JPH0873580A - ポリエステル - Google Patents

ポリエステル

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JPH0873580A
JPH0873580A JP21620994A JP21620994A JPH0873580A JP H0873580 A JPH0873580 A JP H0873580A JP 21620994 A JP21620994 A JP 21620994A JP 21620994 A JP21620994 A JP 21620994A JP H0873580 A JPH0873580 A JP H0873580A
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JP
Japan
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polyester
compound
intrinsic viscosity
amount
added
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JP21620994A
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English (en)
Inventor
Noboru Sato
昇 佐藤
Masahiko Fujimoto
正彦 藤本
Koichi Ikeyama
孝一 池山
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 触媒起因の析出物が少なく、熱安定性の優れ
たポリエステルを提供する。 【構成】 芳香族ジカルボン酸とグリコールとのエステ
ル化反応およびそれに引き続く重縮合反応により、ポリ
エステルを製造するに際し、特定量のアンチモン化合
物、チタン化合物、ゲルマニウム化合物、グリコール可
溶性のマグネシウムおよびリン化合物の存在下、当該ポ
リエステルの極限粘度が0.3以上に達した任意の段階
で、一般式(I)または(II)で表される化合物の少な
くとも1種をポリエステルの酸成分に対し0.05〜5
モル%添加し、重縮合させることにより得られる、極限
粘度0.6以上、末端カルボキシル基量50当量/10
6g未満のポリエステル。 (式中R1 、R3 、R4 、R5 はそれぞれ独立して、1
価のアリール基もしくは置換アリール基、またはそれ以
外の有機残基、R2 は2価の有機残基、nは0または
1)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は触媒起因の内部析出物が
極めて少なく、かつ熱安定性の優れたポリエステルに関
する。さらに詳しくは、本発明は熱安定性に優れ、シー
ト化した際の透明性に優れるほか、フィルム化した際の
表面粗大突起数が極めて少なく、表面性に優れたシート
およびフィルムの原料となり得るポリエステルに関する
ものである。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】ポリ
エチレンテレフタレートに代表されるポリエステルは、
その優れた機械的特性、電気的特性、耐薬品性および寸
法安定性の点から磁気記録用、コンデンサー用、包装
用、製版用、電絶用、写真用等、多くの分野で基材フィ
ルムとして用いられているほか、未延伸シート(以下、
これをA−PETシートと略記する)を熱成型して得ら
れる成型体は、食品、薬品等の容器に広く利用されて始
めている。
【0003】これらのポリエステルを例えば磁気記録用
ベースフィルム、特に近年のビデオ用蒸着テープに代表
される高密度記録用ベースフィルムに適用する場合は、
フィルム表面の平坦性が要求される。この平坦性の達成
には、フィルム表面に粗大突起はもちろんのこと、比較
的小さな突起ですら存在しないことが要求される。ま
た、写真製版用フィルムに適用する場合は、特に高透明
性が要求される。
【0004】さらに、A−PETシートに適用する場
合、成型容器自身の透明性を重視するため、原料ポリエ
ステルの透明性が要求される。そして、これらの粗大突
起の発生や透明性が損なわれる原因は、ポリエステル製
造時に添加する触媒、特にアンチモン化合物がポリエス
テル中で析出することにある。この析出物はアンチモン
単体や熱安定性向上のために添加するリン化合物とアン
チモンとの反応物である。しかしながら、アンチモン触
媒の添加量が少ないと、重縮合反応が進行しにくいばか
りか、熱分解反応が併発するため、重合度が低く、末端
カルボキシル基量の多いポリエステルしか得られない。
【0005】かかる問題点を解決するため、重合触媒量
が少なく、かつ熱安定性の良い高重合度ポリエステルを
製造することが切望されている。一般にポリエステルの
重合触媒としては、アンチモン化合物、チタン化合物、
ゲルマニウム化合物などが知られている。アンチモン化
合物は重合速度が大きく、得られるポリエステルの熱安
定性、色調、末端カルボキシル基量、軟化点などの諸物
性に優れており通常、アンチモン化合物の使用量はアン
チモン金属として、ポリエステル106 g当たり1〜3
モルである。しかしながら、前述のように、アンチモン
化合物の添加量が多いとポリエステル中で析出物を発生
するという欠点を持つ。
【0006】チタン化合物は、重合速度が極めて大き
く、アンチモンのような析出物の生成はないが、添加量
が多いと得られるポリエステルの熱安定性が悪く、色調
も黄味が強くなるという欠点を持つ。ゲルマニウム化合
物は、析出物の形成はなく、色調も優れるが、添加量が
多いと得られたポリエステルの軟化点が低く、フィルム
化した際にはフィルムの機械的強度が低下するという欠
点を持つ。アンチモン、チタン、ゲルマニウム以外に
も、マグネシウム化合物、マンガン化合物などもポリエ
ステルの重合触媒としての能力を有することが分かって
おり、特にマグネシウム化合物は重合速度が比較的大き
く、析出物の発生も極めて少ない。
【0007】また、ポリエステル重合製造時に、ポリエ
ステルの色調改善、熱安定性向上などのためにリン化合
物を添加することは一般的であるが、リン化合物は大部
分の重合触媒と反応して触媒の活性を低下させたり、析
出物を発生させたりするなどの問題点も持つ。特にチタ
ン、マグネシウムはリン化合物による失活の程度が大き
い。したがって、重合触媒の添加量は極力低減し、実質
的に触媒起因の析出物を含まないか、または極めて少な
く、かつ色調、熱安定性、末端カルボキシル基量などの
物性に優れた高重合度ポリエステルを製造することが切
望されている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記のよう
な事情に着目し、触媒起因の内部析出物を極めて少なく
するため、重合触媒の添加量は極力低減するものの、熱
安定性に優れた高重合度ポリエステルを短時間で製造す
べく鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至っ
た。
【0009】すなわち本発明の要旨は、芳香族ジカルボ
ン酸とグリコールとのエステル化反応およびそれに引き
続く重縮合反応により、ポリエステルを製造するに際
し、下記式(1)を満足するアンチモン化合物、下記式
(2)を満足するチタン化合物、下記式(3)を満足す
るゲルマニウム化合物、下記式(4)および下記式
(5)を満足するグリコール可溶性のマグネシウム並び
にリン化合物の存在下、当該ポリエステルの極限粘度が
0.3以上に達した任意の段階で、下記一般式(I)ま
たは(II)で表される化合物の少なくとも1種をポリエ
ステルの酸成分に対し0.05〜5モル%添加し、重縮
合させることにより得られる、極限粘度0.6以上、末
端カルボキシル基量50当量/106 g未満のポリエス
テルに存する。
【0010】
【数2】0≦Sb≦0.5 …(1) 0≦Ti≦0.4 …(2) 0≦Ge≦1.5 …(3) 0.3≦Mg≦3.0 …(4) 0.05≦P/Mg≦0.5 …(5) (上記式中、Sb、Ti、Ge、Mg、Pは各々の元素
のポリエステル106 g当たりのモル数を表す)
【0011】
【化2】
【0012】(上記式中R1 、R3 、R4 、R5 はそれ
ぞれ独立して、炭素数20以下の1価のアリール基もし
くは置換アリール基、または少なくとも1個の第2級も
しくは第3級炭素原子を有する基であって、アリール基
および置換アリール基以外の有機残基、R2 は2価の有
機残基を示し、nは0または1の整数を示す) 以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0013】本発明でいうポリエステルとは、テレフタ
ル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン
酸のような芳香族ジカルボン酸成分とエチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シク
ロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の
ようなグリコール成分とを出発原料とし、無触媒下で直
接エステル化反応を行い、次いで重縮合反応により得ら
れる直接重合法ポリエステルである。かかるポリエステ
ルの具体例として、ポリエチレンテレフタレートやポリ
エチレン−2,6−ナフタレート等が挙げられる。この
ポリマーはホモポリマーであっても、第3成分を共重合
させたものであってもよい。
【0014】本発明で使用するアンチモン化合物として
は、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等を用いるこ
とができる。アンチモン化合物の使用量はアンチモン金
属として、ポリエステル106 g当たり0.5モル以
下、好ましくは0.1モル以下である。アンチモン化合
物の使用量が0.5モルより多くなると、得られるポリ
エステル中に、アンチモン起因の析出物が発生し、粗大
異物の原因となり好ましくない。
【0015】本発明で使用するチタン化合物としては、
テトラエトキシチタン、オルトチタン酸テトラ−n−ブ
チルなどの有機チタン化合物や硫酸チタン、塩化チタン
などの無機チタン化合物を用いることができる。チタン
化合物の使用量は、チタン金属としてポリエステル10
6 g当たり0.4モル以下、好ましくは0.2モル以下
である。チタン化合物の使用量が0.4モルを超える
と、得られるポリエステルの色調が損なわれたり、末端
カルボキシル基量が増大するなど熱安定性が悪くなり、
好ましくない。
【0016】本発明で使用するゲルマニウム化合物とし
ては、二酸化ゲルマニウム、塩化ゲルマニウム、亜リン
酸ゲルマニウム等を用いることができ、二酸化ゲルマニ
ウムが好ましい。ゲルマニウム化合物の使用量は、ゲル
マニウム金属として、ポリエステル106 g当たり1.
5モル以下、好ましくは0.5モル以下である。ゲルマ
ニウム化合物の使用量が1.5モルを超えると、得られ
るポリエステルの軟化点が低下して好ましくない。ま
た、アンチモン化合物、チタン化合物、ゲルマニウム化
合物のうち少なくとも1種を下記のマグネシウム化合物
およびリン化合物と組み合せて使用する。
【0017】本発明で使用するマグネシウム化合物とし
ては、酢酸マグネシウム、シュウ酸マグネシウム、塩化
マグネシウム等のマグネシウム塩が挙げられる。マグネ
シウム化合物の使用量は、マグネシウム金属として、得
られるポリエステル106 g当たり0.3〜3.0モ
ル、好ましくは0.5〜2.0モルである。マグネシウ
ム化合物の使用量が0.3モルより少ない場合には、本
発明の一般式(I)、(II)で表される化合物を添加し
ても、ポリエステルの重合速度は著しく遅く、実用的で
ない。また、マグネシウムが3.0モルを超えると、得
られるポリエステルの色調が損なわれたり、末端カルボ
キシル基量が増大するなど熱安定性が低下して好ましく
ない。
【0018】本発明で使用するリン化合物としては、例
えばトリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート
などのトリアルキルエステル、あるいはメチルアシッド
ホスフェート、エチルアシッドホスフェートなどの酸性
リン酸エステル、もしくはリン酸などから選ばれる1種
以上を使用することができる。これらのリン化合物の使
用量は、本発明で使用するマグネシウム金属に対し、
0.05≦P/Mg≦0.5なる範囲であり、好ましく
は0.1≦P/Mg≦0.2なる範囲である。なお、上
記式中、Pはリン元素のポリエステル106 g当たりの
モル数、Mgはマグネシウム金属のポリエステル106
g当たりのモル数を示す。
【0019】P/Mgが0.05よりも小さい場合は、
得られるポリエステルの色調が損なわれたり、末端カル
ボキシル基量が増大するなど熱安定性が低下して好まし
くない。また、P/Mgが0.5を超える場合は、本発
明の一般式(I)、(II)で表される化合物を添加して
も、ポリエステルの重合速度は著しく小さくなり、実用
的でない。
【0020】本発明におけるアンチモン化合物、チタン
化合物、ゲルマニウム化合物、マグネシウム化合物並び
にリン化合物は、エステル化反応が実質的に終了し、反
応率が80%以上、好ましくは90%以上になった時点
で添加すればよい。なお、アンチモン化合物に関して
は、エステル化反応開始以前から添加してもよい。ま
た、フィルムに易滑性、耐摩性を付与するために、本発
明におけるポリエステル製造時、ポリエステル中に、二
酸化ケイ素、二酸化チタン、アルミナなどの無機粒子や
架橋高分子などの有機粒子を添加してもよい。さらに、
フィルムに易滑性、接着性等の特性を付与するためにフ
ィルム表面に塗布層を設けてもよい。
【0021】本発明において反応促進剤として使用され
る上記一般式(I)、(II)で表される化合物の具体例
としては次のようなものが挙げられる。すなわち、一般
式(I)、(II)式中R1 、R3 、R4 、R5 は塩素原
子で置換されていてもよいフェニル基、トリル基、ジフ
ェニル基、ナフチル基等のアリール基、またはイソプロ
ピル基、t−ブチル基等の少なくとも1個の第2級また
は第3級炭素原子を有する有機残基であり、R2 はフェ
ニレン基、ナフチレン基、アルキレン基等の2価の有機
残基であり、以下のものが例示される。一般式(I)で
表される化合物
【0022】
【化3】
【0023】
【化4】 一般式(II)で表される化合物
【0024】
【化5】
【0025】これらの中でもジフェニルカーボネート、
ジフェニルテレフタレート、ジt−ブチルテレフタレー
ト等が特に好ましく用いられる。上記化合物(I)また
は(II)で表される化合物を添加する時のポリエステル
の極限粘度は0.3以上であるが、極限粘度が0.6以
上の場合には、ポリエステルの溶融粘度が高く、添加し
た反応促進剤を均一混合することが難しいため、添加時
期としてはポリエステルの極限粘度が、好ましくは0.
3以上0.6未満の時、さらに好ましくは0.4以上
0.6未満の時である。極限粘度が0.3未満の場合に
は、本発明の一般式(I)、(II)で表される化合物を
添加しても顕著な重合促進効果は得られない。
【0026】また一般式(I)および(II)で表される
化合物の添加量は、ポリエステルの酸成分に対して0.
05〜5モル%である。前記化合物の添加量が0.05
モル%未満では本発明の効果は発現せず、また添加量が
5モル%を超えると、かえって重縮合反応を阻害するこ
とになり好ましくない。なお、化合物(I)および(I
I)の添加量(M)は、添加するポリエステルの極限粘
度との関係式である次式に示す範囲であることがより好
ましい。
【0027】
【数3】 (ただし、上記式中、Mは化合物(I)および(II)の
ポリエステルの酸成分に対するモル%、[η0 ]は化合
物(I)および(II)を添加する時期のポリエステルの
極限粘度を示す)
【0028】化合物(I)および(II)の添加方法はど
のような方法であってもよいが、例えばいったん反応系
を常圧に戻してから、化合物(I)または(II)の粉体
を直接投入添加し、引き続き高真空下で溶融重縮合を行
う方法を採用すればよいが、本発明の効果を十分発現さ
せるためには、添加後、1mmHg以上の真空度で30
分以上、撹拌保持することが望ましい。また、化合物
(I)および(II)は、前記添加量の範囲であれば、2
回以上に分割して添加してもよいし、2種以上を混合添
加してもよい。
【0029】本発明の効果は、極限粘度0.6以上、好
ましくは0.6〜0.8、末端カルボキシル基量50当
量/106 g未満、特に30当量/106 g未満のポリ
マーを目的とするときに、いかんなく発揮される。すな
わち、前記化合物(I)または(II)を添加しても、ポ
リエステルの極限粘度が0.6未満では、シートおよび
フィルムにしたときの機械的強度が不十分となり、実用
的でない。またポリエステルの末端カルボキシル基量が
50当量/106 g以上では、熱安定性が悪く、シート
およびフィルムを製造する際のポリマー溶融押出し時、
色調が損なわれるだけでなく、メヤニと称するゲル状の
熱劣化物が発生しやすく、粗大異物の原因となり好まし
くない。
【0030】本発明のポリエステルは、フィルム化した
際の表面粗大突起数が少なく、表面性に優れたフィルム
の原料となり得る。フィルム表面の粗大突起数として
は、F1 が20個以下、好ましくは10個以下であるこ
とが好ましい。ここで、F1 は二光束干渉顕微鏡で測定
した25cm 2 当たりの1次以上(高さ0.27μm以
上)の干渉縞を示す突起数を表す。
【0031】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げてさらに詳細に
本発明を説明するが、本発明はその要旨を越えない限
り、以下の実施例によって限定されるものではない。な
お、実施例における種々の物性および特性の測定方法、
定義は下記のとおりである。実施例および比較例中
「部」とあるは「重量部」を示す。
【0032】(1)ポリエステルの極限粘度 ポリマー1gをフェノール/テトラクロロエタン=50
/50(重量比)の混合溶媒100mlに溶解させ、3
0℃で測定した。 (2)ポリエステルの重合速度 ポリエステルの重合速度の大小の評価は、ポリエステル
の極限粘度の値が所定の値(ここでは、0.68)に到
達するまでの重合時間を調べ、評価を行った。
【0033】(3)ポリエステルの末端カルボキシル基
量 A.Conixの方法(makromol.chem.
26,226(1958))に従って求めた。 (4)ポリエステルの色調 東京電色(株)製カラーアナライザーTC−1800M
KII型を用いて、JIS Z−8722の方法に準じて
測定し、b値を評価した。
【0034】(5)ポリエステルの溶液ヘーズ ポリマー2.7gをフェノール/テトラクロロエタン=
60/40(重量比)の混合溶液20mlに加え、約1
30℃で1時間加熱溶解後冷却し、当該溶液を石英ガラ
ス製厚み10mmのセルに採取し、積分球式ヘーズメー
ター(日本精密光学(株)製SRタイプ)で測定した。
550nmの波長で測定したときの濁度(%)を溶液ヘ
ーズとした。
【0035】(6)フィルム表面の粗大突起数 フィルム表面にアルミニウムを蒸着し、二光束干渉顕微
鏡を用いて測定した。測定波長0.54μmでn次の干
渉縞を示す個数を25cm2 当たりに換算して示した。
1次以上(高さ0.27μm以上)の突起数をF1 、2
次以上(高さ0.54μm以上)の突起数をF2 として
示した。
【0036】実施例1 〔ポリエステルの製造〕ビス−(β−ヒドロキシエチ
ル)テレフタレートオリゴマー100部の存在下、テレ
フタル酸87部とエチレングリコール42部とを常圧下
250℃で反応させてエステル化反応を行った。反応開
始4時間後、エステル化率98%のポリエステルオリゴ
マーが得られた。
【0037】次いで得られたポリエステルオリゴマー1
03部(ポリエステル100部に相当)に三酸化アンチ
モン0.005部、酢酸マグネシウム4水塩0.044
1部並びにトリエチルホスフェート0.0056部を添
加し、250℃から280℃まで120分で昇温しつ
つ、同時に真空度760mmHgから1mmHgまで1
20分で減圧し、引き続き280℃、1mmHgの条件
下で重縮合を行った。
【0038】当該ポリエステルの極限粘度が0.48に
達した時点(反応開始後200分後)で反応系を窒素で
常圧に戻し、ジフェニルカーボネート0.836部を投
入した後、再び真空度760mmHgから1mmHgま
で30分で減圧しさらに1mmHgの真空下、280℃
で35分間反応を継続した。このときポリエステルの極
限粘度が0.68に達するまでの重合時間は265分を
要した。得られたポリエステルの末端カルボキシル基量
は21.3当量/106 g、色調(b値)は3.7、溶
液ヘーズは0.8%で、熱安定性および透明性の点で良
好であった。
【0039】〔ポリエステルフィルムの製造〕得られた
ポリエステルを乾燥後、290℃で溶融押出し、無定形
シートとした後、縦方向に90℃で3.5倍、横方向に
110℃で3.7倍延伸し、210℃で3秒間熱処理を
行い、厚さ15μmのフィルムを得た。得られたポリエ
ステルフィルムは、粗大突起数の点で良好なものであっ
た。得られた結果を他の実施例および比較例とともにま
とめて下記表1および2に示す。
【0040】実施例2 三酸化アンチモンの添加量を0.0025部および重縮
合反応途中で添加する反応促進剤をジフェニルテレフタ
レートに変更する以外は実施例1と同様にしてポリエス
テルおよびフィルムを得た。
【0041】実施例3 三酸化アンチモンを0.001部に変更し、かつオルト
チタン酸テトラ−n−ブチル0.00142部をさらに
添加すること以外は、実施例1と同様にしてポリエステ
ルおよびフィルムを得た。
【0042】実施例4 反応促進剤をジt−ブチルテレフタレート、三酸化アン
チモンを0.001部に変更し、かつ二酸化ゲルマニウ
ム0.0025部をさらに添加すること以外は実施例1
と同様にしてポリエステルおよびフィルムを得た。
【0043】実施例5 三酸化アンチモンは添加せず、反応促進剤をジフェニル
テレフタレート、かつ二酸化ゲルマニウム0.005部
を添加すること以外は実施例1と同様にしてポリエステ
ルおよびフィルムを得た。
【0044】比較例1 反応促進剤を添加せず、かつ三酸化アンチモン0.04
部添加すること以外は実施例1と同様にしてポリエステ
ルおよびフィルムを得た。得られたポリエステルは、重
合時間は短かかったが、粗大突起数が多く、好ましくな
いものであった。
【0045】比較例2 反応促進剤を添加しないこと以外は、実施例1と同様に
してポリエステルおよびフィルムを得た。得られたポリ
エステルは、重合時間が長く、末端カルボキシル基量、
色調(b値)の点で好ましくなかった。また、フィルム
とする際、熱安定性が悪いため、メヤニ(ゲル状の熱劣
化物)の発生が多く、粗大突起数を増加させた。
【0046】比較例3 実施例1において、反応促進剤であるジフェニルカーボ
ネートの添加時期を、極限粘度が0.21に達した時点
とする以外は実施例1と同様にしてポリエステルおよび
フィルムを得た。得られたポリエステルは、重合時間が
長く、熱安定性も悪いものであった。
【0047】比較例4 実施例1において、ジフェニルカーボネートの添加量を
10.0モル%に変更する以外は実施例1と同様にして
ポリエステルおよびフィルムを得た。得られたポリエス
テルは、重合時間が長く、熱安定性も悪いものであっ
た。
【0048】比較例5 実施例1において、酢酸マグネシウム4水塩を添加しな
いこと以外は、実施例1と同様にしてポリエステルおよ
びフィルムを得た。反応促進剤を添加したにもかかわら
ず、重合時間が長く、得られたポリエステルは熱安定性
が悪いものであった。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】表1および2に示すように、本発明の範ち
ゅうである実施例1〜5のポリエステルフィルムは粗大
突起数が極めて良好で、そのフィルム原料となる触媒起
因の内部析出物が極めて少なく、かつ熱安定性の優れた
ポリエステル組成物は極めて有用である。
【0052】
【発明の効果】本発明のポリエステル組成物は、触媒起
因の内部析出物が少なく、かつ熱安定性が優れるため、
シートおよびフィルム等の原料ポリエステルとして工業
的に極めて有用である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ジカルボン酸とグリコールとのエ
    ステル化反応およびそれに引き続く重縮合反応により、
    ポリエステルを製造するに際し、下記式(1)を満足す
    るアンチモン化合物、下記式(2)を満足するチタン化
    合物、下記式(3)を満足するゲルマニウム化合物、下
    記式(4)および下記式(5)を満足するグリコール可
    溶性のマグネシウム並びにリン化合物の存在下、当該ポ
    リエステルの極限粘度が0.3以上に達した任意の段階
    で、下記一般式(I)または(II)で表される化合物の
    少なくとも1種をポリエステルの酸成分に対し0.05
    〜5モル%添加し、重縮合させることにより得られる、
    極限粘度0.6以上、末端カルボキシル基量50当量/
    106 g未満のポリエステル。 【数1】0≦Sb≦0.5 …(1) 0≦Ti≦0.4 …(2) 0≦Ge≦1.5 …(3) 0.3≦Mg≦3.0 …(4) 0.05≦P/Mg≦0.5 …(5) (上記式中、Sb、Ti、Ge、Mg、Pは各々の元素
    のポリエステル106 g当たりのモル数を表す) 【化1】 (上記式中R1 、R3 、R4 、R5 はそれぞれ独立し
    て、炭素数20以下の1価のアリール基もしくは置換ア
    リール基、または少なくとも1個の第2級もしくは第3
    級炭素原子を有する基であって、アリール基および置換
    アリール基以外の有機残基、R2 は2価の有機残基を示
    し、nは0または1の整数を示す)
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