JP2003029028A - 偏光フィルム貼り合わせ用ポリエステルフィルム - Google Patents

偏光フィルム貼り合わせ用ポリエステルフィルム

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JP2003029028A
JP2003029028A JP2001210478A JP2001210478A JP2003029028A JP 2003029028 A JP2003029028 A JP 2003029028A JP 2001210478 A JP2001210478 A JP 2001210478A JP 2001210478 A JP2001210478 A JP 2001210478A JP 2003029028 A JP2003029028 A JP 2003029028A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、偏光板検査時において、異物混入や
欠陥を見落とす原因である光漏れ及び光干渉色を改善
し、昜検査性に優れた偏光フィルム貼り合わせ用ポリエ
ステルフィルムを提供すること。 【解決手段】偏光フィルムと貼り合わせて用いられるポ
リエステルフィルムであり、下記(1)式及び(2)式
を同時に満たすことを特徴とする偏光フィルム貼り合わ
せ用ポリエステルフィルムであること。 Hd×Tt×θ ≦ 1 ………式(1) Tt ≧ 0.5 ………式(2) (ただし、式(1)及び式(2)のHd、Tt及びθ
は、それぞれ、該偏光フィルム貼り合わせ用ポリエステ
ルフィルムの濁度(単位は百分率)、光線透過率(単位
は百分率)、及びフィルム長手方向と幅方向でなす直交
座標軸と配向主軸となす角度のうち小さい方の角度
(°)である。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエステルフィ
ルムに関するものであり、さらに詳しくは本発明は、偏
光板、位相差偏光板または位相差板の目視検査による異
物や欠陥の発見を容易に可能とする離型フィルム等とし
て用いるのに好適な偏光フィルム貼り合わせ用ポリエス
テルフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、従来のCRT(Cathode Ray
Tube)に比べ薄型軽量、低消費電力、高画質の利点を
有する液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Displa
y)の需要が急速に伸びつつあるが、特に、大画面のT
FT(Thin Film Transistor)方式やSTN(Su
per Twisted Nematic)方式では、不良品発生率が
高い。偏光板、位相差偏光板または位相差板は、LCD
に必要不可欠な部品であるが、これらについても品質の
安定維持が重要課題とされている。
【0003】偏光板は通常、図1に示す如く偏光フィル
ム1、表面保護フィルム2、粘着剤層3および離型フィ
ルム4より構成される。偏光フィルム1は、沃素や二色
性染料などの偏光素子をポリビニルアルコール系フィル
ムの如き親水性フィルムなどに吸着配向せしめた偏光軸
と吸着軸とを有する偏光子を、上下よりセルロース系フ
ィルムで被覆するか、あるいはアクリル系樹脂をコーテ
ィングすることによる構造を有する。表面保護フィルム
2は、ポリエステルフィルム等の透湿性が少なく、伸び
等の変形が少ない透明なプラスチックフィルムが使用さ
れている。表面保護フィルム2と偏光フィルム1は接着
剤(図示省略)で被着されており、該接着剤は表面保護
フィルム2とは強固に接着するが、偏光フィルム1とは
経日でも容易に剥離し得るものが使用されている。粘着
剤層3は偏光フィルム1を液晶セル(図示省略)に粘着
するための感圧型粘着剤等よりなり、離型フィルム4は
ポリエステルフィルム等で構成されている。
【0004】このような偏光板の製造に際しては、予め
原料である偏光フィルム1の光の透過率や偏光度あるい
はヘイズ等の光学特性を検査し使用してはいるものの、
偏光板への製造工程での偏光フィルムへの機械的応力、
異物混入あるいは付着等により欠陥が生じる可能性があ
る。このため最終製品での異物混入や欠陥検査では、図
2に示すが如くクロスニコル法(2枚の偏光板5,7を
互いに偏光面を直交させ、その間にフィルム6の長手方
向、幅方向をそれぞれ直交する偏光板の偏光面に合わせ
て挟まれた状態での透過光を観察する方法)による人間
の目視検査を行なっている。実際の偏光板の目視検査に
おいては、正常な検光子7の上に、その偏光面に対して
偏光面が直交するように、検査対象の偏光板を、図2の
クロスニコル法における偏光子5とフィルム6との代わ
りに重ねて置くと、原理的に、偏光板中の異物混入や欠
陥という欠点箇所が輝点として現れるので、目視により
欠点が検査できるというものである。
【0005】しかしながら、現在、偏光板の離型フィル
ムとして用いられているニ軸配向ポリエステルフィルム
は、クロスニコル法による偏光板検査時に、光漏れが生
じやすく、正確な目視検査が困難となり、偏光板の異物
混入や欠点である輝点を見落とす問題が生じている。光
漏れの原因は、主に、ニ軸配向ポリエステルフィルム自
体の光学的異方性であると考えられている。
【0006】そのようなフィルムの光学的異方性は、主
として、ニ軸配向ポリエステルフィルムの製膜工程時に
生じるボーイング現象により発現する。
【0007】ボーイング現象とは、従来からポリエステ
ルフィルム製膜工程において広く用いられているテンタ
ー法(フィルムの両端部をレール上を走行するクリップ
で把持して熱風オーブン等に導き、幅方向延伸および熱
処理を行う方法)では、熱処理時にフィルム長手方向に
生じる応力差の結果、テンター前にフィルム幅方向にマ
ジックインキで引いた直線が熱処理後には、フィルム長
手方向に弓なり状に引き戻された形をして出てくる現象
をいう。この現象により、製膜フィルム全幅において、
中央部から端部へ移行するほどフィルムの配向角のずれ
(フィルム長手方向と幅方向でなす直交座標軸と配向主
軸(面内で分子が最も分極している方位)となす角度の
うち小さい方の角度)が大きくなり、フィルムは光学的
異方性を有する。
【0008】以下、フィルムの光学異方性による影響、
すなわち、クロスニコル下における光透過及び光干渉色
について詳述する。
【0009】図2の如く偏光板を観察するクロスニコル
法による偏光板目視検査において、フィルム端部へ移行
するほどそのフィルムの配向主軸が二枚の偏光板で作ら
れる直交座標からずれるために、フィルムによる複屈折
が原因で光透過(光漏れ)及び光干渉色が生じる。複屈
折とは、ニ軸配向ポリエステルフィルムなどのフィルム
長手方向と幅方向で屈折率が異なる(異方性)物質(複
屈折体)に光が入射すると、光は2方向に分かれて進
み、物が二重に見える現象のことをいう。
【0010】クロスニコル下での光漏れを示す尺度であ
る光透過率(T)は、従来から下記式(4)のように、
ポリエステルフィルムなどの複屈折体の配向角およびレ
ターデーションが関係していることが知られている。
【0011】 T={(sin2θ)(sinπRe/λ)}2 ・・・式(4) ここで、θは複屈折体の配向角(°)、Reは式(3)
で示されたレターデーション(nm)、λは用いる光線
の波長(nm)である。
【0012】入射光は、正常な偏光板である検光子を通
過すると、直線偏光した光となるが、式(4)に示され
たように、この光とフィルムの配向主軸の関係が0°も
しくは90°の整数倍でなければ、入射光は複屈折によ
り、振動方向が互いに直交し、しかも速度を異にする2
つの偏光波に分かれる。これら二つの偏光波が偏光子で
合成波となるために光透過(光漏れ)が生じる。
【0013】また、これら二つの偏光波の位相差を
(3)式で示されたレターデーションと呼び、Michel
−Levy干渉色図表の通り、従来から、この値に依存し
て光干渉色が生じることは知られている。実際の偏光板
検査時には、このレターデーションの視角依存性が加わ
るため、検査人の目に届く透過光は明るく虹色に色付い
てしまい、偏光板の異物混入や欠陥を見逃してしまう事
態が生じている。
【0014】従来の偏光板の離型フィルムとして用いら
れてきている二軸配向ポリエステルフィルムの光漏れ対
策としては、上記した配向角のずれ及びレターデーショ
ンに関するものが多く提案されている。例えば、特開2
000−52417、特開2000−131523また
は特開平9−258022等では、偏光板検査時におい
て離型フィルムの配向主軸と偏光板の偏光面のなす角度
を出来るだけ小さくする方法が開示されている。また、
特開平6−3664では、光学異方性の少ない低レター
デーションである離型フィルムを用いる方法が開示され
ている。特開2000−94565では、逆に、高レタ
ーデーションを有する離型フィルムを用いる方法が開示
されている。その他、マイクロ波を用いた分子配向計の
透過光強度の最大値と最小値の比で表されるパラメータ
であるMOR値で定義された離型フィルムなどが開示さ
れている。
【0015】しかしながら、現在、偏光板用離型フィル
ムとして用いられているこれらの二軸配向ポリエステル
フィルムは、その光学的異方性対策だけでは、光漏れが
十分に解決していない場合も多い。
【0016】その理由の一つとしては、フィルムの光学
異方性とは別に、フィルムの粒子及び表面による偏光解
消散乱により光漏れが生じていることが考えられる。
【0017】現在、大きく分けてポリエステル製造時の
反応触媒としての金属化合物、りん化合物がポリマー中
に析出する粒子(以下、内部粒子と呼ぶ。)および、フ
ィルムの易滑性、表面加工性に影響を与える表面特性を
設計するのにポリマーに調整添加する粒子(以下、外部
粒子)などの2種類の粒子がある。クロスニコル法によ
る偏光板目視検査において、図2の如く偏光板を観察す
るときに、白色光源8から検光子7を経た直線偏光の光
が離型フィルム6に入射すると、直線偏光した光が粒子
及びフィルム表面により散乱すると、もとの光の偏光特
性を解消してしまうため、光透過(光漏れ)が生じる。
この光散乱は、厚みムラや突起物などによる表面散乱、
及び触媒としての内部粒子より主に易滑性などを付与す
るための外部粒子による散乱がほとんどである。これら
は、フィルム表面の形状や散乱体である粒子の粒径、屈
折率、分散系及びその濃度などに大きく依存することが
知られている。
【0018】これらの粒子及び表面による偏光解消散乱
を問題視し、その対策を開示している提案はなく、特開
平2000−141568及び特開平2000−141
570において、散乱のパラメータである濁度の指標で
開示されているだけである。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、本発明
者らの検討によれば、ニ軸配向ポリエステルフィルムの
配向角やレターデーションを操作するだけでは目的とす
る十分な検査性を有する偏光フィルム貼り合わせ用ポリ
エステルフィルムは得ることができなかった。
【0020】本発明は、偏光板目視検査において、好適
な偏光フィルム貼り合わせ用ポリエステルフィルムを得
るためには、第一に偏光解消散乱に起因する光漏れを十
分に抑制することを優先しながら、同時に、ニ軸配向ポ
リエステルフィルムが複屈折体であることに起因する配
向角のずれ及びレターデーションによる二つの光漏れを
抑制することが必要不可欠であることに着目すること
で、偏光板検査時において、異物混入や欠陥を見落とす
原因である光漏れ及び光干渉色を改善し、昜検査性に優
れた偏光フィルム貼り合わせ用ポリエステルフィルムを
提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明は、異物混入や欠
陥を見落とす原因と考えられている粒子及び表面による
偏光解消散乱を優先的に抑えながら、さらには、光学異
方性である配向角のずれによる光透過を抑えることによ
って上記の目的を達成することを見出すことによってな
されたものである。
【0022】すなわち、偏光フィルムと貼り合わせて用
いられるポリエステルフィルムであり、下記(1)式及
び(2)式を同時に満たすことを特徴とする偏光フィル
ム貼り合わせ用ポリエステルフィルム。
【0023】Hd×Tt×θ ≦ 1 ………式(1) Tt ≧ 0.5 ………式(2) (ただし、式(1)及び式(2)のHd、Tt及びθ
は、それぞれ、該偏光フィルム貼り合わせ用ポリエステ
ルフィルムの濁度(単位は百分率)、光線透過率(単位
は百分率)、及びフィルム長手方向と幅方向でなす直交
座標軸と配向主軸となす角度のうち小さい方の角度
(°)である。)
【0024】
【発明の実施の形態】本発明、すなわち下記(1)式及
び(2)式を同時に満たすポリエステルは、従来、余り
検討されることのなかった偏光解消散乱による光漏れを
考慮したものであり、偏光板検査時において、異物混入
や欠陥を見落とす原因である光漏れ及び光干渉色を改善
し、昜検査性に優れた偏光フィルム貼り合わせ用ポリエ
ステルフィルムを提供できる。
【0025】 Hd×Tt×θ ≦ 1 ………式(1) Tt ≧ 0.5 ………式(2) (ただし、式(1)及び式(2)のHd、Tt及びθ
は、それぞれ、該偏光フィルム貼り合わせ用ポリエステ
ルフィルムの濁度(単位は百分率)、光線透過率(単位
は百分率)、及びフィルム長手方向と幅方向でなす直交
座標軸と配向主軸となす角度のうち小さい方の角度
(°)である。)好適な偏光板用離型フィルムを得るた
めには、一般に、式(4)で示される通り、透過光量
(光漏れ)を調節するために、配向角(°)を一定範囲
に制限する必要がある。しかし、検光子を通過した直線
透過光量(図2)にフィルムの濁度(百分率)を乗じて
得た透過光量である偏光解消散乱光量については、クロ
スニコル法による(4)式の関係式を満たさない。その
事実に着目し、鋭意研究した結果、式(1)および式
(2)を満たすポリエステルフィルムを見出し、昜検査
性に優れた偏光フィルム貼り合わせ用ポリエステルフィ
ルムを発明した。
【0026】本発明の該ポリエステルフィルムは、濁度
と光線透過率と配向角の間で相補正があるため一概には
言えないが、基本的に濁度Hdは、偏光解消散乱を抑え
る観点から少なくとも0.04(4%)以下が好まし
い。この場合、光線透過率Ttは、欠点である輝点をよ
り鮮明に浮び上がらせる観点から0.75(75%)以
上あることが好ましい。さらに、配向角θは、光漏れを
少なくする観点から少なくとも10°以下が好ましい。
【0027】他の好ましい態様としては、濁度Hdは
0.06(6%)以下、光線透過率Ttは、0.85
(85%)以上、さらに配向角θは、複屈折体による光
漏れを抑える観点から通常10°以下である。本発明に
よる上記式(1)の観点から、濁度Hd×光線透過率T
t×配向角θは、0.6以下であることがより好まし
い。
【0028】光線透過率Ttは、白色光源(C光)であ
る入射光量に対する透過光量の比で表され、濁度Hd
は、試料による散乱光量に対する透過光量の比で表せら
れる。
【0029】本発明のポリエステルフィルムは、特に限
定されるものではないが、少なくとも2層以上の積層構
造であることが好ましい。2層以上であれば、3層でも
4層でもかまわないが、3層構造の場合においては、本
発明の効果がより一層効果的となり好ましい。単層及び
2層であると、粒子を制御するのが難しく、易滑性や巻
き特性を満足することができないだけでなく、例え、満
足できるだけの添加量量を増加させても偏光解消散乱が
増加するため好ましくない。
【0030】本発明のポリエステルフィルムは、二軸に
配向していることが好ましい。無配向や一軸配向では、
厚みムラなどの平面性が悪く、本発明の特性を満足する
ことが困難である。
【0031】本発明のポリエステルフィルムの少なくと
も片面側の最外層には、粒子を含有しているのが好まし
い。この粒子としては無機粒子、有機粒子が挙げられ、
無機粒子としては、例えば、結晶系がα、β、γまたは
δ型であるアルミナや酸化チタン、ジルコニア、シリカ
などを用いることができる。また、有機粒子としては、
ポリアクリレート系樹脂、シリコン系樹脂、ポリスチレ
ン系樹脂、ポリジビニルベンゼン系樹脂などを用いるこ
とができる。
【0032】上記粒子の平均粒径は、0.1μm〜5μ
mの範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.
1μm〜3μmの範囲である。これらの粒子の最外層に
対する含有量は、0.01重量%〜10重量%以下であ
ることが好ましく、より好ましくは、0.05重量%〜
3重量%であり、更に好ましくは0.08重量%〜1.
5重量%の範囲である。
【0033】粒子の平均粒径や含有量がこれらの範囲よ
りも小さいと、所望のフィルム突起形成密度が低くなる
ため易滑性を付与することができず、フィルム表面のキ
ズ発生の原因となり、また、良好な巻き特性が得られに
くい場合がある。平均粒径及び含有量がこれらの範囲よ
り大きいと粒子による突起が原因でフィルム表面にキズ
が発生しやすく、また、偏光解消散乱が大きくなってし
まう。
【0034】本発明のポリエステルフィルムのレターデ
ーション(Re)は、特定範囲内であることが好まし
い。このレターデーションとは、下記(3)式で示され
る物性値である。
【0035】Re=Δn・d ………式(3) ここで、Δnは、波長λ=590nmにおけるフィルム
面内方向の複屈折、即ち、λ=590nmの光源の光を
フイルム面に直角に入射させ、フィルムを透過して出射
されてきた透過光を測定することによって求められる複
屈折である。また、dはフィルムの厚み(nm)であ
る。
【0036】本発明のポリエステルフィルムのレターデ
ーション(Re)及びその配向角の好ましい範囲は、レ
ターデーションが1500nm以上で配向角が8°以
下、より好ましくは2000nm以上で配向角が8°以
下、更に好ましくは3000nm以上で配向角が8°以
下である。420nm以上660nm以下の範囲では、
例外的に配向角18°以下、より好ましくは、レターデ
イション(Re)と配向角θが、Reとθの直交座標上にプロ
ットした際に、下記のp、q、r、s、t、u6点で囲まれる
六角形の内部にあることである。 p=(420,0) ………式(5) q=(420,10) ………式(6) r=(500,17) ………式(7) s=(580,17) ………式(8) t=(660,10) ………式(9) u=(660,0) ………式(10) 1000nm以上1250nm以下の範囲では、配向角
9°以下、より好ましくは、レターデイション(Re)と配
向角θが、Reとθの直交座標上にプロットした際に、下
記のp、q、r、s、t、u6点で囲まれる六角形の内部にあ
ることである。 p=(1050,0) ………式(11) q=(1050,7) ………式(12) r=(1150,9) ………式(13) s=(1150,9) ………式(14) t=(1200,7) ………式(15) u=(1250,0) ………式(16) さらに、Reについて詳細に以下に説明する。Re値が
1500nm以上の範囲にすることによって、透過光の
干渉色が少ないため、目視検査において、偏光フィルム
と貼り合わせるのに好適な偏光フィルム貼り合わせ用ポ
リエステルフィルムとして使用することができる。一
方、Reが420nm以上660nm以下及び1000
nm以上1250nm以下の範囲にすることによって、
青もしくは紫色系統に色づくため、偏光板の目視検査に
おいて輝点である欠点が浮出てくるため、偏光フィルム
と貼り合わせるのに好適な偏光フィルム貼り合わせ用ポ
リエステルフィルムとして使用することができる。
【0037】本発明のポリエステルフィルムは、150
℃で10分間の熱処理条件で測定されるフィルム長手方
向、幅方向の熱収縮率が3%以下であることが望まし
く、好ましくは、2%以下である。フィルム長手方向、
幅方向の熱収縮率が3%以下であると、偏光フィルムと
の接着工程において粘着剤中の溶媒を加熱除去する際
に、フィルムの平坦性を保つことが容易となり、偏光フ
ィルム検査時に平坦性不良による検査性の低下を抑える
ことができる。
【0038】本発明のポリエステルフィルムを、偏光フ
ィルムとの貼り合わせに用いる場合は、ポリエステルフ
ィルムに離型処理を施すことが剥離性の点で好ましい。
離型処理とは、粘着剤被膜やシートに対し適度な力で剥
離が可能となるように離型層表面に処理を施すことをい
う。かかる離型処理としては、特に限定されないが、シ
リコーンコーティング処理が好ましい。中でも、硬化シ
リコーン樹脂塗膜を形成する処理が好ましく用いられ
る。この硬化シリコーン樹脂塗膜は、硬化性シリコーン
樹脂を含む塗液をフィルムの少なくとも片面に塗布し、
乾燥、硬化により成形することができる。
【0039】本発明のポリエステルフィルムの厚みは、
レタデーションの範囲内で式(3)を満たす限り、特に
限定されないが、離型フィルムとしての使い勝手のよさ
の観点から10μm以上60μm以下とすることが望ま
しく、好ましくは15μm〜50μmである。
【0040】以下に、本発明の偏光フィルム貼り合わせ
用ポリエステルフィルムの製造方法を説明する。
【0041】本発明におけるポリエステルフィルムに用
いられるポリエステルとは、芳香族ジカルボン酸または
脂肪族ジカルボン酸とジオールを主たる構成成分とする
ポリエステルである。ここで、芳香族ジカルボン酸とし
て、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、
1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレン
ジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,
4′−ジフェニルジカルボン酸、4,4′−ジフェニル
エーテルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルスルホン
ジカルボン酸等を挙げることができる。また、脂肪族ジ
カルボン酸としては、例えば、アジピン酸、スベリン
酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等を挙げることがで
きる。中でも、好ましくはテレフタル酸とイソフタル酸
を挙げることができる。これらの酸成分は1種のみ用い
てもよく、2種以上併用してもよく、さらには、ヒドロ
キシ安息香酸等のオキシ酸等を一部共重合してもよい。
また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコ
ール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジ
オール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオ
ール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオ
ール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキ
サンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノー
ル、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレン
グリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレン
グリコール、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフ
ェニル)プロパン等を挙げることができる。中でも、エ
チレングリコールが好ましく用いられる。これらのジオ
ール成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用しても
よい。
【0042】本発明のポリエステルフィルムに用いられ
るポリエステルとして好ましくは、ポリエチレンテレフ
タレート、エチレンテレフタレートとエチレンイソフタ
レートとの共重合体、ポリブチレンテレフタレートおよ
びその共重合体、ポリブチレンナフタレートおよびその
共重合体、さらにはポリヘキサメチレンテレフタレート
およびその共重合体、ポリヘキサメチレンナフタレート
およびその共重合体等を挙げることができ、特に耐熱性
と透明性および機械強度のバランスの点からポリエチレ
ンテレフタレートが好ましく用いられる。
【0043】本発明におけるポリエステルは、従来公知
の方法で製造することができる。例えば、酸成分をジオ
ール成分と直接エステル化反応させた後、この反応の生
成物を減圧下で加熱して余剰のジオール成分を除去しつ
つ重縮合させることによって製造する方法や、酸成分と
してジアルキルエステルを用い、これとジオール成分と
でエステル交換反応させた後、上記と同様に重縮合させ
ることによって製造する方法等がある。この際、必要に
応じて、反応触媒として従来公知のアルカリ金属、アル
カリ土類金属、マンガン、コバルト、亜鉛、アンチモ
ン、ゲルマニウムおよびチタン化合物を用いることがで
きる。
【0044】本発明に於けるポリエステルには、必要に
応じてさらに難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸
収剤、帯電防止剤、顔料、脂肪酸エステル、ワックス等
の有機滑剤あるいはシロキサン等の消泡剤等を配合する
ことができる。
【0045】かかるポリエステルを、上記溶融ポリマー
を押出機に供給して、T型口金等を用いてシート状に溶
融押出しする。その後、キャスティングドラム上で冷却
固化した未延伸フィルムを、ポリエステルのガラス転移
点以上の温度で延伸する。延伸方法は、いかなる延伸方
法であってもよく、通常、逐次ニ軸延伸方式である長手
方向に延伸した後に幅方向に延伸する方法、幅方向に延
伸した後に長手方向に延伸する方法が用いられるが、場
合によっては長手方向、幅方向に同時に延伸する方法、
また長手方向の延伸、幅方向の延伸を複数回組み合わせ
て行ってもよい。長手方向の延伸倍率は、樹脂の種類、
用途などにより異なるが通常、2〜15倍である。特
に、ポリエチレンテレフタレートの偏光フィルム貼り合
わせ用ポリエステルフィルムの場合、2〜5倍程度であ
る。また、幅方向の延伸倍率は、樹脂の種類、用途など
により異なるが、通常2〜10倍である。特に、ポリエ
チレンテレフタレートからなるポリエステルフィルムの
場合、3〜5倍程度である。次いで、延伸されたフィル
ムを熱処理する。熱処理温度は、延伸温度より高く結晶
融点より低い温度でなされるのが一般的であるが、あま
り高くするとボーイングが大きくなりやすいのでポリエ
チレンテレフタレートである場合は130℃ないし23
0℃の範囲であることが好ましい。
【0046】また、ボーイングを低減させる種々の方法
を採用することもできる。フィルムのボーイングを低減
させる方法としては、例えば、幅方向延伸後に一旦ポリ
エステルのガラス転移温度以下に冷却した後熱処理する
方法、幅方向延伸後にニップロールを設ける方法、熱処
理室を複数のゾーンに分けて段階的に昇温する方法、幅
方向に温度分布を設けて熱処理する方法、熱処理室でも
幅方向に2〜20%の再延伸を行なう方法などがある。
【0047】上記のような製膜方法を採用し、その製膜
条件である延伸温度、延伸倍率、熱処理温度を適宜調整
することによりレターデーション及び、好ましくは熱収
縮率を調整する。例えば、レターデーションが1500
nm以上の範囲を満足させるためには、長手方向の配向
を強くしないために、その延伸温度は100℃以上12
5℃以下が好ましく、延伸倍率は段階的に複数回の延伸
を行い、その全長手方向延伸倍率は、3.8倍以下が好
ましい。幅方向においては、延伸温度は100℃程度で
延伸倍率は4.0倍以上が好ましい。一方、長手方向の
配向を強くする場合は、その延伸温度は85℃以上95
℃未満で、その延伸倍率は2.8倍程度が好ましい。幅
方向においては、延伸温度は100℃程度で延倍倍率は
3.6倍程度が好ましい。
【0048】レターデーションが420nm以上660
nm以下及び1100nm以上1250nm以下の範囲
を満足させるためには、その延伸温度は110℃以上1
25℃以下が好ましく、延伸倍率は段階的に複数回の延
伸を行い、その全長手方向延伸倍率は、3.0倍以上が
好ましい。幅方向においては、延伸温度は100℃以上
で延伸倍率は3.0倍以上が好ましい。熱処理温度は、
150℃、10分間の条件で熱収縮率が長手方向、幅方
向それぞれが、3%以下を満たす観点から、200℃以
上が好ましく、その後、熱処理温度以下で幅方向に10
〜3%程度の弛緩熱処理をすることも好ましい。
【0049】[特性の測定方法]本発明において、フィ
ルムの特性は以下の方法で測定した。 (1) 平均粒径 粒子を含有したフィルムの断面を走査型電子顕微鏡SE
M(日立製作所製S−2100A)を用いて、およそ2
000〜10000倍程度で観察した。観察箇所を変え
て粒子個数1000個以上について、その平均値を平均
粒径とした。
【0050】もしくは、粒子を含有したフイルムを厚さ
方向に薄切片とし、透過型電子顕微鏡TEM(日本電子
製JEM−1200EX)を用いて粒子を観察する。1
0万倍程度の倍率で粒子を観察するとこれ以上、粒子を
分割できない最小の粒子径を観察することができる。こ
の観察を100視野について行い、平均した値を平均粒
径とした。 (2) 粒子の含有量 ポリエステルを溶解し粒子は溶解させない溶媒を選択
し、粒子をポリエステルから遠心分離し、粒子の全体重
量にたいする比率(重量%)をもって粒子含有量とし
た。また、必要に応じて熱分解ガスクロマトグラフィ
ー、赤外分光法、蛍光X線分析法、ラマン散乱法、SE
M−XMAなどを利用して定量することもできる。積層
部および基層部の含有は、各積層部を削り取ることによ
って区別できる。また、必要に応じてTEMを用いて、
断面に観察される粒子の個数から計算することもでき
る。 (3)易滑性(静止摩擦係数μs、動摩擦係数μd) フィルム同士の摩擦係数は、ASTM−D−1894−
63に準じ、静摩擦係数μs、動摩擦係数μdを新東科学
(株)製表面性測定機HEIDON−14DRを用い
て、サンプル移動速度200mm/min、荷重200
g、接触面積63.5mm×63.5mmの条件で測定
し、アナライジングレコーダTYPE:HEIDON3
655E−99で記録し評価し、以下の基準により易滑
性を判定した。 ○:μs=1.0未満 △:μs=1.0以上〜1.5未満 ×:μs=1.5以上 (4)光線透過率・濁度 フィルム幅方向の中央部から、長手4.0×幅3.5c
mの寸法に切り出したものをサンプルとし、光線透過率
及び濁度は、ヘイズメータ(スガ試験機製HGM−2D
P(C光用))を用いて測定した。 (5)偏光板の目視検査、干渉色 サンプルは、フィルム幅方向における任意の位置からA
4のカットサンプルの長手方向とフィルム長手方向を一
致させて切り出した。図2のクロスニコル法に示したよ
うに、光源部にフジカラーライトボックス100V8W
((株)進光社製)を用いて、その上に正常な検光子7
と偏光子5の吸収軸面が直交するように配置し、その間
にポリエステルフィルムを挟んだ状態で、偏光子側から
目視検査を行なった。このとき、観察面側の寸法幅28
cm×縦34cmの偏光子の吸収軸とA4カットサンプ
ルのフィルムの長手方向を一致させた。目視検査は、ま
ず、ポリエステルフィルムを挟んでない状態での輝点と
して表れる偏光子の異物や欠陥の位置と数を50個、確
認した。次に、ポリエステルフィルムを挟んだ状態で、
異物や欠点の数が幾つ認識できなくなるかどうかで評価
した。また、干渉色も同時に観察した。評価基準は以下
に従った。 ○:確認できなくなる輝点数が5個未満。 △:確認できなくなる輝点数が5個以上15個未満。 ×:確認できなくなる輝点数が15個以上。 (6)レターデーション(Re)および配向角 上記したA4カットサンプルのフィルム幅方向の中央部
から、長手4.0×幅3.5cmの寸法に切り出したも
のをサンプルとし、波長λ=590nmにおけるフィル
ムのレターデーション及び配向角を自動複屈折計(新王
子(株)製KOBRA−21ADH)を用いて測定し
た。 (7)クロスニコル法による光線透過率 サンプルは、自動複屈折計の場合(上記(6))と同一の
ものを使用した。フィルムの光線透過率は、図2に示し
たクロスニコル法(フィルム6としてサンプルを配置
し、目9の位置が検出器の位置に相当する)により、ヘ
イズメータ(スガ試験機製HGM−2DP(C光用))を用
いて測定した。検光子7と偏光子5(該測定では、被測
定物がフイルム6となるので検光子を用いる)には、単
体透過率42.58%、偏光度99.66%の偏光フィ
ルムを使用し、そのうちの1枚の偏光フィルムの偏光軸
方向とフィルムの長手方向とを一致させた。なお、光源
にはハロゲンランプ12V,500W を使用した。 (8)熱寸法変化率 サンプルは、フィルムの幅方向の中央部から、長手方向
と、幅方向にそれぞれ1cm×16cmで切り出し、サ
インペンで端から3cmの位置にそれぞれ、マーキング
を施した。熱寸法変化率は、ギアオーブン(TABAI
社製GHPS−222)で150℃、10分間の条件下
で熱処理した前後のフィルム長手方向、幅方向、それぞ
れのマーキングの間隔を万能投影機(77−7ニコン社
製E04)で測長することにより求めた。
【0051】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれに限られるものではない。
【0052】[実施例1]公知の方法により平均粒径
0.3μmのポリジビニルベンゼン共重合体(81%ジ
ビニルベンゼン、19%エチル−ビニルベンゼン)を2
重量%含有させたポリエチレンテレフタレートのペレッ
トをマスターペレット1とした。
【0053】次に、同様に、平均粒径0.6μmの合成
炭酸カルシウムを1重量%含有させたポリエチレンテレ
フタレートのペレットをマスターペレット2とした。
【0054】上記ペレット1を5重量部、ペレット2を
50重量部、さらに粒子を含有しないポリエチレンテレ
フタレートのペレットを45重量部を混ぜ合わせ後、1
80℃で3時間乾燥し、ベント式二軸混練押出機1に供
給し、280℃で溶融した(ポリマA)。さらに、もう
一台の押出機2を用意し、平均粒径0.2μmのコロイ
ダルシリカを1重量%含有するポリエチレンテレフタレ
ートのペレットを55重量部、最終フィルムのリサイク
ルポリマーペレットを25重量部、さらに粒子を含有し
ないペレットを20重量部を混ぜ合わせた後、180℃
で3時間乾燥し、押出機に供給して280℃で溶融した
(ポリマB)。この二つのポリマを、それぞれ高精度濾
過した後、矩形積層部を備えた3層合流ブロックにて、
基層部にポリマBを、両面積層部にポリマAがくるよう
に積層し、フィッシュテール型の口金よりシート状にし
て押出した後、静電印加キャスト法を用意して30℃の
キャスティングドラムに巻き付けて冷却固化し、未延伸
フィルムを作った。
【0055】この未延伸フィルムを長手方向に、85.
5℃で2.8倍に延伸し、次いで幅方向に100〜14
0℃の温度で3.74倍に延伸した後に230℃の熱処
理温度で熱固定し、幅方向に6%の弛緩処理を施して、
厚さ38μmのフィルムを得た。最外層の積層厚みは、
1.72μmであった。この評価結果は、表1に示した
通りであり、目視検査において良好な結果が得られた。
【0056】[実施例2]実施例1と長手方向の延伸前
までは、同様にして、長手方向に3段階に分け、122
℃で1.64倍、さらに122℃で1.1倍、113℃
で2.58倍それぞれ延伸し、次いで幅方向に100℃
〜110℃の温度で4.6倍延伸した後に180℃〜2
05℃の温度で熱固定し、110℃の温度で幅方向に
4.2%の弛緩処理を施して、厚さ25μmのフィルム
を得た。最外層の積層厚みは、1.72μmであった。
この評価結果は、表1に示した通りであり、目視検査に
おいて良好な結果が得られた。
【0057】[実施例3]実施例1のAポリマにおい
て、平均粒径2.0μmのコロイダルシリカを2重量%
含有させたポリエチレンテレフタレートのペレットを3
重量部と粒子を含有しないポリエチレンテレフタレート
のペレットを97重量部を混ぜ合わせて、ベント式二軸
混練押出機1に供給し、280℃で溶融する以外は、幅
方向の延伸前まで同様にして、幅方向に90〜140℃
の温度で3.74倍に延伸した後に220〜230℃の
熱処理温度で熱固定し、幅方向に6%の弛緩処理を施し
て、厚さ24μmのフィルムを得た。最外層の積層厚み
は、1.72μmであった。この評価結果は、表1に示
した通りであり、目視検査において使用可能な結果が得
られた。
【0058】[実施例4]実施例1において、リサイク
ルポリマを最終フィルム以外の不純物の多いポリエチレ
ンテレフタレートのペレットを用いた以外は、長手方向
の延伸前まで同様にして、長手方向に3段階に分け、1
20℃で1.13倍、さらに120℃で1.08倍、1
12℃で2.8倍それぞれ延伸し、次いで幅方向に10
0℃〜110℃の温度で4.2倍延伸した後に180℃
〜205℃の温度で熱固定し、110℃の温度で幅方向
に3.6%の弛緩処理を施して、厚さ38μmのフィル
ムを得た。最外層の積層厚みは、1.72μmであっ
た。この評価結果は、表1に示した通りであり、目視検
査において使用可能な結果が得られた。
【0059】[実施例5]実施例1における同一のフィル
ムをフィルム幅方向において異なる箇所から採取した。
この評価結果は、表1に示した通りであり、目視検査に
おいて使用可能な結果が得られた。
【0060】[実施例6]実施例1のAポリマーにおい
て、平均粒径2.3μmのコロイダルシリカを2重量%
含有させたポリエチレンテレフタレートのペレットを5
0重量部と粒子を含有しないポリエチレンテレフタレー
トを50重量部を混ぜ合わせ、ベント式ニ軸混練押出機
1に供給し、280℃で溶融し、また、実施例1のポリ
マーBにおいて、リサイクルポリマーを50重両部、平
均粒径0.2μmのコロイダルシリカを1重量%含有す
るポリエチレンテレフタレートのペレットを30重量部
にし、さらに粒子を含有しないペレットを20重量部を
混ぜ合わせた後、180℃で3時間乾燥し、押出機に供
給して280℃で溶融し、この二つのポリマを、それぞ
れ高精度濾過した後、矩形積層部を備えた3層合流ブロ
ックにて、基層部にポリマBを、両面積層部にポリマA
がくるように積層し、フィッシュテール型の口金よりシ
ート状にして押出した後、静電印加キャスト法を用意し
て30℃のキャスティングドラムに巻き付けて冷却固化
し、未延伸フィルムを作った。
【0061】この未延伸フィルムを長手方向に、124
℃で4.7倍に延伸し、次いで幅方向に110℃の温度
で4.4倍に延伸した後に200℃の熱処理温度で熱固
定し、幅方向に3.46%の弛緩処理を施して、厚さ1
5μmのフィルムを得た。最外層の積層厚みは、1.7
2μmであった。この評価結果は、表1に示した通りで
あり、目視検査において使用可能な結果が得られた。
【0062】[比較例1]実施例1において、ポリマAに
添加する平均粒径0.6μmの合成炭酸カルシウムを3
重量%含有させたペレットを用いること以外、長手方向
の延伸前までは同様にして、長手方向に3段階に分け、
120℃で1.12倍、さらに124℃で1.05倍、
114℃で2.6倍それぞれ延伸し、次いで幅方向に1
08℃〜112℃の温度で4.4倍延伸した後に210
℃の温度で熱固定し、110℃の温度で幅方向に4.2
%の弛緩処理を施して、厚さ31μmのフィルムを得
た。最外層の積層厚みは、1.72μmであった。この
評価結果は、表1に示した通りであり、目視検査におい
て良好な結果は得られなかった。
【0063】[比較例2]実施例1において、ポリマAに
添加する平均粒径0.3μmのポリジビニルベンゼン共
重合体(81%ジビニルベンゼン、19%エチル−ビニ
ルベンゼン)を4重量%含有させたペレットを用いるこ
と以外、長手方向の延伸前までは同様にして、85.5
℃で2.0倍に延伸し、次いで幅方向に100〜140
℃の温度で3.74倍に延伸した後に230℃の熱処理
温度で熱固定し、幅方向に6%の弛緩処理を施して、厚
さ38μmのフィルムを得た。最外層の積層厚みは、
1.72μmであった。この評価結果は、表1に示した
通りであり、目視検査において良好な結果は得られなか
った。
【0064】[比較例3]実施例1において、長手方向の
延伸前までは同様にして、85.5℃で2.4倍に延伸
し、次いで幅方向に100〜140℃の温度で3.74
倍に延伸した後に230℃の熱処理温度で熱固定し、幅
方向に6%の弛緩処理を施して、厚さ38μmのフィル
ムを得た。最外層の積層厚みは、1.72μmであっ
た。この評価結果は、表1に示した通りであり、延伸ム
ラなどが見られ、目視検査において良好な結果は得られ
なかった。
【0065】[比較例4]実施例1において、ポリマAに
添加する平均粒径0.6μmの合成炭酸カルシウムを1
4重量%含有させたペレットを用いること以外、長手方
向の延伸前までは同様にして、85℃で3.2倍に延伸
し、次いで幅方向に95℃の温度で3.8倍に延伸した
後に210℃の熱処理温度で熱固定し、厚さ38μmの
フィルムを得た。最外層の積層厚みは、2.72μmで
あった。この評価結果は、表1に示した通りであり、白
濁化し目視検査において良好な結果は得られなかった。
【0066】[比較例5]実施例3において、平均粒径
2.0μmのコロイダルシリカを3重量%含有させたポ
リエチレンテレフタレートのペレットを平均粒径2.3
μmのコロイダルシリカを含有させたポリエチレンテレ
フタレートのペレットにする以外は、同一の条件でフィ
ルムを得た。この評価結果は、表1に示した通りであ
り、目視検査において良好な結果は得られなかった。
【0067】
【表1】
【0068】
【発明の効果】本発明は、偏光板検査時において、異物
混入や欠陥を見落とすとされている粒子及び表面による
偏光解消散乱及び光学異方性による光透過を抑え、さら
には、その干渉色を特定することによって、昜検査性に
優れた偏光フィルム貼り合わせ用ポリエステルフィルム
を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 偏光板の構成を示した概要モデル図である。
【図2】 クロスニコル法による目視検査を示す概要図
である。
【符号の説明】
1:偏光フィルム 2:表面保護フィルム 3:粘着剤層 4:離型フィルム 5:偏光子 6:フィルム 7:検光子 8:白色光源 9:検査する人の目
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H049 BA02 BB20 BB23 BB54 BB62 BC01 BC03 BC14 BC22 2H091 FA08 FB02 FC09 FC25 FC29 FC30 KA02 KA10 LA11 LA12 LA17 4F100 AA20 AK41A AK41B AK42A AK42B BA02 BA27 CA23A CA23B EH20 EJ38 GB90 JD01A JN10 YY00A

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記(1)式及び(2)式を同時に満たす
    ことを特徴とする偏光フィルム貼り合わせ用ポリエステ
    ルフィルム。 Hd×Tt×θ ≦ 1 ………式(1) Tt ≧ 0.5 ………式(2) (ただし、式(1)及び式(2)のHd、Tt及びθ
    は、それぞれ、該偏光フィルム貼り合わせ用ポリエステ
    ルフィルムの濁度(単位は百分率)、光線透過率(単位
    は百分率)、及びフィルム長手方向と幅方向でなす直交
    座標軸と配向主軸となす角度のうち小さい方の角度
    (°)である。)
  2. 【請求項2】少なくとも2層の積層構造からなる請求項
    1に記載の偏光フィルム貼り合わせ用ポリエステルフィ
    ルム。
  3. 【請求項3】少なくとも片面側の最外層に平均粒径が
    0.1μm以上5μm以下の粒子を含有し、最外層におけ
    る該粒子の含有量が0.01重量%以上10重量%以下で
    ある請求項2に記載の偏光フィルム貼り合わせ用ポリエ
    ステルフィルム。
  4. 【請求項4】下記(3)式で示されるレターデーション
    (Re)が1500nm以上であり、かつ配向角8°以
    下である請求項1から3のいずれかに記載の偏光フィル
    ム貼り合わせ用ポリエステルフィルム。 Re=Δn・d ………式(3) (ただし、式(3)で、Δnは、波長λ=590nmに
    おけるフィルム面内方向の複屈折であり、dはフィルム
    の厚み(nm)である。)
  5. 【請求項5】下記(3)式で示されるレターデーション
    (Re)が420nm以上660nm以下、かつ配向角
    が18°以下である請求項1から3のいずれかに記載の
    偏光フィルム貼り合わせ用ポリエステルフィルム。 Re=Δn・d ………式(3) (ただし、式(3)で、Δnは、波長λ=590nmに
    おけるフィルム面内方向の複屈折であり、dはフィルム
    の厚み(nm)である。)
  6. 【請求項6】下記(3)式で示されるレターデーション
    (Re)が1000nm以上1250nm以下、かつ配
    向角が9°以下である請求項1から3のいずれかに記載
    の偏光フィルム貼り合わせ用ポリエステルフィルム。 Re=Δn・d ………式(3) (ただし、式(3)で、Δnは、波長λ=590nmに
    おけるフィルム面内方向の複屈折であり、dはフィルム
    の厚み(nm)である。)
  7. 【請求項7】150℃で10分間の熱処理条件でのフィ
    ルム長手方向、幅方向の熱収縮率がそれぞれ3%以下で
    ある請求項1から6のいずれかに記載の偏光フィルム貼
    り合わせ用ポリエステルフィルム。
  8. 【請求項8】少なくとも片方の表面が離型処理された請
    求項1から7のいずれかに記載の偏光フィルム貼り合わ
    せ用ポリエステルフィルム。
  9. 【請求項9】ポリエチレンテレフタレートを用いたポリ
    エステルフィルムである請求項1から8のいずれかに記
    載の偏光フィルム貼り合わせ用ポリエステルフィルム。
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