JPH10244601A - 薄膜ガスバリア性フィルム用の基材プラスチックフィルムの製造方法 - Google Patents

薄膜ガスバリア性フィルム用の基材プラスチックフィルムの製造方法

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JPH10244601A
JPH10244601A JP9051983A JP5198397A JPH10244601A JP H10244601 A JPH10244601 A JP H10244601A JP 9051983 A JP9051983 A JP 9051983A JP 5198397 A JP5198397 A JP 5198397A JP H10244601 A JPH10244601 A JP H10244601A
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JP
Japan
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film
thin film
gas barrier
plastic film
roughness rms
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JP9051983A
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Chiharu Okawara
千春 大川原
Shigenobu Yoshida
重信 吉田
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸素ガスバリア性、水蒸気バリア性等に優れ
た透明な薄膜ガスバリア性を提供する。 【解決手段】 プラスチックフィルムの少なくとも片面
にアンカーコート剤を塗布し、その塗布表面の粗さRm
sを塗布前の表面の粗さRmsの0.7倍以下とするこ
とを特徴とする薄膜ガスバリア性フィルム用の基材プラ
スチックフィルムの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基材プラスチック
フィルム面に無機酸化物の薄膜を形成してなる薄膜ガス
バリア性フィルムにおいて基材として好適に用いられる
プラスチックフィルムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、プラスチックフィルムを基材
とし、その表面に酸化アルミニウム、酸化マグネシウ
ム、酸化珪素等の無機酸化物の薄膜を形成した薄膜ガス
バリア性フィルムは、水蒸気や酸素等の各種ガスの遮断
を必要とする物品の包装、食品や工業用品及び医薬品等
の変質を防止するため包装用途に広く利用されている。
また、薄膜ガスバリア性フィルムは、包装用途以外に
も、近年、液晶表示素子、太陽電池、電磁波シールド、
タッチパネル、EL用基板、カラーフィルター等で使用
する透明導電シートの一部などの新しい用途にも注目さ
れている。
【0003】そして、かかる薄膜ガスバリア性フィルム
に関し、ガスバリア性の向上などを目的とした種々の改
良検討がなされており、例えば、液晶性ポリエステルフ
ィルムの幅方向の平均粗さを規定したもの(特開平3−
176123)、二軸延伸ポリプロピレンフィルムの両
面の濡れ張力及び片面の面粗さを規定したフィルム(特
開平4−216829)、珪素酸化物が基材のプラスチ
ックフィルムの組織と混在させたフィルム(特開平4−
115940)、蒸着原料の比重及び平均粒径を規定し
たフィルム(特開平6−57417、特開平7−342
24)などが提案されている。また、薄膜ガスバリア性
フィルムでの主に基材フィルムと薄膜との密着性改良と
して、基材フィルムに樹脂コート又はアンカーコートを
したもの(特開平3−86539、特開平3−2318
38、特開平3−278946等)も多く提案されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、以上の
ような方法で改良された薄膜ガスバリア性フィルムで
も、水蒸気バリア性と酸素ガスバリア性の少なくもいず
れかが所望の性能に達しないという問題、耐溶剤性が不
十分であるという問題、更には、ボイル及びレトルト等
の熱水処理後のガスバリア性が著しく低下するという問
題などがある。また、かかる問題による影響として、食
料品等を常温で長期保存することができるような高性能
ガスバリアフィルムを得るために薄膜部分が厚くなりコ
スト高になりやすいというような問題が生じている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記実状
に鑑み、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結
果、プラスチックフィルムにコート剤を塗布した面の表
面の粗さを一定以下としたものを基材フィルムとして使
用した薄膜ガスバリア性フィルムによれば、高度な酸素
ガスバリア性及び水蒸気バリア性を有し、且つ耐溶剤性
を有し、熱水処理後もガスバリア性が低下しない極めて
良好な薄膜ガスバリア性フィルムが提供できることを見
いだし、本発明に到達した。即ち、本発明は、プラスチ
ックフィルムの少なくとも片面にアンカーコート剤を塗
布し、その塗布表面の粗さRmsを塗布前の表面の粗さ
Rmsの0.7倍以下とすることを特徴とする薄膜ガス
バリア性フィルム用の基材プラスチックフィルムの製造
方法に存する。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明での基材のプラスチックフィルム原料としては、
フィルムとして利用されるようなプラスチック原料であ
れば特に制限はない。具体的な例としては、エチレン、
プロピレン、ブテン等の単独重合体又は共重合体等のポ
リオレフィン(PO)系樹脂、環状ポリオレフィン等の
非晶質ポリオレフィン樹脂(APO)、ポリエチレンテ
レフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフ
タレート、(PEN)等のポリエステル系樹脂、ナイロ
ン6、ナイロン12、共重合ナイロン等のポリアミド
(PA)系樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)樹
脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)
等のポリビニルアルコール系樹脂、ポリイミド(PI)
樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリサルホ
ン(PS)樹脂、ポリエーテルサルホン(PES)樹
脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポ
リカーボネート(PC)樹脂、ポリビニルブチラール
(PVB)樹脂、ポリアリレート(PAR)樹脂、エチ
レン−四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、三フッ
化塩化エチレン(PFA)、四フッ化エチレン−パーフ
ルオロアルキルビニルエーテル共重合体(FEP)、フ
ッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニル(PV
F)、パーフルオロエチレン−パーフロロプロピレン−
パーフロロビニルエーテル三元共重合体(EPE)等の
フッ素系樹脂、ラジカル反応性不飽和化合物を有するア
クリレート化合物より成る樹脂組成物、このアクリレー
化合物とチオール基を有するメルカプト化合物より成る
樹脂組成物、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレ
ート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリ
レート等のオリゴマーを多官能アクリレートモノマーに
溶融せしめた樹脂組成物等の光硬化性樹脂、及びこれら
の混合物などが挙げられる。なお、以上のプラスチック
原料中には、公知の添加剤、例えば、帯電防止剤、紫外
線吸収剤、可塑剤、滑剤、フィラー、着色剤等を添加す
ることができる。
【0007】以上のプラスチック原料から得られるフィ
ルムは、未延伸フィルムでもよいし延伸フィルムでもよ
い。また、他のプラスチックフィルムと積層されていて
もよい。かかるプラスチックフィルムは、従来公知の一
般的な方法により製造することができる。例えば、原料
樹脂を押し出し機により溶融し、環状ダイやTダイによ
り押し出して、急冷することにより実質的に無定型で配
向していない未延伸フィルムを製造することができる。
また、延伸フィルムは、この未延伸フィルムを一軸延
伸、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延
伸、チューブラー式同時二軸延伸などの従来公知の一般
的な方法により、フィルムの流れ(縦軸)方向又はフィ
ルムの流れ方向とそれに直角な(横軸)方向に延伸する
ことにより製造することができる。延伸倍率は、適宜原
料のプラスチックにより選択することができるが、縦軸
方向及び横軸方向にそれぞれ2〜10倍が好ましい。
【0008】プラスチックフィルムの厚さは、薄膜ガス
バリア性フィルムの基材としての機械強度、可撓性、透
明性等、用途に応じ、通常5〜500μm、好ましくは
10〜200μmの範囲で選択される。また、フィルム
の幅や長さは特に制限はなく、適宜用途に応じて選択す
ることができる。更に、該プラスチックフィルムには、
コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、グロー放電
処理、粗面化処理、薬品処理等の従来公知の方法による
表面処理などを行うこともできる。
【0009】本発明では、以上のプラスチックフィルム
の少なくとも片面にアンカーコート剤を塗布する。アン
カーコート処理によれば、一般的に薄膜とフィルムとの
密着性を向上させることができるが、その結果として良
好なガスバリア性が発現しやすくなるという点でも望ま
しい。その具体的な方法としては、エアドクタコータ、
ロッドコータ、リバースロールコータ、グラビアコー
タ、キスコータ等による公知の方法が採用できる。この
アンカーコート処理は、基材のプラスチックフィルムの
製造途中又は製造されたプラスチックフィルムの二次加
工処理の際に実施することができる。例えば、フィルム
を二軸延伸した後にアンカーコート処理をしてもよい
し、未延伸もしくは一軸延伸の段階のフィルムをアンカ
ーコート処理を実施した後で更に延伸を行うような方法
も可能である。
【0010】アンカーコート層の厚さは、使用するプラ
スチックフィルムの表面凹凸に合わせ、通常0.005
〜5μm、好ましくは0.01〜1μmの範囲で選ぶの
が好ましい。0.005μm未満では、塗布むらが生
じ、一方、5μmを越えても塗布層の厚さむらが生じた
り、基材フィルムとアンカーコート層との密着性が低下
したり、フィルムの滑性が低下する傾向があるので好ま
しくない。アンカーコート剤としては、ポリエステル樹
脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹
脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ビニル変性樹脂、
エポキシ樹脂、変性スチレン樹脂、変性シリコン樹脂及
びアルキルチタネート等を単独或いは2種以上を併せて
使用することができる。また、これらには従来公知の架
橋剤やシランカップリング剤、添加剤を加えることもで
きる。
【0011】本発明は、以上のように、アンカーコート
剤をフィルム表面に塗布し、その塗布表面の粗さRms
を塗布前の表面の粗さRmsの0.7倍以下、好ましく
は0.4倍以下とすることを特徴とする薄膜ガスバリア
性フィルム用の基材プラスチックフィルムに関するが、
この0.7倍を超えるような場合は後述するガスバリア
用の薄膜が均一な厚さに形成されにくく、また、薄膜を
形成する粒子が緻密に充填が困難なので高度な酸素ガス
バリア性及び水蒸気バリア性が得られないので好ましく
ない。そして、塗布層に厚さむらがあると、塗布面に薄
膜を形成させて得た薄膜ガスバリア性フィルムの耐溶剤
性が悪くなったり、ボイル及びレトルト処理後のガスバ
リア性が低下する傾向があるので好ましくない。アンカ
ーコート剤は基材の各プラスチックフィルムの表面を侵
さないような溶剤を選択してこれに希釈し、公知の塗布
装置を用いてできるだけ均一に塗布し、更にフィルム表
面が熱の影響で劣化しないように、速やかに乾燥するこ
とが大切である。
【0012】また、フィルム表面の粗さRmsの絶対値
はフィルムを形成するプラスチック原料の種類により必
ずしも一定ではないのが現状であるが、アンカーコート
剤を塗布する前のフイルム表面のRmsは通常10nm
以下、特に1〜5nm程度の範囲にあり、アンカーコー
ト剤を塗布した後フイルム表面のRmsの絶対値もフィ
ルムの種類によって相違する。本発明ではアンカーコー
ト剤の塗布を注意深く実施する必要があり、例えば、二
軸延伸ポリエステルフィルム表面にアンカーコート剤を
塗布した場合のフィルム表面のRmsは好ましくは0.
7nm以下、特に好ましくは0.5nm以下とし、二軸
延伸ポリプロピレンフィルム表面にアンカ−コート剤で
塗布した場合の表面のRmsは好ましくは2.5nm以
下、特に好ましくは1.5nmとする。
【0013】なお、ここでの薄膜表面の粗さは、通常市
販されている原子間力顕微鏡(以下「AFM」とい
う。)により測定したAFM凹凸像を粗さ解析により求
めた粗さRms(自乗平均平方根粗さ)の値である。A
FMとしては、DigitalInstruments
社、セイコー電子工業社 Topometrix社等か
ら市販されている装置をそのまま使用することができ
る。この粗さRmsの測定では、Q.Zong,D.I
nnis,K.Kjoller and V.B.El
ings、 Surf.Sci.Letter,(19
93) Vol.290,p688〜692に説明のあ
る共振モードに相当する測定モードが採用される。例え
ば、Digital Instruments社製の装
置NanoScope(c)を使用した場合にはタッピ
ングモードで、また、セイコー電子工業社製SPI37
00を使用した場合にはダイナミックフォースモードで
測定を実施するとよい。
【0014】表面の粗さの測定では、フィルム表面を1
μm×1μmの面積を測定したAFM凹凸像についてフ
ラット処理を行った後、粗さ解析を行ってRms粗さの
値を求める。ここに、フラット処理とは、2次元データ
につき、基準面に対して1次、2次又は3次元の関数で
傾きの補正を処理することをいい、粗さ解析により求め
た粗さRmsは以下の式(1)により求めることができ
る。式(1)において、Zi=f(x,y)で、x,y
の座標は0から511の512点ずつ、即ち、N=51
2x512、約25万点での高さ(粗さ)の粗さRms
である。
【0015】
【数1】 −−−(1)
【0016】以上のようなアンカーコート処理を施した
プラスチックフィルムは、薄膜ガスバリア性フィルム用
の基材として用いる。この薄膜ガスバリア性フィルムの
薄膜層は通常は金属、非金属、亜金属の酸化物等の無機
酸化物が用いられる。具体例としては、酸化アルミニウ
ム、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化
カルシウム、酸化カドミウム、酸化銀、酸化金、酸化ク
ロム、珪素酸化物、酸化コバルト、酸化ジルコニウム、
酸化スズ、酸化チタン、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケ
ル、酸化白金、酸化パラジウム、酸化ビスマス、酸化マ
グネシウム、酸化マンガン、酸化モリブデン、酸化バナ
ジウム、酸化バリウム等が挙げられるが、珪素酸化物、
酸化アルミニウムが、高度な酸素ガスバリア性、水蒸気
バリア性及び透明性とを兼ね備え、かつ、工業的に安価
であるので特に好ましい。かかる珪素酸化物、酸化アル
ミニウムは各々単独で使用してもよいし、混合物として
使用してもよい。なお、無機酸化物には、微量の金属、
非金属、亜金属単体やそれらの水酸化物、また、可撓性
を向上させるために適宜炭素又はフッ素が含まれていて
もよい。
【0017】以上の薄膜の厚さは特に制限はなく、無機
酸化物の種類等によっても異なるが、酸素ガスバリア性
及び水蒸気バリア性、更には経済性を考慮すると、薄膜
の厚さは10〜50nmが好ましい。更に高度な酸素ガ
スバリア性や水蒸気バリア性を得るためには薄膜の厚さ
を厚くすればよいが、薄膜の厚さが10nm未満では薄
膜が島状になって薄膜が形成されない箇所が生ずる可能
性があり均一な膜が得られない傾向があるので余り好ま
しくない。薄膜を形成する方法としては、公知の蒸着方
法が採用できる。具体的な方法としては、抵抗加熱法、
高周波誘導加熱法、電子ビーム照射加熱法又はレーザー
加熱法による真空蒸着法、イオンプレーティング法、ス
パッタリング法、CVD法等が採用できる。また、薄膜
を形成する蒸着材料としては、金属単体や無機酸化物又
はそれらの混合物が使用でき、金属単体の場合は、酸素
ガスを導入することにより、形成された薄膜が無機酸化
物となる。
【0018】
【実施例】以下、本発明の内容及び効果を実施例により
更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限
り以下の例に限定されるものではない。なお、以下の実
施例におけるフィルムの測定及び評価の方法は以下の通
りである。 <基材フィルム表面の粗さ(粗さRms)>原子間力顕
微鏡(AFM)として、セイコー電子工業製SPI37
00を使用し、ダイナミックフォースモードで、実施例
及び比較例での薄膜ガスバリア性フィルムの基材フィル
ム表面を1μm×1μmの面積を測定したAFM凹凸像
についてフラット処理を行った後、粗さ解析を行って、
Rms粗さを求めた。この際、測定に用いるカンチレバ
ーは、磨耗や汚れのない状態のものを用いた。また、測
定する箇所は、フィルム中の滑剤やフィラー等による高
さ数10nmの突起及び深さ数10nmの窪みのない箇
所とした。
【0019】<薄膜の厚さ>実施例及び比較例により得
られた薄膜ガスバリア性フィルムの断面を透過型電子顕
微鏡(日立製作所製、H−600型)で観察し、薄膜の
厚さを測定した。 <酸素透過率>ASTMD−3985に準拠して、酸素
透過率測定装置(モダンコントロール社製、OX−TR
AN100)を使用し、温度25℃、相対湿度95%の
条件下で測定した。 <水蒸気透過率>水蒸気透過率測定装置(モダンコント
ロール社製、Permatran−W1)を使用して、
温度40℃、相対湿度90%の条件下で測定した。
【0020】<ボイル処理後の酸素透過率>(株)平山
製作所製超加速寿命試験器(レトルトフィルム試験器)
PL−30Ae・R(c)型を使用し、80℃の熱水に
薄膜ガスバリア性フィルムを30分間浸積させた。該浸
漬処理後、フィルムを取り出し、フィルムに付着した水
をさらし布で軽く拭き取り、温度23℃、相対湿度50
%で1日乾燥させたものについて前記の測定法で酸素透
過率を測定した。 <耐溶剤性テスト>綿棒に酢酸エチルを含浸させ、薄膜
ガスバリア性フィルムの薄膜面を上にして、縦横10回
ずつ力を入れずにこすり、その後光学顕微鏡200倍で
その箇所を観察し、テストをする前の観察状態とほとん
ど変化ない場合を「○」、膜に傷がついている場合を
「△」、膜が剥離している場合を「×」として評価し
た。
【0021】実施例1 二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(ダイア
ホイルヘキスト(株)製、H−500、厚さ12μm)
のコロナ処理面に、イソシアネート化合物(日本ポリウ
レタン工業(株)製コロネートL)と飽和ポリエステル
(東洋紡績(株)製バイロン300)を混合し、塗布層
の平均厚さ約0.1μmで塗布して、アンカーコートを
施した。このアンカーコート処理の前後のフィルムの表
面をAFMで観察したところ、塗布前のフィルムのコロ
ナ処理面の凹凸が、コート剤塗布により平坦化している
ことが明らかであった。このフィルムの塗布面に、巻取
り式真空蒸着装置を使用し、蒸着材料としてSiO(住
友シチックス(株)製)を高周波加熱方式で蒸発させ、
圧力8x10-5Torrの条件下で、膜厚25nmの酸
化珪素蒸着膜を形成し、珪素酸化物の薄膜が形成された
薄膜ガスバリア性フィルムを得た。以上における基材フ
ィルムと薄膜ガスバリア性フィルムの物性結果を表−1
に示す。
【0022】実施例2 実施例1において、蒸着材料をAl(三菱化学(株)
製)に代え、電子ビーム加熱方式で、酸素ガスを導入し
圧力2x10-4Torrに代えた他は、同様な方法で膜
厚25nmの酸化アルミニウムの薄膜が形成された薄膜
ガスバリア性フィルムを得た。以上における基材フィル
ムと薄膜ガスバリア性フィルムの物性結果を表−1に示
す。
【0023】実施例3 固有粘度0.6dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂
を270〜290℃でTダイ押し出し機を使用して、溶
融、押し出させ、30℃のキャストロールに密着急冷さ
せた後、95℃でロール式延伸機にて縦方向に3.5倍
延伸し、一軸延伸フィルムを作製した。得られたフィル
ムを数10cm長さに切り取り、その片面に実施例1で
使用したコート剤を同様に塗布し、卓上延伸機にて11
0℃で未延伸方向である横方向に3.5倍延伸し、23
0℃で熱固定処理を行った。得られた厚さ約12μmの
フィルムを基材として、実施例1と同様な方法で薄膜ガ
スバリア性フィルムを得た。以上における基材フィルム
と薄膜ガスバリア性フィルムの物性結果を表−1に示
す。得られた薄膜ガスバリア性フィルムの物性結果を表
−1に示す。
【0024】比較例1 実施例1において、基材の二軸延伸ポリエチレンテレフ
タレートフィルムに塗布をせず、該フィルムのコロナ面
に薄膜を形成させた他は、同様な方法で珪素酸化物の薄
膜が形成された薄膜ガスバリア性フィルムを得た。以上
における基材フィルムと薄膜ガスバリア性フィルムの物
性結果を表−1に示す。
【0025】比較例2 実施例1において、アンカーコート剤を、ジカルボン酸
成分としてテレフタル酸92モル%、ソジウムスルホイ
ソフタル酸8モル%、グリコール成分としてエチレング
リコール75モル%、ジエチレングリコール25モル%
から成るコート剤に代え、前記の方法による塗布表面の
粗さRmsが0.80nmであるフィルムを作製した他
は、同様な方法で珪素酸化物の薄膜が形成された薄膜ガ
スバリア性フィルムを得た。以上における基材フィルム
と薄膜ガスバリア性フィルムの物性結果を表−1に示
す。
【0026】比較例3 実施例3において、アンカーコート剤をイソシアネート
成分(東洋モートン(株)製CAT−10)とポリエス
テル成分(東洋モートン(株)製AD−502)を混合
したものに代えた他は、同様な方法でプラスチックフィ
ルムを得た。得られたフィルムの塗布表面を前記した方
法によりAFMで観察したところ、塗布層が幅約0.1
μmほどの間隔で不定形に凹凸を成しており、塗布面の
表面粗さRmsは1.5nmであった。以下、同様な方
法で珪素酸化物の薄膜が形成された薄膜ガスバリア性フ
ィルムを得た。以上における基材フィルムと薄膜ガスバ
リア性フィルムの物性結果を表−1に示す。
【0027】
【表1】 注)表−1において、 Rms(0) は塗布後の基材フィルム表面の粗さRmsを表し 、Rms(1)は塗布前の基材フィルム表面の粗さRmsを表す。また、Rms(1)/ Rms (0) は、Rms(0)に対するRms(1)の比率を示す。更に、酸素透過率の単位は(cc/m2・ 24hr ・atm)、水蒸気透過率の単位は(g/m2・24hr ・atm)である。
【0028】実施例4 実施例1において、基材のフィルムを、二軸延伸ポリプ
ロピレンフィルム(二村三昌(株)製、FOK、厚さ2
0μm)のコロナ処理面にエチレン−ビニルアルコール
共重合体樹脂(日本合成化学工業(株)製ソアノール3
0L)を塗布層の厚さ約0.5μmで塗布したものに代
えた他は、同様な方法で珪素酸化物の薄膜が形成された
薄膜ガスバリア性フィルムを得た。以上における基材フ
ィルムと薄膜ガスバリア性フィルムの物性結果を表−2
に示す。
【0029】比較例4 実施例1において、基材の二軸延伸ポリプロピレンフィ
ルムに塗布をせず、該フィルムのコロナ面に薄膜を形成
させた他は、同様な方法で珪素酸化物の薄膜が形成され
た薄膜ガスバリア性フィルムを得た。以上における基材
フィルムと薄膜ガスバリア性フィルムの物性結果を表−
2に示す。
【0030】
【表2】 注)表−2において、 Rms(0) は塗布後の基材フィルム表面の粗さRmsを表し 、Rms(1)は塗布前の基材フィルム表面の粗さRmsを表す。また、Rms(1)/ Rms (0) は、Rms(0)に対するRms(1)の比率を示す。更に、酸素透過率の単位は(cc/m2・ 24hr ・atm)、水蒸気透過率の単位は(g/m2・24hr ・atm)である。
【0031】
【発明の効果】本発明によるhouhouプラスチック
フィルムを基材として成る薄膜ガスバリア性フィルムは
水蒸気や酸素などに対するガスバリア性に優れる上に、
耐溶剤性や熱水処理後のガスバリア性などにおいても優
れている。かかる薄膜ガスバリア性フィルムは、他のプ
ラスチックフィルムや紙等と積層して使用したり、薄膜
の上に硬化膜層をつけて使用することができ、水蒸気や
酸素等の各種ガスの遮断を必要とする物品の包装、食品
や工業用品及び医薬品等の変質を防止するため包装用途
や、透明導電シートなどにも応用できる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B32B 27/36 B32B 27/36

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラスチックフィルムの少なくとも片面
    にアンカーコート剤を塗布し、その塗布表面の粗さRm
    sを塗布前の表面の粗さRmsの0.7倍以下とするこ
    とを特徴とする薄膜ガスバリア性フィルム用の基材プラ
    スチックフィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】 塗布表面の粗さRmsを塗布前の表面の
    粗さRmsの0.4倍以下とすることを特徴とする請求
    項1の薄膜ガスバリア性フィルム用の基材プラスチック
    フィルムの製造方法。
  3. 【請求項3】 二軸延伸ポリエステルフィルムの少なく
    とも片面にアンカーコート剤を塗布し、その表面の粗さ
    Rmsを0.7nm以下とすることを特徴とする薄膜ガ
    スバリア性フィルム用の基材プラスチックフィルムの製
    造方法。
  4. 【請求項4】 二軸延伸ポリプロピレンフィルムの少な
    くとも片面に塗布液を塗布し、その表面の粗さRmsを
    2.5nm以下とすることを特徴とする薄膜ガスバリア
    性フィルム用の基材プラスチックフィルムの製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかの基材プラ
    スチックフィルムの塗布面に無機酸化物から成る薄膜を
    形成することを特徴とする薄膜ガスバリア性フィルムの
    製造方法。
  6. 【請求項6】 プラスチックフィルムの少なくとも片面
    にアンカーコート剤を塗布し、その塗布表面の粗さRm
    sを塗布前の表面の粗さRmsの0.7倍以下とし、次
    いで、該プラスチックフィルム表面に無機酸化物から成
    る薄膜を形成することを特徴とする薄膜ガスバリア性フ
    ィルムの製造方法。
  7. 【請求項7】 塗布表面の粗さRmsを塗布前の表面の
    粗さRmsの0.4倍以下とすることを特徴とする請求
    項6の薄膜ガスバリア性フィルムの製造方法。
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