JP4691842B2 - 偏光フィルム貼り合わせ用ポリエステルフィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエステルフィルムに関するものであり、さらに詳しくは本発明は、偏光板、位相差偏光板または位相差板の目視検査による異物や欠陥の発見を容易に可能とする離型フィルム等として用いるのに好適な偏光フィルム貼り合わせ用ポリエステルフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、従来のCRT(Cathode Ray Tube)に比べ薄型軽量、低消費電力、高画質の利点を有する液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)の需要が急速に伸びつつあるが、特に、大画面のTFT(Thin Film Transistor)方式やSTN(Super Twisted Nematic)方式では、不良品発生率が高い。偏光板、位相差偏光板または位相差板は、LCDに必要不可欠な部品であるが、これらについても品質の安定維持が重要課題とされている。
【0003】
偏光板は通常、図1に示す如く偏光フィルム1、表面保護フィルム2、粘着剤層3および離型フィルム4より構成される。偏光フィルム1は、沃素や二色性染料などの偏光素子をポリビニルアルコール系フィルムの如き親水性フィルムなどに吸着配向せしめた偏光軸と吸着軸とを有する偏光子を、上下よりセルロース系フィルムで被覆するか、あるいはアクリル系樹脂をコーティングすることによる構造を有する。表面保護フィルム2は、ポリエステルフィルム等の透湿性が少なく、伸び等の変形が少ない透明なプラスチックフィルムが使用されている。表面保護フィルム2と偏光フィルム1は接着剤(図示省略)で被着されており、該接着剤は表面保護フィルム2とは強固に接着するが、偏光フィルム1とは経日でも容易に剥離し得るものが使用されている。粘着剤層3は偏光フィルム1を液晶セル(図示省略)に粘着するための感圧型粘着剤等よりなり、離型フィルム4はポリエステルフィルム等で構成されている。
【0004】
このような偏光板の製造に際しては、予め原料である偏光フィルム1の光の透過率や偏光度あるいはヘイズ等の光学特性を検査し使用してはいるものの、偏光板への製造工程での偏光フィルムへの機械的応力、異物混入あるいは付着等により欠陥が生じる可能性がある。このため最終製品での異物混入や欠陥検査では、図2に示すが如くクロスニコル法(2枚の偏光板5,7を互いに偏光面を直交させ、その間にフィルム6の長手方向、幅方向をそれぞれ直交する偏光板の偏光面に合わせて挟まれた状態での透過光を観察する方法)による人間の目視検査を行なっている。実際の偏光板の目視検査においては、正常な検光子7の上に、その偏光面に対して偏光面が直交するように、検査対象の偏光板を、図2のクロスニコル法における偏光子5とフィルム6との代わりに重ねて置くと、原理的に、偏光板中の異物混入や欠陥という欠点箇所が輝点として現れるので、目視により欠点が検査できるというものである。
【0005】
しかしながら、現在、偏光板の離型フィルムとして用いられているニ軸配向ポリエステルフィルムは、クロスニコル法による偏光板検査時に、光漏れが生じやすく、正確な目視検査が困難となり、偏光板の異物混入や欠点である輝点を見落とす問題が生じている。光漏れの原因は、主に、ニ軸配向ポリエステルフィルム自体の光学的異方性であると考えられている。
【0006】
そのようなフィルムの光学的異方性は、主として、ニ軸配向ポリエステルフィルムの製膜工程時に生じるボーイング現象により発現する。
【0007】
ボーイング現象とは、従来からポリエステルフィルム製膜工程において広く用いられているテンター法(フィルムの両端部をレール上を走行するクリップで把持して熱風オーブン等に導き、幅方向延伸および熱処理を行う方法)では、熱処理時にフィルム長手方向に生じる応力差の結果、テンター前にフィルム幅方向にマジックインキで引いた直線が熱処理後には、フィルム長手方向に弓なり状に引き戻された形をして出てくる現象をいう。この現象により、製膜フィルム全幅において、中央部から端部へ移行するほどフィルムの配向角のずれ(フィルム長手方向と幅方向でなす直交座標軸と配向主軸(面内で分子が最も分極している方位)となす角度のうち小さい方の角度)が大きくなり、フィルムは光学的異方性を有する。
【0008】
以下、フィルムの光学異方性による影響、すなわち、クロスニコル下における光透過及び光干渉色について詳述する。
【0009】
図2の如く偏光板を観察するクロスニコル法による偏光板目視検査において、フィルム端部へ移行するほどそのフィルムの配向主軸が二枚の偏光板で作られる直交座標からずれるために、フィルムによる複屈折が原因で光透過(光漏れ)及び光干渉色が生じる。複屈折とは、ニ軸配向ポリエステルフィルムなどのフィルム長手方向と幅方向で屈折率が異なる(異方性)物質(複屈折体)に光が入射すると、光は2方向に分かれて進み、物が二重に見える現象のことをいう。
【0010】
クロスニコル下での光漏れを示す尺度である光透過率(T)は、従来から下記式(4)のように、ポリエステルフィルムなどの複屈折体の配向角およびレターデーションが関係していることが知られている。
【0011】
T={(sin2θ)(sinπRe/λ)}2 ・・・式(4)
ここで、θは複屈折体の配向角(°)、Reは式(3)で示されたレターデーション(nm)、λは用いる光線の波長(nm)である。
【0012】
入射光は、正常な偏光板である検光子を通過すると、直線偏光した光となるが、式(4)に示されたように、この光とフィルムの配向主軸の関係が0°もしくは90°の整数倍でなければ、入射光は複屈折により、振動方向が互いに直交し、しかも速度を異にする2つの偏光波に分かれる。これら二つの偏光波が偏光子で合成波となるために光透過(光漏れ)が生じる。
【0013】
また、これら二つの偏光波の位相差を(3)式で示されたレターデーションと呼び、Michel−Levy干渉色図表の通り、従来から、この値に依存して光干渉色が生じることは知られている。実際の偏光板検査時には、このレターデーションの視角依存性が加わるため、検査人の目に届く透過光は明るく虹色に色付いてしまい、偏光板の異物混入や欠陥を見逃してしまう事態が生じている。
【0014】
従来の偏光板の離型フィルムとして用いられてきている二軸配向ポリエステルフィルムの光漏れ対策としては、上記した配向角のずれ及びレターデーションに関するものが多く提案されている。例えば、特開2000−52417、特開2000−131523または特開平9−258022等では、偏光板検査時において離型フィルムの配向主軸と偏光板の偏光面のなす角度を出来るだけ小さくする方法が開示されている。また、特開平6−3664では、光学異方性の少ない低レターデーションである離型フィルムを用いる方法が開示されている。特開2000−94565では、逆に、高レターデーションを有する離型フィルムを用いる方法が開示されている。その他、マイクロ波を用いた分子配向計の透過光強度の最大値と最小値の比で表されるパラメータであるMOR値で定義された離型フィルムなどが開示されている。
【0015】
しかしながら、現在、偏光板用離型フィルムとして用いられているこれらの二軸配向ポリエステルフィルムは、その光学的異方性対策だけでは、光漏れが十分に解決していない場合も多い。
【0016】
その理由の一つとしては、フィルムの光学異方性とは別に、フィルムの粒子及び表面による偏光解消散乱により光漏れが生じていることが考えられる。
【0017】
現在、大きく分けてポリエステル製造時の反応触媒としての金属化合物、りん化合物がポリマー中に析出する粒子(以下、内部粒子と呼ぶ。)および、フィルムの易滑性、表面加工性に影響を与える表面特性を設計するのにポリマーに調整添加する粒子(以下、外部粒子)などの2種類の粒子がある。クロスニコル法による偏光板目視検査において、図2の如く偏光板を観察するときに、白色光源8から検光子7を経た直線偏光の光が離型フィルム6に入射すると、直線偏光した光が粒子及びフィルム表面により散乱すると、もとの光の偏光特性を解消してしまうため、光透過(光漏れ)が生じる。この光散乱は、厚みムラや突起物などによる表面散乱、及び触媒としての内部粒子より主に易滑性などを付与するための外部粒子による散乱がほとんどである。これらは、フィルム表面の形状や散乱体である粒子の粒径、屈折率、分散系及びその濃度などに大きく依存することが知られている。
【0018】
これらの粒子及び表面による偏光解消散乱を問題視し、その対策を開示している提案はなく、特開平2000−141568及び特開平2000−141570において、散乱のパラメータである濁度の指標で開示されているだけである。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、本発明者らの検討によれば、ニ軸配向ポリエステルフィルムの配向角やレターデーションを操作するだけでは目的とする十分な検査性を有する偏光フィルム貼り合わせ用ポリエステルフィルムは得ることができなかった。
【0020】
本発明は、偏光板目視検査において、好適な偏光フィルム貼り合わせ用ポリエステルフィルムを得るためには、第一に偏光解消散乱に起因する光漏れを十分に抑制することを優先しながら、同時に、ニ軸配向ポリエステルフィルムが複屈折体であることに起因する配向角のずれ及びレターデーションによる二つの光漏れを抑制することが必要不可欠であることに着目することで、偏光板検査時において、異物混入や欠陥を見落とす原因である光漏れ及び光干渉色を改善し、昜検査性に優れた偏光フィルム貼り合わせ用ポリエステルフィルムを提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明は、異物混入や欠陥を見落とす原因と考えられている粒子及び表面による偏光解消散乱を優先的に抑えながら、さらには、光学異方性である配向角のずれによる光透過を抑えることによって上記の目的を達成することを見出すことによってなされたものである。
【0022】
すなわち、偏光フィルムと貼り合わせて用いられるポリエステルフィルムであり、濁度(Hd)が、0.0309〜0.0715であり、下記(1)式及び(2)式を同時に満たすことを特徴とする偏光フィルム貼り合わせ用ポリエステルフィルム。
【0023】
Hd×Tt×θ ≦ 1 ………式(1)
Tt ≧ 0.85 ………式(2)
(ただしHd、Tt及びθは、それぞれ、該偏光フィルム貼り合わせ用ポリエステルフィルムの濁度(透過光量に対する散乱光量の比)、光線透過率(入射光量に対する透過光量の比)、及びフィルム長手方向と幅方向でなす直交座標軸と配向主軸となす角度のうち小さい方の角度(°)である。)
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明、すなわち下記(1)式及び(2)式を同時に満たすポリエステルは、従来、余り検討されることのなかった偏光解消散乱による光漏れを考慮したものであり、偏光板検査時において、異物混入や欠陥を見落とす原因である光漏れ及び光干渉色を改善し、昜検査性に優れた偏光フィルム貼り合わせ用ポリエステルフィルムを提供できる。
【0025】
Hd×Tt×θ ≦ 1 ………式(1)
Tt ≧ 0.85 ………式(2)
(ただしHd、Tt及びθは、それぞれ、該偏光フィルム貼り合わせ用ポリエステルフィルムの濁度(透過光量に対する散乱光量の比)、光線透過率(入射光量に対する透過光量の比)、及びフィルム長手方向と幅方向でなす直交座標軸と配向主軸となす角度のうち小さい方の角度(°)である。)好適な偏光板用離型フィルムを得るためには、一般に、式(4)で示される通り、透過光量(光漏れ)を調節するために、配向角(°)を一定範囲に制限する必要がある。しかし、検光子を通過した直線透過光量(図2)にフィルムの濁度を乗じて得た透過光量である偏光解消散乱光量については、クロスニコル法による(4)式の関係式を満たさない。その事実に着目し、鋭意研究した結果、式(1)および式(2)を満たすポリエステルフィルムを見出し、昜検査性に優れた偏光フィルム貼り合わせ用ポリエステルフィルムを発明した。
【0026】
本発明の該ポリエステルフィルムは、濁度と光線透過率と配向角の間で相補正があるため一概には言えないが、基本的に濁度Hdは、偏光解消散乱を抑える観点から少なくとも0.04(4%)以下が好ましい。この場合、光線透過率Ttは、欠点である輝点をより鮮明に浮び上がらせる観点から0.75(75%)以上あることが好ましい。さらに、配向角θは、光漏れを少なくする観点から少なくとも10°以下が好ましい。
【0027】
他の好ましい態様としては、濁度Hdは0.06(6%)以下、光線透過率Ttは、0.85(85%)以上、さらに配向角θは、複屈折体による光漏れを抑える観点から通常10°以下である。本発明による上記式(1)の観点から、濁度Hd×光線透過率Tt×配向角θは、0.6以下であることがより好ましい。
【0028】
光線透過率Ttは、白色光源(C光)である入射光量に対する透過光量の比で表され、濁度Hdは、試料による散乱光量に対する透過光量の比で表せられる。
【0029】
本発明のポリエステルフィルムは、特に限定されるものではないが、少なくとも2層以上の積層構造であることが好ましい。2層以上であれば、3層でも4層でもかまわないが、3層構造の場合においては、本発明の効果がより一層効果的となり好ましい。単層及び2層であると、粒子を制御するのが難しく、易滑性や巻き特性を満足することができないだけでなく、例え、満足できるだけの添加量量を増加させても偏光解消散乱が増加するため好ましくない。
【0030】
本発明のポリエステルフィルムは、二軸に配向していることが好ましい。無配向や一軸配向では、厚みムラなどの平面性が悪く、本発明の特性を満足することが困難である。
【0031】
本発明のポリエステルフィルムの少なくとも片面側の最外層には、粒子を含有しているのが好ましい。この粒子としては無機粒子、有機粒子が挙げられ、無機粒子としては、例えば、結晶系がα、β、γまたはδ型であるアルミナや酸化チタン、ジルコニア、シリカなどを用いることができる。また、有機粒子としては、ポリアクリレート系樹脂、シリコン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリジビニルベンゼン系樹脂などを用いることができる。
【0032】
上記粒子の平均粒径は、0.1μm〜5μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.1μm〜3μmの範囲である。これらの粒子の最外層に対する含有量は、0.01重量%〜10重量%以下であることが好ましく、より好ましくは、0.05重量%〜3重量%であり、更に好ましくは0.08重量%〜1.5重量%の範囲である。
【0033】
粒子の平均粒径や含有量がこれらの範囲よりも小さいと、所望のフィルム突起形成密度が低くなるため易滑性を付与することができず、フィルム表面のキズ発生の原因となり、また、良好な巻き特性が得られにくい場合がある。平均粒径及び含有量がこれらの範囲より大きいと粒子による突起が原因でフィルム表面にキズが発生しやすく、また、偏光解消散乱が大きくなってしまう。
【0034】
本発明のポリエステルフィルムのレターデーション(Re)は、特定範囲内であることが好ましい。このレターデーションとは、下記(3)式で示される物性値である。
【0035】
Re=Δn・d ………式(3)
ここで、Δnは、波長λ=590nmにおけるフィルム面内方向の複屈折、即ち、λ=590nmの光源の光をフイルム面に直角に入射させ、フィルムを透過して出射されてきた透過光を測定することによって求められる複屈折である。また、dはフィルムの厚み(nm)である。
【0036】
本発明のポリエステルフィルムのレターデーション(Re)及びその配向角の好ましい範囲は、レターデーションが1500nm以上で配向角が8°以下、より好ましくは2000nm以上で配向角が8°以下、更に好ましくは3000nm以上で配向角が8°以下である。420nm以上660nm以下の範囲では、例外的に配向角18°以下、より好ましくは、レターデイション(Re)と配向角θが、Reとθの直交座標上にプロットした際に、下記のp、q、r、s、t、u6点で囲まれる六角形の内部にあることである。
p=(420,0) ………式(5)
q=(420,10) ………式(6)
r=(500,17) ………式(7)
s=(580,17) ………式(8)
t=(660,10) ………式(9)
u=(660,0) ………式(10)
1000nm以上1250nm以下の範囲では、配向角9°以下、より好ましくは、レターデイション(Re)と配向角θが、Reとθの直交座標上にプロットした際に、下記のp、q、r、s、t、u6点で囲まれる六角形の内部にあることである。
p=(1050,0) ………式(11)
q=(1050,7) ………式(12)
r=(1150,9) ………式(13)
s=(1150,9) ………式(14)
t=(1200,7) ………式(15)
u=(1250,0) ………式(16)
さらに、Reについて詳細に以下に説明する。Re値が1500nm以上の範囲にすることによって、透過光の干渉色が少ないため、目視検査において、偏光フィルムと貼り合わせるのに好適な偏光フィルム貼り合わせ用ポリエステルフィルムとして使用することができる。一方、Reが420nm以上660nm以下及び1000nm以上1250nm以下の範囲にすることによって、青もしくは紫色系統に色づくため、偏光板の目視検査において輝点である欠点が浮出てくるため、偏光フィルムと貼り合わせるのに好適な偏光フィルム貼り合わせ用ポリエステルフィルムとして使用することができる。
【0037】
本発明のポリエステルフィルムは、150℃で10分間の熱処理条件で測定されるフィルム長手方向、幅方向の熱収縮率が3%以下であることが望ましく、好ましくは、2%以下である。フィルム長手方向、幅方向の熱収縮率が3%以下であると、偏光フィルムとの接着工程において粘着剤中の溶媒を加熱除去する際に、フィルムの平坦性を保つことが容易となり、偏光フィルム検査時に平坦性不良による検査性の低下を抑えることができる。
【0038】
本発明のポリエステルフィルムを、偏光フィルムとの貼り合わせに用いる場合は、ポリエステルフィルムに離型処理を施すことが剥離性の点で好ましい。
離型処理とは、粘着剤被膜やシートに対し適度な力で剥離が可能となるように離型層表面に処理を施すことをいう。かかる離型処理としては、特に限定されないが、シリコーンコーティング処理が好ましい。中でも、硬化シリコーン樹脂塗膜を形成する処理が好ましく用いられる。この硬化シリコーン樹脂塗膜は、硬化性シリコーン樹脂を含む塗液をフィルムの少なくとも片面に塗布し、乾燥、硬化により成形することができる。
【0039】
本発明のポリエステルフィルムの厚みは、レタデーションの範囲内で式(3)を満たす限り、特に限定されないが、離型フィルムとしての使い勝手のよさの観点から10μm以上60μm以下とすることが望ましく、好ましくは15μm〜50μmである。
【0040】
以下に、本発明の偏光フィルム貼り合わせ用ポリエステルフィルムの製造方法を説明する。
【0041】
本発明におけるポリエステルフィルムに用いられるポリエステルとは、芳香族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸とジオールを主たる構成成分とするポリエステルである。ここで、芳香族ジカルボン酸として、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルスルホンジカルボン酸等を挙げることができる。また、脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等を挙げることができる。中でも、好ましくはテレフタル酸とイソフタル酸を挙げることができる。これらの酸成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよく、さらには、ヒドロキシ安息香酸等のオキシ酸等を一部共重合してもよい。また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等を挙げることができる。中でも、エチレングリコールが好ましく用いられる。これらのジオール成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0042】
本発明のポリエステルフィルムに用いられるポリエステルとして好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、エチレンテレフタレートとエチレンイソフタレートとの共重合体、ポリブチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリブチレンナフタレートおよびその共重合体、さらにはポリヘキサメチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリヘキサメチレンナフタレートおよびその共重合体等を挙げることができ、特に耐熱性と透明性および機械強度のバランスの点からポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。
【0043】
本発明におけるポリエステルは、従来公知の方法で製造することができる。例えば、酸成分をジオール成分と直接エステル化反応させた後、この反応の生成物を減圧下で加熱して余剰のジオール成分を除去しつつ重縮合させることによって製造する方法や、酸成分としてジアルキルエステルを用い、これとジオール成分とでエステル交換反応させた後、上記と同様に重縮合させることによって製造する方法等がある。この際、必要に応じて、反応触媒として従来公知のアルカリ金属、アルカリ土類金属、マンガン、コバルト、亜鉛、アンチモン、ゲルマニウムおよびチタン化合物を用いることができる。
【0044】
本発明に於けるポリエステルには、必要に応じてさらに難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、顔料、脂肪酸エステル、ワックス等の有機滑剤あるいはシロキサン等の消泡剤等を配合することができる。
【0045】
かかるポリエステルを、上記溶融ポリマーを押出機に供給して、T型口金等を用いてシート状に溶融押出しする。その後、キャスティングドラム上で冷却固化した未延伸フィルムを、ポリエステルのガラス転移点以上の温度で延伸する。延伸方法は、いかなる延伸方法であってもよく、通常、逐次ニ軸延伸方式である長手方向に延伸した後に幅方向に延伸する方法、幅方向に延伸した後に長手方向に延伸する方法が用いられるが、場合によっては長手方向、幅方向に同時に延伸する方法、また長手方向の延伸、幅方向の延伸を複数回組み合わせて行ってもよい。長手方向の延伸倍率は、樹脂の種類、用途などにより異なるが通常、2〜15倍である。特に、ポリエチレンテレフタレートの偏光フィルム貼り合わせ用ポリエステルフィルムの場合、2〜5倍程度である。また、幅方向の延伸倍率は、樹脂の種類、用途などにより異なるが、通常2〜10倍である。特に、ポリエチレンテレフタレートからなるポリエステルフィルムの場合、3〜5倍程度である。次いで、延伸されたフィルムを熱処理する。熱処理温度は、延伸温度より高く結晶融点より低い温度でなされるのが一般的であるが、あまり高くするとボーイングが大きくなりやすいのでポリエチレンテレフタレートである場合は130℃ないし230℃の範囲であることが好ましい。
【0046】
また、ボーイングを低減させる種々の方法を採用することもできる。フィルムのボーイングを低減させる方法としては、例えば、幅方向延伸後に一旦ポリエステルのガラス転移温度以下に冷却した後熱処理する方法、幅方向延伸後にニップロールを設ける方法、熱処理室を複数のゾーンに分けて段階的に昇温する方法、幅方向に温度分布を設けて熱処理する方法、熱処理室でも幅方向に2〜20%の再延伸を行なう方法などがある。
【0047】
上記のような製膜方法を採用し、その製膜条件である延伸温度、延伸倍率、熱処理温度を適宜調整することによりレターデーション及び、好ましくは熱収縮率を調整する。例えば、レターデーションが1500nm以上の範囲を満足させるためには、長手方向の配向を強くしないために、その延伸温度は100℃以上125℃以下が好ましく、延伸倍率は段階的に複数回の延伸を行い、その全長手方向延伸倍率は、3.8倍以下が好ましい。幅方向においては、延伸温度は100℃程度で延伸倍率は4.0倍以上が好ましい。一方、長手方向の配向を強くする場合は、その延伸温度は85℃以上95℃未満で、その延伸倍率は2.8倍程度が好ましい。幅方向においては、延伸温度は100℃程度で延倍倍率は3.6倍程度が好ましい。
【0048】
レターデーションが420nm以上660nm以下及び1100nm以上1250nm以下の範囲を満足させるためには、その延伸温度は110℃以上125℃以下が好ましく、延伸倍率は段階的に複数回の延伸を行い、その全長手方向延伸倍率は、3.0倍以上が好ましい。幅方向においては、延伸温度は100℃以上で延伸倍率は3.0倍以上が好ましい。熱処理温度は、150℃、10分間の条件で熱収縮率が長手方向、幅方向それぞれが、3%以下を満たす観点から、200℃以上が好ましく、その後、熱処理温度以下で幅方向に10〜3%程度の弛緩熱処理をすることも好ましい。
【0049】
[特性の測定方法]
本発明において、フィルムの特性は以下の方法で測定した。
(1) 平均粒径
粒子を含有したフィルムの断面を走査型電子顕微鏡SEM(日立製作所製S−2100A)を用いて、およそ2000〜10000倍程度で観察した。観察箇所を変えて粒子個数1000個以上について、その平均値を平均粒径とした。
【0050】
もしくは、粒子を含有したフイルムを厚さ方向に薄切片とし、透過型電子顕微鏡TEM(日本電子製JEM−1200EX)を用いて粒子を観察する。10万倍程度の倍率で粒子を観察するとこれ以上、粒子を分割できない最小の粒子径を観察することができる。この観察を100視野について行い、平均した値を平均粒径とした。
(2) 粒子の含有量
ポリエステルを溶解し粒子は溶解させない溶媒を選択し、粒子をポリエステルから遠心分離し、粒子の全体重量にたいする比率(重量%)をもって粒子含有量とした。また、必要に応じて熱分解ガスクロマトグラフィー、赤外分光法、蛍光X線分析法、ラマン散乱法、SEM−XMAなどを利用して定量することもできる。積層部および基層部の含有は、各積層部を削り取ることによって区別できる。また、必要に応じてTEMを用いて、断面に観察される粒子の個数から計算することもできる。
(3)易滑性(静止摩擦係数μs、動摩擦係数μd)
フィルム同士の摩擦係数は、ASTM−D−1894−63に準じ、静摩擦係数μs、動摩擦係数μdを新東科学(株)製表面性測定機HEIDON−14DRを用いて、サンプル移動速度200mm/min、荷重200g、接触面積63.5mm×63.5mmの条件で測定し、アナライジングレコーダTYPE:HEIDON3655E−99で記録し評価し、以下の基準により易滑性を判定した。
○:μs=1.0未満
△:μs=1.0以上〜1.5未満
×:μs=1.5以上
(4)光線透過率・濁度
フィルム幅方向の中央部から、長手4.0×幅3.5cmの寸法に切り出したものをサンプルとし、光線透過率及び濁度は、ヘイズメータ(スガ試験機製HGM−2DP(C光用))を用いて測定した。
(5)偏光板の目視検査、干渉色
サンプルは、フィルム幅方向における任意の位置からA4のカットサンプルの長手方向とフィルム長手方向を一致させて切り出した。図2のクロスニコル法に示したように、光源部にフジカラーライトボックス100V8W((株)進光社製)を用いて、その上に正常な検光子7と偏光子5の吸収軸面が直交するように配置し、その間にポリエステルフィルムを挟んだ状態で、偏光子側から目視検査を行なった。このとき、観察面側の寸法幅28cm×縦34cmの偏光子の吸収軸とA4カットサンプルのフィルムの長手方向を一致させた。目視検査は、まず、ポリエステルフィルムを挟んでない状態での輝点として表れる偏光子の異物や欠陥の位置と数を50個、確認した。次に、ポリエステルフィルムを挟んだ状態で、異物や欠点の数が幾つ認識できなくなるかどうかで評価した。また、干渉色も同時に観察した。評価基準は以下に従った。
○:確認できなくなる輝点数が5個未満。
△:確認できなくなる輝点数が5個以上15個未満。
×:確認できなくなる輝点数が15個以上。
(6)レターデーション(Re)および配向角
上記したA4カットサンプルのフィルム幅方向の中央部から、長手4.0×幅3.5cmの寸法に切り出したものをサンプルとし、波長λ=590nmにおけるフィルムのレターデーション及び配向角を自動複屈折計(新王子(株)製KOBRA−21ADH)を用いて測定した。
(7)クロスニコル法による光線透過率
サンプルは、自動複屈折計の場合(上記(6))と同一のものを使用した。フィルムの光線透過率は、図2に示したクロスニコル法(フィルム6としてサンプルを配置し、目9の位置が検出器の位置に相当する)により、ヘイズメータ(スガ試験機製HGM−2DP(C光用))を用いて測定した。検光子7と偏光子5(該測定では、被測定物がフイルム6となるので検光子を用いる)には、単体透過率42.58%、偏光度99.66%の偏光フィルムを使用し、そのうちの1枚の偏光フィルムの偏光軸方向とフィルムの長手方向とを一致させた。なお、光源にはハロゲンランプ12V,500W を使用した。
(8)熱寸法変化率
サンプルは、フィルムの幅方向の中央部から、長手方向と、幅方向にそれぞれ1cm×16cmで切り出し、サインペンで端から3cmの位置にそれぞれ、マーキングを施した。熱寸法変化率は、ギアオーブン(TABAI社製GHPS−222)で150℃、10分間の条件下で熱処理した前後のフィルム長手方向、幅方向、それぞれのマーキングの間隔を万能投影機(77−7ニコン社製E04)で測長することにより求めた。
【0051】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限られるものではない。
【0052】
[実施例1]
公知の方法により平均粒径0.3μmのポリジビニルベンゼン共重合体(81%ジビニルベンゼン、19%エチル−ビニルベンゼン)を2重量%含有させたポリエチレンテレフタレートのペレットをマスターペレット1とした。
【0053】
次に、同様に、平均粒径0.6μmの合成炭酸カルシウムを1重量%含有させたポリエチレンテレフタレートのペレットをマスターペレット2とした。
【0054】
上記ペレット1を5重量部、ペレット2を50重量部、さらに粒子を含有しないポリエチレンテレフタレートのペレットを45重量部を混ぜ合わせ後、180℃で3時間乾燥し、ベント式二軸混練押出機1に供給し、280℃で溶融した(ポリマA)。さらに、もう一台の押出機2を用意し、平均粒径0.2μmのコロイダルシリカを1重量%含有するポリエチレンテレフタレートのペレットを55重量部、最終フィルムのリサイクルポリマーペレットを25重量部、さらに粒子を含有しないペレットを20重量部を混ぜ合わせた後、180℃で3時間乾燥し、押出機に供給して280℃で溶融した(ポリマB)。この二つのポリマを、それぞれ高精度濾過した後、矩形積層部を備えた3層合流ブロックにて、基層部にポリマBを、両面積層部にポリマAがくるように積層し、フィッシュテール型の口金よりシート状にして押出した後、静電印加キャスト法を用意して30℃のキャスティングドラムに巻き付けて冷却固化し、未延伸フィルムを作った。
【0055】
この未延伸フィルムを長手方向に、85.5℃で2.8倍に延伸し、次いで幅方向に100〜140℃の温度で3.74倍に延伸した後に230℃の熱処理温度で熱固定し、幅方向に6%の弛緩処理を施して、厚さ38μmのフィルムを得た。最外層の積層厚みは、1.72μmであった。この評価結果は、表1に示した通りであり、目視検査において良好な結果が得られた。
【0056】
[実施例2]
実施例1と長手方向の延伸前までは、同様にして、長手方向に3段階に分け、122℃で1.64倍、さらに122℃で1.1倍、113℃で2.58倍それぞれ延伸し、次いで幅方向に100℃〜110℃の温度で4.6倍延伸した後に180℃〜205℃の温度で熱固定し、110℃の温度で幅方向に4.2%の弛緩処理を施して、厚さ25μmのフィルムを得た。最外層の積層厚みは、1.72μmであった。この評価結果は、表1に示した通りであり、目視検査において良好な結果が得られた。
【0057】
[実施例3]
実施例1のAポリマにおいて、平均粒径2.0μmのコロイダルシリカを2重量%含有させたポリエチレンテレフタレートのペレットを3重量部と粒子を含有しないポリエチレンテレフタレートのペレットを97重量部を混ぜ合わせて、ベント式二軸混練押出機1に供給し、280℃で溶融する以外は、幅方向の延伸前まで同様にして、幅方向に90〜140℃の温度で3.74倍に延伸した後に220〜230℃の熱処理温度で熱固定し、幅方向に6%の弛緩処理を施して、厚さ24μmのフィルムを得た。
最外層の積層厚みは、1.72μmであった。この評価結果は、表1に示した通りであり、目視検査において使用可能な結果が得られた。
【0058】
[実施例4]
実施例1において、リサイクルポリマを最終フィルム以外の不純物の多いポリエチレンテレフタレートのペレットを用いた以外は、長手方向の延伸前まで同様にして、長手方向に3段階に分け、120℃で1.13倍、さらに120℃で1.08倍、112℃で2.8倍それぞれ延伸し、次いで幅方向に100℃〜110℃の温度で4.2倍延伸した後に180℃〜205℃の温度で熱固定し、110℃の温度で幅方向に3.6%の弛緩処理を施して、厚さ38μmのフィルムを得た。最外層の積層厚みは、1.72μmであった。この評価結果は、表1に示した通りであり、目視検査において使用可能な結果が得られた。
【0059】
[実施例5]
実施例1における同一のフィルムをフィルム幅方向において異なる箇所から採取した。この評価結果は、表1に示した通りであり、目視検査において使用可能な結果が得られた。
【0060】
[実施例6]
実施例1のAポリマーにおいて、平均粒径2.3μmのコロイダルシリカを2重量%含有させたポリエチレンテレフタレートのペレットを50重量部と粒子を含有しないポリエチレンテレフタレートを50重量部を混ぜ合わせ、ベント式ニ軸混練押出機1に供給し、280℃で溶融し、また、実施例1のポリマーBにおいて、リサイクルポリマーを50重両部、平均粒径0.2μmのコロイダルシリカを1重量%含有するポリエチレンテレフタレートのペレットを30重量部にし、さらに粒子を含有しないペレットを20重量部を混ぜ合わせた後、180℃で3時間乾燥し、押出機に供給して280℃で溶融し、この二つのポリマを、それぞれ高精度濾過した後、矩形積層部を備えた3層合流ブロックにて、基層部にポリマBを、両面積層部にポリマAがくるように積層し、フィッシュテール型の口金よりシート状にして押出した後、静電印加キャスト法を用意して30℃のキャスティングドラムに巻き付けて冷却固化し、未延伸フィルムを作った。
【0061】
この未延伸フィルムを長手方向に、124℃で4.7倍に延伸し、次いで幅方向に110℃の温度で4.4倍に延伸した後に200℃の熱処理温度で熱固定し、幅方向に3.46%の弛緩処理を施して、厚さ15μmのフィルムを得た。
最外層の積層厚みは、1.72μmであった。この評価結果は、表1に示した通りであり、目視検査において使用可能な結果が得られた。
【0062】
[比較例1]
実施例1において、ポリマAに添加する平均粒径0.6μmの合成炭酸カルシウムを3重量%含有させたペレットを用いること以外、長手方向の延伸前までは同様にして、長手方向に3段階に分け、120℃で1.12倍、さらに124℃で1.05倍、114℃で2.6倍それぞれ延伸し、次いで幅方向に108℃〜112℃の温度で4.4倍延伸した後に210℃の温度で熱固定し、110℃の温度で幅方向に4.2%の弛緩処理を施して、厚さ31μmのフィルムを得た。最外層の積層厚みは、1.72μmであった。この評価結果は、表1に示した通りであり、目視検査において良好な結果は得られなかった。
【0063】
[比較例2]
実施例1において、ポリマAに添加する平均粒径0.3μmのポリジビニルベンゼン共重合体(81%ジビニルベンゼン、19%エチル−ビニルベンゼン)を4重量%含有させたペレットを用いること以外、長手方向の延伸前までは同様にして、85.5℃で2.0倍に延伸し、次いで幅方向に100〜140℃の温度で3.74倍に延伸した後に230℃の熱処理温度で熱固定し、幅方向に6%の弛緩処理を施して、厚さ38μmのフィルムを得た。
最外層の積層厚みは、1.72μmであった。この評価結果は、表1に示した通りであり、目視検査において良好な結果は得られなかった。
【0064】
[比較例3]
実施例1において、長手方向の延伸前までは同様にして、85.5℃で2.4倍に延伸し、次いで幅方向に100〜140℃の温度で3.74倍に延伸した後に230℃の熱処理温度で熱固定し、幅方向に6%の弛緩処理を施して、厚さ38μmのフィルムを得た。最外層の積層厚みは、1.72μmであった。この評価結果は、表1に示した通りであり、延伸ムラなどが見られ、目視検査において良好な結果は得られなかった。
【0065】
[比較例4]
実施例1において、ポリマAに添加する平均粒径0.6μmの合成炭酸カルシウムを14重量%含有させたペレットを用いること以外、長手方向の延伸前までは同様にして、85℃で3.2倍に延伸し、次いで幅方向に95℃の温度で3.8倍に延伸した後に210℃の熱処理温度で熱固定し、厚さ38μmのフィルムを得た。最外層の積層厚みは、2.72μmであった。この評価結果は、表1に示した通りであり、白濁化し目視検査において良好な結果は得られなかった。
【0066】
[比較例5]
実施例3において、平均粒径2.0μmのコロイダルシリカを3重量%含有させたポリエチレンテレフタレートのペレットを平均粒径2.3μmのコロイダルシリカを含有させたポリエチレンテレフタレートのペレットにする以外は、同一の条件でフィルムを得た。この評価結果は、表1に示した通りであり、目視検査において良好な結果は得られなかった。
【0067】
【表1】
Figure 0004691842
【0068】
【発明の効果】
本発明は、偏光板検査時において、異物混入や欠陥を見落とすとされている粒子及び表面による偏光解消散乱及び光学異方性による光透過を抑え、さらには、その干渉色を特定することによって、昜検査性に優れた偏光フィルム貼り合わせ用ポリエステルフィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 偏光板の構成を示した概要モデル図である。
【図2】 クロスニコル法による目視検査を示す概要図である。
【符号の説明】
1:偏光フィルム
2:表面保護フィルム
3:粘着剤層
4:離型フィルム
5:偏光子
6:フィルム
7:検光子
8:白色光源
9:検査する人の目

Claims (9)

  1. 濁度(Hd)が、0.0309〜0.0715であり、下記(1)式及び(2)式を同時に満たすことを特徴とする偏光フィルム貼り合わせ用ポリエステルフィルム。
    Hd×Tt×θ ≦1 ………式(1)
    Tt ≧0.85 ………式(2)
    (ただしHd、Tt及びθは、それぞれ、該偏光フィルム貼り合わせ用ポリエステルフィルムの濁度(透過光量に対する散乱光量の比)、光線透過率(入射光量に対する透過光量の比)、及びフィルム長手方向と幅方向でなす直交座標軸と配向主軸となす角度のうち小さい方の角度(°)である。)
  2. 少なくとも2層の積層構造からなり、少なくとも片面側の最外層に平均粒径が0.1μm以上5μm以下の粒子を含有し、最外層における該粒子の含有量が0.01重量%以上10重量%以下である請求項1に記載の偏光フィルム貼り合わせ用ポリエステルフィルム
  3. リサイクルポリマーを用いてなる請求項1または2に記載の偏光フィルム貼り合わせ用ポリエステルフィルム
  4. 下記(3)式で示されるレターデーション(Re)が1500nm以上2296nm以下であり、かつ配向角8°以下である請求項1から3のいずれかに記載の偏光フィルム貼り合わせ用ポリエステルフィルム。
    Re=Δn・d ………式(3)
    (ただし、式(3)で、Δnは、波長λ=590nmにおけるフィルム面内方向の複屈折であり、dはフィルムの厚み(nm)である。)
  5. 下記(3)式で示されるレターデーション(Re)が420nm以上660nm以下、かつ配向角が18°以下である請求項1から3のいずれかに記載の偏光フィルム貼り合わせ用ポリエステルフィルム。
    Re=Δn・d ………式(3)
    (ただし、式(3)で、Δnは、波長λ=590nmにおけるフィルム面内方向の複屈折であり、dはフィルムの厚み(nm)である。)
  6. 下記(3)式で示されるレターデーション(Re)が1000nm以上1250nm以下、かつ配向角が9°以下である請求項1から3のいずれかに記載の偏光フィルム貼り合わせ用ポリエステルフィルム。
    Re=Δn・d ………式(3)
    (ただし、式(3)で、Δnは、波長λ=590nmにおけるフィルム面内方向の複屈折であり、dはフィルムの厚み(nm)である。)
  7. 150℃で10分間の熱処理条件でのフィルム長手方向、幅方向の熱収縮率がそれぞれ3%以下である請求項1から6のいずれかに記載の偏光フィルム貼り合わせ用ポリエステルフィルム。
  8. 少なくとも片方の表面が離型処理された請求項1から7のいずれかに記載の偏光フィルム貼り合わせ用ポリエステルフィルム。
  9. ポリエチレンテレフタレートを用いたポリエステルフィルムである請求項1から8のいずれかに記載の偏光フィルム貼り合わせ用ポリエステルフィルム。
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