JP2005178137A - ガスバリアフィルムとこれを用いた積層材、画像表示媒体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材フィルムの少なくとも一方の面に、平滑表面を有するバリア性蒸着層と、このバリア性蒸着層上に積層された平滑表面を有する耐酸性の保護層と、を備えるものとする。表面が平滑なバリア性蒸着層と保護層での酸素や水分の吸着性が低いものとなり、これにより、ガスバリアフィルム全体に高いガスバリア性が付与され、保護層がエッチング液等の酸性液からバリア性蒸着層を保護する。
【選択図】 図1
Description
また、近年、液晶表示パネルや有機EL表示パネルをプラスチックフィルム等のフレキシブル基材上に形成したフレキシブル表示パネルが開発されているが、使用するフレキシブル基材は、その表面が非常に平滑であることが厳しく要求されている。表面の平滑性が得られない場合、例えば、電極の短絡が生じ、黒点(ダークスポット)の発生原因になるという問題がある。また、このようなフレキシブル表示パネルを実現するためには、包装用のガスバリアフィルムよりも高いガスバリア性が必要で、液晶表示材料、有機EL表示材料および素子が、酸素や水蒸気に触れて性能劣化するのを防止するために、ガラス基板と同等のガスバリア性(例えば、酸素透過率が0.1cc/m2/day・atm以下、水蒸気透過率が0.1g/m2/day以下)がフレキシブル基材に必要とされる。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、高いガスバリア性を有するとともに、表面平滑性が高く、さらに導電性層の電極パターニングが可能なガスバリアフィルムと、このガスバリアフィルムを用いた積層材、画像表示媒体を提供することを目的とする。
本発明の他の態様として、前記バリア性蒸着層と保護層との積層が2回以上繰り返し形成されているような構成とした。
本発明の他の態様として、前記バリア性蒸着層の平滑表面は、表面粗さRaが6nm以下、最大高低差P−Vが60nm以下であるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記バリア性蒸着層がアルミニウム、亜鉛、インジウム、珪素および錫の中から選択される少なくとも1種の元素と酸素とを含むような構成とした。
本発明の他の態様として、前記保護層の耐酸性は、塩酸:硝酸:水の体積混合比が1:0.08:1である酸化インジウム錫エッチング液によるエッチング速度が0.01μm/分以下であるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記保護層が蒸着法により形成された層であり、厚みが50nm〜1μmの範囲内にあるような構成とし、前記保護層が酸化珪素膜、窒化珪素膜、炭化珪素膜、酸化炭化珪素膜、酸化窒化珪素膜、酸化窒化炭化珪素膜、炭化水素膜、炭化フッ化膜、ポリイミド膜、ポリアミド膜、アクリレート膜、メタクリレート膜、ウレタンアクリレート膜、エポキシ膜、エポキシアクリレート膜、アクリル膜およびオレフィン膜の中から選択される1種以上の膜からなる層であるような構成とした。
本発明の他の態様として、酸素透過率が0.1cc/m2/day・atm以下であり、水蒸気透過率が0.1g/m2/day以下であるような構成とした。
本発明の積層体は、上述のいずれかのガスバリアフィルムの少なくとも一方の面に導電性層を設けたような構成とした。
本発明の画像表示媒体は、上記の積層材を基材として用い、前記導電性層上に画像表示層を備えるような構成とした。
保護層がエッチング液等の酸性液からバリア性蒸着層を保護する作用をなす。
ガスバリアフィルム
図1は本発明のガスバリアフィルムの一実施形態を示す概略断面図である。図1において、ガスバリアフィルム1は、基材フィルム2の一方の面に、平滑表面を有するバリア性蒸着層3と、平滑表面を有する保護層4とがこの順に積層されて設けられている。尚、本発明のガスバリアフィルム1は、基材フィルム2の両面にバリア性蒸着層3と保護層4とを積層して備えるものでもよい。
(バリア性蒸着層)
本発明のガスバリアフィルムを構成するバリア性蒸着層は、その表面が平滑である蒸着膜であれば特に限定されるものではない。バリア性蒸着層の平滑表面は、表面平均粗さRaが6nm以下、好ましくは3nm以下、最大高低差P−Vが60nm以下、好ましくは30nm以下である。本発明では、原子間力顕微鏡(Nanopics1000;セイコーインスツルメンツ(株)製)を用い、清浄表面を非接触モードで測定し、表面平均粗さRa(スキャンエリア=4μm平方)および最大高低差P−V(スキャンエリア=100μm平方)を測定する。このような平滑なバリア性蒸着層は、酸素や水分の吸着性が低く、優れたガスバリア性を有する。また、このバリア性蒸着層上の保護層も平滑表面を有するものとなる。
上記のバリア性蒸着層の中でも、インジウム、亜鉛および酸素を構成元素とするバリア性蒸着層は、ガスバリア性、透明性が高く、その表面が平滑であり、特に好ましい。このようなバリア性蒸着層におけるインジウム(In)と亜鉛(Zn)の原子比は、In/(In+Zn)が0.3〜0.9、好ましくは0.5〜0.8の範囲となるものである。原子比が上記の範囲内にあることにより、形成される蒸着膜が六方晶層状化合物となり、膜安定性と透明性が高くなる。尚、本発明では、上記の原子比は光電子分光(ESCA)法により測定する。
本発明のガスバリアフィルムを構成する保護層は、バリア性蒸着層上に形成され、その表面が平滑で、かつ、耐酸性をもつものであれば特に限定されるものではない。この保護層は、上述のように平滑表面を有するバリア性蒸着層上に積層されることにより平滑な界面が増加すること、および、厚みが増加することにより、ガスバリア性を向上させる作用をなす。また、保護層は、同時に、バリア性蒸着層に対する酸の保護膜として作用し、ガスバリアフィルム上にインジウム錫酸化膜(ITO膜)のような透明電極を形成した後、酸を用いたエッチング処理によるパターニングを行っても、バリア性蒸着層がエッチングされることが防止され、ガスバリアフィルム全体のガスバリア性が低下することなく、良好なガスバリア性を維持することができる。
また、保護層の耐酸性は、塩酸:硝酸:水の体積混合比が1:0.08:1である酸化インジウム錫エッチング液(液温23℃)による厚み方向のエッチング速度が0.01μm/分以下、好ましくは0.005μm/分以下であることが望ましい。
少なくとも1種以上の有機金属化合物を用い、場合によっては安定して成膜を行うための不活性ガスを1種または2種以上同時に添加し、これらを減圧下でプラズマ放電中に導入することで成膜を行う。有機金属化合物としては、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、テトラメチルジシロキサン(TMDSO)、テトラメチルシラン(TMS)、トリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラン、テトラメトキシシラン、(TMOS)、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン(TEOS)、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルアルミニウム(TMA)、テトライソプロピルアルコキシド(TTIP)等の任意の化合物を使用することができる。これらの材料の中でも、有機珪素化合物が扱い易く、安価であるために好ましく使用できる。保護層用の材料は、通常、大気圧、室温では液体であるため、予め加熱され、気化されたガスとして成膜部へ導入される。また、不活性ガス種としては、アルゴン、ヘリウム、窒素等を用いることができる。
プラズマCVD法は、プラズマ重合法と同一の装置を用い、上述の有機金属化合物に加え、反応性ガスを添加して成膜を行うものであり、プラズマ重合法と同様に不活性ガスを添加することも可能である。反応性ガスとしては、O2、CO2、N2Oのような酸素含有ガス、NH3のような窒素含有ガス、Cl、F等のハロゲン含有ガス等を用いることができる。
このように形成される膜は、用いられる有機金属化合物種や反応性ガスに依存するが、プラズマ重合法と同様に、原材料や反応性ガスに含まれる元素種で構成された膜が形成できるほか、反応性を高めることで、一部の元素を取り除くことも可能である。例えば、有機珪素化合物ガスとしてテトラメトキシシランを、反応性ガスとして酸素を用いた場合、効率よく炭素を除去し、SiとOのみを含むSiO2膜を形成することができる。このようにプラズマCVD法により形成される膜は、概してプラズマ重合膜と比較して、緻密で膜中の欠陥の少ない膜である。このため、酸、アルカリ、水分等に対して有効な保護膜として作用する。
蒸着法としては、抵抗加熱法、誘導加熱法、電子線蒸着法、蒸着重合法、フラッシュ蒸着法等、さらに、ホロカソード型電極を用いたイオンプレーティング法を用いることができる。膜としては任意の材料を用いて成膜することが可能であり、透明膜の場合、無機酸化膜、無機酸化窒化膜、無機窒化膜(無機:珪素、アルミニウム、チタン、ニオブ、錫など)、有機膜としてポリエチレンのような炭化膜、炭化酸化膜、炭化窒化膜、炭化酸化窒化膜、炭化フッ化膜等の単独膜、あるいは、重合膜を挙げることができる。また、2種以上の材料を用いて成膜する蒸着重合法を用いた場合には、ポリイミド膜、ポリアミド膜等を形成することができる。また、フラッシュ蒸着法を用いた場合は、上述の膜に加えて、ポリアクリレート膜のような高分子膜を形成することが可能である。また、不透明膜としては、金属膜を形成することができる。
スパッタリング法としては、DCスパッタ、パルスDCスパッタ、RFスパッタ、デュアルマグネトロンスパッタ等を用いることが可能である。膜としては任意の材料を用いて成膜することが可能であり、透明膜の場合、無機酸化膜、無機酸化窒化膜、無機窒化膜(無機:珪素、アルミニウム、チタン、ニオブ、錫など)、炭化膜、炭化酸化膜、炭化窒化膜、炭化酸化窒化膜、炭化フッ化膜等を挙げることができる。また、不透明膜としては、金属膜を形成することができる。
一方、分子量の大きい材料は蒸着法で成膜することが比較的難しく、このような蒸着法に適用でいない種々の保護層用材料を使用する場合は、湿式成膜法によって保護層を形成することも好ましい。
熱硬化性材料としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、メチルフタレート単独重合体または共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、アクリロニトリル/スチレン共重合体、ポリ(−4−メチルペンテン−1)、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シアナート樹脂、マレイミド樹脂、ポリイミド樹脂、カルド樹脂、ゾルゲル膜等が挙げられる。また、これらをポリビニルブチラール、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、多官能性アクリレート化合物等で変性したものや、架橋ポリエチレン樹脂、架橋ポリエチレン/エポキシ樹脂、架橋ポリエチレン/シアナート樹脂、ポリフェニレンエーテル/エポキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル/シアナート樹脂等の熱可塑性樹脂で変性した熱硬化性樹脂等を挙げることができる。また、上記に挙げた樹脂を複数種併用してもよい。
本発明のガスバリアフィルムは、用途によって透明性を要求されることがあり、この場合、上述した保護層も透明であることが好ましい。
本発明のガスバリアフィルムを構成する基材フィルムは、バリア性蒸着層と保護層を保持し得るフィルムであれば特に制限はなく、ガスバリアフィルムの使用目的等から適宜選択することができる。具体的には、基材フィルムとして下記のものを挙げることができる。
・エチレン、ポリプロピレン、ブテン等の単独重合体または共重合体等のポリオレフィン(PO)系樹脂
・環状ポリオレフィン等の非晶質ポリオレフィン(APO)系樹脂
・ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン2,6−ナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂
・ナイロン(商品名)6、ナイロン(商品名)12、共重合ナイロン(商品名)等のポリアミド(PA)系樹脂
・ポリビニルアルコール(PVA)樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)等のポリビニルアルコール系樹脂
・ポリイミド(PI)樹脂
・ポリエーテルイミド(PEI)樹脂
・ポリサルホン(PS)樹脂
・ポリエーテルサルホン(PES)樹脂
・ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂
・ポリカーボネート(PC)樹脂
・ポリビニルブチラート(PVB)樹脂
・ポリアリレート(PAR)樹脂
・エチレン−四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、三フッ化塩化エチレン(PFA)、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(FEP)、フッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニル(PVF)、パーフルオロ−パーフロロプロピレン−パーフロロビニルエーテル共重合体(EPA)等のフッ素系樹脂
上述の基材フィルムは延伸(一軸ないし二軸)フィルムでもよく、未延伸フィルムであってもよい。
また、使用する基材フィルムは、バリア性蒸着層を形成する前にコロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、グロー処理、粗面化処理、薬品処理等の表面処理を施してもよい。
上述のような本発明のガスバリアフィルムは、酸素透過率が0.5cc/m2/day・atm以下であり、水蒸気透過率が0.5g/m2/day以下、好ましくは酸素透過率が0.1cc/m2/day・atm以下であり、水蒸気透過率が0.1g/m2/day以下の極めて優れたガスバリア性を発現する。本発明のガスバリアフィルムは、内容物の品質を変化させる原因となる酸素と水蒸気をほとんど透過させないので、高いガスバリア性が要求される用途、例えば、食品や医薬品等の包装材料や、電子デバイス等のパッケージ材料用に好ましく使用することができる。また、その高度なガスバリア性とともに耐衝撃性を有するので、例えば、各種ディスプレイ用の基材として使用することも可能である。さらに、太陽電池のカバーフィルム等にも使用することができる。さらに、ガスバリアフィルムの表面には耐酸性をもつ保護層が位置するので、この保護層上に電極パターニング等のエッチング処理を施してもバリア性蒸着層がエッチングされることがなく、これにより高いガスバリア性を維持したままで導電性層の電極パターニングが可能となる。
次に、本発明の積層材について説明する。
図3は、上述の本発明のガスバリアフィルム1を用いた本発明の積層材の一実施形態を示す概略断面図である。図3において積層材11は、基材フィルム2の一方の面に、平滑表面を有するバリア性蒸着層3と、平滑表面を有する保護層4とがこの順に積層されたガスバリアフィルム1と、このガスバリアフィルム1の保護層4上にアンカーコート剤層および/または接着剤層12を介して形成したヒートシール性樹脂層13とを備えている。
積層材11を構成するアンカーコート剤層12は、例えば、アルキルチタネート等の有機チタン系アンカーコート剤、イソシアネート系アンカーコート剤、ポリエチレンイミン系アンカーコート剤、ポリブタジエン系アンカーコート剤等を使用して形成することができる。アンカーコート剤層12の形成は、上記のようなアンカーコート剤を、例えば、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、スプレイコート等の公知のコーティング法でコーティングし、溶剤、希釈剤等を乾燥除去して行うことができる。上記のアンカーコート剤の塗布量としては、0.1〜5g/m2(乾燥状態)程度が好ましい。
積層材21を構成するアンカーコート剤層、接着剤層22およびヒートシール性樹脂層23は、上述の積層材11を構成するアンカーコート剤層、接着剤層12およびヒートシール性樹脂層13と同様とすることができ、ここでの説明は省略する。
さらに、本実施形態では、基材層24を、例えば、紙基材を使用して紙層としてもよい。使用する紙基材としては、賦形性、耐屈曲性、剛性等をもたせた紙基材であり、例えば、強サイズ性の晒または未晒の紙基材、あるいは、純白ロール紙、クラフト紙、板紙、加工紙等の紙基材を使用することができる。このような紙基材は、その坪量が80〜600g/m2、好ましくは100〜450g/m2程度のものを使用することが望ましい。
また、本実施形態では、基材層24として、上述の樹脂のフィルムないしシートと、上記の紙基材とを併用して用いることもできる。
積層材31を構成するアンカーコート剤層、接着剤層32およびヒートシール性樹脂層33,35は、上述の積層材11を構成するアンカーコート剤層、接着剤層12およびヒートシール性樹脂層13と同様とすることができ、また、積層材31を構成する基材層34は、上述の積層材21を構成する基材層24と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
上述の積層材11,21,31のような実施形態の積層材は、通常の包装材料をラミネートする方法、例えば、ウエットラミネーション法、ドライラミネーション法、無溶剤型ドライラミネーション法、押し出しラミネーション法、Tダイ押し出し成形法、共押し出しラミネーション法、インフレーション法、共押し出しインフレーション法等を用いて製造することができる。
尚、本発明の積層材に用いる本発明のガスバリアフィルムは、上述の積層材11,21,31に示される例に限定されるものではなく、積層材の使用目的等に応じて、例えば、図2に示されるような構成のガスバリアフィルムを使用することができる。
本発明の積層材は、熱融着により製袋または製函することにより包装用容器を得ることができる。
具体的には、包装用容器が軟包装袋の場合、本発明の積層材11,21,31のヒートシール性樹脂層の面を対向させて折り重ねるか、あるいは、本発明の積層材二枚を重ね合わせ、その周辺端部を、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、その他等のヒートシール形態により熱融着してシール部を形成することにより、本発明に係る種々の形態の包装用容器を製造することができる。
図6は、上記のような包装用容器の一実施形態を示す斜視図である。図6において包装用容器51は、1組の本発明の積層材11を、そのヒートシール性樹脂層13が対向するように重ね合わせ、この状態で周辺部の三方において熱融着を行ってシール部52を形成したものである。この包装用容器は51は、周辺部の残りの一方に形成された開口部53から内容物を充填することができる。そして、内容物を充填した後に、上記開口部53を熱融着してシール部を形成することにより、内容物を充填包装した包装用容器とすることができる。
尚、上記のような包装用容器に、例えば、ワンピースタイプ、ツウーピースタイプ、その他の注出ロ、あるいは開閉用ジッパー等を任意に取り付けることができる。
また、包装用容器が紙基材を含む液体充填用紙容器である場合、紙基材を積層した本発明の積層材を使用して、所望の紙容器を製造するためのブランク板を作製し、このブランク板を使用して胴部、底部、頭部等を形成することにより、例えば、ブリックタイプ、フラットタイプあるいはゲーベルトップタイプの液体用容器等を製造することができる。また、その形状は、角形容器、丸形等の円筒状の缶等、いずれの形状でも製造することができる。
次に、ガスバリアフィルムの少なくとも一方の面に導電性層を設けた本発明の積層材の実施形態について、上述の本発明のガスバリアフィルム1を用いた例を挙げて説明する。
図9は、ガスバリアフィルムの一方の面に導電性層を設けた本発明の積層材の実施形態を示す概略断面図である。図9において積層材41は、基材フィルム2の一方の面に、平滑表面を有するバリア性蒸着層3と、平滑表面を有する保護層4とがこの順に積層されたガスバリアフィルム1と、このガスバリアフィルム1の保護層4上に形成した導電性層42を備えている。
導電性層42の膜厚は、その材質、積層材41の用途等により適宜設定することができ、通常、100〜200nmの範囲内で設定される。また、導電性層42は、表面抵抗値が0〜50Ω/□、全光線透過率が85%以上であることが好ましい。
このような導電性層42は、例えば、液晶表示パネルであれば、液晶駆動用の透明電極として用いることができる。
本発明の画像表示媒体は、ガスバリアフィルムの少なくとも一方の面に導電性層を設けた本発明の積層材、例えば、上記の積層材41を基材として用い、導電性層42上に画像表示層を備えたものである。
このような画像表示媒体としては、液晶表示装置のようなバックライトの明るさをシャッターすることにより階調をつけて表示を行う非発光型ディスプレイと、プラズマディスプレイ(PDP)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(EL)のような蛍光体を何等かのエネルギーにより発光させて表示を行う自己発光型ディスプレイとを挙げることができる。
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
[実施例1]
基材フィルムとしてシート状のポリエーテルサルフォンフィルム(住友ベークライト(株)製 スミライト FS−1300、厚み100μm、)を準備し、この基材フィルムをマグネトロンスパッタリング装置(アネルバ(株)製 SPF−730H)のチャンバー内の装着した。
次いで、上記のバリア性蒸着層上に、熱硬化性樹脂(新日鐵化学(株)製 V−259−EH)をスピンコート法により塗布し、その後、オーブン中で160℃、1時間の硬化処理を施して、厚み1μmの保護層を形成して、ガスバリアフィルム(実施例1)を得た。
まず、実施例1と同様にして、基材フィルム上にバリア性蒸着層を形成した。
次に、上記のバリア性蒸着層上に、下記の条件で蒸着法(プラズマ重合法)により酸化炭化珪素膜を成膜して、厚み500nmの保護層を形成し、ガスバリアフィルム(実施例2)を得た。
(プラズマ重合法による成膜条件)
・成膜装置 : アネルバ(株)製 PED−401)
・原料ガス : ヘキサメチルジシロキサン 導入量30sccm
・添加ガス : アルゴン 導入量30sccm
・RF電源 : 投入電力150W
・成膜圧力 : 33Pa
まず、実施例1と同様にして、基材フィルム上にバリア性蒸着層を形成した。
次に、環状ポリオレフィン樹脂(日本ゼオン(株)製 ゼオネックス)をシクロヘキサン溶媒に3重量%の濃度で溶解させて保護層用塗工液を調製し、この保護層用塗工液をコーティング用バーを用いて上記のバリア性蒸着層上に塗布し、80℃で30分間乾燥させて、厚み1μmの保護層を形成して、ガスバリアフィルム(実施例3)を得た。
保護層を形成しなかった他は、実施例1と同様にして、ガスバリアフィルム(比較例1)を作製した。
インジウム亜鉛酸化膜形成時の投入電力を2kWとしてバリア性蒸着層を形成した他は、実施例1と同様にして、ガスバリアフィルム(比較例2)を作製した。
バリア性蒸着層を形成する前に、基材フィルムの被形成面に酸素プラズマ処理を30秒間行って粗面化処理を施した他は、実施例1と同様にして、ガスバリアフィルム(比較例3)を作製した。
バリア性蒸着層を形成する前に、基材フィルムの被形成面に酸素プラズマ処理を30秒間行って粗面化処理を施し、また、インジウム亜鉛酸化膜形成時の投入電力を2kWとしてバリア性蒸着層を形成した他は、実施例1と同様にして、ガスバリアフィルム(比較例4)を作製した。
保護層の形成段階において、硬化処理を施さなかった他は、実施例1と同様にして、ガスバリアフィルム(比較例5)を作製した。
(表面平滑性測定)
上記のように作製したガスバリアフィルム(実施例1〜3、比較例1〜5)について、バリア性蒸着層を形成した段階、および、保護層を形成した段階でそれぞれ下記の条件により表面平滑性を測定し、表面粗さRa、最大高低差P−Vを求めて下記の表1に示した。
表面平滑性の測定条件
原子間力顕微鏡(Nanopics1000;セイコーインスツルメンツ(株)製)
を用い、清浄表面を非接触モードで測定し、表面平均粗さRa(スキャンエリア
=4μm平方)および最大高低差P−V(スキャンエリア=100μm平方)を測
定した。
上記のように作製したガスバリアフィルム(実施例1〜3、比較例1〜5)について、下記の条件で酸素透過率および水蒸気透過率を測定して、結果を下記の表1に示した。
酸素透過率の測定条件
酸素ガス透過率測定装置(MOCON社製 OX−TRAN 2/20)を用い
て、温度23℃、ドライ(0%RH)の条件で測定した。尚、測定はバックグラ
ウンドを除去する測定方式“インディビジュアルゼロあり”で行なった。
水蒸気透過率の測定条件
水蒸気透過率測定装置(MOCON社製 PERMATRAN−W 3/31)
を用いて、温度37.8℃、湿度100%RHの条件で測定した。
上記のように作製したガスバリアフィルム(実施例1〜3、比較例1〜5)について、下記の条件でエッチング処理を行った後、上記と同様の条件で酸素透過率および水蒸気透過率を測定して、結果を下記の表1に示した。また、エッチング処理後の保護層の厚みを測定して、厚み方向のエッチング速度(μm/分)を算出し、下記の表1に示した。
エッチング処理条件
塩酸:硝酸:水の体積混合比が1:0.08:1であるエッチング液にガス
バリアフィルムを10分間浸漬し、水洗、乾燥した。
これに対して、比較のガスバリアフィルム(比較例1〜5)は、ガスバリア性が不十分であったり、耐酸性が不十分なものであった。
2…基材フィルム
3…バリア性蒸着層
4…保護層
11,21,31,41…積層材
12,22,32…アンカーコート剤層、接着剤層
13,23,33…ヒートシール性樹脂層
24,34…基材層
35…ヒートシール性樹脂層
42…導電性層
51,61…包装用容器
Claims (14)
- 基材フィルムと、該基材フィルムの少なくとも一方の面に設けられた平滑表面を有するバリア性蒸着層と、該バリア性蒸着層に積層された平滑表面を有する耐酸性の保護層と、を備えることを特徴とするガスバリアフィルム。
- 前記バリア性蒸着層と保護層との積層が2回以上繰り返し形成されていることを特徴とする請求項1に記載のガスバリアフィルム。
- 前記バリア性蒸着層の平滑表面は、表面粗さRaが6nm以下、最大高低差P−Vが60nm以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のガスバリアフィルム。
- 前記保護層の平滑表面は、表面粗さRaが6nm以下、最大高低差P−Vが60nm以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のガスバリアフィルム。
- 前記バリア性蒸着層は、アルミニウム、亜鉛、インジウム、珪素および錫の中から選択される少なくとも1種の元素と酸素とを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のガスバリアフィルム。
- 前記保護層の耐酸性は、塩酸:硝酸:水の体積混合比が1:0.08:1である酸化インジウム錫エッチング液によるエッチング速度が0.01μm/分以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のガスバリアフィルム。
- 前記保護層は、蒸着法により形成された層であり、厚みが50nm〜1μmの範囲内にあることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のガスバリアフィルム。
- 前記保護層は、酸化珪素膜、窒化珪素膜、炭化珪素膜、酸化炭化珪素膜、酸化窒化珪素膜、酸化窒化炭化珪素膜、炭化水素膜、炭化フッ化膜、ポリイミド膜、ポリアミド膜、アクリレート膜、メタクリレート膜、ウレタンアクリレート膜、エポキシ膜、エポキシアクリレート膜、アクリル膜およびオレフィン膜の中から選択される1種以上の膜からなる層であることを特徴とする請求項7に記載のガスバリアフィルム。
- 前記保護層は、湿式成膜法により形成された層であり、厚みが50nm〜10μmの範囲内にあることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のガスバリアフィルム。
- 前記保護層は、アクリレート樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、オレフィン樹脂、カルド樹脂およびメタクリル樹脂の中から選択される1種以上の樹脂からなる層であることを特徴とする請求項9に記載のガスバリアフィルム。
- 酸素透過率が0.1cc/m2/day・atm以下であり、水蒸気透過率が0.1g/m2/day以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれかに記載のガスバリアフィルム。
- 請求項1乃至請求項11のいずれかに記載のガスバリアフィルムの少なくとも一方の面にヒートシール性樹脂層を設けたことを特徴とする積層材。
- 請求項1乃至請求項11のいずれかに記載のガスバリアフィルムの少なくとも一方の面に導電性層を設けたことを特徴とする積層材。
- 請求項13に記載の積層材を基材として用い、前記導電性層上に画像表示層を備えることを特徴とする画像表示媒体。
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