JP3986920B2 - ポリエステルフィルムおよび光拡散板 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はポリエステルフィルムに関し、窓貼り用、光拡散シート用、建材張合わせ用、傷つき防止リーダーテープ用などに使用でき、中でも光拡散シート用として好ましく使用でき、更に詳しくは高輝度で光拡散性の優れた、パーソナルコンピュータ(以下『パソコン』と略記することがある)用の液晶ディスプレイ用光拡散シートに適合したポリエステルフィルムまたは積層ポリエステルフィルムおよびそれを用いた光拡散シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、パソコンが急速に普及しつつあり、特に携帯性のよいノート型や省スペースのデスクトップ型の割合が増加している。それに伴い、液晶ディスプレイの需要増と大画面化が進行している。従って、液晶ディスプレイ用光拡散板に関しても種々の特性が新たに要求されている。それに対応する代表的なものの一つに、拡散板の裏側面に多数個の突起が設けられ、導光板とのスティッキングを防止し、液晶表示装置の輝度ムラを抑える構造があり、特開平11−30708号公報に記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このように、拡散板が、高い面輝度や広い視野角を持ち、その機能を十分に発揮するためには、拡散板の基材フィルムにも、従来品以上の光線透過率や光拡散性、および光線の主軸をフィルム面と垂直方向に向ける機能が求められ、更に、突起を付与するための樹脂ビーズとの接着性の改良が求められている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の高光拡散性であり、かつ、視野角を大きくできる光拡散シート用フィルムの実現を目指して鋭意検討した結果、従来品より優れた光拡散性、全光線透過率を併せ持ち、可視光領域の反射率の小さいポリエステルフィルムを得ることができることを見出し、本発明に到達した。
【0005】
すなわち、本発明は、二つ以上の層からなる、光拡散シート用積層ポリエステルフィルムであって、最外層の少なくとも一つの層が平均粒径が1〜30μmの不活性粒子を0.1〜5重量%含有し、該光拡散シート用積層ポリエステルフィルムは、厚みが50μm以上150μm以下であり、少なくとも一軸に配向され、ヘーズ値が0.1〜30%、全光線透過率が80〜100%、波長200〜700nmの光線反射率が0〜10%、相対正面輝度率が0.20〜0.95であって、不活性粒子を最も多く含む層が前記最外層の少なくとも一つの層であって、その層厚が光拡散シート用積層ポリエステルフィルム全体の厚みの10〜50%であり、不活性粒子の短径/長径の比率が0.8以上1以下であり、25%粒子径D25と75%粒子径D75との比率D25/D75が0.5〜1であり、不活性粒子の平均粒径DAVGと不活性粒子を最も多く含む層の層厚Tとの比率DAVG/Tが0.15〜2.5であることを特徴とする光拡散シート用積層ポリエステルフィルムである。
【0006】
本発明の光拡散シート用積層ポリエステルフィルムの少なくとも片面には、易接着性の塗膜層が形成されていてもよい。
【0007】
本発明は、好ましい態様として、上記の光拡散シート用積層ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、アクリル系樹脂に対して易接着性の塗膜層が形成されている光拡散シート用積層ポリエステルフィルムを含む。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】
[ポリエステル]
本発明でいうポリエステルとは、芳香族ジカルボン酸を主たる酸成分とし、脂肪族グリコールを主たるグリコール成分とする熱可塑性ポリエステルであって、実質的に線状であり、フィルム形成性、特に溶融成形によるフィルム形成性を有するものである。
【0010】
これらのポリエステルのうち、テレフタル酸を主たる酸成分とし、エチレングリコールを主たるグリコール成分とするポリエチレンテレフタレートのホモポリマーまたはコポリマー(共重合ポリエチレンテレフタレート)、或いはナレフタレンジカルボン酸を主たる酸成分とし、エチレングリコールを主たるグリコール成分とするポリエチレンナフタレンジカルボキシレートのホモポリマーまたはコポリマー(共重合ポリエチレンナフタレンジカルボキシレート)が好ましく、特に、ポリエチレンテレフタレートのホモポリマーまたはポリエチレンナフタレンジカルボキシレートのホモポリマーが好ましい。
【0011】
ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートは、主たるジカルボン酸成分がナフタレンジカルボン酸であり、主たるグリコール成分がエチレングリコールであるが、ナフタレンジカルボン酸としては、たとえば2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸等を挙げることができ、これらの中で2,6−ナフタレンジカルボン酸が特に好ましい。
【0012】
尚、主たるとは、本発明のフィルムの成分であるポリマーの構成成分において全繰返し単位の少なくとも90mol%以上を占める成分のことであり、例えば、エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート単位が90mol%以上であることを意味する。更に好ましくは95mol%以上であることを意味する。
【0013】
ポリエステルが、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを主成分とするコポリマーの場合は、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートフィルム本来の特性を極端に失うことがなく、絶縁特性、機械特性および熱寸法安定性を確保できればよい。
【0014】
ポリエチレンテレフタレートのホモポリマーまたはコポリマーは、例えば、テレフタル酸と、エチレングリコールとを(必要に応じて共重合成分を加えて)重縮合反応させて製造することができる。或いは、テレフタル酸のアルキルエステル(例えば、ジメチルエステル)とグリコールとを(必要に応じて共重合成分を加えて)エステル交換反応させた後重縮合させるか、あるいはテレフタル酸のビスグリコールエステルを重縮合させる等の方法によっても製造することができる。
【0015】
ポリエチレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレートのホモポリマーまたはコポリマーは、例えば、2,6-ナレフタレンジカルボン酸と、エチレングリコールとを(必要に応じて共重合成分を加えて)重縮合反応させて製造することができる。或いは、2,6-ナレフタレンジカルボン酸のアルキルエステルとグリコールとを(必要に応じて共重合成分を加えて)エステル交換反応させた後重縮合させるか、あるいは2,6-ナレフタレンジカルボン酸のビスグリコールエステルを重縮合させる等の方法によっても製造することができる。
【0016】
本発明におけるポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートのホモポリマーが特に好ましいが、第三成分を共重合したコポリマーであっても良い。
【0017】
共重合ポリエチレンテレフタレートとしては、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートをその最適例としてあげることができる。このイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートは、イソフタル酸が5mol%以下であることが好ましい。また、イソフタル酸以外の共重合成分または共重合アルコール成分が、その特性を損なわない範囲、例えば全酸成分又は全アルコール成分に対して3モル%以下の割合で、共重合されていてもよい。該共重合酸成分としてはフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の如き芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸等の如き脂肪族ジカルボン酸等が例示でき、またアルコール成分としては1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の如き脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールの如き脂環族ジオール等を例示することができる。これらは単独または二種以上を使用することができる。
【0018】
ポリエチレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレートのコポリマーの場合は、主たる成分のエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート以外のコポリマーを構成する共重合成分としては、分子内に2つのエステル形成性官能基を有する化合物を用いることができ、かかる化合物として例えば、蓚酸、アジピン酸、フタル酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、テトラリンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸等の如きジカルボン酸、p−オキシ安息香酸、p−オキシエトキシ安息香酸等の如きオキシカルボン酸、或いはプロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、シクロヘキサンメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールスルホンのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ジエチレングリコール、ポリエチレンオキシドグリコール等の如き2価アルコール類等を好ましく用いることができる。
【0019】
これらの化合物は1種のみでなく2種以上を同時に用いることができる。またこれらの中で好ましくは酸成分としてはイソフタル酸、テレフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、P−オキシ安息香酸、グリコール成分としてはトリメチレングリコール、ヘキサメチレングリコールネオペンチルグリコール、ビスフェノールスルホンのエチレンオキサイド付加物である。
【0020】
また、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートは例えば安息香酸、メトキシポリアルキレングリコールなどの一官能性化合物によって末端の水酸基および/またはカルボキシル基の一部または全部を封鎖したものであってもよく、或いは例えば極く少量のグリセリン、ペンタエリスリトール等の如き三官能以上のエステル形成性化合物で実質的に線状のポリマーが得られる範囲内で共重合したものであってもよい。
【0021】
本発明におけるポリエステルは従来公知の方法で、例えばジカルボン酸とグリコールの反応で直接低重合度ポリエステルを得る方法や、ジカルボン酸の低級アルキルエステルとグリコールとを従来公知のエステル交換触媒である、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、ストロンチウム、チタン、ジルコニウム、マンガン、コバルトを含む化合物の一種または二種以上を用いて反応させた後、重合触媒の存在下で重合が行なわれる。重合触媒としては三酸化アンチモン、五酸化アンチモンのようなアンチモン化合物、二酸化ゲルマニウムで代表されるようなゲルマニウム化合物、テトラエチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラフェニルチタネートまたはこれらの部分加水分解物、蓚酸チタニルアンモニウム、蓚酸チタニルカリウム、チタントリスアセチルアセトネートのようなチタン化合物が挙げられる。
【0022】
エステル交換反応を経由して重合を行う場合は、重合反応前にエステル交換触媒を失活させる目的でトリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ−n−ブチルホスフェート、正リン酸等のリン化合物が添加されるが、リン元素としてのポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート中の含有量は20〜100ppmであることがポリエステルの熱安定性の点から好ましい。
【0023】
なお、ポリエステルは溶融重合後これをチツプ化し、加熱減圧下または窒素などの不活性気流中において固相重合することもできる。
【0024】
いずれにしても本発明においてポリエステルは、エチレンテレフタレート単位またはエチレン−2,6−カルボキシレート単位を90モル%以上、好ましくは95モル%以上、更に好ましくは97モル%以上有するポリエステルが好ましい。
【0025】
ポリマーの固有粘度は0.40dl/g以上であることが好ましく、0.40〜0.90dl/gであることがさらに好ましい。固有粘度が0.40dl/g未満では工程切断が多発することがある。また0.90dl/gより高いと溶融粘度が高いため溶融押出しが困難になり、重合時間が長く不経済であり好ましくない。
【0026】
ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートは、原則としていずれか1種を用いるべきであり、いずれかを3重量%以上混合することは好ましくない。
【0027】
[添加粒子]
本発明のポリエステルフィルムはそのフィルム表面に多数の微細な突起を有するものである。これらの多数の微細な突起は、ポリエステル中に分散して含有される多数の不活性粒子に由来する。
【0028】
本発明のポリエステルフィルム中に添加される不活性粒子は特に限定されないが、好ましいものの一つとして球状シリカ粒子を挙げることができる。球状シリカ粒子は、上述の条件を満たせば、その製法、その他に何ら限定されるものではない。
【0029】
例えば、球状シリカ粒子は、オルトケイ酸エチル[Si(OCH)]の加水分解から含水シリカ[Si(OH)]単分散球を作り、さらにこの含水シリカ単分散球を脱水化処理して下記シリカ結合を三次元的に成長させることで製造できる(日本化学会誌、’81,No.9,P.1503)。
【0030】
【化1】
≡Si−O−Si≡ …シリカ結合
【0031】
【化2】
Si(OC254+4H2
→ Si(OH)4+4C25OH
≡Si−OH+HO−S≡
→ ≡Si−O−Si≡+H2
本発明において、ポリエステルフィルム中には、平均粒径が1〜30μmの不活性粒子を、ポリエステルに対して0.1〜5重量%配合させることが必要であり、この配合割合は好ましくは0.2〜3重量%である。
【0032】
不活性粒子の平均粒径が1μm未満であると、所望の光拡散性を得ようとした時に全光線透過率の低下が著しくなる。また、平均粒径が30μmを超えると、ポリエステルフィルムの延伸工程で切断が多発して生産性が低下するだけでなく、粒子の脱落が発生する。
【0033】
また、不活性粒子の添加量が0.1重量%未満であると、光の拡散性が不足し、光拡散板に輝度斑を生じる。一方、5重量%を超えると全光線透過率が80%未満になる。
【0034】
本発明において、不活性粒子の短径/長径は0.8以上1以下であることが好ましく、25%粒子径をD25、75%粒子径をD75とするとき、D25/D75が0.5〜1であることが好ましい。不活性粒子の短径/長径が0.8未満の場合、光の散乱が少なく、吸収が増加することがあり好ましくない。また、D25/D75が0.5未満であると、不活性粒子の粒径分布がブロードであり、上記したように、好ましくない小粒径の粒子と大粒径の粒子が増加するので好ましくない。
【0035】
不活性球子のポリエステルヘの添加時期は、ポリエステルの重合完了前であることが好ましく、エステル交換反応の終了前に(好ましくはグリコール中のスラリーとして)反応系中に添加することが好ましい。
【0036】
尚、本発明における「平均粒径」とは、測定した全粒子の50重量%の点にある粒子の「等価球形直径」を意味する。「等価球形直径」とは粒子と同じ容積を有する想像上の球(理想球)の直径を意味し、粒子の電子顕微鏡写真又は通常の沈降法による測定から計算することができる。
【0037】
[ポリエステルフィルム]
本発明の光拡散シート用積層ポリエステルフィルムは、その最外層の少なくとも一つが平均粒径が1〜30μmの不活性粒子を0.1〜5重量%含有する。そして、該光拡散シート用積層ポリエステルフィルムは、厚みが50μm以上150μm以下であり、少なくとも一軸に配向され、ヘーズ値が0.1〜30%、全光線透過率が80〜100%、波長200〜700nmの光線反射率が0〜10%、相対正面輝度率(フィルム無しで測定したときの面光源の正面輝度を1とし、その上にフィルムを置いて測定した正面輝度)が0.20〜0.95のものである。
【0038】
ポリエステルフィルムの厚みが50μm未満であるとフィルムの剛性が不足して腰が弱く、加工時に平面性が失われたり、傷を生じたりし易い。一方、厚みが150μmを超えると腰が強すぎて加工作業性が悪く、全光線透過率が低下する。
【0039】
ポリエステルフィルムのヘーズ値が30%を超えると、液晶拡散板に要求される輝度が得られない。一方、ヘーズ値を0.1%未満にして光拡散性を両立させることは困難である。
【0040】
本発明のポリエステルフィルムの全光線透過率は、80〜100%であることが必要である。全光線透過率が80%未満であると、液晶拡散板に要求される輝度が得られない。
【0041】
本発明のポリエステルフィルムの波長200〜700nmにおける光線反射率は、0〜10%であることが必要である。この光線反射率は、波長200〜700nmにおいて測定された反射率の中で最大のものをいう。光線反射率が10%を超えると、全透過率80%以上を確保できなくなる。
【0042】
本発明におけるポリエステルフィルムは、相対正面輝度率が0.20〜0.95のものである。この相対ピーク輝度比が0.20未満の場合、輝度の低下が大きく、液晶画面が暗くなり、実用できない。一方、0.95を超える場合は、フィルムの光拡散性が無く、アクリルビーズを付着させても光拡散が不十分で液晶画面に輝度ムラを生じ、実用できない。
【0043】
[積層ポリエステルフィルム]
本発明の光拡散シート用積層ポリエステルフィルムは、2層以上の積層フィルムであって、最外層の少なくとも片面は、前記のように、平均粒径が1〜30μmの不活性粒子を0.1〜5重量%含有するポリエステルフィルムであって、この層の総厚みが50μm以上150μm以下、ヘーズ値が0.1〜30%、全光線透過率が80〜100%以上、波長200〜700nmの光線反射率が0〜10%、相対正面輝度率が0.20〜0.95のものである。
【0044】
不活性粒子の短径/長径が0.8以上1以下であり、25%粒子径をD25、75%粒子径をD75とするとき、D25/D75が0.5〜1であることが好ましくさらに好ましくは0.7〜1である。0.5未満であると拡散光斑が大きすぎて高解像度液晶画面、XGAより上等な画面に対する輝度斑が発生し好ましくない。
【0045】
不活性粒子を最も多く含むポリエステルフィルム層の厚みは積層ポリエステルフィルムの全厚みに対し10〜50%であり、添加する不活性粒子の平均粒径DAVGと、不活性粒子を最も多く含む層の層厚Tの比DAVG/Tが0.15〜2.5である。AVG/Tが0.15未満であると、目標とする全光線透過率が得られない。
また、2.5を超えると、光拡散性が低下する。
【0046】
全厚みの50〜90%である該層以外の部分は、ポリエステルの種類は同質のものが好ましく、不活性粒子は該層のものと同種であり、含有量はより少量であることが好ましい。ポリエステルを同質にすることにより、層界面での光反射を無くし、積層フィルムに発生しがちなカール性を防止できる。不活性粒子の含有量を少なくすることにより、全光線透過率を大きくでき、製品にならなかった回収原料の有効活用が図れる。
【0047】
[易接着性の塗膜層]
本発明におけるポリエステルフィルムまたは積層ポリエステルフィルムは、少なくとも片面にアクリル樹脂に対する易接着性の塗布膜を形成させることができる。この塗膜層は、特に限定されないが、(A)共重合ポリエステル、(B)アクリル樹脂および(C)滑剤としての微粒子を主成分とするものが好ましい。
【0048】
上記共重合ポリエステル(A)は基−SO3M(ここで、Mは−SO3と同当量の金属原子、アンモニウム基、第4級アミンまたは第4級ホスホニウム基を示す)を有するジカルボン酸成分を全ジカルボン酸成分の8〜20モル%、好ましくは9〜16モル%を占める。基−SO3Mの含有量が上記の範囲であることにより、本発明のポリエステルフィルムの樹脂ビーズ、特にアクリル樹脂ビーズとの接着性が優れる結果となる。
【0049】
上記の基−SO3Mにおいて、Mはリチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属原子、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属原子が好ましく、特にナトリウムおよびカリウムが好ましい。また、Mとしてアンモニウム基、テトラエチルアンモニウム基、テトラブチルホスホニウム基も好ましい。
【0050】
基−SO3Mを含むジカルボン酸成分として下記式(1)〜(5)で表わされる化合物を挙げることができる。これらは単独で、あるいは二種以上を併用して共重合ポリエステルに含まれ得る。
【0051】
【化3】
Figure 0003986920
【0052】
共重合ポリエステル構成する他のジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、アンスラセンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバチン酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、その他ダイマー酸などを挙げることができる。これらは二種以上共重合ポリエステル中に含まれ得る。共重合ポリエステルは、酸成分としてさらに上記のジカルボン酸と共にマレイン酸、フマール酸、イタコン酸などを含むことができる。
【0053】
共重合ポリエステルを構成するグリコール成分として、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール(1,4−ブタンジオール)、ペンタメチレングリコール、ネオペンチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコールなどの炭素数2〜10のアルキレングリコール、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族ジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどのジアルキレングリコール、ハイドロキノン、レゾルシン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ジヒドロキシジメチルベンゼンの如き芳香環を有するジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどの如きポリアルキレングリコール(ポリオキシアルキレンレングリコール)、その他ビスフェノールA/アルキレンオキシド付加物、ハイドロキノン/アルキレンオキシド付加物などを挙げることができる。
【0054】
共重合ポリエステルは前述のジカルボン酸成分およびグリコール成分以外にp−ヒドロキシ安息香酸、p−(β−ヒドロキシエトキシ)安息香酸などのヒドロシカルボン酸成分を少量含むことができる。
【0055】
さらに共重合ポリエステルは、前述のジカルボン酸成分、グリコール成分およびヒドロキシカルボン酸成分以外に、架橋が実質的に生起しない範囲の少量の割合で、多官能性成分を含むことができる。多官能性成分としてはトリメリット酸、ジメチロールプロピオン酸、グリセリン、トリメチロールプロパンなどを挙げることができる。
【0056】
共重合ポリエステルの数平均分子量は4000〜27000であることが好ましい。また共重合ポリエステルのガラス転移点は40〜80℃、好ましくは45〜75℃である。共重合ポリエステルのガラス転移点が上記範囲であることにより、本発明の拡散板用ポリエステルフィルムがブロッキング性に優れ、かつ透明性を維持することが可能となる。
【0057】
このような共重合ポリエステルはそれ自体公知の方法で製造することができる。例えば、前記の基−SO3Mを含むジカルボン酸、その他のジカルボン酸およびグリコールを出発原料としてエステル化反応、あるいはエステル交換反応を行い引き続き重縮合反応を行うことにより容易に得ることができる。所望のガラス転移点を有する共重合ポリエステルは、あらかじめ予備実験により酸成分組成およびグリコール成分組成とガラス転移点との関係を知ることができるので、その知見に基づいて容易に製造することができる。
【0058】
塗膜層を構成する(B)アクリル系樹脂のガラス転移点は、25〜70℃、好ましくは40〜66℃である。ガラス転移点が上記範囲であることにより、本発明の拡散板用フィルムは接着性に優れる共に耐ブロッキング性および透明性が維持され得る。
【0059】
上記アクリル系樹脂としては、メタアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、グリシジルメタクリレート、アクリロニトリル、β−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリル酸アンモニウムなどのアクリル系モノマーの重合体あるいは共重合体、さらには、上記のモノマーとスチレンで例示される少量割合のビニルモノマーとの共重合体を挙げることができる。なお、アクリル系樹脂は非架橋である。
【0060】
このアクリル系樹脂は、塗膜層用塗液を水性塗液として調製することの容易さから、水溶性のものであることが好ましい。
【0061】
本発明における(C)滑剤としての微粒子は平均粒径0.01〜1μmのものが好ましい。そして架橋アクリル系樹脂、架橋ポリスチレン系樹脂、架橋メラミン樹脂で例示される有機系微粒子;酸化珪素、酸化チタン、タルク、カオリン、酸化アルミニウム、カーボン、炭化珪素で例示される無機系微粒子を本発明における(C)微粒子として用いることができる。
【0062】
(A)共重合ポリエステル、(B)アクリル系樹脂および(C)微粒子の割合は、これらの合計量を基準として、共重合ポリエステルが20〜80重量%、アクリル系樹脂は10〜50重量%、微粒子は5〜25重量%であることが好ましい。上記範囲であることにより本発明のポリエステルフィルムは接着性に優れることが可能となり、滑り性および透明性が維持され得る。
【0063】
本発明の光拡散シート用配向ポリエステルフィルムの塗膜層は、上記成分の他に本発明の目的の達成を阻害しない範囲で他の樹脂、界面活性剤、帯電防止剤、滑り性付与剤および紫外線吸収剤を含むことができる。塗膜層の厚みは0.01〜0.1μmであることが好ましく、0.02〜0.08μmであることがより好ましい。
【0064】
ポリエステルフィルムに塗膜層を設けるには、通常共重合ポリエステルおよびアクリル系樹脂が溶解あるいは分散し、かつ微粒子が分散した水性分散液(塗液)をポリエステルフィルムの片面または両面に塗布し、乾燥することにより行うことができる。
【0065】
このようにして形成された塗膜層は均一な表面を有し、斑がない。しかも、アクリル系樹脂に対する接着力も高いので、本発明のポリエステルフィルムは光拡散板を製造するに際し、アクリル樹脂ビーズを両面に接着するがその接着性が優れている。
【0066】
[フィルム厚み]
本発明のポリエステルフィルムの厚みは50μm以上150μm以下であり、好ましくは75μm以上150μm以下である。50μm未満では腰が弱く、加工時に平面性が失われたり、傷を生じたりし易い。150μmを超えると腰が強すぎて加工作業性が悪く、全光線透過率が低下し、好ましくない。
【0067】
[ヘーズ値]
本発明のポリエステルフィルムのヘーズ値は0.1〜30%である。ヘーズ値が30%を超えると、液晶拡散板に要求される輝度が得られない。ヘーズ値を0.1%未満にして光拡散性を両立させることは困難である。
【0068】
[全光線透過率]
本発明のポリエステルフィルムの全光線透過率は、80〜100%である。全光線透過率が80%未満では、液晶拡散板に要求される輝度が得られない。
【0069】
[光反射率]
本発明のポリエステルフィルムの波長200〜700nmにおける反射率は、0〜10%である。反射率が10%を超えると、全透過率80%以上を確保できなくなる。
【0070】
[相対正面輝度率]
本発明のポリエステルフィルムの相対正面輝度率(拡散シートが無いときの面光源の正面輝度を1とし、フィルムをその面光源の上に置いたときの正面輝度比)は0.20〜0.95である。図1に示す液晶表示装置のバックライト部は、細長い円筒形の光源ランプ(図1−7)からの光線を導光板(図1−5)の側面から照射し、導光板の液晶板側の面(図1−4:光拡散シートb側の面)を輝かせ、光拡散板(図1−4:光拡散シートb、図1−1:光拡散シートa)によって面輝度を均一化して液晶板の光源としている。相対ピーク輝度比は、導光板(図1−5)/光拡散シートb(図1−4:標準として一定のものを使用)/レンズシートb(図1−3)/レンズシートa(図1−2)を重ね、レンズシートaの面の輝度を水平方向を0°として90°まで測定し、ピーク輝度(1)とする。レンズシートa(図1−2)に試料フィルム(図1−1に示す位置)を密着するように重ね、面輝度を0°から90°まで測定し、ピーク輝度(2)を求め、{ピーク輝度(2)/ピーク輝度(1)}を相対ピーク輝度比とする。このときは、試料フィルムにはアクリルビーズの付着はせず、フィルムとしての特性を測定する。また、白色フィルム(反射板)には、白色ポリエステルフィルム(東レ株式会社製:商品名ルミラーE60L、188μm)を用いる。相対ピーク輝度比が0.20未満の場合、輝度の低下が大きく、液晶画面が暗くなり、実用できない。0.95を超える場合は、フィルムの光拡散性が無く、アクリルビーズを付着させても光拡散が不十分で液晶画面に輝度ムラを生じ、実用できない。
【0071】
[製膜法]
本発明のポリエステルフィルムまたは積層ポリエステルフィルムは、その製造法によって制限されることはなく、例えば従来から知られている一軸延伸法、逐次二軸延伸法、同時二軸延伸法、インフレーション法等によって製造することができる。これらのうち逐次二軸延伸法が好ましい。逐次二軸延伸法や同時二軸延伸法においては、所定の組成のポリエステルをダイを通して溶融押出し、予め20〜45℃程度に設定されたキャスティングドラム上にて急冷固化せしめ未延伸フィルムを得る。また、積層ポリエステルフィルムの場合は、夫々の組成のポリエステルを、二台の押出機で溶融押出し、2〜3層ダイで積層して予め20〜45℃程度に設定されたキャスティングドラム上にて急冷固化せしめ未延伸フィルムを得る。このときキャスティングドラム面に接するフィルム面は急冷されるが、その反対面の冷却は遅れる。特に未延伸フィルムの厚みが1mm以上になると、この遅れが著しくなり、この面(反対面)の結晶化が進行し、二軸延伸後のフィルムの表面を粗くし、フィルム表面特性において表裏差を著しくする。この現象を軽減する補助手段としてキャスティングドラム上の未延伸フィルムに空気側面(キャスティングドラム面に接する面の反対面)から冷風を高速で吹付け、該フィルムを強制冷却することは好ましい。得られる未延伸フィルムの厚みは0.7mm以上であることが好ましい。未延伸フィルムはその後、一般によく知られた条件で延伸するが、流れ方向に3.0〜4.5倍、これと直角方向に3.0〜4.5倍、面積倍率で9〜20倍に延伸するのが好ましい。延伸温度は、90℃〜140℃が好ましい。
【0072】
また二軸延伸後、必要に応じて熱固定を行うことができる。熱固定温度は180〜250℃が好ましく、210〜235℃がより好ましい。二軸延伸後のフィルム厚みは50〜150μmである。易接性塗剤を片面または両面に塗布する工程は任意に選ぶことができるが、縦延伸の後、横延伸の前が好ましい。
【0073】
[液晶拡散板への適用]
本発明のポリエステルフィルムの液晶表示装置用拡散板への適用例につき説明するが、これに限定されるものではない。
【0074】
図1は液晶表示装置用バックライト部の断面図であり、本発明のポリエステルフィルムは、光拡散シートa(図1−1)および光拡散シートb(図1−4)の基板として用いる。本発明のポリエステルフィルムa(図1−1:光拡散シートaのベース)およびポリエステルフィルムb(図1−4:光拡散シートbのベース)の表面(液晶板側)には透明樹脂であるアクリル樹脂製の半球状ビーズがほぼ密接して接着されている。このビーズは、光線を拡散し、輝度斑の少ないバックライトを得るためのものである。光拡散シートa(図1−1)の裏面(図1−2:レンズシートa側)および光拡散シートb(図1−4)の裏面(図1−5:導光板側)にも、透明樹脂であるアクリル樹脂製の半球状ビーズが、表面よりやや間隔を空け、ほぼ等間隔に接着されている。このビーズは、レンズシートa(図1−2)と光拡散シートa(図1−1)の、および光拡散シートb(図1−4)と導光板(図1−5)とのスティッキングを防止する作用を担う。スティッキングは部分的密着であり、この部分では光線が十分拡散されないまま透過するので液晶表示装置の画面全体としては輝度のムラが生じてしまう。仮に光拡散シートa(図1−1)および/または光拡散シートb(図1−4)を省略すると、液晶表示装置の画面に輝度ムラが発生し、著しく商品価値を低下させる。
【0075】
本発明のポリエステルフィルムまたは積層ポリエステルフィルムは、高拡散性にして光線透過率が高く、光拡散板の基板に好適に用いられる。なお、液晶表示板は、光拡散シートa(図1−1)の表面側に設置される。
【0076】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に説明する。なお、各特性値の測定方法は下記の通りである。
【0077】
1.平均粒径
粒子の粒径
1−1.粉体の粒径
島津製作所製CP50型セントリフュグルパーティクルサイズアナライザー(Centrifugal Particle Size Analyser)を用いて測定した。得られた遠心沈降曲線を基に算出した各粒径の粒子とその存在量との累積曲線から、50マスパーセント(mass percent)に相当する粒径を読み取り、この値を平均粒径とした。(「粒度測定技術」、日刊工業新聞社発行、1975年、p.242−247参照)
1−2.シート中の粒子の粒径および粒径比
試料フィルム小片を走査型電子顕微鏡用試料台に固定し、日本電子(株)製スパッタリング装置(JIS−1100型イオンスパッタリング装置)を用いてシート表面に、1×10-3torrの真空下で0.25kV、1.25mAの条件でイオンエッチング処理を10分間施した。さらに、同じ装置で金スパッターを施し、走査型電子顕微鏡を用いて1万〜3万倍で観測し、日本レギュレーター(株)製ルーゼックス500にて、少なくとも100個の粒子の長径(Dli)、短径(Dsi)及び面積相当粒径(Di)を求めた。下式で表わされる面積相当粒径(Di)の数平均値を平均粒径(D)とした。
【0078】
【数1】
Figure 0003986920
【0079】
2.フィルム厚み
外付マイクロメータで100点測定し、平均値を求めてフィルムの厚みとした。
【0080】
3.ヘーズ値
日本電色工業社製のへーズ測定器(NDH−20)を使用してへーズ値を測定した。
【0081】
4.全光線透過率
日本電色工業社製のへーズ測定器(NDH−20)を使用して、トラップを取り外し、標準白板を取り付け、試料なしの場合の入射光量に対する試料ありの場合の全光線透過量の割合を%表示した。
【0082】
5.光線反射率
島津製分光測定器(MPC−3100)を用い、入射光源の波長を200〜800nmの範囲で変化させ、試料面に垂直に当てた光の反射エネルギーを測定して次式(1)により求めた。測定された反射率の中で最大のものを、光線反射率とする。
【0083】
【数2】
光線反射率=(反射光のエネルギー/入射光のエネルギー)×100(%)…(1)
【0084】
6.アクリル樹脂易接着性
幅20mm、長さ100mm、厚さ2mmのアクリル板に、幅20mm、長さ150mmの試料フィルムを50mmの長さの部分で熱接着(80℃、1分)した。室温迄5徐々に冷却した後、引張り試験機で180°剥離し、20mm幅当りの剥離強度を測定し、次の基準で評価した。
○:剥離強度が 30g/20mm以上
×:剥離強度が 30g/20mm未満
【0085】
7.相対正面輝度率
トプコン社製のレンズ式輝度計(BM−10)を用い、図1におけるレンズシートa(図1−2)の表面の正面輝度を測定し、正面輝度(1)とする。次に、レンズシートa(図1−2)の表面に試料のフィルム(アクリルビーズは付着させないで)を空隙を無くすようにして置き、同様にして正面輝度(2)を求める。次式で相対正面輝度率を求めた。光拡散フィルム無しで測定したときの面光源の正面輝度を(1)とし、面光源上に光拡散フィルムを置いて測定した正面輝度(2)から次式で求めた値を相対正面輝度率とした。
【0086】
【数3】
相対正面輝度率=正面輝度(2)/正面輝度(1)
尚、白色フィルム(反射板)には、白色ポリエステルフィルム(東レ株式会社製:商品名ルミラーE60L、188μm)を用いた。また、4:光拡散シートbは、全テストにおいて同一のもの(PET100%、多孔質シリカ0.007%含有、100μm厚さ、両面アクリルビーズ付き)を使用した。
【0087】
8.加工作業性
光拡散板に加工するに際し、実施例のフィルムの作業性が良好であるものを○として、これより劣るものを△、作業が不可能なものを×とした。
【0088】
9.製膜性
製膜工程でのフィルムの破断頻度と過大な空洞の発生の有無を目視観察により判定し、下記の基準で評価した。
◎:破断が起こらず、過大な空洞は皆無
○:殆ど破断が起こらず、過大な空洞は皆無
△:時々破断するが試料はできる。過大な空洞は少ないが発生、生産は不適
×:度々破断する。或いは過大な空洞が発生し、外観が不良
【0089】
参考例1]
メチルテレフタレート96部、エチレングリコール58部、酢酸マンガン0.038部及び三酸化アンチモン0.041部を夫々反応器に仕込み、攪拌下内温が240℃になるまでメタノールを留出せしめながらエステル交換反応を行い、該エステル交換反応が終了したのちトリメチルホスフェート0.097部を添加した。引き続いて、反応生成物を昇温し、最終的に高真空下280℃の条件で重縮合を行って固有粘度([η])0.64のポリエステルチップを得た。
【0090】
次に、このポリエステルチップの一部に平均粒径15μの球状シリカ(アスペクト比=短径/長径=0.95)を5.0重量%添加し、170℃で3時間乾燥したのち、二軸押出機に供給し、280℃で溶融混練し、急冷固化してマスターチップを得た。
【0091】
ポリマー中の球状シリカの濃度が1.5重量%になるように、ポリエステルチップと上記マスターチップのポリマーをブレンドし、160℃で3時間乾燥したのち、290℃で溶融押出し、20℃に保持した冷却ドラム上で急冷固化せしめ未延伸フィルムを得た。該未延伸フィルムを95℃で縦方向に3.2倍に延伸し、次いで下面、更に上面に次の塗剤を乾燥後の厚みが0.04μmになるように塗布した。
【0092】
ここで用いた塗剤は、共重合ポリエステル(Tg=68℃)が60重量%、N,N’−エチレンビスカプリル酸アミドが5重量%、アクリル共重合体(数平均分子量:248000)が20重量%、アクリル系樹脂微粒子(平均粒径0.03μm)が10重量%、およびポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルが5重量%からなる。さらにここでの共重合ポリエステルはその酸成分が、テレフタル酸90mol%、イソフタル酸6mol%、および5−スルホイソフタル酸カリウム4mol%からなる。さらに共重合ポリエステルのグリコール成分は、エチレングリコール95mol%とネオぺンチレングリコール5mol%からなる。そしてさらにアクリル共重合体は、メチルアクリレート65mol%、エチルアクリレート28mol%、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2mol%、およびN−メチロールメタクリルアミド5mol%からなる。
【0093】
さらに引き続きこのフィルムを、110℃で横方向に3.3倍に延伸したのち、220℃で熱処理し、厚みが100μmの二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1及び表2に示す。
【0094】
次に、得られたフィルムを215×290mmに裁断し、アクリルビーズを接着しない状態で図1の光拡散シートa(図1−1)としてレンズシートa(図1−2)の上に置き、ピーク輝度(2)を測定した。前記式より相対正面輝度率を求め、その結果を表2に示す。
【0095】
[実施例1、参考例2、3および4
参考例1に準じ、表1に示すようにポリエステル、添加粒子、厚み等を変更してそれぞれ二軸延伸フィルムを得た。なお、実施例は3層積層フィルムである。これらのフィルムの特性を表1及び表2に示す。
【0096】
これらのフィルムを参考例1と同様の光拡散シートとしての評価をした。これらの結果を表2に示す
【0097】
なお、参考例2は易接着性塗剤を塗布していないので、アクリル樹脂易接性はないが、アクリルビーズ接着工程の前工程で、接着層をコートして使用することができる。
【0098】
[比較例1〜比較例6]
表1に示すようにポリエステル、添加粒子、厚み等を変更した以外は参考例1と同様にそれぞれ二軸延伸フィルムを得た。これらのフィルムの特性を表1及び表2に示す。また、これらのフィルムを実施例1と同様の光拡散シートとしての評価をした。これらの結果を表2に示す。
【0099】
比較例1のフィルムは、不活性粒子の添加量が過大であった。そのため、ヘーズ値が過大で、全光線透過率と相対正面輝度が過少であった。
【0100】
比較例2のフィルムは、不活性粒子の平均粒径が過大であったため、製膜性に問題があった。
【0101】
比較例3のフィルムは、不活性粒子に板状のカオリンクレーを使用した。ヘーズが過大で全光線透過率が低く、相対正面輝度率が低く、光拡散板用として不適であった。
【0102】
比較例4のフィルムは、不活性粒子に凝集シリカを使用した。添加量が過少で光線反射率および相対正面輝度が過大であった。
【0103】
比較例5のフィルムは、厚みを210μmとした。ヘーズ値が過大、全光線透過率が過小、加工作業性が不良であった。
【0104】
比較例6のフィルムは、厚みを38μmとした。製膜性と加工作業性が不良であった。
【0105】
【表1】
Figure 0003986920
【0106】
【表2】
Figure 0003986920
【0107】
尚、表1のポリエステル種類の欄で、PETはポリエチレンテレフタレート、PENはポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、PET/IA5はイソフタル酸5モル%共重合ポリエチレンテレフタレートであることを表わす。
【0108】
【発明の効果】
本発明によれば、高透明であり、かつ光拡散性が優れた、液晶表示装置光拡散板用の基板として好適なポリエステルフィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】液晶表示装置用バックライトの断面図。
【符号の説明】
1:光拡散シートa(実用に際しては、両面にアクリルビーズを接着、輝度測定時にはアクリルビーズ無し)
2:レンズシートa(集光用レンズシートa)
3:レンズシートb(集光用レンズシートb)
4:光拡散シートb(両面にアクリルビーズを接着)
5:導光板
6:白色フィルム
7:光源ランプ(冷陰極管:日本デンヨー製:10W)
なお、図1では各部材は離れているが、実際は密接している。

Claims (4)

  1. 二つ以上の層からなる、光拡散シート用積層ポリエステルフィルムであって、最外層の少なくとも一つの層が平均粒径が1〜30μmの不活性粒子を0.1〜5重量%含有し、該光拡散シート用積層ポリエステルフィルムは、厚みが50μm以上150μm以下であり、少なくとも一軸に配向され、ヘーズ値が0.1〜30%、全光線透過率が80〜100%、波長200〜700nmの光線反射率が0〜10%、相対正面輝度率が0.20〜0.95であって、不活性粒子を最も多く含む層が前記最外層の少なくとも一つの層であって、その層厚が光拡散シート用積層ポリエステルフィルム全体の厚みの10〜50%であり、不活性粒子の短径/長径の比率が0.8以上1以下であり、25%粒子径D25と75%粒子径D75との比率D25/D75が0.5〜1であり、不活性粒子の平均粒径DAVGと不活性粒子を最も多く含む層の層厚Tとの比率DAVG/Tが0.15〜2.5であることを特徴とする光拡散シート用積層ポリエステルフィルム。
  2. 請求項1記載の光拡散シート用積層ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、アクリル系樹脂に対して易接着性の塗膜層が形成されている光拡散シート用積層ポリエステルフィルム。
  3. 易接着性の塗膜層が、共重合ポリエステル樹脂(A)を20〜80重量%、アクリル系樹脂(B)を10〜50重量%、滑剤としての微粒子(C)を5〜25重量%含有し、共重合ポリエステル樹脂(A)は、ガラス転移点が40〜80℃であり、分子中に基−SOM(ここで、Mは−SOと同当量の金属原子、アンモニウム基または第4級ホスホニウム基を示す)を有するジカルボン酸成分が、全ジカルボン酸成分の8〜20モル%を占め、アクリル系樹脂(B)はガラス転移点が25〜70℃である請求項2に記載の光拡散シート用積層ポリエステルフィルム。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の光拡散シート用積層ポリエステルフィルムが、光拡散層として少なくとも片面に積層されていることを特徴とする光拡散板。
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