JP2012003007A - 偏光板離型用二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】積層二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムであって、下記構成要件(1)〜(4)を満たす偏光板離型用二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム。(1)共押出法による3層以上の積層構成、(2)両表面層を構成するポリエステルはヒドロキシル(OH)末端量が70eq/ton以下で、かつ環状三量体含有量が0.45質量%以下、(3)マイクロ波透過型分子配向計で測定したMOR値が1.80〜2.10、(4)フィルム幅方向における配向角の変化量が500mm当り3.0°〜5.0°
【選択図】なし
Description
(1)共押出法による3層以上の積層構成を有し
(2)両表面層を構成するポリエステルはヒドロキシル(OH)末端量が70eq/ton以下で、かつ環状三量体含有量が0.45質量%以下
(3)マイクロ波透過型分子配向計で測定したMOR値が1.80〜2.10
(4)フィルム幅方向における配向角の変化量が500mm当り3.0°〜5.0°
熱処理においては不活性ガス中の含水量は好ましくは3.5〜30.0g/Nm3であり、より好ましくは4.0〜20.0g/Nm3である。調湿不活性ガス中の含水量が3.5g/Nm3未満の場合には、得られるポリエステルの固有粘度の上昇が著しい。調湿不活性ガス中の含水量が過剰である場合には、加水分解反応が起こり、得られるポリエステルの固有粘度が低下するおそれがある。
−0.05dl/g≦加熱処理前の極限粘度−加熱処理後の極限粘度≦0.05dl/g
粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で写真を撮り、最も小さい粒子1個の大きさが2〜5mmとなるような倍率で、300〜500個の粒子の最大径(最も離れた2点間の距離)を測定し、その平均値を平均粒径とする。
MOR値を上記範囲にするためには、縦方向および横方向の延伸倍率を制御することが好ましい。
これまで、光学的な軸精度を保持するために、比較的低温での熱固定処理が推奨されている。しかしながら、軸精度と熱寸法安定性の両立を図るためには、本願発明では熱固定処理工程の温度は220℃以上230℃以下が好ましい。熱固定処理の温度が220℃以上では、熱収縮率の絶対値が小さくなり好ましい。また、熱固定処理の温度が230℃以下であると、フィルムが不透明になり難く、また破断の頻度が少なくなり好ましい。
JIS K 7105「プラスチックの光学的特性試験方法」ヘーズ(曇価)に準拠して測定した。測定器には、日本電色工業社製NDH−300A型濁度計を用いた。
フィルムの加熱処理前のヘイズ値(A)と、170℃の雰囲気中のオーブンに入れ、無荷重下で170±3℃で20分加熱処理した後のヘイズ値(B)をJIS K 7105「プラスチックの光学的特性試験方法」ヘーズ(曇価)に準拠して測定する。以下の式よりヘイズ変化量を求め、下記分類にて評価した。
ヘイズ変化量(△ヘイズ)(%)=(B)−(A)
<ヘイズ変化量 分類基準>
○:ヘイズ変化量が0.1%以下である
×:ヘイズ変化量が0.1%を超える
フィルムまたは樹脂を細かく粉砕し、0.1gをヘキサフルオロイソプロパノールール(HFIP)/クロロホルム(2/3(容量比))の混合溶媒3mlに溶解した。得られた溶液にクロロホルム20mlを加えて均一に混合した。得られた混合液にメタノール10mlを加え、線状ポリエステルを再沈殿させた。次いで、この混合液を濾過し、沈殿物をクロロホルム/メタノール(2/1(容量比))の混合溶媒30mlで洗浄し、さらに濾過した。得られた濾液をロータリーエバポレーターで濃縮乾固した。濃縮乾固物にジメチルホルムアミド10mlを加え、環状三量体測定溶液とした。この測定溶液を横河電機(株)社製LC100型の高速液体クロマトグラフィーを使用して定量した。
なお、表面層Aの試料は、A層単独で押出したフィルムサンプルを作製し、それを試料とした。
フィルムまたは樹脂を細かく粉砕し、15mgを秤量した。0.1mlのヘキサフルオロイソプロパノールール(HFIP)−d2に完全に溶解させた後、重クロロホルム0.6mlで希釈した。さらに、HFIPのOH基ピークをシフトさせるために、ピリジン−d5を30μl添加し、H−NMR(BBO−5mmプローブ)で測定した。
なお、表面層Aの試料は、A層単独で押出したフィルムサンプルを作製し、それを試料とした。
ポリエステル0.2gをフェノール/1,1,2,2−テトラクロルエタン(60/40(重量比))の混合溶媒50ml中に溶解し、30℃でオストワルド粘度計を用いて測定した。なお、表面層Aの試料は、A層単独で押出したフィルムサンプルを作製し、それを試料とした。
JIS C 2318−1997 5.3.4(寸法変化)に準拠して測定した。測定すべき方向に対し、フィルムを幅10mm、長さ250mmに切り取り、200mm間隔で印を付け、5gfの一定張力下で印の間隔(A)を測定する。次いで、フィルムを150℃の雰囲気中のオーブンに入れ、無荷重下で150±3℃で30分間加熱処理した後、5gfの一定張力下で印の間隔(B)を測定する。以下の式より熱収縮率を求めた。
熱収縮率(%)=(A−B)/A×100
フィルムの表面を触針式三次元表面粗さ計(株式会社小坂研究所社製、SE−3AK)を用いて、針の半径2μm、荷重30mg、針のスピード0.1mm/秒の条件下で、フィルムの長手方向にカットオフ値0.25mmで、測定長1mmにわたって測定し、2μmピッチで500点に分割し、各点の高さを三次元粗さ解析装置(株式会社小坂研究所社製、TDA−21)に取り込ませた。これと同様の操作をフィルムの幅方向について2μm間隔で連続的に150回、即ちフィルムの幅方向0.3mmにわたって行い、解析装置にデータを取り込ませた。次に、前記解析装置を用いて、三次元平均表面粗さSRaを求めた。SRaの単位はμmである。なお、測定は3回行い、それらの平均値を採用した。
MOR値の測定は、王子計測器株式会社製、MOA−6004型分子配向計を用いて行った。測定するポイントはフィルムの幅方向における中央部のポイント及びその中央部とフィルム両端部と結ぶ端部側の1/5のポイントの合計3ヶ所である。つまりフィルムの幅方向の直線における一方の端部からの10%、50%、90%の距離の3ヶ所のポイントにおいてMOR値が測定される。
フィルム幅において、端縁を0%とし、他の端縁を100%とする。該フィルム幅の10%に相当する領域から90%に相当する領域について、幅方向に100mmピッチで連続してn個の100mm四方の正方形のフィルムサンプルを切り出した。該正方形のフィルムサンプルは長手方向、又は幅方向のいずれかの軸を基準に直角に切り出した。各フィルムサンプルについて、王子計測器株式会社製、MOA−6004型分子配向計を用いて、フィルム長手方向に対する分子鎖主軸の配向角(θi)、及び下記式によって定義される機械軸方向(長手方向、または幅方向のいずれか)に対する光学主軸の傾斜角(ξi)を測定した。
|θ|≦45度のとき ξ=|θ|
|θ|>45度のとき ξ=|90度−|θ||
上記フィルムサンプルより測定した光学主軸の傾斜角のうち、最大値を光学主軸の最大傾斜角(ξmax)、最小値を最小傾斜角(ξmin)とした。
最大傾斜角を得た測定位置をLmax(mm)、最小傾斜角を得た測定位置をLmin(mm)とした場合に、500mmあたりの配向角の変化量は下記式で表すことができる。
(配向角の変化量)=(ξmax−ξmin)/(Lmax−Lmin)×500
得られたフィルムを幅10mmに裁断し、JIS−K−7127(2000)に準拠し、株式会社オリエンテック製「テンシロン万能試験機RTA−T−4M」を用い、初期長50mm、引張速度200mm/分として引張試験を行った。当該引張試験により得られた応力−歪み曲線の最初の直線部分を用い、直線上の2点間の応力の差を同じ2点間の歪みの差によって除すことにより、引張弾性率を得た。当該測定は、温度23±2℃、相対湿度50±15%RHに調整された標準環境下にて行い、縦方向及び横方向について測定した。縦方向もしくは横方向の引張弾性率について何れか小さい方の値が80%以上のものは耐破れ性を○とし、80%未満のものは耐破れ性を×とした。
得られたフィルムの片面に下記シリコーン塗布液を加工張力10kg/mを印可した状態でダイコート方式でシリコーンを塗布し、120℃のオーブンで乾燥させた。
(シリコーン塗布液)
硬化性シリコーン(KS847H、信越化学) 100質量部
硬化剤(CAT PL−50T、信越化学) 2質量部
希釈剤 メチルエチルケトン/キシレン/メチルイソブチルケトン 898質量部
得られたシリコ−ン塗布後のサンプルをロ−ルからカットして、平坦なテ−ブルの上に5mの長さを広げて、塗布面に蛍光灯の光を反射させて下記評価方法により熱しわの有無を確認する。
○:熱しわは全く見られず良好。
△:全面に熱しわは見られないが部分的に熱しわがみられる。
×:全面に熱しわが確認できる。
(12)で得られた離型フィルムを幅方向が偏光フィルムの配向軸と平行となるように、粘着剤を介して離型フィルムを偏光フィルムに密着させ偏光板とした。白色光源とカメラの間に、2枚の偏光板をクロスニコルに配置し、その間に離型フィルムを密着させた偏光板を配置した。光源として180Wのメタハラ伝送ライト、カメラとして55mmマクロレンズを備えた5000画素ラインカメラを用いた。サンプルを5m/minで移動させながら検査範囲(12×7cm)について異物検査を行った。カメラからの画像信号は画像処理装置で処理し、検出された50μm以上の欠点を測定した。同様のサンプルを検査範囲(12×7cm)についてクロスニコル下で同様に50μm以上の欠点を測定した。得られた結果から以下のようにして検査性を評価した。
○:コントラストが良好で目視結果と自動検査結果が同等(目視検査の欠点数の98%
以上を自動検出)、かつ、自動検査時の滑り性が良好
△:目視結果と自動検査結果がほぼ同等(目視検査の欠点数の98%未満を自動検出
×:干渉斑の発生
ジメチルテレフタレート1,000部、エチレングリコール700部、および酢酸亜鉛・2水塩0.3部をエステル交換反応缶に仕込み、120〜210℃でエステル交換反応を行い、生成するメタノールを留去した。さらにリン酸0.13および三酸化アンチモン0.3部を加え、系内を徐々に減圧にし、75分間で1mmHg以下とした。同時に徐々に昇温し、280℃とした。同条件で70分間重縮合反応を実施し、溶融ポリマーを吐出ノズルより水中に押し出し、カッターによって、直径約3mm、長さ約5mmの円柱状チップとした。得られた粗製ポリエステルの固有粘度は0.610dl/gであり、ヒドロキシル(OH)末端量は70eq/tonであり、環状三量体の含有量は1.05質量%であった。なお、実施例中にある「部」とは全て質量部を表す。得られたポリエステルをポリエステル樹脂(PET(B))とする。
ジメチルテレフタレート1,000部、エチレングリコール700部、および酢酸亜鉛・2水塩0.3部をエステル交換反応缶に仕込み、120〜210℃でエステル交換反応を行い、生成するメタノールを留去した。エステル交換反応が終了した時点で、シリカ粒子(富士シリシア化学社製、サイリシア310)を最終濃度として1000ppmになるように添加し、さらにリン酸0.13および三酸化アンチモン0.3部を加え、系内を徐々に減圧にし、75分間で1mmHg以下とした。同時に徐々に昇温し、280℃とした。同条件で70分間重縮合反応を実施し、溶融ポリマーを吐出ノズルより水中に押し出し、カッターによって、直径約3mm、長さ約5mmの円柱状チップとした。得られた粗製ポリエステルの固有粘度は0.610dl/gであり、ヒドロキシル(OH)末端量は70eq/tonであり、環状三量体の含有量は1.05質量%であった。得られた粗製ポリエステルをポリエステル樹脂(PET(0))とする。
ポリエステル樹脂(PET(0))を減圧下160℃にて乾燥し、次いで、含水量が6.4g/Nm3に調湿された窒素ガスを粗製ポリエステル1kg当たり、毎時70リットルの割合で流通し、207℃で48時間加熱処理を行った。得られたポリエステルの固有粘度は0.631dl/gであり、ヒドロキシル(OH)末端量は59eq/tonであり、環状三量体の含有量は0.27質量%であった。
ポリエステル樹脂(PET(0))を減圧下160℃にて乾燥し、次いで、含水量が15.3g/Nm3に調湿された窒素ガスを粗製ポリエステル1kg当たり、毎時300リットルで流通し、230℃で12時間加熱処理を行った。得られたポリエステルの固有粘度は0.617dl/gであり、ヒドロキシル(OH)末端量は63eq/tonであり、環状三量体の含有量は0.28質量%であった。
重合時間を調整した以外はポリエステル樹脂(PET(0))と同様にして、固有粘度が0.648dl/gであり、ヒドロキシル(OH)末端量は64eq/tonであり、環状三量体の含有量が1.2質量%である粗製ポリエステルを得た。得られた粗製ポリエステルを、減圧下160℃にて乾燥し、次いで、含水量が15.3g/Nm3に調湿された窒素ガスを粗製ポリエステル1kg当たり、毎時300リットルで流通し、220℃で24時間加熱処理を行った。得られたポリエステルの固有粘度は0.623dl/gであり、ヒドロキシル(OH)末端量は57eq/tonであり、環状三量体の含有量は0.27質量%であった。
ポリエステル樹脂(PET(0))を減圧下160℃にて乾燥し、窒素雰囲気下0.1kg/cm2の微加圧に調整し、215℃で24時間加熱処理を行った。得られたポリエステルの固有粘度は0.622dl/gであり、ヒドロキシル(OH)末端量は73eq/tonであり、環状三量体の含有量は0.30質量%であった。
(1)偏光板離型用二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの製造
表面層(A)の原料として、PET(A)Iを135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した後、押出機1に供給した。また、中間層(B)層の原料としてPET(B)を135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した後、押出機2に供給した。押出機2、及び押出機1に供給された各原料を、押出機の溶融部、混練り部、ポリマー管、ギアポンプ、フィルターまでの樹脂温度は280℃、その後のポリマー管では275℃とし、3層合流ブロックを用いてA/B/Aとなるように積層し、口金よりシート状に溶融押し出した。なお、A層とB層との厚み比率は、A/B/A=8/84/8となるように、各層のギアポンプを用いて制御した。また、前記のフィルターには、いずれもステンレス焼結体の濾材(公称濾過精度:10μm粒子を95%カット)を用いた。また、口金の温度は、押出された樹脂温度が275℃になるように制御した。
表面層(A)に用いる原料を表2のように変更する以外は実施例1に記載と同様の方法にてフィルムを得た。得られたフィルム物性を表3に示す。
縦延伸倍率を2.6倍に変更する以外は実施例1に記載と同様の方法にてフィルムを得た。得られたフィルム物性を表3に示す。本実施例により得られた二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは配向角変動を抑制し、MOR値が大きいことにより、更に優れた偏光板検査性を達成した。
縦延伸倍率を2.9倍に変更する以外は実施例1に記載と同様の方法にてフィルムを得た。得られたフィルム物性を表3に示す。本実施例により得られた二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは配向角変動、MOR値が若干悪化したが、高精度の検査に好適に使用し得るフィルムであった。
実施例1において製膜条件を表2に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法にてフィルムを得た。得られたフィルム物性を表3に示す。
表2に示す通りに表面層AのPETを変更した以外は実施例1に記載と同様の方法にてフィルムを得た。得られたフィルムの物性を表3に示す。本実施例により得られた二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは高温での寸法安定性に優れるが、熱処理後のヘイズ変化量が大きく、偏光板検査性に劣るものであった。
表2に示す通りに変更した以外は実施例1に記載と同様の方法にてフィルムを得た。得られたフィルムの物性を表3に示す。本実施例により得られた二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは高温での寸法安定性に劣り、大画面用途の偏光板製造工程において、高精度の検査に使用することができなかった。
表2に示す通りに変更した以外は実施例1に記載と同様の方法にてフィルムを得た。得られたフィルムの物性を表3に示す。本実施例により得られた二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムはMOR値が低く、配向角変動が大きいため偏光板検査性に劣るものであった。
表2に示す通りに変更した以外は実施例1に記載と同様の方法にてフィルムを得た。得られたフィルムの物性を表3に示す。本実施例により得られた二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは、高温での寸法安定性に劣り、MOR値も小さいため偏光板検査性に劣るものであった。
表2に記載の条件変更以外は、実施例1と同様の方法にて作成した。得られたフィルム物性を表3に示す。本実施例により得られた二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは、フィルムが一方向に裂けやすく、耐破れ性が低いものであった。
Claims (1)
- 積層二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムであって、下記構成要件(1)〜(4)を満たす偏光板離型用二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム。
(1)共押出法による3層以上の積層構成を有する
(2)両表面層を構成するポリエステルはヒドロキシル(OH)末端量が70eq/ton以下で、かつ環状三量体含有量が0.45質量%以下
(3)マイクロ波透過型分子配向計で測定したMOR値が1.80〜2.10
(4)フィルム幅方向における配向角の変化量が500mm当り3.0°〜5.0°
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