JP5445610B2 - 偏光板保護用または位相差板保護用離型用ポリエステルフィルム、離型フィルム、及びその製造方法 - Google Patents

偏光板保護用または位相差板保護用離型用ポリエステルフィルム、離型フィルム、及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、大型液晶表示装置の構成部材である偏光板、位相差板に貼り付けて使用される、クロスニコル法による検査に適した離型フィルム、その基材フィルム、およびその製造方法に関する。
液晶表示装置の構成部材である偏光板や位相差板は、その一方の面に粘着層が設けられ、その粘着層の上に、偏光板または位相差板を保護するための離型フィルムを積層した積層体の状態でロール状態に巻いて運搬或いは保管される。
偏光板や位相差板の検査で重要な項目の1つは、キズ、異物などの欠点検査である。この欠点検査は、一般に、偏光板または位相差板の一面に粘着層を介して離型フィルムを積層した積層体の状態で、クロスニコル下の観察にて行われる。このクロスニコル下での欠点検査の際には、前記積層体の表面に設けられた離型フィルムは、クロスニコルを形成する2枚の偏光板の間に配置されることとなる。そのため、離型フィルムには、クロスニコル下での観察において、コントラストや明るさの変動を生じないこと、また、干渉色を生じない機能が求められる。
離型フィルムの基材には、強度機能やコストの観点から、二軸配向ポリエステルフィルムが広く用いられている。直鎖状のポリエステル高分子が配向した構造を有する二軸配向ポリエステルフィルムは、光学的に複屈折性を示す複屈折体である。よって、二軸配向ポリエステルフィルムは分子の配向方向に対して平行方向と垂直方向の直行する2本の光学軸を有する。そのため離型フィルムの基材が有する光学軸が偏光板、あるいは位相差板の光学軸に対して傾斜した状態で積層されると、クロスニコル下におかれた際に透過光や干渉色を呈し、欠点検査を阻害する要因となってしまう。更に、離型フィルムの基材が有する光学軸の方向がフィルム面内でばらついていると、上記欠点検査の際、前記積層体の場所によってコントラストや明るさ、干渉色の状態が変動し、欠点検査が著しく困難になってしまう。
従って、前記離型フィルムの基材であるポリエステルフィルムには、優れた光学軸精度、すなわち、フィルムの機械軸方向(長手方向・幅方向)と光学軸の方向とが高精度で一致していること、更に、その光学軸の軸方向がフィルム面内で一様であることが求められる。
しかしながら、縦方向−横方向に逐次的に延伸して作製される二軸配向ポリエステルフィルムは、分子配向主軸、即ち光学軸の向きがフィルム幅方向で分布しやすく、その延伸、熱処理工程で発生するボーイング現象により、フィルムの端部になる程、幅方向に対する光学軸の傾斜角が大きくなるという問題を有している。そのため、偏光板保護用または位相差板保護用離型フィルムの基材フィルムとしては、光学軸の傾斜が比較的小さい、フィルム幅方向の中央部付近から採取した製品しか用いることが出来なかった。そのため、基材フィルムの調達コスト、ひいては離型フィルムの供給コストの削減を進める上で、大きな問題となっている。
更に、近年の液晶ディスプレイの大画面化傾向に伴い、偏光板や位相差板のサイズも大きくなり、離型フィルムも広幅化することが望まれている。離型フィルムが広幅化すると、前記の理由により、これまでの中央部付近よりもさらに広い領域からフィルムを採取する必要があり、ひとつの離型フィルム内でのフィルム幅方向における光学軸の傾斜角度のばらつき(変動)も大きくなってしまう。つまり、大型液晶表示装置用偏光板や位相差板に貼り付けて使用される離型フィルムにおいては、幅方向に対してより広い領域でも光学軸が傾斜しない優れた光学軸精度が求められるようになってきている。
なお、上記問題の原因となるボーイング現象を軽減するため、これまでに、数々の取組みが提案されている。例えば、一軸延伸したフィルムをテンターで横延伸し、ガラス転移温度以下に冷却し、次いでフィルムの両端把持をいったん解放して再度把持し、120〜240℃の温度領域において昇温させながら熱固定する方法(例えば、特許文献1を参照)、横延伸直後にフィルム温度をいったんガラス転移温度以下の温度まで下げて剛性を増し、熱処理室側のフィルムが延伸室に引き込まれることを防止する方法(例えば、特許文献2、3を参照)、横延伸完了後のフィルムの両端をテンターの把持手段で把持したまま該フィルムの中央付近の狭い部分のみをニップロールにより把持して、中央部を強制的に進行させる方法(例えば、特許文献4参照)、また、フィルムを二軸延伸後、フィルムの中央部より端部の温度が高くなるように加熱する方法(例えば、特許文献5,6を参照)、幅方向の延伸と熱固定の間にガラス転移温度(Tg)以下の温度で冷却し、次いで熱固定温度の最高温度で幅方向に再延伸を与える方法(例えば特許文献7、8、9を参照)、熱固定領域中に、三角形、台形、弓形のいずれかの冷却領域を設ける方法(例えば特許文献10、11を参照)、横延伸すると同時に長手方向弛緩処理を施す方法(例えば特許文献12を参照)等である。
特開昭57−87331号公報 特開平3−130127号公報 特開平3−216326号公報 特公昭63−24459号公報 特開昭62−183327号公報 特開昭62−183328号公報 特開2001−328159号公報 特開2002−172694号公報 特開2002−361737号公報 特開2004−18588号公報 特開2004−18784号公報 特開2004−358742号公報
しかしながら、これらの方法は何れも縦方向−横方向に逐次的に延伸することでフィルム幅方向に分子配向主軸を有する二軸延伸フィルムにおいて、ボーイングの発生を少しでも抑制しようとするアプローチである。縦方向−横方向に逐次的に延伸する場合、テンター投入前にフィルムの幅方向に引いた直線は、延伸、熱固定を経ることで、ボーイングにより弓状の曲線となる。この曲線具合の幾何学的な歪み具合(幾何学的なボーイング量)は曲線の弦と弧の最大距離量で表わされる。しかしながら、本明細書の実施例(比較例2、比較例3)にも示すように、幾何学的なボーイング量と、光学主軸の傾斜角度などで表わされる物性的なボーイング量とは、必ずしも比例的な関係に有るわけではなく、幾何学的なボーイング量の改善効果から光学軸の精度を予断することは避けなければならない。
具体的には、特許文献1には、従来公知の製造方法に対し、幾何学的なボーイング量(弦と弧の最大距離)が半減したフィルムが開示されている。しかしながら、ボーイングを生じていることに変わりはない。また、光学軸の傾斜角度については、その改善効果は何ら、示唆も開示もされていない。
また、特許文献2には幾何学的なボーイング歪が2.58%まで低減されたフィルム、
特許文献3には幾何学的なボーイング歪が2.66%まで低減されたフィルムが、それぞれ開示されている。しかし、これらの提案においてもボーイング現象は依然生じており、また、光学軸の傾斜角度についても何ら開示されていない。
また、特許文献4には、幾何学的なボーイング量が従来公知の方法に対して、約10分の1にまで低減されたフィルムが開示されている。しかし、光学軸の傾斜角度については、その改善効果は何ら示されていない。
また、特許文献5、6には、幾何学的なボーイングの形が台形状のフィルムが開示されている。しかし、光学軸の傾斜角度については、その改善効果は何ら、示唆も開示もされていない。
また、特許文献7には、幅950mmのフィルムにおいて、その両端部200mmずつを除いた領域の配向角が、フィルムの横方向に対して1.3度以下のフィルムが開示されている。しかしながら、フィルム幅方向の中央部付近で配向角が横方向に揃っていること自体は従来公知の事実であり、本提案には、何ら特別の効果は認められない。
また、特許文献7には、中央部からフィルム幅方向において2mの位置で、配向角が7度のフィルムが開示されている。本提案では、フィルムの全幅が開示されていないので、全幅にわたって、どの程度均一な配向角が得られているのかが不明である。
また、特許文献8には、フィルム幅方向の相対位置0.6における配向角が4度のフィルムが開示されている。しかしながら、前述のごとく、フィルムの中央部分で配向角が横方向に揃っていること自体は従来公知の事実である。
また、特許文献9には、フィルム幅方向の8割の領域において、配向角の最大値が4.6度のフィルムが開示されている。しかしながら、本提案のフィルムはフィルム幅方向の配向角分布において、5個の極値を有している。そのため、フィルムの幅方向で配向角が急激に変化するという問題を内在しており、問題の本質的な解決にはならない。
また、特許文献10、及び11には、フィルム幅方向8割位置までの最大配向角が5.1度、及び4度のフィルムが夫々開示されている。しかしながら、これらの方法においても、前記光学歪の問題を根本的に解決するには至っていない。
また、特許文献7、9、10、11、12では、二軸配向ポリエステルフィルムの幾何学的なボーイング量を抑制させる為には、長手方向の延伸倍率を幅方向の延伸倍率より小さくなるよう設定されている。これは、長手方向の延伸倍率を小さくすることで、フィルムに生じるボーイングによる歪を小さくする意図である。確かに、これによって幾何学的なボーイング量は抑制されるものの、上記のように光学軸精度の課題を本質的に解決するには至っていない。
さらに特許文献7の実施例には、横方向−縦方向に逐次的に延伸することでフィルムの長手方向に分子配向主軸を有する二軸延伸フィルムが開示されている。しかし、特許文献7は、ボーイングを低減する目的で、上記のように長手方向の延伸倍率を幅方向の延伸倍率以下に設定されている。このように単に配向主軸が長手方向にあるだけでは、光軸方向はボーイングの影響を受け易く、さらに、フィルムの光学軸は長手方向の分子配向の波うち(変動)の影響を強く受ける為、本明細書の実施例(比較例1)にも示すように、フィルム面内での光学軸方向がばらつき、その方向が一様にならない。
つまり、これら特許文献の方法は何れも、フィルムの幾何学的なボーイング量を少しで
も抑制しようとするアプローチであって、偏光板保護用または位相差板保護用離型フィルムにおける光学軸精度の問題を本質的に解決するに至っていない。
本発明の目的は、フィルムの機械軸方向(長手方向・幅方向)と光学軸の方向とが高精度で一致しており、その光学軸の方向がフィルム面内で一様である偏光板保護用または位相差板保護用離型フィルム、およびその基材フィルムを提供することである。
また、上記の特性を有する偏光板保護用または位相差板保護用離型用基材フィルムを、低コストで、安定的に製造するための方法を提供することである。
そして、それらにより、大画面化、高精細化した液晶ディスプレイ用偏光板、及び位相差板の欠点検査を高効率、かつ正確に行い、大画面液晶ディスプレイの画質向上、及びその普及に資することを目的とするものである。
本発明者は、鋭意検討の結果、基材フィルムの分子配向を長手方向に高度に配向させることで、上記の課題を解決することを見いだした。すなわち、本発明の偏光板保護用または位相差板保護用離型用基材フィルム、それを用いた偏光板保護用または位相差板保護用離型用フィルム、及びその製造方法は、以下の構成からなる。
第1の発明は、偏光板または位相差板に貼り合わせて使用される、クロスニコル法による検査に供せられる離型フィルムの基材として用いられる二軸配向ポリエステルフィルムであって、(1)フィルム長手方向に分子配向主軸を有しており、(2)フィルム長手方向の屈折率とフィルム幅方向の屈折率との差が0.03以上、かつ0.10以下である、ことを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルムである。
第2の発明は、前記二軸配向ポリエステルフィルムの機械軸方向に対する光学主軸の最大傾斜角が5度以下であって、フィルム幅方向に30cm間隔で測定した光学主軸の傾斜角の変動が5度以下であることを特徴とする前記二軸配向ポリエステルフィルムである。
第3の発明は、偏光板または位相差板に貼り合わせて使用される、クロスニコル法による検査に供せられる離型フィルムであって、該離型フィルムの基材が前記二軸配向ポリエステルフィルムからなることを特徴とする偏光板保護用または位相差板保護用離型フィルムである。
第4の発明は、前記二軸配向ポリエステルフィルム製造方法であって、前記二軸配向ポリエステルフィルムが、未延伸フィルムを幅方向に延伸した後、長手方向に延伸を行い、次いで熱処理を行って製造されることを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法である。
第5の発明は、前記二軸配向ポリエステルフィルム製造方法であって、前記二軸配向ポリエステルフィルムが、未延伸フィルムを幅方向および長手方向に同時二軸延伸した後、さらに長手方向に延伸を行い、次いで熱処理を行って製造されることを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法である。
本発明の偏光板保護用または位相差板保護用離型フィルムは、その基材となる二軸配向ポリエステルフィルムが長手方向に高度に分子配向しており、長手方向の屈折率と幅方向の屈折率との差が特定範囲内に制御されているので、基材フィルムの光学軸の方向が幾何学的なボーイングの影響を受けず、フィルムの機械軸に対する光学軸方向の変動幅が少ない。そのため、光学軸と機械軸とが高精度で一致している。
また、本発明の製造方法によれば、基材となる二軸配向ポリエステルフィルムの幅方向の取り位置によらず、上記の特性を安定して得ることが出来る。そのため、優れた特性の偏光板保護用または位相差板保護用離型離型フィルムを、低コストで製造することができ
る。
さらに、本発明の基材となる二軸配向ポリエステルフィルムは機械的特性にも優れ、厚み斑も少ないく、ディスプレイの高精細化に対応した高度な欠点検査を可能にする。
本発明の偏光板保護用または位相差板保護用離型フィルムは、その基材として二軸配向ポリエステルフィルムを用いることが必要である。
上記ポリエステルとは、芳香族ジカルボン酸またはそのエステルとジオールとを重縮合させて得ることのできる結晶性ポリエステルである。そして芳香族ジカルボン酸としては、代表的には、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸が挙げられ、ジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、テトラメチレングリコール及びネオペンチルグリコール等が挙げられる。
上記のポリエステルは、芳香族ジカルボン酸とグリコールを直接重縮合させて得られる他、芳香族ジカルボン酸ジアルキルエステルとグリコールをエステル交換反応させた後に重縮合させる方法、あるいは芳香族ジカルボン酸のジグリコールエステルを重縮合させる方法等によっても得られる。
かかるポリエステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート及びポリテトラメチレン−2,6−ナフタレート等が挙げられる。また、上記ポリエステルは、ホモポリエステルの他に、各種成分を共重合した共重合ポリエステルであってもよい。更に、ポリエステルと他の共重合体とのポリマーブレンドであってもよい。ブレンドできる他の共重合体としては、ポリオレフィや他種ポリエステル等が使用される。ホモポリマーとポリアルキレン共重合体ポリマー、特には、ポリエーテルエステル共重合とのブレンドまたは異なるポリアルキレングリコール共重合体ポリマー同士のブレンドが好適である。
これらの中でも、特にポリエチレンテレフタレート(PET)は、不純物が少なく透明性、機械的性質、表面平滑性、耐溶剤性、耐スクラッチ性、非透湿性、コストなどの総合性能から最も好適に用いられる。また、上記のポリエステル中には、本発明の効果が損なわれない範囲で各種の添加剤、例えば酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機または無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤などを配合して用いても良い。
また、ポリエステルフィルムに易滑性を付与するために微粒子を含有させることもできる。前記微粒子は、易滑性を付与させるだけでなく、ポリマーに含有させ延伸した後に発生する微粒子周辺の微小な配向ムラを利用し、クロスニコル状態下でのコントラストを調整する意味においても重要な役割を果たす。
添加される無機粒子としては、シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミゾル、カオリン、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム等を代表的なものとして用いることができる。また、有機粒子としてはアクリル系、スチレン系、オレフィン系、イミド系粒子などを用いることができる。
添加粒子は、その平均粒径が0.01μm以上、10μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.05μm以上、8μm以下、最も好ましくは0.1μm以上、3μm以下の平均粒径のものを用いるのが良い。
粒子の平均粒径が0.01μmより小さい場合は、滑り性を維持するために添加量を多
くする必要があり、ヘーズ値、コントラスト値、フィルム表面粗さを必要範囲内に制御することが困難である。また、粒子の平均粒子径が10μより大きい場合には、製膜工程中での添加粒子の脱落が著しく、工程を汚染するため好ましくない。
なお、上記の粒子の平均粒径の測定は以下の方法により行う。粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で写真を撮り、最も小さい粒子1個の大きさが2〜5mmとなるような倍率で、300〜500個の粒子の最大径(最も離れている2点間の距離)を測定し、その平均値を平均粒径とする。
また、粒子の含有量としては、ポリエステルフィルム中に0.01重量%以上、5重量%以下、含有させることが好ましく、より好ましくは0.05重量%以上、1重量%以下である。粒子の含有量が0.01重量%より小さい場合、滑り性が劣るため、工程中でロール等との間の摩擦によりキズが発生するため好ましくない。また、粒子の含有量が5重量%より多くなる場合は、ヘーズ値、コントラスト値、フィルム表面粗さを必要範囲内に制御することが困難である。
また、前記ポリエステルの固有粘度は、0.45から0.70の範囲が好ましい。固有粘度が0.45よりも低いと、フィルムが裂けやすくなり、0.70より大きいと濾圧上昇が大きくなって高精度濾過が困難となる。
本発明者らは、光学軸精度とボーイングとの関係について鋭意検討を行った結果、フィルム長手方向に高度に分子配向させた二軸延伸フィルムでは、驚くべきことに、その幅方向における取り位置、及び幾何学的なボーイングの程度とは無関係に、光学軸がフィルムの機械軸(長手方向、幅方向)に高度で一致していることを見出し、本発明に到達したものである。すなわち、本発明の偏光板保護用または位相差板保護用離型フィルムの基材として用いられる二軸配向ポリエステルフィルムは、(1)フィルム長手方向に分子配向主軸を有しており、(2)フィルム長手方向の屈折率(nx)とフィルム幅方向の屈折率(ny)との差が0.03以上、かつ0.10以下である、ことが重要である。
本発明における二軸配向ポリエステルフィルムが上記特性を発揮する理由については以下のように考えている。
前述の通り縦方向−横方向に逐次的に延伸することで作製される二軸配向ポリエステルフィルムは後段に横方向(フィルム幅方向)に延伸がなされるので、分子配向が全体として幅方向に配向しやすくなり、フィルム幅方向の分子配向主軸を有することとなる。そのため、係る二軸配向ポリエステルでは、光学主軸の方向が幅方向に分布することになる。よって、横延伸により生じ、熱固定で増進されるボーイングは、幅方向における物性の歪を引き起こすので、幅方向に分布する光学主軸はボーイングの影響を受け易くなり、フィルム幅方向の端部になるほど光学主軸の歪が大きくなる。一方、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルム長手方向に高度に分子配向しているため、幅方向に歪が生じるボーイングの影響を受けにくい。しかし、ボーイングの影響は受け難くなるものの、単に長手方向に配向主軸を揃えただけでは、長手方向の分子配向の波うち(変動)の影響を強く受ける為、フィルム面内での光学軸方向が一様にならない。そこで、さらにフィルム長手方向の屈折率(nx)とフィルム幅方向の屈折率(ny)の屈折率差を、上記範囲内に制御することで、長手方向の分子配向の波うちを抑制し、光学軸の方向をフィルム面内に一様にするに至った。よって、本発明の、二軸配向ポリエステルフィルムの光学軸は幅方向における取り位置、及び幾何学的なボーイングの程度とは無関係に、フィルムの機械軸方向(長手方向、幅方向)に高度で一致する。なお、このようなフィルムの製造方法については後述する。
前記フィルム長手方向の屈折率とフィルム幅方向の屈折率との差が0.03未満の場合
には、二軸配向ポリエステルフィルムの光学軸の傾斜が、幾何学的なボーイングの影響により大きくなるので好ましくない。さらに、上記屈折率差が0.03未満の場合は、長手方向の分子配向の波うち(変動)が大きくなり、フィルムの機械軸に対する光学主軸の傾斜角の変動が大きくなる。フィルム長手方向の屈折率とフィルム幅方向の屈折率との差は、0.04以上であることが好ましく、更には0.05以上であることが好ましい。
一方、前記フィルム長手方向の屈折率とフィルム幅方向の屈折率との差は、0.10以下であることが必要であり、より好ましくは0.09以下、更には0.08以下であることが好ましい。フィルム長手方向の屈折率とフィルム幅方向の屈折率との差が0.10より大きくなるとレターデーションの値が大きくなりすぎて、偏光下では白っぽくなり、異物、その他の検査が困難となる。さらに、フィルの配向方向に裂けが生じやすくなり、機械的強度が低下する。
前記特性を有する二軸配向ポリエステルフィルムを基材として用いて得られる本発明の離型フィルムは、以下の好ましい特性を有している。即ち、機械軸方向(長手方向、幅方向)に対する光学主軸の最大傾斜角が5度以内である。また、フィルム幅方向に30cm間隔で測定した光学主軸の傾斜角の変動が、5度以内である。
なお、前記最大傾斜角は4度以内がより好ましく、3度以内が更に好ましく、2度以内が最も好ましい。ここで、機械軸方向とはフィルムの長手方向(機械方向)と、幅方向と直行する2方向をいう。二軸配向ポリエステルの場合、光学軸は分子配向方向に平行な方向と垂直な方向の2方向の光学軸を有する。本発明では、光学軸は分子配向主軸がある長手方向にあり、幅方向にもうひとつの光学軸を有す。これらの光学軸の機械軸に対する最大傾斜角が5度を超える場合、クロスニコル下での欠点検査の際に透過光や干渉色を呈し、検査に支障をきたす。また、フィルム幅方向の任意の30cm間隔で測定した光学主軸の傾斜角の変動は、4度以内がより好ましく、3度以内が更に好ましく、2度以内が最も好ましい。また、光学主軸の傾斜角の変動が、フィルム幅30cmあたり5度を超えると、部分的に干渉色を生じたり、明暗の差が大きくなり、やはり検査に支障をきたす。
次に、本発明の偏光板保護用または位相差板保護用離型フィルムの基材として用いられる二軸配向ポリエステルフィルムは、ヘーズが2.0〜12.0%の範囲であることが好ましく、より好ましくは4.0〜10.0%の範囲、更には5.0〜9.0%の範囲であることが好ましい。
前記ヘーズが2.0%以下の場合、クロスニコル下での欠点検査の際、欠点部と正常部とのコントラストが高くなり過ぎ、キズ、異物等の欠点を過剰に検出してしまう傾向があるので好ましくない。逆に、前記ヘーズが12.0%より大きい場合は、透明性が悪いため、透過光による欠点の検出精度が悪化する。
また、前記二軸配向ポリエステルフィルムは、150℃×30分における熱収縮率が、長手方向、幅方向ともに3.0%以下であることが好ましい。上記熱収縮率が3.0%を超える場合には、離型加工時、または粘着加工時、加熱によりフィルムが大きく収縮し、平面性悪化、シワ、カール等が発生するので好ましくない。
また、本発明の離型フィルムの厚みは特に制限されるものではなく任意であるが、9〜300μmであることが好ましく、12〜50μmの範囲であることが最も好ましい。厚さが300μmをこえるとコスト面で問題があり、またリターデーションが大きくなり、クロスニコル化での視認性が低下しやすくなる。また、厚さが9μmに満たない場合は、機械的特性が低下し、保護フィルムとしての機能が果たせない。
上記の特性を有する二軸配向ポリエステルフィルムは以下の達成手段により得られるが、本発明の特徴を有する二軸配向ポリエステルフィルムであれば、下記方法以外により得られたとしても本発明の範囲に含まれる。
(1)延伸後段での縦延伸
本発明において二軸配向ポリエステルフィルムの配向主軸を長手方向に配向させるには、延伸工程の後段において、縦延伸を施すことが好ましい。二軸延伸フィルムの分子配向は後段になされる延伸方向に強く影響を受ける傾向にあり、上記態様によりフィルムの配向主軸を長手方向に配向しやすくなる。
(2)長手方向の延伸倍率
前述したように、幾何学的なボーイングを抑制するという従来の技術思想では、長手方向の延伸倍率を低くすることが望ましいとされていた。しかし、本発明においては、二軸配向ポリエステルフィルムは長手方向の分子配向の変動を抑制するには、長手方向の延伸倍率を高くすることが望ましい。長手方向の延伸倍率を高くすることで、フィルムの配向主軸が長手方向に高度に配向することとなり、光学軸方向がフィルム面内で一様になる。上記特性の二軸配向ポリエステルフィルムを製造するには、長手方向の延伸倍率は3.0〜6.0倍が好ましく、特に4.0.〜5.0倍が更に好ましい。また、幅方向の延伸倍率は2.0〜5.0倍が好ましく、2.5〜4.0倍が更に好ましい。長手方向と幅方向の延伸倍率は、長手方向の延伸倍率が幅方向の延伸倍率よりも1.0以上、好ましくは1.5以上大きくするのが望ましい。
(3)熱固定
ボーイングは横延伸により生じ、その後の熱固定により歪が増大、固定化される。よって、ボーイングを抑制するという点では、理想的には熱固定をしない、もしくは熱固定温度を低くすることが好ましい。しかしながら、本発明ではボーイングの影響がない為、連続した高温での熱セットが可能である。これにより高い熱寸法安定性を有する二軸配向ポリエステルフィルムを得ることが可能となる。
以下、一例として、PETを用いた場合の、具体的な製造方法について詳述する。
高い透明性を有する基材フィルムを得るためには、実質的に易滑性付与を目的とした粒子を含有しないPETのペレットを十分に真空乾燥した後、押し出し機に供給し、約280℃でシート状に溶融押し出しし、冷却固化せしめて未延伸PETシートを製膜することが望ましい。さらに、樹脂中に含まれる異物を除去するために、この際溶融樹脂を約280℃に保たれた任意の場所で高精度濾過を行うことができる。溶融樹脂の高精度濾過に用いられる濾材は特に限定はされないがステンレス焼結体の濾材がSi、Ti、Sb、Ge、Cu、を主成分とする凝集物及び高融点有機物の除去性能に優れ好適である。
さらに濾材の濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)は15μm以下が好ましい。15μm以上では20μm以上の異物が十分除去できない。(初期濾過効率95%)は15μm以下の濾材を使用して溶融樹脂の高精度濾過を行うことにより生産性が低下する場合があるが透明性の高いフィルムを得るには好適である。ここで、初期濾過効率とはANSI/B93.36−1973により測定される数値をいう。
押出法においてはポリエステルを押出口金から溶融し押出し、冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得ることができる。必要に応じ、2または3台の押出し機、2または3層のマルチニホールド、またはフィードブロックを用いて積層してもよい。シート平面性を向上させる目的で、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めるために静電印加密着法または液体塗布密着法を用いるのが好ましい。
次にフィルムの延伸工程の説明であるが、本発明に用いられる二軸配向ポリエステルフィルムは、長手方向に高度に配向させることを特徴とする。そのため、延伸方式としては未延伸フィルムをテンターを用いて幅方向に延伸した後、ロール群によりフィルムを加熱し、更に赤外線ヒーターなどを用いて長手方向に延伸した後、再びテンターに導き、熱固定を行う方式、つまりTD−MDの順に延伸を行う逐次二軸延伸法、または長手方向と幅方向の延伸を同一テンター内で行う同時二軸延伸法のいずれかの方法を採用することが好ましい。
はじめに前述のTD−MDの順に延伸を行う逐次二軸延伸の説明を行う。
まず、前記の未延伸シートを、テンター方式の延伸機によりテンターレールの幅を漸時広げることにより横方向に延伸し、一軸配向ポリエステルフィルムを得る。予熱ゾーンの温度は樹脂のガラス転移温度以上、130℃以下にするのが好ましい。予熱ゾーンは所定の予熱温度で規定される1又は2以上のゾーンよりなること好ましい。予熱後、続いて延伸されるが、延伸倍率は2.0〜5.0倍、特に2.5〜4.0倍が好ましい。延伸ゾーンの温度は、ポリエステルのガラス転移点Tg〜(Tg+50)℃の範囲である。延伸温度がTgより低い場合は、均一に延伸できず、厚み斑の原因となる。また、延伸温度が(Tg+50)℃より高い場合も、幅方向における厚みの均一性が悪くなるため好ましくない。延伸後、1または2つ以上のゾーンを使用し、徐々にフィルムを冷却し、(Tg−20)℃以下としてからクリップの把持を外し、次工程へ導く。
次に、ポリエステルのガラス転移点Tg以上の温度に加熱されたロール群からなるロール式延伸機で長手方向に延伸を行う。延伸倍率は長手方向に3.0〜6.0倍、特に4.0.〜5.0倍が更に好ましい。延伸を行う際、赤外線ヒーターなどを用いて補助加熱を行い、フィルム延伸温度を(Tg+10)〜(Tg+50)℃の範囲とする。(Tg+10)℃より低い場合は、破断を生じやすく、(Tg+50)より高い場合は、長手方向の配向が低くなり、本発明の目的を達するためには好ましくない。延伸後、冷却ロールにより、フィルムをTg以下に冷却した後、次工程へ導く。
続いて、フィルムを再びテンターに導き熱固定を行うが、熱固定ゾーンの温度は、(Tg+130)〜(Tm−10)℃の範囲が好ましく、さらに好ましくは(Tg+140)〜(Tm−20)℃の範囲である。(Tmはポリエステルの融点を表わす。)熱固定ゾーンの温度が(Tg+130)℃より低い場合は、熱収縮率が高くなり、加工時のシワ、カールの原因となりうる。熱固定ゾーンの温度が(Tm−100)℃より高い場合は、結晶化が進み、トリマー工程、スリット工程で延伸方向に裂けやすくなり歩留りの低下するため好ましくない。また、必要に応じて長手方向、幅方向に弛緩処理を行うことができる。弛緩量は条件により異なるが、1〜10%程度である。また、熱固定後の工程については、TDクリップで把持されていたフィルム端部をカットし処理する工程、コロナ処理を施す工程、ロール間で弛緩処理を施す工程等を経て製品巻取り機にて巻き取られる。
次に同時二軸延伸についての説明を行う。
得られた未新延伸ポリエステルフィルムの両端部をクリップで把持し予熱ゾーンへ導く。予熱ゾーンの温度は樹脂のガラス転移温度以上、130℃以下にするのが好ましい。予熱ゾーンは所定の予熱温度で規定される1又は2以上のゾーンよりなるのが望ましい。
予熱後、続いて長手方向、幅方向に同時に延伸されるが、延伸倍率は長手方向に3.0〜6.0倍、特に4.0.〜5.0倍が更に好ましい。また、幅方向の延伸倍率は2.0〜5.0倍、2.5〜4.0倍が更に好ましい。長手方向と幅方向の延伸倍率は、長手方向の延伸倍率が幅方向の延伸倍率よりも1.0以上、好ましくは1.5以上大きくすることが望ましい。
延伸終了点においては、長手方向と幅方向の延伸が同時に終わるような設定か、もしくは長手方向の延伸が後に終わる設定が好ましい。後者にて、幅方向の延伸終了後、長手方向の延伸が、長手方向延伸倍率の全体の15%以上を行うことが好ましい。
延伸ゾーンの温度はTg〜(Tg+50)℃の範囲である。延伸温度がTgより低い場合は、均一に延伸できず、厚み斑の原因となる。また、延伸温度が(Tg+50)℃より高い場合も、幅方向における厚みの均一性が悪くなるため好ましくない。
フィルムの延伸後、連続してフィルムは熱固定されるが、その前に、フィルムの延伸ゾーンと熱固定ゾーンの間には、中間ゾーンを設けることが好ましい。中間ゾーンを設けることにより、延伸ゾーンと熱固定ゾーン間での熱交換を抑え、各ゾーンの温度精度を向上させることができる。
上記中間ゾーンは、非加熱とするか、あるいはポリエステルのTg−50℃〜Tg+60℃の範囲、より好ましいくはTg−40℃〜Tg+30℃の範囲で温度制御された熱風循環方式とするのが良い。熱風循環方式の中間ゾーンを採用する場合、循環風の温度がTg−50℃以下では、熱固定ゾーンでのフィルムの加熱に多く熱量が必要となるので好ましくない。逆にTg+60℃以上では、二軸延伸フィルムの光学軸精度が悪化する場合があるので好ましくない。中間ゾーンをフィルムが通過する時間は、好ましくは2〜20秒、より好ましくは4〜15秒である。2秒以下であるとフィルム温度が十分下がらず、また、20秒以上であると冷却に必要なゾーン長が長くなり、設備が大型化してしまう。また、中間ゾーンを設ける替りに、延伸と熱固定を別々のテンターで行い、フィルム温度を上記範囲内に調整しても良い。
熱固定ゾーンの温度は、好ましくは(Tg+130)〜(Tm−10)℃の範囲であり、より好ましくは、(Tg+140)〜(Tm−20)℃の範囲である。熱固定ゾーンの温度が(Tg+130)℃より低い場合は、熱収縮率が高くなり、加工時のシワ、カールの原因となる。熱固定ゾーンの温度が(Tm−10)℃より高い場合は、結晶化が進み、トリマー工程、スリット工程で延伸方向に裂けやすくなり歩留りの低下が問題となる。
また、必要に応じて長手方向、幅方向に弛緩処理を行うことができる。弛緩量は条件により異なるが、1〜10%程度が好ましい。
また、熱固定後の工程については、TDクリップで把持されていたフィルム端部をカットし処理する工程、コロナ処理を施す工程、ロール間で弛緩処理を施す工程等を経て製品巻取り機にて巻き取られる。
前記の方法で製造された二軸配向ポリエステルフィルムには、粘着剤層、離型層、帯電防止層、保護層等の当該フィルム上に形成される層との接着性、耐水性、耐薬品性等を改良する目的で、公知の方法で表面処理、すなわちコロナ放電処理(空気中、窒素中、炭酸ガス中など)や易接着処理を施してもよい。易接着処理は公知の各種の方法を用いることができ、延伸前、あるいは一軸延伸後に、各種易接着剤を塗布する方法などが好適に採用される。
次に、離型加工について説明する。
本発明の離型フィルムは、上記の本発明のポリエステルフィルムの片面に離型層を形成してなるフィルムである。当該離型層は、シリコーン樹脂およびフッ素樹脂の中から選ばれた1種以上を主成分として含有することが好ましい。
上記シリコーン樹脂としては、一般に離型剤に利用されているシリコーン樹脂を用いる
ことができ、「シリコーン材料ハンドブック」(東レダウコーニング編、1993.8)などに記載の当該分野で一般に使用されるシリコーン樹脂の中から選んで使用することができる。一般的には、熱硬化型または電離放射線硬化型のシリコーン樹脂(樹脂および樹脂組成物を包含して言う)が用いられる。熱硬化型シリコーン樹脂としては、例えば縮合反応型および付加反応型のシリコーン樹脂、電離放射線硬化型シリコーン樹脂としては、紫外線もしくは電子線硬化型のシリコーン樹脂などを用いることができる。これらを、基材であるフィルム上に塗布し、乾燥または硬化させることにより離型層が形成される。
上記縮合反応型のシリコーン樹脂としては、例えば、末端にOH基を持つポリジメチルシロキサンと末端が水素であるポリジメチルシロキサン(ハイドロジェンシラン)を有機錫触媒(例えば、有機錫アシレート触媒)を用いて縮合反応させることにより、三次元架橋構造を形成し得る組成物が挙げられる。
付加反応型のシリコーン樹脂としては、例えば、末端にビニル基を導入したポリジメチルシロキサンとハイドロジェンシランを白金触媒を用いて反応さることにより、三次元架橋構造を形成し得る組成物が挙げられる。
紫外線硬化型あるいは電子線硬化型のシリコーン樹脂としては、例えば最も基本的なタイプとして、通常のシリコーンゴム架橋と同様にラジカル反応により架橋し硬化する樹脂、アクリル基の導入により光硬化する樹脂、紫外線でオニウム塩を分解して強酸を発生させ、これによりエポキシ環が開裂して架橋する樹脂組成物、ビニルシロキサンへのチオールの付加反応で架橋する樹脂組成物などが挙げられる。電子線は紫外線よりもエネルギーが強いため、紫外線硬化の場合のように開始剤を用いなくてもラジカルによる架橋反応が起こる。
上記硬化型シリコーン樹脂は、その硬化後の重合度が50〜20万程度、特に1000〜10万程度であることが好ましく、これらの具体例としては、次の樹脂が挙げられる:信越化学工業(株)製のKS−718、KS−774、KS−775、KS−778、KS−779H、KS−830、KS−835、KS−837、KS−838、KS−839、KS−841、KS−843、KS−847、KS−847H、X−62−2418、X−62−2422、X−62−2125、X−62−2492、X−62−2494、X−62−5048、X−62−470、X−62−2366、X−62−630、X−92−140、X−92−128、KS−723A・B、KS−705F、KS−708A、KS−883、KS−709、KS−719;東芝シリコン(株)製のTPR−6701、TPR−6702、TPR−6703、TPR−3704、TPR−6705、TPR−6721、TPR−6722、TPR−6700、XSR−7029、YSR−3022、YR−3286;ダウコーニング(株)製のDK−Q3−202、DK−Q3−203、DK−Q3−204、DK−Q3−205、DK−Q3−210、DK−Q3−240、DK−Q3−3003、DK−Q3−3057、SFXF−2560;東レ・ダウコ一ニング・シリコーン(株)製のSD−7226、SD−7229、SD−7320、BY−24−900、BY−24−171、BY−24−312、BY−24−374、SRX−375、SYL−OFF23、SRX−244、SEX−290;アイ・シー・アイ・ジャパン(株)製のSILCOLEASE425など。さらに、特開昭47−34447号公報、特公昭52−40918号公報などに記載のシリコーン樹脂も用いることができる。これらの硬化型シリコーン樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
フッ素樹脂としては、一般に離型剤に利用されているフッ素樹脂を用いることができる。このようなフッ素樹脂としては、例えばフッ素含有ビニル重合性単量体からなる重合体(オリゴマーを含む)またはその共重合体、フッ素含有ビニル重合性単量体とフッ素原子を含有しないビニル重合性単量体との共重合体、または、これらの混合物であって、フッ素原子を5〜80モル%有する樹脂が挙げられる。
上記フッ素含有ビニル重合性単量体からなる重合体としては、次の重合体が挙げられる:ポリ[2−(パーフルオロノネニルオキシ)エチルメタクリレート]、ポリ[2−(パーフルオロノネニルオキシ)エチルアクリレート]、ポリ[2−(パーフルオロノネニルオキシベンゾイルオキシ)エチルメタクリレート]、ポリ[2−(パーフルオロノネニルオキシベンゾイルオキシ)エチルアクリレート]、ポリ[2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート]、ポリ[2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート]、ポリ[2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート]、ポリ[2,2,3,3,8−ペンタフルオロプロピルアクリレート]、ポリ[1−メチル−2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロブチルメタクリレート]、ポリ〔1−メチル−2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロブチルアクリレート]、ポリ[パーフルオロヘプチルエチルメタクリレート]、ポリ[パーフルオロヘプチルエチルアクリレート]、ポリ[パーフルオロヘプチルビニルエーテル]、ポリ[α,β,β−トリフルオロスチレン]、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリテトラフルオロエチレンなど。
上記フッ素含有ビニル重合性単量体と共重合し得る、フッ素原子を含有しないビニル重合性単量体としては、炭化水素系ビニル重合性単量体、炭化水素系非共役ジビニル重合性単量体、官能基含有ビニル重合性単量体などが挙げられる。これらのうち炭化水素系ビニル重合性単量体としては、次の化合物が挙げられるがこれらに限定されない:アクリル酸メチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸オクタデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸N、N−ジエチルアミノエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸オクタデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、ヘプタン酸アリル、酢酸アリル、カプリン酸アリル、カプロン酸アリル、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、イソプレンなど。炭化水素系非共役ジビニル重合性単量体としては、次の化合物が挙げられるがこれらに限定されない:エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジエチレグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、ビニルアクリレート、ジブロモネオペンチルグリコールジメタクリレートなど。官能基含有ビニル重合性単量体としては、次の化合物が挙げられるが、これらに限定されない:アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、メチロールダイアセトンアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなど。
離型層には、上記シリコーン樹脂やフッ素樹脂以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、当該分野で通常使用される添加剤が含有されていてもよい。それには例えば、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、磁化剤、染料などがある。
上記離型層の厚みは、特に限定されないが、0.05〜5μmの範囲が好ましい。塗膜
の厚みがこの範囲より薄くなると、離型性能が低下し、満足すべき性能が得られない場合がある。逆に、塗膜の厚みがこの範囲より厚くなると、キュアリングに時間がかかり生産性が低下する場合がある。
さらに本発明の離型フィルムには、静電気の発生を抑制する目的で帯電防止層を設けることが好ましい。この帯電防止層は、基材フィルムに帯電防止樹脂組成物を塗布することによって形成され得る。この帯電防止樹脂組成物に含まれる帯電防止剤としては、例えば次のような物質が挙げられる:第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、脂肪族アミン塩などのカチオン性基を有する各種のカチオン性帯電防止剤;スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基、ホスホン酸塩基などのアニオン性基を有するアニオン系帯電防止剤;アミノ酸系、アミノ硫酸エステル系などの両性帯電防止剤;アミノアルコール系、グリセリン系、ポリエチレングリコール系などのノニオン性の帯電防止剤などの各種界面活性剤型帯電防止剤。上記のような帯電防止剤を高分子量化した高分子型帯電防止剤も用いられる。第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を有し、電離放射線により重合可能なモノマーやオリゴマー(例えば、N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートモノマー)ならびにそれらの第4級化合物などの重合性帯電防止剤も使用できる。
上記帯電防止樹脂組成物は帯電防止剤の他に、帯電防止層の塗膜の強度、基材フィルムへの密着性、耐水性、耐溶剤性、ブロッキング性などの向上のためにバインダーを含有することが好ましい。バインダーとしては、熱可塑性樹脂および/または熱硬化性樹脂のような高分子化合物が好ましい。熱可塑性樹脂としては、熱可塑性ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリビニル系樹脂などが、熱硬化性樹脂としては、熱硬化性アクリル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。さらに上記帯電防止樹脂組成物は、次のような化合物から選択される少なくとも1種の架橋剤を含有することが特に好ましい:メチロール化あるいはアルキロール化したメラミン系化合物、尿素系化合物、グリオキザール系化合物、アクリルアミド系化合物、エポキシ化合物、ポリイソシアネートなど。
上記帯電防止層は基材フィルム表面に形成され、粘着剤層または離型層は、その反対面上に形成される。あるいは、当該帯電防止層上に粘着剤層または離型層が形成される。好適には、帯電防止層と、粘着剤層または離型層とは反対面に設けられる。帯電防止層の上に、例えば離型層を積層すると、帯電防止剤により雛型剤の塗布液がはじかれることがあるためである。粘着剤層または離型層を帯電防止層と反対面に設ける場合には、該反対側の表面についても上記表面固有抵抗値を示すような帯電防止剤を選択して帯電防止層を形成することが好ましい。
帯電防止層の表面固有抵抗値は、使用する目的に応じ任意に設定することができる。例えば、帯電防止層の表面固有抵抗値が1×1011Ω/□以下にすることが好ましい。表面固有抵抗値が1×1011Ω/□であれば、通常、ほこりは付着しない。
粘着剤層、離型層、および帯電防止層を、各々、基材フィルムである上記二軸配向ポリエステルフィルム表面に形成させる方法としては、特に限定されないが、コーティング法が好ましく用いられる。コーティング法としては、例えば、エアドクタコート法、ナイフコート法、ロッドコート法、正回転ロールコート法、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ビードコート法、スリットオリフェスコート法、キャストコート法などが用いられる。異なる層同士を積層する場合も同様である。
上記二軸配向ポリエステルフィルムの表面に離型層を形成する場合には、例えば、上記方法により、シリコーン樹脂あるいはフッ素樹脂を塗布した後、これを乾燥し、硬化させることにより離型層が形成される。樹脂の硬化は、加熱、電離放射線照射などによりなさ
れる。乾燥および硬化は、それぞれ個別にまたは同時に行うことができる。同時に行う場合には、80℃以上の温度で行うことが好ましい。乾燥および硬化の条件としては、80℃以上で10秒以上が好ましい。乾燥温度が80℃未満または硬化時間が10秒未満では塗膜の硬化が不完全であり、塗膜が脱落しやすくなる傾向にある。
次に実施例をあげて本説明をさらに説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例、比較例における物性の評価方法は以下の通りである。
(1)屈折率
JIS K 7142−1996 5.1(A法)により、ナトリウムD線を光源としてアッベ屈折計によりフィルム長手方向の屈折率(nx)、幅方向の屈折率(ny)を測定し、(nx−ny)により屈折率差を求めた。
(2)分子配向主軸の方向
上記屈折率測定において、nx>nyの場合は長手方向、nx≦nyの場合は幅方向と判断した。
(3)分子鎖主軸の配向角(θ)、光学主軸の傾斜角(ξ)
フィルム幅方向の距離について、後述の二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムの作製におけるテンター出口(実施例1〜4、比較例1では第2テンター出口)のフィルム幅において、端縁を0%とし、他の端縁を100%とする。上記フィルム幅の10%に相当する領域から90%に相当する領域(後述の離型フィルムの全幅に相当)について、幅方向に100mmピッチで連続してn個の100mm四方の正方形のフィルムサンプルを切り出した。該正方形のフィルムサンプルは長手方向、又は幅方向のいずれかの軸を基準に直角に切り出した。各フィルムサンプルについて、王子計測器株式会社製、MOA−6004型分子配向計を用いて、フィルム長手方向に対する分子鎖主軸の配向角(θi)、及び下記式によって定義される機械軸方向(長手方向、または幅方向のいずれか)に対する光学主軸の傾斜角(ξi)を測定した。なお、nは、フィルム全幅に0.8を乗じ、10mmで除した数値の小数点以下を切り上げた整数である。また、iはサンプル番号を表し、i=1〜nである。
|θ|≦45度のとき ξ=|θ|
|θ|>45度のとき ξ=|90度−|θ||
上記フィルムサンプルより測定した光学主軸の傾斜角の内、最大値を光学主軸の最大傾斜角(ξmax)とした。
また、上記配向角の測定において、連続して隣接する4点のフィルムサンプルの配向角(θi,θi+1,θi+2,θi+3)を比較し、その最大値と最小値の差(Δθi)を求めた。Δθ1〜Δθn−3のうち、その最大値を光学主軸の傾斜角の変動(Δθmax)として定義した。
(4)150℃における熱収縮率[HS150(MD)]
JIS C 2318−1997 5.3.4(寸法変化)に準拠し、長手方向、幅方向の寸法変化率(%)を測定した。
(5)ヘーズ
JIS K 7105「プラスチックの光学的特性試験方法」ヘーズ(曇価)に準拠して測定した。測定器には、日本電色工業社製NDH−300A型濁度計を用いた。
(6)偏光下での視認性
面光源バックライト(エス・エフ・シー社製透過光BOX A3−2)上に、偏光板を直交させ、クロスニコルの状態として設置する。その偏光板の間に、フィルムロールから切り出したフィルムをフィルムのスリット端部と偏光板の偏光軸が垂直または水平になるように挟みこみ、全幅の着色状態および検査性を観察する。
◎:干渉色をほぼ生じない。斜めから見ても干渉色をほぼ生じない。部分的な着色斑がない。
○:若干干渉色は生じるが、100μm程度の異物の検出は可能。着色斑は許容範囲内である。
△:100μm程度の異物は検出可能であるが、フィルム中の異物を過剰に検出してしまう、もしくはコントラスト低下により、異物は確認できるが、検査しづらい。
×:干渉色がきつく、100μm程度の異物の検出が困難。斜めから見たときの着色も大きい。または、部分的な着色斑があり、検査ができない。
(製造例1−ポリエステルA)
エステル化反応缶を昇温し200℃に到達した時点で、テレフタル酸を86.4重量部およびエチレングリコール64.6重量部を仕込み、撹拌しながら触媒として三酸化アンチモンを0.017重量部、酢酸マグネシウム4水和物を0.064重量部、トリエチルアミン0.16重量部を仕込んだ。ついで、加圧昇温を行いゲージ圧0.34MPa、240℃の条件で加圧エステル化反応を行った後、エステル化反応缶を常圧に戻し、リン酸トリメチル0.014重量部を添加した。さらに、15分かけて260℃に昇温し、リン
酸トリメチル0.012重量部を添加した。
次いで15分後に、高圧分散機で分散処理を行い、さらにトリポリリン酸ナトリウム水溶液をシリカ粒子に対しナトリウム原子として0.1重量%含有させ、遠心分離処理により粗粒部を35%カットし、且つ目開き5μmの金属フィルターでろ過処理を行った平均粒子径2.5μmのシリカ粒子のエチレングリコールスラリーを粒子含有量として0.2
重量部添加した。15分後、得られたエステル化反応生成物を重縮合反応缶に移送し、280℃で減圧下重縮合反応を行い、固有粘度0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂(A)を得た。(以後、PET(A)と略す。)
(製造例2−ポリエステルB)
一方、上記PET(A)の製造において、シリカ粒子を全く含有しない固有粘度0.6
2dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂(B)を得た。(以後、PET(B)と略す。)
(製造例3−離型剤C)
熱硬化型シリコーン樹脂(東芝シリコーン社製、TPR6712)を、固形分濃度が1.0質量%となるように、溶剤(トルエン/MEK=50/50;質量比)に混合分散させ、さらに、前記シリコーン樹脂 100質量部に対し、硬化触媒として白金触媒1質量部を添加して離型剤(C)とした。
(実施例1)
PET(A)とPET(B)を混合し、シリカ粒子の含有量を0.08重量%となるよう調整し、常法により乾燥して押出機に供給し290℃で溶融してフィルム形成ダイを通してシート状に押出し、静電印加密着法を用いて水冷却した回転急冷ドラム上に密着させ急冷し、未延伸フィルムを作製した。この時、溶融樹脂の異物除去用濾材として濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)15μmのステンレス製焼結濾材を用いた。
この未延伸フィルムをテンター延伸機(第1テンター)に導き、予熱ゾーンにて95℃
で約6秒間予熱した後、100℃の延伸ゾーンで幅方向に延伸倍率3.2倍に延伸した。その後フィルムを50℃まで冷却した後、クリップの把持を開放した。続いて100℃に加熱されたロール群に導き、赤外線ヒーターを用いて延伸温度が115℃となるように調整し、長手方向に4.5倍延伸を行った。その後、冷却ロールでフィルムを40℃まで冷却した後、再びテンター(第2テンター)に導き、220℃で熱固定を行い、50℃まで冷却した後、クリップの把持を開放した。次いで、第2テンター出口幅のフィルム全幅の15%にあたる両端部をカットした後、ロール状に巻き取り、幅約1500mm、厚み38μmの二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。
得られたフィルムの特性を表1に示した。
上記の方法で得られたフィルムの片面に、前記離型剤(C)を塗布した。塗布は、グラビアコーターを用いて行い、離型剤を塗布した後、140℃で90秒間乾燥し、厚さ0.5μmの離型層を設けた。次いで、前記テンター出口幅のフィルム全幅の5%にあたる両端部をカットした後、ロール状に巻き取って離型フィルムを得た。このようにして得られた離型フィルムの偏光下での視認性は、全幅にわたって良好であり、偏光板保護用または位相差板保護用離型フィルムとして良好な特性を有していた。
(実施例2)
実施例1において、長手方向の延伸倍率を4.7倍とした以外は同様の方法で、厚み38μmの二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム、及び離型フィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムの特性を表1に示した。
得られた離型フィルムの偏光下での視認性は、実施例1同様、フィルム全幅にわたって良好であった。
(比較例1)
実施例1において、幅方向の延伸倍率を3.7倍、長手方向の延伸倍率を3.5倍とした以外は同様の方法で、厚み38μmの二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム、及び離型フィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムの特性を表1に示した。
得られた離型フィルムの偏光下での視認性は、干渉色を発し、×であった。
(実施例3)
実施例1において、シリカ粒子の含有量を0.015重量%となるよう調整した以外は同様の方法で、厚み38μmの二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム、及び離型フィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムの特性を表1に示した。
得られた離型フィルムの偏光下での視認性は、干渉色、及び着色斑は許容範囲内であり、100μm程度の異物の検査も可能であったが、若干、異物を過剰に検出してしまう傾向にあったため、△とした。
(実施例4)
実施例1において、シリカ粒子の含有量を0.15重量%となるよう調整した以外は同様の方法で、厚み38μmの二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム、及び離型フィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムの特性を表1に示した。
得られた離型フィルムの偏光下での視認性は、干渉色、及び着色斑は許容範囲内であり、100μm程度の異物の検査も可能であったが、コントラストが極端に低下しており、異物の検出能力が低下した。そのため、視認性を、△とした。
(比較例2)
実施例1と同様の方法で得た未延伸フィルムを、75℃に加熱されたロール群に導き、赤外線ヒーターを用いて延伸温度が95℃となるように調整し、長手方向に3.3倍に延伸した。次いでテンターに導き、120℃で幅方向に3.9倍に延伸し、引き続き220℃で熱固定を行い、フィルムを冷却した後、クリップの把持を開放し、テンター出口幅のフィルム全幅の15%にあたる両端部をカットした後、ロール状に巻き取り、厚み38μmの二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムの特性を表1に示した。
次いで、実施例1と同様の方法により、ロール状の離型フィルムを作成した。
得られた離型フィルムの偏光下での視認性は、フィルム中央部では良好な特性を示したものの、フィルム端部では著しい干渉色を呈し、使用に耐えなかった。
なお、本比較例の二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムの製造に際し、以下の方法により幾何学的なボーイング量を測定した。テンター導入前にフィルム幅方向に全幅に渡ってマジックインクで長手方向に直行する直線を引いた。係る直線を熱固定後に観察すると、ボーイングによりフィルム進行方向に対して凹状に弓なりした曲線となった。弓状になった該曲線と弦との最大距離を測定し、係る最大距離をフィルム全幅距離で除し、幾何学的なボーイング量を百分率で算出したところ、およそ15%であった。
(比較例3)
実施例1と同様の方法で得た未延伸フィルムを、75℃に加熱されたロール群に導き、赤外線ヒーターを用いて延伸温度が95℃となるように調整し、長手方向に3.3倍に延伸した。次いでテンターに導き、120℃で幅方向に2.6倍に延伸し、更に220℃で幅方向に1.5倍延伸し、そのまま幅固定して熱固定した後、冷却して、クリップの把持を開放し、テンター出口幅のフィルム全幅の15%にあたる両端部をカットした後、ロール状に巻き取り、厚み38μmの二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムの特性を表1に示した。
次いで、実施例1と同様の方法により、ロール状の離型フィルムを作成した。
得られた離型フィルムの偏光下での視認性は、比較例2同様、フィルム中央部では良好な特性を示したものの、フィルム端部では著しい干渉色を呈し、使用に耐えないものであった。
なお、本比較例の製造においても、比較例2と同様の方法で幾何学的なボーイング量を測定した。その結果、ボーイング量はおよそ5%であり、比較例2のボーイング量との比較において著しい改善が認められた。しかしながら、表1に示した通り、光学主軸の最大傾斜角に対する改善効果は極めて軽微であり、幾何学的なボーイング量の改善程の歪の改善は認められなかった。
(実施例5)
PET(A)とPET(B)を混合し、シリカ粒子の含有量を0.08重量%となるよう調整し、常法により乾燥して押出機に供給し290℃で溶融してフィルム形成ダイを通してシート状に押出し、静電印加密着法を用いて水冷却した回転急冷ドラム上に密着させ急冷し、未延伸フィルムを作製した。
次いで、未延伸フィルムをテンター式同時二軸延伸機に導き、フィルムの両端をクリップで把持し、95℃で長手方向、及び幅方向に3.2倍ずつ同時二軸延伸した。引き続き120℃まで昇温しながら長手方向に1.4倍延伸した後、220℃で熱固定を行い、50℃まで冷却した後、クリップを開放した。次いで、テンター出口幅のフィルム全幅の15%にあたる両端部をカットした後、ロール状に巻き取り、厚み38μmの二軸配向ポリ
エチレンテレフタレートフィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムの特性を表2に示した。
次いで、実施例1と同様の方法により、ロール状の離型フィルムを作成した。
得られた離型フィルムの偏光下での視認性は◎であった。
(実施例6)
実施例5と同様の方法で作成した未延伸フィルムをテンター式同時二軸延伸機に導き、フィルムの両端をクリップで把持し、90℃で長手方向、及び幅方向に3.0倍ずつ同時二軸延伸した。引き続き115℃まで昇温しながら長手方向に1.67倍延伸した後、220℃で熱固定を行い、50℃まで冷却した後、クリップを開放した。次いで、テンター出口幅のフィルム全幅の15%にあたる両端部をカットした後、ロール状に巻き取り、厚み38μmの二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムの特性を表2に示した。
次いで、実施例1と同様の方法により、ロール状の離型フィルムを作成した。
得られた離型フィルムの偏光下での視認性は、実施例5よりも更に優れており、極めて良好であった。
(比較例4)
実施例5と同様の方法で作成した未延伸フィルムをテンター式同時二軸延伸機に導き、フィルムの両端をクリップで把持し、95℃で長手方向、及び幅方向に3.2倍ずつ同時二軸延伸した。引き続き120℃まで昇温しながら長手方向に1.17倍延伸した後、220℃で熱固定を行い、50℃まで冷却した後、クリップを開放した。次いで、テンター出口幅のフィルム全幅の15%にあたる両端部をカットした後、ロール状に巻き取り、二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムの特性を表2に示した。
次いで、実施例1と同様の方法により、ロール状の離型フィルムを作成した。
得られた離型フィルムの偏光下での視認性は、フィルム端部で著しい干渉色を呈し、実用に耐えないものであった。
なお、本比較例で得られたフィルムの屈折率差(フィルム長手方向の屈折率とフィルム幅方向との屈折率との差)は0.02であり、実施例5の屈折率差(0.04)よりも僅かに低下したに過ぎなかったが、光学主軸の最大傾斜角は著しく悪化した。
得られた結果を、表1および表2に示す。なお、いずれの実施例、比較例においても熱収縮率については幅方向より長手方向の方が大きかった。
本発明の偏光板保護用または位相差板保護用離型フィルムは、大型液晶表示装置の構成部材である偏光板、位相差板に貼り付けて使用することができる。

Claims (2)

  1. 偏光板または位相差板に貼り合わせて使用される、クロスニコル法による検査に供せられる離型フィルムの基材として用いられる、下記要件(1)および(2)を満たす二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法であって、
    前記二軸配向ポリエステルフィルムが、未延伸フィルムを幅方向および長手方向に同時二軸延伸した後、さらに長手方向に延伸を行い、次いで熱処理を行って製造されることを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法。
    (1)フィルム長手方向に分子配向主軸を有する
    (2)フィルム長手方向の屈折率とフィルム幅方向の屈折率との差が0.03以上、かつ0.10以下である
  2. 前記二軸配向ポリエステルフィルムが、機械軸方向に対する光学主軸の最大傾斜角が5度以下であって、フィルム幅方向に30cm間隔で測定した光学主軸の傾斜角の変動が5度以下である請求項1記載の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法。
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