塑性樹脂層と易滑層とを有する複層フィルムであって、
該易滑層がポリウレタン系樹脂及びアクリル系微粒子を含有し、
該複層フィルムのヘイズが0.5%以下であり、
2枚の該複層フィルムを該熱可塑性樹脂層と該易滑層とが接するように重ね合わせたときの、該熱可塑性樹脂層と該易滑層との間の動摩擦係数と静摩擦係数の差が0.20以下である、複層フィルム。
[2] 2枚の前記複層フィルムを前記熱可塑性樹脂層と前記易滑層とが接するように重ね合わせたときの、該熱可塑性樹脂層と該易滑層との間の動摩擦係数が0.10以上0.40未満である、前記[1]の複層フィルム。
[3] 前記易滑層が、前記ポリウレタン系樹脂100質量部に対して前記アクリル系微粒子を1〜10質量部含有する、前記[1]又は[2]の複層フィルム。
[4] 前記アクリル系微粒子の平均粒子径が50〜300nmである、前記[1]〜[3]のいずれかの複層フィルム。
[5] 前記易滑層の厚さ変動係数が15%以下である、前記[1]〜[4]のいずれかの複層フィルム。
[6] 少なくとも前記熱可塑性樹脂層が二軸延伸された層である、前記[1]〜[5]のいずれかの複層フィルム。
[7] 前記[1]〜[6]のいずれかの複層フィルムからなる、偏光子保護フィルム。
[8] 複層フィルムの製造方法であって、
熱可塑性樹脂層の少なくとも一方の表面に、ポリウレタン系樹脂及びアクリル系微粒子を含有する分散体を塗布して該分散体の塗布層を形成する工程1、及び熱処理によって該熱可塑性樹脂層の表面に該ポリウレタン系樹脂及び該アクリル系微粒子を含有する易滑層を形成する工程2を有し、
該易滑層が、該ポリウレタン系樹脂100質量部に対して該アクリル系微粒子1〜10質量部を含有する、複層フィルムの製造方法。
[9] 前記工程1の前に、前記熱可塑性樹脂層の前記塗布層を形成する面にコロナ放電処理又はプラズマ処理を施す工程1−1を有する、前記[8]の複層フィルムの製造方法。
[10] 前記工程2において、前記熱処理と同時に延伸処理を行う、前記[8]又は[9]の複層フィルムの製造方法。
本発明の複層フィルムは、熱可塑性樹脂層と易滑層とを有する複層フィルムであって、該易滑層がポリウレタン系樹脂及びアクリル系微粒子を含有し、該複層フィルムのヘイズが0.5%以下であり、2枚の該複層フィルムを該熱可塑性樹脂層と該易滑層とが接するように重ね合わせたときの、該熱可塑性樹脂層と該易滑層との間の動摩擦係数と静摩擦係数の差が0.20以下である。
本発明の複層フィルムは、上記構成を有することにより、高い透明性を有し、かつ滑り性及び巻取り性に優れ、さらに耐擦傷性に優れるという本発明の効果が得られる。
このような効果が得られる理由については定かではないが、下記のように推察される。
前記易滑層がアクリル系微粒子を含有し、ヘイズが特定値以下であるため、高い透明性を有し、さらに耐擦傷性が向上する。また、前記熱可塑性樹脂層と前記易滑層との間の動摩擦係数と静摩擦係数が特定の関係を充足することにより、滑り性及び巻取り性が向上すると考えられる。
本発明に係る熱可塑性樹脂層は基材として機能するものである。熱可塑性樹脂層を形成する熱可塑性樹脂としては、例えばノルボルネン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂層は、このような熱可塑性樹脂の1種を単独で含んでいてもよいし、2種以上を含んでいてもよい。これらの中でも透明性の観点から、熱可塑性樹脂は(メタ)アクリル系樹脂であることが好ましく、熱可塑性樹脂層として(メタ)アクリル系樹脂を主成分とするアクリルフィルムを用いることが好ましい。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」はアクリル又はメタクリルを意味する。
前記アクリルフィルムにおける、前記(メタ)アクリル系重合体の含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上、特に好ましくは96質量%以上であり、100質量%であってもよい。
前記アクリルフィルムにおける、(メタ)アクリル系重合体以外の前記他の重合体の含有量は、好ましくは0〜50質量%、より好ましくは0〜30質量%、更に好ましくは0〜20質量%、より更に好ましくは0〜10質量%、特に好ましくは0〜4質量%である。
前記N−シクロアルキルマレイミド単位のN−シクロアルキル基は炭素数4〜12であることが好ましく、炭素数5〜8であることがより好ましい。
前記スチレン系単量体単位は、特に限定されないが、例えばスチレン、α−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、2−メチル−4−クロロスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、cis−β−メチルスチレン、trans−β−メチルスチレン、4−メチル−α−メチルスチレン、4−フルオロ−α−メチルスチレン、4−クロロ−α−メチルスチレン、4−ブロモ−α−メチルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、2−フルオロスチレン、3−フルオロスチレン、4−フルオロスチレン、2,4−ジフルオロスチレン、2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、2,6−ジクロロスチレン、オクタクロロスチレン、2−ブロモスチレン、3−ブロモスチレン、4−ブロモスチレン、2,4−ジブロモスチレン、α−ブロモスチレン、β−ブロモスチレン、2−ヒドロキシスチレン及び4−ヒドロキシスチレンからなる群より選択される1種以上であることができ、スチレン及びα−メチルスチレンからなる群より選択される1種以上であることが好ましい。
前記熱可塑性樹脂層におけるゴム成分の含有量は、耐熱性と靭性とを両立させる観点から、1〜30質量%の範囲内であることが好ましく、2〜25質量%の範囲内であることがより好ましく、5〜20質量%の範囲内であることが更に好ましい。ゴム成分が30質量%以下であると耐熱性が向上し、1質量%以上であると靭性が向上する傾向がある。
熱可塑性樹脂層の成形方法としては、例えば溶融押出法、溶液キャスト法(溶液流延法)、カレンダー法、圧縮成形法、射出成形法等が挙げられる。これらの中でも、溶融押出法が好ましい。溶融押出法としては、特に制限されないが、当該技術分野において知られている溶融押出法によって行われ、例えばTダイ法やインフレーション法等を用いることができる。このとき、成形温度は、150〜350℃であることが好ましく、200〜300℃であることがより好ましく、240〜280℃であることが更に好ましい。
前記Tダイ法によって熱可塑性樹脂層を成形する場合は、公知の単軸押出機又は二軸押出機の先端部にTダイを装着し、シート状に押出されたフィルムを巻取り、ロール状のフィルムを得ることができる。
前記のTダイ法によって熱可塑性樹脂層を成形する場合、適切な温度において延伸ロールを用いて押出方向に延伸を行うことで、一軸延伸することもできる。また、テンター等の横方向延伸機を用いて押出方向に対して垂直方向にフィルムを延伸することで、同時二軸延伸や逐次二軸延伸等を行うこともできる。
本発明の複層フィルムは、前記熱可塑性樹脂層と易滑層とを有し、該易滑層は、ポリウレタン系樹脂及びアクリル系微粒子を含有する。本発明の複層フィルムにおいて前記易滑層は、例えば、前記熱可塑性樹脂層の少なくとも一方の表面、好ましくは一方の表面のみに積層されている。前記複層フィルムは、好ましくは前記熱可塑性樹脂層と前記易滑層のみからなる。
前記易滑層は、例えばポリウレタン系樹脂及びアクリル系微粒子を含有する分散体を用いて形成することができる。熱可塑性樹脂層としてアクリルフィルムのような耐溶剤性が不足するものを用いる場合、ポリウレタン系樹脂を含有する分散体を用いることにより、溶剤の浸食による機械的物性の低下や表面不良等を誘発することなく、均一な層の形成が可能となる。
前記ポリウレタン系樹脂は、カルボキシル基を含有することが好ましい。ポリウレタン系樹脂がカルボキシル基を含有することにより、ポリウレタン系樹脂の分散媒(水等)への分散性が向上し、得られる易滑層と前記熱可塑性樹脂層との密着性が向上する。
前記ポリウレタン系樹脂は、例えば、ポリオール(ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール等)及びポリイソシアネート(芳香族ジイソシアネート化合物、脂肪族ジイソシアネート化合物、脂環式ジイソシアネート化合物等)に、カルボキシル基を有する鎖延長剤(ジヒドロキシカルボン酸、ジヒドロキシコハク酸等)を反応させることで得ることができる。
架橋構造は、例えばポリウレタン系樹脂を含有する分散体に架橋剤を添加し、次いで熱処理を行うことにより形成することができる。架橋剤としては、例えばエポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、イソシアネート系架橋剤からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。なお、過度な架橋は適度な膨潤性を損なうことがあるため好ましくない場合がある。
アクリル系微粒子は、(メタ)アクリル系樹脂を主成分とする微粒子であり、透明性の観点から、架橋構造を有するアクリル系架橋微粒子であることが好ましい。アクリル系架橋微粒子は、該粒子を構成する単量体として多官能単量体を用いることにより形成することができる。例えば、メタクリル酸メチル等の単官能単量体と、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、(メタ)アクリル酸アリル、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール等の多官能単量体とを、懸濁重合させてなるアクリル系架橋微粒子等が挙げられる。懸濁重合時に、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン等のスチレン系単量体をさらに共重合させたアクリル系架橋微粒子であってもよい。
また、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル及びスチレン系単量体からなる群より選択される少なくとも1種と前述の多官能単量体とを、乳化重合、ソープフリー乳化重合、ミニエマルジョン重合、分散重合又はシード重合等により重合させてなるアクリル系架橋微粒子であってもよい。
アクリル系微粒子における、(メタ)アクリル系樹脂の含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは90質量%以上であり、100質量%であってもよい。
なお、前記アクリル系微粒子の平均粒子径は、レーザー回折散乱式粒子径分布測定装置を用いて測定されるメジアン径であり、アクリル系微粒子を含む分散液、又は粉体の該アクリル系微粒子をレーザー回折散乱式粒子径分布測定装置に投入し、測定に適切な光量になるよう適宜水を加えて微粒子分散液の濃度を調節して測定することができ、より具体的には実施例に記載の方法により測定することができる。
前記アクリル系微粒子の市販品としては、例えば日本ペイント・インダストリアルコーティング社製の商品名「MG−155」、商品名「MG−451」、日本触媒社製のエポスターシリーズ等が挙げられる。
本発明において、滑り性及び巻取り性の観点から、アクリル系微粒子は多層粒子構造を有する多層構造重合体であってもよい。該多層構造重合体としては、弾性体層と、該弾性体層を覆う外層と、を有する多層粒子構造のものが挙げられる。
弾性体層は、炭素数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単位及び共役ジエン系単量体単位からなる群より選択される少なくとも1種の単量体単位(I−1)(以下、単に「単量体単位(I−1)」とも称する)を50質量%以上有する架橋ゴム重合体成分(I)を含むことが好ましい。
架橋ゴム重合体成分(I)としては、例えばアクリル酸アルキルエステルの単独重合体、アクリル酸アルキルエステル単位50質量%以上及びアクリル酸アルキルエステル以外の単量体単位50質量%以下を有する共重合体、共役ジエン系単量体の単独重合体、共役ジエン系単量体単位を50質量%以上有する共重合体等が挙げられる。これらの中でも、透明性の点から、アクリル酸アルキルエステル単位50質量%以上及びアクリル酸アルキルエステル以外の単量体単位50質量%以下を有する共重合体が好ましい。
架橋ゴム重合体成分(I)中の単量体単位(I−1)の含有量は、透明性、滑り性、巻取り性及び耐擦傷性の観点から、好ましくは60〜99質量%、より好ましくは70〜95質量%、更に好ましくは75〜90質量%である。
係る多官能単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸メタリル等の不飽和カルボン酸のアルケニルエステル;マレイン酸ジアリル等の二塩基酸のジアルケニルエステル;アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート等のグリコール類の不飽和カルボン酸ジエステルなどが挙げられる。これらの中でも、不飽和カルボン酸のアルケニルエステルが好ましく、(メタ)アクリル酸アリルがより好ましく、メタクリル酸アリルが更に好ましい。
架橋ゴム重合体成分(I)中の多官能単量体単位の含有量は、滑り性及び巻取り性の観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは1.5質量%以上、更に好ましくは2質量%以上であり、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、更に好ましくは3.5質量%以下、特に好ましくは3質量%以下、最も好ましくは2.8質量%以下である。
架橋ゴム重合体成分(I)は、屈折率を調整する観点から、単量体単位(I−1)に加えて、さらに芳香族化合物に由来する単位を有することが好ましい。係る芳香族化合物としては、前述のスチレン系単量体;前述の芳香族基含有(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、スチレン系単量体がより好ましく、スチレンが更に好ましい。
架橋ゴム重合体成分(I)中の芳香族化合物に由来する単位の含有量は、屈折率の観点から、好ましくは1〜40質量%、より好ましくは5〜30質量%、更に好ましくは10〜20質量%である。
重合体成分(i)は、その分子中に架橋構造を有してもよい。係る架橋構造は重合体成分(i)の単量体として、多官能単量体を用いることにより形成されることが好ましい。係る多官能単量体としては、前述の架橋ゴム重合体成分(I)と同様のものが挙げられる。それらの中でも、不飽和カルボン酸のアルケニルエステルが好ましく、(メタ)アクリル酸アリルがより好ましく、メタクリル酸アリルが更に好ましい。重合体成分(i)中の多官能単量体単位は、ブロッキング防止性の観点から、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.15〜1質量%、更に好ましくは0.18〜0.5質量%である。
重合体成分(i)中のメタクリル酸アルキルエステル以外の単量体に由来する単位の含有量は、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、より更に好ましくは15質量%以下、特に好ましくは10質量%以下である。
内層は、重合体成分(i)として異なる組成の複数の重合体成分を含むものであってよく、重合体成分(i)以外の成分を含有してもよい。内層中の重合体成分(i)の含有量は、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、100質量%であることが更に好ましい。
なお、上記質量比は、これらの重合体成分の単量体混合物の質量比から算出される。
また、易滑層の表面に活性エネルギー線硬化型のハードコートや接着剤を塗布する場合において、これらを塗布する前にコロナ処理を施す場合には、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸tert−ブチルが好ましい。
多層構造重合体に占める硬質重合体成分(II)の割合は、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜30質量%、更に好ましくは15〜25質量%である。
グラフト率は、架橋ゴム重合体成分(I)に対する、共有結合をしている硬質重合体成分(II)の質量比で定義され、該グラフト率が11質量%以上であると耐熱性が向上し、33質量%以下であると接着剤層として活性エネルギー線硬化型樹脂層を有する場合、該活性エネルギー線硬化型樹脂層との密着性が向上する。
係るグラフト率は、多層構造重合体をアセトンに浸漬して遠心分離機にて遠心分離し、アセトン可溶分を除去して乾燥させて得たアセトン不溶分の質量を測定して下記式より算出した値である。
グラフト率={〔アセトン不溶分の質量−架橋ゴム重合体成分(I)の質量〕/架橋ゴム重合体成分(I)の質量}×100
ここで、架橋ゴム重合体成分(I)の質量は、重合における架橋ゴム重合体成分(I)の単量体の質量の合計である。多層構造重合体が弾性体層の内側に更に前記内層を有する場合には、上記式において架橋ゴム重合体成分(I)の質量は、架橋ゴム重合体成分(I)と重合体成分(i)の単量体の質量の合計である。
なお、硬質重合体成分(II)の式量の数平均値は、多層構造重合体の硬質重合体成分(II)を製造する際の単量体混合物を、架橋ゴム重合体成分(I)が存在しない条件、前記内層を有する場合は架橋ゴム重合体成分(I)と重合体成分(i)が存在しない条件で、多層構造重合体の硬質重合体成分(II)を製造するときと同様の条件で重合して得られる重合体の数平均分子量とする。より具体的には実施例に記載の方法により測定される。係る式量は、チオール等の連鎖移動剤の配合量により調整することができる。
易滑層中のポリウレタン系樹脂及びアクリル系微粒子の合計量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは100質量%である。
厚さ変動係数の調整方法は、前記分散体の粘度、熱可塑性樹脂層の厚さムラ、前記分散体を塗布する際の熱可塑性樹脂層の厚さ方向の振動の振幅及び振動数、前記分散体の塗布速度等により調整することができる。
なお、厚さ変動係数は、実施例に記載の方法により算出される。
本発明の複層フィルムは、熱可塑性樹脂層の少なくとも一方の表面に、ポリウレタン系樹脂及びアクリル系微粒子を含有する分散体を塗布して該分散体の塗布層を形成する工程1、及び熱処理によって該熱可塑性樹脂層の表面に該ポリウレタン系樹脂及び該アクリル系微粒子を含有する易滑層を形成する工程2を有する製造方法により製造することができる。
工程1は、熱可塑性樹脂層の少なくとも一方の表面に、ポリウレタン系樹脂及びアクリル系微粒子を含有する分散体を塗布して該分散体の塗布層を形成する工程である。前記塗布層の形成は、当該技術分野において知られている方法、例えば、バーコート、グラビア、スロットダイコート等を用いて行われる。
前記分散体は、ポリウレタン系樹脂及びアクリル系微粒子の固形分が分散媒に分散されたものである。前記分散体は、さらに必要に応じて、界面活性剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、有機潤滑剤、抗菌剤、光酸化触媒等の添加剤を含有してもよい。
また、前記分散体には、ポリウレタン系樹脂の熱架橋反応を促進させるため、触媒を添加してもよく、該触媒としては、例えば無機物質、塩類、有機物質、アルカリ性物質、酸性物質及び含金属有機化合物等が挙げられる。また、前記分散体のpHを調節するために、アルカリ性物質又は酸性物質を添加してもよい。
前記分散体は、上記したポリウレタン系樹脂、アクリル系微粒子、分散媒及び必要に応じて更に任意成分を混合後、撹拌することによって製造することができる。ポリウレタン系樹脂及びアクリル系微粒子のそれぞれは固形状態で混合してもよいし、分散媒に分散されたエマルジョンの状態で混合してもよい。後者の場合は、固形状態のポリウレタン系樹脂ないしアクリル系微粒子を分散媒に分散して調製してもよいし、これらの製造過程で得られるエマルジョンをそのままあるいは濃縮ないし希釈した後に使用してもよい。
また、前記分散体のポリウレタン系樹脂及びアクリル系微粒子を均一に分散させるため、さらに粗大な粒子凝集物及び工程内埃等の異物を除去するために、分散体を精密濾過することが好ましい。当該精密濾過は分散体の塗布直前に行うことが好ましい。
本発明に係る分散体において、固形分中のポリウレタン系樹脂及びアクリル系微粒子の合計量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは100質量%である。
前記分散体の固形分濃度は、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%、更に好ましくは15〜20質量%である。
本発明の製造方法において、前記熱可塑性樹脂層と前記易滑層との接着力を向上させるために、工程1の前に、前記熱可塑性樹脂層の前記塗布層を形成する面に表面処理を施す工程1−1を有してもよい。前記表面処理は、当該技術分野において知られている方法、例えばコロナ放電処理、プラズマ処理、グロー放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、オゾン処理等の表面活性化処理を用いることができる。これらの中でも、コロナ放電処理又はプラズマ処理が好ましい。
工程2は、熱処理によって熱可塑性樹脂層の表面にポリウレタン系樹脂及びアクリル系微粒子を含有する易滑層を形成する工程である。当該熱処理により、工程1で形成された塗布層を乾燥させることができる。
熱処理は、コンベクション(convection)オーブン等を通じて行うことができるが、これに制限されない。熱処理は、好ましくは80〜200℃、より好ましくは90〜180℃、更に好ましくは110〜150℃の温度条件下で、例えば10秒間〜5分間行われる。また、前記温度条件は、分散体が塗布される段階によって異なっていてもよい。
具体的には、本発明の複層フィルムが無延伸フィルム又は分散体の塗布前に延伸が完了したフィルム(すなわち、熱可塑性樹脂層のみが延伸されている複層フィルム)の場合は、熱可塑性樹脂層のガラス転移温度(Tg)を超えない範囲において熱処理を行うことが好ましい。
延伸と共に乾燥させる場合には、前記延伸温度は、本発明に用いる熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)以上、及びガラス転移温度より30℃高い温度(Tg+30℃)以下であることが好ましく、ガラス転移温度より2℃高い温度(Tg+2℃)以上であり、及びガラス転移温度より20℃高い温度(Tg+20)℃以下であることがより好ましい。延伸温度がTg以上であると、延伸処理において破断の発生を抑制することができる。また、延伸温度がガラス転移温度より30℃高い温度(Tg+30℃)以下であると、安定して延伸することができる。
また、係る複層フィルムは、画像表示装置に組み込んで使用することができる。画像表示装置としては、例えば液晶ディスプレイ(LCD)、陰極線管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、タッチパネル、タブレットPC、電子ペーパー、ヘッドアップディスプレイ(HUD)等が挙げられる。
これらの中でも、本発明の複層フィルムは、高い透明性を有し、かつ滑り性及び巻取り性に優れ、さらに耐擦傷性に優れるため、光学フィルム、特に偏光子保護フィルムとして用いることが好ましい。
本発明の複層フィルムを偏光子保護フィルムとして用いる偏光板について具体的に説明する。
偏光板は、本発明の複層フィルムを偏光子保護フィルムとし、被着体を偏光子とし、偏光子の少なくとも一方の面に接着剤を介して該偏光子保護フィルムを接合することで得られる。
偏光子に活性エネルギー線硬化型樹脂を塗布する方法は限定されない。例えば、ドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、カンマコーター、グラビアコーター等の種々の塗布装置を利用できる。複層フィルムを偏光子に貼り合わせる前に、偏光子の表面に、ケン化処理、コロナ処理、プライマー処理、アンカーコーティング処理等の易接着処理を施してもよい。
本発明の複層フィルムを偏光子保護フィルムとして用いた偏光板は、高い透明性を有していることから、液晶ディスプレイの使用環境の厳しい機器にもその用途を広げるものであり、例えば大型テレビ、カーナビゲーションシステム、スマートホン、パブレット型やモバイル型等のパーソナルコンピュータ、ウェラブルディスプレイ等が挙げられる。
硬質重合体成分(II)の式量の数平均値は、以下の装置及び測定条件でGPC(ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー)によりポリスチレン換算分子量で求めた。
装置:東ソー社製GPC装置「HLC−8320」
分離カラム:東ソー社製の「TSKguardcolumn SuperHZ−H」、「TSKgel HZM−M」及び「TSKgel SuperHZ4000」を直列に連結
溶離液:テトラヒドロフラン
溶離液流量:0.35ml/分
カラム温度:40℃
検出方法:示差屈折率(RI)
(1)調合液の作製
多層構造重合体(C)のエマルジョンを凍結して乾燥し、多層構造重合体(C)の粉末を得た。該粉末2gを精秤し、これをサンプルの質量(W)とした。該粉末をアセトン118gに、25℃で24時間浸漬した。その後、粉末及びアセトンを撹拌することで、多層構造重合体(C)をアセトン中に均一に分散させ、調合液を作製した。
(2)グラフト率の算出
次いで、予め秤量しておいた4本のステンレス製遠沈管に調合液を各30g分取した。高速冷却遠心機(日立製作所社製、機種名「CR22GIII」)にて、0℃、20,000rpm、60分間の条件にて、遠沈管を遠心した。それぞれの遠沈管から上澄み液を、デカンテーションにより除去した。
その後、各遠沈管に新たにアセトン30gを入れた。沈殿物及びアセトンを撹拌した。再び遠沈管を上記と同じ条件にて遠心した後、それぞれの遠沈管から上澄み液を除去した。撹拌、遠心分離及び上澄み除去を計4回繰り返した。以上により、アセトン可溶分を十分に除去した。
その後、沈殿物を、遠沈管ごと真空乾燥にて乾燥させた。乾燥後に沈殿物を秤量することで、アセトン不溶分の質量を求めた。下記式に基づいて多層構造重合体(C)のグラフト率を算出した。
グラフト率={〔アセトン不溶分の質量−架橋ゴム重合体成分(I)の質量〕/架橋ゴム重合体成分(I)の質量}×100
ここで、架橋ゴム重合体成分(I)の質量は、質量(W)のサンプル中に含まれる架橋ゴム重合体成分(I)を合成するために用いた単量体の質量の合計である。
なお、多層構造重合体が弾性体層の内側に更に前記内層を有する場合には、上記式において架橋ゴム重合体成分(I)の質量は、質量(W)のサンプル中に含まれる架橋ゴム重合体成分(I)と重合体成分(i)を合成するために用いた単量体の質量の合計である。
微粒子を含む分散液、又は粉体の微粒子を、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(堀場製作所社製、装置名「Partica LA−950V2」)に投入し、測定に適切な光量になるよう適宜水を加えて濃度を調節し、メジアン径を測定して微粒子の平均粒子径とした。この際、アクリル系微粒子、シリカ微粒子、及び水の絶対屈折率を、それぞれ1.4900、1.4300、及び1.3333とした。
実施例及び比較例で得た複層フィルムを50mm×50mmに切り出して試験片とし、JIS K7105:2008に準拠してヘイズメーター(村上色彩技術研究所社製、商品名「HM−150」)を用いて23℃にてヘイズを測定した。
実施例及び比較例で得た複層フィルムを70mm×80mmに切り出して、試験片とした。係る試験片を2枚用意し、一方の試験片の熱可塑性樹脂層と、他方の試験片の易滑層とが接するように重ね合わせ、小型卓上試験機(島津製作所社製、型名「EZ−SX」)を用いて、220g重の荷重(垂直抗力2.2N)を乗せ、移動速度200mm/minの条件で一方の試験片を動かして摩擦力(N)を測定し、次式により摩擦係数μを算出した。
摩擦係数μ=F/N
ここで、Fは摩擦力(N)、Nは垂直抗力(N)である。
複層フィルムを動かした変位(mm)に対して摩擦係数μをプロットし、μの最大値を静摩擦係数とした。また、摩擦係数μが最大値となった変位をxとしたとき、(x+10)〜(x+40)mmの変位における摩擦係数の平均値を動摩擦係数とした。
実施例及び比較例で得た複層フィルムをエポキシ樹脂で固め、複層フィルムの断面が出るようにミクロトーム(ライカ マイクロシステムズ社製、装置名「LEICA EM UC6/FC6」)にて薄膜切片を作製した。これを、反射型電子顕微鏡(JEOL製、商品名「JSM−7600F」)を用いて反射測定にて観察し、易滑層の厚さを測定した。係る操作を複層フィルム全幅から、幅方向に等間隔に5点切り出して行い、易滑層の厚さμ、標準偏差σ及び変動係数Cvを、下記式(1)〜(3)より算出した。
X1〜Xn:各厚さ、n:データ数
実施例及び比較例で得た複層フィルムを50mm×50mmに切り出して試験片とした。係る試験片を2枚用意し、一方の試験片の熱可塑性樹脂層と、他方の試験片の易滑層とが接するように、係る2枚の試験片を手でこすり合わせ、その感触を以下の通り評価した。下記評価基準でB以上であれば実用に供することができる。
A:引っ掛からず滑る。
B:僅かに引っ掛かるが滑る。
C:引っ掛かり、滑らない。
複層フィルムを巻取機により連続的に100m巻き取った後、フィルムの搬送を停止した。その後、再度、フィルムの搬送を再開した際の、フィルム幅方向における巻きずれを以下の通り評価した。下記評価基準でB以上であれば実用に供することができる。
A:巻きずれが5mm以下である。
B:巻きずれが5mm超10mm以下である。
C:巻きずれが10mm超である。
前述の摩擦係数の測定に使用した後の試験片のうち、易滑層と接していた熱可塑性樹脂層の擦過による傷つきの有無について、以下の通り外観を目視で観察し、評価した。下記評価基準でB以上であれば実用に供することができる。
A:傷つきが全く観察されない。
B:傷つきが少し観察される。
C:傷つきが著しく観察される。
後述する実施例11で得られた成形体を150mm×25mmの大きさに切り出し、成形体中の複層フィルムと被着体との間に位置する接着層にカッターナイフでわずかに切れ込みを入れ、成形体の熱可塑性樹脂層をステンレス製の試験板に両面テープ(ニチバン株式会社;NW−25)で貼り付けた。小型卓上試験機(島津製作所社製、型名「EZ−SX」)に係る試験板を固定し、切れ込みを入れた成形体の被着体(偏光子)側をフィルムチャックで挟み、ロードセル100N、引張速度300mm/minの条件で成形体の複層フィルムと被着体とを剥離して、複層フィルムと被着体との間の90°剥離試験を行った。測定開始後、最初の25mmが剥離するまでの測定値は考慮せず、その後更に25mmが剥離する間の応力を平均し、接着力[gf/25mm]とした。
(接着剤)
アセトアセチル基含有ポリビニルアルコール系樹脂(平均重合度:1,200、ケン化度:98.5モル%,アセトアセチル基変性度:5モル%)100質量部及び4,6−ジアミノ−2−(ヒドロキシメチルアミノ)ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン20質量部を30℃の温度条件下で純水に溶解し、濃度0.5%の接着剤(AD1)を得た。
(多層構造重合体(C1)の製造)
(1)撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、単量体導入管及び還流冷却器を備えた反応器を用意した。係る反応容器内に、イオン交換水1,050質量部、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数=3)トリデシルエーテル酢酸ナトリウム0.13質量部、及び炭酸ナトリウム0.7質量部を仕込んだ。反応器内を窒素ガスで十分に置換した。次いで内温を80℃にした。反応容器内にさらに過硫酸カリウム0.25質量部を投入した。これらの原料を5分間撹拌した。
別途、表1に示す内層を構成する重合体成分(i)を形成する単量体混合物245質量部を調製した。係る単量体混合物に乳化剤としてポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数=3)トリデシルエーテル酢酸ナトリウム1.75質量部を溶解することで、内層原料を調製した。係る内層原料を、上記撹拌した反応容器内の原料に対して、60分間かけて連続的に滴下した。滴下終了後、さらに30分間重合反応を行い、内層を構成する重合体成分(i)を含むエマルジョンを得た。
(多層構造重合体(C2)の製造)
製造例1において、表1に示す組成に変更したこと以外は、製造例1と同様の操作で、多層構造重合体(C2)を含むエマルジョンを得た。
*1:各単量体混合物中における各成分の含有量(質量%)である。
*2:多層構造重合体に占める硬質重合体成分(II)の比率(質量%)である。
*3:硬質重合体成分(II)の式量は、硬質重合体成分(II)の式量の数平均の推定値を表す。
また、表1中の各略称は以下の通りである。
MMA:メタクリル酸メチル
MA:アクリル酸メチル
ALMA:メタクリル酸アリル
BA:アクリル酸n−ブチル
St:スチレン
BzA:アクリル酸ベンジル
n−OM:n−オクチルメルカプタン(連鎖移動剤)
P1:アクリル系架橋微粒子(日本ペイント・インダストリアルコーティング社製;商品名「MG−155」、固形分濃度20質量%の分散液)
P2:アクリル系架橋微粒子(日本ペイント・インダストリアルコーティング社製;商品名「MG−451」、固形分濃度28質量%の分散液)
P3:アクリル系非架橋微粒子(綜研化学社製;商品名「MP−2800」、粉体)
P4:シリカ微粒子(扶桑化学社製;商品名「PL−3」、固形分濃度20質量%の分散液)
P5:シリカ微粒子(扶桑化学社製;商品名「ST−ZL」、固形分濃度40質量%の分散液)
(分散体(A1)の作製)
カルボキシ変性ポリエステルウレタン樹脂の水分散液(第一工業製薬社製、商品名「スーパーフレックス210」、固形分濃度35質量%)100質量部、イオン交換水140質量部、アクリル系架橋微粒子(P1)の分散液8.7質量部を撹拌及び混合し、分散体(A1)(固形分濃度15質量%)とした。なお、分散体(A1)は、カルボキシ変性ポリエステルウレタン樹脂100質量部に対してアクリル系架橋微粒子(P1)5質量部を含有する。
国際公開第2014/185509号の実施例1を参考にして得たペレット状のメタクリル系樹脂組成物を、Tダイを接続したΦ65mmベント付単軸押出機で溶融し、ダイリップのリップ開度1mmで押出された溶融樹脂組成物を金属弾性ロールと剛体ロールで30N/mmの線圧をかけて引き取って、厚さ225μmのメタクリル系樹脂フィルム(アクリルフィルム)を得た。次いで分散体(A1)を、メタクリル系樹脂フィルムの一方の面にバーコーターを用いて乾燥厚みが1.8μmとなるように塗布し、130℃で1分間乾燥した。次いでこのフィルムをテンター式延伸機にて、145℃にて縦2倍、横2倍の同時二軸して40μmの複層フィルム(B1)を得た。複層フィルム(B1)における易滑層の厚さ変動係数は7%であった。
実施例1において、アクリル系架橋微粒子(P1)を表2に示す微粒子に変更し、厚さ変動係数を表2に示すものに変更した以外は実施例1と同様にして、複層フィルム(B2〜B4)を作製した。評価結果を表2に示す。
実施例1において、表2に示す組成又は厚さ変動係数に変更した以外は、実施例1と同様にして、複層フィルム(B5〜B10)を作製した。評価結果を表2に示す。
実施例1において、アクリル系架橋微粒子(P1)の量を表2に示す量に変更し、エポキシ架橋剤(ナガセケムテックス社製、商品名「デナコールEX−512」、有効分100%)1.1質量部を分散体(A1)にさらに加えた以外は、実施例1と同様にして分散体(A11)を調製し、実施例1と同様にして複層フィルム(B11)を作製した。評価結果を表2に示す。
(成形体)
被着体としてポリビニルアルコールフィルムにヨウ素をドープさせた厚さ60μmの延伸フィルム(偏光子)を用い、その片面に接着剤(AD1)を塗布し、係る接着剤(AD1)に易滑層が接するよう複層フィルム(B11)を貼り合わせた。被着体のもう一方の面にも接着剤(AD1)を塗布し、ケン化処理したトリアセチルセルロースフィルム(富士写真フィルム社製、商品名「富士タックUV80」)を貼り合わせ、70℃で10分間乾燥し、成形体を得た。得られた成形体は偏光板として使用できた。得られた成形体の接着力は420gf/25mmであり、良好な接着性が得られた。
実施例1において、表3に示す組成又は厚さ変動係数に変更した以外は、実施例1と同様にして複層フィルムを作製した。評価結果を表3に示す。
なお、表2及び表3中の微粒子量は、易滑層におけるポリウレタン系樹脂(カルボキシ変性ポリエステルウレタン樹脂)100質量部に対する微粒子の含有量[質量部]である。
比較例1は、易滑層にアクリル系微粒子が含まれないため、透明性は有するものの、滑り性、巻取り性及び耐擦傷性が劣る。
比較例2及び5は、複層フィルムのヘイズが0.5%超であるため、滑り性、巻取り性及び耐擦傷性には優れるものの、高い透明性が得られない。
比較例3及び4は、動摩擦係数と静摩擦係数の差が0.20超であるため、比較例3は巻取り性が劣り、比較例4は滑り性及び巻取り性が劣る。
比較例6及び7は、アクリル系微粒子に代えてシリカ微粒子を用いており、透明性及び巻取り性は得られるものの、耐擦傷性が劣る。
Claims (10)
- 熱可塑性樹脂層と易滑層とを有する複層フィルムであって、
該易滑層がポリウレタン系樹脂及びアクリル系微粒子を含有し、
該複層フィルムのヘイズが0.5%以下であり、
2枚の該複層フィルムを該熱可塑性樹脂層と該易滑層とが接するように重ね合わせたときの、該熱可塑性樹脂層と該易滑層との間の動摩擦係数と静摩擦係数の差が0.20以下である、複層フィルム。 - 2枚の前記複層フィルムを前記熱可塑性樹脂層と前記易滑層とが接するように重ね合わせたときの、該熱可塑性樹脂層と該易滑層との間の動摩擦係数が0.10以上0.40未満である、請求項1に記載の複層フィルム。
- 前記易滑層が、前記ポリウレタン系樹脂100質量部に対して前記アクリル系微粒子を1〜10質量部含有する、請求項1又は2に記載の複層フィルム。
- 前記アクリル系微粒子の平均粒子径が50〜300nmである、請求項1〜3のいずれかに記載の複層フィルム。
- 前記易滑層の厚さ変動係数が15%以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の複層フィルム。
- 少なくとも前記熱可塑性樹脂層が二軸延伸された層である、請求項1〜5のいずれかに記載の複層フィルム。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の複層フィルムからなる、偏光子保護フィルム。
- 複層フィルムの製造方法であって、
熱可塑性樹脂層の少なくとも一方の表面に、ポリウレタン系樹脂及びアクリル系微粒子を含有する分散体を塗布して該分散体の塗布層を形成する工程1、及び熱処理によって該熱可塑性樹脂層の表面に該ポリウレタン系樹脂及び該アクリル系微粒子を含有する易滑層を形成する工程2を有し、
該易滑層が、該ポリウレタン系樹脂100質量部に対して該アクリル系微粒子1〜10質量部を含有する、複層フィルムの製造方法。 - 前記工程1の前に、前記熱可塑性樹脂層の前記塗布層を形成する面にコロナ放電処理又はプラズマ処理を施す工程1−1を有する、請求項8に記載の複層フィルムの製造方法。
- 前記工程2において、前記熱処理と同時に延伸処理を行う、請求項8又は9に記載の複層フィルムの製造方法。
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