JP5215234B2 - 光学用ポリエステルフィルム - Google Patents
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Description
基材フィルムは、ポリエステルからなる二軸配向フィルムである。二軸配向フィルムでないと熱収縮率が高くなり、液晶表示装置のバックライトユニットの光源からの熱によって、フィルムが変形したり、バックライトユニットの輝度斑が発生することがある。
基材フィルムのうえに塗設されたバインダー層の厚みは5〜100nmである。この厚みは、凸レンズ状粒子を除いたバインダー層の塗膜の厚みである。厚みが5nm未満であると凸状レンズ粒子がはがれやすくなり、100nmを超えると十分な光学特性が得られない。
凸レンズ状粒子は凸レンズの形状をした粒子であり、球状粒子は凸レンズ状粒子に該当しない。典型的な凸レンズ状粒子として、例えば、外側に凸の曲率の異なる2つの部分球面に囲まれた形状の粒子、外側に凸の中心の異なる2つの部分球面に囲まれた形状の粒子、外側に凸の部分球面と平面に囲まれた形状の粒子、これらの粒子において部分球面が球面以外の曲面に置き換わった形状の粒子、外側に凸の部分球面と外側に凹の部分球面に囲まれた形状の粒子、これらの粒子において部分球面が球面以外の曲面に置き換わった形状の粒子を挙げることができる。
凸レンズ状粒子の平均粒径は5〜100μm、好ましくは5〜80μm、さらに好ましくは5〜70μmである。この範囲の平均粒径であることで、集光効果と光拡散性を両立させることができる。
被覆率(%)=凸レンズ状粒子による被覆面積/観察面積×100
本発明の光学用ポリエステルフィルムは、例えば以下のようにして製造することができる。なお、基材フィルムのポリエステル融点をTm、ガラス転移温度をTgと表記する。
すなわち、基材フィルムを構成するポリエステルを溶融した状態で、例えばTm〜(Tm+70)℃の温度でダイから押出して未延伸フィルムとする。この未延伸フィルムを、一軸方向(縦方向または横方向)に(Tg〜Tg+40)℃の温度で3倍以上の倍率で延伸する。次いで、凸レンズ状粒子を所定量含有するバインダーの塗液を、フィルムの片面または両面に塗布する。次いで、上記延伸方向と直角方向にTg〜(Tg+70)℃の温度で3倍以上の倍率で延伸する。延伸により得られた二軸配向フィルムを、(Tg+70)℃〜(Tm−10)℃の温度範囲で熱固定する。
被覆率は、電子顕微鏡(SEM)にて、加速電圧200kV、倍率1000倍で撮影したフィルムの表面写真から算出した。凸レンズ状粒子の凸面の中心軸(凸面の回転対称軸)がフィルムの法線方向から0〜80°の方向を向いている凸レンズ状粒子を、フィルム表面を被覆しているものとみなして、凸レンズ状粒子によるフィルム表面の被覆面積を算出した。そして観察した領域の面積を基準として、下記式で被覆率を算出した。
被覆率(%)=凸レンズ状粒子による被覆面積/観察面積×100
原料の凸レンズ状粒子について、平均粒径を測定した。測定は、島津製作所製「CP−50型Centrifugal Particle Size Analyzer」を用いて行った。この測定器によって得られる遠心沈降曲線をもとに算出した各粒径の粒子とその存在量とのcumulative曲線から、50mass percentに相当する粒径を読み取り、この値を平均粒径とした(参照「粒度測定技術」、242〜247頁、日刊工業新聞社、1975年発行)。
フィルムを厚み方向にミクロトームで切断し、切断面を(株)日立製走査型電子顕微鏡S−4700にて観察し、粒子もしくはフィラーの断面積に対するボイド断面積の割合を計算した。少なくとも10点について粒子もしくはフィラーの断面積に対するボイド断面積の割合を算出してその平均により、下記の評価基準でボイドを評価した。
○: ボイド断面積が30%以下
△: ボイド断面積が30%超、50%以下
×: ボイド断面積が50%超
各層をそれぞれ分離して得たサンプル10mgを測定用のアルミニウム製パンに封入して示差熱量計(デュポン社製・V4.OB2000型DSC)に装着し、25℃から20℃/分の速度で300℃まで昇温させ、融点を測定し、300℃で5分間保持した後取出し、直ちに氷の上に移して急冷した。このパンを再度、示差熱量計に装着し、25℃から20℃/分の速度で昇温させて、ガラス転移温度を測定した。
JIS K7361に準じ、日本電色工業社製のヘーズ測定器(NDH−2000)を用いてフィルムの全光線透過率を測定した。
JIS K7136に準じ、日本電色工業社製のヘーズ測定器(NDH−2000)を用いてフィルムのヘーズ値を測定した。
比較例1のとおり、凸レンズ状粒子を坦持したバインダー層を設けずに基材フィルムを製膜して、この基材フィルムのうえに下記(10)のプリズムシートの作成方法に従ってプリズムを形成し、プリズムシートを作成した。このプリズムシートを輝度評価の基準として用いた。このプリズムシートを、「基準プリズムシート」という。
まず、基準プリズムシートの中心がバックライトの対角線中心と重なるように、バックライトユニット(反射シート/CCFL/拡散ボードまたは導光板/拡散シート)のうえに基準プリズムシートを配置し、基準プリズムシート表面と輝度計の間隔が50cmになるように大塚電子(株)製輝度計MC−940を設置し、正面輝度を測定した。このときの輝度を「基準輝度」とした。
つぎに、評価対象のフィルムのうえに基準プリズムシートの場合と同様にしてプリズムを形成し、プリズムシートを作成した。このプリズムシートの中心が、バックライトの対角線中心と重なるようにバックライトユニット(反射シート/CCFL/拡散ボードまたは導光板/拡散シート)のうえにプリズムシートを配置し、プリズムシート表面と輝度計の間隔が50cmになるように大塚電子(株)製輝度計MC−940を設置し、正面輝度を測定した。この輝度を「サンプル輝度」とする。
相対輝度(%)=サンプル輝度/基準輝度
○: 相対輝度100%超 ・・・良好
△: 相対輝度98〜100% ・・・やや良好
×: 相対輝度98%未満 ・・・不良
この測定では、バックライトユニットには、エッジライト型バックライトユニットとして下記のSharp製AQOUSを用い、直下型バックライトユニットとして下記の松下電器産業製液晶テレビVIERAを用いた。
(イ)エッジライト型バックライトユニット
Sharp製AQOUS LC−15S4(15インチ)のバックライトユニット
バックライトユニット構成: 反射板/CCFL/導光板/拡散シート
なお、反射板、CCFL、導光板、拡散シートについては、Sharp製 AQOUS LC−15S4に使用されているものを使用した。
(ロ)直下型バックライト
松下電器産業製液晶テレビ VIERA TH−LX80(32インチ)のバックライトユニット
バックライトユニット構成: 反射板/CCFL/拡散板/拡散シート
なお、反射板、CCFL、拡散板、拡散シートについては、松下電器産業製液晶テレビVIERA TH−LX80(32インチ)に使用されているものをそのまま使用した。
松下電器産業製液晶テレビVIERA TH−LX80(32インチ)からバックライトユニットを取出して、光拡散ボード上に評価対象のフィルムを載せ、大塚電子(株)製輝度計MC−940で、中心点左右にある蛍光管上(a)と、さらに隣接する蛍光管の間の上(b)をそれぞれ3箇所ずつについて輝度(cd/m2)を測定した。輝度相対値を下記式で算出して、輝度斑の評価とした。なお、蛍光管同士の間隔が23mmであった。
輝度相対値=輝度(a)/輝度(b)
○: 相対輝度値が1.1以下
△: 相対輝度値が1.1を超え1.2以下
×: 相対輝度値が1.2を超え1.3以下
フィルムサンプルをエレクトリックマイクロメーター(アンリツ製 K−402B)にて、10点厚みを測定し、平均値をフィルム厚みとした。
得られたフィルムに、UV硬化樹脂(Microsharp製 MCL555、屈折率=1.58)を塗布し、その塗布面にプリズムシートの形状を掘り込んだ版を重ね、メタルハライドランプにより300mJ/cm2の照射条件でUV光を照射し、プリズムが密にフィルムの表面に配置されたプリズムシートを形成した。プリズムの形状は次のとおりであり、プリズムの概略図を図2に示す。
・断面の形状: 頂角90°、底角45°二等辺三角形
・高さ: 25μm
・頂角と頂角との間隔:50μm
なお、実施例3は、凸レンズ状粒子を坦持したバインダー層/基材フィルの2層構成であり、基材フィルム面にプリズムを形成した。
凸レンズ状粒子を坦持したバインダー層/基材フィルム/凸レンズ状粒子を坦持したバインダー層の層構成の光学用フィルムを作成した。
平均粒径1.7μmの塊状シリカフィラーをポリエチレンテレフタレートに0.08重量%になるように配合したポリエステル組成物を溶融し、ダイから押し出してキャスティングドラム上で急冷して未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを、75℃で余熱し、下記の塗剤をバインダー層の乾燥後の厚みが100nmになるように塗布し、延伸温度110℃で縦方向に3.3倍に延伸し、さらに、110℃で余熱し、延伸温度130℃にて横方向に3.6倍に延伸した。その後、結晶化ゾーンにて235℃で熱処理して、光学フィルムを得た。なお、熱処理する際に、フィルムの熱収縮率を調節するために、縦方向1.5%および横方向2.0%に弛緩した。
(A)共重合ポリエステル(Tg=68℃) 60重量%
ジカルボン酸成分:テレフタル酸(90モル%)
イソフタル酸(6モル%)
5−スルホイソフタル酸カリウム(4モル%)
ジオール成分: エチレングリコール(95モル%)
ネオぺンチレングリコール(5モル%)
(B)N,N’−エチレンビスカプリル酸アミド 5重量%
(C)アクリル共重合体(数平均分子量:248000) 20重量%
組成:メチルアクリレート(65モル%)
エチルアクリレート(28モル%)
2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2モル%)
N−メチロールメタクリルアミド(5モル%)
(D)凸レンズ状粒子(竹本油脂製SPT、平均粒径8μm) 10重量%
(E)ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル 5重量%
評価結果を表1に示す。
凸レンズ状粒子を平均粒径20μmのもの(竹本油脂製SPT)に変更した他は実施例1と同様にして、光学用ポリエステルフィルムを得た。
層構成を、凸レンズ状粒子を坦持したバインダー層/基材フィルムとし、凸レンズ状粒子を平均粒径70μmのもの(竹本油脂製SPT)に変更した他は実施例1と同様にして、光学用ポリエステルフィルムを得た。
凸レンズ状粒子を坦持したバインダー層を設けない他は実施例1同様にして基材フィルムを製膜した。
バインダー層に凸レンズ状粒子を坦持させない他は実施例1と同様にして光学用ポリエステルフィルムを得た。
凸レンズ状粒子を平均粒径3μmのもの(竹本油脂製SPT)に変更した他は実施例1と同様にして、光学用ポリエステルフィルムを得た。
凸レンズ状粒子を平均粒径120μmのもの(竹本油脂製SPT)に変更した他は実施例1と同様にして、光学用ポリエステルフィルムを得た。
Claims (3)
- 基材フィルム、その上に塗設された厚み5〜100nmのバインダー層および該バインダー層により基材フィルム上に担持された平均粒径5〜100μmの凸レンズ状粒子からなることを特徴とする、光学用ポリエステルフィルム。
- 凸レンズ状粒子が、半球レンズ状粒子またはお椀型レンズ状粒子である。請求項1記載の光学用ポリエステルフィルム。
- 凸レンズ状粒子によるフィルム表面の被覆率が10%以上である、請求項1記載の光学用ポリエステルフィルム。
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