JP4864788B2 - プラスチックフィルム製造用支持体フィルム - Google Patents
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本発明の支持体ポリエステルフィルムは、プラスチックフィルムを成形する工程で使用されるが、その製膜フィルムの素材は、かかる工程を採用できるものであれば特に限定されない。例えばポリカーボネートフィルム、ポリアリレートフィルム、トリアセチルセルロース系フィルム、ノルボルネン樹脂系フィルム、ポリイミドフィルム、ポリビニルアルコールなどが適用できる例として挙げられる。
ポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。表層部のみの極限粘度の測定については、溶融押出機から共押出する工程で、同吐出量で押出を行ったポリエステルの極限粘度を測定する方法または、表層のみをナイフなど適当な道具を用いて削り取り、測定に供した。
(株)小坂研究所製表面粗さ測定機(SE−3F)を用いて次のようにして求めた。すなわち、フィルム断面曲線からその中心線の方向に基準長さL(2.5mm)の部分を抜きとり、この抜き取り部分の中心線をx軸、縦倍率の方向をy軸として粗さ曲線y=f(x)で表したとき、次式で与えられた値を中心線平均粗さ(Ra)とし、〔nm〕で表した。最大高さ(Rt)は、上記で得られたフィルム断面曲線の抜き取り部分の、平均線に平行な2直線で抜き取り部分を挟んだ時、この2直線の間隔を断面曲線の縦倍率の方向に測定した値を最大高さ(Rt)とし、〔nm〕で表した。最大高さ、中心線平均粗さは、試料フィルム表面から10本の断面曲線を求め、これらの断面曲線から求めた抜き取り部分のそれぞれの値の平均値で表した。なお、触針の先端半径は2μm、荷重は30mgとし、カットオフ値は0.08mmとした。
フィルム密度をMicrometrics Accupyc 1330(MIcrometrics Limited,Dunstable,UK)を使用してヘリウム比重壜により測定した。
TaInstruments社製の示差走査熱量計「DSC−2920型」を使用し、試料5mgを0℃から300℃まで20℃/分の速度で昇温させた際に得られる融解に伴う吸熱ピークの温度をTmとした。
ポリエステルフィルムを製造する際の連続性を以下の基準により評価した。
B:破断や穴あきによる連続性のトラブルが1時間以上3時間以下の頻度で起こり、生産上好ましくない
C:破断や穴あきによる連続性のトラブル1時間未満の頻度で起こり、生産上問題がある
溶媒としてジクロロメタンを用いて、ポリカーボネートの20重量%溶液を調合した。この溶液を支持体フィルム上に塗布し、70℃にて一次乾燥し、さらに100℃にてキャストフィルム中の残存溶媒量が0.5重量%以下になるまで乾燥し、支持体フィルムと共に巻き取った。得られたキャストフィルムの厚みは45μmであった。キャストフィルムの評価は、支持体フィルムを剥離して行った。なお、キャストフィルムの製品を得るためには、粘着剤層を有する保護フィルムを貼り合わせることがあるが、本発明においては、キャストフィルムの評価を、支持体剥離後、直ちに行った。評価の基準は以下とした。
ランクA:高透明なフィルムとして得られ、光学用部材として高品質なもの
ランクB:透明感があり、光学用部材として使用可能だが、Aよりもやや劣る
ランクC:透明感に劣り、光学用部材としては使用できない
・光学的な欠点(2枚の偏光板を用いて、クロスニコル下で目視にて観察した)
ランクA:欠点は3個/m2以下
ランクB:欠点は20個/m2以下
ランクC:欠点は20個/m2を超え、実用上支障がある
PVAの20重量%水溶液を調合した。この溶液を支持体フィルム上に塗布し、90℃にて一次乾燥し、さらに110℃にてキャストフィルム中の残存溶媒量が0.5重量%以下になるまで乾燥し、支持体フィルムと共に巻き取った。得られたキャストフィルムの厚みは50μmであった。キャストフィルムの評価は、支持体フィルムを剥離して行った。なお、キャストフィルムの製品を得るためには、粘着剤層を有する保護フィルムを貼り合わせることがあるが、本発明においては、キャストフィルムの評価を、支持体剥離後、直ちに行った。評価の基準は以下とした。
ランクA:高透明なフィルムとして得られ、光学用部材として高品質なもの
ランクB:透明感があり、光学用部材として使用可能だが、Aよりもやや劣る
ランクC:透明感に劣り、光学用部材としては使用できない
・光学的な欠点(2枚の偏光板を用いて、クロスニコル下で目視にて観察した)
ランクA:欠点は3個/m2以下
ランクB:欠点は20個/m2以下
ランクC:欠点は20個/m2を超え、実用上支障がある
〈ポリエステルの製造〉
[エステル(A)の製造方法]
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩0.09重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェート0.04部を添加した後、三酸化アンチモン0.04部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.68に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させた。得られたポリエステル(A)の極限粘度は0.68であった。
ポリエステル(A)の製造方法において、あらかじめ解砕、分級、濾過した一次粒径0.02μmのδ−アルミナ粒子1.5部をエチレングリコールスラリーとして添加した以外は、上記と同様にエステル交換反応、重縮合反応を行い、極限粘度0.62のポリエステルを得た。
ポリエステル(A)の製造方法において、エチルアシッドフォスフェート0.04部を添加後、エチレングリコールに分散させた平均粒子径0.4μmの合成炭酸カルシウム粒子を1.0部、三酸化アンチモン0.04部を加えて、極限粘度0.66に相当する時点で重縮合反応を停止した以外は、ポリエステル(A)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(C)を得た。得られたポリエステル(B)は、極限粘度0.62であった。
ポリエステル(C)の製造方法において、添加する粒子を平均粒径0.7μm、添加量を2.0部とした以外はポリエステル(C)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(D)を得た。得られたポリエステル(D)は、極限粘度0.62であった。
出発原料をテレフタル酸ジメチル100重量部エチレングリコール54重量部と1,4−シクロヘキサンジメタノール25重量部とし、触媒としてテトラブトキシチタネート0.011重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とし、さらに1時間反応を継続した。その後、温度を230℃から徐々に昇温すると共に圧力を常圧より徐々に減じ、最終的に温度を280℃、圧力を0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.70に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下でポリマーを吐出させた。得られたポリエステル(E)の極限粘度は0.700、1,4−シクロヘキサンジメタノールの含有量は33mol%であった。
上記ポリエステルを下記表1のとおり配合し、2台の押出機に各々を供給し、各々285℃で溶融した後、40℃に冷却したキャスティングドラム上に、2種2層(A/B)の層構成で共押出し冷却固化させて無配向シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度81℃で縦方向に3.3倍延伸した後、テンターに導き、横方向に120℃で3.6倍延伸し、表1記載の条件で熱処理を行った後、横方向に2%弛緩し、厚さ38μmの積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの各層の厚みは、A層が19μm、B層が19μmであった。また、A層側の表面を支持体とした場合の成形フィルムの接触面となるように使用した。
実施例1において、B層原料および熱処理条件を表1のとおりにした以外は実施例1と同様にして、厚み38μmのポリエステルフィルムを得た。この場合、ポリエステルフィルムの連続性が悪く、生産性が劣るものであった。
実施例1において、B層原料および熱処理条件を表1のとおりにした以外は実施例1と同様にして、厚み38μmのポリエステルフィルムを得た。この場合、ポリエステルフィルムの連続性を確保するため、熱処理条件を下げる必要があり、連続性と品質を両立させることができなかった。
実施例1において、A層原料および熱処理条件を表1のとおりにした以外は実施例1と同様にして、厚み38μmのポリエステルフィルムを得た。
この場合、フィルムの表面粗度が大きすぎるため、このフィルムを支持体として使用して得た成形フィルムの品質は劣るものであった。すなわち得られた成形フィルムの表面が形状転写により粗面化されたため、光学的な透明性が低下し、部材としての品位が劣るものであった。
実施例1において、A層原料および熱処理条件を表1のとおりにした以外は実施例1と同様にして、厚み38μmのポリエステルフィルムを得た。この場合フィルム密度が低すぎるため、このフィルムを支持体として使用した場合、工程中でフィルム表面が削れやすい傾向が見られ、その削れ粉がキャストフィルムに転着して、光学用フィルム部材として使用した場合の欠点となってしまうという問題が発生した。
表1は、各実施例、比較例で得られたフィルムの評価結果をまとめて示したものである。実施例に示したフィルムは、高品質のフィルムとして得られた。
Claims (1)
- プラスチックフィルムを成形する工程において支持体として用いられる、密度1.405〜1.420g/cm3の積層構造のポリエステルフィルムであって、一方の最表層の表面のRaが5.0〜10nmの範囲であり、当該最表層の融点Tm(A)と当該層と隣接する層の融点Tm(B)との差(Tm(A)−Tm(B))が5〜10℃であることを特徴とする支持体用ポリエステルフィルム。
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