JP2017097225A - 保護フィルム - Google Patents

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将幸 坪田
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Abstract

【課題】光学フィルムに積層して使用される保護フィルムとして好適であり、高温にさらされた場合でも、オリゴマー析出が抑制され、透明性が損なわれない保護フィルムを提供する。【解決手段】少なくともポリエステル樹脂層、ポリエステルフィルム基材層および粘着層がこの順に積層されてなる保護フィルムであり、前記ポリエステル樹脂層を構成するポリエステル樹脂のジオール成分としてトリシクロデカン構造を有するジオールを含有することを特徴とする保護フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、光学フィルムの製造工程での使用に好適な保護フィルムに関するものである。
近年、液晶パネルやプラズマディスプレイ等のいわゆるフラットディスプレイパネルの部材として、光学フィルムの需要が高まっており、より高性能化、高品質化が求められている。
光学フィルムの製造工程においては、表面の傷や汚れを防止するために保護フィルムが使用されており、通常は、光学フィルムに積層された状態で、その後の検査工程に供される。その際、光学フィルムの光学特性、形態特性を検査するために、保護フィルムには、透明性が要求されている。
透明性を有する保護フィルムとして、ポリエステル系樹脂フィルムが知られている(特許文献1)。
また、光学フィルムの製造工程には、ITO膜の蒸着などの、加熱雰囲気下での加工工程を含む場合もある。
特開2007−304317号公報
しかしながら、特許文献1記載の保護フィルムは、高温にさらされた場合、オリゴマーがフィルム表面に析出し、透明性が低下する場合があった。また、保護フィルム表面に析出したオリゴマーが滑落することで、光学フィルムの製造ラインが汚染される可能性があった。
本発明は、上記問題を解決しようとするものであり、高温にさらされた場合でも、オリゴマー析出が抑制され、透明性が損なわれない保護フィルムを提供する。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、少なくともポリエステル樹脂層、ポリエステルフィルム基材層および粘着層がこの順に積層されてポリエステル樹脂層が特定のモノマー構成を有することによって、上記目的が達成されることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は、下記の通りである。
(1)少なくともポリエステル樹脂層、ポリエステルフィルム基材層および粘着層がこの順に積層されてなる保護フィルムであり、前記ポリエステル樹脂層を構成するポリエステル樹脂のジオール成分としてトリシクロデカン構造を有するジオールを含有することを特徴とする保護フィルム。
(2)前記ポリエステル樹脂層を構成するポリエステル樹脂のジオール成分のうち5モル%以上70モル%未満がトリシクロデカン構造を有するジオールであることを特徴とする(1)に記載の保護フィルム。
(3)光学フィルムに積層して使用される(1)または(2)に記載の保護フィルム。
本発明の保護フィルムは、高温にさらされた場合においても、基材ポリエステルフィルムからのオリゴマー析出が抑制されているため、フィルムの透明性を損なうことがなく、また、光学フィルムの製造ライン上の汚染を抑制できる。特に、ITO膜の蒸着工程等の高温雰囲気下での加工工程を経て製造される光学フィルムの保護フィルムとして好適である。
本発明の保護フィルムは、少なくともポリエステル樹脂層、ポリエステルフィルム基材層および粘着層がこの順に積層されてなり、前記ポリエステル樹脂層を構成するポリエステル樹脂のジオール成分としてトリシクロデカン構造を有するジオールを含有するものである。
ポリエステルフィルム基材層に用いられるポリエステル樹脂としては特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートが挙げられる。ポリエステル樹脂には、必要に応じて、他の成分を共重合してもよい。
他の成分としては、カルボン酸成分、ヒドロキシカルボン酸成分、アルコール成分が挙げられる。カルボン酸成分としては、例えば、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸が挙げられる。ヒドロキシカルボン酸成分としては、例えば、4−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトン、乳酸が挙げられる。アルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、2,2−ビス[4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパンやビス[4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルホンのエチレンオキシド付加体、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールが挙げられる。これらの共重合成分は2種以上併用してもよい。
基材用ポリエステル樹脂の融点は、耐熱性付与の観点から、230℃以上であることが好ましい。
基材用ポリエステル樹脂の重合方法としては、例えば、直接エステル化法、エステル交換法等の公知の製造方法が挙げられる。直接エステル化法としては、例えば、必要なモノマー原料を反応缶内に注入し、エステル化反応をおこなった後、重縮合反応をおこなう方法が挙げられる。エステル化反応では、窒素雰囲気下、160℃以上の温度で4時間以上、加熱溶融して反応させる。その際、触媒として、マグネシウム、マンガン、亜鉛、カルシウム、リチウム、チタン等の酸化物、酢酸塩を用いてもよい。重縮合反応では、130Pa以下の減圧下で、220〜280℃の温度で所望の分子量に達するまで重縮合反応を進める。その際、触媒として、アンチモン、チタン、ゲルマニウム等の酸化物、酢酸塩を用いてもよい。
重合後の基材用ポリエステル樹脂は、モノマーやオリゴマー、アセトアルデヒドやテトラヒドロフラン等の副生成物を含んでいるため、減圧または不活性ガス流通下、200℃以上の温度で固相重合を行って得られた、より重合度の高いポリマーをポリエステルフィルム基材層に用いてもよい。
基材用ポリエステル樹脂を重合する際、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、スリップ剤、ブロッキング防止剤等を添加してもよい。酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物が挙げられる。熱安定剤としては、例えば、リン系化合物が挙げられる。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物を挙げられる。帯電防止剤としては、例えばアンチモンドープ酸化錫が挙げられる。スリップ剤としては、例えば界面活性剤が挙げられる。ブロッキング防止剤としては、例えばケイ素酸化物が挙げられる。
本発明に用いるポリエステルフィルム基材層は、未延伸フィルムであっても、延伸フィルムであってもよい。未延伸フィルムは、十分に乾燥されたポリエステル樹脂原料を押出機に供給し、流動性を示す温度以上で溶融し、必要に応じてフィルターを通過させた後、Tダイから、ポリエステル樹脂のガラス転移点(Tg)以下に温度調節した冷却ドラム上に押出すことにより得ることができる。
一軸延伸法では、未延伸フィルムをポリエステル樹脂のTg〜(Tg+50℃)の温度範囲で、横方向または縦方向にそれぞれ2〜6倍程度の延伸倍率となるように延伸する。また、同時二軸延伸法では、未延伸フィルムをポリエステル樹脂のTg〜(Tg+50℃)の温度範囲で、横方向および縦方向にそれぞれ2〜4倍程度の延伸倍率となるよう二軸延伸する。この場合、同時二軸延伸機に導く前に、1〜1.2倍程度の予備縦延伸を施しておいてもよい。また、逐次二軸延伸法では、上記未延伸フィルムをロール、赤外線等で加熱し、縦方向に延伸して縦延伸フィルムを得る。延伸は2個以上のロール周速差を利用し、ポリエステル樹脂のTg〜(Tg+40℃)の温度範囲で2.5〜4.0倍とすることが好ましい。縦延伸フィルムは続いて連続的に、横延伸、熱固定、熱弛緩の処理を順次施して二軸延伸フィルムとする。横延伸は、ポリエステル樹脂のTg〜(Tg+40℃)の温度範囲で開始し、最高温度は、ポリエステル樹脂の(Tm−100℃)〜(Tm−40℃)の温度範囲であることが好ましい(Tmはポリエステル樹脂の融点)。横延伸の倍率は最終的なフィルムの要求物性に依存し調整されるが、3.5倍以上とすることが好ましく、3.8倍以上とするのがより好ましく、4.0倍以上とするのがさらに好ましい。縦方向と横方向に延伸後、さらに、縦方向および/または横方向に再延伸することにより、フィルムの弾性率を高めたり寸法安定性を高めたりすることができる。延伸に続き、ポリエステル樹脂の(Tm−50℃)〜(Tm−10℃)の温度範囲で数秒間の熱固定処理と、熱固定処理と同時にフィルム横方向に1〜10%の弛緩することが好ましい。
フィルムの巻き取り性を改善するために、基材層に用いるポリエステルフィルムに粒子を配合してもよい。
ポリエステルフィルムに配合する粒子の種類は、特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の無機粒子が挙げられる。また、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等の耐熱性有機粒子を用いてもよい。さらに、ポリエステル樹脂製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。使用する粒子の形状は特に限定されず、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これらの粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
用いる粒子の平均粒径は、通常0.01〜3μm、好ましくは0.01〜1μmの範囲である。平均粒径が0.01μm未満の場合には、粒子が凝集しやすく、分散性が不十分な場合があり、一方、3μmを超える場合には、フィルムの表面粗度が粗くなりすぎて、後工程において離型層を塗設させる場合等に不具合が生じる場合がある。
ポリエステルフィルム基材層中の粒子含有量は、通常5質量%以下、好ましくは0.005〜3質量%の範囲である。5質量%を超えて粒子を添加すると、フィルムの透明性が不十分となる場合がある。
ポリエステルフィルム基材層中に粒子を添加する方法は、特に限定されるものではなく、ポリエステルを製造する任意の段階において添加することができる。例えば、エステル化段階、もしくはエステル交換反応終了段階である。
本発明に用いる基材層のポリエステルフィルムは、単層または複層(例えば、二種二層、二種三層、三種三層)のいずれの層構成であってもよいが、片面ごとに表面粗度を制御でき、巻取り性などのハンドリング性を向上させることができる観点から、複層構成であることが好ましい。二種二層、二種三層の構成が特に好ましい。二種二層の構成とは、二種類の層形成用材料を用いて製造された二層構成のことであり、これらの二層は組成(例えば、粒子含有量)が異なっている。二種三層の構成とは、二種類の層形成用材料を用いて製造された三層構成のことであり、2つの最外層と中間層とは組成(例えば、粒子含有量)が異なっている。三種三層の構成とは、三種類の層形成用材料を用いて製造された三層構成のことであり、これらの三層は互いに組成(例えば、粒子含有量)が異なっている。
ポリエステルフィルム基材層は、粒子を含有する層を少なくとも片面の最外層に有する複層構成が好ましい。
ポリエステルフィルム基材層が複層構成を有する場合、複層の各層における厚み比は、生産時の安定性と透明性の観点から、以下の比率が好ましい。例えば、二種二層の場合、各層の厚みの比は99:1〜1:99が好ましく、96:4〜4:96がより好ましく、90:10〜10:90がさらに好ましい。また例えば、二種三層の場合、各層の厚みの合計厚みを100%としたとき、中間層の厚みは98〜1%が好ましく、92〜4%がより好ましく、80〜10%がさらに好ましい。このとき、中間層と隣接する一方および他方の最外層の厚みはそれぞれ独立して1〜49.5%が好ましく、4〜48%がより好ましく、10〜45%がさらに好ましい。
複層構成を有するポリエステルフィルム基材層は、例えば、以下の方法により製造することができる;
(1)二種以上のポリエステル樹脂組成物(層形成用材料)を別々に溶融し、層状に合流積層させ、複層ダイスより押出して固化前に積層融着させた後、固化させる方法;
(2)上記(1)の方法の後、延伸および熱固定する方法;
(3)二種以上のポリエステル樹脂組成物(層形成用材料)を別々に溶融し、合流させることなくそれぞれ押出して、フィルム化した後、二種以上のフィルムを積層融着させる方法;および
(4)上記(3)の方法において、フィルム化し、延伸した後、二種以上の延伸フィルムを積層融着させる方法。
ポリエステルフィルム基材層は、プロセスの簡便性から、複層ダイスを用い、固化前に積層融着させる上記(1)および(2)の方法が好ましい。
本発明のポリエステル樹脂層を形成する方法としては、ポリエステルフィルム基材層上にポリエステル樹脂を含有する塗工液を塗布した後、乾燥する方法が挙げられる。
塗工液の塗布方法としては、特に限定されないが、例えば、グラビアロール法、リバースロール法、エアーナイフ法、リバースグラビア法、マイヤーバー法、インバースロール法、ダイコーター法、またはこれらの組み合わせによる各種コート方式が挙げられる。また、各種噴霧方式も採用することができる。塗工厚みは、析出オリゴマーのさらなる低減、耐ブロッキング性の向上、コート欠陥の発生防止および生産性の向上の観点から、乾燥後の厚み(特に熱乾燥後の厚み)が以下の範囲となるような値にすることが好ましい。乾燥後の厚み(特に熱乾燥後の厚み)は、0.01〜2μmとすることが好ましく、0.03〜1μmとすることがより好ましく、0.04〜0.5μmとすることがさらに好ましく、0.2〜0.5μmとすることが最も好ましい。
乾燥方法としては、特に限定されないが、熱シワ抑制の観点から、加熱して乾燥を行う熱乾燥処理法を採用することが好ましい。熱乾燥処理温度は、ポリエステルフィルム基材層の熱シワおよび変形防止の観点から、140〜250℃とすることが好ましく、160〜230℃、特に180〜230℃とすることがより好ましい。熱乾燥処理理時間は、5〜60秒とすることが好ましく、20〜60秒とすることがより好ましい。
ポリエステル樹脂層は、インラインコート法またはポストコート法により形成させることができる。インラインコート法とは、未延伸フィルムまたは一軸延伸されたフィルムに、塗工液を塗布した後、少なくとも一方向に延伸する方法である。延伸方法は、塗布前のフィルムの延伸状態に応じて決定されればよい。例えば、塗布前のフィルムが未延伸フィルムの場合、塗布後の延伸方法は逐次二軸延伸法または同時二軸延伸法である。また例えば、塗布前のフィルムが所定の一方向(MD方向またはTD方向)に一軸延伸されたフィルムの場合、塗布後の延伸方法は未延伸方向(TD方向またはMD方向)に一軸延伸を行う一軸延伸法である。一方、ポストコート法とは、未延伸フィルムを逐次二軸延伸法または同時二軸延伸法により二軸延伸フィルムとし、該二軸延伸フィルムに塗工液を塗布する方法である。
一般に、インラインコート法は、ポストコート法に比べて生産性が高く、経済性に優れている。また、インラインコート法では、未延伸フィルムまたは一軸延伸したフィルムに塗工液を塗布するため、高温で加熱することができる。本発明においては、樹脂層を140〜250℃で熱乾燥処理することが好ましいことから、高温で加熱することができるインラインコート法が好ましい。インラインコート法を採用することにより、熱乾燥処理に伴うポリエステルフィルムの収縮により発生する熱シワを抑制することができる。
本発明のポリエステル樹脂層に用いられるポリエステル樹脂(以下、ポリエステル樹脂(A)と呼ぶ。)は、主として、ジカルボン酸成分およびジオール成分から構成されるものである。ポリエステル樹脂(A)が主としてジカルボン酸成分およびジオール成分から構成されるとは、ポリエステル樹脂(A)を構成する全モノマー成分のうち、35〜50モル%、好ましくは45〜50モル%、より好ましくは48〜50モル%がジカルボン酸成分であり、かつ35〜50モル%、好ましくは45〜50モル%、より好ましくは48〜50%がジオール成分である、という意味である。本明細書中、ポリエステル樹脂(A)のモノマー成分の含有割合は、重合前の原料の使用量に基づく値で示すものとする。
本発明のポリエステル樹脂(A)を構成するジオール成分には、トリシクロデカン構造を有するジオールを含むことが必要である。ジオール成分にトリシクロデカン構造を有することで、高温環境下で使用した場合においてもオリゴマーの析出が抑制でき、本発明の効果を有する保護フィルムを提供することが可能である。トリシクロデカン構造を有するジオールは、ポリエステル樹脂(A)を構成するジオール成分100モル%に対し、5モル%以上70モル%未満含有することが好ましく、析出オリゴマーのさらなる低減の観点から10〜60モル%であることがより好ましく、15〜50モル%であることがさらに好ましい。トリシクロデカン構造を有するジオールの含有量が5モル%未満であると、熱処理に伴うオリゴマーの析出を抑制する効果が低い場合がある。一方、70モル%以上であると、インライン塗工時の延伸性に劣ったものとなる場合がある。
トリシクロデカン構造を有するジオールとしては、例えば、下記一般式(I)で示されるトリシクロデカン化合物が挙げられる。
一般式(I)中、XおよびXは、炭素数1〜4のヒドロキシアルキレン基および/または該炭素数1〜4のヒドロキシアルキレン基にアルキレンオキシドを1〜4モル付加した基であり、同一であっても異なっていてもよい。ヒドロキシアルキレン基は、炭素数1〜4、好ましくは1〜2のアルキル基の水素原子1つをヒドロキシル基1つにより置換した基である。アルキル基は直鎖状または分枝鎖状であってよく、好ましくは直鎖状である。アルキレンオキシドは、特に限定されないが、好ましくは炭素数2〜4のアルキレンオキシド化合物である。アルキレンオキシドとして、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよびブチレンオキシドが挙げられる。ヒドロキシアルキレン基へのアルキレンオキシドの付加により、ヒドロキシアルキレン基のヒドロキシル基に基づくエーテル結合が生成するとともに、アルキレンオキシドのエポキシ基に基づくヒドロキシル基が生成する。XおよびXは通常、トリシクロデカン構造が有する3つの炭素5員環を構成する10個の炭素原子のうち、異なる炭素原子に結合していればよく、好ましくは異なる炭素5員環を構成する炭素原子に結合しており、より好ましくはXおよびXはそれぞれトリシクロデカン構造の4位および8位に結合している。トリシクロデカン構造を構成する炭素原子には1価置換基が置換されていてもよい。1価置換基としては、特に限定されないが、例えば、炭素数1〜3のアルキル基(具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基)が挙げられる。最も好ましいXおよびXは、炭素数1〜4、特に1〜2のヒドロキシアルキレン基であり、同一であっても異なっていてもよい。トリシクロデカン構造を有するジオールは構造が異なる2種以上の化合物であってもよい。
一般式(I)で示される化合物としては、例えば、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノール、4,10−ジメチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノール、4,4,10,10−テトラメチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノール、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10−デカメチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールが挙げられる。中でも汎用性が高く、被膜とアクリル塗膜との接着性が高い点で、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールが好ましい。なお、これらは2種以上混合して用いてもよい。
一般式(I)で示される化合物と併用が可能なジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール等の脂肪族グリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロブタンジメタノール、ジメタノールデカリン、ジメタノールビシクロオクタン等の脂環族グリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のエーテル結合含有グリコール、2,2−ビス[4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパンのアルキレンオキシド付加体、ビス[4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルホンのアルキレンオキシド付加体が挙げられる。中でも、汎用性、重合性および樹脂特性への影響の点で、脂肪族グリコール、特にエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−プロパンジオールからなる群から選択される1種以上のジオール成分を、トリシクロデカン構造を有するジオールと共に用いることが好ましい。
脂肪族グリコールの含有量は通常、ポリエステル樹脂(A)を構成するジオール成分100モル%に対して、95モル%以下、特に30モル%以上95モル%以下、であり、析出オリゴマーのさらなる低減の観点からは31〜85モル%であることが好ましく、50〜85モル%であることがより好ましい。当該含有量は、析出オリゴマーのさらなる低減の観点からは51〜85モル%であることが好ましい。
ポリエステル樹脂(A)は、スルホン酸塩基を有するジカルボン酸を有することで水や親水性有機溶剤への分散化が容易になるため好ましい。ポリエステル樹脂(A)を構成するジカルボン酸成分100モル%に対する、スルホン酸塩基を有するジカルボン酸の含有量を、3モル%以上とすることでポリエステル樹脂層のインラインコーティングに対する延伸追随性が高まる。一方、15モル%以下、好ましくは9モル%以下、特に8モル%以下とすることで、ポリエステル樹脂層の耐水性が向上する。従って、ポリエステル樹脂(A)を構成するジカルボン酸成分100モル%に対し、スルホン酸塩基を有するジカルボン酸を0.1〜15モル%含有することが耐水性の観点から好ましく、耐水性のさらなる向上と延伸追随性(インラインコーティング時)の向上の観点からは3〜9モル%、特に3〜8モル%であることがより好ましい。延伸追随性とは、ポリエステル樹脂層を形成した後で延伸を行っても、ポリエステル樹脂層がポリエステルフィルム基材層に追随して良好に延伸され得る特性のことである。耐水性とは、本発明の保護フィルムを水に浸漬しても、ポリエステル樹脂層に生じる白化および膨潤などの外観変化を防止し得る特性のことである。
前記スルホン酸塩基を有するジカルボン酸としては、スルホフタル酸ナトリウムが好ましく、例えば、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−ナトリウムスルホテレフタル酸、5−カリウムスルホイソフタル酸、5−カリウムスルホテレフタル酸、5−リチウムスルホイソフタル酸、5−リチウムスルホテレフタル酸、3,5−ジ(カルボ−β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンスルホン酸ナトリウム、2,5−ジ(カルボ−β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンスルホン酸ナトリウム、3,5−ジ(カルボ−β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンスルホン酸カリウム、3,5−ジ(カルボ−β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンスルホン酸リチウム、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル、5−ナトリウムスルホテレフタル酸ジメチル、5−カリウムスルホイソフタル酸ジメチル、5−リチウムスルホイソフタル酸ジメチルが挙げられる。
スルホン酸塩基を有するジカルボン酸以外のジカルボン酸成分としては、特に限定されないが、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、3−tert−ブチルイソフタル酸、ジフェン酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、無水コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、アイコサン二酸、水添ダイマー酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、ダイマー酸等の不飽和脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸およびその無水物、テトラヒドロフタル酸およびその無水物等の脂環式ジカルボン酸が挙げられる。中でも、汎用性、重合性および樹脂特性への影響の点で、芳香族ジカルボン酸、特にテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましい。
スルホン酸塩基を有するジカルボン酸以外のジカルボン酸の含有量は通常、ポリエステル樹脂(A)を構成するジカルボン酸成分100モル%に対して、70〜97モル%であることが好ましく、析出オリゴマーのさらなる低減の観点からは80〜95モル%であることがより好ましい。
ポリエステル樹脂(A)には、ヒドロキシカルボン酸成分を含有させてもよい。ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、2−ヒドロキシセバシン酸、5−ヒドロキシイソフタル酸、4−ヒドロキシイソフタル酸、クエン酸、イソクエン酸、リンゴ酸、2−メチル−2−ヒドロキシコハク酸、酒石酸、テトラヒドロキシアジピン酸、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−バレロラクトン、乳酸、β−ヒドロキシ酪酸、p−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシフェニルステアリン酸のアルキレンオキシド付加体が挙げられる。ヒドロキシカルボン酸を用いる場合、その含有量は、ポリエステル樹脂(A)を構成する全モノマー成分の合計100モル%のうち、50モル%以下とすることが好ましく、40モル%以下とすることがより好ましく、30モル%以下とすることがさらに好ましい。
ポリエステル樹脂(A)には、モノカルボン酸成分やモノアルコール成分が含まれていてもよい。モノカルボン酸としては、例えば、安息香酸、フェニル酢酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等が挙げられる。モノアルコールとしては、例えば、セチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルアルコール、ステアリルアルコールが挙げられる。
ポリエステル樹脂(A)には、3官能以上のカルボン酸または3官能以上のアルコールを含有させてもよい。3官能以上のカルボン酸または3官能以上のアルコールをエステル化反応前に仕込む場合、その含有量は、それぞれ、ジカルボン酸成分またはジアルコール成分100モル%に対して、5モル%以下とすることが好ましく、4モル%以下とすることがより好ましく、3モル%以下とすることがさらに好ましい。
3官能以上のカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメシン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸が挙げられる。3官能以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが挙げられる。
ポリエステル樹脂(A)のガラス転移点は、特に制限はないが、得られるポリエステル樹脂層の作業性および延伸追随性の向上の観点から、70℃超110℃以下、であることが好ましく、80〜110℃がより好ましい。ガラス転移点は、ポリエステル樹脂(A)を構成するジオール成分のうち、トリシクロデカン構造を有するジオールが多いほど高くなる。トリシクロデカン構造を有するジオール以外のジオール成分においては、上記した脂肪族グリコール成分が多いほど、ガラス転移点は高くなる。
次に、ポリエステル樹脂(A)の製造方法について説明する。
ポリエステル樹脂(A)は、前記のモノマーを組み合わせて、公知の方法で製造することができる。例えば、全モノマー成分および/またはその低重合体を不活性雰囲気下で反応させてエステル化反応をおこない、引き続いて重縮合触媒の存在下、減圧下で、所望の分子量に達するまで重縮合反応を進める方法、および当該方法を実施した後、不活性雰囲気下、3官能以上のカルボン酸を添加して解重合反応をおこなう方法を挙げることができる。
エステル化反応において、反応温度は180〜260℃とすることが好ましく、反応時間は2.5〜10時間とすることが好ましく、4〜6時間とすることがより好ましい。
重縮合反応において、反応温度は、220〜280℃とすることが好ましい。減圧度は、130Pa以下とすることが好ましい。減圧度が低いと、重縮合時間が長くなる場合がある。大気圧から130Pa以下に達するまで、60〜180分かけて徐々に減圧することが好ましい。
重縮合触媒としては、特に限定されないが、酢酸亜鉛、三酸化アンチモン、テトラ−n−ブチルチタネート、n−ブチルヒドロキシオキソスズ等の公知の化合物を挙げることができる。触媒の使用量は、ジカルボン酸成分1モルに対し、0.1〜20×10−4モルとすることが好ましい。
解重合において、反応温度は160〜280℃とすることが好ましく、反応時間は、0.5〜5時間とすることが好ましい。
次に、本発明において、ポリエステル樹脂層の形成に用いる塗工液について説明する。
塗工液としては、ポリエステル樹脂(A)を有機溶剤に溶解した有機溶液や、ポリエステル樹脂(A)を有機溶剤および/または水に分散した分散液などが挙げられる。これらの塗工液は、基材に塗工、乾燥することでポリエステル樹脂層を形成することができる。
本発明の塗工液は、乳化剤を含有しないものが好ましい。本発明でいう乳化剤には、界面活性剤、保護コロイド作用を有する化合物、変性ワックス類、高酸価の酸変性物、水溶性高分子等が含まれる。こうした乳化剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリエステル樹脂(A)成分100質量部に対して0.1質量部未満含まれていても差し支えない。乳化剤を0.1質量部以上含む場合は、被膜の耐水性が低下する傾向にある。
水系分散液としての塗工液の製造方法としては、例えば、自己乳化法が挙げられる。自己乳化法とは、ポリエステル樹脂(A)、水、有機溶剤を一括で仕込み、系内を攪拌しながら加熱することで、有機溶剤を含有したポリエステル樹脂水性分散体を得る方法である。必要に応じて、塩基性化合物を加えてもよい。
上記の有機溶剤としては、例えば、アセトン(沸点:56.2℃)、メチルエチルケトン(沸点:79.6℃)、メチルイソブチルケトン(沸点:117℃)、シクロヘキサノン(沸点:156℃)等のケトン系有機溶剤;トルエン(沸点:111℃)、キシレン(沸点:140℃)等の芳香族系炭化水素系有機溶剤;エチレングリコールモノエチルエーテル(沸点:136℃)、テトラヒドロフラン(沸点:66.0℃)、1,4−ジオキサン(沸点:101℃)等のエーテル系有機溶剤;含ハロゲン系有機溶剤;n−プロパノール(沸点:97.2℃)、イソプロパノール(沸点:82.4℃)等のアルコール系有機溶剤;酢酸エチル(沸点:77.1℃)、酢酸ノルマルブチル(沸点:126℃)等のエステル系有機溶剤;グリコール系有機溶剤などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、併用してもよい。
ポリエステル樹脂水性分散体の製造においては、上記の分散工程の後に、さらに、有機溶剤を除去する工程(脱溶剤工程)を設けてもよい。なお、脱溶剤工程後の有機溶剤含有量は水性分散体の1質量%未満とすることが好ましく、0.5質量%未満とすることがより好ましく、0.3質量%未満とすることがさらに好ましい。
有機溶剤溶液としての塗工液は、ポリエステル樹脂(A)を有機溶剤に溶解する方法により製造する。
ポリエステル樹脂を溶解するための有機溶剤としては、ポリエステル樹脂を溶解可能な限り特に限定されないが、上記有機溶剤のうち、沸点が180℃以下のものが好ましく、165℃以下のものがより好ましく、150℃以下のものがさらに好ましい。有機溶剤の沸点が180℃を超えると、塗工時の乾燥によって有機溶剤を揮散させることが困難となる場合がある。
本発明におけるポリエステル樹脂層には、ポリエステル樹脂層の耐水性および耐溶剤性の向上の観点から、硬化剤を含有することが好ましい。
本発明で用いることのできる硬化剤としては、例えば、多官能エポキシ化合物;多官能イソシアネート化合物;多官能アジリジン化合物;カルボジイミド基含有化合物;オキサゾリン基含有化合物;フェノール樹脂;および尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等のアミノ樹脂等が挙げられる。これらのうちの1種類を使用しても2種類以上を併用してもよい。硬化剤を添加することで、得られるポリエステル樹脂層は耐水性が向上する。好ましい硬化剤は、多官能イソシアネート化合物、カルボジイミド基含有化合物、オキサゾリン基含有化合物、およびメラミン樹脂からなる群から選択される1種類以上の硬化剤である。
多官能エポキシ化合物としては、具体的にはポリエポキシ化合物、ジエポキシ化合物等を用いることができる。ポリエポキシ化合物としては、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネート、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルが使用可能である。ジエポキシ化合物としては、例えば、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテルが使用可能である。
多官能イソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、トリレンジイソシアネートとヘキサントリオールの付加物、トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの付加物、ポリオール変性ジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、3,3´−ビトリレン−4,4´ジイソシアネート、3,3´ジメチルジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネート、メタフェニレンジイソシアネート等が使用可能である。これらのイソシアネート基を重亜硫酸塩類及びスルホン酸基を含有したフェノール類、アルコール類、ラクタム類、オキシム類及び活性メチレン化合物類等でブロックしたブロックイソシアネート化合物を用いてもよい。
多官能アジリジン化合物としては、例えば、 N,N´−ヘキサメチレン−1,6−ビス−(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート等が使用可能である。
カルボジイミド基含有化合物としては、分子中に少なくとも2つ以上のカルボジイミド基を有しているものであれば特に限定されるものではない。例えば、p−フェニレン−ビス(2,6−キシリルカルボジイミド)、テトラメチレン−ビス(t−ブチルカルボジイミド)、シクロヘキサン−1,4−ビス(メチレン−t−ブチルカルボジイミド)等のカルボジイミド基を有する化合物や、カルボジイミド基を有する重合体であるポリカルボジイミド等が使用可能である。これらの1種又は2種以上を用いることができる。
オキサゾリン基含有化合物としては、オキサゾリン基を含有する重合体が使用可能である。このような重合体は、付加重合性オキサゾリン基含有モノマー単独もしくは他のモノマーとの重合によって作成できる。付加重合性オキサゾリン基含有モノマーは、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン等を挙げることができる。付加重合性オキサゾリン基含有モノマーは、これらの1種または2種以上の混合物を使用することができる。これらの中でも2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的にも入手しやすく好適である。他のモノマーは、付加重合性オキサゾリン基含有モノマーと共重合可能なモノマーであれば制限なく、例えばアルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基)等の(メタ)アクリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、スチレンスルホン酸及びその塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第三級アミン塩等)等の不飽和カルボン酸類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド、N、N−ジアルキルアクリルアミド、N、N−ジアルキルメタクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)等の不飽和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等の含ハロゲンα、β−不飽和脂肪族モノマー類;スチレン、α−メチルスチレン等のα、β−不飽和芳香族モノマー等を挙げることができる。他のモノマーは、これらの1種または2種以上のモノマーを使用することができる。
フェノール樹脂としては、 例えば、フェノールや2,2−ビス[4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、p−t−ブチルフェノール、オクチルフェノール、p−クミルフェノール等のアルキルフェノール、p−フェニルフェノール、クレゾール等を原料として調製したレゾール型フェノール樹脂及び/又はノボラック型フェノール樹脂が使用可能である。
尿素樹脂としては、 例えばジメチロール尿素、ジメチロールエチレン尿素、ジメチロールプロピレン尿素、テトラメチロールアセチレン尿素、4−メトキシ5−ジメチルプロピレン尿素ジメチロールが使用可能である。
メラミン樹脂は、例えば官能基としてイミノ基、メチロール基、および/またはアルコキシメチル基(例えばメトキシメチル基、ブトキシメチル基)を1分子中に有する化合物である。メラミン樹脂としては、イミノ基型メチル化メラミン樹脂、メチロール基型メラミン樹脂、メチロール基型メチル化メラミン樹脂、完全アルキル型メチル化メラミン樹脂等が使用可能である。その中でもメチロール化メラミン樹脂が最も好ましい。更に、メラミン系樹脂の熱硬化を促進するため、例えばp−トルエンスルホン酸等の酸性触媒を用いることが好ましい。
ベンゾグアナミン樹脂としては、 例えば、トリメチロールベンゾグアナミン、ヘキサメチロールベンゾグアナミン、トリスメトキシメチルベンゾグアナミン、ヘキサキスメトキシメチルベンゾグアナミン等が使用可能である。
ポリエステル樹脂層には、易滑性および耐ブロッキング性付与のために粒子が含有されてもよい。
配合できる粒子の粒子径は1nm〜2μmが好ましく、2nm〜1μmがより好ましい。
配合できる粒子の種類は、オリゴマー析出抑制効果に影響を及ぼさない限り特に限定されるものではなく、具体例としては、シリカ、タルク、マイカ、カオリン、膨潤性フッ素雲母、モンモリロナイト、ヘクトライト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ケイ酸ソーダ、水酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、酸化チタン、カーボンブラック等を挙げることができる。中でも、耐熱性、得られる被膜の透明性の効果を発現させる効果の高い点で、シリカ、タルク、マイカ、カオリンが好ましく、さらに易滑性にも優れる点で、シリカが最も好ましい。有機粒子としては、アクリル粒子、シリコーン粒子、ポリイミド粒子、テフロン(登録商標)粒子、架橋ポリエステル粒子、架橋ポリスチレン粒子、架橋重合体粒子、コアシェル粒子などが挙げられる。これらの粒子は単独もしくは複数をブレンドして用いることができる。
硬化剤や粒子は、塗工液を調製する任意の段階で配合することができる。例えば、(1)ポリエステル樹脂(A)の分散体、硬化剤の分散体、粒子の分散体を混合攪拌する方法、(2)ポリエステル樹脂(A)と硬化剤を予め混合した後、一括して水もしくは溶剤性媒体に添加し分散もしくは溶解させた後に粒子の分散液を添加する方法などが挙げられる。
硬化剤を用いる場合、その配合量は、塗工液のゲル化および延伸した際のコート割れの観点から、ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して硬化剤が1〜10質量部であることが好ましく、1〜8質量部であることがより好ましく、1〜5質量部であることがさらに好ましい。粒子を配合する場合には、ポリエステル樹脂(A)と硬化剤の質量の合計ポリエステル樹脂(A)+硬化剤に対して、{ポリエステル樹脂(A)+硬化剤}/粒子=99/1〜70/30(質量比)であることが好ましく、99/1〜80/20(質量比)であることがより好ましく、99/1〜90/10(質量比)であることがさらに好ましい。
塗工液には、さらに他の任意成分を配合することができる。配合可能な任意成分としては、例えば、レベリング剤、消泡剤、その他増粘剤、着色顔料、水、アルコール等を挙げることができる。
レベリング剤としては、例えば、シリコーン系、フッ素系のレベリング剤が挙げられ、特にシリコーン系レベリング剤が、塗工液との相溶性、塗工適性、接着性、耐ブロッキング性から好ましい。シリコーン系レベリング剤としては、例えば、反応性シリコーン、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリメチルアルキルシロキサン等が挙げられる。レベリング剤を用いることで塗工時のぬれ性の改善、被膜の平滑化の向上を図ることができる。レベリング剤の配合量としては、塗工液中に1〜15質量%であることが好ましい。
消泡剤としては、例えば、アセチレングリコール系化合物やそのエチレンオキシド付加体が好ましい。具体的には、3,6−ジメチル−4−デシン−3,6−ジオール、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールおよびこれらにエチレンオキサイドを付加した化合物が有効である。消泡剤を用いることで塗工時に分散体中に混入する気泡発生を抑制、得られる被膜の平滑性、透明性を向上することができる。消泡剤の配合量としては、塗工液中に1〜10質量%であることが好ましい。
本発明の保護フィルムは、少なくともポリエステル樹脂層、ポリエステルフィルム基材層および粘着層がこの順に積層されている必要がある。粘着層が被保護フィルムと接着されることで、光学フィルム等の保護フィルムとして使用できる。
粘着層を構成する粘着剤としては、天然樹脂系粘着剤、合成樹脂系粘着剤等が使用され、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤等の合成樹脂系粘着剤が好ましく使用される。なかでも、架橋性の粘着剤は、凝集破壊を起こしにくく、また粘着力の制御が容易に行え、再粘着性、再剥離性の性能を調整することができるため好ましく、取り扱いの容易性から架橋性のアクリル系粘着剤が特に好ましく用いられる。粘着層に用いる架橋剤については、特に限定されず、例えばイソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、イミン系架橋剤、および金属キレート等を用いることができる。
粘着層の厚みは特に限定されないが、初期および加熱後のタック性、粘着性、取り扱い性、経済性等を考慮すると、1μm〜30μmが好ましく、2μm〜10μmがより好ましい。
粘着層には、粘着剤および架橋剤の他、顔料、染料、着色剤、マット剤、帯電防止剤、難燃剤、防カビ剤、防錆剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、可塑剤、レベリング剤、流動調整剤、消泡剤、分散剤、蛍光増白剤、貯蔵安定剤、シランカップリング剤等の添加剤を添加してもよい。ただし、これら添加剤の添加量は粘着層の効果を阻害しない範囲であることが望ましい。
本発明の保護フィルムは、製造または組立工程においてフィルムを保護するフィルムであるため、最終的には容易に剥離できることが好ましい。また、保護フィルムを剥離した後に粘着剤が被保護フィルムに残ることは好ましくない観点から、粘着層の粘着力は0.1〜3.0N/cmであることが好ましい。
本発明の保護フィルムは、少なくともポリエステル樹脂層、ポリエステルフィルム基材層および粘着層がこの順に積層されていれば他の層が積層されていても良い。他の層としては、例えば帯電防止層、離型層、耐摩耗性層、ハードコート層などが挙げられる。帯電防止層は、帯電を防止する性能を有するものであればよく、例えば、第4級アンモニウム塩や酸化スズを有する帯電防止層等が挙げられる。
本発明の保護フィルムの厚みは、特に限定されないが、15〜160μmであることが好ましい。厚みを15〜160μmとすることにより、生産性よくフィルムを作製することができる。
本発明の保護フィルムは、そのポリエステルフィルム基材が少なくとも一方向に延伸されていることが好ましい。延伸されることにより、フィルムの平坦性や耐熱性を向上させることができる。
本発明の保護フィルムは、熱処理した際の基材フィルムからのオリゴマーの析出が抑制されており、具体的には、150℃で1時間熱処理したときのヘーズ変化量が1.0%以下、好ましくは0.5%以下となる。
本明細書中、ヘーズ変化量は、JIS−K7136:2000に従って測定された値に基づいている。
本発明の保護フィルムは、製造時に高温にさらされるようなフィルムの保護フィルムとして使用した場合でも、オリゴマーの析出を抑制することができる。このため、フィルムの透明度低下や、製造ラインの汚染を抑制することができる。したがって、光学フィルムに積層して使用される保護フィルムとして好適に用いることができる。光学フィルムの検査は、容易化が図られており、保護フィルムが光学フィルムに積層された状態で検査が行われる。よって、保護フィルムが透明であることは第一要件であり、透明度(ヘーズ値)は5%以下が好ましく、4%以下がより好ましい。
本発明の光学フィルムは、光線を透過または反射吸収し、様々な効果を与えることを目的としたフィルムであり、具体的には、液晶パネルやプラズマディスプレイ等のいわゆるフラットディスプレイパネルの部材として用いられる各種機能フィルム、透明電波遮断フィルム、光学ローパスフィルターフィルム、レンズフィルター、遮光フィルムなどが挙げられる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
<特性の評価>
〔ポリエステル樹脂のガラス転移点〕
ポリエステル樹脂を10mg秤量し、入力補償型示差走査熱量測定装置(パーキンエルマー社製DSC;Diamond DSC型、検出範囲:−50℃〜200℃)を用いて、昇温速度10℃/分の条件で測定をおこなった。得られた昇温曲線中の、低温側ベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大となるような点で引いた接線との交点の温度を求め、ガラス転移点とした。
〔透明度(ヘーズ値(Hz))〕
JIS−K7136:2000に基づき、ヘーズメーターNDH4000(日本電色製)を用いて、厚さ1.0mmのガラス板(日本板硝子社製、ヘーズ値0%)に得られた保護フィルムの粘着層を介して積層し、ヘーズ値(Hz)を測定した。なお、透明性が要求される用途で用いる場合には、ヘーズ値(Hz)は3.5%以下が実用上好ましく、3.0%以下がより好ましい。測定は各箇所でN=5で行い平均値を求め、平均値をヘーズ値(Hz)とした。
〔ヘーズ変化量(ΔHz)〕
厚さ1.0mmのガラス板(日本板硝子社製、ヘーズ値0%)に当該保護フィルムの粘着層面を介して積層し、JIS−K7136:2000に基づき、ヘーズメーターNDH4000(日本電色製)を用いて、保護フィルムのヘーズ値T1を測定した。その後、150℃で1時間の熱処理を行い、室温まで冷却後、ヘーズ値T2を測定した。測定は各箇所でN=5で行い、T1の平均値をTM1、T2の平均値をTM2として、熱処理前後でのヘーズ変化量(△Hz)を下記式により算出した。
△Hz(%)=TM2−TM1
〔耐水性〕
保護フィルムを、25℃の蒸留水に浸漬させ、24時間後に静かに引き上げ、風乾させた後、ポリエステル樹脂層の外観を目視にて観察した。
○:外観変化がなかった。
△:ポリエステル樹脂層の一部が白化または膨潤した(実用上問題なし)。
×:ポリエステル樹脂層の全体が溶解もしくは膨潤した。
〔耐溶剤性〕
保護フィルムのポリエステル樹脂層表面をイソプロパノールで濡らした布で数回擦り、その表面状態を目視にて観察した。
○:外観変化がなかった。
△:ポリエステル樹脂層の一部が白化または膨潤した(実用上問題なし)。
×:ポリエステル樹脂層の全体が白化もしくは膨潤した。
〔反りの評価〕
保護フィルムを、乾燥機で100℃、5分間熱処理した後、反りを観察し、下記基準により評価した。
○:全く反りが発生しない、もしくはわずかに反りが発生したが、実用上問題ないレベルであった。
×:反りが大きく、実用上問題があるレベルであった。
[ポリエステル樹脂(A)の調製]
調製例1
テレフタル酸3057g、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル474g、エチレングリコール1154g、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノール275gからなる混合物をオートクレーブ中で、250℃で4時間加熱してエステル化反応を行った。この時のモノマー成分の配合は、テレフタル酸:5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル:エチレングリコール:トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノール=92:8:93:7(モル比)とした。次いで、触媒として三酸化アンチモン0.525g、トリエチルホスフェート0.328g、酢酸亜鉛二水和物1.580gを添加した後、250℃に昇温し、系内の圧力を0.4MPaで制圧し、3時間反応を行った。その後、徐々に放圧し、常圧にて1時間反応を行った。その後、270℃に昇温し、徐々に系内の圧力を減じて1時間後に13Paとした。この条件下でさらに重縮合反応を続け、2時間30分後に系内を窒素ガスで常圧にして重縮合反応を終了した。その後、窒素ガスで系内圧力を加圧状態にし、シート状に樹脂を払い出し、放冷した。次いで、クラッシャーで粉砕し、篩を用いて目開き1〜6mmの分画を採取し、表1に示す組成の、粒状のポリエステル樹脂(P−1)を得た。
調製例2〜5、7〜10
重合後の樹脂組成が表1および表2に記載した内容になるよう、樹脂組成を変更した以外は、ポリエステル樹脂(P−1)と同様にして、ポリエステル樹脂(P−2)〜(P−5)、(P−7)〜(P−10)をそれぞれ得た。その結果を表1および表2に示す。
調製例6
テレフタル酸3099g、エチレングリコール812g、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノール1208gからなる混合物をオートクレーブ中で、250℃で4時間加熱してエステル化反応を行った。この時のモノマー成分の配合は、テレフタル酸:エチレングリコール:トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノール=97:68:32(モル比)とした。次いで、触媒として三酸化アンチモン0.525g、トリエチルホスフェート0.328g、酢酸亜鉛二水和物1.580g添加した後、250℃に昇温し、系内の圧力を0.4MPaで制圧し、3時間反応を行った。その後、徐々に放圧し、常圧にて1時間反応を行った。その後、270℃に昇温し、徐々に系内の圧力を減じて1時間後に13Paとした。この条件下でさらに2時間縮重合反応を続け、窒素ガスで常圧にし、無水トリメリット酸94gを添加し、270℃で2時間攪拌して解重合反応をおこなった。その後、窒素ガスで系内を加圧状態にし、シート状に樹脂を払い出し、放冷した。次いで、クラッシャーで粉砕し、篩を用いて目開き1〜6mmの分画を採取し、表1に示す組成の、粒状のポリエステル樹脂(P−6)を得た。
なお、表1および表2において、略語は以下のものを示す。
TPA:テレフタル酸
SIP:5−ナトリウムスルホイソフタル酸
TMA:トリメリット酸
EG:エチレングリコール
TCD:トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノール
1,2−PD:1,2−プロパンジオール
BAEO:2,2−ビス[4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパンのエチレンオキシド付加物
塗工液の製造例1
ジャケット付きの、密閉が可能な円筒状ガラス容器(内容量3L)と、攪拌機(東京理科器械社製、「MAZELA NZ−1200」)を用い、ポリエステル樹脂(P−1)を300g、イソプロパノールを50g、蒸留水を650gそれぞれガラス容器内に仕込み、攪拌翼の回転速度を70rpmに保って攪拌しながら、ジャケット内に熱水を通して昇温した。内温が80℃になった時点で昇温を止め、そこから攪拌を90分間続けた。攪拌中は内温を72±2℃に保つよう行った。その後、ジャケット内に冷水を通し、回転速度を30rpmに下げて攪拌しつつ、25℃まで冷却しポリエステル樹脂分散液を得た。得られたポリエステル樹脂分散液800gを丸底フラスコに仕込み、水40gを添加し、メカニカルスターラーとリービッヒ冷却器を設置し、フラスコをオイルバスで加熱し、常圧で水性媒体を40g留去した。その後、室温まで冷却し、さらに攪拌しながら、最後に固形分濃度が30質量%となるようにイオン交換水を加えて、ポリエステル樹脂分散液を得た。
このポリエステル樹脂分散液と硬化性水性分散体(オキサゾリン基含有化合物、エポクロスWS−700;日本触媒社製)とを、固形分質量比が100/5となるよう配合し、混合攪拌して塗工液(S−1)を得た。
塗工液の製造例2〜11
ポリエステル樹脂の種類、硬化剤の含有量を表1、表2に記載された通りに変更した以外は、製造例1と同様の操作を行って、塗工液(S−2)〜(S−11)を得た。
実施例1
二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(S−50、ユニチカ社製、厚さ50μm、Hz3.8%)のコロナ処理面に、卓上型コーティング装置(安田精機社製フィルムアプリケータ;No.542−AB型、バーコータ装着)を用いて熱乾燥処理後の樹脂層厚みが0.24μmとなるよう、塗工液(S―1)をオフラインコートした。その後、180℃に設定された熱風乾燥機中で30秒間乾燥させることにより、オフラインコートフィルムを得た。また、ポリエステルフィルム基材層の樹脂層面とは反対面に、アクリル系粘着剤(トーヨーケム社製「BPS5227−1」(商品名))100質量部に架橋剤(トーヨーケム社製「BXX5134」(商品名))3質量部および希釈溶剤として酢酸エチル30質量部を混合して得られた粘着剤をダイコーターで乾燥後の粘着剤厚みが5μmとなるように塗布した。その後、100℃で2分間乾燥し、さらに40℃で2日間エージングし粘着層を積層した保護フィルムを得た。
実施例2〜8および11、比較例1〜3
用いる塗工液、粘着剤の種類を表1および2に記載のように変更した以外は、実施例1と同様の操作を行って保護フィルムを得た。
実施例9
二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(S−50、ユニチカ社製、厚さ50μm、Hz3.8%)のコロナ処理面に、卓上型コーティング装置(安田精機社製フィルムアプリケータ;No.542−AB型、バーコータ装着)を用いて熱乾燥処理後の樹脂層厚みが0.24μmとなるよう、塗工液(S―2)をオフラインコートした。その後、180℃に設定された熱風乾燥機中で30秒間乾燥させることにより、オフラインコートフィルムを得た。また、ポリエステルフィルム基材層の樹脂層面とは反対面に、ウレタン系粘着剤(トーヨーケム社製「SH−101」(商品名))100質量部に架橋剤(トーヨーケム社製「BXX5134」(商品名))3質量部および希釈溶剤として酢酸エチル30質量部を混合して得られた粘着剤をダイコーターで乾燥後の粘着剤厚みが8μmとなるように塗布した。その後、100℃で2分間乾燥し、さらに40℃で2日間エージングし粘着層を積層した保護フィルムを得た。
実施例10
ポリエチレンテレフタレートB(重合触媒が三酸化アンチモン、固有粘度が0.67、ガラス転移点が78℃、融点が253℃のポリエチレンテレフタレート樹脂)を押出機I(スクリュー径:50mm)に、ポリエチレンテレフタレートA(ポリエチレンテレフタレートBに粒子径2.3μmのシリカ粒子を0.07質量%含有させたポリエチレンテレフタレート樹脂)を押出機II(スクリュー径:65mm)にそれぞれ投入して280℃で溶融後、それぞれの溶融体を複層ダイスのTダイの出口に至る前で、層の厚み比(II/I/II)が6/38/6となり、総厚みが1000μmとなるよう3層で合流積層させた。積層された溶融体を、Tダイ出口より押出し、表面温度を20℃に温調した冷却ドラム上に密着させて急冷固化して未延伸フィルムを得た。続いて90℃に温調した予熱ロール群で予熱した後、90℃に温調した延伸ロール間で周速を変化させて4.0倍に縦延伸し、厚さ250μmの縦延伸フィルムを得た。 次に縦延伸フィルムにマイヤーバーを用いて熱乾燥処理後の樹脂層厚みが0.19μmとなるよう塗工液(S−2)をインラインコートした。その後、インラインコートされたフィルムをテンター式延伸機に導き、予熱温度90℃、延伸温度120℃で5倍に横延伸し、続いて230℃で熱乾燥処理を行い、200℃で横方向に3%の弛緩処理を行った。テンターから出たフィルムは、フィルム速度150m/minで巻き取った。こうして厚さ50μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。また、ポリエステルフィルム基材層の樹脂層面とは反対面に、アクリル系粘着剤(トーヨーケム社製「BPS5227−1」(商品名))100質量部に架橋剤(トーヨーケム社製「BXX5134」(商品名))3質量部および希釈溶剤として酢酸エチル30質量部を混合して得られた粘着剤をダイコーターで乾燥後の粘着剤厚みが20μmとなるように塗布した。その後、100℃で2分間乾燥し、さらに40℃で2日間エージングし粘着層を積層した保護フィルムを得た。
実施例1〜11では、ポリエステル樹脂(A)のジオール成分にTCD成分を含有していたため、得られた保護フィルムは、加熱処理に伴うヘーズ値の変化(ΔHz)が抑制されていた。
特に、実施例2〜10では、ポリエステル樹脂層に含まれるTCDおよび硬化剤の量がいずれも、最適な範囲であったため、加熱処理に伴うオリゴマーの析出がより抑制され、ヘーズ値の変化(ΔHz)もより抑制されていた。
一方、比較例1〜3では、ポリエステル樹脂(A)のジオール成分にTCD成分を含まなかったため、加熱処理に伴うヘーズ値の変化(ΔHz)が著しく大きかった。
本発明の保護フィルムは、ITO膜の蒸着工程等の高温雰囲気下での加工工程を経て製造される光学フィルムの保護フィルムとして特に有用である。

Claims (3)

  1. 少なくともポリエステル樹脂層、ポリエステルフィルム基材層および粘着層がこの順に積層されてなる保護フィルムであり、前記ポリエステル樹脂層を構成するポリエステル樹脂のジオール成分としてトリシクロデカン構造を有するジオールを含有することを特徴とする保護フィルム。
  2. 前記ポリエステル樹脂層を構成するポリエステル樹脂のジオール成分のうち5モル%以上70モル%未満がトリシクロデカン構造を有するジオールであることを特徴とする請求項1に記載の保護フィルム。
  3. 光学フィルムに積層して使用される請求項1または2に記載の保護フィルム。











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