JP4864788B2 - プラスチックフィルム製造用支持体フィルム - Google Patents

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本発明は、プラスチックフィルム製造に用いられる支持体フィルムに関する。詳しくは、本発明は、特に光学フィルムを製造する際にポリエステルフィルムを支持体として用いる際に、高品質なフィルムを生産性よく効率的に製造することができ、得られた光学フィルムの表面が平坦で、光学用途に使用した場合の欠陥がなく、ディスプレイ用においてクリアな画像を得ることができる、優れた製造工程用支持体フィルムに関する。
近年、光学的な用途に、透明性の高いフィルムが用いられているが、特にディスプレイ分野において、各種の機能を付与したフィルムが使用されている。例えば、LCDディスプレイにおいては、偏光フィルム、位相差フィルム、視野角向上フィルム、輝度向上フィルム、拡散フィルム、反射フィルムなど、また、PDPディスプレイにおいては、電磁波カット、近赤外線カット、紫外線カット、色調補正などの機能を有したフィルムが、いわゆるPDPフィルターとして使用されている。これらのフィルムの中には、非常に高透明であってかつ光学的に異方性を持たないフィルムが、特にLCDディスプレイ分野において必要となっている。かかる要求を満足するフィルムは素材が限られ、高透明であってかつ異物等による欠陥がないフィルムとするために、ポリマーを溶液としてシート状に押出し、乾燥工程を経て製造する、いわゆる溶液キャスト法が採用されている。また同様にポリマーの水溶液を支持体の上に塗工し、乾燥工程を経てフィルムを形成させることもある。
例えば、溶液キャスト法で光学用途向けフィルムの製膜を行う場合、支持体として金属のエンドレスベルトやドラムを用いる方法と、プラスチックや金属のフィルムもしくはシートを用いる方法とが一般的であった。特にプラスチックフィルムを支持体とする場合には、搬送性、柔軟性に優れ、かつ支持体の交換が比較的簡単であるため、設備設計および利用の自由度が高い方法として採用されていた。またエンドレスベルトなどに特有の継ぎ目の段差による周期的な外観不良などが起こる問題がないため、良好なフィルムを得るのに適した方法であった。中でも機械的特性、耐熱性、寸法安定性、耐溶剤性等に優れるポリエステルフィルムが好ましく使用されている。
光学用フィルムは、高度な透明性を有することに加え、表面を極めて平坦なものすることにより、表面での光の散乱などによる品質低下のないフィルムとすることができる。フィルム成形用支持体として用いる場合、支持体の表面形状が転写するため、該支持体の表面を極めて平坦にする必要がある。しかしながら、ポリエステルフィルムは、通常取り扱い性や滑り性、巻き取り性などを改良するため表面に微細な突起を形成させる方法が用いられている。表面に大きなまたは高さが高い突起が存在すると、得られる光学用フィルムの品質は低下する。一方、この突起をなくしたり、過度に小さくすると、ポリエステルフィルム生産時の取り扱い性が悪くなったり、生産工程中に表面に傷が発生してその形状が転写し、かえって得られる光学用フィルムの品質低下を招くことがある。
また、ポリエステルフィルムを支持体として使用する場合、フィルムを巻き戻して何本かのロールに接触しながら走行し、キャスト工程に運ばれるという工程を経るが、この工程などでフィルムが何らかの摩擦を受けて削れると、キャストシートに転着して、光学用として使用した時の品質低下の原因となる。また、成形工程に使用されるポリマー溶液によりポリエステルがダメージを受けることにより、削れやすくなることにより、上記品質低下が発生する場合もある。
フィルム成形用の支持体として用いられるポリエステルフィルムに関しては、上記した粗大な突起の形状転写および削れ粉などの異物の転着が起こらないことが強く要求される。
特開2005−307038号公報 特開2007−50631号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その解決課題は、粗大な突起の形状転写や削れ粉などの異物の点着が起こらず、高品質なフィルムを生産性よく効率的に製造することができる、優れた製造工程用支持体フィルムを提供することにある。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を重ねた結果、特定の構成を採用することによれば、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、プラスチックフィルムを成形する工程において支持体として用いられる、密度1.405〜1.420g/cmの積層構造のポリエステルフィルムであって、一方の最表層の表面のRaが5.0〜10nmの範囲であり、当該最表層の融点Tm(A)と当該層と隣接する層の融点Tm(B)との差(Tm(A)−Tm(B))が5〜10℃であることを特徴とする支持体用ポリエステルフィルムに存する。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の支持体ポリエステルフィルムは、プラスチックフィルムを成形する工程で使用されるが、その製膜フィルムの素材は、かかる工程を採用できるものであれば特に限定されない。例えばポリカーボネートフィルム、ポリアリレートフィルム、トリアセチルセルロース系フィルム、ノルボルネン樹脂系フィルム、ポリイミドフィルム、ポリビニルアルコールなどが適用できる例として挙げられる。
本発明において、ポリエステルとは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られる。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレ−ト(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレ−ト(PEN)等が例示される。
また、本発明で用いるポリエステルは、ホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。共重合ポリエステルの場合は、30モル%以下の第三成分を含有した共重合体である。共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、および、オキシカルボン酸(例えば、P−オキシ安息香酸など)の一種または、二種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上が挙げられる。
本発明にいうポリエステルフィルムとは、通常上記したポリエステルを押出口金から溶融押し出される、いわゆる押出法により、押し出されたポリエステルフィルムであって、必要に応じ、縦方向および横方向の二軸方向に配向させたフィルムである。またフィルムは2台以上の押出機を用いて、いわゆる共押出法を用いて積層構造とされたものである。かかる積層構造は、A/Bの2層構造、A/B/AまたはA/B/Cの3層構造、あるいはさらに積層数の多い構造であってもよい。
本発明のポリエステルフィルムは、表面の滑り性を向上してブロッキング等の問題が起こらず取り扱い性を良好とするために、フィルム中に微粒子を含有させて適度な突起を形成させることができる。かかる微粒子の例としては、シリカ、アルミナ、カオリン、クレー、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン、硫酸バリウム、フッ化リチウム等の無機粒子、テレフタル酸カルシウム、シュウ酸カルシウムなどの有機粒子、スチレン系、アクリル系などの架橋高分子粒子、ポリエステル製造工程において触媒、助剤を析出させて得られるいわゆる析出粒子などが挙げられる。また配合する微粒子の平均粒径は、特に限定されるものではないが、通常0.01μm〜5μm、好ましくは0.02μm〜3μm、さらに好ましくは0.05μm〜3μmの範囲である。平均粒径が0.01μm未満の粒子を用いた場合には、フィルム表面に有効な高さの突起を形成することができず、平坦化し、フィルム製造工程における巻き特性が劣ったり、フィルム製造工程でフィルム表面に傷が発生したりする等の問題が発生する。また、平均粒径が5μmを超える場合には、フィルム表面の粗面化の度合いが大きくなりすぎてフィルムを成形する工程で支持体として使用した場合の表面形状転写が起こって、得られる光学用フィルムの品質が低下すること、およびフィルム表面が削れやすくなって、光学用フィルムに転着するなどの問題が発生する場合がある。
また、かかる粒子の配合量は、表円を構成する層のポリエステルに対して、通常0.001〜1.0%、好ましくは0.01〜1.0%であるが、表面粗度を本願発明の範囲とするため、粒径および添加量を適宜選択することができる。
本発明においては、上記した粒子を粒子種として2種類以上添加したり、平均粒径として2種類以上添加したりする方法を用いることもできる。本発明においては、かかる方法で表面に突起を形成したり、後述する塗布層に粒子を配合するなどの方法で表面に粗度を与えたりしたフィルムとするが、一方の最表層の表面粗度はRaが5.0nm〜10nmの範囲、好ましくは5.5〜9.5nm、さらに好ましくは6.0nm〜9.0nmの範囲である。またRtは、通常30nm〜500nmの範囲、好ましくは30nm〜300nmの範囲、さらに好ましくは40nm〜130nmの範囲である。フィルムの表面粗度が大きくなると、上記した形状転写の問題が発生するようになる。一方、表面粗度が小さすぎる場合は、フィルムの取り扱い性が劣るようになるので、生産時の巻き取り特性に支障をきたしたり、フィルム生産工程やキャスト支持体として使用した場合のフィルム走行時に表面に傷が入る等の問題が発生したりするようになる。
支持体のかかる表面形状を得るために、フィルムに配合する粒子を上記した粒径範囲とすることに加え、粒度分布値を3.0以下、さらには2.5以下、特に2.2以下とすることが好ましい。粒径分布がシャープなのものであれば、粗大突起が生成せず、支持体として極めて高度な効果を発揮することができる。
本発明において、ポリエステルに粒子を配合する方法としては、特に限定されるものではなく、公知の方法を採用し得る。例えば、ポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後重縮合反応開始前の段階でエチレングリコール等に分散させたスラリーとして添加し、重縮合反応を進めてもよい。また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または、混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
一方、本発明においては、上述の表面粗度を有する面を構成する層の融点(Tm(A))と、当該層と隣接する層の融点(Tm(B))の差(Tm(A)−Tm(B))が5〜10℃の範囲であることが必要である。ポリエステルの耐削れ性を良化させるためにはポリエステルフィルム製造工程にかける熱処理条件を厳しくすることが必要である。融点の差が5度未満の場合、低融点の層においても熱処理工程で伸びることができず、フィルムの製造工程において破断等のトラブルが発生し、生産性が著しく低下してしまうため好ましくない。また融点の差が10℃を超える場合は融点が低い層の耐熱性が足りず、熱処理条件を厳しくすることができず、品質のよいフィルムを得ることができず好ましくない。
また、本発明のポリエステルフィルムはフィルム全体としての密度が1.405〜1.420g/cmの範囲である必要がある。フィルムの密度が1.405g/cm未満の場合、該ポリエステルフィルム成形時の溶液によるダメージが大きく、搬送時の摩擦により削れが発生し、成形プラスチックフィルムに転着して、該フィルムを光学用として使用した時の品質低下の原因となる。また、1.420g/cmを超える場合は、上記融点の差を活用した処方をとった場合においても、ポリエステルフィルムの製造工程において破断等のトラブルが発生する頻度が増え、生産性上好ましくない。
以下、本発明のポリエステルフィルムに関して具体的に説明するが、本発明の要旨を満足する限り、本発明は以下の例示に特に限定されるものではない。
公知の手法により乾燥したポリエステルチップを溶融押出装置に供給し、それぞれのポリマーの融点以上である温度に加熱し溶融する。次いで、溶融したポリマーをダイから押出し、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、本発明においては静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。
本発明においては、このようにして得られたシートを2軸方向に延伸してフィルム化する。延伸条件について具体的に述べると、前記未延伸シートを好ましくは縦方向に70〜145℃で2〜6倍に延伸し、縦1軸延伸フィルムとした後、横方向に90〜160℃で2〜6倍延伸を行い、150〜240℃で1〜600秒間熱処理を行うことが好ましい。さらにこの際、熱処理の最高温度ゾーンおよび/または熱処理出口のクーリングゾーンにおいて、縦方向および/または横方向に0.1〜20%弛緩する方法が好ましい。また、必要に応じて再縦延伸、再横延伸を付加することも可能である。
本発明においては、ポリエステルの溶融押出機を2台または3台以上用いて、いわゆる共押出法により2層または3層以上の積層フィルムとすることもできる。層の構成としては、A原料とB原料とを用いたAB構成、またはABA構成、さらにC原料を用いてABC構成またはそれ以外の構成のフィルムとすることができる。例えばA原料として特定の粒子を用いてA層の表面形状を設計し、B原料としては粒子を含有しない原料を用い、ABまたはABA構成のフィルムとすることができる。この場合B層の原料を自由に選択できることからコスト的な利点などが大きい。また当該フィルムの再生原料をB層に配合しても表層であるA層により表面粗度の設計ができるので、さらにコスト的な利点が大きくなる。
また、本発明のポリエステルフィルムは、フィルム成形時の溶液との濡れ性を良好とし、シートの厚みなどの均一性を良好とするため、また溶媒を除去してシートとした後の剥離性も適度とするために、表面に塗布層を設けることができる。かかる塗布層の形成に当たっては、フィルムを製造する工程内、特に縦方向に延伸した後、横方向の延伸の前に行う方法が、極めて薄い塗布層を形成できる点、塗布液の乾燥や硬化反応を製膜工程内で実施できることなどの点で好ましい。かかる塗布層としては、架橋剤と各種バインダー樹脂との組み合わせからなるものが好ましく、バインダー樹脂としては接着性の観点から、ポリエステル、アクリル系ポリマーおよびポリウレタンの中から選ばれた少なくとも1つのポリマーを併用する。上記のポリマーは、それぞれそれらの誘導体をも含むものとする。ここでいう誘導体とは、他のポリマーとの共重合体、官能基に反応性化合物を反応させたポリマーを指す。なお、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリオレフィン等も強靱な被膜を形成し、上塗り剤と良好な接着性を示すが、これらは塩素を含有するため、燃焼時に塩素を含む有害なダイオキシン化合物を発生する可能性があり、この点で好ましくない。また、塗布フィルムのスクラップを再利用する際に、着色、腐食性ガスの発生という問題があり、この点でも好ましくない。
架橋剤樹脂としては、メラミン系、エポキシ系、オキサゾリン系樹脂が一般に用いられるが、塗布性、耐久接着性の点で、メラミン系樹脂が特に好ましい。メラミン系樹脂は、特に限定されるものではないが、メラミン、メラミンとホルムアルデヒドを縮合して得られるメチロール化メラミン誘導体、メチロール化メラミンに低級アルコールを反応させて部分的あるいは完全にエーテル化した化合物、およびこれらの混合物などを用いることができる。
本発明において、滑り性、固着性などをさらに改良するため、塗布層中に無機系粒子や有機系粒子を含有させることが好ましい。塗布剤中における粒子の配合量は、通常0.5〜10重量%、好ましくは1〜5重量%である。かかる配合量が0.5重量%未満では、耐ブロッキング性が不十分となる場合があり、10重量%を超えると、フィルムの透明性を阻害し、光学的な用途に使用した場合、支障となる傾向がある。
無機粒子としては、二酸化ケイ素、アルミナ、酸化ジルコニウム、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化バリウム、カーボンブラック、硫化モリブデン、酸化アンチモン等が挙げられる。これらの中では、二酸化ケイ素が安価でかつ粒子径が多種あるので利用しやすい。
有機粒子としては、炭素−炭素二重結合を一分子中に2個以上含有する化合物(例えばジビニルベンゼン)により架橋構造を達成したポリスチレンまたはポリアクリレートポリメタクリレートが挙げられる。
また、塗布層は、帯電防止剤、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染料、顔料などを含有していてもよい。
塗布剤の塗布方法としては、例えば、原崎勇次著、槙書店、1979年発行、「コーティング方式」に示されるような、リバースロールコーター、グラビアコーター、ロッドコーター、エアドクターコーターまたはこれら以外の塗布装置を使用することができる。
塗布層は、ポリエステルフィルムの片面だけに形成してもよいし、両面に形成してもよい。片面にのみ形成した場合、その反対面には必要に応じて上記の塗布層と異なる塗布層を形成して他の特性を付与することもできる。なお、塗布剤のフィルムへの塗布性や接着性を改良するため、塗布前にフィルムに化学処理や放電処理を施してもよい。また、表面特性をさらに改良するため、塗布層形成後に放電処理を施してもよい。
塗布層の厚みは、最終的な乾燥厚さとして、通常0.02〜0.5μm、好ましくは0.03〜0.3μmの範囲である。塗布層の厚さが0.02μm未満の場合は、本発明の効果が十分に発揮されない恐れがある。塗布層の厚さが0.5μmを超える場合は、フィルムが相互に固着しやすくなったり、特にフィルムの高強度化のために塗布処理フィルムを再延伸する場合は、工程中のロールに粘着しやすくなったりする傾向がある。上記の固着の問題は、特にフィルムの両面に同一の塗布層を形成する場合に顕著に現れる
また、本発明のポリエステルフィルムには、本発明の効果を損なわない範囲であれば、他の熱可塑性樹脂、例えばポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等を混合することができる。また、紫外線吸収剤、酸化防止剤、界面活性剤、蛍光増白剤、潤滑剤、遮光剤、マット化剤、および染料、顔料などの着色剤等を配合してもよい。
本発明のフィルムは、特定の表面形状を有するため、特に光学的な用途に使用されるプラスチックフィルムをキャスト法等の方法で製造する際の支持体として使用した場合、得られた成形フィルムの表面平坦性、透明性は極めて高度に満足され、その品質、工程での使用効率などが良好であることから、その工業的価値は高い。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例中「部」とあるのは「重量部」を示す。また、本発明で用いた測定法は次のとおりである。
(1)ポリエステルの極限粘度の測定
ポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。表層部のみの極限粘度の測定については、溶融押出機から共押出する工程で、同吐出量で押出を行ったポリエステルの極限粘度を測定する方法または、表層のみをナイフなど適当な道具を用いて削り取り、測定に供した。
(2)最大高さ(Rt)および中心線平均粗さ(Ra)(nm)
(株)小坂研究所製表面粗さ測定機(SE−3F)を用いて次のようにして求めた。すなわち、フィルム断面曲線からその中心線の方向に基準長さL(2.5mm)の部分を抜きとり、この抜き取り部分の中心線をx軸、縦倍率の方向をy軸として粗さ曲線y=f(x)で表したとき、次式で与えられた値を中心線平均粗さ(Ra)とし、〔nm〕で表した。最大高さ(Rt)は、上記で得られたフィルム断面曲線の抜き取り部分の、平均線に平行な2直線で抜き取り部分を挟んだ時、この2直線の間隔を断面曲線の縦倍率の方向に測定した値を最大高さ(Rt)とし、〔nm〕で表した。最大高さ、中心線平均粗さは、試料フィルム表面から10本の断面曲線を求め、これらの断面曲線から求めた抜き取り部分のそれぞれの値の平均値で表した。なお、触針の先端半径は2μm、荷重は30mgとし、カットオフ値は0.08mmとした。
Ra=(1/L)∫ |f(x)|dx
(3)密度
フィルム密度をMicrometrics Accupyc 1330(MIcrometrics Limited,Dunstable,UK)を使用してヘリウム比重壜により測定した。
(4)融点(Tm)
TaInstruments社製の示差走査熱量計「DSC−2920型」を使用し、試料5mgを0℃から300℃まで20℃/分の速度で昇温させた際に得られる融解に伴う吸熱ピークの温度をTmとした。
(5)ポリエステルフィルム連続性
ポリエステルフィルムを製造する際の連続性を以下の基準により評価した。
A:破断や穴あきによる連続性のトラブルがなく、生産上問題がない
B:破断や穴あきによる連続性のトラブルが1時間以上3時間以下の頻度で起こり、生産上好ましくない
C:破断や穴あきによる連続性のトラブル1時間未満の頻度で起こり、生産上問題がある
(6)ジクロロメタン溶液キャストフィルムの品質
溶媒としてジクロロメタンを用いて、ポリカーボネートの20重量%溶液を調合した。この溶液を支持体フィルム上に塗布し、70℃にて一次乾燥し、さらに100℃にてキャストフィルム中の残存溶媒量が0.5重量%以下になるまで乾燥し、支持体フィルムと共に巻き取った。得られたキャストフィルムの厚みは45μmであった。キャストフィルムの評価は、支持体フィルムを剥離して行った。なお、キャストフィルムの製品を得るためには、粘着剤層を有する保護フィルムを貼り合わせることがあるが、本発明においては、キャストフィルムの評価を、支持体剥離後、直ちに行った。評価の基準は以下とした。
・フィルムの透明性
ランクA:高透明なフィルムとして得られ、光学用部材として高品質なもの
ランクB:透明感があり、光学用部材として使用可能だが、Aよりもやや劣る
ランクC:透明感に劣り、光学用部材としては使用できない
・光学的な欠点(2枚の偏光板を用いて、クロスニコル下で目視にて観察した)
ランクA:欠点は3個/m以下
ランクB:欠点は20個/m以下
ランクC:欠点は20個/mを超え、実用上支障がある
(7)水溶液キャストフィルムの品質
PVAの20重量%水溶液を調合した。この溶液を支持体フィルム上に塗布し、90℃にて一次乾燥し、さらに110℃にてキャストフィルム中の残存溶媒量が0.5重量%以下になるまで乾燥し、支持体フィルムと共に巻き取った。得られたキャストフィルムの厚みは50μmであった。キャストフィルムの評価は、支持体フィルムを剥離して行った。なお、キャストフィルムの製品を得るためには、粘着剤層を有する保護フィルムを貼り合わせることがあるが、本発明においては、キャストフィルムの評価を、支持体剥離後、直ちに行った。評価の基準は以下とした。
・フィルムの透明性
ランクA:高透明なフィルムとして得られ、光学用部材として高品質なもの
ランクB:透明感があり、光学用部材として使用可能だが、Aよりもやや劣る
ランクC:透明感に劣り、光学用部材としては使用できない
・光学的な欠点(2枚の偏光板を用いて、クロスニコル下で目視にて観察した)
ランクA:欠点は3個/m以下
ランクB:欠点は20個/m以下
ランクC:欠点は20個/mを超え、実用上支障がある
以下の実施例および比較例で用いたポリエステルの製造方法は次のとおりである。
〈ポリエステルの製造〉
[エステル(A)の製造方法]
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩0.09重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェート0.04部を添加した後、三酸化アンチモン0.04部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.68に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させた。得られたポリエステル(A)の極限粘度は0.68であった。
[ポリエステル(B)の製造方法]
ポリエステル(A)の製造方法において、あらかじめ解砕、分級、濾過した一次粒径0.02μmのδ−アルミナ粒子1.5部をエチレングリコールスラリーとして添加した以外は、上記と同様にエステル交換反応、重縮合反応を行い、極限粘度0.62のポリエステルを得た。
[ポリエステル(C)の製造方法]
ポリエステル(A)の製造方法において、エチルアシッドフォスフェート0.04部を添加後、エチレングリコールに分散させた平均粒子径0.4μmの合成炭酸カルシウム粒子を1.0部、三酸化アンチモン0.04部を加えて、極限粘度0.66に相当する時点で重縮合反応を停止した以外は、ポリエステル(A)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(C)を得た。得られたポリエステル(B)は、極限粘度0.62であった。
[ポリエステル(D)の製造方法]
ポリエステル(C)の製造方法において、添加する粒子を平均粒径0.7μm、添加量を2.0部とした以外はポリエステル(C)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(D)を得た。得られたポリエステル(D)は、極限粘度0.62であった。
[ポリエステル(E)の製造方法]
出発原料をテレフタル酸ジメチル100重量部エチレングリコール54重量部と1,4−シクロヘキサンジメタノール25重量部とし、触媒としてテトラブトキシチタネート0.011重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とし、さらに1時間反応を継続した。その後、温度を230℃から徐々に昇温すると共に圧力を常圧より徐々に減じ、最終的に温度を280℃、圧力を0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.70に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下でポリマーを吐出させた。得られたポリエステル(E)の極限粘度は0.700、1,4−シクロヘキサンジメタノールの含有量は33mol%であった。
実施例1〜2:
上記ポリエステルを下記表1のとおり配合し、2台の押出機に各々を供給し、各々285℃で溶融した後、40℃に冷却したキャスティングドラム上に、2種2層(A/B)の層構成で共押出し冷却固化させて無配向シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度81℃で縦方向に3.3倍延伸した後、テンターに導き、横方向に120℃で3.6倍延伸し、表1記載の条件で熱処理を行った後、横方向に2%弛緩し、厚さ38μmの積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの各層の厚みは、A層が19μm、B層が19μmであった。また、A層側の表面を支持体とした場合の成形フィルムの接触面となるように使用した。
比較例1:
実施例1において、B層原料および熱処理条件を表1のとおりにした以外は実施例1と同様にして、厚み38μmのポリエステルフィルムを得た。この場合、ポリエステルフィルムの連続性が悪く、生産性が劣るものであった。
比較例2:
実施例1において、B層原料および熱処理条件を表1のとおりにした以外は実施例1と同様にして、厚み38μmのポリエステルフィルムを得た。この場合、ポリエステルフィルムの連続性を確保するため、熱処理条件を下げる必要があり、連続性と品質を両立させることができなかった。
比較例3:
実施例1において、A層原料および熱処理条件を表1のとおりにした以外は実施例1と同様にして、厚み38μmのポリエステルフィルムを得た。
この場合、フィルムの表面粗度が大きすぎるため、このフィルムを支持体として使用して得た成形フィルムの品質は劣るものであった。すなわち得られた成形フィルムの表面が形状転写により粗面化されたため、光学的な透明性が低下し、部材としての品位が劣るものであった。
比較例4:
実施例1において、A層原料および熱処理条件を表1のとおりにした以外は実施例1と同様にして、厚み38μmのポリエステルフィルムを得た。この場合フィルム密度が低すぎるため、このフィルムを支持体として使用した場合、工程中でフィルム表面が削れやすい傾向が見られ、その削れ粉がキャストフィルムに転着して、光学用フィルム部材として使用した場合の欠点となってしまうという問題が発生した。
表1は、各実施例、比較例で得られたフィルムの評価結果をまとめて示したものである。実施例に示したフィルムは、高品質のフィルムとして得られた。
Figure 0004864788
本発明のフィルムは、例えば、光学フィルムを製造する際に支持体として好適に利用することができる。

Claims (1)

  1. プラスチックフィルムを成形する工程において支持体として用いられる、密度1.405〜1.420g/cmの積層構造のポリエステルフィルムであって、一方の最表層の表面のRaが5.0〜10nmの範囲であり、当該最表層の融点Tm(A)と当該層と隣接する層の融点Tm(B)との差(Tm(A)−Tm(B))が5〜10℃であることを特徴とする支持体用ポリエステルフィルム。
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