JP4678662B2 - 積層ポリエステルフィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面に微細な突起を有する、光学特性や耐熱性の優れた積層ポリエステルフィルムに関する。さらに詳細には、本発明は、フィルム表面が粗面化され、印刷性や筆記性に優れ、また透過散乱光の色調に変化がなく艶消し性、光拡散性や耐熱性に優れ、通常の製膜工程内で製造が可能なポリエステルフィルムに関するものであり、包装材料やラベル、トレーシング用途など印刷性や筆記性が必要な用途、また転写フィルム、照明カバー、電飾看板、採光ガラス用窓貼りフィルム等、艶消し性や各種光源を有効にかつ均一な明るさを確保する用途、ワープロやOA機器に使用されている液晶ディスプレイや液晶カラーテレビのバックライト光源の拡散パネル材料等に好適な光拡散性フィルム用途等に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステルフィルムは、その優れた特性から幅広い用途に使用されてきている。特に包装材料やラベル、トレーシング用途では、良好な筆記性やトレース性が、転写フィルム、照明カバー、電飾看板、採光ガラス用窓貼りフィルム等の用途では艶消し性が、ワープロやOA機器に使用されている液晶ディスプレイや液晶カラーテレビのバックライト光源の拡散パネル材料や光源の光を効果的に用いるため液晶表示装置等では光拡散性が、それぞれ必要とされる。そのためフィルム表面に微小突起が形成され、光の吸収が少なくかつ光の散乱性能に優れたフィルムが利用されてきている。
【0003】
フィルムの表面に微小突起を形成し、かつ光を効果的に拡散させる方法として従来用いられている技術は、▲1▼フィルムに粒子を配合し、当該粒子とフィルムを構成する樹脂との屈折率の差を利用する方法、▲2▼透明樹脂に粒子を分散させた混合物をフィルム表面に塗布する方法がある。
【0004】
例えば、特開平3−78701号公報などには、炭酸カルシウム粒子を使用した例が記載されているが、粒径の大きな無機粒子を大量に使用する場合は、全光線透過率の減少やフィルム強度が低下することがある。また、使用する無機粒子の種類によっては、白色光中の特定の波長領域が吸収されて、透過散乱された光の色調が変わることがある。
【0005】
一方、特開平7−209502号公報には、樹脂に炭酸カルシウムやシリカ微粒子を分散させた組成物をフィルムに塗布する方法、また特開平9−211207号公報には、ポリスチレン樹脂粒子を樹脂に分散させた組成物をフィルムに塗布する方法がそれぞれ開示されている。しかしながら、フィルムを原材料に用い、2次加工としてフィルム表面に塗布することで粒子含有層を生成する場合、製造コストが上がるだけでなく、ゴミの付着や塗布スジや塗布ムラなどの品質上の問題が発生することもある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、表面に微小突起を有し、筆記性とトレース性に優れ、全光線透過率と光拡散透過率の大きな、熱収縮率の小さい耐熱性に優れたフィルムを通常のポリエステルフィルムの製膜工程内で安定した品質とともに安価に提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の構成を採用することにより、優れた特性を有するフィルムを提供できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の要旨は、平均粒子径が4.0〜40μmであり、かつボイド径比が2.0以下である、球状または凸レンズ状の粒子を1.0重量%以上含有する、融点が150〜250℃の共重合ポリエステルである粒子含有層と、実質的に粒子を含有しない透明層との2層のポリエステル層からなり、前記粒子含有層中、100μm以上の粒子の割合が1%以下であり、フィルムの熱収縮率が3%以下であることを特徴とする積層ポリエステルフィルムに存する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】
本発明におけるポリエステルとは、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸等のような芳香族ジカルボン酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等のようなグリコールとのエステルを主たる成分とするポリエステルである。当該ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸とグリコールとを直接重合させて得られるほか、芳香族ジカルボン酸ジアルキルエステルとグリコールとをエステル交換反応させた後、重縮合させる方法、あるいは芳香族ジカルボン酸のジグリコールエステルを重縮合させる等の方法によっても得られる。本発明で用いるポリエステルの代表的なものとしては、ポリエチレンテレフタレート、トリメチレンテレフタレイト、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)等が例示される。
【0011】
本発明において、粒子含有層を構成するポリエステルとしては、融点が150℃〜250℃である共重合ポリエステルであることが好ましい。当該ポリエステルは、3〜30モル%の第三成分を含有した共重合体であることが好ましい。かかる共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、および、オキシカルボン酸の一種または二種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上が挙げられる。当該ポリエステルを用いると粒子の周りに生成するボイドの大きさが小さくなり、全光線透過率と拡散透過率を高く両立できる。
【0012】
また、本発明で用いる透明層は、実質的に粒子を含まないポリエステルからなるが、当該ポリエステルは、重合触媒の目的以外で添加される粒子がなく合成されたものを指す。このポリエステルは、光を吸収し散乱させる不溶性粒子を含有しないか、含有してもその絶対量が少ないため、フィルム化した場合に高い透明性を有する。
【0013】
本発明のフィルムは、良好な筆記性とトレース性を得てかつ全光線透過率と拡散透過率との向上を両立させるため、平均粒子径が2〜50μm、好ましくは4.0〜40μmである、球状または凸レンズ状の粒子を含有させる。平均粒子径が2μm未満では、フィルム表面に形成される微小突起の大きさが小さく、筆記性が劣り、また拡散透過率も低くなり好ましくない。平均粒子径が50μmを超える場合は、突起が大きすぎて筆記性が劣る。またフィルム表面状態が粗れて均一性に乏しく、フィルム製膜時に粒子が起点となってフィルム破断が多発し、製膜が困難になり好ましくない。
【0014】
本発明のフィルム中に存在する粒子の形状は、球形またはレンズ状である。より具体的には、フィルム表面側から走査型電子顕微鏡で観察した粒子の円形度が通常1.2以下で、かつフィルム断面から観察した粒子の変形度が通常2.0以下、好ましくは1.5以下の粒子である。円形度が1.2を超える不定形のものは、粒子表面で光の乱反射が起こり、全光線透過率が減少する。また、変形度が2.0を超えると、粒子が扁平になりすぎ、光を屈折する効果が減少し、拡散透過率が減少する。紛体状態では球形の粒子でフィルムの製膜過程の延仲操作で粒子が変形し凸レンズ状になった粒子が、ボイドも少なく特に好ましい。
【0015】
また、粒子含有層について、マイクロトラックにより測定した粒子の粒径分布における100μm以上の粒子の累積頻度は1%以下、好ましくは実質的に存在しないことである。凝集しやすい粒子や100μ以上の粒子を用いると、全光線透過率や拡散透過率が下がる、また製膜時に破断しやすく好ましくない。
【0016】
なお、特に限定しないが、1μm以下の粒子の累積頻度は、通常5%以下、好ましくは1%以下である。1μm以下粒子の存在割合が大きいと、レーリー散乱より短波長の光が選択的に散乱され、フィルム透過光が黄色みをおびてしまう。
【0017】
また、ボイド径比は、2.0以下、好ましくは1.5以下である。ボイド径比が2.0を超えると、フィルム走行時に摩擦によりフィルム表面の粒子の脱落が起こりやすくなり、フィルムの品質および生産性が落ちるだけでなく、全光線透過率が減少し、トレース性も劣り好ましくない。
【0018】
かかる粒子の例として、球状シリカ、球状多孔質シリカ、シリコーンゴム弾性体粒子、シリコーン樹脂粒子、架橋高分子粒子、球状ゼオライトを挙げることができるが、本発明の要旨を越えない限り、これらに限定されるものではない。
【0019】
また、本発明で用いる粒子は、表面にカルボン酸基、水酸基、エポキシ基等の官能基を有し、ポリエステルへの分散や親和性に優れた粒子が好ましい。特に粒子表面をシランカップリング剤で処理した球状多孔質粒子は、樹脂との親和性が良く、ボイド径比を小さくすることができ、かつ粒子間の凝集を抑制し樹脂への分散性が良好となるので好ましい。なお、配合する粒子は、単成分でもよく、また、2成分以上を同時に用いてもよい。
【0020】
粒子含有層の粒子含有量は、0.5重量%以上、好ましくは、1.0重量%以上である。粒子含有量が0.5重量%未満では、筆記性が劣りかつ光拡散性が劣り好ましくない。原料ポリエステルに対する前記各粒子の配合方法は、特に限定されないが、例えば、ポリエステルの重量工程に各粒子を添加する方法または原料ポリエステルと各粒子を溶融混練する方法などが好適である
本発明のフィルムは、粒子含有層と透明層の少なくとも2層より構成されている。層を構成するポリエステルは、特に限定しないが粒子含有層は、融点が150〜250℃の共重合ポリエステルであることが、粒子周りのボイドの発生を抑制するので好ましい。本発明の層およびフィルムの厚みは特に限定しないが全フィルム厚みは10〜500μmの範囲である。また、透明層の厚みは、収縮率を3%以下にするためには、5μm以上あった方が好ましい。
【0021】
本発明のフィルムの熱収縮率は3%以下である。熱収縮率が3%を超えるとフィルムの寸法変化が大きく、特に液晶ディスプレーなど温度が高い状態で使用される用途では好ましくない。
【0022】
本発明のフィルムは、全光線透過率が70%以上、さらには75%以上、特に80%以上、拡散透過率と全光線透過率の積が4000以上であることがそれぞれ好ましい。全光線透過率が70%未満の場合や拡散透過率と全光線透過率の積が4000未満の場合、下地の模様が目視で確認できるトレース性、艶消し性や光拡散性能が十分とならないことがあり、その場合、フィルムの用途が限定されてしまう。
【0023】
また、特に限定しないが、本発明フィルムの少なくとも一方の表面における突起高さ0.4μm以上の突起個数は、200個/mm2以上、好ましくは800個/mm2以上である。突起高さ0.4μm以上の突起個数が200個/mm2未満では筆記性が劣る。
【0024】
本発明の積層フィルムとは、全ての層が口金から共溶融押出しされる共押出法により、押出されたものが二軸方向に延伸、熱固定されたものが好ましい。共押出方法としては、フィードブロックタイプまたはマルチマニホールドタイプのいずれを用いてもよい。
【0025】
本発明のポリエステルフィルムには、必要に応じて、帯電防止剤、着色剤、酸化防止剤、消泡剤、蛍光増白剤、難燃性付与等の添加剤を配合してもよい。
【0026】
また、本発明のポリエステルフィルムの片面または両面に必要に応じ反射防止処理を施して使用してもよい。この反射防止処理としては、表面に微小凹凸を形成することによるエンボス処理や、反射波の光干渉を利用した薄膜形成処理等が挙げられる。
【0027】
さらに、易滑性、離型性、帯電防止性、易接着性等を付与する目的のコーティング処理をフィルム表面に行うこともできる。
【0028】
次に本発明のフィルムの製造方法を具体的に説明するが、本発明の構成要件を満足する限り、以下の例示に特に限定されるものではない。
【0029】
球状粒子を公知の手段で、例えば重合時添加または練り込みによりポリエステルチップに分散させた原料チップを、そのままあるいは他の原料チップとブレンドし、所定量の添加濃度にする。
【0030】
粒子含有層用の粒子を含有したポリエステルと透明層用の実質的に粒子を含有しないポリエステルとを各々別の溶融押出装置に供給し、それぞれのポリマーの融点以上である温度に加熱し溶融する。次いで、溶融したポリマーを押出口全内において層流状で接合積層させてスリット状のダイから押出し、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未延伸フィルムを得る。この場合、未延伸フィルムの平面性を向上させるため、フィルムと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、本発明においては静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。
【0031】
本発明においては、このようにして得られた未延伸フィルムをさらに一軸または二軸方向に延伸してフィルム化して用いる。延伸条件について具体的に述べると、未延伸フィルムを好ましくは縦方向に70〜145℃で2〜6倍に延伸し、縦一軸延伸フィルムとし、さらに横方向に90〜160℃で2〜6倍に延伸を行い、150〜250℃で1〜600秒間熱処理を行うことが好ましい。さらにこの際、熱処理の最高温度ゾーンおよび/または熱処理出口の冷却ゾーンにおいて、縦方向および/または横方向に0.1〜20%弛緩する方法が好ましい。また、必要に応じて再縦延伸、再横延伸を付加することも可能である。
【0032】
上記延伸工程中または延伸後に、フィルムに反射防止性、接着性、帯電防止能、離型性等を付与するために、フィルムの片面または両面に、塗布層を形成したり、コロナ処理等の放電処理等を施したりすることもできる。
【0033】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いた測定法および用語の定義は次のとおりである。
【0034】
(1)平均粒子径と円形度
低温灰化プラズマ装置にて、フィルム延伸方向の表面を10μm灰化した後、走査型電子顕微鏡にて、粒径0.5μm以上の粒子の長径と短径を少なくとも100個について求め、相加平均を平均粒子径とした。また、長径と短径の比率を円形度とした。
【0035】
(2)変形度
フィルム小片をエポキシ樹脂にて固定成形した後、フィルム厚み方向にミクロトームで切断し、切断面を走査型電子顕微鏡にて観察した。粒子毎に最大径と最小径を求め最大径が平均粒径の±10%に入る少なくとも50個の粒子について、最大径と最小径の比を算出し、その相加平均を変形度とした。
【0036】
(3)ボイド径比
低温灰化プラズマ装置にて、フィルム表面から厚さ方向に向かって、平均粒径の半分の深さに灰化した後、走査型電子顕微鏡にて平均粒径の±10%に入る少なくとも50個の粒子について粒子径とその周りにできたボイドを観察し、粒子径の平均値とボイド径の平均値を求め、それぞれの平均値を粒子径とボイド径とし下記式▲2▼よりボイド径比を求めた。
【0037】
ボイド径/粒子径=ボイド径比 …▲2▼
(4)1μm以下の粒子頻度と100μm以上の粒子頻度
フィルム小片をPTM溶媒(フェノール:テトラクロロエタン=3:2)に溶解させたのち、クロロホルムを同じ容量加え、測定に適した粒子濃度にするため、PTM溶媒/クロロホルム=1:1の溶媒で適時希釈した。調整した溶液を測定セルに入れ、HONEYWELL社製のマイクロトラックHRAを用いて、粒径分布を測定した。
【0038】
1μm以下の粒子頻度の総和を1μm以下の粒子の割合(%)とした。また、100μm以上の粒子頻度の総和を100μm以上の粒子の割合(%)とした。
【0039】
(5)フィルムの融点
フィルム小片をプラズマエッチング処理を施し灰化させ目的の層のみを得る。得られたフィルムを試料フィルムとしパーキンエルマー製示差走査カロリーメーターDSC7型を用いて測定した。DSC測定条件は以下のとおりである。すなわち、試料フィルム6mgをDSC装置にセットし、10℃/分の速度で昇温し、融点℃を検知した。
【0040】
(6)層の厚み(μm)
試料フィルムをエポキシ樹脂にて包埋し、ウルトラミクロトームでセクショニングを行い、得られた薄片を走査型電子顕微鏡にて断面観察を行い、粒子が密集する領域を粒子含有層として厚みを測定し、全体の厚みから粒子含有層の厚みを減じたものを透明層の厚みとした。
【0041】
(7)拡散透過率と全光線透過率
熱収縮率日本電色工業社製分球式濁度計NDH−300Aによりフィルムの拡散透過率と全光線透過率を測定した。
【0042】
(8)熱収縮率
フィルム縦方向(SMD)、横方向(STD)に各5本の幅2cm長さ100cmの試料を切り出し無張力状態で150℃の雰囲気中で5分間熱処理し、その前後のサンプルの長さを測定し、フィルム縦方向(SMD)、横方向(STD)を下記式にて計算し、各5本の平均値で表した。
【0043】
熱収縮率(%)=(I0−I1)/I0×100
(上記式中、I0は熱処理前のサンプル長さ(mm)、I1は熱処理後のサンプル長さ(mm))
ただしI0<I1(膨張の場合)は−(マイナス)で表した。
【0044】
(9)フィルム表面の0.4μm以上の突起個数(個/mm2)
小坂研究所社製三次元表面粗さ測定機(SE-3AK)を用い、触針の先端半径5μm、針圧30mg、測定長0.25mm、縦倍率5千倍、操作本数250本の条件で突起高さと突起個数を測定した。 本発明の突起高さは、突起個数が最大になる面の高さを0レベルとして、このレベルからの高さを突起高さとし、突起高さ0.4μmを超えた突起に対応する単位面積当たりの突起の総数を突起個数(個/mm2)とした。
【0045】
(10)透過散乱光の色調
白色蛍光灯にフィルムをかざして透過散乱された光の色調を目視で観察し、下記基準で評価した。
【0046】
〇:白色蛍光灯の光とほとんど変わらないもの
△:色調が変わっているが使用可能な範囲のもの
×:使用できない程色調が変わっているもの(例えば、やや黄色みを帯びている等)
(11)筆記性
径が0.5mmで硬度がHの芯を用いシャープペンシルで1mm間隔で5本の直線を描き、目視にて以下の評価を行った。
【0047】
○:個別の直線を判別できる
△:線の色が薄く、個々の線が判別しにくい
×:直線を描くことができない
(12)連続製膜性
連続製膜性を下記のランクに分けて評価した。
【0048】
○:破断無く連続して製膜が可能
△:時々破断が発生するため、連続して製膜できない場合がある
×:破断が多発するために連続して製膜ができない
比較例1
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール65重量部および酢酸マグネシウム・四水塩0.09部を反応器にとり、加熱昇温すると共にメタノールを留出し、エステル交換反応を行い、反応開始から4時間を要して230℃に昇温し、実質的にエステル交換反応を終了した。次いでリン酸0.04部、三酸化アンチモン0.04部を添加した後、常法に従って重縮合反応を進め、極限粘度0.65のポリエチレンテレフタレートを得た。
【0049】
得られたポリエチレンテレフタレートに、平均粒子径10μmのシランカップリング剤で処理した球状多孔質シリカ粒子を、含有量が5.0重量%となるように、ベント付き二軸押出機を用いて錬り混み、球状多孔質シリカ粒子を含有するポリエチレンテレフタレートを作成した。
【0050】
これらポリエチレンテレフタレートの原料チップを170℃で3時間乾燥後、粒子含有層の原料チップは、サブ押出機に、透明層の原料チップはメイン押出機に供給し溶融温度250℃から300℃溶融し、サブ押出機の溶融ポリマーをフィルムの表裏2層に分岐した後、ギアポンプフィルターを介してメイン押出機からの溶融ポリマーとフィルドブロックで分流させ、ダイよりキャスティングドラムにシート状に押出し、静電印加冷却法を用いて厚さ200μmの積層未延伸シートを得た。
【0051】
得られた未延伸フィルムをフィルムの流れ方向に83℃で3.0倍、さらにシートの流れと直交する方向に87℃で3.0倍延伸し、235℃で3秒間熱処理を行った後、冷却して、厚み50μmの二軸配向フィルムを製造した。
【0052】
比較例2
平均粒径4.2μmの球状シリカ粒子を用いたほか、比較例1と同様な条件で製膜した。
【0053】
実施例1
テレフタル酸ジメチル85モル%、イソフタル酸ジメチル15モル%、エチレングリコール100モル%、テトラブチルチタネート0.005重量%を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留出とともに反応温度を徐々に上昇させ280℃とした、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、5時間を得た時点で反応を停止、窒素加圧下ポリマーを吹出させ、共重合ポリエステルを得た。
【0054】
得られた共重合ポリエステルに、平均粒子径10μmのシランカップリング剤で処理した球状多孔質シリカ粒子を、含有量が5・0重量%となるようにベント付き二軸押出機を用いて練り込み粒子を含有する共重合ポリエステルを得た。得られた共重合ポリエステルのチップをサブ押出機に供給し、積層未延仲フィルムを作成した以外は比較例1と同じ条件でフィルムを製膜した。
【0055】
比較例3
下記表2に示した粒子を用いた以外は比較例1と同様の条件とした。
【0056】
比較例4
下記表に示した粒子を0.6重量%用いた以外は、比較例1と同様の条件とした。
【0057】
比較例5
粒子含有量を0.1重量%とした以外は比較例1と同様にしてフィルムを得た。
【0058】
比較例6
IV=0・92のポリトリメチレンテレフタレート(PTT)の原料チップを170℃で3時間乾燥後平均粒子径10μmのシランカップリング剤で処理した球状多孔質シリカ粒子を含有量が5・0重量%になるようにベント付き二軸押出機を用いて練り込み粒子を含有するPTTを得た。この原料チップを押出機に供給し240℃〜280℃の温度で溶融しダイより20℃に冷却されたキャスティングドラムにシート状に押出し静電印加法を用いて厚さ200μmの未延仲シートを得た。次に、得られた未延仲フィルムをフィルムも流れ方向に50℃で3・0倍さらにフィルムの流れと直交する方向に60℃で3・0倍延仲し、190℃で3秒間熱処理を行った後冷却して厚み50μmの二軸配向フィルムを得た。以上、得られたフィルムの物性、性能をまとめて下記表1および2に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
※1:フィルムの透明性が高く、散乱透過光の色調の判別不能
【0062】
【発明の効果】
本発明のポリエステルフィルムは、表面に微細な突起を形成し、光学特性の優れたものである。すなわち、フィルム表面が粗面化され印刷性や筆記性に優れ、また、全光線透過率が大きく透過散乱光の色調に変化がなく、艶消し性や光拡散性に優れ、しかも熱収縮率の小さい耐熱性に優れたフィルムであり、通常の製膜工程内で容易に製造できるフィルムである。本発明のフィルムは、例えば、包装材料やラベル、トレーシング用途など印刷性や筆記性が必要な用途、また転写フィルム、照明カバー、電飾看板、採光ガラス用窓貼りフィルム等、艶消し性や各種光源を有効にかつ均一な明るさを確保する用途、さらにワープロやOA機器に使用されている液晶ディスプレイや液晶カラーテレビのバックライト光源の拡散パネル材料等フィルムの耐熱性が求められる用途に有用であり、その工業的価値は高い。
Claims (2)
- 平均粒子径が4.0〜40μmであり、かつボイド径比が2.0以下である、球状または凸レンズ状の粒子を1.0重量%以上含有する、融点が150〜250℃の共重合ポリエステルである粒子含有層と、実質的に粒子を含有しない透明層との2層のポリエステル層からなり、前記粒子含有層中、100μm以上の粒子の割合が1%以下であり、フィルムの熱収縮率が3%以下であることを特徴とする積層ポリエステルフィルム。
- 粒子が、球状多孔質シリカ粒子である請求項1記載の積層ポリエステルフィルム。
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