JP4266401B2 - 蒸着フィルム用の基材ポリエステルフィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属や金属酸化物の薄膜を形成してなる蒸着フィルムにおいて基材として好適に用いられる基材ポリエステルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
蒸着ポリエステルフイルムは、蒸着する金属及び/又は金属酸化物を選択することにより、ガスバリアー性、水分不透過性、可視・紫外光の遮蔽性、熱線反射性、導電性、透明導電性、磁気記録性などの特性を種々に変更し得るため、各種の用途に利用されている。例えば、包装材料、装飾用材料、窓ガラスの遮蔽用材料、金・銀糸用材料、コンデンサー材料、表示材料、配線基板材料、磁気記録材料などに利用されている。この蒸着ポリエステルフイルムは、特に、フイルムの加工工程中や水分との接触により、蒸着膜の部分的な剥離を惹起し、蒸着膜としての特性、例えば、ガスバリアー性が低下する問題がある。
【0003】
従来、ガスバリアー性の低下を防止するため、蒸着ポリエステルフイルムの基材フイルムと蒸着層との間に、各種ポリウレタン、各種ポリエステル、または、ポリウレタンとポリエステルの混合物等のアンカーコート剤(塗布剤)から成る塗布層(下塗り層)を設ける方法が知られている(例えば特開平2−50837号公報)。更に、耐水接着性および耐溶剤性を改良するため、特殊なポリウレタン、ポリエステル及びエポキシ化合物とを含有するアンカーコート剤が提案されている(特開平4−176858号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の蒸着ポリエステルフイルムは、何れも、高温下における耐水性(耐熱水性)及び耐溶剤性が不十分であり、従って、食品包装用とした場合、ボイル処理後や溶剤系のインキによる印刷後のガスバリアー性が必ずしも十分ではない。特に、ポリエステルフイルム屑を再利用した蒸着ポリエステルフイルムでは、ガスバリアー性が著しく低下する欠点がある。更に、蒸着ポリエステルフイルムの用途が広がるにつれ、より強い接着性や信頼性の高いガスバリアー性を有する蒸着ポリエステルフイルムが求められている。
【0005】
また、アンカーコート剤による塗布層は、フイルムの製膜後に設けてもよいが、フイルムの製膜工程で設けるインラインコート法も可能である。例えば、フイルムが二軸延伸フイルムの場合は、一軸延伸したフイルムにアンカーコート剤を塗布し、乾燥または未乾燥の状態で横方向に延伸し、次いで、熱処理を施す方法は、製膜、塗布および乾燥を同時に行えることから、製造コスト面において大きなメリットが期待できる。しかしながら、このインラインコート法で塗布層を設けた蒸着用の基材ポリエステルフィルムとしては適当なものは知られておらず、該基材ポリエステルフィルムより得られる蒸着フィルムは、通常の方法により得られる蒸着フィルム以上に、耐溶剤性、耐熱水性が不十分であり、印刷後や或いはボイル及びレトルト等の熱水処理後のガスバリア性が著しく低下するという問題がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記実状に鑑み、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、基材のポリエステルフィルムとしてインラインコートした塗布層の表面の粗さを一定の範囲としたものを基材フィルムとして使用した蒸着フィルムによれば、接着性、耐溶剤性及びボイル処理後のガスバリア性等に優れた良好な蒸着フィルムが提供できることを見出し、本発明に到達した。
【0007】
即ち、本発明は、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に水溶性若しくは水分散性のアクリル系樹脂と水性ポリウレタン系樹脂を含有するアンカーコート剤を塗布し、次いで少なくとも1方向に延伸して形成された塗布層の表面粗さRmsが0.7〜6nmであり、且つ、表面凹凸の低周波成分を除いた表面粗さRmsが0.5nm以下である基材ポリエステルフィルムの塗布層表面に、金属及び/又は金属酸化物からなる薄膜を形成してなることを特徴とする、ガスバリアー性を有する包装用蒸着ポリエステルフィルムに関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明におけるポリエステルとは、その構成単位の80モル%以上がエチレンテレフタレートであるポリエチレンテレフタレート、その構成単位の80モル%以上がエチレンナフタレートであるポリエチレンナフタレート等で代表されるが、特にに限定されない。上記の構成成分以外の共重合成分としては、例えば、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール等のジオール成分、イソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸およびそのエステル形成性誘導体のジカルボン酸成分などを使用することができる。また、本発明におけるポリエステルは、ポリエステルフイルム製品の製造過程で発生するスクラップフイルムのチップ状に加工した再生ポリエステルを省資源化の観点から使用してもよい。
【0009】
なお、本発明におけるポリエステル中には、フイルム表面の突起を形成する添加粒子、析出粒子、その他の触媒残渣を用途に応じて当業者が常用する量の範囲で含有していてもよい。また、上記の突起形成剤以外の添加剤として、必要に応じて、帯電防止剤、安定剤、潤滑剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、着色剤、光線遮断剤、紫外線吸収剤などを含有していてもよい。
【0010】
かかるポリエステル原料を用いたフィルムは、従来公知の一般的な方法により製造することができる。例えば、原料樹脂を押し出し機により溶融し、環状ダイやTダイにより押し出して、急冷することにより実質的に無定型で配向していない未延伸フィルムを製造することができる。この未延伸フィルムを一軸延伸、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸などの従来公知の一般的な方法により、フィルムの流れ(縦軸)方向又はフィルムの流れ方向とそれに直角な(横軸)方向に延伸することにより、最終的に少なくとも1方向に延伸したフィルムを製造することができる。
【0011】
ポリエステルフィルムの厚さは、蒸着フィルムの基材としての機械強度、可撓性、透明性等、用途に応じ、通常5〜500μm、好ましくは10〜200μmの範囲より選択される。また、フィルムの幅や長さは特に制限はなく、適宜用途に応じて選択することができる。また、該ポリエステルフィルムには、塗布層を形成させる前に予め、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、グロー放電処理、薬品処理などの従来公知の方法による表面処理などを行うこともできる。
【0012】
本発明では、フィルム製造工程内で、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、未延伸若しくは一軸延伸の段階で、アンカーコート剤を塗布する。例えば、塗布層を有する二軸延伸フィルムの場合は、好ましくは縦方向(フィルム流れ方向)に一軸延伸したフィルムにアンカーコート剤を塗布し、乾燥または未乾燥の状態で横方向に延伸し、次いで、必要に応じて熱処理を施す。
【0013】
その具体的な塗布方法としては、エアドクタコータ、ロッドコータ、リバースロールコータ、グラビアコータ、キスコータ等による公知の方法が採用できる。アンカーコート処理によれば、一般的に薄膜とフィルムとの密着性を向上させることができるが、その結果として良好なガスバリア性、密着性、耐溶剤性、耐熱水性が発現しやすくなる。アンカーコート剤の厚さは、使用するポリエステルフィルムの表面凹凸に合わせ、通常0.005〜5μm、好ましくは0.01〜1μmの範囲で選択される。通常0.005μm未満では、塗布むらが生じ、一方5μmを越えても塗布層の厚さむらが生じたり、フィルムの滑性が低下する傾向があるので好ましくない。
【0014】
アンカーコート剤としては、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、オキサゾリン基含有樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ビニル変性樹脂、エポキシ樹脂、変性スチレン樹脂、変性シリコン樹脂及びアルキルチタネート等を単独或いは2種以上併せて使用することができるが、水溶性若しくは水分散性のアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、オキサゾリン基含有樹脂が特に好ましい。そして、本発明においては、少なくとも次の2種の樹脂、すなわち、水溶性若しくは水分散性のアクリル系樹脂20〜40重量%と水溶性若しくは水分散性のポリウレタン系樹脂25〜70重量%とを含有するアンカーコート剤を使用する必要がある。
【0015】
上記のアクリル系樹脂とは、アルキルアクリレート及び/又はアルキルメタクリレートを主要な成分とする樹脂であり、具体的には、アルキルアクリレート及び/又はアルキルメタクリレート成分の含有割合が通常40〜95モル%、共重合可能で且つ官能基を有するビニル単量体成分の含有割合が通常5〜60モル%の無乳化剤タイプの水溶性または水分散性樹脂が望ましい。上記のビニル単量体における官能基としては、例えば、カルボキシル基、酸無水物基、スルホン酸基またはその塩、アミド基またはアルキロール化されたアミド基、アミノ基(置換アミノ基を含む)、アルキロール化されたアミノ基またはそれらの塩、水酸基、エポキシ基などが挙げられ、特に、カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基などが好ましい。
【0016】
前記のポリエステル系樹脂は、好ましくは低分子の親水性分散剤などを含有しない水溶性又は水分散性のものが望ましい。かかるポリエステル系樹脂は、水媒体との親和性を高めるため、カルボキシル基又はその塩(以下、単にカルボキシル基と省略する)を含有するものが好ましい。
前記のポリウレタン系樹脂は、ポリヒドロキシ化合物とポリイソシアネート化合物とを常法に従って反応させることにより製造される水溶性又は水分散性のものが望ましく、カルボキシル基を含有するものが好ましい。
【0017】
前記のオキサゾリン基含有樹脂とは、好ましくは、特公平6−39548号公報等に記載の付加重合性オキサゾリン、及び必要に応じて少なくとも1種の他のモノマーを重合して得られる水溶性または水分散性重合体である。この付加重合性オキサゾリンとしては、例えば、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン等が挙げられ、これらは2種以上を併用してもよい。また、付加重合性オキサゾリンと共重合可能なモノマーであれば制限なく、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル等のメタクリル酸エステル類、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸などの不飽和カルボン酸類、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類、メタクリルアミド、N−メチロール化メタクリルアミド等の不飽和アミド類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等の含ハロゲンα、β−不飽和モノマー類、スチレン、α−メチルスチレン等のα、β−不飽和芳香族モノマー等が挙げられ、これらは2種以上を併用してもよい。
【0018】
更に、以上の樹脂化合物を用いる場合、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のエポキシ化合物を併用すると、樹脂化合物におけるカルボキシル基等の側鎖に架橋して蒸着膜との接着性を高めることができる。
以上のアンカーコート剤は、通常、水や有機溶媒に希釈して溶液や分散液としてポリエステルフィルムの表面に塗布される。なお、この際の塗布液中には、従来公知のシランカップリング剤等々の架橋剤、無機系微粒子、消泡剤、発泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、帯電防止剤、潤滑剤、高分子粒子、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染料、顔料等を添加することもできる。
【0019】
本発明は、以上のように、アンカーコート剤をポリエステルフィルムの少なくとも片面に塗布して塗布層を形成させ、次いで、少なくとも1方向に延伸された後の塗布層の表面粗さRms(A)が0.7〜6nmであり、表面凹凸の低周波成分を除いた粗さRms(B)が0.5nm以下であること、好ましくは(A)が0.8〜5nmであり、(B)が0.4nm以下であることを特徴とする。
【0020】
インラインコート法の場合、アンカーコート塗布後に延伸を行うため、塗布層が分断するような表面形態を取りやすい。そのため、表面粗さ(A)が0.7nm未満である場合は、表面凹凸が細かすぎて(例えば、凹凸の水平方向間隔が約0.1μm、凹凸高さ約3nm)、薄膜粒子の密着性、粒子堆積の緻密さ等が弱くなるので好ましくない。また、表面粗さ(A)が6nmを越える場合は、塗布むらによる問題が生じやすくなるので好ましくない。
【0021】
そして、粗さ(B)とは、測定面積において大きなうねり、即ち表面凹凸の低周波数成分を除いて、大きなうねりの上に存在する微小な凹凸の粗さのことを意味する。この粗さ(B)は、蒸着した粒子の大きさとの関係から最適範囲がRms0.5nm以下となる。蒸着する粒子が、より緻密に隙間なく堆積して成膜することで、蒸着フィルムのガスバリア性が向上するため、大きなうねり(凹凸の低周波数成分)の上に存在する微小な凹凸が、蒸着粒子の堆積の仕方に影響するものと推定される。従って、粗さ(B)がRms0.5nmを越えると、その凹凸により薄膜粒子が緻密に堆積されなかったり、薄膜と基材フィルムとの密着性が弱くなるという問題が生じるものと考えられる。
【0022】
このような表面粗さの特性を有する本発明の蒸着フィルム用の基材フィルムを得るためには、製造方法におけるアンカーコート剤の塗布条件、塗布後の延伸条件等の製造条件が大きく影響するが、アンカーコート剤の種類や組成等も大きな影響を与えうる。
なお、ここでの塗布層面の表面粗さは、通常市販されている原子間力顕微鏡(以下、「AFM」という。)により測定したAFMトポグラフィ像を粗さ解析により求めた粗さRms(自乗平均平方根粗さ)の値である。このAFMトポグラフィ像の測定では、共振モードに相当する測定モードが採用される。例えば、Digital Instruments社製装置を使用した場合にはタッピングモードで、またセイコーインスツルメンツ社製装置を使用した場合にはダイナミックフォースモードで測定を実施するとよい。また、上記のトポグラフィ像とは、物の表面の凹凸形状を表した像のことをいう。
【0023】
表面粗さ(A)は、例えば、セイコーインスツルメンツ社製SPI3700を使用し、測定面積1x1μm角で測定し、該AFM装置に付属のソフトウエアで傾斜自動補正処理を行い、次いで、そうして得たトポグラフィ像について、同様に付属のソフトウエアで3次元粗さ解析を行い、Rms値を得る。但し、測定は、誤差が大きくならないように、フィルム中に含まれるフィラー等が表面形状に現れている箇所を避けて行う。
【0024】
また、表面粗さ(B)は、表面粗さ(A)で測定し傾斜自動補正処理を行ったのと同じトポグラフィ像について、高速フーリエ変換を行い、x、y方向とも25/μm以下を遮断周波数として表面凹凸の低周波成分を除去する。更に、逆フーリエ変換を行い、低周波数成分を除去した後のトポグラフィ像を再生する。その再生した像は、周辺部に歪みを持つ為、周辺部を除外した中央部約800nm角を選択して3次元粗さ解析を行い、Rms値を得る。
【0025】
以上のようなアンカーコート処理を施したポリエステルフィルムは、蒸着フィルムの基材フィルムとして用いられる。本発明において、蒸着する金属及び/又は金属酸化物としては、例えば、アルミニウム、珪素、マグネシウム、パラジウム、亜鉛、錫、ニッケル、銀、銅、金、インジウム、ステンレス鋼、クロム、チタン等の金属、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化カルシウム、酸化カドミウム、酸化銀、酸化金、酸化クロム、珪素酸化物、酸化コバルト、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、酸化白金、酸化パラジウム、酸化ビスマス、酸化マグネシウム、酸化マンガン、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化バリウム等の金属酸化物が挙げられるが、珪素酸化物、酸化アルミニウムが、高度な酸素ガスバリア性、水蒸気バリア性及び透明性を兼ね備え、且つ、工業的に安価であるので特に好ましい。かかる珪素酸化物、酸化アルミニウムは各々単独で使用してもよいし、混合物として使用してもよい。これらの金属及び/又は金属酸化物の蒸着の方法は、一般には真空蒸着によるが、イオンプレーティング、スパッタリング、CVD等の方法によってもよい。蒸着膜は、塗布層の表面に形成される。蒸着膜の厚さは、蒸着フイルムの最終用途によって適宜選択される。なお、蒸着後に接着性、特に、耐水接着性や耐擦傷性などを付与するため、蒸着面に樹脂保護層を設けてもよい。
【0026】
【実施例】
以下、本発明の内容及び効果を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の例に限定されるものではない。なお、以下の実施例における基材ポリエステルフィルム及び蒸着ポリエステルフィルムの測定及び評価の方法は以下の通りである。
<基材ポリエステルフィルムの塗布層表面の粗さRms(A)>
原子間力顕微鏡(AFM)として、セイコーインスツルメンツ製走査型プローブ顕微鏡SPI3700を使用し、ダイナミックフォースモードで、実施例及び比較例での薄膜ガスバリア性フィルムの基材ポリエステルフィルムの表面を、測定面積1x1μm角、走査速度1Hz、x−y方向512x256分割、カンチレバーSI−DF−20(Si、f=126kHz、C=16N/m)の条件で測定したAFMトポグラフィ像について、傾斜自動補正処理を行い、次いで3次元粗さ解析を行い、Rms(nm)を求めた。この際、測定に用いるカンチレバーは、磨耗や汚れのない状態のものを用いた。また、測定する個所は、フィルム中の滑剤やフィラー等による突起や窪みのない箇所とした。
<基材ポリエステルフィルムの塗布層表面凹凸の低周波数成分を除いた粗さRms(B)>
上記の<基材フィルムの表面粗さ>で測定し傾斜自動補正処理を行ったトポグラフィ像について、高速フーリエ変換を行い、x、y方向とも25/μm以下を遮断周波数として表面凹凸の低周波成分を除去し、更に逆フーリエ変換を行い、低周波成分を除去した後のトポグラフィ像を再生した。その再生した像について、周辺部を除外した中央部約800nm角を選択して3次元粗さ解析を行い、Rms(nm)を求めた。
<薄膜の厚さ>
実施例及び比較例により得られた蒸着フィルムの断面を透過型電子顕微鏡(日立製作所製H−600型)で観察し、薄膜の厚さを測定した。
<蒸着フィルムの酸素透過率(cc/m2/day)>
ASTMD−3985に準拠して、酸素透過率測定装置(モダンコントロール社製、OX−TRAN100)を使用し、25℃、相対湿度95%の条件下で測定し、次の基準で判定した。
【0027】
1以下;○(良)、2以上;×(不良)
<蒸着フィルムの耐溶剤性試験>
薄膜面に東洋インキ製NewLPスーパー白グラビアインキを2μm厚印刷し、80℃、1分乾燥させ、23℃、相対湿度50%下で1日間経過後、酸素透過率を測定した。
<蒸着フィルムの耐熱水性試験>
90℃、30分間ボイル処理し、水気を軽くふき取り、23℃、相対湿度50%下で1日間経過後、酸素透過率を測定した。
実施例1
固有粘度0.62dl/gのポリエチレンテレフタレートを280〜300℃の温度で押し出し機の口金より押し出し、静電密着法を併用しつつ冷却ドラム状にキャストし、厚さ約150μmの無定形ポリエステルシートを得た。上記のシートを95℃で縦方向に3.5倍延伸した後、下記のA、C、Eをそれぞれ20、70、10重量部配合した水媒体塗布液をフィルムの片面に塗布し、更に、110℃で横方向に3.5倍延伸し、230℃で熱処理して、塗布層の厚さ0.1μm、基材のポリエステルフィルムの厚さ12μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
【0028】
このフィルムの塗布面に、巻取り式真空蒸着装置を使用し、蒸着材料としてSiO(住友シチックス(株)製)を高周波加熱方式で蒸発させ、圧力8x10-5Torrの条件下で、膜厚25nmの酸化珪素蒸着膜を形成し、珪素酸化物の薄膜が形成された蒸着フィルムを得た。この蒸着フィルムの物性結果を表−1に示す。
実施例2
塗布液を、下記のA、B、C、Dをそれぞれ35、30、25、10重量部配合した水媒体塗布液に替えた他は、実施例1と同様にして二軸延伸ポリエステルフィルムを得、蒸着フィルムを得た。この蒸着フィルムの物性結果を表−1に示す。
実施例3
塗布液を、下記のA、C、D、Eをそれぞれ40、40、10、10重量部配合した水媒体塗布液に替えた他は、実施例1と同様にして二軸延伸ポリエステルフィルムを得、蒸着フィルムを得た。この蒸着フィルムの物性結果を表−1に示す。
比較例1
塗布液を、下記のC、D、Eをそれぞれ70、20、10重量部配合した水媒体塗布液に替えた他は、実施例1と同様にして二軸延伸ポリエステルフィルムを得、蒸着フィルムを得た。この蒸着フィルムの物性結果を表−1に示す。
比較例2
塗布液を、下記のC、Eをそれぞれ70、30重量部配合した水媒体塗布液に替えた他は、実施例1と同様にして二軸延伸ポリエステルフィルムを得、蒸着フィルムを得た。この蒸着フィルムの物性結果を表−1に示す。
・樹脂A:水性アクリル系樹脂
アクリル酸エチル40重量部、メタクリル酸メチル30重量部、メタクリル酸20重量部、グリシジルメタクリレート10重量部の混合物をエチルアルコール中で溶液重合し、重合後水を加えつつ加熱しエチルアルコールを除去する。アンモニア水でpH7.5に調整し、水性アクリル系樹脂(無乳化剤タイプ)の塗布液を得た。
・樹脂B:オキサゾリン基含有水溶性ポリマー溶液(水:1−メトキシ−2−イソプロパノール=1:2)
日本触媒(株)製エポクロスWS−500を使用した。
・樹脂C:水性ポリウレタン系樹脂水性塗料
先ず、テレフタル酸664重量部、イソフタル酸631重量部、1,4−ブタンジオール472重量部、ネオペンチルグリコール447重量部から成るポリエステルポリオールを得た。次いで、得られたポリエステルポリオールに、アジピン酸321重量部、ジメチロールプロピオン酸268重量部を加え、ペンダントカルボキシル基含有ポリエステルポリオールAを得た。更に、上記のポリエステルポリオールA1880重量部にヘキサメチレンジイソシアネート160重量部を加えて水性ポリウレタン系樹脂水性塗料を得た。
・樹脂D:カルボキシル基を有する水分散型ポリエステル
日本合成化学工業製ポリエスターWR−961を使用した。
・化合物E:エポキシ化合物
トリエチレングリコールジグリシジルエーテルを使用した。
【0029】
【表1】
【0030】
【発明の効果】
本発明のポリエステルフィルムを基材として成る蒸着ポリエステルフィルムは、水蒸気や酸素のガスバリア性に優れるうえに、耐溶剤性や熱水処理後のガスバリア性などにおいても優れており、かつ、安価に製造することができる。
かかる蒸着ポリエステルフィルムは、他のプラスチックフィルムや紙等と積層して使用したり、薄膜の上に硬化膜層をつけて使用することができ、水蒸気や酸素等の各種ガスの遮断を必要とする物品の包装、食品や工業用品及び医薬品等の変質を防止するため包装用途などに応用できる。
Claims (1)
- ポリエステルフィルムの少なくとも片面に水溶性若しくは水分散性のアクリル系樹脂と水性ポリウレタン系樹脂を含有するアンカーコート剤を塗布し、次いで少なくとも1方向に延伸して形成された塗布層の表面粗さRmsが0.7〜6nmであり、且つ、表面凹凸の低周波成分を除いた表面粗さRmsが0.5nm以下である基材ポリエステルフィルムの塗布層表面に、金属及び/又は金属酸化物からなる薄膜を形成してなることを特徴とする、ガスバリアー性を有する包装用蒸着ポリエステルフィルム(但し、上記のRmsは次の方法で測定した値を意味する)。
<基材ポリエステルフィルムの塗布層表面の粗さRms>
原子間力顕微鏡(AFM)として、セイコーインスツルメンツ製走査型プローブ顕微鏡SPI3700を使用し、ダイナミックフォースモードで、基材ポリエステルフィルムの表面を、測定面積1x1μm角、走査速度1Hz、x−y方向512x256分割、カンチレバーSI−DF−20(Si、f=126kHz、C=16N/m)の条件で測定したAFMトポグラフィ像について、傾斜自動補正処理を行い、次いで3次元粗さ解析を行い、Rms(nm)を求めた。この際、測定に用いるカンチレバーは、磨耗や汚れのない状態のものを用いた。また、測定する個所は、フィルム中の滑剤やフィラー等による突起や窪みのない箇所とした。
<基材ポリエステルフィルムの塗布層表面凹凸の低周波数成分を除いた粗さRms>
上記の<基材フィルムの表面粗さ>で測定し傾斜自動補正処理を行ったトポグラフィ像について、高速フーリエ変換を行い、x、y方向とも25/μm以下を遮断周波数として表面凹凸の低周波成分を除去し、更に逆フーリエ変換を行い、低周波成分を除去した後のトポグラフィ像を再生した。その再生した像について、周辺部を除外した中央部約800nm角を選択して3次元粗さ解析を行い、Rms(nm)を求めた。
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