JP6688448B2 - 光学フィルム検査用二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム - Google Patents
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Description
(1)150℃、30分間加熱したときの熱収縮率が長手方向および幅方向とも2.0%以下
(2)150℃、30分間加熱したときの全方位熱収縮率の最大と最小の差が0.5%以下
(3)150℃、30分間加熱したときの全方位熱収縮率の5°当りの最大変化量が500ppm以下
(4)フィルム幅方向における配向角の変化量が100mm当り0.2°〜0.8°
(6)フィルムヘーズが3.0%以下
(7)中心層とこれに接する両表層から構成される積層フィルム
(8)両表層は平均粒径1.0〜5.0μmの微粒子を0.10〜0.20質量%含有する
(9)中心層は平均粒径1.0〜5.0μmの微粒子を0質量%を超え0.10質量%以下含有する
(5)全光線透過率が85%以上
粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で写真を撮り、最も小さい粒子1個の大きさが2〜5mmとなるような倍率で、300〜500個の粒子の最大径(最も離れた2点間の距離)を測定し、その平均値を平均粒径とする。
これまで、光学的な軸精度を保持するために、比較的低温での熱固定処理が推奨されている。しかしながら、本願発明では熱固定処理工程の温度は220℃以上230℃以下が好ましい。熱固定処理の温度が220℃以上であると、150℃、30分加熱したときの熱収縮率の絶対値が長手方向および巾方向ともに小さくなり好ましい。また、熱固定処理の温度が230℃以下であると、フィルムが不透明になり難く、また破断の頻度が少なくなり好ましい。
本発明における光学フィルム検査用二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを得るためには4.2〜4.8倍の範囲で幅方向に延伸を行うことが望ましい。幅方向の延伸倍率が4.2倍以上であると、目視検査性が良好であるため好ましい。4.8倍以下であると破断の頻度が少なくなり好ましい。
本発明における光学フィルム検査用二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを得るためには2.6〜3.0倍の範囲で長手方向の延伸を行うことが望ましい。長手方向(縦)の延伸倍率が2.6倍以上であると、フィルム長手方向の厚み変動が小さくなり好ましい。3.0倍以下であるとフィルム幅方向における配向角の変化量が小さく、全方位熱収縮率の変化量が小さくなり好ましい。
熱固定処理で把持具のガイドレールを先狭めにして、緩和処理することは熱収縮率、特に幅方向の熱収縮率の制御に有効である。緩和処理する温度は熱固定処理温度からポリエチレンテレフタレートフィルムのガラス移転温度Tgまでの範囲で選べるが、好ましくは(熱固定処理温度)−10℃〜Tg+10℃である。この幅方向の緩和率は2.0〜4.0%が好ましい。これにより全方位熱収縮率差を低減できるため好ましい。2.0%未満では効果が少なく、4.0%以下であるとフィルムの平面性の点で好ましい。
本発明における光学フィルム検査用二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを得るためには、0.005〜6.0%/秒の緩和速度で幅方向に緩和処理を行うことが望ましい。さらに望ましくは、0.1〜5.0%/秒、特に望ましくは0.5〜4.0%/秒である。幅方向緩和速度が6.0%/秒以下であれば、局所的な平面性不良が発生せず、全方位収縮率差を低減できるため好ましい。幅方向緩和速度の下限は限定されないが、0.005%/秒未満の幅方向緩和速度で全方位収縮率差を低減できる特定の幅方向緩和率を実施すると、緩和処理に要する時間が長くなりフィルム表面が白化し、透明性を阻害してしまう。
フィルムの表面を触針式三次元表面粗さ計(株式会社小坂研究所社製、SE−3AK)を用いて、針の半径2μm、荷重30mg、針のスピード0.1mm/秒の条件下で、フィルムの長手方向にカットオフ値0.25mmで、測定長1mmにわたって測定し、2μmピッチで500点に分割し、各点の高さを三次元粗さ解析装置(株式会社小坂研究所社製、TDA−21)に取り込ませた。これと同様の操作をフィルムの幅方向について2μm間隔で連続的に150回、即ちフィルムの幅方向0.3mmにわたって行い、解析装置にデータを取り込ませた。次に、前記解析装置を用いて、三次元平均表面粗さSRaを求めた。SRaの単位はμmである。なお、測定は3回行い、それらの平均値を採用した。
JIS K 7105「プラスチックの光学的特性試験方法」ヘーズ(曇価)に準拠して測定した。測定器には、日本電色工業社製NDH−300A型濁度計を用いた。
JIS C 2318−1997 5.3.4(寸法変化)に準拠して測定した。測定すべき方向に対し、フィルムを幅10mm、長さ250mmに切り取り、200mm間隔で印を付け、5gfの一定張力下で印の間隔(A)を測定する。次いで、フィルムを150℃の雰囲気中のオーブンに入れ、無荷重下で150±3℃で30分間加熱処理した後、5gfの一定張力下で印の間隔(B)を測定する。以下の式より熱収縮率を求めた。
熱収縮率(%)=(A−B)/A×100
フィルムを巾300mmに切り取り、直径250mmの円状に印を付ける。長手方向を0°、幅方向を90°とし5°ピッチでフィルム面内の収縮率を上記加熱収縮率測定方法に従い熱収縮率を求めた。最大値と最小値の差を「全方位熱収縮率の最大と最小の差」とし、隣り合う位置の加熱収縮率差を算出し、その最大値をもって「全方位熱収縮率の5°当りの最大変化量」とした。
(5−1)分子鎖主軸の配向角(θ)、光学主軸の傾斜角(ξ)
各実施例で得られた光学検査用二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム幅において、端縁を0%とし、他の端縁を100%とする。上記フィルム幅の10%に相当する領域から90%に相当する領域について、幅方向に100mmピッチで連続してn個の100mm四方の正方形のフィルムサンプルを切り出した。該正方形のフィルムサンプルは長手方向、又は幅方向のいずれかの軸を基準に直角に切り出した。各フィルムサンプルについて、王子計測器株式会社製、MOA−6004型分子配向計を用いて、フィルム長手方向に対する分子鎖主軸の配向角(θi)、及び下記式によって定義される機械軸方向(長手方向、または幅方向のいずれか)に対する光学主軸の傾斜角(ξi)を測定した。それぞれ長手方向に3箇所サンプリングしその平均値を求めた。なお、nは、フィルム全幅に0.8を乗じ、10mmで除した数値の小数点以下を切り上げた整数である。また、iはサンプル番号を表し、i=1〜nである。
|θ|≦45度のとき ξ=|θ|
|θ|>45度のとき ξ=|90度−|θ||
(5−2)配向角の変化量
上記フィルムサンプルより測定した光学主軸の傾斜角のうち、最大値を光学主軸の最大傾斜角(ξmax)、最小値を最小傾斜角(ξmin)とした。
最大傾斜角を得た測定位置をLmax(mm)、最小傾斜角を得た測定位置をLmin(mm)とした場合に、100mmあたりの配向角の変化量は下記式で求めた。
(配向角の変化量)=(ξmax−ξmin)/(Lmax−Lmin)×100
光学フィルム検査用二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム上に、加工張力10kg/mを印可した状態でダイコート方式でシリコーンを塗布し、120℃のオーブンで乾燥させた。上述のシリコ−ン塗布後のサンプルをロ−ルからカットして、平坦なテ−ブルの上に5mの長さを広げて、塗布面に蛍光灯の光を反射させて熱しわの有無を確認した。
○:熱しわは全く見られず良好。
×:熱しわが確認できる。
大面積の光学フィルム検査性の評価は以下のモデルを用いて実施した。光学フィルムとしては30cm×43cmの偏光フィルムを用い3枚×4枚と縦、横に配置することで大面積偏光フィルムとした。本発明で得た二軸延伸フィルム上に離型剤を塗布しドライヤー温度120℃で得た離型フィルムの幅方向が、大面積偏光フィルムの配向軸(偏光フィルムの配向軸は43cmの辺と平行)と平行となるように、粘着剤を介して離型フィルムを偏光フィルムに密着させ大面積検査用偏光板を作成した。同様に作成した偏光フィルムを大面積検査用偏光板と配向主軸が直交するように、また離型フィルムを偏光板で挟むように重ね合わせ、後方より白色光を照射し、目視にて観察し、偏光板の四隅の箇所の色ムラ差有無を以下の評価基準によって評価した。
○:色ムラに差が見られず良好。
×:色ムラに差が確認でき、不良。
(1)PET樹脂(A)の製造
エステル化反応缶を昇温し、200℃に到達した時点で、テレフタル酸を86.4質量部及びエチレングリコールを64.4質量部からなるスラリーを仕込み、攪拌しながら触媒として三酸化アンチモンを0.017質量部及びトリエチルアミンを0.16質量部添加した。次いで、加圧昇温を行いゲージ圧3.5kgf/cm2、240℃の条件で、加圧エステル化反応を行った。その後、エステル化反応缶内を常圧に戻し、酢酸マグネシウム4水和物0.071質量部、次いでリン酸トリメチル0.014質量部を添加した。さらに、15分かけて260℃に昇温し、リン酸トリメチル0.012質量部、次いで酢酸ナトリウム0.0036質量部を添加した。15分後、得られたエステル化反応生成物を重縮合反応缶に移送し、減圧下260℃から280℃へ徐々に昇温し、285℃で重縮合反応を行った。
添加剤としてシリカ粒子(富士シリシア化学株式会社製、サイリシア310、平均粒径2.7μm)を2000ppm含有したポリエチレンテレフタレートをPET(A)樹脂と同様の製法で作成した。
表層(a)の原料として、PET樹脂(A)40質量部と、PET樹脂(B)60質量部とをペレット混合し、135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した後、押出機1に供給した。また、中間層(b)層の原料としてPET樹脂(A)82質量部と、PET樹脂(B)18質量部とをペレット混合し、135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した後、押出機2に供給した。押出機2、及び押出機1に供給された各原料を、押出機の溶融部、混練り部、ポリマー管、ギアポンプ、フィルターまでの樹脂温度は280℃、その後のポリマー管では275℃とし、3層合流ブロックを用いてa/b/aとなるように積層し、口金よりシート状に溶融押し出した。なお、a層とb層との厚み比率は、a/b/a=8/84/8となるように、各層のギアポンプを用いて制御した。また、前記のフィルターには、いずれもステンレス焼結体の濾材(公称濾過精度:10μm粒子を95%カット)を用いた。また、口金の温度は、押出された樹脂温度が275℃になるように制御した。
取り位置を上記フィルム幅の60%に相当する領域から70%に相当する領域に変更する以外は実施例1に記載と同様の方法にて作成した。得られたフィルム物性を表2に示す。
取り位置を上記フィルム幅の70%に相当する領域から80%に相当する領域に変更する以外は実施例1に記載と同様の方法にて作成した。得られたフィルム物性を表2に示す。
取り位置を上記フィルム幅の80%に相当する領域から90%に相当する領域に変更する以外は実施例1に記載と同様の方法にて作成した。得られたフィルム物性を表2に示す。
表層(a)の原料として、PET樹脂(B)100質量部、中間層(b)層の原料としてPET樹脂(A)89質量部と、PET樹脂(B)11質量部用いる以外は実施例1に記載と同様の方法にて作成した。得られたフィルム物性を表2に示す。
表層(a)、中間層(b)各層の原料比率を表1のようにした以外は実施例1に記載と同様の方法にて作成した。得られたフィルム物性を表2に示す。
幅方向緩和速度を0.9%/秒とする以外は実施例1に記載と同様の方法にて作成した。得られたフィルム物性を表2に示す。
幅方向緩和速度を0.0047%/秒とする以外は実施例1に記載と同様の方法にて作成した。得られたフィルム物性を表2に示す。
幅方向緩和速度を6.6%/秒とする以外は実施例1に記載と同様の方法にて作成した。得られたフィルムは局所的な平面性不良を生じており、光学検査用フィルムとして適さないものであったため、フィルム物性等の評価は行わなかった。
200℃で緩和処理を行い、表1記載の製膜条件とする以外は実施例1に記載と同様の方法にて作成した。得られたフィルム物性を表2に示す。
210℃で緩和処理を行い、表1記載の製膜条件とする以外は実施例1に記載と同様の方法にて作成した。得られたフィルム物性を表2に示す。
表1記載の製膜条件とする以外は実施例1に記載と同様の方法にて作成した。得られたフィルム物性を表2に示す。
一方、比較例3により得られたフィルムは、局所的にシワが確認され、高精度の検査に用いることが困難であった。また、フィルム幅方向における配向角の変化量も大きく、大画面用途の光学フィルム検査用としては十分なものが得られなかった。
また、比較例4により得られたフィルムは、全体的にシワが確認され、高精度の検査に用いることが困難であった。また、フィルム幅方向における配向角の変化量も大きく、大画面用途の光学フィルム検査用としては十分なものが得られなかった。
また、比較例5により得られたフィルムは、高温での熱寸法安定性に劣り、大画面用途の光学フィルム製造工程において、高精度の検査に使用することができなかった。
Claims (2)
- 下記要件(1)〜(4)及び(6)〜(9)を満たす光学フィルム検査用二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム。
(1)150℃、30分間加熱したときの熱収縮率が長手方向および幅方向とも2.0%以下
(2)150℃、30分間加熱したときの全方位熱収縮率の最大と最小の差が0.5%以下
(3)150℃、30分間加熱したときの全方位熱収縮率の5°当りの最大変化量が500ppm以下
(4)フィルム幅方向における配向角の変化量が100mm当り0.2°〜0.8°
(6)フィルムヘーズが3.0%以下
(7)中心層とこれに接する両表層から構成される積層フィルム
(8)両表層は平均粒径1.0〜5.0μmの微粒子を0.10〜0.20質量%含有する
(9)中心層は平均粒径1.0〜5.0μmの微粒子を0質量%を超え0.10質量%以下含有する - さらに下記要件(5)を満たす請求項1に記載の光学フィルム検査用二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム。
(5)全光線透過率が85%以上
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