JP6787063B2 - 積層フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、2層以上からなる積層フィルムであって、少なくとも一方の表層が無機粒子(A)を含有する積層フィルムに関する。
熱可塑性樹脂フィルム、中でも二軸延伸ポリエステルフィルムは、機械的性質、電気的性質、寸法安定性、透明性、耐薬品性などに優れた性質を有するため、磁気記録材料、包装材料などの多くの用途において広く使用されている。特に近年は、タッチパネル、液晶ディスプレイパネル(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)、等の表示部材用途をはじめ、各種光学用フィルムに用いられている。
これらの光学用フィルムでは、ポリエステルフィルムの上に、屈折率の異なる層(以下、光学調整層)を積層した後、導電層を設け、導電フィルムとして用いられることが多い。ここで、一般的に光学調整層を積層する際には、ロール状に巻き取られた基材フィルムに、機能塗剤を塗布、硬化させた後、ロール状に巻き取る、いわゆるロールtoロールの形で加工が施される。また、導電層はロールフィルムに真空環境下におけるスパッタリングによって無機膜を形成することによって行われる。
そのため、このような用途においては、フィルムロールの搬送時のキズ付きを防止するために、ポリエステルフィルム上に耐スクラッチ層が積層された積層フィルムが使用されている。
この積層フィルムとしては、耐スクラッチ層としてUV硬化性樹脂からなる層を積層したハードコートフィルムが用いられている。光学用途に用いる場合、透明性が要求されるため、透明性を向上させるために樹脂層の表面を平滑にすることが行われるが、樹脂層の表面を平滑にすると、フィルムロールにした際にブロッキング(貼り付き)が発生する。そのため、近年では耐ブロッキング性を有する積層フィルムが求められている。
また、光学用途に用いられる積層フィルムには、耐スクラッチ性以外にも、常温下だけでなく、高温高湿下における基材との接着性、透明性なども求められている。また、ディスプレイ等の表面に用いられることが多いため、光学用途に用いられる積層フィルムには視認性や意匠性が要求されている。
かかる要求に対して、特許文献1では、コート膜厚より大きい粒子を含有する塗膜を積層することで、ハードコートフィルムの接触面積を減らし、アンチブロッキング性を発現させる方法が提案されている。また、特許文献2では、コート膜厚より小さいアクリル粒子を含有する塗膜を積層することで、防眩性と耐擦傷性に優れる積層フィルムを得る方法が提案されている。
特開2014−228833号公報 特開2011−186287号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、コート層に存在する粒子の粒子径が大きいことから、光の散乱が生じ、透明性が損なわれるといった問題がある。また、特許文献2に記載の方法においても、膜厚が6〜8μmであるコート層に存在するアクリル粒子の粒子径が2〜5μm程度と大きいため、光の散乱が生じる領域であることから、高い透明性が求められる光学用途では透明性に課題がある。
そこで、本発明では上記の欠点を解消し、透明性、耐スクラッチ性、滑り性に優れる積層フィルムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため本発明の積層フィルムは次の構成を有する。
[I]2層以上からなる積層フィルムであって、少なくとも一方の表層がSi、Al、Ti,Mg、Zr、Se、Feから選ばれる少なくとも1種の無機元素を含有する無機粒子(A)を含有しており(前記無機粒子(A)を含有する表層を樹脂層と称す)、前記樹脂層の表面から厚み方向深さ100nmの範囲に存在するSi、Al、Ti,Mg、Zr、Se、Feの平均元素存在比率の和(P−1)が、前記樹脂層の表面から厚み方向深さ150nmから300nmの範囲に存在するSi、Al、Ti,Mg、Zr、Se、Feの平均元素存在比率の和(P−2)よりも大きい、積層フィルム。
[II]前記平均元素存在比率の和の比(P−1/P−2)が、1.01以上3.0以下である[I]に記載の積層フィルム。
[III]前記樹脂層中の無機粒子(A)含有率が、無機粒子を含有する層全体に対して、10〜60重量%であることを特徴とする[I]または[II]に記載の積層フィルム。
[IV]前記樹脂層の厚みが、0.3〜5μm以下である[I]〜[III]のいずれかに記載の積層フィルム。
[V]結晶配向が完了する前の熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に、無機粒子(A)を含有する塗液を塗布し、次いで、前記熱可塑性樹脂フィルムを少なくとも一軸方向に延伸し、前記熱可塑性樹脂フィルムに熱処理を施して、該熱可塑性樹脂フィルムの結晶配向を完了させる工程を含む[I]〜[IV]のいずれかに記載の積層フィルムの製造方法。
本発明の積層フィルムは、透明性、耐スクラッチ性、滑り性に優れ、フィルム加工工程時の搬送性を高めると共に、フィルムへのキズ付きを抑制することができる。
平均元素存在比率の測定方法を示す模式図である。 樹脂層厚み方向深さの平均元素存在比率の算出方法を示す模式図である。
以下、本発明の積層フィルムについて詳細に説明する。
本発明は、2層以上からなる積層フィルムであって、少なくとも一方の表層がSi、Al、Ti,Mg、Zr、Se、Feから選ばれる少なくとも1種の無機元素を含有する無機粒子(A)を含有しており(前記無機粒子(A)を含有する表層を樹脂層と称す)、前記樹脂層の表面から厚み方向深さ100nmの範囲(樹脂層の表面から0〜100nmの範囲)に存在するSi、Al、Ti,Mg、Zr、Se、Feの平均元素存在比率の和(P−1)が、前記樹脂層の表面から厚み方向深さ150nmから300nmの範囲(樹脂層の表面から150〜300nmの範囲)に存在するSi、Al、Ti,Mg、Zr、Se、Feの平均元素存在比率の和(P−2)よりも大きい、積層フィルムである。
本発明におけるSi、Al、Ti,Mg、Zr、Se、Feの平均元素存在比率の和とは、GD−OES(Glow discharge optical emission spectrometry)によって測定される「C(炭素)」、「O(酸素)」および、Si、Al、Ti,Mg、Zr,Se、Feの各元素の発光強度の合計値を100としたときの、Si、Al、Ti,Mg、Zr,Se、Feの元素の発光強度の和を表す。
この平均元素存在比率の和は、樹脂層の耐スクラッチ性に影響を与える特性である。積層フィルムの平均元素存在比率の和において、樹脂層の表面から0〜100nmの範囲の平均元素存在比率の和(P−1)が、表面から150〜300nmの範囲の平均元素存在比率の和(P−2)よりも大きいということは、樹脂層の表面から0〜100nmの範囲に存在するSi、Al、Ti,Mg、Zr、Se、Feから選ばれる少なくとも1種の無機元素を含有する無機粒子(A)の含有量が、樹脂層の表面から150〜300nmの範囲よりも多いことを表している。樹脂層表面付近(樹脂層の表面から0〜100nmの範囲)に無機粒子(A)を配列させることで、擦過処理を施した際の樹脂層にかかるエネルギーを発散させることができ、その結果、耐スクラッチ性を向上させることができる。平均元素存在比率の和の測定方法の詳細は後述する。
本発明の積層フィルムのSi、Al、Ti,Mg、Zr、Se、Feの平均元素存在比率の和を上記範囲とする方法としては、Si、Al、Ti,Mg、Zr、Se、Feから選ばれる少なくとも1種の無機元素を含有する無機粒子(A)に比重の小さい粒子を用いる方法や、フッ素やシリコーンなどの低表面エネルギー成分を修飾した無機粒子(A)を用いて、無機粒子(A)を空気側に配列させる方法や、樹脂層を構成するバインダー樹脂(B)がまだ未硬化の状態で、樹脂層に延伸処理を施した後、熱硬化させる方法が挙げられる。比重の小さい無機粒子を用いる方法は、塗液面付近に比重の小さい無機粒子が浮かんだ状態で乾燥が進行することで、樹脂層の表面付近に無機粒子を配列させることができる。また、フッ素やシリコーンなどの低表面エネルギー成分を修飾した無機粒子(A)を用いる方法は、低表面エネルギー成分が空気側に寄り集まるため、樹脂層の表面付近(空気側)に無機粒子(A)を配列させることができる。また、樹脂層を構成するバインダー樹脂(B)がまだ未硬化の状態で、樹脂層に延伸処理を施した後、熱硬化させる方法では、延伸処理に伴い、樹脂層内部から表面への対流が生じるため、樹脂層の表面付近に無機粒子(A)を配列させることができる。上記の方法の中でも、樹脂層を構成するバインダー樹脂(B)がまだ未硬化の状態で樹脂層に延伸処理を施した後、熱硬化させる方法が、無機粒子(A)が表層に配列することができ、表面から0〜100nmの範囲の平均元素存在比率の和(P−1)が向上する結果、滑り性や耐スクラッチ性が向上し、好ましい。透明性と滑り性の観点からは、平均元素存在比率の和の比(P−1/P−2)は、1.01以上3.0以下であることがより好ましく、1.20以上2.0以下であることが耐スクラッチの点でさらに好ましい。平均元素存在比率の和の比(P−1/P−2)が1.01未満であると、樹脂層表面に粒子が少なく滑り性に劣る場合がある。一方、平均元素存在比率の和の比(P−1/P−2)が3.0を超える場合、樹脂層内部の無機粒子が少なく、樹脂層の強度が低くなり、耐スクラッチ性に劣る場合がある。さらに、平均元素存在比率の和の比(P−1/P−2)が2.0以下の場合、樹脂層表面と内部の粒子分布が極端な差が適正な範囲となり、樹脂層の透明性が高くなり好ましい。
また、本発明の積層フィルムは、樹脂層中の無機粒子(A)の含有率が、樹脂層全体に対して、10〜60重量%であると、樹脂層中に無機粒子が充填されることで、樹脂層の硬度が向上し、耐スクラッチ性に優れるため、好ましい。無機粒子(A)の含有率は、好ましくは20〜50重量%、より好ましくは30〜50重量%である。
また、本発明の積層フィルムは、樹脂層の厚みが、0.3〜5μm未満であると、樹脂層表層の硬化阻害の影響を抑えることができ、耐スクラッチ性に優れるため好ましい。樹脂層の厚みの上限は限定されないが、透明性および生産性の点で5μm以下が好ましい。また、より好ましくは0.3μm以上2μm未満、さらに好ましくは0.5μm以上1.5μm未満である。特に本発明において、樹脂層の厚みの上限については、2μm未満とすることで、無機粒子(A)が表面に配列するために必要な移動距離が十分短くなり、表面偏在が十分に進行するため、耐スクラッチ性と滑り性が両立するため好ましい。
[無機粒子]
本発明の積層フィルムは、少なくとも一方の表層に、Si、Al、Ti,Mg、Zr,Se、Feから選ばれる少なくとも1種の無機元素を含有する無機粒子(A)を含有することが必要である。
このような無機粒子としては、二酸化珪素(シリカ)(SiO)、二酸化チタン(TiO)、二酸化ジルコニウム(ZrO)、二酸化セレン(SeO)、酸化鉄(Fe)、酸化アルミニウムAl)粒子などが挙げられる。
これらの中でも、酸化チタン(TiO)、酸化アルミニウム(Al)粒子が、屈折率との整合の点で透明性に優れるため、好ましい。これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
また、本発明の積層フィルムに用いられる無機粒子(A)は、無機粒子(A)の表面の一部または全部にアクリル樹脂(B)を有する組成物(AB)であることが好ましい。ここでいう結合とは、共有結合または非共有結合(物理的吸着)であってもよい。
また、本発明の無機粒子(A)の表面の一部または全部にアクリル樹脂(B)を有する組成物(AB)とは、無機粒子(A)表面の一部または全部に、前述したアクリル樹脂(B)を有する粒子であることが、好ましい。
無機粒子(A)の表面にアクリル樹脂(B)を有することにより、乾燥過程における無機粒子(A)の凝集を抑制し、透明性と耐スクラッチ性の向上が可能となる。
なお、無機粒子(A)の製造方法は特に限定されるものではないが、無機粒子(A)をアクリル樹脂(B)で表面処理する方法などを挙げることができ、具体的には、以下の(i)〜(iv)の方法が例示される。なお、本発明において、表面処理とは、無機粒子(A)の表面の全部または一部にアクリル樹脂(B)を吸着・付着させる処理をいう。
(i)無機粒子(A)とアクリル樹脂(B)をあらかじめ混合した混合物を溶媒中に添加した後、分散する方法。
(ii)溶媒中に、無機粒子(A)とアクリル樹脂(B)を順に添加して分散する方法。
(iii)溶媒中に、無機粒子(A)とアクリル樹脂(B)をあらかじめ分散し、得られた分散体を混合する方法。
(iv)溶媒中に、無機粒子(A)を分散した後、得られた分散体に、アクリル樹脂(B)を添加する方法。
これらのいずれの方法によっても目的とする効果を得ることができる。
また、分散を行う装置としては、ディゾルバー、ハイスピードミキサー、ホモミキサー、ミーダー、ボールミル、ロールミル、サンドミル、ペイントシェーカー、SCミル、アニュラー型ミル、ピン型ミル等が使用できる。
また、分散方法としては、上記装置を用いて、回転軸を周速5〜15m/sで回転させる。回転時間は5〜10時間である。
また、分散時に、ガラスビーズ等の分散ビーズを用いることが分散性を高める点でより好ましい。ビーズ径は、好ましくは0.05〜0.5mm、より好ましくは0.08〜0.5mm、特に好ましくは0.08〜0.2mmである。
混合、攪拌する方法は、容器を手で振って行ったり、マグネチックスターラーや攪拌羽根を用いたり、超音波照射、振動分散などを行うことができる。
なお、無機粒子(A)の表面の全部または一部への、アクリル樹脂(B)の吸着・付着の有無は、次の分析方法により確認可能である。測定対象物(例えば、無機粒子(A−1)の表面の一部または全部にアクリル樹脂(B−1)を有する組成物(AB−1))を、日立卓上超遠心機(日立工機株式会社製:CS150NX)により遠心分離を行い(回転数3,0000rpm、分離時間30分)、無機粒子(A−1)(及び無機粒子(A−1)の表面に吸着したアクリル樹脂(B−1))を沈降させた後、上澄み液を除去し、沈降物を濃縮乾固する。濃縮乾固した沈降物をX線光電子分光法(XPS)により分析し、無機粒子(A−1)の表面におけるアクリル樹脂(B)の有無を確認する。無機粒子(A−1)の表面に、無機粒子(A−1)の合計100質量%に対して、アクリル樹脂(B−1)が1質量%以上存在することが確認された場合、無機粒子(A−1)の表面に、アクリル樹脂(B−1)が吸着・付着しているものとする。
ここで、無機粒子(A)の数平均粒子径について説明する。ここで数平均粒子径とは、透過型電子顕微鏡(TEM)により求めた粒子径をいう。倍率は50万倍とし、その画面に存在する10個の粒子の外径を、10視野について合計100個の粒子を測定した数平均粒子径である。ここで外径とは、粒子の最大の径(つまり粒子の長径であり、粒子中の最も長い径を示す)を表し、内部に空洞を有する粒子の場合も同様に、粒子の最大の径を表す。
無機粒子(A)の数平均粒子径が1nmよりも小さくなると、粒子同士のファンデルワールス力が増大し、粒子同士が凝集する結果、光の散乱が生じ、透明性が低下することがある。一方、該無機粒子(A)の数平均粒子径が100nmよりも大きくなると、透明性の観点からは、光が散乱する起点となり透明性が悪化するといった可能性がある。また、塗膜内の無機粒子の充填が十分に進まず、耐スクラッチ性が低下したりすることがある。そのため、無機粒子(A)は、数平均粒子径が5nm以上100nm以下であることが好ましい。好ましくは20nm以上80nm以下、より好ましくは40nm以上80nm以下である。また、樹脂層の厚み(nm)と無機粒子(A)の数平均粒子径(nm)の比(樹脂層の厚み(nm)/無機粒子(A)の数平均粒子径(nm))は、1.5〜1000の範囲であると、無機粒子(A)を樹脂層の表層付近に配向させることが容易となり、耐スクラッチ性が良好となるため好ましい。より好ましくは、2〜500の範囲である。
本発明では、樹脂層に含まれる無機粒子(A)は、樹脂層全体に対して、10〜60重量%であると、樹脂層中に無機粒子が充填されることで、樹脂層の硬度が向上し、耐スクラッチ性に優れるため、好ましい。無機粒子(A)の含有率は、好ましくは20〜50重量%、より好ましくは30〜50重量%である。
[バインダー樹脂]
本発明の積層フィルムにおいて、表層にある無機粒子(A)を含有する樹脂層はアクリル樹脂(B)を含むことが好ましい。アクリル樹脂(B)を用いることで、樹脂層中の無機粒子(A)をナノ分散させることができ、樹脂層の透明性を維持すると共に、樹脂層に力が加わった際に該力を粒子へ分散させることができる。その結果、積層フィルムの耐スクラッチ性を向上させることが可能となる。
本発明におけるアクリル樹脂(B)とは、式(1)で表されるモノマー単位(b)と、式(2)で表されるモノマー単位(b)と、式(3)で表されるモノマー単位(b)を有する樹脂であることが好ましい。
Figure 0006787063
(式(1)において、R基は、水素原子またはメチル基を表す。またnは、9以上34以下の整数を表す。)。
Figure 0006787063
(式(2)において、R基は、水素原子またはメチル基を表す。また、R基は、飽和の炭素環を2つ以上含む基を表す。)。
Figure 0006787063
(式(3)において、R基は、水素原子またはメチル基を表す。また、R基は、水酸基、カルボキシル基、3級アミノ基、4級アンモニウム塩基、スルホン酸基、または、リン酸基を表す。)
ここで、本発明におけるアクリル樹脂(B)は、式(1)で表されるモノマー単位(f)を有する樹脂であることが好ましい。
式(1)において、nが9未満のモノマー単位を有するアクリル樹脂を用いると、水系溶媒(水系溶媒の詳細については、後述する。)中における無機粒子(A)の分散性が不安定となる。式(1)におけるnが9未満のモノマー単位を有するアクリル樹脂を用いると、樹脂組成物中において無機粒子(A)が凝集または沈降したり、乾燥工程において無機粒子(A)が凝集したりすることがある。その結果、積層フィルムの透明性が損なわれる場合がある。一方、式(1)におけるnが34を越えるモノマー単位を有するアクリル樹脂は、水系溶媒への溶解性が著しく低いので、水系溶媒中においてアクリル樹脂の凝集が起こりやすくなる。かかる凝集体は、可視光の波長より大きいため、透明性の良好な積層フィルムを得ることができなくなる場合や、塗膜積層後の干渉斑が不良となる場合がある。
本発明におけるアクリル樹脂(B)が、式(1)で表されるモノマー単位(b)を有するためには、次の式(4)で表される(メタ)アクリレートモノマー(b’)を原料として用い、重合することが必要である。
該(メタ)アクリレートモノマー(b’)としては、式(4)におけるnが9以上34以下の整数で表される(メタ)アクリレートモノマーが好ましく、より好ましくは11以上32以下の(メタ)アクリレートモノマー、更に好ましくは13以上30以下の(メタ)アクリレートモノマーである。
Figure 0006787063
(メタ)アクリレートモノマー(f’)は、式(4)におけるnが9以上34以下である(メタ)アクリレートモノマーであれば特に制限されないが、具体的にはデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、1−メチルトリデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート、テトラコシル(メタ)アクリレート、トリアコンチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、特にドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレートが好ましい。これらは1種で使用してもよく、2種以上の混合物を使用してもよい。
また、本発明におけるアクリル樹脂(B)は、前記式(2)で表されるモノマー単位(b)を有する樹脂であることが重要である。
式(2)において、飽和の炭素環を1つのみ含むモノマー単位を有するアクリル樹脂を用いると、立体障害としての機能が不十分となり、樹脂組成物中において無機粒子(A)が凝集または沈降したり、乾燥工程において無機粒子(A)が凝集したりすることがある。
かかる凝集体は、可視光の波長より大きいため、透明性の良好な積層フィルムを得ることができなくなる場合ある。本発明におけるアクリル樹脂(B)が、式(2)で表されるモノマー単位(b)を有するためには、次の式(5)で表される(メタ)アクリレートモノマー(b’)を原料として用い、重合することが必要である。
式(5)で表される(メタ)アクリレートモノマー(b’)としては、架橋縮合環式(2つまたはそれ以上の環がそれぞれ2個の原子を共有して、結合した構造を有する)、スピロ環式(1個の炭素原子を共有して、2つの環状構造が結合した構造を有する)などの各種環状構造、具体的には、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ基などを有する化合物が例示でき、その中でも特にバインダーとの相溶性の観点から、ビシクロ基を含有する(メタ)アクリレートが好ましい。
Figure 0006787063
上記ビシクロ基を含有する(メタ)アクリレートとしては、イソボニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、ジシロクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジメチルアダマンチル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、特にイソボニル(メタ)アクリレートが好ましい。
さらに、本発明におけるアクリル樹脂(B)は、前記式(3)で表されるモノマー単位(b)を有する樹脂であることが好ましい。
式(3)におけるR基が、水酸基、カルボキシル基、3級アミノ基、4級アンモニウム基、スルホン酸基、リン酸基、のいずれも有しないモノマー単位を有するアクリル樹脂を用いると、アクリル樹脂の水系溶媒中への相溶性が不十分となり、樹脂組成物中において、アクリル樹脂が析出したり、それに伴い無機粒子(B)が凝集または沈降したり、乾燥工程において無機粒子(B)が凝集したりすることがある。
かかる凝集体は、可視光の波長より大きいため、透明性の良好な積層フィルムを得ることができなくなる場合がある。本発明におけるアクリル樹脂(F)が、式(3)で表されるモノマー単位(f)を有するためには、式(6)で表される(メタ)アクリレートモノマ(f’)を原料として用い、重合することが必要である。
式(6)で表される(メタ)アクリレートモノマー(f’)として次の化合物が例示される。
Figure 0006787063
水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2、3−ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどの多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのモノエステル化物、あるいは、該モノエステル化物にε−カプロラプトンを開環重合した化合物などが挙げられ、特に2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートが好ましい。
カルボキシル基を有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマール酸、マレイン酸などのα、β−不飽和カルボン酸、あるいは、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと酸無水物とのハーフエステル化物などが挙げられ、特にアクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
3級アミノ基含有モノマーとしては、N、N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N、N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N、N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、などのN、N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、N、N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N、N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N、N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどのN、N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられ、特にN、N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
4級アンモニウム塩基含有モノマーとしては、上記3級アミノ基含有モノマーにエピハロヒドリン、ハロゲン化ベンジル、ハロゲン化アルキルなどの4級化剤を作用させたものが好ましく、具体的には、2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムブロマイド、2−(メタクリロイオキシ)エチルトリメチルアンモニウムジメチルホスフェートなどの(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリアルキルアンモニウム塩、メタクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムブロマイドなどの(メタ)アクリロイルアミノアルキルトリアルキルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム(メタ)アクリレートなどのテトラアルキル(メタ)アクリレート、トリメチルベンジルアンモニウム(メタ)アクリレートなどのトリアルキルベンジルアンモニウム(メタ)アクリレートなどが挙げられ、特に2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライドが好ましい。
スルホン酸基含有モノマーとしては、ブチルアクリルアミドスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などの(メタ)アクリルアミド−アルカンスルホン酸、あるいは、2−スルホエチル(メタ)アクリレートなどのスルホアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、特に2−スルホエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
リン酸基含有アクリルモノマーとしては、アシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、特にアシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
この中でも、特にアクリル樹脂(B)が、前記式(3)で表されるモノマー単位(b)を有する樹脂であり、式(3)におけるR基が、水酸基、カルボキシル基であることが、後述する無機粒子(A)と吸着力が高く、より強固な膜を形成できる点で好ましい。
本発明では、樹脂層中のアクリル樹脂(B)の含有量は5〜50重量%であることが好ましく、この範囲とすることで、無機粒子(A)とアクリル樹脂(B)の吸着が強固になり、樹脂層の耐スクラッチ性を向上させることができる。
特に、アクリル樹脂(B)の含有量は、樹脂層全体に対して20重量%以上70重量%以下であることがより、好ましく、樹脂層中のアクリル樹脂(B)の含有量は、20重量%以上60量%以下が好ましく、より好ましくは20%以上50重量%以下である。
また、本発明では、樹脂層の表層(樹脂層の表面から厚み方向深さ100nmの範囲)の無機粒子(A)の含有比率を向上させるために、フッ素やシリコーンなどの低表面エネルギー成分を修飾した無機粒子(A)を用いたり、無機粒子(A)を修飾するアクリル樹脂(B)として、フッ素含有モノマーを共重合したフッ素共重合アクリル樹脂を用いる手法が挙げられる。本発明に用いられるフッ素含有モノマーとしては、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロデシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)エチル(メタ)アクリレート、1H,1H,3H−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノニル(メタ)アクリレート、1H−1−(トリフルオロメチル)トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロブチル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、及び3−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
なお、本発明において、樹脂層中の含有量とは、樹脂層を形成する樹脂組成物の固形分([(樹脂組成物の質量)−(溶媒の質量)])中の含有量を表す。
[基材層]
本発明の積層フィルムは、前述した樹脂層の他に、基材層を有する。基材層として用いられる樹脂は特に限られるものではないが、ポリエステルを主成分とする層であることが好ましい(以下基材層として用いられるポリエステルを主成分とする層をポリエステルフィルムと呼ぶ場合がある)。なお、本発明において主成分とは、層を構成する樹脂全体に対して50重量%以上をしめる成分をあらわす。以下、本発明の積層フィルムの基材層に用いられるポリエステルについて述べる。まずポリエステルとは、エステル結合を主鎖に有する高分子の総称であって、エチレンテレフタレート、プロピレンテレフタレート、エチレン−2,6−ナフタレート、ブチレンテレフタレート、プロピレン−2,6−ナフタレート、エチレン−α,β−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレートなどから選ばれた少なくとも1種の構成成分とするものを好ましく用いることができる。
上記ポリエステルを使用したポリエステルフィルムは、二軸配向されたものであるのが好ましい。二軸配向ポリエステルフィルムとは、一般に、未延伸状態のポリエステルシート又はフィルムを長手方向および長手方向に直行する幅方向に各々2.5〜5倍程度延伸され、その後、熱処理を施されて、結晶配向が完了されたものであり、広角X線回折で二軸配向のパターンを示すものをいう。ポリエステルフィルムが二軸配向している場合には、熱安定性、特に寸法安定性や機械的強度が十分で、平面性も良好である。
また、ポリエステルフィルム中には、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機系易滑剤、顔料、染料、有機又は無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤などがその特性を悪化させない程度に添加されていてもよい。
ポリエステルフィルムの厚みは特に限定されるものではなく、用途や種類に応じて適宜選択されるが、機械的強度、ハンドリング性などの点から、通常は好ましくは10〜500μm、より好ましくは15〜250μm、最も好ましくは20〜100μmである。また、ポリエステルフィルムは、共押出しによる複合フィルムであってもよいし、得られたフィルムを各種の方法で貼り合わせたフィルムであっても良い。
[樹脂層の製造方法]
本発明の積層フィルムの樹脂層の製造方法について以下に例を示すが、以下に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す例により限定的に解釈されるべきものではない。
本発明の樹脂層は、無機粒子(A)とアクリル樹脂(B)を含有すると、樹脂層の透明性、耐スクラッチ性、滑り性に優れ、好ましい。
また、樹脂層中には、必要に応じて、無機粒子(A)、アクリル樹脂(B)以外の他の化合物、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂などのポリマー樹脂、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、アジリジン化合物、チタンキレートなどのチタネート系カップリング剤、メチロール化あるいはアルキロール化したメラミン化合物を含んでいてもよい。また、各種添加剤、例えば、有機系易滑剤、有機又は無機の微粒子、帯電防止剤などがその特性を悪化させない程度に添加されていてもよい。
特に無機粒子(A)、アクリル樹脂(B)以外の他の化合物(C)として、オキサゾリン化合物、および/またはメラミン化合物が好ましく、特にメラミン化合物を含有することが好ましい。
メラミン系化合物としては、例えば、メラミン、メラミンとホルムアルデヒドを縮合して得られるメチロール化メラミン誘導体、メチロール化メラミンに低級アルコールを反応させて部分的あるいは完全にエーテル化した化合物、及びこれらの混合物などを用いることができる。具体的には、トリアジンとメチロール基を有する化合物が特に好ましい。またメラミン系化合物としては単量体、2量体以上の多量体からなる縮合物にいずれでもよく、これらの混合物でもよい。エーテル化に用いられる低級アルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノールなどを用いることができる。基としては、イミノ基、メチロール基、あるいはメトキシメチル基やブトキシメチル基等のアルコキシメチル基を1分子中に有するもので、イミノ基型メチル化メラミン樹脂、メチロール基型メラミン樹脂、メチロール基型メチル化メラミン樹脂、完全アルキル型メチル化メラミン樹脂などである。その中でもメチロール化メラミン樹脂が最も好ましい。更に、メラミン系化合物の熱硬化を促進するため、例えばp−トルエンスルホン酸などの酸性触媒を用いてもよい。
このようなメラミン系化合物用いると、メラミン系化合物の自己縮合による塗膜硬度アップによる耐スクラッチ性向上が見られるだけでなく、アクリル樹脂に含まれる水酸基やカルボン基とメラミン系化合物の反応が進行し、より強固な樹脂層を得ることができ、耐スクラッチ性に優れるフィルムを得ることができる。更には樹脂層中の無機粒子(A)の脱落抑制効果によって、アンチブロッキング性発現に必要な凹凸構造の凸部の削れを防止することができる。
[積層フィルムの製造方法]
本発明の積層フィルムの製造方法について以下に例を示して説明するが、以下に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す例により限定的に解釈されるべきものではない。
本発明の積層フィルムは、無機粒子(A)と、アクリル樹脂(B)を含有する樹脂組成物をポリエステルフィルム上へ塗布し、樹脂組成物が溶媒を含む場合には、溶媒を乾燥させることによって、ポリエステルフィルム上に樹脂層を形成することによって得ることができる。
また、無機粒子(A)と、アクリル樹脂(B)を含有する樹脂組成物をポリエステルフィルム上へ塗布し、樹脂組成物が溶媒を含む場合には、溶媒を乾燥させることによって、ポリエステルフィルム上に樹脂層を形成することによって得ることができる。
また本発明において、樹脂組成物に溶媒を含有せしめる場合は、溶媒として水系溶媒を用いることが好ましい。水系溶媒を用いることで、乾燥工程での溶媒の急激な蒸発を抑制でき、均一な組成物層を形成できるだけでなく、環境負荷の点で優れているためである。
ここで、水系溶媒とは、水、または水とメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類など水に可溶である有機溶媒が任意の比率で混合させているものを指す。
また、本発明において、水系溶媒を用いる場合には、無機粒子(A)と、アクリル樹脂(B)を含有する樹脂組成物を含有した水系塗剤を塗布することが好ましい。これは水系塗剤として塗布することで、有機溶媒系塗剤と比べ、溶媒が乾燥した状態において、水分散化剤もしくは乳化剤が塗膜表層に配列するため、上述したアクリロイル基のラジカル重合反応の硬化阻害が抑制され、樹脂層の厚みが薄膜でも耐スクラッチ性に優れるためである。
なお、無機粒子(A)を含有する樹脂組成物(a)や、アクリル樹脂(B)を水系塗剤化する方法としては、無機粒子(A)を含有する樹脂組成物(a)やアクリル樹脂(B)にカルボン酸やスルホン酸といった親水基を含有せしめる方法や、乳化剤を用いてエマルジョン化する方法があげられる。
樹脂組成物のポリエステルフィルムへの塗布方法はインラインコート法であることが好ましい。インラインコート法とは、ポリエステルフィルムの製造の工程内で塗布を行う方法である。具体的には、ポリエステル樹脂を溶融押し出ししてから二軸延伸後熱処理して巻き上げるまでの任意の段階で塗布を行う方法を指し、通常は、溶融押出し後・急冷して得られる実質的に非晶状態の未延伸(未配向)ポリエステルフィルム(Aフィルム)、その後に長手方向に延伸された一軸延伸(一軸配向)ポリエステルフィルム(Bフィルム)、またはさらに幅方向に延伸された熱処理前の二軸延伸(二軸配向)ポリエステルフィルム(Cフィルム)の何れかのフィルムに塗布する。
本発明では、結晶配向が完了する前の上記Aフィルム、Bフィルム、の何れかのポリエステルフィルムに、樹脂組成物を塗布し、その後、ポリエステルフィルムを一軸方向又は二軸方向に延伸し、溶媒の沸点より高い温度で熱処理を施しポリエステルフィルムの結晶配向を完了させるとともに樹脂層を設ける方法を採用することが好ましい。この方法によれば、ポリエステルフィルムの製膜と、樹脂組成物の塗布乾燥(すなわち、樹脂層の形成)を同時に行うことができるために製造コスト上のメリットがある。また、塗布後に延伸を行うために樹脂層の厚みをより薄くすることが容易である。
中でも、長手方向に一軸延伸されたフィルム(Bフィルム)に、樹脂組成物を塗布し、その後、幅方向に延伸し、熱処理する方法が優れている。未延伸フィルムに塗布した後、二軸延伸する方法に比べ、延伸工程が1回少ないため、延伸による組成物層の欠陥や亀裂が発生しづらく、透明性や平滑性に優れた組成物層を形成できるためである。
更に、インラインコート法で樹脂層を設けることにより、樹脂層に延伸処理が施されることによって、無機粒子(A)の表面配列が促進され、無機粒子(A)に含まれる金属元素の、表面から0〜100nmの範囲の平均元素存在比率の和(P−1)を、表面から150〜300nmの範囲の平均元素存在比率の和(P−2)よりも大きくすることができる。その結果、樹脂層の耐スクラッチ性を発現することができる。
本発明において該樹脂層は、上述した種々の利点から、インラインコート法により設けられることが好ましい。ここで、ポリエステルフィルムへの樹脂組成物の塗布方式は、公知の塗布方式、例えばバーコート法、リバースコート法、グラビアコート法、ダイコート法、ブレードコート法等の任意の方式を用いることができる。
したがって、本発明において最良の樹脂層の形成方法は、水系溶媒を用いた樹脂組成物を、ポリエステルフィルム上にインラインコート法を用いて塗布し、乾燥、熱処理することによって形成する方法である。またより好ましくは、一軸延伸後のBフィルムに樹脂組成物をインラインコートする方法である。本発明の積層フィルムの製造方法において、乾燥は樹脂組成物の溶媒の除去を完了させるために、80〜130℃の温度範囲で実施することができる。また、熱処理はポリエステルフィルムの結晶配向を完了させるとともに樹脂組成物の熱硬化を完了させ樹脂層の形成を完了させるために、160〜240℃の温度範囲で実施することができる。
次に、本発明の積層フィルムの製造方法について、ポリエステルフィルムとしてポリエチレンテレフタレート(以下、PET)フィルムを用いた場合を例にして説明するが、これに限定されるものではない。まず、PETのペレットを十分に真空乾燥した後、押出機に供給し、約280℃でシート状に溶融押し出し、冷却固化せしめて未延伸(未配向)PETフィルム(Aフィルム)を作製する。このフィルムを80〜120℃に加熱したロールで長手方向に2.5〜5.0倍延伸して一軸配向PETフィルム(Bフィルム)を得る。このBフィルムの片面に所定の濃度に調製した本発明の樹脂組成物を塗布する。
この時、塗布前にPETフィルムの塗布面にコロナ放電処理等の表面処理を行ってもよい。コロナ放電処理等の表面処理を行うことで、樹脂組成物のPETフィルムへの濡れ性が向上し、樹脂組成物のはじきを防止し、均一な塗布厚みの樹脂層を形成することができる。塗布後、PETフィルムの端部をクリップで把持して80〜130℃の熱処理ゾーン(予熱ゾーン)へ導き、樹脂組成物の溶媒を乾燥させる。乾燥後幅方向に1.1〜5.0倍延伸する。引き続き160〜240℃の熱処理ゾーン(熱固定ゾーン)へ導き1〜30秒間の熱処理を行い、結晶配向を完了させる。
この熱処理工程(熱固定工程)で、必要に応じて幅方向、あるいは長手方向に3〜15%の弛緩処理を施してもよい。かくして得られた積層フィルムは透明性、耐スクラッチ性、アンチブロッキング性に優れた積層フィルムとなる。
なお、本発明の積層フィルムは、樹脂層とポリエステル層の間に中間層を設けても良いが、中間層を設ける場合は、中間層を積層したフィルムの巻き取り時や、その後の本発明の樹脂層を設けるまでの工程において、フィルムにキズがつく場合がある。そのため、本発明では、樹脂層とポリエステル層が直接積層されていることが好ましい。
[特性の測定方法および効果の評価方法]
本発明における特性の測定方法および効果の評価方法は次のとおりである。
(1)樹脂層の膜厚
透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて断面を観察することにより、樹脂層の厚みを測定した。樹脂層の厚みは、TEMにより10万倍の倍率で撮影した画像から樹脂層の厚みを読み取った。合計で20点の樹脂層厚みを測定して平均値とした。
試料調整:RuO染色FIB法
SMI3200SE(SIINT(株)製)
FB−2000A II Micro Sampling System(日立(株)製)
Strata400S(FEI社製)
スパッタコート(白金、10nm)後に、C(炭素)のデポジション製膜を実施。
観察装置:高分解透過型電子顕微鏡(日立製 H9000UHR II)
観察条件:加速電圧300kV。
(2)平均元素存在比率
(2−1)GD−OES(Glow discharge optical emission spectrometry)による平均元素存在比率の測定
以下の測定条件にて、「C(炭素)」、「O(酸素)」および「Si、Al、Ti,Mg、Zr,Se、Feの各元素」の発光強度を測定し、各元素の発光強度の合計値を100としたときの、「Si、Al、Ti,Mg、Zr,Se、Feの各元素」の発光強度を前後30点の平均値を算出し、各元素の平均元素存在比率とした。
・分析装置 :堀場製作所製 GD−Profiler2
・放電ガス :Ne+O 混合ガス
・測定径 :4mmφ
・パルススパッタ :ON(周波数:50%、高周波印加時間:0.25%)。
(2−2)樹脂層厚み方向深さの平均元素存在比率の和(P−1)、(P−2)の算出
まず、「樹脂層とフィルムの界面」の同定について、「Si、Al、Ti,Mg、Zr,Se、Feの各元素」の平均元素存在比率について、測定時間の前後10秒で平均元素存在比率の差が±3未満となる領域を「一定範囲」とし、発光強度が「一定範囲」の1/3となる点を「樹脂層とフィルムの界面」とした。次に(2−1)で求めた「Si、Al、Ti,Mg、Zr,Se、Feの各元素」の平均元素存在比率について、(1)で求めた樹脂層の膜厚に基づき、樹脂層表面(測定開始後30点の平均値)から「樹脂層とフィルムの界面」に対し、樹脂層厚み毎の「Si、Al、Ti,Mg、Zr,Se、Feの各元素」の平均元素存在比率を算出し、前記樹脂層の表面から厚み方向深さ100nmの範囲に存在するSi、Al、Ti,Mg、Zr、Se、Feの平均元素存在比率の和(P−1)と、樹脂層の表面から厚み方向深さ150nmから300nmの範囲に存在するSi、Al、Ti,Mg、Zr、Se、Feの平均元素存在比率の和(P−2)を算出した。
なお、合計で3箇所の樹脂層を測定して、平均値を平均元素存在比率とした。
(3)ヘイズ(透明性)
ヘイズの測定は、常態(23℃、相対湿度50%)において、積層フィルムサンプルを40時間放置した後、日本電色工業(株)製濁度計「NDH5000」を用いて、JIS K 7136「透明材料のヘイズの求め方」(2000年版)に準ずる方式で行った。なお、サンプルの樹脂層が積層された面側から光を照射して測定した。サンプルは一辺50mmの正方形のものを10サンプル準備し、それぞれ1回ずつ、合計10回測定した平均値をサンプルのヘイズ値とした。
また、透明性はヘイズ値により、4段階評価を行った。×は実用上問題のあるレベル、△は実用レベルであり、○と○○のものは良好とした。
○○:0.8%以下
○ :0.8%を超えて1.0%以下
△ :1.0%を超えて2.0%以下
× :2.0%を超える。
(3)耐スクラッチ性
スチールウール(ボンスター#0000、日本スチールウール(株)製)を荷重200g/cmで10往復擦過し、積層フィルムの表面における傷の発生の有無を目視で確認し、下記評価を実施した。
○○:傷なし
○:傷1〜5本
△:傷6〜10本
×:傷11本以上。
(4)滑り性
幅100mm、長さ200mmの積層フィルムサンプルを樹脂層側がステンレスロール(φ30mm)に接するように垂れ掛け、一方の端部に10g/cmとなるように垂直方向に荷重をかけながら、もう一方の端部を速度10mm/sで垂直方向(真下に向けて)に引っ張りサンプル表面を滑らせた。この摩擦処理を施したサンプルにて、上記と同様に静摩擦係数μsの測定を行い、以下の評価を行った。なお、静摩擦係数μsは、ASTM−D−1894−63に準じ、静摩擦新東科学(株)製表面性測定機HEIDON−14DRを用いて、サンプル移動速度200mm/min、荷重200g、接触面積63.5mm×63.5mmの条件で測定し、アナライジングレコーダTYPE:HEIDON3655E−99で記録し、以下の評価を行った。△は実用レベル、○以上のものを良好とした。
○:0.80未満
△:0.80以上1.00未満
×:1.00以上
(5)接着性
積層フィルムの樹脂層側に1mmのクロスカットを100個入れ、“セロテープ”(登録商標)(ニチバン(株)製、CT405AP)を貼り付け、ハンドローラーで1.5kg/cmの荷重で押しつけた後、積層フィルムに対して90度方向に急速に剥離した。接着性は残存した格子の個数により、4段階評価を行った。評価は10回実施した平均の値で行った。Cは実用上問題のあるレベル、△は実用レベルであり、○と○○のものは良好とした。
○○:90〜100個残存
○:80〜89個残存
△:50〜79個残存
×:0〜49個残存。
(6)樹脂層に含有する無機粒子の数平均粒子径
樹脂層に含有する無機粒子の数平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)により積層フィルムの断面構造を観察することにより求めた。倍率を50万倍とし、その画面内に存在する10個の粒子の外径を、10視野について合計100個の粒子を測定し、その平均粒子径を求めた。画面内に10個の粒子が存在しない場合は、同じ条件で別の箇所を観察し、その画面内に存在する粒子の外径を測定して、合計で100個の粒子の外径を測定して平均値とした。ここで外径とは、粒子の最大の径(つまり粒子の長径であり、粒子中の最も長い径を示す)を表し、内部に空洞を有する粒子の場合も同様に、粒子の最大の径を表す。
(7)樹脂層に含有する粒子の元素
SEM(走査型電子顕微鏡)を用いて樹脂層の表面を3万倍の倍率で観察することにより、ポリエステルフィルム上の樹脂層に含まれる粒子について、EDX(エネルギー分散型X線分光法)による元素分析を実施し、対象となる金属元素を定めた。
日立ハイテクノロジーズ製電界放射型走査電子顕微鏡(型番S−4800)で観察される、樹脂層に含有する無機粒子について、BrukerAXS製QUANTAX Flat QUAD System (型番 Xflash 5060FQ)で元素検出を測定し、含有する粒子の元素を判定した。
<参考例1>無機粒子(A)の表面にアクリル樹脂(B)を有する組成物(AB)を含有するエマルジョン(EM−1)
攪拌機、温度計、還流冷却管の備わった通常のアクリル樹脂反応槽に、溶剤としてイソプロピルアルコール100重量部を仕込み、加熱攪拌して100℃に保持した。
この中に、(メタ)アクリレート(b’−1)として、n=19のエイコシルメタクリレート40重量部、(メタ)アクリレート(b’−2)として、2個の環を有するイソボニルメタクリレート40重量部、その他水酸基を有する(メタ)アクリレート(b’−3)として、2−ヒドロキシエチルアクリレート20重量部からなる混合物を3時間かけて滴下した。そして、滴下終了後、100℃で1時間加熱し、次にt−ブチルパーオキシ2エチルヘキサエート1重量部からなる追加触媒混合液を仕込んだ。次いで、100℃で3時間加熱した後冷却し、アクリル樹脂(B−1)を得た。
無機粒子(A)としてAl元素を含む無機粒子(“NanoTek”Alスラリー(シーアイ化成株式会社製 数平均粒子径30nm)を用い、水系溶媒中に、“NanoTek”Alスラリーと上記アクリル樹脂(B−1)を順に添加し、以下の方法で分散せしめ、無機粒子(A)とアクリル樹脂(B−1)の混合組成物(AB)含有するエマルジョン(EM−1)を得た。(前記(ii)の方法。)
無機粒子(A)およびアクリル樹脂(B−1)の添加量比(質量比)は、(A)/(B−1)=50/50とした(なお質量比は、小数点第1位を四捨五入して求めた)。分散処理は、ホモミキサーを用いて行い、周速10m/sで5時間回転させることによって行った。また、最終的に得られた組成物(BA)における、粒子(A)とアクリル樹脂(B)の質量比は、(A)/(B−1)=50/50であった(なお、質量比は小数点第1位を四捨五入して求めた)。
なお、得られた組成物(AB)を、日立卓上超遠心機(日立工機株式会社製:CS150NX)により遠心分離を行い(回転数3000rpm、分離時間30分)、無機粒子(A)(及び無機粒子(A)の表面に吸着したアクリル樹脂(B))を沈降させた後、上澄み液を除去し、沈降物を濃縮乾固させた。濃縮乾固した沈降物をX線光電子分光法(XPS)により分析した結果、無機粒子(A)の表面にアクリル樹脂(B)が存在することが確認された。つまり、無機粒子(A)の表面には、アクリル樹脂(B)が吸着・付着しており、得られた組成物(AB)が無機粒子(A)の表面にアクリル樹脂(B)を有する粒子に該当することが判明した。
<参考例2>無機粒子(A)の表面にアクリル樹脂(B)を有する組成物(AB−2)を含有するエマルジョン(EM−2)
無機粒子(A)として、Ti元素を含む“NanoTek”TiOスラリー(シーアイ化成株式会社製 数平均粒子径36nmを使用した以外は、参考例1と同様の方法で、粒子(A)とアクリル樹脂(B)の混合組成物(AB)含有するエマルジョン(EM−2)を得た。
<参考例3>無機粒子(A)の表面にアクリル樹脂(B)を含有するエマルジョン(EM−3)
無機粒子(A)として、Si元素を含む“スノーテックス”OLコロイダルシリカスラリー(日産化学工業株式会社製 数平均粒子径40nm)を使用した以外は、参考例1と同様の方法で、粒子(A)とアクリル樹脂(B)の混合組成物(AB)含有するエマルジョン(EM−3)を得た。
<参考例4>
参考例1の無機粒子(A)およびアクリル樹脂(B−1)の添加量比(質量比)を、(A)/(B−1)=30/70とした(なお質量比は、小数点第1位を四捨五入して求めた)以外は、参考例1と同様の方法で、粒子(A)とアクリル樹脂(B)の混合組成物(AB)含有するエマルジョン(EM−4)を得た。
<参考例5>
参考例1の無機粒子(A)およびアクリル樹脂(B−1)の添加量比(質量比)を、(A)/(B−1)=65/35とした(なお質量比は、小数点第1位を四捨五入して求めた)以外は、参考例1と同様の方法で、粒子(A)とアクリル樹脂(B)の混合組成物(AB)含有するエマルジョン(EM−5)を得た。
<参考例6>無機粒子(A)の表面にアクリル樹脂(B)を含有するエマルジョン(EM−6)
攪拌機、温度計、還流冷却管の備わった通常のアクリル樹脂反応槽に、溶剤としてイソプロピルアルコール100重量部を仕込み、加熱攪拌して100℃に保持した。
この中に、(メタ)アクリレート(b’−1)として、n=19のエイコシルメタクリレート40重量部、(メタ)アクリレート(b’−2)として、2個の環を有するイソボニルメタクリレート40重量部、その他水酸基を有する(メタ)アクリレート(b’−3)として、2−ヒドロキシエチルアクリレート10重量部、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレ−ト(b’−4)10重量部からなる混合物を3時間かけて滴下した。そして、滴下終了後、100℃で1時間加熱し、次にt−ブチルパーオキシ2エチルヘキサエート1重量部からなる追加触媒混合液を仕込んだ。次いで、100℃で3時間加熱した後冷却し、アクリル樹脂(B−2)を得た。
水系溶媒中に、Si元素を含む無機粒子(“スノーテックス”Oコロイダルシリカスラリー(日産化学工業株式会社製 数平均粒子径5nm)(A)と上記アクリル樹脂(B−2)を順に添加し、以下の方法で分散せしめ、無機粒子(A)とアクリル樹脂(B−2)の混合組成物(AB)含有するエマルジョン(EM−6)を得た。
なお、無機粒子(A)、アクリル樹脂(B−1)およびアクリル樹脂(B−2)の添加量比(質量比)は、(A)/(B−1)/(B−2)=50/10/40とした(なお質量比は、小数点第1位を四捨五入して求めた)。分散処理は、ホモミキサーを用いて行い、周速10m/sで5時間回転させることによって行った。また、最終的に得られた組成物(AB)における、無機粒子(A)、アクリル樹脂(B−1)およびアクリル樹脂(B−2)の質量比は、(A)/(B−1)/(B−2)=50/10/40であった(なお、質量比は小数点第1位を四捨五入して求めた)。
なお、得られた組成物(AB)を、日立卓上超遠心機(日立工機株式会社製:CS150NX)により遠心分離を行い(回転数3000rpm、分離時間30分)、無機粒子(A)(及び無機粒子(A)の表面に吸着したアクリル樹脂(B))を沈降させた後、上澄み液を除去し、沈降物を濃縮乾固させた。濃縮乾固した沈降物をX線光電子分光法(XPS)により分析した結果、無機粒子(A)の表面にアクリル樹脂(B)が存在することが確認された。つまり、無機粒子(A)の表面には、アクリル樹脂(B)が吸着・付着しており、得られた組成物(AB)が無機粒子(A)の表面にアクリル樹脂(B)を有する粒子に該当することが判明した。
<参考例7>
参考例6の無機粒子(A)を、Si元素を含む“スフェリカ”140(触媒化成株式会社製 数平均粒子径140nm)を用いた以外は、参考例6と同様の方法で、粒子(A)とアクリル樹脂(B)の混合組成物(AB)含有するエマルジョン(EM−7)を得た。
<参考例8>無機粒子(A)の表面にアクリル樹脂(B)を含有するエマルジョン(EM−8)
攪拌機、温度計、還流冷却管の備わった通常のアクリル樹脂反応槽に、溶剤としてイソプロピルアルコール100重量部を仕込み、加熱攪拌して100℃に保持した。
この中に、水酸基を有する(メタ)アクリレート(b’−3)として、2−ヒドロキシエチルアクリレート50重量部、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレ−ト(b’−4)50重量部からなる混合物を3時間かけて滴下した。そして、滴下終了後、100℃で1時間加熱し、次にt−ブチルパーオキシ2エチルヘキサエート1重量部からなる追加触媒混合液を仕込んだ。次いで、100℃で3時間加熱した後冷却し、フッ素含有アクリル樹脂(B−4)を得た。
無機粒子(A)としてAl元素を含む無機粒子(“NanoTek”Alスラリー(シーアイ化成株式会社製 数平均粒子径30nm)を用い、水系溶媒中に“NanoTek”Alスラリーと上記フッ素含有アクリル樹脂(B−4)を順に添加し、以下の方法で分散せしめ、無機粒子(A)とアクリル樹脂(B−4)の混合組成物(AB)含有するエマルジョン(EM−8)を得た。無機粒子(A)およびアクリル樹脂(B−4)の添加量比(質量比)は、(A)/(B−4)=50/50とした(なお質量比は、小数点第1位を四捨五入して求めた)。分散処理は、ホモミキサーを用いて行い、周速10m/sで5時間回転させることによって行った。また、最終的に得られた組成物(AB)における、粒子(A)とアクリル樹脂(B)の質量比は、(A)/(B−4)=50/50であった(なお、質量比は小数点第1位を四捨五入して求めた)。
<参考例9> アクリル樹脂(B−3)の調整
窒素ガス雰囲気下かつ常温(25℃)下で、容器1に、水100重量部、ポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの繰り返し単位が16)1重量部および過硫酸アンモニウム0.5重量部を仕込み、これを70℃に昇温し、溶解させ、70℃の溶液1を得た。次に、常温(25℃)下で、容器2に、下記の原料を下記の比率で添加し、攪拌し、溶液2を得た。
・ポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの繰り返し単位が16) 5モル部
・メタクリル酸メチル 62モル部
・アクリル酸エチル 30モル部
・アクリル酸 2モル部
・N−メチロールアクリルアミド 1モル部
その後、100重量部の溶液2に対し、水50重量部を添加し、溶液3を得た。窒素ガス雰囲気下で、溶液1を反応器に移し、反応器内の溶液の温度を70℃に保ちつつ、溶液3を溶液1に3時間かけて連続滴下せしめた。滴下終了後、更に85度で2時間攪拌したのち、25度まで冷却し、アンモニア水で中和して、アクリル樹脂(B−3)エマルジョンを得た。
なお、以下の実施例や比較例にて得られた積層フィルムの特性等を、表に示した。なお、以下において、実施例8、15および16は、それぞれ参考例8、15および16と読み替えるものとする。
<実施例1>
はじめに、樹脂組成物1を次の通り調製した。
<樹脂組成物>
水系溶媒に、上記のエマルジョンを表に記載の比率で混合し、樹脂組成物1を得た。
・Al元素を含む無機粒子(A)(“NanoTek”Alスラリー(シーアイ化成株式会社製 数平均粒子径30nm:A−1) 50重量部
・アクリル樹脂(B−3)50重量部
<積層フィルム>
次いで、実質的に粒子を含有しないPETペレット(極限粘度0.63dl/g)を充分に真空乾燥した後、押し出し機に供給し285℃で溶融し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度25℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて冷却固化せしめた。この未延伸フィルムを90℃に加熱して長手方向に3.4倍延伸し、一軸延伸フィルム(Bフィルム)とした。
次に樹脂組成物1を一軸延伸フィルムのコロナ放電処理面にバーコートを用いて塗布厚み約6μmで塗布した。樹脂組成物を塗布した一軸延伸フィルムの幅方向両端部をクリップで把持して予熱ゾーンに導き、雰囲気温度75℃とした後、引き続いてラジエーションヒーターを用いて雰囲気温度を110℃とし、次いで雰囲気温度を90℃として、樹脂組成物を乾燥させ、樹脂層を形成せしめた。引き続き連続的に120℃の加熱ゾーン(延伸ゾーン)で幅方向に3.5倍延伸し、続いて230℃の熱処理ゾーン(熱固定ゾーン)で20秒間熱処理を施し、結晶配向の完了した積層フィルムを得た。得られた積層フィルムにおいてPETフィルムの厚みは50μm、樹脂層の厚みは1.0μmであった。
得られた積層フィルムの特性等を表に示す。
透明性、耐スクラッチ性、滑り性、接着性に優れるものであった。
<実施例2>
塗液中の樹脂組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性などを表に示す。
<樹脂組成物>
水系溶媒に、上記のエマルジョンを表に記載の比率で混合した。
・Al元素を含む無機粒子(A)(“NanoTek”Alスラリー(シーアイ化成株式会社製 数平均粒子径30nm:A−1)の表面にアクリル樹脂(B)を有する組成物(AB)を含有するエマルジョン(EM−1) 100重量部
<実施例3>
塗液中の樹脂組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性などを表に示す。
<樹脂組成物>
水系溶媒に、上記のエマルジョンを表に記載の比率で混合した。
・Al元素を含む無機粒子(A)(“NanoTek”Alスラリー(シーアイ化成株式会社製 数平均粒子径30nm:A−1) 30重量部
・アクリル樹脂(B−3)70重量部
<実施例4>
塗液中の樹脂組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性などを表に示す。
<樹脂組成物>
・Al元素を含む無機粒子(A)(“NanoTek”Alスラリー(シーアイ化成株式会社製 数平均粒子径30nm:A−1)の表面にアクリル樹脂(B)を有する組成物(AB)を含有するエマルジョン(EM−4) 100重量部
<実施例5>
塗液中の樹脂組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性などを表に示す。
<樹脂組成物>
・Al元素を含む無機粒子(A)(“NanoTek”Alスラリー(シーアイ化成株式会社製 数平均粒子径30nm:A−1)の表面にアクリル樹脂(B)を有する組成物(AB)を含有するエマルジョン(EM−4) 27重量部
・アクリル樹脂(B−3)73重量部
<実施例6>
塗液中の樹脂組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性などを表に示す。
<樹脂組成物>
・Al元素を含む無機粒子(A)(“NanoTek”Alスラリー(シーアイ化成株式会社製 数平均粒子径30nm:A−1)の表面にアクリル樹脂(B)を有する組成物(AB)を含有するエマルジョン(EM−5) 100重量部
<実施例7>
塗液中の樹脂組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性などを表に示す。
<樹脂組成物>
・Ti元素を含む無機粒子(A)(“NanoTek”TiOスラリー(シーアイ化成株式会社製 数平均粒子径36nm:A−2)の表面にアクリル樹脂(B)を有する組成物(AB)を含有するエマルジョン(EM−2) 100重量部
<実施例8>
塗液中の樹脂組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性などを表に示す。
<樹脂組成物>
・Si元素を含む無機粒子(A)(“スノーテックス”OLコロイダルシリカスラリー(日産化学工業株式会社製 数平均粒子径40nm):A−3)の表面にアクリル樹脂(B)を有する組成物(AB)を含有するエマルジョン(EM−3) 100重量部
<実施例9>
厚み50μmのPETフィルム(東レ(株)製“ルミラー(登録商標)”T60)の片面に、実施例2で用いた樹脂組成物を乾燥後の厚みが1.0μmになるように塗布し、熱風オーブンを用い、100℃で2分乾燥させた後、再度230℃で20秒乾燥させ、積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性等を表に示す。
<実施例10>
塗液中の樹脂組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性などを表に示す。
<樹脂組成物>
水系溶媒に、上記のエマルジョンを表に記載の比率で混合した。
・Al元素を含む無機粒子(A)(“NanoTek”Alスラリー(シーアイ化成株式会社製 数平均粒子径30nm:A−1)の表面にアクリル樹脂(B)を有する組成物(AB)を含有するエマルジョン(EM−1) 80重量部
・オキサゾリン系化合物(日本触媒製“エポクロス”WS500) 20重量部
<実施例11>
塗液中の樹脂組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性などを表に示す。
<樹脂組成物>
水系溶媒に、上記のエマルジョンを表に記載の比率で混合した。
・Al元素を含む無機粒子(A)(“NanoTek”Alスラリー(シーアイ化成株式会社製 数平均粒子径30nm:A−1)の表面にアクリル樹脂(B)を有する組成物(AB)を含有するエマルジョン(EM−1) 80重量部
・メラミン系化合物(DIC製“ベッカミン”APM) 20重量部
<実施例12〜14>
樹脂層の厚みを表2に通り変更した以外は、実施例2と同様の方法で積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性などを表2に示す。
<実施例15>
塗液中の樹脂組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性などを表に示す。
<樹脂組成物>
水系溶媒に、上記のエマルジョンを表に記載の比率で混合した。
・Si元素を含む無機粒子(A)(“スノーテックス”Oコロイダルシリカスラリー(日産化学工業株式会社製 数平均粒子径5nm)):A−3)の表面にアクリル樹脂(B)を有する組成物(AB)を含有するエマルジョン(EM−6) 100重量部
<実施例16>
塗液中の樹脂組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性などを表に示す。
<樹脂組成物>
水系溶媒に、上記のエマルジョンを表に記載の比率で混合した。
・Si元素を含む無機粒子(A)(“スノーテックス”Oコロイダルシリカスラリー(日産化学工業株式会社製 数平均粒子径5nm)):A−3)の表面にアクリル樹脂(B)を有する組成物(AB)を含有するエマルジョン(EM−7) 100重量部
<実施例17>
塗液中の樹脂組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層フィ
ルムを得た。得られた積層フィルムの特性などを表に示す。
<樹脂組成物>
・Mg元素を含む無機粒子(A)(“SMO”(堺化学工業株式会社製 数平均粒子径100nm) 50重量部
・アクリル樹脂(B−3)50重量部
<実施例18>
塗液中の樹脂組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性などを表に示す。
<樹脂組成物>
・Zr元素を含む無機粒子(A)(“ナノユース”ZR(日産化学工業株式会社製 数平均粒子径90nm) 50重量部
・アクリル樹脂(B−3)50重量部
<実施例19>
塗液中の樹脂組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性などを表に示す。
<樹脂組成物>
・Fe元素を含む無機粒子(A)(“TECNADIS”FE−120(エアブラウン株式会社製 数平均粒子径10nm) 50重量部
・アクリル樹脂(B−3)50重量部
<比較例1>
塗液中の樹脂組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性などを表に示す。
<樹脂組成物>
水系溶媒に、上記のエマルジョンを表に記載の比率で混合した。
・Al元素を含む無機粒子(A)(“NanoTek”Alスラリー(シーアイ化成株式会社製 数平均粒子径2nm:A−1) 50重量部
・アクリル樹脂(B−3)50重量部
<比較例2>
塗液中の樹脂組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性などを表に示す。
<樹脂組成物>
水系溶媒に、上記のエマルジョンを表に記載の比率で混合した。
・Al元素を含む無機粒子(A)(“NanoTek”Alスラリー(シーアイ化成株式会社製 数平均粒子径30nm:A−1)の表面にアクリル樹脂(B−4)を有する組成物(AB)を含有するエマルジョン(EM−8) 100重量部
<比較例3>
塗液中の樹脂組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性などを表に示す。
<樹脂組成物>
・Si元素を含む無機粒子(A)(“シーホスター”KE30W(日本触媒株式会社製 数平均粒子径300nm:A−3) 50重量部
・アクリル樹脂(B−3)50重量部
<比較例4>
塗液中の樹脂組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性などを表に示す。
<樹脂組成物>
・Au元素を含む無機粒子(Si、Al、Ti,Mg、Zr、Se、Feを含まない)(A)(金ナノ粒子 Au−WPP08―C(大日本塗料株式会社製 数平均粒子径10nm) 50重量部
・アクリル樹脂(B−3)50重量部
Figure 0006787063
Figure 0006787063
本発明は、透明性、耐スクラッチ性、滑り性に優れる積層フィルムであり、従来ディスプレイ用途に用いられるハードコートフィルムや、成形加飾用途に用いられるハードコートフィルムとして利用可能である。

Claims (6)

  1. 2層以上からなる積層フィルムであって、少なくとも一方の表層がl、Ti,Mg、Zr、Se、Feから選ばれる少なくとも1種の無機元素を含有する無機粒子(A)を含有しており(前記無機粒子(A)を含有する表層を樹脂層と称す)、前記無機粒子(A)が、二酸化チタン(TiO )、二酸化ジルコニウム(ZrO )、二酸化セレン(SeO )、酸化鉄(Fe )、酸化アルミニウム(Al )、酸化マグネシウム粒子から選ばれる1種類以上を含み、
    前記樹脂層の表面から厚み方向深さ100nmの範囲に存在するl、Ti,Mg、Zr、Se、Feの平均元素存在比率の和(P−1)が、前記樹脂層の表面から厚み方向深さ150nmから300nmの範囲に存在するl、Ti,Mg、Zr、Se、Feの平均元素存在比率の和(P−2)よりも大きく、
    前記平均元素存在比率の和の比(P−1/P−2)が、1.01以上3.0以下であり、
    ヘイズが2.0%以下である積層フィルム。
  2. 前記樹脂層中の無機粒子(A)含有率が、樹脂層全体に対して、10〜60重量%であることを特徴とする請求項に記載の積層フィルム。
  3. 前記表層にある無機粒子(A)を含有する樹脂層はアクリル樹脂(B)を含み、前記アクリル樹脂(B)が式(3)で表されるモノマー単位(b )を有する樹脂である、請求項1または2に記載の積層フィルム。
    Figure 0006787063
    (式(3)において、R 基は、水素原子またはメチル基を表す。また、R 基は、水酸
    基、カルボキシル基、3級アミノ基、4級アンモニウム塩基、スルホン酸基、または、リ
    ン酸基を表す。)
  4. 前記表層にある無機粒子(A)を含有する樹脂層は化合物(C)を含み、前記化合物(C)がオキサゾリン化合物および/またはメラミン化合物である、請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルム。
  5. 前記樹脂層の厚みが、0.3〜5μm以下である請求項1〜4のいずれかに記載の積層フィルム。
  6. 結晶配向が完了する前の熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に、無機粒子(A)を含有する塗液を塗布し、次いで、前記熱可塑性樹脂フィルムを少なくとも一軸方向に延伸し、前記熱可塑性樹脂フィルムに熱処理を施して、該熱可塑性樹脂フィルムの結晶配向を完了させる工程を含む請求項1〜5のいずれかに記載の積層フィルムの製造方法。
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