JPH06172555A - 磁気記録媒体用二軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents

磁気記録媒体用二軸配向ポリエステルフィルム

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JPH06172555A
JPH06172555A JP4324184A JP32418492A JPH06172555A JP H06172555 A JPH06172555 A JP H06172555A JP 4324184 A JP4324184 A JP 4324184A JP 32418492 A JP32418492 A JP 32418492A JP H06172555 A JPH06172555 A JP H06172555A
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JP
Japan
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polyester
particles
film
calcium carbonate
particle size
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JP4324184A
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English (en)
Inventor
Satoyuki Kotani
智行 小谷
Kazuo Endo
一夫 遠藤
Seiji Sakamoto
征二 坂本
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Diafoil Co Ltd
Original Assignee
Diafoil Co Ltd
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Publication date
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Priority to KR1019930020417A priority patent/KR100261781B1/ko
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐摩耗性および耐蛇行走行性の優れた磁気記
録媒体用二軸配向ポリエステルフィルムを提供する。 【構成】 平均粒径が0.10〜1.0μmの合成炭酸
カルシウム粒子を高分子ポリカルボン酸類にて表面処理
した後、下記の式で示されるリン化合物で処理して得ら
れる粒子を0.01〜2.5重量%配合してなる磁気記
録媒体用二軸配向ポリエステルフィルム。 【化1】 [上記式中、Rは炭素数1〜10の炭化水素基を示し、
lは1または2、mは1または2、nは1または0であ
り、かつlとmの和は3である]

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、走行性、耐摩耗性およ
び耐擦傷性に優れた磁気記録媒体用ポリエステルフィル
ムに関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】二軸
配向ポリエステルフィルムは、産業用資材として広く用
いられているが、近年、特に磁気記録媒体用途において
高級指向が著しくなり、フィルム表面が均一であること
が強く望まれるようになった。さらに、フィルムの摩耗
による表層の削れや粒子の脱落に代表される摩耗特性、
テープ走行時の蛇行の改良が切望されている。また、ハ
イグレードビデオテープ用途には、従来、ベースフィル
ムにバックコートを施して使用されていたが、コスト面
の改良のために、いわゆるノンバックコートタイプのハ
イグレードビデオテープ用ベースフィルムが要求されて
おり、これらの点を高度に満足する必要がある。従来、
ポリエステルフィルムの耐摩耗性、蛇行走行を改良する
手段として、フィルム中に不活性な微粒子を存在させ、
フィルム表面を適度に粗面化する方法が知られており、
ある程度その改良がなされているが、必ずしも十分な結
果は得られていない。
【0003】例えば、微粒子としてポリエステル製造時
の触媒残渣等からのいわゆる析出粒子を用いた場合は、
延伸により粒子が破壊されやすいため、耐摩耗性、蛇行
性および走行性が劣り、また粒子の再生使用も困難であ
る。また、炭酸カルシウム、酸化ケイ素、硫酸バリウ
ム、二酸化チタン、リン酸カルシウム等のポリエステル
に不活性な無機化合物粒子を添加した場合は、延伸によ
り粒子が破壊、変形されることはなく、比較的急峻な突
起を与えることができ、走行性は改良されるが、通常そ
れらの粒子の粒度分布は広く、粒子の脱落も生じやすい
ため、例えばビデオテープ用として用いた場合、しばし
ば電磁変換特性の悪化やドロップアウトの多発を引き起
こしてしまう。これらの点を克服するため、シャープな
粒度分布を有する無機または有機粒子を用いることが提
案されている。例えば特開昭62−207356号公
報、特開昭59−217755号公報には、それぞれ単
分散性の酸化ケイ素、乳化重合法による架橋有機粒子を
用いた例が示されている。しかしながら、酸化ケイ素粒
子を用いた場合には、その粒子の硬度が高いためフィル
ムが接触する基材を傷付けやすく、また耐摩耗性の改良
が不十分であり、一方、架橋有機粒子を用いた場合に
は、耐熱性において難があるだけでなく、延伸により粒
子が変形しやすいという欠点がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
に鑑み鋭意検討を行った結果、合成炭酸カルシウム粒子
をある特定の表面処理剤およびリン化合物にて処理した
表面改質粒子を用いることにより、上記特性が著しく向
上することを見いだし、本発明を完成するに至った。す
なわち本発明の要旨は、平均粒径が0.10〜1.0μ
mの合成炭酸カルシウム粒子を高分子ポリカルボン酸類
にて表面処理した後、下記の式で示されるリン化合物で
処理して得られる粒子を0.01〜2.5重量%配合し
てなる磁気記録媒体用二軸配向ポリエステルフィルムに
存する。
【化2】 [上記式中、Rは炭素数1〜10の炭化水素基を示し、
lは1または2、mは1または2、nは1または0であ
り、かつlとmの和は3である]
【0005】以下、本発明を詳細に説明する。本発明で
いうポリエステルとは、芳香族ジカルボン酸またはその
エステルとグリコールとを主たる出発原料として得られ
るポリエステルであり、好ましくは、繰り返し構造単位
の80%以上がエチレンテレフタレート単位またはエチ
レン−2,6−ナフタレート単位を有するポリエステル
を指し、さらに好ましくは、繰り返し構造単位の80%
以上がエチレンテレフタレート単位を有するポリエステ
ルを指し、そして、上記の範囲を逸脱しない条件下に他
の第三成分を含有していてもよい。芳香族ジカルボン酸
成分としては、例えば、テレフタル酸および2,6−ナ
フタレンジカルボン酸以外に、例えば、イソフタル酸、
フタル酸、アジピン酸、セバシン酸、オキシカルボン酸
(例えば、p−オキシエトキシ安息香酸等)等を用いる
ことができる。グリコール成分としては、エチレングリ
コール以外に、例えばジエチレングリコール、プロピレ
ングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサ
ンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種また
は二種以上を用いることができる。
【0006】本発明のポリエステルフィルムは、表面改
質された合成炭酸カルシウム粒子が特定量配合されたも
のである。従来、炭酸カルシウム粒子の製法としては天
然の炭酸カルシウムを粉砕、分級する方法のほか、例え
ば水酸化カルシウム溶液に二酸化炭素含有ガスを注入し
て反応させるいわゆる合成法による沈降性炭酸カルシウ
ム粒子が知られている。この場合、比較的粒径のそろっ
たカルサイト型炭酸カルシウム粒子が得られる。天然の
炭酸カルシウム粒子の粒度分布はブロードであるので、
本発明においては合成炭酸カルシウム粒子が用いられ
る。合成炭酸カルシウム粒子の結晶型としては、カルサ
イト型、バテライト型およびアラゴナイト型等が挙げら
れ、本発明においては、特にこれらの結晶型に限定され
ないが、工業的に入手が容易であり、コスト的に有利で
あるカルサイト型のものが好ましい。
【0007】本発明に用いる合成炭酸カルシウム粒子の
粒度分布値は2.00以下であることが好ましく、さら
に好ましくは1.70以下、特に好ましくは1.60以
下である。粒度分布値が2.00を超えると、最終的に
得られるフィルムの表面粗度が不均一となるため、電磁
変換特性を損ねたり、耐電圧が悪化したりすることがあ
る。本発明において用いる合成炭酸カルシウム粒子の平
均粒径(da )は、0.10〜1.0μmであることが
必要である。かかるda 値が0.10μm未満では、フ
ィルムの走行性や耐摩耗性がほとんど改良されず、da
値が1.0μmを超える場合は、フィルムの表面粗度が
高くなりすぎるため電磁変換特性を損ねてしまうのみな
らず、特にフィルムをビデオテープにした際に蛇行性が
ほとんど改良されず不適当である。da 値は0.20〜
0.70μmの範囲が好ましく、さらに好ましくは0.
20〜0.45μmの範囲である。
【0008】本発明において用いる粒子は、上記合成炭
酸カルシウム粒子の表面を改質したものであり、以下に
示す表面改質法を行うことが、本発明の重要な骨子の一
つである。かかる表面改質を行った粒子をポリエステル
フィルムに配合することにより、本発明の磁気記録媒体
用フィルムは、従来の合成炭酸カルシウム粒子を配合し
たフィルムでは得られなかった、優れた特性を有するこ
とが可能となる。
【0009】本発明においては、第一段階として合成炭
酸カルシウム粒子を高分子ポリカルボン酸類にて表面処
理を行う。かかる表面処理を行うことにより、ポリエス
テル中での粒子の分散性、ポリエステルフィルムの耐摩
耗性等の改良だけでなく第二段階のリン化合物の表面処
理時における凝集防止効果が大きくなる。かかる処理に
用いる高分子ポリカルボン酸類とは、例えば特開昭59
−69426号公報あるいは特開平1−256558号
公報に記載されているような表面処理剤であり、ポリカ
ルボン酸およびそれらのアルカリ金属塩、アンモニウム
塩等が好ましく、ポリアクリル酸単位および/またはポ
リアクリル酸誘導体単位とを含有する共重合体がさらに
好ましくは、ポリアルキレングリコール単位とポリアク
リル酸単位および/またはポリアクリル酸誘導体単位と
を含有する共重合体が特に好ましい。このような共重合
体としては、例えば、ポリアクリル酸とポリエチレング
リコールモノメタクリレートの共重合体、ポリアクリル
酸とメトキシポリエチレングリコールとポリプロピレン
グリコールモノメタクリレートの共重合体あるいはこれ
らのポリアクリル酸をアンモニアで中和したものやポリ
アクリル酸ソーダに置き換えたもの等が挙げられる。
【0010】用いる高分子ポリカルボン酸類の表面処理
剤の量は粒子に対して、0.10〜10重量%が好まし
く、0.50〜5.0重量%がさらに好ましく、0.8
0〜3.0重量%/が特に好ましい。かかる表面処理剤
の量が0.10重量%未満の場合、ポリエステル中での
粒子の分散性、ポリエステルフィルムの耐摩耗性等の改
良効果が小さくなる傾向があり、第二段階のリン化合物
の表面処理時における凝集防止効果も小さくなる傾向が
ある。一方、表面処理剤の量が10重量%を超える場
合、ポリエステルの重合性を損ねたり、ポリエステルフ
ィルムの表面に粗大突起が多くなったりすることがあ
る。
【0011】これらの表面処理剤は通常、粒子の製造段
階の途中で加えると効果的である。本発明においては第
二段階として、高分子ポリカルボン酸類にて表面処理さ
れた上記の合成炭酸カルシウム粒子を下記式で示される
リン化合物で処理する。
【化3】 上記式中、Rは炭素数1〜10の炭化水素基、すなわ
ち、主鎖として例えば、メチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基等を有するものである。かかる炭化水素基
は、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロ
キシル基またはハロゲン基等の置換基を有していてもよ
いが、工業的に入手が容易であり、熱安定性が良好また
は表面改質の改良効果が大きい等の点より、置換基を有
しない炭化水素基が好ましい。炭化水素基の主鎖の炭素
数が0、例えば、無機リン酸の場合、リン化合物処理に
よる粒子の凝集が大きく、また最終的に得られるポリエ
ステルフィルムの耐摩耗性等の改良効果が小さいために
不適当である。一方、かかる炭素数が10を超える場合
では、ポリエステルを重合する際に発泡等が生じるよう
な不良があったり、リン化合物の付着量が小さく表面改
質の改良効果が小さくなったり、最終的に得られるポリ
エステルフィルムの耐摩耗性等の改良効果が小さくなっ
たりする。好ましい炭素数は1〜3であり、特に好まし
くは2である。
【0012】上記の式中のlは1または2、mは1また
は2、nは1または0であり、かつlとmとの和は3で
ある。lが0の場合、すなわちリン化合物が−OH基を
有しない場合、合成炭酸カルシウム粒子の表面にほとん
どリン化合物が付着しないため、表面改質の改良効果が
小さくなる。nが2、lまたはmが3の場合、リン化合
物が−OH基および−OR基の両方を有する化合物とな
り得ないため、本発明の効果が得られない。なお、本発
明において用いるリン化合物は、熱安定性が良好である
ことから、nが1であることが好ましい。本発明におい
て用いるリン化合物は上記の構成要件を満足すれば特に
限定されないが、好ましいものとして、モノエチルアシ
ッドフォスフェート、ジエチルアシッドフォスフェー
ト、モノメチルアシッドフォスフェート、ジメチルアシ
ッドフォスフェート、モノプロピルアシッドフォスフェ
ート、ジプロピルアシッドフォスフェート等が例示で
き、特にエチルアシッドフォスフェートが好ましい。な
お当然のことながら、かかるリン化合物は2種以上の混
合物であってもよい。
【0013】高分子ポリカルボン酸類にて表面処理され
た合成炭酸カルシウム粒子のスラリー、好ましくはグリ
コールスラリー、さらに好ましくはエチレングリコール
スラリーに、上記のリン化合物、好ましくはリン化合物
のグリコール溶液、さらに好ましくはリン化合物のエチ
レングリコール溶液を添加することにより、第2段階の
処理が行われる。上記の高分子ポリカルボン酸類にて表
面処理された合成炭酸カルシウム粒子のスラリー濃度は
好ましくは5.0〜50重量%、さらに好ましくは10
〜30重量%である。スラリー中の粒子濃度が5.0重
量%未満では、ポリエステル中の粒子の高濃度化が困難
となり、50重量%を超える場合では、粒子の分散性が
悪化することがある。
【0014】リン化合物の添加量は、合成炭酸カルシウ
ム粒子に対して、0.05〜10.0モル%が好まし
く、0.10〜4.0モル%がさらに好ましく、0.5
0〜3.0モル%が特に好ましい。リン化合物の添加量
が0.05モル%未満の場合、表面改質の改良効果が小
さくなる傾向があり、10モル%を超える場合、合成炭
酸カルシウム粒子の凝集が大きくなったり、ポリエステ
ル中での粒子の分散性が悪化したりすることがある。ま
たリン化合物を添加中および添加後のスラリーの温度
は、100℃未満が好ましく、80℃未満がさらに好ま
しく、50℃未満が特に好ましい。リン化合物を添加中
および添加後のスラリーの温度を100℃以上にする
と、スラリー中での粒子の凝集が大きくなることがある
【0015】リン化合物により表面処理された本発明の
粒子の表面には、通常、リン原子を有する化合物が付着
される。かかる付着量は、蛍光X線の測定により定量で
き、用いた合成炭酸カルシウム粒子に対して、0.05
〜5.0モル%が好ましく、0.10〜2.0モル%が
さらに好ましい。リン原子を有する化合物の付着量が
0.05モル%未満の場合には、表面改質の改良効果が
小さくなる傾向があり、5.0モル%を超える場合は、
粒子の分散性やポリエステルフィルムの耐摩耗性等が悪
化することがある。また、リン化合物の表面処理によ
り、合成炭酸カルシウム粒子の平均粒径が大きくなる場
合があるが、大きくなりすぎる場合、例えば、最終的に
得られるポリエステルフィルムの表面均一性が損なわれ
たり、粗大突起が多くなり好ましくない。リン化合物に
よる表面処理後の粒子の平均粒径をdb とすると、da
/db値は、0.60以上が好ましく、0.65以上が
さらに好ましく、0.70以上が特に好ましい。
【0016】さらに、リン化合物の表面処理後の合成炭
酸カルシウム粒子の粒度分布値は2.00以下であるこ
とが好ましく、さらに好ましくは1.80以下、特に好
ましくは1.65以下である。粒度分布値が2.00を
超えると、最終的に得られるフィルムの表面粗度が不均
一となるため、電磁変換特性を損ねたり耐電圧が悪化し
たりするようになる。
【0017】本発明のポリエステルの製造に際して、添
加する粒子はポリエステルの合成反応中に添加すること
が好ましい。特に、エステル交換反応またはエステル化
反応終了後、重縮合反応開始前に添加することが好まし
い。なお、添加する粒子は通常、エチレングリコールの
スラリーとして添加するが、必要に応じ、事前に解砕、
分散、分級、濾過等の処理を施しておいてもよい。しか
しながら合成炭酸カルシウム粒子の表面処理工程の第一
段階である、高分子ポリカルボン酸類の表面処理後は、
解砕処理を行わない方が好ましい。高分子ポリカルボン
酸類による表面処理後に解砕処理を行うと、高分子ポリ
カルボン酸類による表面改質の効果が小さくなるため、
リン化合物の表面処理による粒子の凝集が大きくなった
り最終的に得られるポリエステルフィルムの表面均一性
が劣ったり、ポリエステルフィルムの耐摩耗性の改良効
果が小さくなったりすることがある。また、添加するエ
チレングリコール中のスラリー濃度は5.0〜50重量
%、好ましくは10〜40%とするのがよい。スラリー
の粒子濃度が5.0重量%未満では、エチレングリコー
ルの使用量が増し、エチレングリコールの原単位が大き
くなる。また、粒子濃度が50重量%を超えたスラリー
を添加すると、粒子の分散性が悪化することがある。
【0018】なお、ポリエステル合成の重縮合反応触媒
としては、Sb、Ti、Ge、Sn、およびSi化合物
等の通常用いられている触媒が使用される。本発明にお
いては、その要旨を超えない範囲で、他の粒子を一種以
上併用して、さらにフィルムの走行性、耐摩耗性、耐擦
傷性等を改良することが可能である。 かかる粒子の一
つとして析出粒子を挙げることができる。ここでいう析
出粒子とは、例えばエステル交換触媒としてアルカリ金
属またはアルカリ土類金属化合物を用いた系を常法によ
り重合することにより反応系内に析出するものを指す。
また、エステル交換反応あるいは重縮合反応時にテレフ
タル酸を添加することにより析出させてもよい。これら
の場合リン酸、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、
リン酸トリブチル、酸性リン酸エチル、亜リン酸、亜リ
ン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリブ
チル等のリン化合物の一種以上を存在させてもよい。ま
た、エステル化工程を経る場合にもこれらの方法で不活
性物質粒子を析出させることができる。例えば、エステ
ル化反応終了前または後にアルカリ金属またはアルカリ
土類金属化合物を存在させ、リン化合物の存在下あるい
は非存在下に重縮合反応を行う。いずれにしても本発明
でいう析出粒子にはカルシウム、リチウム、アンチモ
ン、およびリン等の元素が一種以上含まれている。
【0019】また、併用する粒子の一つとして添加粒子
も用いることができる。上記の析出粒子に比べ、フィル
ムの走行性、耐摩耗性、耐擦傷性等の改良効果の大きい
点で、下記に示す添加粒子の方が併用する粒子としては
好ましい。ここでいう添加粒子とはポリエステルに外部
から添加する粒子を指すが、具体的には、炭酸カルシウ
ム、カオリン、タルク、カ−ボンブラック、硫化モリブ
デン、石膏、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、フッ化
リチウム、フッ化カルシウム、ゼオライト、リン酸カル
シウム、二酸化ケイ素、二酸化チタン、耐熱性の高分子
微粉体等を挙げることができる。高分子微粉体の典型的
な例としては、例えば特公昭59−5216号公報に記
載されているような、分子中に唯一個の脂肪族の不飽和
結合を有するモノビニル化合物と架橋剤として分子中に
二個以上の脂肪族の不飽和結合を有する化合物との共重
合体を例示することができるが、これらに限定されるも
のではなく、例えば熱硬化性エポキシ樹脂、熱硬化性フ
ェノール樹脂、熱硬化性尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹
脂あるいはポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素
樹脂の微粉体を用いることもできる。
【0020】本発明のポリエステルフィルムには、上記
の表面改質された合成炭酸カルシウム粒子を0.01〜
2.5重量%配合することが必要である。配合量は好ま
しくは0.10〜2.0重量%であり、さらに好ましく
は0.35〜1.5重量%であり、特に好ましくは0.
35〜1.0重量%である。配合量(wa )が0.01
重量%未満では、走行性や耐摩耗性がほとんど改良され
ない。一方、配合量が2.5重量%を超える場合は、フ
ィルムの表面粗度が高くなり過ぎるため、磁気記録媒体
用として用いた場合、電磁変換特性等を損ねてしまい不
適当である。原料ポリエステル中の合成炭酸カルシウム
粒子に関して、熱処理前後の粒径の比、Da /Da(熱処
理後) 値は、好ましくは0.60以上、さらに好ましく
は0.65以上、特に好ましくは0.70以上である。
a /Da(熱処理後) 値が0.60未満のポリエステル
を生産した場合には、ポリエステル中の合成炭酸カルシ
ウム粒子の凝集が発生しやすくなる。なお、Da とは、
SEMにて測定したポリエステル中の合成炭酸カルシウ
ム粒子の平均粒径(μm)を示し、Da(熱処理後) と
は、ポリエステルを窒素下、280℃で8時間熱処理後
のポリエステル中の合成炭酸カルシウム粒子の平均粒径
(μm)を示す。
【0021】このように本発明においては、特定の合成
炭酸カルシウム粒子を、上記の方法により表面改質し、
ポリエステルフィルム中に特定量配合して用いるが、次
の要件が組み合わされたとき、その効果がより顕著とな
る。本発明の磁気記録媒体用ポリエステルフィルムにお
いて、用いる合成炭酸カルシウム粒子の平均粒径(d
a )および配合量(wa )の関係において、(da
0.5wa )値が0.40〜1.0であり、またはwa
値が0.35〜1.5の範囲であることが好ましく、
(da +0.5wa )値が0.50〜0.80であり、
またはwa 値が0.35〜1.0の範囲であることがさ
らに好ましい。(d a +0.5wa )値が0.40未満
またはwa 値が0.35未満では特にノンバックコート
タイプのハイグレードビデオテープ用としてのフィルム
の走行性、蛇行性および耐摩耗性が劣ることがある。一
方、(da +0.5wa )値が1.0を超えるまたはw
a 値が1.5を超える場合では、フィルムの表面粗度が
高くなりすぎるために電磁変換特性を損ねてしまうこと
がある。
【0022】また、耐擦傷性等を改良するため、酸化ア
ルミニウム粒子を併用することが好ましい。かかる酸化
アルミニウム粒子の平均粒径としては、0.005〜
0.50μmが好ましく、0.010〜0.10μmが
さらに好ましい。また、該粒子の含有量は0.15〜
1.0重量%が好ましく、0.25〜0.70重量%が
さらに好ましく、0.35〜0.50重量%が特に好ま
しい。併用する酸化アルミニウム粒子の平均粒径が0.
005μm未満または含有量が0.15重量%未満で
は、耐擦傷性の改良効果が小さくなり、平均粒径が0.
50μmを超えるまたは配合量が1.0重量%を超える
場合には、フィルム表面に粗大突起が生じたり、表面平
坦性が損なわれたりすることがある。また、酸化アルミ
ニウム粒子の結晶型としては、耐摩耗性および耐擦傷性
の改良効果等が優れている点より、デルタ型もしくはガ
ンマ型がさらに好ましく、デルタ型が特に好ましく用い
られる。酸化アルミニウムの一次粒径は、通常、5〜4
0nmの範囲にあるが、しばしば0.50μmを超える
凝集体を形成しているので、適度に解砕して使用するこ
とが望ましい。この場合、多少凝集した二次粒子となっ
ていてもよいが、見掛け上の平均粒径は0.50μm以
下が好ましく、0.10μm以下が特に好ましい。
【0023】さらに大粒子を少量配合することが好まし
い。用いる大粒子としては、特に限定されないが、添加
粒子が好ましく、例えば、本発明の方法にて表面改質さ
れた合成炭酸カルシウム粒子、通常の合成炭酸カルシウ
ム粒子、カオリン、タルク、カ−ボンブラック、硫化モ
リブデン、石膏、硫酸バリウム、フッ化リチウム、フッ
化カルシウム、ゼオライト、リン酸カルシウム、二酸化
ケイ素、二酸化チタン、耐熱性の高分子微粉体を挙げる
ことができる。これらの中でも、耐摩耗性等の改良効果
が大きい点より、合成炭酸カルシウム粒子および耐熱性
の高分子微粉体が好ましく、合成炭酸カルシウム粒子が
特に好ましい。電磁変換特性および走行性等を損なわず
に巻き特性を改良するためには、かかる大粒子の平均粒
径としては、1.5da 〜5.0da μmがさらに好ま
しく、1.7da 〜4.0da μmが特に好ましい。合
成炭酸カルシウムの大粒子の粒径が1.5da μmより
小さいと巻き特性の改良効果が小さくなり、5.0da
μmより大きいと電磁変換特性または走行性等の改良効
果が小さい。また、大粒子の添加量は、0.005wa
〜0.25wa 重量%が好ましく、0.01wa 〜0.
15wa 重量%がさらに好ましい。大粒子の添加量が
0.005wa 重量%未満の場合、巻き特性の改良効果
が小さくなり、0.25wa 重量%より多いと電磁変換
特性または走行性等の改良効果が小さくなる。
【0024】本発明のポリエステルフィルムおよび原料
ポリエステルの溶融時の比抵抗は、1.0×106
5.0×108 Ω−cmが好ましく、5.0×106
1.0×108 Ω−cmがさらに好ましい。本発明のポ
リエステルフィルムを得るに際しては、ポリエステル原
料を常法により乾燥した後、押出機により、200〜3
20℃で押し出して、キャスティングドラム上で冷却固
化させて無定形シートを形成し、二軸延伸および熱処理
を行う。この時、無定形シートを得るに際し、いわゆる
静電印加法を用いるが、該比抵抗値が、かかる範囲にあ
る場合には、より厚み均一性に優れたフィルムが得られ
るため好ましいのである。なお、溶融時の比抵抗値を所
望の値に調節するためには、ポリエステルに金属成分を
可溶化せしめればよく、例えばエステル交換反応触媒と
して用いられた金属元素あるいは必要に応じエステル交
換反応またはエステル化反応後に添加した金属元素に対
し、比較的少量、例えば当量以下のリン化合物を添加す
る手段が好ましく採用される。一方、比抵抗を高めるた
めには、ポリエステルに溶存する金属化合物の量を減じ
るようにする。
【0025】本発明においてはエステル交換反応法、エ
ステル化反応法のいずれをも採用し得るが、好ましくは
前者の方法であり、具体的には例えばマグネシウム触
媒、カルシウム触媒、マンガン触媒等を用い、0.3〜
1.0倍当量、さらに好ましくは0.3〜0.8倍当量
のリン化合物の存在下にて、本発明の粒子を含むポリエ
ステルの重合を行うことが好ましい。ここでリン化合物
とは、本発明において、表面処理に用いるリン化合物を
含むものである。ポリエステルフィルムの極限粘度は、
0.52〜0.62が好ましく、0.54〜0.59が
さらに好ましい。極限粘度が低い程、フィルムの裁断性
が良好であるが、極限粘度が0.52未満の場合は、製
膜時にフィルム破断が多発して生産性に支障をきたすこ
とがある。一方、極限粘度が0.62を超える場合は、
フィルムの裁断性改良効果が不十分となり好ましくな
い。裁断性とは、磁気テープをシェア−カッタ−等でス
リットする際の特性であり、裁断性が悪い場合には、切
り口が筋状にめくれ上がったり、切り口からヒゲや粉が
発生したりする。かかる現象が生じた場合、テープに白
粉が付着し、電磁変換特性を悪化させたり、ドロップア
ウトを誘起する。
【0026】本発明の磁気記録媒体用ベースフィルムに
おいて、該粒子を含むフィルムの縦方向のヤング率と横
方向のヤング率の和は900kg/mm2 が以上が好ま
しく1000kg/mm2 が以上がさらに好ましく、1
050kg/mm2 以上が特に好ましい。また、横方向
のヤング率と縦方向のヤング率の差は、0〜200kg
/mm2 未満が好ましく、100〜200kg/mm2
未満がさらに好ましく、150〜200kg/mm2
満が特に好ましい。フィルムのヤング率が上記の条件を
満足する場合、テープエッジダメ−ジ、耐久性および裁
断性等の改良効果が大きくなり、特に好ましい。さらに
本発明の磁気記録媒体用ベースフィルムにおいて、フィ
ルムの厚み方向の屈折率を1.490以上とすることが
好ましい。フィルムの厚み方向の屈折率を1.490以
上とした場合、磁性層との接着性を向上することができ
好適である。かかる屈折率は好ましくは1.492〜
1.505である。かかる物性を有するフィルムは、例
えば縦延伸後の複屈折率が4.0×10-2〜8.0×1
-2程度とすることによって得ることができる。
【0027】本発明のフィルム表面には、突起の周囲に
該突起を核とした窪みからなる凹凸単位を有することが
好ましい。具体的には、長径が少なくとも0.2μm以
上の窪みからなる凹凸単位のフィルム表面積1mm2
りの数(個/mm2 )は、1〜15000が好ましく、
5〜5000がさらに好ましい。かかる凹凸単位の数を
満足することにより、フィルムの走行性、表面平坦性お
よび耐摩耗性が著しく向上する。また、幅方向の屈折率
(nTD)と長手方向の屈折率(nMD)との差(Δn)
(nTD−nMD)が0.020以上の場合、特に、裁断性
に優れ、磁気テープのベースフィルムとして適したもの
となる。Δnは、さらに好ましくは0.025以上、特
に好ましくは0.035以上、Δnが余り大きすぎる場
合は、熱収縮率等の不都合が生じるため、Δnの上限
は、0.050とすることが好ましい。さらに本発明の
フィルムにおいて、表面粗さRaは0.008〜0.0
25μmであることが好ましい。さらに好ましくは0.
010〜0.020μm、特に好ましくは0.010〜
0.018μmの範囲である。かかる範囲を満足すると
き、フィルムの走行性および耐摩耗性が向上する。ま
た、Rz/Ra値は7.0〜20の範囲であることが好
ましく、8.0〜18がさらに好ましく、8.0〜15
が特に好ましい。なおここでRzとは、フィルム表面の
10点平均粗さを示す。Rz/Ra値がかかる範囲を満
足するとき、走行性、耐摩耗性およびフィルムの蛇行性
の改良効果が十分となる。
【0028】さらに本発明のフィルムにおいて、初期
(第1回目)と繰り返し走行時(第50回目)のフィル
ムの動摩擦係数の比、μd50 /μd1は0.80〜1.6
の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは0.9
〜1.4である。かかる範囲を満足するとき、フィルム
の走行耐久性が向上する。次に本発明のポリエステルフ
ィルムの製膜方法を説明する。本発明で規定する粒子を
含有するポリエステル原料を準備し、常法により乾燥し
た後、押出機により、200〜320℃で押し出して、
キャスティングドラム上で冷却固化させて無定形シート
を形成する。この際、常法の静電印加法を用いるなら
ば、均一厚さの無定形シートが得られるので好ましい。
なお、本発明の要旨を超えない範囲ではかかる無定形シ
ートは、2層あるいは3層以上の積層フィルムであって
も構わない。特に内層に安価なポリエステル、例えば実
質的に粒子を含有しない直重合等のポリエステルおよび
再生ポリエステル等を用いれば、コスト面等において優
れたポリエステルフィルムを得ることができ好ましい。
【0029】次いで、上記の無定形シートを用いて二軸
延伸熱固定を行う。すなわち縦延伸倍率2.5〜9.0
の範囲内で縦方向に延伸し、次いで横方向に延伸倍率
3.0倍以上、さらに好ましくは3.3倍以上、特に好
ましくは3.7倍以上で延伸後、さらに好ましくは11
0℃〜180℃の温度で縦方向に1.05〜2.5倍再
延伸を行った後、200℃〜250℃、さらに好ましく
は210℃〜240℃の温度で熱処理する。もちろんこ
の際、再縦延伸前熱固定、再縦延伸後縦弛緩、再縦延伸
前または後に微小倍率縦延伸等の手法を適宜採用も可能
である。また、同様に横方向に再延伸を行ってもよい。
また、必要に応じて製膜工程内で各種の表面処理等を施
しても構わない。また、本発明のポリエステルフィルム
において、特に好ましいフィルム強度および複屈折率に
するために、縦横延伸後の熱処理前に、110℃〜18
0℃の温度で縦方向に1.05〜2.5倍再縦延伸およ
び/または再横延伸を行うことも特に好ましい形態であ
る。フィルムの厚みは通常3〜20μmであり、好まし
くは7〜17μm、さらに好ましくは12〜17μmの
範囲である。
【0030】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げてさらに詳細に
説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下
の実施例によって限定されるものではない。なお、実施
例における種々の物性および特性の測定方法、定義は下
記のとおりである。実施例および比較例中「部」とある
は「重量部」を示す。
【0031】(1)平均粒径および粒度分布(ポリエス
テルに配合する前の粒子の粒径) 島津製作所製遠心沈降式粒度分布測定装置(SA−CP
3型)で測定した等価球形分布における積算体積分率5
0%の粒径d50を平均粒径とした。また同時に大粒子側
から積算して重量分率25%の点の直径d25と重量分率
75%の点の直径d75の比、d25/d75を粒度分布の指
標とした。また、酸化アルミニウム粒子の一次粒子の平
均粒径については、電子顕微鏡による写真法で100点
測定し等価球に換算し、かかる値を平均した。
【0032】(2)ポリエステル中の平均粒径(Da ) 粒子を含有したポリエステルよりポリエステル部分をプ
ラズマ低温灰化処理により除去し、粒子を露出させた。
この処理条件はポリエステルは灰化されるが粒子は損傷
しない条件を選択した。この露出した粒子をSEMにて
観察し、粒子の画像をイメ−ジアナライザ−で処理し
た。観察粒子数1000個以上について、等価球換算の
粒径の数平均粒径をDa とした。なお、凝集している粒
子については凝集粒子を単一の粒子として等価球換算
し、その粒子の粒径とした。
【0033】(3)凝集熱安定性 粒子を含有したポリエステルを、乾燥後、常圧下および
窒素下で、280℃にて8時間熱処理を行った。次いで
熱処理したポリエステル中の平均粒径(Da )を測定
し、Da (熱処理後)とした。凝集熱安定性の指標とし
て、熱処理前後のポリエステル中の平均粒径の比、Da
/Da (熱処理後)を求め、下記に示すランクに分類し
た。
【数1】A:Da /Da (熱処理後)≧0.70(凝集
安定性が非常に良好) C:Da /Da (熱処理後)<0.60(凝集安定性が
不良であり、生産が困難) B:0.60≦Da /Da (熱処理後)<0.70(上
記AおよびCの中間的状況)
【0034】(4)粒子表面のリン化合物付着量 Cp リン化合物により表面処理した、粒子のエチレングリコ
ールスラリーを超遠心分離機により固相と液相に分離
し、固相をエチレングリコールにて懸濁液とした。該懸
濁液を超遠心分離機により、固相と液相に再度分離し、
固相をエチレングリコールにて懸濁液とした。この操作
を5回繰り返し、得られた固相のリン原子の含有量を蛍
光X線にて測定し、粒子表面のリン化合物付着量Cp
(モル%/粒子)を求めた。
【0035】(5)溶融時の比抵抗 ρV ポリエステル12.0gを枝付き試験管に入れ、285
℃のオイルバスに浸し完全に溶融してから、真空−窒素
ガスの繰り返しで完全に気泡を抜き、この状態の中にス
テンレス製の電極を挿入し、10分間保持した後、3k
Vの直流電流を印加した。印加直後の電流値を読み取
り、次式にしたがって、比抵抗値を計算した。 ρV =(3000×S)/(I×l) 上記式中、ρV は比抵抗値(Ω・cm)、Iは電流値
(A)、Sは電極の断面積(cm2 )、lは電極間の距
離(cm)を示す。
【0036】(6)フィルムの極限粘度 ポリマー1gをフェノール/テトラクロロエタン=50
/50(重量比)の混合溶媒100ml中に溶解し、3
0℃で測定した。
【0037】(7)フィルムの屈折率 アタゴ光学社製アッベ式屈折計を用い、フィルムの厚さ
方向の屈折率(nα)、幅方向の屈折率(nTD)および
長手方向の屈折率(nMD)を測定した。なお、屈折率の
測定はナトリウムD線を用いた。
【0038】(8)ヤング率(引張弾性率) E (株)インテスコ製 引張試験機インテスコモデル20
01型を用いて、温度23℃、湿度50%RHに調節さ
れた室内において、長さ300mm、幅20mmの試料
フィルムを、10%/minの歪速度で引張り、引張応
力−歪曲線の初めの直線部分を用いて次式によってヤン
グ率(E)を計算した。 E=Δσ/Δε (上記式中、E、Δσ、Δεはそれぞれヤング率(kg
/mm2 )、直線上の2点間の元の平均断面積による応
力差、同じ2点間の歪差を表す)
【0039】(9)フィルム表面の平均粗さおよび粗さ
の均一性 日本工業規格JIS B0601に記載されている方法
に従い、(株)小坂研究所製 表面粗さ測定機(SE−
3F)を用いて、中心線平均粗さ(Ra)および最大高
さ(Rt)を求めた。なお、使用した触針の半径は2.
0μm、荷重は30mgであり、カットオフ値は0.0
8mmである。Rt/Raが小さいほど表面が均一であ
る。
【0040】(10)フィルム表面の凹凸(突起を核と
しその周辺に窪みを有する)単位の数フィルムの(A)
面側にアルミニウム蒸着を施し、蒸着面をニコン製微分
干渉顕微鏡にて写真撮影し、合計1mm2 のフィルム表
面積当たり、長径が0.2μm以上の凹凸単位の数(個
/mm2 )を数えた。
【0041】(11)走行性 フィルムの滑り性により評価した。滑り性は、固定した
硬質クロムメッキ金属ロール(直径6mm)にフィルム
を巻き付け角(θ)135°で接触させ、53g(T
2 )の荷重を一端にかけて、1m/minの速度でこれ
を走行させ、他端の抵抗力(T1 ,g)を測定し、次式
により走行中の摩擦係数(μd)を求めた。 μd=
0.424・ln(T1 /53)
【0042】(12)粗大突起数 フィルム表面にアルミニウムを蒸着し、ニコンオプチフ
ォト干渉顕微鏡を用い二光束法にて測定した。測定波長
は0.54μmで、3次以上の干渉縞を示す突起(突起
高さ0.81μm以上)個数を100cm2 の面積にわ
たって測定し、粗大突起数とした。
【0043】(13)巻き特性 ポリエステルフィルムの巻き取り作業時のロールの巻き
ずれ、シワ入りおよび巻き姿等の良否を総合的に判断し
た。
【0044】(14)摩耗特性 固定した直径6mmの硬質クロム製固定ピン(材質SU
S420−J2、仕上げ0.2S)に幅10mmのフィ
ルムを用い、フィルムの(A)面側に巻きつけ角135
°で接触させ、速度は11.4m/min、初期張力3
00gで、200mのフィルムを計5000mにわたっ
て走行させ、ピンに付着した摩耗白粉量を目視評価し、
下に示すランク別に評価を行った。 ランクA:全く付着しない ランクB:微量付着する ランクC:少量(ランクBよりは多い)付着する ランクD:極めて多く付着する
【0045】(15)磁気テープ特性 磁性微粉末200部、ポリウレタン樹脂30部、ニトロ
セルロース10部、塩化ビニル−酢酸セルロース共重合
体10部、レシチン5部、シクロヘキサノン100部、
メチルイソブチルケトン100部、およびメチルエチル
ケトン300部をボールミルにて48時間混合分散後、
ポリイソシアネート化合物5部を加えて磁性塗料とし、
これをポリエステルフィルムに塗布した後、塗料が十分
乾燥固化する前に磁気配向させ、その後乾燥し、2μm
の膜厚の磁性層を形成した。次いでこの塗布フィルム
を、鏡面仕上げの金属ロールとポリエステル系複合樹脂
ロールとから構成されている5段のス−パ−カレンダ−
を用い、ロール温度85℃、線圧250kg/cm、走
行速度80m/minの条件下、5000mにわたって
7回繰り返し走行させ、樹脂ロールに付着する白粉量を
目視評価し、下に示すランク別に評価を行った。 〇…樹脂ロールに白粉の付着はほとんど見られない △…極く僅かな白粉の付着が見られる ×…明らかに白粉の付着が見られる 次いで、上記カレンダ処理後のフィルムを1/2インチ
幅にスリットした後、松下電気製NV−3700型ビデ
オデッキにより、常速にて下記の磁気テープ特性を評価
した。
【0046】電磁変換特性(VTRヘッド出力) シンクロスコープにより測定周波数が4メガヘルツにお
けるVTRヘッド出力を測定し、基準テープ(バックコ
ートを施した、ハイグレードビデオテープ)と比較し下
に示すランク別に評価を行った。 〇…基準テープと同等以上である △…基準テープより劣る。 ×…明らかに基準テープより劣り、実用に耐えないドロップアウト 4.4メガヘルツの信号を記録したビデオテープを再生
し、大倉インダストリー(株)ドロップアウトカウンタ
ーでドロップアウト数を約20分間測定し、1分間当り
のドロップアウト数に換算した。その測定を20回繰り
返し測定し、基準テープ(バックコートを施したハイグ
レードビデオテープ)と比較し、下に示すランク別に評
価を行った。 〇…基準テープと同等以上である △…基準テープより劣る ×…明らかに基準テープより劣り、実用に耐えない
【0047】(16)走行耐久性(初期および繰り返し
走行時の摩擦係数、μd1およびμd50) 固定した硬質
クロムメッキ金属ロール(直径6mm、表面粗さ3S)
に磁気テープのベースフィルム面((A)面側)を巻き
付け角(θ)135°で接触させ、53g(T2 )の荷
重を一端にかけて、3.3cm/secの速度でこれを
走行させ、他端の抵抗力(T1 ,g)を23℃、50%
RH雰囲気下で測定し、次式により走行中の摩擦係数
(μd )を求めた。 μd=0.424・ln(T1 /53) 上記の方法にて、磁気テープのベースフィルム面の同じ
場所を往復、繰り返し走行させ、初期(第1回目)と繰
り返し走行時(第50回目)の動摩擦係数を測定し、μ
d50 /μd1を求めた。
【0048】(17)蛇行性 市販のVHS方式VTRを用い、巻き出し側のバックテ
ンションをゼロにしてビデオテープを180分間走行さ
せた。ヘッドシリンダ−の直前のピンで、該テープの走
行状態を観察し、下記判定を行った。 A:走行中にテープが規定の走行位置から0.5mm未
満外れる B:走行中にテープが規定の走行位置から0.5mm以
上2mm未満外れる C:走行中にテープが規定の走行位置から2mm以上外
れる
【0049】(18)耐擦傷性 幅1/2インチにスリットした磁気テープを直径6mm
の硬質クロムメッキ金属ピン(仕上げ3S)にフィルム
を巻きつけ角135°、走行速度3m/sec張力50
gで磁気テープのベースフィルム面((A)面側)を1
回擦過させた。次に擦過面にアルミニウムを約1000
Å厚となるよう真空蒸着し、傷の量を目視により観察
し、下記判定を行った。 ランク1:傷の量が極めて多い ランク2:傷の量が多い ランク3:傷の量が2、4の中間 ランク4:傷の量が少ない ランク5:傷が付かない
【0050】(19)裁断性 広幅で塗布した磁気テープを1/2インチ幅に裁断し、
磁気テープの裁断面の状態を電子顕微鏡で観察し、下記
判定を行った。 〇…裁断面のスジ状めくれ、切り粉の発生がなく極めて
良好 ×…裁断面にスジ状めくれが多く、切り粉の発生も見ら
れる △…上記〇およびXの中間的状況
【0051】実施例1 《粒子の表面処理》あらかじめ解砕処理を施した塊状の
カルサイト型炭酸カルシウム粒子を、カルボキシル基の
一部をアンモニアで中和したポリアクリル酸とメトキシ
ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールモ
ノメタクリレートとの共重合体(1.5重量%/対粒
子)にて表面処理を施した後、該粒子を含むエチレング
リコールスラリーの分級および濾過を行った。なお、得
られたスラリー中の粒子濃度は、20重量%、粒子の平
均粒径da は0.40μm、粒度分布値d25/d75
1.54であった。
【0052】次いで該スラリーに、エチルアシッドフォ
スフェート(モノエチルアシッドフォスフェートとジエ
チルアシッドフォスフェートのモル比1:1の混合物)
のエチレングリコール溶液を1.9モル%/粒子加え、
ホモミキサ−にて、30℃で3時間撹拌した後、濾過を
行った。なお、得られたスラリー中の粒子濃度は18重
量%、粒子の平均粒径、db は0.42μm、粒度分布
値d25/d75は1.55であった。なお、モノエチルア
シッドフォスフェートは、前記一般式中、lが2、mお
よびnが1、Rがエチル基の化合物であり、ジエチルア
シッドフォスフェートは、lおよびnが1、mが2、R
がエチル基の化合物である。
【0053】《ポリエステルの製造》ジメチルテレフタ
レート100部、エチレングリコール60部および酢酸
マグネシウム4水塩0.09部を反応器にとり、加熱昇
温するとともにメタノールを留去してエステル交換反応
を行い、反応開始から4時間を要して230℃まで昇温
し実質的にエステル交換反応を終了した。次いで、上記
表面処理を施したスラリーを用い、1.80部をエチレ
ングリコールスラリーとして添加した。スラリー添加
後、三酸化アンチモン0.04部を加えて4時間重縮合
反応を行い、極限粘度0.61、比抵抗値(ρV )5.
0×106 Ω・cmのポリエステル(a1 )を得た。か
かるポリエステル(a1 )を熱処理し凝集熱安定性を評
価した。Da /Da(熱処理後)は0.90であり、凝
集熱安定性良好なポリエステルであることが確認され
た。
【0054】《他のポリエステルの製造》ジメチルテレ
フタレート100部、エチレングリコール60部および
酢酸マグネシウム4水塩0.09部を反応器にとり、加
熱昇温するとともにメタノールを留去してエステル交換
反応を行い、反応開始から4時間を要して230℃まで
昇温し実質的にエステル交換反応を終了した。次いで、
平均粒径da が0.80μm、粒度分布値d25/d75
1.51である、あらかじめ解砕、分級および濾過を行
った塊状のカルサイト型炭酸カルシウム粒子2.00部
をエチレングリコールスラリーとして添加した。なお、
該粒子は、カルボキシル基の一部をアンモニアで中和し
たポリアクリル酸とメトキシポリエチレングリコールと
ポリプロピレングリコールモノメタクリレートとの共重
合体(1.5重量%/対粒子)にて表面処理が施された
ものである。
【0055】スラリー添加後、さらにエチルアシッドフ
ォスフェート0.04部、三酸化アンチモン0.04部
を加えて4時間重縮合反応を行い、極限粘度0.60の
ポリエステル(a2 )を得た。かかるポリエステル(a
2 )を熱処理し、凝集熱安定性を評価した。Da /D a
(熱処理後)は0.99であり、凝集熱安定性良好なポ
リエステルであることが確認された。上記ポリエステル
(a2 )の製造において炭酸カルシウム粒子の代わり
に、平均粒径が0.03μmであるデルタ型の酸化アル
ミニウム粒子を1.50部添加する以外は、全く同様に
して、エステル交換反応および重縮合反応を行い、極限
粘度0.60のポリエステル(b)を得た。また、上記
ポリエステル(a1 )の製造において炭酸カルシウム粒
子を添加しない以外は、全く同様にして、エステル交換
反応および重縮合反応を行い、実質的に無粒子である極
限粘度0.62のポリエステル(c)を得た。
【0056】《ポリエステルフィルムの製造》ポリエス
テル(a1 )、ポリエステル(a2 )、ポリエステル
(b)およびポリエステル(c)をそれぞれ、35:
2:20:43(重量比)の割合でブレンドしたポリエ
ステルを用いて二軸延伸ポリエステルフィルムを製造し
た。すなわち、上記ブレンドポリエステルを乾燥後29
0℃で溶融押出し、静電印加法を用いキャスティングド
ラム上で冷却固化し、無定形シートを得た。かかる無定
形シートを多段のニップロールの周速差を利用して、ま
ず縦方向に第1段目としてフィルム温度112℃で3.
0倍延伸後、連続して縦方向に第2段目としてフィルム
温度113℃で1.5倍延伸した。なお、第1段目の延
伸後のフィルムの複屈折率は1.5×10-2であり、第
2段目の延伸後のフィルムの複屈折率は3.9×10-2
であった。次いで得られたフィルムを一旦40℃に冷却
した後、さらにフィルム温度98℃に加熱し、1.2倍
で延伸した。得られた縦延伸フィルムの複屈折率は6.
1×10-2であった。次に、かかる縦延伸フィルムをテ
ンタ−内で横方向に3.95倍延伸後、さらに縦方向に
1.05倍延伸し、220℃で熱処理を行い、厚さ15
μmのフィルムを得た。得られたフィルムに磁性層を塗
布し磁気テープを得、その特性を測定した。
【0057】実施例2 実施例1のポリエステル(a1 )の製造において、平均
粒径da が0.28μm、粒度分布値d25/d75が1.
53である、塊状のカルサイト型炭酸カルシウム粒子を
用い、エチルアシッドフォスフェートの処理量を2.4
モル%/粒子とする以外は、実施例1のポリエステル
(a1 )に用いたスラリーと全く同様にして表面処理を
行った。得られた表面処理粒子含有スラリーを用い、粒
子の配合量を1.20部とする以外は実施例1のポリエ
ステル(a1 )と全く同様にして4時間重縮合反応を行
い、極限粘度0.61比抵抗値(ρV )が4.8×10
6 Ω・cmのポリエステル(a3 )を得た。ポリエステ
ル(a3 )を熱処理し、凝集熱安定性を評価したとこ
ろ、Da /Da (熱処理後)は0.88であり、凝集熱
安定性良好なポリエステルであることが確認された。ポ
リエステル(a3 )および実施例1のポリエステルを用
い、表1に示す含有量とするほかは実施例1と同様にし
てフィルムを得、その特性を評価した。
【0058】実施例3 実施例1のポリエステル(a1 )の製造において、平均
粒径da が0.43μm、粒度分布値d25/d75が1.
54の塊状のカルサイト型炭酸カルシウム粒子を用いる
以外は、実施例1のポリエステル(a1 )に用いたスラ
リーと全く同様にして表面処理を行った。得られた表面
処理粒子含有スラリーを用い、粒子の配合量を2.00
部とする以外は実施例1のポリエステル(a1 )と全く
同様にして4時間重縮合反応を行い、極限粘度0.61
比抵抗値(ρV )が5.0×106 Ω・cmのポリエス
テル(a4 )を得た。ポリエステル(a4 )を熱処理
し、凝集熱安定性を評価したところ、Da /Da (熱処
理後)は0.88であり、凝集熱安定性良好なポリエス
テルであることが確認された。ポリエステル(a4 )お
よび実施例1のポリエステルを用い、表1に示す含有量
とするほかは実施例1と同様にしてフィルムを得、その
特性を評価した。
【0059】実施例4 実施例2のポリエステル(a2 )の製造において、平均
粒径da が0.28μm、粒度分布値d25/d75が1.
53の塊状のカルサイト型炭酸カルシウム粒子を用い、
エチルアシッドフォスフェートの代わりに、リン化合物
として前記一般式中、lおよびnが1、mが2、Rがn
−C816COOH基である化合物(1.9モル%(対
粒子))を用いる以外は、実施例2のポリエステル(a
3 )に用いたスラリーと全く同様にして表面処理を行っ
た。得られた表面処理粒子含有スラリーを用い、実施例
2のポリエステル(a3 )と全く同様にして4時間重縮
合反応を行い、極限粘度0.61比抵抗値(ρV )が
4.0×106 Ω・cmのポリエステル(a5 )を得
た。なお、かかるポリエステルを重合する際、発泡が生
じた。ポリエステル(a5 )を熱処理し、凝集熱安定性
を評価したところ、Da /Da (熱処理後)は0.62
であった。ポリエステル(a5 )および実施例1のポリ
エステルを用い、表1に示す含有量とするほかは実施例
1と同様にしてフィルムを得、その特性を評価した。
【0060】比較例1 実施例1のポリエステル(a2 )の製造において、平均
粒径da が0.28μm、粒度分布値d25/d75が1.
73であり、表面処理を全く施していない塊状のカルサ
イト型炭酸カルシウム粒子1.20部を用いる以外は、
実施例1のポリエステル(a2 )と全く同様にして4時
間重縮合反応を行い、極限粘度0.60のポリエステル
(a6 )を得た。ポリエステル(a6 )を熱処理し、凝
集熱安定性を評価したところ、Da /Da (熱処理後)
は0.42であり、凝集熱安定性は不良であった。ポリ
エステル(a6 )および実施例1のポリエステルを用
い、表31に示す含有量とするほかは実施例1と同様に
してポリエチレンテレフタレートフィルムを得、その特
性を評価した。
【0061】比較例2 平均粒径da が0.28μm、粒度分布値d25/d75
1.53であり、表面処理を全く施していない塊状のカ
ルサイト型炭酸カルシウム粒子を20重量%含むスラリ
ーに、実施例1で用いたエチルアシッドフォスフェート
のエチレングリコール溶液を5.7モル%(対粒子)加
え、30℃で3時間撹拌した。なお、得られたスラリー
中の粒子濃度は18重量%、粒子の平均粒径、db
0.74μm、粒度分布値d25/d75は2.15であっ
た。粒子の添加量を1.20部とする以外は、実施例1
のポリエステル(a1 )と全く同様にして4時間重縮合
反応を行い、極限粘度0.61のポリエステル(a 7
を得た。ポリエステル(a7 )を熱処理し、凝集熱安定
性を評価したところ、Da /Da (熱処理後)は0.9
8であり、凝集熱安定性は良好であった。ポリエステル
(a7 )および実施例1のポリエステルを用い、表3に
示す含有量とし、フィルムの複屈折率を0.025とす
る以外は実施例1と同様にしてフィルムを得、その特性
を評価した。
【0062】実施例5 実施例1のポリエステル(a1 )の製造において、平均
粒径da が0.45μm、粒度分布値d25/d75が1.
53の塊状のカルサイト型炭酸カルシウム粒子を用いる
以外は、実施例1のポリエステル(a1 )に用いたスラ
リーと全く同様にして表面処理を行った。実施例1のポ
リエステル(a1 )と全く同様にして4時間重縮合反応
を行い、極限粘度0.61比抵抗値(ρV )が5.2×
106 Ω・cmのポリエステル(a8 )を得た。ポリエ
ステル(a8 )を熱処理し、凝集熱安定性を評価したと
ころ、Da /Da (熱処理後)は0.92であり、凝集
熱安定性良好なポリエステルであることが確認された。
【0063】次いで、ポリエステル(a8 )および実施
例1のポリエステルを表4に示す割合でブレンドし、そ
れぞれ二軸延伸積層ポリエステルフィルムの(A)層、
内層および(B)層の原料とした。三種の原料ポリエス
テルをそれぞれ別々に予備結晶化した後、常法により乾
燥し、別個の溶融押出し機により、厚み比(A)層/内
層/(B)層=1:13:1で共押出しを行い、三層複
合化させて無定形シートを得た。この際、静電印加法を
用いキャスティングドラム上で冷却固化し、無定形シー
トを得た。なお、フィルムの(A)層の露出面をA面、
(B)層の露出面をB面とした。実施例1と同様にし
て、製膜を行い、三層のポリエチレンテレフタレートフ
ィルムを得、その特性を評価した。得られたフィルムの
B面側に磁性層を塗布し、磁気テープを得た。
【0064】実施例6 実施例5のポリエステルを用い、表4に示す含有量とす
る以外、すなわち内層にポリエステル(a8 )およびポ
リエステル(C)を用いる以外は実施例5と同様にして
フィルムを得、その特性を評価した。以上、得られた結
果をまとめて下記表1〜5に示す。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
【表3】
【0068】
【表4】
【0069】
【表5】
【0070】本発明の要件を満足する実施例のフィルム
は、何れもその原料の凝集熱安定性が良好であることか
ら、かかる品質面における生産安定性に優れ、またフィ
ルム表面が均一であり、走行耐久性、耐摩耗性および耐
擦傷性等に優れたものである。
【0071】
【発明の効果】本発明のフィルムは均一微細な表面構造
を有しており、特に耐摩耗性、走行性および耐擦傷性等
に優れ、ノンバックコート用ハイグレードビデオテープ
用ベースフィルムをはじめとする磁気記録媒体用途とし
て非常に有用であり、その工業的価値は極めて高い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C08K 9/04 KCP 7242−4J B29K 67:00 B29L 7:00 4F

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒径が0.10〜1.0μmの合成
    炭酸カルシウム粒子を高分子ポリカルボン酸類にて表面
    処理した後、下記の式で示されるリン化合物で処理して
    得られる粒子を0.01〜2.5重量%配合してなる磁
    気記録媒体用二軸配向ポリエステルフィルム。 【化1】 [上記式中、Rは炭素数1〜10の炭化水素基を示し、
    lは1または2、mは1または2、nは1または0であ
    り、かつlとmの和は3である]
JP4324184A 1992-09-29 1992-12-03 磁気記録媒体用二軸配向ポリエステルフィルム Pending JPH06172555A (ja)

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EP93115578A EP0590570B1 (en) 1992-09-29 1993-09-27 Biaxially oriented polyester film for magnetic recording medium
DE69330327T DE69330327T2 (de) 1992-09-29 1993-09-27 Biaxial ausgerichteter Polyesterfilm für magnetisches Aufzeichnungsmedium
KR1019930020417A KR100261781B1 (ko) 1992-09-29 1993-09-28 자기기록 매체용 2축 배향 폴리에스테르필름
US08/482,791 US5670236A (en) 1992-09-29 1995-06-07 Biaxially oriented polyester film for magnetic recording medium

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007332298A (ja) * 2006-06-16 2007-12-27 Teijin Dupont Films Japan Ltd 二軸配向ポリエステルフィルム
JP2011099123A (ja) * 2000-11-27 2011-05-19 Millennium Inorganic Chemicals Inc 有機リン酸およびそれらの塩で処理した顔料
JP2011190387A (ja) * 2010-03-16 2011-09-29 Toray Ind Inc ポリエステル組成物およびそれを用いたフィルム

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JP2007332298A (ja) * 2006-06-16 2007-12-27 Teijin Dupont Films Japan Ltd 二軸配向ポリエステルフィルム
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