JP2021138071A - 積層フィルムおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】透明性、耐スクラッチ性、後加工塗布性に優れる積層ポリエステルフィルムの提供。【解決手段】ポリエステルフィルムの少なくとも一方の表層に層(X)を有し、層(X)の表面における水の後退接触角θrが45°以下であり、AFMによる弾性率マッピングにて観測した前記層(X)の表面が海島構造を有し、海成分の弾性率が4Gpa以上であり、海成分の割合が60〜97%である積層ポリエステルフィルム。【選択図】図1
Description
本発明は、積層フィルムおよびその製造方法に関する。
熱可塑性樹脂フィルム、中でも二軸配向ポリエステルフィルムは、機械的性質、電気的性質、寸法安定性、透明性、耐薬品性などに優れた性質を有するため、磁気記録材料、包装材料などの多くの用途において広く使用されている。特に近年では各種工業製品の加工工程におけるキャリアフィルムの他、タッチパネル、液晶ディスプレイパネル(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)、等の表示部材用途をはじめとした各種光学用に用いられている。
これらの光学用フィルムでは、ポリエステルフィルムの上に、屈折率の異なる層(以下光学調整層)を積層した後、導電層や粘着層を設け後加工されることが多い。ここで、一般的に光学調整層を積層する際には、ロール状に巻き取られた基材フィルムに、機能塗剤を塗布、硬化させた後、ロール状に巻き取る、いわゆるロールtoロールの形で加工が施される。
光学用フィルムには、「透明性」が求められており、このような用途においては、フィルムロールの搬送時におけるキズを抑制する、「耐スクラッチ性」と後加工時の「後加工塗布性」の両立が求められている。
耐スクラッチ性は加工時の搬送ロールへの接触やすべりによる表面の削れを抑制する目的で付与される。例えば特許文献1にコート膜厚より小さいアクリル粒子を含有する塗膜を積層することで、防眩性と耐擦傷性に優れる積層フィルムを得る方法が、特許文献2に、アクリル樹脂と粒子を含有する塗膜を積層することで、耐キズ付き性を得る方法がそれぞれ記載されている。
一方、後加工塗布性は、後加工時の塗膜のハジキを防止する目的で付与される。例えば特許文献3に熱硬化型樹脂を用いてハードコート層に誘電体薄膜層を積層することで透明誘電層の密着性を得る方法が記載されている。
しかしながら、例えば特許文献1および2に記載の技術であればキズを抑制することは可能となるが、特許文献1ではコート層に存在するアクリル粒子の粒径が大きいため、光の散乱が生じる領域であることから、透明性の効果が不足する。また特許文献2では耐スクラッチ性と透明性、後加工塗布性を十分に両立することが出来ていない。また特許文献3の技術では、後加工塗布性の性能はレベリング剤にフッ素系またはシリコーン系を使用するため不十分となる。
そこで、本発明では上記の欠点を解消し、透明性、耐スクラッチ性、後加工塗布性に優れる積層ポリエステルフィルムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため本発明の積層ポリエステルフィルムは次の構成を有する。
(1)ポリエステルフィルムの少なくとも一方に層(X)を有する積層ポリエステルフィルムであって、前記層(X)が少なくとも一方の表層にあり、前記層(X)の表面における水の後退接触角θrが45°以下であり、AFMによる弾性率マッピングにて観測した前記層(X)の表面が海島構造を有し、前記層(X)の海成分の弾性率が4.0Gpa以上であり、海成分の割合が60〜97%である積層ポリエステルフィルム。
(2)前記層(X)の表面粗さが3〜20nmである(1)に記載の積層ポリエステルフィルム。
(3)ヘイズが2.0%以下である(1)または(2)に記載の積層ポリエステルフィルム。
(4)前記層(X)がメラミン樹脂、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、イソシアネート化合物から選ばれる少なくとも1種類の架橋剤(b)を含有する(1)から(3)のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
(5)前記層(X)が、Si、Al、Ti、Zr、Feから選ばれる、少なくとも1種の金属酸化物粒子(a)を含有することを特徴とする(1)から(4)のいずれかの積層ポリエステルフィルム。
(6)(1)から(5)のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルムの製造方法であって、結晶配向が完了する前のポリエステルフィルムの少なくとも片面に、塗料組成物(x)を塗布した後、少なくとも一方向に延伸処理及び熱処理を施す工程を含み、前記塗料組成物(x)が、メラミン樹脂、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、イソシアネート化合物から選ばれる少なくとも2種類の架橋剤(b)、および金属酸化物粒子(a)を含有する積層ポリエステルフィルムの製造方法。
(1)ポリエステルフィルムの少なくとも一方に層(X)を有する積層ポリエステルフィルムであって、前記層(X)が少なくとも一方の表層にあり、前記層(X)の表面における水の後退接触角θrが45°以下であり、AFMによる弾性率マッピングにて観測した前記層(X)の表面が海島構造を有し、前記層(X)の海成分の弾性率が4.0Gpa以上であり、海成分の割合が60〜97%である積層ポリエステルフィルム。
(2)前記層(X)の表面粗さが3〜20nmである(1)に記載の積層ポリエステルフィルム。
(3)ヘイズが2.0%以下である(1)または(2)に記載の積層ポリエステルフィルム。
(4)前記層(X)がメラミン樹脂、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、イソシアネート化合物から選ばれる少なくとも1種類の架橋剤(b)を含有する(1)から(3)のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
(5)前記層(X)が、Si、Al、Ti、Zr、Feから選ばれる、少なくとも1種の金属酸化物粒子(a)を含有することを特徴とする(1)から(4)のいずれかの積層ポリエステルフィルム。
(6)(1)から(5)のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルムの製造方法であって、結晶配向が完了する前のポリエステルフィルムの少なくとも片面に、塗料組成物(x)を塗布した後、少なくとも一方向に延伸処理及び熱処理を施す工程を含み、前記塗料組成物(x)が、メラミン樹脂、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、イソシアネート化合物から選ばれる少なくとも2種類の架橋剤(b)、および金属酸化物粒子(a)を含有する積層ポリエステルフィルムの製造方法。
本発明は、透明性、耐スクラッチ性、後加工塗布性に優れる積層ポリエステルフィルムを提供することが出来る。
以下、本発明の積層ポリエステルフィルムについて詳細に説明する。本発明は、ポリエステルフィルムの少なくとも一方に層(X)を有する積層ポリエステルフィルムであって、前記層(X)が少なくとも一方の表層にあり、前記層(X)の表面における水の後退接触角θrが45°以下であり、AFMによる弾性率マッピングにて観測した前記層(X)の表面が海島構造を有し、前記層(X)の海成分の弾性率が4.0Gpa以上であり、海成分の割合が60〜97%であることが必要である。
まず層(X)の表面における水の後退接触角θrが一定の条件を満たすことの物理的な意義について説明する。本発明の特徴は、積層ポリエステルフィルムに対する塗工性を制御する因子として一般的に知られている、表面エネルギーなどの物理量では、微細なドメイン形状を有する積層ポリエステルフィルムの濡れ性を制御することが困難であることを見出したことにある。通常、表面エネルギーは、例えば畑らによって提案された「固体の表面自由エネルギー(γ)を分散力成分(γSd)、極性力成分(γSp)、及び水素結合力成分(γSh)の3成分に分離し、Fowkes式を拡張した式(拡張Fowkes式)」に基づく幾何平均法により、分散力、極性力、水素結合力及び分散力と極性力の和として算出される。この時具体的には、JIS R3257:1999年に記載の静滴法にて求められる溶液の接触角を用い、以下の算式により算出される。
各記号の意味について下記する。γS Lは固体と液体の界面での張力である場合、数式(イ)が成立する。
γS L: 樹脂層と表に記載の既知の溶液の表面エネルギー
γS : 樹脂層の表面エネルギー
γL : 表に記載の既知の溶液の表面エネルギー
γS d: 樹脂層の表面エネルギーの分散力成分
γS p: 樹脂層の表面エネルギーの極性力成分
γS h: 樹脂層の表面エネルギーの水素結合力成分
γL d : 表に記載の既知の溶液の表面エネルギーの分散力成分
γL p : 表に記載の既知の溶液の表面エネルギーの極性力成分
γL h: 表に記載の既知の溶液の表面エネルギーの水素結合力成分
γS L=γS+γL−2(γS d・γL d)1/2−2(γS p・γLp)1/2−2(γS h・γL h)1/2 ・・・ 数式(イ)。
γS : 樹脂層の表面エネルギー
γL : 表に記載の既知の溶液の表面エネルギー
γS d: 樹脂層の表面エネルギーの分散力成分
γS p: 樹脂層の表面エネルギーの極性力成分
γS h: 樹脂層の表面エネルギーの水素結合力成分
γL d : 表に記載の既知の溶液の表面エネルギーの分散力成分
γL p : 表に記載の既知の溶液の表面エネルギーの極性力成分
γL h: 表に記載の既知の溶液の表面エネルギーの水素結合力成分
γS L=γS+γL−2(γS d・γL d)1/2−2(γS p・γLp)1/2−2(γS h・γL h)1/2 ・・・ 数式(イ)。
また、平滑な固体面と液滴が接触角(θ)で接しているときの状態は次式で表現される(Youngの式)。
γS=γS L+γLcosθ ・・・ 数式(ロ)。
これら数式(イ)、数式(ロ)を組み合わせると、次式が得られる。
(γS d・γL d)1/2+(γS p・γL p)1/2+(γS h・γL h)1/2=γL(1+cosθ)/2 ・・・ 数式(ハ)。
(γS d・γL d)1/2+(γS p・γL p)1/2+(γS h・γL h)1/2=γL(1+cosθ)/2 ・・・ 数式(ハ)。
上記の様に静的法にて得られる表面エネルギーは、特に測定時の液滴の界面、特に空気−液体−層表面の接線の物性に限定されるため、本発明の積層ポリエステルフィルムの様に、表面に微細なドメイン形状を有する部材の物性評価には適さない場合がある。実際に本発明者らが確認した所、前述の方法により測定される表面エネルギーはほぼ同等の値でありながら、積層ポリエステルフィルムの塗布性に差違が見られる場合があることが分かった。そこで本発明者らが検討を重ねた結果、水の後退接触角θrを用いることで積層ポリエステルフィルムの塗布性を制御出来ることを見出し、本発明に至った。
本発明の積層ポリエステルフィルムは水の後退接触角θrが45°以下であることを特徴とする。水の後退接触角は、測定面の表面を水滴が移動する際の、移動する空気−液体−層表面の界面にて観測される物性値であり、表面の平均的な粗さや微細なドメイン形状などにより制御することが可能である。水の後退接触角θrが45°を超えることは表面に対する水による濡れ性が低いことを意味しており、後加工塗布性が不足するため不適である。なお水の後退接触角の測定方法の詳細については後述する。水の後退接触角θrは、43°以下であることがより好ましく、30°以上41°以下であることがさらに好ましい。
本発明の積層ポリエステルフィルムは表面に海島構造を有すことが必要である。本発明において、海島構造とは、層(X)の表面において弾性率に高弾性率部と低弾性率部があることを表す。高弾性率部と低弾性率部があるかは、後述する測定方法においてAFM(Atomic Force Microscope(原子間力顕微鏡))にて得られる弾性率像(弾性率マッピングにより得られる弾性率像)を二値化した際に、白色部と黒色部が存在すること(白色部が海成分、黒色部が島成分)で判定される。
積層ポリエステルフィルムの耐スクラッチ性を向上させるためには、従来、ハードコート層の硬度を上げる(弾性率を高くする)方法が知られている。しかしながら、ハードコート層の硬度を上げると耐スクラッチ性は良化するが、後加工塗布性が悪化する傾向にある。一方、ハードコート層の硬度を下げる(弾性率を低くする)と後加工塗布性は向上するものの、耐スクラッチ性は低下する。そのため、従来技術では、耐スクラッチ性と後加工塗布性を高いレベルで両立させるのは困難であった。本発明の積層ポリエステルフィルムは、層(X)の表面に海島構造(弾性率の異なる領域)を有することで、高弾性率部で層(X)に耐スクラッチ性を発現しつつ、低弾性率部で層(X)の後加工塗布時の濡れ性を向上することができるため、耐スクラッチ性と後加工塗布性を高いレベルで両立させることができる。
層(X)に海島構造を形成せしめる方法としては、特に限られるものではないが、層(X)の構成成分として後述する金属酸化物粒子(A)と金属酸化物粒子(A)との相溶性を制御したバインダー成分を混合して用いる方法や、高弾性率成分と低弾性率成分を層(X)の面方向に交互にパターン配列する方法などが挙げられる。上記方法の中でも、金属酸化物粒子(A)と金属酸化物粒子(A)との相溶性を制御したバインダー成分を混合して用いる方法が効率的に海島構造を形成でき、好ましい。
本発明の積層ポリエステルフィルムでは、前記層(X)の海成分の弾性率が4.0Gpa以上であり、海成分の割合が60〜97%である必要がある。海成分の平均弾性率が4.0GPa未満である場合には、および面積比が60%に満たない場合には、積層ポリエステルフィルムのキズ付きを抑制する効果が得られない。本発明の積層ポリエステルフィルムの層(X)の海成分の割合が、65〜95%であることが好ましい。一方、海成分の面積比が97%を超える場合には、前述の水の後退接触角を制御することが困難となり、後加工塗布性が不足する。なおAFMを用いた弾性率マッピングの観測方法の詳細については後述する。前記層(X)表面における海成分が占める面積比率を制御する方法は特に限られるものでは無い。例えば、層(X)に海島構造を形成せしめる方法として、層(X)を後述する金属酸化物粒子(a)と金属酸化物粒子(A)との相溶性を制御したバインダー成分を含む塗料組成物用いて形成させる方法を採っている場合は、金属酸化物粒子(A)と金属酸化物粒子(A)との相溶性を制御したバインダー成分の混合比率によって制御することができる。さらに、バインダー成分の架橋剤として特定の組合せを用いると相溶性の制御が容易になるため好ましい。
本発明の積層ポリエステルフィルムは、前記層(X)の海成分が金属酸化物粒子(A)を含むことが好ましい。層(X)の海成分に金属酸化粒子(A)を含むとは、層(X)の海成分の表面に金属酸化粒子(A)が存在することを表し、層(X)の海成分表面に金属酸化物(A)が存在するかの測定方法の詳細については後述する。層(X)の海成分中に金属酸化物粒子(A)を含むことで層(X)表面に高硬度かつ緻密なナノ凸凹構造が形成され、摩擦力が分散された結果、耐スクラッチ性を良好にすることができる。
[ポリエステルフィルム]
本発明の積層ポリエステルフィルムにおいて、基材フィルムとなるポリエステルフィルムについて詳しく説明する。ポリエステルとは、エステル結合を主鎖の主要な結合鎖とする高分子の総称であって、エチレンテレフタレート、プロピレンテレフタレート、エチレン−2,6−ナフタレート、ブチレンテレフタレート、プロピレン−2,6−ナフタレート、エチレン−α,β−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4−ジカルボキシレートなどから選ばれた少なくとも1種の構成成分を主要構成成分とするものを好ましく用いることができる。本発明では、ポリエステルフィルムとしてポリエチレンテレフタレートを用いることが好ましい。またポリエステルフィルムに熱や収縮応力などが作用する場合には、耐熱性や剛性に優れたポリエチレン−2,6−ナフタレートが特に好ましい。
本発明の積層ポリエステルフィルムにおいて、基材フィルムとなるポリエステルフィルムについて詳しく説明する。ポリエステルとは、エステル結合を主鎖の主要な結合鎖とする高分子の総称であって、エチレンテレフタレート、プロピレンテレフタレート、エチレン−2,6−ナフタレート、ブチレンテレフタレート、プロピレン−2,6−ナフタレート、エチレン−α,β−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4−ジカルボキシレートなどから選ばれた少なくとも1種の構成成分を主要構成成分とするものを好ましく用いることができる。本発明では、ポリエステルフィルムとしてポリエチレンテレフタレートを用いることが好ましい。またポリエステルフィルムに熱や収縮応力などが作用する場合には、耐熱性や剛性に優れたポリエチレン−2,6−ナフタレートが特に好ましい。
また、このポリエステル中には、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機系易滑剤、顔料、染料、有機又は無機の粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤などがその特性を悪化させない程度に添加されていてもよい。
上記ポリエステルフィルムは、二軸配向されたものであるのが好ましい。二軸配向ポリエステルフィルムとは、一般に、未延伸状態のポリエステルシート又はフィルムを長手方向及び長手方向に直行する幅方向に各々2.5〜5倍程度延伸し、その後、熱処理を施して、結晶配向を完了させたものであり、広角X線回折で二軸配向のパターンを示すものをいう。ポリエステルフィルムが二軸配向していない場合には、積層ポリエステルフィルムの熱安定性、特に寸法安定性や機械的強度が不十分であったり、平面性の悪いものとなったりするので好ましくない。
また、本発明における積層ポリエステルフィルムは、少なくとも一方の表面に前述の条件を満たす層(X)を有するものであればよく、基材に用いられるポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルム自身が2層以上の積層構造体であってもよい。積層構造体としては、例えば、内層部と表層部と有する複合体フィルムであって、内層部に実質的に粒子を含有せず、表層部に粒子を含有させた層を設けた複合体フィルムを挙げることができ、内層部と表層部が化学的に異種のポリマーであっても同種のポリマーであってもよい。
ポリエステルフィルムの厚みは特に限定されるものではなく、用途や種類に応じて適宜選択されるが、機械的強度、ハンドリング性などの点から、通常は好ましくは10〜500μm、より好ましくは23〜125μm、最も好ましくは38〜75μmである。また、ポリエステルフィルムは、共押出しによる複合フィルムであってもよいし、得られたフィルムを各種の方法で貼り合わせたフィルムであっても良い。
ポリエステルフィルムの少なくとも一方の面、または両方の面に形成された層を有してもよい。ここで本発明における「層」とは、前記積層体の表面から厚み方向に向かい、隣接する部位との構成元素の組成、粒子等の含有物の形状、厚み方向の物理特性が不連続な境界面を有することで区別される有限の厚みを有する部位を指す。より具体的には、前記積層体を表面から厚み方向に各種組成/元素分析装置(FT−IR、XPS、XRF、EDAX、SIMS、EPMA、EELS等)、電子顕微鏡(透過型、走査型)または光学顕微鏡にて断面観察した際、前記不連続な境界面により区別され、有限の厚みを有する部位を指す。
[層(X)]
本発明の積層ポリエステルフィルムは、基材となるポリエステルフィルムの少なくとも一方の面に、後加工塗布性および耐スクラッチ性の観点から設計された、層(X)を有し、層(X)が少なくとも一方の表層に有するものである(以降、層(X)が有するフィルム表面を表面αという場合がある)。層(X)を構成する樹脂は、前述のフィルムを構成する樹脂として挙げられた樹脂を好ましく用いることができる。層(X)の形成方法は、前述の条件満たすことができれば特に限定されないが、塗料組成物により形成されていることが好ましい。基材の製膜途中で後述する塗料組成物を塗布したフィルムを作成してもよいし、基材の製膜後、塗料組成物を基材に塗布し、乾燥、巻き取りを行ってもよい。
本発明の積層ポリエステルフィルムは、基材となるポリエステルフィルムの少なくとも一方の面に、後加工塗布性および耐スクラッチ性の観点から設計された、層(X)を有し、層(X)が少なくとも一方の表層に有するものである(以降、層(X)が有するフィルム表面を表面αという場合がある)。層(X)を構成する樹脂は、前述のフィルムを構成する樹脂として挙げられた樹脂を好ましく用いることができる。層(X)の形成方法は、前述の条件満たすことができれば特に限定されないが、塗料組成物により形成されていることが好ましい。基材の製膜途中で後述する塗料組成物を塗布したフィルムを作成してもよいし、基材の製膜後、塗料組成物を基材に塗布し、乾燥、巻き取りを行ってもよい。
例えば層(X)を塗布により形成する場合、層(X)の厚み(乾燥後の塗布厚み)は、好ましくは、10〜2000nm、より好ましくは40〜1000nm、さらに好ましくは80〜800nmである。厚みが10nm〜2000nmであると、層(X)によって付与したい機能、即ち後加工塗布性、耐スクラッチ性を得ることができるため好ましい。
[AFMを用いた弾性率測定]
本発明の積層ポリエステルフィルムの表面の層(X)は、前述の通り、原子間力顕微鏡により測定される弾性率に好ましい数値範囲が存在する。ここで原子間力顕微鏡による弾性率測定は、極微小部分の探針による圧縮試験であり、押し付け力による変形度合いであるため、ばね定数が既知のカンチレバーを用いて、表面αの弾性率およびその空間分布が測定できる。詳細は実施例の項で記載するが、下記に示す原子間力顕微鏡を用い、カンチレバー先端の探針を、層(X)に接触させ、20nNの押し付け力によりフォースカーブを測定して求めたカンチレバーの撓み量を測定することができる。またこの時、空間分解能については原子間力顕微鏡のスキャン範囲およびスキャンライン数に依存するが、現実的な測定条件では、概ね50nm程度が下限である。詳細および測定方法については後述する。
本発明の積層ポリエステルフィルムの表面の層(X)は、前述の通り、原子間力顕微鏡により測定される弾性率に好ましい数値範囲が存在する。ここで原子間力顕微鏡による弾性率測定は、極微小部分の探針による圧縮試験であり、押し付け力による変形度合いであるため、ばね定数が既知のカンチレバーを用いて、表面αの弾性率およびその空間分布が測定できる。詳細は実施例の項で記載するが、下記に示す原子間力顕微鏡を用い、カンチレバー先端の探針を、層(X)に接触させ、20nNの押し付け力によりフォースカーブを測定して求めたカンチレバーの撓み量を測定することができる。またこの時、空間分解能については原子間力顕微鏡のスキャン範囲およびスキャンライン数に依存するが、現実的な測定条件では、概ね50nm程度が下限である。詳細および測定方法については後述する。
[層(X)の表面粗さ]
本発明の積層ポリエスエルフィルムの層(X)には好ましい表面粗さの範囲が存在する。具体的には平均表面粗さRaが3〜20nmであることが好ましい。表面粗さRaが20nmを超える場合には、積層ポリエステルフィルムが擦過された際に、表面の凹凸が削れやすくなり、耐キズ性が低下する他、塗膜の透明性が低下するなど品位の低下が生じる場合がある。一方、表面粗さが3nmを下回る場合には、表面積が低下することで見かけの表面エネルギーが低下するため、表面が水などをはじきやすくなり、表面のぬれ性が低下する場合がある。なお表面粗さの測定方法や測定範囲については後述する。
本発明の積層ポリエスエルフィルムの層(X)には好ましい表面粗さの範囲が存在する。具体的には平均表面粗さRaが3〜20nmであることが好ましい。表面粗さRaが20nmを超える場合には、積層ポリエステルフィルムが擦過された際に、表面の凹凸が削れやすくなり、耐キズ性が低下する他、塗膜の透明性が低下するなど品位の低下が生じる場合がある。一方、表面粗さが3nmを下回る場合には、表面積が低下することで見かけの表面エネルギーが低下するため、表面が水などをはじきやすくなり、表面のぬれ性が低下する場合がある。なお表面粗さの測定方法や測定範囲については後述する。
[積層ポリエステルフィルムのヘイズ]
ヘイズとは、JIS K7136:2000年に記載の方法で測定することができる物性値であり、表面粗さや層中の各成分の相溶性により制御される。本発明の積層ポリエステルフィルムは、ヘイズが好ましくは2.0%以下、より好ましくは1.5%以下、さらに好ましくは1.0%以下であると、層(X)によって付与したい機能、即ち透明性を得ることができるため好ましい。ヘイズが2.0%を超える場合には、前述の表面粗さが上限を超えやすくなり、後加工塗布性や耐キズ性が得にくくなる場合がある。ヘイズの測定方法については後述する。
ヘイズとは、JIS K7136:2000年に記載の方法で測定することができる物性値であり、表面粗さや層中の各成分の相溶性により制御される。本発明の積層ポリエステルフィルムは、ヘイズが好ましくは2.0%以下、より好ましくは1.5%以下、さらに好ましくは1.0%以下であると、層(X)によって付与したい機能、即ち透明性を得ることができるため好ましい。ヘイズが2.0%を超える場合には、前述の表面粗さが上限を超えやすくなり、後加工塗布性や耐キズ性が得にくくなる場合がある。ヘイズの測定方法については後述する。
[積層ポリエステルフィルムの製造方法]
本発明の積層ポリエステルフィルムの製造方法について以下に例を示して説明するが、以下に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す例により限定的に解釈されるべきものではない。
本発明の積層ポリエステルフィルムの製造方法について以下に例を示して説明するが、以下に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す例により限定的に解釈されるべきものではない。
本発明の積層ポリエステルフィルムは、金属酸化物粒子(a)とバインダー成分を含む塗料組成物をポリエステルフィルム上へ塗布し、塗料組成物が溶媒を含む場合には、溶媒を乾燥させることによって、ポリエステルフィルム上に層(X)を形成することによって得ることができる。
また本発明において、塗料組成物に溶媒を含有せしめる場合は、溶媒として水系溶媒を用いること(水系塗剤とすること)が好ましい。水系溶媒を用いることで、乾燥工程での溶媒の急激な蒸発を抑制でき、均一な組成物層を形成できるだけでなく、環境負荷の点で優れているためである。
ここで、水系溶媒とは、水、または水とメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類など水に可溶である有機溶媒が任意の比率で混合させているものを指す。
なお、金属酸化物粒子(a)や、バインダー成分を水系塗剤化する方法としては、金属酸化物粒子(a)やバインダー成分にカルボン酸やスルホン酸といった親水基を含有せしめる方法や、乳化剤を用いてエマルジョン化する方法があげられる。
塗料組成物(x)のポリエステルフィルムへの塗布方法はインラインコート法であることが好ましい。インラインコート法とは、ポリエステルフィルムの製造の工程内で塗布を行う方法である。具体的には、ポリエステル樹脂を溶融押し出ししてから二軸延伸後熱処理して巻き上げるまでの任意の段階で塗布を行う方法を指し、通常は、溶融押出し後・急冷して得られる実質的に非晶状態の未延伸(未配向)ポリエステルフィルム(Aフィルム)、その後に長手方向に延伸された一軸延伸(一軸配向)ポリエステルフィルム(Bフィルム)、またはさらに幅方向に延伸された熱処理前の二軸延伸(二軸配向)ポリエステルフィルム(Cフィルム)の何れかのフィルムに塗布する。
本発明では、結晶配向が完了する前の上記Aフィルム、Bフィルム、の何れかのポリエステルフィルムに、塗料組成物を塗布し、その後、ポリエステルフィルムを一軸方向又は二軸方向に延伸し、溶媒の沸点より高い温度で熱処理を施しポリエステルフィルムの結晶配向を完了させるとともに層(X)および表面αを設ける方法を採用することが好ましい。この方法によれば、ポリエステルフィルムの製膜と、塗料組成物の塗布乾燥(すなわち、層(X)の形成)を同時に行うことができるために製造コスト上のメリットがある。また、塗布後に延伸を行うことで層(X)中の金属酸化物粒子(a)の凝集状態を制御することが可能となり、海成分の面積やドメイン径などを設計し耐スクラッチ性や後加工塗布性を向上することが出来る。
中でも、長手方向に一軸延伸されたフィルム(Bフィルム)に、塗料組成物を塗布し、その後、幅方向に延伸し、熱処理する方法が優れている。未延伸フィルムに塗布した後、二軸延伸する方法に比べ、延伸工程が1回少ないため、延伸による組成物層の欠陥や亀裂が発生しづらく、透明性や平滑性、後加工塗布性に優れた組成物層を形成できるためである。
更に、インラインコート法で層(X)を設けることにより、塗料組成物を塗布した後に延伸処理が施されることによって、金属酸化物粒子(a)の表面配列が促進され、また、金属酸化物粒子(a)が異方性を持った凝集体とすることが促進され、その結果、層(X)の海成分の形状最適化し、耐スクラッチ性、後加工塗布性を良好にすることができる。
本発明において層(X)は、上述した種々の利点から、インラインコート法により設けられることが好ましい。ここで、ポリエステルフィルムへの塗料組成物の塗布方式は、公知の塗布方式、例えばバーコート法、リバースコート法、グラビアコート法、ダイコート法、ブレードコート法等の任意の方式を用いることができる。
本発明において最良の層(X)の形成方法は、水系溶媒を用いた塗料組成物を、ポリエステルフィルム上にインラインコート法を用いて塗布し、乾燥、熱処理することによって形成する方法である。またより好ましくは、一軸延伸後のBフィルムに塗料組成物をインラインコートする方法である。本発明の積層ポリエステルフィルムの製造方法において、乾燥は塗料組成物の溶媒の除去を完了させるために、80〜130℃の温度範囲で実施することができる。また、熱処理はポリエステルフィルムの結晶配向を完了させるとともに塗料組成物の熱硬化を完了させ層(X)の形成を完了させるために、160〜240℃の温度範囲で実施することができる。上記の高温熱処理の温度および時間を変更することで、海成分や島成分の好ましい弾性率を調整することが可能であり、耐スクラッチ性や後加工塗布性を良好にすることが出来る。
次に、本発明の積層ポリエステルフィルムの製造方法について、ポリエステルフィルムとしてポリエチレンテレフタレート(以下、PET)フィルムを用いた場合を例にして説明するが、これに限定されるものではない。まず、PETのペレットを十分に真空乾燥した後、押出機に供給し、約280℃でシート状に溶融押し出し、冷却固化せしめて未延伸(未配向)PETフィルム(Aフィルム)を作製する。このフィルムを80〜120℃に加熱したロールで長手方向に2.5〜5.0倍延伸して一軸配向PETフィルム(Bフィルム)を得る。このBフィルムの片面に所定の濃度に調製した本発明の塗料組成物を塗布する。
この時、塗布前にPETフィルムの塗布面にコロナ放電処理等の表面処理を行ってもよい。コロナ放電処理等の表面処理を行うことで、塗料組成物のPETフィルムへの濡れ性が向上し、塗料組成物のはじきを防止し、均一な塗布厚みの層(X)を形成することができる。塗布後、PETフィルムの端部をクリップで把持して80〜130℃の熱処理ゾーン(予熱ゾーン)へ導き、塗料組成物の溶媒を乾燥させる。乾燥後幅方向に1.1〜5.0倍延伸する。引き続き160〜240℃の熱処理ゾーン(熱固定ゾーン)へ導き1〜30秒間の熱処理を行い、結晶配向を完了させる。
この熱処理工程(熱固定工程)で、必要に応じて幅方向、あるいは長手方向に3〜15%の弛緩処理を施してもよい。かくして得られた積層ポリエステルフィルムは透明性、耐スクラッチ性、後加工塗布性に優れた積層ポリエステルフィルムとなる。
なお、本発明の積層ポリエステルフィルムは、層(X)と基材であるポリエステルフィルムの間に中間層を設けても良いが、中間層を設ける場合は、中間層を積層したフィルムの巻き取り時や、その後の本発明の層(X)を設けるまでの工程において、フィルムにキズがつく場合がある。そのため、本発明では、層(X)と基材であるポリエステルフィルムが直接積層されていることが好ましい。
本発明の積層ポリエステルフィルムは、基材であるポリエステルフィルムの構成に制限はなく、例えば、A層のみからなる単層構成や、A層/B層の積層構成すなわち2種2層積層構成、A層/B層/A層の積層構成すなわち2種3層積層構成、A層/B層/C層の積層構成すなわち3種3層積層構成等の構成を挙げることができる。
本発明の積層ポリエステルフィルムにおける基材の積層方法は制限されるものではなく、例えば、共押出法による積層方法、貼り合わせによる積層方法、これの組み合わせによる方法等を挙げることができるが、透明性と製造安定性の観点から、共押出法を採用することが好ましい。積層体とする場合、それぞれの層に異なる機能を付与すること目的として、異なる樹脂構成としても良い。例えば、A層/B層/A層の積層構成すなわち2種3層積層構成とする場合には、透明性の観点からB層をホモポリエチレンテレフタレートで構成し、A層には、易滑性付与のために、粒子を添加する等の方法を挙げることができる。
[塗料組成物]
本発明の積層ポリエステルフィルムおよび、好ましい層(X)の製造方法には好ましい塗料組成物が存在する。具体的には金属酸化物粒子(a)と、バインダー成分としてアクリル樹脂を含むことが好ましい。また前記の成分に加えて、各種架橋剤を含んでいると、水の後退接触角を制御しやすくなるため好ましい。以下、成分の好ましい形態について詳細を記載する。
本発明の積層ポリエステルフィルムおよび、好ましい層(X)の製造方法には好ましい塗料組成物が存在する。具体的には金属酸化物粒子(a)と、バインダー成分としてアクリル樹脂を含むことが好ましい。また前記の成分に加えて、各種架橋剤を含んでいると、水の後退接触角を制御しやすくなるため好ましい。以下、成分の好ましい形態について詳細を記載する。
[架橋剤(b)]
本発明の積層ポリエステルフィルムにおいては、前記層(X)が、メラミン化合物、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、イソシアネート化合物から選ばれる少なくとも2種の架橋剤(b)を含有する塗料組成物により形成されると、層(X)が緻密架橋構造となり耐キズ性の向上に必要な架橋性を維持しながら、バインダー樹脂成分との相溶性を付与することが容易となるため水との後退接触角を好適な範囲に制御することが容易となるため、耐スクラッチ性および後加工塗布性に優れ好ましい。そのため、本発明の積層ポリエステルフィルムの海成分は、メラミン化合物、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、イソシアネート化合物に由来する少なくとも2種の成分を含むことが好ましい。
特に、その中でもメラミン化合物、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物から選ばれる少なくとも2種を含む塗料組成物(x)を用いると、層(X)に窒素含有官能基が導入されるため、極性力が向上し、後加工にて塗布層やスパッタ層、蒸着層など金属層との接着性が向上し、好ましい。
本発明の積層ポリエステルフィルムにおいては、前記層(X)が、メラミン化合物、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、イソシアネート化合物から選ばれる少なくとも2種の架橋剤(b)を含有する塗料組成物により形成されると、層(X)が緻密架橋構造となり耐キズ性の向上に必要な架橋性を維持しながら、バインダー樹脂成分との相溶性を付与することが容易となるため水との後退接触角を好適な範囲に制御することが容易となるため、耐スクラッチ性および後加工塗布性に優れ好ましい。そのため、本発明の積層ポリエステルフィルムの海成分は、メラミン化合物、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、イソシアネート化合物に由来する少なくとも2種の成分を含むことが好ましい。
特に、その中でもメラミン化合物、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物から選ばれる少なくとも2種を含む塗料組成物(x)を用いると、層(X)に窒素含有官能基が導入されるため、極性力が向上し、後加工にて塗布層やスパッタ層、蒸着層など金属層との接着性が向上し、好ましい。
メラミン系化合物としては、例えば、メラミン、メラミンとホルムアルデヒドを縮合して得られるメチロール化メラミン誘導体、メチロール化メラミンに低級アルコールを反応させて部分的あるいは完全にエーテル化した化合物、及びこれらの混合物などを用いることができる。具体的には、トリアジンとメチロール基を有する化合物が特に好ましい。本発明におけるメラミン化合物とは、次に述べるメラミン化合物が、ウレタン樹脂や、アクリル樹脂、オキサゾリン化合物、またはカルボジイミド化合物、イソシアネート化合物などと架橋構造を形成する場合は、メラミン化合物に由来する成分を意味する。またメラミン系化合物としては単量体、2量体以上の多量体からなる縮合物にいずれでもよく、これらの混合物でもよい。エーテル化に用いられる低級アルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノールなどを用いることができる。基としては、イミノ基、メチロール基、あるいはメトキシメチル基やブトキシメチル基等のアルコキシメチル基を1分子中に有するもので、イミノ基型メチル化メラミン樹脂、メチロール基型メラミン樹脂、メチロール基型メチル化メラミン樹脂、完全アルキル型メチル化メラミン樹脂などである。その中でもメチロール化メラミン樹脂が最も好ましい。更に、メラミン系化合物の熱硬化を促進するため、例えばp−トルエンスルホン酸などの酸性触媒を用いてもよい。
このようなメラミン系化合物用いると、メラミン系化合物の自己縮合による塗膜硬度アップによる耐スクラッチ性向上が見られるだけでなく、アクリル樹脂に含まれる水酸基やカルボン基とメラミン系化合物の反応が進行し、より強固な積層ポリエステルフィルムを得ることができ、耐スクラッチ性に優れるフィルムを得ることができる。
オキサゾリン化合物とは、次に述べるオキサゾリン化合物、もしくはオキサゾリン化合物がウレタン樹脂や、アクリル樹脂(C)、メラミン化合物、イソシアネート化合物、またはカルボジイミド化合物などと架橋構造を形成する場合は、オキサゾリン化合物に由来する成分を意味する。オキサゾリン化合物としては、該化合物中に官能基としてオキサゾリン基を有するものであれば特に限定されるものではないが、オキサゾリン基を含有するモノマーを少なくとも1種以上含み、かつ、少なくとも1種の他のモノマーを共重合させて得られるオキサゾリン基含有共重合体からなるものが好ましい。
オキサゾリン基を含有するモノマーとしては、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリンなどを用いることができ、これらの1種または2種以上の混合物を使用することもできる。中でも、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的にも入手しやすく好適である。
オキサゾリン化合物において、オキサゾリン基を含有するモノマーに対して用いられる少なくとも1種の他のモノマーとしては、該オキサゾリン基を含有するモノマーと共重合可能なモノマーであれば、特に限定されないが、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシルなどのアクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステル類、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸などの不飽和カルボン酸類、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの不飽和ニトリル類、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなどの不飽和アミド類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類、エチレン、プロピレンなどのオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニルなどの含ハロゲン−α,β−不飽和モノマー類、スチレン、α−メチルスチレンなどのα,β−不飽和芳香族モノマー類などを用いることができ、これらの1種または2種以上の混合物を使用することもできる。
本発明におけるカルボジイミド化合物とは、次に述べるカルボジイミド化合物、もしくはカルボジイミド化合物がウレタン樹脂や、アクリル樹脂、メラミン化合物、イソシアネート化合物、またはオキサゾリン化合物などと架橋構造を形成する場合は、カルボジイミド化合物に由来する成分を意味する。カルボジイミド化合物とは、該化合物中に官能基としてカルボジイミド基、またはその互変異性の関係にあるシアナミド基を分子内に1個または2個以上有する化合物であれば特に限定されるものではない。
カルボジイミド化合物の製造には公知の技術を適用することができ、一般的には、ジイソシアネート化合物を触媒存在下で重縮合することによりカルボジイミド化合物が得られる。該カルボジイミド化合物の出発原料であるジイソシアネート化合物としては、芳香族、脂肪族、脂環式ジイソシアネートなどを用いることができ、具体的にはトリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルジイソシアネートなどを用いることができる。
[金属酸化物粒子(a)]
本発明の積層ポリエステルフィルムでは、前記層(X)がSi、Al、Ti、Zr、Se、Feからなる群から選ばれる、少なくとも1種の金属元素を含む金属酸化物粒子(a)を含有することが好ましい。金属酸化物粒子(a)を含有することで、層(X)表層にナノ凹凸構造が形成され、滑り性が良化し、耐スクラッチ性に優れることができる。本発明の積層ポリエステルフィルムに用いられる金属酸化物粒子(a)としては、具体的には、二酸化珪素(シリカ)(SiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、二酸化チタン(TiO2)、二酸化ジルコニウム(ZrO2)、二酸化セレン(SeO2)、酸化鉄(Fe2O3)粒子などが挙げられる。これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用しても良い。
本発明の積層ポリエステルフィルムでは、前記層(X)がSi、Al、Ti、Zr、Se、Feからなる群から選ばれる、少なくとも1種の金属元素を含む金属酸化物粒子(a)を含有することが好ましい。金属酸化物粒子(a)を含有することで、層(X)表層にナノ凹凸構造が形成され、滑り性が良化し、耐スクラッチ性に優れることができる。本発明の積層ポリエステルフィルムに用いられる金属酸化物粒子(a)としては、具体的には、二酸化珪素(シリカ)(SiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、二酸化チタン(TiO2)、二酸化ジルコニウム(ZrO2)、二酸化セレン(SeO2)、酸化鉄(Fe2O3)粒子などが挙げられる。これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用しても良い。
特に、金属酸化物粒子(a)として、酸化チタン(TiO2)粒子、酸化アルミニウム(Al2O3)粒子、酸化ジルコニウム(ZrO2)粒子を用いると、後加工によるムラを抑制しつつ、耐スクラッチ性を付与することができ、好ましい。
本発明の積層ポリエステルフィルムに用いられる金属酸化物粒子(a)は、粒子径10〜100nmであると、積層ポリエステルフィルムの表面により緻密なナノ凹凸構造が形成され、摩擦力が分散された結果、耐スクラッチ性に優れるため好ましい。なお、本発明における金属酸化物粒子(a)の粒子径とは、以下の方法によって走査型電子顕微鏡(SEM)により求められる粒子径をいう。
(金属酸化物粒子(a)の粒子径の求め方)
ミクロトームを用いて、樹脂層(X)の表面に対して垂直方向に切削した小片を作成し、その断面を走査透過型電子顕微鏡(SEM)を用いて100000倍に拡大観察して撮影した。その断面写真よりフィルム中に存在する粒子の粒度分布を画像解析ソフトImage−Pro Plus(日本ローパー(株))を用いて求めた。断面写真は異なる任意の測定視野から選び出し、断面写真中から任意に選び出した200個以上の粒子の直径(円相当径)を測定し、横軸を粒子径、縦軸を粒子の存在比率としてプロットした体積基準粒度分布を得た。前記、体積基準粒度分布において、横軸を担う粒子径は、0nmを初点とした10nm間隔毎の階級により、縦軸を担う粒子の存在比率は、計算式「存在比率=該当する粒子径を持つ検出粒子の合計体積/全検出粒子の合計体積」により表す。上記により得られた粒子の存在比率のチャートから、極大を示すピークトップの粒子径を読み取る。
ミクロトームを用いて、樹脂層(X)の表面に対して垂直方向に切削した小片を作成し、その断面を走査透過型電子顕微鏡(SEM)を用いて100000倍に拡大観察して撮影した。その断面写真よりフィルム中に存在する粒子の粒度分布を画像解析ソフトImage−Pro Plus(日本ローパー(株))を用いて求めた。断面写真は異なる任意の測定視野から選び出し、断面写真中から任意に選び出した200個以上の粒子の直径(円相当径)を測定し、横軸を粒子径、縦軸を粒子の存在比率としてプロットした体積基準粒度分布を得た。前記、体積基準粒度分布において、横軸を担う粒子径は、0nmを初点とした10nm間隔毎の階級により、縦軸を担う粒子の存在比率は、計算式「存在比率=該当する粒子径を持つ検出粒子の合計体積/全検出粒子の合計体積」により表す。上記により得られた粒子の存在比率のチャートから、極大を示すピークトップの粒子径を読み取る。
本発明の積層ポリエステルフィルムに用いられる金属酸化物粒子(a)は、更には、金属酸化物粒子(a)の表面の一部または全部に、アクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)であることが好ましい。アクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)とすることで、層(X)中の金属酸化物粒子(a)をナノ分散させることができ、層(X)に力が加わった際に該力を粒子へ分散させることができる。その結果、層(X)の耐スクラッチ性を向上させることが可能となる。また、層(X)の透明性も維持でき好ましい。
金属酸化物粒子(a)の表面の一部または全部に、アクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)となるためには、後述する金属酸化物粒子(a)をアクリル樹脂(C)で表面処理する方法などを挙げることができる。具体的には、以下の(i)〜(iv)の方法が例示される。なお、本発明において、表面処理とは、特定の元素を有する金属酸化物(a)の表面の全部または一部にアクリル樹脂(C)を吸着・付着させる処理をいう。
(i)金属酸化物粒子(a)とアクリル樹脂(C)をあらかじめ混合した混合物を溶媒中に添加した後、分散する方法。
(ii)溶媒中に、金属酸化物粒子(a)とアクリル樹脂(C)を順に添加して分散する方法。
(iii)溶媒中に、金属酸化物粒子(a)とアクリル樹脂(C)をあらかじめ分散し、得られた分散体を混合する方法。
(iv)溶媒中に、金属酸化物粒子(a)を分散した後、得られた分散体に、アクリル樹脂(d−2)を添加する方法。
これらのいずれの方法によっても目的とする効果を得ることができる。
また、分散を行う装置としては、ディゾルバー、ハイスピードミキサー、ホモミキサー、ミーダー、ボールミル、ロールミル、サンドミル、ペイントシェーカー、SCミル、アニュラー型ミル、ピン型ミル等が使用できる。
また、分散方法としては、上記装置を用いて、回転軸を周速5〜15m/sで回転させる。回転時間は5〜10時間である。
また、分散時に、ガラスビーズ等の分散ビーズを用いることが分散性を高める点でより好ましい。ビーズ径は、好ましくは0.05〜0.5mm、より好ましくは0.08〜0.5mm、特に好ましくは0.08〜0.2mmである。
混合、攪拌する方法は、容器を手で振って行ったり、マグネチックスターラーや攪拌羽根を用いたり、超音波照射、振動分散などを行うことができる。
なお、金属酸化物粒子(a)の表面の全部または一部への、アクリル樹脂(C)の吸着・付着の有無は、次の分析方法により確認可能である。測定対象物を、日立卓上超遠心機(日立工機株式会社製:CS150NX)により遠心分離を行い(回転数3,0000rpm、分離時間30分)、金属酸化物粒子(a)(及び金属酸化物粒子(a)の表面に吸着したアクリル樹脂(C))を沈降させた後、上澄み液を除去し、沈降物を濃縮乾固する。濃縮乾固した沈降物をX線光電子分光法(XPS)により分析し、金属酸化物粒子(a)の表面におけるアクリル樹脂(C)の有無を確認する。金属酸化物粒子(a)の表面に、金属酸化物粒子(a)の合計100重量%に対して、アクリル樹脂(C)が1重量%以上存在することが確認された場合、金属酸化物粒子(a)の表面に、アクリル樹脂(C)が吸着・付着しているものとする。
[アクリル樹脂(C)]
前述したとおり、本発明の積層ポリエステルフィルムにおいて、島成分に含有する金属酸化物粒子(a)が、その表面の一部または全部に、アクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)であることが好ましい。アクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)を用いることで、層(X)中の金属酸化物粒子(a)をナノ分散させることができ、層(X)の透明性を維持すると共に、層(X)に力が加わった際に該力を粒子へ分散させることができる。その結果、層(X)の耐スクラッチ性を向上させることが可能となる。
前述したとおり、本発明の積層ポリエステルフィルムにおいて、島成分に含有する金属酸化物粒子(a)が、その表面の一部または全部に、アクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)であることが好ましい。アクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)を用いることで、層(X)中の金属酸化物粒子(a)をナノ分散させることができ、層(X)の透明性を維持すると共に、層(X)に力が加わった際に該力を粒子へ分散させることができる。その結果、層(X)の耐スクラッチ性を向上させることが可能となる。
本発明におけるアクリル樹脂(C)とは、式(1)で表されるモノマー単位(d1)と、式(2)で表されるモノマー単位(d2)と、式(3)で表されるモノマー単位(d3)を有する樹脂であることが好ましい。
(式(1)において、R1基は、水素元素またはメチル基を表す。またnは、9以上34以下の整数を表す。)。
(式(2)において、R2基は、水素元素またはメチル基を表す。また、R4基は、飽和の炭素環を2つ以上含む基を表す。)。
(式(3)において、R3基は、水素元素またはメチル基を表す。また、R5基は、水酸基、カルボキシル基、3級アミノ基、4級アンモニウム塩基、スルホン酸基、または、リン酸基を表す。)
ここで、本発明におけるアクリル樹脂(C)は、式(1)で表されるモノマー単位(d1)を有する樹脂であることが好ましい。
ここで、本発明におけるアクリル樹脂(C)は、式(1)で表されるモノマー単位(d1)を有する樹脂であることが好ましい。
式(1)において、nが9未満のモノマー単位を有するアクリル樹脂を用いると、水系溶媒(水系溶媒の詳細については、後述する。)中における金属酸化物粒子(a)の分散性が不安定となる。式(1)におけるnが9未満のモノマー単位を有するアクリル樹脂を用いると、塗料組成物中において金属酸化物粒子(a)が激しく凝集し、場合によっては水系溶媒中で金属酸化物粒子(a)が沈降することがある。その結果、層(X)の透明性が損なわれる場合や、突起物となり欠点に繋がる場合がある。一方、式(1)におけるnが34を越えるモノマー単位を有するアクリル樹脂は、水系溶媒への溶解性が著しく低いので、水系溶媒中においてアクリル樹脂の凝集が起こりやすくなる。かかる凝集体は、可視光の波長より大きいため、透明性の良好な層(X)を得ることができなくなる場合や、本発明の積層ポリエステルフィルムの表層にさらに塗膜積層した際に干渉斑が不良となる場合がある。上記のような式(1)で表されるモノマー単位(d1)を有する樹脂を用いることで、金属酸化物粒子(a)が適度な相互作用で水系溶媒中では分散する一方で、乾燥後は複数の金属酸化物粒子(a)が異方性を持って、層(X)でナノオーダーレベルに微細に凝集し、層(X)の表面に非円形状の絶縁性ドメインを形成するため、導電性材料の暴露を抑えることができ、帯電防止性の経時変化に対する耐性を向上することができる。
本発明におけるアクリル樹脂(C)が、式(1)で表されるモノマー単位(d1)を有するためには、次の式(4)で表される(メタ)アクリレートモノマー(d1’)を原料として用い、重合することが必要である。
該(メタ)アクリレートモノマー(d1’)としては、式(4)におけるnが9以上34以下の整数で表される(メタ)アクリレートモノマーが好ましく、より好ましくは11以上32以下の(メタ)アクリレートモノマー、更に好ましくは13以上30以下の(メタ)アクリレートモノマーである。
(メタ)アクリレートモノマー(d1’)は、式(4)におけるnが9以上34以下である(メタ)アクリレートモノマーであれば特に制限されないが、具体的にはデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、1−メチルトリデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート、テトラコシル(メタ)アクリレート、トリアコンチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、特にドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレートが好ましい。これらは1種で使用してもよく、2種以上の混合物を使用してもよい。
また、本発明におけるアクリル樹脂(C)は、前記式(2)で表されるモノマー単位(d2)を有する樹脂であることが重要である。
式(2)において、飽和の炭素環を1つのみ含むモノマー単位を有するアクリル樹脂を用いると、立体障害としての機能が不十分となり、塗料組成物中において金属酸化物粒子(a)が凝集または沈降したり、場合によっては水系溶媒中で金属酸化物粒子(a)が沈降することがある。その結果、層(X)の透明性が損なわれる場合や、突起物となり欠点に繋がる場合ある。
かかる凝集体は、可視光の波長より大きいため、透明性の良好な層(X)を得ることができなくなる場合ある。本発明におけるアクリル樹脂(C)が、式(2)で表されるモノマー単位(d2)を有するためには、次の式(5)で表される(メタ)アクリレートモノマー(d’)を原料として用い、重合することが必要である。
式(5)で表される(メタ)アクリレートモノマー(d2’)としては、架橋縮合環式(2つまたはそれ以上の環がそれぞれ2個の元素を共有して、結合した構造を有する)、スピロ環式(1個の炭素元素を共有して、2つの環状構造が結合した構造を有する)などの各種環状構造、具体的には、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ基などを有する化合物が例示でき、その中でも特にバインダーとの相溶性の観点から、ビシクロ基を含有する(メタ)アクリレートが好ましい。
上記ビシクロ基を含有する(メタ)アクリレートとしては、イソボニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、ジシロクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジメチルアダマンチル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、特にイソボニル(メタ)アクリレートが好ましい。
さらに、本発明におけるアクリル樹脂(C)は、前記式(3)で表されるモノマー単位(d3)を有する樹脂であることが好ましい。
式(3)におけるR5基が、水酸基、カルボキシル基、3級アミノ基、4級アンモニウム基、スルホン酸基、リン酸基、のいずれも有しないモノマー単位を有するアクリル樹脂を用いると、アクリル樹脂の水系溶媒中への相溶性が不十分となり、塗料組成物中において、アクリル樹脂が析出したり、それに伴い金属酸化物粒子(a)が凝集または沈降したり、乾燥工程において金属酸化物粒子(a)が凝集したりすることがある。
かかる凝集体は、可視光の波長より大きいため、透明性の良好な樹脂フィルムを得ることができなくなる場合がある。本発明におけるアクリル樹脂(C)が、式(3)で表されるモノマー単位(d3)を有するためには、式(6)で表される(メタ)アクリレートモノマ(d3’)を原料として用い、重合することが必要である。
式(6)で表される(メタ)アクリレートモノマー(d3’)として次の化合物が例示される。
水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2、3−ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどの多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのモノエステル化物、あるいは、該モノエステル化物にε−カプロラプトンを開環重合した化合物などが挙げられ、特に2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートが好ましい。
カルボキシル基を有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマール酸、マレイン酸などのα、β−不飽和カルボン酸、あるいは、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと酸無水物とのハーフエステル化物などが挙げられ、特にアクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
3級アミノ基含有モノマーとしては、N、N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N、N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N、N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、などのN、N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、N、N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N、N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N、N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどのN、N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられ、特にN、N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
4級アンモニウム塩基含有モノマーとしては、上記3級アミノ基含有モノマーにエピハロヒドリン、ハロゲン化ベンジル、ハロゲン化アルキルなどの4級化剤を作用させたものが好ましく、具体的には、2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムブロマイド、2−(メタクリロイオキシ)エチルトリメチルアンモニウムジメチルホスフェートなどの(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリアルキルアンモニウム塩、メタクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムブロマイドなどの(メタ)アクリロイルアミノアルキルトリアルキルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム(メタ)アクリレートなどのテトラアルキル(メタ)アクリレート、トリメチルベンジルアンモニウム(メタ)アクリレートなどのトリアルキルベンジルアンモニウム(メタ)アクリレートなどが挙げられ、特に2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライドが好ましい。
スルホン酸基含有モノマーとしては、ブチルアクリルアミドスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などの(メタ)アクリルアミド−アルカンスルホン酸、あるいは、2−スルホエチル(メタ)アクリレートなどのスルホアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、特に2−スルホエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
リン酸基含有アクリルモノマーとしては、アシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、特にアシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
この中でも、特にアクリル樹脂(C)が、前記式(3)で表されるモノマー単位(d3)を有する樹脂であり、式(3)におけるR5基が、水酸基、カルボキシル基であることが、後述する金属酸化物粒子(a)と吸着力が高く、より強固な膜を形成できる点で好ましい。
本発明では、層(X)中のアクリル樹脂(C)の含有量は5〜30重量%であることが好ましく、この範囲とすることで、金属酸化物粒子(a)とアクリル樹脂(C)の吸着が強固になり、層(X)の耐スクラッチ性を向上させることができる。
特に、層(X)中のアクリル樹脂(C)の含有量は、層(X)全体に対して5重量%以上30重量%以下であることがより、好ましく、層(X)中のアクリル樹脂(C)の含有量は、15重量%以上30量%以下がより好ましい。なお、本発明において、層(X)中の含有量とは、層(X)を形成する塗料組成物の固形分([(塗料組成物の重量)−(溶媒の重量)])中の含有量を表す。
特に、層(X)中のアクリル樹脂(C)の含有量は、層(X)全体に対して5重量%以上30重量%以下であることがより、好ましく、層(X)中のアクリル樹脂(C)の含有量は、15重量%以上30量%以下がより好ましい。なお、本発明において、層(X)中の含有量とは、層(X)を形成する塗料組成物の固形分([(塗料組成物の重量)−(溶媒の重量)])中の含有量を表す。
本発明の積層ポリエステルフィルムは、層(X)の金属酸化物粒子(a)含有量が、層(X)全体に対して、15〜50重量%であると、層(X)中に金属酸化物粒子(a)が充填されることで、導電材料が層(X)の表面に露出することを防ぎ、帯電防止性能が安定化しやすくなる。また粒子成分の面積が増加することで、層(X)全体の硬度が向上し、耐スクラッチ性に優れるため好ましい。金属酸化物粒子(a)の含有率は、好ましくは20〜50重量%、より好ましくは30〜50重量%である。
また、本発明の積層ポリエステルフィルムでは、層(X)の厚みが0.3μm以上5μm未満であると、層(X)を短時間で形成させることが容易となり、層(X)表面の硬化阻害の影響を抑えることができ、耐スクラッチ性に優れるため好ましい。層(X)の厚みの上限は限定されないが、透明性および生産性の点で3μm以下が好ましい。また、より好ましくは0.3μm以上2μm未満、さらに好ましくは0.5μm以上1.5μm未満である。
[樹脂成分]
本発明の積層ポリエステルフィルムおよび層(X)では、成分として、バインダー樹脂を含有することが好ましい。バインダー樹脂とは、公知のアクリル樹脂やウレタン樹脂、およびそれらの共重合体が含まれる。
本発明の積層ポリエステルフィルムおよび層(X)では、成分として、バインダー樹脂を含有することが好ましい。バインダー樹脂とは、公知のアクリル樹脂やウレタン樹脂、およびそれらの共重合体が含まれる。
ウレタン樹脂としては、例えば、ポリイソシアネート化合物(I)由来の構成単位とポリオール(II)単位を有する樹脂を使用することができる。尚、ポリウレタン樹脂は、ポリイソシアネート化合物(I)単位及びポリオール(II)単位以外の他の単位(例えば、カルボン酸単位、アミン単位など)を有していてもよい。
ポリウレタン樹脂としては、例えば、ポリアクリル系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、ポリエステル系ポリウレタン樹脂などである。ポリウレタン樹脂は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ポリイソシアネート化合物(I)としては、イソシアネート基を2個以上有するもので
あれば、特に限定されない。
あれば、特に限定されない。
ポリイソシアネート化合物(I)としては、例えば、ポリイソシアネート(例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネートなど)、ポリイソシアネートの変性体[又は誘導体、例えば、多量体(二量体、三量体など)、カルボジイミド体、ビウレット体、アロファネート体、ウレットジオン体、ポリアミン変性体など]などが挙げられる。ポリイソシアネート化合物(I)は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。脂肪族ポリイソシアネートとしては、特に限定されないが、例えば、脂肪族ジイソシアネート[例えば、アルカンジイソシアネート(例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネートなどのC2−20アルカンジイソシアネート、好ましくはC4−12アルカンジイソシアネートなど)]、3以上のイソシアネート基を有する脂肪族ポリイソシアネート(例えば、1,4,8−トリイソシアナトオクタンなどの脂肪族トリ乃至ヘキサイソシアネートなど)などが挙げられる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、特に限定されないが、例えば、脂環族ジイソシアネート{例えば、シクロアルカンジイソシアネート(例えば、メチル−2,4−又は2,6−シクロヘキサンジイソシアネートなどのC5−8シクロアルカンジイソシアネートなど)、イソシアナトアルキルシクロアルカンイソシアネート[例えば、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、IPDI)などのイソシアナトC1−6アルキルC5−10シクロアルカンイソシアネートなど]、ジ(イソシアナトアルキル)シクロアルカン[例えば、水添キシリレンジイソシアネートなどのジ(イソシアナトC1−6アルキル)C5−10シクロアルカン]、ジ(イソシアナトシクロアルキル)アルカン[例えば、水添ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(4,4’−メチレンビスシクロヘキシルイソシアネート)などのビス(イソシアナトC5−10シクロアルキル)C1−10アルカンなど]、ポリシクロアルカンジイソシアネート(ノルボルナンジイソシアネートなど)など}、3以上のイソシアネート基を有する脂環族ポリイソシアネート(例えば、1,3,5−トリイソシアナトシクロヘキサンなどの脂環族トリ乃至ヘキサイソシアネートなど)などが挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、特に限定されないが、例えば、芳香脂肪族ジイソシアネート{例えば、ジ(イソシアナトアルキル)アレーン[例えば、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)(1,3−又は1,4−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン)などのビス(イソシアナトC1−6アルキル)C6−12アレーンなど]}、3以上のイソシアネート基を有する芳香脂肪族ポリイソシアネート(例えば、芳香脂肪族トリ乃至ヘキサイソシアネートなど)などが挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、特に限定されないが、例えば、芳香族ジイソシアネート{例えば、アレーンジイソシアネート[例えば、o−,m−又はp−フェニレンジイソシアネート、クロロフェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート(NDI)などのC6−12アレーンジイソシアネートなど]、ジ(イソシアナトアリール)アルカン[例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)(2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートなど)、トリジンジイソシアネートなどのビス(イソシアナトC6−10アリール)C1−10アルカンなど]、3以上のイソシアネート基を有する芳香族ポリイソシアネート(例えば、4,4’−ジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネートなどの芳香族トリ乃至ヘキサイソシアネートなど)などが挙げられる。
本発明ではポリイソシアネート化合物(I)として、脂環族ポリイソシアネートを用いることが、耐クラック性の点で好ましい。
ポリオール(II)としては、ヒドロキシル基を2個以上有するものであれば、特に限定されない。
ポリオール(II)としては、例えば、ポリアクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリウレタンポリオールなどが挙げられる。ポリオール(II)は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ポリアクリルポリオールとしては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル単位とヒドロキシル基を有する成分由来の単位(ヒドロキシル基を有する成分単位)を有する共重合体などである。ポリアクリルポリオールは、(メタ)アクリル酸エステル単位とヒドロキシル基を有する成分単位以外の単位を有していてもよい。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、多価カルボン酸成分単位とポリオール成分単位を有する共重合体などである。ポリエステルポリオールは、多価カルボン酸成分単位とポリオール成分単位以外の単位を有していてもよい。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、多価アルコールにアルキレンオキシドを付加させた共重合体などである。多価アルコールとしては、特に限定されず、例えば、上記した二価アルコールなどを使用することができる。多価アルコールは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
また、アルキレンオキシドとしては、特に限定されず、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドなどのC2−12アルキレンオキシドなどが挙げられる。アルキレンオキシドは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。ポリウレタン樹脂は、構成成分として、鎖延長剤を含んでいてもよい(又は、鎖延長剤由来の構成単位を有していてもよい)。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、多価アルコールにアルキレンオキシドを付加させた共重合体などである。多価アルコールとしては、特に限定されず、例えば、上記した二価アルコールなどを使用することができる。多価アルコールは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
また、アルキレンオキシドとしては、特に限定されず、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドなどのC2−12アルキレンオキシドなどが挙げられる。アルキレンオキシドは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。ポリウレタン樹脂は、構成成分として、鎖延長剤を含んでいてもよい(又は、鎖延長剤由来の構成単位を有していてもよい)。
鎖延長剤としては、特に限定されず、例えば、グリコール類(例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオールなどのC2−6アルカンジオール)、多価アルコール類(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどのC2−6アルカントリ乃至ヘキサオール)、ジアミン類(例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などの一般的な鎖延長剤を使用してよい。
本発明の積層ポリエステルフィルムの層(X)は、エーテル成分を含有することが好ましい。エーテル成分を含有することで、ポリエーテル構造の高柔軟性ゆえ、加工時に発生する応力を緩和することができ、加工性を向上させることができる。
さらに、本発明の積層ポリエステルフィルムの層(X)は、エーテル成分とともにウレタン成分を含有することが好ましい。層(X)にウレタン成分とエーテル成分を含有させると、相溶性が制御され、層(X)に金属酸化物粒子(a)を含有せしめた際に、層(X)表面に絶縁相(A)を形成せしめるのが容易となる。層(X)にウレタン成分とエーテル成分を含有させる方法としては特に限られるものでは無いが、エーテル結合を有するウレタン樹脂成分を用いる方法が挙げられる。具体的には、ポリエーテルポリオール化合物とイソシアネート化合物を反応させて得られるウレタン樹脂であることが好ましい。なお、本発明において、エーテル成分を有するとはエーテル結合を有していることを表し、ウレタン成分を有するとはウレタン結合を有していることを表す。
上記のようなウレタン樹脂成分を用いると、ウレタン樹脂成分の親水性が高くなる。そのため、金属酸化物粒子(a)や金属酸化物粒子(a)の表面の一部または全部にアクリル樹脂(C)を有する組成物(CD)と、ウレタン樹脂成分を含む塗料組成物(x)を基材となるポリエステルフィルムの少なくとも片面に塗布した後に加熱して層(X)を形成せしめる際に、親水性の高いウレタン樹脂成分は層(X)内において基材層であるポリエステルフィルム側に偏在し、比較的親水性の低い金属酸化物粒子(a)や金属酸化物粒子(a)の表面の一部または全部にアクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)は層(X)の表面近傍に偏在するという相分離構造を形成することができる。層(X)の表面近傍に金属酸化物粒子(a)、層(X)の基材層との界面近傍にウレタン樹脂成分を偏在化させる相分離構造を有することで、層(X)の表面近傍に高い弾性率を有するドメイン(島成分)を形成させることができるために耐スクラッチ性を発現しつつ、層(X)の内層では柔軟なウレタン樹脂成分による応力緩和によって加工性を発現するため、耐スクラッチ性、後加工塗布性を高いレベルで両立することができるため好ましい。
[特性の測定方法および効果の評価方法]
本発明における特性の測定方法および効果の評価方法は次のとおりである。
本発明における特性の測定方法および効果の評価方法は次のとおりである。
(1)層(X)の測定
(1−1)接触角計による表面(X)の水の後退接触角
成型体の表面層の後退接触角の測定は、拡張−収縮法により測定を行い、協和界面科学株式会社製接触角Drop Master DM−501を用いて、同装置の拡張−収縮法測定マニュアルに従った。後退接触角は、初期液滴量50μL、液吐出速度2.0μL/秒で液滴を連続的に吸引し、同液滴の縮小過程の形状を吐出開始前から吐出終了後まで撮影し、同様の方法でそれぞれの接触角を求めた。なお、吸引開始前および吸引終了後も一定時間撮影はされるが、解析ソフトでは吸引開始前および吸引終了後の撮影データは接触角を算出するための5点のデータからは除外されるようになっている。液滴の収縮過程の接触角は最初、収縮につれて変化し、次いでほぼ一定になる挙動を示すため、液滴の収縮していく方向に接触角を並べ、その順に連続した5点を選択したとき、連続した5点の標準偏差が最初に1°以下になったときの平均値をその測定の後退接触角とし、この測定を同様に5回行い、その平均値を試料の後退接触角とした。
(1−1)接触角計による表面(X)の水の後退接触角
成型体の表面層の後退接触角の測定は、拡張−収縮法により測定を行い、協和界面科学株式会社製接触角Drop Master DM−501を用いて、同装置の拡張−収縮法測定マニュアルに従った。後退接触角は、初期液滴量50μL、液吐出速度2.0μL/秒で液滴を連続的に吸引し、同液滴の縮小過程の形状を吐出開始前から吐出終了後まで撮影し、同様の方法でそれぞれの接触角を求めた。なお、吸引開始前および吸引終了後も一定時間撮影はされるが、解析ソフトでは吸引開始前および吸引終了後の撮影データは接触角を算出するための5点のデータからは除外されるようになっている。液滴の収縮過程の接触角は最初、収縮につれて変化し、次いでほぼ一定になる挙動を示すため、液滴の収縮していく方向に接触角を並べ、その順に連続した5点を選択したとき、連続した5点の標準偏差が最初に1°以下になったときの平均値をその測定の後退接触角とし、この測定を同様に5回行い、その平均値を試料の後退接触角とした。
(1−2)AFMによる層(X)の弾性率
層表面の表面弾性率の測定は、AFM(Burker Corporation製 DimensionIcon)を用い、PeakForceQNMモードにて測定を実施し、得られたフォースカーブから付属の解析ソフト「NanoScopeAnalysis V1.40」を用いて、JKR接触理論に基づいた解析を行い、表面弾性率を求めた。
層表面の表面弾性率の測定は、AFM(Burker Corporation製 DimensionIcon)を用い、PeakForceQNMモードにて測定を実施し、得られたフォースカーブから付属の解析ソフト「NanoScopeAnalysis V1.40」を用いて、JKR接触理論に基づいた解析を行い、表面弾性率を求めた。
具体的にはまず「絶対的キャリブレーション(反り感度測定、バネ定数のキャリブレーション、探針先端曲率測定(ScanAsystNoiseThreshold:1.0nm)」を実施した後、積層ポリエステルフィルムの層(X)側の表面を測定し、得られた表面情報から弾性率を求めた。なお、バネ定数および先端曲率は個々のカンチレバーによってバラつきを有するが、測定に影響しない範囲として、バネ定数10(N/m)以上160(N/m)以下、先端曲率半径40(nm)以下の条件を満たすカンチレバーを採用し、測定に使用した。測定条件は下記に示す。
測定装置 : Burker Corporation製原子間力顕微鏡(AFM)
測定モード : Peak Force QNM in Air
カンチレバー: ブルカーAXS社製 RTESPA
(材質:Si、バネ定数K:50(N/m)、先端曲率半径R:8(nm))
測定範囲 :1μm×1μm
測定ライン数:512本
測定速度 :0.977Hz
押し付け力 :20nN
ポアゾン比 :0.3
測定雰囲気 : 23℃・大気中
具体的には、測定後「DMTModulus」の「Roughness」を選択し、該画面に表示される像を「ImageJ」で二値化(最大値:10GPa、最小値:0GPa、閾値70)し、弾性率が高い部分を白(海)、弾性率が低い部分を黒(島)とし、層(X)の弾性率像とする。なお、最大値:10GPa、最小値:0GPa、閾値70として、弾性率が高い部分を白、弾性率が低い部分を黒として弾性率像を得ると、弾性率が大凡3400MPaを超える領域は白、弾性率が3400MPa以下の領域は黒となる。
測定装置 : Burker Corporation製原子間力顕微鏡(AFM)
測定モード : Peak Force QNM in Air
カンチレバー: ブルカーAXS社製 RTESPA
(材質:Si、バネ定数K:50(N/m)、先端曲率半径R:8(nm))
測定範囲 :1μm×1μm
測定ライン数:512本
測定速度 :0.977Hz
押し付け力 :20nN
ポアゾン比 :0.3
測定雰囲気 : 23℃・大気中
具体的には、測定後「DMTModulus」の「Roughness」を選択し、該画面に表示される像を「ImageJ」で二値化(最大値:10GPa、最小値:0GPa、閾値70)し、弾性率が高い部分を白(海)、弾性率が低い部分を黒(島)とし、層(X)の弾性率像とする。なお、最大値:10GPa、最小値:0GPa、閾値70として、弾性率が高い部分を白、弾性率が低い部分を黒として弾性率像を得ると、弾性率が大凡3400MPaを超える領域は白、弾性率が3400MPa以下の領域は黒となる。
(1−3)海島構造の有無
(1−2)で求めた弾性率像を1μm×1μmを縦横それぞれ40分割し、25nm×25nmの1600個の領域に分ける。その1600個の領域において、1個の領域全てが黒一色のもの、白一色のもののいずれも有する場合、海島構造を有することとした。
また、任意に測定範囲を選択して10回測定し、8回以上黒色部と白色部が見られたら海島構造を有すると判断した。
(1−2)で求めた弾性率像を1μm×1μmを縦横それぞれ40分割し、25nm×25nmの1600個の領域に分ける。その1600個の領域において、1個の領域全てが黒一色のもの、白一色のもののいずれも有する場合、海島構造を有することとした。
また、任意に測定範囲を選択して10回測定し、8回以上黒色部と白色部が見られたら海島構造を有すると判断した。
(1−4)海成分の割合
(1−2)で求めた弾性率像について、黒い部分(島部)の面積比率を算出し、「100−黒部面積比率」を海部面積比率とした。
(1−2)で求めた弾性率像について、黒い部分(島部)の面積比率を算出し、「100−黒部面積比率」を海部面積比率とした。
(1−5)海成分の弾性率
(1−1)で求めた弾性率像における1600個の領域において、1個の領域全てが白一色のものすべてについて弾性率を測定し、その平均値を海成分の弾性率とした。任意に測定範囲を選択して10回測定し、最大値と最小値を除いた合計8回の平均値を採用した。
(1−1)で求めた弾性率像における1600個の領域において、1個の領域全てが白一色のものすべてについて弾性率を測定し、その平均値を海成分の弾性率とした。任意に測定範囲を選択して10回測定し、最大値と最小値を除いた合計8回の平均値を採用した。
(1−6)海成分の金属酸化物粒子(a)含有有無
SEM(走査型電子顕微鏡)を用いて表面αの表面を10万倍の倍率で観察することにより、ポリエステルフィルム上の表面αの海成分について、EDX(エネルギー分散型X線分光法)による元素分析を実施し、金属酸化物粒子(a)の含有有無を判断した。
SEM(走査型電子顕微鏡)を用いて表面αの表面を10万倍の倍率で観察することにより、ポリエステルフィルム上の表面αの海成分について、EDX(エネルギー分散型X線分光法)による元素分析を実施し、金属酸化物粒子(a)の含有有無を判断した。
具体的には、日立ハイテクノロジーズ製電界放射型走査電子顕微鏡(型番S−4800)で観察される、表面αの海成分について、BrukerAXS製QUANTAX Flat QUAD System (型番 Xflash 5060FQ)で元素検出を測定し、Si、Al、Ti、Zr、Se、Feからなる群から選ばれる、少なくとも1種の金属元素が検出された場合、金属酸化物粒子(a)を有すると判定した。
なお、表面αの海成分のうち、50%以上の海成分で金属酸化物(a)を有する場合、表面αの海成分は金属酸化物粒子(a)を含有すると判断した。
なお、表面αの海成分のうち、50%以上の海成分で金属酸化物(a)を有する場合、表面αの海成分は金属酸化物粒子(a)を含有すると判断した。
(2)耐スクラッチ性
以下の条件で擦過処理を実施した後の積層ポリエステルフィルムの層(X)表面における傷の発生の有無を目視で確認し、下記評価を実施した。
[擦過処理]積層ポリエステルフィルムの層(X)の表面をスチールウール(ボンスター#0000、日本スチールウール(株)製)を荷重200g/cm2で10往復擦過する。
S:傷なし
A:傷1〜10本
B:傷11〜20本
C:傷20本以上
(3)表面粗さ
BRUKER製AFM(Atomic Force Microscope(原子間力顕微鏡))「Dimension Icon ScanAsyst」のScanAsyst Airモードにて、積層フィルムの樹脂層側の表面を測定範囲5μm×5μm、測定ライン数512本、測定速度1.0Hzで測定し、得られた表面情報から、JIS−B−0601−1994に定められた方法にて算術平均粗さ(Ra)を算出した。具体的には、ソフトウェアとして「NanoScope Analysis」を用い、「Flatten Order」の「3rd」を選択し、三次元でのうねり処理を行なう。その後「Roughness」を選択し、該画面の「Image Ra」に記載される数値を算術平均粗さとする。また、合計10回測定し、最大値と最小値を除いた計8個のデータの平均値をサンプルの算術平均粗さ(Ra)を表面粗さとした。
測定装置 : Burker Corporation製原子間力顕微鏡(AFM)
測定モード : 「Dimension Icon ScanAsyst」のScanAsyst Air
カンチレバー: ブルカーAXS社製 SCANASYST−AIR
(材質:Si、バネ定数K:0.4(N/m)、先端曲率半径R:2(nm))
測定範囲 :5μm×5μm
測定ライン数:512本
測定速度 :1.0Hz
測定雰囲気 : 23℃・大気中。
以下の条件で擦過処理を実施した後の積層ポリエステルフィルムの層(X)表面における傷の発生の有無を目視で確認し、下記評価を実施した。
[擦過処理]積層ポリエステルフィルムの層(X)の表面をスチールウール(ボンスター#0000、日本スチールウール(株)製)を荷重200g/cm2で10往復擦過する。
S:傷なし
A:傷1〜10本
B:傷11〜20本
C:傷20本以上
(3)表面粗さ
BRUKER製AFM(Atomic Force Microscope(原子間力顕微鏡))「Dimension Icon ScanAsyst」のScanAsyst Airモードにて、積層フィルムの樹脂層側の表面を測定範囲5μm×5μm、測定ライン数512本、測定速度1.0Hzで測定し、得られた表面情報から、JIS−B−0601−1994に定められた方法にて算術平均粗さ(Ra)を算出した。具体的には、ソフトウェアとして「NanoScope Analysis」を用い、「Flatten Order」の「3rd」を選択し、三次元でのうねり処理を行なう。その後「Roughness」を選択し、該画面の「Image Ra」に記載される数値を算術平均粗さとする。また、合計10回測定し、最大値と最小値を除いた計8個のデータの平均値をサンプルの算術平均粗さ(Ra)を表面粗さとした。
測定装置 : Burker Corporation製原子間力顕微鏡(AFM)
測定モード : 「Dimension Icon ScanAsyst」のScanAsyst Air
カンチレバー: ブルカーAXS社製 SCANASYST−AIR
(材質:Si、バネ定数K:0.4(N/m)、先端曲率半径R:2(nm))
測定範囲 :5μm×5μm
測定ライン数:512本
測定速度 :1.0Hz
測定雰囲気 : 23℃・大気中。
(4)密着性
積層ポリエステルフィルムの樹脂位相側に1mm2のクロスカットを100個入れ、“セロテープ”(登録商標)(ニチバン(株)製、CT405AP)を貼り付け、ハンドローラーで1.5kg/cm2の荷重で押しつけた後、積層ポリエステルフィルムに対して90度方向に急速に剥離した。密着性は残存した格子の個数により、4段階評価を行った。評価は10回実施した平均の値で行った。Cは実用上問題のあるレベル、Bは実用レベルであり、AとSのものは良好とした。
S:90〜100個残存
A:80〜89個残存
B:50〜79個残存
C:0〜50個未満残存。
積層ポリエステルフィルムの樹脂位相側に1mm2のクロスカットを100個入れ、“セロテープ”(登録商標)(ニチバン(株)製、CT405AP)を貼り付け、ハンドローラーで1.5kg/cm2の荷重で押しつけた後、積層ポリエステルフィルムに対して90度方向に急速に剥離した。密着性は残存した格子の個数により、4段階評価を行った。評価は10回実施した平均の値で行った。Cは実用上問題のあるレベル、Bは実用レベルであり、AとSのものは良好とした。
S:90〜100個残存
A:80〜89個残存
B:50〜79個残存
C:0〜50個未満残存。
(5−1)ヘイズ(透明性)
ヘイズの測定は、常態(23℃、相対湿度50%)において、積層ポリエステルフィルムサンプルを40時間放置した後、日本電色工業(株)製濁度計「NDH5000」を用いて、JIS K 7136「透明材料のヘイズの求め方」(2000年版)に準ずる方式で行った。なお、サンプルの表面αが積層された面側から光を照射して測定した。サンプルは一辺50mmの正方形のものを10サンプル準備し、それぞれ1回ずつ、合計10回測定した平均値をサンプルのヘイズ値とした。
ヘイズの測定は、常態(23℃、相対湿度50%)において、積層ポリエステルフィルムサンプルを40時間放置した後、日本電色工業(株)製濁度計「NDH5000」を用いて、JIS K 7136「透明材料のヘイズの求め方」(2000年版)に準ずる方式で行った。なお、サンプルの表面αが積層された面側から光を照射して測定した。サンプルは一辺50mmの正方形のものを10サンプル準備し、それぞれ1回ずつ、合計10回測定した平均値をサンプルのヘイズ値とした。
(5−2)擦過評価後のヘイズ
(4)と同様にして擦過処理を施したのち、上記の方法で再度ヘイズ測定を実施した。
(4)と同様にして擦過処理を施したのち、上記の方法で再度ヘイズ測定を実施した。
なお、以下の実施例や比較例にて得られた積層ポリエステルフィルムの特性等を、表に示す。
(6)後加工塗布性
A4サイズの積層ポリエステルフィルムに有機溶剤塗料系の紫外線硬化型ハードコート剤((株)JSR製“オプスター”(登録商標)KZ6445A)をバーコーターで硬化後の塗布厚みが2μmとなるように、積層ポリエステルフィルムの層(X)側の表面に塗布し、エスペック(株)製熱風オーブン「HIGH−TEMP−OVEN PHH−200」にて100℃、1分間乾燥させた。後加工塗布性は、はじかず塗布できた割合により、4段階評価を行った。評価は5回実施した平均の値で行った。
A4サイズの積層ポリエステルフィルムに有機溶剤塗料系の紫外線硬化型ハードコート剤((株)JSR製“オプスター”(登録商標)KZ6445A)をバーコーターで硬化後の塗布厚みが2μmとなるように、積層ポリエステルフィルムの層(X)側の表面に塗布し、エスペック(株)製熱風オーブン「HIGH−TEMP−OVEN PHH−200」にて100℃、1分間乾燥させた。後加工塗布性は、はじかず塗布できた割合により、4段階評価を行った。評価は5回実施した平均の値で行った。
S:98%以上塗布可能(はじきなし)
A:80%以上98%未満塗布可能
B:50%以上80%未満塗布可能
C:50%未満。
A:80%以上98%未満塗布可能
B:50%以上80%未満塗布可能
C:50%未満。
<参考例>
<参考例1>金属酸化物粒子(A)の表面にアクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)を含有するエマルジョン(EM−1)
攪拌機、温度計、還流冷却管の備わった通常のアクリル樹脂反応槽に、溶剤としてイソプロピルアルコール100重量部を仕込み、加熱攪拌して100℃に保持した。
この中に、(メタ)アクリレート(c’−1)として、n=19のエイコシルメタクリレート40重量部、(メタ)アクリレート(c’−2)として、2個の環を有するイソボニルメタクリレート40重量部、その他水酸基を有する(メタ)アクリレート(c’−3)として、2−ヒドロキシエチルアクリレート20重量部からなる混合物を3時間かけて滴下した。そして、滴下終了後、100℃で1時間加熱し、次にt−ブチルパーオキシ2エチルヘキサエート1重量部からなる追加触媒混合液を仕込んだ。次いで、100℃で3時間加熱した後冷却し、アクリル樹脂(C−1)を得た。
<参考例1>金属酸化物粒子(A)の表面にアクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)を含有するエマルジョン(EM−1)
攪拌機、温度計、還流冷却管の備わった通常のアクリル樹脂反応槽に、溶剤としてイソプロピルアルコール100重量部を仕込み、加熱攪拌して100℃に保持した。
この中に、(メタ)アクリレート(c’−1)として、n=19のエイコシルメタクリレート40重量部、(メタ)アクリレート(c’−2)として、2個の環を有するイソボニルメタクリレート40重量部、その他水酸基を有する(メタ)アクリレート(c’−3)として、2−ヒドロキシエチルアクリレート20重量部からなる混合物を3時間かけて滴下した。そして、滴下終了後、100℃で1時間加熱し、次にt−ブチルパーオキシ2エチルヘキサエート1重量部からなる追加触媒混合液を仕込んだ。次いで、100℃で3時間加熱した後冷却し、アクリル樹脂(C−1)を得た。
金属酸化物粒子(A)としてAl元素を含む無機粒子(“NanoTek”Al2O3スラリー(シーアイ化成株式会社製 数平均粒子径60nm:A−1)を用い、水系溶媒中に、“NanoTek”Al2O3スラリーと上記アクリル樹脂(C−1)を順に添加し、以下の方法で分散せしめ、金属酸化物粒子(A)とアクリル樹脂(C−1)の混合組成物(AC)含有するエマルジョン(EM−1)を得た。(前記(ii)の方法。)
金属酸化物粒子(A)およびアクリル樹脂(C−1)の添加量比(重量比)は、(A)/(C−1)=75/25とした(なお重量比は、小数点第1位を四捨五入して求めた)。分散処理は、ホモミキサーを用いて行い、周速10m/sで5時間回転させることによって行った。また、最終的に得られた組成物(BA)における、粒子(A)とアクリル樹脂(B)の重量比は、(A)/(D−1)=75/25であった(なお、重量比は小数点第1位を四捨五入して求めた)。
金属酸化物粒子(A)およびアクリル樹脂(C−1)の添加量比(重量比)は、(A)/(C−1)=75/25とした(なお重量比は、小数点第1位を四捨五入して求めた)。分散処理は、ホモミキサーを用いて行い、周速10m/sで5時間回転させることによって行った。また、最終的に得られた組成物(BA)における、粒子(A)とアクリル樹脂(B)の重量比は、(A)/(D−1)=75/25であった(なお、重量比は小数点第1位を四捨五入して求めた)。
なお、得られた組成物(AC)を、日立卓上超遠心機(日立工機株式会社製:CS150NX)により遠心分離を行い(回転数3000rpm、分離時間30分)、金属酸化物粒子(A)(及び金属酸化物粒子(A)の表面に吸着したアクリル樹脂(C))を沈降させた後、上澄み液を除去し、沈降物を濃縮乾固させた。濃縮乾固した沈降物をX線光電子分光法(XPS)により分析した結果、金属酸化物粒子(A)の表面にアクリル樹脂(C)が存在することが確認された。つまり、金属酸化物粒子(A)の表面には、アクリル樹脂(C)が吸着・付着しており、得られた組成物(AD)が金属酸化物粒子(A)の表面にアクリル樹脂(C)を有する粒子に該当することが判明した。
<参考例2>
金属酸化物粒子(A)の表面にアクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)を含有するエマルジョン(EM−2)
攪拌機、温度計、還流冷却管の備わった通常のアクリル樹脂反応槽に、溶剤としてイソプロピルアルコール100重量部を仕込み、加熱攪拌して100℃に保持した。
この中に、(メタ)アクリレート(c’−1)として、n=19のエイコシルメタクリレート40重量部、(メタ)アクリレート(c’−2)として、2個の環を有するイソボニルメタクリレート40重量部、その他水酸基を有する(メタ)アクリレート(c’−3)として、2−ヒドロキシエチルアクリレート10重量部、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレ−ト(c’−4)10重量部からなる混合物を3時間かけて滴下した。そして、滴下終了後、100℃で1時間加熱し、次にt−ブチルパーオキシ2エチルヘキサエート1重量部からなる追加触媒混合液を仕込んだ。次いで、100℃で3時間加熱した後冷却し、アクリル樹脂(C−2)を得た。
金属酸化物粒子(A)の表面にアクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)を含有するエマルジョン(EM−2)
攪拌機、温度計、還流冷却管の備わった通常のアクリル樹脂反応槽に、溶剤としてイソプロピルアルコール100重量部を仕込み、加熱攪拌して100℃に保持した。
この中に、(メタ)アクリレート(c’−1)として、n=19のエイコシルメタクリレート40重量部、(メタ)アクリレート(c’−2)として、2個の環を有するイソボニルメタクリレート40重量部、その他水酸基を有する(メタ)アクリレート(c’−3)として、2−ヒドロキシエチルアクリレート10重量部、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレ−ト(c’−4)10重量部からなる混合物を3時間かけて滴下した。そして、滴下終了後、100℃で1時間加熱し、次にt−ブチルパーオキシ2エチルヘキサエート1重量部からなる追加触媒混合液を仕込んだ。次いで、100℃で3時間加熱した後冷却し、アクリル樹脂(C−2)を得た。
アクリル樹脂としてアクリル樹脂(C−1)とアクリル樹脂(C−2)を使用し、金属酸化物粒子(A)およびアクリル樹脂(C−1)、アクリル樹脂(C−2)の添加量比(重量比)を、(A)/(C−1)/(C−2)=60/25/15に変更した以外は、参考例1と同様にして、EM−2を得た。
<参考例3>
金属酸化物粒子(A)の表面にアクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)を含有するエマルジョン(EM−3)
金属酸化物粒子(A)およびアクリル樹脂(C−1)の添加量比(重量比)を、(A)/(C−1)=50/50に変更した以外は、参考例1と同様にして、EM−3を得た。
金属酸化物粒子(A)の表面にアクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)を含有するエマルジョン(EM−3)
金属酸化物粒子(A)およびアクリル樹脂(C−1)の添加量比(重量比)を、(A)/(C−1)=50/50に変更した以外は、参考例1と同様にして、EM−3を得た。
<参考例4>
金属酸化物粒子(A)の表面にアクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)を含有するエマルジョン(EM−4)
金属酸化物粒子(A)およびアクリル樹脂(C−1)の添加量比(重量比)を、(A)/(C−1)=60/40に変更した以外は、参考例1と同様にして、EM−4を得た。
金属酸化物粒子(A)の表面にアクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)を含有するエマルジョン(EM−4)
金属酸化物粒子(A)およびアクリル樹脂(C−1)の添加量比(重量比)を、(A)/(C−1)=60/40に変更した以外は、参考例1と同様にして、EM−4を得た。
<参考例5>
金属酸化物粒子(A)の表面にアクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)を含有するエマルジョン(EM−5)
金属酸化物粒子(A)およびアクリル樹脂(C−1)の添加量比(重量比)を、(A)/(C−1)=80/20に変更した以外は、参考例1と同様にして、EM−5を得た。
金属酸化物粒子(A)の表面にアクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)を含有するエマルジョン(EM−5)
金属酸化物粒子(A)およびアクリル樹脂(C−1)の添加量比(重量比)を、(A)/(C−1)=80/20に変更した以外は、参考例1と同様にして、EM−5を得た。
<参考例6>
金属酸化物粒子(A)の表面にアクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)を含有するエマルジョン(EM−6)
金属酸化物粒子(A)として、Al元素を含む無機粒子(“NanoTek” Al2O3スラリー(シーアイ化成株式会社製 数平均粒子径50nm):A−2)を用いた以外は、参考例4と同様にして、EM−6を得た。
金属酸化物粒子(A)の表面にアクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)を含有するエマルジョン(EM−6)
金属酸化物粒子(A)として、Al元素を含む無機粒子(“NanoTek” Al2O3スラリー(シーアイ化成株式会社製 数平均粒子径50nm):A−2)を用いた以外は、参考例4と同様にして、EM−6を得た。
<参考例7>
金属酸化物粒子(A)の表面にアクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)を含有するエマルジョン(EM−7)
金属酸化物粒子(A)としてAl元素を含む無機粒子(“NanoTek”Al2O3スラリー(シーアイ化成株式会社製 数平均粒子径200nm):A−3)を用いた以外は、参考例4と同様にして、EM−7を得た。
金属酸化物粒子(A)の表面にアクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)を含有するエマルジョン(EM−7)
金属酸化物粒子(A)としてAl元素を含む無機粒子(“NanoTek”Al2O3スラリー(シーアイ化成株式会社製 数平均粒子径200nm):A−3)を用いた以外は、参考例4と同様にして、EM−7を得た。
<参考例8>
金属酸化物粒子(A)の表面にアクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)を含有するエマルジョン(EM−8)
金属酸化物粒子(a)として、Zr元素を含む“ナノユース(登録商標)”ZR((日産化学工業株式会社製 数平均粒子径20nm):A−7)を使用した以外は、参考例4と同様の方法で、EM−8を得た。
金属酸化物粒子(A)の表面にアクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)を含有するエマルジョン(EM−8)
金属酸化物粒子(a)として、Zr元素を含む“ナノユース(登録商標)”ZR((日産化学工業株式会社製 数平均粒子径20nm):A−7)を使用した以外は、参考例4と同様の方法で、EM−8を得た。
<参考例9>
金属酸化物粒子(A)の表面にアクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)を含有するエマルジョン(EM−9)
金属酸化物粒子(A)およびアクリル樹脂(C−1)の添加量比(重量比)を、(A)/(C−1)=85/15に変更した以外は、参考例1と同様にして、EM−9を得た。
金属酸化物粒子(A)の表面にアクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)を含有するエマルジョン(EM−9)
金属酸化物粒子(A)およびアクリル樹脂(C−1)の添加量比(重量比)を、(A)/(C−1)=85/15に変更した以外は、参考例1と同様にして、EM−9を得た。
<参考例10> アクリル樹脂(C−3)の調整
窒素ガス雰囲気下かつ常温(25℃)下で、容器1に、水100重量部、ポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの繰り返し単位が16)1重量部および過硫酸アンモニウム0.5重量部を仕込み、これを70℃に昇温し、溶解させ、70℃の溶液1を得た。次に、常温(25℃)下で、容器2に、下記の原料を下記の比率で添加し、攪拌し、溶液2を得た。
・ポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの繰り返し単位が16)5モル部
・メタクリル酸メチル 62モル部
・アクリル酸エチル 30モル部
・アクリル酸 2モル部
・N−メチロールアクリルアミド 1モル部
その後、100重量部の溶液2に対し、水50重量部を添加し、溶液3を得た。窒素ガス雰囲気下で、溶液1を反応器に移し、反応器内の溶液の温度を70℃に保ちつつ、溶液3を溶液1に3時間かけて連続滴下せしめた。滴下終了後、更に85度で2時間攪拌したのち、25度まで冷却し、アンモニア水で中和して、アクリル樹脂(C−3)エマルジョンを得た。
窒素ガス雰囲気下かつ常温(25℃)下で、容器1に、水100重量部、ポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの繰り返し単位が16)1重量部および過硫酸アンモニウム0.5重量部を仕込み、これを70℃に昇温し、溶解させ、70℃の溶液1を得た。次に、常温(25℃)下で、容器2に、下記の原料を下記の比率で添加し、攪拌し、溶液2を得た。
・ポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの繰り返し単位が16)5モル部
・メタクリル酸メチル 62モル部
・アクリル酸エチル 30モル部
・アクリル酸 2モル部
・N−メチロールアクリルアミド 1モル部
その後、100重量部の溶液2に対し、水50重量部を添加し、溶液3を得た。窒素ガス雰囲気下で、溶液1を反応器に移し、反応器内の溶液の温度を70℃に保ちつつ、溶液3を溶液1に3時間かけて連続滴下せしめた。滴下終了後、更に85度で2時間攪拌したのち、25度まで冷却し、アンモニア水で中和して、アクリル樹脂(C−3)エマルジョンを得た。
<参考例11>
金属酸化物粒子(A)の表面にアクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)を含有するエマルジョン(EM−10)
金属酸化物粒子(a)として、Si元素を含む“スノーテックス(登録商標)”コロイダルシリカスラリー(日産化学工業株式会社製 数平均粒子径80nm):A−6を使用した以外は、参考例4と同様の方法で、EM−10を得た。
金属酸化物粒子(A)の表面にアクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)を含有するエマルジョン(EM−10)
金属酸化物粒子(a)として、Si元素を含む“スノーテックス(登録商標)”コロイダルシリカスラリー(日産化学工業株式会社製 数平均粒子径80nm):A−6を使用した以外は、参考例4と同様の方法で、EM−10を得た。
<参考例12>
金属酸化物粒子(A)の表面にアクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)を含有するエマルジョン(EM−11)
金属酸化物粒子(A)およびアクリル樹脂(D−1)の添加量比(重量比)を、(A)/(D−1)=40/60に変更した以外は、参考例1と同様にして、EM−11を得た。
金属酸化物粒子(A)の表面にアクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)を含有するエマルジョン(EM−11)
金属酸化物粒子(A)およびアクリル樹脂(D−1)の添加量比(重量比)を、(A)/(D−1)=40/60に変更した以外は、参考例1と同様にして、EM−11を得た。
<実施例1>
はじめに、塗料組成物1を次の通り調製した。
<塗料組成物1>
水系溶媒に、下記エマルジョンを表に記載の比率で混合し、塗料組成物1を得た。
・金属酸化物粒子(A)の表面にアクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)を含有するエマルジョン(EM−1):100重量部
・メラミン系化合物(DIC製“ベッカミン”(登録商標) APM)(B−1):35重量部
・カルボジイミド系化合物(日清紡製“カルボジライド”(登録商標) V−04B)(B−2):5重量部
<積層ポリエステルフィルム>
次いで、実質的に粒子を含有しないPETペレット(極限粘度0.63dl/g)を充分に真空乾燥した後、押し出し機に供給し285℃で溶融し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度25℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて冷却固化せしめた。この未延伸フィルムを90℃に加熱して長手方向に3.4倍延伸し、一軸延伸フィルム(Bフィルム)とした。
はじめに、塗料組成物1を次の通り調製した。
<塗料組成物1>
水系溶媒に、下記エマルジョンを表に記載の比率で混合し、塗料組成物1を得た。
・金属酸化物粒子(A)の表面にアクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)を含有するエマルジョン(EM−1):100重量部
・メラミン系化合物(DIC製“ベッカミン”(登録商標) APM)(B−1):35重量部
・カルボジイミド系化合物(日清紡製“カルボジライド”(登録商標) V−04B)(B−2):5重量部
<積層ポリエステルフィルム>
次いで、実質的に粒子を含有しないPETペレット(極限粘度0.63dl/g)を充分に真空乾燥した後、押し出し機に供給し285℃で溶融し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度25℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて冷却固化せしめた。この未延伸フィルムを90℃に加熱して長手方向に3.4倍延伸し、一軸延伸フィルム(Bフィルム)とした。
次に塗料組成物1を一軸延伸フィルムのコロナ放電処理面にバーコートを用いて塗布した。塗料組成物を塗布した一軸延伸フィルムの幅方向両端部をクリップで把持して予熱ゾーンに導き、雰囲気温度75℃とした後、引き続いてラジエーションヒーターを用いて雰囲気温度を110℃とし、次いで雰囲気温度を90℃として、塗料組成物を乾燥させ、層(X)を形成せしめた。引き続き連続的に120℃の加熱ゾーン(延伸ゾーン)で幅方向に3.5倍延伸し、続いて230℃の熱処理ゾーン(熱固定ゾーン)で20秒間熱処理を施し、結晶配向の完了した積層ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムにおいて透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて断面を観察することにより測定したPETフィルムの厚みは50μm、層(X)の厚みは500nmであった。得られた積層ポリエステルフィルムの特性等を表2に示す。耐スクラッチ性、密着性に優れるものであった。
<実施例2>
塗液中の塗料組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの特性などを表に示す。
<塗料組成物2>
水系溶媒に、下記エマルジョンを表に記載の比率で混合し、塗料組成物2を得た。
・金属酸化物粒子(A)の表面にアクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)を含有するエマルジョン(EM−2):100重量部
・メラミン系化合物(DIC製“ベッカミン”(登録商標) APM)(B−1):30重量部
・カルボジイミド系化合物(日清紡製“カルボジライド”(登録商標) V−04B)(B−2):10重量部
<実施例3>
塗液中の塗料組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの特性などを表に示す。
<塗料組成物3>
水系溶媒に、下記エマルジョンを表に記載の比率で混合し、塗料組成物3を得た。
・金属酸化物粒子(A)の表面にアクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)を含有するエマルジョン(EM−3):100重量部
・メラミン系化合物(DIC製“ベッカミン”(登録商標) APM)(B−1):30重量部
・カルボジイミド系化合物(日清紡製“カルボジライド”(登録商標) V−04B)(B−2):10重量部
<実施例4>
塗液中の塗料組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの特性などを表に示す。
<塗料組成物4>
水系溶媒に、下記エマルジョンを表に記載の比率で混合し、塗料組成物4を得た。
・金属酸化物粒子(A)の表面にアクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)を含有するエマルジョン(EM−4):100重量部
・メラミン系化合物(DIC製“ベッカミン”(登録商標) APM)(B−1):30重量部
・カルボジイミド系化合物(日清紡製“カルボジライド”(登録商標) V−04B)(B−2):10重量部
<実施例5>
塗液中の塗料組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの特性などを表に示す。
<塗料組成物5>
水系溶媒に、下記エマルジョンを表に記載の比率で混合し、塗料組成物5を得た。
・金属酸化物粒子(A)の表面にアクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)を含有するエマルジョン(EM−5):100重量部
・メラミン系化合物(DIC製“ベッカミン”(登録商標) APM)(B−1):30重量部
・カルボジイミド系化合物(日清紡製“カルボジライド”(登録商標) V−04B)(B−2):10重量部
<実施例6>
塗液中の塗料組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの特性などを表に示す。
<塗料組成物6>
水系溶媒に、下記エマルジョンを表に記載の比率で混合し、塗料組成物6を得た。
・金属酸化物粒子(A)の表面にアクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)を含有するエマルジョン(EM−6):100重量部
・メラミン系化合物(DIC製“ベッカミン”(登録商標) APM)(B−1):30重量部
・カルボジイミド系化合物(日清紡製“カルボジライド”(登録商標) V−04B)(B−2):10重量部
<実施例7>
塗液中の塗料組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの特性などを表に示す。
<塗料組成物7>
水系溶媒に、下記エマルジョンを表に記載の比率で混合し、塗料組成物7を得た。
・金属酸化物粒子(A)の表面にアクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)を含有するエマルジョン(EM−7):100重量部
・メラミン系化合物(DIC製“ベッカミン”(登録商標) APM)(B−1):20重量部
・カルボジイミド系化合物(日清紡製“カルボジライド”(登録商標) V−04B)(B−2):10重量部
<実施例8>
塗液中の塗料組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの特性などを表に示す。
<塗料組成物8>
水系溶媒に、下記エマルジョンを表に記載の比率で混合し、塗料組成物8を得た。
・金属酸化物粒子(A)の表面にアクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)を含有するエマルジョン(EM−4):100重量部
・メラミン系化合物(DIC製“ベッカミン”(登録商標) APM)(B−1):20重量部
・オキサゾリン系化合物(日本触媒 “エポクロス”(登録商標) WS−500)(B−3):10重量部
<実施例9>
塗液中の塗料組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの特性などを表に示す。
<塗料組成物9>
水系溶媒に、下記エマルジョンを表に記載の比率で混合し、塗料組成物9を得た。
・金属酸化物粒子(A)の表面にアクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)を含有するエマルジョン(EM−8):100重量部
・メラミン系化合物(DIC製“ベッカミン”(登録商標) APM)(B−1):30重量部
・カルボジイミド系化合物(日清紡製“カルボジライド”(登録商標) V−04B)(B−2):10重量部
<実施例10>
積層ポリエステルフィルムを下記の通りに変更した以外は、実施例4と同様の方法で積層ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの特性などを表に示す。
<積層ポリエステルフィルム>
実質的に粒子を含有しないPETフィルムに塗料組成物4を小径グラビアロールを有する連続塗工装置用いて塗布した。塗料組成物を塗布したPETフィルムを第1乾燥ゾーンへ導き、送風温度を45℃、相対湿度を10%とし塗料組成物を一次乾燥させ、引き続き連続的に第2乾燥ゾーンへ導き、送風温度を100℃、相対湿度を1%として、塗料組成物を乾燥させ層(X)を形成せしめ、積層ポリエステルフィルムを得た。
塗液中の塗料組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの特性などを表に示す。
<塗料組成物2>
水系溶媒に、下記エマルジョンを表に記載の比率で混合し、塗料組成物2を得た。
・金属酸化物粒子(A)の表面にアクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)を含有するエマルジョン(EM−2):100重量部
・メラミン系化合物(DIC製“ベッカミン”(登録商標) APM)(B−1):30重量部
・カルボジイミド系化合物(日清紡製“カルボジライド”(登録商標) V−04B)(B−2):10重量部
<実施例3>
塗液中の塗料組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの特性などを表に示す。
<塗料組成物3>
水系溶媒に、下記エマルジョンを表に記載の比率で混合し、塗料組成物3を得た。
・金属酸化物粒子(A)の表面にアクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)を含有するエマルジョン(EM−3):100重量部
・メラミン系化合物(DIC製“ベッカミン”(登録商標) APM)(B−1):30重量部
・カルボジイミド系化合物(日清紡製“カルボジライド”(登録商標) V−04B)(B−2):10重量部
<実施例4>
塗液中の塗料組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの特性などを表に示す。
<塗料組成物4>
水系溶媒に、下記エマルジョンを表に記載の比率で混合し、塗料組成物4を得た。
・金属酸化物粒子(A)の表面にアクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)を含有するエマルジョン(EM−4):100重量部
・メラミン系化合物(DIC製“ベッカミン”(登録商標) APM)(B−1):30重量部
・カルボジイミド系化合物(日清紡製“カルボジライド”(登録商標) V−04B)(B−2):10重量部
<実施例5>
塗液中の塗料組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの特性などを表に示す。
<塗料組成物5>
水系溶媒に、下記エマルジョンを表に記載の比率で混合し、塗料組成物5を得た。
・金属酸化物粒子(A)の表面にアクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)を含有するエマルジョン(EM−5):100重量部
・メラミン系化合物(DIC製“ベッカミン”(登録商標) APM)(B−1):30重量部
・カルボジイミド系化合物(日清紡製“カルボジライド”(登録商標) V−04B)(B−2):10重量部
<実施例6>
塗液中の塗料組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの特性などを表に示す。
<塗料組成物6>
水系溶媒に、下記エマルジョンを表に記載の比率で混合し、塗料組成物6を得た。
・金属酸化物粒子(A)の表面にアクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)を含有するエマルジョン(EM−6):100重量部
・メラミン系化合物(DIC製“ベッカミン”(登録商標) APM)(B−1):30重量部
・カルボジイミド系化合物(日清紡製“カルボジライド”(登録商標) V−04B)(B−2):10重量部
<実施例7>
塗液中の塗料組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの特性などを表に示す。
<塗料組成物7>
水系溶媒に、下記エマルジョンを表に記載の比率で混合し、塗料組成物7を得た。
・金属酸化物粒子(A)の表面にアクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)を含有するエマルジョン(EM−7):100重量部
・メラミン系化合物(DIC製“ベッカミン”(登録商標) APM)(B−1):20重量部
・カルボジイミド系化合物(日清紡製“カルボジライド”(登録商標) V−04B)(B−2):10重量部
<実施例8>
塗液中の塗料組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの特性などを表に示す。
<塗料組成物8>
水系溶媒に、下記エマルジョンを表に記載の比率で混合し、塗料組成物8を得た。
・金属酸化物粒子(A)の表面にアクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)を含有するエマルジョン(EM−4):100重量部
・メラミン系化合物(DIC製“ベッカミン”(登録商標) APM)(B−1):20重量部
・オキサゾリン系化合物(日本触媒 “エポクロス”(登録商標) WS−500)(B−3):10重量部
<実施例9>
塗液中の塗料組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの特性などを表に示す。
<塗料組成物9>
水系溶媒に、下記エマルジョンを表に記載の比率で混合し、塗料組成物9を得た。
・金属酸化物粒子(A)の表面にアクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)を含有するエマルジョン(EM−8):100重量部
・メラミン系化合物(DIC製“ベッカミン”(登録商標) APM)(B−1):30重量部
・カルボジイミド系化合物(日清紡製“カルボジライド”(登録商標) V−04B)(B−2):10重量部
<実施例10>
積層ポリエステルフィルムを下記の通りに変更した以外は、実施例4と同様の方法で積層ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの特性などを表に示す。
<積層ポリエステルフィルム>
実質的に粒子を含有しないPETフィルムに塗料組成物4を小径グラビアロールを有する連続塗工装置用いて塗布した。塗料組成物を塗布したPETフィルムを第1乾燥ゾーンへ導き、送風温度を45℃、相対湿度を10%とし塗料組成物を一次乾燥させ、引き続き連続的に第2乾燥ゾーンへ導き、送風温度を100℃、相対湿度を1%として、塗料組成物を乾燥させ層(X)を形成せしめ、積層ポリエステルフィルムを得た。
<実施例11>
塗液中の塗料組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの特性などを表に示す。
<塗料組成物10>
水系溶媒に、下記エマルジョンを表に記載の比率で混合し、塗料組成物10を得た。
・金属酸化物粒子(A)の表面にアクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)を含有するエマルジョン(EM−4):100重量部
・カルボジイミド系化合物(日清紡製“カルボジライド”(登録商標) V−04B)(B−2):20重量部
・オキサゾリン系化合物(日本触媒 “エポクロス”(登録商標) WS−500)(B−3):20重量部
<比較例1>
塗液中の塗料組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの特性などを表に示す。
<塗料組成物11>
水系溶媒に、下記エマルジョンを表に記載の比率で混合し、塗料組成物11を得た。
・金属酸化物粒子(A)の表面にアクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)を含有するエマルジョン(EM−9):100重量部
・メラミン系化合物(DIC製“ベッカミン”(登録商標) APM)(B−1):35重量部
・カルボジイミド系化合物(日清紡製“カルボジライド”(登録商標) V−04B)(B−2):5重量部
<比較例2>
塗液中の塗料組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの特性などを表に示す。
<塗料組成物12>
水系溶媒に、下記エマルジョンを表に記載の比率で混合し、塗料組成物12を得た。
・アクリル樹脂(C−1):100重量部
・メラミン系化合物(DIC製“ベッカミン”(登録商標) APM)(B−1):40重量部
2):10重量部
<比較例3>
塗液中の塗料組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの特性などを表に示す。
<塗料組成物13>
水系溶媒に、下記エマルジョンを表に記載の比率で混合し、塗料組成物13を得た。
・金属酸化物粒子(A)の表面にアクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)を含有するエマルジョン(EM−10):100重量部
・メラミン系化合物(DIC製“ベッカミン”(登録商標) APM)(B−1):30重量部
・カルボジイミド系化合物(日清紡製“カルボジライド”(登録商標) V−04B)(B−2):10重量部
<比較例4>
塗液中の塗料組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの特性などを表に示す。
<塗料組成物14>
水系溶媒に、下記エマルジョンを表に記載の比率で混合し、塗料組成物14を得た。
・金属酸化物粒子(A)の表面にアクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)を含有するエマルジョン(EM−11):100重量部
・メラミン系化合物(DIC製“ベッカミン”(登録商標) APM)(B−1):30重量部
・カルボジイミド系化合物(日清紡製“カルボジライド”(登録商標) V−04B)(B−2):10重量部
<比較例5>
塗液中の塗料組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの特性などを表に示す。
<塗料組成物15>
水系溶媒に、下記エマルジョンを表に記載の比率で混合し、塗料組成物15を得た。
・金属酸化物粒子(A)の表面にアクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)を含有するエマルジョン(EM−4):100重量部
・メラミン系化合物(DIC製“ベッカミン”(登録商標) APM)(B−1):40重量部
<比較例6>
塗液中の塗料組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの特性などを表に示す。
<塗料組成物16>
水系溶媒に、下記エマルジョンを表に記載の比率で混合し、塗料組成物16を得た。
・金属酸化物粒子(A)の表面にアクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)を含有するエマルジョン(EM−4):100重量部
・カルボジイミド系化合物(日清紡製“カルボジライド”(登録商標) V−04B)(B−2):40重量部
<比較例7>
塗液中の塗料組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの特性などを表に示す。
<塗料組成物17>
水系溶媒に、下記エマルジョンを表に記載の比率で混合し、塗料組成物17を得た。
・金属酸化物粒子(A)の表面にアクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)を含有するエマルジョン(EM−4):100重量部
・オキサゾリン系化合物(日本触媒 “エポクロス”(登録商標) WS−500)(B−3):40重量部
塗液中の塗料組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの特性などを表に示す。
<塗料組成物10>
水系溶媒に、下記エマルジョンを表に記載の比率で混合し、塗料組成物10を得た。
・金属酸化物粒子(A)の表面にアクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)を含有するエマルジョン(EM−4):100重量部
・カルボジイミド系化合物(日清紡製“カルボジライド”(登録商標) V−04B)(B−2):20重量部
・オキサゾリン系化合物(日本触媒 “エポクロス”(登録商標) WS−500)(B−3):20重量部
<比較例1>
塗液中の塗料組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの特性などを表に示す。
<塗料組成物11>
水系溶媒に、下記エマルジョンを表に記載の比率で混合し、塗料組成物11を得た。
・金属酸化物粒子(A)の表面にアクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)を含有するエマルジョン(EM−9):100重量部
・メラミン系化合物(DIC製“ベッカミン”(登録商標) APM)(B−1):35重量部
・カルボジイミド系化合物(日清紡製“カルボジライド”(登録商標) V−04B)(B−2):5重量部
<比較例2>
塗液中の塗料組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの特性などを表に示す。
<塗料組成物12>
水系溶媒に、下記エマルジョンを表に記載の比率で混合し、塗料組成物12を得た。
・アクリル樹脂(C−1):100重量部
・メラミン系化合物(DIC製“ベッカミン”(登録商標) APM)(B−1):40重量部
2):10重量部
<比較例3>
塗液中の塗料組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの特性などを表に示す。
<塗料組成物13>
水系溶媒に、下記エマルジョンを表に記載の比率で混合し、塗料組成物13を得た。
・金属酸化物粒子(A)の表面にアクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)を含有するエマルジョン(EM−10):100重量部
・メラミン系化合物(DIC製“ベッカミン”(登録商標) APM)(B−1):30重量部
・カルボジイミド系化合物(日清紡製“カルボジライド”(登録商標) V−04B)(B−2):10重量部
<比較例4>
塗液中の塗料組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの特性などを表に示す。
<塗料組成物14>
水系溶媒に、下記エマルジョンを表に記載の比率で混合し、塗料組成物14を得た。
・金属酸化物粒子(A)の表面にアクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)を含有するエマルジョン(EM−11):100重量部
・メラミン系化合物(DIC製“ベッカミン”(登録商標) APM)(B−1):30重量部
・カルボジイミド系化合物(日清紡製“カルボジライド”(登録商標) V−04B)(B−2):10重量部
<比較例5>
塗液中の塗料組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの特性などを表に示す。
<塗料組成物15>
水系溶媒に、下記エマルジョンを表に記載の比率で混合し、塗料組成物15を得た。
・金属酸化物粒子(A)の表面にアクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)を含有するエマルジョン(EM−4):100重量部
・メラミン系化合物(DIC製“ベッカミン”(登録商標) APM)(B−1):40重量部
<比較例6>
塗液中の塗料組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの特性などを表に示す。
<塗料組成物16>
水系溶媒に、下記エマルジョンを表に記載の比率で混合し、塗料組成物16を得た。
・金属酸化物粒子(A)の表面にアクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)を含有するエマルジョン(EM−4):100重量部
・カルボジイミド系化合物(日清紡製“カルボジライド”(登録商標) V−04B)(B−2):40重量部
<比較例7>
塗液中の塗料組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの特性などを表に示す。
<塗料組成物17>
水系溶媒に、下記エマルジョンを表に記載の比率で混合し、塗料組成物17を得た。
・金属酸化物粒子(A)の表面にアクリル樹脂(C)を有する組成物(AC)を含有するエマルジョン(EM−4):100重量部
・オキサゾリン系化合物(日本触媒 “エポクロス”(登録商標) WS−500)(B−3):40重量部
なお、表中、海島構造の有無や、海成分の金属酸化物(a)含有有無において、「Y」は「有り」、「N」は「無し」を表す。
本発明は、耐スクラッチ性と後加工塗布性を併せ持つ積層ポリエステルフィルムに関する。各種工業製品の加工に用いられるプラスチックフィルム、特にディスプレイ用途に用いられるハードコートフィルムや透明導電整理フィルム、各種表面保護フィルムや成形加飾用途に用いられるハードコートフィルム、および金属積層用フィルムの下地基材として好適に利用可能である。
Claims (6)
- ポリエステルフィルムの少なくとも一方に層(X)を有する積層ポリエステルフィルムであって、前記層(X)が少なくとも一方の表層にあり、前記層(X)の表面における水の後退接触角θrが45°以下であり、AFMによる弾性率マッピングにて観測した前記層(X)の表面が海島構造を有し、前記層(X)の海成分の弾性率が4.0Gpa以上であり、海成分の割合が60〜97%である積層ポリエステルフィルム。
- 前記層(X)の表面粗さが3〜20nmである請求項1に記載の積層ポリエステルフィルム。
- ヘイズが2.0%以下である請求項1または2に記載の積層ポリエステルフィルム。
- 前記層(X)がメラミン樹脂、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、イソシアネート化合物から選ばれる少なくとも1種類の架橋剤(b)を含有する請求項1から3のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
- 前記層(X)が、Si、Al、Ti、Zr、Feから選ばれる、少なくとも1種の金属酸化物粒子(a)を含有する請求項1から4のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
- 請求項1から5のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルムの製造方法であって、結晶配向が完了する前のポリエステルフィルムの少なくとも片面に、塗料組成物(x)を塗布した後、少なくとも一方向に延伸処理及び熱処理を施す工程を含み、前記塗料組成物(x)が、メラミン樹脂、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、イソシアネート化合物から選ばれる少なくとも2種類の架橋剤(b)、および金属酸化物粒子(a)を含有する積層ポリエステルフィルムの製造方法。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2023042576A1 (ja) * | 2021-09-17 | 2023-03-23 | 東レ株式会社 | 積層ポリエステルフィルム、積層体、および積層ポリエステルフィルムの製造方法 |
-
2020
- 2020-03-06 JP JP2020038443A patent/JP2021138071A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2023042576A1 (ja) * | 2021-09-17 | 2023-03-23 | 東レ株式会社 | 積層ポリエステルフィルム、積層体、および積層ポリエステルフィルムの製造方法 |
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