JP2009208302A - 成形同時転写用ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 成型同時転写の基材として用いたときに、高度な成型性、耐熱性および転写適性を同時に満足することのできる二軸延伸ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】 主たる構成成分以外の共重合成分を1種以上含有し、融点(TmB)が180〜230℃の範囲にあるポリエステルB層の少なくとも片側に、融点(TmA)が200〜255℃の範囲にあるポリエステルA層を積層した構造を有するフィルムであり、それぞれの融点の差(TmA−TmB)が5℃以上であり、フィルムの貯蔵弾性率E’が80℃で400〜1800MPa、160℃で10〜60MPaの範囲であり、片面に離型層を有することを特徴とする成型同時転写用ポリエステルフィルム。
【選択図】 図1

Description

本発明は成型性に優れた成型同時転写用ポリエステルフィルムに関する。詳しくは、本発明は、優れた成型性、耐熱性および転写適正を有することから、絞り率の高い深絞り成型に好適な成型同時転写用ポリエステルフィルムに関する。
近年、成型品への印刷手法として、成型と同時に転写印刷も行う、いわゆる成型同時転写法が普及しつつある。この方法に使用するフィルムとして、強度、耐熱性等の特性の点から、二軸延伸ポリエステルフィルムが用いられている。
最近では、成型時の絞り率がますます高くなるとともに、高品質な成型同時転写が要求される傾向にある。特に成型品として、冷蔵庫外装や自動車内装および外装加飾用途のような、大型かつ絞り率の高いものが求められつつあるため、従来のフィルムに対し深絞り成型性と寸法安定性に関する高度な特性が必要となり、フィルムの改良が強く望まれるようになっている。
さらに腑型の直前に加熱すること(予備加熱ともいう)により、高い絞り率に対応できるよう、フィルムの成型性を向上させる必要があることから、高温でのフィルムの耐久性も必要となる。耐久性とは、加工温度にてフィルムが融解しないこと、加熱時の金型とフィルム間の空気の膨張によりフィルムが変形して裂ける等の問題が起こらないことを言う。
また、フィルムの腑型(予備成型ともいう)後に樹脂を射出する際、フィルムの弾性率が低すぎると、射出樹脂とフィルムとの擦りあるいは、射出樹脂によって押し付けられたフィルムと金型との擦りにより、フィルムにシワが入り、精密な転写ができないという問題が発生する。かかる観点から、優れた転写適性を有したフィルムが望まれている。
特開昭64−40400号公報 特開平7−196821号公報
本発明は、上記実状を鑑みなされたものであり、その解決課題は、成型同時転写の基材として用いたときに、高度な成型性、耐熱性および転写適性を同時に満足することのできる二軸延伸ポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者は、上記加太に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成を有するフィルムによれば、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、主たる構成成分以外の共重合成分を1種以上含有し、融点(TmB)が180〜230℃の範囲にあるポリエステルB層の少なくとも片側に、融点(TmA)が200〜255℃の範囲にあるポリエステルA層を積層した構造を有するフィルムであり、それぞれの融点の差(TmA−TmB)が5℃以上であり、フィルムの貯蔵弾性率E’が80℃で400〜1800MPa、160℃で10〜60MPaの範囲であり、片面に離型層を有することを特徴とする成型同時転写用ポリエステルフィルムに存する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のフィルムを構成するポリエステルは、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を必須とするものが好ましく、これらの他に、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの公知のジカルボン酸の一種以上を、共重合成分として含んでいてもよい。また、ジオール成分として、エチレングリコールを必須とするものであり、これらの他に、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、ネオペンチルグリコールなどの公知のジオールの一種以上を、共重合成分として含んでいてもよい。
本発明において、ポリエステルの構成成分としては、上記のジカルボン酸成分およびジオール成分の他、種々の酸成分およびアルコール成分を含むことができる。例えば、p−オキシ安息香酸のようなオキシカルボン酸、安息香酸、ベンゾイル安息香酸、メトキシポリアルキレングリコールなどの一官能性化合物は修飾成分として、トリメシン酸、トリメリト酸、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの多官能性化合物は共重合成分として、生成物となるポリエステルが実質的に線状の高分子を保持し得る範囲内で、使用することができる。
次に本発明におけるA層を構成するポリエステル樹脂は、上述の多価カルボン酸と多価アルコールの重縮合により得られるポリエステルが好ましく用いられる。耐熱性、寸法安定性の観点から、エチレンテレフタレートを主たる構成成分とするものであることが必要であり、好ましくは共重合成分含有量を20モル%以下とする。
また、B層を構成するポリエステル樹脂は、主たる構成成分以外の共重合成分を1種以上含有する必要がある。上述の多価カルボン酸と多価アルコールの重縮合により得られるポリエステルが好ましく用いられるが、耐熱性、寸法安定性の観点から、エチレンテレフタレートを主たる構成成分とするものであることが好ましく、深絞り成型性の観点から、共重合成分含有量は、10〜30モル%の範囲にあることも好ましい。共重合成分として、イソフタル酸や1,4−シクロヘキサンジメタノールを用いることが特に好ましいが、上述の多価カルボン酸と多価アルコールに該当するものであれば、これに限定されるものではない。また、ポリエステル樹脂は1種で特定範囲の共重合体である場合でもよく、共重合量の多いポリエステルと少ないポリエステルとを混合してもよい。いずれにしてもその結果、共重合成分の含有量と融点とが満足されればよい。
本発明において、耐熱性、成型加工性、転写適性の観点から、A層の融点(TmA)は、200〜255℃の範囲であり、好ましくは220〜250℃の範囲であり、B層の融点(TmB)は、180〜230℃、好ましくは185〜220℃の範囲であり、それぞれの融点の差(TmA−TmB)が5℃以上、好ましくは10℃以上ある。A層の融点が190℃未満である場合は、耐熱性、転写適性に劣り、B層の融点が230℃を超える場合は、成型性、生産性に劣るため好ましくない。また、それぞれの融点の差(TmA−TmB)が5℃未満である場合は、上記した成型性、生産性、耐熱性、転写適性を同時に高度に満足させることができなくなる。
また、本発明において、貯蔵弾性率E’が80℃で400〜1800MPa、好ましくは600〜1600MPaの範囲であり、160℃で10〜60MPa、好ましくは15〜40MPaの範囲である。貯蔵弾性率が80℃で400MPa未満あるいは、160℃で10MPa未満である場合は、耐熱性、転写適性に劣り、80℃で1800MPaを超える、あるいは、160℃で60MPaを越える場合は、成型性、生産性に劣るため好ましくない。
本発明において、フィルムの面配向係数ΔPは、通常0.020〜0.150の範囲であることが好ましく、さらには0.030〜0.140の範囲であることが好ましい。面配向係数ΔPが0.150を超える場合は、成型性に劣る傾向があり、0.020未満である場合は、耐熱性に劣る傾向がある。
また、本発明において、フィルムの複屈折率Δnは、通常0.020以下であることが好ましく、さらには0.015以下であることが好ましい。Δnが0.020を超える場合は、成型時の伸び率にばらつきが生じ、印刷歪みの原因となることがある。
さらに本発明において、150℃にて3分間加熱処理後の加熱収縮率が、縦、横両方ともに4.0%以下であることが好ましい。縦あるいは横の加熱収縮率が4.0%を上回るフィルムは加工工程中の加熱区間においてフィルムの縮みが大きく、操作上好ましくない。
本発明において、フィルムの易滑性向上等を付与するために、粒子を添加することも好ましい。例えば、フィルムの易滑性を向上させるためには、ポリエステル組成物は、有機、無機の微粒子を配合したものが好ましく、必要に応じて紫外線吸収剤、着色剤、酸化防止剤、界面活性剤、マット化剤、帯電防止剤などの添加剤をさらに配合してもよい。滑り性を付与する微粒子は、配合の方法に従い、外部粒子と内部粒子とに大別される。前者の例としては、カオリン、クレー、各種炭酸カルシウム、酸化ケイ素、テレフタル酸カルシウム、α−、γ−、δ−、θ−等の酸化アルミニウム、酸化チタン、リン酸カルシウム、フッ化リチウム、カーボンブラックなどの公知の不活性外部粒子が挙げられる。また、後者の例としては、ポリエステルの溶融製膜に際して不溶な高融点有機化合物、単分散球状有機粒子、粉砕型の有機粒子、架橋ポリマーおよびポリエステル合成時に使用する金属化合物触媒、例えばアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物などによってポリエステル製造時にポリマー内部に形成される内部粒子などが挙げられる。これらの微粒子は、フィルム中の表面を構成する層に対する含有量が通常0.002〜2.0重量%の範囲内であり、平均粒径が0.001〜3.5μmの範囲内にあるのが好ましい。
また、本発明のフィルムの算術平均粗さRaは40nm以下であることが好ましく、さらには35nm以下であることが好ましい。Raが40nmを超える場合は、表面の凹凸が印刷層に転写され、成型品の表面光沢が失われることがある。
次に、本発明のフィルムの製造法を具体的に説明するが、本発明の構成要件を満足する限り、以下の例示のみに限定されるものではない。
滑り剤として、有機、無機の微粒子を適量配合してチップ化したポリエステル組成物を、ホッパードライヤー、パドルドライヤー、オーブンなどの、通常用いられる乾燥機または真空乾燥機を用いて乾燥する。前段で、チップを結晶化させて相互の融着が起こらないように(予備結晶化ともいう)、また後段で、水分量を十分に減少させるように(本乾燥ともいう)、乾燥を行う。このように乾燥した後、200〜320℃でシートに押出す。押出しに際しては、ポリエステルの溶融押出機を2台または3台以上用いて、いわゆる共押出法により2層または3層以上の積層フィルムとすることができる。層の構成としては、A原料とB原料とを用いたA/B構成、またはA/B/A構成、さらにC原料を用いてA/B/C構成またはそれ以外の構成のフィルムとすることができる。例えばA原料として特定の粒子を用いてA層の表面形状を設計し、B原料としては粒子を含有しない原料を用い、A/BまたはA/B/A構成のフィルムとすることができる。この場合B層の原料を自由に選択できることからコスト的な利点などが大きい。また当該フィルムの再生原料をB層に配合しても表層であるA層により表面粗度の設計ができるので、さらにコスト的な利点が大きくなる。次いで、溶融したポリマーをダイから押出し、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未延伸シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、本発明においては静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。
本発明において、このようにして得られた未延伸シートを2軸方向に延伸してフィルム化する。延伸条件について具体的に述べると、前記未延伸シートを縦方向に70〜145℃で2〜6倍に延伸し、縦1軸延伸フィルムとした後、横方向に90〜160℃で2〜6倍に延伸し、150℃〜240℃で1〜600秒間熱処理を行うことが好ましい。さらにこの際、熱処理の最高温度ゾーンおよび/または熱処理出口のクーリングゾーンにおいて、縦方向および/または横方向に0.1〜20%弛緩する方法が好ましい。また、必要に応じて再縦延伸、再横延伸を付加することも可能である。
本発明のフィルムの厚さは、通常10〜200μmであり、好ましくは30〜100μmである。
本発明においては、フィルムの片面に離型層を有するが、かかる離型層は常態剥離力が通常1500〜3000mN/cmの範囲であり、好ましくは2000〜2700mN/cmの範囲である。常態剥離力が3000mN/cmを超える場合は、転写後に箔を剥がす際、フィルムの一部が破れて成型品に残り、外観が悪くなることがある。また、常態剥離力が1500mN/cmに満たない場合は、離型層上に設けた印刷層が転写箔から零れ落ちることがあり、成型品の一部に柄が転写されないことがある。
かかる離型層を形成する方法としては、テンター入口前(横延伸工程前)にコートしてテンター内で乾燥する、いわゆるインラインコート法が好ましい。また、必要に応じ、フィルムの製造後にオフラインコートで各種のコートを行ってもよい。このようなコートは片面、両面のいずれでもよい。コーティングの材料としては、オフラインコーティングの場合は水系または溶媒系のいずれでもよいが、インラインコーティングの場合は、水系または水分散系が好ましい。
本発明のフィルムの塗布層としては、架橋剤と各種バインダー樹脂との組み合わせからなるものが好ましく、バインダー樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル樹脂、ビニル樹脂、エポキシ樹脂、アミド樹脂等が挙げられる。これらは、それぞれの骨格構造が共重合等により実質的に複合構造を有していてもよい。複合構造を持つバインダー樹脂としては、例えば、アクリル樹脂グラフトポリエステル、ビニル樹脂グラフトポリウレタン等が挙げられる。
架橋剤は自己架橋によって塗布層の凝集性、表面硬度、耐擦傷性、耐溶剤性、耐水性を改良することができ好ましい。使用できる架橋剤としては、メラミン系、エポキシ系、オキサゾリン系化合物などが挙げられる。また、他のポリマー骨格に反応性基を持たせた、ポリマー型架橋反応性化合物も含まれる。
本発明において、滑り性、固着性などをさらに改良するため、塗布層中に無機系粒子や有機系粒子を含有させることが好ましい。塗布剤中における粒子の配合量は、通常0.5〜10重量%、好ましくは1〜6重量%である。かかる配合量が0.5重量%未満では、耐ブロッキング性が不十分となる場合があり、10重量%を超えると、成型品に転写された印刷層の鮮明度が落ちる傾向がある。
無機粒子としては、二酸化ケイ素、アルミナ、酸化ジルコニウム、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化バリウム、カーボンブラック、硫化モリブデン、酸化アンチモン等が挙げられる。これらの中では、二酸化ケイ素が安価かつ粒子径が多種あるので、利用しやすい。
有機粒子としては、炭素-炭素二重結合を一分子中に2個以上含有する化合物(例えばジビニルベンゼン)により架橋構造を達成したポリスチレンまたはポリアクリレートポリメタクリレートが挙げられる。
上記無機粒子および有機粒子は表面処理されていてもよい。表面処理剤としては、例えば、界面活性剤、分散剤としての高分子、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などが挙げられる。
また、塗布層は帯電防止剤、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染料、顔料などを含有していてもよい。
塗布剤は、水を主たる媒体とする限りにおいて、水への分散を改良する目的または造膜性能を改良する目的で少量の有機溶剤を含有していてもよい。有機溶剤は、水に溶解する範囲で使用することができる。有機溶剤としては、n-ブチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルアルコール、メチルアルコール等の脂肪族または脂環族アルコール類、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類、n-ブチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコール誘導体、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸アミン等のエステル類、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン類、N-メチルピロリドン等のアミド類が挙げられる。これらの有機溶剤は、必要に応じて二種類以上を併用してもよい。
塗布剤の塗布方法としては、例えば、原崎勇次著、槙書店、1979年発行、「コーティング方式」に示されるような、リバースロールコーター、グラビアコーター、ロッドコーター、エアドクターコーターまたはこれら以外の塗布装置を使用することができる。
片面だけに形成した離型層の反対面には、必要に応じて帯電防止層、易接着層等の離型層以外の塗布層を形成して他の特性を付与することもできる。なお、塗布剤のフィルムへの塗布性や接着性を改良するため、塗布前にフィルムに化学処理や放電処理を施してもよい。また、表面特性をさらに改良するため、塗布層形成後に放電処理を施してもよい。
塗布層の厚みは、最終的な乾燥厚さとして、通常0.02〜0.5μm、好ましくは0.03〜0.3μmの範囲である。塗布層の厚さが0.02μm未満の場合は、本発明の効果が十分に発揮されない恐れがある。塗布層の厚さが0.5μmを超える場合は、外観の悪化やコストアップを招き好ましくない。
本発明によれば、十分な成型加工性を有しながら精彩な印刷が可能である、転写箔の基材樹脂として好適な成型転写用二軸延伸フィルムを提供することができ、本発明の工業的価値は高い。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り、この実施例に限定されるものではない。なお、フィルムの諸物性の測定および評価方法を以下に示す。
(1)融解ピーク温度(Tm)
TA Instruments社製の示差走査熱量計「DSC−2920型」を使用し、試料5mgを0℃から300℃まで20℃/min.の速度で昇温させた際に得られる融解に伴う吸熱ピークの温度をTmとした。上述の方法により得た融解ピーク温度の内、B層融点は、製膜したフィルムの表層(A層)を除去したフィルムから得られた融解ピーク温度とし、A層融点は、B層融点と異なる融解ピーク温度とした。
(2)貯蔵弾性率E’
アイティー計測制御製動的粘弾性測定装置(DVA−200型)を使用した。幅5mmのフィルムをチャック間20mmとなるように測定装置にセットし、0℃から300℃まで10℃/min.の速度で昇温させながら、周波数10Hzで粘弾性の推移を測定した。
(3)面配向度(ΔP)、複屈折率(Δn)
(3)面配向度(ΔP)、複屈折率(Δn)
アタゴ製アッベ式屈折計を使用した。ヨウ化メチレンをマウントして、試料フィルムを測定面が下になるようにプリズムに密着させ、単色光ナトリウムD線(589nm)を光源として、主配向方向の屈折率nγ、それに対し面内垂直方向の屈折率nβ、および厚み方向の屈折率nαを測定した。得られた値から下記式によりA層の面配向係数ΔPおよび複屈折率Δnを求めた。なお、測定試料は製品マスターロールの中央部より採取した。
Δn=nγ−nβ
ΔP=(nγ+nβ)/2−nα
(4)算術平均粗さ(Ra)
算術平均粗さRa(μm)をもって表面粗さとする。(株)小坂研究所社製表面粗さ測定機(SE−3F)を用いて次のようにして求めた。すなわち、フィルム断面曲線からその中心線の方向に基準長さL(2.5mm)の部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をx軸、縦倍率の方向をy軸として粗さ曲線 y=f(x)で表わしたとき、次の式で与えられた値を〔μm〕で表わす。算術平均粗さは、試料フィルム表面から10本の断面曲線を求め、これらの断面曲線から求めた抜き取り部分の算術平均粗さの平均値で表わした。なお、触針の先端半径は2μm、荷重は30mgとし、カットオフ値は0.08mmとした。
Figure 2009208302
(5)極限粘度
測定試料をフェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量部)の溶媒に溶解させて濃度c=0.01g/cmの溶液を調製し、30℃にて溶媒との相対粘度ηを測定し、極限粘度[η]を求めた。
(6)加熱収縮率
150±2℃の温度のギアオーブン中において、縦10cm、横10cmのフィルムを無負荷の状態で3分間収縮させ、縦および横方向についての加熱収縮率を、次式により算出した。
加熱収縮率=(L0−L)×100/L
ただし、L0は原長(cm)であり、Lは収縮後の長さである。
(7)成型同時転写用フィルムとしての耐熱性
図1に示すように、ポリエステルフィルム(3)に離型層、印刷層および接着層(4)を形成し、縦35cm、横25cm、最大深さ3.0cmの金型(1)を用い、IRヒーターで予備加熱後、金型内部に真空または圧空成型法により予備成型を実施した。予備加熱によるフィルムの融解状況より、下記基準で耐熱性の評価を行った。
○:加工温度に耐久でき、予備成型に対応できる
△:予備成型に対応できるが、稀にフィルム軟化による変形が発生する
×:フィルム融解による穴開きや、フィルム軟化による変形が頻繁に発生
(8)成型同時転写用フィルムとしての成型性
上記(7)の方法にて予備成型を実施した際、成型によるフィルムの破断の頻度により、下記基準で成型性の評価を行った。
○:フィルム破断、クラック発生等がなく、均一な厚さで成型される
△:フィルム破断はしないが、局所的にフィルムが極めて薄い部分が存在する
×:フィルムが頻発に破断する
(9)成型同時転写用フィルムとしての転写適性
上記(7)の方法にて予備成型を実施した後、樹脂を射出し、成型転写を行った。得られた成型品への印刷の図柄の抜けや歪みの状態により、下記基準で適性の評価を行った。
○:印刷抜け、歪みが全くない
△:印刷抜け、歪みがほとんどない
×:印刷抜け、歪みがある
(10)常態剥離力
離型層表面に、アクリル粘着テープ「No.31B」(日東電工製)を貼り付けて、室温にて1時間放置後、引張試験機にて引張試験300mm/分で180°剥離を行い、剥離が安定した領域における平均剥離荷重を粘着テープ幅で除した値を剥離力[mN/cm]とした。
次に実施例に使用するポリエステル原料について説明する。
<ポリエステル(1)の製造法>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩0.09重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェート0.04部を添加した後、三酸化アンチモン0.03部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.680に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させた。得られたポリエステル(1)の極限粘度は0.680であった。
<ポリエステル(2)の製造法>
出発原料をテレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール54重量部と1,4−シクロヘキサンジメタノール25重量部とし、触媒としてテトラブトキシチタネート0.011重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とし、さらに1時間反応を継続した。その後、温度を230℃から徐々に昇温すると共に圧力を常圧より徐々に減じ、最終的に温度を280℃、圧力を0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.70に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させた。得られたポリエステル(2)の極限粘度は0.700、1,4−シクロヘキサンジメタノールの含有量は33モル%であった。
<ポリエステル(3)の製造法>
ポリエステル(1)の製造方法において、エチルアシッドフォスフェート0.04部を添加後、エチレングリコールに分散させた平均粒子径2.2μmのシリカ粒子を0.3部、三酸化アンチモン0.03部を加えて、極限粘度0.610に相当する時点で重縮合反応を停止した以外は、ポリエステル(1)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(3)を得た。得られたポリエステル(3)は、極限粘度0.610であった。
<ポリエステル(4)の製造法>
ポリエステル(1)の製造方法において、出発原料のジカルボン酸をテレフタル酸ジメチル80重量部、イソフタル酸ジメチル20重量部としたこと以外はポリエステル(1)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(4)を得た。得られたポリエステル(4)は、極限粘度0.670であった。
<塗布剤の調整>
下記表1に示す水性塗料原液を下記表2に示す割合で配合してP1〜P4の水性塗布剤を調製した。
Figure 2009208302
Figure 2009208302
実施例1:
上記ポリエステル(3)、(4)をそれぞれ35%、65%の割合で混合した混合原料をA層の原料とし、ポリエステル(1)、(2)、(4)をそれぞれ10%、50%、40%の割合で同様に混合した混合原料をB層の原料として、2台の押出機に各々を供給し、各々280℃で溶融した後、A層を最外層(表層)、B層を中間層として、キャスティングドラム上に、2種3層(ABA)の層構成で共押出し、静電印加法を適用して急冷固化させて無定形シートを得た。得られたシートを縦方向に80℃で3.4倍延伸した後、表2に示す水性塗布剤P1を縦延伸フィルムの片面に塗布し、続いて100℃で横方向に3.4倍延伸し、5%の幅方向の弛緩を行ないながら182℃で熱処理を行なった。得られたフィルムの平均厚さは75μm、塗布層の厚みは0.1μmであった。得られたフィルムの特性および評価結果を下記表3に示す。
実施例2〜5、比較例1〜5:
実施例1において、A層、B層で使用したポリエステル原料とその配合比、製膜時に形成する塗布層の種類を下記表3に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様の方法でフィルムを得た。得られたフィルムの特性および評価結果を下記表4に示す。
Figure 2009208302
Figure 2009208302
本発明のフィルムは、例えば、成形同時転写用フィルムとして好適である。
成型同時転写装置の概念説明図である
符号の説明
1:金型
2:射出成型機
3:フィルム
4:離型層、印刷層および接着層からなる層

Claims (1)

  1. 主たる構成成分以外の共重合成分を1種以上含有し、融点(TmB)が180〜230℃の範囲にあるポリエステルB層の少なくとも片側に、融点(TmA)が200〜255℃の範囲にあるポリエステルA層を積層した構造を有するフィルムであり、それぞれの融点の差(TmA−TmB)が5℃以上であり、フィルムの貯蔵弾性率E’が80℃で400〜1800MPa、160℃で10〜60MPaの範囲であり、片面に離型層を有することを特徴とする成型同時転写用ポリエステルフィルム。
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