JP2004133021A - 液晶表示装置光拡散板用ポリエステルフィルムおよび光拡散板 - Google Patents

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Yoshiyuki Watabe
渡部 誉之
Atsushi Koyamamatsu
小山松 淳
Mitsuo Tojo
東條 光峰
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Abstract

【課題】光拡散板用のべースフィルムとして、生産性や光学特性に優れつつ接着性も兼ね備えたフィルムを得ることを目的とする。
【解決手段】ポリエチレンテレフタレートからなる二軸配向ポリエステルフィルムを基材層とし、基材層の少なくとも片面に易接着性塗膜が塗設された複合フィルムである。複合フィルムとしての光学特性は、b*値が−1〜1、ヘイズ値が2%以下、全光線透過率が88%以上。複合フィルムの厚みは20〜250μm。易接着性塗膜は、ガラス転移点温度が40〜80℃である共重合ポリエステル樹脂と、平均粒径20〜150nmの微粒子と、さらにアクリル系樹脂および/またはアクリル−ウレタン系共重合体とからなる。
【選択図】    なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶拡散板用ポリエステルフィルムに関する。さらに詳しくは高輝度で色相と光散乱性に優れる液晶ディスプレイ、特にパーソナルコンピュータ用液晶ディスプレイのバックライトユニットの光拡散板の基板として有用なポリエステルフィルムおよびそれを用いた光拡散板に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、パーソナルコンピュータ(以下、パソコンと略記することがある)が急速に普及しつつあり、特に携帯性の良いノート型パソコンや省スペースのデスクトップ型パソコンの普及が著しい。それに伴い、液晶ディスプレイの需要が増し、かつまた大画面化が進められている。このため、液晶ティスプレイのバックライトユニットを構成する光拡散板についても種々の特性が新たに要求されるようになってきている。
【0003】
バックライト型液晶ディスプレイは、例えば図1に示すような構造、すなわち白色フィルム6の上に導光板5、光拡散板4、レンズシート3、液晶パネル2、保護ガラス板1を順次積層した構造からなる。この中、白色フィルム6の上に導光板5、光拡散板4を積層し、該導光板5に光源7から光を導入するようにしたユニットがバックライトユニットである。図1において、光源(冷陰極管)7から導光板5に導入された光は光拡散板4で拡散され、レンズシート3で集光されたのち液晶パネル2に導かれ、該液晶パネル2に与えられた信号に対応する情報を保護ガラス板1を通して表示する。
【0004】
かかるバックライトユニットでは、導光板5と光拡散板4のスティッキング(部分的密着)が生じると、その部分では光が十分に拡散されないまま透過するので、液晶ディスプレイの画面全体の輝度に斑が生じるとい課題がある。この課題は大画面化する程発生しやすくなる。これを改善する手段の一つとして、特開平11−30708号公報に、シート押出し時に表面に多数の凹部を有するポリシングロールで引き取ることで、光拡散板(シート)の裏面側(光源側)に多数個の半球状突起を)形成することが提案されている。また、該公報には、従来技術として、光拡散シートの裏面にエンボス加工を施す方法、ビーズを含む塗液を塗布する方法が開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−30708号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
二軸配向ポリエステルフィルムをベースとし、この片面に光拡散層を設けた光拡散板を製造する場合、その機能を充分に発揮するには、該フィルムの光拡散層に対する接着性を改良する必要がある。さらに、前記バックライトユニットでは、より小さい光源で高輝度の液晶画面を形成するユニットであることが望ましい。
【0007】
本発明のかかる課題を解決して、その生産性を保持しながら、色や光透過特性、および樹脂ビーズ等からなる光拡散層との易接着性を付与した、光拡散板のべースフィルムとして有用なフィルムを得ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の液晶表示装置光拡散板用ポリエステルフィルムは、ポリエチレンテレフタレートからなる二軸配向ポリエステルフィルムを基材層とし、基材層の少なくとも片面に易接着性塗膜が塗設された複合フィルムであって、複合フィルムとしての光学特性は、L*a*b*表色系におけるb*値が−1〜1、ヘイズ値が2%以下、全光線透過率が88%以上であり、複合フィルムの厚みは20μm以上250μm以下で、易接着性塗膜はガラス転移点温度が40〜80℃である共重合ポリエステル樹脂と、平均粒径20nm以上150nm以下の微粒子と、さらにアクリル系樹脂および/またはアクリル−ウレタン系共重合体とからなることを特徴とする。
【0009】
<ポリエステル>
本発明において、基材層としての二軸配向フィルムを構成するポリエステルはポリエチレンテレフタレートである。このポリエチレンテレフタレートは、ホモポリマーであってもよく、また第三成分を共重合したコポリマーでもよいが、ホモポリマーが好ましい。コポリマーである場合、エチレンテレフタレートの繰返し単位が、全繰返し単位の90mol%以上、特に95mol%以上を占めることが好ましい。第三成分の割合が多すぎると、フィルムの光線透過率が低下し、また熱安定性や寸法安定性が低下し、好ましくない。コポリマーの第三成分としては、イソフタル酸、フタル酸、2,6―ナフタレンジカルボン酸等の如き芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10―デカンジカルボン酸等の如き脂肪族ジカルボン酸、1,4―ブタンジオール、1,6―ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の如き脂肪族ジオール、1,4―シクロヘキサンジメタノールの如き脂環族ジオール等が例示できる。これらの中ではイソフタル酸が特に好ましい。これらは単独または二種以上を併用することができる。例えば、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートの場合、イソフタル酸成分は全酸成分当り5mol%以下であることが好ましく、また所望により、他の第三成分としての酸成分またはアルコール成分が3mol%以下の割合で共重合されていても良い。
【0010】
前記ポリエチレンテレフタレートは、例えばテレフタル酸とエチレングリコールとを重縮合反応させる方法、テレフタル酸の低級アルキルエステルとエチレングリコールとをエステル交換反応させた後重縮合反応させる方法、テレフタル酸のビスグリコールエステルを重縮合させる方法等の方法によって製造することができる。
【0011】
前記重縮合反応に使用する触媒としては、アンチモン化合物(Sb化合物)、チタン化合物(Ti化合物)、ゲルマニウム化合物(Ge化合物)などが挙げられるが、なかでもゲルマニウム化合物は、フィルムの光線透過率向上の点で好ましい。ゲルマニウム化合物としては、(イ)無定形酸化ゲルマニウム、(ロ)微細な結晶性酸化ゲルマニウム、(ハ)酸化ゲルマニウムをアルカリ金属又はアルカリ土類金属もしくはそれらの化合物の存在下にグリコールに溶解した溶液、(ニ)酸化ゲルマニウムを水に溶解した溶液などが好ましく挙げられる。
【0012】
前記ポリエステルは、重縮合反応触媒としてアンチモン化合物を単独使用又は他の触煤と併用した場合、ポリマー中に含有されるアンチモンの量が全酸成分1mo1当り15mmol%以下であることが好ましい。アンチモンの量が上記を超えると、ポリエステルフィルムの光線透過率が88%未満となり、該フィルムを光拡散板用として用いるのができなくなる。また、チタン(Ti)燐(P)系触媒を用いるに際しては、1<(P/Ti)<10であることが肝要であり、1>(P/Ti)であると色差b値が1を超え、フィルムが黄色みを帯びるので好ましくない。
【0013】
前記ポリエステルの分子量は、重合度が低すぎるとフィルムの機械的強度が低下するので、固有粘度(オルソクロロフェノール、35℃)の値で0.4以上、さらには0.5〜1.2、特に0.55〜0.85であることが好ましい。一方、固有粘度が1.2を超えると押出し機の負担が増大し、樹脂が発熱して重合度が低下するので得策ではない。
【0014】
<基材層への添加滑剤>
本発明における基材層としての二軸配向ポリエステルフィルムは、その生産性を確保するために、表面に多数の微細突起を有していることが好ましい。これら微細突起は、ポリエステル中に分散含有されている不活性粒子又は後述する表面塗布剤に由来する。この不活性粒子は、本来は加えない方が良いが、製造・取り扱い上どうしても必要な場合は以下に述べる条件を満たす必要がある。
【0015】
不活性粒子の種類は、粒子周辺のボイドの発生を抑えるか無くして、フィルムのヘイズ値を2%未満にする条件を満足できれば特に限定されないが、多孔質シリカ粒子、板状珪酸アルミニウム粒子が特に好ましい。また、球状シリカのような高透明で、製膜、加工工程でのフィルムの擦過傷を防止できるものも好ましく用いることができる。かかかる不滑性粒子は単独使用でも二種以上の併用でも良い。
【0016】
多孔質シリカ粒子は、平均粒径が0.01μm以上0.1μm以下の一次粒子の凝集体から構成されることが好ましい。多孔質シリカ粒子はポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートに対して高い親和性を示す。一次粒子の平均粒径が0.01μm未満では、粒子の比表面積が大きくなるため粒子同士が凝集し易くなり、粗大粒子を生成するようになるため好ましくない。かかる粗大粒子をフィルム中に含有すると、フィルムの光線透過率を低下させるようになる。一方、一次粒子の平均粒径が0.1μmを超えると、粒子の多孔質性が失われるようになり、ポリエステルに対する親和性が失われ、粒子の周辺にボイドが発生し易くなり、フィルムの光線透過率低下を引き起こす原因となるため、好ましくない。なお一次粒子の平均粒径は、透過電子顕微鏡による10万倍の拡大写真で観察できる一次粒子の像をトレース又は投影して画像解析装置により面積円相当直径として求めた平均粒径である。
【0017】
多孔質シリカ粒子の平均粒径(二次粒径)は0.1μm以上3.0μm以下、さらには0.7μm以上2.5μm以下、特に1.0μm以上2.3μm以下であることが好ましい。多孔質シリカ粒子の含有量は、0.001重量%以上0.1重量%以下、さらに0.002重量%以上0.08重量%以下、特に0.003重量%以上0.05重量%以下であることが好ましい。この含有量が0.001重量%未満であると、製膜工程特に延伸工程でローラとフィルムが摩擦し、フィルム表面に針状の傷が多発することがあり、一方0.1重量%を超えると、所望のヘイズ値、光線透過率が得られないことがあり、好ましくない。
【0018】
多孔質シリカ粒子の細孔密度は0.5〜2.0ml/g、さらには0.6〜1.8ml/gであることが好ましい。この細孔密度が0.5ml/g未満では多孔質性に乏しく、ポリエステルに対する親和性が失われるため好ましくない。一方、細孔密度が2.0ml/gを超えると、凝集が起り易く、粒径の調整が困難になるので好ましくない。
【0019】
また、前記板状珪酸アルミニウム粒子は板状のアルミノ珪酸塩粒子ということもできる。この板状珪酸アルミニウム粒子は任意のものを用いることができるが、天然に産出するカオリン鉱物からなるカオリンクレー等が例示される。さらに、カオリンクレーは水洗等の精製処理を施されたものであってもよい。
【0020】
板状珪酸アルミニウム粒子の平均粒径は0.1〜3.0μm、さらには0.3〜2.0μmであることが好ましい。この含有量は0.001重量%以上0.1重量%以下、さらには0.002重量%以上0.08重量%以下であることが好ましい。この平均粒径が0.1μm未満では、フィルムの滑り性が損なわれ、生産性、作業性が低下するので好ましくない。一方、3μmを超えると、フィルムの光線透過率が低下するので好ましくない。また、この含有量が0.001重量%未満では、製膜工程、特に縦延伸工程でロールとフィルムが摩擦し、フィルム表面に針状の傷が多発することがあり好ましくない。一方、含有量が0.1重量%を超えると、フィルムのヘイズ値や光線透過率が低下するので好ましくない。
【0021】
ここで、多孔質シリカ粒子の平均粒径(二次粒径)および板状珪酸アルミニウム粒子の平均粒径は、測定した全粒子の50重量%の点にある粒子の「等価球形直径」を意味する。「等価球形直径」とは、粒子と同じ容積を有する想像上の球(理想球)の直径を意味し、粒子の電子顕微鏡写真または通常の沈降法による測定から求めることができる。
【0022】
ポリエステルに不活性粒子を含有させる方法としては、公知の任意の方法を用いることができ、例えばポリエチレンテレフタレートの重合時に、不活性粒子をエチレングリコールに超音波振動等で均一分散させ、所望により公知の方法で湿式分級、精製してから添加することで、ポリマー中に分散含有させることができる。
【0023】
<物性>
本発明の液晶表示装置光拡散板用ポリエスエルフィルムは、基材層の少なくとも片面に易接着性塗膜が形成された複合フィルムであって、その厚みは20μm以上250μm以下、好ましくは30μm以上190μm以下、特に好ましくは38μm以上188μm以下である。この厚みが20μm未満では腰が弱く、加工時に平面性が失われたり、傷が生じたりし易い。一方、厚みが200μmを超えると、腰が強すぎて加工作業性が悪く、透明性が低下するという弊害を生じる。
【0024】
本発明の液晶表示装置光拡散板用ポリエスエルフィルムは、そのヘイズ値が2%以下である。ヘイズ値が2%を超えると、光拡散板に要求される輝度が得られない。このヘイズ値は、主としてポリエステルフィルム中の不活性粒子の種類、平均粒径、含有量、粒子周辺に生じるボイドの程度等によって変わるので、これらを調整することで所望のヘイズ値を満たすようにするのが好ましい。ヘイズ値は好ましくは1%以下、更に好ましくは0.5%以下である。またその内部ヘイズは0.8%以下が好ましく、0.5%以下がさらに好ましく、0.3%以下が特に好ましい。内部ヘイズが0.8%を超えると全光線透過率が88%未満になりやすい。内部ヘイズを0.8%以下にするには、前述の滑剤粒子の選定に留意し、後述する製膜条件を遵守する。
【0025】
本発明の液晶表示装置光拡散板用ポリエスエルフィルムは、全光線透過率が88%以上である。この全光線透過率が88%末満では、光拡散板に要求される輝度が得られない。このように、通常の透明グレードのポリエステルフィルムの全光線透過率(88%前後)を超える高い光線透過率を得るためには、上記の低ヘイズ値を得る方法とともに、前記の易接着性塗膜をフィルムの少なくとも片面に塗設することが肝要である。全光線透過率の向上は、易接着性塗膜の反射防止効果と考えられる。また、アンチモン系触媒よりもゲルマニウム系触媒を使用することも効果がある。
【0026】
本発明の液晶表示装置光拡散板用ポリエスエルフィルムは、L*a*b*表色系におけるb*値が、―1以上1以下である。好ましくは―0.5以上0.8以下、更に好ましくは0以上0.6以下である。b*値が−1未満であると青みを帯び、1を超えると黄みを帯びていずれも好ましくない。このような、b*値を得るためには前述の触媒に留意し、後述の製膜条件を遵守する。なおポリエチレンテレフタレートからなるフィルムは、色素吸収剤等を添加せずに一般的な方法で製造した場合に、その分子構造的な特徴から光の吸収波長に偏りがあり、そのb*値は負の値にはなりにくい。
【0027】
本発明の液晶表示装置光拡散板用ポリエスエルフィルムは、正面輝度300cd/mの光源の前面に配置した際のフィルム透過光の正面輝度は、250cd/m以上であることが好ましく、更に270cd/m以上、特に290cd/m以上が好ましい。正面輝度が250cd/m未満では画面が暗く、視認性が低下する。
【0028】
本発明の液晶表示装置光拡散板用ポリエスエルフィルムは、厚み方向の屈折率(nZ)が1.488以上1.505以下が好ましく、更に1.489以上1.500以下、特に1.491以上1.495以下が好ましい。nZが1.488未満では、フィルム裁断時に層間剥離を生じることがある。nZが1.505を超えると、透明性が低下しやすく、厚み斑が大きくなりやすい。適切なnZを得るためには後述の製膜条件を遵守する。
【0029】
<製膜法>
本発明の液晶表示装置光拡散板用ポリエスエルフィルムの基材層フィルムは、従釆から知られている逐次二軸延伸法、同時二軸延伸法、インフレーション法等によって製造することができる。これらのうち逐次二軸延伸法が好ましい。
【0030】
逐次二軸延伸法や同時二軸延伸法においては、先ず、所定の組成のポリエステルをダイを通して溶融押出し、予め20〜40℃程度に設定されたキャスティングドラム上にて急冷固化させて未延伸フィルムを得る。このときキャスティングドラム面に接するフィルム面は急冷されるが、その反対面の冷却は遅れる。特に未延伸フィルムの厚みが1mm以上になると、この遅れが著しくなり、この面(空冷側面)の結晶化が進行し、二軸延伸後のフィルムの表面を粗くし、フィルム表面特性において表裏差を著しくする。この現象を軽減する手段として、キャスティングドラム上の未延伸フィルムに空気側面(キャスティングドラム面に接する面の反対面)から冷風を高速で吹付け、該フィルムを強制冷却することは好ましい。得られる未延伸フィルムの厚みは0.2mm以上であることが好ましい。未延伸フィルムは、その後、一般によく知られた条件で二軸方向に延伸するが、フィルム走行方向(縦方向)に3.0〜4.5倍、これと直角方向(横方向)に3.0〜4.5倍、面積倍率で9〜20倍に延伸するのが好ましい。延伸温度は、90℃〜140℃が好ましい。
【0031】
二軸延伸後、必要に応じて熱固定することができる。熱固定温度は180〜230℃が好ましく、200〜220℃がより好ましい。熱固定温度が230℃を超えると全光線透過率が低下することがある。また、180℃未満では熱収縮率が大きくなり、加工時に支障が発生することがある。表面塗布剤は縦延伸後に塗工するのがよい。同時二軸延伸の場合未延伸フィルムに塗工するのが通常であるが、厚く塗工せねばならない問題がある。二軸延伸後のフィルム厚みは20〜250μmである。
【0032】
<易接着性塗膜>
本発明の液晶表示装置光拡散板用ポリエスエルフィルムは、基材層の少なくとも片面に易接着性の塗膜を有する。この塗膜は、ガラス転移点温度が40〜80℃の共重合ポリエステル樹脂と、滑剤としての平均粒径20nm以上150nm以下の微粒子、さらにはアクリル樹脂および/またはアクリル―ウレタン系樹脂とを、主成分とする。
【0033】
ここで共重合ポリエステルは、基―SOM(ここで、Mは―SOと同当量の金属原子、アンモニウム基、第4級アミンまたは第4級ホスホニウム基を示す。)を有するジカルボン酸成分を全ジカルボン酸成分の8〜20mol%、好ましくは9〜16mol%を占める。基―SOMの含有量が上記の範囲であることにより、本発明の液晶拡散板用ポリエステルフィルムの樹脂ビーズ、特にアクリル樹脂ビーズとの接着性が優れる結果となる。
【0034】
なお基―SOMにおけるMとしては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属原子、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属原子が好ましく、特にナトリウムおよびカリウムが好ましい。また、Mとしてアンモニウム基、テトラエチルアンモニウム基、テトラブチルホスホニウム基も好ましい。
【0035】
これらは単独で、あるいは二種以上を併用して共重合ポリエステルに含まれ得る。共重合ポリエステル構成する他のジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、2,6―ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、4,4’―ジフェニルジカルボン酸、アンスラセンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバチン酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサン―1,4―ジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、その他ダイマー酸などを挙げることができる。これらは二種以上共重合ポリエステル中に含まれ得る。共重合ポリエステルは、酸成分としてさらに上記のジカルボン酸と共にマレイン酸、フマール酸、イタコン酸などを含むことができる。共重合ポリエステルを構成するグリコール成分として、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール(1,4―ブタンジオール)、ペンタメチレングリコール、ネオペンチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコールなどの炭素数2〜10のアルキレングリコール、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族ジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどのジアルキレングリコール、ハイドロキノン、レゾルシン、2,2―ビス(4―ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4―ジヒドロキシジメチルベンゼンの如き芳香環を有するジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどの如きポリアルキレングリコール(ポリオキシアルキレングリコール)、その他ビスフェノールA/アルキレンオキシド付加物、ハイドロキノン/アルキレンオキシド付加物などを挙げることができる。
【0036】
共重合ポリエステルは前述のジカルボン酸成分およびグリコール成分以外に、p―ヒドロキシ安息香酸、p―(β―ヒドロキシエトキシ)安息香酸などのヒドロシカルボン酸成分を少量含むことができる。さらに共重合ポリエステルは、前述のジカルボン酸成分、グリコール成分およびヒドロキシカルボン酸成分以外に、架橋が実質的に生起しない範囲の少量の割合で、多官能性成分を含むことができる。多官能性成分としてはトリメリット酸、ジメチロールプロピオン酸、グリセリン、トリメチロールプロパンなどを挙げることができる。共重合ポリエステルの数平均分子量は4,000〜27,000であることが好ましい。
【0037】
また共重合ポリエステルのガラス転移点温度は40〜80℃、好ましくは45〜75℃である。共重合ポリエステルのガラス転移点がこの範囲であることにより、本発明の拡散板用ポリエステルフィルムがブロッキング性に優れ、かつ透明性を維持することが可能となる。
【0038】
このような共重合ポリエステルはそれ自体公知の方法で製造することができる。例えば、前記の基―SOMを含むジカルボン酸、その他のジカルボン酸およびグリコールを出発原料としてエステル化反応、あるいはエステル交換反応を行い、引き続き重縮合反応を行うことにより容易に得ることができる。所望のガラス転移点を有する共重合ポリエステルは、あらかじめ予備実験により、酸成分組成およびグリコール成分組成とガラス転移点との関係を知ることができるので、その知見に基づいて容易に製造することができる。
【0039】
また、塗膜層を構成できるアクリル系樹脂は、ガラス転移点が25〜70℃であることが好ましくは、より好ましくは40〜66℃である。ガラス転移点が上記範囲であることにより、本発明の拡散板用フィルムは接着性に優れると共に耐ブロッキング性および透明性が維持され得る。
【0040】
こうしたアクリル系樹脂としては、メタアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、N―メチロールアクリルアミド、グリシジルメタクリレート、アクリロニトリル、β―ヒドロキシエチルアクリレート、アクリル酸アンモニウムなどのアクリル系モノマーの重合体あるいは共重合体、さらには、上記のモノマーとスチレンで例示される少量割合のビニルモノマーとの共重合体を挙げることができる。なお、アクリル系樹脂は非架橋である。このアクリル系樹脂は、塗膜層用塗液を水性塗液として調製することの容易さから、水溶性のものであることが好ましい。
【0041】
そしてまた、塗膜層を構成できるアクリル−ウレタン系樹脂は、水溶性または水分散性のウレタン樹脂の水溶液中でアクリル樹脂の重合をして作成することができる。また、ウレタン樹脂が溶解している有機溶剤中でアクリル樹脂の溶液重合をし、その後、有機溶媒を水に置換して作成することができる。それぞれ別に重合したウレタン樹脂とアクリル樹脂を混合して作成する場合はウレタン樹脂に水酸基やカルボキシル基等を導入し、アクリル樹脂にはグリシジル基やアミド基等を導入し、それぞれの官能基を反応させて作成することができる。
【0042】
ウレタン樹脂単独ではポリエステルフィルム再生溶融時の耐熱性が低く、ウレタン樹脂の熱分解が多く発生し、再生後のフィルムに着色してしまう。アクリル樹脂成分を変性することでポリエステルフィルム再生溶融時の耐熱性が向上し、ウレタン樹脂成分の熱分解を抑えることができ、溶融再生しても着色しないポリエステルフィルムを作成できる。
【0043】
塗膜層を構成する滑剤としての微粒子は、平均粒径が20〜150nmである。更に好ましくは25〜140nm、特に好ましくは40〜120nmである。そして架橋アクリル系樹脂、架橋ポリスチレン系樹脂、架橋メラミン樹脂で例示される有機系微粒子;酸化珪素、酸化チタン、タルク、カオリン、酸化アルミニウム、炭化珪素で例示される無機系微粒子を、塗膜層の微粒子として用いることができる。
【0044】
共重合ポリエステル、アクリル系樹脂、アクリル―ウレタン樹脂、そして微粒子の塗膜層中での割合は、これらの合計量を基準として、共重合ポリエステルが20〜80重量%、アクリル系樹脂又はアクリル―ウレタン樹脂は10〜50重量%、微粒子は5〜25重量%であることが好ましい。この範囲であることにより本発明の拡散板用ポリエステルフィルムは接着性に優れるつつ、滑り性および透明性が維持され得る。
【0045】
本発明の液晶拡散板用ポリエステルフィルムの塗膜層は、上記成分の他に本発明の目的の達成を阻害しない範囲で他の樹脂、界面活性剤、帯電防止剤、滑り性付与剤および紫外線吸収剤を含むことができる。塗膜層の厚みは0.01〜0.1μmであることが好ましく、0.02〜0.08μmであることがより好ましい。
【0046】
ポリエステルフィルムに塗膜層を設けるには、通常共重合ポリエステルおよびアクリル系樹脂が溶解あるいは分散し、かつ微粒子が分散した水性分散液(塗液)をポリエステルフィルムの片面または両面に塗布し、乾燥することによる。このようにして形成された塗膜層は均一な表面を有し、斑がない。しかも、アクリル系樹脂に対する接着力も高い。本発明の液晶拡散板用ポリエステルフィルムは光拡散板を製造するに際し、アクリル樹脂ビーズを両面に接着するがその接着性が優れている。
【0047】
<液晶表示装置光拡散板への適用>
本発明の光拡散板用ポリエステルフィルムは、液晶表示装置の光拡散板に有用である。この適用例について以下に説明するが、これに限定されるものではない。
【0048】
前述のように図1は液晶表示装置の断面図であり、本発明の光拡散板用ポリエステルフィルムは、光拡散板4の基板として用いる。該光拡散板用ポリエステルフィルムの裏面(光源側)には透明樹脂のアクリル樹脂からなるビーズ、例えば半球状ビーズがほぼ等問隔に接着されている。ビーズは平均粒径が20〜30μmのものが好ましい。このビーズは、導光板5と光拡散板4のスティッキングを防止する作用を担う。スティッキングは部分的密着であり、この部分では光線が十分拡散されないまま透過するので、液晶表示装置の画面全体としては輝度のムラが生じてしまう。本発明のフィルムの表面(液晶パネル側)にも、アクリル樹脂製のビーズ、例えば半球状ビーズが、裏面より密接して接着されており、透過光線を拡散させる作用を担っている。仮に光拡散板4を省略すると、液晶表示装置の画面に輝度ムラが発生し、著しく商品価値を低下させる。本発明の光拡散板用ポリエステルフィルムは、高透明にしてアクリル樹脂製ビーズとの接着力が強く、b*値が0に近いので着色がなく、光拡散板の基板に好適に用いられる。
【0049】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に説明する。なお、「部」は重量部を意味する。また、各特性値の測定方法は下記の通りである。
【0050】
(1)フィルムの厚み
外付マイクロメータで100点測定し、この平均値を求めてフィルムの厚みとする。
【0051】
(2)ヘイズ値
ヘイズ測定器(日本電色工業社製のNDH−2000)を使用して、JIS K7136(ISO 14782)に準拠した方法で、フィルムのヘイズ値を測定する。また内部ヘイズは、二枚のフィルムの間にセダー油を介して重ね、ヘイズを測定する。その時の値を二枚ヘイズ値とする。通常の方法にて測定した一枚ヘイズ値と、この二枚ヘイズ値との差が、内部ヘイズ値となる。
【0052】
(3)全光線透過率
ヘイズ測定器(日本電色工業社製のNDH−2000)を使用して、JIS K7361(ISO 13468)に準拠した方法にて測定する。トラップを取り外し、標準白板を取り付け、試料なしの場合の入射光量に対する試料ありの場合の、全光線透過量の割合を%で表示する。
【0053】
(4)b*値
色差計(日本電色工業社製のΣ―90)を使用して、フィルムのL*a*b
*表色系におけるb*値を、JIS Z8729に準拠した方法にて測定する。そして次の基準で評価した。
◎:0≦b*≦0.6
○:―1≦b*<0および0.6<1
×:b<―1又は1<b
【0054】
(5)正面輝度
試料フィルムを透過した光線を、レンズ式輝度計(トプコン社製のBM―7)で測定する。このとき光源としては、正面輝度が300cd/mになる液晶表示装置用のバックライトユニット(図1に示す5,6,7だけの構成)を用いた。
【0055】
(6)厚み方向の屈折率(nZ)
アッベ屈折計((株)アタゴ製)を用い、光源にはNa−D線を用いてフィルム厚み方向の屈折率を測定する。フィルムサンプルの表裏両面について測定し、その平均値を屈折率nZとする。
【0056】
(7)粒子の平均粒径
島津製作所製CP−50型セントリフュグル パーティクルサイズアナライザー(Centrifugal Particle Size Analyzer)を用いて測定する。得られる遠心沈降曲線を基に算出した各粒径の粒子とその存在量との積算曲線から、50マスパーセントに相当する粒径を読み取り、この値を上記平均粒径とする(「粒度測定技術」日刊工業新聞発行、1975年、頁242〜247参照)。
【0057】
(8)易接着性塗膜の厚み
サンプルをオスミウム酸にて染色し、エポキシ樹脂に包埋し、ミクロトームにてフィルム端面がきれいに見えるように100nm厚でスライスしたサンプルを透過電子顕微鏡(日本電子製JEM−1200EX)を用いて、易接着層をクローズアッププするように5〜10万倍の倍率で観察し、任意の個所100個所について測定し、算術平均した厚みを採用する。
【0058】
(9)アクリル樹脂層の接着性
フィルムの易接着塗膜上に、評価用のアクリル樹脂層を形成し、その表面にセロテープ(ニチバン製18mm幅)を貼り、急速に剥離したときの剥離状況を目視観察し、以下の基準にて判断する。
○:5%未満剥離(良好)
×:5%以上剥離(不良)。
【0059】
なおここで評価用に形成するアクリル樹脂層は、次に示す組成のアクリル樹脂塗剤を、乾燥後塗布量が15g/mとなるようにマイヤーバーコートし、80℃3分乾燥したものである。
アクリル樹脂主剤:溶媒にアクリル樹脂成分を溶解させたもの。その溶媒は、メチルエチルケトン/イソプロピルアルコール/トルエンを重量比で25/25/50混合したものである。溶解させるアクリル樹脂の成分は、メチルメタアクリレート/2―ヒドロキシエチルアクリレート/2―エチルヘキシルアクリレートがmol比で20/2/1である。
硬化剤:ヘキサメチレンジイソシアネート。
帯電防止剤:メチルエチルケトンを溶媒として、2―アミノエチルアルキルフォスフェートを濃度70重量%溶解したもの。
希釈剤:メチルエチルケトン/トルエンを重量比で2/1混合したもの。
これらを、重量比でアクリル樹脂主剤/硬化剤/帯電防止剤/希釈剤=15/1/1/3とした塗剤。
【0060】
(10)加工作業性
光拡散板に加工するに際し、実施例1のフィルムの作業性を良好(○)として、これより劣るものを△、作業が不可能なものを×とする。
【0061】
[実施例1]
ジメチルテレフタレート96部、エチレングリコール58部および酢酸マンガン0.038部を夫々反応器に仕込み、攪拌下内温が240℃になるまでメタノールを留出せしめながらエステル交換反応を行い、該エステル交換反応が終了したのちトリメチルホスフェート0.097部および触媒量の無定形酸化ゲルマニウムを添加した。引き続いて、反応生成物を昇温し、最終的に高真空下280℃の条件で重縮合を行って固有粘度([η])0.64のポリエステルチップを得た。
【0062】
170℃で3時間乾燥したのち、295℃で溶融押出し、20℃に保持した冷却ドラム上で急冷固化せしめ未延伸フィルムを得た。該未延伸フィルムを100℃で縦方向に3.6倍に延伸した。こうして得られた基材層用フィルムの両面それぞれに、下記の塗剤Pを乾燥後の厚みが0.06μmになるように塗布した。その後110℃で横方向に3.8倍に延伸したのち、215℃で熱処理し、厚みが100μmの複合フィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
【0063】
次に、得られたフィルムを215×290mmに裁断し、その裏面(導光板側)に直径20μm、高さ10μmの半球状アクリルビーズを突起間ピッチ約30μmで一面に接着した。表面にも同寸法の半球状アクリルビーズを突起間ピッチ約21μmで一面に接着した。これを光拡散板として、図1の液晶パネルとレンズシートを取り除いた構造の試験拡散板を作成し、表面の輝度ムラを測定した。この結果を表1に示す。
【0064】
<塗剤P>
(P成分1)共重合ポリエステル樹脂(Tg:68℃) 60重量%。
酸成分:テレフタル酸(90mol%)、イソフタル酸(6mol%)、5―スルホイソフタル酸カリウム(4mol%)。
グリコール成分:エチレングリコール(95mol%)、ネオペンチレングリコール(5mol%)。
(P成分2)N,N’―エチレンビスカプリル酸アミド 5重量%。
(P成分3)アクリル共重合体(数平均分子量:248,000) 20重量%。
組成:メチルアクリレート(65mol%)、エチルアクリレート(28mol%)、2―ヒドロキシエチルメタクリレート(2mol%)、N―メチロールメタクリルアミド(5mol%)。
(P成分4)アクリル系樹脂微粒子(平均粒径0.03μm) 10重量%。
(P成分5)ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル 5重量%。
【0065】
[実施例2]
基材層フィルム用のポリエステルチップと塗膜の厚みを変えた以外は、実施例1と同様にして複合フィルムを作成した。すなわち、エステル交換触媒として酢酸マンガンに加えて三酸化アンチモン0.041部を用い、エステル交換反応終了後、トリメチルホスフェート0.097部を添加した。次に高真空下280℃で重縮合し、固有粘度0.64のポリエステルチップを得た。以下実施例1に準じ、塗膜厚み0.12μmとして表1に示すように複合フィルムを得た。このフィルムの特性と光拡散板の評価結果を表1に示す。
【0066】
[実施例3、4]
実施例3では、フィルム厚みと延伸倍率と熱固定温度を、表1に示すように変えた。それ以外は実施例1と同様にして複合フィルムを作成し評価した。また実施例4では、基材層用ポリエステルをイソフタル酸3mol%共重合ポリエチレンテレフタレート(表中ではPET/IA3と示す)に変え、さらにフィルム厚みを表1に示すように変えた。それ以外は実施例1と同様にして複合フィルムを作成し評価した。これらの評価結果を表1に示す。
【0067】
[比較例1]
易接着性塗膜を塗設しなかった以外は実施例1と同様にして、厚み100μmのフィルムを得た。このフィルムの特性を表1に示す。アクリルビーズとの接着性がなく、光拡散板に加工することができなかった。
【0068】
[比較例2]
易接着性塗膜を以下に示す塗剤Qで形成した以外は、実施例1と同様にして厚み100μmの二軸配向フィルムを得た。これらのフィルムの特性を表1に示す。アクリルビーズとの接着性がなく、光拡散板に加工することができなかった。
【0069】
<塗剤Q>
(Q成分1)共重合ポリエステル樹脂(Tg:90℃) 60重量%。
酸成分:2,6―ナフタレンジカルボン酸(81mol%)、イソフタル酸(15mol%)、5―スルホイソフタル酸ナトリウム(4mol%)。
グリコール成分:エチレングリコール(95mol%)、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2mol付加物(5mo1%)。
(Q成分2)N,N’―エチレンビスカプリル酸アミド 5重量%。
(Q成分3)アクリル共重合体(数平均分子量:248,000) 20重量%。
組成:メチルアクリレート(65mol%)、エチルアクリレート(28mol%)2―ヒドロキシエチルメタクリレート(2mol%)、N―メチロールメタクリルアミド(5mol%)。
(Q成分4)アクリル系樹脂微粒子(平均粒径0.03μm) 10重量%。
(Q成分5)ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル 5重量%。
【0070】
[比較例3]
易接着性塗膜を以下に示す塗剤Rで形成した以外は、実施例1と同様にして厚み100μmの二軸配向フィルムを得た。これらのフィルムの特性を表1に示す。アクリルビーズとの接着性がなく、光拡散板に加工することができなかった。
【0071】
<塗剤R>
(R成分1)共重合ポリエステル樹脂(Tg:30℃) 60重量%。
酸成分:テレフタル酸(70mol%)、イソフタル酸(28mol%)、5―スルホイソフタル酸ナトリウム(2mol%)。
グリコール成分:エチレングリコール(70mol%)、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2mol付加物(30mol%)。
(R成分2)N,N’―エチレンビスカプリル酸アミド 5重量%。
(R成分3)アクリル共重合体(数平均分子量:24,8000) 20重量%。
組成:メチルアクリレート(65mol%)、エチルアクリレート(28mol%)、2―ヒドロキシエチルメタクリレート(2mol%)、N―メチロールメタクリルアミド(5mol%)
(R成分4)アクリル系樹脂微粒子(平均粒径0.03μm) 10重量%。
(R成分5)ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル 5重量%。
【0072】
[比較例4]
基材層用ポリエステルにイソフタル酸23mol%共重合ポリエチレンテレフタレート(表中ではPET/IA23と示す)を用い、それに対応して工程の温度条件を変更し、塗剤Pを塗布して厚み100μmの二軸配向フィルムを製膜した。しかし製膜性が悪く十分な生産性を確保できなかった。また、わずかに確保したフィルムで、適応を見ようと光拡散板への加工を試みたが、軟化温度が低く接着性が低いため、光拡散板への加工ができなかった。
【0073】
[比較例5]
フィルム厚みを18μmとした以外は、実施例1と同様にして複合フィルムを得た。これらの特性を表1に示す。フィルムの腰が弱く、光拡散板への加工作業性が悪く、フィルム同士のブロッキングが生じやすく、光拡散板用として不適であった。
【0074】
[比較例6]
フィルム厚みを210μmとしとした以外は、実施例1と同様にして複合フィルムを得た。フィルムの腰が強すぎ、光拡散板への加工作業性が悪い上にb*値、ヘイズ値が高く、光拡散板用として不適であった。
【0075】
【表1】
Figure 2004133021
【0076】
【発明の効果】
本発明によれば、高透明であり、着色がなく、少なくとも片面はアクリル樹脂に対する接着性が優れた、液晶表示装置光拡散板用の基板として好適なポリエステルフィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】液晶表示装置の構成断面図。
【符号の説明】
1 保護ガラス
2 液晶パネル
3 レンズシート
4 光拡散板
5 導光板
6 白色フィルム
7 冷陰極管

Claims (4)

  1. ポリエチレンテレフタレートからなる二軸配向ポリエステルフィルムを基材層とし、基材層の少なくとも片面に易接着性塗膜が塗設された複合フィルムであって、複合フィルムとしての光学特性は、L*a*b*表色系におけるb*値が−1〜1、ヘイズ値が2%以下、全光線透過率が88%以上であり、複合フィルムの厚みは20μm以上250μm以下で、易接着性塗膜はガラス転移点温度が40〜80℃である共重合ポリエステル樹脂と、平均粒径20nm以上150nm以下の微粒子と、さらにアクリル系樹脂および/またはアクリル−ウレタン系共重合体とからなることを特徴とする液晶表示装置光拡散板用ポリエステルフィルム。
  2. 正面輝度300cd/mの光源の前面に配置した際のフィルム透過光の正面輝度が250cd/m以上であることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置光拡散板用ポリエステルフィルム。
  3. 厚み方向の屈折率(nZ)が1.488以上1.505以下、内部ヘイズが0.8%以下であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の液晶表示装置光拡散板用ポリエステルフィルム。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の液晶表示装置光拡散板用ポリエステルフィルムを備えた液晶表示装置光拡散板。
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