JP2000071405A - 二軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents

二軸配向ポリエステルフィルム

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JP2000071405A
JP2000071405A JP24820798A JP24820798A JP2000071405A JP 2000071405 A JP2000071405 A JP 2000071405A JP 24820798 A JP24820798 A JP 24820798A JP 24820798 A JP24820798 A JP 24820798A JP 2000071405 A JP2000071405 A JP 2000071405A
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film
young
biaxially oriented
modulus
oriented polyester
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JP24820798A
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Tetsuya Tsunekawa
哲也 恒川
Masayoshi Asakura
正芳 朝倉
Kenichi Egashira
賢一 江頭
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Toray Industries Inc
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】剛性、熱収縮特性に優れるばかりでなく、使用
条件や環境による不可逆的寸法変化が小さく、保存安定
性の点でも優れた、高品質の二軸配向ポリエステルフィ
ルムを提供すること。 【解決手段】フィルムの配向主軸方向について、5%伸
長時応力(F5(GPa))とヤング率(Ym(GP
a))の比率(F5/ Ym)が0.025以上、0.
034以下であることを特徴とする二軸配向ポリエステ
ルフィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、剛性が高く、フィ
ルムの使用条件や環境による寸法変化が小さく、長期の
保存安定性にも優れたポリエステルフィルムに関する。
【0002】更に詳しくは、本発明は、高密度磁気記録
用および各種工業材料用のフィルムとして適した二軸配
向ポリエステルフィルムに関するものである。
【0003】
【従来の技術】プラスチックフィルムは、他の素材から
は得られないような大面積のフィルムの連続生産が可能
であり、その強度、耐久性、透明性、柔軟性、表面特性
の付与などの特徴を活かして、磁気記録用、工業材料
用、包装用、農業用、建材用などの大量に需要のある分
野で用いられている。
【0004】中でも、二軸配向ポリエステルフィルム
は、その優れた機械的特性、熱的特性、電気的特性、耐
薬品性のために、さまざまな分野で利用されており、特
に磁気テープ用ベースフィルムとしての有用性は、他の
フィルムの追随を許さない。
【0005】近年は、機材の軽量化、小型化とデータ高
容量化、長時間記録化のためにベースフィルムの一層の
薄膜化が要求され、従って、ますますの高強度化が望ま
れている。また、熱転写リボン用、コンデンサ用、感熱
孔版印刷原紙用においても薄膜化の傾向が近年非常に強
く、高強度化が望まれている。
【0006】また、近年、磁気記録、製版・印刷用途等
では、高強度化のみでなく、寸法安定性についても要求
特性が厳しくなってきている。特に磁気記録材料用途で
は、磁気テープの高密度化に伴い、磁気テープ上に作成
する記録用のトラック幅が狭くなってきており、読み込
み時および書き込み時のエラーを低減させるために、低
熱収縮性、温湿度などの環境変化による寸法安定性、長
期保存安定性に関する要求が強くなってきている。
【0007】二軸配向ポリエステルフィルムの高強度化
については、これまでにも数多くの発明がなされてい
る。
【0008】例えば、縦・横二方向に延伸したフィルム
を再度縦方向に延伸し、縦方向に高強度化するいわゆる
再縦延伸法(例えば、特公昭42−9270号公報、特
公昭43−3040号公報、特開昭46−1119号公
報、特開昭46−1120号公報)をはじめ、横方向に
も強度を付与するための再縦再横延伸法が提案されてい
る(例えば、特開昭50−133276号公報、特開昭
55−22915号公報)。また、一段目の延伸をフィ
ルムの縦方向に2段階以上で行い、引き続き、フィルム
の横方向に行う縦多段延伸法も提案されている(例え
ば、特公昭52−33666号公報、特公昭57−49
377号公報)。
【0009】これらの方法によれば、確かにフィルムの
強力化は図れるが、磁気記録用途では、製品を長時間使
用または放置した場合に寸法変化が生じ、テープの走行
耐久性、保存安定性に関する下記(1)、(2)の問題
があった。
【0010】(1)テープ走行を繰り返し行った場合
に、テープガイドを通過した片側エッジが伸びたり、折
れ曲がりが生じる。その結果、テープと磁気ヘッドのヘ
ッドタッチが悪くなり、記録時の信号欠落や再生時に出
力不足が生じたり、テープ走行自体が不安定になり、再
生時に読み取りエラーが生じるといったトラブルが発生
する。
【0011】(2)環境変化による湿熱膨張および収
縮、テープ保存時の張力により、テープに不可逆的寸法
変化が生じ、長時間保存するとトラックずれが発生しや
すくなり、再生時に読み取り不良が発生する。
【0012】上記では、磁気材料用途での問題について
述べたが、工業用材料においてもフィルム加工後の寸法
安定性に起因する同様の問題が想定される。
【0013】従来の強力化フィルムには、耐久性、長時
間の保存安定性が十分ではなく、使用条件・環境によっ
て不可逆的寸法変化を起こすことが少ない、寸法安定性
に優れた強力化ポリエステルフィルムが切望されている
のが当該分野の現状である。
【0014】また、本発明で開示するF5値とヤング率
の関係を詳細に説明する文献は未だ存在しない。
【0015】従来技術では、ヤング率とF5値は、フィ
ルムの強度の指標となる物性としてほぼ同じであると考
えられており、ヤング率とF5値を共に記載している発
明は少ない。特開昭62−236736号公報(特許2
583497号公報)では、F5値とヤング率が共に記
載されているが、F5値とヤング率の関係については説
明がなく、F5値とヤング率の比率を特定範囲にコント
ロールする等の技術概念は存在しない。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、剛
性、熱収縮特性に優れるばかりでなく、使用条件や環境
による不可逆的寸法変化が小さく、保存安定性の点でも
優れた、高品質の二軸配向ポリエステルフィルムを提供
することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達したもの
である。
【0018】上述したように、F5値、ヤング率は、強
度の指標として用いられているが、これらの値は必ずし
も比例関係にはなく、ポリエステルフィルムの原料およ
び製造法の詳細条件によって変化することに着眼した。
本発明では、このF5値、ヤング率と寸法安定性との関
係について鋭意検討し、F5値とヤング率は応力に対し
て応答する微細構造が異なり、ヤング率の割にF5値の
高いフィルムでは、フィルム中に存在する伸びきり鎖の
量が多く、構造緩和・寸法安定性に差異が生じるという
知見を得た。また、フィルムの配向主軸方向について、
F5とヤング率の比率(F5/ヤング率)を特定の範囲
にコントロールすると、磁気テープ用のベースフィルム
として使用した際に、磁気テープの走行耐久性、寸法安
定性が改善できることを見出し、本発明を完成させるに
至った。
【0019】すなわち、本発明は、フィルムの配向主軸
方向について、フィルムを5%伸長させた時の張力(F
5(GPa))とヤング率(Ym(GPa))の比率
(F5/ Ym)が0.025以上、0.034以下で
あることを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルムを
骨子とするものである。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明でいう二軸配向ポリエステ
ルフィルムとは、フィルムの縦方向、横方向に配向を与
えたポリエステルフィルムである。ここで、フィルムの
縦方向とはフィルムの長手方向であり、横方向とはフィ
ルムの幅方向である。
【0021】また、本発明でいうフィルムの配向主軸方
向とは、縦方向および横方向のうち、より高い配向を有
する方向、すなわち、屈折率の高い方向である。
【0022】本発明でいう、ポリエステルとは、テレフ
タル酸を酸成分として少なくとも60モル%以上含有す
るポリマーである。酸成分については、少量の他のジカ
ルボン酸成分を共重合してもよく、またエチレングリコ
ールを主たるグリコール成分とするが、他のグリコール
成分を共重合成分として加えてもよい。テレフタル酸外
のジカルボン酸としては、例えばナフタレンジカルボン
酸、イソフタル酸、ジフェニルスルフォンジカルボン
酸、ベンゾフェノンジカルボン酸、4、4´−ジフェニ
ルジカルボン酸、3、3´−ジフェニルジカルボン酸、
などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、コハク酸、ア
ゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪
族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、1、3−
アダマンタンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸を
挙げることができる。また、エチレングリコール以外の
グリコール成分としては、例えば、クロルハイドロキノ
ン、メチルハイドロキノン、4、4´−ジヒドロキシビ
フェニル、4、4´−ジヒドロキシジフェニルスルフォ
ン、4、4´−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、
4、4´−ジヒドロキシベンゾフェノン、p−キシレン
グリコールなどの芳香族ジオール、1、3−プロパンジ
オール、1、4−ブタンジオール、1、6−ヘキサンジ
オール、ネオペンチルグリコール、1、4−シクロヘキ
サンジメタノールど、1、4−ブタンジオール、1、6
−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどの脂
肪族、脂環式ジオール等を挙げることができる。また、
さらに酸成分、グリコール成分以外に、p−ヒドロキシ
安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、2、6−ヒドロキ
シナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸および
p−アミノフェノール、p−アミノ安息香酸などを本発
明の効果が損なわれない程度の少量であればさらに共重
合せしめることができる。
【0023】また、本発明のポリエステルフィルムに
は、本発明の効果が損なわれない範囲において、マトリ
ックスとして使用するポリエステル以外の異種ポリマー
をブレンドすることも好ましく行うことができる。ブレ
ンドの比率は、ポリエステル100重量部に対して、
0.1〜30重量部が好ましく、0.5〜15重量部が
さらに好ましく、1〜10重量部が最も好ましい。異種
ポリマーの例としては、ポリエステル、ポリイミド、ポ
リエーテルイミド、主鎖にメソゲン基(液晶性の置換
基)を有する共重合ポリエステル、ポリカーボネート、
数平均分子量20000以下のスチレン系ポリマー等が
好ましい。ポリエチレンテレフタレートとポリエチン−
2,6−ナフタレートのブレンド等、前記ポリエステル
同志を適宜ブレンドすることも好ましく行うことができ
る。
【0024】本発明のフィルムの固有粘度は、0.55
以上、1.40以下が好ましい。より好ましい固有粘度
の範囲は、0.65以上、1.0以下であり、最も好ま
しくは0.7以上、1.0以下である。固有粘度が1.
4を越えると、二軸延伸後のフィルムの熱収縮率が大き
くなりやすく、また、このような高分子量のフィルム
は、結晶化度を高めにくく構造を固定化しにくいことが
多いため、保存安定性が悪化する傾向があるので注意す
べきである。かかる固有粘度の高いポリエステルを得る
手段としては、固相重合法が最も好ましく用いられる。
【0025】本発明では、フィルムの配向主軸方向につ
いて、5%伸長時応力(F5(GPa))とヤング率
(Ym(GPa))の比率(F5/ Ym)が0.02
5以上、0.034以下であることが本発明の効果を得
る上で必須である。配向主軸方向のF5/Ymが0.0
25未満の場合、熱結晶化による折り畳み鎖および乱れ
た非晶部の量が多いためか、使用環境による不可逆的寸
法変化を起こして、磁気テープとして使用した際の保存
安定性、走行耐久性が低下する。また、F5/Ymが
0.034を越えるフィルムは工業的な条件範囲では得
られにくく、また、たとえ得られたとしても、熱収縮率
が大きいので高密度磁気記録テープ用ベースフィルムと
して使用できない場合が多い。F5/Ymの好ましい範
囲は0.026〜0.032であり、さらに好ましくは
0.027〜0.030である。
【0026】本発明では、フィルムの配向主軸方向のフ
ーリエ変換赤外吸収スペクトルにおいて、PETの折り
畳み構造に由来する988cm-1とベンゼン環の炭素−
水素結合の面外変角振動に対応する874cm-1とのピ
ーク強度比(I988/I874)が0.01以上、0.10
以下であることが好ましい。このピーク強度比は、0.
02以上、0.09以下がより好ましく、さらに好まし
くは0.02以上、0.08以下である。上記配向主軸
方向のピーク強度比が0.10を越えると前記F5/Y
mが本発明で開示する好ましい範囲になりにくく、磁気
テープとして使用した時の走行耐久性、保存安定性が悪
化する傾向が見られるからである。ピーク強度比が0.
01未満のフィルムは、工業的に得るのが容易ではな
く、また、たとえ得られたとしても熱収縮特性が悪化す
る等、フィルムの寸法安定性の点で問題になることが多
いので注意すべきである。
【0027】縦方向のヤング率(YMD)と横方向のヤ
ング率(YTD)は、その和(YTD+YMD)が12
〜20GPaであることが好ましい。本発明の効果を得
る上でより好ましい(YTD+YMD)の範囲は、13
〜18GPaであり、さらに好ましくは14〜17GP
aである。
【0028】YTD+YMDの値が12GPa未満で
は、本発明で開示するF5/Ymの値を持つフィルムが
得られにくく、一方、 YTD+YMDの値が20GP
a以上のフィルムは、製膜時にフィルム破れの頻度が高
く、安定製膜できない場合が多い。
【0029】本発明では、ヤング率の差の絶対値(|Y
TDーYMD|)が1〜5GPaであることが好まし
い。縦横方向共に高いヤング率を有するフィルムが好ま
しいことは無論であるが、本発明では、横方向のヤング
率が縦方向よりも高い方が好ましい。横方向のヤング率
が高いと、磁気テープに加工した場合にテープの幅方向
の寸法安定性に優れることが多く、高密度磁気記録テー
プのトラックズレ防止の点で有効である。|YTD−Y
MD|のより好ましい範囲は、1.5〜4GPaであ
り、さらに好ましくは2.0〜3.0GPaである。|
YTD−YMD|が1未満であったり、5GPaを越え
る場合にも、本発明の効果が得られにくくなるので好ま
しくない。
【0030】本発明で開示する範囲のF5/Ymを得る
には、フィルムの面配向係数を高めることが肝要であ
り、面配向係数は0.178以上とすることが好まし
く、より好ましくは0.180以上、最も好ましくは、
0.185以上である。
【0031】本発明のポリエステルフィルムでは、10
0℃、30分の幅方向の熱収縮率が0.3%未満である
ことが好ましい。より好ましい熱収縮率の範囲は、−
0.2%以上、0.2%以下である。幅方向の熱収縮率
が0.3%を越えると、温湿度変化による寸法安定性が
悪化し、前記トラックズレが生じやすいからである。
【0032】また、本発明では、フィルムの50℃での
クリープコンプライアンスが、フィルムの縦方向および
横方向共に、0.12〜0.32(1/GPa)である
ことが好ましい。クリープコンプライアンスが0.12
未満では、製膜時にフィルム破れが頻発しやすく、また
0.35を越えると本発明の効果が得られにくいからで
ある。より好ましいクリープコンプライアンスは0.1
5〜0.30であり、さらに好ましくは0.17〜0.
27である。
【0033】本発明のポリエステルフィルム中には、無
機粒子や有機粒子、その他の各種添加剤、例えば酸化防
止剤、帯電防止剤、結晶核剤などを添加してもかまわな
い。無機粒子の具体例としては、酸化ケイ素、酸化アル
ミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタンなどの酸化
物、カオリン、タルク、モンモリロナイトなどの複合酸
化物、炭酸カルシウム、炭酸バリウムなどの炭酸塩、硫
酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、チタン酸バ
リウム、チタン酸カリウムなどのチタン酸塩、リン酸第
3カルシウム、リン酸第2カルシウム、リン酸第1カル
シウムなどのリン酸塩などを用いることができるが、こ
れらに限定されるわけではない。また、これらは目的に
応じて2種以上用いてもかまわない。有機粒子の具体例
としては、ポリスチレンもしくは架橋ポリスチレン粒
子、スチレン・アクリル系及びアクリル系架橋粒子、ス
チレン・メタクリル系及びメタクリル系架橋粒子などの
ビニル系粒子、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド、
シリコーン、ポリテトラフルオロエチレンなどの粒子を
用いることができるが、これらに限定されるものではな
く、粒子を構成する部分のうち少なくとも一部がポリエ
ステルに対して不溶の有機高分子微粒子であれば、如何
なる粒子でもよい。
【0034】また、有機粒子は、易滑性、フィルム表面
の突起形成の均一性から粒子形状が球形状で均一な粒度
分布のものが好ましい。これらの粒子の粒径、配合量、
形状などは用途、目的に応じて選ぶことが可能である
が、通常は、平均粒子径としては0.01μm以上、3
μm以下、配合量としては、0.01重量%以上、10
重量%以下が好ましい。
【0035】本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの
磁気記録面の表面粗さ(Ra)は、0.2〜15nmの
範囲が磁気ヘッドと磁気テープとの間隔が近くなり、磁
気変換特性が良くなるので好ましい。また、磁気記録面
の反対側のテープ走行面の表面粗さ(Ra)は、5〜3
0nmの範囲が、ベースフイルムの取扱い性、フイルム
のロール状への巻き上げ性などの観点から好ましい。こ
のようにフイルムの表裏の表面粗さを個別にコントロー
ルすることは、テープの走行性と磁気変換特性を両立さ
せるのに非常に好ましい。これを達成する方法として
は、径の異なる粒子をそれぞれポリエステルに添加した
2種類の樹脂を共押出し、2層以上の積層フイルムとす
る方法が好ましく、磁気記録面側に薄膜を積層して3層
積層とすることも好適に行うことができる。2層積層フ
ィルムの場合、磁気記録面となる層の厚み(A)とテー
プ走行面の層の厚み(B)の比(A/B)は、80/1
から3/1の範囲が好ましい。
【0036】本発明におけるフィルムの全体厚みは、フ
ィルムの用途、使用目的に応じて適宜選択できる。通常
磁気材料用途では1μm以上、20μm以下が好まし
く、中でも高密度磁気記録塗布型媒体用途では2μm以
上、8μm以下、高密度磁気記録蒸着型媒体用途では3
μm以上、9μm以下が好ましい。フロッピーディスク
用途では、30μm以上、100μm以下が好ましい。
また、工業材料用途の中では、熱転写リボン用途では、
1μm以上、6μm以下、コンデンサ用途では0.5μ
m以上、10μm以下、感熱孔版原紙用途では0.5μ
m以上、5μm以下であることが、それぞれ好ましい。
【0037】以上、特定の物性を有する二軸配向ポリエ
ステルフィルムが、テープ走行耐久性、保存性を改善で
きるため、高密度磁気記録テープ用のベースフィルムと
して極めて好適であることを示した。
【0038】次に、本発明の二軸配向ポリエステルフィ
ルムの製造法について説明する。
【0039】ただし、本発明の趣旨を越えない限り、本
発明は、以下の製造例の説明によって限定されるもので
ないことは無論である。
【0040】ここではポリエステルとしてPETを使用
した例を示すが、使用するポリエステルにより製造条件
は異なる。
【0041】常法に従って、テレフタル酸とエチレング
リコールからエステル化し、または、テレフタル酸ジメ
チルとエチレングリコールをエステル交換により、ビス
−β−ヒドロキシエチルテレフタレート(BHT)を得
る。次に、このBHTを重合槽に移行しながら、真空下
で280℃に加熱して重合反応を進める。ここで、固有
粘度が0.5程度のPETを得る。得られたPETをペ
レット状で減圧下において固相重合する。固相重合する
場合は、あらかじめ180℃以下の温度で予備結晶化さ
せた後、190〜250℃で1mmHg程度の減圧下、
10〜50時間固相重合し、固有粘度が0.85のPE
Tを得る。
【0042】次に、該高粘度のPETやフィルムの回収
原料を単独、または適度2〜3種類の原料を混合した原
料を、180℃で3時間以上真空乾燥したのち、固有粘
度が低下しないように窒素気流下、あるいは真空下で2
90℃に加熱された単軸または二軸押出機に供給し、T
型口金よりシート状に押し出す。このとき、押出機のス
クリュー剪断速度(=πDN/h、D:スクリュー直
径、N:スクリュー回転数、h:スクリュー計量部の溝
深さ)は20秒-1以上とすることが好ましい。続いて、
この溶融されたシートを、表面温度10〜40℃に冷却
されたドラム上に静電気力で密着させて冷却固化し、実
質的に非晶状態の未延伸フィルムを得る。このときの未
延伸フィルムの端部と中央部の厚みの比率(端部の厚み
/中央部の厚み)は、2以上、8以下であり、好ましく
は3以上、7未満、さらに好ましくは4以上、6未満で
ある。前記厚みの比率が2未満であったり、8を越える
と本発明のフィルムが得られにくくなるので注意すべき
である。
【0043】次いで、この未延伸フィルムを、加熱され
た複数のロール群からなる縦延伸装置またはテンターに
導き、(ガラス転移温度Tg+25)〜(Tg+50)
の温度に予熱した後、1段階もしくは2段階以上の多段
階で合計1.2〜2.2倍に縦または横方向に延伸する
(延伸工程1)。このとき、フィルムの複屈折Δnは
0.003〜0.025が好ましく、0.005〜0.
015がさらに好ましい。その後、さらに(Tg−2
0)℃〜(Tg+10)℃の温度範囲において、2段階
以上の温度帯域で2.2〜3.0倍の倍率で延伸を先の
延伸工程1と同方向に行い(延伸工程2)、その後、
0.5〜10%の弛緩率で、延伸工程1,2と同方向に
弛緩処理を施す。このときの弛緩率は、1.5〜7%が
より好ましく、2〜5%がさらに好ましい。この延伸後
のフィルムは、引き続いて、(Tg+10)〜(Tg+
140)の温度範囲で、温度を徐々に高めながら、1段
階もしくは2段階以上の多段階で、合計3.5〜6.0
倍の倍率範囲でフィルムをフィルム面内で先の延伸工程
1,2の方向と垂直方向に延伸し(延伸工程3)、その
後、(Tm−100)〜(Tm−10)℃の温度範囲に
て、定長熱固定を施した後、100〜180℃で中間冷
却し、その後、フィルムを室温まで、必要なら縦および
横方向に弛緩処理を施しながら、フィルムを冷やして巻
き取り、目的とする二軸配向ポリエステルフィルムを得
る。このとき、縦または横方向にさらに強度を高めたい
場合には、延伸工程3の後で縦または/および横方向に
再延伸することも好ましく行うことができる。
【0044】なお、本発明では、フィルムの表面特性を
付与するため、例えば易接着性、易滑性、離型性、制電
性を付与するために、延伸前または延伸後のいずれかの
工程で、ポリエステルフィルムの表面に塗剤をコーテン
グすることも好ましく行うことができる。
【0045】本発明の効果をより顕著に発現させるに
は、延伸前に塗布するのが特に好ましい。塗布方法は特
に限定されないが、ロールコーター、グラビアコータ
ー、リバースコーター、バーコーター等を用いて塗布す
るのが好ましい。
【0046】また、以上の製造例では逐次二軸延伸機に
よる製造例を示したが、同時二軸延伸装置も好ましく使
用することができ、この場合には、クリップの駆動方式
がリニアモータ方式のものがさらに好ましい。
【0047】
【物性値の評価法】(1)固有粘度 25℃で、オルトクロロフェノール中0.1g/ml濃
度で測定した値である。単位は[dl/g]で示す。
【0048】(2)溶融粘度 高下式フローテスターを用いて、280℃、剪断速度1
00秒-1のときの値を測定した。単位は[Pa・秒]で
表す。
【0049】(3)ガラス転移温度Tg、融解温度Tm 示差走査熱量計として、セイコー電子工業(株)製“ロ
ボットDSC−RDC220”を用い、データー解析装
置として、同社製“ディスクセッション”SSC/52
00を用いて測定した。測定サンプルとして約5mg採
取し、室温から昇温速度20℃/分で300℃まで加熱
した時に得られる熱カーブより、Tg、Tmを求めた。
【0050】(4) ヤング率、F5値 ASTM−D882に規定された方法に従って、インス
トロンタイプの引張試験機を用いて測定した。測定は下
記の条件とした。得られた張力−歪曲線の立上がりの接
線の勾配からヤング率を求め、また5%伸び時の張力を
F5値とした。
【0051】測定装置:オリエンテック(株)製フィル
ム強伸度自動測定装置 “テンシロンAMF/RTA−100” 試料サイズ:幅10mm×測定長100mm 引張り速度:200mm/分 測定環境:温度23℃、湿度65%RH (5)屈折率および面配向係数(fn) 屈折率は、JIS K7105に規定された方法に従っ
て、ナトリウムD線を光源として、(株)アタゴ製のア
ッペ屈折率計4型を用いて測定した。なおマウント液は
ヨウ化メチレンを用いて、23℃、65%RHにて測定
した。
【0052】面配向係数(fn)は、測定した各屈折率
から次式から求めた。
【0053】 面配向係数(fn)=(nMD+nTD)/2−nZD nMD:長手方向の屈折率 nTD:幅方向の屈折率 nZD:厚み方向の屈折率 (6)複屈折 日本光学(株)製偏光顕微鏡にベレックコンペンセータ
を使用してフィルムのリターデーション(R)を測定し
て、次式により複屈折(Δn)を求めた。
【0054】Δn=R/d R:リターデーション(μm) d:フィルム厚さ(μm) (7)クリープコンプライアンス フィルムを幅4mmにサンプリングし、試長15mmに
なるように、真空理工(株)製TMA TM−3000
および加熱制御部TA−1500にセットした。50
℃、65%RHの条件下、28MPaの荷重をフィルム
にかけて、30分間保ち、そのときのフィルム伸び量を
測定した。
【0055】フィルムの伸縮量(%表示、ΔL)は、カ
ノープス電子(株)製ADコンバータADX−98Eを
介して、日本電気(株)製パーソナルコンピューターP
C−9801により求め、次式からクリープコンプライ
アンスを算出した。
【0056】クリープコンプライアンス(GPa-1)=
(ΔL/100)/0.028 (8)熱収縮率 フィルムを幅10mm、測定長約200mmとなるよう
に2本のラインを引き、この2本のライン間の距離を正
確に測定しこれをL0とする。このサンプルを100℃
のオーブン中に30分間、無荷重下で放置後、再び2本
のライン間の距離を測定しこれをL1とし、下式により
熱収縮率を求める。
【0057】 熱収縮率(%)={(L0−L1)/L0}×100 (9)中心線平均表面粗さ(Ra) (株)小坂研究所製の高精度薄膜段差計ET−10を用
いて、JIS−B−0601に準じて、中心線平均表面
粗さ(Ra)を求めた。触針先端半径0.5μm、針圧
5mg、測定長1mm、カットオフ0.08mmとし
た。
【0058】(10)赤外吸収スペクトルの強度比(I
988/I874) 偏向ATR法によるフーリエ変換赤外吸収スペクトル
(FT−IR)を測定した。分析法は、一回反射法を使
用した。幅10mm、長さ10mmのフィルムサンプル
をIRE(ATRプリズム)に圧着し、試料にS偏光を
かけて測定を行い、988cm-1と874cm-1の強度
比(I988/I874)を求めた。
【0059】測定装置と条件は下記のとおりである。
【0060】(測定装置) 分光器 :FTS−55A(Bio Rad Digilab 製) 付属装置:一回反射ATR用アタッチメントおよび偏光
板 (測定条件:24,50%) 光源 :特殊セラミックス(グローバー) 分解能 :4cm−1 IRE :Ge 検出器 :MCT(Hg−Cd−Te) 積算回数:512回 入射角 :45度 (11)磁気テープの作成および走行耐久性と保存性の
評価 発明のフィルムの表面に、下記組成の磁性塗料を塗布厚
さ2.0μmになる塗布し、磁気配向させ、乾燥させ
る。次いで反対面に下記組成のバックコート層を形成し
た後、カレンダー処理した後、60℃で、48時間キュ
アリングする。上記テープ原反を1/2インチ幅にスリ
ットし、磁気テープとして、長さ670m分を、カセッ
トに組み込んでカセットテープとした。
【0061】 (磁性塗料の組成) ・強磁性金属粉末 : 100重量部 ・変成塩化ビニル共重合体 : 10重量部 ・変成ポリウレタン : 10重量部 ・ポリイソシアネート : 5重量部 ・ステアリン酸 : 1.5重量部 ・オレイン酸 : 1重量部 ・カーボンブラック : 1重量部 ・アルミナ : 10重量部 ・メチルエチルケトン : 75重量部 ・シクロヘキサノン : 75重量部 ・トルエン : 75重量部 (バックコートの組成) ・カーボンブラック(平均粒径20nm) : 95重量部 ・カーボンブラック(平均粒径280nm): 10重量部 ・αアルミナ : 0.1重量部 ・変成ポリウレタン : 20重量部 ・変成塩化ビニル共重合体 : 30重量部 ・シクロヘキサノン : 200重量部 ・メチルエチルケトン : 300重量部 ・トルエン : 100重量部 作成したカセットテープを、IBM製Magstar3
590 MODELB1A Tape Driveを用
い、100時間走行させ、次の基準でテープの走行耐久
性を評価した。
【0062】○:テープ端面の伸び、折れ曲がりがな
く、削れ跡が見られない。
【0063】△:テープ端面の伸び、折れ曲がりがない
が、一部削れ跡が見られる。
【0064】×:テープ端面の一部が伸び、ワカメ状の
変形が見られ、削れ跡が見られる。
【0065】また、上記作成したカセットテープをIB
M製Magstar3590 MODELB1A Ta
pe Driveに、データを読み込んだ後、カセット
テープを40℃、80%RHの雰囲気中に100時間保
存した後、データを再生して次の基準で、テープの保存
性を評価した。
【0066】○:トラックずれもなく、正常に再生し
た。
【0067】△:テープ幅に異常がないが、一部に読み
とり不可が見られる。
【0068】×:テープ幅に変化があり、読みとり不可
が見られる。
【0069】
【実施例】以下に、本発明を実施例、比較例に基づいて
説明する。
【0070】実施例1 押出機A、B2台を用い、280℃に加熱された押出機
Aには、PET−1(固有粘度0.75、ガラス転移温
度75℃、融解温度255℃、平均粒径0.07μmの
球状シリカ粒子0.16重量%配合)のペレットを18
0℃で3時間真空乾燥した後に供給し、同じく280℃
に加熱された押出機Bには、PET−2(固有粘度0.
75、ガラス転移温度75℃、融解温度255℃、平均
粒径0.3μmの球状架橋ポリスチレン粒子0.2重量
%と平均粒径0.8μmの球状架橋ポリスチレン粒子
0.01重量%配合)のペレットを180℃で3時間真
空乾燥した後に供給し、Tダイ中で合流し(積層比:P
ET−1/PET−2=10/1)、表面温度25℃の
キャストドラム上に静電気により密着させて冷却固化
し、エッジ部の最大厚み(A)と幅方向中央部の厚み
(B)の比(A/B)が4.0の積層未延伸フィルムを
得た。
【0071】次いで、この未延伸フィルムを、加熱され
た複数のロール群からなる縦延伸装置に導き、110℃
に予熱して、2倍に縦延伸する(延伸工程1)。このと
き、フィルムの複屈折Δnは0.010であった。その
後、75℃で、2段階で合計3.0倍(1.5倍x2.
0倍)の倍率で縦方向に延伸した後(延伸工程2)、縦
方向に2%の弛緩処理を施した。その後、フィルム端部
をクリップで把持してテンターに導き、合計3.8倍
(80℃で1.9倍、90℃で2倍)幅方向に延伸し
(延伸工程3)、その後、200℃で定長熱固定を施
し、150℃で1%、100℃で0.5%の弛緩処理を
施しながら中間冷却した後、フィルムを室温まで冷やし
て巻き取り、厚み4.5μm、固有粘度0.68の二軸
配向ポリエステルフルムを得た。
【0072】得られたフィルムの物性を表1に、テープ
加工後の走行耐久性および保存性の評価結果を表2に示
す。
【0073】本フィルムは、フィルムの縦方向が配向主
軸方向であり、この方向のF5値はヤング率の割に大き
いという特徴を有していた。
【0074】本フィルムは、高ヤング率でクリープ特性
が比較的良好であり、磁気テープに加工した後の走行耐
久性、保存安定性にも優れる高品質のフィルムであっ
た。
【0075】
【表1】
【表2】 実施例2 実施例1と同様にして得た未延伸積層フィルムをクリッ
プで把持してテンターに導き、110℃の温度条件下、
合計1.96倍(1.4倍x1.4倍)に2段階で横方
向に延伸し(延伸工程1)、引き続いて、75℃で、合
計3.4倍(1.7倍x2.0倍)に2段階で横延伸
(延伸工程2)した後、横方向に2%の弛緩処理を施し
た。なお、延伸工程1を得た直後のフィルムの複屈折Δ
nは0.008であった。
【0076】次いで、フィルムを複数のロール群からな
る縦延伸装置に導き、80℃に予熱した後、2段階で合
計3.6倍(80℃で3.0倍、120℃で1.2倍)
縦方向に延伸する(延伸工程3)。その後、フィルムを
クリップで把持してテンターに導き、200℃で定長熱
固定を施した後、150℃で3%、100℃で1%の弛
緩処理を施しながら中間冷却し、その後、フィルムを室
温まで冷やして巻き取り、厚み4.5μm、固有粘度
0.68の二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0077】フィルムの配向主軸方向は、フィルムの横
方向であった。
【0078】本フィルムは、配向主軸方向のF5値がヤ
ング率の割に大きいという特徴を有しており、磁気テー
プに加工した後の走行耐久性、保存安定性に優れる高品
質のフィルムであった。
【0079】実施例3 実施例1と同様にして得た未延伸積層フィルムを、複数
のロール群からなる縦伸装置に導き、110℃に予熱し
た後、2段階で1.4倍x1.4倍の合計1.96倍に
縦延伸する(延伸工程1)。このとき、フィルムの複屈
折Δnは0.010であった。その後、75℃で、2段
階で合計3.4倍(1.7倍x2.0倍)の倍率で縦方
向に延伸した後(延伸工程2)、縦方向に2%の弛緩処
理を施した。その後、フィルム端部をクリップで把持し
てテンターに導き、合計3.8倍(80℃で1.9倍、
90℃で2倍)の倍率で幅方向に延伸し(延伸工程
3)、その後、さらに180℃で1.2倍、200℃で
1.15倍の倍率で再横延伸し、200℃で定長熱固定
を施した後、150℃で3%、100℃で1%の弛緩処
理を施しながら中間冷却し、その後、フィルムを室温ま
で冷やして巻き取り、厚み4.5μm、固有粘度0.6
8の二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0080】フィルムの配向主軸方向は、フィルムの横
方向であり、この方向のF5値がヤング率の割に大きい
という特徴を有していた。
【0081】本フィルムは、磁気テープに加した後の走
行耐久性、保存安定性に優れる高品質のフィルムであっ
た。
【0082】実施例4 実施例3において、固有粘度1.0のPET原料をPE
T−1、PET−2として使用し、延伸工程3の後の再
横延伸を180℃で1.5倍、200℃で1.45倍の
倍率で行い、150℃での弛緩処理を4.5%行う以外
は実施例3と同様に製膜し、厚み4.5μmの二軸配向
ポリエステルフィルムを得た。フィルムの横方向が配向
主軸であり、フィルムの固有粘度は0.83であった。
【0083】本フィルムは、実施例3のフィルムよりも
高ヤング率を有しており、磁気テープ加工後の走行耐久
性、保存安定性も良好であった。
【0084】比較例1 実施例1と同様にして得た積層未延伸フィルムを複数の
ロール群からなる縦延伸装置に導き、90℃で、3.0
倍の倍率で縦延伸した後、フィルムをクリップで把持し
てテンターに導き、95℃で、横方向に3.0倍延伸し
た。次いで、複数のロール群からなるマルチアイドラー
方式の縦延伸装置で1.8倍延伸した後、フィルム端部
をクリップで把持して第2テンターに導き、180℃で
1.2倍延伸した。引き続いて、200℃で定長熱固定
を施した後、150℃で1%、100℃のゾーンで0.
5%の弛緩処理を施した後、フィルムを室温まで冷やし
て巻き取り、厚み4.5μm、固有粘度0.68の二軸
配向ポリエステルフィルムを得た。
【0085】本フィルムは、実施例のフィルムと比較し
て、配向主軸方向のF5/Ymが小さく、本フィルムを
使用して作成した磁気テープは、走行耐久性、保存安定
性ともに不良であった。
【0086】比較例2 実施例1と同様にして得た未延伸積層フィルムを、複数
のロール群からなる縦延伸装置に導き、110℃に予熱
した後、2倍の倍率で縦延伸した(延伸工程1)。この
とき、フィルムの複屈折Δnは0.010であった。そ
の後、75℃で、2.8倍の倍率で縦方向に延伸した
(延伸工程2)。その後、フィルム端部をクリップで把
持してテンターに導き、80℃で合計3.8倍の倍率で
幅方向に延伸し(延伸工程3)、その後、200℃で定
長熱固定を施した後、フィルムを室温まで冷やして巻き
取り、厚み4.5μm、固有粘度0.67の二軸配向ポ
リエステルフィルムを得た。
【0087】本フィルムは、実施例のフィルムと比較し
て、配向主軸方向のF5/Ymが小さく、本フィルムを
使用して作成した磁気テープは、保存安定性が悪く、走
行耐久性も実施例のフィルムのように良好でなかった。
【0088】比較例3 ここでは、特許第2583497号公報記載の実施例1
をもとに製膜したフィルムの結果を示す。
【0089】換算比粘度0.81、残留水分0.005
%を有し、かつ極めて狭い粒度分布を有する平均粒径
0.65μm架橋アクリレート粒子0.05重量%及び
モンタン酸ナトリウム0.1重量%を添加したPET
(PET−1)および粒子を含有していないこと以外は
PET−1と同様のPET(PET−2)を押出機A、
B2台を用いて溶融した。これらの溶融物は、2個のギ
アポンプを用いてダイに導入し、2層積層構造のキャス
トフィルムに成形して、表面温度30℃の冷却ドラム上
で冷却固化させた。
【0090】次いで、厚さ約240μmの積層未延伸キ
ャストフィルムは、まずロールで加熱し、縦方向に11
7℃で3倍延伸した後、再度80℃で1.1倍の縦延伸
した。その後、フィルム端部を把持してテンターに導
き、横方向に110℃で4.3倍延伸し、120℃で予
備的に熱処理した。その後、再度、140℃にて縦方向
に2倍延伸した後、最後に220℃で熱処理し、厚さ
8.2μm(粒子充填層2μm)の二軸配向ポリエステ
ルフィルムを得た。
【0091】ここで得られたフィルムは、実施例のフィ
ルムと比較して、フィルムの配向主軸方向のF5/Ym
が小さく、磁気テープに加工した後の保存安定性が悪
く、走行耐久性も実施例のフィルムのように良好ではな
かった。
【0092】
【発明の効果】本発明によれば、高弾性、低熱収縮性
で、使用条件や環境による不可逆的寸法変化が小さく、
保存安定性の観点でも優れる、高品質の二軸配向ポリエ
ステルフィルムが得られる。
【0093】本発明の二軸延伸ポリエステルフィルム
は、磁気記録用に特に有用であるが、感熱転写リボン
用、感熱孔版印刷用、コンデンサー用など、各種フィル
ム用途においても広く活用が可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29L 9:00 Fターム(参考) 4F100 AA20H AK12H AK41A AK42 BA01 BA02 CA23 DE04 EH20 EJ05H EJ38A GB41 JA03A JA06A JA20A JK02A JK07 JK07A JL04 YY00A 4F210 AA24A AA24C AB11 AB17 AB23 AB26 AE10 AG01 AG03 AH38 QA02 QA03 QC06 QG01 QG15 QG18 QL01 QM02 QW07 5D006 CB01 CB07 FA00

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フィルムの配向主軸方向について、5%伸
    長時応力(F5(GPa))とヤング率(Ym(GP
    a))の比率(F5/ Ym)が0.025以上、0.
    034以下であることを特徴とする二軸配向ポリエステ
    ルフィルム。
  2. 【請求項2】フィルムの配向主軸方向について、フーリ
    エ変換赤外吸収スペクトルの988cm-1と874cm
    -1の強度比(I988/I874)が、0.01以上、0.1
    0以下であることを特徴とする請求項1記載の二軸配向
    ポリエステルフィルム。
  3. 【請求項3】縦方向のヤング率(YMD)と横方向のヤ
    ング率(YTD)の和(YTD+YMD)が12〜20
    GPaであることを特徴とする請求項1または2記載の
    二軸配向ポリエステルフィルム。
  4. 【請求項4】フィルムの横方向の100℃、30分の熱
    収縮率が0.3%未満であることを特徴とする請求項
    1、2または3記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  5. 【請求項5】フィルムの固有粘度(g/dl)が0.5
    5〜1.40であることを特徴とする請求項1、2、3
    または4項記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  6. 【請求項6】高密度磁気記録用のベースフィルムである
    ことを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の
    二軸配向ポリエステルフィルム。
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