JP3971640B2 - バリアフィルムの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品や医療品等の包装材料や電子デバイス等のパッケージ材料、基板材料として用いられるバリア性の極めて高いバリアフィルムとその製造方法、および、このバリアフィルムを用いた積層材、包装用容器、画像表示媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、酸素ガスおよび水蒸気等に対するバリア性を備え、食品や医薬品等の良好な保存適性を有する包装用材料として、種々のものが開発され提案されており、例えば、可撓性プラスチック基材の上にポリ塩化ビニリデンやエチレンビニルアルコール共重合体のコーテンィグ層を設けた構成からなるバリアフィルムが提案されている。
しかし、これらのバリアフィルムにおいては、酸素、水蒸気に対するバリア性が十分でなく、特に高温での殺菌処理においてバリア性の著しい低下が生じるという問題があった。さらに、ポリ塩化ビニリデンのコーティング層を設けたバリアフィルムは、焼却時に有毒なダイオキシンを発生し、環境への悪影響が懸念されている。
そこで、近年、基材フィルムの上に酸化珪素、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を設けた構成からなるバリアフィルムが提案されている。また、エポキシ樹脂やその混合物からなる樹脂層と上記の蒸着膜との積層化(特開平8−164595号等)が提案されている。
【0003】
一方、電子デバイス、例えば、フレキシブルディスプレイのような画像表示装置において、ガラス基材代替であるプラスチックフィルムベースの基材としてバリアフィルムが使用される場合、あるいは、太陽電池モジュールのカバーフィルムとしてバリアフィルムが使用される場合、従来の包装用の用途で要求されるバリア性(例えば、酸素透過率が1.0cc/m2/day・atm以下、水蒸気透過率が1.0g/m2/day以下)に比べてより高いバリア性がバリアフィルムに要求される。また、ディスプレイ素子作製時の高温度や種々の処理薬剤に耐えるような耐熱性、耐薬品性がバリアフィルムに要求され、さらに、製品となった後も、耐湿熱試験のような過酷な環境下において高いバリア性を維持することが要求される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の酸化珪素、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を設けたバリアフィルムは、透明性に優れ、環境への影響もほとんどなく、包装用材料等にその需要が大いに期待される。しかし、これらのバリアフィルムのバリア性は、アルミニウム箔を使用した包装用積層材に比べて未だ低いものであり、特に高いバリア性(例えば、酸素透過率が0.1cc/m2/day・atm以下、水蒸気透過率が0.1g/m2/day以下)が要求される電子デバイス用途においては、実用性に問題があった。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、極めて高いバリア性を有するとともに、良好な透明性をもつバリアフィルムとその製造方法、上記のバリアフィルムを用いた積層材、包装用容器、画像表示媒体を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明のバリアフィルムの製造方法は、80%以上の焼結密度を有する珪素および80%以上の焼結密度を有するSiOx(xは1〜2)のいずれかを成膜材料として酸素ガス存在下でイオンプレーティング法により、元素数比がSi:O:C=100:160〜190:30〜50の範囲にあり、Si−O−Si伸縮振動による赤外線吸収が1030〜1060cm-1の範囲に存在し、膜密度が2.5〜2.7g/cm3の範囲であり、グレイン間距離が30nm以下である酸化珪素膜を樹脂フィルム上に形成してバリア層とするような構成とした。
本発明の他の態様として、前記イオンプレーティング法は、ホローカソード型イオンプレーティング法であるような構成とした。
本発明の他の態様として、予め樹脂層を前記樹脂フィルムに設け、該樹脂層上に前記バリア層を形成するような構成とした。
本発明の他の態様として、樹脂層に平均粒径が0.8〜5μmの範囲にある非繊維状の無機充填材を含有させるような構成とした
【0009】
このような本発明では、酸化珪素膜の元素数比、Si−O−Si伸縮振動による赤外線吸収帯域、膜密度およびグレイン間距離を特定の範囲とすることにより、酸化珪素膜が緻密な構造となり、この酸化珪素膜からなるバリア層が高いバリア性と透明性をバリアフィルムに付与する。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
バリアフィルム
図1は本発明のバリアフィルムの一実施形態を示す概略断面図である。図1において、バリアフィルム1は基材フィルム2と、この基材フィルム2の一方の面に形成されたバリア層3とを備えている。尚、本発明のバリアフィルム1は、基材フィルム2の両面にバリア層3を備えるものでもよい。
【0011】
図2は本発明のバリアフィルムの他の実施形態を示す概略断面図である。図2において、バリアフィルム11は基材フィルム12と、この基材フィルム12の一方の面に樹脂層14を介して形成されたバリア層13とを備えている。尚、本発明のバリアフィルム11は、基材フィルム12の両面に樹脂層14とバリア層13を積層するものでもよい。また、樹脂層14とバリア層13との積層を2回以上繰り返して形成してもよい。
【0012】
また、図3は本発明のバリアフィルムの他の実施形態を示す概略断面図である。図3において、バリアフィルム21は基材フィルム22と、この基材フィルム22の一方の面にバリア層23と樹脂層24とがこの順に積層されて設けられている。尚、本発明のバリアフィルム21は、基材フィルム22の両面にバリア層23と樹脂層24をこの順に積層するものでもよい。また、バリア層23と樹脂層24との積層を2回以上繰り返して形成してもよい。
【0013】
次に、上述の本発明のバリアフィルムの各構成部材について説明する。
(基材フィルム)
本発明のバリアフィルムを構成する基材フィルムは、バリア層、あるいは、バリア層と樹脂層を保持し得るフィルムであれば特に制限はなく、バリアフィルムの使用目的等から適宜選択することができる。具体的には、基材フィルムとしてポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィン系樹脂;環状ポリオレフィン等の非晶質ポリオレフィン系樹脂;(メタ)アクリル系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂;ポリスチレン系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物;ポリビニルアルコール樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のポリビニルアルコール系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリビニルブチラート樹脂;ポリアリレート樹脂;エチレン−四フッ化エチレン共重合体、三フッ化塩化エチレン、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、パーフルオロ−パーフロロプロピレン−パーフロロビニルエーテル共重合体等のフッ素系樹脂;ポリ酢酸ビニル系樹脂;アセタール系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン2,6−ナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂;ナイロン(商品名)6、ナイロン(商品名)12、共重合ナイロン(商品名)等のポリアミド系樹脂;ポリイミド樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリサルホン樹脂;ポリエーテルサルホン樹脂;ポリエーテルエーテルケトン樹脂等の延伸(一軸ないし二軸)または未延伸の可撓性透明樹脂フィルムを用いることができる。基材フィルムの厚さとしては、5〜500μm、好ましくは10〜200μmの範囲内で適宜設定することができる。
【0014】
(バリア層)
本発明のバリアフィルムを構成するバリア層は、元素数比がSi:O:C=100:160〜190:30〜50の範囲にある酸化珪素膜である。この酸化珪素膜は、Si−O−Si伸縮振動による赤外線吸収が1030〜1060cm-1の範囲に存在し、膜密度が2.5〜2.7g/cm3、好ましくは2.6〜2.7g/cm3の範囲であり、グレイン間距離が30nm以下、好ましくは10〜30nm、より好ましくは10〜20nmの範囲である。尚、グレイン間距離は、酸化珪素膜の成膜時の成長核分布密度を反映し、成長核が多く、かつ、緻密に成膜された場合に、微結晶(グレイン)が隙間なく基材フィルムあるいは樹脂層を被覆することになる。
バリア層である酸化珪素膜の元素数比、Si−O−Si伸縮振動による赤外線吸収帯域、膜密度、および、グレイン間距離が上記の範囲から外れると、酸化珪素膜の緻密性が低下して、極めて高いバリア性(酸素透過率が0.1cc/m2/day・atm以下であり、水蒸気透過率が0.1g/m2/day以下程度を指す)が得られなくなったり、酸化珪素膜が硬く脆いものとなり耐久性が低下し、好ましくない。
【0015】
ここで、本発明では、上記の元素数比は光電子分光(ESCA)法により測定する。また、Si−O−Si伸縮振動による赤外線吸収帯域は多重反射(ATR)測定装置を備えたフーリエ変換型赤外分光光度計(日本分光(株)製Herschel FT−IR−610)を使用して測定する。また、上記の膜密度は、X線反射率測定装置(理学電機(株)製ATX−E)により測定する。さらに、上記のグレイン間距離は、原子間力顕微鏡(AFM)(Digital Instruments社製Nano ScopeIII )を使用して測定する。
【0016】
このようなバリア層は、ホローカソード型イオンプレーティング法等のイオンプレーティング法により形成することができる。バリア層の厚みは、5〜500nm、好ましくは10〜100nmの範囲で適宜設定することができる。バリア層の厚みが5nm未満であると、極めて高いバリア性(酸素透過率が0.1cc/m2/day・atm以下であり、水蒸気透過率が0.1g/m2/day以下程度を指す)を発現できない。また、バリア層の厚みが500nmを超えると、応力が大きくかかり、基材フィルムがフレキシブルな場合、バリア層にクラックが生じ易くバリア性が低下するとともに、成膜に要する時間が長くなり好ましくない。
【0017】
(樹脂層)
本発明のバリアフィルム11を構成する樹脂層14は、基材フィルム12とバリア層13との密着性を向上させ、かつ、バリア性も向上させるためのものである。また、バリア層23を被覆する樹脂層24は、保護膜として機能して耐熱性、耐薬品性、耐候性をバリアフィルム21に付与するとともに、バリア層23に欠損部位があっても、それを埋めることによりバリア性を向上させるためのものである。
このような樹脂層は、ポリアミック酸、ポリエチレン樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオール樹脂、ポリ尿素樹脂、ポリアゾメチン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリロニトリル(PAN)樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂等の市販の樹脂材料、二官能エポキシ樹脂と二官能フェノール類との重合体である高分子量エポキシ重合体を含有する硬化性エポキシ樹脂、および、上述の基材フィルムに使用する樹脂材料、後述の積層材に使用するアンカーコート剤、接着剤、ヒートシール性樹脂材料等の1種、または、2種以上の組み合わせにより形成することができる。樹脂層の厚みは、使用する材料により適宜設定することが好ましいが、例えば、5nm〜5×105nm程度の範囲で設定することができる。
【0018】
また、本発明では、樹脂層に平均粒径が0.8〜5μmの範囲にある非繊維状の無機充填材を含有させることができる。使用する非繊維状の無機充填材としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、タルク、アルミナ、マグネシア、シリカ、二酸化チタン、クレイ等を挙げることができ、特に焼成されたクレイが好ましく使用できる。このような無機充填材は、樹脂層の10〜60体積%、好ましくは25〜45重量%の範囲で含有させることができる。
【0019】
バリアフィルムの製造方法
次に、本発明のバリアフィルムの製造方法について説明する。
本発明のバリアフィルムの製造方法では、イオンプレーティング法によりバリア層を形成する。イオンプレーティング法としては、ホローカソード型イオンプレーティング法、ホローアノード型イオンプレーティング法等を使用することができる。成膜材料としては、80%以上の焼結密度を有する珪素および80%以上の焼結密度を有するSiOx(xは1〜2)のいずれかを使用し、酸素ガスの存在下で成膜を行う。成膜材料の焼結密度を80%以上とすることにより、緻密な酸化珪素膜の形成が可能となる。また、上記のイオンプレーティング法による成膜は、酸素ガスを導入して行う反応性成膜であるため酸化度制御が容易であり、さらに、成膜材料と被成膜体との距離、および、投入電力を適度なものとすることにより、成膜時に被成膜体に適度なエッチングが生じ、高い密着性で酸化珪素膜を成膜することができる。そして、使用する材料や成膜条件は、成膜される酸化珪素膜の元素数比がSi:O:C=100:160〜190:30〜50の範囲にあり、Si−O−Si伸縮振動による赤外線吸収が1030〜1060cm-1の範囲であり、膜密度が2.5〜2.7g/cm3、好ましくは2.6〜2.7g/cm3の範囲であり、グレイン間距離が30nm以下、好ましくは10〜30nm、より好ましくは10〜20nmの範囲となるように選択することができる。
【0020】
また、上述の図2、図3に示されるバリアフィルム11,21のように樹脂層を備える場合、樹脂層の形成は、従来公知の真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の物理蒸着法、化学気相蒸着(CVD)法等によるドライ形成法、あるいは、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、スプレイコート等のコーティング法でコーティングし、その後、溶剤や希釈剤等を乾燥除去して形成するウエット形成法により行うことができ、使用する材料等により形成方法は適宜選択することができる。また、樹脂層の形成をイオンプレーティング法により行うことにより、バリア層の形成と樹脂層の形成を同一の成膜装置内でインラインで行うこともできる。
【0021】
積層材
次に、本発明の積層材について説明する。
図4は、上述の本発明のバリアフィルム1を用いた本発明の積層材の実施形態を示す概略断面図である。図4において積層材31は、基材フィルム2の一方の面にバリア層3を備えたバリアフィルム1と、このバリアフィルム1のバリア層3上にアンカーコート剤層および/または接着剤層32を介して形成したヒートシール性樹脂層33とを備えている。
積層材31を構成するアンカーコート剤層32は、例えば、アルキルチタネート等の有機チタン系アンカーコート剤、イソシアネート系アンカーコート剤、ポリエチレンイミン系アンカーコート剤、ポリブタジエン系アンカーコート剤等を使用して形成することができる。アンカーコート剤層32の形成は、上記のようなアンカーコート剤を、例えば、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、スプレイコート等の公知のコーティング法でコーティングし、溶剤、希釈剤等を乾燥除去して行うことができる。上記のアンカーコート剤の塗布量としては、0.1〜5g/m2(乾燥状態)程度が好ましい。
【0022】
また、積層材31を構成する接着剤層32は、例えば、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、エポキシ系、ポリ(メタ)アクリル系、ポリ酢酸ビニル系、ポリオレフィン系、カゼイン、ワックス、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリブタジエン系等のビヒクルを主成分とする溶剤型、水性型、無溶剤型、あるいは、熱溶融型等の各種のラミネート用接着剤を使用して形成することができる。接着剤層32の形成は、上記のようなラミネート用接着剤を、例えば、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、デッブコート、スプレイコート、その他のコーティング法でコーティングし、溶剤、希釈剤等を乾燥除去して行うことができる。上記のラミネート用接着剤の塗布量としては0.1〜5g/m2(乾燥状態)程度が好ましい。
【0023】
積層材31を構成するヒートシール性樹脂層33に用いるヒートシール性樹脂としては、熱によって溶融し相互に融着し得る樹脂を挙げることができる。具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレンーメタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等を使用することができる。ヒートシール性樹脂層33は、上述のようなヒートシール性樹脂を塗布して形成してもよく、また、上述のようなヒートシール性樹脂からなるフィルムあるいはシートをラミネートして形成してもよい。このようなヒートシール性樹脂層33の厚みは、5〜300μm、好ましくは10〜100μmの範囲内で設定することができる。
【0024】
図5は、上述の本発明のバリアフィルム11を用いた本発明の積層材の実施形態を示す概略断面図である。図5において積層材41は、基材フィルム12の一方の面に樹脂層14を介してバリア層13を備えるバリアフィルム11と、このバリアフィルム11のバリア層13上にアンカーコート剤層および/または接着剤層42を介して形成したヒートシール性樹脂層43と、バリアフィルム11の基材フィルム12の他方の面(樹脂層非形成面)に設けられた基材44とを備えている。
積層材41を構成するアンカーコート剤層、接着剤層42およびヒートシール性樹脂層43は、上述の積層材31を構成するアンカーコート剤層、接着剤層32およびヒートシール性樹脂層33と同様とすることができ、ここでの説明は省略する。
【0025】
積層材41を構成する基材44としては、例えば、積層材41が包装用容器を構成する場合、基材44が基本素材となることから、機械的、物理的、化学的、その他等において優れた性質を有し、特に、強度を有して強靭であり、かつ耐熱性を有する樹脂のフィルムないしシートを使用することができる。具体的には、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアラミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、フッ素系樹脂等の強籾な樹脂の延伸(一軸ないし二軸)または未延伸のフィルムないしシートを挙げることができる。この基材44の厚みは、5〜100μm、好ましくは10〜50μm程度が望ましい。
また、本発明においては、基材44に、例えば、文字、図形、記号、絵柄、模様等の所望の印刷絵柄を通常の印刷法で表刷り印刷あるいは裏刷り印刷が施されていてもよい。このような文字等は、積層材41を構成するバリアフィルム11を介して視認することができる。
【0026】
図6は、上述の本発明のバリアフィルム21を用いた本発明の積層材の実施形態を示す概略断面図である。図6において積層材51は、基材フィルム22の一方の面にバリア層23と樹脂層24をこの順に積層して備えたバリアフィルム21と、このバリアフィルム21の樹脂層24上にアンカーコート剤層および/または接着剤層52を介して形成したヒートシール性樹脂層53と、バリアフィルム21の基材フィルム22の他方の面(バリア層非形成面)に設けられた基材54と、この基材54上に形成したヒートシール性樹脂層55とを備えている。
積層材51を構成するアンカーコート剤層、接着剤層52およびヒートシール性樹脂層53,55は、上述の積層材31を構成するアンカーコート剤層、接着剤層32およびヒートシール性樹脂層33と同様とすることができ、また、積層材51を構成する基材54は、上述の積層材41を構成する基材44と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0027】
尚、本発明の積層材には、さらに、例えば、水蒸気、水等のバリア性を有する低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等の樹脂のフィルムないしシート、あるいは、酸素、水蒸気等に対するバリア性を有するポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物等の樹脂のフィルムないしシート、樹脂に顔料等の着色剤、その他、所望の添加剤を加えて混練してフィルム化してなる遮光性を有する各種の着色樹脂のフィルムないしシート等を使用することができる。
これらの材料は、1種または2種以上を組み合わせて使用することができ、厚みは任意であるが、通常、5〜300μm、好ましくは10〜100μm程度である。
【0028】
さらに、包装用容器の用途に本発明の積層材が使用される場合、通常、包装用容器は物理的にも化学的にも過酷な条件におかれることから、積層材にも厳しい包装適性が要求される。具体的には、変形防止強度、落下衝撃強度、耐ピンホール性、耐熱性、密封性、品質保全性、作業性、衛生性、その他等の種々の条件が要求され、このため、本発明の積層材においては、上記のような諸条件を充足する材料を任意に選択して、基材フィルム2,12,22、基材44,54、あるいは、他の構成部材として使用することができる。具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ一樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸またはメタクリル酸共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS系樹脂)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、フッ素系樹脂、ジエン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニトロセルロース等の公知の樹脂のフィルムまたはシートから任意に選択して使用することができる。その他、例えば、セロハン等のフィルムも使用することができる。
【0029】
上記のフィルムまたはシートは、未延伸、一軸あるいは二軸方向に延伸されたもの等のいずれも使用することができる。また、その厚さは、任意であるが、数μmから300μm程度の範囲から選択して使用することができ、積層位置は特に制限はない。また、本発明において、上記のフィルムやシートは、押し出し成膜、インフレーション成膜、コーティング膜等のいずれの性状の膜でもよい。
上述の積層材31,41,51のような本発明の積層材は、通常の包装材料をラミネートする方法、例えば、ウエットラミネーション法、ドライラミネーション法、無溶剤型ドライラミネーション法、押し出しラミネーション法、Tダイ押し出し成形法、共押し出しラミネーション法、インフレーション法、共押し出しインフレーション法等を用いて製造することができる。
【0030】
尚、上記の積層を行う際に、必要ならば、例えば、コロナ処理、オゾン処理等の前処理をフィルムに施すことができ、また、例えば、イソシアネート系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系、有機チタン系等のアンカーコーティング剤、あるいはポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロース系等のラミネート用接着剤等の公知の接着剤等を使用することができる。
尚、本発明の積層材に用いる本発明のバリアフィルムの組み合わせは、上述の積層材31,41,51に示される例に限定されるものではなく、積層材の使用目的等に応じて適宜設定することができる。
【0031】
包装用容器
次に、本発明の包装用容器について説明する。
本発明の包装用容器は、本発明の積層材を用いて熱融着により製袋または製函したものである。
具体的には、包装用容器が軟包装袋の場合、本発明の積層材のヒートシール性樹脂層の面を対向させて折り重ねるか、あるいは、本発明の積層材二枚を重ね合わせ、その周辺端部を、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、その他等のヒートシール形態により熱融着してシール部を形成するこにより、本発明に係る種々の形態の包装用容器を製造することができる。
上記において、熱融着は、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。
【0032】
図7は、上記のような本発明の包装用容器の一実施形態を示す斜視図である。図7において包装用容器61は、1組の本発明の積層材31を、そのヒートシール性樹脂層33が対向するように重ね合わせ、この状態で周辺部の三方において熱融着を行ってシール部62を形成したものである。この包装用容器は61は、周辺部の残りの一方に形成された開口部63から内容物を充填することができる。そして、内容物を充填した後に、上記開口部63を熱融着してシール部を形成することにより、内容物を充填包装した包装用容器とすることができる。
本発明の包装用容器は、上記の他に、例えば、自立性包装袋(スタンデイングパウチ)等も可能であり、さらに、本発明の積層材を使用してチューブ容器等も製造することができる。
【0033】
尚、本発明においては、上記のような包装用容器に、例えば、ワンピースタイプ、ツウーピースタイプ、その他の注出ロ、あるいは開閉用ジッパー等を任意に取り付けることができる。
また、本発明の包装用容器は、まず本発明の積層材を使用して所望の容器を製造するためのブランク板を作製し、このブランク板を使用して胴部、底部、頭部等を形成することにより、例えば、ブリックタイプ、フラットタイプあるいはゲーベルトップタイプの液体用容器等を製造することができる。また、その形状は、角形容器、丸形等の円筒状の缶等、いずれの形状でも製造することができる。
【0034】
図8は、本発明の包装用容器である上記の液体充填用紙容器の一実施形態を示す斜視図であり、図9は、図8に示される包容用容器に用いるブランク板の平面図である。ブランク板80は、例えば、図6に示される本発明の積層材51を使用し、容器形成における折り曲げ加工用の押圧線m,m・・・と、容器71の胴部72を構成する胴部パネル81,82,83,84と、容器71の頂部73を構成する頂部パネル81a,82a,83a,84aと、容器71の底部74を構成する底部パネル81b,82b,83b,84bと、筒体形成用の熱融着用パネル85とを備えるように打ち抜き加工して作製されたものである。このブランク板80を押圧線m,m・・・で折り曲げ、胴部パネル81の端部内側と熱融着用パネル85の外側とを熱融着して筒体を形成し、その後、底部パネル81b,82b,83b,84bを押圧線m,m・・・で折り曲げ熱融着し、頂部の開口から液体を充填した後に、頂部パネル81a,82a,83a,84aを押圧線m,m・・・で折り曲げ熱融着することにより、液体を充填包装した包装用容器71とすることができる。
本発明の包装用容器は、種々の飲食品、接着剤、粘着剤等の化学品、化粧品、医薬品、ケミカルカイロ等の雑貨品、その他等の種々の物品に使用されるものである。
【0035】
積層材
次に、本発明の積層材の他の実施形態について、上述の本発明のバリアフィルム1を用いた例を挙げて説明する。
図10は、本発明の積層材の他の実施形態を示す概略断面図である。図10において積層材91は、基材フィルム2の一方の面にバリア層3を備えたバリアフィルム1と、このバリアフィルム1のバリア層3上に形成した導電性層92を備えている。
【0036】
積層材91を構成する導電性層92は、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)膜等の透明導電膜とすることができる。ITO膜は、スパッタリング法、PVD法、イオンプレーティング法等により形成することができ、特にスパッタリング法により形成されたITO膜は導電性の面内均一性に優れるため、好ましく用いられる。
導電性層92の膜厚は、その材質、積層材91の用途等により適宜設定することができ、通常、100〜200nmの範囲内で設定される。また、導電性層92は、表面抵抗値が0〜50Ω/□、全光線透過率が85%以上であることが好ましい。
このような導電性層92は、例えば、液晶表示装置であれば、液晶駆動用の透明電極として用いることができる。
【0037】
画像表示媒体
本発明の画像表示媒体は、上記の積層材91を基材として用い、導電性層92上に画像表示層を備えたものである。
このような画像表示媒体としては、液晶表示装置のようなバックライトの明るさをシャッターすることにより階調をつけて表示を行う非発光型ディスプレイと、プラズマディスプレイ(PDP)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(EL)のような蛍光体を何等かのエネルギーにより発光させて表示を行う自己発光型ディスプレイとを挙げることができる。
本発明の画像表示媒体が液晶表示装置である場合、上記画像表示層は液晶層を示すものであり、また、自己発光型ディスプレイである場合は、蛍光体を有する蛍光体層が上記の画像表示層に該当する。
尚、本発明は、上述の各実施形態に限定されるものではない。
【0038】
【実施例】
次に、実施例を示して本発明を更に詳細に説明する。
(バリアフィルムの作製)
基材フィルムとして幅30cmの巻取り状の2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績(株)製 PETフィルムA4100、厚み100μm、)を準備し、この基材フィルムのコロナ未処理面側を被成膜面として、図11に示すような圧力勾配型プラズマガンを備えた巻取り式のホローカソード型イオンプレーティング装置101のチャンバー102内に装着した。このイオンプレーティング装置101は、真空チャンバー102と、この真空チャンバー102内に配設された基材フィルムの供給ロール103a、巻き取りロール103b、コーティングドラム104、バルブを介して真空チャンバー102に接続された真空排気ポンプ105と、仕切り板109,109で真空チャンバー102と仕切られた成膜チャンバー106、この成膜チャンバー106内の下部に配設された坩堝107、アノード磁石108、成膜チャンバー106の所定位置(図示例では成膜チャンバーの右側壁)に配設された圧力勾配型プラズマガン110、収束用コイル111、シート化磁石112、圧力勾配型プラズマガン110へのアルゴンガスの供給量を調整するためのバルブ113、成膜チャンバー106にバルブを介して接続された真空排気ポンプ114、酸素ガスの供給量を調整するためのバルブ116とを備えている。
【0039】
次に、90%の焼結密度を有するSiO2を成膜材料として坩堝107に搭載した。この成膜材料と基材フィルムとの距離(TS距離)は50cmに設定した。
次に、成膜時の添加ガスとして酸素ガス(大陽東洋酸素(株)製(純度99.9995%以上))、および、アルゴンガス(大陽東洋酸素(株)製(純度99.9999%以上))を準備した。
【0040】
次に、チャンバー102,106内を、真空排気ポンプ105,114により到達真空度1.0×10-3Paまで減圧した。次いで、チャンバー106内に酸素ガスを流量20sccmで導入し、真空排気ポンプとチャンバーとの間にあるバルブの開閉度を制御することにより、チャンバー内圧力を0.1Paに保ち、基材フィルムを走行させ、アルゴンガスを流量20sccmで導入した圧力勾配型プラズマガン110にプラズマ生成のための電力を9kW投入し、アノード磁石108上の坩堝107にプラズマ流を収束させて照射することにより成膜材料を蒸発させ、高密度プラズマにより蒸発分子をイオン化させて、基材フィルム上に酸化珪素膜からなるバリア層を形成して、バリアフィルム(実施例1)を得た。基材フィルムの走行速度は、形成される酸化珪素膜の膜厚が100nmとなるように設定した。尚、sccmとは、standard cubic centimeter per minuteの略であり、以下の実施例、比較例においても同様である。
【0041】
上記のように形成した酸化珪素膜の成分を下記の条件で測定し、結果を下記の表1に示した。
酸化珪素膜の成分測定
ESCA(英国 VG Scientific社製 ESCA LAB220i−XL)により測定した。X線源としては、Ag−3d−5/2ピーク強度が300Kcps〜1McpsとなるモノクロAlX線源、および、直径約1mmのスリットを使用した。測定は、測定に供した試料面の法線上に検出器をセットした状態で行い、適正な帯電補正を行った。測定後の解析は、上述のESCA装置に付属されたソフトウエアEclipseバージョン2.1を使用し、Si:2p、C:1s、O:1sのバインディングエネルギーに相当するピークを用いて行った。このとき、各ピークに対して、シャーリーのバックグラウンド除去を行い、ピーク面積に各元素の感度係数補正(C=1に対して、Si=0.817、O=2.930)を行い、原子数比を求めた。得られた原子数比について、Si原子数を100とし、他の成分であるOとCの原子数を算出して成分割合とした。
【0042】
また、上記のように形成した酸化珪素膜のSi−O−Si伸縮振動による赤外線吸収帯域、膜密度およびグレイン間距離をそれぞれ下記の条件で測定し、結果を下記の表1に示した。
赤外吸収スペクトルの測定
多重反射(ATR)測定装置(日本分光(株)製 ATR−300/H)を備えたフーリエ変換型赤外分光光度計(日本分光(株)製 Herschel FT−IR−610)を使用して測定した。プリズムはゲルマニウム結晶を用い、入射角45°で測定した。
【0043】
膜密度の測定
X線反射率測定装置(理学電機(株)製ATX−E)を用いて以下のように測定した。すなわち、X線源として、18kWのX線発生装置、CuターゲットによるCuKaの波長λ=1.5405Åを使用し、モノクロメーターには、放物面人工多層膜ミラーとGe(220)モノクロ結晶を使用した。また、設定条件として、スキャン速度:0.1000°/分、サンプリング幅:0.002°、走査範囲:0〜4.0000°に設定した。そして、基板ホルダーにサンプルをマグネットにより装着し、装置の自動アライメント機能により0°位置調整を行った。その後、上記設定条件により反射率を測定した。得られた反射率測定値について、上述のX線反射率測定装置に付属の解析ソフト(RGXR)を使用して、フィッティングエリア:0.4°〜4.0°の条件で解析を行った。その際、フィッティング初期値として、薄膜の元素比(Si:O=1:2)を入力した。反射率を非線形最小二乗法によりフィッティングし、膜密度を算出した。
【0044】
グレイン間距離の測定
原子間力顕微鏡(Atom Force Microscopy(AFM))として、Digital Instruments社製のNano ScopeIIIを使用し、タッピングモードで表面形状を500nm×500nmの面積で測定した。得られたAFM像についてフラット処理を行った後、任意の断面を観察し、ピークの高さがほぼ同じである隣接する2つのグレインについて、そのピーク間の距離を測定した。また、測定においては、磨耗や汚れのない状態のカンチレバーを使用し、著しい凹みや突起のない均一な凹凸領域を測定した。尚、上記のタッピングモードとは、Q.ZongらがSurface Science Letter,1993年 Vol.290,L688−690に説明している通りであり、先端に探針をつけたカンチレバーを、ピエゾ加振器を用いて共振周波数近傍(約50〜500MHz)で加振させ、試料表面上を断続的に軽く触れながら走査する方法であって、検出される振幅の変化量を一定に維持するように、カンチレバーの位置を凹凸方向(Z方向)に移動させ、このZ方向への移動に基づいた信号と平面方向(XY方向)の信号とによって2次元表面形状を測定する方法である。また、上記のフラット処理とは、2次元データについて、基準面に対して1次、2次または3次元の関数で傾きの補正を処理することであり、この処理により面全体のうねりを相殺した。
【0045】
次に、成膜材料、あるいは、成膜条件(酸素ガス流量、TS距離、投入電力、成膜圧力)を下記の表1、表2に示されるように設定した他は、実施例1と同様にして酸化珪素膜を形成してバリアフィルム(実施例2〜6、比較例1〜11)を作製した。これらのバリアフィルムの酸化珪素膜について、その成分、Si−O−Si伸縮振動による赤外線吸収帯域、膜密度およびグレイン間距離を実施例1と同様に測定し、結果を下記の表1および表2に示した。
【0046】
(バリア性の測定)
このように作製したバリアフィルム(実施例1〜6、比較例1〜11)について、下記の条件で酸素透過率および水蒸気透過率を測定して、結果を下記の表1および表2に示した。
酸素透過率の測定
酸素ガス透過率測定装置(MOCON社製 OX−TRAN 2/20)を用いて、温度23℃、湿度90%RH、バックグラウンド除去測定を行うインディヴィジュアルゼロ(Individual Zero)測定ありの条件で測定した。
水蒸気透過率の測定
水蒸気透過率測定装置(MOCON社製 PERMATRAN−W 3/31)を用いて、温度40℃、湿度100%RHで測定した。
【0047】
【表1】
Figure 0003971640
【0048】
【表2】
Figure 0003971640
【0049】
表1に示されるように、元素数比がSi:O:C=100:160〜190:30〜50の範囲にあり、Si−O−Si伸縮振動による赤外線吸収が1030〜1060cm-1の範囲に存在し、膜密度が2.5〜2.7g/cm3の範囲であり、グレイン間距離が30nm以下である酸化珪素膜をバリア層として備えるバリアフィルム(実施例1〜6)は、優れたバリア性(酸素透過率が0.1cc/m2/day・atm以下であり、水蒸気透過率が0.1g/m2/day以下程度を指す)を有することが確認された。
【0050】
これに対して、表2に示されるように、バリア層である酸化珪素膜の元素数比、Si−O−Si伸縮振動による赤外線吸収帯域、膜密度、および、グレイン間距離の少なくとも1つが上記の範囲から外れるバリアフィルム(比較例1〜11)には、優れたバリア性(酸素透過率が0.1cc/m2/day・atm以下であり、水蒸気透過率が0.1g/m2/day以下程度を指す)を有するものがなかった。
【0051】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によればバリアフィルムが基材フィルムの少なくとも一方の面にバリア層を備えるものであり、このバリア層を、元素数比がSi:O:C=100:160〜190:30〜50の範囲にあり、Si−O−Si伸縮振動による赤外線吸収が1030〜1060cm-1の範囲に存在し、膜密度が2.5〜2.7g/cm3の範囲であり、グレイン間距離が30nm以下である酸化珪素膜とするので、バリア層が緻密な構造を有し、これにより、極めて高いバリア性を有し、透明性に優れたバリアフィルムが可能となる。
また、基材フィルムとバリア層の間に樹脂層を介在させることにより、バリア層の形成時における基材フィルムの寸法変化が防止され、かつ、基材フィルムとバリア層との密着性も高くなり、バリア性が向上したバリアフィルムが可能となる。
さらに、バリア層上に樹脂層を設けることにより、この樹脂層が保護膜として機能して耐熱性、耐薬品性、耐候性をバリアフィルムに付与するとともに、バリア層に欠損部位があっても、それを埋めることにより高いバリア性を維持することが可能となる。
そして、本発明の製造方法により、本発明のバリアフィルムを簡便に製造することができ、本発明のバリアフィルムは、極めて高いバリア性が要求される用途、例えば、食品や医薬品等の包装材料、電子デバイス等のパッケージ材料等に好ましく用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のバリアフィルムの一実施形態を示す概略断面図である。
【図2】本発明のバリアフィルムの他の実施形態を示す概略断面図である。
【図3】本発明のバリアフィルムの他の実施形態を示す概略断面図である。
【図4】本発明のバリアフィルムを用いた積層材の一実施形態を示す概略断面図である。
【図5】本発明のバリアフィルムを用いた積層材の他の実施形態を示す概略断面図である。
【図6】本発明のバリアフィルムを用いた積層材の他の実施形態を示す概略断面図である。
【図7】本発明のバリアフィルムを用いた包装用容器の一実施形態を示す斜視図である。
【図8】本発明のバリアフィルムを用いた包装用容器の他の実施形態を示す斜視図である。
【図9】図8に示される包装用容器の製造に使用するブランク板の平面図である。
【図10】本発明のバリアフィルムを用いた積層材の他の実施形態を示す概略断面図である。
【図11】実施例において使用したホローカソード型イオンプレーティング装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
1,11,21…バリアフィルム
1,12,22…基材フィルム
3,13,23…バリア層
14,24…樹脂層
31,41,51…積層材
32,42,52…アンカーコート剤層、接着剤層
33,43,53…ヒートシール性樹脂層
44,54…基材
55…ヒートシール性樹脂層
61,71…包装用容器
91…積層材
92…導電性層

Claims (4)

  1. 80%以上の焼結密度を有する珪素および80%以上の焼結密度を有するSiOx(xは1〜2)のいずれかを成膜材料として酸素ガス存在下でイオンプレーティング法により、元素数比がSi:O:C=100:160〜190:30〜50の範囲にあり、Si−O−Si伸縮振動による赤外線吸収が1030〜1060cm-1の範囲に存在し、膜密度が2.5〜2.7g/cm3の範囲であり、グレイン間距離が30nm以下である酸化珪素膜を樹脂フィルム上に形成してバリア層とすることを特徴とするバリアフィルムの製造方法。
  2. 前記イオンプレーティング法は、ホローカソード型イオンプレーティング法であることを特徴とする請求項1に記載のバリアフィルムの製造方法。
  3. 予め樹脂層を前記樹脂フィルムに設け、該樹脂層上に前記バリア層を形成することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のバリアフィルムの製造方法。
  4. 樹脂層に平均粒径が0.8〜5μmの範囲にある非繊維状の無機充填材を含有させることを特徴とする請求項3に記載のバリアフィルムの製造方法
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