JP2022152150A - ガスバリア性フィルム用ベースフィルム、ガスバリア性フィルム用ベースフィルムの製造方法、ガスバリア性フィルム、およびガスバリア性フィルムの製造方法 - Google Patents

ガスバリア性フィルム用ベースフィルム、ガスバリア性フィルム用ベースフィルムの製造方法、ガスバリア性フィルム、およびガスバリア性フィルムの製造方法 Download PDF

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恵子 澤本
Keiko Sawamoto
一善 太田
Kazuyoshi Ota
誠 佐藤
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Abstract

【課題】生産性が高くかつシンプルな構成でも高度なガスバリア性を有するガスバリア性フィルムに用いることができるガスバリア性フィルム用ベースフィルム、ガスバリア性フィルム用ベースフィルムの製造方法、ガスバリア性フィルム、およびガスバリア性フィルムの製造方法を提供する。【解決手段】基材の少なくとも一方に、A層を有するガスバリア性フィルム用ベースフィルムであって、前記A層が粒子(X)を含有し、前記A層表面の吸着力が50nN以下である、ガスバリア性フィルム用ベースフィルム。【選択図】図2

Description

本発明は、基材の少なくとも一方にA層を有するガスバリア性フィルム用ベースフィルム、および高いガスバリア性が必要とされる食品、医薬品の包装材料や、太陽電池、電子ペーパー、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイなどの電子部品の材料に使用されるガスバリア性フィルムに関する。
フィルム基材の表面に、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理気相成長法(PVD法)、または、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(CVD法)等を利用して、無機物(無機酸化物を含む)の無機層を形成してなるガスバリア性フィルムは、水蒸気や酸素などの各種ガスの遮断を必要とする食品や医薬品などの包装材および電子ペーパー、太陽電池などの電子デバイス部材として用いられており、それらの部材において、水蒸気透過度で5.0×10-2g/m・24hr・atm以下の高いガスバリア性が求められている。
高いガスバリア性を満たす方法の1つとして、有機層と無機層を交互に多層積層させることで、穴埋め効果により欠陥の発生を防止したガスバリア性フィルム(特許文献1)や、ZnOとSiOを主成分とするターゲットを用いてスパッタリングすることで、ZnO-SiO系のような複合酸化物膜をフィルム基材上に形成した簡便な膜構成のガスバリア性フィルム(特許文献2)が提案されている。
また、ガスバリア性を向上させる目的で、基材上に形成されたエポキシ(メタ)アクリレート、またはウレタンアクリレートからなるアンダーコート層を介してバリア層を形成する手法が提案されている(特許文献3)。
特開2005-324406号公報 特開2013-147710号公報 特開2008-207406号公報
しかしながら、特許文献1のように有機層と無機層を交互に多層積層させることにより、高いバリア性を発現させることは可能であるが、積層させることから工程数が多くなり生産性に課題がある。また、特許文献2のように複合酸化物をスパッタリングにより形成する積層体は、特許文献1に比べると生産性よく製造出来るものの、製造方法の性質上、成膜速度の高速化に限界があること等から、生産性にさらなる改善の余地がある。
さらに特許文献3のようなアンダーコート層を形成する場合、アンダーコート層の膜厚がある程度必要となる上に、製造工程が増えるため、やはり生産性に課題がある。
本発明の課題は、かかる従来技術の背景に鑑み、生産性が高くかつシンプルな構成でも高度なガスバリア性を有するガスバリア性フィルムに用いることができるガスバリア性フィルム用ベースフィルム、ガスバリア性フィルム用ベースフィルムの製造方法、ガスバリア性フィルム、およびガスバリア性フィルムの製造方法を提供するものである。
本発明の好ましい一態様は以下の通りである。
(1)基材の少なくとも一方に、A層を有するガスバリア性フィルム用ベースフィルムであって、前記A層が粒子(X)を含有し、前記A層表面の吸着力が50nN以下である、ガスバリア性フィルム用ベースフィルム。
(2)基材の少なくとも一方に、A層を有するガスバリア性フィルム用ベースフィルムであって、前記A層の表面が海島構造を有し、前記A層の海成分の弾性率(G2)が4000MPa以下であり、島成分の弾性率(G1)と海成分の弾性率(G2)の比(G1/G2)が1.5~4.0である、ガスバリア性フィルム用ベースフィルム。
(3)前記A層表面の算術平均高さSaが10.0nm以下、かつ最大高さSzが150nm以下である、(1)または(2)に記載のガスバリア性フィルム用ベースフィルム。
(4)前記A層が粒子(X)を含有し、前記粒子(X)がアルミニウム、チタン、ジルコニウム、セレン、および鉄からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む金属酸化物粒子である、(1)~(3)のいずれかに記載のガスバリアフィルム用ベースフィルム。
(5)前記A層の膜厚が1000nm未満である、(1)~(4)のいずれかに記載のガスバリア性フィルム用ベースフィルム。
(6)前記A層が粒子(X)を含有し、前記粒子(X)の直径が5~300nmである、(4)または(5)に記載のガスバリア性フィルム用ベースフィルム。
(7)前記A層が粒子(X)を含有し、前記A層断面における粒子(X)の占める面積比率が30~90%である、(4)~(6)のいずれかに記載のガスバリア性フィルム用ベースフィルム。
(8)前記A層が、粒子(X)とウレタン樹脂(Y)を含む組成物(Z)を含む層であり、前記粒子(X)はアルミニウム、チタン、ジルコニウム、セレン、および鉄からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む金属酸化物粒子であり、前記組成物(Z)における粒子(X)の質量比率(x)とウレタン樹脂(Y)の質量比率(y)について((x)/(y))が30/70~70/30である、(1)~(7)のいずれかに記載のガスバリア性フィルム用ベースフィルム。
(9)(1)~(8)のいずれかに記載のガスバリア性フィルム用ベースフィルム上に、B層が積層されたガスバリア性フィルムであって、前記B層は、少なくとも金属または金属酸化物を含有する、ガスバリア性フィルム。
(10)基材の少なくとも一方に、A層とB層とをこの順で有するガスバリア性フィルムであって、前記A層が、粒子(X)とウレタン樹脂成分(Y)を含む組成物(Z)を含む層であり、前記粒子(X)はアルミニウム、チタン、ジルコニウム、セレン、および鉄からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む金属酸化物粒子であり、前記組成物(Z)における粒子(X)の質量比率(x)とウレタン樹脂(Y)の質量比率(y)について((x)/(y))が30/70~70/30であり、前記B層は、少なくとも金属または金属酸化物を含有する、ガスバリア性フィルム。
(11)前記B層は、陽電子ビーム法により測定される平均寿命が0.935ns以下である、(9)または(10)に記載のガスバリア性フィルム。
(12)前記B層はマグネシウム、カルシウム、チタン、ジルコニウム、亜鉛、およびアルミニウムからなる群より選ばれる1種、並びに、ケイ素またはスズまたはゲルマニウムのいずれか、並びに酸素を含む、(9)~(11)のいずれかに記載のガスバリア性フィルム。
(13)前記B層は、X線光電子分光により測定される酸素原子(O1s)のピークの半値幅が3.25eV以下である(9)~(12)のいずれかに記載のガスバリア性フィルム。
(14)前記B層は、マグネシウムおよびケイ素を含む、(9)~(13)のいずれかに記載のガスバリア性フィルム。
(15)前記B層は、マグネシウムおよびケイ素を含み、X線光電子分光により測定されるマグネシウム(Mg)原子濃度が5~50atm%、ケイ素(Si)原子濃度が2~30atm%、および酸素(O)原子濃度が45~70atm%である、(14)に記載のガスバリア性フィルム。
(16)前記B層は、マグネシウム(Mg)原子とケイ素(Si)原子の原子濃度(atm%)の比率Mg/(Mg+Si)が、0.30~0.90である、(14)または(15)に記載のガスバリア性フィルム。
(17)(1)~(8)のいずれかに記載のガスバリア性フィルム用ベースフィルムの製造方法であって、樹脂シートの少なくとも片面に、組成物(Z)を含む塗剤を塗布した後、少なくとも一方向に延伸処理および熱処理を施す工程を含み、前記組成物(Z)が、粒子(X)、ウレタン樹脂(Y)を含有し、前記粒子(X)が金属酸化物粒子であるガスバリア性フィルム用ベースフィルムの製造方法。
(18)(1)~(8)のいずれかに記載のガスバリア性フィルム用ベースフィルム上に、B層を真空蒸着法により形成する工程を含む、ガスバリア性フィルムの製造方法。
本発明によれば、生産性が高くかつシンプルな構成でも高度なガスバリア性を有するガスバリア性フィルムに用いることができるガスバリア性フィルム用ベースフィルム、ガスバリア性フィルム用ベースフィルムの製造方法、ガスバリア性フィルム、およびガスバリア性フィルムの製造方法を提供することができる。
本発明のA層表面をAFMを用いて測定して得られる弾性率像を二値化したものを模式的に示した図である。 本発明のガスバリア性フィルム用ベースフィルムの一例を示した断面図である。 本発明のガスバリア性フィルムの一例を示した断面図である。 本発明のガスバリア性フィルムを製造するための巻き取り式電子線蒸着装置を模式的に示す概略図である。 本発明のガスバリア性フィルムを製造するための材料配置を上部から模式的に表す図である。 本発明のガスバリア性フィルムを製造するための材料配置を横から模式的に表す図である。
以下に本発明の詳細を説明する。
[ガスバリア性フィルム用ベースフィルム]
本発明のガスバリア性フィルム用ベースフィルムの好ましい一態様は、基材の少なくとも一方に、A層を有するガスバリア性フィルム用ベースフィルムであって、前記A層が粒子(X)を含有し、前記A層表面の吸着力が50nN以下である。
本発明における吸着力とは、A層表面をAFM(Atomic Force Microscope(原子間力顕微鏡))を用い、後述する測定方法において評価することで求めた値である。AFMのタッピングモード測定では、プローブの先端がA層表面に接触し、A層表面に押し当てた後、A層から離れる動きをする。AFMのフォースカーブ波形解析から、吸着力を求めることができるが、吸着力が高いこととは、すなわちプローブの先端がA層に貼りつきやすいことを示す。A層表面の吸着力が50nN以下であることにより、A層上にガスバリア層を形成する際、ガスバリア層粒子の拡散性が良好となり、粒子がその場から動きやすく、粒子が安定な箇所まで移動することができる。それにより粒子が一か所に集まって島状にガスバリア膜が形成されてしまい疎になったガスバリア層が形成されることを抑制できるため、ガスバリア性を高くすることができる。同様の観点からA層表面の吸着力は45nN以下であることがより好ましく、40nN以下であることがさらに好ましい。
前記A層が粒子(X)を含有し、前記A層表面の吸着力を50nN以下とする達成手段としては、例えば前記粒子(X)がアルミニウム、チタン、ジルコニウム、セレン、および鉄からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む金属酸化物粒子であることを好ましく挙げることができる。A層が上記した金属酸化物粒子を含むことにより、A層の表面硬度が上昇するとともに、A層の表面に存在する樹脂成分を低減し、前述の吸着力をより下げることができるため、A層上にガスバリア層を形成する際、ガスバリア層粒子の拡散性が良好となるため緻密な膜が形成され、ガスバリア性が良好となる。また、上記達成手段として、前記A層が、粒子(X)と樹脂を含む組成物を含む層であり、前記組成物における粒子(X)の質量比率(x)と樹脂の質量比率について((x)/樹脂の質量比率)が30/70~70/30であることをより好ましく挙げることができる。粒子がある程度の量含まれることで上記した効果をより得ることができ、また粒子が多すぎないことで、凝集した粒子の形成を防ぐことができ、結果として樹脂成分が表面に多く露出することを抑制して吸着力を上記好ましい範囲とすることができる。
なかでも、上記達成手段として、前記A層が、粒子(X)とウレタン樹脂(Y)を含む組成物(Z)を含む層であり、前記粒子(X)はアルミニウム、チタン、ジルコニウム、セレン、および鉄からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む金属酸化物粒子であり、前記組成物(Z)における粒子(X)の質量比率(x)とウレタン樹脂(Y)の質量比率(y)について((x)/(y))が30/70~70/30であることをさらに好ましく挙げることができる。上記範囲とすることで、A層の表面近傍に金属酸化物粒子(X)、A層の基材層との界面近傍にウレタン樹脂(Y)を偏在化させる相分離構造を形成させることができる。A層の表面近傍に粒子(X)を偏在化させることにより、A層の表面近傍に吸着力の低い領域を形成させることができる。また、ウレタン樹脂(Y)を含むことで、上記した粒子(X)と組み合わせた際に相分離構造を形成しやすいため、吸着力を上記した範囲としやすい。ウレタン樹脂(Y)以外のその他の樹脂を用いると、粒子(X)と組み合わせた際に相分離構造を形成しにくいため、吸着力が大きくなりやすい。
また、本発明のガスバリア性フィルム用ベースフィルムの好ましい一態様は、基材の少なくとも一方に、A層を有するガスバリア性フィルム用ベースフィルムであって、前記A層の表面が海島構造を有し、前記A層の海成分の弾性率(G2)が4000MPa以下であり、島成分の弾性率(G1)と海成分の弾性率(G2)の比(G1/G2)が1.5~4.0である。
本発明のガスバリア性フィルム用ベースフィルムは、A層の表面に海島構造を有することが好ましい。本発明において海島構造を有するとは、実施例の「海島構造の有無」に記載された判断方法で海島構造を有する場合をいう。
ガスバリア性フィルム用ベースフィルムの上にガスバリア層を形成する際、ガスバリア層粒子の拡散性の観点から、ガスバリア性フィルム用ベースフィルム表面は吸着力が小さいことが好ましく、本発明のガスバリア性フィルム用ベースフィルムは前記A層の表面に海島構造を有することで、吸着力が低くなり、A層上にガスバリア層を形成する際、ガスバリア層粒子の拡散性が良好となり、粒子がその場にから動きやすく、粒子が安定な箇所まで移動することができる。しかも、前記A層の表面に海島構造を有する場合は、比較的平滑で粗さに起因した欠陥ができにくいことため、ガスバリア性フィルム用ベースフィルムとして好適に用いることができる。同様の観点から海島構造において、大きさが1μm以下の島を有することが好ましい。実施例に記載の海島構造の有無の評価の際、測定で得られた弾性率像において、黒一色の領域に囲まれた、白一色の領域の面積から把握することができる。
また、前記A層の海成分の弾性率(G2)が4000MPa以下であることが好ましい。本態様とすることにより、応力緩和効果が得られ、A層形成時のクラックなどの発生を抑制し、平滑な表面を形成することができるため、A層上にガスバリア層を形成した際、ガスバリア性が良好となる。海成分の弾性率(G2)の下限は特に限定されないが、ガスバリア性の観点から、現実的には1000MPa以上であることが好ましい。海成分の弾性率(G2)が1000MPa以上であることにより、吸着力が低くなり、A層上にガスバリア層を形成する際、ガスバリア層粒子の拡散性が良好となり、粒子がその場にから動きやすく、粒子が安定な箇所まで移動することができる。それにより粒子が一か所に集まって島状にガスバリア膜が形成されてしまい疎になったガスバリア層が形成されることを抑制できるため、ガスバリア性を高くすることができる。同様の観点から、海成分の弾性率(G2)は1500MPa以上3000MPa以下であることがより好ましい。
前記A層の島成分の弾性率(G1)と海成分の弾性率(G2)の比(G1/G2)が1.5~4.0であることが好ましい。本態様とすることにより、高弾性率である島成分のはたらきにより、ガスバリア層粒子の拡散性を向上させることができ、その結果ガスバリア性を高くすることができる。また、低弾性率である海成分全体で応力を緩和させることができ、A層のクラック発生を抑制することができる。また、A層上にガスバリア層を形成する際、ガスバリア層のクラック発生も抑制することができる。島成分の弾性率(G1)と海成分の弾性率(G2)の比(G1/G2)が1.5以上であることにより、島成分の弾性率を高くすることができ、ガスバリア性が良好となる。島成分の弾性率(G1)と海成分の弾性率(G2)の比(G1/G2)が4.0以下であることにより、海成分と島成分の弾性率差が大きくなりすぎることを防ぎ、応力集中によるA層のクラックの発生を抑制することができる。同様の観点から、島成分の弾性率(G1)と海成分の弾性率(G2)の比(G1/G2)は、2.0以上3.5以下であることがより好ましく、2.5以上3.5以下であることがさらに好ましい。
上記した海島構造を得る手段として、前記A層が、粒子(X)とウレタン樹脂(Y)を含む組成物(Z)を含む層であり、前記粒子(X)はアルミニウム、チタン、ジルコニウム、セレン、および鉄からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む金属酸化物粒子であり、前記組成物(Z)における粒子(X)の質量比率(x)とウレタン樹脂(Y)の質量比率(y)について((x)/(y))が30/70~70/30であることを好ましく挙げることができる。
本発明のガスバリア性フィルム用ベースフィルムでは、前記A層表面の算術平均高さSaが10.0nm以下、かつ最大高さSzが150nm以下であることが好ましい。本発明における算術平均高さSa、および最大高さSzは、A層表面を走査型白色干渉顕微鏡(“VertScan”(登録商標))を用い、後述する測定方法において評価することで得られる。算術平均高さSaを10.0nm以下、かつ最大高さSzを150nm以下にすることにより、A層上にガスバリア層を形成する際、欠点の少ない緻密なガスバリア層が形成され、ガスバリア性が良好となるため好ましい。同様の観点からA層表面の算術平均高さSaが8.0nm以下、かつ最大高さSzが120nm以下であることがより好ましく、Saが6.0nm以下、かつSzが100nm以下であることがさらに好ましい。Saは0.1nm以上、かつSzが10nm以上であることが好ましい。Saが0.1nm以上、かつSzが10nm以上であることにより、ガスバリア層が密着性不良となることを抑制できるため、好ましい。特に、前記A層表面の吸着力が50nN以下、および/または前記A層の表面が海島構造を有しつつ、算術平均高さSaを10.0nm以下かつ最大高さSzを150nm以下にすることにより、拡散性がありつつも凝集物等に起因する粗大な欠陥の発生を防ぐことができる。
本発明のガスバリア性フィルム用ベースフィルムでは、前記粒子(X)がアルミニウム、チタン、ジルコニウム、セレン、および鉄からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む金属酸化物粒子であることが好ましい。A層が金属酸化物粒子を含むことにより、A層の硬度が上昇し、前述の吸着力をより下げることができるため、A層上にガスバリア層を形成する際、ガスバリア層粒子の拡散性が良好となるため緻密な膜が形成され、ガスバリア性が良好となる。アルミニウム、チタン、ジルコニウム、セレン、および鉄からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む金属酸化物粒子は、粒径を細かくしつつも高い分散性を持たすことができることから、A層が当該金属酸化物粒子を含むことにより、A層表面に緻密なナノ凹凸構造を形成することができる。A層表面を緻密なナノ凹凸構造とすることにより、A層上にガスバリア層を形成する際、欠点を少なくすることができ、疎なガスバリア層が形成されるのを抑制できるため好ましい。
前記粒子(X)がアルミニウム、チタン、ジルコニウム、セレン、および鉄からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む金属酸化物粒子であることを確認する方法は以下の通りである。
まず、ミクロトームを用いてガスバリア性フィルム用ベースフィルムの表面に対して垂直方向に切削した小片を作成し、その断面を走査透過型電子顕微鏡(STEM:Scanning Transmission Electron Microscope)を用いて100000倍に拡大観察して撮影する。その断面写真を観察し、コントラスト差により見分けられる粒子部分について、電子エネルギー損失分光法(EELS:Electron Energy Loss Spectroscopy)を用いて組成分析を実施することで確認できる。
本発明のガスバリア性フィルム用ベースフィルムでは、前記A層の膜厚が1000nm未満であることが好ましい。A層の膜厚を1000nm未満にすることにより、A層中の粒子が沈降、凝集して透明性が損なわれたり、拡散性が悪化することを防ぐことができる。また、A層の膜厚を1000nm未満にすることにより、A層をインラインコート法で形成することが可能となり、基材の製造に際してA層も形成できるため、生産性が向上するため好ましい。なお、インラインコート法の詳細については後述する。A層の膜厚は800nm未満であることがより好ましく、600nm未満であることが透明性の観点からさらに好ましい。膜厚の下限は特に限定されないが、現実的には5nm程度が下限である。
本発明のガスバリア性フィルム用ベースフィルムでは、前記粒子(X)の直径が5~300nmであることが好ましい。なお、「~」は以上、以下を意味するものであり、以下同様である。粒子(X)の直径が5nm以上であることで、粒子の凝集物等に起因する欠点を抑制することができる。粒子(X)の直径が300nm以下であることで、A層表面を緻密なナノ凹凸構造に制御することができ、A層上にガスバリア層を形成した際ガスバリア性に優れるため好ましい。同様の観点から粒子(X)の直径は10~200nmであることがより好ましく、10~100nmであることがさらに好ましい。なお、本発明における粒子(X)の直径とは、後述する方法によって走査透過型電子顕微鏡(STEM:Scanning Transmission Electron Microscope)により求められる。
本発明のガスバリア性フィルム用ベースフィルムでは、前記A層断面における粒子(X)の占める面積比率が30~90%であることが好ましい。粒子(X)の占める面積比率が30%以上であると、A層表面をより緻密なナノ凹凸構造に制御することができるため、A層上にガスバリア層を形成した際、ガスバリア性に優れるため好ましい。粒子(X)の占める面積比率が90%以下であると、基材とA層の密着性が良好となるため好ましい。同様の観点からA層断面における粒子(X)の占める面積比率が40~90%であることがより好ましい。なお、本発明における粒子(X)の面積比率とは、後述する方法によって走査透過型電子顕微鏡(STEM)により求められる。
本発明のガスバリア性フィルム用ベースフィルムでは、前記A層が、粒子(X)とウレタン樹脂(Y)を含む組成物(Z)を含む層であり、前記粒子(X)はアルミニウム、チタン、ジルコニウム、セレン、および鉄からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む金属酸化物粒子であり、前記組成物(Z)における粒子(X)の質量比率(x)とウレタン樹脂(Y)の質量比率(y)について((x)/(y))が30/70~70/30であることが好ましい。上記範囲とすることで、A層の表面近傍に金属酸化物粒子(X)、A層の基材層との界面近傍にウレタン樹脂(Y)を偏在化させる相分離構造を形成させることができる。A層の表面近傍に粒子(X)を偏在化させることにより、A層の表面近傍は吸着力の低い領域を形成させることができ、加えてガスバリア層形成時の核付け層としても機能するため、A層上にガスバリア層を形成した際、緻密なガスバリア層を形成することができるため良好なガスバリア性を得ることができる。A層の内層では柔軟なウレタン樹脂(Y)による応力緩和によってA層形成時のクラックなどの発生を抑制し、平滑な表面を形成することができるため、A層上にガスバリア層を形成した際、ガスバリア性が良好となる。また、A層上にガスバリア層を形成する際、ガスバリア層のクラック発生も抑制することができる。また、上記態様とすることで、前記A層表面の吸着力が50nN以下、および/または前記A層の表面が海島構造を有しつつ、算術平均高さSaを10.0nm以下かつ最大高さSzを150nm以下にすることができ、拡散性がありつつも凝集物等に起因する粗大な欠陥の発生を防ぐことができる。
前記A層の組成に関する定性定量分析は以下の方法で行うことができる。
まず、フィルム片をアルコール系溶媒中へ浸漬し、A層組成物を溶媒に溶解させる。A層組成物が溶解したかどうかは、後述するA層の膜厚み評価方法と同様にA層の膜厚みを測定することで確認できる。次いで、溶媒に溶解させた試料をH-NMR分析し、各ピークを帰属し、その積分比からA層中の粒子Xとウレタン樹脂Yの含有量を算出する。
[粒子(X)]
粒子(X)は特に限定されないが、金属や半金属の酸化物、窒化物、ホウ素化物、塩化物、炭酸塩であることが好ましく、2種類の金属、半金属を含む複合酸化物でもよい。なかでも、粒子Xを分散させA層表面により微細なナノ凹凸構造を形成する観点から粒子(X)は、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、セレン、および鉄からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む金属酸化物粒子であることが好ましい。前記金属酸化物粒子としては、具体的には、酸化アルミニウム(Al)、二酸化チタン(TiO)、二酸化ジルコニウム(ZrO)、二酸化セレン(SeO)、酸化鉄(Fe)粒子などが挙げられる。これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
特に、金属酸化物粒子として、酸化チタン(TiO)粒子、酸化アルミニウム(Al)粒子、酸化ジルコニウム(ZrO)粒子を用いると、A層表面のナノ凹凸構造をより緻密に制御することができ、A層上に緻密なガスバリア層を形成できるため、良好なガスバリア性が得られ好ましい。
本発明のガスバリア性フィルム用ベースフィルムに用いられる粒子(X)は、粒子(X)の表面の一部または全部に、アクリル樹脂(D)を有する組成物(XD)であることが好ましい。アクリル樹脂(D)を有する組成物(XD)とすることで、A層中の粒子(X)をナノ分散させることができ、A層表面の吸着力を均一にすることができる。その結果、A層上にガスバリア層を形成した際、良好なガスバリア性を得ることができる。
粒子(X)の表面の一部または全部に、アクリル樹脂(D)を有する組成物(XD)となるためには、後述する粒子(X)をアクリル樹脂(D)で表面処理する方法などを挙げることができる。具体的には、以下の(i)~(iv)の方法が例示される。なお、本発明において、表面処理とは、特定の元素を有する粒子(X)の表面の全部または一部にアクリル樹脂(D)を吸着・付着させる処理をいう。
(i)粒子(X)とアクリル樹脂(D)をあらかじめ混合した混合物を溶媒中に添加した後、分散する方法。
(ii)溶媒中に、粒子(X)とアクリル樹脂(D)を順に添加して分散する方法。
(iii)溶媒中に、粒子(X)とアクリル樹脂(D)をあらかじめ分散し、得られた分散体を混合する方法。
(iv)溶媒中に、粒子(X)を分散した後、得られた分散体に、アクリル樹脂(D)を添加する方法。
これらのいずれの方法によっても目的とする効果を得ることができる。
また、分散を行う装置としては、ディゾルバー、ハイスピードミキサー、ホモミキサー、ミーダー、ボールミル、ロールミル、サンドミル、ペイントシェーカー、SCミル、アニュラー型ミル、ピン型ミル等が使用できる。
また、分散方法としては、上記装置を用いて、回転軸を周速5~15m/sで回転させる。回転時間は5~10時間である。
また、分散時に、ガラスビーズ等の分散ビーズを用いることが分散性を高める点でより好ましい。ビーズ径は、好ましくは0.05~0.5mm、より好ましくは0.08~0.5mm、特に好ましくは0.08~0.2mmである。
混合、攪拌する方法は、容器を手で振ったり、マグネチックスターラーや攪拌羽根を用いたり、超音波照射、振動分散などを行うことができる。
なお、粒子(X)の表面の全部または一部への、アクリル樹脂(D)の吸着・付着の有無は、次の分析方法により確認可能である。測定対象物を、日立卓上超遠心機(日立工機株式会社製:CS150NX)により遠心分離を行い(回転数3,0000rpm、分離時間30分)、粒子(X)(および粒子(X)の表面に吸着したアクリル樹脂(D))を沈降させた後、上澄み液を除去し、沈降物を濃縮乾固する。濃縮乾固した沈降物をX線光電子分光法(XPS)により分析し、粒子(X)の表面におけるアクリル樹脂(D)の有無を確認する。粒子(X)の表面に、粒子(X)の合計100質量%に対して、アクリル樹脂(D)が1質量%以上存在することが確認された場合、粒子(X)の表面に、アクリル樹脂(D)が吸着・付着しているものとする。
[アクリル樹脂(D)]
本発明におけるアクリル樹脂(D)とは、式(1)で表れるモノマー単位(d)と、式(2)で表されるモノマー単位(d)と、式(3)で表されるモノマー単位(d)を有する樹脂であることが好ましい。
Figure 2022152150000002
(式(1)において、R基は、水素元素またはメチル基を表す。またnは、9以上34以下の整数を表す。)
Figure 2022152150000003
(式(2)において、R基は、水素元素またはメチル基を表す。また、R基は、飽和の炭素環を2つ以上含む基を表す。)
Figure 2022152150000004
(式(3)において、R基は、水素元素またはメチル基を表す。また、R基は、水酸基、カルボキシル基、3級アミノ基、4級アンモニウム塩基、スルホン酸基、または、リン酸基を表す。)
ここで、本発明におけるアクリル樹脂(D)は、式(1)で表されるモノマー単位(d)を有する樹脂であることが好ましい。
式(1)において、nが9以上のモノマー単位を有するアクリル樹脂を用いると、水系溶媒(水系溶媒の詳細については、後述する。)中における粒子(X)の分散性が良好となる。式(1)におけるnが9以上のモノマー単位を有するアクリル樹脂を用いると、組成物を含む塗剤中において粒子(X)が激しく凝集して場合によっては水系溶媒中で粒子(X)が沈降することを防ぐことができる。その結果、ガスバリア性ベースフィルムの透明性が良好となり、凝集物起因の欠点も少なくすることができる。式(1)におけるnが34未満のモノマー単位を有するアクリル樹脂は、水系溶媒への溶解性があるため、水系溶媒中においてアクリル樹脂の凝集を防ぐことができる。上記のような式(1)で表されるモノマー単位(d)を有する樹脂を用いることで、粒子(X)が適度な相互作用で水系溶媒中では分散する一方で、乾燥後は複数の粒子(X)が異方性を持って、A層中でナノオーダーレベルに微細に凝集するため、A層表面の吸着力を制御することができ、A層上にガスバリア層を形成した際、ガスバリア性に優れるため好ましい。
本発明におけるアクリル樹脂(D)が、式(1)で表されるモノマー単位(d)を有するために、次の式(4)で表される(メタ)アクリレートモノマー(d’)を原料として用い、重合する方法を好ましくとることができる。
該(メタ)アクリレートモノマー(d’)としては、式(4)におけるnが9以上34以下の整数で表される(メタ)アクリレートモノマーが好ましく、より好ましくは11以上32以下の(メタ)アクリレートモノマー、更に好ましくは13以上30以下の(メタ)アクリレートモノマーである。
Figure 2022152150000005
(メタ)アクリレートモノマー(d’)は、式(4)におけるnが9以上34以下である(メタ)アクリレートモノマーであれば特に制限されないが、具体的にはデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、1-メチルトリデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート、テトラコシル(メタ)アクリレート、トリアコンチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、特にドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレートが好ましい。これらは1種で使用してもよく、2種以上の混合物を使用してもよい。
また、本発明におけるアクリル樹脂(D)は、前記式(2)で表されるモノマー単位(d)を有する樹脂であることがより好ましい。
式(2)において、飽和の炭素環を2つ以上含むモノマー単位を有するアクリル樹脂を用いると、立体障害としての機能が発現され、組成物を含む塗剤中において粒子(X)が凝集または沈降したりするのを防ぐことができる。その結果、ガスバリア性ベースフィルムの透明性が良好となり、凝集物起因の欠点も少なくすることができる。
本発明におけるアクリル樹脂(D)が、式(2)で表されるモノマー単位(d)を有するために、次の式(5)で表される(メタ)アクリレートモノマー(d’)を原料として用い、重合する方法を好ましくとることができる。
式(5)で表される(メタ)アクリレートモノマー(d’)としては、架橋縮合環式(2つまたはそれ以上の環がそれぞれ2個の元素を共有して、結合した構造を有する)、スピロ環式(1個の炭素元素を共有して、2つの環状構造が結合した構造を有する)などの各種環状構造、具体的には、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ基などを有する化合物が例示でき、その中でも特にバインダーとの相溶性の観点から、ビシクロ基を含有する(メタ)アクリレートが好ましい。
Figure 2022152150000006
上記ビシクロ基を含有する(メタ)アクリレートとしては、イソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、ジシロクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジメチルアダマンチル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、特にイソボルニル(メタ)アクリレートが好ましい。
さらに、本発明におけるアクリル樹脂(D)は、前記式(3)で表されるモノマー単位(d)を有する樹脂であることが好ましい。
式(3)におけるR基が、水酸基、カルボキシル基、3級アミノ基、4級アンモニウム基、スルホン酸基、リン酸基、のいずれかのモノマー単位を有するアクリル樹脂を用いると、アクリル樹脂の水系溶媒中への相溶性に優れるため、組成物を含む塗剤中において、アクリル樹脂が析出したり、それに伴い粒子(X)が凝集または沈降したり、乾燥工程において粒子(X)が凝集したりするのを防ぐことができる。
本発明におけるアクリル樹脂(D)が、式(3)で表されるモノマー単位(d)を有するために、式(6)で表される(メタ)アクリレートモノマ(d’)を原料として用い、重合する方法を好ましくとることができる。
式(6)で表される(メタ)アクリレートモノマー(d’)として次の化合物が例示される。
Figure 2022152150000007
水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2、3-ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどの多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのモノエステル化物、あるいは、該モノエステル化物にε-カプロラプトンを開環重合した化合物などが挙げられ、特に2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートが好ましい。
カルボキシル基を有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマール酸、マレイン酸などのα、β-不飽和カルボン酸、あるいは、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと酸無水物とのハーフエステル化物などが挙げられ、特にアクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
3級アミノ基含有モノマーとしては、N、N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N、N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N、N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、などのN、N-ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、N、N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N、N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N、N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどのN、N-ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられ、特にN、N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
4級アンモニウム塩基含有モノマーとしては、上記3級アミノ基含有モノマーにエピハロヒドリン、ハロゲン化ベンジル、ハロゲン化アルキルなどの4級化剤を作用させたものが好ましく、具体的には、2-(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライド、2-(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムブロマイド、2-(メタクリロイオキシ)エチルトリメチルアンモニウムジメチルホスフェートなどの(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリアルキルアンモニウム塩、メタクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムブロマイドなどの(メタ)アクリロイルアミノアルキルトリアルキルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム(メタ)アクリレートなどのテトラアルキル(メタ)アクリレート、トリメチルベンジルアンモニウム(メタ)アクリレートなどのトリアルキルベンジルアンモニウム(メタ)アクリレートなどが挙げられ、特に2-(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライドが好ましい。
スルホン酸基含有モノマーとしては、ブチルアクリルアミドスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸などの(メタ)アクリルアミド-アルカンスルホン酸、あるいは、2-スルホエチル(メタ)アクリレートなどのスルホアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、特に2-スルホエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
リン酸基含有アクリルモノマーとしては、アシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、特にアシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
この中でも、特にアクリル樹脂(D)が、前記式(3)で表されるモノマー単位(d)を有する樹脂であり、式(3)におけるR基が、水酸基、カルボキシル基であることが、前述の粒子(X)との相性が高く、より強固な膜を形成できる点で好ましい。
本発明では、A層中のアクリル樹脂(D)の含有量は5~30質量%であることが好ましく、10~30質量%であることがより好ましい。この範囲とすることで、粒子(X)とアクリル樹脂(D)の吸着が強固になり、A層の表面の吸着力を均一にすることができる。なお、本発明において、A層中の含有量とは、A層を形成する塗剤組成物の固形分([(塗剤組成物の質量)-(溶媒の質量)])中の含有量を表す。
[ウレタン樹脂(Y)]
本発明のガスバリア性フィルム用ベースフィルムは、A層がウレタン樹脂(Y)を含むことが好ましい。ウレタン樹脂を含有することでA層の極性力が向上し、A層上にガスバリア層を形成した際、ガスバリア層との密着性を向上することができる。A層にウレタン樹脂を含有させる方法として、A層にポリウレタン樹脂を含有させる方法が挙げられる。
ポリウレタン樹脂としては、例えば、ポリイソシアネート化合物(I)由来の構成単位とポリオール(II)単位を有する樹脂を使用することができる。尚、ポリウレタン樹脂は、ポリイソシアネート化合物(I)単位およびポリオール(II)単位以外の他の単位(例えば、カルボン酸単位、アミン単位など)を有していてもよい。
ポリウレタン樹脂としては、例えば、ポリアクリル系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、ポリエステル系ポリウレタン樹脂などである。ポリウレタン樹脂は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ポリイソシアネート化合物(I)としては、イソシアネート基を2個以上有するものであれば、特に限定されない。
ポリイソシアネート化合物(I)としては、例えば、ポリイソシアネート(例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネートなど)、ポリイソシアネートの変性体[又は誘導体、例えば、多量体(二量体、三量体など)、カルボジイミド体、ビウレット体、アロファネート体、ウレットジオン体、ポリアミン変性体など]などが挙げられる。ポリイソシアネート化合物(I)は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。脂肪族ポリイソシアネートとしては、特に限定されないが、例えば、脂肪族ジイソシアネート[例えば、アルカンジイソシアネート(例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2-メチルペンタン-1,5-ジイソシアネート、3-メチルペンタン-1,5-ジイソシアネートなどのC2-20アルカンジイソシアネート、好ましくはC4-12アルカンジイソシアネートなど)]、3以上のイソシアネート基を有する脂肪族ポリイソシアネート(例えば、1,4,8-トリイソシアナトオクタンなどの脂肪族トリ乃至ヘキサイソシアネートなど)などが挙げられる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、特に限定されないが、例えば、脂環族ジイソシアネート{例えば、シクロアルカンジイソシアネート(例えば、メチル-2,4-又は2,6-シクロヘキサンジイソシアネートなどのC5-8シクロアルカンジイソシアネートなど)、イソシアナトアルキルシクロアルカンイソシアネート[例えば、3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、IPDI)などのイソシアナトC1-6アルキルC5-10シクロアルカンイソシアネートなど]、ジ(イソシアナトアルキル)シクロアルカン[例えば、水添キシリレンジイソシアネートなどのジ(イソシアナトC1-6アルキル)C5-10シクロアルカン]、ジ(イソシアナトシクロアルキル)アルカン[例えば、水添ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート(4,4’-メチレンビスシクロヘキシルイソシアネート)などのビス(イソシアナトC5-10シクロアルキル)C1-10アルカンなど]、ポリシクロアルカンジイソシアネート(ノルボルナンジイソシアネートなど)など}、3以上のイソシアネート基を有する脂環族ポリイソシアネート(例えば、1,3,5-トリイソシアナトシクロヘキサンなどの脂環族トリ乃至ヘキサイソシアネートなど)などが挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、特に限定されないが、例えば、芳香脂肪族ジイソシアネート{例えば、ジ(イソシアナトアルキル)アレーン[例えば、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)(1,3-又は1,4-ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ベンゼン)などのビス(イソシアナトC1-6アルキル)C6-12アレーンなど]}、3以上のイソシアネート基を有する芳香脂肪族ポリイソシアネート(例えば、芳香脂肪族トリ乃至ヘキサイソシアネートなど)などが挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、特に限定されないが、例えば、芳香族ジイソシアネート{例えば、アレーンジイソシアネート[例えば、o-,m-又はp-フェニレンジイソシアネート、クロロフェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート(NDI)などのC6-12アレーンジイソシアネートなど]、ジ(イソシアナトアリール)アルカン[例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)(2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートなど)、トリジンジイソシアネートなどのビス(イソシアナトC6-10アリール)C1-10アルカンなど]、3以上のイソシアネート基を有する芳香族ポリイソシアネート(例えば、4,4’-ジフェニルメタン-2,2’,5,5’-テトライソシアネートなどの芳香族トリ乃至ヘキサイソシアネートなど)などが挙げられる。
本発明ではポリイソシアネート化合物(I)として、脂環族ポリイソシアネートを用いることが、A層やB層の耐クラック性の点で好ましい。
ポリオール(II)としては、ヒドロキシル基を2個以上有するものであれば、特に限定されない。
ポリオール(II)としては、例えば、ポリアクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリウレタンポリオールなどが挙げられる。ポリオール(II)は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ポリアクリルポリオールとしては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル単位とヒドロキシル基を有する成分由来の単位(ヒドロキシル基を有する成分単位)を有する共重合体などである。ポリアクリルポリオールは、(メタ)アクリル酸エステル単位とヒドロキシル基を有する成分単位以外の単位を有していてもよい。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、多価カルボン酸成分単位とポリオール成分単位を有する共重合体などである。ポリエステルポリオールは、多価カルボン酸成分単位とポリオール成分単位以外の単位を有していてもよい。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、多価アルコールにアルキレンオキシドを付加させた共重合体などである。多価アルコールとしては、特に限定されず、例えば、上記した二価アルコールなどを使用することができる。多価アルコールは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
また、アルキレンオキシドとしては、特に限定されず、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドなどのC2-12アルキレンオキシドなどが挙げられる。アルキレンオキシドは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。ポリウレタン樹脂は、構成成分として、鎖延長剤を含んでいてもよい(又は、鎖延長剤由来の構成単位を有していてもよい)。
鎖延長剤としては、特に限定されず、例えば、グリコール類(例えば、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオールなどのC2-6アルカンジオール)、多価アルコール類(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどのC2-6アルカントリ乃至ヘキサオール)、ジアミン類(例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などの一般的な鎖延長剤を使用してよい。
本発明のガスバリア性フィルム用ベースフィルムは、A層にエーテル成分を含有することが好ましい。A層にエーテル成分を含有することで、ポリエーテル構造の高柔軟性ゆえ、加工時に発生する応力を緩和することができ、加工性を向上させることができる。
さらに、本発明のガスバリア性フィルム用ベースフィルムでは、A層にエーテル成分とともにウレタン成分を含有することが好ましい。A層にウレタン成分とエーテル成分を含有させると、相溶性が制御され、A層に粒子(X)を含有した際に、A層表面にナノ凹凸構造を形成するのが容易となる。A層にウレタン成分とエーテル成分を含有させる方法としては特に限られるものでは無いが、エーテル結合を有するウレタン樹脂を用いる方法が挙げられる。具体的には、ポリエーテルポリオール化合物とイソシアネート化合物を反応させて得られるウレタン樹脂であることが好ましい。なお、本発明において、エーテル成分を有するとはエーテル結合を有していることを表し、ウレタン成分を有するとはウレタン結合を有していることを表す。
上記のようなウレタン樹脂(Y)を用いると、ウレタン樹脂の親水性が高くなる。そのため、粒子(X)や粒子(X)の表面の一部または全部にアクリル樹脂(D)を有する組成物(XD)と、ウレタン樹脂(Y)を含む組成物(Z)を含む塗剤を基材層となるポリエステルフィルムの少なくとも片面に塗布した後に加熱してA層を形成する際に、親水性の高いウレタン樹脂(Y)はA層内において基材層であるポリエステルフィルム側に偏在し、比較的親水性の低い粒子(X)や粒子(X)の表面の一部または全部にアクリル樹脂(D)を有する組成物(XD)はA層の表面近傍に偏在するという相分離構造を形成することができる。A層の表面近傍に粒子(X)、A層の基材層との界面近傍にウレタン樹脂(Y)を偏在化させる相分離構造を有することで、A層の表面近傍は吸着力の低い領域を形成させることができ、A層の内層では柔軟なウレタン樹脂(Y)による応力緩和によってA層形成時のクラックなどの発生を抑制し、平滑な表面を形成することができるため、A層上にガスバリア層を形成した際、良好なガスバリア性を得ることができる。
本発明のガスバリア性フィルム用ベースフィルムでは、前記A層が、粒子(X)とウレタン樹脂(Y)を含む組成物(Z)を含む層であり、前記粒子(X)はアルミニウム、チタン、ジルコニウム、セレン、および鉄からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む金属酸化物粒子であり、前記組成物(Z)における粒子(X)の質量比率(x)とウレタン樹脂(Y)の質量比率(y)について((x)/(y))が30/70~70/30であることが好ましい。前記組成物(Z)は、粒子(X)とウレタン樹脂(Y)以外のその他成分を含んでいてもよく、その他成分の含有量としては50%以下であることが好ましい。その他成分の含有量を50%以下にすることにより、A層の表面近傍に粒子(X)、A層の基材層との界面近傍にウレタン樹脂(Y)を偏在化させる相分離構造を形成することができる。
[その他成分]
本発明のガスバリア性フィルム用ベースフィルムは、A層が、メラミン化合物、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、イソシアネート化合物、エポキシ化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する組成物(Z)により形成されると、A層が緻密架橋構造となるため、A層上にガスバリア層を形成した際、良好なガスバリア性を得ることができるため好ましい。そのため、本発明のガスバリア性フィルム用ベースフィルムのA層は、メラミン化合物、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、イソシアネート化合物、エポキシ化合物に由来する成分を含むことが好ましい。
特にその中でもメラミン化合物、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物を含む組成物(Z)を用いると、A層に窒素含有官能基が導入されるため極性力が向上し、A層上にガスバリア層を形成した際、ガスバリア層との密着性を向上できるため好ましい。
メラミン系化合物としては、例えば、メラミン、メラミンとホルムアルデヒドを縮合して得られるメチロール化メラミン誘導体、メチロール化メラミンに低級アルコールを反応させて部分的あるいは完全にエーテル化した化合物、およびこれらの混合物などを用いることができる。具体的には、トリアジンとメチロール基を有する化合物が特に好ましい。本発明におけるメラミン化合物とは、次に述べるメラミン化合物が、ウレタン樹脂(Y)や、アクリル樹脂(D)、オキサゾリン化合物、またはカルボジイミド化合物、イソシアネート化合物、エポキシ化合物などと架橋構造を形成する場合は、メラミン化合物に由来する成分を意味する。またメラミン系化合物としては単量体、2量体以上の多量体からなる縮合物にいずれでもよく、これらの混合物でもよい。エーテル化に用いられる低級アルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、イソブタノールなどを用いることができる。基としては、イミノ基、メチロール基、あるいはメトキシメチル基やブトキシメチル基等のアルコキシメチル基を1分子中に有するもので、イミノ基型メチル化メラミン樹脂、メチロール基型メラミン樹脂、メチロール基型メチル化メラミン樹脂、完全アルキル型メチル化メラミン樹脂などである。その中でもメチロール化メラミン樹脂が最も好ましい。更に、メラミン系化合物の熱硬化を促進するため、例えばp-トルエンスルホン酸などの酸性触媒を用いてもよい。
このようなメラミン系化合物を用いると、メラミン系化合物の自己縮合による塗膜硬度アップによる緻密性向上が見られるだけでなく、アクリル樹脂に含まれる水酸基やカルボン基とメラミン系化合物の反応が進行し、より強固な樹脂層を得ることができ、A層上にガスバリア層を形成した際、ガスバリア性に優れるフィルムを得ることができる。
オキサゾリン化合物とは、次に述べるオキサゾリン化合物、もしくはオキサゾリン化合物がウレタン樹脂(Y)や、アクリル樹脂(D)、メラミン化合物、イソシアネート化合物、またはカルボジイミド化合物などと架橋構造を形成する場合は、オキサゾリン化合物に由来する成分を意味する。オキサゾリン化合物としては、該化合物中に官能基としてオキサゾリン基を有するものであれば特に限定されるものではないが、オキサゾリン基を含有するモノマーを少なくとも1種以上含み、かつ、少なくとも1種の他のモノマーを共重合させて得られるオキサゾリン基含有共重合体からなるものが好ましい。
オキサゾリン基を含有するモノマーとしては、2-ビニル-2-オキサゾリン、2-ビニル-4-メチル-2-オキサゾリン、2-ビニル-5-メチル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-4-メチル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-5-エチル-2-オキサゾリンなどを用いることができ、これらの1種または2種以上の混合物を使用することもできる。中でも、2-イソプロペニル-2-オキサゾリンが工業的にも入手しやすく好適である。
オキサゾリン化合物において、オキサゾリン基を含有するモノマーに対して用いられる少なくとも1種の他のモノマーとしては、該オキサゾリン基を含有するモノマーと共重合可能なモノマーであれば、特に限定されないが、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸-2-エチルヘキシルなどのアクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステル類、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸などの不飽和カルボン酸類、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの不飽和ニトリル類、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミドなどの不飽和アミド類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類、エチレン、プロピレンなどのオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニルなどの含ハロゲン-α,β-不飽和モノマー類、スチレン、α-メチルスチレンなどのα,β-不飽和芳香族モノマー類などを用いることができ、これらの1種または2種以上の混合物を使用することもできる。
本発明におけるカルボジイミド化合物とは、次に述べるカルボジイミド化合物、もしくはカルボジイミド化合物がウレタン樹脂(Y)や、アクリル樹脂(D)、メラミン化合物、イソシアネート化合物、またはオキサゾリン化合物などと架橋構造を形成する場合は、カルボジイミド化合物に由来する成分を意味する。カルボジイミド化合物とは、該化合物中に官能基としてカルボジイミド基、またはその互変異性の関係にあるシアナミド基を分子内に1個または2個以上有する化合物であれば特に限定されるものではない。
カルボジイミド化合物の製造には公知の技術を適用することができ、一般的には、ジイソシアネート化合物を触媒存在下で重縮合することによりカルボジイミド化合物が得られる。該カルボジイミド化合物の出発原料であるジイソシアネート化合物としては、芳香族、脂肪族、脂環式ジイソシアネートなどを用いることができ、具体的にはトリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルジイソシアネートなどを用いることができる。
[基材層]
本発明のガスバリア性フィルム用ベースフィルムの好ましい一態様は、基材の少なくとも一方に、A層を有する(以下、基材を基材層と呼称する場合がある)。基材層として用いられるものは特に限定されないが、ポリエステルを主成分とする層であることが好ましい。なお、本発明において主成分とは、層を構成する樹脂全体に対して50質量%以上をしめる成分をあらわす。
本発明において、基材層は、粒子の含有量が、基材層全体に対して、0.1質量%以下であることが好ましい。粒子の含有量を上記の範囲とすることで、内部へイズを0.2%以下とすることができ、透明性に優れたガスバリア性フィルム用ベースフィルムとすることができる。
以下、本発明のガスバリア性フィルム用ベースフィルムの基材層に用いられるポリエステルについて述べる。まずポリエステルとは、エステル結合を主鎖に有する高分子の総称であって、エチレンテレフタレート、プロピレンテレフタレート、エチレン-2,6-ナフタレート、ブチレンテレフタレート、プロピレン-2,6-ナフタレート、エチレン-α,β-ビス(2-クロロフェノキシ)エタン-4,4’-ジカルボキシレートなどから選ばれた少なくとも1種の構成成分とするものを好ましく用いることができる。
上記ポリエステルを使用したポリエステルフィルムは、二軸配向されたものであるのが好ましい。二軸配向ポリエステルフィルムとは、一般に、未延伸状態のポリエステルシート又はフィルムを長手方向および長手方向に直行する幅方向に各々2.5~5倍程度延伸され、その後、熱処理を施されて、結晶配向が完了されたものであり、広角X線回折で二軸配向のパターンを示すものをいう。ポリエステルフィルムが二軸配向している場合には、熱安定性、特に寸法安定性や機械的強度が十分で、平面性も良好である。
また、ポリエステルフィルム中には、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機系易滑剤、顔料、染料、有機又は無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤などがその特性を悪化させない程度に添加されていてもよい。
ポリエステルフィルムの厚みは特に限定されるものではなく、用途や種類に応じて適宜選択されるが、機械的強度、ハンドリング性などの点から、通常は好ましくは10~500μm、より好ましくは15~250μm、最も好ましくは20~200μmである。また、ポリエステルフィルムは、共押出しによる複合フィルムであってもよいし、得られたフィルムを各種の方法で貼り合わせたフィルムであってもよい。
[ガスバリア性フィルム用ベースフィルムの製造方法]
本発明のガスバリア性フィルム用ベースフィルムの製造方法について以下に例を示して説明するが、以下に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す例により限定的に解釈されるべきものではない。
本発明のガスバリア性フィルム用ベースフィルムは、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、セレン、および鉄からなる群から選ばれる、少なくとも1種の金属元素を含む金属酸化物粒子である粒子(X)(以下、金属酸化物粒子(X))とウレタン樹脂(Y)を含む組成物(Z)を含む塗剤を基材上へ塗布し、組成物を含む塗剤が溶媒を含む場合には、溶媒を乾燥させることによって、ポリエステルフィルム上にA層を形成することができる。
また本発明において、組成物(Z)を含む塗剤が溶媒を含有する場合は、溶媒として水系溶媒を用いること(水系塗剤とすること)が好ましい。水系溶媒を用いることで、乾燥工程での溶媒の急激な蒸発を抑制でき、均一な組成物層を形成できるだけでなく、環境負荷の点で優れているためである。
ここで、水系溶媒とは、水、または水とメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類など水に可溶である有機溶媒が任意の比率で混合させているものを指す。
また、本発明において、水系溶媒を用いる場合には、金属酸化物粒子(X)とウレタン樹脂(Y)を含有した水系塗剤を塗布することが好ましい。これは水系塗剤として塗布することで、有機溶媒系塗剤と比べ、溶媒が乾燥した状態において、水分散化剤もしくは乳化剤が塗膜表層に配列するため、上述したアクリロイル基のラジカル重合反応の硬化阻害が抑制され、樹脂層の厚みが薄くても架橋性に優れるためである。
なお、金属酸化物粒子(X)や、ウレタン樹脂(Y)を水系塗剤化する方法としては、金属酸化物粒子(X)やウレタン樹脂(Y)にカルボン酸やスルホン酸といった親水基を含有せしめる方法や、乳化剤を用いてエマルジョン化する方法があげられる。
組成物(Z)を含む塗剤の基材への塗布方法はインラインコート法であることが好ましい。インラインコート法とは、ポリエステルフィルムの製造の工程内で塗布を行う方法である。具体的には、ポリエステル樹脂を溶融押し出ししてから二軸延伸後熱処理して巻き上げるまでの任意の段階で塗布を行う方法を指し、通常は、溶融押出し後・急冷して得られる実質的に非晶状態の未延伸(未配向)ポリエステルフィルム(Aフィルム)、その後に長手方向に延伸された一軸延伸(一軸配向)ポリエステルフィルム(Bフィルム)、またはさらに幅方向に延伸された熱処理前の二軸延伸(二軸配向)ポリエステルフィルム(Cフィルム)の何れかのフィルムに塗布する。
本発明では、結晶配向が完了する前の上記Aフィルム、Bフィルム、の何れかのポリエステルフィルム(以下、樹脂シートとする。)に、組成物を含む塗剤を塗布し、その後、ポリエステルフィルムを一軸方向又は二軸方向に延伸し、溶媒の沸点より高い温度で熱処理を施しポリエステルフィルムの結晶配向を完了させるとともにA層を設ける方法を採用することが好ましい。この方法によれば、ポリエステルフィルムの製膜と、組成物を含む塗剤の塗布乾燥(すなわち、A層の形成)を同時に行うことができるために製造コスト上のメリットがある。また、塗布後に延伸を行うためにA層の厚みをより薄くすることが容易である。
中でも、長手方向に一軸延伸されたフィルム(Bフィルム)に、組成物を含む塗剤を塗布し、その後、幅方向に延伸し、熱処理する方法が優れている。未延伸フィルムに塗布した後、二軸延伸する方法に比べ、延伸工程が1回少ないため、延伸による組成物層の欠陥や亀裂が発生しづらく、透明性や平滑性に優れた組成物層を形成できるためである。
更に、インラインコート法でA層を設けることにより、組成物(Z)を含む塗剤を塗布した後に延伸処理が施されることによって、金属酸化物粒子(X)の表面配列が促進され、A層表面の吸着力を下げることができるため、A層上にガスバリア層を形成する際、ガスバリア層粒子の拡散性が良好となるため緻密な膜が形成され、良好なガスバリア性が得られる。
本発明においてA層は、上述した種々の利点から、インラインコート法により設けられることが好ましい。ここで、ポリエステルフィルムへの組成物を含む塗剤の塗布方式は、公知の塗布方式、例えばバーコート法、リバースコート法、グラビアコート法、ダイコート法、ブレードコート法等の任意の方式を用いることができる。
したがって、本発明において最良のA層の形成方法は、水系溶媒を用いた組成物を含む塗剤を、ポリエステルフィルム上にインラインコート法を用いて塗布し、乾燥、熱処理することによって形成する方法である。またより好ましくは、一軸延伸後のBフィルムに組成物を含む塗剤をインラインコートする方法である。本発明のガスバリア性フィルム用ベースフィルムの製造方法において、乾燥は組成物を含む塗剤の溶媒の除去を完了させるために、80~130℃の温度範囲で実施することができる。また、熱処理はポリエステルフィルムの結晶配向を完了させるとともに組成物の熱硬化を完了させ樹脂層の形成を完了させるために、160~240℃の温度範囲で実施することができる。
次に、本発明のガスバリア性フィルム用ベースフィルムの製造方法について、ポリエステルフィルムとしてポリエチレンテレフタレート(以下、PET)フィルムを用いた場合を例にして説明するが、これに限定されるものではない。まず、PETのペレットを十分に真空乾燥した後、押出機に供給し、約280℃でシート状に溶融押し出し、冷却固化せしめて未延伸(未配向)PETフィルム(Aフィルム)を作製する。このフィルムを80~120℃に加熱したロールで長手方向に2.5~5.0倍延伸して一軸配向PETフィルム(Bフィルム)を得る。このBフィルムの片面に所定の濃度に調製した本発明の組成物を含む塗剤を塗布する。
この時、塗布前にPETフィルムの塗布面にコロナ放電処理等の表面処理を行ってもよい。コロナ放電処理等の表面処理を行うことで、組成物を含む塗剤のPETフィルムへの濡れ性が向上し、組成物を含む塗剤のはじきを防止し、均一な塗布厚みの樹脂層を形成することができる。塗布後、PETフィルムの端部をクリップで把持して80~130℃の熱処理ゾーン(予熱ゾーン)へ導き、組成物を含む塗剤の溶媒を乾燥させる。乾燥後幅方向に1.1~5.0倍延伸する。引き続き160~240℃の熱処理ゾーン(熱固定ゾーン)へ導き1~30秒間の熱処理を行い、結晶配向を完了させる。
この熱処理工程(熱固定工程)で、必要に応じて幅方向、あるいは長手方向に3~15%の弛緩処理を施してもよい。かくして得られた積層ポリエステルフィルムは透明性、耐スクラッチ性、アンチブロッキング性に優れた積層ポリエステルフィルムとなる。
なお、本発明の積層ポリエステルフィルムは、樹脂層と熱可塑性樹脂層の間に中間層を設けてもよいが、中間層を設ける場合は、中間層を積層したフィルムの巻き取り時や、その後の本発明の樹脂層を設けるまでの工程において、フィルムにキズがつく場合がある。そのため、本発明では、樹脂層と熱可塑性樹脂層が直接積層されていることが好ましい。
本発明の積層ポリエステルフィルムは、熱可塑性樹脂層の構成に制限はなく、例えば、E層のみからなる単層構成や、E層/F層の積層構成すなわち2種2層積層構成、E層/F層/E層の積層構成すなわち2種3層積層構成、E層/F層/G層の積層構成すなわち3種3層積層構成等の構成を挙げることができる。
本発明の積層ポリエステルフィルムにおける熱可塑性樹脂層の積層方法は制限されるものではなく、例えば、共押出法による積層方法、貼り合わせによる積層方法、これの組み合わせによる方法等を挙げることができるが、透明性と製造安定性の観点から、共押出法を採用することが好ましい。積層体とする場合、それぞれの層に異なる機能を付与すること目的として、異なる樹脂構成としてもよい。例えば、E層/F層/E層の積層構成すなわち2種3層積層構成とする場合には、透明性の観点からF層をホモポリエチレンテレフタレートで構成し、E層には、易滑性付与のために、粒子を添加する等の方法を挙げることができる。
[ガスバリア性フィルム]
本発明のガスバリア性フィルムの好ましい一態様は、本発明のガスバリア性フィルム用ベースフィルム上に、B層が積層されたガスバリア性フィルムであって、前記B層は、少なくとも金属または金属酸化物を含有する。B層が本発明のガスバリア性フィルム用ベースフィルム上に形成され、さらにB層が少なくとも金属または金属酸化物を含有することにより、良好なガスバリア性を得ることができる。また、本発明のガスバリア性フィルムの別の好ましい一態様は、基材の少なくとも一方に、A層とB層とをこの順で有するガスバリア性フィルムであって、前記A層が、粒子(X)とウレタン樹脂成分(Y)を含む組成物(Z)を含む層であり、前記粒子(X)はアルミニウム、チタン、ジルコニウム、セレン、および鉄からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む金属酸化物粒子であり、前記組成物(Z)における粒子(X)の質量比率(x)とウレタン樹脂(Y)の質量比率(y)について((x)/(y))が30/70~70/30であり、前記B層は、少なくとも金属または金属酸化物を含有する、ガスバリア性フィルムである。B層が前記A層上に形成され、さらにB層が少なくとも金属または金属酸化物を含有することにより、良好なガスバリア性を得ることができる。ガスバリア性フィルムからガスバリア性フィルム用ベースフィルムやA層を分析する場合は、B層やその上に形成される層を後述する方法で除去してから行うものとする。
B層やその上に形成される層を除去する方法は、各層の膜厚み分をアルゴンイオンビーム等の各種イオンエッチングや薬液処理により除去することができる。また、各層の膜厚みについては後述するA層の膜厚みの評価方法と同様にして求めることができる。
B層が含有する金属または金属酸化物としては特に限定されるものではないが、少なくとも1種類以上の金属元素を含むことが好ましく、金属元素の例としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、スカンジウム、チタン、ジルコニウム、タンタル、亜鉛、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ケイ素、ゲルマニウム、スズ等が挙げられる。
前記した、拡散性の高いA層の上にB層を形成するため、前記金属元素が、マグネシウム、およびケイ素であることがより好ましい。A層の拡散性が良いので、前記2種類の金属元素が効率的に混合され、より緻密なB層を形成できる。具体的には前記2種類の金属元素がマグネシウム、およびケイ素であるとき、ケイ素のシリケート結合によりマグネシウムが結晶構造となることが抑制され、より緻密なB層を形成することができると考えられ、つまりはA層との相性がよいことから、前記金属元素がマグネシウム、およびケイ素であることでガスバリア性が向上する。
本発明のガスバリア性フィルムのB層は、陽電子ビーム法(薄膜対応陽電子消滅寿命測定法)(「陽電子計測の科学」(日本アイソトープ協会)I章1節,V章2節参照)により測定される平均寿命が0.935ns以下であることが好ましい。陽電子ビーム法は、陽電子消滅寿命測定法の一つであり、陽電子が試料に入射してから消滅するまでの時間(数百ps~数十nsオーダー)を測定し、その消滅寿命から約0.1~10nmの空孔の大きさ、数濃度、さらには大きさの分布に関する情報を非破壊的に評価する手法である。陽電子線源として放射性同位体(22Na)の代わりに陽電子ビームを用いる点が、通常の陽電子消滅法と大きく異なり、シリコンや石英基板上に製膜された数百nm厚程度の薄膜の測定を可能とした手法である。得られた測定値から非線形最小二乗プログラムPOSITRONFITにより、平均細孔半径や細孔の数濃度を求めることが出来る。サブnmオーダーの細孔や基本骨格に対応するものは、第3成分および第4成分の平均寿命を解析することで得られる。
ここで、第3成分とは、陽電子ビーム法による平均寿命の測定条件として3成分に対する解析を選択することにより得られた平均寿命をいい、第4成分とは、陽電子ビーム法による平均寿命の測定条件として4成分に対する解析を選択することにより得られた平均寿命をいう。なお、第3成分の測定において、3成分に対する解析を選択することにより得られた平均寿命、とは、3つの減衰指数を含むモデル関数を測定データに対して非線形最小二乗プログラムPOSITRONFITした際に得られる最長寿命成分の消滅速度の逆数(平均寿命)である。また、第4成分の測定において、4成分に対する解析を選択することにより得られた平均寿命、とは、4つの減衰指数を含むモデル関数を測定データに対して非線形最小二乗プログラムPOSITRONFITした際に得られる最長寿命成分の消滅速度の逆数(平均寿命)である。POSITRONFITにより解析をする際には、逆ラプラス変換法に基づく分布解析プログラムCONTINを用いて算出した細孔半径分布曲線で得られたピーク数から、POSITRONFITの成分数を決定する。POSITRONFITから算出した平均細孔半径とCONTINの細孔半径分布曲線のピーク位置が一致していることで、解析が妥当であることを判断する。なお、本発明で単に平均寿命と記載する場合は、第3成分の平均寿命のことを指す。
平均寿命が0.935ns以下であると、B層の細孔サイズが小さく緻密な層であるため、ガスバリア性が良好となる。ガスバリア性の観点から、陽電子ビーム法により測定される平均寿命は0.912ns以下であることがより好ましい。また、平均寿命の下限は特に限定されないが、0.542ns以上であることが好ましい。平均寿命が0.542ns以上であると、B層の屈曲性が良好となる。
本発明で規定する、B層の陽電子ビーム法により測定される平均寿命を0.935ns以下とするためには、例えばRaが10.0nm以下の基材上に、複合酸化物膜を適した組成比率で緻密に形成することにより達成される。ここでいう緻密に形成するとは、それぞれの酸化物が原子レベルで混ざり合い緻密なネットワークを形成している状態をいう。緻密に形成するための方法として、純度が99.9%以上で、かつ加熱により脱水処理を行った蒸着材料を用いて複合酸化物膜を得る方法を好ましく挙げることができる。純度が高くかつ脱水処理を行った蒸着材料を用いることで、複合酸化膜中に不純物や水分が混入しにくくなり、欠陥の少ない緻密な膜を形成することが出来る。なかでも、電子線蒸着法を用い、蒸着時における到達真空度を5.0×10-3Pa以下とする方法をより好ましく挙げることができる。到達真空度が5.0×10-3Pa以下であることにより、飛来する粒子の平均自由行程が長くなり、より大きなエネルギーを持った状態で基材上に入射することが可能となる。
また、B層が一定以上緻密であり、バリア性が良好な場合には、4成分に対する解析を選択することにより得られた第4成分は検出されない。B層の緻密性、バリア性の観点より、第4成分(最長寿命成分)の平均寿命は、検出されない、もしくは3.706ns以下が好ましい。
本発明のガスバリア性フィルムのB層は、マグネシウム、カルシウム、チタン、ジルコニウム、亜鉛、およびアルミニウムからなる群より選ばれる1種、並びに、ケイ素またはスズまたはゲルマニウムのいずれか、並びに酸素を含むことが好ましい。元素の組み合わせとしては限定されるものではないが、ガスバリア性の観点から、マグネシウムおよびケイ素、亜鉛およびケイ素、亜鉛およびスズ、カルシウムおよびケイ素、ジルコニウムおよびケイ素、アルミニウムおよびケイ素であることが好ましく、マグネシウムおよびケイ素の組み合わせ、又は、亜鉛およびケイ素の組み合わせであることがさらに好ましい。元素の形態は、酸化物、窒化物、酸化窒化物、炭化物などが挙げられ、特に限定されないが、ガスバリア性、光学特性などの観点から、酸化物、窒化物、酸化窒化物の形態として存在することが好ましい。
本発明のガスバリア性フィルムのB層は、マグネシウム、カルシウム、チタン、ジルコニウム、亜鉛、およびアルミニウムからなる群より選ばれる1種、並びに、ケイ素またはスズまたはゲルマニウムのいずれか、並びに酸素を含んでいれば、その他の無機化合物が含まれていても構わない。
本発明のガスバリア性フィルムのB層は、X線光電子分光により測定される酸素原子(O1s)のピークの半値幅が3.25eV以下であることが好ましい。半値幅は、ピークの最大値をFmaxとした場合、ピークの強度がFmax/2の時のピーク幅のことを言う。O1sのピークの半値幅が狭い方が均一な結合のネットワーク構造が形成されることから、緻密な膜となりやすい。結合の均一性、バリア性の観点より、3.00eV以下がより好ましく、2.75eV以下が更に好ましい。下限は特に限定されないが、1.65eV以上であることが好ましい。
本発明のガスバリア性フィルムのB層は、マグネシウムおよびケイ素を含むことが好ましい。マグネシウムおよびケイ素を組み合わせることにより、良好なガスバリア性を得ることができる。
本発明のガスバリア性フィルムのB層は、マグネシウムおよびケイ素を含み、X線光電子分光により測定されるマグネシウム(Mg)原子濃度が5~50atm%、ケイ素(Si)原子濃度が2~30atm%、および酸素(O)原子濃度が45~70atm%であることが好ましい。膜質やガスバリア性の観点から、マグネシウム(Mg)原子濃度が8~35atm%、ケイ素(Si)原子濃度が6~25atm%、および酸素(O)原子濃度が50~65atm%であることがより好ましい。マグネシウム原子濃度が50atm%以下、またはケイ素原子濃度が2atm%以上であると、ケイ素原子の割合が少なくなりB層が結晶層となることを防ぎ、クラックの発生を抑制できる。マグネシウム原子濃度が5atm%以上、またはケイ素原子濃度が30atm%以下であると、B層中のシリケート結合を適度な割合にすることができるため、緻密性が向上しガスバリア性が良好となる。酸素原子濃度が45atm%以上であると、マグネシウム、ケイ素が十分に酸化することができ、透明性に優れる。酸素原子濃度が70atm%以下であると、酸素が過剰に取り込まれるのを防ぎ、空隙や欠陥の増加を抑制できるため、ガスバリア性が良好となる。
本発明のガスバリア性フィルムのB層は、マグネシウム(Mg)原子とケイ素(Si)原子の原子濃度(atm%)の比率Mg/(Mg+Si)が、0.30~0.90であることが好ましい。原子濃度(atm%)の比率Mg/(Mg+Si)が0.30以上であると、B層中のシリケート結合を適度な割合にすることができるため、緻密性が向上しガスバリア性が良好となる。原子濃度(atm%)の比率Mg/(Mg+Si)が0.90以下であると、B層が結晶層となることを防ぎ、クラックの発生を抑制できる。ガスバリア性の観点より、原子濃度(atm%)の比率Mg/(Mg+Si)は0.40~0.85がより好ましく、0.50~0.80がさらに好ましい。
B層の組成比率はX線光電子分光法(XPS法)や蛍光X線(XRF)分光法により測定することができる。X線光電子分光法を用いる場合、最表面には空気中に含まれる炭化水素や水が吸着し、B層の正しい組成を反映しないことから、最表面から5nm程度アルゴンイオンエッチングにより層を除去して各元素の含有比率を測定する。蛍光X線分光法を用いる場合、ファンダメンタル・パラメータ法(FP法)により構成元素の含有比率を測定する。
[ガスバリア性フィルムの製造方法]
本発明のガスバリア性フィルムの製造方法について以下に例を示して説明するが、以下に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す例により限定的に解釈されるべきものではない。
本発明のガスバリア性フィルムの製造方法の好ましい一態様は、前述のガスバリア性フィルム用ベースフィルム上に、B層を真空蒸着法により形成する工程を含む、ガスバリア性フィルムの製造方法である。真空蒸着法は枚葉式、巻き取り式などの成膜様式いずれでもよい。図4には巻き取り式装置の一例を示す。ガスバリア性フィルム用ベースフィルムは、拡散性や平滑性などに優れていることから、当該方法によりガスバリア性フィルムを製造することにより、ガスバリア性の高いガスバリア性フィルムを得ることができる。
また、前記B層は、少なくとも金属または金属酸化物を含有することが好ましく、B層が含有する金属または金属酸化物としては特に限定されるものではないが、少なくとも1種類以上の金属元素を含むことが好ましく、金属元素の例としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、スカンジウム、チタン、ジルコニウム、タンタル、亜鉛、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ケイ素、ゲルマニウム、スズ等が挙げられる。
前記した、拡散性の高いA層の上にB層を形成するため、前記金属元素が、マグネシウム、およびケイ素であることがより好ましい。
以下に巻き取り式蒸着装置図5によるB層の形成方法の一例を示す。電子線蒸着法により、ガスバリア性フィルム用ベースフィルム3の表面にB層として、材料BとCの化合物薄膜を設ける。まず、蒸着材料として、2~5mm程度の大きさの顆粒状の材料Bと材料Cを図5,6のように交互に配置する。交互に配置する際の面積比率は、B層の狙い膜組成やEB照射方法等に応じて配置する。その際の配置する材料毎の幅は、10~100mmであることが好ましい。100mmより大きいと材料BとCの幅方向における組成比や膜質のバラつきが大きくなりやすい。10mm未満であると材料を配置する際の作業性が低下する可能性がある。幅方向の組成比や膜質のバラつき、作業性などの観点より10~80mmであることがより好ましい。また、蒸着材料は顆粒に限らず、角形やタブレット型などの成形体などの形状のものを用いてもよい。また、蒸着材料が吸湿していると材料中の水分がB層中に取り込まれ、所望の膜組成や物性が得られなくなる可能性があることから、材料を使用前に加熱による脱水処理を行うことが好ましい。巻き取り室7の中で、巻き出しロール8に前記ガスバリア性フィルム用ベースフィルム3のB層を設ける側の面(つまり、A層2側の面)がハースライナー13に対向するようにセットし、巻き出し、ガイドロール9,10,11を介して、メインドラム12に通す。次に、真空ポンプにより、蒸着装置6内を減圧し、5.0×10-3Pa以下を得る。到達真空度は5.0×10-3Pa以下が好ましい。到達真空度は5.0×10-3Paより大きいと残留ガスがB層中に取り込まれ、所望の膜組成や物性が得られなくなる可能性がある。メインドラム12の温度は一例として、-15℃に設定する。基材の熱負けを防ぐ観点から、20℃以下が好ましく、より好ましくは0℃以下である。次に、加熱源として一台の電子銃(以下、EB銃)15を用い、材料B、C表面を均一に加熱する。EB銃は加速電圧6kV、印加電流50~200mA、蒸着レート1nm/secとなるようにし、EB蒸着により前記ガスバリア性フィルム用ベースフィルム3のA層2表面上にB層を形成する。また、形成するB層の厚みは、フィルム搬送速度により調整した。その後、ガイドロール17,18,19を介して巻き取りロール20に巻き取る。
[その他の層]
本発明のガスバリア性フィルムの最表面の上、つまりB層の上には、ガスバリア性が低下しない範囲で耐擦傷性や耐薬品性、印刷性等の向上を目的としたオーバーコート層を形成してもよいし、素子等に貼合するための有機高分子化合物からなる粘着層やフィルムをラミネートした積層構成としてもよい。また、光学特性を向上させるための低屈折率層を形成してもよい。なお、ここでいう最表面とは、ガスバリア性フィルム用ベースフィルム上にB層が積層された後の、B層の表面をいう。
[ガスバリア性フィルムの用途]
本発明のガスバリア性フィルムは高いガスバリア性を有するため、様々な電子デバイスに用いることができる。例えば、太陽電池やフレキシブル回路基材、有機EL照明、フレキシブル有機ELディスプレイ、シンチレータのような電子デバイスに好適に用いることができる。また、高いバリア性を活かして、リチウムイオン電池の外装材や医薬品の包装材等としても好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。ただし、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
[評価方法]
(1)A層の測定
(1-1)吸着力
吸着力は、BRUKER製AFM「Dimension Icon ScanAsyst」を用い、「絶対的キャリブレーション(反り感度測定、バネ定数のキャリブレーション、探針先端曲率測定(ScanAsystNoiseThreshold:1.0nm))」を実施した後、測定を行った。ガスバリア性フィルム用ベースフィルムを任意の大きさに切り出し、A層表面の任意の10か所の1μm×1μmの視野に関して下記の条件で測定を行った。測定は1か所あたりn=2で行い、吸着力の値は20回測定した平均値を用いた。
・ソフトウェア:「NanoScope Analysis」
・測定プロ-ブ:RTESPA-300
・測定モード:Peak Force QNM in Air
・測定範囲:1μm×1μm
・測定ライン数:512本
・測定速度:0.977Hz
・応答感度:25
・押し付け力:80nN
・ポアゾン比:0.3
具体的には、測定後「Adhesion」の「Roughness」を選択し、得られる値を用いた。
(1-2)弾性率
弾性率は、上記吸着力測定と同じ方法で、任意に測定範囲を選択して10回測定した。各回の測定後「DMTModulus」の「Roughness」を選択し、該画面に表示される像を「ScionImage」で二値化(最大値:10GPa、最小値:0GPa、閾値180)し、弾性率が高い部分を白(島)、弾性率が低い部分を黒(海)とし、A層の弾性率像とした。
(1-3)海島構造の有無
(1-2)で求めた各回の弾性率像を1μm×1μmを縦横それぞれ40分割し、25nm×25nmの1600個の領域に分ける。その1600個の領域において、1個の領域全てが黒一色のもの、白一色のもののいずれも有する場合、海島構造を有することとした。
上記10回の測定で得た弾性率像のうち、8回以上において海島構造を有する場合、測定したサンプルが海島構造を有すると判断した。
(1-4)海成分、島成分の弾性率
(1-3)で求めた各回の弾性率像における1600個の領域において、1個の領域全てが黒一色のものすべてについて弾性率を測定し、その平均値を海成分の弾性率(G2)とした。また、(1-3)で求めた弾性率像における1600個の領域において、1個の領域全てが白一色のものすべてについて弾性率を測定し、その平均値を島成分の弾性率(G1)とした。
上記10回の測定で得た弾性率像から求められた海成分の弾性率、および島成分の弾性率の最大値と最小値を除いた平均値を測定サンプルの海成分の弾性率、および島成分の弾性率とした。
(1-5)算術平均高さ、および最大高さ
算術平均高さSa、および最大高さSzは、走査型白色干渉顕微鏡(“VertScan”(登録商標)/VS1540)のVS-Measureモードを用いて測定を行った。ガスバリア性フィルム用ベースフィルムを任意の大きさに切り出し、A層表面の50μm×50μmの視野に関して下記の条件で測定を行った。次いでVS-Viewerモードを用いて解析を行い、得られる値を用いた。測定はn=2で行い、Sa、およびSzの値はn=2の平均値を用いた。
・対物レンズ:50倍
・測定デバイス:ピエゾ
・測定モード:Wave
・解析条件:ISOパラメータ。
(1-6)A層の膜厚
ミクロトームを用いて、ガスバリア性フィルム用ベースフィルムの表面に対して垂直方向に切削した小片を作成し、その断面を(株)日立製作所製STEM(走査透過型電子顕微鏡/H-9000UHRII)を用いて100000倍に拡大観察して撮影した。その断面写真を観察し、A層の膜厚を測定した。
(1-7)粒子(X)の直径
ミクロトームを用いて、ガスバリア性フィルム用ベースフィルムの表面に対して垂直な方向と、ガスバリア性フィルム用ベースフィルムの幅方向を各辺とする断面小片を作成し、その断面を走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いて100000倍に拡大観察して撮影した。その断面写真よりフィルム中に存在する粒子の粒度分布を画像解析ソフトImage-Pro Plus(日本ローパー(株))を用いて求めた。断面写真は異なる任意の測定視野から選び出し、断面写真中から任意に選び出した200個以上の粒子の直径(円相当径)を測定し、横軸を直径、縦軸を粒子の存在比率としてプロットした体積基準粒度分布を得た。前記、体積基準粒度分布において、横軸を担う直径は、0nmを初点とした10nm間隔毎の階級により、縦軸を担う粒子の存在比率は、計算式「存在比率=該当する粒子径を持つ検出粒子の合計体積/全検出粒子の合計体積」により表す。上記により得られた粒子の存在比率のチャートから、極大を示すピークトップの直径を読み取った。
(1-8)A層断面における粒子(X)の占める面積比率
(1-7)粒子(X)の直径測定と同様に小片を作成し、その断面を走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いて100000倍に拡大観察して撮影した。その断面写真よりフィルム中に存在する粒子の面積比率を画像解析ソフトImage-Pro Plus(日本ローパー(株))を用いて求めた。断面写真は異なる任意の測定視野から選び出し、断面写真を二値化処理することにより粒子と粒子以外の成分の面積比率を算出した。
(1-9)透明性(ヘイズ)
透明性(ヘイズ)の測定は、常態(23℃、相対湿度50%)において、ガスバリア性フィルム用ベースフィルムを40時間放置した後、日本電色工業(株)製濁度計「NDH5000」を用いて、JIS K 7136「透明材料のヘイズの求め方」(2000年版)に準ずる方式で行った。なお、サンプルのA層が積層された面側から光を照射して測定した。サンプルは一辺50mmの正方形のものを10サンプル準備し、それぞれ1回ずつ、合計10回測定した平均値をサンプルのヘイズ値とした。
また、透明性はヘイズ値により、3段階評価を行った。Cは実用上問題のあるレベル、Bは実用レベルであり、Aは良好とした。
A :1.5%以下
B :1.5%を超えて3.0%以下
C :3.0%を超える。
(2)B層の測定
(2-1)陽電子平均寿命
陽電子平均寿命は、陽電子ビーム法(薄膜対応陽電子消滅寿命測定法)により測定を行った。測定するサンプルを15mm×15mm角のSiウェハに貼り付けて室温で真空脱気した後、測定を行った。測定条件は下記のとおりである。
・装置 :フジ・インバック製小型陽電子ビーム発生装置PALS200A
・陽電子線源 :22Naベースの陽電子ビーム
・γ線検出器 :BaF製シンチレータ+光電子増倍管
・装置定数 :255~278ps,24.55ps/ch
・ビーム強度 :1keV
・測定深さ :0~100nm付近(推定)
・測定温度 :室温
・測定雰囲気 :真空
・測定カウント数 :約5,000,000カウント。
測定結果について、非線形最小二乗プログラムPOSITRONFITにより、3成分あるいは4成分解析を行った。表には、3成分解析した際の第3成分の平均寿命とそれより導かれる平均細孔半径、および4成分の解析した際の第4成分の平均寿命とそれより導かれる平均細孔半径を記した。
(2-2)B層の組成、酸素原子(O1s)ピークの半値幅、B層中の原子の原子濃度、原子濃度の比率Mg/(Mg+Si))
ガスバリア性フィルムのB層の組成分析は、X線光電子分光法(XPS法)により行った。最表面から5nm程度アルゴンイオンエッチングにより層を除去して下記の条件で各元素の含有比率を測定した。XPS法の測定条件は下記の通りとした。
・装置 :PHI5000VersaProbe2(アルバックファイ社製)
・励起X線 :monochromatic AlKα
・分析範囲 :φ100μm
・光電子脱出角度 :45°
・Arイオンエッチング :2.0kV、ラスターサイズ 2×2、エッチング時間 1min。
酸素原子(O1s)ピークの半値幅は、測定装置付帯の解析ソフトMultipakにより算出される値とした。
(2-3)水蒸気透過度(g/m/day)
ガスバリア性フィルムの水蒸気透過度は、温度40℃、湿度90%RH、測定面積50cmの条件で、英国、テクノロックス(Technolox)社製の水蒸気透過率測定装置(機種名:“DELTAPERM”(登録商標))を使用して測定した。サンプル数は水準当たり2サンプル行った。2サンプルの測定を行い得たデータを平均し、小数点第2位を四捨五入し、当該水準における平均値を求め、その値を水蒸気透過度(g/m/day)とした。また、水蒸気透過度が5.0×10-2g/m/day未満をバリア性良好とした。なお、水蒸気透過度の単位g/m/dayにおける「day」は24時間である。
<参考例>
<参考例1>粒子(X)の表面にアクリル樹脂(D)を有する組成物(XD-1)を含有するエマルジョン(EM-1)
攪拌機、温度計、還流冷却管の備わった通常のアクリル樹脂反応槽に、溶剤としてイソプロピルアルコール100質量部を仕込み、加熱攪拌して100℃に保持した。
この中に、(メタ)アクリレート(d’-1)として、n=19のエイコシルメタクリレート40質量部、(メタ)アクリレート(d’-2)として、2個の環を有するイソボルニルメタクリレート40質量部、その他水酸基を有する(メタ)アクリレート(d’-3)として、2-ヒドロキシエチルアクリレート20質量部からなる混合物を3時間かけて滴下した。そして、滴下終了後、100℃で1時間加熱し、次にt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサエート1質量部とイソプロピルアルコール9質量部からなる追加触媒混合液を仕込んだ。次いで、100℃で3時間加熱した後冷却し、アクリル樹脂(D-1)溶液を得た。
粒子(X)としてAl元素を有する粒子(“NanoTek”(登録商標)Alスラリー(シーアイ化成株式会社製 数平均粒子径30nm、表ではX1と記載)を用い、水系溶媒中に、“NanoTek”(登録商標)Alスラリーと上記アクリル樹脂(D-1)溶液を順に添加し、以下の方法で分散せしめ、粒子(X)とアクリル樹脂(D-1)の混合組成物(XD-1)含有するエマルジョン(EM-1)を得た。
(分散方法)
粒子(X)およびアクリル樹脂(D-1)の添加量比(質量比)は、各固形分の比率で(X)/(D-1)=25/20とした(なお質量比は、小数点第1位を四捨五入して求めた)。分散処理は、ホモミキサーを用いて行い、周速10m/sで5時間回転させることによって行った。また、最終的に得られた組成物(XD)における、粒子(X)とアクリル樹脂(D)の質量比は、(X)/(D-1)=25/20であった(なお、質量比は小数点第1位を四捨五入して求めた)。
なお、得られた組成物(XD-1)を、日立卓上超遠心機(日立工機株式会社製:CS150NX)により遠心分離を行い(回転数3000rpm、分離時間30分)、粒子(X)(および粒子(X)の表面に吸着したアクリル樹脂(D))を沈降させた後、上澄み液を除去し、沈降物を濃縮乾固させた。濃縮乾固した沈降物をX線光電子分光法(XPS)により分析した結果、粒子(X)の表面にアクリル樹脂(D)が存在することが確認された。つまり、粒子(X)の表面には、アクリル樹脂(D)が吸着・付着しており、得られた組成物(XD)が粒子(X)の表面にアクリル樹脂(D)を有する粒子に該当することが判明した。
<参考例2>粒子(X)の表面にアクリル樹脂(D)を有する組成物(XD-2)を含有するエマルジョン(EM-2)
粒子(X)として、Zr元素を含む“ナノユース”(登録商標)ZR(日産化学工業株式会社製 数平均粒子径90nm、表ではX2と記載)を使用した以外は、参考例1と同様の方法で、粒子(X)とアクリル樹脂(D)の混合組成物(XD-2)含有するエマルジョン(EM-2)を得た。
<参考例3>粒子(X)の表面にアクリル樹脂(D)を有する組成物(XD-3)を含有するエマルジョン(EM-3)
粒子(X)として、Ti元素を含む“NanoTek”(登録商標)TiOスラリー(シーアイ化成株式会社製 数平均粒子径36nm、表ではX3と記載)を使用した以外は、参考例1と同様の方法で、粒子(X)とアクリル樹脂(D)の混合組成物(XD-3)含有するエマルジョン(EM-3)を得た。
<参考例4>粒子(X)の表面にアクリル樹脂(D)を有する組成物(XD-4)を含有するエマルジョン(EM-4)
参考例1の粒子(X)およびアクリル樹脂(D)の添加量比(質量比)を、各固形分の比率で(X)/(D)=15/20とした(なお質量比は、小数点第1位を四捨五入して求めた)以外は、参考例1と同様の方法で、粒子(X)およびアクリル樹脂(D)の混合組成物(XD-4)を含有するエマルジョン(EM-4)を得た。
<参考例5>粒子(X)の表面にアクリル樹脂(D)を有する組成物(XD-5)を含有するエマルジョン(EM-5)
参考例1の粒子(X)およびアクリル樹脂(D)の添加量比(質量比)を、各固形分の比率で(X)/(D)=49/10とした(なお質量比は、小数点第1位を四捨五入して求めた)以外は、参考例1と同様の方法で、粒子(X)およびアクリル樹脂(D)の混合組成物(XD-5)を含有するエマルジョン(EM-5)を得た。
<参考例6>粒子(X)の表面にアクリル樹脂(D)を有する組成物(XD-6)を含有するエマルジョン(EM-6)
粒子(X)として、Zr元素を含む“SZR”(登録商標)ZrOスラリー(堺化学工業株式会社製 数平均粒子径8nm、表ではX4と記載)を使用した以外は、参考例1と同様の方法で、粒子(X)とアクリル樹脂(D)の混合組成物(XD-6)含有するエマルジョン(EM-6)を得た。
(実施例1)
はじめに、組成物を含む塗剤1を次の通り調製した。
<組成物を含む塗剤>
水系溶媒に、下記エマルジョンの各固形分が表に記載の比率となるよう混合し、組成物を含む塗剤1を得た。
・粒子(X)およびアクリル樹脂(D)の混合組成物(XD-1)の固形分:45質量部
・ウレタン樹脂(DIC株式会社製“ハイドラン”(登録商標) WLS210、表ではY1と記載)(エーテル成分を有するウレタン樹脂)の固形分:35質量部
・メラミン系化合物(DIC株式会社製“ベッカミン”(登録商標) APM)の固形分:20質量部。
<A層の形成>
次いで、実質的に粒子を含有しないPETペレット(極限粘度0.63dl/g)を充分に真空乾燥した後、押出機に供給し285℃で溶融し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度25℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて冷却固化せしめた。この未延伸フィルムを90℃に加熱して長手方向に3.4倍延伸し、一軸延伸フィルム(Bフィルム)とした。その後コロナ放電処理を行った。
次に組成物を含む塗剤1を一軸延伸フィルムのコロナ放電処理面にバーコートを用いて塗布した。組成物を含む塗剤を塗布した一軸延伸フィルムの幅方向両端部をクリップで把持して予熱ゾーンに導き、雰囲気温度75℃とした後、引き続いてラジエーションヒーターを用いて雰囲気温度を110℃とし、次いで雰囲気温度を90℃として、組成物を含む塗剤を乾燥させ、A層を形成せしめた。引き続き連続的に120℃の加熱ゾーン(延伸ゾーン)で幅方向に3.5倍延伸し、続いて230℃の熱処理ゾーン(熱固定ゾーン)で20秒間熱処理を施し、結晶配向の完了したガスバリア性フィルム用ベースフィルムを得た。得られたガスバリア性フィルム用ベースフィルムにおいてPETフィルムの厚みは50μm、A層の厚みは500nmであった。得られたガスバリア性フィルム用ベースフィルムの特性等を表に示す。
(実施例2~5、7~10)
組成物を含む塗剤を表5に記載の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法でガスバリア性フィルム用ベースフィルムを得た。得られたガスバリア性フィルム用ベースフィルムの特性などを表に示す。なお、上記原料に加え以下のものを用いた。
・オキサゾリン化合物(株式会社日本触媒製“エポクロス”(登録商標) WS-500)
・カルボジイミド化合物(日清紡ケミカル株式会社製“カルボジライト”(登録商標) V-04B)
・ウレタン樹脂(DIC株式会社製“ハイドラン”(登録商標) AP-40N、表ではY2と記載)(エーテル成分を有さないウレタン樹脂)。
(実施例6)
組成物を含む塗剤を実施例1と同様の比率で混合し、実施例1の組成物を含む塗剤に対し、塗料濃度が1.4倍になるよう水系溶媒量を調製した以外は、実施例1と同様の方法でガスバリア性フィルム用ベースフィルムを得た。得られたガスバリア性フィルム用ベースフィルムの特性などを表に示す。
<B層の形成>
本発明のガスバリア性フィルム用ベースフィルムの機能を評価するため、下記の方法でB層を形成し、得られたガスバリア性フィルムから試験片を切り出し、各種評価を実施した。結果を表3に示す。
図4に示す巻き取り式蒸着装置を使用し、電子線(EB)蒸着法により、実施例1~10のガスバリア性フィルム用ベースフィルムのA層表面に、B層としてMgO+SiO層を厚み150nmで設けた。
具体的な操作は以下の通りである。まず、蒸着材料として、2~5mm程度の大きさの顆粒状の酸化マグネシウムMgO(純度99.9%)と二酸化ケイ素SiO(純度99.99%)を事前にそれぞれ100℃、8時間加熱を行った。続いて、それぞれの材料を図5のようにカーボン製ハースライナー13にセットした。MgOとSiOの材料面積比率はMgO:SiO=2:1となるようにした。巻き取り室7の中で、巻き出しロール8に前記ガスバリア性フィルム用ベースフィルム3のB層を設ける側(A層2側)の面がハースライナー13に対向するようにセットし、巻き出し、ガイドロール9,10,11を介して、メインドラム12に通した。このとき、メインドラムは温度-15℃に制御した。次に、真空ポンプにより、蒸着装置6内を減圧し、5.0×10-3Pa以下を得た。次に、加熱源として一台の電子銃(以下、EB銃)15を用い、MgOとSiOを均一加熱した。EB銃は加速電圧6kV、印加電流50~200mA、蒸着レート1nm/secとなるようにした。EB蒸着により前記ガスバリア性フィルム用ベースフィルムのA層表面上にB層を形成した。また、形成するB層の厚みは、フィルム搬送速度により調整した。その後、ガイドロール17,18,19を介して巻き取りロール20に巻き取った。
(実施例11)
B層であるMgO+SiO層の形成において、MgOとSiOの材料面積比率をMgO:SiO=4:1となるようにした以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性フィルムを得た。
(実施例12)
B層であるMgO+SiO層の形成において、MgOとSiOの材料面積比率をMgO:SiO=6:1となるようにした以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性フィルムを得た。
(実施例13)
B層であるMgO+SiO層の形成において、MgOとSiOの材料面積比率をMgO:SiO=1:2となるようにした以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性フィルムを得た。
(実施例14)
蒸着材料として、1~3mm程度の大きさの顆粒状の酸化亜鉛ZnO(純度99.9%)と2~5mm程度の大きさの顆粒状の酸化ケイ素SiO(純度99.9%)を用い、B層であるZnO+SiO層の形成において、ZnOとSiOの材料面積比率をZnO:SiO=3:1となるようにした以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性フィルムを得た。
(比較例1)
基材上にA層を形成せずに直接B層を形成した以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性フィルムを得た。
(比較例2)
塗液中の組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法でガスバリア性フィルム用ベースフィルムを得た。得られたガスバリア性フィルム用ベースフィルムの特性などを表に示す。
<組成物>
・ウレタン樹脂(DIC株式会社製“ハイドラン”(登録商標) AP-30F、表ではY3と記載)(エーテル成分を有するウレタン樹脂))の固形分:30質量部
・メラミン系化合物(DIC株式会社製“ベッカミン”(登録商標) APM)の固形分:30質量部
・アクリル樹脂(D1)の固形分:40質量部。
(比較例3)
塗液中の組成物を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法でガスバリア性フィルム用ベースフィルムを得た。得られたガスバリア性フィルム用ベースフィルムの特性などを表に示す。
<組成物>
・アクリル粒子(株式会社日本触媒製 ”エポスター”(登録商標)MX030W)の固形分:25質量部
・ウレタン樹脂(DIC製“ハイドラン”(登録商標) AP-30F)の固形分:35質量部
・メラミン系化合物(DIC製“ベッカミン”(登録商標) APM)の固形分:20質量部
・アクリル樹脂(D-1)の固形分:20質量部。
(比較例4)
基材として、厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製“ルミラー”(登録商標)U48)を用いた。
A層形成用の塗液として、ウレタンアクリレート(ダイセル・オルネクス社製、商品名:“EBECRYL”(登録商標)230)を9.5質量部、1-ヒドロキシ-シクロヘキシルフェニルケトン(BASFジャパン社製、商品名:“IRGACURE”(登録商標) 184)を0.5質量部、MEKを36質量部、シクロヘキサノンを4質量部、配合して塗液を調製した。次いで、塗液を基材上にマイクログラビアコーター(グラビア線番150UR、グラビア回転比100%)で塗布、100℃で1分間乾燥し、乾燥後、下記条件にて紫外線処理を施して厚み1μmのA層を設けた。得られたガスバリア性フィルム用ベースフィルムの特性などを表に示す。
紫外線処理装置:LH10-10Q-G(フュージョンUVシステムズ・ジャパン社製)
導入ガス:N(窒素イナートBOX)
紫外線発生源:マイクロ波方式無電極ランプ
積算光量:400mJ/cm
試料温調:室温。
Figure 2022152150000008
Figure 2022152150000009
Figure 2022152150000010
Figure 2022152150000011
Figure 2022152150000012
本発明の積層体は、酸素ガス、水蒸気等に対するガスバリア性に優れているため、例えば、食品、医薬品などの包装材および有機ELテレビ、太陽電池などの電子デバイス用部材として有用に用いることができるが、用途がこれらに限定されるものではない。
1 基材
2 A層
3 ガスバリア性フィルム用ベースフィルム
4 B層
5 ガスバリア性フィルム
6 巻き取り式電子線(EB)蒸着装置
7 巻き取り室
8 巻き出しロール
9,10,11 巻き出し側ガイドロール
12 メインドラム
13 ハースライナー
14 蒸着材料
15 電子銃
16 電子線
17,18,19 巻き取り側ガイドロール
20 巻き取りロール
21 蒸着材料B
22 蒸着材料C

Claims (18)

  1. 基材の少なくとも一方に、A層を有するガスバリア性フィルム用ベースフィルムであって、前記A層が粒子(X)を含有し、前記A層表面の吸着力が50nN以下である、ガスバリア性フィルム用ベースフィルム。
  2. 基材の少なくとも一方に、A層を有するガスバリア性フィルム用ベースフィルムであって、前記A層の表面が海島構造を有し、前記A層の海成分の弾性率(G2)が4000MPa以下であり、島成分の弾性率(G1)と海成分の弾性率(G2)の比(G1/G2)が1.5~4.0である、ガスバリア性フィルム用ベースフィルム。
  3. 前記A層表面の算術平均高さSaが10.0nm以下、かつ最大高さSzが150nm以下である、請求項1または2に記載のガスバリア性フィルム用ベースフィルム。
  4. 前記A層が粒子(X)を含有し、前記粒子(X)がアルミニウム、チタン、ジルコニウム、セレン、および鉄からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む金属酸化物粒子である、請求項1~3のいずれかに記載のガスバリアフィルム用ベースフィルム。
  5. 前記A層の膜厚が1000nm未満である、請求項1~4のいずれかに記載のガスバリア性フィルム用ベースフィルム。
  6. 前記A層が粒子(X)を含有し、前記粒子(X)の直径が5~300nmである、請求項4または5に記載のガスバリア性フィルム用ベースフィルム。
  7. 前記A層が粒子(X)を含有し、前記A層断面における粒子(X)の占める面積比率が30~90%である、請求項4~6のいずれかに記載のガスバリア性フィルム用ベースフィルム。
  8. 前記A層が、粒子(X)とウレタン樹脂(Y)を含む組成物(Z)を含む層であり、前記粒子(X)はアルミニウム、チタン、ジルコニウム、セレン、および鉄からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む金属酸化物粒子であり、前記組成物(Z)における粒子(X)の質量比率(x)とウレタン樹脂(Y)の質量比率(y)について((x)/(y))が30/70~70/30である、請求項1~7のいずれかに記載のガスバリア性フィルム用ベースフィルム。
  9. 請求項1~8のいずれかに記載のガスバリア性フィルム用ベースフィルム上に、B層が積層されたガスバリア性フィルムであって、前記B層は、少なくとも金属または金属酸化物を含有する、ガスバリア性フィルム。
  10. 基材の少なくとも一方に、A層とB層とをこの順で有するガスバリア性フィルムであって、前記A層が、粒子(X)とウレタン樹脂成分(Y)を含む組成物(Z)を含む層であり、前記粒子(X)はアルミニウム、チタン、ジルコニウム、セレン、および鉄からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む金属酸化物粒子であり、前記組成物(Z)における粒子(X)の質量比率(x)とウレタン樹脂(Y)の質量比率(y)について((x)/(y))が30/70~70/30であり、前記B層は、少なくとも金属または金属酸化物を含有する、ガスバリア性フィルム。
  11. 前記B層は、陽電子ビーム法により測定される平均寿命が0.935ns以下である、請求項9または10に記載のガスバリア性フィルム。
  12. 前記B層はマグネシウム、カルシウム、チタン、ジルコニウム、亜鉛、およびアルミニウムからなる群より選ばれる1種、並びに、ケイ素またはスズまたはゲルマニウムのいずれか、並びに酸素を含む、請求項9~11のいずれかに記載のガスバリア性フィルム。
  13. 前記B層は、X線光電子分光により測定される酸素原子(O1s)のピークの半値幅が3.25eV以下である請求項9~12のいずれかに記載のガスバリア性フィルム。
  14. 前記B層は、マグネシウムおよびケイ素を含む、請求項9~13のいずれかに記載のガスバリア性フィルム。
  15. 前記B層は、マグネシウムおよびケイ素を含み、X線光電子分光により測定されるマグネシウム(Mg)原子濃度が5~50atm%、ケイ素(Si)原子濃度が2~30atm%、および酸素(O)原子濃度が45~70atm%である、請求項14に記載のガスバリア性フィルム。
  16. 前記B層は、マグネシウム(Mg)原子とケイ素(Si)原子の原子濃度(atm%)の比率Mg/(Mg+Si)が、0.30~0.90である、請求項14または15に記載のガスバリア性フィルム。
  17. 請求項1~8のいずれかに記載のガスバリア性フィルム用ベースフィルムの製造方法であって、樹脂シートの少なくとも片面に、組成物(Z)を含む塗剤を塗布した後、少なくとも一方向に延伸処理および熱処理を施す工程を含み、前記組成物(Z)が、粒子(X)、ウレタン樹脂(Y)を含有し、前記粒子(X)が金属酸化物粒子であるガスバリア性フィルム用ベースフィルムの製造方法。
  18. 請求項1~8のいずれかに記載のガスバリア性フィルム用ベースフィルム上に、B層を真空蒸着法により形成する工程を含む、ガスバリア性フィルムの製造方法。
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