JPH11348210A - 積層ポリエステルフィルム - Google Patents

積層ポリエステルフィルム

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JPH11348210A
JPH11348210A JP15582498A JP15582498A JPH11348210A JP H11348210 A JPH11348210 A JP H11348210A JP 15582498 A JP15582498 A JP 15582498A JP 15582498 A JP15582498 A JP 15582498A JP H11348210 A JPH11348210 A JP H11348210A
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film
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particle
particles
layer
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JP15582498A
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Kazuo Endo
一夫 遠藤
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Mitsubishi Kagaku Polyester Film KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 均一な表面を有し、走行性、耐摩耗性および
透明性に優れ、グラフィックアーツ、ディスプレー、包
装用、転写マーク用、写真製版、磁気記録媒体、コンデ
ンサー等の電気用等、種々の用途に適用できるフィルム
を提供する。 【解決手段】 平均粒径が0.3〜15μm、下記式
に定義する球形比が0.90〜1.0、下記式に定義
する粒度分布値が1.2〜2.5、比表面積が100〜
600m2 /gである多孔質球状シリカ粒子を0.00
1〜3.0重量%含有する層を少なくとも一つの最外層
として有する二軸延伸積層ポリエステルフィルムであっ
て、全層厚みが5〜250μmでかつ前記最外層が全層
に占める割合が0.01〜0.4であることを特徴とす
る積層ポリエステルフィルム。 【数1】 球形比=粒子の投影面積/粒子投影面における最大径の円相当面積 …… 粒度分布値=d10/d90 …… (上記式中、d10、d90は粒子群の積算体積を大粒子側
から計測し、それぞれ総体積の10%、90%に相当す
る粒径(μm)を示す)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粗大突起が少なく
比較的均一な表面を有し、透明性、平面性および走行性
が高度に改良されたポリエステルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレートに代表され
るポリエステルフィルムは、優れた物理的および化学的
特性を有し、その優れた透明性を生かしてグラフィック
アーツ、ディスプレーおよび包装用等として賞用されて
いる。また、磁気記録媒体のベースフィルムやコンデン
サー誘導体などの分野にも広く用いられている。
【0003】しかしながら、その透明性を十分に生かし
たフィルムを製造しようとする場合には、その製造工程
における工程通過性、塗布や蒸着等の後加工工程あるい
は製品自体の取扱い性の面でフィルムの走行性が特に要
求されるが、従来、このことは必ずしも十分には達成さ
れていなかった。この原因は、多くの場合、フィルムと
基材が高速で接触することによる摩擦、摩耗に起因する
ものであった。
【0004】一般にフィルムの走行性および摩耗特性を
改良するためにはフィルム表面を適度に粗せば良いこと
が分かっている。そしてこの事を達成するために、原料
ポリエステル中に微粒子を存在させる方法が採用されて
おり、一部実用化もされているが、これらの特性を高度
に満足することには必ずしも成功していない。例えば微
粒子としてポリエステル製造時の触媒残渣等からのいわ
ゆる析出粒子を用いた場合は、延伸により析出粒子が破
壊されやすいため、走行性や耐摩耗性が劣り、また再生
使用も困難である。
【0005】また、カオリン、酸化ケイ素、二酸化チタ
ン、リン酸カルシウム等のポリエステルに不活性な無機
化合物粒子を添加した場合は、延伸により粒子が破壊、
変形されることはなく、比較的急峻な突起を与えるた
め、走行性は改良されるが、かかる粒子はポリエステル
との親和性に乏しいため、延伸時に粒子周辺に空隙が生
じ、透明性が著しく低下したり、フィルム表面から粒子
が脱離しやすく、白粉状物質を生成したりするなどの現
象が起こる。
【0006】添加法の一つとしてポリエステルと比較的
親和性の良好なシリカ粒子を用いる方法が知られている
が、かかる粒子は延伸時に比較的変形しやすく、フィル
ム表面に急峻な突起が形成されづらいため、走行性が十
分満足されない場合がある。また、上記シリカ粒子は塊
状で粒度分布は極めて広く、フィルムにした際、フィル
ム表面に多くの粗大突起が存在し、フィルムの平面性お
よび透明性が低下する。
【0007】この二律背反の現象を克服するため、近年
シャープな粒度分布を有する無機粒子を用いることが提
案されている。例えば特開昭62−207356号公報
には単分散性の球状酸化ケイ素粒子が示されている。し
かしながら、上記粒子はポリエステルとの親和性に乏し
いため、延伸条件によっては粒子周辺に空隙が生じ、透
明性の低下や粒子脱落を引き起こす場合がある。このよ
うに、これまで透明性、平面性および走行性を高度に満
足し、かつ必要な他の諸特性を兼ね備えたポリエステル
フィルムは得られていないのが実情である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記実情に
鑑みなされたものであり、その解決課題は、均一な表面
を有し、走行性、耐摩耗性および透明性に優れ、グラフ
ィックアーツ、ディスプレー、包装用、転写マーク用、
写真製版、磁気記録媒体、コンデンサー等の電気用等、
種々の用途に適用できるフィルムを提供することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
に鑑み鋭意検討した結果、ある特定の多孔質球状シリカ
粒子を含有する最外層を有する積層ポリエステルフィル
ムによれば、上記課題を容易に解決できること見いだ
し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の要
旨は、平均粒径が0.3〜15μm、下記式に定義す
る球形比が0.90〜1.0、下記式に定義する粒度
分布値が1.2〜2.5、比表面積が100〜600m
2 /gである多孔質球状シリカ粒子を0.001〜3.
0重量%含有する層を少なくとも一つの最外層として有
する二軸延伸積層ポリエステルフィルムであって、全層
厚みが5〜250μmでかつ前記最外層が全層に占める
割合が0.01〜0.4であることを特徴とする積層ポ
リエステルフィルムに存する。
【0010】
【数2】 球形比=粒子の投影面積/粒子投影面における最大径の円相当面積 …… 粒度分布値=d10/d90 …… (上記式中、d10、d90は粒子群の積算体積を大粒子側
から計測し、それぞれ総体積の10%、90%に相当す
る粒径(μm)を示す)
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明でいう積層ポリエステルとは、例えば全ての層が
口金から共溶融押出される共押出法により押し出された
ものを延伸後、必要に応じて熱固定したものを指す。以
下、二軸延伸積層ポリエステルフィルムとして3層構造
のフィルムについて説明するが、本発明において積層ポ
リエステルフィルムとは、その目的を満たす限り、3層
のフィルムに限定されるものではなく、2層であって
も、4層以上の多層であってもよい。
【0012】本発明でいうポリエステルとは、テレフタ
ル酸またはそのエステルと、エチレングリコールを主た
る出発原料として得られるポリエステルを指すが、他の
第三成分を含有していても構わない。この場合、ジカル
ボン酸成分として、例えばイソフタル酸、フタル酸、
2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、アジ
ピン酸、セバシン酸、およびオキシカルボン酸成分、例
えばp−オキシエトキシ安息香酸等の一種または二種以
上を用いることが可能である。グリコール成分として
は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタ
ンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネ
オペンチルグリコール等の一種または二種以上を用いる
ことができる。いずれにしても本発明のポリエステルは
繰り返し構造単位の80%以上がエチレンテレフタレー
ト単位を有するポリエステルであることが好ましい。
【0013】また、ポリエステルに任意の添加剤、例え
ば、熱安定剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、着色
剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤などを添加してもよい。
本発明の積層ポリエステルフィルムにおいて、最外層と
は表裏2面を構成する層であり、それ以外の層を内層と
呼ぶ。本発明のフィルムの最大の特徴は、最外層に用い
るポリエステルに配合する粒子として、ある特定のシリ
カ粒子を用いる点にある。かかる粒子の製造方法として
は湿式法と呼ばれる方法、例えば珪酸ソーダと塩化カル
シウム等のカルシウム塩類とを反応させ、まずカルシウ
ム・珪酸塩を生成させ、次に鉱酸または炭酸ガスで分解
する方法である。湿式法により得られるシリカ粒子は通
常100〜700m2 /g程度の比表面積を有する多孔
質のシリカ粒子であるが、その形状は不定形であり、か
つ粒度分布は極めて広く所望の粒度分布に達し得ない。
【0014】本発明者は、かかる湿式法シリカの合成法
において、系内の共存イオン、反応温度を始めとする製
造条件を選定することにより、球形で粒度分布の鋭いシ
リカ粒子を製造し得ることを知見した。本発明のフィル
ムにおいて少なくとも一つの最外層を構成するポリエス
テルが含有する多孔質球状シリカ粒子の平均粒径は0.
3〜15μm、好ましくは0.5〜10μmである。平
均粒径が0.3μm未満では、フィルムの走行性や耐摩
耗性が不十分である。また、平均粒径が15μmを超え
ると、フィルムの表面粗度が大きくなり過ぎ、平面性や
透明性が損なわれるようになるので好ましくない。
【0015】本発明において最外層として少なくとも一
つの最外層を構成するポリエステル中の多孔質球状シリ
カ粒子の配合量は0.001〜3重量%、好ましくは
0.005〜2重量%である。配合量が0.001重量
%未満では、フィルムの走行性や耐摩耗性が不十分であ
る。また、配合量が5重量%を超えると、表面粗度が大
きくなり過ぎ平面性や透明性が損なわれるようになるの
で好ましくない。
【0016】本発明において少なくとも一つの最外層を
構成するポリエステルが含有する多孔質球状シリカ粒子
の粒子形状は、フィルムの走行性の点から球形に近い程
好ましい。すなわち、本発明で用いる多孔質シリカ粒子
の球形比は0.90〜1.0、好ましくは0.93〜
1.0、さらに好ましくは0.96〜1.0である。球
形比が0.90未満では走行性が劣るようになるので好
ましくない。
【0017】本発明において少なくとも一つの最外層を
構成するポリエステルが含有する多孔質球状シリカ粒子
の粒度分布値は1.2〜2.5、好ましくは1.5〜
2.3、さらに好ましくは1.6〜2.0である。粒度
分布値が1.2未満では、フィルム製造時にロール状に
巻き上げる際に巻き乱れたり、粒跡が発生したりするよ
うになるので好ましくない。また、粒度分布値が2.5
を超えると、粗大粒子が混入し、フィルムの平面性が損
なわれるようになるので好ましくない。
【0018】さらに、本発明において少なくとも一つの
最外層を構成するポリエステルが含有する多孔質球状シ
リカ粒子の比表面積は100〜600m2 /g、好まし
くは300〜600m2 /g、さらに好ましくは400
〜600m2 /gである。比表面積が100m2 /g未
満では、粒子の多孔質性が失われ、ポリエステルとの親
和性が乏しくなり、延伸時に粒子周辺に空隙が生じ、透
明性の低下や粒子が脱落しやすくなるので好ましくな
い。また、比表面積が600m2 /gを超えると、ポリ
エステルの製造工程で粒子の凝集が生じ、フィルムとし
た際の平面性が損なわれるようになるので好ましくな
い。なお、本発明の粒子は多孔質ではあるが比較的強固
な架橋構造を有し、通常の延伸工程で粒子が変形するこ
とはほとんどない。
【0019】本発明のフィルムの内層は、それ自体多層
構造でもよいが、その際、各層は実質的にポリエステル
層で構成されていることが好ましい。また、積層フイル
ム全体としての透明性を良好に維持するためには、内層
に含まれる粒子の量は少ないのが好ましい。しかしなが
ら、本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じ、粒子
を含有していてもよい。その際の粒子は最外層に含有さ
せる粒子と同じ種類の粒子であるのが好ましい。また、
内層には、本発明の目的を損なわない範囲で、ポリエス
テルとして再生ポリエステルを混合使用することができ
る。
【0020】本発明の積層フイルムの全厚さは、5〜2
50μm、好ましくは6〜200μmの範囲から選択さ
れる。上述の多孔質シリカ粒子を含有する最外層と全層
との厚み比(最外層/全層)は0.01〜0.4、好ま
しくは0.02〜0.2である。最外層/全層が0.0
1未満では、フィルムの厚み制御が困難となるので好ま
しくない。最外層/全層が0.4を超えると透明性が低
下するので好ましくない。
【0021】また、本発明の積層フィルムのフィルムヘ
ーズは、通常5.0%以下、好ましくは3.0%以下、
さらに好ましくは2.0%以下である。フィルムヘーズ
が5.0%を超えると、フィルム表面にシモフリ模様や
虹目模様が生じやすく、例えば蒸着用フィルムとした場
合、蒸着層の光沢が低下することがある。このように本
発明においては、ある特定のシリカ粒子を用いことによ
って初めて所望の効果を得ることができるが、本発明の
要旨を損なわない範囲でさらにフィルム特性を改良する
目的等のために他の粒子を1種以上併用してもよい。
【0022】かかる粒子の一つとして析出粒子を挙げる
ことができる。ここでいう析出粒子とは、例えばエステ
ル交換触媒としてアルカリ金属またはアルカリ土類金属
化合物を用いた系を常法により重合することにより反応
系内に析出するものを指す。また、エステル交換反応あ
るいは重縮合反応時にテレフタル酸を添加することによ
り析出させてもよい。これらの場合、リン酸、リン酸ト
リメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリブチル、酸性
リン酸エチル、亜リン酸、亜リン酸トリメチル、亜リン
酸トリエチル、亜リン酸トリブチル等のリン化合物の一
種以上を存在させておいてもよい。また、エステル化工
程を経る場合にもこれらの方法で不活性物質粒子を析出
させることができる。例えば、エステル化反応終了前ま
たは後にアルカリ金属またはアルカリ土類金属化合物を
存在させ、リン化合物の存在下あるいは非存在下に重合
反応を行う。いずれにしても本発明でいうポリエステル
生成反応中に生成する微細な析出化合物には、カルシウ
ム、リチウム、アンチモン、リン等の元素が一種以上含
まれている。
【0023】また別の例として、いわゆる添加粒子を挙
げることができる。この添加粒子とはポリエステル製造
工程に外部から添加する粒子を指すが、具体的には、カ
オリン、タルク、カーボン、硫化モリブデン、石膏、岩
塩、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、フッ化リチウ
ム、フッ化カルシウム、ゼオライト、リン酸カルシウ
ム、二酸化ケイ素、二酸化チタン等を挙げることができ
る。
【0024】なお、本発明においては、併用する粒子の
平均粒径が本発明のシリカ粒子のそれより大きい場合
は、シリカ粒子と同重量以下、さらには0.005〜
0.5倍重量、特に0.01〜0.3倍重量の範囲から
選択することが好ましい。また逆に、併用する粒子の粒
径の方が小さい場合は、シリカ粒子と同重量以上、例え
ば1〜20倍重量とすることもできる。
【0025】本発明においては、上記特性を満足し、平
均粒径の異なる多孔質球状シリカ粒子を2種以上用いて
もよい。本発明で用いる多孔質球状シリカ粒子を製膜原
料のポリエステルに配合する方法は、特に限定されるも
のではなく、公知の方法を採用し得る。例えば、粒子と
ポリエステルチップとを直接ブレンドすることもできる
が、特にポリエステルの原料となるエチレングリコール
に分散させエチレングリコールスラリーとしてポリエス
テル製造工程のいずれかの段階、好ましくはエステル化
もしくはエステル交換反応終了後、重縮合反応開始前の
段階で添加し、重縮合反応を行うことが好ましい。
【0026】本発明で用いる多孔質球状シリカ粒子の分
散スラリーは、公知の方法で調製することができる。例
えば、粒子とエチレングリコールとを撹拌翼の回転方向
と平行に配置した複数個の剪断翼を持つ高速撹拌機、ホ
モミキサー、超音波分散機等を用いて分散調整すること
ができる。分散スラリーは、スラリー中の粗大粒子およ
び未分散の凝集粒子を除去する目的で、1000メッシ
ュ以上のフィルターで濾過処理することが望ましい。
【0027】このように本発明において特定のシリカ粒
子を積層ポリエステルフィルムの最外層に配合すること
により、得られるポリエステルフィルムの透明性、表面
性および走行性をより高度に改良することができ、例え
ば、磁気テープ・フロッピーディスクをはじめとする磁
気記録媒体、コンデンサー、写真製版用や包装用のベー
スフィルム等の他の分野へも広く適用することができ
る。
【0028】次に、本発明のフィルムの製造方法を具体
的に説明するが、本発明の構成要件を満足する限り、以
下の例示に特に限定されるものではない。共押出方式と
は、目的とする層構成に対応した組成のポリマーを各々
別の溶融押出装置に供給し、各々のポリマーの融点以上
の温度に加熱溶融し、目的とする層構成に対応する積層
状ダイから積層溶融シートとして押し出し、急冷固化し
て得られる実質的に非晶状態の無定形シートを延伸する
方式である。
【0029】共押出方式により積層フイルムを製造する
場合は、例えば、以下のようになる。すなわち、実質的
に微粒子を含まない内層用ポリエステルおよび特定のシ
リカ粒子を所定量含有する最外層用ポリエステルを各々
別の溶融押出装置に供給し、当該ポリエステルの融点以
上の温度に加熱溶融した後、積層ダイから回転冷却ドラ
ム表面に積層溶融シートとして押し出し、回転冷却ドラ
ムによりガラス転移温度以下に急冷固化し、実質的に無
定形シートを得、この無定形シートを二軸延伸してフイ
ルムを得る。
【0030】上記の積層溶融シートを回転冷却ドラム表
面に押し出す際、溶融シートと回転冷却ドラムとの密着
性を高めるため、静電印加密着法が採用される。静電印
加密着法とは、通常、溶融シートの近傍にシートの流れ
と直交する方向に印加電極を張り、当該電極に約5〜1
0kVの直流電圧を印加することにより溶融シートに静
電荷を与え、静電気力により回転冷却ドラムとの密着性
を向上させる方法である。なお、上記静電印加密着法に
は、液体塗布密着法を併用することができる。液体塗布
密着法とは、回転冷却ドラム表面の全体または一部(例
えば、シート両端部が接触する部分のみ)に液体を均一
に塗布することにより、ドラムとシートとの密着性を向
上させる方法である。
【0031】無定形シートを延伸する条件としては、通
常、縦方向(シートの走行方向)に70〜145℃で2
〜6倍に延伸し、縦一軸延伸フイルムとした後、横方向
(幅方向)に90〜160℃で2〜6倍に延伸し、15
0〜250℃で1〜600秒間熱処理することが好まし
い。かかる熱処理において、得られるフイルムの横方向
および縦方向の熱収縮率を好適な範囲とするため、上記
の熱処理工程内または熱処理後に、横方向に10%以
内、好ましくは5%以内の弛緩熱処理した後、さらに縦
方向に0.1〜5%延伸する方法も好ましい。
【0032】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下の
実施例に限定されるものではない。なお、本発明で用い
た物性測定法は以下に示すとおりである。また、実施例
中、「部」および「%」とあるのは各々「重量部」およ
び「重量%」を意味する。
【0033】(1)平均粒径および粒度分布値 粒径は電子顕微鏡による写真法でフィルム中の粒子を測
定し等価球に換算した。粒度分布はフィルム中の粒子約
1000個の粒径を測定し、大粒子側から体積を積算し
た。総体積に対し、10%時の粒径をd10とし、90%
時の粒径をd90としてその比(d10/d90)の値で粒度
分布のシャープさを示した。この値が1に近いほどシャ
ープである。なお、平均粒径はd50(μm)で表され
る。
【0034】(2)球形比 電子顕微鏡によりフィルム中の粒子約1000個の投影
面積と投影面における最大径の円相当面積を求め、下記
式にて球形比を算出した。
【0035】
【数3】球形比=粒子の投影面積/粒子投影面における
最大径の円相当面積
【0036】(3)比表面積 ポリエステルに添加する前の粒子について、全自動表面
測定装置(カルロエルバ社製)を用いて、窒素吸脱着法
にて比表面積を測定した。 (4)極限粘度 ポリマー1gをフェノール/テトラクロルエタン=50
/50 (重量比)の混合溶媒100mlに溶解させ、3
0.0℃で測定した。
【0037】(5)透明性 JIS−K61714に準じ、日本電色工業製分球式濁
度計NDH−20Dによりフィルムヘーズを測定した。 (6)走行性 平滑なガラス板上に、幅15mm、長さ150mmに切
り出したフィルム同士を2枚重ね、その上にゴム板を載
せ、2枚のフィルム接圧を2g/cm2 として、20m
m/分でフィルム同士を滑らせて摩擦力を測定し、5m
m滑らせた点での摩擦係数を動摩擦係数として求めた。
なお、測定は、温度23℃±1℃、湿度50%±5%の
雰囲気下で行った。
【0038】(7)巻き特性 直径15cmの紙管にラインスピード約170m/分で
製造されるフィルムを6000m巻き取り端面の状態を
観察し、次の3ランクに分けた。 A:端面がすべて揃っている B:端面がほぼ揃い、実用可能 C:端面の一部が不揃いである D:端面のかなりの部分が不揃いである
【0039】(8)摩耗特性 白粉発生量により摩耗特性を評価した。すなわち、フィ
ルムを6mmΦの硬質クロム製固定ピンに接触させなが
ら1000mにわたって走行させ、固定ピンに付着した
摩耗白粉量を目視評価し、下記基準で評価を行った。な
お、フィルム速度は13m/分とし、張力は約200
g、固定ピンへの巻き付け角は135°とした。 ランクA:全く付着しない ランクB:微量付着する ランクC:少量(ランクBよりは多い)付着する ランクD:極めて多く付着する
【0040】(9)粗大突起数 試料10mgを秤量し18×18mmのカバーグラスに
はさみ、280〜290℃でプレスし、直径約10mm
のフィルムを作成し、このフィルムを位相差顕微鏡(1
00倍)で観察し、最大長さ10μm以上の粒子をカウ
ントし、粗大突起数とした。 (10)総合評価 ○:優れており、工業的価値が高い △:製造上およびフィルム特性上に一部欠陥があり工業
的価値は低い ×:製造上およびフィルム特性上に大きな欠陥があり工
業的価値は低い
【0041】実施例1 《ポリエステル−Aの製造》ジメチルテレフタレート1
00部とエチレングリコール60部および酢酸マグネシ
ウム・四水塩0.09部を反応器にとり、加熱昇温する
と共にメタノールを留出し、エステル交換反応を行な
い、反応開始から4時間を要して230℃に昇温し、実
質的にエステル交換反応を終了した。次いで平均粒径
3.95μm、球形比0.98、粒度分布値1.85、
比表面積520m2 /gの多孔質球状シリカ粒子0.0
4部をエチレングリコールスラリーとして添加し、さら
にエチレンアシッドフォスフェート0.04部、三酸化
アンチモン0.04部を加えて、4時間重縮合反応を行
い、ポリエチレンテレフタレートを得た。得られたポリ
エステルの極限粘度は0.63、その内部を顕微鏡で観
察したところ粒子が均一に分散していることが確認され
た。
【0042】《ポリエステル−Bの製造》ポリエステル
−Aの製造の製造においてシリカ粒子を添加しない以外
はポリエステル−Aと同様の方法でポリエステル−Bを
製造した。
【0043】《積層ポリエステルフィルムの製造》ポリ
エステル−Bを180℃で4時間乾燥し、285℃に設
定したメインの押出機に、ポリエステル−Aを180℃
で4時間乾燥し、285℃に設定したサブの押出機に送
り込んだ。ここでサブの押出機は異方向回転の二軸押出
機を使用し、メインの押出機は通常のシングルの押出機
を使用した。サブ押出機のポリマーをフィルムの表裏2
層(最外層)に分岐した後、ギヤポンプ、フィルターを
介して、メイン押出機からのポリマーとフィードブロッ
クで合流させシート状に押出し、表面温度を30℃に設
定した回転冷却ドラムで静電印加冷却法を利用して急冷
固化させ、厚み2160μmの実質的に非晶質のシート
を得た。得られた非晶質シートを縦方向に83℃で3.
6倍延伸し、次いで横方向に90℃で4.0倍延伸した
後、230℃で10秒間、幅方向に2%弛緩しながら熱
処理を施し、5μm/140μm/5μmの厚み構成で
全層厚み150μmの二軸配向フィルムを製造した。
【0044】実施例2 フィルム中に配合する粒子および最外層厚さと内層厚さ
とを下記表1に示すようにを変えるほかは実施例1と同
様にして二軸延伸フィルムを得た。
【0045】比較例1〜8 フィルム中に配合する粒子を下記表1〜2に示すように
変えるほかは実施例1と同様にして二軸延伸フィルムを
得た。 比較例9〜10 最外層厚さと内層厚さとを表2に示すようにを変えるほ
かは実施例1と同様にして二軸延伸フィルムを得た。 比較例11〜12 フィルム中に配合する粒子を下記表3に示すように変え
るほかは実施例1と同様にして二軸延伸フィルムを得
た。
【0046】実施例3〜4 フィルム中に配合する粒子を下記表4に示すように変え
るほかは実施例1と同様にして二軸延伸フィルムを得
た。なお、実施例3で用いた酸化アルミニウムは熱分解
法により得られたデルタ型の結晶型を有するものであ
り、また、実施例4の析出粒子はカルシウム元素、リチ
ウム元素、およびリン元素をそれぞれ1重量%以上含む
粒子である。以上、得られた結果をまとめて下記表1〜
4に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】
【発明の効果】本発明のフィルムは均一な表面を有し、
走行性、耐摩耗性および透明性に優れ、グラフィックア
ーツ、ディスプレー、包装用、転写マーク用、写真製
版、磁気記録媒体、コンデンサー等の電気用等、種々の
用途に適用でき、その工業的価値は高い。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒径が0.3〜15μm、下記式
    に定義する球形比が0.90〜1.0、下記式に定義
    する粒度分布値が1.2〜2.5、比表面積が100〜
    600m2 /gである多孔質球状シリカ粒子を0.00
    1〜3.0重量%含有する層を少なくとも一つの最外層
    として有する二軸延伸積層ポリエステルフィルムであっ
    て、全層厚みが5〜250μmでかつ前記最外層が全層
    に占める割合が0.01〜0.4であることを特徴とす
    る積層ポリエステルフィルム。 【数1】 球形比=粒子の投影面積/粒子投影面における最大径の円相当面積 …… 粒度分布値=d10/d90 …… (上記式中、d10、d90は粒子群の積算体積を大粒子側
    から計測し、それぞれ総体積の10%、90%に相当す
    る粒径(μm)を示す)
  2. 【請求項2】 フィルムヘーズが5.0%以下であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の積層ポリエステルフィル
    ム。
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