JP2002042559A - 機能性膜 - Google Patents

機能性膜

Info

Publication number
JP2002042559A
JP2002042559A JP2001139713A JP2001139713A JP2002042559A JP 2002042559 A JP2002042559 A JP 2002042559A JP 2001139713 A JP2001139713 A JP 2001139713A JP 2001139713 A JP2001139713 A JP 2001139713A JP 2002042559 A JP2002042559 A JP 2002042559A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
fine particles
transparent conductive
functional
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2001139713A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4678097B2 (ja
Inventor
Kiminori Tamai
公則 玉井
Tadayoshi Iijima
忠良 飯島
Hiroshi Kawahara
博 河原
Yasushi Takasugi
康史 高杉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TDK Corp filed Critical TDK Corp
Priority to JP2001139713A priority Critical patent/JP4678097B2/ja
Publication of JP2002042559A publication Critical patent/JP2002042559A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4678097B2 publication Critical patent/JP4678097B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Non-Insulated Conductors (AREA)
  • Electrochromic Elements, Electrophoresis, Or Variable Reflection Or Absorption Elements (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 機能性微粒子を使用して各種機能を発現し得
る機能性膜、とりわけ導電性微粒子を使用した抵抗値の
低い透明導電膜を提供する。 【解決手段】 支持体の少なくとも一方の面に機能層を
備える機能性膜であって、機能層を、機能性微粒子を含
有し、表面側の機能性微粒子配列から得られる分散値σ
2と、その反対側の機能性微粒子配列から得られる分散
値σ1との比(σ1/σ2)が1.2以上、1.85以
下であるものとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、機能性膜に関す
る。本発明において機能性膜は、以下のように定義され
る。すなわち、機能性膜とは機能を有する膜であり、機
能とは物理的及び/又は化学的現象を通じて果たす働き
のことを意味する。機能性膜には、導電膜、磁性膜、強
磁性膜、誘電体膜、強誘電体膜、エレクトロクロミック
膜、エレクトロルミネッセンス膜、絶縁膜、光吸収膜、
光選択吸収膜、反射膜、反射防止膜、触媒膜、光触媒膜
等の各種の機能を有する膜が含まれる。とりわけ本発明
は、透明導電膜に関する。透明導電膜は、エレクトロル
ミネッセンスパネル電極、エレクトロクロミック素子電
極、液晶電極、透明面発熱体、タッチパネルのような透
明電極として用いることができるほか、透明な電磁波遮
蔽膜として用いることができる。
【0002】
【従来の技術】従来より、各種の機能性材料からなる機
能性膜は、真空蒸着、レーザアブレーション、スパッタ
リング、イオンプレーティング等の物理的気相成長法
(PVD)や、熱CVD、光CVD、プラズマCVD等
の化学的気相成長法(CVD)によって製造されてい
る。これらは、一般に大掛かりな装置が必要であり、中
には大面積の膜の形成には不向きなものもある。
【0003】また、ゾル−ゲル法を用いた塗布による膜
の形成も知られている。ゾル−ゲル法では、大面積の膜
の形成にも適するが、多くの場合、塗布後に高温で無機
材料を焼結させる必要がある。
【0004】例えば、透明導電膜について見れば以下の
通りである。現在、透明導電膜は主にスパッタリング法
によって製造されている。スパタッリング法は種々の方
式があるが、例えば、真空中で直流または高周波放電で
発生した不活性ガスイオンをターゲット表面に加速衝突
させ、ターゲットを構成する原子を表面から叩き出し、
支持体表面に沈着させ透明導電層を形成する方法であ
る。
【0005】スパッタリング法は、ある程度大きな面積
のものでも、表面電気抵抗の低い透明導電膜を形成でき
る点で優れている。しかし、装置が大掛かりで成膜速度
が遅いという欠点がある。今後さらに透明導電膜の大面
積化が進められると、さらに装置が大きくなる。このこ
とは、技術的には制御の精度を高めなくてはならないな
どの問題が発生し、別の観点では製造コストが大きくな
るという問題が発生する。また、成膜速度の遅さを補う
ためにターゲット数を増やして速度を上げているが、こ
れも装置を大きくする要因となっており問題である。
【0006】塗布法による透明導電膜の製造も試みられ
ている。従来の塗布法では、導電性微粒子がバインダー
溶液中に分散された導電性塗料を樹脂フィルム上に塗布
して、乾燥し、硬化させ、透明導電膜を形成する。塗布
法では、大面積の透明導電膜を容易に形成しやすく、装
置が簡便で生産性が高く、スパッタリング法よりも低コ
ストで透明導電膜を製造できるという長所がある。塗布
法で形成された透明導電膜では、導電性微粒子同士が接
触することにより電気経路を形成し導電性が発現され
る。しかしながら、従来の塗布法で作製された透明導電
膜は、バインダーの存在により導電性微粒子の接触が不
十分で、得られる透明導電膜の電気抵抗値が高い(導電
性に劣る)という欠点があり、その用途が限られてしま
う。
【0007】従来の塗布法による透明導電膜の製造とし
て、例えば、特開平9−109259号公報には、導電
性粉末とバインダー樹脂とからなる塗料を転写用プラス
チックフィルム上に塗布、乾燥し、導電層を形成する第
1工程、導電層表面を平滑面に加圧(5〜100kg/
cm2)、加熱(70〜180℃)処理する第2工程、
この導電層をプラスチックフィルムもしくはシート上に
積層し、熱圧着させる第3工程からなる製造方法が開示
されている。
【0008】この方法では、バインダー樹脂を大量に用
いている(無機質導電性粉末の場合には、バインダー1
00重量部に対して、導電性粉末100〜500重量
部、有機質導電性粉末の場合には、バインダー100重
量部に対して、導電性粉末0.1〜30重量部)ため、
電気抵抗値の低い導電膜は得られない。
【0009】また、例えば、特開平8−199096号
公報には、錫ドープ酸化インジウム(ITO)粉末、溶
媒、カップリング剤、金属の有機酸塩もしくは無機酸塩
からなる、バインダーを含まない導電膜形成用塗料をガ
ラス板に塗布し、300℃以上の温度で焼成する方法が
開示されている。この方法では、バインダーを用いてい
ないので、導電膜の電気抵抗値は低くなる。しかし、3
00℃以上の温度での焼成工程を行う必要があるため、
樹脂フィルムのような支持体上に導電膜を形成すること
は困難である。すなわち、樹脂フィルムは高温によっ
て、溶融したり、炭化したり、燃焼してしまう。樹脂フ
ィルムの種類によるが、例えばポリエチレンテレフタレ
ート(PET)フィルムでは130℃の温度が限界であ
ろう。
【0010】塗布法以外で形成された導電膜としては、
特開平6−13785号公報に、導電性物質(金属又は
合金)粉体より構成された骨格構造の空隙の少なくとも
一部、好ましくは空隙の全部に樹脂が充填された粉体圧
縮層と、その下側の樹脂層とからなる導電性皮膜が開示
されている。その製法について、板材に皮膜を形成する
場合を例にとり説明する。同号公報によれば、まず、樹
脂、粉体物質(金属又は合金)及び被処理部材である板
材を皮膜形成媒体(直径数mmのスチールボール)とと
もに容器内で振動又は攪拌すると、被処理部材表面に樹
脂層が形成される。続いて、粉体物質がこの樹脂層の粘
着力により樹脂層に捕捉・固定される。更に、振動又は
攪拌を受けている皮膜形成媒体が、振動又は攪拌を受け
ている粉体物質に打撃力を与え、粉体圧縮層が作られ
る。しかし、粉体圧縮層の固定効果を得るために、かな
りの量の樹脂が必要とされる。また、製法は塗布法に比
べ、煩雑である。
【0011】塗布法以外で形成された他の導電膜として
は、特開平9−107195号公報に、導電性短繊維を
PVCなどのフィルム上にふりかけて堆積させ、これを
加圧処理して得た、導電性繊維−樹脂一体化層が開示さ
れている。導電性短繊維とは、ポリエチレンテレフタレ
ートなどの短繊維にニッケルメッキなどを被着処理した
ものである。しかし、加圧操作は、樹脂マトリックス層
が熱可塑性を示す温度条件下で行うことが好ましく、1
75℃、20kg/cm2という高温・低圧条件が要求
されるため、樹脂フィルムのような支持体上に導電膜を
形成することは困難である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】このような背景から、
大面積の機能性膜を容易に形成しやすく、装置が簡便で
生産性が高く、低コストで、かつ、高品質の機能性膜の
開発が望まれる。とりわけ導電膜については、大面積の
導電膜を容易に形成しやすく、装置が簡便で生産性が高
く、低コストで、かつ、高品質の導電膜の開発が望まれ
る。
【0013】そこで、本発明の目的は、機能性微粒子を
使用して各種機能を発現し得る機能性膜を提供すること
にある。とりわけ本発明の目的は、機能性微粒子を使用
した抵抗値の低い透明導電膜を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明の機能性膜は、支持体と、該支持体の
少なくとも一方の面に機能層を備える機能性膜であっ
て、前記機能層は、機能性微粒子を含有し、表面側の機
能性微粒子配列から得られる分散値σ2と、その反対面
側の機能性微粒子配列から得られる分散値σ1との比
(σ1/σ2)が1.2以上、1.85以下であるよう
な構成とした。
【0015】また、本発明の機能性膜の好適な態様とし
て、前記支持体が透明樹脂フィルムであるような構成と
した。さらに、本発明の機能性膜の好適な態様として、
前記機能性微粒子が導電性微粒子であるような構成とし
た。
【0016】このような本発明では、機能層において機
能性微粒子の接触が充分になされ、機能層の強度、支持
体との密着性は大きなものとなり、例えば、機能性微粒
子が導電性微粒子である機能性膜は電気抵抗が低いもの
となる。
【0017】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て説明する。本発明の機能性膜は、支持体の少なくとも
一方の面に機能層を備える機能性膜であって、機能層
を、機能性微粒子を含有し、かつ、機能層の表面側の機
能性微粒子配列から得られる分散値σ2と、その反対面
側(支持体側)の機能性微粒子配列から得られる分散値
σ1との比(σ1/σ2)が1.2以上、1.85以下
であるものとした。
【0018】以下に、本発明の機能性膜の一実施形態で
ある透明導電膜を例にして本発明を説明する。尚、本発
明において、透明とは可視光を透過することを意味す
る。光の散乱度合いについては、透明導電膜の用途によ
り要求されるレベルが異なる。本発明の機能性膜である
透明導電膜は、透明支持体上に機能層としての透明導電
層を備えている。
【0019】透明導電膜を構成する透明導電層は、機能
性微粒子として導電性微粒子を含有し、透明導電層の表
面側の導電性微粒子配列から得られる分散値σ2と、そ
の反対側の面の導電性微粒子配列から得られる分散値σ
1との比(σ1/σ2)が1.2以上、1.85以下の
ものである。本発明において、上記の分散値σ1と分散
値σ2は、以下のように規定される。すなわち、透明導
電膜の写真倍率10万倍の断面写真における透明導電層
の表面と反対側の導電性微粒子配列と、表面側の導電性
微粒子配列をそれぞれトレースし、得られた2種の導電
性微粒子配列状態を示す線について、基準線との距離を
複数測定し、この測定値の平均値と各測定値との差の平
方の平均値を、分散値σ1、σ2とする。
【0020】この要件を図1および図2を参照してより
詳しく説明する。まず、透明導電膜の写真倍率10万倍
の断面写真(図1)上に方眼のトレーシングペーパーを
ずれないように載置し、透明導電層の表面とは反対側
(図2の1A面)の導電性微粒子が配列されている端面
と、表面側(図2の1B面)の導電性微粒子が配列され
ている端面とを、それぞれトレースし、導電性微粒子配
列状態を示す線L1、L2を得る。尚、導電性微粒子が
明らかに欠落している部分は、測定に影響を与えるた
め、その欠落部分は、欠落部分の両脇より外挿して線分
を得る。次に、上記の2種の導電性微粒子配列状態を示
す線L1、L2それぞれに、約1cm離れたところに基
準線B1とB2を引く。そして、基準線B1から導電性
微粒子配列状態を示す線L1までの距離を1〜2mm間
隔で測定(測定長さは10cm以上とする)し、この測
定値の平均値と各測定値との差の平方の平均値を分散値
σ1とする。同様に、基準線B2から導電性微粒子配列
状態を示す線L2までの距離を1〜2mm間隔で測定
し、この測定値の平均値と各測定値との差の平方の平均
値を分散値σ2とする。そして、分散値σ1と分散値σ
2との比(σ1/σ2)を計算する。
【0021】分散値σ1と分散値σ2との比(σ1/σ
2)が1.2以上、1.85以下となるような透明導電
層は、構成する導電性微粒子が透明支持体に埋め込まれ
るような状態となって初めて可能なものである。従来の
透明導電膜では、透明導電層の表面と反対側は、透明支
持体の平滑面がそのまま反映された平滑な面となり、比
(σ1/σ2)が1.2以上となるようなものは存在し
なかった。比(σ1/σ2)が1.2未満であると、導
電性微粒子同士の接触が不充分となり、導電性に優れた
透明導電層が得られにくい。また、透明導電層の強度が
低く、透明支持体との密着性も不充分なものとなる。一
方、比(σ1/σ2)は高い方が好ましいが、透明導電
層の形成において高い圧縮力が必要となり、圧縮装置の
耐圧を上げなくてはならないので、一般的に1.85ま
でが適当である。
【0022】上述のような透明導電層を構成する導電性
微粒子としては、透明導電膜の透明性を損なうものでな
ければ特に限定されることなく、公知の無機質の導電性
微粒子を用いることができる。無機質の導電性微粒子と
しては、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化カド
ミウム等があり、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、
フッ素ドープ酸化錫(FTO)、錫ドープ酸化インジウ
ム(ITO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)
等の微粒子が好ましい。更にITOがより優れた導電性
が得られる点で好ましい。あるいは、ATO、ITO等
の無機材料を硫酸バリウム等の透明性を有する微粒子の
表面にコーティングしたものを用いることもできる。
【0023】これらの導電性微粒子の平均一次粒径は、
300nm以下、好ましくは100nm以下、さらに好
ましくは5nm〜50nmの範囲である。導電性微粒子
の平均一次粒径が300nmを超えると、透明導電層の
特性バランスが損なわれる可能性が高く好ましくない。
【0024】上述のような導電性微粒子からなる透明導
電層は、その厚みが0.1〜10μm、好ましくは0.
5〜5μmの範囲とすることができる。そして、透明導
電層の電気抵抗は、透明導電膜の用途に応じて適宜設定
することができる。
【0025】本発明では、透明導電膜を構成する透明導
電層に電気抵抗値を増大させない範囲で微量の樹脂を含
有してもよい。例えば、上述の導電性微粒子の体積を1
00としたときに、体積で25未満、好ましくは20未
満、より好ましくは3.7未満で透明導電層に樹脂を含
有させることができるが、さらに好ましくは、透明導電
層に樹脂を含有させないことである。樹脂は、透明導電
層の光散乱を少なくする作用があるが、一方で、透明導
電膜の電気抵抗値を高くしてしまう。それは、絶縁性の
樹脂によって導電性微粒子同士の接触が阻害され、樹脂
量が多い場合には導電性微粒子同士が接触しないため、
微粒子相互間の電子移動が阻害されるからである。従っ
て、ヘイズ度の向上と導電性微粒子相互間の導電性の確
保の双方を考慮して、樹脂を含有する場合は、上記の体
積範囲内で用いられる。この範囲内の樹脂量であれば、
樹脂は少量であるので、透明導電層において、導電性微
粒子の空隙に樹脂がほとんどが存在するものと考えられ
る。
【0026】上述の樹脂としては、特に限定されること
なく、透明性に優れる熱可塑性樹脂またはゴム弾性を有
するポリマーを、1種または2種以上を混合して用いる
ことができる。樹脂の例としては、フッ素系ポリマー、
シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコー
ル、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピル
セルロース、再生セルロースジアセチルセルロース、ポ
リ塩化ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン、
ポリプロピレン、SBR、ポリブタジエン、ポリエチレ
ンオキシド等が挙げられる。
【0027】フッ素系ポリマーとしては、ポリテトラフ
ルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、
フッ化ビニリデン−三フッ化エチレン共重合体、エチレ
ン−テトラフルオロエチレン共重合体、プロピレン−テ
トラフルオロエチレン共重合体等が挙げられる。また主
鎖の水素をアルキル基で置換した含フッ素系ポリマーも
用いることができる。樹脂の密度が大きいものほど、大
きな重量を用いても、体積がより小さく、上記の体積条
件を満たしやすい。
【0028】尚、上述の導電性微粒子の体積および樹脂
の体積とは、みかけの体積ではなく、真体積である。真
体積は、JIS Z 8807に基づきピクノメーター
のような機器を使用して密度を求め、使用する材料の重
量を密度で割って求められる。このように、樹脂の使用
量を重量ではなく体積で規定するのは、透明導電層にお
いて、導電性微粒子に対して樹脂がどのようにして存在
するのか、を考えた場合に、より現実を反映するからで
ある。
【0029】本発明の透明導電膜を構成する透明支持体
としては、樹脂フィルム、ガラス等の各種のものを用い
ることができる。これにより、透明支持体に接している
導電性微粒子の一部分が透明支持体に埋め込まれるよう
な感じとなり、透明導電層が透明支持体に良く密着され
る。このような透明支持体として、ガラス等の硬度の大
きい材料、あるいは、樹脂フィルムであってもフィルム
表面が硬いもの等、導電性微粒子の硬度よりも大きい硬
度をもつ材料を用いる場合、ガラス面や、硬いフィルム
表面上に、導電性微粒子の硬度よりも小さい硬度をもつ
樹脂層を予め形成した透明支持体を使用する。これによ
り、導電性微粒子が樹脂層に埋め込まれ、透明導電層と
透明支持体の密着性が充分なものとなる。
【0030】尚、透明導電層を形成した後に、硬度の小
さい樹脂層を熱や紫外線などで硬化させてもよい。この
樹脂層は、導電性微粒子を分散した液に溶解しない物質
であることが好ましい。溶解すると毛管現象で、前記樹
脂を含む溶液が導電性微粒子の周りにきてしまい、結果
として、得られる透明導電層の電気抵抗値が高くなって
しまう。また、透明導電層を形成した後に、樹脂層をガ
ラス面や硬いフィルム表面から剥離して、透明支持体と
して透明な樹脂層を備える透明導電膜とすることもでき
る。
【0031】上述のような樹脂層は、透明性に優れる熱
可塑性樹脂またはゴム弾性を有するポリマーを、1種ま
たは2種以上を混合したもので形成することができる。
樹脂の例としては、フッ素系ポリマー、シリコーン樹
脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、カルボキシ
メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、再
生セルロースジアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、
ポリビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、SBR、ポリブタジエン、ポリエチレンオキシド等
が挙げられる。
【0032】ガラス、セラミックス等の可撓性を備えな
い材料を用いる場合、工程中に割れる可能性が高いの
で、その点を考慮する必要がある。従って、透明支持体
として、割れることがない樹脂フィルムが好適である。
樹脂フィルムは、次に述べるように、導電性微粒子から
なる透明導電層との密着性が良い点でも好ましく、ま
た、軽量化を求められている用途にも好適である。した
がって、高温での使用目的がない場合、樹脂フィルムを
透明支持体として用いることができる。
【0033】樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチ
レンテレフタレート(PET)等のポリエステルフィル
ム、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン
フィルム、ポリカーボネートフィルム、アクリルフィル
ム、ノルボルネンフィルム(JSR(株)製 アートン
など)等が挙げられる。尚、透明支持体は、用途に応じ
てヘイズが0.5〜5%の範囲のものを用いることがで
きる。本発明では、透明支持体の両面に透明導電層を備
えた透明導電膜とすることも勿論可能である。
【0034】次に、本発明の透明導電膜の製造方法の一
例を説明する。透明導電膜を構成する透明導電層は、導
電性微粒子と、必要に応じて微量の樹脂を含む分散液を
導電性塗料として透明支持体上に塗布、乾燥し、その
後、圧縮することにより形成できる。
【0035】導電性微粒子を分散する液体としては、導
電性塗料が樹脂を含有する場合には、樹脂が溶解するも
のであれば特に限定されることなく、既知の各種溶剤を
使用することができる。例えば、溶剤として、ヘキサン
等の飽和炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭
化水素類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブ
タノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケ
トン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等
のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、
テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル等
のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メ
チルピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルアセトア
ミド等のアミド類、エチレンクロライド、クロルベンゼ
ン等のハロゲン化炭化水素等を挙げることができる。こ
れらのなかでも、極性を有する溶剤が好ましく、メタノ
ール、エタノール等のアルコール類、NMP等のアミド
類が好適である。これら溶剤は、単独でも2種以上の混
合したものでも使用することができる。また、導電性微
粒子の分散性向上のために分散剤を用いても良い。
【0036】また、溶剤として、水も使用可能である。
水を用いる場合には、透明支持体が親水性のものである
必要がある。上述の樹脂層や樹脂フィルムは通常疎水性
であるため水をはじきやすく、均一な膜が得られにく
い。透明支持体表面に樹脂層を備える場合、透明支持体
が樹脂フィルムの場合には、水にアルコールを混合する
とか、あるいは支持体の表面を親水性にする必要があ
る。尚、導電性塗料が樹脂を含有する場合には、樹脂の
溶解性も考慮した方がよい。
【0037】用いる溶剤の量は、特に制限されず、導電
性微粒子の分散液が塗布に適した粘度を有するようにす
ればよい。例えば、導電性微粒子100重量部に対し
て、液体100〜100000重量部程度である。導電
性微粒子と液体の種類に応じて適宜選択するとよい。
【0038】導電性微粒子の液体中への分散は、公知の
分散手法により行うとよい。例えば、サンドグラインダ
ーミル法により分散する。分散に際しては、導電性微粒
子の凝集をほぐすために、ジルコニアビーズ等のメディ
アを用いることも好ましい。また、分散の際に、ゴミ等
の不純物の混入が起こらないように注意する。
【0039】前記導電性微粒子の分散液には、導電性を
低下させない範囲内で、各種の添加剤を配合してもよ
い。例えば、紫外線吸収剤、界面活性剤、分散剤等の添
加剤である。
【0040】透明支持体上への導電性微粒子の分散液の
塗布は、特に限定されることなく、公知の方法により行
うことができる。例えば、リバースロール法、ダイレク
トロール法、ブレード法、ナイフ法、エクストルージョ
ンノズル法、カーテン法、グラビアロール法、バーコー
ト法、ディップ法、キスコート法、スクイズ法などの塗
布法によって行うことができる。また、噴霧、吹き付け
などにより、透明支持体上へ分散液を付着させることも
可能である。
【0041】乾燥温度は分散に用いた液体の種類による
が、10〜150℃程度が好ましい。10℃未満では空
気中の水分の結露が起こりやすく、150℃を越えると
樹脂フィルム支持体が変形する。また、乾燥の際に、不
純物が導電性微粒子の表面に付着しないように注意す
る。塗布、乾燥後の導電性微粒子含有層の厚みは、次工
程の圧縮条件や透明導電膜の用途にもよるが、0.1〜
10μm程度とすればよい。
【0042】このように、導電性微粒子を液に分散させ
て塗布し、乾燥すると、均一な膜を作成しやすい。導電
性微粒子の分散液を塗布して乾燥させると、分散液中に
従来のように多量のバインダー樹脂が存在しなくても、
すなわち本発明のように樹脂を含有しない、あるいは、
樹脂が特定量以下の少ない量であっても、微粒子は膜を
形成する。多量のバインダー樹脂が存在しなくても膜と
なる理由は必ずしも明確ではないが、乾燥させて液が少
なくなってくると毛管力のため、微粒子が集まってく
る。さらに微粒子であるということは比表面積が大きく
凝集力も強いので、膜となるのではないかと考えてい
る。しかし、この段階での膜は、分散値σ1と分散値σ
2との比(σ1/σ2)が1.2未満のものであり、強
度は弱く、また、透明導電層としては電気抵抗値が高
く、電気抵抗値のばらつきも大きい。
【0043】次に、形成された導電性微粒子含有層を圧
縮し、導電性微粒子の圧縮層を得る。圧縮することによ
り、導電性微粒子が透明支持体に埋め込まれるような状
態となり、分散値σ1と分散値σ2との比(σ1/σ
2)が1.2以上となる。これにより、電気抵抗の低下
と膜強度の向上が達成される。すなわち、圧縮すること
で導電性微粒子相互間の接触点が増え接触面が増加す
る。このため、電気抵抗は下がり、塗膜強度が上がる。
微粒子は元々凝集しやすい性質があるので圧縮すること
で強固な膜となる。また、圧縮することでヘイズ度が低
下する。
【0044】圧縮は44N/mm2以上の圧縮力で行う
ことが好ましい。44N/mm2未満の低圧であれば、
導電性微粒子含有層を十分に圧縮することができず、導
電性に優れた透明導電層が得られにくい。圧縮は180
N/mm2以上の圧縮力がより好ましい。圧縮力が高い
ほど、より導電性に優れた透明導電層が得られ、また、
透明導電層の強度が向上し、透明支持体との密着性も強
固となる。圧縮力を高くするほど装置の耐圧を上げなく
てはならないので、一般には1000N/mm2までの
圧縮力が適当である。また、圧縮を常温(15〜40
℃)付近の温度で行うことが好ましい。加熱条件化で圧
縮(ホットプレス)を行うと、圧縮圧力を強くしたとき
に樹脂フィルムが伸びてしまう可能性がある。
【0045】圧縮手段は、特に限定されることなく、シ
ートプレス、ロールプレス等により行うことができる
が、ロールプレス機を用いて行うことが好ましい。ロー
ルプレスは、ロールとロールの間に圧縮すべきフィルム
を挟んで圧縮し、ロールを回転させる方法である。ロー
ルプレスは均一に高圧がかけられ、また、ロールトゥー
ロールで生産できることから生産性が上がり好適であ
る。
【0046】ロールプレス機のロール温度は常温が好ま
しい。加温した雰囲気やロールを加温した圧縮(ホット
プレス)では、圧縮圧力を強くすると樹脂フィルムが伸
びてしまうなどの不具合が生じる。加温下で樹脂フィル
ムが伸びないようにするため、圧縮圧力を弱くすると、
透明導電層の機械的強度が低下し、電気抵抗が上昇す
る。微粒子表面の水分の付着をできるだけ少なくしたい
というような理由がある場合に、雰囲気の相対湿度を下
げるために、加温した雰囲気としてもよいが、温度範囲
はフィルムが容易に伸びてしまわない範囲内である。一
般にはガラス転移温度(二次転移温度)以下の温度範囲
となる。湿度の変動を考慮して、要求される湿度になる
温度より少し高めの温度にすればよい。ロールプレス機
で連続圧縮した場合に、発熱によりロール温度が上昇し
ないように温度調節することも好ましい。尚、樹脂フィ
ルムのガラス転移温度は、動的粘弾性を測定して求めら
れ、主分散の力学的損失がピークとなる温度をさす。例
えば、PETフィルムについてみると、そのガラス転移
温度はおよそ110℃前後である。
【0047】ロールプレス機のロールは、強い圧力がか
けられることから金属ロールが好適である。また、ロー
ル表面が柔らいと、圧縮時に導電性微粒子がロールに転
写することがあるので、ロール表面を硬質膜で処理する
ことが好ましい。
【0048】このようにして、導電性微粒子の圧縮層を
形成することにより、透明導電層を備えた本発明の透明
導電膜が得られる。透明導電層の厚みは、上述のよう
に、用途にもよるが、0.1〜10μm程度とすればよ
い。また、10μm程度の厚い透明導電層を得るため
に、導電性微粒子の分散液の塗布、乾燥、圧縮の一連の
操作を繰り返し行っても良い。尚、このように同一操作
を繰り返して同じ機能層が積層された機能層を得た場合
には、積層の最も外側の面を測定する面とする。また、
異なる機能層が積層された機能層を得た場合にも、積層
の最も外側の面を測定する面とする。
【0049】このようにして得られる本発明の透明導電
膜は、その透明導電層が優れた導電性を示し、従来のよ
うな多量のバインダー樹脂を用いずに作成したにもかか
わらず実用上十分な膜強度を有し、透明支持体との密着
性にも優れる。
【0050】上述の実施形態では、機能性膜として透明
導電膜を挙げたが、本発明において、機能性膜には、特
に限定されることなく、導電膜、磁性膜、強磁性膜、誘
電体膜、強誘電体膜、エレクトロクロミック膜、エレク
トロルミネッセンス膜、絶縁膜、光吸収膜、光選択吸収
膜、反射膜、反射防止膜、触媒膜、光触媒膜等の各種の
機能を有する膜が含まれる。従って、本発明において、
前記目的とする膜を構成すべき機能性微粒子が用いられ
る。機能性微粒子は、特に限定されることなく、凝集力
を有する主として無機の微粒子が用いられる。いずれの
本発明の機能性膜においても、十分な機械的強度を有す
る機能層が得られると共に、バインダー樹脂を大量に用
いていた従来の塗布法におけるバインダー樹脂による弊
害を解消することができる。その結果、目的とする機能
がより向上する。
【0051】上述の透明導電膜の他に、例えば、強磁性
膜においては、γ−Fe23 、Fe34 、Co−F
eOx、Baフェライト等の酸化鉄系磁性粉末や、α−
Fe、Fe−Co、Fe−Ni、Fe−Co−Ni、C
o、Co−Ni等の強磁性金属元素を主成分とする強磁
性合金粉末等が用いられ、機能層である磁性塗膜の飽和
磁束密度が向上する。
【0052】誘電体膜や強誘電体膜においては、チタン
酸マグネシウム系、チタン酸バリウム系、チタン酸スト
ロンチウム系、チタン酸鉛系、チタン酸ジルコン酸鉛系
(PZT)、ジルコン酸鉛系、ランタン添加チタン酸ジ
ルコン酸鉛系(PLZT)、ケイ酸マグネシウム系、鉛
含有ペロブスカイト化合物等の誘電体ないしは強誘電体
の微粒子が用いられる。そして、本発明の誘電体膜や強
誘電体膜では、誘電体特性ないしは強誘電体特性の向上
が得られる。
【0053】また、各種機能を発現する金属酸化物膜に
おいては、酸化鉄(Fe23)、酸化ケイ素(Si
2)、酸化アルミニウム(Al23)、二酸化チタン
(TiO2)、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(Zn
O)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化タングステ
ン(WO3)等の金属酸化物の微粒子が用いられる。本
発明の金属酸化物膜では、機能層における金属酸化物の
充填度が上がるため、各機能が向上する。例えば、触媒
を担持させたSiO2、Al23を用いた場合には、実
用強度を有する多孔質触媒膜が得られる。TiO2を用
いた場合には、光触媒機能の向上が得られる。また、W
3を用いた場合には、エレクトロクロミック表示素子
での発色作用の向上が得られる。
【0054】さらに、エレクトロルミネッセンス膜にお
いては、硫化亜鉛(ZnS)微粒子が用いられる。本発
明のエレクトロルミネッセンス膜は、塗布法による安価
なものとすることができる。
【0055】機能性微粒子の粒子径rは、機能性膜の用
途に応じて、例えば、必要とさらる散乱の度合い等によ
り異なり、また、粒子の形状により一概には言えない
が、一般に平均一次粒径r=10μm以下であり、1.
0μm以下が好ましく、5nm〜100nmがより好ま
しい。
【0056】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるもの
ではない。
【0057】[実施例1]まず、平均一次粒径が20n
mのATO微粒子(石原産業(株)製 SN−100
P)100重量部に、エタノール300重量部を加え、
メディアをジルコニアビーズとして分散機にて分散して
導電性塗料を調製した。
【0058】次に、上記の導電性塗液をバーコーターを
用いてPETフィルム(厚み50μm)上に塗布し50
℃で乾燥した。得られたフィルムを、以降において、圧
縮前ATOフィルムと称する。ATO含有塗膜の厚みは
2.2μmであった。
【0059】次に、圧縮前ATOフィルムを金属ロール
(ロール表面にハードクロムめっき処理が施されたも
の)間に挟み、室温(23℃)にてロールを回転させ5
m/分の送り速度で圧縮した。この圧縮工程における単
位面積当たりの圧縮圧力を下記の表1に示すように異な
る条件で設定した。このようにATOフィルムを圧縮す
ることにより、透明導電層を備えた透明導電膜(試料1
〜6)を得た。
【0060】また、樹脂として大成化工(株)製のアク
リル樹脂溶液MT408−42(不揮発成分濃度50
%)100重量部を、メチルエチルケトン/トルエン/
シクロヘキサノン(1:1:1)混合溶液400重量部
に溶解した樹脂溶液に、上記と同じATO粉末100重
量部を加え、メディアをジルコニアビーズとして分散機
にて分散して導電性塗料を調製した。この導電性塗料を
用いて上述の透明導電膜(試料1〜6)と同様にして、
透明導電膜(試料7)を得た。但し、圧縮工程における
単位面積当たりの圧縮圧力は、表1に示すものとした。
【0061】さらに、透明支持体として、上記のPET
フィルム上に、シリコン樹脂系ハードコート材(GE・
東芝シリコン(株)製トスガード510)を3μm厚で
設けたものを使用した他は、上述の透明導電膜(試料
3:樹脂を用いていない)と同様にして、透明導電膜
(試料8)を得た。
【0062】上述のように作製した8種の透明導電膜
(試料1〜8)について、圧縮後の透明導電層の厚みを
測定し、また、下記の測定方法にしたがって透明導電層
について分散値σ1と分散値σ2との比(σ1/σ2)
を測定して結果を下記の表1に示した。
【0063】また、下記の測定方法にしたがって表面電
気抵抗値、ヘイズを測定し、結果を下記の表1に示し
た。さらに、PETフィルムと透明導電層との密着性、
および、透明導電層の強度を評価するために、下記の方
法で90°ピール試験を行い、結果を下記の表1に示し
た。
【0064】比(σ1/σ2)を測定方法 透明導電膜の倍率10万倍の断面写真上に方眼のトレー
シングペーパーをずれないように載置し、透明導電層の
界面側と表面側の導電性微粒子が配列されている端面を
それぞれトレースし、導電性微粒子配列状態を示す線L
1、L2とする。尚、導電性微粒子が明らかに欠落して
いる部分は、その両脇より外挿して線分を得る。次に、
上記の2種の導電性微粒子配列状態を示す線L1、L2
それそれに、約1cm離れたところに基準線B1とB2
を引く。そして、基準線B1から線L1までの距離、お
よび、基準線B2から線L2までの距離を、それぞれ2
mm間隔で測定(測定長さは10cmとする)し、この
測定値の平均値と各測定値との差の平方の平均値を、分
散値σ1、σ2とし、比(σ1/σ2)を計算する。
【0065】表面電気抵抗値の測定 透明導電層が形成された透明導電膜を50mm×50m
mの大きさに切り出し、対角の位置にある角の2点にテ
スターの端子棒をあてて電気抵抗を測定。
【0066】ヘイズの測定 ヘイズメーター(東京電色(株)製 TC−H3 DP
K型)を用いて測定。
【0067】90°ピール試験 透明導電膜のPETフィルムの透明導電層が形成された
面とは反対側の面に両面テープを貼り、これを大きさ2
5mm×100mmに切り出して試験サンプルとし、ス
テンレス板に貼る。次いで、試験サンプルが剥がれない
ように、試験サンプルの両端部(25mm長の辺)にセ
ロハンテープ を貼る。その後、試験サンプルの透明導
電層面にセロハンテープ(幅12mm、日東電工(株)
製 No.29)を試験サンプルの長辺と平行になるように
貼る。セロハンテープと試験サンプルとの貼付の長さは
50mmとする。次いで、セロハンテープの貼付されて
いない端をチャックに取り付け、セロハンテープの貼付
面と非貼付面との成す角が90度になるようにセット
し、セロハンテープを100mm/分の速度で引っ張っ
て剥がす。このときセロハンテープを剥がす速度と試験
サンプルを貼り付けたステンレス板が同じ速度で移動す
るようにし、セロハンテープの非貼付面と試験サンプル
面とが常に90度となるようにする。試験後、塗膜の状
態を調べ、下記の評価基準で評価する。 ○:塗膜が破壊されておらず、且つPETフィルムから
の剥離も起こっていないもの ×:塗膜が破壊されており、塗膜の一部がセロハンテー
プに付着しているもの
【0068】
【表1】
【0069】表1に示されるように、分散値σ1、σ2
の比(σ1/σ2)が1.2以上、1.85以下である
透明導電層を備えた本発明の透明導電膜(試料1〜5)
は、いずれも、電気抵抗値が充分に低く、かつ、ヘイズ
も低く十分な透明性を備えることが確認された。また、
これらの透明導電膜は、樹脂を含有していないにもかか
わらず透明導電層のPETフィルムに対する密着性も良
好であることが確認された。
【0070】これに対して、分散値σ1、σ2の比(σ
1/σ2)が1.2未満である透明導電層を備えた透明
導電膜(試料6、8)は、透明導電層の電気抵抗の値に
関係なく透明導電層のPETフィルムに対する密着性が
悪いものであった。
【0071】また、分散値σ1、σ2の比(σ1/σ
2)が1.2未満である透明導電層を備えた透明導電膜
(試料7)は、透明導電層に多量の樹脂が含有されるた
め、透明導電層のPETフィルムに対する密着性は良好
であるが、透明導電層の電気抵抗が高いものであった。
【0072】[実施例2]まず、平均一次粒径が20n
mのITO微粒子(住友金属鉱山(株)製SUFP−H
X)100重量部に、メタノール300重量部を加え、
メディアをジルコニアビーズとして分散機にて分散して
導電性塗料を調製した。
【0073】次に、厚み50μmのPETフィルムに、
上記の導電性塗液をバーコーターを用いて塗布し50℃
で乾燥した。このようにして得られたフィルムを、以降
において、圧縮前ITOフィルムと称する。これらの圧
縮前ITOフィルムのITO含有塗膜の厚みは1.9μ
mであった。
【0074】次いで、圧縮前ITOフィルムを金属ロー
ル(ロール表面にハードクロムめっき処理が施されたも
の)間に挟み、室温(23℃)にてロールを回転させ5
m/分の送り速度で圧縮した。この圧縮工程における単
位面積当たりの圧縮圧力を下記の表2に示すように異な
る条件で設定した。このようにITOフィルムを圧縮す
ることにより、透明導電層を備えた透明導電膜(試料A
〜F)を得た。
【0075】また、樹脂として大成化工(株)製のアク
リル樹脂溶液MT408−42(不揮発成分濃度50
%)100重量部を、メチルエチルケトン/トルエン/
シクロヘキサノン(1:1:1)混合溶液400重量部
に溶解した樹脂溶液に、上記と同じITO粉末100重
量部を加え、メディアをジルコニアビーズとして分散機
にて分散して導電性塗料を調製した。この導電性塗料を
用いて上述の透明導電膜(試料A〜F)と同様にして、
透明導電膜(試料G)を得た。但し、圧縮工程における
単位面積当たりの圧縮圧力は、表2に示すものとした。
【0076】さらに、透明支持体として、上記のPET
フィルム上に、シリコン樹脂系ハードコート材(GE・
東芝シリコン(株)製トスガード510)を3μm厚で
設けたものを使用した他は、上述の透明導電膜(試料
C:樹脂を用いていない)と同様にして、透明導電膜
(試料H)を得た。
【0077】上述のように作製した透明導電膜(試料A
〜H)について、実施例1と同様にして、透明導電層の
厚み、分散値σ1、σ2の比(σ1/σ2)、表面電気
抵抗値、ヘイズを測定し、結果を下記の表2に示した。
また、実施例1と同様に90°ピール試験を行い、結果
を下記の表2に示した。
【0078】
【表2】
【0079】表2に示されるように、分散値σ1、σ2
の比(σ1/σ2)が1.2以上、1.85以下である
透明導電層を備えた本発明の透明導電膜(試料A〜E)
は、いずれも、透明導電層の電気抵抗が充分に低く、か
つ、ヘイズも低く十分な透明性を備えることが確認され
た。また、これらの透明導電膜は、樹脂を含有していな
いにもかかわず透明導電層の透明支持体に対する密着性
も良好であることが確認された。
【0080】これに対して、分散値σ1、σ2の比(σ
1/σ2)が1.2未満である透明導電層を備えた透明
導電膜(試料F、H)は、透明導電層の透明支持体に対
する密着性が悪いものであった。また、分散値σ1、σ
2の比(σ1/σ2)が1.2未満である透明導電層を
備えた透明導電膜(試料G)は、透明導電層に多量の樹
脂が含有されるため、透明導電層のPETフィルムに対
する密着性は良好であるが、透明導電層の電気抵抗が高
いものであった。
【0081】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
支持体の少なくとも一方の面に機能層を備える機能性膜
を、機能層が機能性微粒子を含有し、かつ、機能層の表
面側の機能性微粒子配列から得られる分散値σ2と、そ
の反対側の機能性微粒子配列から得られる分散値σ1と
の比(σ1/σ2)が1.2以上、1.85以下である
ものとしたので、機能層において機能性微粒子の接触が
充分になされ、例えば、機能性微粒子として導電性微粒
子を用いた透明導電膜は電気抵抗が低いものとなる。ま
た、支持体と機能層の密着も強固であり、長期間の使用
が可能である。さらに、支持体として、透明樹脂フィル
ムのような透明支持体を使用することも可能であり、ま
た、本発明の機能性膜は、大面積化に対しても、塗布装
置や圧縮装置の変更等で対応可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の機能性膜の一実施形態である透明導電
膜の写真倍率10万倍の断面写真の一例を示す図であ
る。
【図2】透明導電層の表面側と、その反対側の導電性微
粒子配列状態を示す線から、分散値σ1、σ2を得る手
順を説明するための図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河原 博 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 (72)発明者 高杉 康史 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 Fターム(参考) 2K001 BA18 4F100 AA17B AA28B AB00B AK01A AK25A AK42A AT00A BA02 CC00B DE01B JD08 JG01B JN01A 5G307 FA02 FB01 FC05

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体と、該支持体の少なくとも一方の
    面に機能層を備える機能性膜において、 前記機能層は、機能性微粒子を含有し、表面側の機能性
    微粒子配列から得られる分散値σ2と、その反対面側の
    機能性微粒子配列から得られる分散値σ1との比(σ1
    /σ2)が1.2以上、1.85以下であることを特徴
    とする機能性膜。
  2. 【請求項2】 前記支持体は、透明樹脂フィルムである
    ことを特徴とする請求項1に記載の機能性膜。
  3. 【請求項3】 前記機能性微粒子は、導電性微粒子であ
    ることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の機
    能性膜。
JP2001139713A 2000-05-19 2001-05-10 導電膜 Expired - Fee Related JP4678097B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001139713A JP4678097B2 (ja) 2000-05-19 2001-05-10 導電膜

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000148904 2000-05-19
JP2000-148904 2000-05-19
JP2001139713A JP4678097B2 (ja) 2000-05-19 2001-05-10 導電膜

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002042559A true JP2002042559A (ja) 2002-02-08
JP4678097B2 JP4678097B2 (ja) 2011-04-27

Family

ID=26592263

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001139713A Expired - Fee Related JP4678097B2 (ja) 2000-05-19 2001-05-10 導電膜

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4678097B2 (ja)

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0573884A (ja) * 1991-09-18 1993-03-26 Matsushita Electric Ind Co Ltd 磁気記録テープ
JPH10235777A (ja) * 1997-02-27 1998-09-08 Mitsubishi Chem Corp 薄膜ガスバリア性ポリプロピレンフィルム
JPH10244601A (ja) * 1997-03-06 1998-09-14 Mitsubishi Chem Corp 薄膜ガスバリア性フィルム用の基材プラスチックフィルムの製造方法
JPH10330916A (ja) * 1997-06-03 1998-12-15 Mitsubishi Chem Corp 導電性積層体
JPH11216827A (ja) * 1998-02-05 1999-08-10 Mitsubishi Chemical Corp 蒸着フィルム用の基材ポリエステルフィルム
JP2000109576A (ja) * 1998-10-02 2000-04-18 Mitsubishi Polyester Film Copp 二軸配向ポリエステルフィルム
JP2000132828A (ja) * 1998-10-26 2000-05-12 Mitsubishi Polyester Film Copp 磁気記録媒体用積層ポリエステルフィルムおよびビデオテープカセット
JP2002042327A (ja) * 2000-07-21 2002-02-08 Tdk Corp 磁気記録媒体

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0573884A (ja) * 1991-09-18 1993-03-26 Matsushita Electric Ind Co Ltd 磁気記録テープ
JPH10235777A (ja) * 1997-02-27 1998-09-08 Mitsubishi Chem Corp 薄膜ガスバリア性ポリプロピレンフィルム
JPH10244601A (ja) * 1997-03-06 1998-09-14 Mitsubishi Chem Corp 薄膜ガスバリア性フィルム用の基材プラスチックフィルムの製造方法
JPH10330916A (ja) * 1997-06-03 1998-12-15 Mitsubishi Chem Corp 導電性積層体
JPH11216827A (ja) * 1998-02-05 1999-08-10 Mitsubishi Chemical Corp 蒸着フィルム用の基材ポリエステルフィルム
JP2000109576A (ja) * 1998-10-02 2000-04-18 Mitsubishi Polyester Film Copp 二軸配向ポリエステルフィルム
JP2000132828A (ja) * 1998-10-26 2000-05-12 Mitsubishi Polyester Film Copp 磁気記録媒体用積層ポリエステルフィルムおよびビデオテープカセット
JP2002042327A (ja) * 2000-07-21 2002-02-08 Tdk Corp 磁気記録媒体

Also Published As

Publication number Publication date
JP4678097B2 (ja) 2011-04-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100444398B1 (ko) 기능성 막
US20010008717A1 (en) Functional film and method for procucing the same
US20110033713A1 (en) Transparent conductive multi-layer structure and process for producing the same
US6605341B2 (en) Functional film having specific surface dispersion ratio
US20020012789A1 (en) Transparent conductive film and method for producing the same
JP2001327917A (ja) 機能性膜の製造方法、および機能性膜
JP3774117B2 (ja) 導電膜の製造方法
JP4491910B2 (ja) 多層機能性膜及びその製造方法
JP2002042559A (ja) 機能性膜
JP4639430B2 (ja) 透明導電膜の製造方法
JP2001332128A (ja) 機能性膜
JP4465812B2 (ja) 機能性膜
JP2003016842A (ja) 透明導電フィルム及びその製造方法
JP4534305B2 (ja) 導電性フィルムの製造方法
JP4622039B2 (ja) 透明導電性フィルムおよびその製造方法
JP2001332129A (ja) 機能性膜
JP2001328196A (ja) 機能性フィルムおよびその製造方法
JP2001332134A (ja) 透明導電フィルム
JP2001328194A (ja) 機能性フィルム及びその製造方法
JP2002042558A (ja) 透明導電膜及びその製造方法
JP2001328200A (ja) 透明導電フィルム
JP2001332135A (ja) 透明導電積層体
JP2001328193A (ja) 機能性フィルム及びその製造方法
JP2012248539A (ja) 機能性膜

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080418

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100805

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101005

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101125

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110105

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110118

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140210

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees