JP6849159B1 - ポリエステル樹脂の製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明によれば、水不溶性乃至水難溶性のリン酸塩100重量部に対して、TiO2換算で0.1〜100重量部のチタン酸からなる被覆層を表面に有するリン酸塩粒子からなるチタン触媒とアンチモン触媒を含む重縮合触媒の存在下にジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体とグリコールとをエステル化反応又はエステル交換反応にて重縮合させるポリエステル樹脂の製造方法が提供される。本発明によるポリエステル樹脂の製造方法は、好ましくは、上記チタン触媒とアンチモン触媒をそれぞれ限定された量の範囲内において、それぞれ所定の割合にて組み合わせてなる重縮合触媒を用いる。本発明のポリエステル樹脂の製造方法は、加熱された場合においても、色調の劣化が少なく、加えて、固有粘度の低下、即ち、強度の低下も小さいポリエステル樹脂を与える。

Description

本発明はポリエステル樹脂の製造方法に関し、詳しくは、加熱された場合においても、色調の劣化が少なく、加えて、固有粘度の低下、即ち、強度の低下も小さいポリエステル樹脂を与える、ポリエステル樹脂の新規な製造方法に関する。
ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等に代表されるポリエステル樹脂は、機械的特性と化学的特性にすぐれており、それぞれの特性に応じて、例えば、衣料用や産業資材用の繊維品、包装用や磁気テープ用等のフィルムやシート、中空成形品であるボトル、電気、電子部品のケーシング、その他の 種々の成形品や部品等の広範な分野において用いられている。
代表的なポリエステル樹脂である芳香族ジカルボン酸成分とアルキレングリコール成分を主たる構成成分とするポリエステル樹脂、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂は、通常、テレフタル酸とエチレングリコールとのエステル化反応や、テレフタル酸ジメチルとエチレングリコールとのエステル交換によってビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート(BHET)を含むオリゴマーを製造し、このオリゴマーを重縮合触媒の存在下に真空中、高温下に溶融重縮合させることによって製造されている。
このようなポリエステル樹脂の繊維品を得るための紡糸や種々の成形品を得るための成形は通常、高い温度で行われるが、一般に、ポリエステル樹脂は耐熱性が十分でないので、高温に曝されるときは、色調や強度に劣化が生じる。
三酸化アンチモンに代表されるアンチモンを含むポリエステル製造用のアンチモン触媒は従来から広く知られており、これを用いて得られるポリエステルは、加熱された場合、色調の劣化は少ないが、しかし、強度の低下が大きい。
更に、上記アンチモン触媒は、実用的な重縮合速度が得られる量を用いると、重縮合時に金属アンチモンが析出して、得られるポリエステルが黒ずんだり、また、得られるポリエステル樹脂に異物が混入したりするという問題があるほか(特許文献1参照)、本来、毒性を有するという問題がある。そこで、アンチモン触媒を用いることなく、又は用いる量を低減しながら、実用的な重縮合速度にてポリエステルを得ることができ、しかも、得られるポリエステルが加熱された場合においても、色調の劣化が少なく、しかも、強度の低下の少ないポリエステル樹脂を得る新規な技術が求められている。
従来、すぐれた触媒活性を有し、すぐれた色調と熱安定性を有するポリエステルを与える触媒として、例えば、ゲルマニウム化合物からなる触媒が知られているが(特許文献2参照)、この触媒は非常に高価であるのみならず、重合中に反応系から外へ留出しやすいので、反応系の触媒濃度が経時的に変化し、重合の制御が困難になるという問題を有している。
他方、グリコールチタネートやチタンアルコキシド等のチタン化合物も、ジメチルテレフタレートとエチレングリコールとのエステル交換によるポリエステル製造用重縮合触媒において、高い重合活性を有することが既に知られているが(例えば、特許文献3及び4参照)、しかし、得られたポリエステルが加熱された場合に、特に、溶融成形時に、熱劣化して着色しやすいという問題がある。
特開平09−291141号公報 特開平10−212119号公報 特公昭46−3395号公報 特開昭49−57092号公報
本発明者らは、従来のポリエステル製造用重縮合触媒における上述した問題を解決するために、鋭意、研究した結果、表面にチタン酸からなる被覆層を有する水不溶性乃至水難溶性リン酸塩の粒子からなるチタン触媒をポリエステル製造用重縮合触媒として用いることによって、すぐれた色調を有する高分子量ポリエステルをチタンの単位重量当たり高い重合活性にて得ることができることを見出した。
更に、本発明者らは、上記チタン触媒を改良して、すぐれた色調を有するのみならず、耐熱性にもすぐれたポリエステルを与える新たなポリエステル製造用重縮合触媒を得るべく、鋭意、研究した結果、上記チタン触媒とアンチモン触媒をそれぞれ限られた範囲内において一定の割合にて組み合わせて、ポリエステル製造用重縮合触媒として用いることによって、予期せざることに、すぐれた色調を有するのみならず、加熱された場合においても、色調の劣化が少なく、しかも、好ましい態様によれば、加熱された場合においても、固有粘度の低下、即ち、強度の低下も小さいポリエステル樹脂を得ることができることを見出して、本発明を完成したものである。
従って、本発明は、すぐれた色調を有するのみならず、加熱された場合においても、色調の劣化が少なく、しかも、好ましい態様によれば、強度の低下も小さいポリエステル樹脂を得ることができるポリエステル樹脂の新規な製造方法を提供することを目的とする。
本発明によれば、水不溶性乃至水難溶性のリン酸塩100重量部に対して、TiO2換算で0.1〜100重量部のチタン酸からなる被覆層を表面に有するリン酸塩の粒子からなるチタン触媒とアンチモン触媒を含む重縮合触媒の存在下にジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体とグリコールとをエステル化反応又はエステル交換反応にて重縮合させるポリエステル樹脂の製造方法が提供される。
以下、本発明においては、ppmは重量基準による。
上記チタン触媒は、通常、得られるポリエステルに対して、チタン原子換算で、1〜20ppmの範囲で用いることによって、b* 値が約2〜4の範囲にある色調にすぐれるポリエステル樹脂を与える。b* 値については後述する。
ポリエステル樹脂の製造において、得られるポリエステルに対して、チタン原子換算で上記チタン触媒を1ppmよりも少ない量にて用いるときは、上記チタン触媒は重縮合触媒活性が十分でなく、目的とする高分子量のポリエステルを得ることができないおそれがある。他方、上記チタン触媒を上記基準にて20ppmよりも多く用いるときは、得られるポリエステルが熱安定性に劣るおそれがある。特に、上記チタン触媒は、これを上記基準にて2〜10ppmの範囲で用いることによって、より色調にすぐれたポリエステル樹脂を与える。
本発明者らは、得られるポリエステルに対して、チタン原子換算で1〜20ppmの範囲で、好ましくは、2〜10ppmの範囲で、より好ましくは、5〜10ppmの範囲で上記チタン触媒を用いると共に、このチタン触媒にそれぞれ限られた範囲内において一定の割合にてアンチモン触媒を組み合わせて用いることによって、色調にすぐれるのみならず、加熱された場合においても、色調の劣化が少なく、しかも、好ましい場合には、強度の低下も少ないポリエステル樹脂を得ることができることを見出した。
特に、チタン触媒は、上記基準にて、約5〜10ppmの範囲で用いるとき、例えば、一例として、6.5ppm用いるとき、概ね、b* 値が2〜3の範囲にある色調にすぐれるポリエステル樹脂を与える。
一方、本発明者らは、上記アンチモン触媒については、同じ反応条件下で、前記基準にて、アンチモン原子換算にて、チタン触媒の約33〜34重量倍を用いるとき、チタン触媒を用いる場合と比べて、b* 値と固有粘度IVがほぼ等しいポリエステル樹脂を得ることができることを見出した。即ち、得られるポリエステルに対して、チタン原子換算で1〜20ppmの範囲にある一つのチタン触媒は、アンチモン量がアンチモン原子換算にて、6.5ppmの約33〜34倍量であるアンチモン触媒がb* 値と固有粘度IVがほぼ等しいポリエステル樹脂を与えるという意味において、概ね、等価であることを見出した。一例を挙げれば、得られるポリエステルに対して、チタン原子換算で6.5ppmであるチタン触媒は、得られるポリエステルに対して、アンチモン量がアンチモン原子換算で214〜221ppmのアンチモン触媒と概ね等価である。
そこで、本発明においては、得られるポリエステルに対して、チタン原子換算で、1〜20ppmを下記A量とし、用いるチタン触媒の量に対して、アンチモン原子換算にて、33〜34倍量を下記B量とした。
かくして、本発明による好ましいポリエステル樹脂の製造方法は、上述したチタン触媒とアンチモン触媒を含む重縮合触媒において、得られるポリエステルに対して、
上記アンチモン触媒の不存在下の上記チタン触媒の量をチタン原子換算でA量(ppm)とし、上記チタン触媒の不存在下の上記アンチモン触媒の量をアンチモン原子換算でB量(ppm)としたとき、
上記A量は1〜20ppmの範囲であり、上記B量は上記A量の33〜34倍の範囲であり、
上記チタン触媒をチタン原子換算にてa量(ppm)用い、その際、上記A量に対するa量の割合(a/A)×100(%)を0%よりも大きく、80%以下の範囲とすると共に、上記A量に対するa量の割合と上記B量に対するb量の割合(b/B)×100(%)との合計量を100%とするように、アンチモン触媒をアンチモン原子換算にてb量(ppm)用いるものである。
上述した本発明によるポリエステル樹脂の製造方法においては、より好ましくは、上記チタン触媒をチタン原子換算にてa量(ppm)用い、その際、上記A量に対するa量の割合(a/A)×100(%)を10〜80%の範囲とする。
上述した本発明によるポリエステル樹脂の製造方法において、特に好ましくは、上記チタン触媒をチタン原子換算にてa量(ppm)用い、その際、上記A量に対するa量の割合(a/A)×100(%)を50〜80%の範囲とする。
また、上述した本発明によるポリエステル樹脂の製造方法において、上記B量は、例えば、上記A量の33.4倍とすることができる。
以下においては、上記水不溶性乃至水難溶性のリン酸塩を簡単のために単に「リン酸塩」ということがある。また、便宜上、チタンテトライソプロポキシドも「チタン触媒」ということがある。また、上記A量を「チタン触媒100%量」といい、上記B量を「アンチモン触媒100%量」ということがある。
更に、上記チタン触媒100%量(A量)に対する上記チタン触媒の使用量(a量)の割合である(a/A)×100(%)を「チタン触媒割合」といい、上記アンチモン触媒100%量(B量)に対する上記アンチモン触媒の使用量(b量)の割合である(b/B)×100(%)を「アンチモン触媒割合」ということがある。
前述したように、本発明において、チタン触媒の使用量(a量)(ppm)は、得られるポリエステルに対して、チタン原子換算による。同様に、アンチモン触媒の使用量(b量)(ppm)は、得られるポリエステルに対して、アンチモン原子換算による。
本発明においては、上記チタン触媒は、好ましくは、リン酸塩100重量部に対して、TiO換算で1〜50重量部のチタン酸からなる被覆層を表面に有し、より好ましくは、10〜50重量部のチタン酸からなる被覆層を表面に有する。
また、本発明においては、上記リン酸塩は、特に好ましくは、ピロリン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム及び第三リン酸カルシウムから選ばれる少なくとも1種である。
本発明のポリエステル樹脂の製造方法によれば、すぐれた色調を有するうえに、加熱された場合においても、色調の劣化が少なく、そのうえ、好ましい態様によれば、強度の低下も小さいポリエステル樹脂を得ることができる。
チタン触媒と三酸化アンチモン触媒とからなる重縮合触媒におけるチタン触媒割合(%)と△b* 値(チタン触媒と三酸化アンチモン触媒とからなる重縮合触媒を用いて得られた溶融重縮合ポリエステルの加熱試験後の色調(b* 値)をCとし、三酸化アンチモン触媒のみを用いて、即ち、チタン触媒割合0%(即ち、アンチモン触媒割合100%)として得られた溶融重縮合ポリエステルの加熱試験後の色調(b* 値)をCとしたとき、C−Cで表される値をいう。以下、同じである。色調劣化指数ということがある。)との関係を示すグラフである。 チタン触媒と三酸化アンチモン触媒とからなる重縮合触媒におけるチタン触媒割合(%)と△b* 値との関係を示すグラフである。 チタン触媒と三酸化アンチモン触媒とからなる重縮合触媒におけるチタン触媒割合(%)と△b* 値との関係を示すグラフである。 上記とは別のチタン触媒と三酸化アンチモン触媒とからなる重縮合触媒におけるチタン触媒割合(%)と△b* 値との関係を示すグラフである。 チタンテトライソプロポキシドと三酸化アンチモン触媒とからなる重縮合触媒におけるチタン触媒割合(%)と△b* 値との関係を示すグラフである。
本発明によるポリエステル樹脂の製造方法は、水不溶性乃至水難溶性のリン酸塩100重量部に対して、TiO2換算で0.1〜100重量部のチタン酸からなる被覆層を表面に有するリン酸塩粒子、即ち、チタン触媒とアンチモン触媒を含む重縮合触媒の存在下にジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体とグリコールとをエステル化反応又はエステル交換反応にて重縮合させるものである。
本発明による好ましいポリエステル樹脂の製造方法は、上記チタン触媒とアンチモン触媒を含む重縮合触媒の存在下にジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体とグリコールとをエステル化反応又はエステル交換反応にて重縮合させる製造方法であって、
上記重縮合触媒として、得られるポリエステルに対して、
アンチモン触媒の不存在下における上記チタン触媒の量をチタン原子換算でA量(ppm)とするとき、上記重縮合触媒における上記チタン触媒の割合が100%であり、アンチモン触媒の割合が0%であるとし、
上記チタン触媒の不存在下におけるアンチモン触媒の量をアンチモン原子換算でB量(ppm)とするとき、上記重縮合触媒における上記チタン触媒の割合が0%であり、上記アンチモン触媒の割合が100%であるとした場合に、
上記A量は1〜20ppmの範囲であり、上記B量は上記A量の33〜34倍の範囲であり、
上記チタン触媒をチタン原子換算にてa量(ppm)用い、その際、上記A量に対するa量の割合(a/A)×100(%)を0%よりも大きく、80%以下の範囲とすると共に、上記A量に対するa量の割合と上記B量に対するb量の割合(b/B)×100(%)との合計量を100%とするように、アンチモン触媒をアンチモン原子換算にてb量(ppm)用いるものである。
本発明において、上記リン酸塩は、好ましくは、25℃の水への溶解度、即ち、25℃の水100gへの最大の溶解量が2.00g以下であるものである。また、本発明において、上記リン酸塩は、オルトリン酸塩のみならず、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、リン酸塩ガラス、亜リン酸塩、次亜リン酸塩及びこれらの2種以上の混合物をも含む。
本発明において、上記リン酸塩のアニオンの対イオンは、アルカリ土類金属、アルミニウム、チタン、ジルコニウム及び亜鉛よりなる群より選ばれる少なくとも一種のイオンを挙げることができる。上記アルカリ土類金属としては、特に、カルシウム及びマグネシウムよりなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
従って、本発明において、好ましいリン酸塩として、例えば、第二リン酸マグネシウム、第三リン酸マグネシウム、第一リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、第二リン酸バリウム、第三リン酸バリウム、第二リン酸アルミニウム、第三リン酸アルミニウム、リン酸チタン、リン酸ジルコニウム、リン酸水素亜鉛、リン酸亜鉛、亜リン酸マグネシウム、次亜リン酸マグネシウム、亜リン酸カルシウム、次亜リン酸カルシウム、リン酸バリウム、亜リン酸アルミニウム、亜リン酸亜鉛、ピロリン酸マグネシウム、ピロリン酸カルシウム、酸性ピロリン酸カルシウム、ピロリン酸バリウム、ピロリン酸チタン、ピロリン酸ジルコニウム、ピロリン酸亜鉛、メタリン酸マグネシウム、メタリン酸カルシウム、メタリン酸バリウム、メタリン酸アルミニウム、メタリン酸亜鉛等を挙げることができる。
なかでも、本発明によれば、リン酸塩は、好ましくは、ピロリン酸カルシウム、ピロリン酸二水素カルシウム、第三リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、第三リン酸マグネシウム及びメタリン酸マグネシウムから選ばれる少なくとも1種であり、最も好ましくは、ピロリン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム及び第三リン酸カルシウムから選ばれる少なくとも1種である。
本発明において、チタン酸とは、一般式
TiO・nH
(式中、nは0<n≦2を満たす数である。)
で表される含水酸化チタンであって、このようなチタン酸は、例えば、後述するように、ある種のチタン化合物をアルカリ加水分解することによって得ることができる。
本発明においては、上記チタン酸は、nが0.3〜1.5の範囲にあるものが好ましく、特に、0.5〜1の範囲にあるものが好ましい。
本発明において、上記チタン触媒は、上記リン酸塩100重量部に対して、TiO換算で0.1〜100重量部のチタン酸からなる被覆層を表面に有する。
上記リン酸塩100重量部に対して、チタン酸からなる被覆層の割合がTiO換算で0.1重量部よりも少ないときは、リン酸塩の量に対するチタン酸の量が少なすぎるため用いるチタン触媒の量によっては、アンチモン触媒と組み合わせても、重合活性が低く、高分子量のポリエステルを得るには、長時間にわたる反応時間を必要とする。しかも、得られるポリエステルは着色が生じやすい。
しかし、リン酸塩100重量部に対して、チタン酸からなる被覆層の割合がTiO換算で100重量部よりも多いときは、リン酸塩の量に対するチタン酸の量が多すぎるため、このようなリン酸塩粒子とアンチモン触媒を含む重縮合触媒の存在下にポリエステル樹脂を製造するとき、多くの場合、ポリエステルの分解が起こりやすく、また、得られたポリエステルは着色が生じやすい。
特に、本発明においては、得られるポリエステル樹脂が色調にすぐれるように、チタン触媒は、リン酸塩100重量部に対して、チタン酸からなる被覆層の割合がTiO換算で1〜50重量部の範囲であることが好ましく、特に、10〜50重量部の範囲であることが好ましい。
本発明によれば、チタン触媒は、前述した水不溶性乃至水難溶性のリン酸塩粒子の水性スラリーを5〜100℃、好ましくは、25〜40℃ の温度に保持しつつ、これに上記リン酸塩100重量部に対してTiO換算にて0.1〜100重量部、好ましくは、1〜50重量部、より好ましくは、10〜50重量部のチタン化合物を加え、得られた混合物にアルカリを加え、上記スラリーをpH3〜12、好ましくは、pH6〜8として、スラリー中の上記チタン化合物を加水分解して、上記リン酸塩粒子の表面にチタン酸からなる被覆層を形成し、次いで、このような被覆層を表面に有するリン酸塩粒子を含むスラリーを濾過し、得られた固形物を乾燥し、解砕することによって得ることができる。上記乾燥温度は、好ましくは、60〜180℃ の範囲であり、特に好ましくは、100〜130℃の範囲である。
また、上記チタン触媒は別の方法によっても得ることができる。即ち、前記リン酸塩粒子の水性スラリーを5〜100℃ 、好ましくは、25〜40℃ に保持しつつ、これに上記リン酸塩100重量部に対してTiO換算にて0.1〜100重量部、好ましくは、1〜50重量部、より好ましくは、10〜50重量部のチタン化合物とアルカリとをほぼ当量比にて加え、必要に応じて、更にアルカリを加えて、pH3〜12、好ましくは、6〜8でスラリー中の上記チタン化合物を加水分解して、上記リン酸塩粒子の表面にチタン酸からなる被覆層を形成し、次いで、このように表面に上記被覆層を有するリン酸塩粒子を含むスラリーを濾過し、得られた固形物を60〜180℃の温度で乾燥し、解砕することによって得ることができる。
上記チタン触媒の製造において、上記アルカリ加水分解によってチタン酸被覆を形成し得るチタン化合物としては、例えば、四塩化チタン等のようなチタンハロゲン化物、シュウ酸チタニルアンモニウム塩等のようなチタン酸塩、チタンテトライソプロポキシド等のようなチタンアルコキシド等を挙げることができるが、しかし、これら例示に限定されるものではない。また、上記加水分解に用いる上記アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物や、アンモニアを例示することができるが、アルカリもまた、上記例示に限定されるものではない。
本発明において、上記アンチモン触媒は、例えば三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酢酸アンチモン、アンチモングリコキサイド等を挙げることができる。
本発明によるポリエステル樹脂の製造方法は、上記チタン触媒とアンチモン触媒を含む重縮合触媒の存在下に、好ましくは、上記チタン触媒とアンチモン触媒をそれぞれ限られた範囲内において所定の割合で含む重縮合触媒の存在下に、ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体とグリコールをエステル化反応又はエステル交換反応にて重縮合させるものである。
本発明において、上記ジカルボン酸としては、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、ドデカンジカルボン酸等によって例示される脂肪族ジカルボン酸や、そのエステル形成性誘導体、例えば、ジアルキルエステルや、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等によって例示される芳香族ジカルボン酸や、そのエステル形成性誘導体、例えば、ジアルキルエステルを挙げることができる。
また、本発明において、上記グリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等を例示することができる。
上述したなかでは、例えば、上記ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸が好ましく用いられ、また、上記グリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等のアルキレングリコールが好ましく用いられる。
従って、本発明において、ポリエステル樹脂の好ましい具体例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリプロピレンナフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)等を挙げることができる。
本発明において、用いることができるジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体や、グリコール又はそのエステル形成性誘導体は、上記例示に限定されるものではなく、また、得られるポリエステルも、上記例示に限定されるものではない。しかし、上述したなかでは、ジカルボン酸としては、芳香族ジカルボン酸が好ましく、ポリエステルとしては、芳香族ジカルボン酸としてテレフタル酸を用い、グリコールとしてエチレングリコールを用いるポリエチレンテレフタレートが好ましい。
上記ポリエチレンテレフタレートは、従来、通常、以下の方法によって製造されている。即ち、第1は、テレフタル酸とエチレングリコールとの直接エステル化反応によって、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート(BHET)を含む低分子量のオリゴマーを得、更に、このオリゴマーを従来から知られている重縮合触媒の存在下に高真空、高温下に溶融重縮合させて、所要の分子量を有するポリエステルを得るものである。
第2は、ジメチルテレフタレートに代表されるテレフタル酸ジアルキルエステルとエチレングリコールとのエステル交換反応によって、同様に、前記ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート(BHET)を含む低分子量のオリゴマーを得、更に、このオリゴマーを従来から知られている重縮合触媒の存在下に高真空、高温下に溶融重縮合させて、所要の分子量を有するポリエステルを得るものである。
より詳しくは、上記低分子量のオリゴマーを重縮合反応槽に移送し、通常、240〜280℃の範囲のポリエチレンテレフタレートの融点よりも高い温度、例えば、280〜290℃程度の温度で減圧下に加熱し、未反応のエチレングリコールと、反応によって生成したエチレングリコールとを反応系外に留去しつつ、同時に、溶融反応物の粘度をモニタリングしながら、上記低分子量のオリゴマーを溶融重縮合させてポリエステルを得る。
この溶融重縮合反応は、必要に応じて、複数の重縮合反応槽を用いて、それぞれの重縮合反応槽において、反応温度と圧力を最適に変更させながら行ってもよい。反応混合物の粘度が所要値に達すれば、減圧を止め、例えば、窒素ガスにて重縮合反応槽内を常圧に戻して、得られたポリエステルを重縮合反応槽から、例えば、ストランド状に吐出させ、急水冷し、切断して、ペレットとする。本発明によれば、このようにして、通常、温度30℃における固有粘度(IV)が0.5〜0.9dL/gの溶融重縮合ポリエステルを得ることができる。
ボトル用途のポリエステルには、繊維やフィルム用途の溶融重縮合ポリエステルよりも高分子量のものが要求される。このようなより高分子量のポリエステルは、既に、知られているように、通常、上記溶融重縮合ポリエステルを固相重縮合することによって得ることができる。
本発明によるポリエステル樹脂の製造方法は、溶融重縮合ポリエステルについても、固相重縮合ポリエステルについても、上述した従来の溶融重縮合ポリエステル又は固相重縮合ポリエステルの製造において、重縮合触媒として、前述したように、チタン触媒とアンチモン触媒の組み合わせを用いるものである。
本発明によるポリエステル樹脂の好ましい製造方法においては、ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体とグリコールとのエステル化反応又はエステル交換反応によって、ジカルボン酸ジエステルを含む前記低分子量のオリゴマーを製造する第1の工程と、次いで、この低分子量のオリゴマーを溶融重縮合させて溶融重縮合物としてのポリエステルを得る第2の工程を含むポリエステルの製造方法において、少なくとも上記第2の工程を前記チタン触媒とアンチモン触媒を含む重縮合触媒の存在下に行うものである。但し、上記第1の工程を上記重縮合触媒の存在下に行い、引き続き、その重縮合触媒の存在下に上記第2の工程を行ってもよい。
ポリエチレンテレフタレートの製造の場合であれば、少なくとも前記ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート(BHET)を含む低分子量のオリゴマーを溶融重縮合させる第2の工程を上記チタン触媒とアンチモン触媒を含む重縮合触媒の存在下に行って、所要の分子量を有するポリエステルを溶融重縮合物として得る。但し、上記第1の工程を上記重縮合触媒の存在下に行い、引き続き、その重縮合触媒の存在下に上記第2の工程を行ってもよい。
更に、本発明の方法は、上述したポリエステルの製造方法において、上記溶融重縮合物としてのポリエステルを固相重縮合させて、固相重縮合物としてのポリエステルを得る工程を含むことができる。
本発明の方法によれば、通常、前記チタン触媒とアンチモン触媒を含む重縮合触媒の存在下に前記オリゴマーを溶融重縮合させて、溶融重縮合物としてのポリエステルを得る。
従って、本発明において、上記溶融重縮合物としてのポリエステルを更に固相重縮合させる場合、上記溶融重縮合物としてのポリエステルは既に上記重縮合触媒を含んでいるので、その固相重縮合に際しては、新たに重縮合触媒を用いる必要はない。しかし、場合によっては、固相重縮合に際して、新たに上記重縮合触媒を溶融重縮合ポリエステルに加えて、固相重縮合させてもよい。例えば、溶融重縮合によって得られたポリエステルを上記重縮合触媒と溶融混合し、これを固相重縮合に供すればよい。
ポリエステルの固相重縮合は、より詳しくは、溶融重縮合によって得られたポリエステルを真空下又は不活性ガス又は炭酸ガスの流通下に温度100〜200℃で乾燥し、次いで、温度150〜200℃で結晶化させた後、ポリエステルの融点よりも低い温度、代表的には、200〜230℃程度の温度にポリエステルを加熱して固相重縮合させる。本発明によれば、このようにして、通常、温度30℃における固有粘度(IV)が0.7〜1.2dL/gのポリエステルを固相重縮合物として得ることができる。
本発明においては、チタン触媒とアンチモン触媒を混合し、得られた混合物をそのまま、重縮合触媒として用いてもよいが、それぞれを原料として用いるグリコールに分散させ、又は溶解させて、反応系、例えば、エステル化反応系又はエステル交換反応系に加えることが好ましい。
特に、チタン触媒は、グリコール、特に、エチレングリコールに容易に分散させて、グリコールスラリーとすることができ、また、アンチモン触媒は、グリコール、特に、エチレングリコールに加熱下に溶解させてグリコール溶液とすることができるので、前記オリゴマーを重縮合反応槽に仕込み、加熱し、溶融させ、これに上記グリコールスラリーとグリコール溶液を加えて、前記オリゴマーを溶融重縮合させることが好ましい。上記グリコールスラリーとグリコール溶液を重縮合反応槽に加える順序に制約はない。いずれを先に加え、いずれを後に加えてもよい。また、両者を同時に加えてもよい。
前述したように、本発明において用いる重縮合触媒を構成するチタン触媒とアンチモン触媒について、チタン触媒100%量(A量)は1〜20ppmの範囲であり、より好ましくは、2〜10ppmの範囲であり、最も好ましくは、5〜10ppmの範囲である。A量を定めたとき、アンチモン触媒100%量(B量)は、チタン触媒100%量(A量)を用いた場合と同等の色調と固有粘度を有するポリエステルを与える量であり、そのA量の33〜34倍の範囲とすることが適当である。例えば、A量の33.4倍とすることができる。
従って、本発明において、上記A量を1ppmとするときは、B量は、通常、33〜34ppmの範囲であり、例えば、33.4ppmであり、上記A量を20ppmとするときは、B量は、通常、660〜680ppmの範囲であり、例えば、660.8ppmとすることができる。
同様に、上記A量を5ppmとするときは、B量は、通常、165〜170ppmの範囲であり、例えば、167ppmとすることができる。上記A量を8ppmとするときは、B量は、通常、264〜272ppmの範囲であり、例えば、267.2ppmとすることができる。また、上記A量を10ppmとするときは、B量は、通常、330〜340ppmの範囲であり、例えば、330ppmとすることができる。
本発明によるポリエステル樹脂の製造方法においては、好ましくは、上述したチタン触媒100%量(A量)とアンチモン触媒100%量(B量)の範囲内において、チタン触媒とアンチモン触媒をそれぞれ所定の割合にて組み合わせて重縮合触媒として用いる。
得られるポリエステルに対して、上記A量が1ppmよりも少ないときは、用いるチタン触媒に組み合わせるアンチモン触媒の量によっては、触媒活性が十分でなく、本発明が目的とするポリエステルを得ることができないおそれがある。他方、得られるポリエステルに対して、上記A量がチタン原子換算で20ppmよりも多いときも、用いるチタン触媒に組み合わせるアンチモン触媒の量によっては、本発明が目的とするポリエステルを得ることができないおそれがある。
本発明によるポリエステル樹脂の製造方法において、チタン触媒とアンチモン触媒の組み合わせからなる重縮合触媒は、好ましくは、得られるポリエステルに対して、上記チタン触媒をチタン原子換算にてa量(ppm)用い、その際、上記チタン触媒100%量(A量)に対するa量の割合((a/A)×100(%))を0%よりも大きく、80%以下の範囲とすると共に、上記チタン触媒100%量(A量)に対するa量の割合と前記アンチモン触媒100%量(B量)に対するb量の割合((b/B)×100(%))との合計量を100%とするように、アンチモン触媒をアンチモン原子換算にてb量(ppm)用いるものである。
換言すれば、チタン触媒をチタン原子換算にてa量(ppm)用いて、アンチモン触媒をアンチモン原子換算にてb量(ppm)を用いるとき、上記チタン触媒100%量であるA量に対するチタン触媒の使用量a量の割合((a/A)×100(%))と上記アンチモン触媒100%量であるB量に対するアンチモン触媒の使用量b量の割合((b/B)×100(%))の合計量を100%とすると共に、上記チタン触媒割合を0%よりも大きく、80%以下の範囲とするものである。
ここで、本発明に従って、上述したようなチタン触媒とアンチモン触媒の組み合わせからなる重縮合触媒を用いるとき、予期せざることに、チタン触媒割合が0%よりも大きく、80%に至るまで、好ましくは、75%に至るまで、得られる溶融重縮合ポリエステルは、前述した色調劣化指数△b* 値が1.00未満であり、好ましい場合には実質的に0である。即ち、重縮合触媒におけるチタン触媒割合が0%を超えて、80%、好ましくは、75%までの間、チタン触媒割合にかかわらず、そのような重縮合触媒を用いて得られた溶融重縮合ポリエステルの加熱後の色調(b* 値)は、アンチモン触媒のみを用いて得られたポリエステルの色調(b* 値)と実質的に同じである。
本発明によるポリエステル樹脂の製造方法において、組み合わせて重縮合触媒として用いるチタン触媒とアンチモン触媒の使用量についてより具体的に説明する。
チタン触媒100%量(A量)とアンチモン触媒100%量(B量)の最も好ましい組み合わせの具体的な一つは、チタン触媒100%量(A量)を6.5ppmとし、アンチモン触媒100%量(B量)を上記A量の33〜34倍、即ち、214.5〜221ppmの範囲、例えば、217ppm(33.4倍)とする組み合わせである。
そこで、本発明によるチタン触媒とアンチモン触媒の組み合わせからなる重縮合触媒の最も好ましい使用量の組み合わせの具体的な一つは、得られるポリエステルに対して、チタン原子換算にて、上記チタン触媒をa量(ppm)用い、前記チタン触媒100%量(A量)に対するチタン触媒の使用量a量の割合((a/6.5)×100(%))を0%よりも大きく、80%以下の範囲とすると共に、上記チタン触媒100%量(A量)に対するチタン触媒の使用量a量の割合((a/6.5)×100(%))と上記アンチモン触媒100%量(B量)に対する触媒の使用量b量の割合((b/217)×100(%))の合計量を100%とするように、アンチモン原子換算にて、触媒をb量(ppm)を用いるものである。
例えば、チタン触媒をTi原子換算でa量用いて、チタン触媒100%量(A量)に対するチタン触媒割合を80%とするとすれば、(a/6.5)×100(%)=80%であるから、a量は5.2ppmである。従って、この量のチタン触媒量に組み合わせるべきアンチモン触媒の量bは、アンチモン原子換算にて、(b/217)×100(%)=20%となる量、即ち、アンチモン原子換算にて43ppmである。
このように、本発明によれば、チタン触媒100%量(A量)とアンチモン触媒100%量(B量)を定め、チタン触媒の使用量a量を定めれば、アンチモン触媒の使用量b量は自ずから定まる。
本発明においては、このように、B量はA量のほぼ一定倍量とし、チタン触媒をチタン原子換算でa量、アンチモン触媒をアンチモン原子換算でb量用いるとき、(a/A)×100(%)+(b/B)×100(%)を100%となるようにして重縮合触媒を構成している。
本発明によるポリエステル樹脂の製造方法においては、例えば、チタン触媒として、表面にチタン酸被覆層を有するピロリン酸カルシウム粒子を用いる場合を例にとって説明すれば、図1に示すように、前記チタン触媒割合が80%以下の範囲にある間は、得られたポリエステルの色調は、加熱後も、重縮合触媒としてアンチモン触媒のみを用いて得られたポリエステルとほぼ同等であるが、前記チタン触媒割合が80%を超えるときは、前記色調劣化指数が急激に増加して、黄色味が増す。
また、本発明に従って得られたポリエステルの加熱後の固有粘度から加熱前の固有粘度を減じた値である△IV値を表1に示すように、チタン触媒割合が0%であるとき、固有粘度の低下幅が最も大きく、チタン触媒割合が100%であるとき、固有粘度の低下幅が最も小さい。より詳細には、前記チタン触媒とアンチモン触媒の組み合わせからなるポリエステル製造用重縮合触媒を用いるポリエステルの製造において、前記チタン触媒割合が増加するにつれて、固有粘度の低下幅は、概ね、直線的に小さくなる。
そこで、本発明によるポリエステル樹脂の製造方法において、好ましくは、上記リン酸塩粒子をチタン原子換算にてa量(ppm)用い、その際、上記A量に対するa量の割合(a/A)×100(%)、即ち、チタン触媒割合を10〜80%の範囲とし、より好ましくは、20〜80%の範囲とし、更に好ましくは、30〜80%の範囲とし、また、更に好ましくは、40〜80%の範囲とし、最も好ましくは、50〜80%の範囲とする。
このように、本発明によれば、上記チタン触媒とアンチモン触媒をそれぞれ所定の範囲内においてそれぞれ所定の割合にて含む組み合わせを重縮合触媒として用い、この際、チタン触媒割合を10%以上、80%以下とすることによって、加熱された場合においても、色調の劣化が少なく、加えて、固有粘度の低下、即ち、強度の低下がより小さいポリエステル樹脂を得ることができる。
更に、本発明によれば、チタン触媒割合を20〜80%程度、好ましくは、30〜80%程度、より好ましくは、40〜80%程度とするとき、得られる溶融重縮合ポリエステルの固有粘度の低下幅を更により小さい範囲に抑えて、実用上、許容し得る程度とすることができる。特に、チタン触媒割合を50〜80%程度とするとき、得られる溶融重縮合ポリエステルの固有粘度の低下幅を望ましい程度に抑えることができる。
本発明による重縮合触媒は、溶融重縮合のみならず、固相重縮合や溶液重縮合においても、用いることができ、固相重縮合に用いた場合も、溶融重縮合ポリエステルと同じく、加熱試験後も色調の劣化が少なく、好ましい態様によれば、固有粘度の低下、即ち、強度の低下も小さい固相重縮合ポリエステルを得ることができる。
しかし、本発明のポリエステル樹脂の製造において、本発明による重縮合触媒を用いる利点を損なわない範囲において、従来より知られている重縮合触媒、例えば、ゲルマニウム、チタン、スズ、アルミニウム等の化合物からなる重縮合触媒を併用してもよい。更に、必要に応じて、得られるポリエステルの色調改善のためにアルカリ金属化合物を併用してもよく、また、同様に、得られるポリエステルの更なる色調改善と共に熱安定性の改善のためにリン系安定剤を併用してもよい。
本発明において、上記リン系安定剤としては、例えば、リン酸、リン酸塩、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ−n−ブチルホスフェート等のリン酸エステル類、亜リン酸、亜リン酸塩、トリフェニルホスファイト等の亜リン酸エステル類、ポリリン酸等を挙げることができる。このようなリン系安定剤は、ポリエステル製造の任意の時点で反応系に導入することができる。これらのリン系安定剤は、得られるポリエステルの重量に対して、通常、リン原子として1〜100ppm、好ましくは、3〜20ppmの範囲で用いられる。
本発明による重縮合触媒を用いて得られたポリエステル樹脂は、得られたポリエステルに対して、チタン原子換算で、1〜20ppmの範囲で、好ましくは、2〜10ppmの範囲で、最も好ましくは、5〜10ppmの範囲で前記チタン触媒を含む。
本発明による重縮合触媒を用いて得られたポリエステル樹脂は、アンチモン触媒を重縮合触媒として用いて得られるアンチモン触媒を含むポリエステルに比較して、昇温時の結晶化温度がより高い特徴を有し、従って、本発明による重縮合触媒を用いて得られたポリエステルは、結晶化速度が遅いので、ボトルや繊維をはじめとするポリエステルの成形時に、樹脂としての透明性をより長い期間にわたって維持することができる。
以下に実施例を参考例及び比較例と共に挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
本発明においては、得られたポリエステルの色調を評価するために、国際照明委員会(CIE)が1974年に定めたL*** 表色系を採用した。ここに、上記L*** 表色系において、L* 値は明度を表し、a* 値とb* 値は色度、即ち、色調と彩度を表す。L* 値は、値が大きい程、明るいことを示し、値が小さい程、暗いことを示す。白色のL* 値は100であり、黒色のL* 値は0である。a* 値が負の値であるときは緑色を示し、正の値であるときは赤色を示す。b* 値が負の値であるときは青色を示し、正の値であるときは黄色を示す。
得られた溶融重縮合ポリエステルについて、色調(b* 値)と固有粘度(IV値)を測定した。また、加熱試験として、上記溶融重縮合ポリエステルを空気雰囲気下、200℃で5時間加熱した後、色調(b* 値)と固有粘度(IV値)を測定した。
前述したように、チタン触媒と三酸化アンチモン触媒とからなる重縮合触媒を用いて得られた溶融重縮合ポリエステルの加熱試験後の色調(b* 値)から三酸化アンチモン触媒のみを用いて、即ち、チタン触媒割合0%(即ち、アンチモン触媒割合100%)として得られた溶融重縮合ポリエステルの加熱試験後の色調(b* 値)を減じて得られた値を色調劣化指数(△b* 値)として求め、また、得られた溶融重縮合ポリエステルについて、加熱後の固有粘度から加熱前の固有粘度を減じて△IV値を求めた。
得られたポリエステルの固有粘度は(株)柴山科学器械製作所製の自動固有粘度測定装置SS−600−L1によって測定した。フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン混合溶液(重量比6/4)を70℃に加熱し、これにポリエステル樹脂を濃度12.5g/L、9.75g/L及び7.75g/Lとなるようにそれぞれ溶解し、このように調製したポリエステル樹脂溶液を30℃に調温し、ウベローデ管を用いた上記自動固有粘度測定装置によって3点法にて固有粘度を求めた。即ち、上記3つのポリエステル樹脂溶液についてそれぞれ還元粘度を求め、次いで、これら3つの還元粘度とポリエステル樹脂溶液の濃度との関係をプロットし、近似線を作成して、この近似線において上記ポリエステル樹脂溶液の濃度を0に外挿して、固有粘度を求めた。
また、得られたポリエステルの色調は日本電色工業(株)製の同時測光方式分光式色差計SQ−2000を用いて測定した。
参考例1
後述する製造例1で得られた、表面にチタン酸被覆をTiO2換算にて50重量部有するピロリン酸カルシウム粒子からなるチタン触媒を重縮合触媒として単独で用いて、即ち、後述する実施例1における「チタン触媒割合が100%のとき」と同様にして、市販のテレフタル酸とエチレングリコールからポリエステル樹脂を製造した。
また、後述する製造例2及び3で得られた、表面にチタン酸被覆をTiO2換算にて50重量部有するピロリン酸マグネシウム又は第三リン酸カルシウムからなるそれぞれのチタン触媒を、上記と同様に、重縮合触媒として単独で用いて、市販のテレフタル酸とエチレングリコールからポリエステル樹脂を製造した。
上記ポリエステルの製造において、チタン触媒の使用量と得られた溶融重縮合ポリエステルの色調b* 値と30℃における固有粘度IVを表1に示す。
Figure 0006849159
前述したように、チタン触媒は、得られるポリエステルに対して、チタン原子換算にて1〜20ppmの範囲で用いることによって、b* 値が約2〜4の範囲にある色調にすぐれるポリエステル樹脂を与え、特に、約5〜10ppmの範囲で用いるとき、例えば、一例として、6.5ppm用いるとき、概ね、b* 値が2〜3の範囲にある色調にすぐれるポリエステルを与えることが理解される。
製造例1
(表面にチタン酸被覆を有するピロリン酸カルシウム粒子(a)からなるチタン触媒の製造)
四塩化チタン水溶液(TiO換算で50.0g/L)1Lと水酸化ナトリウム水溶液(NaOH換算で87.2g/L)1Lを調製した。市販のピロリン酸カルシウムを水スラリー(100g/L)1Lとし、これを5L容量の反応器に仕込んだ後、上記ピロリン酸カルシウムの水スラリーにそのpHが7.0になるように上記四塩化チタン水溶液と水酸化ナトリウム水溶液とを同時に1.28時間かけて滴下した。
滴下終了後、1時間熟成して、ピロリン酸カルシウム粒子の表面にチタン酸からなる被覆層を形成した。このようにして得られた表面にチタン酸からなる被覆層を有するピロリン酸カルシウム粒子の水スラリーを濾過し、得られた固形物を水洗、乾燥した後、解砕して、ピロリン酸カルシウム100重量部に対して表面にチタン酸からなる被覆層をTiO換算で50重量部有するピロリン酸カルシウム粒子(a)からなるチタン触媒を得た。
製造例2
(表面にチタン酸被覆を有するピロリン酸マグネシウム粒子(b)からなるチタン触媒の製造)
四塩化チタン水溶液(TiO換算で50.0g/L)1Lと水酸化ナトリウム水溶液(NaOH換算で87.2g/L)1Lを調製した。市販のピロリン酸マグネシウムを水スラリー(100g/L)1Lとし、5L容量の反応器に仕込んだ後、このピロリン酸マグネシウムの水スラリーにそのpHが7.0になるように、上記四塩化チタン水溶液と水酸化ナトリウム水溶液とを同時に1.28時間かけて滴下した。
滴下終了後、1時間熟成して、ピロリン酸マグネシウム粒子の表面にチタン酸からなる被覆層を形成した。このようにして得られた表面にチタン酸からなる被覆層を有するピロリン酸マグネシウム粒子の水スラリーを濾過し、得られた固形物を水洗、乾燥した後、これを解砕して、ピロリン酸マグネシウム100重量部に対して表面にチタン酸からなる被覆層をTiO換算で50重量部有するピロリン酸マグネシウム粒子(b)からなるチタン触媒を得た。
製造例3
(表面にチタン酸被覆を有する第三リン酸カルシウム粒子(c)からなるチタン触媒の製造)
四塩化チタン水溶液(TiO換算で50.0g/L)1Lと水酸化ナトリウム水溶液(NaOH換算で87.2g/L)1Lを調製した。市販の第三リン酸カルシウムを水スラリー(100g/L)1Lとし、これを5L容量の反応器に仕込んだ後、この第三リン酸カルシウムの水スラリーにそのpHが7.0になるように上記四塩化チタン水溶液と水酸化ナトリウム水溶液とを同時に1.28時間かけて滴下した。
滴下終了後、1時間熟成して、第三リン酸カルシウム粒子の表面にチタン酸からなる被覆層を形成した。このようにして得られた表面にチタン酸からなる被覆層を有する第三リン酸カルシウム粒子の水スラリーを濾過し、得られた固形物を水洗、乾燥した後、これを解砕して、第三リン酸カルシウム100重量部に対して表面にチタン酸からなる被覆層をTiO換算で50重量部有する第三リン酸カルシウム粒子(c)からなるチタン触媒を得た。
以下の実施例1〜3は、得られるポリエステルに対して、チタン触媒100%量(即ち、A量)がチタン原子換算にて6.5ppmである場合であり、実施例4は、得られるポリエステルに対して、チタン触媒100%量(即ち、A量)がチタン原子換算にて10ppmである場合である。
実施例1
製造例1において得たチタン酸被覆ピロリン酸カルシウム粒子からなるチタン触媒を予めエチレングリコールに分散させて、チタン触媒のスラリーを調製した。また、三酸化アンチモン触媒をエチレングリコール中に加熱溶解させて、三酸化アンチモン触媒の溶液を予め調製した。
(1)チタン触媒割合が100%のとき
市販のテレフタル酸433gとエチレングリコール191gを重縮合反応槽に仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌してスラリーとした。
上記チタン触媒のスラリーを得られるポリエステルに対してチタン触媒として33ppm(チタン原子換算にて6.5ppm)となるように上記重縮合反応槽に加えた。
上記重縮合反応槽の温度を260℃に保ち、圧力は窒素ガスにより2.5kgf/cm2から徐々に常圧まで降下させながら、3.5時間かけてエステル化反応を行った。
エステル化反応終了後、1時間かけて重縮合反応槽の温度を260℃から280℃まで昇温し、重縮合反応槽の圧力を常圧から1mmHgまで減圧した。その後、温度と圧力を維持しながら、溶融重縮合反応を行った。
攪拌機のトルクが所定の値になった時点で溶融重縮合反応を終了し、重縮合反応槽内を窒素ガスで常圧に戻し、得られたポリエステルを重縮合反応槽の底部の抜出し口からストランド状に吐出させ、冷却し、切断して、溶融重縮合ポリエステルのペレットを得た。
(2)チタン触媒割合が90%、80%、75%、50%、40%、30%、20%又は10%のとき
市販のテレフタル酸433gとエチレングリコール191gを重縮合反応槽に仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌してスラリーとした。
上記チタン触媒のスラリーをチタン触媒として表1に示す所定の使用量となるように上記重縮合反応槽に加えた。
次いで、上記三酸化アンチモン触媒の溶液を三酸化アンチモン触媒として表1に示す所定の使用量となるように上記重縮合反応槽に加えた。
以下、上記(1)におけると同様にエステル化反応と溶融重縮合反応を行って、溶融重縮合ポリエステルのペレットを得た。
(3)チタン触媒割合が0%のとき
市販のテレフタル酸433gとエチレングリコール191gを重縮合反応槽に仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌してスラリーとした。
上記三酸化アンチモン触媒の溶液を得られるポリエステルに対して触媒として260ppm(アンチモン原子換算にて217ppm)となるように上記重縮合反応槽に加えた。
以下、上記(1)におけると同様にエステル化反応と溶融重縮合反応を行って、溶融重縮合ポリエステルのペレットを得た。
実施例2
実施例1において、チタン酸被覆ピロリン酸カルシウム粒子からなるチタン触媒に代えて、チタン酸被覆ピロリン酸マグネシウム粒子からなるチタン触媒を用いた以外は、実施例1と同様にして、溶融重縮合ポリエステルのペレットを得た。
実施例3
実施例1において、チタン酸被覆ピロリン酸カルシウム粒子からなるチタン触媒に代えて、チタン酸被覆第三リン酸カルシウム粒子からなるチタン触媒を用いた以外は、実施例1と同様にして、溶融重縮合ポリエステルのペレットを得た。
実施例4
製造例1において得たチタン酸被覆ピロリン酸カルシウム粒子からなるチタン触媒を予めエチレングリコールに分散させて、チタン触媒のスラリーを調製した。また、三酸化アンチモン触媒をエチレングリコール中に加熱溶解させて、三酸化アンチモン触媒の溶液を予め調製した。
(1)チタン触媒割合が100%のとき
市販のテレフタル酸433gとエチレングリコール191gを重縮合反応槽に仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌してスラリーとした。
上記チタン触媒のスラリーを得られるポリエステルに対してチタン触媒として51ppm(チタン原子換算にて10ppm)となるように上記重縮合反応槽に加えた。
上記重縮合反応槽の温度を260℃に保ち、圧力は窒素ガスにより2.5kgf/cm2から徐々に常圧まで降下させながら、3.5時間かけてエステル化反応を行った。
エステル化反応終了後、1時間かけて重縮合反応槽の温度を260℃から280℃まで昇温し、重縮合反応槽の圧力を常圧から1mmHgまで減圧した。その後、温度と圧力を維持しながら、溶融重縮合反応を行った。
攪拌機のトルクが所定の値になった時点で溶融重縮合反応を終了し、重縮合反応槽内を窒素ガスで常圧に戻し、得られたポリエステルを重縮合反応槽の底部の抜出し口からストランド状に吐出させ、冷却し、切断して、溶融重縮合ポリエステルのペレットを得た。
(2)チタン触媒割合が80%のとき
市販のテレフタル酸433gとエチレングリコール191gを重縮合反応槽に仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌してスラリーとした。
上記チタン触媒のスラリーをチタン触媒として表1に示す所定の使用量となるように上記重縮合反応槽に加えた。
次いで、上記三酸化アンチモン触媒の溶液を三酸化アンチモン触媒として表1に示す所定の使用量となるように上記重縮合反応槽に加えた。
以下、上記(1)におけると同様にエステル化反応と溶融重縮合反応を行って、溶融重縮合ポリエステルのペレットを得た。
(3)チタン触媒割合が0%のとき
市販のテレフタル酸433gとエチレングリコール191gを重縮合反応槽に仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌してスラリーとした。
上記三酸化アンチモン触媒の溶液を得られるポリエステルに対して触媒として395ppm(アンチモン原子換算にて330ppm)となるように上記重縮合反応槽に加えた。
以下、上記(1)におけると同様にエステル化反応と溶融重縮合反応を行って、溶融重縮合ポリエステルのペレットを得た。
比較例1
チタンテトライソプロポキシド(チタン触媒)をエチレングリコールに溶解させて、チタンテトライソプロポキシドの溶液を予め調製した。また、三酸化アンチモン触媒をエチレングリコール中に加熱溶解させて、三酸化アンチモン触媒の溶液を予め調製した。
(1)チタン触媒割合が100%のとき
市販のテレフタル酸433gとエチレングリコール191gを重縮合反応槽に仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌してスラリーとした。
反応槽の温度を260℃に保ち、圧力は窒素ガスにより2.5kgf/cm2から徐々に常圧まで降下させながら、3.5時間かけてエステル化反応を行った。
上記エステル化反応終了後、上記チタンテトライソプロポキシドの溶液を得られるポリエステルに対してチタン触媒として40ppm(チタン原子換算にて6.5ppm)となるように上記重縮合反応槽に加えた。
1時間かけて反応槽の温度を260℃から280℃まで昇温し、反応槽の圧力を常圧から1mmHgまで減圧した。その後、温度と圧力を維持しながら、溶融重縮合反応を行った。
以下、実施例1におけると同様にして溶融重縮合反応を終了して、溶融重縮合ポリエステルのペレットを得た。
(2)チタン触媒割合が50%又は25%のとき
市販のテレフタル酸433gとエチレングリコール191gを重縮合反応槽に仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌してスラリーとした。
上記三酸化アンチモン触媒の溶液を表1に示す所定の使用量となるように上記重縮合反応槽に加えた。
上記重縮合反応槽の温度を260℃に保ち、圧力は窒素ガスにより2.5kgf/cm2から徐々に常圧まで降下させながら、3.5時間かけてエステル化反応を行った。
上記エステル化反応終了後、上記チタンテトライソプロポキシドの溶液を表1に示す所定の使用量となるように上記重縮合反応槽に加えた。
1時間かけて上記重縮合反応槽の温度を260℃から280℃まで昇温し、反応槽の圧力を常圧から1mmHgまで減圧した。その後、温度と圧力を維持しながら、溶融重縮合反応を行った。
以下、実施例1におけると同様に溶融重縮合反応を終了して、溶融重縮合ポリエステルのペレットを得た。
(3)チタン触媒割合が0%のとき
実施例1の(3)と同じである。
以上のようにして、実施例1、2、3及び4において得られたそれぞれの溶融重縮合ポリエステルについて、加熱試験前と加熱試験後の色調(b*値)と固有粘度(IV値)を測定し、それらに基づいて△b* 値(色調劣化指数)と△IV値を求めた。結果を表1に示す。また、実施例1、2、3及び4におけるチタン触媒割合(%)と上記△b* 値(色調劣化指数)の関係をそれぞれ図1、図2、図3及び図4に示す。
比較例1についても、得られたそれぞれの溶融重縮合ポリエステルについて、加熱試験前と加熱試験後の色調(b*値)を測定し、それらに基づいて△b* 値(色調劣化指数)を求めた。結果を表1に示す。また、チタン触媒割合(%)と上記△b* 値(色調劣化指数)の関係を図5に示す。
表2において、「触媒使用量」の欄の「ppm (as Ti)」と「ppm (as Sb)」はそれぞれ、重量基準にて、得られるポリエステルに対するチタン触媒又は三酸化アンチモン触媒の使用量の割合(ppm)と当該使用量のチタン原子換算又はアンチモン原子換算による使用量の割合(ppm)(括弧内)を示す。
また、表2において、「触媒使用量」の欄の「触媒割合」は、チタン触媒100%量(A量)に対するチタン触媒の使用量a量の割合((a/A)×100))/アンチモン触媒100%量(B量)に対する三酸化アンチモン触媒の使用量b量の割合((b/B)×100))、即ち、(a/A)×100/(b/B)×100を意味する。ここに、(a/A)×100)と(b/B)×100)との合計は100である。
更に、表2において、「チタン触媒」の欄の(a)は表面にチタン被覆層を有するピロリン酸カルシウム粒子を、(b)は表面にチタン被覆層を有するピロリン酸マグネシウム粒子を、(c)は表面にチタン被覆層を有する第三リン酸カルシウム粒子を意味する。
Figure 0006849159
実施例1は、チタン触媒が表面にチタン酸被覆層を有するピロリン酸カルシウム粒子である場合であって、図1に示すように、加熱試験後、チタン触媒割合((a/A)×100(%))が0〜80%の範囲にある間は、得られた溶融重縮合ポリエステルの色調劣化指数(△b* 値)は実質的に0であって、チタン触媒割合にかかわらず、色調劣化指数(△b* 値)は平坦部を有する。即ち、得られた溶融重縮合ポリエステルは、チタン触媒割合((a/A)×100(%))が0〜80%の範囲にある間は、加熱試験後にも、三酸化アンチモン触媒のみを用いて得られた溶融重縮合ポリエステルの加熱後の色調と実質的に同じである。
しかし、チタン触媒割合が80%を超えるときは、得られた溶融重縮合ポリエステルは、加熱試験後、色調劣化指数(△b* 値)が急激に増加して、色調は、三酸化アンチモン触媒のみを用いて得られた溶融重縮合ポリエステルの加熱後の色調に比較して、黄色味が増す。
一方、前述したように、得られた溶融重縮合ポリエステルの固有粘度については、表2に示すように、チタン触媒割合が0%であるとき、即ち、三酸化アンチモン触媒の割合が100%であるとき、加熱試験後の固有粘度の低下幅が最も大きく、チタン触媒割合が100%であるとき、即ち、三酸化アンチモン触媒の割合が0%であるとき、加熱試験後の固有粘度の低下幅が最も小さい。ここに、加熱試験後の固有粘度の低下幅は、チタン触媒割合の増加にほぼ比例して小さくなる。
かくして、本発明によれば、チタン触媒割合を10%以上、80%以下とすることによって、加熱された場合においても、色調の劣化が少なく、加えて、固有粘度の低下、即ち、強度の低下がより小さいポリエステル樹脂を得ることができる。
更に、本発明によれば、チタン触媒割合を20〜80%程度、好ましくは、30〜80%程度、より好ましくは、40〜80%程度とするとき、得られる溶融重縮合ポリエステルの固有粘度の低下幅を更により小さい範囲に抑えて、実用上、許容し得る程度とすることができる。特に、本発明に従って、チタン触媒割合を50〜80%程度とするとき、得られる溶融重縮合ポリエステルの固有粘度の低下幅を望ましい程度に抑えることができる。
かくして、チタン触媒割合を20〜80%程度、好ましくは、30〜80%程度、より好ましくは、40〜80%程度とするとき、得られる溶融重縮合ポリエステルの固有粘度の低下幅を実用上、許容し得る程度に抑えることができる。チタン触媒割合を50〜80%程度とするとき、得られる溶融重縮合ポリエステルの固有粘度の低下幅を望ましい程度に抑えることができる。
実施例2は、チタン触媒が表面にチタン酸被覆層を有するピロリン酸マグネシウム粒子である場合であり、チタン触媒割合に対して、色調劣化指数(△b* 値)は、実施例1の表面にチタン酸被覆層を有するピロリン酸カルシウム粒子と同様の傾向を示す。得られた溶融重縮合ポリエステルの固有粘度も、実施例1の表面にチタン酸被覆層を有するピロリン酸カルシウム粒子と同様の傾向を示す。
実施例3は、チタン触媒が表面にチタン酸被覆層を有する第三リン酸カルシウム粒子である場合である。この場合も、チタン触媒割合に対して、色調劣化指数(△b* 値)は、実施例1の表面にチタン酸被覆層を有するピロリン酸カルシウム粒子と同様の傾向を示す。得られた溶融重縮合ポリエステルの固有粘度も、実施例1の表面にチタン酸被覆層を有するピロリン酸カルシウム粒子と同様の傾向を示す。
チタン触媒100%量(即ち、A量)が6.5ppmである実施例1に対して、実施例4は、チタン触媒100%量(即ち、A量)が10ppmである場合である。実施例4においても、実施例1におけると同様に、得られた溶融重縮合ポリエステルは、チタン触媒割合((a/A)×100(%))が0〜80%の範囲にある間は、加熱試験後にも、三酸化アンチモン触媒のみを用いて得られた溶融重縮合ポリエステルの加熱後の色調と実質的に同じである。
また、加熱試験後の固有粘度の低下幅も、チタン触媒割合の増加にほぼ比例して小さくなっている。
比較例1は、チタン触媒としてチタンテトライソプロポキシドを用いた場合であって、色調劣化指数(△b* 値)は、チタン触媒割合に対して平坦部は存在せず、チタン触媒割合が増えるにつれて大きくなる。

Claims (7)

  1. 水不溶性乃至水難溶性のリン酸塩100重量部に対して、TiO換算で0.1〜100重量部のチタン酸からなる被覆層を表面に有するリン酸塩の粒子からなるチタン触媒とアンチモン触媒を含む重縮合触媒の存在下にジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体とグリコールとをエステル化反応又はエステル交換反応にて重縮合させるポリエステル樹脂の製造方法。
  2. 前記リン酸塩がオルトリン酸塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、リン酸塩ガラス、亜リン酸塩及び次亜リン酸塩から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
  3. 前記リン酸塩のアニオンの対イオンがアルカリ土類金属、アルミニウム、チタン、ジルコニウム及び亜鉛よりなる群から選ばれる少なくとも1種のカチオンである請求項1又は2に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
  4. 前記アルカリ土類金属がカルシウム及びマグネシウムから選ばれる少なくとも1種である請求項3に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
  5. 前記リン酸塩が第二リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、ピロリン酸二水素カルシウム、ピロリン酸マグネシウム及びメタリン酸マグネシウムから選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステル樹脂の製造方法。
  6. 前記チタン触媒が前記リン酸塩100重量部に対して、TiO換算で1〜50重量部のチタン酸からなる被覆層を表面に有するものである請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル樹脂の製造方法。
  7. 前記チタン触媒が前記リン酸塩100重量部に対して、TiO換算で1〜50重量部のチタン酸からなる被覆層を表面に有するものである請求項5に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
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