JP2005008740A - 二軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】脂肪族ポリエステルでありながら耐熱性に優れており、しかも、脂肪族ポリエステルの持つ良好な透明性を有しており、更に、製造時および加工時における走行作業性にも優れ、特に、光学用途に好適なポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】繰り返し単位として、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸と1,4−シクロヘキサンジメタノールとを主成分とし、融点が200℃以上であるポリエステルから成る二軸配向ポリエステルフィルムであって、フィルムヘーズが10%以下であり、少なくとも片面の平均中心線粗さ(Ra)が7〜35nmである。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、二軸配向ポリエステルフィルムに関し、詳しくは、脂肪族ポリエステルでありながら、耐熱性が良好で、しかも、透明性および走行作業性に優れ、特に光学用途に好適な二軸配向ポリエステルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレートフィルムに代表される二軸配向ポリエステルフィルムは、その機械的強度、耐熱性、耐薬品性、耐候性、透明性、電気絶縁性などの特性とコストバランスに優れ、多岐に亘る分野で使用されている。
【0003】
ところで、一般に二軸配向ポリエステルフィルム用途に使用されるポリエステルの殆どは、その分子構造内にテレフタル酸(及びイソフタル酸)、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸を含む芳香族ポリエステルである。その最大の理由は、芳香族ジカルボン酸がモノマーユニットに存在することにより、ポリエステル分子に剛直性が増してポリエステルフィルムの機械的強度・耐熱性が向上する点にあると考えられる。
【0004】
一方、ポリエステルの分子構造中に芳香族環を有するモノマーユニットが存在しない、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとの重縮合で生成する、いわゆる脂肪族ポリエステルの一群が存在する。この脂肪族ポリエステルは、剛直な芳香族環を有しないため、芳香族ポリエステルの様な機械的強度や耐熱性を有することが少なく、しかも、二軸配向フィルムとしての形態で得られない場合も多い。
【0005】
しかしながら、限られた一部の脂肪族ポリエステルでは二軸延伸フィルムの例が知られている。具体的には、ポリブチレンサクシネート・アジペート(例えば特許文献1参照)、ポリ乳酸系の脂肪族ポリエステル(例えば特許文献2〜6参照)等の数種類に限られる。特に、光学用途として透明性を重視するため、耐熱性と透明性とを両立した二軸配向ポリエステルフィルムは余り知られていない。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−295068号公報
【特許文献2】
特開平7−207041号公報
【特許文献3】
特開平7−300520号公報
【特許文献4】
特開2000−238122号公報
【特許文献5】
特開2000−238123号公報
【特許文献6】
特開2000−238125号公報
【0007】
また、一方では、フィルムを巻き取り製品ロールとする場合やフィルムロールを巻き出して加工を行う等の場合には、フィルムには適度な滑り性が備わっていることが必要となる。すなわち、滑り性が不足している場合は、例えばフィルム製膜時や加工時における巻き取りの際にシワやツブ状の欠陥が発生する、ガイドロール等との摩擦で走行しない、走行してもフィルムに傷が入る等の作業性に劣る。
【0008】
ところで、一般にフィルムに滑り性を付与するためには、フィルム中に微粒子を添加してフィルム表面に微細な突起を形成させることがよく行われているが、添加する微粒子種やその量が不適切である場合には、フィルムの透明性が損なわれたり、却って滑り性が劣ってフィルム巻き取り性などの走行作業性が悪化する等の問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、脂肪族ポリエステルでありながら耐熱性に優れており、しかも、脂肪族ポリエステルの持つ良好な透明性を有しており、更に、製造時および加工時における走行作業性にも優れ、特に、光学用途に好適なポリエステルフィルムを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意検討を行った結果、特定の組成および物性を有する脂肪族ポリエステルによれば、耐熱性に優れ、しかも、透明性および走行作業性に優れる二軸配向ポリエステルフィルムが得られるとの知見を得、本発明の完成に至った。
【0011】
すなわち、本発明の要旨は、繰り返し単位として、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸と1,4−シクロヘキサンジメタノールとを主成分とし、融点が200℃以上であるポリエステルから成る二軸配向ポリエステルフィルムであって、フィルムヘーズが10%以下であり、少なくとも片面の平均中心線粗さ(Ra)が7〜35nmであることを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルムに存する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の二軸配向フィルムに使用されるポリエステルは、繰り返し単位として、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸と1,4−シクロヘキサンジメタノールとを主成分とする重縮合体である。ここで言う主成分とは、ジカルボン酸成分中の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の割合が通常95モル%以上、好ましくは98モル%以上であり、ジオール成分中の1,4−シクロヘキサンジメタノールの割合が通常95モル%以上、好ましくは98モル%以上であることを意味する。
【0013】
また、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸中のトランス体の割合は、通常80モル%以上、好ましくは85モル%以上であり、1,4−シクロヘキサンジメタノール中のトランス体の割合は、通常60モル%以上、好ましくは65モル%以上である。
【0014】
ジカルボン酸成分およびジオール成分の構成比率が上記範囲を満たさない場合には、得られるポリエステルの融点が低くなり、本発明で規定する後述の範囲を満足しないことが多い。
【0015】
上記のジカルボン酸成分およびジオール成分の構成比率範囲内で、使用することの出来る他のジカルボン酸成分としては、シス体1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸などが挙げられる。また、他のジオール成分としては、シス体1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール等が挙げられる。
【0016】
本発明で使用するポリエステルは、その融点が200℃以上であることが必要であり、好ましい融点は210℃以上であり、その上限は通常245℃である。融点が200℃未満である場合は、ポリエステルの耐熱性が不足し、二軸延伸した後の熱固定温度を高く設定することが出来なくなり、結果的に二軸配向フィルムの収縮率が大きくなるため好ましくない。
【0017】
また、ポリエステルの重合度に関しては、フェノール−テトラクロロエタン(重量比1:1)の混合溶媒で、30℃で測定した固有粘度として、通常0.55dL/g以上、好ましく0.70dL/g以上である。斯かる条件を満足することにより、製膜時の連続性および製膜したフィルムの機械的強度が高められる。固有粘度の上限は通常1.50dL/gである。
【0018】
本発明で使用するポリエステルには、延伸によってフィルム表面に微細な突起を形成させてフィルムに滑り性を付与する目的で微粒子を添加することが出来る。微粒子としては、ポリエステルフィルムの透明性をできるだけ悪化させないものを適宜選択するのが好ましく、無機粒子、有機塩粒子、架橋高分子粒子の中から適宜選択される。
【0019】
上記の無機粒子の具体例としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、フッ化リチウム、カオリン、タルク等が挙げられる。上記の有機塩粒子としては、蓚酸カルシウム、テレフタル酸カルシウム、テレフタル酸マグネシウム、テレフタル酸バリウム等のテレフタル酸塩などが挙げられる。上記の架橋高分子粒子としては、架橋ポリスチレン樹脂、架橋アクリル樹脂、架橋ポリエステル樹脂、これらの共重合体、その他、エポキシ樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂、含フッ素系樹脂などが挙げられる。これらの微粒子は、単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0020】
上記の微粒子の平均粒径は、通常0.05〜5μm、好ましくは0.1〜3μmである。フィルムへの添加量は、通常0.005〜2重量%、好ましくは0.01〜1重量%である。また、微粒子は、初めから所定量が脂肪族ポリエステルに添加されていてもよいし、高濃度のマスターバッチを調製し、これに微粒子を含有しないポリエステルを添加して希釈する形で所定の粒子量とする方法を採用してもよい。
【0021】
本発明のポリエステルフィルムは、上記の様に添加された微粒子により、その表面の少なくとも片面の平均中心線粗さ(Ra)が7〜35nm、好ましくは10〜30nm、更に好ましくは12〜25nmの範囲にあることが必要である。中心線粗さ(Ra)が35nmを超える場合は、フィルムヘーズが高くなり、後述する好ましいフィルムヘーズの範囲から逸脱することが多い。一方、中心線粗さ(Ra)が7nmを下回る場合は、フィルムの滑り性が不足しており、走行作業性が劣る結果となる。
【0022】
本発明のポリエステルフィルムは、上記の微粒子の他にも、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で公知の添加剤を加えることが出来る。斯かる添加剤としては、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、潤滑剤、難燃剤などが挙げられ、その添加方法は、微粒子の場合と同様に、直接添加してもよいし、高濃度マスターバッチを利用する方法を採用してもよい。
【0023】
本発明のポリエステルフィルムは、厚み方向の層構成が単層でもよいが、少なくとも2層以上、好ましくは3層以上を溶融押出時に積層して成る共押出フィルムであってもよい。特に、積層構成が3層以上の場合は、両表面に表層を有し、その間に中間層を有することになるが、この中間層自体が積層構造となっていてもよい。ただし、これらの積層フィルムを構成する各層のポリエステルは、全て前述した融点範囲を満たす必要がある。
【0024】
本発明のポリエステルフィルムが2層構成の場合、一方の表面を構成する層をA層、他方の表面を構成する層をB層とすれば、A層が微粒子を含有して、その表面の中心線粗さ(Ra)が7〜35nmの範囲にある場合、B層は、微粒子を含有していてもよいし、含有していなくてもよい。B層が粒子を含有する場合、その粒子量はA層中の粒子量に対し、通常1/2以下、好ましくは1/5以下とされる。また、A層の厚みは、特に限定されないが、通常1〜10μmである。
【0025】
本発明のポリエステルフィルムが3層以上の層構成の場合、フィルムの両表面を構成する層をA層、A’層とし、中間層(それ自体が積層構造である場合も含めて)をB層とすれば、A層およびA’層の少なくとも一方(好ましくはA層とA’層の両層)が上記載の微粒子を含有して、その表面の中心線粗さ(Ra)は7〜35nmである。A層とA’層の両層が微粒子を含有する場合には、その微粒子の種類、粒子径および粒子量は同じであることが好ましい。また、中間層のB層は、微粒子を含有していてもよいし、含有していなくてもよいが、B層が粒子を含有する場合、その粒子量はA層および/またはA’層中の粒子量に対し、通常1/2以下、好ましくは1/5以下とされる。特に、B層のポリエステルには、フィルムの端部や短尺となったフィルムを再利用して添加することも可能である。また、A層、A’層の厚みは、特に限定されはないが、通常1〜10μmあり、A層とA’層との厚みは同じでもよいし異なっていてもよい。
【0026】
本発明のポリエステルフィルムは、上記の様な単層構成または積層構成であることは問わないが、フィルムヘーズ値は10%以下、好ましくは6%以下、更に好ましくは4%以下であることが必要である。この場合、フィルムヘーズ値の下限値は通常0.5%である。フィルムヘーズが10%を超える場合は、フィルムに濁りがあって透明性が劣るのが肉眼でもはっきりと判るため、好ましくない。
【0027】
本発明のポリエステルフィルムは、未延伸フィルムや一軸方向のみに延伸されたフィルムではなく、長手方向および幅方向に逐次または同時に二軸延伸され、その後に熱固定された二軸配向ポリエステルフィルムである。
【0028】
本発明のポリエステルフィルムの130℃における長手方向および幅方向の熱収縮率は、共に、通常5%以下、好ましくは4%以下である。熱収縮率が5%を超える場合は、ハードコート加工などの後加工時に加わる熱によるフィルムの収縮が著しくなり、フィルムに歪みやシワが入る等の不具合を生じ易くなる。
【0029】
本発明のポリエステルフィルムの少なくとも片面の塗れ指数は、通常48mN/m以上、好ましくは50mN/m以上である。塗れ指数が48mN/m未満の場合は、例えばフィルム表面上にハードコート加工などを施した場合、加工して形成した層とポリエステルフィルム表面との密着力が不足し、簡単に剥離してしまう等の不都合を生じる。フィルム表面の塗れ指数を48mN/m以上とする手段としては、コロナ処理、プラズマ処理などを使用することが出来る。勿論、これらの処理は、フィルムの片面だけでなく両表面に施すことも可能である。
【0030】
次に、本発明のポリエステルフィルムの製造方法について具体的に説明する。
【0031】
先ず、押出機により前述の脂肪族ポリエステル原料を溶融押出ししてシート状に成形し、冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、静電印加密着法および/または液体塗布密着法を採用することが好ましい。押出機のメルトラインには、異物や粗大凝集粒子を除去する目的でフィルターを設置したり、押出し量の定量性を向上させるためにギアーポンプを設置することが出来る。この溶融押出しにおいては、予め、ポリエステル原料を加熱し、結晶化させて充分に水分を除去した後、押出機に投入して溶融押出ししてもよいし、ベント付き二軸押出機を使用し、未乾燥のポリエステル原料を直接押出機に投入してベント口より水分を除去しながら溶融押出しすることも出来る。押出し時の樹脂温度は、使用するポリエステル原料の融点(Tm)+15℃〜Tm+50℃の範囲から選択するのがよい。
【0032】
上記の溶融押出しは、1台の押出機を使用して単層シートを形成することも出来るが、複数台の押出機および複数層のマルチマニホールドダイ又はフィ−ドブロックを使用し、それぞれの溶融ポリエステルを合流積層させて、Tダイから複数層のシートを押出して冷却ロールで固化し、多層構造の未延伸シートを得ることも出来る。
【0033】
次いで、得られた未延伸フィルムを二軸方向に延伸して二軸配向させる。例えば、縦横逐次二軸延伸を行う場合を例に挙げると次の様に行う。先ず、ロール延伸機により前記の未延伸シートを縦方向に延伸する。延伸温度は、通常、ポリエステル原料のガラス転移点温度(Tg)〜Tg+30℃の範囲であり、延伸倍率は、通常2.0〜6.0倍、好ましくは2.5〜5.0倍の範囲である。次いで、横方向に延伸を行う。横延伸の温度および倍率の範囲は、縦延伸と同じ範囲の中から選択できる。そして、引き続き、Tm−15℃〜Tm−60℃の温度範囲で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る。
【0034】
上記の延伸においては、1回の延伸操作で所定倍率まで延伸する方法の他、延伸を2段階以上に分けて所定の延伸倍率とする方法を採用することも出来る。その場合にも、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となる様に行うのが好ましい。更に、必要に応じ、熱処理を行う前または後に、再度、縦および/または横方向に延伸してもよい。
【0035】
また、縦横同時二軸延伸を行う場合を例に挙げると次の様に行う。先ず、テンター方式の同時二軸延伸機を使用し、前記の未延伸シートを面積倍率が6〜30倍になる様に縦横に同時に延伸する。特に、この同時二軸延伸機には、リニアモーター方式でクリップを駆動する延伸機を使用することが延伸倍率の変更の容易さ等の点で好ましい。同時二軸延伸で製膜したフィルムは、逐次二軸延伸の場合と同様に熱処理を行うが、更に必要に応じ、縦方向および/あるいは横方向に弛緩処理をすることも出来る。
【0036】
上記のフィルムの表面には必要に応じてコーティングを施すことが出来る。例えば、接着性向上、帯電防止性付与などを目的として、インラインコーティングを行うことが出来る。例えば、上記のフィルムの製造方法において逐次二軸延伸の場合を例に挙げると、縦延伸が終了した段階で主として水を媒体とする塗布液を塗布した後、テンター内で乾燥・予熱・横延伸を行い、更に熱固定を行う一連のプロセスを採用することが出来る。
【0037】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例中「部」とあるのは「重量部」を示す。また、以下の諸例で使用した測定法は次の通りである。
【0038】
1.ポリエステルの融点(Tm):
熱示差分析装置(TAInstuments社製 DSC−2920)を使用し、昇温速度20℃/分で測定し、結晶融解に伴う吸熱ピークの頂点の温度を融点とした。
【0039】
2.微粒子の平均粒子径:
光散乱法によって求められる全粒子の50重量%点にある粒子の等価球形直径をもって平均粒子径とした。
【0040】
3.平均中心線粗さ(Ra):
小坂研究所社(株)製表面粗さ測定機(SE−3F)を使用して次の様にして求めた。すなわち、フィルム断面曲線からその中心線の方向に基準長さL(2.5cm)の部分を切り取り、この切り取り部分の中心線をX軸、縦倍率の方向をY軸として粗さ曲線Y=f(X)で表したとき、次の式で与えられた値をμm単位で表す。
【0041】
【数1】
Ra=(1/L)∫ |f(X)|dX
【0042】
中心線平均粗さは、試料フィルム表面から10本の断面曲線を求め、これらの断面曲線から求めた抜き取り部分の中心線粗さの平均値で表した。なお、触針の先端半径は2μm、荷重は30mgとし、カットオフ値は0.08mmとした。
【0043】
4.フィルムヘーズ:
JIS K 7136(2000)(ISO 14782 1999と同等)に準拠させた積分球式濁度計(日本電色社製 NDH2000)を使用してフィルムヘーズ(%)を測定した。
【0044】
5.130℃におけるフィルムの熱収縮率:
フィルムの長手方向(MD)及び幅方向(TD)に、標点間約50mmを正確に計り(L1)、無張力状態で130℃で10分間オーブン中で加熱処理を加えた。この後、フィルムを冷却し、標点間を再度正確に測定し(L2)、熱処理前後での標点間の変化を次式で計算し、130℃の熱収縮率とした。
【0045】
【数2】
熱収縮率={(L1―L2)/L1}×100(%)
【0046】
5.塗れ指数:
JIS K 6768(1995)(ISO 8296 1987と同等)に準じてフィルム表面の塗れ指数を測定した。塗れ指数の標準液は、ナカライテスク社製のものを使用した。
【0047】
6.フィルムの巻き特性:
100m/分のスピードで片面にコロナ放電処理を行ってフィルムをロール状に巻き上げた際のロール表面の外観を以下の様に判定した。ランクB以上が実用上問題とならないレベルである。
【0048】
【表1】
ランクA:ロール表面に全くシワやツブ状の欠陥が無い。
ランクB:ロール表面にシワは無いがツブ状欠陥が極めて僅かに存在する。
ランクC:ロール表面にシワが存在してツブ状欠陥も目立つ。
ランクD:ロール表面にシワが多く発生している。
【0049】
以下の諸例で使用したポリエステル原料の製造方法は次の通りである。
【0050】
<ポリエステルA>
撹拌機、留出管および減圧装置を装備した反応器に1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(1,4−CHDA)(トランス体98%)184部、1,4−シクロヘキサンジメタノール(1,4−CHDM)(トランス体67%)158部、Ti(OCの6重量%ブタノール溶液0.9部を仕込み、窒素流通下で150℃まで加熱した後、200℃まで1時間をかけて昇温した。その後、200℃で1時間保持しエステル化反応を行った後、200℃から250℃へ45分間で昇温しつつ徐々に反応器内を減圧にしながら重縮合反応を行った。反応器内圧力0.1kPa、反応温度250℃で2時間15分重合後、得られたポリマーをストランド状に水中に抜き出した後、ペレット状にした。得られたペレットの固有粘度(IV)は0.92dl/gであった。このポリエステルの融点は220℃であった。
【0051】
<ポリエステルB>
ポリエステルAに平均粒径1.1μmのジビニルベンゼン架橋ポリスチレン粒子を0.1重量%となる様にドライブレンドし、ベント付き二軸押出機に投入して、1kPaの真空度で水分を除去しながら溶融混合してストランド状に押出し、水中で冷却して粒子のマスターバッチを作成した。このポリマーの固有粘度は0.82dl/gであった。また、融点は220℃であった。
【0052】
<ポリエステルC>
ポリエステルAに平均粒径2.3μmの非晶質シリカを0.1重量%となる様にドライブレンドし、ベント付き二軸押出機に投入して、1kPaの真空度で水分を除去しながら溶融混合してストランド状に押出し、水中で冷却して粒子のマスターバッチを作成した。このポリマーの固有粘度は0.82dl/gであった。また、融点は220℃であった。
【0053】
<ポリエステルD>
ポリエステルAの製造において、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(トランス体98%)の代わりに1、4−シクロヘキサンジカルボン酸(トランス体77%)を使用する以外は、ポリエステルAの製造と全く同様に重合を行ってポリエステルペレットを得た。得られたペレットの固有粘度(IV)は0.90dl/gであった。また、このポリエステルの融点は192℃であった。
【0054】
<ポリエステルE>
ポリエステルDに平均粒径1.1μmのジビニルベンゼン架橋ポリスチレン粒子を0.1重量%となる様にドライブレンドし、ベント付き二軸押出機に投入して、1kPaの真空度で水分を除去しながら溶融混合してストランド状に押出し、水中で冷却して粒子のマスターバッチを作成した。このポリマーの固有粘度は0.78dl/gであった。また、融点は192℃であった。
【0055】
<ポリエステルF>
ポリエステルAに平均粒径1.2μmの炭酸カルシウム粒子を0.25重量%となる様にドライブレンドし、ベント付き二軸押出機に投入して、1kPaの真空度で水分を除去しながら溶融混合してストランド状に押出し、水中で冷却して粒子のマスターバッチを作成した。このポリマーの固有粘度は0.79dl/gであった。また、融点は220℃であった。
【0056】
実施例1
ポリエステルAとポリエステルBを1:1の重量比で混合し、ベント付き二軸押出機に投入し、メルトライン温度250℃の設定で溶融押出しを行った。この際、ベント口は真空ラインに接続し、1kPaの真空度で水分を除去しつつ溶融押出を行い、ギアーポンプ及びフィルターを経由して、Tダイからシート状に溶融樹脂を押し出し、静電印加密着法を適用して20℃の冷却ドラム上にキャスティングした(単層)。こうして形成した未延伸シートを縦延伸工程に導いた。縦延伸にはロール延伸法を使用し、複数本のセラミックロールで70℃に予熱し、更にIRヒーターも併用して3.0倍の延伸倍率で長手方向に延伸した。次いで、この一軸延伸フィルムをテンターに導き、90℃で予熱した後、延伸倍率3.7倍で幅方向に延伸した。その後、同じテンター内で緊張下180℃の温度で熱固定した後、150℃の温度で3%幅方向に弛緩処理を行って巻き取り、総厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。このフィルム特性を表2に示す。
【0057】
実施例2
ポリエステルBを100%の割合で表層用の押出機に投入した。これとは別に中間層用の押出機にポリエステルAと製膜したフィルムのリサイクルフレークを9:1の重量比で投入した。それぞれの押出機は何れもベント付き二軸押出機であり、レジン及びフレークは乾燥することなしに使用した。そして、ベント口から1kPaの真空度で水分を除去しつつ250℃の溶融温度で押出しを行った。溶融ポリマーは、各押出機に設置されているギアーポンプ及びフィルターを経由した後、フィードブロック内で合流積層してTダイより溶融押出しされ、両表層が同一原料の3層構造の未延伸シートを得た。この際、両表層の厚みは同じとして、両表層の厚みの合計が全体厚みの40%となる様に設定した。また、この際には、実施例1と同様に静電印加密着法を適用し、20℃の冷却ドラム上にキャスティングした。この後、この未延伸シートを実施例1と同様に縦延伸・横延伸・熱固定を行って巻き取り、総厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。このフィルム特性を表2に示す。
【0058】
実施例3
実施例2において、ポリエステルCを100%の割合で表層用の押出機に投入し、これとは別に中間層用の押出機にポリエステルAを100%の割合で投入した以外は、実施例1と同様に操作して二軸配向ポリエステルフィルムを得た。ただし、両表層の厚みの合計が全体厚みの8%となる様に設定した。このフィルム特性を表2に示す。
【0059】
比較例1
実施例1において、原料レジンとしてポリエステルDとポリエステルEを1:1の重量比で混合したものを使用した。これを実施例1と同様に溶融押出しし、単層の未延伸シートを得た。こうして作成した未延伸シートを縦延伸工程に導いた。縦延伸にはロール延伸法を使用し、複数本のセラミックロールで70℃に予熱し、更にIRヒーターも併用して3.0倍の延伸倍率で長手方向に延伸した。次いで、この一軸延伸フィルムをテンターに導き、90℃で予熱した後、延伸倍率3.7倍で幅方向に延伸した。その後、同じテンター内で緊張下150℃の温度で熱固定した後、130℃の温度で3%幅方向に弛緩処理を行って巻き取り、総厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。このフィルム特性を表3に示す。
【0060】
比較例2
実施例1において、原料レジンとしてポリエステルAとポリエステルCを9:1の重量比で混合したものを使用した。これを実施例1と同様に溶融押出しし、単層の未延伸シートを得た。この未延伸シートを実施例1と全く同様に縦延伸・横延伸・熱固定を行い、総厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。このフィルムの特性を表3に示す。
【0061】
比較例3
実施例1において、原料レジンとしてポリエステルFを100%の割合で使用した。これを実施例1と同様に溶融押出しし、単層の未延伸シートを得た。この未延伸シートを実施例1と全く同様に縦延伸・横延伸・熱固定を行い、総厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。このフィルムの特性を表3に示す。
【0062】
【表2】
Figure 2005008740
【0063】
【表3】
Figure 2005008740
【0064】
【発明の効果】
以上説明した本発明によれば、脂肪族ポリエステルでありながら耐熱性に優れており、しかも、脂肪族ポリエステルの持つ良好な透明性を有しており、更に、製造時および加工時における走行作業性にも優れ、特に、タッチパネル用フィルム、各種ディスプレー用フィルム等の光学用途に好適なポリエステルフィルムが提供される。

Claims (3)

  1. 繰り返し単位として、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸と1,4−シクロヘキサンジメタノールとを主成分とし、融点が200℃以上であるポリエステルから成る二軸配向ポリエステルフィルムであって、フィルムヘーズが10%以下であり、少なくとも片面の平均中心線粗さ(Ra)が7〜35nmであることを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルム。
  2. フィルムが共押出による少なくとも3層の積層構造を備えている請求項1に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  3. 中間層に存在する粒子量が表層の1/2倍以下である請求項2に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
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