JP2012027232A - 偏光板基材用ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 低オリゴマー性能を有し、工程汚染を極小に抑え、かつ、生産性が良く、また、光学用途で多くある偏光板のクロスニコル法による検査において、高度な精度を実現できる離型ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】 ポリビニルアルコールを含有する塗布液をポリエステルフィルムの少なくとも片面に塗布して得られた塗布層を有し、当該塗布層上に、少なくとも1種類以上の白金触媒を0.5〜5.0重量%含有するシリコーン系離型層を有する離型フィルムであり、当該離型フィルムのヘーズが7%以下、写像性値が89%以上あることを特徴とする偏光板基材用ポリエステルフィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、光学用途向けの生産性が良く、光学検査に有利な偏光板基材用ポリエステルフィルムに関するものである。
近年、FPDに代表される光学用途の部材が多く開発されていて、その重要な基材としてポリエステルが多く使用されている。例えば、偏光板基材用途では、離型ポリエステルフィルムが使用されているが、その離型ポリエステルフィルムにおける主要な課題は、最適な離型性、厳しい検査性、工程汚染をしない低オリゴマー(以後、OLと略記することがある)性等が挙げられる。
離型ポリエステルフィルムにおける離型性は、従来ポリエステルフィルム表面へのシリコーン樹脂のコーティングにより成されている。最近の離型ポリエステルフィルムでは、剥離力の軽いものを中心に、使用する粘着剤によっては、剥離力の重いものが必要になるなど、要求が多岐に渡っている。
また、光学用途における離型ポリエステルフィルムでは、外部異物や工程内で発生するキズ、さらには、ポリエステルフィルムに熱や圧力がかかる事によって生じるOL等が不具合の原因となるケースが多々ある。
これら不具合に対する対策としては、従来、ポリエステルフィルムの原料、粒子、コーティングを工夫する等の試みが多く成されている。例えば、粒子を工夫する事で、キズ等を防げて、さらに、光学検査等で検査性の良いポリエステルフィルムが提供出来ると考えられる。ちなみに、従来のポリエステルフィルムで主として用いられるシリカなどでは、その粒子が輝点となるため、悪い検査性となっていた。
また、ポリエステルフィルムのOLは、偏光板用途で異物となるばかりか、工程内の汚染などを招き、さらに、その汚染が原因で異物欠陥を出すといった悪循環の引き金となる可能性が高い。
つまり、偏光板基材用途離型ポリエステルフィルムにおいて、基材、方法を工夫することで、上記に挙げられる課題を解決することが必須であって、これらを汎用のポリエステルフィルムで網羅できる技術が確立できたら、高機能性材料における技術革新として、産業界で大きな財産となる。
特開2000−338327号公報 特開2009−161574号公報 特願2010−118999号公報 特願2010−119000号公報 特開2009−220496号公報 特願2010−121101号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、低OL性能を有し、工程汚染を極小に抑え、かつ、生産性が良い、また、光学用途で多くある偏光板のクロスニコル法による検査において、高度な精度を実現できる離型ポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記実情に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成を有するポリエステルフィルムによれば、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、ポリビニルアルコールを含有する塗布液をポリエステルフィルムの少なくとも片面に塗布して得られた塗布層を有し、当該塗布層上に、少なくとも1種類以上の白金触媒を0.5〜5.0重量%含有するシリコーン系離型層を有する離型フィルムであり、当該離型フィルムのヘーズが7%以下、写像性値が89%以上あることを特徴とする偏光板基材用ポリエステルフィルムに存する。
本発明によれば、偏光板、位相差板等の光学検査で、離型ポリエステルフィルムの輝点が極力少なく、異物検査精度を高めることができる偏光板用途離型ポリエステルフィルムであって、さらに、OL由来の異物を抑える、さらに、工程汚染を抑える偏光板用途離型ポリエステルフィルムを提供することができるため、本発明の工業的価値は高い。
本発明でいうポリエステルフィルムとは、いわゆる押出法に従い押出口金から溶融押出されたシートを延伸したフィルムである。
本発明のフィルムを構成するポリエステルとは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものである。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)等が例示される。また、用いるポリエステルは、ホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。共重合ポリエステルの場合は、30モル%以下の第三成分を含有した共重合体であればよい。
かかる共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸およびオキシカルボン酸(例えば、P−オキシ安息香酸など)等から選ばれる一種または二種以上が挙げられ、グリコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等から選ばれる一種または二種以上が挙げられる。
本発明で用いるポリエステルには、本発明の要旨を損なわない範囲で、耐候剤、耐光剤、帯電防止剤、潤滑剤、遮光剤、抗酸化剤、蛍光増白剤、マット化剤、熱安定剤、および染料、顔料などの着色剤などを配合してもよい。
フィルム中に配合する粒子としては、酸化ケイ素、アルミナ、炭酸カルシウム、カオリン、酸化チタンおよび特公昭59−5216号公報に記載されているような架橋高分子微粉体等を挙げることができる。これらの粒子は、単独あるいは2成分以上を同時に使用してもよい。これら粒子の配合量は、フィルムを構成するポリエステルに対し、通常1重量%以下、好ましくは0.01〜1重量%、さらに好ましくは0.02〜0.6重量%の範囲である。粒子の含有量が少ない場合には、フィルム表面を適度な粗面にすることができず、フィルム製造工程において、表面のキズが発生しやすかったり、巻き特性が劣ったりする傾向がある。また、粒子の含有量が1重量%を超える場合には、フィルム表面の粗面化の度合いが大きくなりすぎて透明性が損なわれることがある。
ポリエステルフィルム中に含有される粒子の平均粒径は、通常0.02〜5μmであり、好ましくは0.1〜3μm、さらに好ましくは0.2〜1.8μmの範囲である。粒径が00.2μm未満の場合には、フィルム表面を適度な粗面にすることができないことがあり、フィルム製造工程における巻き特性が劣る傾向がある。粒径が5μmを超える場合には、偏光板離型用フィルムとして用いられた場合、輝点となり異物検査に支障を来す恐れがある。
一方、フィルムの透明性を向上させるため、2層以上の積層フィルムとした場合、表層のみに粒子を配合する方法も好ましく採用される。この場合の表層とは、少なくとも表裏どちらか1層であり、もちろん表裏両層に粒子を配合することもできる。かかる積層フィルムとした場合の粒子の配合量は、表層を構成するポリエステルに対し、好ましくは0.01〜1重量%、さらに好ましくは0.02〜0.6重量%の範囲である。
また、用いられる粒子の粒度分布はシャープな物が好ましい。具体的には、粒度分布のシャープさを表す指標である粒度分布値が1.0〜2.0のものが好ましい。なお、ここで粒度分布値とは、粒度分布値d25/d75(d25、d75は粒子群の積算堆積を大粒子側から計算し、それぞれ総体積の25%、75%に相当する粒径(μm)を示す)により定義される値である。粒度分布値が2.0を超える場合、粗大粒子が輝点となり、同様に異物検査に支障を来す恐れがある。
本発明において、ポリエステルに粒子を配合する方法としては、特に限定されるものではなく、公知の方法を採用し得る。例えば、ポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後重縮合反応開始前の段階でエチレングリコール等に分散させたスラリーとして添加し重縮合反応を進めてもよい。またベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または、混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
なお、本発明で用いるポリエステルは、溶融重合後これをチップ化し、加熱減圧下または窒素等不活性気流中に必要に応じてさらに固相重合を施してもよい。得られるポリエステルの固有粘度は0.40dl/g以上であることが好ましく、0.40〜0.90dl/gであることがさらに好ましい。
本発明においては、通常のオリゴマー含有量のポリエステルからなる層の少なくとも片側の表面に、かかるオリゴマー含有量の少ないポリエステルを共押出積層した構造を有するフィルムであってもよく、かかる構造を有する場合、本発明で得られる離型フィルム用ポリエステルフィルムにおいて、析出したオリゴマーによる輝点を防止する効果が得られ、特に好ましい。
本発明におけるポリエステルフィルムは、主配向軸に対して、フィルム面内方向における直角方向の屈折率(nβ)が1.6400以下であることが好ましく、1.6400を超える場合には、フィルムの配向角の変動が大きくなる傾向にあり、偏光板の安定した検査の障害となったり、粒子のボイド形成が顕著になり、偏光板検査の際に輝点となって見えやすく、検査の障害となることがある。
本発明のフィルムの総厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲であれば特に限定されるものではないが、通常4〜100μm、好ましくは9〜50μmの範囲である。
次に本発明のフィルムの製造方法に関して具体的に説明するが、本発明の要旨を満足する限り、本発明は以下の例示に特に限定されるものではない。
まず、本発明で使用するポリエステルの製造方法の好ましい例について説明する。ここではポリエステルとしてポリエチレンテレフタレートを用いた例を示すが、使用するポリエステルにより製造条件は異なる。常法に従って、テレフタル酸とエチレングリコールからエステル化し、または、テレフタル酸ジメチルとエチレングリコールとをエステル交換反応させ、その生成物を重合槽に移送し、減圧しながら温度を上昇させ、最終的に真空下で280℃に加熱して重合反応を進め、ポリエステルを得る。
次に例えば上記のようにして得、公知の手法により乾燥したポリエステルチップを溶融押出装置に供給し、それぞれのポリマーの融点以上である温度に加熱し溶融する。次いで、溶融したポリマーをダイから押出し、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、本発明においては静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。本発明においては、このようにして得られたシートを2軸方向に延伸してフィルム化する。
延伸条件について具体的に述べると、前記未延伸シートを好ましくは縦方向に70〜145℃で2〜6倍に延伸し、縦1軸延伸フィルムとした後、横方向に90〜160℃で2〜6倍延伸を行い、150〜240℃で1〜600秒間熱処理を行うことが好ましい。さらにこの際、熱処理の最高温度ゾーンおよび/または熱処理出口のクーリングゾーンにおいて、縦方向および/または横方向に0.1〜20%弛緩する方法が好ましい。また、必要に応じて再縦延伸、再横延伸を付加することも可能である。さらに、前記の未延伸シートを面積倍率が10〜40倍になるように同時二軸延伸を行うことも可能である。
次に本発明のポリエステルフィルムを構成するOL封止目的の塗布層の形成について説明する。塗布層に関しては、ポリエステルフィルムの延伸工程中にフィルム表面を処理する、インラインコーティングにより設けられてもよく、一旦製造したフィルム上に系外で塗布する、オフラインコーティングを採用してもよく、両者を併用してもよい。製膜と同時に塗布が可能であるため、製造が安価に対応可能であり、塗布層の厚みを延伸倍率により変化させることができるという点でインラインコーティングが好ましく用いられる。
インラインコーティングについては、以下に限定するものではないが、例えば、逐次二軸延伸においては、特に縦延伸が終了した横延伸前にコーティング処理を施すことができる。インラインコーティングによりポリエステルフィルム上に塗布層が設けられる場合には、製膜と同時に塗布が可能になると共に塗布層を高温で処理することができ、ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造できる。
本発明において、塗布層にバインダーポリマーを使用するが、「バインダーポリマー」とは高分子化合物安全性評価フロースキーム(昭和60年11月 化学物質審議会主催)に準じて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による数平均分子量(Mn)が1000以上の高分子化合物で、かつ造膜性を有するものと定義する。
塗布層中の成分の分析は、例えば、TOF−SIMS等の表面分析によって行うことができる。
インラインコーティングによって塗布層を設ける場合は、上述の一連の化合物を水溶液または水分散体として、固形分濃度が0.1〜50重量%程度を目安に調整した塗布液をポリエステルフィルム上に塗布する要領にて積層ポリエステルフィルムを製造するのが好ましい。また、本発明の主旨を損なわない範囲において、水への分散性改良、造膜性改良等を目的として、塗布液中には少量の有機溶剤を含有していてもよい。有機溶剤は1種類のみでもよく、適宜、2種類以上を使用してもよい。
上記の目的を果たすため、本発明では、塗布によりフィルム表面にオリゴマーの析出防止層を形成し、当該層がポリビニルアルコールを通常10〜100重量%、好ましくは20〜90重量%、さらに好ましくは30〜90重量%含有するものとする。ポリビニルアルコールの含有量が10重量%未満では、オリゴマー封止効果が不十分となることがある。
本発明で用いるポリビニルアルコールは、通常の重合反応によって合成することができ、水溶性であることが好ましい。ポリビニルアルコールの重合度は、特に限定されるものではないが、通常100以上、好ましくは300〜40000のものが用いられる。重合度が100以下の場合、塗布層の耐水性が低下する傾向がある。本発明で用いるポリビニルアルコールのけん化度は、特に限定されるものではないが、通常70モル%以上、好ましくは80〜99.9モル%の範囲であるポリ酢酸ビニルけん化物が実用上用いられる。
本発明におけるオリゴマー析出防止層には、必要に応じて上記のポリビニルアルコール以外の水溶性または水分散性のバインダー樹脂を併用してもよい。かかるバインダー樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル樹脂、ビニル樹脂、エポキシ樹脂、アミド樹脂、アクリレート樹脂、等が挙げられる。これらは、それぞれの骨格構造が共重合等により実質的に複合構造を有していてもよい。複合構造を持つバインダー樹脂としては、例えば、アクリル樹脂グラフトポリエステル、アクリル樹脂グラフトポリウレタン、ビニル樹脂グラフトポリエステル、ビニル樹脂グラフトポリウレタン、アクリレート樹脂グラフトポリエチレングリコール、等が挙げられる。バインダー成分の配合量は、塗布層に対する重量部で50重量部以下、さらには30重量部以下の範が好ましい。さらに本発明のフィルムの塗布層中には、必要に応じて架橋反応性化合物を含んでいてもよい。
架橋反応性化合物としては、メチロール化あるいはアルキロール化した尿素系、メラミン系、グアナミン系、アクリルアミド系、ポリアミド系などの化合物、ポリアミン類、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、アジリジン化合物、ブロックイソシアネート化合物、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコ−アルミネート系カップリング剤、金属キレート、有機酸無水物、有機過酸化物、熱または光反応性のビニル化合物や感光性樹脂などの多官能低分子化合物および高分子化合物から選択される。
架橋反応性化合物は、主に易接着樹脂層に含まれる樹脂が有する官能基と架橋反応することで、易接着樹脂層の凝集性、表面硬度、耐擦傷性、耐溶剤性、耐水性を改良することができる。例えば、易接着樹脂の官能基が水酸基の場合、架橋反応性化合物としては、メラミン系化合物、ブロックイソシアネート化合物、有機酸無水物などが好ましく、易接着ポリエステルの官能基が有機酸およびその無水物の場合、架橋反応性化合物としてはエポキシ系化合物、メラミン系化合物、オキサゾリン系化合物、金属キレートなどが好ましく、易接着樹脂の官能基がアミン類の場合、架橋反応性化合物としてはエポキシ系化合物などが好ましく、易接着樹脂に含まれる官能基と架橋反応効率が高いものを選択して用いることが好ましい。本発明におけるメラミン化合物としては、アルキロールまたはアルコキシアルキロール化したメラミン系化合物であるメトキシメチル化メラミン、ブトキシメチル化メラミン等が例示され、メラミンの一部に尿素等を共縮合したものも使用できる。
架橋反応性化合物は反応性官能基が1分子中に2官能以上必ず含まれる限りにおいて、低分子量化合物であっても、反応性官能基を有する高分子重合体のいずれであってもよい。架橋反応性化合物の配合量は、易接着樹脂層に対する重量部で50重量部以下、さらには30重量部以下、特に15重量部以下の範囲が好ましい。
さらに本発明の易接着樹脂層中には、必要に応じて塗布層の滑り性改良のために不活性粒子を含んでいてもよい。
不活性粒子としては、無機不活性粒子、有機不活性粒子があり、無機不活性粒子としては、例えば、シリカゾル、アルミナゾル、炭酸カルシウム、酸化チタン等が挙げられる。有機不活性粒子としては、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリビニル系樹脂による単独あるいは共重合体を含む微粒子、またはこれらと架橋成分を複合した架橋粒子に代表される有機粒子が挙げられる。これらの不活性粒子は軟化温度または分解温度が約200℃以上、さらには250℃以上、特に300℃以上であることが好ましい。不活性粒子の平均粒径(d)は、易接着樹脂層の平均膜厚を(L)とした際、1/3≦d/L≦3、さらには1/2≦d/L≦2の関係を満足するように選択するのが好ましい。
本発明のOL封止層は、必要に応じて界面活性剤、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、低分子帯電防止剤、有機系潤滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染料、顔料等の添加剤を少量含有していてもよい。これらの添加剤は単独で用いてもよいが、必要に応じて二種以上を併用してもよい。本発明のフィルムの塗布層は、ポリエステルフィルムの片面だけに形成してもよいし、両面に形成してもよい。片面のみに形成する場合、その反対面には必要に応じて別種の塗布層を形成させ、さらに他の特性を付与することもできる。なお、塗布液のフィルムへの塗布性および接着性を改良するため、塗布前のフィルムに化学処理や放電処理等を施してもよい。
本発明におけるポリエステルフィルムに関して、ポリエステルフィルム上に設けられる塗布層の膜厚は、通常0.002〜1.0g/m、より好ましくは0.005〜0.5g/m、さらに好ましくは0.01〜0.2g/mの範囲である。膜厚が0.002g/m未満の場合は十分な密着性が得られない可能性があり、1.0g/mを超える場合は、外観や透明性、フィルムのブロッキング性が悪化する可能性がある。
本発明のポリエステルフィルムにおいて、塗布層を設ける方法は、リバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート等、従来公知の塗工方式を挙げることができる。塗工方式に関しては「コーティング方式」槇書店 原崎勇次著 1979年発行に記載例がある。
本発明において、ポリエステルフィルム上に塗布層を形成する際の乾燥および硬化条件に関しては、特に限定されるわけではなく、例えば、オフラインコーティングにより塗布層を設ける場合、通常、80〜200℃で3〜40秒間、好ましくは100〜180℃で3〜40秒間を目安として熱処理を行うのが良い。
一方、インラインコーティングにより塗布層を設ける場合、通常、70〜280℃で3〜200秒間を目安として熱処理を行うのが良い。
また、オフラインコーティングあるいはインラインコーティングに係わらず、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。本発明における積層ポリエステルフィルムを構成するポリエステルフィルムにはあらかじめ、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
本発明のポリエステルフィルムのOL封止層は、バインダー樹脂と架橋剤とを任意割合で配合することで形成されるが、これら層が密にバリア層を形成するためOLを抑制する。このため、ポリエステルフィルムからのOLを極力、粘着剤に付着させない、また、先の加工工程内で出さない効果がある。よって、本発明のポリエステルフィルムのOL封止層の層構成は、両面が好ましく、用途に応じて、少なくとも片面に塗布する事が必要とされる。
本発明において塗布層上に形成する離型層は、離型性を有する材料を含有していれば、特に限定されるものではない。その中でも、硬化型シリコーン樹脂を含有するものによれば離型性が良好となるので好ましい。硬化型シリコーン樹脂を主成分とするタイプでもよいし、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂等の有機樹脂とのグラフト重合等による変性シリコーンタイプ等を使用してもよい。
硬化型シリコーン樹脂の種類としては、付加型・縮合型・紫外線硬化型・電子線硬化型・無溶剤型等何れの硬化反応タイプでも用いることができる。
硬化型シリコーン樹脂の具体例を挙げると、信越化学工業(株)製KS−774、KS−775、KS−778、KS−779H、KS−847H、KS−856、X−62−2422、X−62−2461、ダウ・コーニング・アジア(株)製DKQ3−202、DKQ3−203、DKQ3−204、DKQ3−205、DKQ3−210、東芝シリコーン(株)製YSR−3022、TPR−6700、TPR−6720、TPR−6721、東レ・ダウ・コーニング(株)製SD7220、SD7226、SD7229等が挙げられる。さらに離型層の剥離性等を調整するために剥離コントロール剤を併用してもよい。また、上述のとおり、離型層中にアミノ基を有するシラン化合物を添加することもある。
本発明において、ポリエステルフィルムに離型層を設ける方法としては、リバースロールコート、グラビアコート、バーコート、ドクターブレードコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。本発明における離型層の塗布量は、通常0.01〜1g/m2の範囲である。
本発明において、離型層が設けられていない面には、接着層、帯電防止層、オリゴマー析出防止層等の塗布層を設けてもよく、また、ポリエステルフィルムにはコロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
また、粘着剤層または離型層の塗膜の乾燥および/または硬化(熱硬化、電離放射線硬化等)は、それぞれ個別又は同時に行うことができる。同時に行う場合には、80℃以上の温度で行うことが好ましい。乾燥および硬化の条件としては、80℃以上で10秒以上が好ましい。乾燥温度が80℃未満または硬化時間が10秒未満では塗膜の硬化が不完全であり、塗膜が脱落しやすくなるため好ましくない。
本発明におけるポリエステルフィルムでは、離型層を綺麗かつ頑丈にするため、白金触媒を用いる。具体例としては、信越化学工業(株)製PL−50T、PL−5000、東レ・ダウ・コーニング(株)製BY24−561、等が挙げられる。塗布層中の白金触媒含有量は、0.5〜5.0重量%、好ましくは1.5〜4.0重量%の範囲が良い。塗布層中の白金触媒含有量が0.5重量%よりも低い場合、剥離力の不具合や、塗布層での硬化反応が不十分になるため、面状悪化などの不具合を生じる場合があり、一方、塗布層中の白金触媒の含有量が5.0重量%を超える場合には、コストがかかる、また、反応性が高まり、ゲル異物が発生する、等の工程不具合を生じてしまう。
本発明におけるポリエステルフィルムは、フィルム内における、実施例に記載した測定法における配向角の変動をMOR_Cの値で、1.8〜2.6であることが好ましく、さらに好ましくは2.0〜2.4である。MOR_Cの値が2.6を超える場合には、性膜性が悪い、また、偏光板を検査する際に偏光板の位置により透過光強度が変動し、偏光板の安定した検査の障害となることがあり、MOR_Cの値が1.8よりも低い場合には、生産性が悪い等の不具合が生じることがある。
本発明において、実施例に記載した測定法におけるフィルムの写像性値は89%以上であることが必要である。フィルムの写像性値が89%を下回る場合、偏光板離型用フィルムとして用いられた場合、透過光による偏光板の欠陥検査の際に像が歪み、目視検査や、自動検査に支障を来す。
また、フィルムのヘーズは7%以下であり、好ましくは3〜5%であり、180℃で5分間熱処理後のフィルムのヘーズは8%以下であることが好ましい。フィルムヘーズが7%を超えると、透過光検査時、視野が白濁して検査に支障を来す。また、偏光板を製造する工程には熱処理工程が必要な場合がある。その際、熱処理された時のフィルムヘーズが8%を超えると、透過光検査時、視野が白濁して検査に支障を来すことがある。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いた測定法および評価方法は次のとおりである。
(1)ポリエステルの固有粘度の測定
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)平均粒径(d50:μm)の測定
遠心沈降式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所社製SA−CP3型)を使用して測定した等価球形分布における積算(重量基準)50%の値を平均粒径とした。
(3)ポリエステルフィルムの透過率測定
JIS − K7105に準じ、日本電色工業社製積分球式濁度計NDH−300Aによりポリエステルフィルムの全光線透過率を測定した。次のような基準で判断する。
(4)ポリエステルフィルムの加熱収縮率測定
ポリエステルフィルムを縦長さの方向(以後、MDと略する)と横幅の方向(以後、TDと略する)にそれぞれ、任意の長さL(cm)でサンプリングする。続いて、そのサンプルをオーブンで160℃、5分の加熱を行い、そのサンプルをオーブンから取り出して長さl(cm)を測定する。この操作を3回行い、平均値を加熱収縮率の値として採用する。下記式で加熱収縮率は算出できる。
加熱収縮率(%)={(L−l)/L}×100
(5)塗布層中触媒量測定
SAICASを用いて、試料フィルムに斜め切削を行い、断面を露出させた。その後、
TOF−SIMS(飛行時間型質量分析マススペクトル)を用いて、ポリエステルフィルム塗布層中に含まれる白金を含む触媒量を求めた。
(6)離型フィルムの剥離力(F)の評価
試料フィルムの離型層表面に両面粘着テープ(日東電工製「No.502」)の片面を貼り付けた後、50mm×300mmのサイズにカットした後、室温にて1時間放置後の剥離力を測定する。剥離力は、引張試験機((株)インテスコ製「インテスコモデル2001型」)を使用し、引張速度300mm/分の条件下、180°剥離を行った。
(7)アンカー層表面から抽出されるOLの測定
あらかじめ、未熱処理の離型フィルムを空気中、180℃で10分間加熱する。その後、熱処理をした該フィルムを上部が開いている縦横10cm、高さ3cmの箱の内面にできるだけ密着させて箱形の形状とする。塗布層を設けている場合は塗布層面が内側となるようにする。次いで、上記の方法で作成した箱の中にDMF(ジメチルホルムアミド)4mlを入れて3分間放置した後、DMFを回収する。回収したDMFを液体クロマトグラフィー(島津製作所製:LC−7A)に供給して、DMF中のOL量を求め、この値を、DMFを接触させたフィルム面積で割って、フィルム表面OL量(mg/m)とする。
DMF中のオリゴマー量は、標準試料ピーク面積と測定試料ピーク面積のピーク面積比より求めた(絶対検量線法)。標準試料の作成は、あらかじめ分取したOL(環状三量体)を正確に秤量し、正確に秤量したDMFに溶解し作成した。標準試料の濃度は、0.001〜0.01mg/mlの範囲が好ましい。なお、液体クロマトグラフの条件は下記のとおりとした。
移動相A:アセトニトリル
移動相B:2%酢酸水溶液
カラム:三菱化学(株)製『MCI GEL ODS 1HU』
カラム温度:40℃
流速:1ml/分
検出波長:254nm
(8)ポリエステルフィルムのマイクロ波分子配向計によるMOR_C値測定
王子計測機器株式会社製のマイクロ波方式分子配向計を用い、透過マイクロ波強度パターンからMOR_C値を求めた。
(9)写像性値の測定
JIS−K7105に準じ、スガ試験機(株)製写像性測定機 ICM−1により、透過法にてフィルムの写像性値を測定した。なお、値は、光学くし0.125mmのものを読みとる。次のような基準で判断する。
○:89%以上
×:89%よりも小さな値
(10)ポリエステルフィルムのヘーズ(濁度)測定
JIS−K7105に準じ、日本電色工業社製積分球式濁度計NDH−20Dにより、フィルムのヘーズを測定した。また、熱処理後のヘーズは、無張力状態で180℃雰囲気中5分間、熱処理したフィルムのヘーズを測定した。次のような基準で判断する。
<フィルムヘーズ>
○:7%以下
×:7%よりも大きな値
<加熱時のフィルムヘーズ>
○:8%以下
×:8%よりも大きな値
(11)実用特性
<反射光下での目視検査性>
偏光板検査を考慮に入れて、フィルム上に離型剤を塗布しドライヤー温度120℃、ライン速度30m/minの条件で得た離型フィルムの幅方向が、偏光フィルムの配向軸と平行となるように、粘着剤を介して離型フィルムを偏光フィルムに密着させ偏光板とし、蛍光灯反射下で偏光板を目視にて観察し、反射光下での目視検査性を下記基準に従い評価した。なお、測定の際には、A4サイズのサンプルを切り出して実施した。
「判定基準」
○:検査性良好
△:ほぼ問題なく検査できる
×:検査性不良
○および△のものが実使用上問題のないレベルである。
<クロスニコル下での目視検査性>
偏光板検査を考慮に入れて、フィルム上に離型剤を塗布しドライヤー温度120℃、ライン速度30m/minの条件で得た離型フィルムの幅方向が、偏光フィルムの配向軸と平行となるように、粘着剤を介して離型フィルムを偏光フィルムに密着させ偏光板とした。ここで上記偏光板を作成する際、粘着剤と偏光フィルムとの間に50μm以上の大きさを持つ黒色の金属粉(異物)を50個/mとなるように混入させた。このようにして得られた異物を混入させた偏光板離型フィルム上に配向軸が離型フィルム幅方向と直交するように検査用の偏光板を重ね合わせ、偏光板側より白色光を照射し、検査用の偏光板より目視にて観察し、クロスニコル下で粘着剤と偏光フィルムとの間に混入させた異物を見いだせるかどうかを下記基準に従い評価した。なお、測定の際には、得られたフィルムの幅方向に対し中央部と両端部の計3ヶ所から、それぞれA4サイズのサンプルを切り出して実施した。
「判定基準」
○:異物認知性良好
△:比較的問題なく異物認知できる。
×:異物認知性不良
○および△のものが実使用上問題のないレベルである。
上記判定基準中、○以上のものが実使用上問題なく使用できるレベルである。
<離型特性>
粘着層を有する積層フィルムより離型フィルムを剥がした時の状況より、離型特性を評価した。
○:離型フィルムが綺麗に剥がれ、粘着剤が離型層に付着する現象が見られない
△:離型フィルムは剥がれるが、速い速度で剥離した場合に粘着剤が離型層に付着する
×:離型フィルムに粘着剤が付着する
(12)総合評価
製膜性、生産性、検査特性等、全てを考慮に入れた評価を行う。次のような基準で判断する。
○:OLが少なく、工程汚染を防げ、生産しても充分に製品として供給できる
△:OLが少なく、工程汚染を防げ、生産性が良い、かつ、光学検査での不具合の頻度
が少ない
×:OL封止能が悪い、または、生産性が悪い。光学検査での不具合が多発する。
実施例および比較例において使用したポリエステルは、以下のようにして準備したものである。
<ポリエステル(a)の製造方法>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒としてテトラブトキシチタネートを加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた後、4時間重縮合反応を行った。
すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.61に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、極限粘度0.61のポリエステル(a)を得た。
<ポリエステル(b)の製造>
ポリエステル(a)の製造方法において、エチルアシッドフォスフェートを添加後、平均粒子径1.0μmのジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子のエチレングリコールスラリーを粒子のポリエステルに対する含有量が0.6重量%となるように添加した以外は、ポリエステル(a)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(b)を得た。得られたポリエステル(b)は極限粘度0.63であった。
<ポリエステル(c)の製造>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム四水塩を加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェートを添加した後、重縮合槽に移し、三酸化アンチモン0.04部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、固有粘度0.45に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、ポリエステルのチップ(c)を得た。このポリエステルの固有粘度は0.45であった。
<ポリエステル(d)の製造>
このポリエステルチップを固相重縮合法にて固有粘度を上げた。予備結晶化槽にて170℃の窒素雰囲気化にて0.5時間処理した後、不活性ガスを流す塔式乾燥機を用い、200℃の温度下にて水分率が0.005%になるまで乾燥した。その後固相重合槽へ送り、240℃にて3時間、固相重合を行い固有粘度0.70のポリエステル(d)を得た。
<ポリエステル(e)の製造>
ポリエステル(d)を製造する際、固相重合槽にて5時間固相重合を行い、固有粘度0.80のポリエステル(e)を得た。
<ポリエステル(f)の製造>
ポリエステル(b)の製造方法において、添加粒子を、平均粒子径1.0μmの合成炭酸カルシウム粒子に、ポリエステルに対する含有量を、2.0重量%にした以外は、ポリエステル(b)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(f)を得た。得られたポリエステル(f)は極限粘度0.63であった。
実施例1:
〈ポリエステルフィルムの製造〉
表層の原料としてポリエステル(e)83重量%と、ポリエステル(b)17重量%を混合し、中間層の原料として、ポリエステル(a)を、2台のベント付き押出機に各々供給し、290℃で溶融押出した後、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して未延伸シートを得た。次いで、100℃にて縦方向に2.8倍延伸した後、この縦延伸フィルムの片面に、次に下記塗布剤を塗布量(乾燥後)が0.03g/mになるように塗布した後、テンターに導き、横方向に120℃でテンター内で予熱工程を経て120℃で5.1倍の横延伸を施した後、220℃で10秒間の熱処理を行い、その後180℃で幅方向に4%の弛緩を加え、幅4000mmのマスターロールを得た。このマスターロールの端から1400mmの位置よりスリットを行い、コアに1000m巻き取りし、ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの全厚みは38μm(層構成:表層4μm/中間層30μm/表層4μm)であった。
なお、塗布層を構成する化合物例は以下のとおりである。
(化合物例)
・ケン化度88モル%、重合度350のポリビニルアルコールバインダーポリマー:A
・メチルメタクリレート/エチルアクリレート/アクリロニトリル/N−メチロールメタアクリルアミド=45/45/5/5(モル比)の乳化重合体(乳化剤:アニオン系界面活性剤)バインダーポリマー:B
・架橋剤 ヘキサメトキシメラミン架橋剤:C
・粒子 コロイダルシリカ(平均粒径:70nm):D
固形分配合比:A/B/C/D=30/24/42/4
得られたポリエステルフィルムの塗布層上に、下記に示す離型剤組成−Aからなる離型剤を塗布量(乾燥後)が0.1g/mになるようにリバースグラビアコート方式により塗布し、ドライヤー温度120℃、ライン速度30m/minの条件でロール状の剥離力が21mN/cm、OL量0.78mg/m、写像性値90.6%、熱処理後のヘーズ4.3%の離型フィルムを得た。
<離型剤組成−A>
硬化型シリコーン樹脂(KS−847H:信越化学製) 20部
硬化剤(PL−50T:信越化学製) 0.3部(1.5重量%)
MEK/トルエン混合溶媒(混合比率は1:1)
得られたポリエステルフィルムは、下記方法で偏向板を作成し、光学特性の検査性と剥離特性の評価を行った。得られた離型フィルムは反射による検査性良好、異物認知性良好であり、かつ、偏光板綺麗に剥がれ、粘着剤が離型層に付着する現象が見られなかった。
<離型フィルム付き偏光板の製造>
偏光板に下記に示すアクリル粘着剤を、乾燥後の厚みが25μmとなるように塗布し、130℃の乾燥炉内を30秒で通過させた後、離型フィルムを貼り合わせ、粘着剤を介して離型フィルムと偏光フィルムが密着された離型フィルム付き偏光板を作成した。フィルムの貼り合せ方向は、離型フィルムの幅方向が、偏光フィルムの配向軸と平行となるように行った。
・アクリル粘着剤塗布液
アクリル粘着剤(オリバインBPS429−4:東洋インキ製) 100部
硬化剤(BPS8515:東洋インキ製) 3部
MEK/トルエン混合溶媒(混合比率は1:1) 50部
実施例2〜4:
実施例1において、ポリエステルフィルム製造時の粒子含有ポリエステル種、粒子含有ポリエステルの配合量を変更する、塗布層中離型剤組成の白金触媒含有量を変更する以外は実施例1と同様にして製造し、ポリエステルフィルムを得た。得られた結果をまとめて下記表1に示す。
Figure 2012027232
比較例1〜5:
実施例1において、ポリエステルフィルム製造時の粒子含有ポリエステル種、粒子含有ポリエステルの配合量を変更する、塗布層中離型剤組成の白金触媒含有量を変更する以外は実施例1と同様にして製造し、ポリエステルフィルムを得た。得られた結果をまとめて下記表2に示す。
Figure 2012027232
本発明のフィルムは、偏光板基材用途の光学検査法において、高度な精度を実現できる、離型ポリエテルフィルムであって、偏光板基材用途として重要なOL防止能力を有した離型ポリエテルフィルムとして好適に利用することができる。

Claims (2)

  1. ポリビニルアルコールを含有する塗布液をポリエステルフィルムの少なくとも片面に塗布して得られた塗布層を有し、当該塗布層上に、少なくとも1種類以上の白金触媒を0.5〜5.0重量%含有するシリコーン系離型層を有する離型フィルムであり、当該離型フィルムのヘーズが7%以下、写像性値が89%以上あることを特徴とする偏光板基材用ポリエステルフィルム。
  2. 180℃で5分間熱処理後のヘーズが8%以下であることを特徴とする請求項1記載の偏光板基材用ポリエステルフィルム。
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