JP2005307038A - キャスト法によるプラスチックフィルム製造用支持体フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 溶液キャスト法によりプラスチックフィルムを製造する工程において支持体として用いられるフィルムであって、当該フィルムが、一方の表面のRaが5.0〜20nmの範囲であり、かつRtが30〜500nmの範囲であるポリエステルフィルムであることを特徴とするキャスト法によるプラスチックフィルム製造用支持体フィルム。
【選択図】なし
Description
キャスト工程の支持体として用いられるポリエステルフィルムに関しては、上記した粗大な突起の形状転写および削れ粉などの異物の転着が起こらないことが強く要求される。
本発明の支持体ポリエステルフィルムは、溶液キャスト法にて製膜される工程で使用されるが、その製膜フィルムの素材は、かかる工程を採用できるものであれば特に限定されない。例えばポリカーボネートフィルム、ポリアリレートフィルム、トリアセチルセルロース系フィルム、ノルボルネン樹脂系フィルム、ポリイミドフィルムなどが適用できる例として挙げられる。
まず、公知の手法により乾燥したポリエステルチップを溶融押出装置に供給し、それぞれのポリマーの融点以上である温度に加熱し溶融する。次いで、溶融したポリマーをダイから押出し、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、本発明においては静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。
ポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。表層部のみの極限粘度の測定については、溶融押出機から共押出する工程で、同吐出量で押出を行ったポリエステルの極限粘度を測定する方法または、表層のみをナイフなど適当な道具を用いて削り取り、測定に供した。
(株)島津製作所社製遠心沈降式粒径分布測定装置SA−CP3型を用いてストークスの抵抗則にもとづく沈降法によって粒子の大きさを測定した。測定された粒子の等価球形分布における積算(重量基準)50%の値を用いて平均粒径(d50)とした。また同装置で測定された等価球形分布における大粒子側から積算を行い、下記の式から粒径分布値(d25/d75)を求めた。
粒径分布値=(粒子の積算重量が25%のときの粒径)÷(粒子の積算重量が75%のときの粒径)
なお、粒径分布値は、1.0に近いほどシャープな粒径分布を有する。
(株)小坂研究所製表面粗さ測定機(SE−3F)を用いて次のようにして求めた。すなわち、フィルム断面曲線からその中心線の方向に基準長さL(2.5mm)の部分を抜きとり、この抜き取り部分の中心線をx軸、縦倍率の方向をy軸として粗さ曲線y=f(x)で表したとき、次式で与えられた値を中心線平均粗さ(Ra)とし、〔μm〕で表した。最大高さ(Rt)は、上記で得られたフィルム断面曲線の抜き取り部分の、平均線に平行な2直線で抜き取り部分を挟んだ時、この2直線の間隔を断面曲線の縦倍率の方向に測定した値を最大高さ(Rt)とし、〔μm〕で表した。 最大高さ、中心線平均粗さは、試料フィルム表面から10本の断面曲線を求め、これらの断面曲線から求めた抜き取り部分のそれぞれの値の平均値で表した。なお、触針の先端半径は2μm、荷重は30mgとし、カットオフ値は0.08mmとした。
Ra=(1/L)∫|f(x)|dx
フィルム表面にアルミニウムを蒸着し、二光束干渉顕微鏡を用いて測定した。測定波長0.54μmで、1次の干渉縞を示すものを突起高さ0.27μm以上0.54μm未満、2次の干渉縞を示すものを0.54μm以上0.81μm未満として、それぞれ単位面積当たりに換算し、H1(個/mm2)、H2(個/mm2)として表した。
溶媒としてジクロロメタンを用いて、ポリカーボネートの20重量%溶液を調合した。この溶液を支持体フィルム上に塗布し、70℃にて一次乾燥し、さらに100℃にてキャストフィルム中の残存溶媒量が0.5重量%以下になるまで乾燥し、支持体フィルムと共に巻き取った。得られたキャストフィルムの厚みは45μmであった。キャストフィルムの評価は、支持体フィルムを剥離して行った。なお、キャストフィルムの製品を得るためには、粘着剤層を有する保護フィルムを貼り合わせることがあるが、本発明においては、キャストフィルムの評価を、支持体剥離後、直ちに行った。評価の基準は以下とした。
・フィルムの透明性
ランクA:高透明なフィルムとして得られ、光学用部材として高品質なもの。
ランクB:透明感があり、光学用部材として使用可能だが、Aよりもやや劣る。
ランクC:透明感に劣り、光学用部材としては使用できない。
・光学的な欠点(2枚の偏光板を用いて、クロスニコル下で目視にて観察した)
ランクA:欠点は3個/m2以下。
ランクB:欠点は20個/m2以下
ランクC:欠点は20個/m2を越え、実用上支障がある。
〈ポリエステルの製造〉
[エステル(A)の製造方法]
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩0.09重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェート0.04部を添加した後、三酸化アンチモン0.04部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.68に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させた。得られたポリエステル(A)の極限粘度は0.68であった。
ポリエステル(A)の製造方法において、エチルアシッドフォスフェート0.04部を添加後、エチレングリコールに分散させた平均粒子径0.7μm、粒径分布値1.70の合成炭酸カルシウム粒子を0.3部、三酸化アンチモン0.04部を加えて、極限粘度0.66に相当する時点で重縮合反応を停止した以外は、ポリエステル(A)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(B)を得た。得られたポリエステル(B)は、極限粘度0.67であった。
[ポリエステル(C)の製造方法]
ポリエステル(B)の製造方法において、添加する粒子を平均粒径0.4μm、粒径分布値1.95のスチレン系架橋高分子粒子とし、添加量を0.3部としたこと以外は、ポリエステル(B)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(C)を得た。得られたポリエステル(C)は、極限粘度0.67であった。
[ポリエステル(D)の製造方法]
ポリエステル(B)の製造方法において、添加する粒子を平均粒径1.4μm、粒径分布値2.5の無定形シリカ粒子とし、添加量を0.1部としたこと以外は、ポリエステル(B)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(D)を得た。得られたポリエステル(D)は、極限粘度0.67であった。
実施例1において、A層原料をポリエステル(A)と(D)とを95:5の重量比で混合した原料としたこと以外は実施例1と同様にして、厚み125μmのポリエステルフィルムを得た。この場合、フィルムの表面粗度が小さすぎるためフィルムの取り扱い性が不良となり、またキャスト支持体として使用した時に、搬送ロールとの接触で傷が入りやすいという問題が発生した。
実施例1において、A層原料をポリエステル(A)と(D)とを40:60の重量比で混合した原料としたこと以外は実施例1と同様にして、厚み125μmのポリエステルフィルムを得た。この場合、フィルムの表面粗度が大きすぎるため、このフィルムを支持体として使用して得たキャストフィルムの品質は劣るものであった。即ち得られたキャストフィルムの表面が形状転写により粗面化されたため、光学的な透明性が低下し、部材としての品位が劣るものであった。
下記表1は、各実施例、比較例で得られたフィルムの評価結果をまとめて示したものである。実施例に示したフィルムは、高品質のフィルムとして得られた。
Claims (1)
- 溶液キャスト法によりプラスチックフィルムを製造する工程において支持体として用いられるフィルムであって、当該フィルムが、一方の表面のRaが5.0〜20nmの範囲であり、かつRtが30〜500nmの範囲であるポリエステルフィルムであることを特徴とするキャスト法によるプラスチックフィルム製造用支持体フィルム。
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