JPH06139551A - 磁気記録媒体用二軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents

磁気記録媒体用二軸配向ポリエステルフィルム

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JPH06139551A
JPH06139551A JP4260316A JP26031692A JPH06139551A JP H06139551 A JPH06139551 A JP H06139551A JP 4260316 A JP4260316 A JP 4260316A JP 26031692 A JP26031692 A JP 26031692A JP H06139551 A JPH06139551 A JP H06139551A
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polyester
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calcium carbonate
particle size
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JP4260316A
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Satoyuki Kotani
智行 小谷
Kazuo Endo
一夫 遠藤
Chikakazu Kawaguchi
親和 川口
Takashi Harada
敬 原田
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Diafoil Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 表面均一性、走行性および耐摩耗性に優れた
磁気記録媒体用二軸配向ポリエステルフィルムを提供す
る。 【構成】 平均粒径が0.005〜0.5μmの酸化ア
ルミニウム粒子を0.15〜1.0重量%、および配合
量および平均粒径が特定の関係を満足するよう合成炭酸
カルシウム粒子(a)を配合してなる、表面粗度および
摩擦係数が特定の関係を満足する磁気記録媒体用二軸配
向ポリエステルフィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気記録媒体用二軸延
伸ポリエステルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】二軸
配向ポリエステルフィルムは、産業用資材として広く用
いられているが、近年、特に磁気記録媒体用途において
高級指向が著しくなり、フィルム表面が均一であること
が強く望まれるようになった。また、耐摩耗性、走行性
の改良が切望されている。さらにハイグレードビデオテ
ープ用途に関しては、従来、ベースフィルムにバックコ
ートを施して使用されていたが、コスト面の改良のため
に、いわゆるノンバックコートタイプのハイグレードビ
デオテープ用ベースフィルムが要求されており、特に上
記の点を高度に満足する必要がある。
【0003】従来、ポリエステルフィルムの耐摩耗性お
よび走行性を改良する手段として、フィルム中に不活性
な微粒子を存在させ、フィルム表面を適度に粗面化する
方法が知られており、ある程度その改良がなされている
が、必ずしも十分な結果は得られていない。例えば、微
粒子としてポリエステル製造時の触媒残渣等からのいわ
ゆる析出粒子を用いた場合は、延伸により析出粒子が破
壊されやすいため、耐摩耗性および走行性が劣り、また
析出粒子の再生使用も困難である。また、酸化ケイ素、
硫酸バリウム、二酸化チタン、リン酸カルシウム等のポ
リエステルに不活性な無機化合物粒子を添加した場合
は、延伸により粒子が破壊、変形されることはなく、比
較的急峻な突起を与えることができ、走行性は改良され
るが、通常その粒度分布が広く、粒子の脱落も生じやす
いため、例えばビデオテープ用として用いた場合、しば
しば電磁変換特性の悪化やドロップアウトの多発を引き
起こしてしまう。
【0004】これらの点を克服するため、シャープな粒
度分布を有する無機または有機粒子を用いることが提案
されている。例えば、特開昭62−207356号公
報、特開昭59−217755号公報に、それぞれ単分
散性の酸化ケイ素、乳化重合法による架橋有機粒子が示
されている。しかしながら、酸化ケイ素粒子を用いた場
合には、その硬度が高いためフィルムが接触する基材を
傷付けやすく、また耐摩耗性の改良が不十分であり、一
方、架橋有機粒子を用いた場合には、耐熱性において難
があるだけでなく、延伸により粒子が変形しやすいとい
う欠点がある。このように、これまでフィルムの表面均
一性、走行性、蛇行性および耐摩耗性を同時に高度なレ
ベルで満足するポリエステルフィルムは得られていない
のが実情である。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題に
鑑み鋭意検討をった結果、ある特定の合成炭酸カルシウ
ム粒子および酸化アルミニウム粒子を含有し、かつかか
るフィルムの表面粗さおよび摩擦係数がある特定の範囲
を満足すれば、上記の改良を達成し得ることを見いだ
し、本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち本発明の要旨は、平均粒径が0.
005〜0.5μmの酸化アルミニウム粒子を0.15
〜1.0重量%、および下記式〜を同時に満足する
合成炭酸カルシウム粒子(a)を含有し、下記式〜
を同時に満足することを特徴とする磁気記録媒体用二軸
配向ポリエステルフィルムに存する。
【数2】0.25≦da ≦0.50 … 0.35≦wa ≦1.00 … 0.50≦da +0.5wa ≦0.85 … 8da − wa ≧1.50 … 0.009≦Ra≦0.020 … 7.0≦Rz/Ra≦15 … 0.80≦μd50 /μd1≦1.6 … [上記式中、da は合成炭酸カルシウム粒子(a)の配
合前の平均粒径(μm)、wa はポリエステルフィルム
に対する合成炭酸カルシウム粒子の配合量(重量%)、
RaおよびRzは、それぞれフィルムの表面粗さ(μ
m)および十点平均粗さ(μm)、μd50 /μd1は、初
期(第1回目)と繰り返し走行時(第50回目)のフィ
ルムの動摩擦係数の比を表す]
【0007】以下、本発明を詳細に説明する。本発明で
いうポリエステルとは、芳香族ジカルボン酸またはその
エステルとグリコールとを主たる出発原料として得られ
るポリエステルであり、繰り返し構造単位の80%以上
がエチレンテレフタレート単位またはエチレン−2,6
−ナフタレート単位を有するポリエステル、さらに好ま
しくは、繰り返し構造単位の80%以上がエチレンテレ
フタレート単位のものであり、かかる範囲を逸脱しない
条件下に他の第三成分を含有していてもよい。芳香族ジ
カルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸および
2,6−ナフタレンジカルボン酸以外に、例えば、イソ
フタル酸、フタル酸、アジピン酸、セバシン酸、オキシ
カルボン酸(例えば、p−オキシエトキシ安息香酸等)
等を用いることができる。グリコール成分としては、エ
チレングリコール以外に、例えば、ジエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−
シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール
等の一種または二種以上を用いることができる。
【0008】本発明のポリエステルフィルムは、特定の
合成炭酸カルシウム粒子および酸化アルミニウム粒子が
特定量配合されたものである。まず、本発明において用
いられる炭酸カルシウム粒子に関して説明する。従来、
炭酸カルシウム粒子の製法としては、天然の炭酸カルシ
ウムを粉砕、分級する方法のほか、例えば水酸化カルシ
ウム溶液に二酸化炭素含有ガスを注入して反応させるい
わゆる合成法による沈降性炭酸カルシウム粒子が知られ
ている。この場合、比較的粒径のそろったカルサイト型
炭酸カルシウム粒子が得られる。一方、天然の炭酸カル
シウム粒子の場合はなお所望の粒度分布には達し得ない
ため、高度なレベルで良好な特性を有するフィルムは得
られない。したがって、本発明においては合成炭酸カル
シウム粒子が用いられ、特に粒度分布が均一な合成炭酸
カルシウム粒子が好ましく用いられる。
【0009】本発明で用いる合成炭酸カルシウム粒子の
粒度分布値は1.80以下であることが好ましく、さら
に好ましくは1.70以下、特に好ましくは1.60以
下である。粒度分布値は1.80を超えると、最終的に
得られるフィルムの表面粗度が不均一となる傾向がある
ため、磁気記録媒体の電磁変換特性を損ねたり、耐電圧
が悪化したりする恐れがある。また、合成炭酸カルシウ
ム粒子の結晶型としては、カルサイト型、バテライト型
およびアラゴナイト型の三種が知られているが、工業的
に入手が容易であり、コスト的に有利である点のみだけ
ではなく、後述する凝集熱安定性が良好なポリエステル
が得られる点より、本発明において用いる合成炭酸カル
シウム粒子の結晶型としては、カルサイト型のものが好
ましい。
【0010】さらに、合成炭酸カルシウム粒子は、その
ままポリエステル製造工程に添加することも可能である
が、反応系への溶解度を減少させ、また分散性および、
本発明において重要な特性である凝集熱安定性を向上さ
せるためにも表面処理を施しておくことが特に好まし
い。この分散剤を兼ねる表面処理剤としては、例えば特
開昭59−69426号公報あるいは特開平1−256
558号公報に記載されているような表面処理剤、特に
ポリカルボン酸あるいはそれらのナトリウム塩、アンモ
ニウム塩等が好ましく用いられ、ポリアルキレングリコ
ール単位とポリアクリル酸単位および/またはポリアク
リル酸誘導単位とを含有する共重合体がさらに好まし
い。このような共重合体としては、例えば、ポリアクリ
ル酸とポリエチレングリコールモノメタクリレートの共
重合体、ポリアクリル酸とメトキシポリエチレングリコ
ールとポリプロピレングリコールモノメタクリレートの
共重合体あるいはこれらのポリアクリル酸をアンモニア
で中和したものやポリアクリル酸ソーダに置き換えたも
の等が挙げられる。これらの表面処理剤は通常該粒子の
製造段階の途中で加えると効果的である。
【0011】本発明の重要な骨子のひとつは、特定粒径
および特定量の合成炭酸カルシウム粒子(a)をポリエ
ステルフィルム中に配合することにある。すなわち、本
発明においては、合成炭酸カルシウム粒子(a)の配合
前の平均粒径(da )および配合量(wa )は、下記式
〜を同時に満足する必要がある。
【数3】0.25≦da ≦0.50 … 0.35≦wa ≦1.00 … 0.50≦da +0.5wa ≦0.85 … 8da − wa ≧1.50 … 本発明においては、合成炭酸カルシウム粒子(a)の配
合前の平均粒径(da)は0.25〜0.50μmであ
ることが必要である。かかるda 値が0.25μm未満
では、走行性や耐摩耗性がほとんど改良されない。一
方、da 値が0.50μmを超える場合は、フィルムの
表面粗度が高くなりすぎるため電磁変換特性を損ねてし
まうのみならず、特にフィルムをノンバックコートタイ
プのハイグレードビデオテープにした際にフィルムが蛇
行しやすく不適当である。da 値は、0.27〜0.4
8μmの範囲が好ましく、さらに好ましくは0.31〜
0.45μmの範囲である。
【0012】本発明のポリエステルフィルムにおいては
合成炭酸カルシウム粒子(a)の配合量(wa )は0.
35〜1.00重量%であることが必要である。含有量
a値が0.35重量%未満では、表面均一性、走行性
および耐摩耗性等を同時に高度なレベルで満足する磁気
記録媒体用、特にノンバックコートタイプのハイグレー
ドビデオテープ用に好適なポリエステルフィルムが得ら
れない。一方、含有量wa 値が1.00重量%を超える
場合には、フィルムの表面粗度が高くなりすぎるため電
磁変換特性を損ねてしまう。wa 値は0.45〜0.9
0重量%の範囲が好ましい。配合する合成炭酸カルシウ
ム粒子(a)の平均粒径(da )値および配合量(w
a )値が上記の構成要件を満足するのみでは、本発明の
目的とする高品質の磁気記録媒体用、特にノンバックコ
ートタイプのハイグレードビデオテープ用に好適なポリ
エステルフィルムが得られない場合がある。本発明者ら
が鋭意検討した結果、合成炭酸カルシウム粒子(a)の
平均粒径da と含有量wa とがさらに上記式および
の関係を同時に満足すれば、本発明の目的とする高品質
の磁気記録媒体用、特にノンバックコートタイプのハイ
グレードビデオテープ用に好適なポリエステルフィルム
が得られることが判明したのである。
【0013】すなわち、本発明のポリエステルフィルム
においては、(da +0.5wa )値は0.5〜0.8
5の範囲であることが必要であり、(8da − wa
値は1.50以上であることが必要である。(da
0.5wa )値が0.50未満では、フィルムの走行性
が悪化し、フィルムが蛇行しやすくなり、さらに、フィ
ルムの耐摩耗性も劣る。(da +0.5wa )値が0.
85を越える場合には、フィルムの表面粗度が高くなり
すぎるため電磁変換特性を損ねてしまう。(da+0.
5wa )値は、0.55〜0.80の範囲が好ましく、
特に好ましくは0.60〜0.75の範囲である。(8
a − wa )値が1.50未満では、合成炭酸カルシ
ウム粒子が凝集し、フィルムの特性が悪化する。(8d
a − wa)値は、1.80以上が好ましく、2.00
以上がさらに好ましい。本発明のポリエステルフィルム
には、前述したように比較的小さい粒径を有する合成炭
酸カルシウム粒子を多量に配合することが必要である
が、かかる原料ポリエステルを生産した場合、ポリエス
テル中の合成炭酸カルシウム粒子が凝集した、いわゆる
生産不良品が発生する場合がある。かかる凝集の度合い
が大きい場合、ポリエステルフィルム中に粗大物が生
じ、その結果、最終的に得られるビデオテープ等の磁気
記録媒体において、ドロップアウトの発生や、電磁変換
特性の悪化の原因となってしまう。
【0014】本発明者らの検討結果によれば、原料ポリ
エステルに配合する前の粒子の平均粒径(da )と含有
量(Ua )の関係、(8da −Ua )値が1.50以上
であることが凝集安定性の点で好ましく、1.70以上
がさらに好ましく、1.90以上がさらに好ましい。か
かる凝集現象は、熱処理による粒径の変化とも密接な関
係がある。すなわち、原料ポリエステルの生産におい
て、凝集熱安定性良好なポリエステルを用いれば、凝集
の発生頻度が少ないため、フィルム中の粗大物に関し
て、高品質のポリエステルフィルムを安定的に生産する
ことが可能となり好ましいことが判明したのである。す
なわち、原料ポリエステル中の合成炭酸カルシウム粒子
に関して、熱処理前後の粒径の比(Da /Da'(熱処理
後))は、0.60以上であることが好ましく、さらに
好ましくは0.65以上、特に好ましくは0.70以上
である。なお、Da とは、SEMにて測定したポリエス
テル中の合成炭酸カルシウム粒子の平均粒径(μm)を
示し、Da'(熱処理後) とは、ポリエステル(A)を窒
素下、280℃で8時間熱処理後のポリエステル中の合
成炭酸カルシウム粒子の平均粒径(μm)を示す。Da
/Da'(熱処理後)比が0.60未満のポリエステルを生
産した場合、ポリエステル中の合成炭酸カルシウム粒子
の凝集が発生しやすくなる傾向がある。
【0015】上記特性を満足する原料ポリエステルは、
ポリエステルフィルムに対して30〜100重量%含有
されていることが好ましく、30〜80重量%であるこ
とがさらに好ましい。かかる含有量が30重量%未満で
は、表面均一性、走行性および耐摩耗性等において、特
性がやや劣ることがある。次に、本発明のポリエステル
フィルムに配合する酸化アルミニウム粒子に関して説明
する。近年、磁気記録媒体用ベースフィルムに対し、平
坦性、易滑性、耐摩耗性、接着性のほかに、新たに耐擦
傷性がしばしば要求されるようになった。これは例えば
テープが高速で走行する際、テープが接触する部分から
傷付けられたり、発生した摩耗粉によりフィルムに傷が
入りやすくなったりするためである。傷付きが多いと外
観上好ましくないだけでなく、工程の汚染やドロップア
ウトの増加を引き起こすようになる。本発明のポリエス
テルフィルムには、この耐擦傷性を高度に改良するため
に、平均粒径が0.005〜0.5μmの酸化アルミニ
ウム粒子を0.15〜1.0重量%併用する。平均粒径
が0.005μm未満または配合量が0.15重量%未
満では、耐擦傷性の改良効果が小さすぎ、平均粒径が
0.5μmを超える場合または含有量が1.0重量%を
超える場合には、フィルム表面に粗大突起が生じたり、
表面平坦性が損なわれたりし、磁気記録媒体の電磁変換
特性が悪化する。平均粒径は0.01〜0.1μmの範
囲がさらに好ましく、配合量は0.20〜0.5重量%
の範囲がさらに好ましい。
【0016】また、酸化アルミニウム粒子の結晶型とし
ては、耐摩耗性および耐擦傷性の改良効果等が優れてい
る点より、デルタ型もしくはガンマ型のものが好まし
く、デルタ型が特に好ましい。これらの粒子の製造法と
しては、例えば熱分解法、すなわち無水塩化アルミニウ
ムを原料として火焔加水分解させる方法、あるいはアン
モニウム明ばん熱分解法、すなわち水酸化アルミニウム
を原料として硫酸と反応させて硫酸アルミニウムとした
後硫酸アンモニウムと反応させてアンモニウム明ばんと
して焼成する方法等を挙げることができる。これらの方
法により得られる酸化アルミニウムの一次粒径は、通
常、5〜40nmの範囲にあるが、しばしば0.5μm
を超える凝集体を形成しているので、適度に解砕して使
用することが望ましい。この場合、多少凝集した二次粒
子となっていてもよいが、みかけ上の平均粒径は0.5
μm以下が好ましく、0.1μm以下が特に好ましい。
【0017】本発明においては、その要旨を超えない範
囲であれば、他の粒子を一種以上併用しても構わない。
しかしながら、再生利用の容易さ等の点より、本発明に
おいて用いる合成炭酸カルシウム粒子の配合量(wa
よりも少ないことが好ましく、具体的には、他の粒子の
配合量は0.5wa 重量%以下が好ましく、0.2w a
重量%以下がさらに好ましく、0.1wa 重量%以下が
特に好ましい。かかる粒子の一つとして析出粒子を挙げ
ることができる。ここでいう析出粒子とは、例えばエス
テル交換触媒としてアルカリ金属またはアルカリ土類金
属化合物を用いた系を常法により重合することにより反
応系内に析出するものを指す。また、エステル交換反応
あるいは重縮合反応時にテレフタル酸を添加することに
より析出させてもよい。これらの場合、リン酸、リン酸
トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリブチル、酸
性リン酸エチル、亜リン酸、亜リン酸トリメチル、亜リ
ン酸トリエチル、亜リン酸トリブチル等のリン化合物の
一種以上を存在させてもよい。また、エステル化工程を
経る場合にもこれらの方法で不活性物質粒子を析出させ
ることができる。例えば、エステル化反応終了前または
後にアルカリ金属またはアルカリ土類金属化合物を存在
させ、リン化合物の存在下あるいは非存在下に重縮合反
応を行う。いずれにしても本発明でいう析出粒子には、
カルシウム、リチウム、アンチモン、リン等の元素が一
種以上含まれている。
【0018】また、添加粒子も併用することができる。
ここでいう添加粒子とはポリエステルに外部から添加す
る粒子を指すが、具体的にはカオリン、タルク、カーボ
ンブラック、硫化モリブデン、石膏、硫酸バリウム、フ
ッ化リチウム、フッ化カルシウム、ゼオライト、リン酸
カルシウム、二酸化ケイ素、二酸化チタン等を挙げるこ
とができる。なお、かかる添加粒子の例として耐熱性の
高分子微粉体を挙げることもできる。この場合の典型的
な例としては、例えば特公昭59−5216号公報に記
載されているような、分子中に唯一個の脂肪族の不飽和
結合を有するモノビニル化合物と架橋剤として分子中に
二個以上の脂肪族の不飽和結合を有する化合物との共重
合体を例示することができるが、これらに限定されるも
のではなく、例えば熱硬化性エポキシ樹脂、熱硬化性フ
ェノ−ル樹脂、熱硬化性尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹
脂あるいはポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素
樹脂の微粉体を用いることもできる。
【0019】平均粒径の異なる合成炭酸カルシウム粒子
を二種以上用いてもよい。特に本発明において用いる、
前記特性を満足する合成炭酸カルシウム粒子に対して、
大粒子の合成炭酸カルシウムを少量配合した場合、電磁
変換特性および走行性等を損なわずに巻き特性を改良す
ることができ、好ましい。大粒子の粒径としては、1.
5da 〜3.0da μmが好ましい。合成炭酸カルシウ
ムの大粒子の粒径が、1.5da μmより小さいと巻き
特性の改良効果が小さくなる傾向があり、3.0da μ
mより大きいと電磁変換特性または走行性等が悪化する
傾向がある。また添加量としては、0.005wa
0.2wa 重量%が好ましく、0.01w a 〜0.1w
a 重量%がさらに好ましい。合成炭酸カルシウムの大粒
子の添加量が0.005wa 重量%未満の場合、巻き特
性の改良効果が小さくなる傾向があり、0.2wa 重量
%より多いと電磁変換特性または走行性等が悪化する傾
向がある。本発明の合成炭酸カルシウム粒子を含むポリ
エステルの製造に際しては、該粒子および併用する添加
粒子は、ポリエステルの合成反応中に添加することが好
ましい。特に、エステル交換反応またはエステル化反応
終了後、重縮合反応開始前に添加することが好ましい。
なお添加する粒子は、通常、エチレングリコールのスラ
リーとして添加するが、必要に応じ事前に解砕、分散、
分級、濾過等の処理を施しておいてもよい。添加するエ
チレングリコール中のスラリー濃度は5〜50重量%、
好ましくは10〜40%とするのがよい。スラリーの粒
子濃度が3重量%未満では、エチレングリコールの使用
量が増し、エチレングリコールの原単位が大きくなり好
ましくない。また、粒子濃度が50重量%を超えたスラ
リーを添加すると、粒子の分散性が往々にして悪化す
る。なお、ポリエステル合成の重縮合反応触媒として
は、Sb,Ti,Ge,Sn,Si化合物等の通常用い
られている触媒が使用される。
【0020】本発明のポリエステルフィルムにおいて
は、さらに下記式〜を同時に満足することが必要で
ある。
【数4】0.009≦Ra≦0.020 … 7.0≦Rz/Ra≦15 … 0.80≦μd50 /μd1≦1.6 … [上記式中、RaおよびRzとは、フィルムの表面粗さ
(μm)および十点平均粗さ(μm)を示し、μd1/μ
d50 は、初期(第1回目)と繰り返し走行時(第50回
目)のフィルムの動摩擦係数の比を表す]本発明のフィ
ルムにおいて、表面粗さRaは0.009〜0.020
μmであり、好ましくは0.010〜0.017μm、
さらに好ましくは0.010〜0.015μmの範囲で
ある。Ra値が0.009μm未満の場合、フィルムの
走行性および耐摩耗性が悪化するめ不適である。一方、
Ra値が0.020μmを超える場合、フィルムの表面
粗度が高くなりすぎるため電磁変換特性を損ねてしま
う。
【0021】また、本発明のフィルムにおいて、(Rz
/Ra)値は7.0〜15の範囲であり、好ましくは
8.0〜13、さらに好ましくは8.0〜12である。
(Rz/Ra)値が7.0未満の場合、フィルムの走行
性および耐摩耗性の改良効果が小さいため不適当であ
る。一方、(Rz/Ra)値が15を超える場合、フィ
ルムの蛇行性の改良効果が不十分である。さらに本発明
のフィルムにおいて、初期(第1回目)と繰り返し走行
時(第50回目)のフィルムの動摩擦係数の比、(μ
d50 /μd1)は0.80〜1.6の範囲であり、0.9
〜1.4の範囲が好ましい。(μd50 /μd1)値が0.
80未満または1.6を超える場合には、フィルムの走
行耐久性が劣り、特にノンバックコートタイプのハイグ
レードビデオテープ用としては、使用に耐えない。本発
明のフィルムにおいて、フィルムの縦方向のヤング率と
横方向のヤング率の和は900kg/mm2 が以上が好
ましく、1000kg/mm2 が以上がさらに好まし
く、1050kg/mm2 以上が特に好ましい。また、
横方向のヤング率と縦方向のヤング率の差は、200k
g/mm2 未満が好ましく、100〜200kg/mm
2 の範囲がさらに好ましく、150〜200kg/mm
2 の範囲が特に好ましい。フィルムのヤング率が上記の
条件を満足する場合、テープエッジダメージ、耐久性お
よび裁断性等の改良効果が大きくなり、特に好ましい。
さらに本発明のフィルムにおいて、フィルムの厚み方向
の屈折率を1.490以上とすることが好ましい。この
値が1.490以上のとき、走行性および耐摩耗性の改
良効果が顕著となり、磁性層との接着性も向上し、好適
である。厚み方向の屈折率は好ましくは1.492〜
1.505である。かかる物性を有するフィルムは、例
えば縦延伸後の複屈折率が4.0×10-2〜8.0×1
-2程度とすることによって得ることができる。
【0022】また、本発明のフィルム表面に、突起の周
囲に該突起を核とした窪みからなる凹凸単位を有するこ
とが好ましい。すなわち、長径が少なくとも0.2μm
以上の窪みとからなる凹凸単位のフィルム表面積1mm
2 当りの数は、1〜15000個が好ましく、5〜50
00個がさらに好ましい。かかる凹凸単位の数が1個未
満の場合、走行性および表面平坦性の改良効果が小さく
なる傾向があり、一方、凹凸単位の数が15000個を
越える場合には、フィルムの耐摩耗性が悪化することが
ある。本発明のフィルムの幅方向の屈折率(nTD)と長
手方向の屈折率(nMD)との差(Δn:nTD−nMD)が
0.020以上の場合、特に、裁断性に優れ、磁気テー
プのベースフィルムとして適したものとなる。上記の裁
断性は、磁気テープをシェアーカッター等でスリットす
る際の特性であり、裁断性が悪い場合には、切り口が筋
状にめくれ上がったり、切り口からヒゲや粉が発生した
りする。かかる現象が生じた場合、テープに白粉が付着
し、電磁変換特性を悪化させたり、ドロップアウトを誘
起する。Δnは、さらに好ましくは0.025以上、特
に好ましくは0.035以上であり、Δnが余り大きす
ぎる場合は、熱収縮率等の不都合が生じるため、Δnの
上限は、0.050とすることが好ましい。
【0023】本発明のポリエステルフィルムの極限粘度
は、0.52〜0.62が好ましく、0.54〜0.5
9がさらに好ましい。極限粘度が低い程、フィルムの裁
断性が良好であるが、極限粘度が0.52未満の場合
は、製膜時にフィルム破断が多発して生産性に支障をき
たすことがある。一方、極限粘度が0.62を越える場
合は、フィルムの裁断性改良効果が不十分となることが
ある。次に本発明のポリエステルフィルムの製膜方法を
説明する。本発明で規定する粒子を含有するポリエステ
ル原料を準備し、常法により乾燥した後、押出機によ
り、200〜320℃で押し出して、キャスティングド
ラム上で冷却固化させて無定形シートを形成する。この
際、常法の静電印加法を用いるならば、均一厚さの無定
形シートが得られるので好ましい。なお、本発明の要旨
を越えない範囲ではかかる無定形シートは、2層あるい
は3層以上の積層フィルムであっても構わない。次い
で、上記の無定形シートを用いて二軸延伸熱固定を行
う。すなわち縦延伸倍率2.5〜9.0の範囲内で縦方
向に延伸し、次いで横方向に延伸倍率3.0倍以上、さ
らに好ましくは3.3倍以上、特に好ましくは3.7倍
以上で延伸後、さらに好ましくは110℃〜180℃の
温度で縦方向に1.05〜2.5倍再延伸をった後、2
00℃〜250℃、さらに好ましくは210℃〜240
℃の温度で熱処理する。もちろんこの際、再縦延伸前熱
固定、再縦延伸後縦弛緩、再縦延伸前または後微小倍率
縦延伸等の手法を適宜採用も可能である。また、同様に
横方向に再延伸をってもよい。また、必要に応じて製膜
工程内で各種の表面処理等を施しても構わない。
【0024】本発明のポリエステルフィルムは、品質面
だけでなく、コスト面にも優れているのが特徴である。
すなわち、製膜工程においても、破断等がなく生産スピ
ードを高くすることができ、具体的には、縦延伸倍率は
4.5〜9.0倍の範囲内の高い縦延伸倍率を実現する
ことができる。このとき、前記縦方向の延伸を、(A)
非晶状態の無定形シートを延伸倍率1.2〜4.0倍で
複屈折率が1.0×10-3〜2.5×10-2、さらに好
ましくは1.5×10-2〜2.5×10-2となるように
一段または多段で縦延伸し、(B)フィルム温度をガラ
ス転移点以下に冷却することなく延伸倍率1.1〜3.
5倍で複屈折率が3.0×10-2〜8.0×10-2とな
るように一段または多段で縦延伸し、(C)フィルム温
度をガラス転移点以下に冷却した後、(D)フィルム温
度をガラス転移点以上に加熱して一段または多段で縦延
伸する工程とすることが好ましい。また、本発明のポリ
エステルフィルムに、特に好ましいフィルム強度または
複屈折率を付与するために、縦横延伸後の熱処理前に、
110℃〜180℃の温度で縦方向に1.05〜2.5
倍再縦延伸および/または再横延伸を行うことも特に好
ましい形態である。なお、フィルムの厚みは通常3〜2
0μmであり、好ましくは7〜17μm、さらに好まし
くは12〜17μmの範囲である。
【0025】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げてさらに詳細に
説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下
の実施例によって限定されるものではない。なお実施例
における種々の物性および特性の測定方法、定義は下記
のとおりである。また、実施例および比較例中「部」と
あるは「重量部」を示す。 (1)平均粒径および粒度分布 島津製作所製遠心沈降式粒度分布測定装置(SA−CP
3型)で測定した等価球形分布における積算体積分率5
0%の粒径d50を平均粒径とした。また同時に大粒子側
から積算して重量分率25%の点の直径d25と重量分率
75%の点の直径d75の比(d25/d75)を粒度分布の
指標とした。また、酸化アルミニウム粒子の一次粒子の
平均粒径については、電子顕微鏡による写真法で100
点測定し、等価球に換算した値を平均した。
【0026】(2)ポリエステル中の平均粒径(Da ) 粒子を含有したポリエステルよりポリエステル部分をプ
ラズマ低温灰化処理により除去し、粒子を露出させた。
この処理条件としては、ポリエステルは灰化されるが粒
子は損傷しない条件を選択した。この露出した粒子をS
EMにて観察し、粒子の画像をイメージアナライザーで
処理した。観察粒子数1000個以上について、等価球
換算の粒径の数平均粒径をDa とした。なお、凝集して
いる粒子については凝集粒子を単一の粒子として等価球
換算し、その粒子の粒径とした。 (3)凝集熱安定性 粒子を含有したポリエステルを、乾燥後、常圧下、窒素
雰囲気下、280℃にて8時間熱処理をった。次いで熱
処理したポリエステル中の平均粒径を測定した。凝集熱
安定性の指標として、熱処理前後のポリエステル中の平
均粒径の比(D a /Da (熱処理後))を求め、下記に
示すランクに分類した。
【数5】A:Da /Da (熱処理後)≧0.70 (生
産安定性が非常に良好である) C:Da /Da (熱処理後)<0.60 (生産が困難
である) B:0.60≦Da /Da (熱処理後)<0.70(上
記AおよびCの中間的状況)
【0027】(4)フィルムの極限粘度 ポリマー1gをフェノール/テトラクロロエタン=50
/50(重量比)の混合溶媒100ml中に溶解し、3
0℃で測定した。 (5)フィルムの屈折率 アタゴ光学社製アッベ式屈折計を用い、フィルムの厚さ
方向の屈折率(nα)、幅方向の屈折率(nTD)および
長手方向の屈折率(nMD)を測定した。なお、屈折率の
測定はナトリウムD線を用いた。 (6)スリット性 二軸延伸および熱固定後のフィルムの端部を新品のステ
ンレス製切断刃により、50000mスリットした後、
切断刃の損傷度合いを目視で観察することにより、スリ
ット性を次の3ランクに分けて評価した。 A:切断刃の損傷がほとんど見られずスリット刃を取り
替える必要がない B:切断刃の損傷が明らかに見られ、スリット刃を取り
替える必要がある C:上記AおよびCの中間的状況
【0028】(7)ヤング率(引張弾性率) (株)インテスコ製 引張試験機インテスコモデル20
01型を用いて、温度23℃、湿度50%RHに調節さ
れた室内において、長さ300mm、幅20mmの試料
フィルムを、10%/minの歪速度で引張り、引張応
力−歪曲線の初めの直線部分を用いて次式によってヤン
グ率(E)を計算した。
【数6】E=Δσ/Δε (上記式中、E、Δσ、Δεはそれぞれヤング率(kg
/mm2 )、直線上の2点間の元の平均断面積による応
力差、同じ2点間の歪差を表す) (8)フィルム表面の平均粗さおよび粗さの均一性 日本工業規格JIS B0601に記載されている方法
に従い、(株)小坂研究所製 表面粗さ測定機(SE−
3F)を用いて、中心線平均粗さ(Ra)および最大高
さ(Rt)を求めた。なお、使用した触針の半径は、
2.0μm、荷重は30mgであり、カットオフ値は
0.08mmである。Rt/Raが小さいほど表面が均
一である。
【0029】(9)フィルム表面の凹凸(突起を核とし
その周辺に窪みを有する)単位の数 フィルムの(A)面側にアルミニウム蒸着を施し、該フ
ィルム表面を、ニコン製微分干渉顕微鏡にて写真撮影
し、合計1mm2 のフィルム表面積当たり、長径が0.
2μm以上の凹凸単位の数(個/mm2 )を数えた。 (10)走行性 フィルムの滑り性により評価した。滑り性は、固定した
硬質クロムメッキ金属ロール(直径6mm)にフィルム
を巻き付け角(θ)135°で接触させ、53g(T
2 )の荷重を一端にかけて、1m/minの速度でこれ
を走行させ他端の抵抗力(T1 ,g)を測定し、次式に
より走行中の摩擦係数(μd)を求めた。
【数7】μd=0.424・ln(T1 /53) (11)粗大突起数 フィルム表面にアルミニウムを蒸着し、ニコンオプチフ
ォト干渉顕微鏡を用い、二光束法にて測定した。測定波
長は0.54μmとし、3次以上の干渉縞を示す突起
(突起高さ0.81μm以上)個数を100cm2 の面
積にわたり測定し、粗大突起数とした。
【0030】(12)巻き特性 ポリエステルフィルムの巻き取り作業時のロールの巻き
ずれ、シワ入りおよび巻き姿等の良否を総合的に判断し
た。 (13)摩耗特性 固定した直径6mmの硬質クロム製固定ピン(材質SU
S420−J2、仕上げ0.2S)に幅10mmのフィ
ルムを用い、巻きつけ角135°で接触させ、速度は1
1.4m/min、初期張力300gで、200mのフ
ィルムを計5000mにわたって走行させ、ピンに付着
した摩耗白粉量を目視評価し、下に示すランク別に評価
をった。 ランクA:全く付着しない ランクB:微量付着する ランクC:少量(ランクBよりは多い)付着する ランクD:極めて多く付着する (14)磁気テープ特性 磁性微粉末200部、ポリウレタン樹脂30部、ニトロ
セルロース10部、塩化ビニル−酢酸セルロース共重合
体10部、レシチン5部、シクロヘキサノン100部、
メチルイソブチルケトン100部、およびメチルエチル
ケトン300部をボールミルにて48時間混合分散後、
ポリイソシアネート化合物5部を加えて磁性塗料とし、
これをポリエステルフィルムの低粗度面側に塗布した
後、塗料が十分乾燥固化する前に磁気配向させ、その後
乾燥し、2μmの膜厚の磁性層を形成した。
【0031】次いでこの塗布フィルムを、鏡面仕上げの
金属ロールとポリエステル系複合樹脂ロールとから構成
されている5段のスーパーカレンダーを用い、ロール温
度85℃、線圧250kg/cm、走行速度80m/m
inの条件下、5000mを7回繰り返し走行させ樹脂
ロールに付着する白粉量を目視評価し、下に示すランク
別に評価をった。 〇…樹脂ロールに白粉の付着はほとんど見られない △…極く僅かな白粉の付着が見られる ×…明らかに白粉の付着が見られる カレンダー処理後のフィルムを1/2インチ幅にスリッ
トした後、松下電気製NV−3700型ビデオデッキに
より、常速にて下記の磁気テープ特性を評価した。電磁変換特性(VTRヘッド出力) シンクロスコープにより測定周波数が4メガヘルツにお
けるVTRヘッド出力を測定し、基準テープ(バックコ
ートを施した、ハイグレードビデオテープ)と比較し下
に示すランク別に評価をった。 〇…基準テープと同等以上である △…基準テープより劣る ×…明らかに基準テープより劣り、実用に耐えない
【0032】ドロップアウト 4.4メガヘルツの信号を記録したビデオテープを再生
し大倉インダストリー(株)ドロップアウトカウンター
でドロップアウト数を約20分間測定し、1分間当りの
ドロップアウト数に換算した。その測定を20回繰り返
し測定し、基準テープ(バックコートを施した、ハイグ
レードビデオテープ)と比較し下に示すランク別に評価
をった。 〇…基準テープと同等以上である △…基準テープより劣る ×…明らかに基準テープより劣り、実用に耐えない (15)走行耐久性(初期および繰り返し走行時の摩擦
係数、μd1およびμd50) 固定した硬質クロムメッキ
金属ロール(直径6mm、表面粗さ3S)に磁気テープの
ベースフィルム面を巻き付け角(θ)135°で接触さ
せ、53g(T2)の荷重を一端にかけて、3.3cm
/secの速度でこれを走行させ、他端の抵抗力(T
1 ,g)を23℃、50%RH雰囲気下で測定し、次式
により走行中の摩擦係数(μd )を求めた。
【数8】μd=0.424・ln(T1 /53) 上記の方法にて、磁気テープのベースフィルム面の同じ
場所を往復、繰り返し走行させ、初期(第1回目)と繰
り返し走行時(第50回目)の動摩擦係数を測定し、μ
d50 /μd1を求めた。
【0033】(16)蛇行性 市販のVHS方式VTRを用い、巻き出し側のバックテ
ンションをゼロにして、ビデオテープを180分間走行
させた。ヘッドシリンダーの直前のピンで、該テープの
走行状態を観察し、下記判定をった。 A:走行中にテープが規定の走行位置から0.5mm未
満外れる B:走行中にテープが規定の走行位置から0.5mm以
上2mm未満外れる C:走行中にテープが規定の走行位置から2mm以上外
れる (17)耐擦傷性 幅1/2インチにスリットした磁気テープを直径6mm
の硬質クロムメッキ金属ピン(仕上げ3S)にフィルム
を巻きつけ角135°、走行速度3m/sec張力50
gで磁気テープのベースフィルム面を1回擦過させた。
次に擦過面にアルミニウムを約1000Å厚となるよう
真空蒸着し、傷の量を目視により観察し、下記判定をっ
た。 ランク1:傷の量が極めて多い ランク2:傷の量が多い ランク3:傷の量が2、4の中間 ランク4:傷の量が少ない ランク5:傷が付かない (18)裁断性 広幅で塗布した磁気テープを1/2インチ幅に裁断し、
磁気テープの裁断面の状態を電子顕微鏡で観察し、下記
判定をった。 〇…裁断面のスジ状めくれ、切り粉の発生がなく極めて
良好 ×…裁断面にスジ状めくれが多く、切り粉の発生も見ら
れる △…上記〇およびXの中間的状況
【0034】実施例1 ジメチルテレフタレート100部、エチレングリコール
60部および酢酸マグネシウム4水塩0.09部を反応
器にとり、加熱昇温するとともにメタノールを留去して
エステル交換反応を行い、反応開始から4時間を要して
230℃まで昇温し、実質的にエステル交換反応を終了
した。次いで、平均粒径da =0.40μm、粒度分布
値d25/d75=1.55である、あらかじめ解砕、分級
および濾過を行った塊状のカルサイト型炭酸カルシウム
粒子の1.10部をエチレングリコールスラリーとして
添加した。なお、該粒子は、カルボキシル基の一部をア
ンモニアで中和したポリアクリル酸とメトキシポリエチ
レングリコールとポリプロピレングリコールモノメタク
リレートとの共重合体を粒子に対し、2%あらかじめ表
面処理が施されたものである。スラリー添加後、さらに
リン酸0.03部、三酸化アンチモン0.04部を加え
て4時間重縮合反応を行い、極限粘度0.61のポリエ
ステル(a1 )を得た。 かかるポリエステル(a1
を熱処理したところ、Da /Da'(熱処理後)=0.8
2となり、凝集熱安定性良好なポリエステルであること
が確認された。上記のポリエステル(a1 )の製造にお
いて、平均粒径da =0.80μm、粒度分布値d25
75=1.51、塊状のカルサイト型炭酸カルシウム粒
子1.00部を用いる以外は、実施例1のポリエステル
(a1 )と全く同様にしてて4時間重縮合反応を行い、
極限粘度0.60のポリエステル(a2 )を得た。 か
かるポリエステル(a2 )を熱処理したところ、Da
a (熱処理後)=0.99となり、凝集熱安定性良好
なポリエステルであることが確認された。上記ポリエス
テル(a1 )の製造において炭酸カルシウム粒子の代わ
りに、平均粒径が0.03μmであるデルタ型の酸化ア
ルミニウムを1.50部添加する以外は、全く同様にし
て、エステル交換反応および重縮合反応を行い、極限粘
度0.60のポリエステル(A)を得た。また、上記ポ
リエステル(a1 )の製造において炭酸カルシウム粒子
を添加しない以外は、全く同様にして、エステル交換反
応および重縮合反応を行い、実質的に無粒子である極限
粘度0.62のポリエステル(B)を得た。次いで、ポ
リエステル(a1 )、ポリエステル(a2 )、ポリエス
テル(A)およびポリエステル(B)をそれぞれ、5
5:2:20:23(重量比)の割合でブレンドしたポ
リエステルを用いて二軸延伸ポリエステルフィルムを製
造した。 すなわち、混合ポリエステルを乾燥後290
℃で溶融押出し、無定形シートを得、多段のニップロー
ルの周速差を利用して、まず縦方向に第1段目としてフ
ィルム温度112℃で3.0倍延伸後、連続して縦方向
に第2段目としてフィルム温度113℃で1.5倍延伸
した。なお、第1段目の延伸後のフィルムの複屈折率は
1.5×10-2であり、第2段目の延伸後のフィルムの
複屈折率は3.9×10-2であった。次いで得られたフ
ィルムを一旦40℃に冷却した後、さらにフィルム温度
98℃に加熱し、1.2倍で延伸した。得られた縦延伸
フィルムの複屈折率は6.1×10-2であった。次に、
かかる縦延伸フィルムをテンター内で横方向に3.95
倍延伸後、さらに縦方向に1.05倍延伸し、220℃
で熱処理を行い、厚さ15μmのフィルムを得た。得ら
れたフィルムに磁性層を塗布し磁気テープを得、その特
性を測定した。
【0035】実施例2 実施例1のポリエステル(a1 )の製造において、平均
粒径da =0.43μm、粒度分布値d25/d75=1.
55、塊状のカルサイト型炭酸カルシウム粒子1.10
部を用いる以外は、実施例1のポリエステル(a1 )と
全く同様にしてて4時間重縮合反応を行い、極限粘度
0.60のポリエステル(a3 )を得た。かかるポリエ
ステル(a3 )を熱処理したところ、Da /Da (熱処
理後)=0.93となり、凝集熱安定性良好なポリエス
テルであることが確認された。ポリエステル(a3 )お
よび実施例1のポリエステルを用い、表1に示す配合量
となるよう混合し、実施例1と同様にしてフィルムを
得、その特性を評価した。
【0036】比較例1 実施例1で用いたポリエステルを用い、表1に示す配合
量となるよう混合し、、ィルムの複屈折率を0.006
とする以外は実施例1と同様にしてフィルムを得、その
特性を評価した。 比較例2 実施例1のポリエステル(a1 )の製造において、平均
粒径da =0.55μm、粒度分布値d25/d75=1.
52であり、塊状のカルサイト型炭酸カルシウム粒子
1.10部を用いる以外は、実施例1のポリエステル
(a1 )と全く同様にして4時間重縮合反応を行い、極
限粘度0.60のポリエステル(a4 )を得た。かかる
ポリエステル(a4 )を熱処理したところ、Da /Da
(熱処理後)=0.96となり、凝集熱安定性は不良で
あった。ポリエステル(a4 )および実施例1のポリエ
ステルを用い、表2に示す配合量となるよう混合するほ
かは実施例1と同様にしてポリエチレンテレフタレート
フィルムを得、その特性を評価した。
【0037】比較例3 実施例1のポリエステル(a1 )の製造において、平均
粒径da =0.31μm、粒度分布値d25/d75=1.
73であり、表面処理を全く施していない塊状のカルサ
イト型炭酸カルシウム粒子1.50部を用いる以外は、
実施例1のポリエステル(a1 )と全く同様にして4時
間重縮合反応を行い、極限粘度0.60のポリエステル
(a5 )を得た。かかるポリエステル(a5 )を熱処理
したところ、Da /Da (熱処理後)=0.44とな
り、凝集熱安定性は不良であった。ポリエステル(a
5 )および実施例1のポリエステルを用い、表2に示す
配合量となるよう混合しするほかは実施例1と同様にし
てポリエチレンテレフタレートフィルムを得、その特性
を評価した。 比較例4 実施例1のポリエステル(a1 )の製造において、平均
粒径da =0.31μm、粒度分布値d25/d75=2.
63である塊状のカオリン粒子2.00部を用いる以外
は、実施例1のポリエステル(a1 )と全く同様にして
て4時間重縮合反応を行い、極限粘度0.68のポリエ
ステル(C)を得た。かかるポリエステル(C)を熱処
理したところ、Da /Da (熱処理後)=0.98とな
り、凝集熱安定性は良好であった。ポリエステル(C)
および実施例1のポリエステルを用い、表2に示す配合
量となるよう混合し、フィルムの複屈折率を0.025
とする以外は実施例1と同様にしてフィルムを得、その
特性を評価した。以上、得られた結果をまとめて下記表
1および2に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【発明の効果】本発明のフィルムは均一微細な表面構造
を有しており、特に耐摩耗性、走行性および耐擦傷性等
に優れ、特にノンバックコート用ハイグレードビデオテ
ープ用ベースフィルムをはじめとする磁気記録媒体用途
として非常に有用であり、その工業的価値は極めて高
い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 67/02 KJR 8933−4J // B29K 67:00 B29L 7:00 4F (72)発明者 原田 敬 神奈川県横浜市緑区鴨志田町1000番地 ダ イアホイルヘキスト株式会社中央研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒径が0.005〜0.5μmの酸
    化アルミニウム粒子を0.15〜1.0重量%、および
    下記式〜を同時に満足する合成炭酸カルシウム粒子
    (a)を配合してなり、下記式〜を同時に満足する
    ことを特徴とする磁気記録媒体用二軸配向ポリエステル
    フィルム。 【数1】0.25≦da ≦0.50 … 0.35≦wa ≦1.00 … 0.50≦da +0.5wa ≦0.85 … 8da − wa ≧1.50 … 0.009≦Ra≦0.020 … 7.0≦Rz/Ra≦15 … 0.80≦μd50 /μd1≦1.6 … [上記式中、da は合成炭酸カルシウム粒子(a)の配
    合前の平均粒径(μm)、wa はポリエステルフィルム
    に対する合成炭酸カルシウム粒子の配合量(重量%)、
    RaおよびRzは、それぞれフィルムの表面粗さ(μ
    m)および十点平均粗さ(μm)、μd50 /μd1は、初
    期(第1回目)と繰り返し走行時(第50回目)のフィ
    ルムの動摩擦係数の比を表す]
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019077778A (ja) * 2017-10-24 2019-05-23 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 ポリエステル系樹脂組成物及び車両灯体用部品

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