JP2010113367A - 光学用部材およびこれに用いる表面保護フィルム - Google Patents

光学用部材およびこれに用いる表面保護フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】液晶表示装置の構成部材等に貼り付けて使用する際、検査時に剥離を必要とせず、検査性が良好な光学用部材を提供する。
【解決手段】少なくとも粘着剤層/二軸延伸高分子フィルムの層構成を有する表面保護フィルムを貼り付けられた光学用部材であって、前記光学用部材が偏光板または位相差板であり、前記二軸延伸高分子フィルムがポリエステルフィルムであり、前記二軸延伸高分子フィルムのマイクロ波透過型分子配向計で測定した配向主軸の最大歪みが7度以下であり、且つマイクロ波透過強度の最大/最小比(MOR値)の最低値が1.8より大きいことを特徴とする光学用部材。
【選択図】なし

Description

本発明は、合成樹脂板などの表面保護、特に偏光板や位相差板などの液晶表示装置の構成部材のプロテクトフィルムやセパレーターとして好適に用いられる二軸延伸高分子フィルム及びこれを用いた表面保護フィルムに関する。
液晶表示装置は、一般的には、バックライト側から、偏光板、液晶セル、偏光板を積層することにより構成されている。さらには、表示モードや視野角を改善する目的で、位相差板等の各種補償板が挿入される。この偏光板や位相差板の積層には、通常は粘着剤層付きの偏光板、あるいは粘着剤層付きの位相差板を対象物に貼り合わせることにより行われている。
上記の偏光板は、偏光膜をトリアセチルセルロースでサンドイッチした構成からなり、通常その片面に貼り合わせ用の粘着剤層が設けられている。さらに、偏光板のトリアセチルセルロースは耐擦傷性や耐湿性が劣るため、取扱中や液晶表示装置の作製工程中の損傷、湿気、あるいはほこりの付着を防ぐ目的で、両面に表面保護フィルムが設けられる。偏光板の粘着剤層側とは反対面には粘着剤層を積層した表面保護フィルムが、また粘着剤層側には離型層を積層した表面保護フィルムが使用される。
また、位相差板等の各種補償板も通常その片面に貼り合わせ用の粘着剤層が設けられており、取扱中や液晶表示装置の作製工程中の損傷、ほこりの付着を防ぐ目的で、上記偏光板と同様に、各種補償板の両面に表面保護フィルム(粘着剤層側とは反対面には粘着剤層を積層した表面保護フィルムが、また粘着剤層側には離型層を積層した表面保護フィルム)が使用されている。
そして、偏光板、位相差板等を液晶セルに貼り合わせる際には、表面保護フィルムは剥離除去されて用いられる。
従来、前記の粘着剤層が積層された表面保護フィルムとしては、ポリエチレンフィルムやエチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム等の熱圧着タイプのもの、粘着剤層を設けたポリエステルフィルム等の感圧接着タイプのものが使われている。
また、従来の離型層が積層された表面保護フィルムとしては、ポリエステル、ポリプロピレン等の二軸延伸されたフィルムの少なくとも片面にシリコーン等の離型剤を塗布したものが使用されている。
特開平4−30120号公報 特開平6−148431号公報 特開平7−101026号公報
作製した液晶表示装置の構成部材等は、表示能力、色相、コントラスト等の評価のために、適時に検査を行うのが通例である。ところが、従来から汎用されている表面保護フィルムは、それらの基材が異方性を有するため、このような表面保護フィルムが貼り付けられた構成部材について、光学的評価を伴う検査には支障となるので、検査に先立ち一旦この表面保護フィルムを剥離除去し、検査終了後にもう一度新しい表面保護フィルムを貼り直すことが行われる。新しい表面保護フィルムで貼り直すのは、表面保護フィルムが再貼着可能でも再貼着すると美麗さが損なわれるからである。
上述の検査において、表面保護フィルムの剥離および再貼着は、工程に2工程を要し、極限までコストダウンが追求されるこの分野においては、大きな支障となる。
上記の従来の問題点を解消し、表面保護フィルムを被覆したまま粘着剤層が設けられた偏光板または位相差板の検査を行う試みとして、例えば、特開平4−30120号公報等には、ポリカーボネート、ポリアリレート等の光等方性基材の片面に粘着性樹脂層を設けた表面保護フィルム等が、また、特開平6−148431号公報には、ポリエステル、ポリプロピレン等の無配向フィルムからなる基材の少なくとも片面に離型層が設けられた表面保護フィルムが、また、特開平7−101026号公報において二軸配向ポリエステルフィルムの配向主軸の方向を偏光板または位相差板の配向軸の方向と実質的に同じにするか、90°となるように位置するように積層する方法が提案されている。
このような無配向フィルムは光等方性を有することから、検査時に剥離を要しないという大きな利点を有するが、通常の溶融押出し法では、配向を抑えることが困難であるため、流延法のような製法を用いる必要があり、基材フィルム自体が高価なものになるため、最終的に剥離除去される表面保護フィルムには、ほとんど使われていないのが現状である。また、二軸配向ポリエステルフィルムを用いる方法では、配向主軸の方向を厳密に制御することが困難なことから、歩留まりが悪くなるという問題がある。
従って、本発明は前記欠点を解決しようとするものであり、その目的は、液晶表示装置の構成部材等に貼り付けて使用する際、検査時に剥離を必要とせず、検査性が良好な光学用部材を提供するものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定のマイクロ波透過型分子配向計で測定した配向主軸の最大歪みおよびMOR値を有する二軸延伸高分子フィルムを用いることで、検査時に不具合を見易くでき、さらに低コスト化が可能なことを見いだし、本発明に至った。
即ち、本発明は以下の通りである。
1.少なくとも粘着剤層/二軸延伸高分子フィルムの層構成を有する表面保護フィルムを貼り付けられた光学用部材であって、前記光学用部材が偏光板または位相差板であり、前記二軸延伸高分子フィルムがポリエステルフィルムであり、前記二軸延伸高分子フィルムのマイクロ波透過型分子配向計で測定した配向主軸の最大歪みが7度以下であり、且つマイクロ波透過強度の最大/最小比(MOR値)の最低値が1.8より大きいことを特徴とする光学用部材。
2.前記二軸延伸高分子フィルムが、ヘイズが10%以下であることを特徴とする前記光学用部材。
3.前記二軸延伸高分子フィルムが、120℃における熱収縮率が4%以下であることを特徴とする前記光学用部材。
4.前記二軸延伸高分子フィルムが、ポリエチレンテレフタレート又はこれを主体とするポリエステルで構成されていることを特徴とする前記光学用部材。
5.前記表面保護フィルムにおいて、粘着剤層の反対面に帯電防止層が積層されていることを特徴とする前記光学用部材。
6.前記表面保護フィルムにおいて、粘着剤層と二軸延伸高分子フィルムとの間に帯電防止層が積層されていることを特徴とする前記光学用部材。
7.前記二軸延伸高分子フィルムの片面に離型層が積層されていることを特徴とする前記光学用部材。
8.前記離型層が、シリコーン樹脂及び/又はフッ素樹脂を主たる構成成分とする離型層であることを特徴とする光学用部材。
9.前記シリコーン樹脂が、熱硬化型シリコーン樹脂または放射線硬化型シリコーン樹脂であることを特徴とする光学用部材。
10.前記光学用部材に用いる表面保護フィルム。
本発明の光学用部材は、特定の配向主軸の最大歪み及びマイクロ波透過強度の最大/最小比(MOR値)の最低値を有する二軸延伸高分子フィルムを用いることで、光学的評価(例えば、表示能力、色相、コントラスト、光学欠点等)の検査時に表面保護フィルムを剥離することなしに、不具合を見易くすることが可能である。また、ポリエチレンテレフタレートのような安価で総合性能の優れた樹脂を用いることで、コストダウンが可能となる。
本発明の表面保護フィルムの一例を模式的に示した断面図である。 本発明の表面保護フィルムの一例を模式的に示した断面図である。 本発明の表面保護フィルムの一例を模式的に示した断面図である。 本発明の表面保護フィルムの一例を模式的に示した断面図である。 本発明の表面保護フィルムの一例を模式的に示した断面図である。 本発明の表面保護フィルムの一例を模式的に示した断面図である。 図1、図4の表面保護フィルムを、光学用部材として偏光板に貼り合わせた例を模式的に示した断面図である。 <配向主軸の最大歪みおよびMOR値の最低値>の評価における、サンプリング方法の概略図である。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明における二軸延伸高分子フィルムは、マイクロ波透過型分子配向計で測定した配向主軸の最大歪みが7度以下であり、且つMOR値の最低値が1.8より大きいことを特徴とする二軸延伸高分子フィルムであり、以下の方法によって製造することができる。但し、この方法に限定されるものではない。
本発明における二軸延伸高分子フィルムとは、有機高分子を溶融押出し又は溶液押出しをして、長手方向および幅方向に延伸、冷却、熱固定を施したフィルムであり、有機高分子としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン4、ナイロン6,6、ナイロン12等のポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルサルフォン、ポリサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリアクリル、セルロースプロピオネート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキサイド、ポリスチレン、シンジオタクチクポリスチレン、ノルボルネン系ポリマーなどが挙げられる。また、これらの有機高分子は他の有機重合体を少量共重合したり、ブレンドしたりしてもよい。これらのうち、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレートなどの芳香族ポリエステルやポリ乳酸などの脂肪族ポリエステルが好ましく用いられる。
これらの中でも、特にポリエチレンテレフタレートは、不純物が少なく、透明性、機械的性質、表面平滑性、耐溶剤性、耐スクラッチ性、非透湿性、コストなどの総合性能から最も好適に用いられる。
また、本発明の表面保護フィルムは、偏光板の、表示能力、色相、コントラスト、光学欠点などの光学的評価の検査が終わり、液晶表示装置に組み込まれる際に、剥離除去される。すなわち、検査完了後には不要なものとなる。したがって、自然界で分解する生分解性を有し、燃焼時にも熱量が少なく焼却炉を痛めないなど環境負荷が少なく、かつ透明性、機械的強度に優れた、主たる繰り返し単位が、一般式、−O−CHR−CO−(RはHまたは炭素数1〜3のアルキル基)で示される単位からなる脂肪族ポリエステルフィルムも、本発明の表面保護フィルムの基材フィルムとして好適である。
前記繰り返し単位を有する脂肪族ポリエステルとしては、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(2−オキシ酪酸)などを挙げることができるが、これらの一種または二種以上が選択して用いられる。二種以上を用いる場合は、混合物、共重合体でもよい。また、ポリマー中に不斉炭素を有するものでは、L−体、DL−体、D−体といった光学異性体が存在するが、これらのいずれでもよく、また、二種以上の異性体が混在したものであってもよい。前記脂肪族ポリエステルは、対応するα−オキシ酸の脱水環状エステル化合物を用い、開環重合などの公知の方法で製造することができる。これらの脂肪族ポリエステルの中でも、特に、ポリ乳酸が最も好適である。
本発明の二軸延伸高分子フィルムは、常法により製膜することができる。なかでも、ホモポリマーあるいはコポリマーの融液あるいは溶液を、押出法、カレンダー法や流延法などによりフィルム状に成形し、次いで、ロール法、テンター法、チューブラー法などにより縦および横方向に二軸延伸する方法が好適である。
本発明において、二軸延伸高分子フィルムの配向主軸の最大歪みとは、熱収縮によりフィルム幅方向で配向主軸の方向が曲がる現象を数値化したものである。偏光板の光学検査において、配向主軸の最大歪みが大きくなると、複屈折率効果で光の位相がずれ検光子側に光が漏れてくるという現象が発生する。その結果、偏光板の検査をしているのか、貼った高分子フィルムの検査をしているのか分からなくなり、好ましくない。
本発明において、二軸延伸高分子フィルムはマイクロ波透過型分子配向計で測定した配向主軸の最大歪みが7度以下であることが必要である。より好ましくは、配向主軸の最大歪みが6度以下、特に好ましくは、配向主軸の最大歪みが5度以下である。配向主軸の最大歪みが7度より大きい場合には、検査時に検体中の異物の発見、表示能力の確認等に支障をきたすため好ましくない。
また、二軸延伸高分子フィルムは、マイクロ波透過型分子配向計で測定したマイクロ波透過強度の最大/最小比(MOR値)の最低値が1.8より大きいことが必要である。前記MOR値とは異方性の指標であり、MOR値が大きいほど分子配向の異方性が大きいことを示す。前記MOR値の最低値は2.0以上であることが好ましく、特に好ましくは、MOR値の最低値が2.2以上である。MOR値の最低値が1.8以下では、二軸延伸高分子フィルムの製造時に、フィルム幅方向において中央部と端部で配向軸の斑が大きくなり好ましくない。
本発明においてマイクロ波透過型分子配向計で測定した配向主軸の最大歪みおよびMOR値の最低値とは、以下の方法により測定されるものである。まず、フィルム形状がロール状の場合は、長手方向に500mm、幅方向には全幅の長方形を切り出す。そして、図8に示すように、同一端辺を含む幅方向(テンター方向)に100mm四方の正方形を該長方形の2頂点およびその中心を含む3箇所以上で切り出す。図8において、21は長手方向、22は幅方向、23は端辺、24は頂点、25は頂点の中心である。次に、配向主軸およびMOR値をマイクロ波透過型分子配向計によって求め、最初に測定した点の分子配向角を0度としたときに他の三点の配向角が最も差の大きいものから最大値を求め、配向主軸の最大歪みとした。また同様にしてMOR値の最も小さなものから最低値を求め、MOR値の最低値とした。マイクロ波透過型分子配向計は、神崎製紙(株)製の分子配向計(MOA−2001A)を用いた。
本発明においては、二軸延伸高分子フィルムのマイクロ波透過型分子配向計で測定した配向主軸の最大歪みおよびMOR値の最低値を上記範囲とする方法としては、後述するように、縦延伸における温度および延伸倍率、横延伸における温度および延伸倍率を適正化し、および横延伸後熱固定処理を行う前にフィルムを長手方向に弛緩処理を行う方法、130〜250℃で熱固定処理する方法、等が好適である。ここで、先に行う延伸を高温で延伸することにより配向を抑えて次の延伸を行う方法は、配向主軸の最大歪みを低く抑え、またMOR値を大きくすることに対して有効である。
また、本発明の二軸延伸高分子フィルムは、120℃における熱収縮率が4%以下であることが好ましい。特に好ましくは、1%以下である。120℃における熱収縮率が4%を超えると、粘着性樹脂層、帯電防止層を積層する際に加熱を伴うプロセスを通過したときに、平面性の乱れ等を生じるため好ましくない。
本発明において、120℃における熱収縮率とは、以下の方法により測定されるものである。まず、一辺100mmの正方形に切ったフィルムの対角線の交点を中心に直径50mmの円を描く。次いで、これを120℃に加熱した熱風乾燥機中に無荷重の状態で30分間放置する。これを取り出し、デジタイザーによって寸法変化を読み取り、対角線の交点をとおる収縮の最大位置の長さ(B)から下式により求める。
120℃における熱収縮率(%)=(50−B)/50×100
本発明においては、二軸延伸高分子フィルムの120℃における熱収縮率を上記範囲とする方法としては、横延伸後、熱固定処理を行う前に、フィルムを長手方向に120〜180℃で1〜5%の弛緩処理を行う方法、熱固定処理温度を130〜250℃とする方法、熱固定処理後、幅方向に2〜5%の弛緩処理を行う方法、又はこれらの方法の併用等が好適である。
また、本発明の二軸延伸高分子フィルムはヘイズが10%以下であることが好ましく、特に好ましくは5%以下である。ヘイズが10%を超えると、二軸延伸高分子フィルムを光が透過する際の散乱光が増大するため、透過光量が増加し、結果的に検品性を低下させるため好ましくない。また、二軸延伸高分子フィルムの可視光線透過率は、75%以上であることが好ましい。
本発明における二軸延伸高分子フィルムの製造方法は、本発明で定義する上記のフィルム特性を有するフィルムが得られる限りは特に限定されるものではないが、ポリエステルフィルムを代表例として詳しく説明する。
ポリエステルを溶融し、シート状に押出し成形された無配向ポリエステルをガラス転移温度以上の温度で、縦延伸、横延伸を行い、その後熱固定処理を施す方法が挙げられる。縦延伸温度は90〜135℃が好ましく、100〜130℃が特に好ましい。延伸倍率は1.1〜4.0倍が好ましく、1.5〜3.5倍が特に好ましい。横延伸温度は80〜130℃が好ましく、90〜120℃が特に好ましい。また、延伸倍率は2.5〜6.0倍が好ましく、3.0〜5.5倍が特に好ましい。
本発明において、横延伸後熱固定処理を行う前にフィルムを長手方向に弛緩処理することは、配向主軸の最大歪みを小さくし、かつMOR値を大きくするのに有効である。前記長手方向の弛緩処理時の温度は90〜200℃の範囲が好ましく、特に好ましくは120〜180℃の範囲である。弛緩量は横延伸条件により異なり、弛緩処理後のフィルムを120℃における熱収縮率が4%以下となるように弛緩量及び弛緩温度を設定することが好ましい。
また、熱固定処理温度は130〜250℃の範囲が好ましく、特に好ましくは180〜245℃の範囲である。熱固定処理において、まず定長で熱固定処理を行い、さらに熱固定処理後の冷却工程で幅方向の弛緩処理を1〜10%、好ましくは2〜5%にすることによって、配向主軸の最大歪みを小さくし、かつMOR値を大きくするのに有効である。
二軸延伸高分子フィルムの厚さは、特に限定するものではないが、用途や作業性を考慮すると、300μm以下に設定するのが適当である。厚さが300μmを越える場合、薄いという高分子フィルムの利点がなくなる。また、二軸延伸高分子フィルムは、単層のみならず、複層であってもよい。
本発明の二軸延伸高分子フィルムは、公知の添加剤を必要に応じて含有させることができる。例えば、滑剤、ブロッキング防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、耐光剤、耐衝撃性改良剤などを含有させてもよい。ただし、光学用途においては透明性が必要とされるため、添加剤の含有量は最小限にとどめておくことが好ましい。
本発明の二軸延伸高分子フィルムは、粘着剤層、離型層、帯電防止層などの前記フィルム上に積層される層との接着性、耐水性、耐薬品性などを改良するために、公知の表面処理方法、すなわちコロナ放電処理(空気中、窒素中、炭酸ガス中など)や易接着処理を行ってもよい。易接着処理は公知の各種の方法を用いることができ、フィルム製造工程中で、二軸延伸後のフィルムに公知の各種易接着樹脂の水系塗布液を塗布する方法などが好適に採用される。
本発明における表面保護フィルムとは、二軸延伸高分子フィルムの片面に粘着剤層を積層したフィルム、または二軸延伸高分子フィルムの片面に離型層を積層したフィルムである。
粘着剤層としては、光学用部材に対して粘着性を有する層、例えば、1)ポリエステル系、ポリオレフィン系、ポリアミド系等の感熱接着樹脂層、2)アクリル系、ポリエステル系、ウレタン系、ポリエーテル系、ゴム系等の感圧接着樹脂層、3)あるいは飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリブタジエンポリオール、ポリオレフィンポリオール、官能基含有アクリル共重合体等の官能基を有する樹脂に硬化剤を配合して製膜し、部分架橋または不完全架橋させたフィルム、4)ポリ塩化ビニルに可塑剤を例えば20重量%以上配合した軟質ポリ塩化ビニルフィルム、5)飽和ポリエステル樹脂フィルム、6)アクリル系共重合体フィルム、7)ブチルゴム、ウレタンゴム、ブタジエン系ゴム(ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体等)、スチレン−イソプレン−スチレンゴムなどの合成ゴムを製膜して得られたフィルム、8)低分子量ポリエチレン、アタクチックポリプロピレン、塩素化ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂を製膜して得られたフィルム、9)エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体などのエチレン系共重合体を製膜して得られたフィルム、などが挙げられる。
リワーク(rework)性が求められる場合には、粘着剤層は可剥性を有する(剥離が容易)ものを選択し、永久接着が求められる場合には強い接着力または粘着力が得られるものを選択する。粘着剤層の厚さは、1〜50μm程度に設定する。
また、離型層は、シリコーン樹脂及び/又はフッ素樹脂を主たる構成成分とすることが好ましい。
シリコーン樹脂としては、一般に離型剤として知られたものを用いることができ、「シリコーン材料ハンドブック」(東レダウコーニング編、1993.8)などに記載の公知の離型剤を適宜選択して使用することができる。一般的に、熱硬化型または放射線硬化型の離型剤が用いられる。熱硬化型としては、例えば縮合反応型および付加反応型のもの、電離放射線硬化型としては、紫外線もしくは電子線硬化型のもの等いずれの反応型のものも用いることができる。
上記縮合反応型のシリコーン樹脂としては、例えば末端−OH基を持つポリジメチルシロキサンと末端−H基を持つポリジメチルシロキサン(ハイドロジェンシラン)を有機錫触媒(例えば、有機錫アシレート触媒)を用いて縮合反応させ、三次元架橋構造をつくるものが挙げられる。
付加反応型のシリコーン樹脂としては、例えば、末端にビニル基を導入したポリジメチルシロキサンとハイドロジェンシランを白金触媒を用いて反応させ、三次元架橋構造をつくるものが挙げられる。
紫外線(UV)硬化型のシリコーン樹脂としては、例えば、最も基本的なタイプとして通常のシリコーンゴム架橋と同じラジカル反応を利用するもの、アクリル基を導入して光硬化させるもの、紫外線でオニウム塩を分解して強酸を発生させ、これによりエポキシ環を開裂させて架橋させるもの、ビニルシロキサンへのチオールの付加反応で架橋させるもの等が挙げられる。電子線は紫外線よりもエネルギーが強く、紫外線硬化の場合のように開始剤を用いなくてもラジカルによる架橋反応が起こる。
上記の硬化型シリコーン樹脂は、その重合度が50〜20万程度、好ましくは1000〜10万程度のものが好ましく、これらの具体例としては、信越化学工業(株)製のKS−718、−774、−775、−778、−779H、−830、−835、−837、−838、−839、−841、−843、−847、−847H、X−62−2418、−2422、−2125、−2492、−2494、−5048、−470、−2366、−630、X−92−140、−128、KS−723A・B、−705F、−708A、−883、−709、−719、東芝シリコン(株)製のTPR−6701、−6702、−6703、−3704、−6705、−6721、−6722、−6700、XSR−7029、YSR−3022、YR−3286、ダウコーニング(株)製のDK−Q3−202、−203、−204、−205、−210、−240、−3003、−3057、SFXF−2560、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製のSD−7226、−7229、−7320、BY−24−900、−171、−312、−374、SRX−375、SYL−OFF23、SRX−244、SEX−290、アイ・シー・アイ・ジャパン(株)製のSILCOLEASE425等を挙げることができる。また、特開昭47−34447号公報、特公昭52−40918号公報等に記載のシリコーン樹脂も用いることができる。更には、これらの硬化型シリコーン樹脂は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
フッ素樹脂としては、公知の離型用のものを用いることができる。この様なフッ素樹脂としては、例えばフッ素含有ビニル重合性単量体からなる重合体(オリゴマーを含む)または共重合体、またはフッ素含有ビニル重合性単量体とフッ素原子で置換されたアルキル基、官能基等を含まないビニル重合性単量体の少なくとも1種との共重合体、または、これらの混合物であってフッ素原子を5〜80モル%有するものが挙げられる。
上記フッ素含有ビニル重合性単量体からなる重合体としては、これらの具体例として、ポリ[2−(パーフルオロノネニルオキシ)エチルメタクリレート]、ポリ[2−(パーフルオロノネニルオキシ)エチルアクリレート]、ポリ[2−(パーフルオロノネニルオキシベンゾイルオキシ)エチルメタクリレート]、ポリ[2−(パーフルオロノネニルオキシベンゾイルオキシ)エチルアクリレート]、ポリ[2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート]、ポリ[2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート]、ポリ[2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート]、ポリ[2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルアクリレート]、ポリ[1−メチル−2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロブチルメタクリレート]、ポリ[1−メチル−2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロブチルアクリレート]、ポリ[パーフルオロヘプチルエチルメタクリレート]、ポリ[パーフルオロヘプチルエチルアクリレート]、ポリ[パーフルオロヘプチルビニルエーテル]、ポリ[α,β,β−トリフルオロスチレン]、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。
上記フッ素含有ビニル重合性単量体と共重合し得る、フッ素原子で置換されたアルキル基、官能基等を含まないビニル重合性単量体としては、炭化水素系ビニル重合性単量体、炭化水素系非共役ジビニル重合性単量体、官能基含有ビニル重合性単量体等の化合物が挙げられる。
炭化水素系ビニル重合性単量体としては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸オクタデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸セシル、アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸オクタデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸セシル、メタクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、ヘプタン酸アリル、酢酸アリル、カプリン酸アリル、カプロン酸アリル、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、イソプレン等が挙げられる。
炭化水素系非共役ジビニル重合性単量体としては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、ビニルアクリレート、ジブロモネオペンチルグリコールジメタクリレート等が挙げられる。
官能基含有ビニル重合性単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、メチロールダイアセトンアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等が挙げられ、これらの中から選択されるが、特に限定されるものではない。
離型層の厚みは、特に限定されないが、0.05〜5μmの範囲が好ましい。塗膜の厚みがこの範囲より薄くなると、離型性能が低下し、満足すべき性能が得られない。逆に、塗膜の厚みがこの範囲より厚くなるとキュアリングに時間がかかり生産上好ましくない。
また、離型層には、本発明の目的を損なわない範囲で公知の添加剤、例えば消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、硬化剤、染料等を含有させてもよい。
前記粘着剤層及び離型層を基材フィルムである二軸延伸高分子フィルムに積層させる方法としては、特に限定されないが、コーティング法が好ましく用いられる。例えば、コーティング法としては、エアドクタコート法、ナイフコート法、ロッドコート法、正回転ロールコート法、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ビードコート法、スリットオリフェスコート法、キャストコート法などが挙げられる。
また、粘着剤層あるいは離型層の塗膜の乾燥及び/又は硬化(熱硬化、電離放射線硬化等)は、それぞれ単独に又は同時に行うことができる。同時に行う場合には、80℃以上の温度で行うことが好ましい。乾燥および硬化の条件としては、80℃以上で10秒間以上が好ましい。乾燥温度が80℃未満または硬化時間が10秒間未満では塗膜の硬化が不完全であり、塗膜が脱落しやすくなるため好ましくない。
さらに、本発明の表面保護フィルムには、静電気の発生を抑制する目的で、帯電防止層を設けることが好ましい。帯電防止層は、帯電防止性樹脂組成物を塗布することによって積層される。この帯電防止性樹脂組成物に含まれる帯電防止剤には、例えば、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、第1〜3級アミノ基等のカチオン性基を有する各種のカチオン性帯電防止剤、スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基、ホスホン酸塩基等のアニオン性基を有するアニオン系帯電防止剤、アミノ酸系、アミノ硫酸エステル系等の両性帯電防止剤、アミノアルコール系、グリセリン系、ポリエチレングリコール系等のノニオン性の帯電防止剤等の各種界面活性剤型帯電防止剤、さらには上記のような帯電防止剤を高分子量化した高分子型帯電防止剤等が挙げられ、また、第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を有し、電離放射線により重合可能なモノマーやオリゴマー、例えば、N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートモノマー、それらの第4級化合物等の重合性帯電防止剤も使用できる。
帯電防止層中には、帯電防止性樹脂組成物のほかに、帯電防止層の塗膜の強度、二軸延伸高分子フィルムへの密着性、耐水性、耐溶剤性、ブロッキング性等の向上のために、バインダーとして熱可塑性ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリビニル系樹脂等の熱可塑性樹脂及び/又は熱硬化性アクリル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂等の高分子化合物を含有させることが好ましい。さらに、架橋剤としてメチロール化あるいはアルキロール化したメラミン系、尿素系、グリオキザール系、アクリルアミド系等の化合物、エポキシ化合物、ポリイソシアネートの少なくとも1種類以上を含有させることが特に好ましい。
帯電防止層の表面固有抵抗値は、使用する目的に応じ任意に設定することができる。例えば、通常のほこりが付着しない程度の表面固有抵抗値は、1×1011Ω/□程度である。
帯電防止層を二軸延伸高分子フィルム表面に形成させる方法としては、特に限定されないが、コーティング法が好ましく用いられる。例えばコーティング法としては、エアドクタコート法、ナイフコート法、ロッドコート法、正回転ロールコート法、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ビードコート法、スリットオリフェスコート法、キャストコート法などが挙げられる。
また、帯電防止層の乾燥温度は、60〜150℃の範囲が好ましく、80〜130℃の範囲が特に好ましい。乾燥温度が60℃未満であると、硬化時間が長くなり、生産性が低下するので好ましくない。
帯電防止層は二軸延伸高分子フィルム表面に積層されるが、粘着剤層および離型層は、前記帯電防止層上に積層しても、二軸延伸高分子フィルムの帯電防止層側とは反対面に積層してもよい。
本発明の表面保護フィルムの層構成を図面にて例示する。図1〜図3は二軸延伸高分子フィルムの片面に粘着剤層が積層された表面保護フィルムの層構成を示すものである。また、図4〜図6は二軸延伸高分子フィルムの片面に離型層が積層された表面保護フィルムの層構成を示すものである。ここで、1及び2は表面保護フィルム、11は二軸延伸高分子フィルム、12は粘着剤層、13は帯電防止層、14は離型層である。ここで示される表面保護フィルムの層構成は、粘着剤層/二軸延伸高分子フィルム、粘着剤層/二軸延伸高分子フィルム/帯電防止層、粘着剤層/帯電防止層/二軸延伸高分子フィルム、離型層/二軸延伸高分子フィルム、離型層/二軸延伸高分子フィルム/帯電防止層、離型層/帯電防止層/二軸延伸高分子フィルムである。
また、本発明の表面保護フィルムを光学用部材に貼り付けた状態を図7に示す。ここで、3は光学用部材、15はトリアセチルセルロース(TAC)、16は偏光膜、17は偏光板の粘着剤層である。ここでは、粘着剤層/二軸延伸高分子フィルムの層構成を有する表面保護フィルム、及び離型層/二軸延伸高分子フィルムの層構成を有する表面保護フィルムという層構成の異なる2種の表面保護フィルムを使用している。
次に実施例をあげて本説明をさらに説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例、比較例における物性の評価方法は以下の通りである。
<配向主軸の最大歪みおよびMOR値の最低値>
フィルム形状がロール状の場合は、長手方向に500mm、幅方向には全幅の長方形を切り出す。そして、図8に示すように、同一端辺を含む幅方向(テンター方向)に100mm四方の正方形を該長方形の2頂点およびその中心を含む3箇所以上で切り出す。図8において、21は長手方向、22は幅方向、23は端辺、24は頂点、25は頂点の中心である。次に、配向主軸およびMOR値をマイクロ波透過型分子配向計によって求め、最初に測定した点の分子配向角を0度とした時に、他の三点の配向角が最も差の大きいものから最大値を求め、配向主軸の最大歪みとした。同様にして、MOR値の最も小さなものから最低値を求め、 MOR値の最低値とした。マイクロ波透過型分子配向計には、神崎製紙(株)製の分子配向計(MOA−2001A)を用いた。
<120℃における熱収縮率>
一辺100mmの正方形に切ったフィルムの対角線の交点を中心に直径50mmの円を描き、120℃に加熱した熱風乾燥機中に無荷重の状態で30分間放置した後取り出し、デジタイザーによって寸法変化を読み取り、対角線の交点を通る収縮の最大位置の長さ(B)から下式により求めた。
120℃における熱収縮率(%)=(50−B)/50×100
<ヘイズおよび全光線透過率>
日本電色工業株式会社製濁度計(NDH−300)を用い、任意に5箇所からサンプルをとり、その平均値を求めた。
実施例1
固有粘度が0.62dl/gであり、平均粒径が1.5μmの凝集体シリカ粒子を200ppm含有する、ポリエチレンテレフタレートを水冷却した回転急冷ドラム上にフィルム形成ダイを通して押出し、未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを縦方向に124℃で2.5倍延伸し、続いて幅方向に90℃で4.0倍延伸した後、120℃で10秒間アニール処理を行った。テンター通過後、フィルムの両端部を端から20mmの位置でトリミングし、熱収縮量の小さい部位を切除した。続いて、セラミックロールによりフィルムを100℃に加熱し、さらに表面温度が700℃の赤外線ヒーターを4本用い加熱しながら、縦方向に3%弛緩処理を行った。続いて、セラミックロールでフィルムを160℃に加熱しながら、2%弛緩処理を行った。その後、フィルムの両端部をクリップで把持し、200℃で熱固定処理を施し、さらに180℃から120℃に冷却しながら、幅方向に4%弛緩処理を行い、厚さ38μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは、配向主軸の最大歪みが4度、MOR値の最低値が2.74、120℃における熱収縮率が0.27%、ヘイズが0.8%、全光線透過率が90%であった。
この厚み38μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムに、エチレン−酢酸ビニル系接着剤100重量部に対して溶剤としてトルエン400重量部を加えた塗布液を、乾燥後の膜厚が10μmになるように塗布して乾燥固化させ、片面に粘着剤層を積層した表面保護フィルムを得た。得られた表面保護フィルムを用いた偏光板の検品性は良好であった。
実施例2
固有粘度が0.62dl/gであり、平均粒径が1.5μmの凝集体シリカ粒子を200ppm含有する、ポリエチレンテレフタレートを水冷却した回転急冷ドラム上にフィルム形成ダイを通して押出し、未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを縦方向に111℃で1.8倍延伸し、続いて幅方向に90℃で4.3倍延伸した。さらに、180℃で幅方向に熱固定し、続いて170℃で4%弛緩処理をして、厚み39μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは、配向主軸の最大歪みが5度、MOR値の最低値が2.79、120℃における熱収縮率が1.22%、ヘイズが0.5%、全光線透過率が90%であった。この二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた以外は実施例1と同様にして、片面に粘着剤層を積層した表面保護フィルムを得た。得られた表面保護フィルムを用いた偏光板の検品性は実施例1と同様に良好であった。
実施例3
実施例1において、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの厚みのみ38μmから25μmに変更した以外は実施例1と同様に実施して、厚み25μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは、配向主軸の最大歪みが4度、MOR値の最低値が2.76、120℃における熱収縮率が0.25%、ヘイズが0.3%、全光線透過率が90%であった。この二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、実施例1と同様にして、片面に粘着剤層を積層した表面保護フィルムを得た。得られた表面保護フィルムを用いた偏光板の検品性は実施例1と同様に良好であった。
実施例4
二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの代わりに、厚み38μmの二軸延伸ポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムを用いた以外は実施例1と同様に実施し、厚み38μmの二軸延伸ポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムは配向主軸の最大歪みが5度、MOR値の最低値が2.83、120℃における熱収縮率が0.29%、ヘイズが0.7%、全光線透過率が89%であった。この二軸延伸ポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムを用い、実施例1と同様にして、片面に粘着剤層を積層した表面保護フィルムを得た。得られた表面保護フィルムを用いた偏光板の検品性は良好であった。
実施例5
実施例1で得た厚さ38μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(配向主軸の最大歪み:4度、MOR値の最低値:2.74、120℃における熱収縮率:0.27%、ヘイズ:0.8%、全光線透過率:90%)の片面に、第4級アンモニウム塩型カチオン性高分子化合物(日東紡績(株)製、PAS10L)35重量部、共重合ポリエステル樹脂50重量部、メチロール化メラミン樹脂(住友化学工業(株)製、SUMIMALM−40W)10重量部、エポキシ変性シリコーン(信越化学工業(株)製、Poln MF−18)5重量部を混合し、2重量%の帯電防止層用の塗布液を作成した。この塗布液を4g/m2(ウェット)の塗布量で塗布し、120℃、1分間加熱乾燥および硬化反応を行わせフィルムの片面に帯電防止層を積層した。引き続き、この二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの帯電防止層側とは反対面に、実施例1と同様にして粘着剤層を形成し、表面保護フィルムを得た。この表面保護フィルムを用いた偏光板の検品性は実施例1と同様に良好であった。また、この表面保護フィルムは、剥離する際に静電気の発生がなく、ゴミの付着がほとんどなく良好であった。
実施例6
実施例5において、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの帯電防止層を積層した面に、実施例1と同様に片面に粘着剤層を積層させて表面保護フィルムを得た。この表面保護フィルムを用いた偏光板の検品性は良好であった。また、この表面保護フィルムは、剥離する際に静電気の発生がなく、ゴミの付着がほとんどなく良好であった。
実施例7
実施例1において、エチレン−酢酸ビニル系粘着剤の代わりに、離型剤として付加反応型シリコーン樹脂(信越化学工業(株)製、KS−778、固形分30重量%のトルエン溶解液)100重量部と、白金触媒(信越化学工業(株)製、PL−50T)1重量部とをトルエンに溶解して、全体の固形分が3重量%のトルエン溶液(離型層用塗布液)を調整した。この離型層用塗布液を6g/m2(ウェット)の塗布量でフィルムの片面に塗布し、120℃、1分間加熱乾燥および付加重合反応を行い、表面保護フィルムを得た。この表面保護フィルムを用いた偏光板の検品性は実施例1と同様に良好であった。
実施例8
実施例7において、離型剤として、付加反応型シリコーン樹脂の代わりにUV硬化型シリコーン樹脂(信越化学工業(株)製、X−62−5048)を用いた。UV硬化型シリコーン樹脂からなる離型層用塗布液を6g/m2(ウェット)の塗布量でフィルムの片面に塗布し、1.0J/cm2の条件でUV硬化させ、表面保護フィルムを得た。この表面保護フィルムを用いた偏光板の検品性は良好であった。
実施例9
実施例7において、離型剤として、付加反応型シリコーン樹脂の代わりに、フッ素系溶剤(3M社製、フロリナート FC−77)を希釈溶媒として、これにフッ素含有樹脂として含フッ素アクリル樹脂(ネオス(株)製、フリリース RBX−725NF)とフッ素系オイル(デュポン社製、クライトックス 157FS−M)を重量固形分比20:80の組成で均一分散させた濃度3.0重量%の塗布液を0.4μm(乾燥後の厚み)となるように塗布し、120℃、1分間加熱乾燥させ表面保護フィルムを得た。この表面保護フィルムを用いた偏光板の検品性は良好であった。
実施例10
実施例5同様にして得た、帯電防止層を積層した二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの帯電防止層側とは反対面に、実施例7と同様の付加反応型シリコーン樹脂からなる離型層を積層し表面保護フィルムを得た。この離型フィルムを用いた偏光板の検品性は良好であった。また、この離型フィルムは、剥離する際に静電気の発生がなく、ゴミの付着がほとんどなく良好であった。
実施例11
実施例10において、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの帯電防止層を積層した表面に、実施例7と同様の付加反応型シリコーン樹脂からなる離型層を積層し表面保護フィルムを得た。この表面保護フィルムを用いた偏光板の検品性は良好であった。また、この表面保護フィルムは、実施例10と同様に剥離する際に静電気の発生がなく、ゴミの付着がほとんどなく良好であった。
比較例1
固有粘度が0.62dl/gであり、平均粒径が1.5μmの凝集体シリカ粒子を200ppm含有する、ポリエチレンテレフタレートを水冷却した回転急冷ドラム上にフィルム形成ダイを通して押出し、未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを縦方向に90℃で3.0倍延伸し、続いて幅方向に90℃で3.8倍延伸した。さらに、200℃で幅方向に熱固定し、続いて180℃で4%リラックスして、厚み38μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは、配向主軸の最大歪みが17度、MOR値の最低値が1.36、120℃における熱収縮率が0.9%、ヘイズが0.2%、全光線透過率が90%であった。この二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた以外は実施例1と同様に実施し、片面に粘着剤層を積層した表面保護フィルムを得た。この表面保護フィルムを用いた偏光板は、幅方向でコントラスト濃度に斑があり、さらに幅方向で表面保護フィルムに起因する光の干渉による虹が観察され、検品性は不良であった。
比較例2
固有粘度が0.62dl/gであり、平均粒径が1.5μmの凝集体シリカ粒子を200ppm含有する、ポリエチレンテレフタレートを水冷却した回転急冷ドラム上にフィルム形成ダイを通して押出し、未延伸フィルムを作製し、この未延伸フィルムを縦方向に90℃で2.5倍延伸、幅方向に90℃で3.8倍延伸した後、120℃で10秒間アニール処理を行った。テンター通過後、フィルムの両端部を端から20mmの位置でトリミングし、熱収縮量の小さい部位を切除した。続いて、セラミックロールによりフィルムを100℃に加熱し、さらに表面温度が700℃の赤外線ヒーターを4本用い加熱しながら、縦方向に3%弛緩処理を行った。続いて、セラミックロールでフィルムを160℃に加熱しながら、2%弛緩処理を行った。その後、フィルムの両端部をクリップで把持し、200℃で熱固定し、続いて180℃で4%リラックスして、厚み38μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは、配向主軸の最大歪みが7度、MOR値の最低値が1.70、120℃における熱収縮率が0.8%、ヘイズが0.2%、全光線透過率が90%であった。この二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた以外は実施例1と同様に実施し、片面に粘着剤層を積層した表面保護フィルムを得た。この表面保護フィルムを用いた偏光板は、幅方向で表面保護フィルムに起因する光の干渉による虹が観察され、検品性は不良であった。
比較例3
固有粘度が0.62dl/gであり、平均粒径が1.5μmの凝集体シリカ粒子を200ppm含有する、ポリエチレンテレフタレートを水冷却した回転急冷ドラム上にフィルム形成ダイを通して押出し、未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを縦方向に90℃で2.0倍延伸した後、幅方向に90℃で3.8倍延伸した。200℃で熱固定し、続いて180℃で4%リラックスして、厚み38μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは配向主軸の最大歪みが9度、MOR値の最低値が2.04、120℃における熱収縮率が1.0%、ヘイズが0.5%、全光線透過率は90%であった。この二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた以外は実施例1と同様に実施し、片面に粘着剤層を積層した表面保護フィルムを得た。この表面保護フィルムを用いた偏光板は、幅方向でコントラスト濃度に斑があり、検品性は不良であった。
本発明の二軸延伸高分子フィルムは、特定の配向主軸の最大歪み及びマイクロ波透過強度の最大/最小比(MOR値)の最低値を有する二軸延伸高分子フィルムを用いることで、光学的評価(例えば、表示能力、色相、コントラスト、光学欠点等)の検査時に表面保護フィルムを剥離することなしに、不具合を見易くすることが可能である。また、ポリエチレンテレフタレートのような安価で総合性能の優れた樹脂を用いることで、コストダウンが可能となる。そのため、合成樹脂板などの表面保護、特に、偏光板や位相差板などの液晶表示装置の構成部材のプロテクトフィルムやセパレーターとして好適に用いることができる。
1 表面保護フィルム
2 表面保護フィルム
3 光学用部材
11 二軸延伸高分子フィルム
12 粘着剤層
13 帯電防止層
14 離型層
15 トリアセチルセルロース(TAC)
16 偏光膜
17 偏光板の粘着剤層
21 長手方向
22 幅方向
23 端辺
24 頂点
25 頂点の中心

Claims (10)

  1. 少なくとも粘着剤層/二軸延伸高分子フィルムの層構成を有する表面保護フィルムを貼り付けられた光学用部材であって、
    前記光学用部材が偏光板または位相差板であり、
    前記二軸延伸高分子フィルムがポリエステルフィルムであり、
    前記二軸延伸高分子フィルムのマイクロ波透過型分子配向計で測定した配向主軸の最大歪みが7度以下であり、且つマイクロ波透過強度の最大/最小比(MOR値)の最低値が1.8より大きいことを特徴とする光学用部材。
  2. 前記二軸延伸高分子フィルムが、ヘイズが10%以下であることを特徴とする請求項1に記載の光学用部材。
  3. 前記二軸延伸高分子フィルムが、120℃における熱収縮率が4%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の光学用部材。
  4. 前記二軸延伸高分子フィルムが、ポリエチレンテレフタレート又はこれを主体とするポリエステルで構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光学用部材。
  5. 前記表面保護フィルムにおいて、粘着剤層の反対面に帯電防止層が積層されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学用部材。
  6. 前記表面保護フィルムにおいて、粘着剤層と二軸延伸高分子フィルムとの間に帯電防止層が積層されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学用部材。
  7. 前記二軸延伸高分子フィルムの片面に離型層が積層されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光学用部材。
  8. 請求項7に記載の離型層が、シリコーン樹脂及び/又はフッ素樹脂を主たる構成成分とする離型層であることを特徴とする光学用部材。
  9. 請求項8記載のシリコーン樹脂が、熱硬化型シリコーン樹脂または放射線硬化型シリコーン樹脂であることを特徴とする光学用部材。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の光学用部材に用いる表面保護フィルム。
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