JP2024005258A - ポリエステルフィルム、積層フィルム及び積層体 - Google Patents

ポリエステルフィルム、積層フィルム及び積層体 Download PDF

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佑介 中澤
Yusuke Nakazawa
雄三 加藤
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Abstract

【課題】耐ブロッキング性に優れ、かつ薄膜化 された粘着テープ基材用ポリエステルフィルムを提供する。【解決手段】平均粒径が0.5~3.5μmの第1の粒子を含有するポリエステル樹脂層と、前記ポリエステル樹脂層の少なくとも片面に硬化樹脂層を備えるポリエステルフィルムであって、前記ポリエステル樹脂層の厚み(t:μm)と前記第1の粒子の平均粒径(X:μm)との関係(t/X)が0.6以上であり、下記(1)、(2)を満足する、粘着テープ基材用ポリエステルフィルム。(1)硬化樹脂層が(A)バインダー(B)架橋剤および(C)第2の粒子を含む硬化樹脂層組成物の硬化物であること(2)硬化樹脂層表面のRSmが3.0μm以下であること

Description

本発明は、ポリエステルフィルム、積層フィルム及び積層体に関する。
従来から、ラベル、粘着テープ、粘着フィルム、粘着シート等の各種粘着製品は、商業用、事務用、工程管理、物流管理、一般家庭など、広範囲に普及している。例えば、粘着テープの構成は、基材フィルムと離型フィルムとの間に粘着層を備えた積層構成からなっているのが一般的である。
上述の通り、粘着剤が様々な粘着製品に使用されてきたが、地球環境あるいは作業環境(VOC(揮発性有機化合物)低減)への関心の高まりから、溶剤系粘着剤から、有機溶剤を使用しない水系粘着剤への移行が望まれている(例えば、特許文献1~2)。特許文献1では、光学フィルムの固定に使用する粘着テープが開示されており、光学フィルムと接する粘着層が、水分散型アクリル系粘着剤組成物からなる粘着層であることが記載されている。また、特許文献2には、環境に優しいアクリル系光カチオン重合性粘着剤組成物、及び、その粘着剤組成物を光カチオン重合させて得られる粘着テープが開示されている。
国際公開第2013/047764号 特開平11-166168号公報
上述したように、水系粘着剤から粘着テープの粘着層を形成することが検討されている。しかしながら、水系粘着剤をポリエステルフィルムに塗布する場合、基材フィルムや離型フィルムと粘着層との密着性が不十分な場合があった。
粘着層の密着性を改良するためには、例えば、フィルム表面に易接着層を設けることがなどが考えられるが、このような場合、フィルムをロール状に巻き取った際に易接着層の構成(特にフィルム両面に易接着層を備えた構成)によっては、ブロッキングが発生しやすくなる場合があった。さらにフィルムと粘着層との密着性を向上させるために、易接着層の塗布厚みを厚くすると、易接着層表面が平坦になりすぎて、ロール状に巻き取るとシワが入りやすくなる場合があった。近年は、接着部材に許容されるクリアランスが狭小化する傾向がある。特に、各種部品固定に用いる粘着テープには両面に粘着層を備えた構成が必要とされる場合があるため、粘着テープの薄膜化がさらに進行する中で、上記課題が深刻な状況であった。
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、本発明者は、このような従来技術の課題を解決するために、耐ブロッキング性に優れ、かつ薄膜化された粘着テープ基材用ポリエステルフィルムを提供することを目的として検討を進めた。
本発明者らは、鋭意検討の結果、以下の構成により上記課題を解決できること見出し、本発明を完成するに至った。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[1] 平均粒径が0.5~3.5μmの第1の粒子を含有するポリエステル樹脂層と、ポリエステル樹脂層の少なくとも片面に硬化樹脂層を備えるポリエステルフィルムであって、
ポリエステル樹脂層の厚み(t:μm)と第1の粒子の平均粒径(X:μm)との関係(t/X)が0.6以上であり、下記(1)、(2)を満足する、粘着テープ基材用ポリエステルフィルム。
(1)硬化樹脂層が(A)バインダー(B)架橋剤および(C)第2の粒子を含む硬化樹脂層組成物の硬化物であること
(2)硬化樹脂層表面のRSmが3.0μm以下であること
[2] ポリエステル樹脂層の厚み(t)が、0.5~12.0μmである、[1]に記載の粘着テープ基材用ポリエステルフィルム。
[3] 硬化樹脂層の厚みが0.01~0.20μmである、[1]又は[2]に記載の粘着テープ基材用ポリエステルフィルム。
[4] 第2の粒子の平均粒径が0.01~0.20μmである、[1]~[3]のいずれかに記載の粘着テープ基材用ポリエステルフィルム。
[5] 架橋剤がオキサゾリン化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、メラミン化合物及びカルボジイミド化合物よりなる群から選択される少なくとも1種を含む、[1]~[4]のいずれかに記載の粘着テープ基材用ポリエステルフィルム。
[6] バインダーがポリエステル樹脂、アクリル樹脂及びポリウレタン樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種を含む、[1]~[5]のいずれかに記載の粘着テープ基材用ポリエステルフィルム。
[7] [1]~[6]のいずれかに記載の粘着テープ基材用ポリエステルフィルムの少なくとも一方の硬化樹脂層上に粘着層を備えた積層フィルム。
[8] 硬化樹脂層はポリエステル樹脂層の両面に設けられており、
両面の硬化樹脂層上に粘着層をそれぞれ備えた[7]に記載の積層フィルム。
[9] 粘着層の各々の厚み(A)が1.0~20.0μmである、[7]又は[8]に記載の積層フィルム。
[10] 粘着層の厚みをA(μm)とし、ポリエステル樹脂層の厚みをt(μm)とした場合、t/(A+t)×100で表される粘着層の厚み比率が40%以下である、[7]~[9]のいずれかに記載の積層フィルム。
[11] 粘着層が水性粘着剤組成物の硬化物である、[7]~[10]のいずれかに記載の積層フィルム。
[12] [7]~[11]のいずれかに記載の積層フィルムの前記粘着層の表面に離型フィルムを貼合した、積層体。
[13] 離型フィルムは、離型層を有し、
離型層が水系離型剤または無溶剤型離型剤の硬化物である、[12]に記載の積層体。
[14] 離型層がインラインコーティング(塗布延伸)層である、[13]に記載の積層体。
[15] 部品の固定に用いる粘着テープの基材用である、[1]~[6]のいずれかに記載の粘着テープ基材用ポリエステルフィルム。
[16] 部品の固定に用いる、[7]~[11]のいずれかに記載の積層フィルム。
[17] 離型フィルムを剥離して部品の固定に用いる、[12]~[14]のいずれかに記載の積層体。
本発明によれば、耐ブロッキング性に優れ、かつ薄膜化された粘着テープ基材用ポリエステルフィルムを提供することができる。
硬化樹脂層付きポリエステルフィルムの構成図 本発明の好ましい実施態様である積層体の構成図 実施例1の硬化樹脂層の概念図 比較例1の硬化樹脂層の概念図
次に、本発明の実施形態の一例について説明する。但し、本発明が、次に説明する実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は「~」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。また、「X以上」(Xは任意の数字)と記載した場合、特に断らない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と記載した場合、特に断らない限り「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
また、本明細書においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
<ポリエステルフィルム(粘着テープ基材)>
本発明は、ポリエステル樹脂層と、ポリエステル樹脂層の少なくとも片面に硬化樹脂層を有する粘着テープ基材用ポリエステルフィルムに関する(以下、粘着テープ基材用ポリエステルフィルムを単にポリエステルフィルムと呼ぶことがある)。ポリエステル樹脂層は、平均粒径が0.5~3.5μmの第1の粒子を含有し、ポリエステル樹脂層の厚みをt(μm)とし、第1の粒子の平均粒径をX(μm)とした場合、t/Xの値は0.6以上である。また、硬化樹脂層は(A)バインダー、(B)架橋剤および(C)第2の粒子を含み、硬化樹脂層表面のRSmは3.0μm以下である。本発明のポリエステルフィルムは、粘着テープの基材として用いられるものである。すなわち、本発明は、上記構成を有する粘着テープ基材に関するものである。
図1は、本実施形態であるポリエステル樹脂層と硬化樹脂層を有するポリエステルフィルム(粘着テープ基材)の構成を説明する断面図である。図1に示されるように、ポリエステルフィルム1は、ポリエステル樹脂層2と硬化樹脂層4を備える。硬化樹脂層4は、ポリエステル樹脂層2の一方の面側にのみ積層されていてもよく、図1に示されるように、ポリエステル樹脂層2の両面に積層されていてもよい。より好ましい実施形態においては、硬化樹脂層4は、ポリエステル樹脂層2の両面に設けられている。なお、ポリエステル樹脂層2と硬化樹脂層4の間には他の層が設けられていてもよいが、ポリエステル樹脂層2と硬化樹脂層4は直接接するように積層されていることが好ましい。
本発明は、上記構成を有するため、耐ブロッキング性に優れている。耐ブロッキング性については、以下の方法で剥離荷重を測定した際に、その剥離荷重が軽いほど良好であると言える。まず、測定試料としてポリエステルフィルムを2枚用意し、重ね合わせて、中央領域にある12cm×10cmの面積の領域を、40℃、相対湿度80%、10kg/cm、168時間の条件下でプレスする。その後、フィルム同士をASTM D1893に規定された方法に準じて剥離し、その際の剥離荷重を測定する。剥離荷重は100gf以下であることが好ましく、75gf以下であることがより好ましく、60gf以下であることがさらに好ましく、50gf以下であることが一層好ましく、40gf以下であることが特に好ましい。本発明のポリエステルフィルムは耐ブロッキング性に優れているため、巻取り性や作業性に優れ、取り扱い性が良好である。
また、本発明は、上記構成を有するため、粘着テープの薄膜化が可能となる。例えば、本発明のポリエステルフィルムを用いれば、6μm以下といった極めて薄い厚さを要求される粘着テープを提供することも可能となる。本発明のポリエステルフィルムに粘着層を積層してなる粘着テープは、携帯電話、PDAなどの携帯端末機器、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラなどの電子・光学部品、ディスプレイ、自動車用、建材用など、各種粘着テープとして好ましく用いられる。
本発明のポリエステルフィルムの厚みは0.5~12.0μmであることが好ましく、1.0~10.0μmであることがより好ましく、1.5~8.0μmであることさらに好ましく、1.5~6.0μmであることが特に好ましい。以上のように、本発明のポリエステルフィルムはそれ自体が薄膜化されているため、後工程において粘着層を積層して薄膜化された粘着テープを得ることが可能となる。
本発明のポリエステルフィルムの動摩擦係数は0.6以下であることが好ましく、0.5以下であることがより好ましく、0.4以下であることがさらに好ましい。ポリエステルフィルムの動摩擦係数を上記上限値以下とすることにより、ポリエステルフィルム加工時の巻取工程においてシワ発生防止を図ることが可能となる。ポリエステルフィルムの動摩擦係数を上記範囲内に調整するには、ポリエステルフィルム表面に存在する凹凸を制御することが好ましく、硬化樹脂層やポリエステル樹脂層に所定の平均粒径を有する粒子を添加したり、その添加量を調整することが好ましい。
ポリエステルフィルムの動摩擦係数は以下の方法で測定される。まず、幅75mm、長さ85mmの平坦なSUS製メッキ板の上に、長手方向に150mm、幅方向に15mmに切り出したポリエステルフィルムを固定する。固定したポリエステルフィルム上に同じ大きさのポリエステルフィルムを重ねあわせて置き、一方の端をロードセルに固定する。重ねあわせたフィルムの中央に、縦12mm、横12mm、厚さ3mmのシリコン製ゴム板をのせ、その上に荷重50gの重りをのせ、メッキ版をロードセルと反対方向20mm/分で走行させて摩擦力を測定し、滑り始めから10mm滑らせた点での摩擦力を動摩擦係数とする。なお測定は室温23℃±1℃ 、相対湿度50±0.5%の雰囲気下で行う。なお、ポリエステルフィルムの動摩擦係数は硬化樹脂層が設けられた面同士の動摩擦係数である。
本発明のポリエステルフィルムの静摩擦係数は0.6以下であることが好ましく、0.5以下であることがより好ましく、0.4以下であることがさらに好ましい。ポリエステルフィルムの静摩擦係数を上記上限値以下とすることにより、ポリエステルフィルム加工時の巻取工程においてシワ発生防止を図ることが可能となる。ポリエステルフィルムの静摩擦係数を上記範囲内に調整するには、ポリエステルフィルム表面に存在する凹凸を制御することが好ましく、硬化樹脂層やポリエステル樹脂層に所定の平均粒径を有する粒子を添加したり、その添加量を調整することが好ましい。なお、ポリエステルフィルムの静摩擦係数の測定方法も、上述したとおりである。
以下、本発明のポリエステルフィルムについて、さらに詳細に説明する。
<ポリエステル樹脂層>
本発明のポリエステルフィルムはポリエステル樹脂層を含む。一般的に、ポリエステルフィルムは、耐熱性、平面性、光学特性、強度などの物性が優れていることが知られており、各種用途に好ましく用いられている。本発明の粘着テープ基材用ポリエステルフィルムに含まれるポリエステル樹脂層は単層であっても、2以上の層を有する多層(すなわち、積層フィルムからなる層)でもよい。ポリエステル樹脂層が多層である場合、各層は性質の異なる層であってもよく、同様の性質を有する層であってもよい。
ポリエステル樹脂層は、無延伸フィルム(シート)であっても延伸フィルムであってもよい。中でも、ポリエステル樹脂層は、一軸方向又は二軸方向に延伸された延伸フィルムであることが好ましい。その中でも、力学特性のバランスや平面性の観点で、二軸延伸フィルムであることがより好ましい。すなわち、ポリエステル樹脂層は二軸延伸ポリエステルフィルムからなる層であることが好ましい。
ポリエステル樹脂層の主成分樹脂であるポリエステルは、ホモポリエステルであっても、共重合ポリエステルであってもよい。なお、主成分樹脂とは、ポリエステル樹脂層を構成する樹脂の中で最も質量割合の大きい樹脂の意味である。主成分樹脂の含有量は、ポリエステル樹脂層を構成する樹脂の全質量に対して、50質量%以上であることが好ましく、75質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。また、主成分樹脂の含有量は、ポリエステル樹脂層を構成する樹脂の100質量%であってもよい。
上記ホモポリエステルとしては、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。
代表的なホモポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)等を例示することができる。
一方、上記ポリエステルが共重合ポリエステルの場合は、30モル%以下の第三成分を含有した共重合体であることが好ましい。
共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。これらの第三成分としては、一種または二種以上が用いられてもよい。
中でも、ポリエステル樹脂層は共重合ポリエステルを含むことが好ましく、この場合、60モル%以上、好ましくは80モル%以上がエチレンテレフタレート単位であるポリエチレンテレフタレートを用いることが好ましい。
本発明においてはポリエステル樹脂層の表面を適度に粗面化することが好ましい。例えば、ポリエステル樹脂層の表面の平均粗さ(Ra)は0.03~0.07μmであることが好ましく、0.04~0.06μmであることがより好ましい。また、ポリエステル樹脂層の最大高さ(Rt)は1.4μm以下が好ましく、1.1μm以下であることがより好ましい。また、下限値は0.3μm以上が好ましく、0.6μm以上がより好ましい。ポリエステル樹脂層の表面の平均粗さ(Ra)を上記下限値以上とすることにより、良好な巻取作業性を確保することができる。また、ポリエステル樹脂層の表面の平均粗さ(Ra)や最大高さ(Rt)を上記上限値以下とすることにより、突起周辺の厚みを適度な範囲とすることができ、積層部材との接着性を高めることができる。ポリエステル樹脂層の表面を粗面化するには、例えば、後述するように第1の粒子の平均粒径や添加量を調整することで達成できる。
ポリエステル樹脂層の厚み(t)は、0.5μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましく、1.5μm以上であることがさらに好ましく、2μm以上であることが一層好ましい。また、ポリエステル樹脂層の厚み(t)は、12μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましく、8μm以下であることがさらに好ましく、6μm以下であることが特に好ましい。ポリエステル樹脂層の厚み(t)は粘着テープの貼合用途によって適宜調整することが可能であり、薄膜化が要求される用途においては、ポリエステル樹脂層の厚み(t)を5μm以下とすることも好ましい。
(ポリエステル重縮合触媒)
上記ポリエステルを重縮合する際の重縮合触媒としては、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、アルミニウム化合物、チタン化合物等が挙げられる。これらの中では、アンチモン化合物及びチタン化合物から選択される少なくともいずれかが好ましく、とりわけ、ポリエステル重縮合触媒としてチタン化合物を用いることが好ましい。
したがって、ポリエステル樹脂層は、アンチモン化合物及びチタン化合物から選択される少なくともいずれかを含むことが好ましく、チタン化合物を含むことがより好ましい。例えば、チタン化合物を使用することで、フィルム中に当該チタン化合物に由来する金属含有凝集体、いわゆる粗大異物の発生を抑制することができる。
(第1の粒子)
ポリエステル樹脂層は平均粒径が0.5~3.5μmの第1の粒子を含有する。第1の粒子は、ポリエステル樹脂層に易滑性を付与したり、各工程での傷発生防止を主たる目的として配合される。第1の粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であることが好ましく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の無機粒子;アクリル樹脂、スチレン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等の有機粒子等が挙げられる。さらに、第1の粒子としては、ポリエステル樹脂層の製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させて得られる析出粒子を用いることもできる。中でも、第1の粒子は、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム及び酸化チタンよりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、シリカ、炭酸カルシウム及びアルミニウムよりなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましく、シリカであることが特に好ましい。
第1の粒子の形状は特に限定されるものではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。第1の粒子としては、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
また、用いる第1の粒子の平均粒径は、0.5μm以上であればよく、0.75m以上であることが好ましく、1μm以上であることがさらに好ましい。また、第1の粒子の平均粒径は3.5μm以下であればよく、3.4μm以下であることが好ましい。第1の粒子の平均粒径を上記範囲内とすることにより、ポリエステルフィルムに適度な凹凸を形成し、良好な平滑性が確保できる。また、第1の粒子の平均粒径を上記範囲内とすることにより、硬化樹脂層との密着性をより効果的に高めることができる。
第1の粒子の平均粒径は、スト-クスの抵抗値にもとづく沈降法によって算出することができる。測定装置としては、例えば、(株)島津製作所社製遠心沈降式粒度分布測定装置SA-CP3型を用いることができる。
なお、第1の粒子がポリエステル樹脂層の製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させて得られる析出粒子である場合には、以下の方法で第1の粒子の平均粒径を算出することができる。まず析出粒子を含むポリエステルフィルムをプレパラートに挟み溶解し、冷却後顕微鏡にて観察する。その画像をライカ社製画像処理装置(Quantimet500+ )を用いて平均粒径を測定する。析出粒子の濃度は、ポリエステル100gにo-クロルフェノール1.0リットルを加え120℃で3時間熱加熱後、日立工機性超遠心分離機(55P-72)を用いて40分間遠心分離し得られた粒子を100℃で真空乾燥した後に測定する。該粒子の融解ピークを走査型差動熱量計にて測定したとき、ポリマーに相当する融解ピークが認められた場合には該粒子にo-クロルフェノールを加え加熱冷却後再び遠心分離操作を行う。融解ピークが認められなくなったとき該粒子を析出粒子とする。
ポリエステル樹脂層が2以上の層を有する多層構造である場合、第1の粒子は、表層に配合されていることが好ましい。例えば、ポリエステル樹脂が表層/中間層/表層の構造を有する場合、表層に第1の粒子を配合することが好ましい。この場合、第1の粒子を含有する表層/中間層/第1の粒子を含有する表層の多層構造となる。
第1の粒子の含有量は、ポリエステル樹脂層の全質量に対して5質量%以下であることが好ましく、4質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましい。また、第1の粒子の含有量は、ポリエステル樹脂層の全質量に対して0.0001質量%以上であることが好ましく、0.0002質量%以上であることがより好ましく、0.0003質量%以上であることがさらに好ましい。第1の粒子の含有量を上記範囲内とすることにより、フィルムの透明性を確保しつつ、フィルムに滑り性を付与しやすくなる。
ポリエステル樹脂層の厚みをt(μm)とし、第1の粒子の平均粒径をX(μm)とした場合、t/Xの値は0.6以上であればよく、0.8以上であることが好ましく、1.0以上であることがより好ましい。また、t/Xの値は2.0以下であることが好ましく、1.8以下であることがより好ましく、1.6以下であることがさらに好ましい。t/Xの値を上記範囲内とすることにより、ポリエステル樹脂層の表面を適度に粗面化することが容易となる。より具体的には、ポリエステル樹脂層の表面の平均粗さ(Ra)を0.03~0.07μm、より好ましくは0.04~0.06μmの範囲内とすることが容易となる。これにより、フィルム製造時に良好な巻取作業性を確保することができる一方で、突起周辺の厚みを適度な範囲とすることができるため、積層部材との接着性を高めることができる。
(任意成分)
本発明の効果を損なわない範囲で、ポリエステル樹脂層には、例えば、顔料、染料などの着色剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、核剤、可塑剤、離型剤などの添加剤を1種以上添加することもできる。
<硬化樹脂層>
本発明のポリエステルフィルムは硬化樹脂層を含む。硬化樹脂層は(A)バインダー(B)架橋剤および(C)第2粒子を含む。
硬化樹脂層の表面のRSmは3.0μm以下であればよく、2.0μm以下であることが好ましく、1.5μm以下であることがより好ましい。なお、硬化樹脂層の表面のRSmの下限値は特に限定されるものではないが、例えば0.5μm以上であることが好ましい。硬化樹脂層の表面のRSmを上記範囲内とすることにより、耐ブロッキング性に優れたポリエステルフィルムを得ることができる。また、硬化樹脂層の表面のRSmを上記範囲内とすることにより、フィルムの透明性を確保しつつ、フィルムに滑り性を付与しやすくなる。
硬化樹脂層の表面のRSmを上記範囲内とするためには、硬化樹脂層に所定の粒径を有する第2の粒子を所定量配合することが好ましい。これにより、硬化樹脂層の表面の凹凸ピッチ(突起と突起との間隔)を短くすることができ、RSmをコントロールすることができる。また、硬化樹脂層の表面のRSmを上記範囲内とすることにより、後工程において積層する粘着層との間の層間密着性を高めることもできる。また、一定距離内に存在する突起と突起との間隔(RSm)が適度に小さいと、フィルムをロール状に巻き取った際に、突起1個あたりに加わる外部からの圧力(フィルムの自重)を分散、低減できる利点を有する。
硬化樹脂層の厚みは、0.01μm以上であることが好ましく、0.02μm以上であることがより好ましい。また、硬化樹脂層の厚みは、0.11μmであることが好ましく、0.10μm以下であることがより好ましい。硬化樹脂層の厚みを上記範囲内とすることにより、耐ブロッキング性に優れたポリエステルフィルムを得ることができる。また、硬化樹脂層の厚みを上記範囲内とすることにより、得られるポリエステルフィルムの薄膜化が可能となる。
((A)バインダー)
硬化樹脂層は(A)バインダー、(B)架橋剤および(C)第2の粒子を含む硬化樹脂層組成物の硬化物である。硬化樹脂層の形成に用いられるバインダーの具体例としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。また、バインダーとして、ポリビニル(ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体等)、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンイミン、メチルセルロース、ヒドロキシセルロース、でんぷん類等を併用してもよい。これらのバインダーの中でも、後工程で貼合する粘着層との接着性を向上させる観点からポリエステル樹脂、アクリル樹脂及びポリウレタン樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましく、ポリエステル樹脂を用いることがより好ましい。
(ポリエステル樹脂)
ポリエステル樹脂は、主な構成成分として例えば、下記のような多価カルボン酸および多価ヒドロキシ化合物を重縮合させてなる。多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、フタル酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、2-カリウムスルホテレフタル酸、5-ソジウムスルホイソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、グルタル酸、コハク酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水フタル酸、p-ヒドロキシ安息香酸、トリメリット酸モノカリウム塩およびそれらのエステル形成性誘導体などを用いることができる。多価ヒドロキシ化合物としては、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノ-ル、p-キシリレングリコール、ビスフェノールA-エチレングリコール付加物、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリテトラメチレンオキシドグリコール、ジメチロールプロピオン酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジメチロールエチルスルホン酸ナトリウム、ジメチロールプロピオン酸カリウムなどを用いることができる。これらの化合物の中から、それぞれ適宜1つ以上を選択し、常法の重縮合反応によりポリエステル樹脂を合成すればよい。
(アクリル樹脂)
アクリル系樹脂としては、特に制限はなく、本発明の効果を奏する範囲で、適宜選定されればよく、例えば、(メタ)アクリレートを構成単位として含むことが好ましい。
単官能の(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルへキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、モノブチルヒドロキルフマレート、モノブチルヒドロキシイタコネート等の水酸基含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、二官能(メタ)アクリレートとしては、例えば1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート等のアルカンジオールジ(メタ)アクリレート;ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート等のビスフェノール変性ジ(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ウレタンジ(メタ)アクリレート、エポキシジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、三官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート;エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート;イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス(アクロキシエチル)イソシアヌレート等のイソシアヌル酸変性トリ(メタ)アクリレートが挙げられる。
さらに、(メタ)アクリレートとして、エポキシ基を有する(メタ)アクリレートが挙げられ、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、特に反応性の良好性、材料の使用のしやすさを考慮するとグリシジル(メタ)アクリレートが好ましく、グリシジルメタクリレートが特に好ましい。
また、(メタ)アクリレートとして、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、シトラコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸等のカルボキシル基含有(メタ)アクリレートを好適に挙げることができる。
(ウレタン樹脂)
ウレタン樹脂とは、分子内にウレタン構造を有する高分子化合物のことである。通常ウレタン樹脂はポリオールとイソシアネートの反応により作製される。ポリオールとしては、ポリカーボネートポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリオレフィンポリオール類、アクリルポリオール類が挙げられ、これらの化合物は単独で用いても、複数種用いてもよい。
ポリカーボネートポリオール類は、多価アルコール類とカーボネート化合物とから、脱アルコール反応によって得られる。多価アルコール類としては、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3,3-ジメチロールヘプタン等が挙げられる。カーボネート化合物としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート等が挙げられ、これらの反応から得られるポリカーボネート系ポリオール類としては、例えば、ポリ(1,6-ヘキシレン)カーボネート、ポリ(3-メチル-1,5-ペンチレン)カーボネート等が挙げられる。
ポリエステルポリオール類としては、多価カルボン酸(マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等)またはそれらの酸無水物と多価アルコール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオール、1,8-オクタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-ブチル-2-ヘキシル-1,3-プロパンジオール、シクロヘキサンジオール、ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、ジメタノールベンゼン、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、アルキルジアルカノールアミン、ラクトンジオール等)の反応から得られるものが挙げられる。
ポリエーテルポリオール類としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。
ウレタン樹脂を得るために使用されるイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート;メチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシルジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート等が例示される。これらは単独で用いても、複数種併用してもよい。
ウレタン樹脂を合成する際に鎖延長剤を使用しても良く、鎖延長剤としては、イソシアネート基と反応する活性基を2個以上有するものであれば特に制限はなく、一般的には、水酸基またはアミノ基を2個有する鎖延長剤を主に用いることができる。
水酸基を2個有する鎖延長剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール等の脂肪族グリコール;キシリレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン等の芳香族グリコール;ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレート等のエステルグリコールといったグリコール類を挙げることができる。また、アミノ基を2個有する鎖延長剤としては、例えば、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン等の芳香族ジアミン;エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサンジアミン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、トリメチルヘキサンジアミン、2-ブチル-2-エチル-1,5-ペンタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1 ,9-ノナンジアミン、1 ,10-デカンジアミン等の脂肪族ジアミン;1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジアミン、イソプロビリチンシクロヘキシル-4,4’-ジアミン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、1 ,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン等の脂環族ジアミン等が挙げられる。
((B)架橋剤)
硬化樹脂層は(A)バインダー、(B)架橋剤および(C)第2の粒子を含む硬化樹脂層組成物の硬化物である。硬化樹脂層の形成に用いられる架橋剤の具体例としては、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、メラミン化合物、カルボジイミド化合物等が挙げられる。これらの架橋剤の中でも、粘着層との接着性を向上させる観点からオキサゾリン化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、メラミン化合物及びカルボジイミド化合物よりなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましく、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物及びイソシアネート化合物から選択される少なくとも1種を用いることがより好ましく、オキサゾリン化合物及びエポキシ化合物から選択される少なくとも1種を用いることがさらに好ましく、オキサゾリン化合物及びエポキシ化合物を併用することが特に好ましい。
(オキサゾリン化合物)
オキサゾリン化合物とは、分子内にオキサゾリン基を有する化合物であり、特にオキサゾリン基を含有する重合体であることが好ましい。オキサゾリン基を含有する重合体は、付加重合性オキサゾリン基含有モノマー単独もしくは他のモノマーとの重合によって作製できる。付加重合性オキサゾリン基含有モノマーとしては、2-ビニル-2-オキサゾリン、2-ビニル-4-メチル-2-オキサゾリン、2-ビニル-5-メチル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-4-メチル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-5-エチル-2-オキサゾリン等を挙げることができ、これらの1種または2種以上の混合物を使用することができる。これらの中でも2-イソプロペニル-2-オキサゾリンが工業的にも入手しやすく好適である。他のモノマーとしては、付加重合性オキサゾリン基含有モノマーと共重合可能なモノマーであれば制限はなく、例えばアルキル(メタ)アクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、2-エチルヘキシル基、シクロヘキシル基)等の(メタ)アクリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、スチレンスルホン酸およびその塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第三級アミン塩等)等の不飽和カルボン酸類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリルアミド、N-アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド、(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、2-エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)等の不飽和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレン、プロピレン等のα-オレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等の含ハロゲンα,β-不飽和モノマー類;スチレン、α-メチルスチレン、等のα,β-不飽和芳香族モノマー等を挙げることができ、これらの1種または2種以上のモノマーを使用することができる。
(エポキシ化合物)
エポキシ化合物とは、分子内にエポキシ基を有する化合物であり、例えば、エピクロロヒドリンとエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、ビスフェノールA等の水酸基やアミノ基との縮合物が挙げられ、ポリエポキシ化合物、ジエポキシ化合物、モノエポキシ化合物、グリシジルアミン化合物等がある。ポリエポキシ化合物としては、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアネート、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル等が挙げられる。ジエポキシ化合物としては、例えば、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル等が挙げられる。モノエポキシ化合物としては、例えば、アリルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、グリシジルアミン化合物としてはN,N,N’,N’,-テトラグリシジル-m-キシリレンジアミン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノ)シクロヘキサン等が挙げられる。
(イソシアネート化合物)
イソシアネート化合物とは、イソシアネート、あるいはブロックイソシアネートに代表されるイソシアネート誘導体構造を有する化合物のことである。イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート;α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族イソシアネート;メチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート;シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)、イソプロピリデンジシクロヘキシルジイソシアネート等の脂環族イソシアネート等が例示される。また、これらイソシアネートのビュレット化物、イソシアヌレート化物、ウレトジオン化物、カルボジイミド変性体等の重合体や誘導体も挙げられる。これらは単独で用いても、複数種併用してもよい。
ブロックイソシアネートの状態で使用する場合、そのブロック剤としては、例えば重亜硫酸塩類、フェノール、クレゾール、エチルフェノールなどのフェノール系化合物;プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール、ベンジルアルコール、メタノール、エタノールなどのアルコール系化合物;マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトンなどの活性メチレン系化合物;ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタンなどのメルカプタン系化合物;ε‐カプロラクタム、δ‐バレロラクタムなどのラクタム系化合物;ジフェニルアニリン、アニリン、エチレンイミンなどのアミン系化合物;アセトアニリド、酢酸アミドの酸アミド化合物、ホルムアルデヒド、アセトアルドオキシム、アセトンオキシム、メチルエチルケトンオキシム、シクロヘキサノンオキシムなどのオキシム系化合物が挙げられ、これらは単独でも2種以上の併用であってもよい。
(カルボジイミド化合物)
カルボジイミド化合物とは、カルボジイミド構造を有する化合物のことであり、分子内にカルボジイミド構造を1つ以上有する化合物であるが、より良好な密着性等のために、分子内に2つ以上有するポリカルボジイミド系化合物がより好ましい。
カルボジイミド化合物は従来公知の技術で合成することができ、一般的には、ジイソシアネート化合物の縮合反応が用いられる。ジイソシアネート化合物としては、特に限定されるものではなく、芳香族系、脂肪族系いずれも使用することができ、具体的には、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。
さらに本発明の効果を消失させない範囲において、ポリカルボジイミド系化合物の水溶性や水分散性を向上するために、界面活性剤を添加することや、ポリアルキレンオキシド、ジアルキルアミノアルコールの四級アンモニウム塩、ヒドロキシアルキルスルホン酸塩などの親水性モノマーを添加して用いてもよい。
(メラミン化合物)
メラミン化合物とは、化合物中にメラミン骨格を有する化合物のことである。例えば、アルキロール化メラミン誘導体、アルキロール化メラミン誘導体にアルコールを反応させて部分的あるいは完全にエーテル化した化合物、およびこれらの混合物を用いることができる。エーテル化に用いるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、イソブタノール等が好適に用いられる。また、メラミン化合物としては、単量体、あるいは2量体以上の多量体のいずれであってもよく、あるいはこれらの混合物を用いてもよい。さらに、メラミンの一部に尿素等を共縮合したものも使用できるし、メラミン化合物の反応性を上げるために触媒を使用することも可能である。
((C)第2の粒子)
硬化樹脂層は(A)バインダー、(B)架橋剤および(C)第2の粒子を含む硬化樹脂層組成物の硬化物である。硬化樹脂層は、第2の粒子を含むため、固着性が改善されており、良好な滑り性を発揮する。
第2の粒子としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の無機粒子;アクリル樹脂、スチレン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等の有機粒子等が挙げられる。さらに、第2の粒子としては、ポリエステル樹脂層の製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させて得られる析出粒子を用いることもできる。中でも、第2の粒子は、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム及び酸化チタンよりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、シリカ、炭酸カルシウム及び酸化アルミニウムよりなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましく、シリカであることが特に好ましい。
第2の粒子の形状は特に限定されるものではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。第2の粒子としては、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
また、用いる第2の粒子の平均粒径は、0.02m以上であることが好ましく、0.03μm以上であることより好ましく、0.04μm以上であることがさらに好ましく、0.05μm以上であることが特に好ましい。また、第2の粒子の平均粒径は0.14μm以下であることが好ましく、0.12μm以下であることがより好ましく、0.10μm以下であることがさらに好ましい。第2の粒子の平均粒径を上記範囲内とすることにより、硬化樹脂層表面のRSmを所定範囲にコントロールしやすくなり、耐ブロッキング性に優れたポリエステルフィルムを得ることができる。また、第2の粒子の平均粒径を上記範囲内とすることにより、フィルムの透明性を確保しつつ、フィルムに滑り性を付与しやすくなる。
第2の粒子の平均粒径は、スト-クスの抵抗値にもとづく沈降法によって算出することができる。測定装置としては、例えば、(株)島津製作所社製遠心沈降式粒度分布測定装置SA-CP3型を用いることができる。
第2の粒子の含有量は、硬化樹脂層の全質量に対して30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましい。また、第2の粒子の含有量は、硬化樹脂層の全質量に対して0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることがさらに好ましい。第2の粒子の含有量を上記範囲内とすることにより、フィルムの透明性を確保しつつ、フィルムに滑り性を付与しやすくなる。また、耐ブロッキング性に優れたポリエステルフィルムが得られやすくなる。
硬化樹脂層の厚みをs(μm)とし、第2の粒子の平均粒径をY(μm)とした場合、s/Yの値は0.40以上であることが好ましく、0.50以上であることがより好ましい。また、s/Yの値は0.78以下であることが好ましく、0.75以下であることがより好ましくい。s/Yの値を上記範囲内とすることにより、硬化樹脂層の表面を適度に粗面化することが容易となる。より具体的には、硬化樹脂層の表面のRSmを所定の範囲内とすることが容易となる。これにより、耐ブロッキング性に優れたポリエステルフィルムを得ることができる。また、s/Yの値を上記範囲内とすることにより、フィルムの透明性を確保しつつ、フィルムに滑り性を付与しやすくなる。
(任意成分)
硬化樹脂層を形成する硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、本発明の主旨を損なわない範囲内で適宜、種々の添加剤を配合することができる。添加剤としては、例えば、光開始剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、有機顔料、有機粒子、無機粒子、難燃剤、レベリング剤、分散剤、チクソトロピー性付与剤(増粘剤)、消泡剤などを併用してもよい。
<ポリエステルフィルムの製造方法>
本発明のポリエステルフィルムの製造方法は、ポリエステル樹脂層を形成する工程と、ポリエステル樹脂層上に硬化樹脂層を形成する工程を含む。なお、硬化樹脂層は、ポリエステル樹脂層の一方の面側にのみ形成されてもよく、両面に形成されてもよいが、硬化樹脂層は、ポリエステル樹脂層の両面に形成されることが好ましい。
ポリエステル樹脂層を形成する工程では、二軸延伸ポリエステルフィルムが形成されることが好ましい。ポリエステル樹脂層を形成する工程では、例えば共押出法、押出ラミネート法、ドライラミネート法、インフレーション法等公知の方法により未延伸シートを得た後に、少なくとも二方向に延伸を行うことが好ましい。例えば、公知の方法により、原料、例えばポリエステルチップを溶融押出装置に供給し、それぞれのポリマーの融点以上に加熱し、溶融ポリマーをダイから押し出し、回転冷却ドラム上でポリマーのガラス転移点以下の温度となるように冷却固化し、実質的に非晶状態の未延伸シートを得ることが好ましい。
次に、当該未延伸シートを、一方向にロール又はテンター方式の延伸機により延伸する工程が設けられることが好ましい。この際、延伸温度は、通常25~120℃、好ましくは35~100℃であり、延伸倍率は通常2.5~7倍、好ましくは2.8~6倍である。
次いで、一段目の延伸方向と直交する方向に延伸する。この際、延伸温度は通常50~140℃であり、延伸倍率は通常3.0~7倍、好ましくは3.5~6倍である。
なお、上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。
延伸後、引き続き130~270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱固定処理を行うことが好ましい。熱固定処理を行うことで、耐熱性などを向上させることができる。このようにして、ポリエステル樹脂層を構成する二軸延伸ポリエステルフィルムを得ることができる。
ポリエステル樹脂層上に硬化樹脂層を形成する工程では、硬化樹脂層組成物をポリエステル樹脂層上に塗布することが好ましい。硬化樹脂層組成物の塗布方法としては、公知の方法を採用することができる。塗布方法として、例えばコンマコート法、グラビアコート法、リバースコート法、ナイフコート法、ディップコート法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、スピンコート法、ロールコート法、プリント法、スライドコート法、カーテンコート法、ダイコート法、キャスティング法、バーコート法、エクストルージョンコート法等を挙げることができる。
硬化樹脂層組成物の塗布量(乾燥後)は、0.01g/m以上であることが好ましく、0.02g/m以上であることがより好ましく、0.03g/m以上であることがさらに好ましい。また、硬化樹脂層組成物の塗布量(乾燥後)は、1g/m以下であることが好ましく、0.5g/m以下であることがより好ましく、0.1g/m以下であることがさらに好ましい。
硬化樹脂層組成物の塗布方法としては、予め延伸されたポリエステル樹脂層上に塗布するオフライン方式と、硬化樹脂層組成物を塗布した後にポリエステル樹脂層を乾燥、延伸するインライン方式がある。本発明の製造方法においては、硬化樹脂層の表面のRSmを小さくできるという観点で上記硬化樹脂層組成物をインライン方式で塗布する方が好ましい。すなわち、硬化樹脂層はインラインコーティング(塗布延伸)層であることが好ましい。インライン方式で塗布した場合は、基材であるポリエステル樹脂層に塗布された硬化樹脂層の塗膜が延伸時の熱によって、延伸と同時に造膜され、塗液に分散する第2の粒子が適度に分散することで、表面のRSmを所定範囲にコントロールしやすくなる。
インライン方式で硬化樹脂層を形成する場合、硬化樹脂層組成物を塗布した後にポリエステル樹脂層を乾燥、延伸する工程が設けられる。この場合の延伸条件としては上述した延伸条件を適宜採用することができる。また、延伸工程の後には、上述した熱固定工程が設けられることが好ましい。
(積層フィルム(粘着テープ))
本発明は、上述した粘着テープ基材用ポリエステルフィルムの少なくとも一方の硬化樹脂層上に粘着層を備えた積層フィルムに関する。本発明の積層フィルムは粘着層を備えているため、粘着テープと呼ぶこともできる。
粘着層は、硬化樹脂層上に設けられる。粘着層は、ポリエステルフィルムの一方の面側にのみ積層されていてもよく、両面に積層されていてもよい。なお、粘着層がポリエステルフィルムの両面に積層される場合には、硬化樹脂層は、ポリエステル樹脂層の両面に設けられていることが好ましい。より好ましい実施形態においては、粘着層は、ポリエステルフィルムの両面に設けられている。
(粘着層)
粘着層を形成する粘着剤としては、特に制限されず、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、スチレン-ジエンブロック共重合体粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、フッ素系粘着剤、クリープ特性改良型粘着剤、放射線硬化型粘着剤などの公知の粘着剤から適宜選択して用いることができる。粘着剤は単独で使用してもよいし、必要に応じて、2種類以上を組み合わせて使用することもできる。
粘着剤としては、接着の信頼性の観点から、特にアクリル系粘着剤を好適に用いることができる。アクリル系粘着剤は、アクリル系ポリマーを粘着性成分(ベースポリマー)または主剤とし、これに必要に応じて、架橋剤、粘着付与剤、軟化剤、架橋剤、充填剤、老化防止剤、着色剤などの適宜添加剤が含まれている。アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを単量体単位の主成分として含有するものであることが好ましく、必要に応じて(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合が可能な単量体単位(共重合性単量体単位)を有していてもよい。(メタ)アルキル酸アルキルエステルの例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、共重合性単量体の例としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのカルボキシル基含有単量体またはその無水物;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有単量体;スチレン、置換スチレンなどの芳香族ビニル化合物;アクリロニトリルなどのシアノ基含有単量体;エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのオレフィン類、酢酸ビニルなどのビニルエステル類;塩化ビニル;アクリルアミド、メタアクリルアミド、N-ビニルピロリドン、N,N-ジメチルアクリルアミドなどのアミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、グリセリンジメタクリレートなどのヒドロキシル基含有単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリルイルモルホリンなどのアミノ基含有単量体;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミドなどのイミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのエポキシ基含有単量体;2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有単量体の他、トリエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジビニルベンゼンなどの多官能基の共重合性単量体(多官能基モノマー)などが挙げられる。共重合性単量体は単独または2種以上組み合わせて使用することができる。
アクリル系ポリマーは、溶液重合法、エマルション重合法、紫外線照射重合法等の慣用の重合方法により調製することができる。
本発明においては、環境対応の観点から、粘着層を形成する粘着剤組成物として、水性粘着剤組成物を用いることが好ましい。すなわち、粘着層は水性粘着剤組成物の硬化物であることが好ましい。水性粘着剤組成物では有機溶剤を使用しないか、使用していたとしてもその量が僅かであるため、環境への負荷を低減することができ、また、作業環境における安全性も高めることができる。水性粘着剤組成物はアクリル系ポリマーに加えて、界面活性剤、粘着付与剤を水性媒体中で乳化させた乳化液の形態であってもよい。
(界面活性剤)
界面活性剤としては、各成分を水媒体中に乳化させ得る機能を持つものであれば特には限定されず、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、両イオン性の界面活性剤を用いることができる。
(粘着付与剤)
粘着付与剤とは、粘着性を付与することのできる樹脂のことをいう。例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油樹脂、クマロンインデン樹脂、フェノール系樹脂(アルキルフェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂等)、スチレン系樹脂、キシレン樹脂、エチレン/酢酸ビニル共重合樹脂等が挙げられる。その中でも特に、ロジン系樹脂及びテルペン系樹脂から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましく、さらに好ましくはロジン系樹脂がよい。
粘着付与剤の含有量はアクリル系ポリマー100質量部に対して、1~60質量部、好ましくは10質量部~60質量部、さらに好ましくは20質量部~60質量部の範囲である。
(粘着層の厚み)
粘着層の厚みA(μm)は、1.0μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましく、5μm以上であることがさらに好ましい。また、粘着層の厚みA(μm)は、200μm以下であることが好ましく、150μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。薄膜化が要求される用途においては、粘着層の厚みA(μm)を20μm以下とすることも好ましい。粘着層の厚みを上記範囲内とすることにより、貼付適性を高めることができ、適切な粘着力を発揮することができる。また、粘着層の厚みを上記範囲内とすることにより、ポリエステルフィルム(粘着テープ基材)との厚みのバランスが好適となり、加工適性をより効果的に高めることができる。なお、粘着層がポリエステルフィルムの両面に設けられている場合、上記厚みは、各粘着層の厚みである。粘着層がポリエステルフィルムの両面に設けられている場合、それぞれの粘着層の厚みは同じであっても異なっていてもよい。
粘着層の厚みをA(μm)とし、ポリエステル樹脂層の厚みをt(μm)とした場合、t/(A+t)×100で表される粘着層の厚み比率は40%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましく、20%以下であることがさらに好ましく、15%以下であることが特に好ましい。また、t/(A+t)×100で表される粘着層の厚み比率の下限値は特に限定されるものではないが、例えば5%以上であることが好ましい。t/(A+t)×100で表される粘着層の厚み比率を上記範囲内とすることにより、ポリエステルフィルム基材の薄膜化と粘着力を両立することができる。また、粘着層の厚みを厚く設定することもできるため、設計の自由度が増し、所望する粘着力に調整しやすくなる。
積層フィルムにおいては、夏期の車内など、高温での使用に耐える耐久性付与を目的として、粘着層の対SUS粘着力は1000mN/cm以上であることが好ましい。
上記粘着力は、以下の方法で測定することができる。市販のシリコーン離型紙に乾燥重量で18g/mとなるように粘着剤組成物を塗工し、100℃の電気オーブンにて2分間乾燥させた後、基材として、一般のコピー用紙(上質紙)(「V-Paper,モノクロコピー/プリンター用紙、坪量64g/m」、FUJI XEROX社製)を用い、25N/cmの圧力にてラミネートロールで積層し、粘着層をコピー用紙に転写することにより粘着シートを得た。次に得られた粘着シートを、23℃で7日間エージング処理した後、表面粗さ#280の紙やすりで研磨したSUS304板に、23℃、相対湿度50%の条件にて貼り合わせ、2kgローラーを2往復させて接着させた。そして、接着から24時間後に、JIS Z 0237:2009の接着力測定法に準じて180°剥離により対SUS粘着力(mN/cm)を測定した。
(積層体(離型フィルム付き粘着テープ))
本発明は、上述した積層フィルムの粘着層の表面に離型フィルムを貼合した積層体に関するものであってもよい。粘着層の表面が離型フィルムに覆われていることにより、粘着層の汚染防止や傷発生防止効果が発揮される。
図2は、本発明の積層体の一実施形態を説明する断面図である。図2に示されるように、積層体100は、ポリエステル樹脂層2と硬化樹脂層4を有するポリエステルフィルム1の両面に粘着層10を備えており、さらに、その粘着層10は離型フィルム20で覆われていることが好ましい。なお、図2では、ポリエステルフィルム1の両面に粘着層10が設けられた態様を図示しているが、ポリエステルフィルム1の一方の面側に粘着層10が設けられ、その粘着層10が離型フィルム20で覆われていてもよい。
(離型フィルム)
離型フィルムは、離型層を有するものであることが好ましい。このような離型フィルムとしては、例えば紙、樹脂、金属等を原料とした薄いシート状の離型フィルム基材表面に、シリコーン樹脂離型剤等を塗布して離型層を形成したものが挙げられる。離型フィルム基材としては、安価で加工しやすく、また、廃棄やリサイクルしやすい点から、紙又は樹脂が好ましく、透明性の点から、樹脂がより好ましい。
離型フィルム基材として用いられる紙としては、例えば上質紙、クラフト紙、グラシン紙、パーチメント紙、スーパーカレンダードクラフト紙等の表面にシリコーンコート処理されたものが挙げられる。
離型フィルム基材として用いられる樹脂フィルムとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル;ポリイミド、ポリカーボネートを主成分とするフィルムを用いることができる。中でも、外観、加工のしやすさ、耐久性、耐熱性、コスト等の点から、ポリエステルを主成分とする樹脂フィルムを含むことが好ましい。また、上記樹脂フィルムは単層構成であっても2層以上の多層構成であってもよい。
離型フィルム基材の厚みは、12μm以上であることが好ましく、25μm以上であることがより好ましく、38μm以上であることがさらに好ましい。また、離型フィルム基材の厚みは、125μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましく、75μm以下であることがさらに好ましい。離型フィルム基材の厚みを上記範囲内とすることにより、離型フィルムは良好な離型性を発揮することができる。
離型層に含まれる離型成分は特に制限されず、長鎖アルキル化合物、シリコーン化合物、フッ素化合物、ワックス類などが含有されていてもよい。中でも、離型層は、水系離型剤または無溶剤型離型剤の硬化物であることが好ましく、離型層は長鎖アルキル化合物、シリコーン化合物及びフッ素化合物よりなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、水性粘着剤組成物の塗布性向上の観点から長鎖アルキル化合物を含むことがより好ましい。
離型層には、剥離性調整のために剥離コントロール剤を添加してもよい。また、離型層には、ロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。また、離型層は、離型フィルム基材上に直接積層されていても良く、他の層を介して積層されていてもよい。他の層としては、例えば、易接着層や帯電防止層が挙げられる。
離型層の厚みは、0.01μm以上であることが好ましく、0.03μm以上であることがより好ましく、0.05μm以上であることがさらに好ましい。また、離型層の厚みは、0.5μm以下であることが好ましく、0.3μm以下であることがより好ましく、0.1μm以下であることがさらに好ましい。離型層の厚みを上記範囲内とすることにより、離型フィルムは良好な離型性を発揮することができる。
離型フィルムの全体の厚みは、12μm以上であることが好ましく、25μm以上であることがより好ましく、50μm以上であることがさらに好ましい。また、離型フィルムの全体の厚みは、125μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましく、75μm以下であることがさらに好ましい。離型フィルムの厚みを上記範囲内とすることにより、離型フィルムは良好な離型性を発揮することができる。また、離型フィルムの厚みを上記範囲内とすることにより、離型フィルムの製造効率を高めることもできる。
離型フィルムの剥離力(軽セパ側)は、100mN/25mm以上であることが好ましく、200mN/25mm以上であることがより好ましく、300mN/25mm以上であることがさらに好ましい。また、離型フィルムの剥離力(軽セパ側)は、800mN/25mm以下であることが好ましく、600mN/25mm以下であることがより好ましく、400mN/25mm以下であることがさらに好ましい。
離型フィルムの剥離力(重セパ側)は、200mN/25mm以上であることが好ましく、400mN/25mm以上であることがより好ましく、600mN/25mm以上であることがさらに好ましい。また、離型フィルムの剥離力(重セパ側)は、1600mN/25mm以下であることが好ましく、1200mN/25mm以下であることがより好ましく、800mN/25mm以下であることがさらに好ましい。
(離型フィルムの製造方法)
離型フィルムが離型フィルム基材と離型層を有する場合、離型フィルムの離型層形成方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、離型剤を溶解又は分散させた塗液を、離型フィルムが基材の一方の面に塗布等により展開し、溶剤等を乾燥により除去後、硬化させる方法が用いられる。さらに、溶剤乾燥後、活性エネルギー線を照射し硬化反応を進行させることも好ましい。この時用いる活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、X線などを使用することができるが、紫外線が使用しやすく好ましい。
また、塗液の塗布方法としては、例えばコンマコート法、グラビアコート法、リバースコート法、ナイフコート法、ディップコート法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、スピンコート法、ロールコート法、プリント法、スライドコート法、カーテンコート法、ダイコート法、キャスティング法、バーコート法、エクストルージョンコート法等を挙げることができる。
塗液の塗布方法としては、予め延伸された離型フィルムが基材上に塗布するオフライン方式と、塗液を塗布した後に離型フィルムが基材を乾燥、延伸するインライン方式がある。離型層表面の平均表面粗さを小さくできるという観点で上記塗液をインライン方式で塗布する方が好ましい。すなわち、離型フィルムにおいて離型層はインラインコーティング(塗布延伸)層であることが好ましい。
なお、離型フィルム基材は、例えば共押出法、押出ラミネート法、ドライラミネート法、インフレーション法等公知の方法を用いて作製することができる。また、離型フィルム基材は、二軸延伸フィルムであってもよく、例えば共押出法、押出ラミネート法、ドライラミネート法、インフレーション法等公知の方法により未延伸シートを得た後に、少なくとも二方向に延伸を行ってもよい。
(用途)
本発明の積層フィルムは部品の固定に用いられるものであることが好ましい。また、本発明の積層体は、離型フィルムを剥離して部品の固定に用いられるものであることが好ましい。本発明のポリエステルフィルム(粘着テープ基材)は薄膜化されているため、極めて薄いクリアランスにも好適に用いられ、その適用範囲が広い。
部品は光学部材であってもよい。例えば、粘着層及び粘着テープ基材を有する積層フィルムは、携帯電話、PDAなどの携帯端末機器、ディスプレイ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラなどの電子・光学部品の固定に用いられてもよい。
また、部品は、家電製品、自動車用部材、建材であってもよい。例えば、粘着層及び粘着テープ基材を有する積層フィルムは、テレビ、エアコン、炊飯器、冷蔵庫などを構成するパネルや緩衝材の固定、自動車のパネル、マット、シートなどの内装材の固定、キッチンパネル、腰壁、飾り縁、幅木の固定等に用いられてもよい。
次に、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
<評価方法>
種々の物性及び特性の測定及び評価方法は、以下の通りである。
(1)極限粘度(IV)
ポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)平均粒径、粒度分布
(株)島津製作所社製遠心沈降式粒度分布測定装置SA-CP3型を用いてスト-クスの
抵抗値にもとづく沈降法によって平均粒径を測定した。また、粒度分布を算出した。
(3)フィルム厚み
試料の重量、長さ、幅、密度より次式にて測定した。
厚み=( 試料の重量)÷(( 試料の長さ)×( 試料の幅)×(試料の密度) )
(4)フィルムの摩擦係数の測定方法
幅75mm、長さ85mmの平坦なSUS製メッキ板の上に、長手方向に150mm、幅方向に15mmに切り出したポリエステルフィルムを固定した。固定したポリエステルフィルム上に同じ大きさのポリエステルフィルムを重ねあわせて置き、幅方向の一方の端部をロードセルに固定した。重ねあわせたフィルムの中央に、縦12mm、横12mm、厚さ3mmのシリコン製ゴム板をのせ、その上に荷重50gの重りをのせ、メッキ版をロードセルと反対方向20mm/分で走行させて摩擦力を測定した。滑り始めから10mm滑らせた点での摩擦力を動摩擦係数として評価した。なお測定は室温23℃±1℃ 、相対湿度50±0.5%の雰囲気下で行った。なお、静摩擦係数についても同様の方法で測定を行った。
(5)耐ブロッキング性
測定試料としてポリエステルフィルムを2枚用意し重ね合わせて、中央領域にある12cm×10cmの面積の領域を、40℃、相対湿度80%、10kg/cm、168時間の条件下でプレスした。その後、フィルム同士をASTM D1893に規定された方法に準じて剥離し、その際の剥離荷重を測定した。
(6)粘着力
粘着層と離型フィルムを有する積層体について、粘着力(離型フィルムの剥離力)の測定を、(株)島津製作所製の「EZgraph」を用いて行った。粘着力の測定は、引張速度0.3m/minの条件下、離型フィルムを180°で剥離して行った。
(7)表面粗さ
表面粗さ測定器(アメテック株式会社、「NewView」(登録商標))を用いて実施例及び比較例の表面粗さ(RSm)を測定した。
各実施例および比較例におけるポリエステル樹脂層及び離型フィルムの原料は、以下のとおりである。
(ポリエステル樹脂層)
<ポリエステルA>
極限粘度が0.63であるポリエチレンテレフタレートホモポリマー。
<ポリエステルB>
極限粘度が0.85であるポリエチレンテレフタレートホモポリマー。
<ポリエステルC>
平均粒径3.1μmのシリカ粒子を1.0質量%含有する、極限粘度が0.70であるポリエチレンテレフタレートホモポリマー。
各実施例および比較例では以下の離型フィルム(X)および(Y)を用いた。
<離型フィルム(X)>
ポリエステル(A)、(C)をそれぞれ90質量%、10質量%の割合で混合した混合原料を最外層(表層)の原料とし、ポリエステル(A)のみを中間層の原料として、2台の押出機に各々を供給し、各々温度285℃で溶融した後、温度40℃に設定した冷却ロール上に、2種3層(表層/中間層/表層=1:8:1の吐出量)の層構成で共押出し冷却固化させて未延伸シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向(MD)に3.4倍延伸した。この縦延伸フィルムをテンターに導き、下記離型層組成物を片面に塗布量(乾燥後)が0.02g/mにあるように塗布した後、横方向(TD)に110℃で4.3倍延伸し、離型フィルム基材上に離型層を形成した。235℃で熱処理を行った後、横方向に2%弛緩し、厚みが50μmの離型層を有する離型フィルムを得た。
<離型層組成物>
離型層組成物は下記の離型剤、帯電防止剤、アクリル樹脂1及びメラミン化合物を離型剤:帯電防止剤:アクリル樹脂1:メラミン=25:30:25:20の重量比(固形分比)となるように混合して得た。
・離型剤(長鎖アルキル化合物):
4つ口フラスコにキシレン200質量部、オクタデシルイソシアネート600質量部を加え、攪拌下で加熱した。キシレンが還流し始めた時点から、平均重合度500、ケン化度88モル%のポリビニルアルコール100質量部を少量ずつ10分間隔で約2時間にわたって加えた。ポリビニルアルコールを加え終わってから、さらに2時間還流を行い、反応を終了した。反応混合物を約80℃まで冷却してから、メタノール中に加えたところ、反応生成物が白色沈殿として析出したので、この沈殿を濾別し、キシレン140質量部を加え、加熱して完全に溶解させた後、再びメタノールを加えて沈殿させるという操作を数回繰り返した後、沈殿をメタノールで洗浄し、乾燥粉砕することで離型剤(長鎖アルキル化合物)を得た。
・帯電防止剤:
下記式3-1の構成単位と、下記式3-2の構成単位とを95/5の重量比率で共重合した、数平均分子量30000の高分子化合物を帯電防止剤として用いた。
<離型フィルム(Y)>
ポリエステル(A)、(C)をそれぞれ90質量%、10質量%の割合で混合した混合原料を最外層(表層)の原料とし、ポリエステル(A)のみを中間層の原料として、2台の押出機に各々を供給し、各々温度285℃で溶融した後、温度40℃に設定した冷却ロール上に、2種3層(表層/中間層/表層=1:8:1の吐出量)の層構成で共押出し冷却固化させて未延伸シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向(MD)に3.4倍延伸した。この縦延伸フィルムをテンターに導き、下記離型層組成物を片面に塗布量(乾燥後)が0.02g/mにあるように塗布した後、横方向(TD)に110℃で4.3倍延伸し、離型フィルム基材上に離型層を形成した。235℃で熱処理を行った後、横方向に2%弛緩し、厚みが50μmの離型層を有する離型フィルムを得た。
<離型層組成物>
離型層組成物は下記の離型剤、帯電防止剤、アクリル樹脂2及びメラミン化合物を離型剤:帯電防止剤:アクリル樹脂2:メラミン=12:30:28:30の重量比(固形分比)となるように混合して得た。
・離型剤(長鎖アルキル化合物):
4つ口フラスコにキシレン200質量部、オクタデシルイソシアネート600質量部を加え、攪拌下で加熱した。キシレンが還流し始めた時点から、平均重合度500、ケン化度88モル%のポリビニルアルコール100質量部を少量ずつ10分間隔で約2時間にわたって加えた。ポリビニルアルコールを加え終わってから、さらに2時間還流を行い、反応を終了した。反応混合物を約80℃まで冷却してから、メタノール中に加えたところ、反応生成物が白色沈殿として析出したので、この沈殿を濾別し、キシレン140質量部を加え、加熱して完全に溶解させた後、再びメタノールを加えて沈殿させるという操作を数回繰り返した後、沈殿をメタノールで洗浄し、乾燥粉砕することで離型剤(長鎖アルキル化合物)を得た。
・帯電防止剤:
下記式3-1の構成単位と、下記式3-2の構成単位とを95/5の重量比率で共重合した、数平均分子量30000の高分子化合物を帯電防止剤として用いた。
(3-2)
・アクリル樹脂2:下記組成で重合したアクリル樹脂の水分散体を用いた。
エチルアクリレート/n-ブチルアクリレート/メチルメタクリレート/N-メチロールアクリルアミド/アクリル酸=65/21/10/2/2(mol%)の乳化重合体(乳化剤:アニオン系界面活性剤)。水酸基価11mgKOH/g。
・メラミン化合物としてヘキサメトキシメチロールメラミンを用いた。
[実施例1]
ポリエステルA、B、Cをそれぞれ69.5質量%、21質量%、9.5質量%の割合で混合した混合原料を押出機に供給し、295℃で溶融した後、28℃に設定した冷却ロール上に押出し冷却固化させて未延伸シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度100℃で縦方向(MD)に4.5倍延伸した。この縦延伸フィルムをテンターに導き、下記硬化樹脂層組成物を塗布量(乾燥後)が各々、0.05g/mになるように両面に塗布した。その後、フィルム温度96℃横方向(TD)に4.3倍延伸した。230℃で熱処理を行った後、横方向に4.5%弛緩し、ポリエステル樹脂層の厚みが4.5μmであり、硬化樹脂層の厚みが0.05μmのポリエステルフィルム(基材フィルムF1)を得た。
(硬化樹脂層組成物)
下記の成分1から5をそれぞれ、重量比47/17/13/13/10で配合して水系の樹脂組成物(硬化樹脂層組成物)を得た。
成分1:下記組成で共重合したポリエステル樹脂の水分散体
モノマー組成:(酸成分)テレフタル酸/イソフタル酸/5-ソジウムスルホイソフタル酸//(ジオール成分)エチレングリコール/1,4-ブタンジオール/ジエチレングリコール=56/40/4//70/20/10(mol%)
成分2:下記組成で共重合したポリエステル樹脂の水分散体
モノマー組成:(酸成分)2,6-ナフタレンジカルボン酸/5-ソジウムスルホイソフタル酸//(ジオール成分)エチレングリコール/ジエチレングリコール=92/8//80/20(mol%)
成分3:オキサゾリン基及びポリアルキレンオキシド鎖を有するアクリルポリマー エポクロス(オキサゾリン基量=4.5mmol/g、株式会社日本触媒製)
成分4:ポリグリセロールポリグリシジルエーテル
成分5:平均粒径0.07μmのシリカ粒子
[実施例2]
上記で得られた離型フィルム(X)および離型フィルム(Y)上に各々、下記水性着剤組成物を塗布量(乾燥後)が20g/mになるように塗布し、105℃で5分熱処理し、粘着層を形成した。その後、実施例1で得られたポリエステルフィルム(基材フィルムF1)の両面にそれぞれ離型フィルム付き粘着層を貼合し、23℃で7日間、エージング処理を行った。上記のようにして、離型フィルム(X)/粘着層/基材フィルムF1(硬化樹脂層/ポリエステル樹脂層/硬化樹脂層)/粘着層/離型フィルム(Y)から構成される、積層体を得た。
(水性粘着剤組成物)
・アクリル共重合体水性エマルジョン 固形分濃度:60質量%(ジャパンコーティングレジン社製 リカボンドAP-96)
[比較例1]
硬化樹脂層の厚みを0.12μmに変更し、硬化樹脂層の組成を以下に変更した以外は、実施例1のポリエステルフィルムと同様にしてポリエステル樹脂層の厚みが4.5μmであり、硬化樹脂層の厚みが0.12μmポリエステルフィルム(基材フィルムF2)を得た。
(硬化樹脂層組成物)
下記の成分1から5をそれぞれ、重量比49/20/15/15/1で配合した水系の樹脂組成物。
成分1:下記組成で共重合したポリエステル樹脂の水分散体
モノマー組成:(酸成分)テレフタル酸/イソフタル酸/5-ソジウムスルホイソフタル酸//(ジオール成分)エチレングリコール/1,4-ブタンジオール/ジエチレングリコール=56/40/4//70/20/10(mol%)
成分2:下記組成で共重合したポリエステル樹脂の水分散体
モノマー組成:(酸成分)2,6-ナフタレンジカルボン酸/5-ソジウムスルホイソフタル酸//(ジオール成分)エチレングリコール/ジエチレングリコール=92/8//80/20(mol%)
成分3: オキサゾリン基及びポリアルキレンオキシド鎖を有するアクリルポリマー エポクロス(オキサゾリン基量=4.5mmol/g、株式会社日本触媒製)
成分4:ポリグリセロールポリグリシジルエーテル
成分5’:平均粒径0.15μmのシリカ粒子
[比較例2]
実施例2において、基材フィルムF1を基材フィルムF2に変更した以外は実施例2と同様に製造し、積層体を得た。
各フィルム(サンプル)の評価結果を下記表1に示す。
実施例では図3に示されるように硬化樹脂層の表面の凹凸ピッチが短くなっており、比較例では図4に示されるように硬化樹脂層の表面の凹凸ピッチが長くなっているものと考えられる。このため、比較例に比べて実施例では、ブロッキングの発生が抑制されており、さらに粘着テープの薄膜化が可能となる。
1 粘着テープ基材用ポリエステルフィルム(ポリエステルフィルム)
2 ポリエステル樹脂層
4 硬化樹脂層
10 粘着層
20 離型フィルム
22 離型層
24 離型フィルム基材
100 積層体
P 粒子

Claims (17)

  1. 平均粒径が0.5~3.5μmの第1の粒子を含有するポリエステル樹脂層と、前記ポリエステル樹脂層の少なくとも片面に硬化樹脂層を備えるポリエステルフィルムであって、
    前記ポリエステル樹脂層の厚み(t:μm)と前記第1の粒子の平均粒径(X:μm)との関係(t/X)が0.6以上であり、下記(1)、(2)を満足する、粘着テープ基材用ポリエステルフィルム。
    (1)硬化樹脂層が(A)バインダー(B)架橋剤および(C)第2の粒子を含む硬化樹脂層組成物の硬化物であること
    (2)硬化樹脂層表面のRSmが3.0μm以下であること
  2. 前記ポリエステル樹脂層の厚み(t)が、0.5~12.0μmである、請求項1に記載の粘着テープ基材用ポリエステルフィルム。
  3. 前記硬化樹脂層の厚みが0.01~0.20μmである、請求項1に記載の粘着テープ基材用ポリエステルフィルム。
  4. 前記第2の粒子の平均粒径が0.01~0.20μmである、請求項1に記載の粘着テープ基材用ポリエステルフィルム。
  5. 前記架橋剤がオキサゾリン化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、メラミン化合物及びカルボジイミド化合物よりなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の粘着テープ基材用ポリエステルフィルム。
  6. 前記バインダーがポリエステル樹脂、アクリル樹脂及びポリウレタン樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の粘着テープ基材用ポリエステルフィルム。
  7. 請求項1に記載の粘着テープ基材用ポリエステルフィルムの少なくとも一方の硬化樹脂層上に粘着層を備えた積層フィルム。
  8. 前記硬化樹脂層は前記ポリエステル樹脂層の両面に設けられており、
    両面の前記硬化樹脂層上に粘着層をそれぞれ備えた請求項7に記載の積層フィルム。
  9. 前記粘着層の各々の厚み(A)が1.0~20.0μmである、請求項7に記載の積層フィルム。
  10. 前記粘着層の厚みをA(μm)とし、前記ポリエステル樹脂層の厚みをt(μm)とした場合、t/(A+t)×100で表される前記粘着層の厚み比率が40%以下である、請求項7に記載の積層フィルム。
  11. 前記粘着層が水性粘着剤組成物の硬化物である、請求項7に記載の積層フィルム。
  12. 請求項7に記載の積層フィルムの前記粘着層の表面に離型フィルムを貼合した、積層体。
  13. 前記離型フィルムは、離型層を有し、
    前記離型層が水系離型剤または無溶剤型離型剤の硬化物である、請求項12に記載の積層体。
  14. 前記離型層がインラインコーティング(塗布延伸)層である、請求項13に記載の積層体。
  15. 部品の固定に用いる粘着テープの基材用である、請求項1~6のいずれか1項に記載の粘着テープ基材用ポリエステルフィルム。
  16. 部品の固定に用いる、請求項7~11のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  17. 前記離型フィルムを剥離して部品の固定に用いる、請求項12~14のいずれか1項に記載の積層体。
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